JP7409645B2 - 工具ホルダ - Google Patents
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Description
特許文献1に開示されている工具ホルダでは、コレットを締付部材に装着した状態で、締付部材を本体部にネジ結合することによって、コレットが本体部に装着される。コレットをコレット締付部材に装着するには、コレット(コレットの第1のテーパー面)を、締付部材の突部の内周面により形成される内側空間に、後端側から挿入する。この時、コレットの第1のテーパー面が、締付部材の突部の内周面に当接して径方向内側に押圧されることにより、コレットの先端側が縮径する。第1のテーパー面が内側空間を通過すると、コレットの第1のテーパー面に対する径方向内側への押圧が解除され、コレットの先端側が弾性復帰して、締付部材の突部がコレットの凹部に挿入される。
そこで、特許文献1に開示されている工具ホルダでは、締付部材の内側空間を形成する、突部の内周面を、締付部材の中心線から離れた位置を中心点とする円に沿って配置している。
しかしながら、内側空間の内径が大きい(第1のテーパー面の最大外径と内側空間の内径との差が小さい)と、コレットが内側空間の中心線側に移動したときに、コレット(第1のテーパー面)が内側空間から抜けるおそれがある。
このため、内側空間の内径は、できるだけ小さい(第1のテーパー面の最大外径と内側空間の内径との差が大きい)ことが要望される。
特に、近年、コレットの大型化にともなってコレットの剛性が高くなっている。このような剛性が高い大型のコレットを用いる場合には、コレットを締付部材に装着する際の作業性を向上させるために、内側空間の内径を大きくする(第1のテーパー面の最大外径と内側空間の内径との差を小さくする)必要がある。
特許文献1に開示されている工具ホルダでは、締付部材に対するコレットの装着性を向上させながら内側空間の内径を小さくする(第1のテーパー面の最大外径と内側空間の内径との差を大きくする)には限界がある。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、締付部材に対するコレットの装着性を向上させながら、コレットを締付部材に装着する際の作業性を向上させることができる工具ホルダを提供することを目的とする。
本体部は、先端側の内周に、内径が先端側から後端側に向かって小さくなる本体部テーパー面を有している。また、本体部は、先端側の外周に、雄ネジを有している。
締付部材は、先端側の内周に、内径が先端側から後端側に向かって大きくなる締付部材テーパー面を有している。また、締付部材は、後端側の内周に、本体部の雄ネジとネジ結合可能な雌ネジを有している。また、締付部材は、締付部材テーパー面と雌ネジとの間に、内側に飛び出ている突部を有している。
コレットは、工具のシャンク部が挿入可能なシャンク部挿入空間を有している。また、コレットは、先端側の外周に、外径が先端側から後端側に向かって大きくなり、締付部材テーパー面とテーパー嵌合可能な第1のコレットテーパー面を有し、後端側の外周に、外径が先端側から後端側に向かって小さくなり、本体部テーパー面とテーパー嵌合可能な第2のコレットテーパー面を有している。また、コレットは、第1のコレットテーパー面と第2のコレットテーパー面との間に、内側に窪んでおり、締付部材の突部が挿入可能な凹部を有している。また、コレットは、先端側が開口し、後端側が閉じている第1のスリ割りと、後端側が開口し、先端側が閉じている第2のスリ割りが周方向に沿って交互に配置されている。好適には、第1のスリ割りおよび第2のスリ割りとして、軸方向に沿って延在するとともに、径方向に貫通しているスリットが用いられる。
好適には、コレットの凹部に締付部材の突部が挿入され、コレットの第1のテーパー面および第2のテーパー面が、それぞれ締付部材のテーパー面および本体部のテーパー面に対向する状態で、締付部材の雌ネジを本体部の雄ネジにネジ結合させる。ネジ結合により締付部材を軸方向に沿って移動させることによって、工具を把持しあるいは工具の把持が解除される。
締付部材の突部は、突部の内周面が、軸方向から見て、締付部材の中心線から離れた位置を中心点とする円弧と、円弧の両端に接続され、外周側に飛び出ている飛び出し線に沿うように構成されている。締付部材の中心線は、締付部材のテーパー面の中心線に対応する。飛び出し線は、締付部材の中心線から離れた位置を中心点とする円の適宜の箇所に接続することができる。好適には、中心点が締付部材の中心線から離れている方向の箇所以外の箇所に接続される。
本発明では、コレット(第1のテーパー面)を、締付部材の突部の内周面により形成される内側空間を通した後、コレットを、軸方向と交差する方向、例えば、締付部材の中心線の方向に移動させる。これにより、コレット(第1のテーパー面)が、締付部材の突部の内周面により形成され内側空間から抜けるのを防止することができる(装着性が向上する)。また、これにともなって、内側空間の内径(あるいは半径)を、内側空間の中心線が締付部材の中心線と一致する場合に比べて大きくすることができ、コレットを締付部材に容易に装着することができる(作業性が向上する)。さらに、コレットの第1のテーパー面を円弧の両端側に寄せることによって、あるいは、コレットの第1のテーパー面を円弧の両端側に寄せるとともに、コレットの中心線に対して傾斜させることにより、コレットを締付部材により容易に装着することができる(作業性がより向上する)。これにより、内側空間の内径(あるいは半径)を、締付部材の中心線から離れた位置を中心点とする円形の断面を有する内側空間を形成する場合に比べて小さくすることができる(装着性がより向上する)。
なお、締付部材の中心線と円弧の中心点との間の距離は、締付部材に対するコレットの装着性およびコレットを締付部材に装着する際の作業性等を考慮して設定される。
本発明では、さらに、中心点と円弧の両端それぞれとを結ぶ線により形成される、飛び出し線側の角度(開角)θが、[3度≦θ≦45度]の範囲内に設定されている。
角度θが、45度より大きいと、コレットが、締付部材の突部の内周面により形成される内側空間の中心線の方向に移動した場合に、内側空間から抜けるおそれがある。角度θが3度より小さいと、コレットを、締付部材の突部の内周面により形成され内側空間に押し込む作業が困難となる(作業性が良くない)。角度θは、円弧の半径等と関連付けて設定される。
本発明では、締付部材に対するコレットの装着性を向上させながら、コレットを締付部材に装着する際の作業性を向上させることができる。
本明細書では、本体部材の中心線Pの延在方向(図1では、左右方向)を「軸方向」といい、工具のシャンク部がシャンク部挿入空間に挿入される側(図1では、矢印Aで示される右側)を「軸方向に沿った一方側(軸方向一方側)」あるいは「先端側」といい、工具のシャンク部がシャンク部挿入空間に挿入される側と反対側(図1では、矢印Bで示される左側)を「軸方向に沿った他方側(軸方向他方側)」あるいは「後端側」という。なお、工具に関しては、シャンク部挿入空間に挿入される側を「軸方向に沿った他方側(軸方向他方側)」あるいは「後端側」といい、シャンク部挿入空間に挿入される側と反対側を「軸方向に沿った一方側(軸方向一方側)」あるいは「先端側」という。勿論、各方向の定義は、適宜変更可能である。
また、軸方向から見て、中心線Pを中心とする円に沿った方向を「周方向」といい、中心線Pを通る線の方向を「径方向」という。
図1は、一実施形態の工具ホルダ100の断面図であり、図2は、一実施形態の工具ホルダ100を構成する本体部110、コレット120および締付部材130の断面図である。図3および図4は、一実施形態の工具ホルダ100を構成するコレット120と締付部材130の斜視図および断面図である。図5は、締付部材130を、図4に示されている矢印V方向から見た図である。
本体部内周面111は、先端側に、本体部内側空間部分110aを形成する本体部内周面部分111aを有している。本体部内周面部分111aは、内径が先端側から後端側に向かって小さくなるようにテーパー状に延在するテーパー面に形成されている。本体部内側空間部分110aは、後述するコレット120の後端側部分が挿入される。また、本体部内周面部分111aは、後述するコレット120のコレット外周面部分122fにテーパー嵌合可能に形成されている。
本体部外周面112は、先端側に、本体部外周面部分112aを有している。本体部外周面部分112aには、後述する締付部材130の締付部材内周面部分131gに形成されている雌ネジとネジ結合可能な雄ネジが形成されている。
本体部内周面部分111aが、本発明の「本体部テーパー面」に対応する。
コレット内周面部分121cによって、軸方向に平行に延在し、正方形の断面を有するコレット内側空間部分120bが形成される。コレット内側空間部分120bには、工具150の角軸部150aが挿入される。
コレット内側空間部分120a、120bにより、本発明の「コレット内側空間」が形成される。また、コレット内側空間部分120aが、本発明の「シャンク部挿入空間」に対応する。
コレット外周面部分122aは、先端側に配置され、外径が先端側から後端側に向かって大きくなるようにテーパー状に延在するテーパー面に形成されている。コレット外周面部分122aは、後述する締付部材130の締付部材内周面部分131aとテーパー嵌合可能に形成されている。
コレット外周面部分122fは、後端側に配置され、外径が先端側から後端側に向かって小さくなるようにテーパー状に延在するテーパー面に形成されている。コレット外周面部分122fは、本体部内周面部分111aとテーパー嵌合可能に形成されている。
コレット外周面部分122bは、コレット外周面部分122aより後端側に配置され、外径が先端側から後端側に向かって小さくなるようにテーパー状に延在するテーパー面に形成されている。
コレット外周面部分122c~122eは、コレット外周面部分122bと122fの間に配置されている。コレット外周面部分122c~122eによって、径方向内側に窪んでいる、周方向に沿って延在する凹部123が形成される。凹部123は、後述する締付部材130の突部133が挿入可能に形成される。
コレット外周面部分122a~122cによって、コレット先端部120Cが形成される。
コレット外周面部分122aが、本発明の「第1のコレットテーパー面」に対応し、コレット外周面部分122fが、本発明の「第2のコレットテーパー面」に対応し、凹部123が、本発明の「凹部」に対応する。
複数のスリ割りは、コレット先端面120Aから軸方向に沿ってコレット後端面120B側に延在する複数の第1のスリ割り124と、コレット後端面120Bから軸方向に沿ってコレット先端面120A側に延在する複数の第2のスリ割り125を有している。第1のスリ割り124は、コレット先端面120A、コレット内周面121およびコレット外周面122に開口している。第2のスリ割り125は、コレット後端面120B、コレット内周面121およびコレット外周面122に開口している。本実施形態では、第1のスリ割り124と第2のスリ割り125は、周方向に沿って等間隔に6つ設けられている。また、第1のスリ割り124と第2のスリ割り125は、周方向に沿って交互に設けられている。
第1のスリ割り124によって、コレット後端面120B側が固定され、コレット先端面120A側に自由端を有する複数の第1の分割片126が形成される。また、第2のスリ割り125によって、コレット先端面120A側が固定され、コレット後端面120B側に自由端を有する複数の第2の分割片127が形成される。
締付部材内周面131は、締付部材内周面部分131a~131gを有している。締付部材内周面部分131a~131gによって、コレット120の先端側部分が挿入される締付部材内側空間が形成される。
締付部材内周面部分131aは、内径が先端側から後端側に向かって大きくなるようにテーパー状に延在するテーパー面に形成されている。締付部材内周面部分131aは、コレット外周面部分122aとテーパー嵌合可能に形成されている。
締付部材内周面部分131a~131dによって、コレット先端部120Cが挿入される締付部材内側空間部分130aが形成される。
締付部材内周面部分131d~131fによって、径方向内側に飛び出ている、周方向に沿って延在する突部133が形成される。
締付部材内周面部分131eによって、締付部材内側空間部分130bが形成される。締付部材内側空間部分130bの内径d(図4参照)は、コレット先端部120Cの最大外径(本実施形態では、コレット外周面部分122aの最大外径)K(図4参照)より小さく設定されている。以下では、締付部材内周面部分131eを、「突部133の内周面131e」という。
締付部材内周面部分131gには、本体部外周面部分112aに形成されている雄ネジとネジ結合可能な雌ネジが形成されている。
締付部材内周面部分131f、131gによって、締付部材内側空間部分130cが形成される。
締付部材内周面部分131aが、本発明の「締付部材テーパー面」に対応する。
先ず、コレット120を締付部材130に装着する。コレット120を締付部材130に装着する場合、作業員は、コレット120を、締付部材内側空間内に後端側から挿入する。この時、コレット外周面部分122aが突部133の内周面131eに当接すると、内周面131eによりコレット外周面部分122aが径方向内側に押圧され、第1の分割片126が径方向内側に縮径する。そして、コレット先端部120C(コレット外周面部分122a~122c)が突部133の内周面131e(締付部材内側空間部分130b)を通過すると、内周面131eによるコレット外周面部分122aへの押圧が解除されて分割片126が弾性復帰する。これにより、コレット120の凹部123に締付部材130の突部133が挿入される。この状態が、コレット120が締付部材130に装着された状態である。コレット120が締付部材130に装着されている状態では、コレット外周面部分122aが締付部材内周面部分131aと対向する位置に配置される。また、コレット120の、後端側への移動は、コレット外周面部分122cと締付部材内周面部分131dとの当接によって規制される。
次に、コレット120が締付部材130に装着された状態で、コレット120のコレット外周面部分122fを本体部内側空間部分110a内に挿入するとともに、締付部材130の締付部材内周面部分131gに形成されている雌ネジを本体部外周面部分112aに形成されている雄ネジにネジ結合させる。この状態が、コレット120および締付部材130が本体部110に装着された状態である。コレット120および締付部材130が本体部110に装着されている状態では、コレット外周面部分122fが本体部内周面部分111aと対向する位置に配置される。
工具150を工具ホルダ100(コレット120)から取り外す際には、締付部材140を他方方向に回して、締付部材130およびコレット120を、本体部110に対して先端側に移動させる。
ここで、締付部材130に装着されているコレット120が、締付部材内側空間部分130bから抜けるのを防止する必要がある。このため、締付部材内側空間部分130bの内径が、コレット先端部120Cの最大外径より小さく設定される。本実施形態では、図4に示されているように、突部133の内周面131eの内径(締付部材内側空間部分130bの内径)dが、テーパー面に形成されているコレット外周面部分122aの最大外径Kより小さく設定されている。
締付部材内側空間部分130bの内径が、コレット先端部120Cの最大外径より小さく設定されているため、コレット先端部120Cが締付部材内側空間部分130b内を通過する際に、突部133の内周面131eによりコレット外周面部分122aが径方向内側への押圧力を受ける。コレット外周面部分122aが突部133の内周面131eから受ける径方向内側への押圧力により第1の分割片126を縮径させることによって、コレット先端部120Cを、締付部材内側空間部分130b内を通過させる。
作業員は、コレット120の第1の分割片126が径方向内側に縮径するように、コレット120(コレット先端部120C)を締付部材内側空間部分130b内に押し込む必要がある。作業員が、コレット120を締付部材130に容易に装着することができるようにする(装着作業性を向上させる)ためには、突部133の内周面131eにより形成される締付部材内側空間部分130bの内径を大きく(締付部材内側空間部分130bの内径とコレット先端部120Cの最大外径との差を小さく)し、コレット120(第1の分割片126)を縮径させる力、すなわち、コレット120(コレット外周面部分122aを締付部材内側空間部分130b内に押し込む力を低減する必要がある。
特に、近年、コレット120の大型化にともなってコレット120の剛性が高くなっている。このような剛性が高いコレット120を用いる場合には、コレット120を締付部材130に装着する際の作業性を向上させるためには、締付部材内側空間部分130bの内径をより大きく(締付部材内側空間部分130bの内径とコレット先端部120Cの最大外径との差をより小さく)する必要がある。
一方、締付部材内側空間部分130bの内径が大きくなる(締付部材内側空間部分130bの内径とコレット先端部120Cの最大外径との差が小さくなる)と、締付部材130に装着されているコレット120が、締付部材内側空間部分130bから抜けるおそれがある(装着性が低下する)。
中心線Qに対する中心点qの方向は、適宜設定可能である。また、中心線Qと中心点qとの間の距離Hは、締付部材130に対するコレット120の装着性およびコレット120を締付部材130に装着する際の作業性等を考慮して設定される。
図6に、コレット先端部120Cを、締付部材内側空間部分130bを介して締付部材内側空間部分130a内に挿入した状態が実線で示されている。実線で示されている状態は、コレット120の中心線が、締付部材130の中心線Qより中心点q側(図6では、下方)に離れている。そして、コレット120を、締付部材130の中心線Qの方向(図6では、上方)に移動させた状態が破線で示されている。
破線で示されている状態では、コレット先端部120C(コレット外周面部分122a~122c)は、コレット120の中心線が中心点q側に移動しなければ、締付部材内側空間部分130bから抜けることはない。このため、締付部材130の中心線Q上の位置を中心点とする円形の断面(図5に破線131Eで示されている)を有する締付部材内側空間部分を形成する場合に比べて、コレット120が締付部材内側空間部分130bから抜けるのを防止する効果を高めることができる(装着性が向上する)。
なお、コレット120が締付部材内側空間部分130bから抜けるのを防止する効果が高められることにより、締付部材内側空間部分130bの内径dを、締付部材130の中心線Q上の位置を中心点とする円形の断面を有する締付部材内側空間部分の内径D(図4参照)より大きくする(締付部材内側空間部分130bの内径とコレット先端部120Cの最大外径との差を小さくする)ことができる。締付部材内側空間部分130bの内径dが大きくなる(締付部材内側空間部分130bの内径とコレット先端部120Cの最大外径との差を小さくなる)ことにより、コレット120を締付部材130に装着する際の作業性が向上する。
本実施形態では、図5に示されているように、軸方向から見て、締付部材内側空間部分130bを形成する内周面(突部133の内周面)131eは、締付部材130の中心線Qから距離Hだけ離れた位置qを中心点とする円弧に沿った第1の部分131e1と、第1の部分131e1の端部134a、134bに接続され、外周側に飛び出ている飛び出し線に沿った第2の部分131e2により形成されている。すなわち、突部133の内周面131eは、中心点qを中心とする円弧(131e1)と、円弧の両端に接続され、外周側に飛び出ている飛び出し線(131e2)に沿って延在している。第2の部分131e2によって、外周側に飛び出ている溝134が形成される。
本実施形態の締付部材内側空間部分130bは、円弧状の第1の部分131e1により形成される第1の内側空間部分と、第1の部分131e1より外周側に飛び出ている第2の部分131e2により形成される第2の内側空間部分を有している。
ここで、中心点qと円弧の端部134a、134bを結ぶ線により形成される角度(溝134の開角度)θが3度より小さい場合には、コレット120を締付部材130に装着する際の作業性が悪い。また、角度θが45度を超えると、コレット120が締付部材内側空間部分130bから抜けるおそれが高くなる。このため、角度θは、3度と45度の範囲内([3度≦θ≦45度])に設定される。角度θは、3度~45度の範囲内で、締付部材内側空間部分130bの内径d、コレット先端部120Cの最大外径K、コレット120の剛性等に応じて設定される。第2の部分131e2を設けることによる効果については後述する。
従来技術では、締付部材内側空間部分130bを形成する内周面(突部133の内周面)131eは、図7に実線で示されているように、締付部材130の中心線Qから離れた位置qを中心点とする円に沿って延在している。このため、従来技術では、コレット120を締付部材130に装着する際に、テーパー面に形成されているコレット外周面部分122a(破線で示されている)の周方向全体が内周面131eと当接する。したがって、コレット120を締付部材130に装着する際に、強い力でコレット120を締付部材内側空間部分130b内に押し込む必要がある。
本実施形態では、テーパー面に形成されているコレット外周面部分122aの一部を、円弧状の第1の部分131e1の端部134a、134bに近づけて配置する(一点鎖線122a(1)で示されている状態)。この状態でコレット120を締付部材130に装着する際には、コレット外周面部分122aは、突部133の内周面131eと当接する部分と当接しない部分を有する。これにより、コレット120を締付部材130に装着する際に、コレット120を締付部材内側空間部分130b内に押し込む力は、図7に示されている従来技術に比べて小さくてよい。
さらに、コレット120を、コレット220の中心線に対して傾斜させる。例えば、締付部材内側空間部分130b内に挿入されるコレット先端面120Aが溝134(飛び出し線131e2)から離れ、コレット後端面120Bが溝134(飛び出し線131e2)に近づくように傾斜させる。図9に、コレット120を、締付部材130に装着する動作が示されている。
これにより、軸方向から見て、コレット外周面部分122aの断面形状は、図8に二点鎖線122a(2)で示されている状態となる。そして、この状態で、コレット120を締付部材130に装着する。この場合、コレット外周面部分122aと突部133の内周面131eとが当接する領域は、コレット120を、傾斜させないで締付部材130に装着する場合(一点鎖線122a(1)で示されている状態)に比べて減少する。すなわち、コレット120を締付部材130に装着する際における、コレット120を締付部材内側空間部分130b内に押し込む力を低減することができる。言い換えれば、締付部材内側空間部分130bの内径dを小さくしても、コレット120を締付部材130に容易に装着することができる。
実施形態では、工具は、断面が正方形の角軸部を有し、コレットは、工具の角軸部が挿入される、断面が正方形のコレット内側空間部分を有している場合について説明したが、工具の角軸部および工具の角軸部が挿入されるコレット内側空間部分の断面形状は、正方形に限定されない。また、本発明は、角軸部を有していない工具を保持可能に構成することもできる。
実施形態では、コレットを、テーパー面に形成されているコレット外周面部分の一部が、締付部材の突部の内周面を形成する円弧状の第1の部分の両端に近づく位置に配置し、さらに、傾斜させて締付部材に装着したが、テーパー面に形成されているコレット外周面部分の一部が、締付部材の突部の内周面を形成する円弧状の第1の部分の両端に近づく位置に配置した状態(傾斜させることなく)で締付部材に装着することもできる。この場合でも、同様の効果を有する。
本体部、コレットおよび締付部材の構成は、実施形態で説明した構成に限定されない。
実施形態で説明した構成は、単独で用いることもできるし、適宜選択した複数の構成を組み合わせて用いることもできる。
110 本体部
110A 本体部先端面
110a 本体部内側空間部分
111 本体部内周面
111a 本体部内周面部分
112 本体部外周面
112a 本体部外周面部分
120 コレット
120A コレット先端面
120B コレット後端面
120C コレット先端部
120a、120b コレット内側空間部分
121 コレット内周面
121a~121c コレット内周面部分
122 コレット外周面
122a~122e コレット外周面部分
123 凹部
124 第1のスリ割り
125 第2のスリ割り
126 第1の分割片
127 第2の分割片
130 締付部材
130A 締付部材先端面
130B 締付部材後端面
130a~130c 締付部材内側空間部分
131 締付部材内周面
131a~131g 締付部材内周面部分
131e1 第1の部分
131e2 第2の部分
132 締付部材外周面
133 突部
134 溝
134a、134b 端部
150 工具
150a 角軸部
150b シャンク部
Claims (1)
- 軸方向に沿って延在する本体部、締付部材およびコレットを備え、
前記本体部は、先端側の内周に、内径が先端側から後端側に向かって小さくなる本体部テーパー面を有し、先端側の外周に、雄ネジを有しており、
前記締付部材は、先端側の内周に、内径が先端側から後端側に向かって大きくなる締付部材テーパー面を有し、後端側の内周に、前記本体部の前記雄ネジとネジ結合可能な雌ネジを有し、前記締付部材テーパー面と前記雌ネジとの間に、内側に飛び出ている突部を有しており、
前記コレットは、工具のシャンク部が挿入可能なシャンク部挿入空間を有し、先端側の外周に、外径が先端側から後端側に向かって大きくなり、前記締付部材テーパー面とテーパー嵌合可能な第1のコレットテーパー面を有し、後端側の外周に、外径が先端側から後端側に向かって小さくなり、前記本体部テーパー面とテーパー嵌合可能な第2のコレットテーパー面を有し、前記第1のコレットテーパー面と前記第2のコレットテーパー面との間に、内側に窪んでおり、前記締付部材の前記突部が挿入可能な凹部を有しているとともに、先端側が開口し、後端側が閉じている第1のスリ割りと、後端側が開口し、先端側が閉じている第2のスリ割りが周方向に沿って交互に配置されている工具ホルダであって、
前記締付部材の前記突部は、前記突部の内周面が、軸方向から見て、前記締付部材の中心線から離れた位置を中心点とする円弧と、前記円弧の両端に接続され、外周側に飛び出ている飛び出し線に沿うように構成されており、
前記中心点と前記円弧の前記両端それぞれとを結ぶ線により形成される、前記飛び出し線側の角度θが、[3度≦θ≦45度]の範囲内に設定されていることを特徴とする工具ホルダ。
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