JP7405850B2 - 半導体膜、光電変換素子、イメージセンサおよび半導体膜の製造方法 - Google Patents

半導体膜、光電変換素子、イメージセンサおよび半導体膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属原子を含む半導体量子ドットを含む半導体膜、光電変換素子、イメージセンサおよび半導体膜の製造方法に関する。
近年、スマートフォンや監視カメラ、車載カメラ等の領域において、赤外領域の光を検出可能な光検出素子に注目が集まっている。
従来より、イメージセンサなどに用いられる光検出素子には、光電変換層の素材としてシリコンウエハを用いたシリコンフォトダイオードが使用されている。しかしながら、シリコンフォトダイオードでは、波長900nm以上の赤外領域では感度が低い。
また、近赤外光の受光素子として知られるInGaAs系の半導体材料は、高い量子効率を実現するためにはエピタキシャル成長が必要であるなど、非常に高コストなプロセスを必要としていることが課題であり、普及が進んでいない。
また、近年では、半導体量子ドットについての研究が進められている。非特許文献1には、ZnIと3-メルカプトプロピオン酸とで処理されたPbS量子ドットを含む半導体膜を光電変換層として有する太陽電池デバイスについて記載されている。
Santanu Pradhan,Alexandros Stavrinadis, Shuchi Gupta, Yu Bi,Francesco Di Stasio, and Gerasimos Konstantatos、「Trap-State Suppression and Improved Charge Transport in PbS Quantum Dot Solar Cells with Synergistic Mixed-Ligand Treatments」、Small 13, 1700598 (2017).
本発明者が非特許文献1に記載された半導体膜について検討したところ、この半導体膜は、駆動耐久性について改善の余地があることが分かった。
よって、本発明の目的は、駆動耐久性に優れた半導体膜、光電変換素子、イメージセンサおよび半導体膜の製造方法を提供することにある。
本発明者の検討によれば、以下の構成とすることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。よって、本発明は以下を提供する。
<1> 金属原子を含む半導体量子ドットの集合体と、
上記半導体量子ドットに配位する配位子と、を含み、
上記配位子は、無機ハロゲン化物である第1の配位子と、式(A)~(C)のいずれかで表される第2の配位子と、を含む、
半導体膜;
式(A)中、XA1およびXA2はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
A1は炭化水素基を表し、XA1とXA2はLA1によって、3~10原子隔てられている;
式(B)中、XB1およびXB2はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
B3は、S、OまたはNHを表し、
B1およびLB2は、それぞれ独立して炭化水素基を表し、
B1とXB3はLB1によって、3~10原子隔てられており、
B2とXB3はLB2によって、1~10原子隔てられている;
式(C)中、XC1~XC3はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
C4は、Nを表し、
C1~LC3は、それぞれ独立して炭化水素基を表し、
C1とXC4はLC1によって、3~10原子隔てられており、
C2とXC4はLC2によって、1~10原子隔てられており、
C3とXC4はLC3によって、1~10原子隔てられている。
<2> 上記半導体量子ドットはPb原子を含む、<1>に記載の半導体膜。
<3> 上記第1の配位子は第12族元素および第13族元素から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>または<2>に記載の半導体膜。
<4> 上記第1の配位子はZn原子を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の半導体膜。
<5> 上記第1の配位子はヨウ素原子を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の半導体膜。
<6> 上記第1の配位子を2種以上含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の半導体膜。
<7> 上記第2の配位子が上記式(A)~(C)のいずれかで表され、
上記式(A)のXA1およびXA2の少なくとも一方は、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシ基であり、
上記式(B)のXB1およびXB2の少なくとも一方は、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシ基であり、
上記式(C)のXC1~XC3の少なくとも一つは、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシ基である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の半導体膜。
<8> 上記第2の配位子が、4-メルカプトブタン酸、3-アミノプロパノール、3-メルカプトプロパノール、N-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン、3-(ビス(3アミノプロピル)アミノ)プロパン-1-オール、3-アミノプロピルホスホン酸およびこれらの誘導体から選択される少なくとも1種である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の半導体膜。
<9> 更に、上記第1の配位子および上記第2の配位子以外の配位子を含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載の半導体膜。
<10> <1>~<9>のいずれか1つに記載の半導体膜を含む光電変換素子。
<11> フォトダイオード型の光検出素子である、<10>に記載の光電変換素子。
<12> <10>または<11>に記載の光電変換素子を含むイメージセンサ。
<13> 波長900nm~1600nmの光をセンシングする、<12>に記載のイメージセンサ。
<14> 金属原子を含む半導体量子ドット、上記半導体量子ドットに配位する配位子であって無機ハロゲン化物である第1の配位子および式(A)~(C)のいずれかで表される第2の配位子とは異なる第3の配位子、および、溶剤を含有する半導体量子ドット分散液を基板上に付与して半導体量子ドットの集合体の膜を形成する半導体量子ドット集合体形成工程と、
上記半導体量子ドット集合体形成工程によって形成された上記半導体量子ドットの集合体の膜に対して、無機ハロゲン化物である第1の配位子および溶剤を含む配位子溶液1と、式(A)~(C)のいずれかで表される第2の配位子および溶剤を含む配位子溶液2とを付与するか、または、無機ハロゲン化物である第1の配位子、式(A)~(C)のいずれかで表される第2の配位子および溶剤を含む配位子溶液3を付与して、上記半導体量子ドットに配位する上記第3の配位子を上記第1の配位子および上記第2の配位子に交換する配位子交換工程と、
を含む、半導体膜の製造方法;
式(A)中、XA1およびXA2はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
A1は炭化水素基を表し、XA1とXA2はLA1によって、3~10原子隔てられている;
式(B)中、XB1およびXB2はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
B3は、S、OまたはNHを表し、
B1およびLB2は、それぞれ独立して炭化水素基を表し、
B1とXB3はLB1によって、3~10原子隔てられており、
B2とXB3はLB2によって、1~10原子隔てられている;
式(C)中、XC1~XC3はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
C4は、Nを表し、
C1~LC3は、それぞれ独立して炭化水素基を表し、
C1とXC4はLC1によって、3~10原子隔てられており、
C2とXC4はLC2によって、1~10原子隔てられており、
C3とXC4はLC3によって、1~10原子隔てられている。
<15> 更に、上記半導体量子ドットの集合体の膜に非プロトン性溶剤を接触させてリンスするリンス工程を含む、<14>に記載の半導体膜の製造方法。
<16> 上記非プロトン性溶剤が、非プロトン性極性溶剤である、<15>に記載の半導体膜の製造方法。
<17> 上記非プロトン性溶剤が、アセトニトリルおよびアセトンから選ばれる少なくとも1種である、<15>に記載の半導体膜の製造方法。
<18> 上記半導体量子ドット集合体形成工程では、厚さ30nm以上の半導体量子ドットの集合体の膜を形成し、
上記半導体量子ドットに含まれる金属原子に対する上記第2の配位子の錯安定定数K1が6以上である、<14>~<17>のいずれか1つに記載の半導体膜の製造方法。
<19> 上記半導体量子ドットに含まれる金属原子に対する上記第2の配位子の錯安定定数K1が8以上である、<18>に記載の半導体膜の製造方法。
<20> 上記半導体量子ドットはPb原子を含み、
Pb原子に対する上記第2の配位子の錯安定定数K1が6以上である、<18>に記載の半導体膜の製造方法。
本発明によれば、駆動耐久性に優れた半導体膜、光電変換素子、イメージセンサおよび半導体膜の製造方法を提供することができる。
光検出素子の一実施形態を示す図である。 試験体1の製造に用いた基板(くし型白金電極を有する基板)を示す図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
<半導体膜>
本発明の半導体膜は、
金属原子を含む半導体量子ドットの集合体と、
半導体量子ドットに配位する配位子と、を含み、
配位子は、無機ハロゲン化物である第1の配位子と、式(A)~(C)のいずれかで表される第2の配位子と、を含むことを特徴とする。
本発明の半導体膜は、駆動耐久性に優れている。このような効果が得られる詳細な理由は不明であるが、以下によるものであると推測される。第2の配位子のうち、式(A)で表される配位子(以下、配位子(A)ともいう)においては、XA1およびXA2の部位で半導体量子ドットの金属原子に配位すると推測される。また、式(B)で表される配位子(以下、配位子(B)ともいう)においては、XB1~XB3の部位で半導体量子ドットの金属原子に配位すると推測される。また、式(C)で表される配位子(以下、配位子(C)ともいう)においては、XC1~XC4の部位で半導体量子ドットの金属原子に配位すると推測される。このように、配位子(A)、配位子(B)および配位子(C)は、いずれも一分子中に半導体量子ドットの金属原子に配位する部位を複数有しているので、半導体量子ドットの金属原子に対してキレート配位すると推測される。これらの配位子は、配位部同士が比較的長い分子鎖で連結されているので、柔軟性があり、半導体量子ドットに配位した際にねじれなどが生じにくく、安定的に配位すると推測される。このため、半導体量子ドットの表面に第2の配位子が強固に配位し、半導体量子ドットの表面から配位子が剥離しにくくなったものと推測される。そして、本発明においては、半導体量子ドットに配位する配位子として、更に、無機ハロゲン化物である第1の配位子を含むので、第2の配位子が配位していない隙間に第1の配位子が配位すると推測され、半導体量子ドットの表面欠陥を低減することができると推測される。
このような理由により、本発明の半導体膜は、優れた駆動耐久性を有していると推測される。
以下、本発明の半導体膜についての詳細を説明する。
(金属原子を含む半導体量子ドットの集合体)
半導体膜は、金属原子を含む半導体量子ドットの集合体を有する。なお、半導体量子ドットの集合体とは、多数(例えば、1μmあたり100個以上)の半導体量子ドットが互いに近接して配置された形態をいう。また、本発明における「半導体」とは、比抵抗値が10-2Ωcm以上10Ωcm以下の物質を意味する。
半導体量子ドットは、金属原子を有する半導体粒子である。なお、本発明において、金属原子には、Si原子に代表される半金属原子も含む。半導体量子ドットを構成する半導体量子ドット材料としては、例えば一般的な半導体結晶〔a)IV族半導体、b)IV-IV族、III-V族、またはII-VI族の化合物半導体、c)II族、III族、IV族、V族、および、VI族元素の内3つ以上の組み合わせからなる化合物半導体〕のナノ粒子(0.5nm以上100nm未満の粒子)が挙げられる。
半導体量子ドットは、Pb原子、In原子、Ge原子、Si原子、Cd原子、Zn原子、Hg原子、Al原子、Sn原子およびGa原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子を含むものであることが好ましく、Pb原子、In原子、Ge原子およびSi原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子を含むものであることがより好ましく、本発明の効果がより顕著に得られやすいという理由からPb原子を含むものであることが更に好ましい。
半導体量子ドットを構成する半導体量子ドット材料の具体例としては、PbS、PbSe、PbSeS、InN、InAs、Ge、InAs、InGaAs、CuInS、CuInSe、CuInGaSe、InSb、HgTe、HgCdTe、Ag2S、Ag2Se、Ag2Te、SnS、SnSe、SnTe、Si、InP等の比較的バンドギャップの狭い半導体材料が挙げられる。なかでも、赤外域の光の吸収係数が大きい、光電流のライフタイムが長い、キャリア移動度が大きい等の理由から、半導体量子ドットはPbSまたはPbSeを含むものであることが好ましく、PbSを含むものであることがより好ましい。
半導体量子ドットは、半導体量子ドット材料を核(コア)とし、半導体量子ドット材料を被覆化合物で覆ったコアシェル構造の素材であってもよい。被覆化合物としては、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnCdS、CdS、GaP等が挙げられる。
半導体量子ドットのバンドギャップは、0.5eV~2.0eVであることが好ましい。本発明の半導体膜を光検出素子用途、より具体的には光検出素子の光電変換層に適用した場合においては、用途に応じて様々な波長の光検出が可能な光検出素子とすることができる。例えば、赤外域の光を検出可能な光検出素子とすることができる。半導体量子ドットのバンドギャップの上限は1.9eV以下であることが好ましく、1.8eV以下であることがより好ましく、1.5eV以下であることが更に好ましい。半導体量子ドットのバンドギャップの下限は0.6eV以上であることが好ましく、0.7eV以上であることがより好ましい。
半導体量子ドットの平均粒径は、2nm~15nmであることが好ましい。なお、半導体量子ドットの平均粒径は、半導体量子ドット10個の平均粒径をいう。半導体量子ドットの粒径の測定には、透過型電子顕微鏡を用いればよい。
一般的に半導体量子ドットは、数nm~数十nmまでの様々な大きさの粒子を含む。半導体量子ドットでは内在する電子のボーア半径以下の大きさまで半導体量子ドットの平均粒径を小さくすると、量子サイズ効果により半導体量子ドットのバンドギャップが変化する現象が生じる。半導体量子ドットの平均粒径が、15nm以下であれば、量子サイズ効果によるバンドギャップの制御を行いやすい。
半導体膜の厚みは、特に制限されないが、高い電気伝導性を得る観点から、10nm~600nmであることが好ましく、50nm~600nmであることがより好ましく、100nm~600nmであることが更に好ましく、150nm~600nmであることがより一層好ましい。厚みの上限は、550nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、450nm以下が更に好ましい。
(配位子)
半導体膜は、半導体量子ドットに配位する配位子を含む。上記配位子は、無機ハロゲン化物である第1の配位子と、式(A)~(C)のいずれかで表される第2の配位子とを含むものである。半導体膜は、第1の配位子を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。また、半導体膜は、第2の配位子を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
〔第1の配位子〕
まず、第1の配位子について説明する。第1の配位子は、無機ハロゲン化物である。第1の配位子、すなわち、無機ハロゲン化物に含まれるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ、高い配位力が得られやすいという理由からヨウ素原子であることが好ましい。
第1の配位子、すなわち、無機ハロゲン化物は、第12族元素および第13族元素から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。なかでも、第1の配位子は、Zn原子、In原子およびCd原子から選ばれる金属原子を含む化合物であることが好ましく、Zn原子を含む化合物であることがより好ましい。無機ハロゲン化物は、容易にイオン化して、半導体量子ドットに配位しやすいという理由から金属原子とハロゲン原子との塩であることが好ましい。
第1の配位子の具体例としては、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、ヨウ化インジウム、臭化インジウム、塩化インジウム、ヨウ化カドミウム、臭化カドミウム、塩化カドミウム、ヨウ化ガリウム、臭化ガリウム、塩化ガリウムなどが挙げられ、ヨウ化亜鉛が特に好ましい。
なお、第1の配位子については、膜中において、無機ハロゲン化物が半導体量子ドットの表面に配位していることもあれば、ハロゲンイオンと無機イオンとに解離してそれぞれが半導体量子ドットの表面に配位していることもある。具体例を挙げて説明すると、ヨウ化亜鉛の場合は、ヨウ化亜鉛が半導体量子ドットの表面に配位していることもあれば、ヨウ化亜鉛がヨウ素イオンと亜鉛イオンとに解離してそれぞれが半導体量子ドットの表面に配位していることもある。
〔第2の配位子〕
次に、第2の配位子について説明する。第2の配位子は、式(A)~(C)のいずれかで表される配位子である。第2の配位子は、配位子の立体障害性をより低減して、高い外部量子効率などが得られやすいという理由から式(A)で表される配位子であることが好ましい。
式(A)中、XA1およびXA2はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
A1は炭化水素基を表し、XA1とXA2はLA1によって、3~10原子隔てられている;
式(B)中、XB1およびXB2はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
B3は、S、OまたはNHを表し、
B1およびLB2は、それぞれ独立して炭化水素基を表し、
B1とXB3はLB1によって、3~10原子隔てられており、
B2とXB3はLB2によって、1~10原子隔てられている;
式(C)中、XC1~XC3はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
C4は、Nを表し、
C1~LC3は、それぞれ独立して炭化水素基を表し、
C1とXC4はLC1によって、3~10原子隔てられており、
C2とXC4はLC2によって、1~10原子隔てられており、
C3とXC4はLC3によって、1~10原子隔てられている。
A1、XA2、XB1、XB2、XC1、XC2およびXC3が表すアミノ基には、-NHに限定されず、置換アミノ基および環状アミノ基も含まれる。置換アミノ基としては、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基などが挙げられる。これらの基が表すアミノ基としては、-NH、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基が好ましく、-NHであることがより好ましい。
式(A)において、XA1およびXA2の少なくとも一方は、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシ基であることが好ましく、チオール基であることがより好ましい。XA1とXA2の好ましい組み合わせとしては、XA1およびXA2の一方がチオール基で、他方がチオール基、アミノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシ基である組み合わせ、XA1およびXA2の一方がアミノ基で、他方がヒドロキシ基またはカルボキシ基である組み合わせが挙げられる。なかでも、配位力が高く表面欠陥をより低減しやすくなるため、XA1およびXA2の一方がチオール基で、他方がチオール基、アミノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシ基である組み合わせが好ましい。
式(A)において、XA1は、XA2とは異なる基であることも好ましい。この態様によれば半導体量子ドットに対してより強固に配位しやすくなり、駆動耐久性をより向上させることができる。さらには膜剥がれなどの発生も抑制しやすい。
式(B)において、XB1およびXB2の少なくとも一方は、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシ基であることが好ましく、チオール基、アミノ基またはヒドロキシ基であることがより好ましく、アミノ基であることが更に好ましい。XB3は、S、OまたはNHを表し、OまたはNHであることが好ましく、NHであることがより好ましい。
式(C)において、XC1~XC3の少なくとも一つは、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシ基であることが好ましく、チオール基、アミノ基またはヒドロキシ基であることがより好ましく、アミノ基であることが更に好ましい。
A1、LB1、LB2、LC1、LC2およびLC3が表す炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、これらの基が表す炭化水素基においては、炭素原子間に酸素原子、硫黄原子または窒素原子が挿入されていてもよい。LA1、LB1およびLC1が表す炭化水素基の炭素数は、3~20が好ましい。炭素数の上限は、10以下が好ましく、6以下がより好ましく、4以下が更に好ましい。LB2、LC2およびLC3が表す炭化水素基の炭素数は、1~20が好ましい。炭素数の上限は、10以下が好ましく、6以下がより好ましい。炭素数の下限は、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。LA1、LB1、LB2、LC1、LC2およびLC3が表す炭化水素基の具体例としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基が挙げられる。
アルキレン基は、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基および環状アルキレン基が挙げられ、直鎖アルキレン基または分岐アルキレン基であることが好ましく、直鎖アルキレン基であることがより好ましい。アルケニレン基は、直鎖アルケニレン基、分岐アルケニレン基および環状アルケニレン基が挙げられ、直鎖アルケニレン基または分岐アルケニレン基であることが好ましく、直鎖アルケニレン基であることがより好ましい。アルキニレン基は、直鎖アルキニレン基および分岐アルキニレン基が挙げられ、直鎖アルキニレン基であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基はさらに置換基を有していてもよい。置換基は、原子数1以上10以下の基であることが好ましい。原子数1以上10以下の基の好ましい具体例としては、炭素数1~3のアルキル基〔メチル基、エチル基、プロピル基およびイソプロピル基〕、炭素数2~3のアルケニル基〔エテニル基およびプロペニル基〕、炭素数2~4のアルキニル基〔エチニル基、プロピニル基等〕、シクロプロピル基、炭素数1~2のアルコキシ基〔メトキシ基およびエトキシ基〕、炭素数2~3のアシル基〔アセチル基およびプロピオニル基〕、炭素数2~3のアルコキシカルボニル基〔メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基〕、炭素数2のアシルオキシ基〔アセチルオキシ基〕、炭素数2のアシルアミノ基〔アセチルアミノ基〕、炭素数1~3のヒドロキシアルキル基〔ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基〕、アルデヒド基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基、カルバモイル基、シアノ基、イソシアネート基、チオール基、ニトロ基、ニトロキシ基、イソチオシアネート基、シアネート基、チオシアネート基、アセトキシ基、アセトアミド基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルムアミド基、スルファミノ基、スルフィノ基、スルファモイル基、ホスホノ基、アセチル基、ハロゲン原子、アルカリ金属原子等が挙げられる。
式(A)において、XA1とXA2はLA1によって、3~10原子隔てられており、3~6原子隔てられていることが好ましく、3原子または4原子隔てられていることがより好ましい。
式(B)において、XB1とXB3はLB1によって、3~10原子隔てられており、3~6原子隔てられていることが好ましく、3原子または4原子隔てられていることがより好ましい。また、XB2とXB3はLB2によって、1~10原子隔てられており、1~6原子隔てられていることが好ましく、1~4原子隔てられていることが更に好ましい。また、XB2とXB3はLB2によって、3~10原子隔てられていることも好ましく、3~6原子隔てられていることも好ましく、3原子または4原子隔てられていることも好ましい。また、式(B)において、XB1とXB3がLB1によって隔てられている原子の数と、XB2とXB3はLB2によって隔てられている原子の数との平均値は、3~10であることが好ましく、3~6であることがより好ましく、3~4であることが更に好ましい。
式(C)において、XC1とXC4はLC1によって、3~10原子隔てられており、3~6原子隔てられていることが好ましく、3原子または4原子隔てられていることがより好ましい。また、XC2とXC4はLC2によって、1~10原子隔てられており、1~6原子隔てられていることが好ましく、1~4原子隔てられていることが更に好ましい。また、XC2とXC4はLC2によって、3~10原子隔てられていることも好ましく、3~6原子隔てられていることも好ましく、3原子または4原子隔てられていることも好ましい。また、XC3とXC4はLC3によって、1~10原子隔てられており、1~6原子隔てられていることが好ましく、1~4原子隔てられていることが更に好ましい。
また、XC3とXC4はLC3によって、3~10原子隔てられていることも好ましく、3~6原子隔てられていることも好ましく、3原子または4原子隔てられていることも好ましい。また、式(C)において、XC1とXC4がLC1によって隔てられている原子の数と、XC2とXC4がLC2によって隔てられている原子の数と、XC3とXC4がLC3によって隔てられている原子の数との平均値は、3~10であることが好ましく、3~6であることがより好ましく、3~4であることが更に好ましい。
なお、XA1とXA2はLA1によって、3~10原子隔てられているとは、XA1とXA2とをつなぐ最短距離の分子鎖を構成する原子の数が3~10個であることを意味する。例えば、下記式(A1)~(A3)のいずれにおいても、XA1とXA2とが3原子隔てられている。以下の構造式に付記した数字は、XA1とXA2とをつなぐ最短距離の分子鎖を構成する原子の配列の順番を表している。
具体的化合物を挙げて説明すると、4-メルカプトブタン酸は、XA1に相当する部位がチオール基で、XA2に相当する部位がカルボキシ基で、LA1に相当する部位がプロピレン基である構造の化合物である(下記構造の化合物)。4-メルカプトブタン酸においては、XA1(チオール基)とXA2(カルボキシ基)とがLA1(プロピレン基)によって3原子隔てられている。
B1とXB3はLB1によって、3~10原子隔てられていること、XB2とXB3はLB2によって、1~10原子隔てられていること、XC1とXC4はLC1によって、3~10原子隔てられていること、XC2とXC4はLC2によって、1~10原子隔てられていること、XC3とXC4はLC3によって、1~10原子隔てられていることの意味についても上記と同様である。
第2の配位子の具体例としては、4-メルカプトブタン酸、3-アミノプロパノール、3-メルカプトプロパノール、N-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン、3-(ビス(3アミノプロピル)アミノ)プロパン-1-オール、3-アミノプロピルホスホン酸およびこれらの誘導体が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより顕著に得られやすいという理由から4-メルカプトブタン酸、3-メルカプトプロパノールが好ましく、4-メルカプトブタン酸がより好ましい。
半導体量子ドットに含まれる金属原子に対する第2の配位子の錯安定定数K1は6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、9以上であることが更に好ましい。上記錯安定定数K1が6以上であれば、半導体量子ドットと第2の配位子との結合の強さを高めることが出来る。このため、半導体量子ドットからの第2の配位子の剥離などを抑制でき、その結果、駆動耐久性などをより向上させることができる。
錯安定定数K1とは、配位子と配位結合の対象となる金属原子との関係で定まる定数であり、下記式(b)により表される。
錯安定定数K1=[ML]/([M]・[L]) ・・・(b)
式(b)において、[ML]は、金属原子と配位子が結合した錯体のモル濃度を表し、[M]は配位結合に寄与する金属原子のモル濃度を表し、[L]は配位子のモル濃度を表す。
実際には一つの金属原子に複数の配位子が配位する場合もあるが、本発明では、一つの金属原子に一つの配位子分子が配位する場合の式(b)で表される錯安定定数K1を、配位結合の強さの指標として規定する。
配位子と金属原子との間の錯安定定数K1の求め方としては、分光法、磁気共鳴分光法、ポテンショメトリー、溶解度測定、クロマトグラフィー、カロリメトリー、凝固点測定、蒸気圧測定、緩和測定、粘度測定、表面張力測定等がある。本発明では様々な手法や研究機関からの結果がまとめられた、Sc-Databese ver.5.85(Academic Software)(2010)を使用することで、錯安定定数K1を定めた。錯安定定数K1がSc-Databese ver.5.85に無い場合には、A.E.MartellとR.M.Smith著、Critical Stability Constantsに記載の値を用いる。Critical Stability Constantsにも錯安定定数K1が記載されていない場合は、既述の測定方法を用いるか、錯安定定数K1を計算するプログラムPKAS法(A.E.Martellら著、The Determination and Use of Stability Constants,VCH(1988))を用いて、錯安定定数K1を算出する。
本発明においては、半導体量子ドットとしてPb原子を含むものを用い(より好ましくはPbSを用い)、Pb原子に対する第2の配位子の錯安定定数K1は6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、9以上であることが更に好ましい。
〔他の配位子〕
半導体膜は、半導体量子ドットに配位する配位子として、上記第1の配位子および第2配位子以外の配位子(以下、他の配位子ともいう)をさらに含んでいてもよい。他の配位子としては、例えば、下記式(D)~(F)のいずれかで表される配位子が挙げられる。
式(D)中、XD1およびXD2はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
D1は炭化水素基を表し、XD1とXD2はLD1によって、1原子または2原子隔てられている;
式(E)中、XE1およびXE2はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
E3は、S、OまたはNHを表し、
E1およびLE2は、それぞれ独立して炭化水素基を表し、
E1とXE3はLE1によって、1原子または2原子隔てられており、
E2とXE3はLE2によって、1原子または2原子隔てられている;
式(F)中、XF1~XF3はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
F4は、Nを表し、
F1~LF3は、それぞれ独立して炭化水素基を表し、
F1とXF4はLF1によって、1原子または2原子隔てられており、
F2とXF4はLF2によって、1原子または2原子隔てられており、
F3とXF4はLF3によって、1原子または2原子隔てられている。
半導体膜は、半導体量子ドットに配位する配位子として、他の配位子を含む場合、第2の配位子と他の配位子の全質量に対し、第2の配位子は50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。また、上記式(D)で表される配位子、上記式(E)で表される配位子および上記式(E)で表される配位子のいずれも含まないものであってもよい。
<半導体膜の製造方法>
本発明の半導体膜の製造方法は、
金属原子を含む半導体量子ドット、半導体量子ドットに配位する配位子であって無機ハロゲン化物である第1の配位子および式(A)~(C)のいずれかで表される第2の配位子とは異なる第3の配位子、および、溶剤を含有する半導体量子ドット分散液を基板上に付与して半導体量子ドットの集合体の膜を形成する半導体量子ドット集合体形成工程と、
半導体量子ドット集合体形成工程によって形成された半導体量子ドットの集合体の膜に対して、無機ハロゲン化物である第1の配位子および溶剤を含む配位子溶液1と、式(A)~(C)のいずれかで表される第2の配位子および溶剤を含む配位子溶液2とを付与するか、または、無機ハロゲン化物である第1の配位子、式(A)~(C)のいずれかで表される第2の配位子および溶剤を含む配位子溶液3を付与して、半導体量子ドットに配位している第3の配位子を第1の配位子および第2の配位子に交換する配位子交換工程と、
を含む。
本発明の半導体膜の製造方法では、半導体量子ドット集合体形成工程および配位子交換工程を交互に複数回繰り返し行ってもよい。また、半導体量子ドットの集合体の膜にリンス液を接触させてリンスするリンス工程をさらに含んでいてもよい。
本発明の半導体膜の製造方法では、半導体量子ドット集合体形成工程において、半導体量子ドット分散液を基板上に付与することにより、基板上に半導体量子ドットの集合体の膜を形成する。このとき、半導体量子ドットは、第3の配位子により溶剤中に分散されているため、半導体量子ドットは、凝集したバルク状となりにくい。従って、半導体量子ドット分散液が基板上に付与されることで、半導体量子ドットの集合体は、半導体量子ドット1つ1つが配列した構成とすることができる。
次いで、配位子交換工程により、半導体量子ドットの集合体の膜に第1の配位子および溶剤を含む配位子溶液1と、第2の配位子および溶剤を含む配位子溶液2とを付与するか、または、第1の配位子、第2の配位子および溶剤を含む配位子溶液3を付与することで、半導体量子ドットに配位している第3の配位子と、第1の配位子および第2の配位子との間で配位子交換がなされる。また、配位子交換によって半導体量子ドット同士をより近接化でき、半導体量子ドットの集合体の電気伝導性が高まり、高い光電流値や高い外部量子効率を有する半導体膜とすることもできる。
以下各工程についてさらに詳しく説明する。
(半導体量子ドット集合体形成工程)
半導体量子ドット集合体形成工程では、金属原子を含む半導体量子ドット、半導体量子ドットに配位する第3の配位子、および、溶剤を含有する半導体量子ドット分散液を基板上に付与して半導体量子ドットの集合体の膜を形成する。
半導体量子ドット分散液は、基板表面に塗布してもよいし、基板上に設けられた他の層に塗布してもよい。基板上に設けられた他の層としては、基板と半導体量子ドットの集合体との密着を向上させるための接着層、透明導電層等が挙げられる。
半導体量子ドット分散液は、金属原子を有する半導体量子ドット、第3の配位子、溶剤を含有する。半導体量子ドット分散液は、本発明の効果を損なわない限度において、更に他の成分を含有していてもよい。
半導体量子ドット分散液が含有する金属原子を含む半導体量子ドットの詳細は上述のとおりであり、好ましい態様も同様である。半導体量子ドット分散液中の半導体量子ドットの含有量は、1~500mg/mLであることが好ましく、10~200mg/mLであることがより好ましく、20~100mg/mLであることが更に好ましい。半導体量子ドット分散液中の半導体量子ドットの含有量が、1mg/mL以上であることで、基板上の半導体量子ドット密度が高くなり、良好な膜が得られ易い。一方、半導体量子ドットの含有量が、500mg/mL以下であれば、半導体量子ドット分散液を一回付与したときに得られる膜の膜厚が大きくなりにくくなる。そのため、次工程の配位子交換工程において、膜中に存在する半導体量子ドットに配位する第3の配位子の配位子交換を十分に行うことができる。
半導体量子ドット分散液が含有する第3の配位子は、半導体量子ドットに配位する配位子として働くと共に、立体障害となり易い分子構造を有しており、溶剤中に半導体量子ドットを分散させる分散剤としての役割も果たすものが好ましい。
第3の配位子は、半導体量子ドットの分散性を向上する観点から、主鎖の炭素数が少なくとも6以上の配位子であることが好ましく、主鎖の炭素数が10以上の配位子であることがより好ましい。第3の配位子は、飽和化合物でも、不飽和化合物のいずれでもよい。第3の配位子の具体例としては、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エルカ酸、オレイルアミン、ドデシルアミン、ドデカンチオール、1,2-ヘキサデカンチオール、トリオクチルホスフィンオキシド、臭化セトリモニウム等が挙げられる。第3の配位子は、半導体膜形成後に、膜中に残存し難いものが好ましい。具体的には、分子量が小さいことが好ましい。第3の配位子は、半導体量子ドットに分散安定性を持たせつつ、半導体膜に残存し難い観点から、オレイン酸およびオレイルアミンが好ましい。
半導体量子ドット分散液中の第3の配位子の含有量は、半導体量子ドット分散液の全体積に対し、0.1mmol/L~500mmol/Lであることが好ましく、0.5mmol/L~100mmol/Lであることがより好ましい。
半導体量子ドット分散液に含まれる溶剤は、特に制限されないが、半導体量子ドットを溶解し難く、第3の配位子を溶解し易い溶剤であることが好ましい。溶剤としては、有機溶剤が好ましい。具体例としては、アルカン〔n-ヘキサン、n-オクタン等〕、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。半導体量子ドット分散液に含まれる溶剤は、1種のみであってもよいし、2種以上を混合した混合溶剤であってもよい。
半導体量子ドット分散液に含まれる溶剤は、形成される半導体膜中に残存し難い溶剤が好ましい。比較的沸点が低い溶剤であれば、最終的に半導体膜を得たときに、残留有機物の含有量を抑えることができる。また、溶剤としては、基板への濡れ性が良いものが好ましい。たとえば、ガラス基板上に半導体量子ドット分散液を塗布する場合には、溶剤はヘキサン、オクタン等のアルカンが好ましい。
半導体量子ドット分散液中の溶剤の含有量は、半導体量子ドット分散液全質量に対し、50質量%~99質量%であることが好ましく、70質量%~99質量%であることがより好ましく、90質量%~98質量%であることが更に好ましい。
半導体量子ドット分散液は、基板上に付与される。基板の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。基板の構造は単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。基板としては、例えば、ガラス、YSZ(Yttria-Stabilized Zirconia;イットリウム安定化ジルコニウム)等の無機材料、樹脂、樹脂複合材料等で構成された基板を用いることができる。また基板上には、電極、絶縁膜等が形成されていてもよい。その場合には基板上の電極や絶縁膜上に半導体量子ドット分散液が付与される。
半導体量子ドット分散液を基板上に付与する手法は、特に限定はない。スピンコート法、ディップ法、インクジェット法、ディスペンサー法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、スプレーコート法等の塗布方法が挙げられる。
半導体量子ドット集合体形成工程によって形成される半導体量子ドットの集合体の膜の膜厚は、3nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることがより好ましい。上限は、200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが更に好ましい。
(配位子交換工程)
配位子交換工程では、半導体量子ドット集合体形成工程によって形成された半導体量子ドットの集合体の膜に対して、第1の配位子および溶剤を含む配位子溶液1と、第2の配位子および溶剤を含む配位子溶液2とを付与するか、または、第1の配位子、第2の配位子および溶剤を含む配位子溶液3を付与して、半導体量子ドットに配位している第3の配位子を第1の配位子および第2の配位子に交換する。
配位子溶液1および配位子溶液3に含まれる第1の配位子、ならびに、配位子溶液2および配位子溶液3に含まれる第2の配位子の詳細は上述のとおりであり、好ましい態様も同様である。
また、半導体量子ドットに含まれる金属原子に対する第2の配位子の錯安定定数K1が6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、9以上であることが更に好ましい。上記錯安定定数K1が6以上であれば、第3の配位子と第2の配位子との配位子交換を速やかに行うことができ、半導体量子ドット集合体形成工程によって形成された半導体量子ドットの集合体の膜の膜厚が大きくても、膜の底部側まで十分に配位子交換を行うことができる。このため、通常は、半導体量子ドット集合体形成工程と配位子交換工程とを交互に複数回繰り返して所望の膜厚の半導体膜を形成するが、1サイクルあたりに形成される膜厚が大きくても、膜の底部側まで十分に配位子交換を行うことができるので、所望の膜厚の半導体膜を製造する際におけるタクトタイムを短くすることができる。また、上記錯安定定数K1が6以上であれば、半導体量子ドットに第2の配位子を強固に配位させることができ、半導体膜の電気伝導度、光電流値、外部量子効率、外部量子効率の面内均一性などをより向上させることができる。
半導体量子ドット集合体形成工程において、厚さ30nm以上の半導体量子ドットの集合体の膜を形成した場合においては、第2の配位子は、半導体量子ドットに含まれる金属原子に対する錯安定定数K1が6以上であるものが好ましく、8以上であるものがより好ましく、9以上であるものが更に好ましい。また、半導体量子ドットとしてPb原子を含むものを用いた場合(より好ましくはPbSを用いた場合)には、第2の配位子は、Pb原子に対する錯安定定数K1が6以上であるものが好ましく、8以上であるものがより好ましく、9以上であるものが更に好ましい。
配位子溶液1および配位子溶液3に含まれる第1の配位子含有量は、1mmol/L~500mmol/Lであることが好ましく、5mmol/L~100mmol/Lであることがより好ましく、10mmol/L~50mmol/Lであることが更に好ましい。
配位子溶液2および配位子溶液3に含まれる第2の配位子含有量は、0.001v/v%~5v/v%であることが好ましく、0.002v/v%~1v/v%であることがより好ましく、0.005v/v%~0.1v/v%であることが更に好ましい。
配位子溶液1、配位子溶液2および配位子溶液3に含まれる溶剤は、各配位子溶液に含まれる配位子の種類に応じて適宜選択することが好ましく、各配位子を溶解しやすい溶剤であることが好ましい。また、配位子溶液に含まれる溶剤は、誘電率が高い有機溶剤が好ましい。具体例としては、エタノール、アセトン、メタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ブタノール、プロパノール等が挙げられる。
また、配位子溶液に含まれる溶剤は、形成される半導体膜中に残存し難い溶剤が好ましい。乾燥し易く、洗浄により除去し易いとの観点から、低沸点のアルコール、または、ケトン、ニトリルが好ましく、メタノール、エタノール、アセトン、またはアセトニトリルがより好ましい。配位子溶液に含まれる溶剤は半導体量子ドット分散液に含まれる溶剤とは交じり合わないものが好ましい。好ましい溶剤の組み合わせとしては、半導体量子ドット分散液に含まれる溶剤が、ヘキサン、オクタン等のアルカンの場合は、配位子溶液に含まれる溶剤は、メタノール、アセトン等の極性溶剤を用いることが好ましい。
配位子溶液中の溶剤の含有量は、配位子溶液全質量から配位子の含有量を差し引いた残部である。
配位子溶液を、半導体量子ドットの集合体に付与する方法は、半導体量子ドット分散液を基板上に付与する手法と同様であり、好ましい態様も同様である。
(リンス工程)
本発明の半導体膜の製造方法は、半導体量子ドットの集合体の膜にリンス液を接触させてリンスするリンス工程を有していてもよい。リンス工程を有することで、膜中に含まれる過剰な配位子や半導体量子ドットから脱離した配位子を除去することができる。また、残存した溶剤、その他不純物を除去することができる。リンス液には、半導体量子ドット分散液に含まれる溶剤や、配位子溶液を用いることもできるが、膜中に含まれる過剰な配位子や半導体量子ドットから脱離した配位子をより効果的に除去しやすく、量子ドット表面を再配列させる事で膜面状を均一に保ちやすいという理由から非プロトン性溶剤であることが好ましく、非プロトン性極性溶剤であることがより好ましい。リンス液の沸点は、膜形成後容易に除去しやすいという理由から120℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることが更に好ましい。リンス液の沸点は、操作中の不要の濃縮を回避できるという理由から30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることが更に好ましい。以上より、リンス液の沸点は50~90℃であることが好ましい。非プロトン性溶剤の具体例としては、アセトニトリル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられ、沸点が低く膜中に残存しにくいという理由から、アセトニトリルおよびアセトンが好ましい。
リンス工程は、半導体量子ドットの集合体の膜上に、リンス液を注いだり、半導体量子ドットの集合体の膜を、リンス液に浸漬すればよい。また、リンス工程は、半導体量子ドット集合体形成工程の後に行ってもよいし、配位子交換工程の後に行ってもよい。また、半導体量子ドット集合体形成工程と配位子交換工程とのセットの繰り返しの後に行ってもよい。
半導体量子ドット集合体形成工程、配位子交換工程、リンス工程で使用する溶剤の金属不純物は少ないほうが好ましく、金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下である。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの溶剤を用いてもよく、そのような溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンまたはナイロンが好ましい。また、溶剤は異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)を含んでいてもよく、異性体は1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
(乾燥工程)
本発明の半導体膜の製造方法は、乾燥工程を有していてもよい。乾燥工程は、半導体量子ドット集合体形成工程の後に、半導体量子ドットの集合体の膜に残存する溶剤を乾燥して除去する分散液乾燥工程であってもよいし、配位子交換工程の後に、配位子溶液を乾燥する溶液乾燥工程であってもよい。また、半導体量子ドット集合体形成工程と配位子交換工程とのセットの繰り返しの後に行う総合的な工程であってもよい。
以上説明した各工程を経ることによって、基板上に半導体膜が形成される。得られた半導体膜は、駆動耐久性に優れている。
<光電変換素子>
本発明の光電変換素子は、上述した本発明の半導体膜を含む。より好ましくは、光電変換層として本発明の半導体膜を含む。
光電変換素子における本発明の半導体膜の厚みは10nm~600nmであることが好ましく、50nm~600nmであることがより好ましく、100nm~600nmであることが更に好ましく、150nm~600nmであることがより一層好ましい。厚みの上限は、550nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、450nm以下が更に好ましい。
光電変換素子の種類としては、センサなどの光検出素子、太陽電池などの光起電力素子などが挙げられる。本発明の半導体膜は、外部量子効率の面内均一性に優れているので、光検出素子として用いた場合においては特に効果的である。すなわち、光検出素子においては、面内で外部量子効率にばらつきが多いと、ノイズの原因となって、例えばイメージセンサの場合においては取得画像の質劣化を引き起こすことがあり、センサとしての機能が低下しやすい。このため、光検出素子においては特に外部量子効率の面内均一性が高いことが求められているためである。光検出素子の種類としては、フォトコンダクタ型の光検出素子、フォトダイオード型の光検出素子が挙げられる。なかでも、高い信号ノイズ比(SN比)が得られやすいという理由からフォトダイオード型の光検出素子であることが好ましい。
また、本発明の半導体膜は、赤外域の波長の光に対しても優れた感度を有しているので、本発明の光電変換素子は、赤外域の波長の光を検出する光検出素子として好ましく用いられる。すなわち、本発明の光電変換素子は、赤外光検出素子として好ましく用いられる。
上記赤外域の波長の光は、波長700nmを超える波長の光であることが好ましく、波長800nm以上の光であることがより好ましく、波長900nm以上の光であることが更に好ましい。また、赤外域の波長の光は、波長2000nm以下の光であることが好ましく、波長1600nm以下の光であることがより好ましい。
光電変換素子は、赤外域の波長の光と、可視域の波長の光(好ましくは波長400nm~700nmの範囲の光)とを同時に検出する光検出素子であってもよい。
図1に、フォトダイオード型の光検出素子の一実施形態を示す。なお、図中の矢印は光検出素子への入射光を表す。図1に示す光検出素子1は、下部電極12と、下部電極12に対向する上部電極11と、下部電極12と上部電極11との間に設けられた光電変換層13とを含んでいる。図1に示す光検出素子1は、上部電極11の上方から光を入射して用いられる。
光電変換層13は上述した本発明の半導体膜で構成されている。
光検出素子で検出する目的の波長の光に対する光電変換層13の屈折率は2.0~3.0であることが好ましく、2.1~2.8であることがより好ましく、2.2~2.7であることが更に好ましい。この態様によれば、光検出素子をフォトダイオードの構成とした際において、高い光吸収率、すなわち高い外部量子効率を実現しやすくなる。
光電変換層13の厚みは10nm~600nmであることが好ましく、50nm~600nmであることがより好ましく、100nm~600nmであることが更に好ましく、150nm~600nmであることがより一層好ましい。厚みの上限は、550nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、450nm以下が更に好ましい。
光検出素子で検出する目的の光の波長λと、下部電極12の光電変換層13側の表面12aから、光電変換層13の上部電極側の表面13aまでの上記波長λの光の光路長Lλとが下記式(1-1)の関係を満していることが好ましく、下記式(1-2)の関係を満していることがより好ましい。波長λと光路長Lλとがこのような関係を満たしている場合には、光電変換層13において、上部電極11側から入射された光(入射光)と、下部電極12の表面で反射された光(反射光)との位相を揃えることができ、その結果、光学干渉効果によって光が強め合い、より高い外部量子効率を得ることができる。
0.05+m/2≦Lλ/λ≦0.35+m/2 ・・・(1-1)
0.10+m/2≦Lλ/λ≦0.30+m/2 ・・・(1-2)
上記式中、λは、光検出素子で検出する目的の光の波長であり、
λは、下部電極12の光電変換層13側の表面12aから、光電変換層13の上部電極側の表面13aまでの波長λの光の光路長であり、
mは0以上の整数である。
mは0~4の整数であることが好ましく、0~3の整数であることがより好ましく、0~2の整数であることが更に好ましく、0または1であることが特に好ましい。
ここで、光路長とは、光が透過する物質の物理的な厚みと屈折率を乗じたものを意味する。光電変換層13を例に挙げて説明すると、光電変換層の厚さをd、光電変換層の波長λに対する屈折率をNとしたとき、光電変換層13を透過する波長λの光の光路長はN×dである。光電変換層13が2層以上の積層膜で構成されている場合や、光電変換層13と下部電極12との間に後述する中間層が存在する場合には、各層の光路長の積算値が上記光路長Lλである。
上部電極11は、光検出素子で検出する目的の光の波長に対して実質的に透明な導電材料で形成された透明電極であることが好ましい。なお、本発明において、「実質的に透明である」とは、光の透過率が50%以上であることを意味し、60%以上が好ましく、80%以上が特に好ましい。上部電極11の材料としては、導電性金属酸化物などが挙げられる。具体例としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムタングステン、酸化インジウム亜鉛(indium zinc oxide:IZO)、酸化インジウム錫(indium tin oxide:ITO)、フッ素をドープした酸化錫(fluorine-doped tin oxide:FTO)等が挙げられる。
上部電極11の膜厚は、特に限定されず、0.01μm~100μmが好ましく、0.01μm~10μmがさらに好ましく、0.01μm~1μmが特に好ましい。なお、本発明において、各層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)等を用いて光検出素子1の断面を観察することにより、測定できる。
下部電極12を形成する材料としては、例えば、白金、金、ニッケル、銅、銀、インジウム、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、イリジウム、オスニウム、アルミニウム等の金属、上述の導電性金属酸化物、炭素材料および導電性高分子等が挙げられる。炭素材料としては、導電性を有する材料であればよく、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン等が挙げられる。
下部電極12としては、金属もしくは導電性金属酸化物の薄膜(蒸着してなる薄膜を含む)、または、この薄膜を有するガラス基板もしくはプラスチック基板が好ましい。ガラス基板もしくはプラスチック基板としては、金もしくは白金の薄膜を有するガラス、または、白金を蒸着したガラスが好ましい。下部電極12の膜厚は、特に限定されず、0.01μm~100μmが好ましく、0.01μm~10μmがさらに好ましく、0.01μm~1μmが特に好ましい。
なお、図示しないが、上部電極11の光入射側の表面(光電変換層13側とは反対の表面)には透明基板が配置されていてもよい。透明基板の種類としては、ガラス基板、樹脂基板、セラミック基板等が挙げられる。
また、図示しないが、光電変換層13と下部電極12との間、および/または、光電変換層13と上部電極11との間には中間層が設けられていてもよい。中間層としては、ブロッキング層、電子輸送層、正孔輸送層などが挙げられる。好ましい形態としては、光電変換層13と下部電極12との間、および、光電変換層13と上部電極11との間のいずれか一方に正孔輸送層を有する態様が挙げられる。光電変換層13と下部電極12との間、および、光電変換層13と上部電極11との間のいずれか一方には電子輸送層を有し、他方には正孔輸送層を有することがより好ましい。正孔輸送層および電子輸送層は単層膜であってもよく、2層以上の積層膜であってもよい。
ブロッキング層は逆電流を防止する機能を有する層である。ブロッキング層は短絡防止層ともいう。ブロッキング層を形成する材料は、例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化タングステン等が挙げられる。ブロッキング層は単層膜であってもよく、2層以上の積層膜であってもよい。
電子輸送層は、光電変換層13で発生した電子を上部電極11または下部電極12へと輸送する機能を有する層である。電子輸送層は正孔ブロック層ともいわれている。電子輸送層は、この機能を発揮することができる電子輸送材料で形成される。電子輸送材料としては、[6,6]-Phenyl-C61-Butyric Acid Methyl Ester(PC61BM)等のフラーレン化合物、ペリレンテトラカルボキシジイミド等のペリレン化合物、テトラシアノキノジメタン、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムタングステン、酸化インジウム亜鉛、酸化インジウム錫、フッ素をドープした酸化錫等が挙げられる。電子輸送層は単層膜であってもよく、2層以上の積層膜であってもよい。
正孔輸送層は、光電変換層13で発生した正孔を上部電極11または下部電極12へと輸送する機能を有する層である。正孔輸送層は電子ブロック層ともいわれている。正孔輸送層は、この機能を発揮することができる正孔輸送材料で形成されている。例えば、PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4-スチレンスルホン酸))、MoOなどが挙げられる。また、特開2001-291534号公報の段落番号0209~0212に記載の有機正孔輸送材料等を用いることもできる。また、正孔輸送材料には半導体量子ドットを用いることもできる。半導体量子ドットを構成する半導体量子ドット材料としては、例えば一般的な半導体結晶〔a)IV族半導体、b)IV-IV族、III-V族、またはII-VI族の化合物半導体、c)II族、III族、IV族、V族、および、VI族元素の内3つ以上の組み合わせからなる化合物半導体〕
のナノ粒子(0.5nm以上100nm未満大の粒子)が挙げられる。具体的には、PbS、PbSe、PbSeS、InN、InAs、Ge、InAs、InGaAs、CuInS、CuInSe、CuInGaSe、InSb、HgTe、HgCdTe、Ag2S、Ag2Se、Ag2Te、SnS、SnSe、SnTe、Si、InP等の比較的バンドギャップの狭い半導体材料が挙げられる。半導体量子ドットの表面には配位子が配位していてもよい。
<イメージセンサ>
本発明の光電変換装置は、上述した本発明の光電変換素子を含む。本発明の光電変換素子は、赤外域の波長の光に対しても優れた感度を有しているので、赤外線イメージセンサとして特に好ましく用いることができる。
イメージセンサの構成としては、本発明の光電変換素子を備え、イメージセンサとして機能する構成であれば特に限定はない。
イメージセンサは、赤外線透過フィルタ層を含んでいてもよい。赤外線透過フィルタ層としては、可視域の波長帯域の光の透過性が低いものであることが好ましく、波長400nm~650nmの範囲の光の平均透過率が10%以下であることがより好ましく、7.5%以下であることが更に好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
赤外線透過フィルタ層としては、色材を含む樹脂膜で構成されたものなどが挙げられる。色材としては、赤色色材、緑色色材、青色色材、黄色色材、紫色色材、オレンジ色色材などの有彩色色材、黒色色材が挙げられる。赤外線透過フィルタ層に含まれる色材は、2種以上の有彩色色材の組み合わせで黒色を形成しているか、黒色色材を含むものであることが好ましい。2種以上の有彩色色材の組み合わせで黒色を形成する場合の、有彩色色材の組み合わせとしては、例えば以下の(C1)~(C7)の態様が挙げられる。
(C1)赤色色材と青色色材とを含有する態様。
(C2)赤色色材と青色色材と黄色色材とを含有する態様。
(C3)赤色色材と青色色材と黄色色材と紫色色材とを含有する態様。
(C4)赤色色材と青色色材と黄色色材と紫色色材と緑色色材とを含有する態様。
(C5)赤色色材と青色色材と黄色色材と緑色色材とを含有する態様。
(C6)赤色色材と青色色材と緑色色材とを含有する態様。
(C7)黄色色材と紫色色材とを含有する態様。
上記有彩色色材は、顔料であってもよく、染料であってもよい。顔料と染料とを含んでいてもよい。黒色色材は、有機黒色色材であることが好ましい。例えば、有機黒色色材としては、ビスベンゾフラノン化合物、アゾメチン化合物、ペリレン化合物、アゾ化合物などが挙げられる。
赤外線透過フィルタ層はさらに赤外線吸収剤を含有していてもよい。赤外線透過フィルタ層に赤外線吸収剤を含有させることで透過させる光の波長をより長波長側にシフトさせることができる。赤外線吸収剤としては、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、メロシアニン化合物、クロコニウム化合物、オキソノール化合物、イミニウム化合物、ジチオール化合物、トリアリールメタン化合物、ピロメテン化合物、アゾメチン化合物、アントラキノン化合物、ジベンゾフラノン化合物、ジチオレン金属錯体、金属酸化物、金属ホウ化物等が挙げられる。
赤外線透過フィルタ層の分光特性については、イメージセンサの用途に応じて適宜選択することができる。例えば、以下の(1)~(5)のいずれかの分光特性を満たしているフィルタ層などが挙げられる。
(1):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400nm~750nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)で、膜の厚み方向における光の透過率の、波長900nm~1500nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層。
(2):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400nm~830nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)で、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1000nm~1500nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層。
(3):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400nm~950nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)で、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1100nm~1500nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層。
(4):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400nm~1100nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)で、波長1400nm~1500nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層。
(5):膜の厚み方向における光の透過率の、波長400nm~1300nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)で、波長1600nm~2000nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層。
また、赤外線透過フィルタとして、特開2013-077009号公報、特開2014-130173号公報、特開2014-130338号公報、国際公開第2015/166779号、国際公開第2016/178346号、国際公開第2016/190162号、国際公開第2018/016232号、特開2016-177079号公報、特開2014-130332号公報、国際公開第2016/027798号に記載の膜を用いることができる。赤外線透過フィルタは2つ以上のフィルタを組み合わせて用いてもよく、1つのフィルタで特定の2つ以上の波長領域を透過するデュアルバンドパスフィルタを用いてもよい。
本発明のイメージセンサは、ノイズ低減などの各種性能を向上させる目的で赤外線遮蔽フィルタを含んでいてもよい。赤外線遮蔽フィルタの具体例としては、例えば、国際公開第2016/186050号、国際公開第2016/035695号、特許第6248945号公報、国際公開第2019/021767号、特開2017-067963号公報、特許第6506529号公報に記載されたフィルタなどが挙げられる。
本発明のイメージセンサは誘電体多層膜を含んでいてもよい。誘電体多層膜としては、高屈折率の誘電体薄膜(高屈折率材料層)と低屈折率の誘電体薄膜(低屈折率材料層)とを交互に複数層積層したものが挙げられる。誘電体多層膜における誘電体薄膜の積層数は、特に限定はないが、2~100層が好ましく、4~60層がより好ましく、6~40層が更に好ましい。高屈折率材料層の形成に用いられる材料としては、屈折率が1.7~2.5の材料が好ましい。具体例としては、Sb、Sb、Bi、CeO、CeF、HfO、La、Nd、Pr11、Sc、SiO、Ta、TiO、TlCl、Y、ZnSe、ZnS、ZrOなどが挙げられる。低屈折率材料層の形成に用いられる材料としては、屈折率が1.2~1.6の材料が好ましい。具体例としては、Al、BiF、CaF、LaF、PbCl、PbF、LiF、MgF、MgO、NdF、SiO、Si、NaF、ThO、ThF、NaAlFなどが挙げられる。誘電体多層膜の形成方法としては、特に制限はないが、例えば、イオンプレーティング、イオンビーム等の真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)などが挙げられる。高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚みは、遮断しようとする光の波長がλ(nm)であるとき、0.1λ~0.5λの厚みであることが好ましい。誘電体多層膜の具体例としては、例えば、特開2014-130344号公報、特開2018-010296号公報に記載の膜を用いることができる。
誘電体多層膜は、赤外域(好ましくは波長700nmを超える波長領域、より好ましくは波長800nmを超える波長領域、さらに好ましくは波長900nmを超える波長領域)に透過波長帯域が存在することが好ましい。透過波長帯域における最大透過率は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。また、遮光波長帯域における最大透過率は20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。また、透過波長帯域における平均透過率は60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。また、透過波長帯域の波長範囲は、最大透過率を示す波長を中心波長λt1とした場合、中心波長λt1±100nmであることが好ましく、中心波長λt1±75nmであることがより好ましく、中心波長λt1±50nmであることが更に好ましい。
誘電体多層膜は、透過波長帯域(好ましくは、最大透過率が90%以上の透過波長帯域)を1つのみ有していてもよく、複数有していてもよい。
本発明のイメージセンサは、色分離フィルタ層を含んでいてもよい。色分離フィルタ層としては着色画素を含むフィルタ層が挙げられる。着色画素の種類としては、赤色画素、緑色画素、青色画素、黄色画素、シアン色画素およびマゼンタ色画素などが挙げられる。色分離フィルタ層は2色以上の着色画素を含んでいてもよく、1色のみであってもよい。用途や目的に応じて適宜選択することができる。例えば、国際公開第2019/039172号に記載のフィルタを用いることができる。
また、色分離層が2色以上の着色画素を含む場合、各色の着色画素同士は隣接していてもよく、各着色画素間に隔壁が設けられていてもよい。隔壁の材質としては、特に限定はない。例えば、シロキサン樹脂、フッ素樹脂などの有機材料や、シリカ粒子などの無機粒子が挙げられる。また、隔壁は、タングステン、アルミニウムなどの金属で構成されていてもよい。
なお、本発明のイメージセンサが赤外線透過フィルタ層と色分離層とを含む場合は、色分離層は赤外線透過フィルタ層とは別の光路上に設けられていることが好ましい。また、赤外線透過フィルタ層と色分離層は二次元配置されていることも好ましい。なお、赤外線透過フィルタ層と色分離層とが二次元配置されているとは、両者の少なくとも一部が同一平面上に存在していることを意味する。
本発明のイメージセンサは、平坦化層、下地層、密着層などの中間層、反射防止膜、レンズを含んでいてもよい。反射防止膜としては、例えば、国際公開第2019/017280号に記載の組成物から作製した膜を用いることができる。レンズとしては、例えば、国際公開第2018/092600号に記載の構造体を用いることができる。
本発明のイメージセンサは、赤外線イメージセンサとして好ましく用いることができる。また、本発明のイメージセンサは、波長900nm~2000nmの光をセンシングするものとして好ましく用いることができ、波長900nm~1600nmの光をセンシングするものとしてより好ましく用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<実施例1、比較例1>
フラスコ中に22.5mLのオレイン酸と、2mmolの酸化鉛と、19mLのオクタデセンを測りとり、真空下110℃で90分加熱することで、前駆体溶液を得た。その後、溶液の温度を95℃に調整し、系を窒素フロー状態にした。次いで、1mmolのヘキサメチルジシラチアンを5mLのオクタデセンと共に注入した。注入後すぐにフラスコを自然冷却し、30℃になった段階でヘキサン12mLを加え、溶液を回収した。溶液に過剰量のエタノールを加え、10000rpmで10分間遠心分離を行い、沈殿物をオクタンに分散させ、PbS量子ドットの表面にオレイン酸が配位子として配位したPbS量子ドットの分散液(濃度40mg/mL)を得た。得られたPbS量子ドットの分散液の吸収測定から見積もったPbS量子ドットのバンドギャップはおよそ0.80eVであった。得られたPbS量子ドットの分散液を用いて以下の手法で、試験体1及び試験体2を作製した。
(試験体1の作製)
基板として、石英ガラス上に、図2に示す65対のくし型白金電極を有する基板を準備した。くし型白金電極は、BAS社製のくし型電極(型番012126、電極間隔5μm)を用いた。
PbS量子ドットの分散液を上記基板に滴下し、2500rpmでスピンコートして、PbS量子ドット集合体膜を形成した(工程1)。次いで、このPbS量子ドット集合体膜上に、下記表に記載の特定配位子1のメタノール溶液(濃度25mmol/L)である第1の配位子溶液と、下記表に記載の特定配位子2のメタノール溶液(濃度0.01v/v%)である第2の配位子溶液と、を滴下した後、10秒間静置し、2500rpmで10秒間スピンドライした。次いで、リンス液としてメタノールをPbS量子ドット集合体膜上に滴下し、2500rpmで20秒間スピンドライを行うことで、PbS量子ドットに配位している配位子を、オレイン酸から特定配位子1および特定配位子2に配位子交換した(工程2)。工程1と工程2とを1サイクルとする操作を10サイクル繰り返し、配位子がオレイン酸から特定配位子1および特定配位子2に配位子交換されたPbS量子ドット集合体膜である半導体膜を180nmの厚さで形成し、試験体1を作製した。1サイクルあたりに形成されるPbS量子ドット集合体膜の厚さは約18nmであった。
(試験体2の作製)
フッ素ドープ酸化錫膜付き石英ガラス基板上に酸化チタン膜を50nmスパッタリングで成膜した。次に、PbS量子ドットの分散液を上記基板上に成膜した酸化チタン膜上に滴下し、2500rpmでスピンコートして、PbS量子ドット集合体膜を形成した(工程1)。次いで、このPbS量子ドット集合体膜上に、下記表に記載の特定配位子1のメタノール溶液(濃度25mmol/L)である第1の配位子溶液と、下記表に記載の特定配位子2のメタノール溶液(濃度0.01v/v%)である第2の配位子溶液とを滴下した後、10秒間静置し、2500rpmで10秒間スピンドライした。次いで、リンス液としてメタノールをPbS量子ドット集合体膜上に滴下し、2500rpmで20秒間スピンドライを行うことで、PbS量子ドットに配位している配位子を、オレイン酸から特定配位子1および特定配位子2に配位子交換した(工程2)。工程1と工程2とを1サイクルとする操作を10サイクル繰り返し、配位子がオレイン酸から特定配位子1および特定配位子2に配位子交換されたPbS量子ドット集合体膜である光電変換層を180nmの厚さで形成した。1サイクルあたりに形成されるPbS量子ドット集合体膜の厚さは約18nmであった。
次に、光電変換層上に酸化モリブデンを50nm、金を100nm蒸着にて連続蒸着してフォトダイオード型の光検出素子である試験体2を作製した。
(電気伝導度および光電流値)
上記作製した試験体1について、半導体パラメータアナライザー(C4156、Agilent社製)を用いて、半導体膜の電気伝導度および光電流値を測定した。
すなわち、電気伝導度については、試験体1に光を照射しない状態で電極へ+5V印加し、電流値を取得する事で半導体膜の電気伝導度を測定した。光電流値については、試験体1に波長1550nmのモノクロ光(照射強度40μW/cm)を照射した状態での光電流値を測定して評価した。光照射には、モノクロ光源システムMLS-1510(朝日分光(株)製)を用いた。
(外部量子効率および駆動耐久性)
上記作製した試験体2を用いて外部量子効率および駆動耐久性を評価した。
すなわち、試験体2に2Vの逆方向電圧を印加した状態で波長1550nmのモノクロ光(照射強度40μW/cm)を照射した際の外部量子効率(EQE)を測定した。外部量子効率(EQE)については、光を照射した状態での電流値から光を照射しない状態での電流値を差し引いて、光照射によって発生した電子数を算出した。光照射によって発生した電子数を照射した光のフォトン数で割ることによって、外部量子効率(EQE)の値を得た。
また、駆動耐久性については、上記外部量子効率の測定を100回繰り返して行った後の、外部量子効率の低減度(1回目に測定した外部量子効率の値-100回目に測定した外部量子効率の値)を算出して評価した。外部量子効率の低減度の値が小さいほど駆動耐久性に優れていることを意味する。
上記表に示すように、実施例1は、電気伝導度、光電流値、外部量子効率については比較例1とほぼ同程度の特性を有しつつ、比較例1よりも外部量子効率の低減度の値が小さく、駆動耐久性が優れていた。
<実施例2~13、比較例2、3>
実施例1において、特定配位子1および特定配位子2を下記表に記載の配位子に変更した以外は、実施例1と同様にして試験体2を作製した。得られた試験体2を用いて駆動耐久性を評価した。実施例2~13、比較例2、3の外部量子効率の低減度の値を下記表に記す。また、比較例1の外部量子効率の低減度の値についても合わせて記す。
上記表の特定配位子1の欄に記載の配位子は、本発明における第1の配位子に該当するものである。また、上記表の特定配位子2の欄に記載の配位子のうち、4-メルカプトブタン酸、3-アミノプロパノール、3-メルカプトプロパノール、N-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン、3-(ビス(3アミノプロピル)アミノ)プロパン-1-オール、3-アミノプロピルホスホン酸および4-メルカプトブタン酸は、本発明における第2の配位子に該当するものである。
また、実施例11では、第1の配位子溶液として、ZnIを12.5mmol/Lと、CdClを12.5mmol/Lの濃度で混合したメタノール溶液を用いた。また、実施例12では、第2の配位子溶液として、4-メルカプトブタン酸を0.005v/v%と3-アミノプロパノールを0.005v/v%の濃度で混合したメタノール溶液を用いた。また、実施例13では、4-メルカプトブタン酸を0.008v/v%と3-メルカプトプロピオン酸を0.002v/v%の濃度で混合した第2の配位子溶液を用いた。また、比較例2は第1の配位子溶液のみを使用して配位子交換を行った。また、比較例3は第2の配位子溶液のみを使用して配位子交換を行った。
上記表に示すように、実施例2~13は、いずれも比較例1~3よりも外部量子効率の低減度の値が小さく、駆動耐久性が優れていた。また、実施例2~13は実施例1と同程度の外部量子効率を有していた。
実施例13において、3-メルカプトプロピオン酸をチオグリコール酸に置き換えた以外は実施例13と同様に評価して試験体2を作製し、得られた試験体2を用いて駆動耐久性を評価した結果、実施例13と同様の結果が得られた。
<実施例14>
試験体1及び試験体2の作製において、工程2で使用したリンス液の種類をメタノールからアセトニトリルに変更した以外は、実施例1と同様にして試験体2を作製した。得られた試験体2を用いて駆動耐久性を評価したところ、外部量子効率の低減度(1回目に測定した外部量子効率の値-100回目に測定した外部量子効率の値)は0.7%であり、実施例1よりも向上していた。
<実施例15>
工程2において、PbS量子ドット集合体膜上に、配位子溶液として、4-メルカプトブタン酸を0.01v/v%、ZnIを25mmol/L含むメタノール溶液を滴下した以外は、実施例1と同様にして試験体1、2を作製した。得られた試験体1、2を用いて電気伝導度、光電流値、外部量子効率および駆動耐久性を評価したところ、実施例1と同様の性能であった。
上記実施例で得られた光検出素子を用い、国際公開第2016/186050号および国際公開第2016/190162号に記載の方法に従い作製した光学フィルタと共に公知の方法にてイメージセンサを作製し、固体撮像素子に組み込むことで、良好な可視、赤外撮像性能を有するイメージセンサを得ることができる。
各実施例において、光電変換層の半導体量子ドットをPbSe量子ドットに変更しても同様の効果が得られる。
1:光検出素子
11:上部電極
12:下部電極
13:光電変換層
14:65対のくし型電極
15:参照電極
16:カウンター電極
17:作用電極
18:石英ガラス

Claims (20)

  1. 金属原子を含む半導体量子ドットの集合体と、
    前記半導体量子ドットに配位する配位子と、を含み、
    前記配位子は、無機ハロゲン化物である第1の配位子と、式(A)~(C)のいずれかで表される第2の配位子と、を含み、
    前記第1の配位子は、臭化インジウム、臭化亜鉛、塩化亜鉛、塩化カドミウムおよびヨウ化亜鉛から選ばれる少なくとも1種である、半導体膜;
    式(A)中、XA1およびXA2のいずれか一方はチオール基で、他方はアミノ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン基を表し、
    A1は炭化水素基を表し、XA1とXA2はLA1によって、3~10原子隔てられている;
    式(B)中、XB1およびXB2はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
    B3は、S、OまたはNHを表し、
    B1およびLB2は、それぞれ独立して炭化水素基を表し、
    B1とXB3はLB1によって、3~10原子隔てられており、
    B2とXB3はLB2によって、1~10原子隔てられている;
    式(C)中、XC1~XC3はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
    C4は、Nを表し、
    C1~LC3は、それぞれ独立して炭化水素基を表し、
    C1とXC4はLC1によって、3~10原子隔てられており、
    C2とXC4はLC2によって、1~10原子隔てられており、
    C3とXC4はLC3によって、1~10原子隔てられている。
  2. 前記半導体量子ドットはPb原子を含む、請求項1に記載の半導体膜。
  3. 前記第1の配位子を2種以上含む、請求項1または2に記載の半導体膜。
  4. 前記式(A)のXA1およびXA2のいずれか一方はチオール基で、他方はアミノ基またはカルボキシ基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体膜。
  5. 前記式(B)のXB1およびXB2の少なくとも一方は、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシ基であり、
    前記式(C)のXC1~XC3の少なくとも一つは、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシ基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体膜。
  6. 前記第2の配位子が、4-メルカプトブタン酸N-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン、3-(ビス(3アミノプロピル)アミノ)プロパン-1-オールおよびこれらの誘導体から選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体膜。
  7. 更に、前記第1の配位子および前記第2の配位子以外の配位子を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体膜。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体膜を含む光電変換素子。
  9. フォトダイオード型の光検出素子である、請求項8に記載の光電変換素子。
  10. 請求項8または9に記載の光電変換素子を含むイメージセンサ。
  11. 波長900nm~1600nmの光をセンシングする、請求項10に記載のイメージセンサ。
  12. 金属原子を含む半導体量子ドット、前記半導体量子ドットに配位する配位子であって無機ハロゲン化物である第1の配位子および式(A)~(C)のいずれかで表される第2の配位子とは異なる第3の配位子、および、溶剤を含有する半導体量子ドット分散液を基板上に付与して半導体量子ドットの集合体の膜を形成する半導体量子ドット集合体形成工程と、
    前記半導体量子ドット集合体形成工程によって形成された前記半導体量子ドットの集合体の膜に対して、無機ハロゲン化物である第1の配位子および溶剤を含む配位子溶液1と、式(A)~(C)のいずれかで表される第2の配位子および溶剤を含む配位子溶液2とを付与するか、または、無機ハロゲン化物である第1の配位子、式(A)~(C)のいずれかで表される第2の配位子および溶剤を含む配位子溶液3を付与して、前記半導体量子ドットに配位する前記第3の配位子を前記第1の配位子および前記第2の配位子に交換する配位子交換工程と、
    を含み、
    前記第1の配位子は、臭化インジウム、臭化亜鉛、塩化亜鉛、塩化カドミウムおよびヨウ化亜鉛から選ばれる少なくとも1種である、半導体膜の製造方法;
    式(A)中、XA1およびXA2のいずれか一方はチオール基で、他方はアミノ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン基を表し、
    A1は炭化水素基を表し、XA1とXA2はLA1によって、3~10原子隔てられている;
    式(B)中、XB1およびXB2はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
    B3は、S、OまたはNHを表し、
    B1およびLB2は、それぞれ独立して炭化水素基を表し、
    B1とXB3はLB1によって、3~10原子隔てられており、
    B2とXB3はLB2によって、1~10原子隔てられている;
    式(C)中、XC1~XC3はそれぞれ独立して、チオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基またはホスホン酸基を表し、
    C4は、Nを表し、
    C1~LC3は、それぞれ独立して炭化水素基を表し、
    C1とXC4はLC1によって、3~10原子隔てられており、
    C2とXC4はLC2によって、1~10原子隔てられており、
    C3とXC4はLC3によって、1~10原子隔てられている。
  13. 前記式(A)のXA1およびXA2のいずれか一方はチオール基で、他方はアミノ基またはカルボキシ基である、請求項12に記載の半導体膜の製造方法。
  14. 前記第2の配位子が、4-メルカプトブタン酸N-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン、3-(ビス(3アミノプロピル)アミノ)プロパン-1-オールおよびこれらの誘導体から選択される少なくとも1種である、請求項12に記載の半導体膜の製造方法。
  15. 前記半導体量子ドットの集合体の膜に非プロトン性溶剤を接触させてリンスするリンス工程を含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の半導体膜の製造方法。
  16. 前記非プロトン性溶剤が、非プロトン性極性溶剤である、請求項15に記載の半導体膜の製造方法。
  17. 前記非プロトン性溶剤が、アセトニトリルおよびアセトンから選ばれる少なくとも1種である、請求項15に記載の半導体膜の製造方法。
  18. 前記半導体量子ドット集合体形成工程では、厚さ30nm以上の半導体量子ドットの集合体の膜を形成し、
    前記半導体量子ドットに含まれる金属原子に対する前記第2の配位子の錯安定定数K1が6以上である、請求項12~17のいずれか1項に記載の半導体膜の製造方法。
  19. 前記半導体量子ドットに含まれる金属原子に対する前記第2の配位子の錯安定定数K1が8以上である、請求項18に記載の半導体膜の製造方法。
  20. 前記半導体量子ドットはPb原子を含み、
    Pb原子に対する前記第2の配位子の錯安定定数K1が6以上である、請求項18に記載の半導体膜の製造方法。
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