JP7409039B2 - プリント鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、プリント鋼板に関する。
従来、鋼板の一方の面側に、プライマー層と、ベースコート層と、絵柄層と、トップコート層とをこの順に有するプリント鋼板が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載のプリント鋼板では、絵柄層の絵柄として木目柄を印刷している。
特開2017-164942号公報
しかし、特許文献1に記載のプリント鋼板では、例えば、鋼板にシートをラミネートしてなるシート鋼板等と異なり、エンボス加工等による表面凹凸を設けることができないため、絵柄層の木目柄に対応させて木材に近い柔らかな触感を付与することが難しい。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、木材に近い柔らかな触感を付与可能なプリント鋼板を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、(a)鋼板の一方の面側に、プライマー層と、ベースコート層と、絵柄層と、トップコート層とをこの順に有し、(b)トップコート層は、平均粒径が10μm以上の軟質性樹脂ビーズをトップコート層の樹脂固形分に対して10質量%以上含み、トップコート層の軟質性樹脂ビーズを有しない部分の厚みが軟質性樹脂ビーズの平均粒径の25%以上50%以下であるプリント鋼板であることを要旨とする。
本発明の一態様によれば、復元性の高い軟質の樹脂ビーズを含むトップコート層を有するため、木材に近い柔らかな触感を付与可能なプリント鋼板を提供することができる。
本発明の実施形態に係るプリント鋼板を示す断面図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
本実施形態に係るプリント鋼板1は、絵柄層5が木目柄を表現し、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9が木材に近い柔らかな触感を表現する鋼板である。例えば、玄関ドアや建具等の建築資材、家具什器類、住設機器、家電製品、内装材に用いられる。
(構成)
図1に示すように、プリント鋼板1は、鋼板2の一方の面(以下、「上面2a」とも呼ぶ)側に、プライマー層3と、ベースコート層4と、絵柄層5と、トップコート層6とをこの順に有している。また、鋼板2の他方の面2bに、裏面コート層7を有している。また、これらの各層3~7に加え、マット導管印刷層を有する構成としてもよい。
(鋼板)
鋼板2は、プリント鋼板1のベースとなる板である。鋼板2の材料としては、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板を採用できる。溶融亜鉛めっき鋼板は、塗料との密着性・耐食性の向上のために、鋼板表面に亜鉛めっき(金属皮膜)が形成されてなる鋼板である。また、鋼板2の表層には、耐白錆性の向上のために、化成皮膜8を設けてもよい。化成皮膜8としては、例えば、クロメート皮膜、クロメートフリー皮膜を採用できる。特に、環境負荷の点から、クロメートフリー皮膜が好ましい。クロメートフリー皮膜はクロメートフリー処理(ノンクロメート処理)により形成できる。
クロメートフリー処理に使用する処理液としては、例えば、六価クロムを含有しない処理液(例えば、リン酸亜鉛処理液、Zr若しくはTi又はこれらの両方の塩を含む処理液、若しくはシランカップリング剤を含む処理液等)を採用できる。このような処理液を用いたクロメートフリー処理により、亜鉛めっきの層上に、Ti、Zr、P、Ce、Si、Al、Li等を主成分として含有し、クロムを含有しないクロメートフリー皮膜を形成できる。つまり、クロメートフリー皮膜は、例えば、Ti、Zr、P、Ce、Si、Al若しくはLi又はこれらの任意の組み合わせを含む。鋼板2の種類は、特に制限されるものではなく、例えば、単独の鋼板でもよく複合鋼板の最表層を構成する鋼板でもよい。
(プライマー層)
プライマー層3は、ベースコート層4と鋼板2との密着性・耐食性を向上させるための層である。プライマー層3の材料としては、例えば、公知のプライマー用の樹脂塗料を採用できる。樹脂塗料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂等を含む硬化性塗料を採用できる。また、プライマー層3には、耐食性の向上のために、防錆顔料を添加してもよい。プライマー層3の厚さは、例えば1μm以上10μm以下とする。
(ベースコート層)
ベースコート層4は、プリント鋼板1に絵柄層5の下地色を付与するための層である。ベースコート層4の材料としては、例えば、公知のベースコート用のバインダ樹脂を含む樹脂塗料を採用できる。バインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂等の熱硬化型樹脂を採用できる。また、樹脂塗装には下地色の顔料が添加されている。ベースコート層4の厚さは、例えば、10μm以上30μm以下とする。
また、ベースコート層4は、耐候性が向上するように、紫外線吸収剤及び光安定剤の少なくとも一方を含んでいる。紫外線吸収剤としては、例えば、ヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤を採用できる。紫外線吸収剤の含有量は、ベースコート層4の全質量に対して0.5質量%以上1.5質量%以下が好ましい。また、光安定剤としては、例えば、N-ORタイプのヒンダードアミン系の光安定剤を採用できる。光安定剤の含有量は、ベースコート層4の全質量に対して0.5質量%以上1.5質量%以下が好ましい。
また、ベースコート層4には、さらに、酸化防止剤を含むようにしてもよい。酸加防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤を採用できる。具体例としては、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、2,2-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。酸化防止剤の含有量は、ベースコート層4の全質量に対して、0.5質量%以上1.5質量%以下が好ましい。酸化防止剤と光安定剤との添加比率は、耐候性の点から、1:2が好ましい。
(絵柄層)
絵柄層5は、プリント鋼板1に絵柄による意匠性を付与するための層である。絵柄は、特に制限されるものではないが、本実施形態では、木目柄を用いる。絵柄層5は、染料又は顔料等の着色剤を適当なバインダー樹脂とともに適当な希釈溶媒中に溶解又は分散してなる印刷インキ又は塗料等を用いて形成される。印刷インキ又は塗料等は、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法又はインクジェット印刷等の各種印刷法や、グラビアコート法又はロールコート法等の各種塗工法等で塗布される。また、バインダー樹脂としては、例えば、公知のバインダ樹脂を採用できる。具体例としては、上記のベースコート層4で使用されるような、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル樹脂系等の熱硬化型樹脂を採用できる。また、顔料としては、例えば、公知の顔料を採用できる。例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、鉄・複合酸化物、酸化鉄、有機顔料、メタリック顔料、パール顔料等を採用できる。このうち、鉄・複合酸化物は、遮熱顔料として使用される。
また、絵柄層5の厚さは、例えば、0.1μm以上0.2μm以下とする。なお、インクジェット印刷を用いた場合、絵柄層5の厚さは、この範囲よりも厚くなる。
(トップコート層)
トップコート層6は、プリント鋼板1に耐候性や曲げ加工性、耐傷付性、清掃性を付与するための透明な層である。トップコート層6としては、例えば、公知のトップコートを採用できる。具体例としては、上記のベースコート層4で使用されるような、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂得、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル樹脂系等の熱硬化型樹脂を採用できる。また、トップコート層6には、例えば、フッ素樹脂を含ませてもよい。また、トップコート層6には、必要に応じて、耐侯剤、可塑剤、安定剤、充填剤、分散剤、染料、顔料、溶剤等を添加してもよい。
また、トップコート層6は、プリント鋼板1の表面に木材に近い柔らかな触感(手触り感)を付与するために、軟質性樹脂ビーズ9を含んでいる。また、軟質性樹脂ビーズ9としては、例えば、復元率が15%以上の樹脂ビーズを採用できる。ここで、復元率は、例えば、樹脂ビーズに加圧圧子を押し付けて、樹脂ビーズに最大試験力(例えば、9.810[mN])を付加した後、樹脂ビーズに付加している試験力を低下させて最小試験力(例えば、0.49[mN])とした場合における、加圧圧子の変位量、つまり、樹脂ビーズの直径の復元量を、無負荷時の樹脂ビーズの直径で除算した後、100を乗算することにより得られる。復元率が15%よりも小さい場合には、プリント鋼板1の触感が低下する。即ち、トップコート層6に軟質性樹脂ビーズ9を入れても、プリント鋼板1の表面の手触り感が、本物の木材からかけ離れた手触り感となってしまう。軟質性樹脂ビーズ9の材料としては、例えば、軟質性樹脂を採用できる。具体例としては、軟質アクリル樹脂が挙げられる。即ち、軟質性樹脂ビーズ9としては、軟質性アクリルビーズを採用できる。
また、軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径は、10μm以上とする。ここで、平均粒径は、顕微鏡観察による平均粒径である。顕微鏡観察による平均粒径は、例えば、軟質性樹脂ビーズ9を顕微鏡観察して、画像処理ソフト等により、顕微鏡観察した軟質性樹脂ビーズ9の粒径を100個測定し、測定結果を個数平均することにより得られる。軟質性樹脂ビーズ9の粒径としては、軟質性樹脂ビーズ9の粒子の長軸径と短軸径との平均値を採用できる。軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径が10μmよりも小さい場合には、軟質性樹脂ビーズ9がトップコート層6内に埋もれ、プリント鋼板1の触感が低下する。また、軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径は、30μm以下が好ましい。30μmよりも大きい場合には、軟質性樹脂ビーズ9がトップコート層6から脱落し、プリント鋼板1の耐候性が低下する。
ここで、ウォールナット、チェリー、ブナ、セン、スギ、ワラン及びナラ等といった一般的に木材に用いられる木では、表面粗さを測定した場合、粗さの波の一箇所あたりの平均高さは10μm~25μm程度になる。そのため、木材に近い触感を付与するという点からは、軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径は15μm以上25μm以下がより好ましい。
また、軟質性樹脂ビーズ9の含有量は、トップコート層6の樹脂固形分に対して、10質量%以上30質量%以下とする。10質量%よりも小さい場合には、プリント鋼板1の触感が低下する。また、30質量%以上である場合には耐候性及び耐溶剤性が低下する。
また、トップコート層6は、耐候性が向上するように、紫外線吸収剤及び光安定剤を含んでいる。紫外線吸収剤としては、例えば、最大吸収波長の異なる2種類のヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤を併用することで、相乗効果を発揮し、より高い耐候性を付与することが可能となる。2種類のヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤としては、例えば、最大吸収波長が330nm以上340nm以下の第1紫外線吸収剤、及び最大吸収波長が315nm以上325nm以下の第2紫外線吸収剤を採用できる。第1紫外線吸収剤の含有量は、要求品質に応じて適宜選択できるが、性能とコストの兼ね合いから、トップコート層6の全質量に対して、2.0質量%以上5.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましい。また、第2紫外線吸収剤の含有量も同様に、トップコート層6の全質量に対して2.0質量%以上5.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましい。
また、光安定剤としては、例えば、N-ORタイプのヒンダードアミン系の光安定剤を採用できる。具体例としては、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチロキシ)-4-ピペリジニル)エステル、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。光安定剤の含有量は、トップコート層6の全質量に対して1.0質量%以上3.0質量%以下が好ましい。
また、トップコート層6には、さらに、酸化防止剤を含むようにしてもよい。酸加防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤を採用できる。具体例としては、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、2,2-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェ. ニル)プロピオネート]等が挙げられる。酸化防止剤の含有量は、トップコート層6の全質量に対して1.0質量%以上3.0質量%以下が好ましい。酸化防止剤と光安定剤との添加比率は、耐候性の点から、1:2が好ましい。
また、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtは、トップコート層6に含まれている軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の25%以上60%以下が好ましい。より好ましくは、25%以上50%以下とする。25%よりも小さい場合には、軟質性樹脂ビーズ9がトップコート層6に埋もれやすく、プリント鋼板1の触感が低下する。一方、60%よりも大きい場合には、軟質性樹脂ビーズ9に指が引っ掛かりやすく、プリント鋼板1の触感が低下する。また、軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の50%以下とすることで、プリント鋼板1の触感をより良好とすることができる。また、上記した厚みtは、トップコート層6に含まれている軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の40%以上が好ましい。40%よりも小さい場合には、プリント鋼板1の耐候性及び耐溶剤性が低下する。
(裏面コート層)
裏面コート層7は、鋼板2の他方の面2b、つまり、プリント鋼板1の裏面を被覆するための層である。裏面コート層7は、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂を主成分とした塗料等を鋼板2に塗装した後、塗装した塗料を加熱焼き付けして形成される。
以上説明したように、本実施形態に係るプリント鋼板1は、鋼板2の一方の面2a側に、プライマー層3と、ベースコート層4と、絵柄層5と、トップコート層6とをこの順に有するようにし、トップコート層6を、平均粒径が10μm以上の軟質性樹脂ビーズ9をトップコート層6の樹脂固形分に対して10質量%以上含むようにし、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtを軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の25%以上50%以下とした。それゆえ、復元性の高い軟質の樹脂ビーズを含むトップコート層6を有するため、木材に近い柔らかな触感を付与可能なプリント鋼板1を提供できる。
また、本実施形態に係るプリント鋼板1では、軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径を30μm以下とし、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtを軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の40%以上としたため、耐候性及び耐溶剤性を向上できる。
また、本実施形態に係るプリント鋼板1では、軟質性樹脂ビーズ9の含有量を、トップコート層6の樹脂固形分に対して30質量%以下としたため、耐候性及び耐溶剤性を向上できる。
(実施例)
以下に、上記実施形態に係るプリント鋼板1の実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
まず、JIS G 3302に準拠した鋼板を溶融亜鉛めっきで被覆して、厚さ0.4mmの鋼板2を形成した。続いて、形成した鋼板2の一方の面に化成処理を施して、化成皮膜8を形成した。続いて、形成した化成皮膜8に、ポリエステル系樹脂のプライマーを塗布して、プライマー層3を形成した。続いて、形成したプライマー層3に、無機系顔料及び耐候剤を含むポリエステル樹脂等を用いたベースコートを塗布した後、塗布したベースコートを熱風乾燥機により焼付を行い、厚さ10μmのベースコート層4を形成した。
続いて、形成したベースコート層4に、無機系顔料等を含むポリエステル系樹脂からなるインキを用いて、グラビアオフセット印刷法により、厚さ1μmの絵柄層5を形成した。絵柄層5の絵柄としては、木目柄を用いた。続いて、形成した絵柄層5に、木材に近い触感(手触り感)を付与するための軟質性樹脂ビーズ9及び耐候剤等を含むポリエステル系樹脂からなるトップコートを塗布して、グラビアオフセット印刷法により、厚さ10μmのトップコート層6を形成した。これにより、実施例1のプリント鋼板1を作製した。
ここで、軟質性樹脂ビーズ9としては、平均粒径15μm、復元率14%、相対圧縮強度1.0の軟質性アクリルビーズ(清水化成品工業:ARX)を用いた。また、軟質性樹脂ビーズ9の含有量は、トップコート層6の樹脂固形分に対して、10質量%とした。また、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtは、軟質性樹脂ビーズ9が表面に露出していない部分において、6μmとした。即ち、トップコート層6に含まれている軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の40%とした。
(実施例2)
実施例2では、軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径を30μmとした。また、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtを10μmとした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(実施例3)
実施例3では、軟質性樹脂ビーズ9の含有量を、トップコート層6の樹脂固形分に対して20質量%とした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(実施例4)
実施例4では、軟質性樹脂ビーズ9の含有量を、トップコート層6の樹脂固形分に対して30質量%とした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(実施例5)
実施例5では、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtを5μmとした。即ち、トップコート層6に含まれている軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の34%とした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(実施例6)
実施例6では、軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径を10μmとした。また、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtを5μmとした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(実施例7)
実施例7では、軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径を32μmとした。また、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtを10μmとした。それ以外は実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(実施例8)
実施例8では、軟質性樹脂ビーズ9の含有量を、トップコート層6の樹脂固形分に対して32質量%とした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(実施例9)
実施例9では、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtを7μmとした。即ち、トップコート層6に含まれている軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の47%とした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(実施例10)
実施例10では、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtを4μmとした。即ち、トップコート層6に含まれている軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の27%とした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(実施例11)
実施例11では、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtを9μmとした。即ち、トップコート層6に含まれている軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の60%とした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(比較例1)
比較例1では、軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径を8μmとした。また、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtを4μmとした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(比較例2)
比較例2では、軟質性樹脂ビーズ9に代えて、平均粒径15μm、復元率2%、相対圧縮強度0.2の硬質性アクリルビーズ(清水化成品工業:MBX)を用いた。また、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtを4μmとした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(比較例3)
比較例3では、比較例2の硬質性アクリルビーズの平均粒径を15μmとした。それ以外は、比較例2と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(比較例4)
比較例4では、比較例2の硬質性アクリルビーズの平均粒径を30μmとした。それ以外は、比較例2と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(比較例5)
比較例5では、軟質性樹脂ビーズ9の含有量を、トップコート層6の樹脂固形分に対して5質量%とした。また、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtを10μmとした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(比較例6)
比較例6では、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtを15μmとした。即ち、トップコート層6に含まれている軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の100%とした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(比較例7)
比較例7では、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtを3μmとした。即ち、トップコート層6に含まれている軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の20%とした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(比較例8)
比較例8では、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtを11μmとした。即ち、トップコート層6に含まれている軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の73%とした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順でプリント鋼板1を作製した。
(性能評価)
実施例1~11、比較例1~8のプリント鋼板1に対して以下の性能評価を行なった。
(触感評価)
触感評価では、被験者20人対し、サンプルを素手で触れた際に、木の触感に近いと感じた順に順番を付け、1番目を3点、2番目を2点、3番目を1点、4番目以降を0点として点数をつけた。そして、点数の合計が0~9点である場合を不合格「×」、10~19点である場合を合格「△」、20点以上である場合を合格「○」とした。
(耐候性評価)
耐候性試験では、試験機としてメタルウェザー(ダイプラウィンテス製)を用い、プリント鋼板1に対して、ライトモード→シャワー→湿潤モード→シャワーのサイクルを複数回行った。メタルウェザーの光源としては、メタルハライドランプを使用した。環境温度は25℃、湿度は60%、BPTは53℃、試験時間は700時間とした。そして、プリント鋼板1に変化がなかった場合を合格「○」とし、僅かに艶変化を生じた場合を合格「△」とし、大きな艶変化又はΔE=3以上の色変化を生じた場合を不合格「×」とした。
(耐溶剤性評価)
耐溶剤性評価では、キシレンを含ませた不織布を用いて、荷重750gでプリント鋼板1を30往復こすった。そして、プリント鋼板1に変化がなかった場合を合格「○」とし、僅かに艶変化を生じた場合を合格「△」とし、大きな艶変化を生じた場合を不合格「×」とした。
(耐傷付性評価)
耐傷付性評価では、爪を用いて、プリント鋼板1をこすった。そして、プリント鋼板1に傷が付かなかった場合を合格「○」とし、傷が付いた場合を不合格「×」とした。
(評価結果)
評価結果を、以下の表1に示す。
Figure 0007409039000001
(評価結果)
表1に示すように、実施例1~11のプリント鋼板1は、「耐候性」が合格「○」又は「△」となった。
これに対し、比較例1~8のプリント鋼板1は、「触感」が不合格「×」となった。具体的には、比較例1では、軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径が8μmであるため(小さいため)、「触感」が不合格「×」となった。また、比較例2~4では、軟質性樹脂ビーズ9に代えて硬質性樹脂ビーズを用いたため、「触感」が不合格「×」となった。また、比較例5では、軟質性樹脂ビーズ9の含有量が5質量%であるため(小さいため)、「触感」が不合格「×」となった。また、比較例7では、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtが軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の20%であるため(薄いため)、「触感」が不合格「×」となった。また、比較例8では、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtが軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の73%であるため(厚いため)、「触感」が不合格「×」となった。
したがって、実施例1~11のプリント鋼板1、つまり、トップコート層6に、平均粒径が10μm以上の軟質性樹脂ビーズ9をトップコート層6の樹脂固形分に対して10質量%以上含み、且つトップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtが軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の25%以上50%以下という条件を満たすプリント鋼板1によれば、条件を満たさないプリント鋼板1(比較例1~8のプリント鋼板1)と異なり、木材に近い柔らかな触感を付与可能なプリント鋼板1が得られることが確認された。
また、実施例5のプリント鋼板1、つまり、軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径が30μm以下であり、トップコート層6の軟質性樹脂ビーズ9を有しない部分の厚みtが軟質性樹脂ビーズ9の平均粒径の40%以上という条件を満たさないプリント鋼板1によれば、「耐候性」及び「耐溶剤性」が低下することが確認された。
また、実施例8のプリント鋼板1、つまり、軟質性樹脂ビーズ9の含有量がトップコート層6の樹脂固形分に対して30質量%以下という条件を満たさないプリント鋼板1によれば、「耐候性」及び「耐溶剤性」が低くなることが確認された。
1…プリント鋼板、2…鋼板、3…プライマー層、4…ベースコート層、5…絵柄層、6…トップコート層、7…裏面コート層、8…化成皮膜、9…軟質性樹脂ビーズ

Claims (4)

  1. 鋼板の一方の面側に、プライマー層と、ベースコート層と、絵柄層と、トップコート層とをこの順に有し、
    前記トップコート層は、平均粒径が15μm以上25μm以下の軟質性樹脂ビーズを前記トップコート層の樹脂固形分に対して10質量%以上含み、当該トップコート層の前記軟質性樹脂ビーズを有しない部分の厚みが前記軟質性樹脂ビーズの平均粒径の40%以上50%以下であり、
    前記軟質性樹脂ビーズは、復元率が15%以上の樹脂ビーズであることを特徴とするプリント鋼板。
  2. 前記軟質性樹脂ビーズの含有量は、前記トップコート層の樹脂固形分に対して、30質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のプリント鋼板。
  3. 前記軟質性樹脂ビーズは、軟質性アクリルビーズであることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント鋼板。
  4. 前記鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化めっき鋼板及び電気亜鉛めっき鋼板の何れかであることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のプリント鋼板。
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