JP7411436B2 - 超純水中の微粒子捕捉方法及び微粒子捕捉用ろ過膜 - Google Patents

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Description

本発明は、超純水中に含まれる微粒子の観察、評価に好適な、超純水中の微粒子捕捉方法及びその捕捉方法に用いるためのろ過膜に関する。
従来、水処理において、各種イオン成分や硬度成分の除去のため、膜処理手段、イオン交換手段、脱炭酸装置等を用いて、純水や超純水が製造されている。
また、半導体製造のような非常に精密な機器を製造する現場や、不純物を極力含有させない薬品の製造等においては、その製造する部品について高い清浄度や高い薬品純度が求められ、これらの用途には超純水が用いられる。
近年、これらの用途に用いられる超純水は、その微粒子の含有量を非常に低いレベルにまで低減したものが求められ、さらなる水質の向上が要求されている。そのため、超純水の水質管理の項目である微粒子数についても、より高度な水準が求められている。
このような微粒子の少ない高純度の超純水となっているか否かは、レーザー散乱や音波を利用したオンライン法の他に、ろ過膜を用い、超純水をろ過してそのろ過膜表面に捕捉される微粒子を、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡等を用いて測定する方法もある(例えば、特許文献1参照)。
このろ過膜を用いる方法では、超純水製造システムの出口水、通常、2次純水製造装置の出口水が流通する配管にサンプリング配管を設け、超純水の一部を分岐させて、その分岐させた超純水を微粒子捕捉用のろ過膜に一定水量流通し、ろ過させることで、超純水中に含まれる微粒子を捕捉させ、そのろ過膜の表面を、走査型電子顕微鏡等により観察し、また所定範囲での測定、計測を行うことで微粒子数を算出できる。ろ過膜としては、たとえば、ポリカーボネート製の平膜や中空糸タイプの限外ろ過膜が用いられている。
ところで、このような微細な粒子を捕捉するために、従来、その孔径を小さいものとしながら、ろ過流量の大きいアルミナ素材の多孔性膜が検討されていた。 しかしながら、アルミナ素材の多孔性膜は、超純水を通水すると膜自体が溶解したり、その溶解によって強度が低下し破壊されたり、超純水中の微粒子を捕捉するためのろ過膜としてはリスクがあり、このような特定の用途におけるろ過膜としては好適なものではなかった。
このように超純水のろ過では、上記のようにアルミナ製のろ過膜をそのまま使用するにはリスクがあるため、超純水中の微粒子捕捉に使用できる多孔性膜として、アルミナ素材の多孔性膜を原材料としながら、これを焼成することにより、上記不具合を解消した微粒子捕捉用ろ過膜、それを用いた超純水中の微粒子の測定方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法を用いても、その効果は限定的であり、実用的なろ過膜は得ることは難しい。
特開平11-165049号公報 特開2007-70126号公報
なお、本出願人は、アルミナ以外にも銀製のフィルターが、超純水のろ過にあたってはアルミナと同様に溶解して、強度が低下する現象を生じることを確認している。
そこで、本発明は、超純水中の微粒子を分析、観察するために、安定してろ過操作を行うことができ、かつ、その表面観察において、微細な微粒子を、安定して観察できる超純水中の微粒子捕捉方法及びその方法に好適な微粒子捕捉用ろ過膜を提供することを目的とする。
本発明の超純水中の微粒子捕捉方法は、ろ過膜と、前記ろ過膜の表面に、CVD法を用いて形成した薄膜と、を有する微粒子捕捉用ろ過膜を用意し、前記微粒子捕捉用ろ過膜に超純水を通水させることを特徴とする。
本発明の微粒子捕捉用ろ過膜は、ろ過膜と、前記ろ過膜の表面に、オスミウム、タングステン及びチタンから選ばれる少なくとも一つの元素を含有する薄膜と、を有することを特徴とする。
本発明の超純水中の微粒子捕捉方法及び微粒子捕捉用ろ過膜によれば、超純水中の微粒子を捕捉するために、超純水のろ過を行っても、使用しているろ過膜の溶解や破壊を生じさせずに安定して微粒子の捕捉ができる。
さらに、オスミウム単体からなる所定の膜とした場合には、微粒子を捕捉した後、その微粒子捕捉用ろ過膜の表面観察において、捕捉された微粒子を、安定して、かつ、高精細に観察できる。
本発明の実施例1における、超純水通水後の微粒子捕捉用ろ過膜の表面のSEM画像である。 本発明の比較例1における、超純水通水後の微粒子捕捉用ろ過膜の表面のSEM画像である。 本発明の比較例2における、超純水通水後の微粒子捕捉用ろ過膜の表面のSEM画像である。 本発明の比較例3における、超純水通水後の微粒子捕捉用ろ過膜の表面のSEM画像である。 本発明の実施例2における、超純水通水後の微粒子捕捉用ろ過膜の表面のSEM画像である。 本発明の比較例4における、超純水通水後の微粒子捕捉用ろ過膜の表面のSEM画像である。 本発明の比較例5における、超純水通水後の微粒子捕捉用ろ過膜の表面のSEM画像である。 本発明の比較例6における、超純水通水後の微粒子捕捉用ろ過膜の表面のSEM画像である。
以下、本発明の一実施形態である超純水中の微粒子捕捉方法及び微粒子捕捉用ろ過膜について、詳細に説明する。
(微粒子捕捉用ろ過膜)
まず、本実施形態の微粒子捕捉用ろ過膜について説明する。
本実施形態の微粒子捕捉用ろ過膜は、上記のように、ろ過膜と、該ろ過膜の表面に、CVD法を用いて形成した薄膜と、を有してなる。
ここで用いるろ過膜は、超純水の微粒子を捕捉できる公知のろ過膜であれば特に制限されずに用いることができ、例えば、精密ろ過膜(MF)、限外ろ過膜(UF)等が例示できる。また、その材質も特に限定されるものではなく、有機系材料及び無機系材料のいずれで形成されていてもよい。
このろ過膜としては、超純水中の微粒子の捕捉に用いるものであるため、その孔径は0.01~3μmが好ましく、0.02~2μmがより好ましく、0.05~0.4μmがさらに好ましい。
ろ過膜に用いられる材質は、有機系材料としては、セルロース混合エステル、ポリカーボネート、親水性ポリエーテルスルホン等の通常膜材料として使われる有機系高分子が好ましく、無機系材料としては、アルミナ、銀、銅等の金属が好ましい。また、双連続キュービック構造を有する液晶構造を有する高分子(例えば、特開2020-12074号公報)等の液晶材料も素材として利用可能である。
なお、ここで用いるろ過膜としては、超純水のろ過において、溶解や、破壊等の不具合が生じるおそれのある材質のろ過膜であっても、後述するように、その表面に所定の薄膜を形成することで、超純水に対する溶解等を抑制し、安定した使用を可能とできる。
そのため、このろ過膜は、上述した材質のうち、アルミナ(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)等で形成されているろ過膜が、特に好ましいものとして挙げられる。
そして、本実施形態の微粒子捕捉用ろ過膜においては、上記ろ過膜の表面に、CVD法で形成された薄膜を有する。この薄膜は、CVD法で形成できるものであれば、その材質は特に限定されないが、オスミウム(Os)、タングステン(W)及びチタン(Ti)から選ばれる少なくとも一つの元素を含有する材料から形成される薄膜が好ましい。このように所定の薄膜を有することで、超純水とろ過膜との直接的な接触が抑制でき、従来生じていた溶解等の不具合を防止できる。ろ過膜の溶解が抑えられると、その強度も低減することがなく、ろ過による破壊の心配をすることなく安全に使用することができる。
さらに、上記薄膜を形成することで、ろ過膜に加えて、所定の薄膜が形成されているため、ろ過膜の強度が向上する。薄膜を形成する材質としては、上記した金属の単体又は酸化物が好ましく、ろ過膜の強度が向上する観点からは、オスミウム単体、オスミウム酸化物等を用いて、オスミウム薄膜を形成することが好ましい。
この薄膜は、ろ過膜の表面を被覆して、超純水との接触を抑制できればよく、ろ過膜表面の90%以上が被覆できていればよく、95%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましく、100%が特に好ましい。
また、薄膜の厚さは、上記被覆ができていればよく、例えば、0.1~10nm程度のごく薄いものでよく、0.5~7nmがより好ましく、3~5nmがさらに好ましい。
上記説明した、本実施形態の微粒子捕捉用ろ過膜は、その本体となるろ過膜を用意し、このろ過膜の表面に、上記した所定の薄膜を形成することで製造できる。この薄膜を形成するにあたっては、その表面を覆うことができる方法として、金属化合物をガス状にして膜表面及び膜の細孔内部に供給し、供給した金属化合物を膜表面及び細孔内部に成膜させるCVD(Chemical Vapor Deposition)法が好ましい。このCVD法により成膜する方法としては、例えば、プラズマCVD法、熱CVD法、MOCVD(Metal Organic CVD)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等が挙げられるが、薄膜形成したろ過膜の強度の点から、プラズマCVD法がより好ましい。
プラズマCVD法は、真空チャンバー内に蒸着させる金属化合物をガス状にして導入し、直流グロー放電によりプラズマ化させ、ろ過膜の表面に化学気相成長(CVD)を用いてコーティングする蒸着方法であり、金属化合物をガス状にしてコーティングを行うため、ろ過膜の内部にまで所定のコート膜を形成でき、好ましい。
また、熱CVD法は、ガス状にして導入した金属化合物を、加熱された膜表面上で熱分解反応して、金属や酸化物、窒化物の膜を堆積させる方法である。
CVD法に用いるガス状の金属化合物の形成には、例えば、四酸化オスミウム(OsO)を導入化合物として用い、これを昇華させてガスとすることで、ろ過膜表面及び膜の細孔内部へのオスミウム被膜を形成できる。また、六フッ化タングステン(WF)、四塩化チタン(TiCl)、チタンテトライソプロポキシド(Ti(OC)等を導入化合物とすることで、同様にタングステン被膜、チタン被膜を形成できる。これらの物質は容易に気体となるので、ろ過膜に気体として供給することにより、ろ過膜表面及びろ過膜の細孔内部に薄膜を形成させることが可能となる。
なお、プラズマCVD法では、プラズマ化させたとき、チャンバー内に陽光柱領域と負グロー相領域が形成され、これらの領域において、コーティングが可能となる。例えば、上記のオスミウムの場合には、陽光柱領域では四酸化オスミウムからなる被膜が、負グロー相領域では、純粋なオスミウム金属(オスミウム単体)からなる被膜が、形成される。
本発明においては、四酸化オスミウムからなる被膜でも、オスミウム金属からなる被膜でも、いずれの被膜でもよいが、オスミウム金属からなる被膜が、特に、均一な膜が形成されやすく、強度も良好なため、好ましい。また、このように形成されるオスミウム金属からなる被膜は、アモルファスであり、そのコーティング表面が滑らかになるため、後述するろ過膜の表面観察においても、より鮮明で、より詳細な、観察画像を得ることができる点でも好ましい。
上記したCVD法によれば、上記のようにガス状にして被膜を形成するため、ろ過膜の全面に被膜を形成しやすい点、ろ過膜の膜表面、細孔内部等にごく小さい亀裂等の欠陥があった場合にも、その欠陥内部にまでガスが入り込んでオスミウムで欠陥を埋めることができる点、などからも、ろ過膜の強度を大幅に向上できると考えられ好ましい。
なお、薄膜形成の方法としては、スパッタリング法も広く普及しているが、この方法を用いた場合、ろ過膜の外表面には薄膜が形成されるものの、背面側への膜形成が十分とならず、超純水との接触による不具合が解消されないおそれがあり、また、ろ過膜の細孔内部に薄膜が形成されないため、ろ過膜の強度の向上が望めないため、好ましくない。
(超純水中の微粒子捕捉方法)
次に、本発明の一実施形態である超純水中の微粒子捕捉方法について説明する。
この微粒子捕捉方法は、表面に、上記した本実施形態の微粒子捕捉用ろ過膜を用意し、この微粒子捕捉用ろ過膜に超純水を通水させるものである。以下、それぞれの構成について詳細に説明する。
この微粒子捕捉方法においては、使用する微粒子捕捉用ろ過膜を用意する点については、上記説明した本実施形態の微粒子捕捉用ろ過膜を入手すればよく、上記説明したようにその表面に所定の薄膜を形成して作製すればよい。
次いで、このように用意した微粒子捕捉用ろ過膜に、対象とする超純水を通水して、微粒子捕捉用ろ過膜に超純水中の微粒子を捕捉させる。このろ過操作にあたっては、超純水製造システムの出口水、通常、2次純水製造装置の出口水が流通する配管にサンプリング配管を設け、超純水の一部を分岐させて、その分岐させた超純水を微粒子捕捉用のろ過膜に一定水量流通し、ろ過させればよい。
ここで用いる超純水としては、上記説明のように超純水製造システムで製造される一般的な超純水であればよく、例えば、比抵抗が18MΩ・cm以上、DO(溶存酸素)濃度が10μg/L以下の水質の超純水が挙げられる。
このような超純水を、微粒子捕捉用ろ過膜に、例えば、2~100日間通水して、超純水中に所定の大きさの微粒子が含まれる場合には、そのろ過膜表面に捕捉する。このとき、その通水量と、捕捉した微粒子のろ過面の面積に対する数によって、超純水中の微粒子数を算出することができる。
ろ過膜の表面観察や、微粒子数の計測にあたっては、公知の観察装置を用い、公知の手法により実施することができる。公知の観察装置としては、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等が挙げられる。走査型電子顕微鏡(SEM)による観察では、既存の前処理、例えば、白金(Pt)やパラジウム(Pd)、金(Au)等の金属によるコーティング等を行った上で観察することが可能である。
このような観察装置により、微粒子捕捉用ろ過膜の表面観察を行うことができるが、本実施形態においては、ろ過膜の表面がオスミウム、タングステン及びチタンから選ばれる少なくとも一つの元素を含有する薄膜が形成されており、特に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる表面観察において、その観察画像の取得が、安定して、かつ、高精細にできる。
以下、本発明について実施例及び比較例を参照しながら説明する。
(実施例1)
アルミナ製のろ過膜(ワットマン社製、商品名:アノディスク;孔径 0.02μm、直径 25mm、厚さ 60μm)の表面に、オスミウムコータ(メイワフォーシス株式会社製、商品名:Neoc-Pro)を用い、プラズマCVD法により厚さ3nmのアモルファスなオスミウム金属膜を形成し、微粒子捕捉用ろ過膜1を得た。
一方、超純水製造システム(半導体製造用システム:1次系は前段逆浸透膜システムで、逆浸透膜の後段に脱気膜、TOCUV、EDI等を設置し、2次系は脱気膜、ポリッシャー等を設置したシステム)で、18.2MΩ・cm、DO(溶存酸素)濃度が0.7μg/Lの超純水を製造した。
この超純水製造システムで得られる超純水を、その出口水として流通している主配管から分岐させ、微粒子捕捉用ろ過膜1に30日間通水した。
(比較例1)
実施例1と同様に、超純水製造システムで製造した超純水を、その出口水として流通している主配管から分岐させ、アルミナ製のろ過膜(ワットマン社製、商品名:アノディスク;孔径 0.02μm、直径 25mm、厚さ 60μm)に2日間通水した。
(比較例2)
被処理水を、超純水の代わりに実施例1の超純水システムの逆浸透膜(東レ株式会社製、商品名:TM720;RO膜)に透過して得られたRO透過水(導電率110μS/cm、溶存酸素(DO)濃度8mg/L)とした以外は、比較例1と同様の操作により、RO透過水をアルミナ製のろ過膜に2日間通水処理した。
(比較例3)
アルミナ製のろ過膜(ワットマン社製、商品名:アノディスク;孔径 0.02μm、直径 25mm、厚さ 60μm)の表面に、スパッタコータ(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名:E-1030)を用い、厚さ 10nmのPt-Pd膜を形成し、微粒子捕捉用ろ過膜C3を得た。
次いで、実施例1と同様に、超純水を、ここで得られた微粒子捕捉用ろ過膜C3に2日間通水した。
上記実施例1、比較例1~3で、超純水又はRO透過水を通水し、ろ過操作を行った後のろ過膜について、その表面を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ製、商品名:S-4800)により観察したところ、実施例1ではフィルターの破損がなかったが、比較例1、3ではフィルターが破損していた。また、比較例1に対して、超純水をRO透過水に変更した比較例2では、フィルターの破損がなく、このアルミナ製のろ過膜がRO透過水では問題ないが、超純水を通水したときに不具合が生じることも確認した。この結果と、試験条件をまとめたものを表1に示した。
Figure 0007411436000001
また、実施例1、比較例1~3で得られた処理後のろ過膜について、そのSEM画像を図1~4として示した。
比較例1はろ過膜表面に薄膜を形成していないので、被処理水である超純水(別名ハングリーウォーター)の影響で膜が破損した。そのため、図2では膜の孔径が大きいように見えるが、これは膜の破損によって膜の支持層が見えるようになっているためである。しかし、比較例2は、被処理水が超純水でなく、RO透過水なので、膜の破損は見られなかった(図3)。
実施例1は、表面に薄膜を形成したろ過膜を用いたので、被処理水が超純水(別名ハングリーウォーター)であるにも関わらず、膜の破損は見られなかった(図1)。
比較例3は、表面に薄膜を形成したろ過膜を用いたが、膜の細孔内部まで薄膜で覆われたものではないので、被処理水の超純水(別名ハングリーウォーター)の影響で、膜が破損した。そのため、図4では膜の孔径が大きいように見えるが、これは膜の破損によって膜の支持層が見えるようになっているためである。
(実施例2)
金属銀製のろ過膜(STERLITECH社製、商品名:銀メンブレンフィルター;孔径 0.1μm、直径 25mm、厚さ 50μm)の表面に、オスミウムコータ(メイワフォーシス株式会社製、商品名:Neoc-Pro)を用い、プラズマCVD法により厚さ3nmのアモルファスなオスミウム金属膜を形成し、微粒子捕捉用ろ過膜2を得た。
実施例1と同一の超純水製造システムで得られた超純水を、その出口水として流通している主配管から分岐させ、微粒子捕捉用ろ過膜2に30日間通水した。
(比較例4)
実施例2と同様に、超純水製造システムで製造した超純水を、その出口水として流通している主配管から分岐させ、金属銀製のろ過膜(STERLITECH社製、商品名:銀メンブレンフィルター;孔径 0.1μm、直径 25mm、厚さ 50μm)に2日間通水した。
(比較例5)
被処理水を、超純水の代わりにRO膜(東レ株式会社製、商品名:TM720)に透過して得られたRO透過水(導電率110μS/cm、溶存酸素(DO)濃度8mg/L)とした以外は、比較例4と同様の操作により、RO透過水を金属銀製のろ過膜に2日間通水処理した。
(比較例6)
金属銀製のろ過膜(STERLITECH社製、商品名:銀メンブレンフィルター;孔径 0.1μm、直径 25mm、厚さ 50μm)の表面に、スパッタコータ(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名:E-1030)を用い、厚さ 10nmのPt-Pd膜を形成し、微粒子捕捉用ろ過膜C6を得た。
次いで、実施例2と同様に、超純水を、ここで得られた微粒子捕捉用ろ過膜C6に2日間通水した。
上記実施例2、比較例4~6で、超純水又はRO透過水を通水し、ろ過操作を行った後のろ過膜について、その表面を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ製、商品名:S-4800)により観察したところ、実施例2ではフィルターの破損がなかったが、比較例4、6ではフィルターが破損していた。また、比較例4に対して、超純水をRO透過水に変更した比較例5では、フィルターの破損がなく、この金属銀製のろ過膜が超純水を通水したときに不具合が生じることも確認した。この結果と、試験条件をまとめたものを表2に示した。
Figure 0007411436000002
また、実施例2、比較例4~6で得られた処理後のろ過膜について、そのSEM画像を図5~8として示した。
これらの評価は、その形成された薄膜や通水した水の種類に応じて、実施例1と、比較例1~3と対応するろ過膜と同様である。すなわち、実施例2(図5)と比較例5(図7)は、膜の破損は見られなかった。また、比較例4(図6)と比較例6(図8)は、膜が一部溶解し、孔径が大きい部分が確認できる。おそらく、膜表面が少しずつ超純水に溶解し、流れやすい部分が生じ、そこに集中的に超純水が流れることにより、その部分の溶解が優先的に進行して、このような状況になると推測される。
以上より、本実施形態の超純水中の微粒子捕捉方法及び微粒子捕捉用ろ過膜は、超純水をろ過しても、破損することがなく、安定して微粒子の捕捉操作を行うことができ、そこで捕捉した微粒子を観察装置により観察することができることがわかった。
したがって、本実施形態の超純水中の微粒子捕捉方法及び微粒子捕捉用ろ過膜は、超純水製造システムにより得られた超純水の水質を確認するのに好適に使用できる方法及びろ過膜である。

Claims (12)

  1. ろ過膜と、前記ろ過膜の表面に、CVD法を用いて形成した薄膜と、を有する微粒子捕捉用ろ過膜を用意し、
    前記微粒子捕捉用ろ過膜に超純水を通水させることを特徴とする超純水中の微粒子捕捉方法。
  2. 前記薄膜が、オスミウム、タングステン及びチタンから選ばれる少なくとも一つの元素を含有する薄膜である請求項1に記載の超純水中の微粒子捕捉方法。
  3. 前記通水後の前記微粒子捕捉用ろ過膜の表面を、観察装置により観察する請求項1又は2に記載の超純水中の微粒子捕捉方法。
  4. 前記観察装置が、走査型電子顕微鏡(SEM)である請求項3に記載の超純水中の微粒子捕捉方法。
  5. 前記薄膜が、オスミウム単体及び/又はオスミウム酸化物で形成されている請求項1~4のいずれか1項に記載の超純水中の微粒子捕捉方法。
  6. 前記薄膜が、前記ろ過膜表面の90%以上を被覆してなる請求項1~5のいずれか1項に記載の超純水中の微粒子捕捉方法。
  7. 前記ろ過膜が、セルロース混合エステル、ポリカーボネート、親水性ポリエーテルスルホン若しくは液晶構造を有する高分子で形成される有機系材料又はアルミナ若しくは銀で形成される無機系材料で形成されている請求項1~6のいずれか1項に記載の超純水中の微粒子捕捉方法。
  8. 前記微粒子捕捉用ろ過膜の孔径が、0.01~3μmである請求項1~7のいずれか1項に記載の超純水中の微粒子捕捉方法。
  9. ろ過膜と、前記ろ過膜の表面に、オスミウム、タングステン及びチタンから選ばれる少なくとも一つの元素を含有する薄膜と、を有し、
    前記薄膜が、オスミウム単体及び/又はオスミウム酸化物で形成されている微粒子捕捉用ろ過膜。
  10. 前記薄膜が、前記ろ過膜表面の90%以上を被覆している請求項9に記載の微粒子捕捉用ろ過膜。
  11. 前記ろ過膜が、セルロース混合エステル、ポリカーボネート、親水性ポリエーテルスルホン若しくは液晶構造を有する高分子で形成される有機系のろ過膜又はアルミナ若しくは銀で形成される無機系のろ過膜である請求項9又は10に記載の微粒子捕捉用ろ過膜。
  12. 前記微粒子捕捉用ろ過膜の孔径が、0.01~3μmである請求項9~11のいずれか1項に記載の微粒子捕捉用ろ過膜。
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