JP7411514B2 - クレーンの操作システム及びクレーンの操作指示方法 - Google Patents
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Description
遠隔操作でない従来のクレーンも、運転手から遠方にある位置のように、運転手が目視し難い位置の映像を運転手に知得させるため、撮像部と表示部を設ける場合がある。
例えば特許文献1では、クレーンの操作によって移動するフックブロックの移動方向を取得し、撮像部が撮像した画像に基づき、移動方向をフックブロックから臨む画像を生成する構成が記載されている。この構成では、運転手が直接視認不能であり吊荷が移動する方向の障害物等の状態を確認できるとしている。
一方で、このような撮像部の大半はステレオカメラのような両眼視差を再現する構造ではない。そのため、撮像した映像は奥行方向の情報が乏しく、荷役対象と吊具の位置関係や現在の吊具の移動方向のような、荷役状況が分かりにくいという問題がある。
これに対して特許文献2では、フックを移動させる操作部に入力された操作により出力された操作信号からフックの移動方向を算出し、フックの画像と共に移動方向を示す画像を表示する構成が記載されている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、目標とする荷役操作を達成するために必要な操作の情報を運転手に知得させられるクレーンの操作システム及び操作指示方法の提供を目的とする。
そのため、目標とする荷役操作を達成するために必要な操作の情報を運転手に知得させられる。
まず図1及び図2を参照して本実施形態に係るクレーンの操作システムの適用対象であるクレーンの概略構成を説明する。ここではクレーンとして岸壁に設けられ、接岸したコンテナ船との間で荷役対象であるコンテナの荷役を行う岸壁クレーンを例示する。
撮像部17は運転室15から運転手が視認し難い位置を撮像するカメラであり、図1ではトロリ11の横行方向陸側端部に設けられ、スプレッダ13を見下ろす向きであるAの向きに撮像する向きが保持される。この撮像する向きAは遠隔操作でない従来のクレーンの運転席から運転手がスプレッダ13を見る向きを再現するものである。表示部31は撮像部17が撮像した映像を表示するモニタであり、運転室15に設けられる。撮像した映像14の例を図2に示す。図2の映像14は、撮像部17が撮像したスプレッダ13の映像及びコンテナ船48に蔵置されたコンテナ49aの映像が含まれる。
以上がクレーン1の概要の説明である。
図3に示すように操作システム27は、操作機器32、指示部35、検出部30、及び算出部33を備える。
操作機器32はクレーン1を運転手が操作するためのレバーやボタンが配置された装置であり、運転室15に設けられる。操作機器32は走行装置7、トロリ11、及びスプレッダ13等のクレーン1を駆動する装置にPLC等を介して電気的に接続されている。そのため、運転手が操作機器32を操作することでこれらの装置に操作信号が送信され、操作信号に基づき何れかの装置が駆動される。
指示部35はクレーン1の操作に必要な操作機器32の操作条件を運転手に指示する装置であり、運転室15に設けられる。
目標となるクレーン1の荷役とは、クレーン1を用いた荷役に必要な個々の装置の操作を意味する。
具体的には、クレーン1における荷役操作では走行装置7、トロリ11、及びスプレッダ13を操作して移動させる必要があるが、これらを移動目標へ移動させる操作が目標となるクレーン1の荷役に必要な操作である。
あるいは位置合わせ後にスプレッダ13をコンテナ49aの上面に着床させる場合、スプレッダ13を下降させる操作やスプレッダ13のツイストロック等を用いた緊締操作が、荷役に必要な操作である。
以下の説明では特に断りが無い限り、クレーン1の荷役に必要な操作として、コンテナ49aとスプレッダ13の位置合わせのためのトロリ11の横行操作を例に本実施形態を説明する。
操作条件指示画像16は、クレーン1の荷役に必要な操作として、運転手が必要な操作を指示する情報である。
図形画像16aはトロリ11の横行方向を図形で示す画像であり、ここでは矢印で横行方向を示している。図2に示す図形画像16aは、コンテナ49aとスプレッダ13の位置合わせのために、トロリ11をX方向海側に向けて横行する操作を運転手が行う必要があることを示す。数値画像16bはトロリ11の横行速度を数値で示すものである。図2では、コンテナ49aとスプレッダ13の位置合わせのために、トロリ11を10m/sで横行させる操作を運転手が行う必要があることを示す。
また、運転手が操作条件を理解できる指示が出せるのであれば、指示部35が運転手に指示する情報は図形や文字以外の情報でも良い。例えば操作条件を音声情報で指示してもよい。この場合は音声で操作条件を指示するスピーカ等が指示部35となる。
さらに、図2の操作条件指示画像16は、トロリ11の横行方向と横行速度を、それぞれ図形画像16aと数値画像16bで別の画像として表示しているが、横行方向と横行速度を1つの画像で表示してもよい。例えば操作条件指示画像16を一つの矢印図形としてもよい。この場合、矢印の指す向きが横行方向(厳密には予測した方向)を示し、矢印の長さが横行速度(厳密には予測した速度)となり、例えば矢印が長くなるほど速度が速いことを意味する。この矢印の向きと長さの持つ意味は走行や巻き上げ/巻き下げ操作の場合も同様に予測した方向と速度を意味する。
図2に示す映像14のようにトロリ11からスプレッダ13をX方向に見下した映像14における上下の位置座標X’は、本来はX方向とZ方向の情報を含む。しかし撮像部17が単眼カメラのように両眼視差を再現しない装置の場合、映像14は奥行方向の情報が乏しいため、スプレッダ13が映像14中で上下に移動していても、X方向及びZ方向にどの程度移動しているのか映像14から分かり難い。さらにトロリ11と共に横行中のスプレッダ13には「振れ」と呼ばれる周期的な位置変動も生じている。そのため、振れも含めたスプレッダ13の移動状況を映像14のみで運転手が把握するのは極めて困難な場合がある。
そこで操作条件を指示部35が運転手に指示し、指示部35から知得した操作条件に基づき操作機器32を運転手が操作すれば、トロリ11とスプレッダ13の移動状況を映像14のみで運転手が把握する場合と比べて、目標となるクレーン1の荷役を正確に行える。以上が本実施形態で指示部35を設ける理由である。
より具体的には相対距離Lは、スプレッダ13のX方向の振れ中心C1の、コンテナ49aの上面の図心C2に対するX方向の位置ズレ量L0からスプレッダ13の振れのX方向成分である振れ量dを減じた値である(L=L0-d)。よって位置ズレ量L0と振れ量dもクレーン1の状態に含まれる。ただし検出部30が相対距離Lを求める必要はない。検出部30が振れ量dと位置ズレ量L0を求め、算出部33が相対距離Lを求めればよい。
トロリ11の位置は、トロリ11を駆動させるドラム等に設けられたエンコーダ等で求められる。コンテナ49aの位置は、クレーン1に求めた位置センサで求められる。この場合はエンコーダや位置センサが検出部30になる。
振れのX方向成分を検出する検出部30としては、スプレッダ13の上面にビーコン等の発信機を設け、トロリ11にビーコンの位置を検出するカメラを設けた構成を例示できる。
なおスプレッダ13の振れは周期振動であるため、振れと時間の関係を示す波形を求めれば、振れのX方向成分は必ずしも逐次検出しなくてもよい場合がある。例えば振れ角が微小である場合は周期振動を単振動と仮定でき、この場合は波形を正弦波で表せるため、振れ量の最大値と振れの周期を求めれば波形を求められる。
振れの周期を求める方法としては、振れを単振動と仮定してスプレッダ13とワイヤ8の間に張設されたワイヤ8の長さlwから周期を求める方法がある。これは単振動の周期はワイヤ8の長さlwのみを変数とする関数で表せるためである。ワイヤ8の長さlwは、ワイヤ8を繰り出す図示しないドラム等に設けたエンコーダ等で求めることができる。この場合はエンコーダが検出部30になる。なお、ワイヤ8はスプレッダ13や掴んだコンテナ49aの重さで伸びる場合がある。そのため、ワイヤ8のスプレッダ13やトロリ11との結束部にあるシーブ等にロードセルを設けてワイヤ8の張力を検出し、検出した張力とワイヤ8の弾性率からワイヤ8の伸びを求めて、エンコーダで求めたワイヤ8の長さに加算してもよい。この構成では、エンコーダのみを用いる場合と比べてワイヤ8の長さをより正確に求められる。この場合はロードセルも検出部30となる。
ここでいう操作条件とは、目標となるクレーン1の荷役を完了させるために予測される操作機器32の操作と、その操作を行うタイミングを含む条件である。
目標となるクレーン1の荷役がスプレッダ13とコンテナ49aの位置合わせの場合、予測される操作機器32の操作は、目標位置でスプレッダ13を停止させるために必要なスプレッダ13の移動方向、移動速度を実現する操作機器32の操作である。その方向と速度にするための操作機器32の操作を行うタイミングが、操作を行うタイミングである。具体的な移動方向、移動速度は図4に示す相対距離Lを最短時間で0にし、かつその状態を維持するためのトロリ11の移動速度と移動する向きである。なお、操作機器32の操作を示す具体的な情報としては、この速度や向きを実現するために操作すべき操作機器32のレバーやボタン、あるいは、その操作量を具体的に指定する情報でもよい。ただし、図2のように単にトロリ11の移動速度と移動する向きを求めて、これを必要な操作機器32の操作としてもよい。これは、トロリ11の移動速度と移動する向きを運転手が知得できれば、その速度と向きを実現するために必要な操作機器32の操作量は運転手でも判断できるためである。
操作されたと仮定した時点とは、操作条件を算出する基準時刻であり、目標となるクレーン1の荷役中における任意の時刻である。
操作されたと仮定した時点は予め定められた時点でもよい。例えば目標となるクレーン1の荷役がスプレッダ13とコンテナ49aのX座標を合わせる位置合わせ操作である場合、振れ量dが所定の値になった時点で運転手に所定の横行操作をさせると位置合わせの精度が高くなる場合がある。この場合は振れ量dが所定量、例えば0になった時点で運転手にトロリ11の横行操作を指示したいので、振れ量dが所定量になった時点を、操作されたと仮定した時点とする。
あるいは、位置決めの操作中は常に指示部35に指示をさせ続けたい場合、例えば図2の操作条件指示画像16を表示部31にリアルタイムで表示させ続けたい場合は、操作されたと仮定した時点は、位置決め操作の開始から終了までの全期間である。
さらに、運転手が何らかの操作を行った時点を、操作されたと仮定した時点としてもよい。例えば運転手が操作機器32の所定のボタンを押したタイミングを操作されたと仮定した時点としてもよい。
直接的に知得させる方法としては、運転手が操作を行うべきタイミングの前に、操作すべき時刻を操作予告として操作条件指示画像16の一部に含めて表示させる方法がある。この場合は算出した操作条件に基づく操作を運転手が行うべき時点よりも前の任意の時刻に、算出部33は操作条件指示画像16を指示部35に表示させる指令を送信する。
検出系遅延時間Δt1は一般的に検出部30に固有であるため、実測するか、あるいは検出部30のカタログスペックを基に決定すればよい。
このように操作機器32に起因する遅延時間は、指示部35の指示を受けてから運転手が操作機器32の操作を開始するまでに要する時間と、操作機器32が操作されてからクレーン1がその操作に基づき動作を開始するまでに要する時間の和で表される。この遅延時間を操作系遅延時間Δt2と称す。
操作系遅延時間Δt2のうち、操作機器32に起因する遅延時間は一般的に操作機器32に固有であるため、実測するか、あるいは操作機器32のカタログスペックを基に決定すればよい。操作系遅延時間Δt2のうち、運転手の反応時間に起因する遅延時間は、指示部35の指示内容や運転手の熟練度によって異なるが、例えば0.2秒~1.0秒程度である。反応時間に起因する遅延時間は実測で求めればよい。また反応時間に起因する遅延時間が運転手の熟練度によって異なる場合、遅延時間を設定変更可能としてもよい。
例えば図5で操作されたと仮定した時点を時刻t2とした場合、検出系遅延時間Δt1及び操作系遅延時間Δt2を加えた時刻t4を基に操作条件を算出した場合でも、算出した操作条件に基づく操作を運転手が行うべきタイミングは時刻t2である。これは、検出系遅延時間Δt1及び操作系遅延時間Δt2を加えた時刻t4は操作条件を算出する基準時刻であって、算出した操作を運転手が行うべきタイミングではないためである。
以上が本実施形態に係るクレーン1の操作システム27の構成の説明である。
まず前提として所定の荷役操作が開始されているとする。例えばコンテナ49aのX座標にスプレッダ13のX座標を位置合わせする荷役操作が開始されているとする(図7のS0)。
検出部30に検出の開始及び検出する具体的な状態を指示する主体は、所定の荷役操作が行われていることを知得できる手段であり、例えば算出部33である。例えば所定の荷役が、スプレッダ13とコンテナ49aのX座標を合わせる位置合わせ操作である場合、トロリ11の横行操作の開始時点を所定の荷役操作が開始された時点として、算出部33が検出部30に検出開始の指示を出せばよい。スプレッダ13の高さがセーフティハイト等の所定の高さ以下になった時点、又はスプレッダ13が所定のX方向の距離までコンテナ49aに接近した時点を位置合わせ操作が開始された時点としてもよい。
操作条件を知得した指示部35は、知得した操作条件に含まれる操作を文字、図形、音声等の情報に変換して、操作を行うべきタイミングと共に運転手に指示することで、操作条件を運転手に知得させる。操作条件を知得した運転手は操作を行うべきタイミングで、指示に従って操作機器32を操作する。
以上が本実施形態に係るクレーン1の操作システム27を用いたクレーン1の操作指示方法の手順の説明である。
そのため、指示部35の指示内容から目標とする荷役操作を達成するために必要な操作を運転手が把握できる。
よって、目標とする荷役操作を達成するために必要な操作の情報を運転手に知得させられる。
また上記した実施形態ではコンテナ49aとスプレッダ13の位置合わせのためのトロリ11の横行操作の指示を本発明の適用例として説明したが、クレーン1を用いた荷役に必要な操作であれば、本発明はトロリ11の横行操作以外の操作にも適用できる。例えばスプレッダ13の着床操作の指示に本発明を適用してもよい。
3 脚部
5 レール
7 走行装置
8 ワイヤ
9 桁部
10 岸壁
11 トロリ
13 スプレッダ
14 映像
15 運転室
16 操作条件指示画像
16a 図形画像
16b 数値画像
17 撮像部
27 操作システム
30 検出部
31 表示部
32 操作機器
33 算出部
35 指示部
48 コンテナ船
49a コンテナ
Claims (4)
- クレーンを運転手が操作する際に用いる操作機器と、前記クレーンの操作に必要な前記操作機器の操作条件を前記運転手に指示する指示部とを備えるクレーンの操作システムであって、
前記クレーンの状態として、前記クレーンの吊具を移動させる目標である目標位置に対する前記吊具の振れの中心の位置ズレ量、及び前記吊具の振れ量を検出する検出部と、
前記検出部及び前記指示部に接続され、前記吊具が振れたままで前記操作機器が操作されたと仮定した時点での前記位置ズレ量から前記振れ量を減算した前記吊具と前記目標位置との相対距離をゼロにし、かつ前記吊具が振れたままで前記相対距離をゼロにした状態を維持する前記吊具の移動速度および移動方向を前記操作条件として算出し、算出した前記操作条件を前記指示部に指示させる算出部と、
を備えることを特徴とするクレーンの操作システム。 - 前記操作条件は、
前記検出部が前記クレーンの状態の検出を開始してから、実際に状態が検出されるまでに要する時間である検出系遅延時間と、
前記指示部の指示を受けてから前記運転手が前記操作機器の操作を開始するまでに要する時間と前記操作機器が操作されてから前記クレーンがその操作に基づき動作を開始するまでに要する時間の和である操作系遅延時間と、
を前記操作機器が操作されたと仮定した時点に加えた時刻における条件である請求項1に記載のクレーンの操作システム。 - 前記指示部の指示を受けてから前記運転手が前記操作機器の操作を開始するまでに要する時間が前記運転手の熟練度によって異なる場合、その時間が設定変更可能である請求項2に記載のクレーンの操作システム。
- クレーンを運転手が操作する際に用いる操作機器と、前記クレーンの操作に必要な前記操作機器の操作条件を前記運転手に指示する指示部とを備えるクレーンの操作を前記運転手に指示するクレーンの操作指示方法であって、
前記クレーンの状態として、前記クレーンの吊具を移動させる目標である目標位置に対する前記吊具の振れの中心の位置ズレ量、及び前記吊具の振れ量を検出する検出工程と、
前記吊具が振れたままで前記操作機器が操作されたと仮定した時点での前記位置ズレ量から前記振れ量を減算した前記吊具と前記目標位置との相対距離をゼロにし、かつ前記吊具が振れたままで前記相対距離をゼロにした状態を維持する前記吊具の移動速度および移動方向を前記操作条件として算出し、算出した前記操作条件を前記指示部に指示させる算出工程と、
を実施することを特徴とするクレーンの操作指示方法。
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