JP2020033870A - 締固め工法の等価改良率を用いた施工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工仕様を事前に決定することが可能な締固め工法の施工方法を提供する。【解決手段】周辺地盤を締固める改良体が地盤内に造成されるように、注入管を介して地盤内に地盤改良材を注入する工程(1)と、前記改良体に脈動が生じるように、地盤に貫入させた状態で注入管の進退動を所定区間にわたって繰返す工程(2)と、を含む締固め工法の施工方法において、原地盤のN値と改良目標とするN値から施工現場に必要な改良率を求めて、該改良率を等価改良率(ase)として設定し、この等価改良率(ase)に基づいて施工仕様を決定する。等価改良率(ase)は、地盤改良材の総注入量(Q)と、注入管が進退動した総体積量である繰返し体積量(CV)との和を、改良対象土量(V0)で除したものである。施工使用の決定では、前記繰返し体積量(CV)に基づいて、工程(1)(2)で用いる注入管の外径、工程(2)での進退動の繰返し回数、工程(2)での進退動の繰返し区間長を決定する。【選択図】図5
Description
本発明は、地盤の密度を増加させて地盤強化を図る地盤改良技術に関するものであり、特に、無振動・低騒音で地盤を締固める静的圧入締固め工法の施工方法に関するものである。
なお、静的圧入締固め工法以外にも、各種の注入工法(薬液注入、セメント系注入、ジェットグラウトなど)があるが、静的圧入締固め工法は、薬液注入工法等とは全く異なる技術である。
すなわち、薬液注入では、注入材が土粒子間へ浸透し固結する。セメント系注入では、地盤内でセメントグラウトが脈状に固結する。ジェットグラウトでは、固化材と土粒子を高圧噴射により強制的に攪拌混合しソイルモルタル状の固結体を形成する。これに対して静的圧入締固め工法では、改良材を地盤中に圧入して改良体(塊)を造成し、この改良体による締固め効果で周辺地盤を圧縮強化する。
したがって、静的圧入締固め工法の改良原理は「密度増大」であるのに対し、薬液注入工法などの注入工法の改良原理が「固化」又は「固結」であり、静的圧入締固め工法と他の注入工法は全く異なる技術である。
すなわち、薬液注入では、注入材が土粒子間へ浸透し固結する。セメント系注入では、地盤内でセメントグラウトが脈状に固結する。ジェットグラウトでは、固化材と土粒子を高圧噴射により強制的に攪拌混合しソイルモルタル状の固結体を形成する。これに対して静的圧入締固め工法では、改良材を地盤中に圧入して改良体(塊)を造成し、この改良体による締固め効果で周辺地盤を圧縮強化する。
したがって、静的圧入締固め工法の改良原理は「密度増大」であるのに対し、薬液注入工法などの注入工法の改良原理が「固化」又は「固結」であり、静的圧入締固め工法と他の注入工法は全く異なる技術である。
軟弱な砂質土地盤では、地震が起きると過剰間隙水圧が発生し、土粒子が流動化し、地盤の支持力が一時的に消失する「液状化現象」が発生する。かかる液状化現象の防止対策の一つとして「静的圧入締固め工法」が知られている。「静的圧入締固め工法」とは、動的エネルギー(打撃や振動)を与えることなく、静的な力(ポンプ圧送による静的圧入)で締固めを行う工法である。静的圧入締固め工法の代表例には、コンパクショングラウチング工法などがあり、液状化対策に優れた地盤改良工法として広く一般に利用されるに至っている。
図13には、特許文献1に開示された静的圧入締固め工法の施工態様の概略が示されている。この静的圧入締固め工法では、ボーリングマシンを用いて、ロッド状の注入管11を複数本継ぎ足しながら所定深度まで削孔する。注入管下端が目標深度まで到達したら、貫入状態の注入管11に注入管リフト装置13をセットするとともに、該注入管を流量圧力監視装置15,圧送ホース19を介して特殊注入ポンプ21に接続する。特殊注入プラント23で生成された改良材(例えば特殊骨材・固化材・水で構成される流動性の極めて低いモルタル状の地盤改良材)は、特殊注入ポンプ21で強制圧送され、圧送ホース19、流量圧力監視装置15、注入管11を介して地盤中に圧入される。改良材の圧入工程では、改良材の圧送と注入管11の一定の深度毎にステップアップ(注入管の引抜き)とを繰り返す。
地盤中に圧入された改良材は、土中で迷走や浸透することなく所定の位置で改良体(改良材の塊)を形成する。したがって、上述した特殊注入ポンプによる改良材の圧送と、注入管のステップアップとを繰り返すことにより、図示するような球根状の改良体1が連続的に造成される。そして、各改良体1の体積増加により周辺地盤を圧縮し、密度を増大させることで液状化地盤を非液状化地盤へと改良することができる。
静的圧入締固め工法において地盤内に改良材を圧入する方式には、図14に示すボトムアップ方式と、図15に示すトップダウン方式とがある。図14に例示するボトムアップ方式では、改良深度の下端から上方へ向かう順序で改良体を複数段造成する。一方、図15に例示するトップダウン方式では、改良深度の上方から下端へ向かう順序で改良体を複数段造成する。
上述した静的圧入締固め工法は、地盤を圧縮強化する工法であるが、所定の締固め効果を得るためには、理想的には地盤内に圧入した改良材が地盤隆起(鉛直変位)を招くことなく周辺地盤を押し広げて圧縮強化することが望ましい。圧入によって地盤が隆起するということは、隆起した体積分だけ圧縮されていないことから、その分の地盤密度増加効果が得られないことになる。
しかしながら締固め工法の実施工では、地盤条件によっては、圧入した改良材の影響が地表面へ伝わって、地盤を隆起させることがあり、特にボトムアップ方式の場合には、図16に示すように改良深度の下端から上方へ向かう順序で改良体を造成するため、地盤が隆起し易いといった問題があった。又従来、このような地盤隆起はコントロールすることができなかったため、隆起が発生すると施工を中止せざるを得なく、その場合、十分な地盤改良を行うことができなかった。
このような地盤隆起の問題を解決する手段として、圧入実施中又は圧入工程完了後に、その時圧入していた区間(1st又は複数st)の改良体中を、注入管で上下に繰返し移動させて、隆起抑制することが、特許文献2に開示されている。
特許文献2の開示によれば、「地盤に貫入させた注入管を繰返しアップダウンさせる」ことにより、改良体が脈動する(圧入済み改良体の体積が膨れたり縮んだりする膨縮動作)。この改良体の脈動は周辺地盤に対し繰返し載荷を与え、すなわち周辺地盤に対し載荷と除荷を交互に与え、この作用によって、締固め工法の施工時に発生し得る地盤隆起を抑制できる。
特許文献2に開示された「地盤に貫入させた注入管を繰返しアップダウンさせる」といった施工方法(以下必要に応じて「アップダウン施工」と略称する)は、地盤隆起を抑制できるという点で優れているが、その従来の施工方法には次のような問題があった。
従来のアップダウン施工では、施工仕様(注入管の外径、アップダウンの繰返し回数、アップダウンの繰返し区間長)が不明であったため、工費及び工期を事前に把握することができなかった。
更に、従来のアップダウン施工は、上述の施工仕様が不明であったため、施工時間が事前に把握できなかった。このため制限時間のある空港等の施工現場では、適用できなかった。
又、従来のアップダウン施工は、施工に伴う地盤変位量(隆起量や沈下量など)を、事前に定量的に予測することができなかったため、実施工において変位量の目標値達成の可否が判断できなかった。
又、従来のアップダウン施工は、事前に地盤変位が制御できなかったため、施工時に作業員の判断や隆起量管理装置を必要とし(特許文献2の段落0029)、施工に伴う変位に応じてアップダウン施工を実施していた。そのため、隆起等の地盤変位の監視にかかる人件費及び装置費用が発生し、施工費が増大していた。
又、施工に伴う地盤変位量(隆起量や沈下量など)を事前に定量的に把握することができなかったため、実施工の際に隆起を監視しながら、その都度、施工仕様(注入管の外径、アップダウンの繰返し回数、繰返し区間長)を変えて施工する必要があった。すなわち、施工仕様が事前に決定していないため、地盤変位を監視しながらその都度施工仕様を変えてアップダウン施工を実施しなければならなかった。このため施工仕様変更にかかる手続き及び承認等の時間が発生し、この分の施工時間が余計にかかることになり、結果的に更に工期が延びて施工費用が増大することになった。
更に、地盤変位の監視によるその都度の施工仕様の変更は,現場管理者及び作業員に対して不慣れな作業(非定常作業)を発生させていた。このため、施工仕様の管理ミスが起こることがあった。
又、上述の施工仕様変更によって作業が複雑化するため、施工仕様の変更が認めたれないこともあり、従来のアップダウン施工は採用されないことがあった。
そこで、上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、施工仕様を事前に決定することができ、施工に伴う地盤変位量を定量的に予測可能であって、効率的・能率的な施工を可能にする、締固め工法の新たな施工方法を提供することにある。
上記目的は、
周辺地盤を締固める改良体が地盤内に造成されるように、注入管を介して地盤内に地盤改良材を注入する工程(1)と、
前記改良体に脈動が生じるように、地盤に貫入させた状態で注入管の進退動を所定区間にわたって繰返す工程(2)と、を含む締固め工法の施工方法であって、
原地盤のN値と改良目標とするN値から施工現場に必要な改良率を求めて、該改良率を等価改良率(ase)として設定し、設定した前記等価改良率(ase)に基づいて施工仕様を決定することによって達成される。
等価改良率(ase)は、地盤改良材の総注入量(Q)と、注入管が進退動した総体積量である繰返し体積量(CV)との和を、改良対象土量(V0)で除したものである。
周辺地盤を締固める改良体が地盤内に造成されるように、注入管を介して地盤内に地盤改良材を注入する工程(1)と、
前記改良体に脈動が生じるように、地盤に貫入させた状態で注入管の進退動を所定区間にわたって繰返す工程(2)と、を含む締固め工法の施工方法であって、
原地盤のN値と改良目標とするN値から施工現場に必要な改良率を求めて、該改良率を等価改良率(ase)として設定し、設定した前記等価改良率(ase)に基づいて施工仕様を決定することによって達成される。
等価改良率(ase)は、地盤改良材の総注入量(Q)と、注入管が進退動した総体積量である繰返し体積量(CV)との和を、改良対象土量(V0)で除したものである。
なお、この出願において、
周辺地盤を締固める改良体が地盤内に造成されるように、注入管を介して地盤内に地盤改良材を注入する工程と、
前記改良体に脈動が生じるように、地盤に貫入させた状態で注入管の進退動を所定区間にわたって繰返す工程と、
を含む締固め工法を、必要に応じて「アップダウン施工」と略称する。
周辺地盤を締固める改良体が地盤内に造成されるように、注入管を介して地盤内に地盤改良材を注入する工程と、
前記改良体に脈動が生じるように、地盤に貫入させた状態で注入管の進退動を所定区間にわたって繰返す工程と、
を含む締固め工法を、必要に応じて「アップダウン施工」と略称する。
前記施工仕様の決定では、前記繰返し体積量(CV)に基づいて、工程(1)(2)で用いる注入管の外径、工程(2)での進退動の繰返し回数、工程(2)での進退動の繰返し区間長を決定する。
上記締固め工法の施工方法では、
前記等価改良率(ase)に基づいて、施工時に地盤に生ずる変位量を予測し、
予測される前記変位量が所定の管理値以下又は未満になるように、前記繰返し体積量(CV)を変更してもよい。
前記等価改良率(ase)に基づいて、施工時に地盤に生ずる変位量を予測し、
予測される前記変位量が所定の管理値以下又は未満になるように、前記繰返し体積量(CV)を変更してもよい。
又、上記締固め工法の施工方法では、
前記等価改良率(ase)に基づいて、施工時に地盤に生ずる変位量を予測し、
予測される前記変位量が所定の目標値に至るように又は近づくように、前記繰返し体積量(CV)を変更してもよい。
前記等価改良率(ase)に基づいて、施工時に地盤に生ずる変位量を予測し、
予測される前記変位量が所定の目標値に至るように又は近づくように、前記繰返し体積量(CV)を変更してもよい。
又、上記締固め工法の施工方法では、深度毎またはステップ毎に変位量を予測し、前記繰り返し体積量(CV)を変更してもよい。
又、上記締固め工法の施工方法では、
決定された注入量と前記施工仕様に基づいて試験施工を実施して、その施工状況や施工結果に応じて、決定された前記繰返し体積量(CV)を補正するための補正値αを決定するとともに、決定された前記総注入量(Q)を補正するための補正値βを決定し、
前記補正値αと前記補正値βに基づいて、前記繰返し体積量(CV)と前記総注入量(Q)をそれぞれ補正し、
補正された前記繰返し体積量(CV)に基づいて、工程(1)(2)で用いる注入管の外径、工程(2)での進退動の繰返し回数、工程(2)での進退動の繰返し区間長に関する施工仕様を決定してもよい。
ここで施工状況や施工結果とは、例えば、施工中や施工後に計測した実測の地盤変位量や、標準貫入試験結果(N値)などの地盤強度を示す。
決定された注入量と前記施工仕様に基づいて試験施工を実施して、その施工状況や施工結果に応じて、決定された前記繰返し体積量(CV)を補正するための補正値αを決定するとともに、決定された前記総注入量(Q)を補正するための補正値βを決定し、
前記補正値αと前記補正値βに基づいて、前記繰返し体積量(CV)と前記総注入量(Q)をそれぞれ補正し、
補正された前記繰返し体積量(CV)に基づいて、工程(1)(2)で用いる注入管の外径、工程(2)での進退動の繰返し回数、工程(2)での進退動の繰返し区間長に関する施工仕様を決定してもよい。
ここで施工状況や施工結果とは、例えば、施工中や施工後に計測した実測の地盤変位量や、標準貫入試験結果(N値)などの地盤強度を示す。
なお、砂杭材料を用いる従来の締固め工法のなかには、地盤内での砂杭の「拡径」を直接的な目的として、ケーシンングパイプを繰返し抜き差しするものがあるが、本発明で行う注入管のアップダウン(進退動)は、地盤改良材の押込みや、地盤内での改良体の拡径を目的とするものではない。すなわち、本発明におけるアップダウン工程(進退動を繰り返す工程)は、「地盤隆起の抑制」を直接的な目的として行う工程であって、改良体の拡径や造成に作用的に関与する工程ではない。したがって、砂杭の「拡径」を直接的な目的としたケーシンングパイプ抜き差し工程と、「地盤隆起の抑制」を直接的な目的とした注入管アップダウン工程とは、課題を解決するための手段として全く異なるものである。
又、砂杭の「拡径」を直接的な目的としたケーシンングパイプ抜き差し工程は、拡径作用によって地盤隆起を招くものであるから、隆起抑制を目的としたアップダウン工程とは正反対の作用を奏する工程である。
又、砂杭の「拡径」を直接的な目的としたケーシンングパイプ抜き差し工程は、拡径作用によって地盤隆起を招くものであるから、隆起抑制を目的としたアップダウン工程とは正反対の作用を奏する工程である。
本発明によれば、従来のアップダウン施工では不明であった施工仕様(注入管の外径、繰返し回数、繰返し区間長)を、実施工の前に事前に決定でき、各現場の施工条件及び環境に応じた効率的な施工が可能となる。
アップダウン施工の施工仕様を事前に決定できるため、施工サイクル時間を事前に把握することが可能になり、制限時間のある空港の現場等でも適用可能となる。更に、施工時間が事前に把握できるようになり、工期を算出できるようになる。それに伴い、施工費用の算出が可能となる。
本施工によって、事前に地盤変位が抑制可能になるため、施工時に作業員の判断や隆起量管理装置が不要となる。この結果、隆起等の地盤変位の監視にかかる人件費及び隆起量管理装置の費用が発生しなくなり、従来のアップダウン施工よりも施工費を抑制できるようになる。
本発明では、「等価改良率(ase)」を「従来改良率(asd)」と同等の改良効果があるものとみなして、等価改良率(ase)を従来改良率(asd)として使用する。これにより、繰返し体積量(CV)を注入量として見込めるようになる。そして、繰返し体積量(CV)を注入量として見込める結果、繰返し体積量分の注入量が削減できるようになるので、材料費を低減させることができるようになる。
アップダウン施工に使用する材料を削減できる結果、施工時間の短縮につながり、工期短縮を図ることができるようになる。
本発明によれば、アップダウン施工の実施工の前に、等価改良率に基づいて事前に地盤変位を予測できるようになる。したがって実施工において、地盤変位量の目標値達成の可否を判断できるようになる。
アップダウン施工の施工仕様を事前に決定することによって、実施工の際に大幅な施工仕様変更が無くなる。その結果、主に次のような優れた効果が達成される。
(1)隆起等の変位に伴う施工仕様の変更をその都度、実施する必要がなくなる。
(2)施工仕様変更にかかる書類等の手続き及びその承認作業を削減できるようになるので、施工能率が上がり、工期短縮が可能となる。
(3)施工仕様の変更に伴う不慣れな作業(非定常作業)がなくなるので、施工仕様の管理ミスがなくなる。又、施工能率が上がり、工期短縮が可能となる。
(4)施工に必要な手続き等が大幅に簡素化されるので、アップダウン施工が広く採用されるようになる。
(5)深度毎又はステップ毎に施工仕様を決定することができるので、施工途中の過大な隆起だけでなく過大な沈下も抑制することができる。
(1)隆起等の変位に伴う施工仕様の変更をその都度、実施する必要がなくなる。
(2)施工仕様変更にかかる書類等の手続き及びその承認作業を削減できるようになるので、施工能率が上がり、工期短縮が可能となる。
(3)施工仕様の変更に伴う不慣れな作業(非定常作業)がなくなるので、施工仕様の管理ミスがなくなる。又、施工能率が上がり、工期短縮が可能となる。
(4)施工に必要な手続き等が大幅に簡素化されるので、アップダウン施工が広く採用されるようになる。
(5)深度毎又はステップ毎に施工仕様を決定することができるので、施工途中の過大な隆起だけでなく過大な沈下も抑制することができる。
又、従来使用していた隆起管理装置を併用することで、より精度の高い地盤変位制御が可能となる。
はじめに、締固め工法に関連する主な用語について以下のとおり定義する。
「地盤改良材」とは、圧入後に地盤内で浸透したり脈状注入されることなく、周辺地盤を圧縮する塊(改良体)を形成できるものをいう。なお、前記定義のとおりの作用を発揮できる限り、本発明で用いる地盤改良材の組成や流動特性等は特に限定されない。すなわち、地盤を押し広げて、地盤内でその状態を維持できる材料であれば、いかなるものでも用いることができる。以下、地盤改良材について「改良材」と略称する。
「改良体」とは、圧入した改良材が地盤内でまとまって形成する塊であって、周辺地盤を圧縮し締固めるものをいう。経時的な固結の有無にかかわらず、又固化材の有無にかかわらず、周辺地盤を圧縮し締固めるものはすべて、上記「改良体」に含まれる。なお、地盤内で浸透する材料や脈状固結する材料を用いた場合には、改良体の造成が完全に阻害され、締固め工法として成立しなくなるので、この点に留意する必要がある。
以下、本発明の技術的前提となる締固め工法の概要を説明する。
(締固め工法の第1実施形態)
締固め工法の第1実施形態では、図14に示すようなボトムアップ方式(下から上へ向かう施工方式)に従って改良体を造成する。施工に用いる注入管としては、例えば、1ロッドの長さが1〜3m、直径が5〜20cmのものを複数本(削孔長分)用いる。注入管の引上げは、例えば1mにつき3〜5ステップ行う。1ステップ分の圧入によって、改良体1個分の改良材を地盤内に圧入し、1mで3〜5段の改良体を造成する。
締固め工法の第1実施形態では、図14に示すようなボトムアップ方式(下から上へ向かう施工方式)に従って改良体を造成する。施工に用いる注入管としては、例えば、1ロッドの長さが1〜3m、直径が5〜20cmのものを複数本(削孔長分)用いる。注入管の引上げは、例えば1mにつき3〜5ステップ行う。1ステップ分の圧入によって、改良体1個分の改良材を地盤内に圧入し、1mで3〜5段の改良体を造成する。
施工にあたっては、はじめに施工現場にボーリングマシンを用意し、改良対象地盤の所定削孔ポイントに注入管(削孔注入ロッド)をセットする。続いて図1(a)に示すように、目標深度へ向けて、注入管を複数本継ぎ足しながら削孔する。
削孔を続け、注入管の先端開口部が、改良対象地盤の目標深度に到達したら、削孔を止め、注入管からボーリングマシンを切り離す。次に、注入管に注入管リフト装置をセットするとともに、改良対象地盤に貫入させた注入管の一端を、流量圧力監視装置及び圧送ホースを介して特殊注入ポンプに接続する(図13参照)。
続いて、特殊注入ポンプによる圧送を開始すると、特殊注入プラントで用意された改良材が、圧送ホース・流量圧力監視装置・注入管を介して、図1(b)に示すように改良対象地盤内に静的圧入される。「圧入」とは、地盤を押し広げる圧力でポンプにより改良材を地盤内に注入することをいう。
改良材の圧入工程では、流量・圧力を適宜コントロールしながら改良材をポンプ圧送し、計画量の改良材(改良体1個分の改良材)を地盤内に強制的に圧入する。特殊注入ポンプにより与えられた注入圧力は、圧送途中の改良材中を伝搬してゆき、注入管の先端付近の周辺地盤に伝達される。
注入管の先端開口部を介して地盤内に圧入された改良材は、土中で迷走や浸透することなく、注入管先端の吐出点付近で改良体(改良材の塊)を形成する。この改良体は、改良材圧入の進行に伴って体積が増加し、周辺地盤を押し広げる。なお、添付図面では改良体を簡略化して図示しているが、地盤中における改良体の形状は、土層状況に応じていびつな球根状となる。
1ステップ分の改良材の圧入が完了し改良体1個の造成が完了したら、圧入を停止し、次いで、注入管を圧送ホースに接続したままで注入管リフト装置を作動させてアップダウン工程を実行する。アップダウン工程では図1(c)に示すように、1ステップ分の深度区間にわたって、注入管を繰返し進退動させる。(1ステップ分の深度区間 = 直前に造成した改良体の圧入開始深度と、次段の改良体の圧入開始深度との間の区間)
なお、この出願では、進退動の別の表現として、用語「アップダウン」を用いる。
なお、この出願では、進退動の別の表現として、用語「アップダウン」を用いる。
注入管を繰返しアップダウンさせるとき、注入管と周辺地盤との間には摩擦抵抗が生じるが、この摩擦抵抗に抗して注入管を進退動させる。なお、本発明における注入管のアップダウンは、注入管を無回転で単に進退動させるだけでもよいが、好ましくは、注入管を回転させながら進退動させるようにする。或いは、揺動(正逆回転)させながらアップダウンを繰り返すようにしてもよい。注入管を回転させながら進退動させることで、摩擦抵抗による機材への負担を軽減できる。又、回転や揺動を伴うことにより、小さな反力で進退動させることができるため、反力を取るためのアンカーや機械の大型化(重量の増加)が不要となる。
アップダウン工程では、図1(c)に示すように、直前に造成した改良体を注入管先端で繰返し突くように、1ステップ分の深度区間にわたって注入管の引上げ・貫入を所定回数繰り返す。
アップダウン工程において、注入管内は改良材で満たされており、注入管がその内側の改良材と一体となって進退動する。そして、注入管下端と圧入済み改良体との間は真空状態となっている。したがって図2に示すように、注入管を引上げるアップ動作時には、内側に引き戻されるような作用が生じ、注入管及びその内側の改良材のアップストローク分の体積だけ圧入済み改良体の体積が縮小する。逆に、注入管を再貫入するダウン動作時には、外側に押し戻されるような作用が生じ、注入管及びその内側の改良材のダウンストローク分の体積だけ圧入済み改良体の体積が膨張する。
このように、周辺地盤や改良体との間に生じる摩擦抵抗に抗して、注入管を繰返し進退動させることで、改良体が脈動する(圧入済み改良体の体積が膨れたり縮んだりする膨縮動作)。この改良体の脈動は周辺地盤に対し繰返し載荷を与え、すなわち周辺地盤に対し載荷と除荷を交互に与え、この作用により地盤が締固められ、地盤が沈下する。したがって本発明に係る締固め工法によれば、その施工時に発生し得る地盤隆起を抑制できる。
よって、前述した圧入工程を実施することで、圧入の影響が地表面側へ伝搬して対象地盤に鉛直変位(隆起)が発生し得るが、注入管をアップダウンさせることで周辺地盤に沈下が生じるので、改良材の圧入工程に起因する鉛直変位の全部又は一部を相殺できる。したがって、注入管のアップダウンを併用して、改良材を圧入することで、施工全体を通しての地盤隆起量が大幅に減少する。
よって、前述した圧入工程を実施することで、圧入の影響が地表面側へ伝搬して対象地盤に鉛直変位(隆起)が発生し得るが、注入管をアップダウンさせることで周辺地盤に沈下が生じるので、改良材の圧入工程に起因する鉛直変位の全部又は一部を相殺できる。したがって、注入管のアップダウンを併用して、改良材を圧入することで、施工全体を通しての地盤隆起量が大幅に減少する。
図1(c)に示すアップダウン工程が完了したら、注入管リフト装置を作動させて、図1(d)に示すように注入管を1ステップ分引上げ、次段の圧入開始深度に固定する。そして、再び図1(b)と同様の圧入手順で次段の改良体を造成し、続いて図1(c)と同様の手順で次段の改良体を突くようにアップダウン工程を実行する。
以後同様に、1ステップ分の引上げ(図1(d))と、圧入工程(図1(b))と、アップダウン工程(図1(c))を、必要回数繰り返す。1ロッド分の引上げが完了したら、地表側で抜き出た1ロッド分の注入管を切り離し、再び圧送ホースを接続し、同様の工程を繰り返す。なお、深度や土層によってアップダウン工程を省略したりアップダウン工程の仕様を変更したりしてもよい。
上述した工程を所定深度領域に亘って繰り返すことで、図1(e)に示すように、複数の改良体が連なって構成される1本の柱状改良体(略柱状の改良体群/コンパクション体)が造成される。柱状改良体を構成する各改良体は、上下の改良体と相互に結合している。このような柱状改良体を施工エリア内の複数ポイントで造成することで、各改良体の圧縮作用により改良対象地盤の密度が増大し、その結果、液状化地盤を非液状化地盤へと改良することができる。
締固め工法で利用可能な改良材は特に限定されないが、例えば、非流動性又は低流動性の材料などを用いることができる。「低流動性」の材料は、地盤に圧入する段階で既に流動性が低いものであってもよく、又、圧送ホースや注入管の中を圧送している段階では流動性が低いとはいえないが、地盤内に圧入された後に脱水によって(又は経時的に)流動性が低くなるものであってもよい。
利用可能な改良材の具体例としては、例えば次のような材料が挙げられる。
(1)固化材・特殊骨材・水を所定の割合で混合したモルタル。
出願人の経験によれば、改良材のスランプ値が7cm以下、好ましくは5cm以下であれば、軟弱地盤や砂れき層であっても改良材で割裂脈を形成したり地盤を破壊することなく、地盤を押し広げて密度を増加させることができることが確認されている。この場合の「スランプ値が7cm以下」の材料には、圧入する段階で既にスランプ値7cm以下の材料が含まれ、又、地盤内に圧入された後に流動性を失ってスランプ値7cm以下に至る材料も含まれる。
出願人の経験によれば、改良材のスランプ値が7cm以下、好ましくは5cm以下であれば、軟弱地盤や砂れき層であっても改良材で割裂脈を形成したり地盤を破壊することなく、地盤を押し広げて密度を増加させることができることが確認されている。この場合の「スランプ値が7cm以下」の材料には、圧入する段階で既にスランプ値7cm以下の材料が含まれ、又、地盤内に圧入された後に流動性を失ってスランプ値7cm以下に至る材料も含まれる。
(2)可塑性及び流動性を有し、力を加えなければ流動しないが、力を加えると流動するグラウト材。
このようなグラウト材は、懸濁液と可塑剤を混合することにより生成され、例えば、硬化発現材としてセメント懸濁液やセメントベントナイト懸濁液、或はスラグやフライアッシュに消石灰を加えた懸濁液に可塑剤として水ガラスやアルミニウム塩、粘土鉱物、高分子材等を合流したものを使用することができ、必要に応じて、骨材、添加剤(エア発生剤、分散剤、遅延剤、強度促進剤、増粘剤等)を配合してもよい。
このようなグラウト材は、懸濁液と可塑剤を混合することにより生成され、例えば、硬化発現材としてセメント懸濁液やセメントベントナイト懸濁液、或はスラグやフライアッシュに消石灰を加えた懸濁液に可塑剤として水ガラスやアルミニウム塩、粘土鉱物、高分子材等を合流したものを使用することができ、必要に応じて、骨材、添加剤(エア発生剤、分散剤、遅延剤、強度促進剤、増粘剤等)を配合してもよい。
(3)地盤改良に用いる砂杭材料を流動化させたもの。
このような改良材として、例えば砂杭材料に流動化剤を加えたものを用いることができる。又、流動化剤を加えた砂杭材料を地盤中に注入する過程で塑性化剤を加え、塑性化した砂杭材料で改良体を造成するようにしてもよい。砂杭材料としては、従来の砂杭造成工法で使用されてきた公知の材料を用いることができ、例えば、砂、シルトや礫を含む砂、砕石、スラグ、リサイクル材などを用いることができる。
このような改良材として、例えば砂杭材料に流動化剤を加えたものを用いることができる。又、流動化剤を加えた砂杭材料を地盤中に注入する過程で塑性化剤を加え、塑性化した砂杭材料で改良体を造成するようにしてもよい。砂杭材料としては、従来の砂杭造成工法で使用されてきた公知の材料を用いることができ、例えば、砂、シルトや礫を含む砂、砕石、スラグ、リサイクル材などを用いることができる。
(締固め工法の第2実施形態)
締固め工法の第2実施形態では、前述した第1実施形態と同様に図14に示すようなボトムアップ方式(下から上へ向かう施工方式)に従って地盤改良体を造成する。以下、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明する。
締固め工法の第2実施形態では、前述した第1実施形態と同様に図14に示すようなボトムアップ方式(下から上へ向かう施工方式)に従って地盤改良体を造成する。以下、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明する。
前述した締固め工法の第1実施形態では、圧入工程の後にアップダウン工程を実行している。これに対し第2実施形態では、図3に示すように、圧入工程の実施中にアップダウン工程を実施する。
施工にあたっては、はじめに図3(a)に示すように、目標深度へ向けて注入管(削孔注入ロッド)を複数本継ぎ足しながら削孔し、注入管の先端開口部が、改良対象地盤の目標深度に到達したら削孔を止める。続いて、流量・圧力を適宜コントロールしながら改良材をポンプ圧送し、計画量の改良材(改良体1個分の改良材)を地盤内に静的圧入する。
本実施形態では、ポンプ圧送による改良材の圧入と同時に、すなわち圧入工程の実施中に、注入管リフト装置を作動させて注入管のアップダウン工程を実行する。アップダウン工程では、図3(b)に示すように1ステップ分の深度区間にわたって、注入管を繰返し上下させる。(1ステップ分の深度区間 = 現在造成中の改良体の圧入開始深度と、次段の改良体の圧入開始深度との間の区間)
このとき、現在造成途中の改良体(すなわち体積膨張下にある改良体)を注入管先端で繰返し突くように、1ステップ分の深度区間にわたって注入管の引上げ・貫入を所定回数繰り返す。
1ステップ分の改良材の圧入が完了し改良体1個の造成が完了したら、圧入を停止するとともに注入管のアップダウンを停止する。続いて注入管リフト装置を作動させて、図3(c)に示すように注入管を1ステップ分引上げて、次段の圧入開始深度に固定する。そして、再び図3(b)と同様の手順で、改良材を圧入して次段の改良体を造成しながら、該改良体を突くようにアップダウン工程を実行する。
以後同様に、1ステップ分の引上げ(図3(c))と、圧入工程と同時のアップダウン工程(図3(b))を、必要回数繰り返す。1ロッド分の引上げが完了したら、地表側で抜き出た1ロッド分の注入管を切り離し、再び圧送ホースを接続し、同様の工程を繰り返す。
上述した工程を所定深度領域に亘って繰り返すことで、図3(d)に示すように、複数の改良体が連なって構成される1本の柱状改良体が造成される。
なお、深度や土層によってアップダウン工程を省略してもよい。又、上述した実施形態では、圧入工程とアップダウン工程の実施開始及び終了が一致するように時間を合わせて実施しているが、実施時間が一部重複するように時間をずらして実施するようにしてもよい。
(締固め工法の第3実施形態)
締固め工法の第3実施形態では、上記第1,第2実施形態と同様に図14に示すようなボトムアップ方式(下から上へ向かう施工方式)に従って改良体を造成する。以下、第1,第2実施形態との相違点を中心に説明する。
締固め工法の第3実施形態では、上記第1,第2実施形態と同様に図14に示すようなボトムアップ方式(下から上へ向かう施工方式)に従って改良体を造成する。以下、第1,第2実施形態との相違点を中心に説明する。
上記実施形態では、改良体1個の造成の後に、又は改良体1個の造成と同時に、アップダウン工程を実行している。これに対し第3実施形態では、図4に示すように、複数段の改良体を連続して造成した後にアップダウン工程を実行する。
施工にあたっては、はじめに図4(a)に示すように、目標深度へ向けて注入管(削孔注入ロッド)を複数本継ぎ足しながら削孔し、注入管の先端開口部が、改良対象地盤の目標深度に到達したら削孔を止める。続いて、流量・圧力を適宜コントロールしながら改良材をポンプ圧送し、計画量の改良材(改良体1個分の改良材)を地盤内に静的圧入する。一段目の改良体の造成が完了したら、注入管を1ステップ分引上げて次段の圧入開始深度に固定し、同様に改良体1個分の改良材を地盤内に静的圧入する。
例えば、図4(b)に示す工程で改良体2段分の圧入が完了したら、続いて注入管のアップダウン工程を実行する。アップダウン工程では、図4(c)に示すように2ステップ区間、すなわち直前に連続造成した改良体の深度区間で、注入管を繰返し進退動させる。このとき、直前に連続造成した2段の改良体を注入管先端で突き刺すように、2ステップ区間での注入管の引上げ・貫入を所定回数繰り返す。
図4(c)に示すアップダウン工程が完了したら、図4(d)に示すように注入管を2ステップ分引上げて、3段目の圧入開始深度に固定する。そして、再び図4(b)と同様の手順で3段目以降の改良体を複数段連続造成し、続いて図4(c)と同様の手順で、直前に連続造成した複数段の改良体を突くようにアップダウン工程を実行する。
以後同様に、注入管の引上げ(図4(d))と、複数段の改良体の連続造成(図4(b))と、アップダウン工程(図4(c))を、必要回数繰り返す。1ロッド分の引上げが完了したら、地表側で抜き出た1ロッド分の注入管を切り離し、再び圧送ホースを接続し、同様の工程を繰り返す。
なお、図4(b)では、2段の改良体を連続造成する場合を代表例として挙げたが、3段以上の改良体を連続造成し、これに続いて図4(c)のアップダウン工程を実施するようにしてもよい。
又、図4(c)では、直前に連続造成した改良体のすべてを突くように注入管をアップダウンさせているが、複数段の改良体の一部だけを突くように注入管をアップダウンさせてもよい。
又、深度や土層によってアップダウン工程を省略したり、アップダウン工程の仕様を変更したりしてもよい。
又、図4(c)では、直前に連続造成した改良体のすべてを突くように注入管をアップダウンさせているが、複数段の改良体の一部だけを突くように注入管をアップダウンさせてもよい。
又、深度や土層によってアップダウン工程を省略したり、アップダウン工程の仕様を変更したりしてもよい。
上述した工程を所定深度領域に亘って繰り返すことで、図4(e)に示すように、複数の改良体が連なって構成される1本の柱状改良体が造成される。
(締固め工法の第4実施形態)
次に、図12に基づいて、締固め工法の第4実施形態について説明する。
図12(a)は、注入の進行度合いに応じた地盤変位量を示すグラフである。
図12(b)は、ステップ毎の注入量(Q)と繰返し体積量(CV)の割合を示すグラフである。
次に、図12に基づいて、締固め工法の第4実施形態について説明する。
図12(a)は、注入の進行度合いに応じた地盤変位量を示すグラフである。
図12(b)は、ステップ毎の注入量(Q)と繰返し体積量(CV)の割合を示すグラフである。
締固め工法の第4実施形態では、後述するとおり、等価改良率(ase)から繰返し体積量(CV)を決定し、その決定した繰返し体積量(CV)に基づいた施工仕様でアップダウン施工を実施する。加えて、1ステップごとに、繰返し体積量(CV)を変更する。また比較として、従来通りのアップダウン施工なしの注入のみの施工(比較例1)及び1本分の等価改良率(ase)から繰返し体積量(CV)を決定し、その決定した繰返し体積量(CV)に基づいた施工仕様でアップダウン施工(比較例2)を示す。
この実施形態では、地盤変位量(隆起量、沈下量)に上限値(隆起量)と下限値(沈下量)が定められており、地盤変位量が上限値又は下限値に達した場合には、その時点で施工は中断することとなる。そのため、施工中は地盤変位量を継続的に監視している。
この実施形態では、地盤変位量(隆起量、沈下量)に上限値(隆起量)と下限値(沈下量)が定められており、地盤変位量が上限値又は下限値に達した場合には、その時点で施工は中断することとなる。そのため、施工中は地盤変位量を継続的に監視している。
比較例1では、従来通りのアップダウン施工なしの注入のみであるため、図12(b)に示すとおり、注入量(Q)と繰返し体積量(CV)の割合は、常に10:0の状態である。したがって、1ステップあたりの注入量が多いので、図12(a)に示すとおり、aステップ目で変位管理値の上限に達し(図12(a)にて×で示す)、この段階で施工は中断することとなる。
比較例2は、等価改良率(ase)から繰返し体積量(CV)を決定し、その決定した繰返し体積量(CV)に基づいた施工仕様でアップダウン施工を実施しているものであるが、図12(a)に示すとおり、変位を示す線は注入時に隆起し、アップダウン時に沈下するので、変位を示す線(実線部分)が下り階段状にぎざぎざになっている。比較例2では、注入の初期ではステップアップに伴って地盤の沈下が進行し、bステップの段階で変位管理値の下限に達し、この段階で施工を中断することとなる。この場合においても、比較例2は比較例1よりも最終的な注入量(総注入量)は多くなる。
なお、本実施形態では、変位管理値として上限値と下限値を定めているため、比較例2は途中で中断しているが、変位管理値として上限値(隆起量)のみ設定されている場合は、比較例2は中断とはならず、図12(a)において破線(実線に続く破線)で示すように地盤変位量を変位管理値内に収めることが可能である。この場合、途中で中断した比較例1より(図12(a)の×)、全層を注入したこの比較例2の方が最終的な変位が小さくなる(図12(a)の●)。つまり、変位管理値として上限値(隆起量)のみ設定されている場合(現場)では、比較例1よりも比較例2の方が、最終的な地盤変位の抑制の点および総注入量の点で優れている。
しかし、変位管理値として上限値(隆起量)と下限値(沈下量)の両方が設定されている場合(現場)では、bステップの段階で変位管理値を超えてしまうため、全層にわたっての計画量を注入することができない。つまり、比較例2は、比較例1と同様、施工途中で中断することになる。ただし、この場合においても、比較例1よりも総注入量は多い。
なお、本実施形態では、変位管理値として上限値と下限値を定めているため、比較例2は途中で中断しているが、変位管理値として上限値(隆起量)のみ設定されている場合は、比較例2は中断とはならず、図12(a)において破線(実線に続く破線)で示すように地盤変位量を変位管理値内に収めることが可能である。この場合、途中で中断した比較例1より(図12(a)の×)、全層を注入したこの比較例2の方が最終的な変位が小さくなる(図12(a)の●)。つまり、変位管理値として上限値(隆起量)のみ設定されている場合(現場)では、比較例1よりも比較例2の方が、最終的な地盤変位の抑制の点および総注入量の点で優れている。
しかし、変位管理値として上限値(隆起量)と下限値(沈下量)の両方が設定されている場合(現場)では、bステップの段階で変位管理値を超えてしまうため、全層にわたっての計画量を注入することができない。つまり、比較例2は、比較例1と同様、施工途中で中断することになる。ただし、この場合においても、比較例1よりも総注入量は多い。
本実施形態では、変位を示す線は注入時に隆起し、アップダウン時に沈下する。そして、本実施形態では、図12(b)に示すとおり、1ステップごとに、繰返し体積量(CV)を変更しているので、すなわち、注入量(Q)と繰返し体積量(CV)の割合を1ステップごとに変えているので、図12(a)に示すとおり地盤変位量はΔh=0の前後で増減を繰返し、変位管理値の上限および下限に達しないように施工することができる。したがって、比較例2のような中断を招くことなく、施工を完了することができる。
以上のように、ステップ毎または深度毎に変位量を予測し、繰り返し体積量(CV)を変更することで、施工途中での過大な隆起を抑制できるだけでなく、過大な沈下も抑制できる。つまり、ステップ毎または深度毎にアップダウンの仕様を決定することにより、変位管理値として上限値・下限値とも設定されていても、変位管理値内に収めることが可能となる(図12(a)の○)。また施工途中の最大変位量自体も大幅に抑制することができるため、対象構造物や施設への悪影響も少なくなる。
(締固め工法の他の実施形態)
上述した締固め工法の実施形態は、下から上へあるいは奥から手前へ施工するボトムアップ方式(図14参照)で改良体を造成する施工態様であったが、本発明には、上から下へあるいは手前から奥へ施工するトップダウン方式(図15参照)で改良体を造成する施工態様も含まれる。
上述した締固め工法の実施形態は、下から上へあるいは奥から手前へ施工するボトムアップ方式(図14参照)で改良体を造成する施工態様であったが、本発明には、上から下へあるいは手前から奥へ施工するトップダウン方式(図15参照)で改良体を造成する施工態様も含まれる。
又、この出願においてアップダウンとは、注入管を削孔部に沿って進退動させることを意味するものであり、その方向は鉛直方向に限定されない。例えば、注入管を斜めに貫入する斜め施工や、注入管を水平方向に貫入する水平施工において、水平方向又は斜め方向の削孔部に沿って注入管を進退動させる操作もアップダウン工程に含まれる。同様に、曲線(自在)ボーリングを併用した施工において、湾曲した削孔部や水平削孔部に沿って注入管を進退動させる操作もアップダウン工程に含まれる。
又、上述した実施形態では、改良体が複数連なってなる1本の柱状改良体を造成しているが、改良する土層の中間に改良を必要としない層(例えば粘性土層)が存在する場合には、その層における改良体の造成を省略してもよい。すなわち、当該層では削孔部への改良材の充填にとどめて、中抜き状に柱状改良体を造成するようにしてもよい。
又、上述した締固め工法の実施にあたっては、施工時の地盤隆起を監視等するための隆起管理装置を併用することも可能である。隆起量管理装置の具体例としては、施工中における地盤の隆起量を計測する計測手段と、計測した隆起量と基準値とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づいて注入管の進退動などを制御する制御手段と、を有する装置が挙げられる。
(締固め工法の等価改良率を用いた施工法)
次に、上述した締固め工法を技術的前提とする本発明の実施形態について説明する。
以下の説明で用いる主な用語と、その用語に対応する記号と、各用語の意味は、表1に示すとおりである。
次に、上述した締固め工法を技術的前提とする本発明の実施形態について説明する。
以下の説明で用いる主な用語と、その用語に対応する記号と、各用語の意味は、表1に示すとおりである。
以下、図5に基づいて、本発明の第1実施形態について説明する。
図5は、本発明に係る「締固め工法の等価改良率を用いた施工法」の第1実施形態を示すフローチャートである。なお、図5のフローチャートに示す手順は、前述した締固め工法の施工前に(例えば施工計画の段階で)、事前に実行される手順である。
図5は、本発明に係る「締固め工法の等価改良率を用いた施工法」の第1実施形態を示すフローチャートである。なお、図5のフローチャートに示す手順は、前述した締固め工法の施工前に(例えば施工計画の段階で)、事前に実行される手順である。
図5のステップS101に示すとおり、本発明の第1実施形態では、はじめに、施工現場について事前調査を実施して、液状化の予測・判定を行う。そして、改良対象土量(V0)を把握するとともに、原地盤の現状のN値と改良目標とするN値から施工現場に必要な改良率(asd)を求める。ここでいう改良率(asd)は、従来より一般的に採用されている設計改良率を意味する。続いてステップS103において、求めた改良率(asd)を等価改良率(ase)として設定する。
等価改良率(ase)は、従来から一般的に採用されている改良率(asd)と等価のものとして扱うことができる値である。すなわち、改良率(asd)と等価改良率(ase)を、同等の価値があるものとみなして、以後の手順を進める。
次にステップS105に示すとおり、S103で設定した等価改良率(ase)を、
・ 注入体積率(asg): 改良対象土量 (V0)に応じた総注入量(Q)
・ 繰返し体積率(ascv): 改良対象土量 (V0)に応じた繰返し体積量(CV)
の二つに振り分ける。
・ 注入体積率(asg): 改良対象土量 (V0)に応じた総注入量(Q)
・ 繰返し体積率(ascv): 改良対象土量 (V0)に応じた繰返し体積量(CV)
の二つに振り分ける。
すなわち、設定した等価改良率(ase)に基づいて、改良対象土量 (V0)に対する総注入量(Q)と繰返し体積量(CV)を決定する。表1に示すとおり、等価改良率(ase)は、総注入量 (Q)と繰返し体積量(CV)の和を改良対象土量(V0)で除したものであり、又、改良対象土量(V0)は、施工前の事前調査の段階で把握することが可能であるから、等価改良率(ase)から総注入量(Q)と繰返し体積量(CV)を求めることが可能である。又、等価改良率(ase)は、繰返し体積率(ascv)と注入体積率(asg)の和であるから、その一方が決まれば、他方は自動的に決定される。
なお、ステップS105で振り分ける繰返し体積率(ascv)と注入体積率(asg)の比率は特に限定されず、施工条件等に基づいて任意の値に決定することができる。
次にステップS107に示すとおり、設定した等価改良率(ase)に基づいて、施工時に地盤に生ずる変位量を予測する。具体的には、ステップS105で決定した、改良対象土量 (V0)に応じた総注入量(Q)と繰返し体積量(CV)に基づいて、施工時に地盤に生ずる変位量を予測する。予測する変位量には、鉛直方向の変位量(隆起量、沈下量)のほか、水平方向の変位量も含まれる。
次にステップS109に示すとおり、等価改良率(ase)から予測した変位量と、予め定めた所定の管理値を比較し、予測変位量が所定の管理値を下回るか否か(あるいは所定の管理値以下か否か)について判断する。ここでいう管理値とは、例えば「施工時の隆起量を○○cm以内に抑えてください」といった所定の基準値(制限値)をいう。
ステップS109の判断で、予測変位量が所定の管理値を下回ると判断された場合には、S105での振り分けで決定した注入体積率(asg)と繰返し体積率(ascv)をその値で確定させる。すなわち、S105で決定した注入体積率(asg)と繰返し体積率(ascv)を、施工条件としてそのまま採用する。
一方、ステップS109の判断で、予測変位量が所定の管理値を下回ると判断されなかった場合、具体的には、予測変位量が所定の管理値を超えたと判断された場合には、ステップS113の手順に進み、S105での振り分けで決定した繰返し体積率(ascv)について設定変更を行う。
ここでいう設定変更とは、予測変位量が所定の管理値を下回るように(あるいは所定の管理値以下になるように)、繰返し体積率(ascv)を変更することを意味する。なお、等価改良率(ase)は、繰返し体積率(ascv)と注入体積率(asg)の和であるから、繰返し体積率(ascv)を設定変更すれば、注入体積率(asg)も変わることになる。
ステップS113での設定変更後の値(繰返し体積率(ascv)と注入体積率(asg)の値)に基づいて、再び、施工時に地盤に生ずる変位量を予測する(S107)。そして、ステップS107, S109, S113の一連の処理(又はその繰返し)を経て、設定変更後の予測変位量が所定の管理値を下回ると判断された場合には(S109)、設定変更後の注入体積率(asg)と繰返し体積率(ascv)をその値で確定させる(S111)。
続いて、ステップS111で確定した繰返し体積率(ascv)に基づいて、施工仕様の選定を行い(S115)、注入管の外径、繰返し回数、繰返し区間長に関する施工仕様を決定する(S117)。表1に示すとおり、繰返し体積率(ascv)は、繰返し体積量(CV)を改良対象土量(V0)で除したものでり、又、繰返し体積量(CV)=「注入管の断面積 (A)」×「注入管先端が上下移動した総距離 (ΣL)」であるから、繰返し体積率(ascv)から前記施工仕様を求めることが可能である。
そして、上記一連のステップを経て決定した施工仕様に基づいて、前述した締固め工法(図1〜図4)を実施する。
(締固め工法の等価改良率を用いた施工法の第2実施形態)
次に、図6に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明に係る「締固め工法の等価改良率を用いた施工法」の第2実施形態を示すフローチャートである。なお、図6のフローチャートに示す手順は、前述した締固め工法の施工前に(例えば施工計画の段階で)、事前に実行される手順である。
次に、図6に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明に係る「締固め工法の等価改良率を用いた施工法」の第2実施形態を示すフローチャートである。なお、図6のフローチャートに示す手順は、前述した締固め工法の施工前に(例えば施工計画の段階で)、事前に実行される手順である。
図6に示すステップS201〜S207の各処理は、図5に示すステップS101〜S107と同様である。したがって、ステップS201〜S207の各処理についての説明は、前述した第1実施形態を援用する。
次にステップS209に示すとおり、等価改良率(ase)から予測した変位量と、予め定めた所定の目標値を比較し、予測変位量が所定の目標値に到達しているか否か(あるいは所定の目標値に近い値か否か)について判断する。ここでいう目標値とは、例えば「対象地盤のN値を○○上げて、且つ、地盤を○○cm沈下させてください」といった所定の基準値をいう。
ステップS209の判断で、予測変位量が所定の目標値に達していると判断された場合には、S205での振り分けで決定した注入体積率(asg)と繰返し体積率(ascv)をその値で確定させる。すなわち、S205で決定した注入体積率(asg)と繰返し体積率(ascv)を、施工条件としてそのまま採用する。
一方、ステップS209の判断で、予測変位量が所定の目標値に達していると判断されなかった場合、すなわち、予測変位量が所定の目標値に満たないと判断された場合には、ステップS213の手順に進み、S205での振り分けで決定した繰返し体積率(ascv)について設定変更を行う。
ここでいう設定変更とは、予測変位量が所定の目標値に至るように(あるいは所定の目標値に近づくように)、繰返し体積率(ascv)を変更することを意味する。
ステップS213での設定変更後の値(繰返し体積率(ascv)と注入体積率(asg)の値)に基づいて、再び、施工時に地盤に生ずる変位量を予測する(S207)。そして、ステップS207, S209, S213の一連の処理(又はその繰返し)を経て、設定変更後の予測変位量が所定の目標値に達していると判断された場合には(S209)、設定変更後の注入体積率(asg)と繰返し体積率(ascv)をその値で確定させる(S211)。
続いて、ステップS211で確定した繰返し体積率(ascv)に基づいて、施工仕様の選定を行い(S215)、注入管の外径、繰返し回数、繰返し区間長に関する施工仕様を決定する(S217)。そして、上記一連のステップを経て決定した施工仕様に基づいて、前述した締固め工法(図1〜図4)を実施する。
(締固め工法の等価改良率を用いた施工法の第3実施形態)
次に、図7に基づいて、本発明の第3実施形態について説明する。
図7は、本発明に係る「締固め工法の等価改良率を用いた施工法」の第3実施形態を示すフローチャートである。なお、図7のフローチャートに示す手順は、前述した締固め工法の施工前に(例えば施工計画の段階で)、事前に実行される手順である。
次に、図7に基づいて、本発明の第3実施形態について説明する。
図7は、本発明に係る「締固め工法の等価改良率を用いた施工法」の第3実施形態を示すフローチャートである。なお、図7のフローチャートに示す手順は、前述した締固め工法の施工前に(例えば施工計画の段階で)、事前に実行される手順である。
図7に示すステップS301〜S309, S313の各処理は、図5に示すステップS101〜S109, S113と同様である。したがって、ステップS301〜S309, S313の各処理についての説明は、前述した第1実施形態を援用する。
ステップS309の判断で、予測変位量が所定の管理値を下回ると判断された場合には、S305での振り分けで決定した繰返し体積率(ascv)と注入体積率(asg)を、後述のステップS315での試験施工用の施工条件としてそのまま採用する(S311)。
あるいは、ステップS307, S309, S313の一連の処理(又はその繰返し)を経て、予測変位量が所定の管理値を下回ると判断された場合には(S309)、設定変更した後の繰返し体積率(ascv)と注入体積率(asg)を、後述のステップS315での試験施工用の施工条件として採用する(S311)。
あるいは、ステップS307, S309, S313の一連の処理(又はその繰返し)を経て、予測変位量が所定の管理値を下回ると判断された場合には(S309)、設定変更した後の繰返し体積率(ascv)と注入体積率(asg)を、後述のステップS315での試験施工用の施工条件として採用する(S311)。
続いて、S309を経て採用した注入体積率(asg)と繰返し体積率(ascv)を利用し、締固め工法の試験施工を実施する(S315)。試験施工は、1箇所でもよく、あるいは複数箇所でもよい。
次に、ステップS315の試験施工での状況や結果に応じて、これまでに決定している繰返し体積率(ascv)を補正するための補正値αを決定する(S317)。又、これまでに決定している注入体積率(asg)を補正するための補正値βを決定する(S319)。補正値α、βは、変位量が管理値を下回る範囲内で改良効果が目標値により一層近づくように、繰返し体積率(ascv)及び注入体積率(asg)を補正する役割を担う。つまり、補正値α、βを利用して繰返し体積率(ascv)及び注入体積率(asg)を補正することで、実施工において更に理想的な地盤改良を施すことが可能になる。
続いて、ステップS317, S319で決定した補正値α、βを用いて、繰返し体積率(ascv)及び注入体積率(asg)を補正し、それぞれについて補正後の値を算出する(S321)。このようにして求めた補正後の繰返し体積率(ascv)、及び補正後の注入体積率(asg)を、実施工用の施工条件として確定させる(S323)。
続いて、ステップS323で確定した補正後の繰返し体積率(ascv)に基づいて、施工仕様の選定を行い(S325)、注入管の外径、繰返し回数、繰返し区間長に関する施工仕様を決定する(S327)。そして、上記一連のステップを経て決定した施工仕様に基づいて、前述した締固め工法(図1〜図4)を実施する。
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
土槽中に模型地盤を作製し、この模型地盤中に小型の圧入装置を使用して締固め工法の実験を行った。
(1)模型地盤
土槽の模型地盤は、下位に液状化層(砂層300mm)、上位に非液状化層(砕石層100mm)の2層で構成した。砂は東北硅砂7号を、砕石は粒径10mmのものを使用した。
土槽の模型地盤は、下位に液状化層(砂層300mm)、上位に非液状化層(砕石層100mm)の2層で構成した。砂は東北硅砂7号を、砕石は粒径10mmのものを使用した。
(2)圧入装置
本実験で使用した圧入装置の模式図を図8に示す。本装置は注入管の貫入・引上げを行う機能と、改良材であるモルタルを注入する機能をそれぞれ有する。
本実験で使用した圧入装置の模式図を図8に示す。本装置は注入管の貫入・引上げを行う機能と、改良材であるモルタルを注入する機能をそれぞれ有する。
(3)施工方法
改良材としてモルタルを用いて土槽中に柱状改良体を1本造成し、従来施工及び本発明を利用したアップダウン施工の各改良効果について検証を行った。以下、本発明を利用したアップダウン施工を「U/D施工」と略称する。
改良材としてモルタルを用いて土槽中に柱状改良体を1本造成し、従来施工及び本発明を利用したアップダウン施工の各改良効果について検証を行った。以下、本発明を利用したアップダウン施工を「U/D施工」と略称する。
比較例、実施例、参考例の各施工条件を表2に示す。又、比較例と実施例で共通する施工条件を表3に示す。
図9に、実施例に係るU/D施工の施工法の概要を示す。又図10に、実施例の代表として実施例4(U/D 3球体 10回)の施工方法を示す。図10は、注入管を上下に動かす1サイクルのU/D施工の繰返し区間長がモルタル3球体分(改良体3個分)であり、かつ、1サイクルの注入管の繰返し回数(往復回数)が10回であることを示している。
本実験で造成した1本の柱状改良体は、図8に示すように、10個のモルタル球体(改良体)が上下方向で連なったもので構成される。この球体内(改良体内)を注入管が上下に繰返し移動(アップダウン)する施工法をU/D施工としている。ただし、U/D施工において、モルタル注入時は、上下移動は行わないものとした。
従来施工(比較例)は、モルタル球体一つ分の注入完了後に、注入管を1区間ずつ引き上げて注入するボトムアップ方式とした(図14参照)。
比較例と実施例は、注入体積率(asg)が共通し、等価改良率(ase)が異なる。又、実施例1〜5は、注入体積率(asg)が共通し、繰返し体積率(ascv)が異なる。
(4)実験結果
図11に、比較例と各実施例の等価改良率と体積ひずみの関係を示す。
「体積ひずみ」とは、改良材(モルタル)の注入にともなう地盤の圧縮量を初期地盤体積(V0)で除した値である。
図11に、比較例と各実施例の等価改良率と体積ひずみの関係を示す。
「体積ひずみ」とは、改良材(モルタル)の注入にともなう地盤の圧縮量を初期地盤体積(V0)で除した値である。
図11に示すとおり、注入体積率(asg)が一定の条件では、繰返し体積率(ascv)が大きなものほど、体積ひずみが大きく、相関が高いことが分かった。図11の△印は空打ち施工の結果を示している。空打ち施工は、地盤に改良材を注入する工程がなく(注入体積率 asgが0)、注入管をアップダウンさせる工程のみの施工法である。この場合の等価改良率 (ase) は繰返し体積率 (ascv) と等しくなる。次に、図11の×印は、従来のボトムアップ施工の結果を示している。ボトムアップ施工は、地盤に改良材を注入する工程のみであり、注入管をアップダウンする工程はない(繰返し体積率 ascvが0)施工法である。この場合の等価改良率 (ase) は注入体積率 (asg) と等しく、設計の改良率 (asd) とも等しくなる。したがって、図11の結果から、等価改良率(ase)を従来の改良率(asd)と等価なものとして扱えることが分かった。すなわち、等価改良率(ase)と改良率(asd)が、地盤の締固め効果に対して同等の改良効果があることが確認された。
したがって、本発明によれば、締固め工法の施工開始前に、等価改良率(ase)を利用して事前に施工仕様を決定することが可能である。
1 改良体
11 注入管(削孔注入ロッド)
13 注入管リフト装置
15 流量圧力監視装置
19 圧送ホース
21 特殊注入ポンプ
23 特殊注入プラント
11 注入管(削孔注入ロッド)
13 注入管リフト装置
15 流量圧力監視装置
19 圧送ホース
21 特殊注入ポンプ
23 特殊注入プラント
Claims (5)
- 周辺地盤を締固める改良体が地盤内に造成されるように、注入管を介して地盤内に地盤改良材を注入する工程(1)と、
前記改良体に脈動が生じるように、地盤に貫入させた状態で注入管の進退動を所定区間にわたって繰返す工程(2)と、を含み、
前記工程(2)において、注入管が、該注入管内を満たす地盤改良材と一体となって進退動する、締固め工法の施工方法であって、
原地盤のN値と改良目標とするN値から施工現場に必要な改良率を求めて、該改良率を等価改良率(ase)として設定し、設定した前記等価改良率(ase)に基づいて施工仕様を決定し、
前記等価改良率(ase)は、地盤改良材の総注入量(Q)と、注入管が進退動した総体積量である繰返し体積量(CV)との和を、改良対象土量(V0)で除したものであり、
前記繰返し体積量(CV)に基づいて、工程(1)(2)で用いる注入管の外径、工程(2)での進退動の繰返し回数、工程(2)での進退動の繰返し区間長に関する施工仕様を決定する、
ことを特徴とする締固め工法の施工方法。 - 前記等価改良率(ase)に基づいて、施工時に地盤に生ずる変位量を予測し、
予測される前記変位量が所定の管理値以下又は未満になるように、前記繰返し体積量(CV)を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の締固め工法の施工方法。 - 前記等価改良率(ase)に基づいて、施工時に地盤に生ずる変位量を予測し、
予測される前記変位量が所定の目標値に至るように又は近づくように、前記繰返し体積量(CV)を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の締固め工法の施工方法。 - 深度毎またはステップ毎に変位量を予測し、前記繰り返し体積量(CV)を変更する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の締固め工法の施工方法。 - 決定された注入量と前記施工仕様に基づいて試験施工を実施して、その施工状況や施工結果に応じて、決定された前記繰返し体積量(CV)を補正するための補正値αを決定するとともに、決定された前記総注入量(Q)を補正するための補正値βを決定し、
前記補正値αと前記補正値βに基づいて、前記繰返し体積量(CV)と前記総注入量(Q)をそれぞれ補正し、
補正された前記繰返し体積量(CV)に基づいて、工程(1)(2)で用いる注入管の外径、工程(2)での進退動の繰返し回数、工程(2)での進退動の繰返し区間長に関する施工仕様を決定する、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の締固め工法の施工方法。
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-
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