JP7407932B2 - 冷凍サイクル装置 - Google Patents

Description

本開示は、冷凍サイクル装置に関する。

冷凍サイクルを利用した冷凍サイクル装置（空調装置および冷凍装置など）は、全世界で広く利用されている。冷凍サイクル装置の制御に使用される情報（以下「制御用情報」ともいう）は、一般に、冷凍サイクル装置に備えられる記憶部に記録されている。記憶部は、ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）およびＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）、フラッシュメモリ等のＰＲＯＭ（Ｐｒｏｇｒａｍｍａｂｌｅ ＲＯＭ）、または、ＨＤＤ（Ｈａｒｄ Ｄｉｓｋ Ｄｒｉｖｅ）等により構成される。

近年、ＩｏＴ（Internet of Things）の推進により、通信ネットワークに接続可能な通信装置を備えた冷凍サイクル装置が実用化されている。冷凍サイクル装置が通信ネットワークに接続されることによって、冷凍サイクル装置の動作がより良好となるように更新（バージョンアップ）された制御用情報を、通信ネットワークに接続されたサーバからダウンロードすることが可能となる。

例えば、特許第４１０６９４１号公報（特許文献１）には、通信ネットワークを介してサーバと接続可能に構成された冷凍サイクル装置が開示されている。この冷凍サイクル装置においては、冷凍サイクル装置の据付後に更新後の制御用情報をサーバから受信（ダウンロード）し、更新前の制御用情報を更新後の制御用情報に書換えることができる。

特許第４１０６９４１号公報

冷凍サイクル装置には、運転停止が厳禁となるシーンがある。そのため、冷凍サイクル装置の運転を強制的に停止させることなく制御用情報の書換えを行なうことが望ましい。上述の特許第４１０６９４１号公報（特許文献１）には、このような課題およびその対策について言及されていない。

本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、冷凍サイクル装置の運転を強制的に停止させることなく制御用情報の書換えを可能にすることである。

本開示による冷凍サイクル装置は、圧縮機を含む冷媒回路と、サーバから制御用情報を受信する通信装置と、通信装置が受信した制御用情報を記憶する記憶装置と、記憶装置に記憶された制御用情報を用いて圧縮機を制御する制御装置とを含む。制御装置は、記憶装置に記憶されている第１の制御用情報よりも新しい第２の制御用情報を通信装置が受信し始めた場合、記憶装置への第２の制御用情報の書込みが完了するまでの間は、第１の制御用情報を用いて圧縮機を作動させる第１制御を継続する。

本開示による冷凍サイクル装置によれば、第２の制御用情報の受信が開始されてから記憶装置への第２の制御用情報の書込みが完了するまでの間は、圧縮機を強制的に停止させることなく、既存の第１の制御用情報を用いて圧縮機を作動させる。そのため、第２の制御用情報の書込みが完了した後の適切なタイミングで（たとえば使用者の操作によって圧縮機の作動が停止された後）で、制御用情報をの書換えを行なうことができる。その結果、冷凍サイクル装置の運転を強制的に停止させることなく制御用情報の書換えを行うことができる。

冷凍サイクルシステムの構成を示す図である。 冷凍サイクル装置の記憶部の構成を示す図である。 冷凍サイクル装置の制御装置が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。 冷凍サイクルシステムが行う処理の概要の一例を示すシーケンス図である。

以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。

［構成の説明］
図１は、実施の形態に係る冷凍サイクルシステム１の構成を示す図である。冷凍サイクルシステム１は、冷凍サイクル装置１００と、通信ネットワーク２００と、クラウドサーバ３００と、リモコン４００とを備える。

冷凍サイクル装置１００は、制御装置１１０と、書換え装置１２０と、通信装置１４０と、冷媒回路１５０とを備える。

冷媒回路１５０は、冷媒および冷凍サイクルを利用して空調あるいは冷凍を行なうための回路である。冷媒回路１５０は、ｎ個のアクチュエータ（たとえば冷媒回路１５０内の圧力を調整するための調圧弁など）１５１＿１～１５１＿ｎと、ｍ個のセンサ（たとえば冷媒回路１５０内の温度を検出する温度センサなど）１５２＿１～１５２＿ｍと、冷媒を圧縮するための圧縮機１５３とを含む。なお、冷媒回路１５０の構成としては周知の構成を用いることができる。

制御装置１１０は、制御演算部１１１と、入力処理部１１２と、記憶部１１３とを含む。入力処理部１１２は、ｍ個のセンサ１５２＿１～１５２＿ｍから入力される信号を制御演算部１１１が処理可能な信号に変換して制御演算部１１１に出力する。制御演算部１１１は、入力処理部１１２から入力される信号、ｎ個のアクチュエータ１５１＿１～１５１＿ｎおよび圧縮機１５３の状態量に基づいて、アクチュエータ１５１＿１～１５１＿ｎおよび圧縮機１５３の動作を制御する。

記憶部１１３には、冷凍サイクル装置１００の制御（入力処理部１１２および制御演算部１１１による処理）に使用される演算式、定数、制御プログラムなどの情報（以下「制御用情報」ともいう）が記憶されている。入力処理部１１２および制御演算部１１１の各々は、記憶部１１３に記憶される制御用情報を適宜読み出して処理を行なう。

記憶部１１３には、冷凍サイクル装置１００の機器情報が記憶されていてもよい。機器情報には、冷凍サイクル装置１００の機種の情報、冷凍サイクル装置１００に接続される機器の情報、冷凍サイクル装置１００の圧縮機１５３の稼働履歴情報などが含まれていてもよい。

なお、図１には１つの記憶部１１３が制御装置１１０の内部に配置される例えば示されているが、記憶部１１３の数および配置はこれに限定されない。たとえば、記憶部１１３の全部または一部が複数に分割されて制御装置１１０の外部に配置されてもよい。

書換え装置１２０は、制御装置１１０の記憶部１１３に記憶されている制御用情報を書換え可能に構成される。なお、制御用情報の「書換え」とは、古い情報を新しい情報に置き換えること、古い情報を消去すること、および、新しい情報を書込む（追加する）ことが含まれる。通信装置１４０は、通信ネットワーク２００に接続可能に構成される。

リモコン４００は、冷凍サイクル装置１００のユーザが冷凍サイクル装置１００が設置される空間において冷凍サイクル装置１００を遠隔操作するための装置である。リモコン４００は、表示装置４０１と入力装置４０２とを備える。

リモコン４００の入力装置４０２は、ユーザによる、冷凍サイクル装置１００の設定温度、運転モード、風向、風量などの運転指令を受け付け可能に構成される。リモコン４００は、入力装置４０２に入力された運転指令を冷凍サイクル装置１００の制御装置１１０に対して送信するように構成される。

リモコン４００から冷凍サイクル装置１００に送信された運転指令は、制御装置１１０による冷凍サイクル装置１００の制御に反映される。また、リモコン４００は、冷凍サイクル装置１００の制御装置１１０から受信した情報を表示装置４０１に表示可能に構成される。なお、リモコン４００に代えてあるいは加えて、リモコン４００の機能と同等の機能を備えるスマートフォンが通信ネットワーク２００を経由して冷凍サイクル装置１００に接続可能に構成されてもよい。

クラウドサーバ３００は、クラウド記憶部３０１と、通信装置３０３とを含む。通信装置３０３は、通信ネットワーク２００に接続可能に構成される。したがって、冷凍サイクル装置１００とクラウドサーバ３００とは、通信ネットワーク２００を経由して互いに通信可能である。

クラウド記憶部３０１には、候補記憶部３０１ａが含まれる。候補記憶部３０１ａには、冷凍サイクル装置１００の記憶部１１３に記憶されている制御用情報を書換えることが可能な情報が記憶されている。なお、制御用情報は、冷凍サイクル装置１００の製造メーカー等によって改良（バージョンアップ）されて更新される場合がある。候補記憶部３０１ａには、制御用情報が更新される毎に、更新後の最新の制御用情報が追加される。また、候補記憶部３０１ａには、制御用情報が更新された場合に、当該制御用情報が更新されたことを示す情報（以下、「更新情報」ともいう）も記憶される。

図２は、冷凍サイクル装置１００の記憶部１１３の構成を示す図である。記憶部１１３は、第１記憶部１１３１および第２記憶部１１３２を有する。第１記憶部１１３１および第２記憶部１１３２は、冷凍サイクル装置１００の制御用情報を、互いに別々に記憶することが可能である。

［動作の説明］
クラウドサーバ３００は、候補記憶部３０１ａに記憶される制御用情報が更新された場合、上述の更新情報を冷凍サイクル装置１００に送信する。

以下では、冷凍サイクル装置１００で使用中の既存の制御用情報を「更新前の制御用情報」とも記載し、更新前の制御用情報を利用した冷凍サイクル装置１００の制御を「更新前制御」とも記載する。更新前の制御用情報および更新前制御は、本開示の「第１の制御用情報」および「第１制御」にそれぞれ対応し得る。

また、以下では、更新前の制御用情報を改良した新たな制御用情報を「更新後の制御用情報」とも記載し、更新後の制御用情報を利用した冷凍サイクル装置１００の制御を「更新後制御」とも記載する。更新後の制御用情報および更新後制御は、本開示の「第２の制御用情報」および「第２制御」にそれぞれ対応し得る。

また、以下では、更新前の制御用情報は第１記憶部１１３１に記憶され、更新後の制御用情報は第２記憶部１１３２に書き込まれるものとして説明する。

図３は、冷凍サイクル装置１００の制御装置１１０が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。冷凍サイクル装置１００は、クラウドサーバ３００から制御用情報の更新情報を受信する（ステップＳ３１）と、クラウドサーバ３００の候補記憶部３０１ａから更新後の制御用情報を取得して第２記憶部１１３２への書込みを開始する（ステップＳ３２）。なお、第１記憶部１１３１に記憶されている更新前の制御用情報は、後述のステップＳ３９の処理で消去されるまで、第１記憶部１１３１に保持される。

冷凍サイクル装置１００は、更新後の制御用情報の書込みを開始した後においても、更新前の制御用情報を用いて冷凍サイクル装置１００を制御する「更新前制御」を継続する（ステップＳ３３）。これにより、圧縮機１５３の作動中に更新後の制御用情報の書込みが開始された場合であっても、圧縮機１５３の作動が継続される。

更新後の制御用情報の書込みが完了する（ステップＳ３４）と、冷凍サイクル装置１００は、たとえば使用者の手動操作による運転停止指令あるいは使用者が設定したタイマー機能による運転停止指令などによって、圧縮機１５３の作動が停止されたか否かを判定する（ステップＳ３５）。圧縮機１５３の作動が継続している場合（ステップＳ３５においてＮＯ）、冷凍サイクル装置１００は、更新前制御を継続する（ステップＳ３６）。その後、処理はステップＳ３５に戻される。

圧縮機１５３の作動が停止された場合（ステップＳ３５においてＹＥＳ）、冷凍サイクル装置１００は、自らの制御モードを、更新前の制御用情報を用いる「更新前制御」から、更新後の制御用情報を用いる「更新後制御」へ切り替える（ステップＳ３７）。

その後、冷凍サイクル装置１００は、たとえば使用者の手動操作による運転開始指令あるいは使用者が設定したタイマー機能による運転開始指令などによって、更新後制御による圧縮機１５３の作動が開始されたか否かを判定する（ステップＳ３８）。更新後制御による圧縮機１５３の作動が開始されていない場合（ステップＳ３８においてＮＯ）、冷凍サイクル装置１００は、圧縮機１５３の作動が再開されるまで待つ。

更新後制御による圧縮機１５３の作動が開始された場合（ステップＳ３８においてＹＥＳ）、冷凍サイクル装置１００は、第１記憶部１１３１に記憶されている更新前の制御用情報を第１記憶部１１３１から消去する（ステップＳ３９）。

図４は、冷凍サイクルシステム１が行う処理の概要の一例を示すシーケンス図である。
図４における初期状態では、冷凍サイクル装置１００において、第１記憶部１１３１に記憶されている既存の更新前の制御用情報を用いて「更新前制御」が実行されている（ステップＳ３０）。

クラウドサーバ３００は、候補記憶部３０１ａに更新後の制御用情報が追加されると、その旨を示す更新情報を候補記憶部３０１ａから取得し（ステップＳ１０）、更新情報を冷凍サイクル装置１００に送信する（ステップＳ１１）。

冷凍サイクル装置１００は、クラウドサーバ３００から更新情報を取得する（ステップＳ３１）と、クラウドサーバ３００の候補記憶部３０１ａから更新後の制御用情報を取得して第２記憶部１１３２への書込みを開始する（ステップＳ３２）。

その後、第２記憶部１１３２への更新後の制御用情報の書込みが完了するまでの間は、冷凍サイクル装置１００は、第１記憶部１１３１に記憶されている更新前の制御用情報を利用する更新前制御を継続する（ステップＳ３３）。

そして、第２記憶部１１３２への更新後の制御用情報の書込みが完了する（ステップＳ３４）と、冷凍サイクル装置１００は、圧縮機１５３の停止確認を行う（ステップＳ３５）。更新後の制御用情報の書込みが完了した後に初めて圧縮機１５３が停止されるまでは、更新前制御の実行が継続される。

更新後の制御用情報の書込みが完了した後に初めて圧縮機１５３が停止された後は、冷凍サイクル装置１００は、自らの制御モードを、更新前制御から、第２記憶部１１３２に記憶されている更新後の制御用情報を利用する「更新後制御」に切り替える（ステップＳ３７）。

その後、冷凍サイクル装置１００は、更新後制御による圧縮機１５３の作動を確認する（ステップＳ３８）。更新後制御による圧縮機１５３の作動が確認された場合、冷凍サイクル装置１００は、第１記憶部１１３１に記憶されている更新前の制御用情報を消去する（ステップＳ３９）。

図３および図４には記載していないが、ステップＳ３９の処理後においては、第２記憶部１１３２に記憶されている更新後の制御用情報が、第１記憶部１１３１に移動される。これにより、使用中の既存の制御用情報が第１記憶部１１３１に記憶され、第２記憶部１１３２には制御用情報が記憶されていない状態となる。なお、更新後の制御用情報を第２記憶部１１３２から第１記憶部１１３１に移動するのではなく、第２記憶部１１３２に記憶されている制御用情報をそのまま更新前の制御用情報として扱う（すなわち、第２記憶部１１３２を第１記憶部１１３１として扱う）ようにしてもよい。

以上のように、本実施の形態による冷凍サイクル装置１００は、圧縮機１５３を含む冷媒回路１５０と、クラウドサーバ３００から制御用情報を受信する通信装置１４０と、通信装置１４０が受信した制御用情報を記憶する記憶部１１３を含み、記憶部１１３に記憶された制御用情報を用いて圧縮機１５３を制御する制御装置１１０とを含む。

制御装置１１０は、記憶部１１３に記憶されている更新前の制御用情報よりも新しい更新後の制御用情報を通信装置１４０が受信し始めた場合、記憶部１１３への更新後の制御用情報の書込みが完了するまでの間は、圧縮機１５３を強制的に停止させることなく、運転実績のなる既存の更新前の制御用情報を用いて圧縮機１５３を作動させる更新前制御を継続する。そのため、更新後の制御用情報の書込みが完了した後の適切なタイミングで制御用情報をの書換えを行なうことができる。これにより、冷凍サイクル装置１００の運転を強制的に停止させることなく制御用情報の書換えを行うことができる。

特に、本実施の形態による制御装置１１０は、記憶部１１３への更新後の制御用情報の書込みが完了した後に初めて圧縮機１５３の作動が停止されるまでは、更新前制御の実行を継続する。そして、更新後の制御用情報の書込みが完了した後に初めて圧縮機１５３の作動が停止された場合、制御装置１１０は、更新前制御に代えて、更新後の制御用情報を用いて圧縮機１５３を作動させる更新後制御を実行する。このように圧縮機１５３の作動停止中に更新前制御から更新後制御への切替えを行うため、圧縮機１５３を強制的に停止させることなく、更新前制御から更新後制御への切替えを円滑に行うことができる。

さらに、本実施の形態による制御装置１１０は、更新後制御によって圧縮機１５３が初めて作動した後に、記憶部１１３に記憶されている更新前の制御用情報を消去する。言い換えれば、更新後制御による圧縮機１５３の作動が確認されるまでは、記憶部１１３に記憶されている更新前の制御用情報を消去せずに保持しておく。そのため、何らかの要因で更新後制御によって圧縮機１５３が作動しない場合において、更新前制御に容易に復旧させることができる。

今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

１ 冷凍サイクルシステム、１００ 冷凍サイクル装置、１１０ 制御装置、１１１ 制御演算部、１１２ 入力処理部、１１３ 記憶部、１２０ 書換え装置、１４０，３０３ 通信装置、１５０ 冷媒回路、１５１ アクチュエータ、１５２ センサ、１５３ 圧縮機、２００ 通信ネットワーク、３００ クラウドサーバ、３０１ クラウド記憶部、３０１ａ 候補記憶部、４００ リモコン、４０１ 表示装置、４０２ 入力装置、１１３１ 第１記憶部、１１３２ 第２記憶部。

Claims (2)

1. 圧縮機を含む冷媒回路と、
   サーバから制御用情報を受信する通信装置と、
   前記通信装置が受信した前記制御用情報を記憶する記憶装置と、
   前記記憶装置に記憶された前記制御用情報を用いて前記圧縮機を制御する制御装置とを含み、
   前記制御装置は、前記記憶装置に記憶されている第１の制御用情報よりも新しい第２の制御用情報を前記通信装置が受信し始めた場合、前記記憶装置への前記第２の制御用情報の書込みが完了するまでの間は、前記第１の制御用情報を用いて前記圧縮機を作動させる第１制御を継続し、
   前記記憶装置は、
   前記第１の制御用情報を記憶する第１記憶部と、
   前記第２の制御用情報が書き込まれる第２記憶部とを有し、
   前記制御装置は、
   前記第２記憶部への前記第２の制御用情報の書込みが完了した後に使用者の操作によって初めて前記圧縮機が停止されたか否かを判定し、
   前記第２記憶部への前記第２の制御用情報の書込みが完了した後に使用者の操作によって初めて前記圧縮機の作動が停止されたと判定されるまでは、前記第１制御の実行を継続し、
   前記第２記憶部への前記第２の制御用情報の書込みが完了した後に使用者の操作によって初めて前記圧縮機の作動が停止されたと判定された場合に、前記第１制御に代えて、前記第２記憶部に記憶された前記第２の制御用情報を用いて前記圧縮機を作動させる第２制御を実行する、冷凍サイクル装置。
2. 前記制御装置は、前記第２制御によって前記圧縮機が初めて作動した後に、前記第１記憶部に記憶されている前記第１の制御用情報を消去する、請求項１に記載の冷凍サイクル装置。

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