JP7402461B2 - 地盤取り込み式の締固め工法 - Google Patents
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Description
すなわち、薬液注入では、注入材が土粒子間へ浸透し固結する。セメント系注入では、地盤内でセメントグラウトが脈状に固結する。ジェットグラウトでは、固化材と土粒子を高圧噴射により強制的に攪拌混合しソイルモルタル状の固結体を形成する。これに対して静的圧入締固め工法では、改良材を地盤中に圧入して改良体(塊)を造成し、この改良体による締固め効果で周辺地盤を圧縮強化する。
したがって、静的圧入締固め工法の改良原理は「密度増大」であるのに対し、薬液注入工法などの注入工法の改良原理が「固化」又は「固結」であり、静的圧入締固め工法と他の注入工法は全く異なる技術である。
特許文献2には、コンパクショングラウチング工法の改良技術が開示されている。
図1には、静的圧入締固め工法の施工態様の概略が示されている。この静的圧入締固め工法では、ボーリングマシンを用いて、ロッド状の注入管11を複数本継ぎ足しながら所定深度まで削孔する。注入管下端が目標深度まで到達したら、貫入状態の注入管11に注入管リフト装置13をセットするとともに、該注入管を流量圧力監視装置15,圧送ホース19を介して特殊注入ポンプ21に接続する。特殊注入プラント23で生成された改良材(例えば特殊骨材・固化材・水で構成される流動性の極めて低いモルタル状の地盤改良材)は、特殊注入ポンプ21で強制圧送され、圧送ホース19、流量圧力監視装置15、注入管11を介して地盤中に圧入される。改良材の圧入工程では、改良材の圧送と注入管11の一定の深度毎にステップアップ(注入管の引抜き)とを繰り返す。
このように、特許文献1に開示の技術(以下必要に応じて「CPG施工」又は「従来技術1」という。)では、地盤に対して改良材を必要以上に圧入した場合に地盤隆起が発生するため、それ以上改良材を圧入できなくなっていた。例えば、設計注入率が10 %の改良に対して注入率が5 %の段階で許容隆起量に達した場合、これ以上の圧入ができなくなっていた。
そして、締固め工法において上述したような隆起が発生すると、隆起した体積分だけ地盤を側方に圧縮していないことになるため、地盤の締固めが低減し、地盤の密度及び静止土圧係数(K0値)の増加がそれぞれ低減していた。
又従来技術1では、地盤隆起や改良体形状等に関連して次のような問題が生じていた。
特許文献2には、上述した地盤隆起の問題を解決する手段が開示されており、具体的には、圧入実施中又は圧入工程完了後に、その時圧入していた区間の改良体中を、注入管で上下に繰返し移動させて隆起抑制することが、特許文献2に開示されている。
深層混合処理工法では、セメント等の固化材を地盤に供給し、原地盤の軟弱土と固化材を強制的に混合攪拌する。この深層混合処理工法には次のような問題があった。
C=Cp×ap+κ×C0×(1-ap)
ここに、C: 深層混合処理工法の複合地盤の平均強度、Cp:改良体のせん断強さ、ap:改良率、C0:原地盤のせん断強さ、κ:係数、である。このように,深層混合処理工法では,改良体間の地盤のせん断強さが原地盤と同じであり,締固め工法のようなせん断強さの増加を見込むことはできない。
そこで、上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、施工に伴う隆起等の地盤変位を更に抑制することができ、従来よりも有効径が大きい改良体を造成することを可能にする、地盤取り込み式の締固め工法を提供することにある。
従来よりも有効径が大きい地盤改良体を提供することにある。
周辺地盤を締め固めるための改良材を注入管を介して地盤内に圧入する工程と、
圧入済み改良材の内部に地盤が取り込まれるように、注入管を進退動させる工程と、
を含む地盤取り込み式の締固め工法によって達成される。
圧入した改良材の体積以上に地盤改良体の体積が大きくなることで、改良材の圧入量を減らすことが可能になる。
圧入量が減ることで、工期短縮につながり経済性が増す。つまり、従来よりも短工期・低コストでの施工が可能になる。
地盤改良体の径が大きくなることで、地震によって改良体が動きづらくなる。
地盤改良体が動きづらくなることで、仮に液状化が発生したとしても、側方流動の抑止になる。
更に大きな径の地盤改良体は断面積が大きいため、想定以上の地震により液状化現象が発生した場合に、地盤沈下の抑制になる。
大きな径の地盤改良体を造成することによって、地盤改良体と地盤改良体の間隔(配置間隔)が狭くなる。
地盤改良体の配置間隔が狭くなることで、地盤改良体と地盤改良体の間の地盤をこれまで以上に圧縮することができる。
地盤をこれまで以上に圧縮することができるため、側方の締固め効果が増大する。
地盤の締固めが向上し、地盤の密度、静止土圧係数(K0値)が増大する。
地盤のN値、液状化強度等の改良効果がそれぞれ向上する。
地盤改良体の径が大きくなり且つ、杭間(地盤改良体と地盤改良体の間)のN値が増加するため、本発明では改良体間の地盤の強度増加が見込めるので,複合地盤としての平均強度は以下のようになる。
C=Cp×ap+κ×C1×(1-ap)
ここに、C: 深層混合処理工法の複合地盤の平均強度、Cp:改良体のせん断強さ、ap:改良率、C1:改良後の地盤のせん断強さ、κ:係数、である。このように,従来の深層混合処理工法で改良した複合地盤よりもより大きな複合地盤としての強度(平均強度)を見込むことができる。
締固め効果が増大するため、施工に伴い発生する隆起等の地盤変位をこれまで以上に低減できる。
隆起等の地盤変位量が少ないため、現場の許容変位量を超えることによる施工中止又は中断がなくなり、改良材の圧入が計画どおり最後までできる。
許容変位量を超えることがなくなり、隆起等の地盤変位による既設構造物の損傷がなくなる。
既設構造物を損傷しないため、隆起等の許容変位量がシビアな重要構造物等に、施工の適用できる。
所定の改良効果が得られるため、改良材の追加圧入が不要になる。
改良材の追加圧入が不要になり、工期が無駄に伸びることがなくなるので、施工の経済性がよくなる。
改良材の追加圧入が無くなるので、従来技術で生じていたような追加圧入に起因する隆起等の地盤変位がなくなる。
アップダウン施工(従来技術2)と同数の施工本数の改良を行う場合には、アップダウン施工よりも高い改良効果(N値、液状化強度等)を得ることができる。
改良効果としてアップダウン施工と同等のN値、液状化強度等を要求される場合は、アップダウン施工よりも施工本数を減らすことができる。
施工本数が減ることで、工期短縮が図れ、経済性が増す。つまり、短工期・低コストでの施工が可能になる。
圧入量と地盤の圧縮量が等しい比例限界点を超え、以後の圧入によって隆起等の地盤変位が発生し得る状況に至っても、その変位量(体積)分の地盤が圧入済み改良材に取り込まれるので隆起等の地盤変位量が大幅に低減される(図4参照)。
隆起等の地盤変位量が少ないため、現場の許容変位量を超えることによる施工中止又は中断がなくなり、改良材の圧入が計画どおり最後までできる。
許容変位量を超えることがなくなり、隆起等の地盤変位による既設構造物の損傷がなくなる。
既設構造物を損傷しないため、隆起等の許容変位量がシビアな重要構造物等の施工の適用できる。
側方に広がることによって、地盤の側方への締固め効果が向上する。
改良材が注入管の上部に逃げることができないので、改良材によって地盤を押し上げる力が低減され、隆起等の地盤変位量が減る。
改良体が扁平のため、このような扁平形状の改良体(扁平体)を積み重ねてできた地盤改良体は、球体を積み上げて造成した従来の地盤改良体よりも、くびれが小さくなる。
くびれが小さい地盤改良体が造成されるため、従来技術よりも有効径が大きな地盤改良体を造成できる(図5(b)参照)。ここで言う有効径とは、上面から改良体を投影した時の最小の径としたものである。
有効径が大きくて略円柱状の地盤改良体を造成できるため、地中に造成する地盤改良体を「杭体」として機能させることができる。
更に、注入管の外径が大きいことで、造成途中の改良体から注入管を引き離したときに大きな窪み(凹部)が改良体にできる。
注入管と改良体の縁が切れやすく、又、注入管を引き離したときに大きな窪みが改良体にできることから、積極的に改良体の内部に地盤を取り込めるようになる。
上記の関係は次式によって表すことができる。
CV=A×L×1(繰返し回数)
繰返し1回分の繰返し体積が大きくなることで、任意の繰返し体積に達する繰返し回数を減らすことができる。
繰返し回数が減ることで、施工時間の短縮を図ることができる。
例えば空港等の施工時間に制限がある施工場においても、注入管の進退動は施工時間を圧迫することなく、適用できるようになる。
このように施工時間が短縮できるため、工期が短縮でき、経済性が向上する。
繰返し回数が減ることによって、注入管の進退動による、注入管の閉塞のリスクが減少する。
繰返し回数が減り、作業時間が短縮できるため、改良材がホースや注入管の途中で固化することがなくなり、施工不能を招くことなく設計どおりに地盤改良体を造成できるようになる。
具体的には、注入管の断面積比は、従来技術で採用されている2.2(外径φ73 mmの断面積、内径φ50 mmの断面積)よりも大きく設定する。なお、「外径φ73 mmの断面積、内径φ50 mmの断面積」の場合、従来技術で採用されている断面積比は、厳密に言えば、2.1316となる。
このように、使用する注入管の断面積比を従来のものよりも大きくすることによって、注入管の肉厚が大きくなる(図6(b)参照)。
注入管の肉厚が大きくなることで、その進退動の繰返しの際に、注入管の流路(内空部)への地盤の逆流を低減できる(図7参照)。
注入管の肉厚が大きくなることで、地盤を押し込む面積が大きくなるので、改良体の内部に入った地盤を、注入管の貫入時に等方に突固めしながら地盤を取り込むことができる(図7参照)。
このように注入管を進退動させることで、造成している改良体の内部に地盤が流入しやすくなる。
圧入済み改良材(造成途中の改良体の天端)の上部に存在する地盤を押し込みながら圧入済み改良材の内部を貫入していくので、造成途中の改良体の内部に効率的に地盤を取り込むことができる。
このようなインターバル時間を設けることで、造成している改良体の上部にある地盤が該改良体の内部に落ち込む時間ができるため、効率よく地盤を取り込むことができる。
例えば、注入管の貫入までのインターバル時間を長くとることによって、造成途中の改良体にできた窪みの中に多くの地盤を取り込むことができる。
地盤の取り込み量が増加するため、注入管の進退動の繰返し回数を減らすことができる。
繰返し回数が低減できるので、施工時間が短縮でき経済性が増す。
このように低流動性の改良材を使用することによって、一度圧入済み改良材に取り込んだ地盤が、逸走することがなくなる。
つまり、圧入済み改良材の内部に地盤を一度取り込んでしまえば、該改良材の内部に密封することができるため、地盤を取り逃すことがない。
締固め工法で造成する地盤改良体に、上記のような特徴を採用することで、その造成時における隆起等の地盤変位を抑制することができる。
締固め工法の第1実施形態では、図2に示すように下から上へ向かう施工方式に従って改良体を造成する。
なお、図3では改良体を簡略化して図示しているが、地盤中における改良体の形状は、土層状況に応じていびつな形状となる(図5参照)。
なお、本実施形態で言及する「圧入済み改良材(造成途中の改良体)の内部に取り込まれる“地盤”」とは、造成する改良体周りに存在する地盤である。具体例としては、粘土、シルト、砂、礫またはこれらが混りあったものなどがあるが、改良対象となる地盤であれば、これらに限ったものではない。
図3(a)に示す状態から注入管を後退させて、造成途中の改良体から注入管先端を引き離すと、その痕跡として図3(b)に示すように、造成途中の改良体の天端に大きな窪み(凹部)が形成される。
造成途中の改良体から注入管先端を引き離すことで、図3(c)に示すように、造成途中の改良体の窪みに地盤が流れ込む。
そして、改良体天端の窪みに地盤が流れ込んだ状態から、注入管を前進させて、図3(d)に示すように造成途中の改良体に対し貫入させる。このように注入管を貫入させることで、窪みに流れ込んでいた地盤が注入管先端部によって押し込まれて、改良体の内部に取り込まれる。
造成している改良体の内部に地盤を取りこむことによって達成される効果は、図4に示すとおりである。
CPG工法では改良材の圧入量が比例限界点に達すると、それ以降は、地盤に隆起が発生する。
アップダウン施工ではCPG工法以上に比例限界点に達する圧入量が増加するが、比例限界点以降は、地盤に隆起が発生する。
アップダウン施工で発生する隆起体積分(図4において略三角形のハッチングで示す)の地盤は、本発明では造成する改良体の内部に取り込まれるので、隆起が大幅に低減される。
本発明で使用する注入管の外径は特に限定されないが、従来技術で使用している注入管の外径よりも大きいことが好ましく、具体的には、従来技術で採用している注入管の外径 73 mmよりも大きいことが好ましい。
図5(a)に示すように外径の小さな注入管を使用して、改良材を圧入した場合、注入管先端から排出された改良材は、地中で該注入管の外側を回り込み、上載圧の小さな上方へ向かって成長する。したがって、このような外径の小さな注入管を使用して、改良体を連続して造成すると、造成途中の地盤改良体の外観は図5(a)に示す様になる。
一方、図5(b)に示すように外径の大きな注入管を使用して、改良材を圧入した場合は、圧入済み改良材の上部に注入管が位置するため、該改良材は上方に行くことができずに地中で側方に広がる。この場合に造成される個々の改良体は図5(b)に示すように扁平となる。したがって、このような外径の大きな注入管を使用して、改良体を連続して造成すると、造成途中の地盤改良体の外観は図5(b)に示す様になる。
このため、図5(a)(b)を比較することで分かるとおり、図5(b)に示す大きな注入管の方が、造成する地盤改良体のくびれが小さくなり有効径が大きくなる。
又図6において、破線で区切られたそれぞれの圧入済み改良材は、それぞれ同体積である。
図6(b)に示す外径の大きな注入管を使用して造成した改良体は、扁平となるため、注入管の引き上げ時に改良体と注入管の縁が切れやすく、間から地盤が流入しやすい。又、外径の大きな注入管を引き上げた場合に大きな窪みが改良体にでき、そこに地盤がたまりやすい。
したがって、図6(b)に示すように外径の大きな注入管を用いることで、圧入済み改良材(造成途中の改良体)の内部により多くの地盤を取り込むことができる。
本発明では、使用する注入管の断面積比(外径の断面積/内径の断面積)を従来技術のものよりも大きくすることが好ましい。具体的には、注入管の断面積比は、従来技術で採用されている2.2(外径φ73 mmの断面積、内径φ50 mmの断面積)よりも大きく設定する。
このように、使用する注入管の断面積比を従来のものよりも大きくすることによって、注入管の肉厚が大きくなる(図6(b)参照)。
又、図7が示すように、注入管の肉厚が大きくなることで、その進退動の繰返しの際に、注入管の流路(内空部)への地盤の逆流を低減できる。
注入管の肉厚が大きくなることで、地盤を押し込む面積が大きくなるので、改良体の内部に入った地盤を、注入管の貫入時に等方に突固めしながら地盤を取り込むことができる。
本発明で利用可能な改良材は特に限定されないが、例えば低流動性の材料を用いることができる。「低流動性」の材料は、地盤に圧入する段階で既に流動性が低いものであってもよく、又、圧送ホースや注入管の中を圧送している段階では流動性が低いとはいえないが、地盤内に圧入された後に脱水によって(又は経時的に)流動性が低くなるものであってもよい。
出願人の経験によれば、改良材のスランプ値が 7 cm以下、好ましくは 5 cm以下であれば、軟弱地盤や砂れき層であっても改良材で割裂脈を形成したり地盤を破壊することなく、地盤を押し広げて密度を増加させることができることが確認されている。この場合の「スランプ値が 7 cm以下」の材料には、圧入する段階で既にスランプ値 7 cm以下の材料が含まれ、又、地盤内に圧入された後に流動性を失ってスランプ値 7 cm以下に至る材料も含まれる。
このようなグラウト材は、懸濁液と可塑剤を混合することにより生成され、例えば、硬化発現材としてセメント懸濁液やセメントベントナイト懸濁液、或はスラグやフライアッシュに消石灰を加えた懸濁液に可塑剤として水ガラスやアルミニウム塩、粘土鉱物、高分子材等を合流したものを使用することができ、必要に応じて、骨材、添加剤(エア発生剤、分散剤、遅延剤、強度促進剤、増粘剤等)を配合してもよい。
このような改良材として、例えば砂杭材料に流動化剤を加えたものを用いることができる。又、流動化剤を加えた砂杭材料を地盤中に圧入する過程で塑性化剤を加え、塑性化した砂杭材料で改良体を造成するようにしてもよい。砂杭材料としては、従来の砂杭造成工法で使用されてきた公知の材料を用いることができ、例えば、砂、シルトや礫を含む砂、砕石、スラグ、リサイクル材などを用いることができる。
締固め工法の第2実施形態の概要を図8に示す。
第2実施形態では、前述した第1実施形態と同様に図2に示すような下から上へ向かう施工方式に従って地盤改良体を造成する。
前述した第1実施形態では、1ステップ分の圧入によって改良体1体分の改良材を地盤内に圧入しいるが、第2実施形態では、複数のステップ分の圧入によって改良体複数体分の改良材を地盤内に圧入してもよい。例えば図8では、3ステップ分の圧入によって、改良体3体分の改良材を地盤内に圧入する。
又、前述した第1実施形態では、地盤取り込みのための注入管の進退動を1回のみ実施しているが、第2実施形態では、注入管の進退動を複数回繰り返す。
以下、図8に基づいて本実施形態の特徴的部分を説明する。
改良体3体分の改良材の圧入が完了し、注入管を1ステップアップした状態である。
この時、最も上に位置する改良体3体目の天端には、注入管の引き抜き跡である窪み(凹部)が形成され、その中に地盤が落ち込んでいる。
改良体3体目から1体目にかけて、注入管が貫入している状況である。
この工程では、注入管が、改良体の天端にたまっていた地盤を改良体の内部に押し込んでいる。これにより、造成している改良体の内部に地盤が取り込まれる。
改良体1体目から3体目にかけて、注入管を引き上げた状況である。
改良体の内部は、注入管が引き上げられた後、収縮して内側で密着する。従って、工程(b)で押し込められた地盤は、改良体の内部に閉じ込められる。
そして、注入管を引き上げることで、改良体の天端には再び窪み(凹部)が形成され、その中に再び地盤が落ち込んでいる。
上記工程cで改良体の天端に落ち込んだ地盤を、注入管の貫入によって、改良体の内部に押し込んでいる。これにより、造成している改良体の内部に再び地盤が取り込まれる。
実験で用いた模型地盤のモデル図を図9に示す。
模型地盤の注入条件を表2に示す。
模型地盤は、下層に厚さ300 mmの砂層(改良対象層)および上層に厚さ100 mmの砕石層(非改良対象層)を敷設した2層で構成され、水位は砕石層の天端とした。
砂は東北7号硅砂 (ρs=2.631 g/cm3,emax=1.120,emin=0.609) を使用し、初期相対密度40 %を目標とし、水中落下法により作製した。
改良材としてモルタルを使用し、総量680 cm3のモルタルを改良体1体当たり30 mmずつ引き上げながら、10体に分けて圧入した。これにより、改良体10体が鉛直方向で連なって構成される略柱状の地盤改良体を1体造成した。
注入管は、外径がそれぞれφ15.0 mm, φ19.0 mm, およびφ24.0 mmを使用し、モルタルの圧入および注入管の進退動(貫入及び引き上げ)を行った。なお、注入管の内径は全てφ6.0 mmで統一した。
図10に地盤改良体の地盤の取り込み率を示す。
地盤の取り込み率とは、改良体に取り込まれた砂の乾燥重量を初期地盤の乾燥重量で除した値である。
図11に繰返し体積と地盤改良体の直径の最大値の関係を示す。
本実験のモルタル圧入量から想定される地盤改良体の換算改良径(改良体を均一な円柱と仮定した場合の直径)は、54 mmである。
図11が示す通り繰返し体積が大きなものほど、造成する各改良体中により多くの地盤を取り込んで、地盤改良体の直径の最大値が大きくなり、拡径することが明らかになった。
図12に繰返し体積と地点隆起量の関係を示す。
繰返し体積が大きいものほど、造成中の改良体に地盤を取り込んで拡径するため、地盤を圧縮する。このため地点隆起量が小さくなり、繰返し体積が12,000 cm3以上の実験ケースでは、隆起が発生しなくなった。
地盤取り込みにより拡径した地盤改良体を含む地盤の模式図を図13に示す。
図15に注入管の断面積比に対する繰返し体積率の変化を示す。
(1) 外径φ10.5 mm、内径φ6 mm
(2) 外径φ15 mm、内径φ6 mm
(3) 外径φ19 mm、内径φ6 mm
(4) 外径φ24 mm、内径φ6 mm
(1) 外径φ73 mm、内径φ50 mm
(2) 外径φ165 mm、内径φ50 mm
外径φ73 mm、内径φ50 mmの注入管(断面積比:2.2)よりも断面積比を大きく設定することで、繰返し回数の割合が減ることが分かった。
特に、注入管の断面積比が5以上の場合には、繰返し回数を約5割低減できるため、工期短縮につながる。
11 注入管(削孔注入ロッド)
13 注入管リフト装置
15 流量圧力監視装置
19 圧送ホース
21 特殊注入ポンプ
23 特殊注入プラント
Claims (6)
- 無振動で地盤を締固める静的圧入締固め工法であって、
周辺地盤を締め固めるための改良材を注入管を介して地盤内に圧入する工程と、
前記注入管が圧入済み改良材の内部に貫入するように、かつ、圧入済み改良材の内部に地盤が取り込まれるように、前記注入管を進退動させる工程と、
を含むことを特徴とする締固め工法。 - 注入管を進退動させる工程において、
後退させた注入管の先端と圧入済み改良材との間に間隔が生じるように、注入管を進退動させる、ことを特徴とする請求項1に記載の締固め工法。 - 注入管を進退動させる工程において、
注入管の後退させた後に、インターバル時間を設け、その経過後に注入管を前進させる、ことを特徴とする請求項1乃至2の何れかに記載の締固め工法。 - 前記改良材が、低流動性の改良材からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の締固め工法。
- 前記注入管の外径が73mmよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の締固め工法。 - 前記注入管の断面積比(外径の断面積/内径の断面積)が2.2よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の締固め工法。
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