JP5598999B2 - 締固め工法及び隆起量管理装置 - Google Patents

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本発明は、地盤の密度を増加させて地盤強化を図る地盤改良技術に関するものであり、特に、無振動・低騒音で地盤を締固める静的圧入締固め工法を利用した地盤改良方法とこれに用いる地盤隆起量管理装置に関するものである。
なお、静的圧入締固め工法以外にも、各種の注入工法(薬液注入、セメント系注入、ジェットグラウトなど)があるが、静的圧入締固め工法は、薬液注入工法等とは全く異なる技術である。
すなわち、薬液注入では、注入材が土粒子間へ浸透し固結する。セメント系注入では、地盤内でセメントグラウトが脈状に固結する。ジェットグラウトでは、固化材と土粒子を高圧噴射により強制的に攪拌混合しソイルモルタル状の固結体を形成する。これに対して静的圧入締固め工法では、改良材を地盤中に圧入して改良体(塊)を造成し、この改良体による締固め効果で周辺地盤を圧縮強化する。
したがって、静的圧入締固め工法の改良原理は「密度増大」であるのに対し、薬液注入工法などの注入工法の改良原理が「固化」であり、静的圧入締固め工法と他の注入工法は全く異なる技術である。
軟弱な砂質土地盤では、地震が起きると過剰間隙水圧が発生し、土粒子が流動化し、地盤の支持力が一時的に消失する「液状化現象」が発生する。かかる液状化現象の防止対策の一つとして「静的圧入締固め工法」が知られている。「静的圧入締固め工法」とは、動的エネルギー(打撃や振動)を与えることなく、静的な力(ポンプ圧送による静的圧入)で締固めを行う工法である。静的圧入締固め工法の代表例には、コンパクショングラウチング工法などがあり、液状化対策に優れた地盤改良工法として広く一般に利用されるに至っている。
特開平6−116936号公報 特許第4300367号公報
図12には、特許文献1に開示された静的圧入締固め工法の施工態様の概略が示されている。この静的圧入締固め工法では、ボーリングマシンを用いて、ロッド状の注入管11を複数本継ぎ足しながら所定深度まで削孔する。注入管下端が目標深度まで到達したら、貫入状態の注入管11に注入管リフト装置13をセットするとともに、該注入管を流量圧力監視装置15,圧送ホース19を介して特殊注入ポンプ21に接続する。特殊注入プラント23で生成された改良材(例えば特殊骨材・固化材・水で構成される流動性の極めて低いモルタル状の地盤改良材)は、特殊注入ポンプ21で強制圧送され、圧送ホース19、流量圧力監視装置15、注入管11を介して地盤中に圧入される。改良材の圧入工程では、改良材の圧送と注入管11のステップアップ(注入管の引抜き)とを繰り返す。
地盤中に圧入された改良材は、土中で迷走や浸透することなく所定の位置で改良体(改良材の塊)を形成する。したがって、上述した特殊注入ポンプによる改良材の圧送と、注入管のステップアップとを繰り返すことにより、図示するような球根状の改良体1が連続的に造成される。そして、各改良体1の体積増加により周辺地盤を圧縮し、密度を増大させることで液状化地盤を非液状化地盤へと改良することができる。
静的圧入締固め工法において地盤内に改良材を圧入する方式には、図13に示すボトムアップ方式と、図14に示すトップダウン方式とがある。図13に例示するボトムアップ方式では、改良深度の下端から上方へ向かう順序で改良体を複数段造成する。一方、図14に例示するトップダウン方式では、改良深度の上方から下端へ向かう順序で改良体を複数段造成する。
上述した静的圧入締固め工法は、地盤を圧縮強化する工法であるが、所期の締固め効果を得るためには、理想的には地盤内に圧入した改良材が地盤隆起(鉛直変位)を招くことなく周辺地盤を押し広げて圧縮強化することが望ましい。圧入によって地盤が隆起するということは、隆起した体積分だけ圧縮されていないことから、その分の地盤密度増加効果が得られないことになる。
しかしながら締固め工法の実施工では、地盤条件によっては、圧入した改良材の影響が地表面へ伝わって、地盤を隆起させることがあり、特にボトムアップ方式の場合には、図15に示すように改良深度の下端から上方へ向かう順序で改良体を造成するため、地盤が隆起し易いといった問題があった。また従来、このような地盤隆起はコントロールすることができなかったため、隆起が発生すると施工を中止せざるを得なく、その場合、十分な地盤改良を行うことができなかった。
このような地盤隆起の問題に関連して、特許文献2には、図16に示すように改良材の圧入時に該改良材に対する載荷と除荷を繰り返すことで、地盤隆起が抑制されることが開示されている。この方法にはある程度の隆起抑制効果があることが確認されているが、その隆起抑制効果は必ずしも満足できるものではなく、更なる隆起抑制を達成できる新たな技術が望まれていた。
特に、空港施設等の既設構造物のある地盤を対象とする場合には、施工時に発生する地盤隆起が問題となるため、当該エリアでの液状化対策を効率的に進めるためにも、従来以上に隆起抑制できる技術を開発する必要がある。
また、静的圧入締固め工法の実施において地盤が隆起した場合には、当該隆起分について締固め効果が得られないばかりか、その分の施工時間や材料費が無駄となる。加えて、所期の締固め効果を達成するために、より多くの改良材を圧入すれば、工期の長期化と施工コストの高騰を招く結果となる上に、さらに隆起が大きくなるという悪循環を繰り返すことになる。したがって、施工能率をより向上させ、低コストで高い締固め効果を得るためにも、更なる隆起抑制技術の開発が課題となっていた。
そこで、本発明の目的は、締固め工法の技術分野において上記従来技術よりも更に優れた隆起抑制効果を達成できる新たな方法と装置を提供することにある。
上記目的は、注入管を介して地盤内に地盤改良材を圧入する工程と、地盤に貫入させた状態の前記注入管がその内側の地盤改良材と一体となって進退動するように、該注入管をアップダウンさせる工程とを含む締固め工法であって、前記圧入工程によって周辺地盤を締固める改良体を地盤内に造成し、前記アップダウン工程によって前記改良体に脈動を起こさせて地盤の隆起を抑制することによって達成される。
アップダウン工程は圧入工程の後に実施してもよく、或いは、圧入工程の実施中にアップダウン工程を実施するようにしてもよい。後者の場合、圧入工程とアップダウン工程の実施開始および終了が一致するように実施してもよく、或いは、実施時間が一部重複するように時間をずらして実施してもよい。
またアップダウン工程は、造成された改良体(圧入済みの改良体)を注入管で突くように、或いは、造成途中の改良体(圧入途中の改良体)を注入管で突くように実施する。その際、略1ステップ分の深度区間内(1ステップ分の深度区間 = 一の改良体の圧入開始深度と、次段の改良体の圧入開始深度との間の区間)で注入管をアップダウンさせる。注入管のアップダウンは、該注入管を回転又は揺動させながら行ってもよい。
またアップダウン工程は、圧入工程を複数回実施して複数段の改良体を造成した後に、該複数段の改良体の全部又は一部を突くように実施してもよい。
また締固め工法の実施において地盤の隆起が確認されるまでの間は、アップダウン工程なしで従来と同様に施工を続け、現場に隆起の発生が確認された場合にのみアップダウン工程の実施を開始するようにしてもよい。
また上記目的は、施工中における地盤の隆起量を計測する計測手段と、計測した隆起量と基準値とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づいて注入管をアップダウンさせる制御手段と、を有する隆起量管理装置によって達成される。
なお、砂杭材料を用いる従来の締固め工法のなかには、地盤内での砂杭の「拡径」を直接的な目的として、ケーシンングパイプを繰り返し抜き差しするものがあるが、本発明で行う注入管のアップダウン(進退動)は、地盤改良材の押込みや、地盤内での改良体の拡径を目的とするものではない。すなわち、本発明におけるアップダウン工程は、「地盤隆起の抑制」を直接的な目的として行う工程であって、改良体の拡径や造成に作用的に関与する工程ではない。したがって、砂杭の「拡径」を直接的な目的としたケーシンングパイプ抜き差し工程と、「地盤隆起の抑制」を直接的な目的とした注入管アップダウン工程とは、課題を解決するための手段として全く異なるものである。
また、砂杭の「拡径」を直接的な目的としたケーシンングパイプ抜き差し工程は、拡径作用によって地盤隆起を招くものであるから、本発明の隆起抑制を目的としたアップダウン工程とは正反対の作用を奏する工程である。
本発明では、地盤に貫入させた状態の注入管をアップダウンさせる。すなわち、周辺地盤または改良体との間に生じる摩擦抵抗に抗して、地盤内で注入管を進退動させる。このとき、注入管内は改良材で満たされており、注入管が内部の改良材と一体となって進退動する。そして、注入管下端と圧入済み改良体との間は真空状態となっている。
したがって図2に示すように、注入管を引上げるアップ動作時には、内側に引き戻されるような作用が生じ、注入管及びその内側の改良材のアップストローク分の体積だけ圧入済み改良体の体積が縮小する。逆に、注入管を再貫入するダウン動作時には、外側に押し戻されるような作用が生じ、注入管及びその内側の改良材のダウンストローク分の体積だけ圧入済み改良体の体積が膨張する。
よって、上記アップダウン動作を繰り返すことにより、改良体が脈動する(圧入済み改良体の体積が膨れたり縮んだりする膨縮動作)。この改良体の脈動は周辺地盤に対し繰り返し載荷を与え、すなわち周辺地盤に対し載荷と除荷を交互に与え、この作用により地盤が締固められ、地盤が沈下する。
したがって本発明によれば、締固め工法の施工時に発生し得る地盤隆起を抑制できる。
そして、本願発明者らの実験によれば、締固め工法におけるアップダウン工程には、周辺地盤を沈下させる作用があることが確認された。したがって、実施工で注入管をアップダウンさせることで周辺地盤に沈下が生じ、地盤改良材の圧入工程に起因する鉛直変位の全部又は一部を相殺することができる。つまり、圧入工程で生じる隆起の全部又は一部が、アップダウン工程で生じる沈下で打ち消され、その結果、施工全体を通しての地盤隆起量が大幅に減少する。
また、本願発明者らの実験によれば、アップダウン工程を併用することで、従来の締固め工法よりも優れた隆起抑制効果が得られることが確認された。また、アップダウン工程を実施する場合でも、改良材の圧入工程の実施中にアップダウン工程を実施する場合と比較すると、圧入工程の後にアップダウン工程を実施する場合の方が、より高い隆起抑制効果が得られることが確認された。また、アップダウンの回数(一工程当たりの進退動の繰り返し回数)が多いほど、隆起抑制効果が高いことが確認された。
また本発明によれば、従来の施工方法よりも更に隆起抑制が可能になるので、より少ない地盤改良材で高い締固め効果を得ることができる。その結果、施工能率が向上するとともに、施工品質を落とすことなく低コスト・短工期での施工が可能になる。
また、本願発明者らの実験によれば、アップダウンの回数を調整することで、隆起量や沈下量をコントロールできることが確認された。したがって本発明によれば、隆起抑制できることに加えて、従来の締固め工法では制御不能だった隆起や沈下をコントロールできるようになる。
また、本願発明者らの実験によれば、締固め工法の施工で注入管をアップダウンさせることで、隆起抑制できることに加えて、対象地盤の液状化抵抗力を大きくできることが確認された。特に、一工程当たりのアップダウン回数をより多くすることで、より優れた効果が得られることが確認された。したがって本発明によれば、単に隆起抑制できるだけでなく、改良対象地盤に対してより高い耐震強度を与えることができる。例えば従来と同じ量の地盤改良材を同条件の地盤に圧入する場合、従来に比べて本発明の方が、高い耐震強度を得ることができる。
また上記のとおり、本発明によれば隆起抑制と耐震性向上を同時に達成できるので、従来と同程度の耐震強度を対象地盤に与える場合には、より少ない材料で且つより短い工期で、施工を完了することが可能になる。
また前述のとおり、注入管のアップダウンによって周辺地盤が沈下するため、それに伴う締固め効果が期待できる。したがって、施工現場が沈下させてもよい条件である場合には、注入管のアップダウン工程を実施することで、地盤改良材の使用量を減らすことができるので、その分低コストでの施工が可能になる。さらに、実質的な注入量が少なくなることにより、ポンプ等の部品の消耗が少なくなり、消耗品の交換にかかる手間や部品代が少なくなるだけでなく、機械トラブルの発生も減少する。
また本発明に実施にあたっては、地盤の隆起が確認されるまでの間は、アップダウン工程なしで従来と同様に施工を続け、現場に隆起の発生が確認された場合にのみアップダウン工程の実施を開始するようにしてもよい。この場合、アップダウン工程の実施開始は現場作業員の判断に基づくものであってもよく、或いは、本発明の隆起量管理装置を用いた自動制御で行うものであってもよい。これにより、隆起発生の有無にかかわらず施工初期段階からアップダウン工程を実施する場合と比較して、工期短縮を図ることが可能になる。
また、本発明の隆起量管理装置を用いてアップダウン工程を自動制御で実行した場合には、無駄なアップダウン操作が省かれて短工期かつ省力での施工か可能になる。
また、本発明で行う注入管のアップダウンは、従来から用いられている注入管リフト装置等を用いて管理・制御できるので、アップダウンのための専用機材を導入する必要がない。したがって、従来から用いられてきた機材を使って、上述した優れた効果を簡単に得ることができる。
本発明の第1実施形態の施工手順を示す図である。 アップダウン工程における周辺地盤への作用を概略的に示す図である。 本発明の第2実施形態の施工手順を示す図である。 本発明の第3実施形態の施工手順を示す図である。 本発明の隆起量管理装置の概略構成を示す図である。 隆起量管理装置による処理の流れを例示するフローチャートである。 実験で用いた土層の概要を示す図である。 実験時における注入管深度と圧入量の関係を示す図である。 実験結果であって、改良率と隆起量の関係を示す図である。 実験結果であって、経過時間とコンパクション体1本当たりの隆起量の関係を示す図である。 実験結果であって、液状化発生時の換算入力加速度を示す図である。 従来の締固め工法の施工態様の一例を示す図である。 締固め工法のボトムアップ方式の一例を示す図である。 締固め工法のトップダウン方式の一例を示す図である。 従来の締固め工法の施工手順を示す図である。 従来の締固め工法の施工手順を示す図である。
はじめに、本発明の実施形態に関連する主な用語について以下のとおり定義する。
「地盤改良材」とは、圧入後に地盤内で浸透したり脈状注入されることなく、周辺地盤を圧縮する塊(改良体)を形成できるものをいう。なお、前記定義のとおりの作用を発揮できる限り、本発明で用いる地盤改良材の組成や流動特性等は特に限定されない。すなわち、地盤を押し広げて、地盤内でその状態を維持できる材料であれば、いかなるものでも用いることができる。以下、地盤改良材について「改良材」と略称する。
「改良体」とは、圧入した改良材が地盤内でまとまって形成する塊であって、周辺地盤を圧縮し締固めるものをいう。経時的な固結の有無にかかわらず、また固化材の有無にかかわらず、周辺地盤を圧縮し締固めるものはすべて、上記「改良体」に含まれる。なお、地盤内で浸透する材料や脈状固結する材料を用いた場合には、改良体の造成が完全に阻害され、締固め工法として成立しなくなるので、この点に留意する必要がある。
以下、本発明に係る締固め工法の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態では、図13に示すようなボトムアップ方式(下から上へ向かう施工方式)に従って改良体を造成する。施工に用いる注入管のサイズは特に限定されないが、例えば、1ロッドの長さが1〜3m、直径が5〜10cmのものを複数本(削孔長分)用いる。注入管の引上げは、例えば1mにつき3〜5ステップ行う。1ステップ分の圧入によって、改良体1個分の改良材を地盤内に圧入し、1ロッドで3〜5段の改良体を造成する。
施工にあたっては、はじめに施工現場にボーリングマシンを用意し、改良対象地盤の所定削孔ポイントに注入管(削孔注入ロッド)をセットする。続いて図1(a)に示すように、目標深度へ向けて、注入管を複数本継ぎ足しながら削孔する。
削孔を続け、注入管の先端開口部が、改良対象地盤の目標深度に到達したら、削孔を止め、注入管からボーリングマシンを切り離す。次に、注入管に注入管リフト装置をセットするとともに、改良対象地盤に貫入させた注入管の一端を、流量圧力監視装置および圧送ホースを介して特殊注入ポンプに接続する(図12参照)。
続いて、特殊注入ポンプによる圧送を開始すると、特殊注入プラントで用意された改良材が、圧送ホース・流量圧力監視装置・注入管を介して、図1(b)に示すように改良対象地盤内に静的圧入される。「圧入」とは、地盤を押し広げる圧力でポンプにより地盤改良材を地盤内に注入することをいう。
改良材の圧入工程では、流量・圧力を適宜コントロールしながら改良材をポンプ圧送し、計画量の改良材(改良体1個分の改良材)を地盤内に強制的に圧入する。特殊注入ポンプにより与えられた注入圧力は、圧送途中の改良材中を伝搬してゆき、注入管の先端付近の周辺地盤に伝達される。
注入管の先端開口部を介して地盤内に圧入された改良材は、土中で迷走や浸透することなく、注入管先端の吐出点付近で改良体(改良材の塊)を形成する。この改良体は、改良材圧入の進行に伴って体積が増加し、周辺地盤を押し広げる。なお、添付図面では改良体を簡略化して図示しているが、地盤中における改良体の形状は、土層状況に応じていびつな球根状となる。
1ステップ分の改良材の圧入が完了し改良体1個の造成が完了したら、圧入を停止し、次いで、注入管を圧送ホースに接続したままで注入管リフト装置を作動させてアップダウン工程を実行する。アップダウン工程では図1(c)に示すように、1ステップ分の深度区間内で、注入管を繰り返しアップダウンさせる。(1ステップ分の深度区間 = 直前に造成した改良体の圧入開始深度と、次段の改良体の圧入開始深度との間の区間)
このとき、注入管と周辺地盤との間には摩擦抵抗が生じるが、この摩擦抵抗に抗して注入管を進退動させる。なお、本発明における注入管のアップダウンは、注入管を無回転で単に進退動させるだけでもよいが、好ましくは、注入管を回転させながら進退動させるようにする。或いは、揺動(正逆回転)させながらアップダウンを繰り返すようにしてもよい。注入管を回転させながら進退動させることで、摩擦抵抗による機材への負担を軽減できる。また、回転や揺動を伴うことにより、小さな反力で進退動させることができるため、反力を取るためのアンカーや機械の大型化(重量の増加)が不要となる。
アップダウン工程では、図1(c)に示すように、直前に造成した改良体を注入管先端で繰り返し突くように、1ステップ分の深度区間内で注入管の引上げ・貫入を所定回数繰り返す。なお、引上げ・貫入の繰り返し回数や繰り返し速度は限定されるものではなく、地盤条件や改良深度等の諸条件によって決定される。
アップダウン工程において、注入管内は改良材で満たされており、注入管がその内側の改良材と一体となって進退動する。そして、注入管下端と圧入済み改良体との間は真空状態となっている。したがって図2に示すように、注入管を引上げるアップ動作時には、内側に引き戻されるような作用が生じ、注入管及びその内側の改良材のアップストローク分の体積だけ圧入済み改良体の体積が縮小する。逆に、注入管を再貫入するダウン動作時には、外側に押し戻されるような作用が生じ、注入管及びその内側の改良材のダウンストローク分の体積だけ圧入済み改良体の体積が膨張する。
このように、周辺地盤や改良体との間に生じる摩擦抵抗に抗して、注入管を繰り返し進退動させることで、改良体が脈動する(圧入済み改良体の体積が膨れたり縮んだりする膨縮動作)。この改良体の脈動は周辺地盤に対し繰り返し載荷を与え、すなわち周辺地盤に対し載荷と除荷を交互に与え、この作用により地盤が締固められ、地盤が沈下する。したがって本発明によれば、締固め工法の施工時に発生し得る地盤隆起を抑制できる。
よって、前述した圧入工程を実施することで、圧入の影響が地表面側へ伝搬して対象地盤に鉛直変位が発生し得るが、注入管をアップダウンさせることで周辺地盤に沈下が生じるので、改良材の圧入工程に起因する鉛直変位の全部又は一部を相殺できる。したがって、注入管のアップダウンを併用して、改良材を圧入することで、施工全体を通しての地盤隆起量が大幅に減少する。
図1(c)に示すアップダウン工程が完了したら、注入管リフト装置を作動させて、図1(d)に示すように注入管を1ステップ分引上げ、次段の圧入開始深度に固定する。そして、再び図1(b)と同様の圧入手順で次段の改良体を造成し、続いて図1(c)と同様の手順で次段の改良体を突くようにアップダウン工程を実行する。
以後同様に、1ステップ分の引上げ(図1(d))と、圧入工程(図1(b))と、アップダウン工程(図1(c))を、必要回数繰り返す。1ロッド分の引上げが完了したら、地表側で抜き出た1ロッド分の注入管を切り離し、再び圧送ホースを接続し、同様の工程を繰り返す。なお、アップダウン工程における引上げ・貫入の繰り返し回数や繰り返し速度は全深度で等しくしてもよく、或いは、深度に応じて変化させるようにしてもよい。また、深度や土層によってアップダウン工程を省略してもよい。
上述した工程を所定深度領域に亘って繰り返すことで、図1(e)に示すように、複数の改良体が連なって構成される1本のコンパクション体(柱状体をなす改良体群)が造成される。コンパクション体をなす各改良体は、上下の改良体と相互に結合している。このようなコンパクション体を施工エリア内の複数ポイントで造成することで、各改良体の圧縮作用により改良対象地盤の密度が増大し、その結果、液状化地盤を非液状化地盤へと改良することができる。
本発明の締固め工法で利用可能な改良材は特に限定されないが、例えば、非流動性又は低流動性の材料などを用いることができる。「低流動性」の材料は、地盤に圧入する段階で既に流動性が低いものであってもよく、また、圧送ホースや注入管の中を圧送している段階では流動性が低いとはいえないが、地盤内に圧入された後に脱水によって(又は経時的に)流動性が低くなるものであってもよい。
利用可能な改良材の具体例としては、例えば次のような材料が挙げられる。
(1)固化材・特殊骨材・水を所定の割合で混合したモルタル。
出願人の経験によれば、地盤改良材のスランプ値が7cm以下、好ましくは5cm以下であれば、軟弱地盤や砂れき層であっても改良材で割裂脈を形成したり地盤を破壊することなく、地盤を押し広げて密度を増加させることができることが確認されている。この場合の「スランプ値が7cm以下」の材料には、圧入する段階で既にスランプ値7cm以下の材料が含まれ、また、地盤内に圧入された後に流動性を失ってスランプ値7cm以下に至る材料も含まれる。
(2)可塑性および流動性を有し、力を加えなければ流動しないが、力を加えると流動するグラウト材。
このようなグラウト材は、懸濁液と可塑剤を混合することにより生成され、例えば、硬化発現材としてセメント懸濁液やセメントベントナイト懸濁液、或はスラグやフライアッシュに消石灰を加えた懸濁液に可塑剤として水ガラスやアルミニウム塩、粘土鉱物、高分子材等を合流したものを使用することができ、必要に応じて、骨材、添加剤(エア発生剤、分散剤、遅延剤、強度促進剤、増粘剤等)を配合してもよい。
(3)地盤改良に用いる砂杭材料を流動化させたもの。
このような改良材として、例えば砂杭材料に流動化剤を加えたものを用いることができる。また、流動化剤を加えた砂杭材料を地盤中に注入する過程で塑性化剤を加え、塑性化した砂杭材料で改良体を造成するようにしてもよい。砂杭材料としては、従来の砂杭造成工法で使用されてきた公知の材料を用いることができ、例えば、砂、シルトや礫を含む砂、砕石、スラグ、リサイクル材などを用いることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に図13に示すようなボトムアップ方式(下から上へ向かう施工方式)に従って地盤改良体を造成する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
上記第1実施形態では、圧入工程の後にアップダウン工程を実行している。これに対し第2実施形態では、図3に示すように、圧入工程の実施中にアップダウン工程を実施する。
施工にあたっては、はじめに図3(a)に示すように、目標深度へ向けて注入管(削孔注入ロッド)を複数本継ぎ足しながら削孔し、注入管の先端開口部が、改良対象地盤の目標深度に到達したら削孔を止める。続いて、流量・圧力を適宜コントロールしながら改良材をポンプ圧送し、計画量の改良材(改良体1個分の改良材)を地盤内に静的圧入する。
本実施形態では、ポンプ圧送による改良材の圧入と同時に、すなわち圧入工程の実施中に、注入管リフト装置を作動させて注入管のアップダウン工程を実行する。アップダウン工程では、図3(b)に示すように1ステップ分の深度区間内で、注入管を繰り返し上下させる。(1ステップ分の深度区間 = 現在造成中の改良体の圧入開始深度と、次段の改良体の圧入開始深度との間の区間)
このとき、現在造成途中の改良体(すなわち体積膨張下にある改良体)を注入管先端で繰り返し突くように、1ステップ分の深度区間内での注入管の引上げ・貫入を所定回数繰り返す。なお、引上げ・貫入の繰り返し回数や繰り返し速度は限定されるものではなく、地盤条件や改良深度等の諸条件によって決定される。
1ステップ分の改良材の圧入が完了し改良体1個の造成が完了したら、圧入を停止するとともに注入管のアップダウンを停止する。続いて注入管リフト装置を作動させて、図3(c)に示すように注入管を1ステップ分引上げて、次段の圧入開始深度に固定する。そして、再び図3(b)と同様の手順で、改良材を圧入して次段の改良体を造成しながら、該改良体を突くようにアップダウン工程を実行する。
以後同様に、1ステップ分の引上げ(図3(c))と、圧入工程と同時のアップダウン工程(図3(b))を、必要回数繰り返す。1ロッド分の引上げが完了したら、地表側で抜き出た1ロッド分の注入管を切り離し、再び圧送ホースを接続し、同様の工程を繰り返す。
上述した工程を所定深度領域に亘って繰り返すことで、図3(d)に示すように、複数の改良体が連なって構成される1本のコンパクション体が造成される。
なお、圧入と同時に行うアップダウンの繰り返し回数や繰り返し速度は全深度で等しくしてもよく、或いは、深度に応じて変化させるようにしてもよい。また、深度や土層によってアップダウン工程を省略してもよい。また、上述した実施形態では、圧入工程とアップダウン工程の実施開始および終了が一致するように時間を合わせて実施しているが、実施時間が一部重複するように時間をずらして実施するようにしてもよい。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態では、上記第1,第2実施形態と同様に図13に示すようなボトムアップ方式(下から上へ向かう施工方式)に従って改良体を造成する。以下、第1,第2実施形態との相違点を中心に説明する。
上記実施形態では、改良体1個の造成の後に、又は改良体1個の造成と同時に、アップダウン工程を実行している。これに対し第3実施形態では、図4に示すように、複数段の改良体を連続して造成した後にアップダウン工程を実行する。
施工にあたっては、はじめに図4(a)に示すように、目標深度へ向けて注入管(削孔注入ロッド)を複数本継ぎ足しながら削孔し、注入管の先端開口部が、改良対象地盤の目標深度に到達したら削孔を止める。続いて、流量・圧力を適宜コントロールしながら改良材をポンプ圧送し、計画量の改良材(改良体1個分の改良材)を地盤内に静的圧入する。一段目の改良体の造成が完了したら、注入管を1ステップ分引上げて次段の圧入開始深度に固定し、同様に改良体1個分の改良材を地盤内に静的圧入する。
例えば、図4(b)に示す工程で改良体2段分の圧入が完了したら、続いて注入管のアップダウン工程を実行する。アップダウン工程では、図4(c)に示すように2ステップ区間、すなわち直前に連続造成した改良体の深度区間で、注入管を繰り返し進退動させる。このとき、直前に連続造成した2段の改良体を注入管先端で突き刺すように、2ステップ区間での注入管の引上げ・貫入を所定回数繰り返す。引上げ・貫入の繰り返し回数や繰り返し速度は限定されるものではなく、地盤条件や改良深度等の諸条件によって決定される。
図4(c)に示すアップダウン工程が完了したら、図4(d)に示すように注入管を2ステップ分引上げて、3段目の圧入開始深度に固定する。そして、再び図4(b)と同様の手順で3段目以降の改良体を複数段連続造成し、続いて図4(c)と同様の手順で、直前に連続造成した複数段の改良体を突くようにアップダウン工程を実行する。
以後同様に、注入管の引上げ(図4(d))と、複数段の改良体の連続造成(図4(b))と、アップダウン工程(図4(c))を、必要回数繰り返す。1ロッド分の引上げが完了したら、地表側で抜き出た1ロッド分の注入管を切り離し、再び圧送ホースを接続し、同様の工程を繰り返す。
なお、図4(b)では、2段の改良体を連続造成する場合を代表例として挙げたが、3段以上の改良体を連続造成し、これに続いて図4(c)のアップダウン工程を実施するようにしてもよい。
また、図4(c)では、直前に連続造成した改良体のすべてを突くように注入管をアップダウンさせているが、複数段の改良体の一部だけを突くように注入管をアップダウンさせてもよい。
また、アップダウン工程における引上げ・貫入の繰り返し回数や繰り返し速度は全深度で等しくしてもよく、或いは、深度に応じて変化させるようにしてもよい。また、深度や土層によってアップダウン工程を省略してもよい。
上述した工程を所定深度領域に亘って繰り返すことで、図4(e)に示すように、複数の改良体が連なって構成される1本のコンパクション体が造成される。
(第4実施形態)
本発明の締固め工法におけるアップダウン工程は、施工計画に基づいて予め決めた所定タイミングや所定深度で実行してもよく、また、現場作業員が必要と判断した場合に実行するようにしてもよく、或いは、以下に述べるように隆起量管理装置を用いてアップダウン工程を自動的に実行するようにしてもよい。
第4実施形態で用いる隆起量管理装置は、図5に示すように、アップダウン工程の自動制御を行う制御回路と、アップダウン工程の要否判断の基準となる基準値データが格納されたデータ格納部と、施工中における地盤の隆起量(鉛直変位)を計測する計測装置を有している。制御回路は、本発明の流量管理装置の制御手段および比較手段として機能する。計測装置は、本発明の流量管理装置の計測手段として機能する。
制御回路とデータ格納部の組み合わせは、制御用コンピュータから構成される。コンピュータの制御回路は、計測装置と注入管リフト装置に電気的に接続されている。データ格納部には、アップダウン工程が必要か否かの判断の基になる基準値データが格納されている。基準値データは、例えば隆起量の最大許容値から構成され、現場の条件に応じて書き換えることができる。
計測装置は、施工現場の隆起量を計測できるように地盤上に設置されている。この計測装置で計測された隆起量データは、コンピュータに送信され、そのデータ格納部に格納される。
コンピュータの制御回路は、計測装置から受信した隆起量データと、データ格納部に予め格納された基準値データを比較する。この比較処理の結果、隆起量が基準値を超えたと判断した場合には、制御回路は注入管リフト装置にアップダウン開始の信号を送信する。
以下、図6に基づいて隆起量管理装置を用いた処理の一例を説明する。
はじめに、注入管による改良材の圧入と同時に、地盤上に設置した計測装置で隆起量の計測を開始する(S1)。計測装置で得られた隆起量データは、リアルタイムでコンピュータの制御回路へ送信され、制御回路は隆起量データを受信すると同時に、データ格納部の基準値データと比較する(S3)。
制御回路での比較処理の結果、隆起量が基準値以下であると判断した場合には(S5のNO)、再び隆起量の計測および基準値との比較処理を実行する。一方、隆起量が基準値を超えたと判断した場合には(S5のYES)、注入管リフト装置にアップダウン開始の信号を送信し、注入管リフト装置は、この受信信号に応じてアップダウンの実行を開始する。
このようにアップダウン工程を自動制御で実行することにより、施工現場の隆起量を設計範囲内に収めることができることは勿論のこと、無駄なアップダウン操作が省かれて短工期かつ省力での施工か可能になる。さらに、実質的な注入量が少なくなることにより、ポンプ等の部品の消耗が少なくなり、消耗品の交換にかかる手間や部品代が少なくなるだけでなく、機械トラブルの発生も減少する。
(他の実施形態)
上述した実施形態は本発明の具体的実施態様の例示であって、特許請求の範囲を上記実施形態に限定する趣旨ではない。本願の特許請求の範囲には、例えば次のような態様も含まれる。
上記実施形態は、下から上へあるいは奥から手前へ施工するボトムアップ方式(図13参照)で改良体を造成する施工態様であったが、本発明には、上から下へあるいは手前から奥へ施工するトップダウン方式(図14参照)で改良体を造成する施工態様も含まれる。
また、本発明においてアップダウンとは、注入管を削孔部に沿って進退動させることを意味するものであり、その方向は鉛直方向に限定されない。例えば、注入管を斜めに貫入する斜め施工や、注入管を水平方向に貫入する水平施工において、水平方向又は斜め方向の削孔部に沿って注入管を進退動させる操作も、本発明におけるアップダウン工程に含まれる。同様に、曲線(自在)ボーリングを併用した施工において、湾曲した削孔部に沿って注入管を進退動させる操作も、本発明におけるアップダウン工程に含まれる。
また、第1〜第3実施形態では、決まったタイミングでアップダウン工程を実施しているが、アップダウン工程の実施を開始するタイミングは必ずしもこれらの実施形態に示すような態様に限定されない。例えば、地盤の隆起が確認されるまでの間はアップダウン工程なしで従来と同様に施工を続け、現場に隆起の発生が確認された場合にのみアップダウン工程を実施するようにしてもよい。この場合のアップダウン工程の実施開始は、現場作業員の判断に基づくものでもよく、或いは、第4実施形態で述べたような隆起量管理装置を用いた自動制御で行うものであってもよい、これにより、隆起発生の有無にかかわらずアップダウン工程を実施する場合と比較して、工期短縮を図ることが可能になる。
また、上述した実施形態では、改良体が複数連なってなる1本のコンパクション体を造成しているが、改良する土層の中間に改良を必要としない層(例えば粘性土層)が存在する場合には、その層における改良体の造成を省略してもよい。すなわち、当該層では削孔部への改良材の充填にとどめて、中抜き状にコンパクション体を造成するようにしてもよい。
アップダウン工程の作用効果を確認するため、静的圧入締固め工法の模型振動台実験を行った。
(1−1)実験1
図7に、実験で用いた土槽模型の断面図、側面図および平面図を示す。
相馬珪砂6号(ρs=2.674g/cm3,emax=1.327,emin=0.792)の試料砂を用いて、基盤層の上に層厚400mmの地盤を作製した。地盤作製は、50mmの層厚毎に水中落下法で行った。初期相対密度は30%を目標とした。また、改良材として固化材・特殊骨材・水を混合してなる硬練りモルタルを用いた。
この実験における改良仕様を表1に示す。
表1に示す比較例および実施例の5ケースについて、改良材の圧入と注入管のアップダウン(UD)を図8に示す概略手順に従って実施した。
比較例および実施例の各ケースにおける改良材の圧入は、鉛直圧入で行った。改良率,換算改良径,1本当りの圧入量,改良本数は一定とした。1本当りの圧入量は改良範囲の体積から算出した。改良順序は図7(c)に示す通りである。また、それぞれの圧入は、下から上に向かって施工するボトムアップ方式とした(図13参照)。
比較例および実施例の各ケースの概要は次のとおりである。
(1) 「通常圧入」は、1ステップ当り、規定量まで一定に改良材を圧入した比較例である
。この比較例は、図15に示す従来の方法に従って実施した。
(2) 「除荷圧入」は、改良材に対する載荷と除荷を繰り返しながら改良材を圧入した比較
例である。
この比較例は、図16に示す従来の方法に従って実施した。
(3) 「中UD圧入40回」は、注入管を繰り返しアップダウン(4往復)させながら、
同時に改良材の圧入を行った実施例である。
この実施例は、図3に示す本発明の方法(第2実施形態)に従って実施した。
(4) 「後UD圧入40回」は、1ステップ当りの圧入完了後に、注入管のみを繰り返し
アップダウン(4往復)させた実施例である。
この実施例は、図1に示す本発明の方法(第1実施形態)に従って実施した。
(5) 「後UD圧入130回」は、1ステップ当りの圧入完了後に、注入管のみを繰り返し
アップダウン(13往復)させた実施例である。
この実施例は、図1に示す本発明の方法(第1実施形態)に従って実施した。
「中UD圧入」、「後UD圧入40回」、「後UD圧入130回」のアップダウンの範囲は、1ステップ分の高さとした。1本のコンパクション体は10ステップで造成するため、1ステップ当りのアップダウン回数が4往復の場合では、1本当りの総アップダウン数は40回となる。また、1ステップ当りのアップダウン回数が13往復の場合では、1本当りの総アップダウン数は130回となる。
地表面高さは、圧入1本毎に計測した。また、コンパクション体1本当りの施工中の隆起を定点で計測した。いずれもレーザー変位計を用いた。
(1−2)実験1の結果
図9に改良率と隆起量の関係を示す。
図中の隆起量は、1本圧入毎に計測した地表面高さの平均値から、初期の地表面高さの平均値を差し引いたもので、累計量として表している。通常圧入、除荷圧入、中UD圧入40回を比較すると、明確な差は見られない。一方で後UD圧入は、著しく隆起が小さい。特に後UD圧入130回では、最終的な隆起量は通常圧入の約1/3である。
図10に経過時間とコンパクション体1本当りの隆起量の関係を示す。
図中の隆起量は、注入管の直近における地表面高さの経時変化である。いずれのケースも圧入3本目のデータである。通常圧入では沈下は見られない。一方で後UD圧入では、モルタル圧入中は通常圧入と同様に隆起が発生しているが、アップダウン時に沈下している。これは、注入管と周辺地盤の摩擦によるものと考えられる。後UD圧入40回と後UD圧入130回を比較すると、後者の方がアップダウン時の沈下量が大きくなっており、アップダウンの回数と相関があるといえる。しかし、施工終盤になると、どちらのケースも沈下は頭打ちとなり、次第に隆起に転じている。アップダウンによる沈下の効果によって、隆起に転じるタイミングは施工中盤となり、最終的な隆起が小さくなったと考えられる。
(1−3)実験1のまとめ
圧入方法を変えて静的圧入締固め工法の振動台実験を行った結果、次のことがわかった。
(1) 後UD圧入を行うことにより、施工時の隆起を抑制することができる。
(2) 後UD圧入の中でも、アップダウンの回数が多い方が効果が大きい。
(3) アップダウンの回数を調整することで、隆起量や沈下量をコントロールできる。
(2−1)実験2
表1に示す5ケースについて、上記実験1と同じ条件で静的圧入締固め工法の模型振動台実験を行った。
実験2では、図7に示す位置関係で、間隙水圧計および加速度計をコンパクション体位置の中間位置に相当する箇所に設置し、また、土圧計を壁面に設置した。これらの計器の設置深度は、GL-50mm,-125mm,-200mm,-275mm,-350mmである。なお、加速度計は、地表面とおよび基盤面にも設置した。地表面の変位はレーザー変位計により測定した。
加振方法は、50Galから550Galまで50Galずつ段階的に増加させ、各段階で5Hzの正弦波を20波入力した。
液状化の判断は、過剰間隙水圧比が0.9以上に達した時とし、換算入力加速度は、次式により算出した。
(2−2)実験2の結果
液状化発生時の換算入力加速度と深度の関係を図11に示す。
未改良では100Gal程度で液状化が発生するが、改良地盤では200〜400Gal程度まで液状化しない結果が得られた。また、通常圧入よりは除荷圧入の方が液状化に対する抵抗力が大きく、さらに後UD圧入40回,中UD圧入40回,後UD圧入130回の順にアップダウンの繰返し回数が多くなるにつれて液状化抵抗力が大きくなる結果が得られた。なお、同じアップダウンの繰返し回数でも、圧入時に注入管をアップダウンさせる中UD圧入の方が後UD圧入より若干大きいことが確認された。
(2−3)実験2のまとめ
圧入方法を変えて静的圧入締固め工法の振動台実験を行った結果、通常圧入・除荷圧入より、注入管をアップダウンさせる施工方法(中UD圧入,後UD圧入)が、液状化に対する抵抗が大きくなることが確認された。また、後UD圧入では、アップダウン回数を多くするほどその改良効果が大きくなることが確認された。したがって、締固め工法の施工で注入管をアップダウンさせ、好ましくはより多くの回数でアップダウンさせることで、隆起抑制できることに加えて、対象地盤の液状化抵抗力を大きくできることが分かった。
1 改良体
11 注入管(削孔注入ロッド)
13 注入管リフト装置
15 流量圧力監視装置
19 圧送ホース
21 特殊注入ポンプ
23 特殊注入プラント

Claims (10)

  1. 注入管を介して地盤内に地盤改良材を圧入する工程と、
    地盤に貫入させた状態の前記注入管がその内側の地盤改良材と一体となって進退動するように、該注入管をアップダウンさせる工程と、を含み、
    前記圧入工程によって周辺地盤を締固める改良体を地盤内に造成し、
    前記アップダウン工程によって前記改良体に脈動を起こさせて地盤の隆起を抑制することを特徴とする締固め工法。
  2. 前記圧入工程の後に前記アップダウン工程を実施することを特徴とする請求項1に記載の締固め工法。
  3. 造成された改良体を注入管で突くように前記アップダウン工程を実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の締固め工法。
  4. 前記圧入工程の実施中に前記アップダウン工程を実施することを特徴とする請求項1に記載の締固め工法。
  5. 造成途中の改良体を注入管で突くように前記アップダウン工程を実施することを特徴とする請求項1又は4に記載の締固め工法。
  6. 前記アップダウン工程において、略1ステップ分の深度区間内で注入管をアップダウンさせることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の締固め工法。
  7. 前記圧入工程を複数回実施して複数段の改良体を造成した後、該複数段の改良体の全部又は一部を突くように前記アップダウン工程を実施することを特徴とする請求項1に記載の締固め工法。
  8. 地盤の隆起が発生した場合に前記アップダウン工程を実施することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の締固め工法。
  9. 前記アップダウン工程において、注入管を回転又は揺動させながらアップダウンさせることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の締固め工法。
  10. 請求項1に記載の締固め工法で用いる隆起量管理装置であって、
    施工中における地盤の隆起量を計測する計測手段と、
    計測した隆起量と基準値とを比較する比較手段と、
    前記比較手段による比較結果に基づいて注入管をアップダウンさせる制御手段と、
    を有することを特徴とする隆起量管理装置。
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