JP7401937B1 - 管継手 - Google Patents
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Abstract
Description
(実施形態の管継手の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る管継手の全体構成を示す説明図であり、図1(a)が正面図、図1(b)が上面図、図1(c)が左側面図、図1(d)が左上斜視図、図1(e)が管継手の構成部品であるスリーブの側断面図、図1(f)がスリーブの斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る管継手の全体構成を示す説明図であり、図2(a)が分解斜視図であり、図2(b)が組み付けた後の外観斜視図であり、図2(c)が図2(a)のG部分の拡大図である。
本発明の実施形態に係る管継手Aは、図1(a)~(f)及び図2(a)~(c)に示すように、ニップル1と径方向へ変形可能なスリーブ2の間に、導電性カーボンラインBCを有し、かつ、外表面に沿って螺旋状に突設される補強部材を備えた管体Bの接続端部を差し込み、スリーブ2の外側に複数の分割ホルダ3を被せ、分割ホルダ3同士を締め付け部材4で径方向へ互いに接近移動させて円筒状に連結させつつ、同時に管体Bのアース接続を行うための管継手である。
締め付け部材4で複数の分割ホルダ3を接近移動させることにより、スリーブ2が縮径変形して、スリーブ2の内面を管体Bの接続端部の外表面に対し全周に亘って略均等に密着させる。これとともに、管体Bの内表面をニップル1の外周面に密着させて着脱自在に配管接続される。それによって、径寸法が比較的に大きな大口径の管体Bでも簡単に接続でき、且つ組立及び分解が容易に行えるため、洗浄などメンテナンスにも適している。また、単なる連結に止まらず、分割ホルダ3同士が連結された際には、ニップル1の外周に係止されたアースクリップ5が管体Bの導電性カーボンラインBCに接触してアース接続がされる。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係る管継手Aは、管体Bの挿入空間に沿って設けられる導電性を有するニップル1と、ニップル1の外周面に沿って形成した管体Bの挿入空間の外周を囲むように設けられる径方向へ変形可能なスリーブ2と、スリーブ2の外側にスリーブ2の外面を周方向へ覆い且つ径方向へ分離可能に設けられる複数の分割ホルダ3と、複数の分割ホルダ3に亘り設けられて分割ホルダ3同士をスリーブ2が縮径するように径方向へ接近移動させる締め付け部材4と、導電性ニップル1の外周に係止される導電性を有するアースクリップ5と、スリーブ2の長さ分よりも長く管挿入方向に延長するホルダ延長部33と、を主要な構成要素として備えている。
なお、挿入空間に対する管体Bの挿入方向を、以下、「管挿入方向」といい、管挿入方向の逆方向を、以下、「管抜け方向」という。
ニップル1の外周面は、その軸方向の所定位置に、管体Bの挿入空間を挟んで後述するスリーブ2の内面と径方向へ対向して配置される管抜け止め用の凹凸部と、後述する分割ホルダ3を軸方向への移動不能に位置規制するための抜け止め手段としてのフランジ11を有する。また、図2(c)の一部拡大図に示されるように、フランジ11の二箇所(ただし、一部拡大図には一箇所のみが示されている。)に、後述するアースクリップ5を通して係止するための係止孔12が設けられている。
ニップル1の具体例としては、図2(a)に示されるように、外周面の先端部(管抜け方向の端部)のみに管抜け止めのために、軸方向へ複数の環状凹部及び環状凸部を交互に連続して凹凸形成している。
また、その他の例として図示しないが、ニップル1の外周面の略全長に亘り、軸方向へ環状凹部と環状凸部が交互に連続する竹の子状に形成したり、ニップル1の外周面に管体Bの内表面と径方向へ圧接する環状シール材を設けたりといったように、変更することも可能である。
スリーブ2の内面は、その拡径時における内径が、後述する管体Bの外径と略同じか又はそれよりも若干大きく設定され、縮径時における内径が、管体Bの外径よりも小さくなるように設定されている。また、図1(e)に示されるように、スリーブ2の内面には、管体Bの外表面に沿って突設される補強部材の螺旋形状に対応できるように螺旋状の溝が形成されている。
また、スリーブ2の外面は、拡径時における外径が、後述する複数の分割ホルダ3の接近移動完了時における内径よりも大きくなるように設定されている。つまり、複数の分割ホルダ3の接近移動が完了して、それ以上の接近移動が不能となった時において、複数の分割ホルダ3の内側面の内径よりも大きくなるように設定されている。
さらに、スリーブ2には、その径方向へスムーズに弾性変形させるための切れ込みを複数それぞれ周方向へ所定間隔毎に形成することにより、拡径変形時及び縮径変形時において十分な内径差と外径差が生じるように構成することが好ましい。
ただし、弾性変形可能であることは、飽くまで実施例についてのことである。固形体や固形体に近い塑性変形であっても、締め付けにより変形が生じて組み付けることができれば、本発明のスリーブ2として用いることが可能である。
これら複数の分割ホルダ3,3は、スリーブ2の外面を外側から囲むように組み付けられる。この組み付け状態で周方向にそれぞれ隣り合う複数の周端部31,31と、弾性スリーブ2の外面と径方向へそれぞれ対向する複数の内側面と、を有している。
複数の分割ホルダ3,3の周端部31は、各分割ホルダ3に対して少なくとも一対それぞれ径方向外側へ突出するように形成され、周方向へ略平行に対向する端面を有している。そして、複数の分割ホルダ3,3が完全に接したときであっても、この対向する端面には間隔が存在するように構成されている。すなわち、各分割ホルダ3の対向する箇所には、凹部32が設けられている。複数の分割ホルダ3,3が完全に接したとき、後述するスペーサ6が外部から視認不能に収容されるように凹部32の深さが設定されている。このことは、複数の分割ホルダ3,3の締め付けが確実に完了したことを示す指標となっている。
複数の分割ホルダ3,3は、スリーブ2の長さ分よりも長く管挿入方向へ延長するホルダ延長部33を有している。図1(c)及び図1(d)から理解できるように、ホルダ延長部33は、図中の上下部分よりも側方部分の方が長く延長する形状となっている。ホルダ延長部33の上下部分は、組み付け時に、後述するアースクリップ5の当接部53に当接するようにされている。一方、ホルダ延長部33の側方部分には、側方部分に連なる形で、ニップル1のフランジ11と軸方向へ移動不能に係合する係止部34が形成されている。
さらに、周方向へ隣り合う複数の分割ホルダ3,3の周端部31に亘って後述する締め付け部材4が設けられる。図2(a)から理解されるように、締め付け部材4の操作により、複数の分割ホルダ3,3同士が径方向へ互いに接近移動して、スリーブ2を縮径変形させるように構成されている。複数の分割ホルダ3,3の内側面は、締め付け部材4による複数の分割ホルダ3,3の接近移動の完了時において、複数の分割ホルダ3,3の内側面が連続して略真円となる円弧面に形成されている。各分割ホルダ3の内側面には、スリーブ2を軸方向へ位置決めするための段部35を設けることが好ましい。
締め付け部材4としてネジ部品を用いる場合には、周方向へ隣り合う複数の分割ホルダ3,3の周端部31のいずれか一方に開設された通孔と、他方に開設されたネジ穴とに亘って、ネジ部品が挿通されることになる。この挿通状態でネジ部品の工具係合部位にレンチやスパナなどの工具を係合させて回転操作する。
この回転操作により、一対の分割ホルダ3,3が径方向へ互いに接近移動して、スリーブ2を縮径変形させている。さらに、レンチやスパナなどの比較的に小型工具で締め付けることが可能であるため、大口径の管体Bを接続する大口径用の管継手Aであっても簡単に接続でき、且つ組立及び分解が容易に行えるため、洗浄などメンテナンスにも適している。
また、その他の例として図示しないが、締め付け部材4として、工具係合部位が頭部の外周面を六角などの多角形に形成したボルトを用いたり、ネジ部品以外の締結部品を用いたりといったように変更することも可能である。
本実施形態では、導電性カーボンラインBCを軸方向に備え、かつ、外表面に沿って螺旋状に突設される補強部材を備えた管体Bを用いることが想定されている。現場において、管体Bの長さ調整のために切断を行うと、補強部材の突設形状との関係で、管体Bの接続端部から最初に出現する導電性カーボンラインBCの長手方向における位置が異なるようになってしまう。このことに対応できるように、アースクリップ5は、管挿入方向に沿って移動可能とされているのである。図3は、管体Bとアースクリップ5の接触状態を示す側断面図と一部拡大図であるが、導電性カーボンラインBCにおける管体Bの接続端部と補強部材の突設形状が如何なる位置関係にあろうとも、凸部52が管体Bの導電性カーボンラインBCに当接できるように、アースクリップ5が移動可能となっていることが理解できる。
また、アースクリップ5は、弾性を有している。弾性を有することで、凸部52が管体Bの導電性カーボンラインBCや分割ホルダ3のホルダ延長部33に強く接触されることになるし、ニップル1から外れにくいという効果もある。さらに、塑性変形でなく弾性変形は、繰り返し使用での破壊や消耗にも有利である。
ガイド面61は、スペーサ6の内側に複数の分割ホルダ3,3の内側面(円弧面)と連続するように形成される面である。図2に示されるような、締め付け部材4による締め付け開始時において周方向へ隣り合う周端部31の端面の間隔よりも幅広くなるように形成されている。つまり、図2に示される締め付け部材4による締め付け開始時において、ガイド面61の周方向両端と、複数の分割ホルダ3,3の内側面(円弧面)の周方向端縁との間に隙間ができないように設定されている。貫通部62としては、図2に示されるような貫通孔や、それ以外にクワ形などの切欠などが用いられる。
スペーサ6は、赤や蛍光色などの目立つ色で着色されている。先述したように、複数の分割ホルダ3,3が完全に接したとき、スペーサ6は、分割ホルダ3の周端部31に設けられた凹部32に完全に収容され、外部から視認不能となる。このため、目立つ色で着色されるのが好適なのである。なお、スペーサ6は、分割ホルダ3の内側面(円弧面)への接触作用と、締め付け部材4の貫通部62への貫通状態との協働により、分割ホルダ3の径方向への移動が規制されているため、分割ホルダ3から露出するようなことはなく、凹部32に必ず収容されるようになっている。
次に、本発明の実施形態に係る管継手の接続工程を図4ないし図6に基づいて詳細に説明する。図4ないし図6には、本発明の実施形態に係る管継手による管体との接続工程が工程1ないし工程6として示されている。
先ず、図4に示される工程1において、図4に示されるように、ニップル1と管体Bを準備した上で、管体Bの接続端部にスリーブ2を挿入する。
次に、図4に示される工程2において、ニップル1の外周面に沿って管挿入方向へ管体Bを差し込む。差し込む際には、アースクリップ5と管体Bの導電性カーボンラインBCの位置を合わせつつ(図4の工程2における上面図参照)、アースクリップ5の仮止め(位置決め)を行う。
次いで、図4に示される工程3において、スリーブ2の外面を周方向へ覆うように複数の分割ホルダ3,3と、締め付け部材4と、スペーサ6とを配置する。図示では、通孔が開設された側の分割ホルダ3のホルダ延長部33がアースクリップ5側に配置されているが、ネジ穴が開設された側の分割ホルダ3にもホルダ延長部33は設けられているため、複数の分割ホルダ3,3の上下位置が逆とされた場合でもアース接続は行えるようになっている。
これに続いて、図5に示される工程4において、六角レンチを用いて、締め付け部材4をねじ込んで、仮締めを行う。この際、分割ホルダ3とニップル1の管挿入方向の位置合わせを行う。すなわち、I-I断面図に示されるように、分割ホルダ3の係止部34がニップル1のフランジ11に引っ掛かるようにする。このとき、左側面図に示されるように、スペーサ6の赤色は、複数の分割ホルダ3,3の間から良好に視認できる状況にある。
次いで、図6に示される工程5において、締め付け部材4を本締めし、スリーブ2で管体Bを圧縮する。このとき、工程5の左側面図及びその一部拡大図に示されるように、スペーサ6の赤色は、複数の分割ホルダ3,3の間から依然として視認できる状況である。このことは、締め付けが完了していないことを示している。この状態は、スリーブ2による管体Bの圧縮が不十分な状態であり、アース処理に関しても管体Bの導電性カーボンラインBCにアースクリップ5の凸部52が表面的に接触するか接触していない状態である。つまり、導電性能が低い状態である。
ところで、締め付け部材4で複数の分割ホルダ3,3を径方向へ互いに接近移動させることにより、スリーブ2が縮径変形して肉余り部位が発生することがある。この肉余り部位は、その後のスリーブ2の縮径変形に伴って径方向や軸方向へ徐々に大きくなり、行き場がなくなった肉余り部位は、周方向へ隣り合う複数の分割ホルダ3の周端部31の間に向け膨出しようとする。しかし、スリーブ2の肉余り部位の外側からスペーサ6のガイド面61が径方向へ当接することで、肉余り部位の膨出を抑制して、複数の分割ホルダ3,3の周端部31の間に肉余り部位が入り込まず、周方向へ誘導される。それにより、複数の分割ホルダ3,3の周端部31の間にスリーブ2の肉余り部位が噛み込まれることを防止して、複数の分割ホルダ3,3を締め付け部材4で締め切ることができるのである。
最後に、図6に示される工程6において、複数の分割ホルダ3,3の合わせ目からスペーサ6の赤色が見えなくなるまで、締め付け部材4をねじ込みする。工程6の左側面図及びその一部拡大図に示されるように、スペーサ6の赤色は周囲の全体から完全に視認できない状況となっている。スペーサ6の色が見えなくなることで、視覚的に接続作業の完了を知らせる効果がある。この状況であれば、分割ホルダ3のホルダ延長部33の内面が当接部53に強固に押し当てられて、アースクリップ5を完全に圧縮した状態となる。アースクリップ5が圧縮されたことにより、アースクリップ5の凸部52が管体Bの導電性カーボンラインBCに強く押し付けられることによって、導電性能が良好に確保される。スペーサ6には、締め付け作業完了を示す重要な機能を果たしていることが理解されよう。
さらに、スリーブ2の肉厚に関係なく、複数の分割ホルダ3,3の周端部31の間に対する肉余り部位の噛み込みを防止可能となるため、肉厚のスリーブ2で管体Bをより強く締め付けることが可能となる。それにより、管体Bの抜け強度を更に向上させて、流体の漏れ事故を長期に亘って確実に防止できる。
発明の実施形態に係る管継手の構成部品であるアースクリップとスペーサにつき、特に、その形状について説明する。図7(a)は、アースクリップの形状を示す上斜視図と側面図と下斜視図であり、図7(b)は、アースクリップの別の形状を示す上斜視図と側面図と下斜視図であり、図7(c)は、スペーサの形状を示す上斜視図と側面図及び正面図と下斜視図である。
図7(a)に上斜視図、側面図、下斜視図として示されているのが、これまで実施形態として説明してきたアースクリップ5である。先述したように、アースクリップ5は、略U字状部51と凸部52と当接部53から構成されている。略U字状部51は有意な長さに設定されており、この長さは、管体Bの外表面に沿って螺旋状に突設される補強部材の1ピッチ分以上の長さに設定されている。このように設定されることで、管体Bが切断されて、導電性カーボンラインBCが周方向のどの角度位置に配置されても、管挿入方向へ移動可能であるアースクリップ5の凸部52を必ず導電性カーボンラインBCに接触させることができるのである。
また、アースクリップ5は、弾性を有している。弾性を有することで、凸部52が管体Bの導電性カーボンラインBCに強く接触されることになる。参考までに、図7(a)の側面図と下斜視図の間には、右に少し位置をずらして、分割ホルダ3のホルダ延長部33により圧縮された状態のアースクリップ5を示している。
図7(b)に上斜視図、側面図、下斜視図として示されているのが、アースクリップ5の別の形状の例を示したものである。図7(a)の例では、略U字状部51の凸部52から連なる部分がニップル1の係止孔12を挿通する形状とされているのに対して、図7(b)の例では、略U字状部51の折り返し部分が係止孔12を挿通する形状とされている点で異なっている。図7(a)の形状は、端部からより奥までの略U字状部51が係止孔12に挿通されることになるため、外れ難く、図7(b)の形状は、挿通される部分が浅いため、(簡単には外れないものの)図7(a)と比較すれば外れ易いことになる。外れ難い方が好適か、外れ易い方が好適かは、用途に応じて異なるため、適したものを選択すれば良いということになる。
図7(c)に上斜視図、側面図と正面図(並べて配置)、下斜視図として示されているのが、スペーサ6である。先述したように、スペーサ6は、スリーブ2の肉余り部位と径方向へ対向し当接するガイド面61と、締め付け部材4が貫通する貫通部62と、を有している。ガイド面61の反対側は、分割ホルダ3の内側面(円弧面)に接触することになるが、図7(c)に示されるように、ガイド面61に沿った方向の肉厚は中央が厚く端部に向かって徐々に肉薄になるようにテーパー状とされている。締め付け部材4による複数の分割ホルダ3,3の接近移動に伴い、テーパー状部が摺動する。それにより、締め付け部材4に対しスペーサ6が径方向内側に向けスムーズに移動し、締め付け部材4による締め付けトルクを軽減することができる。その結果、作業性に優れ、例えば女性のような非力な作業者であっても、締め付け部材4で分割ホルダ3を締め切る(完全に締める)ことができるという利点がある。
貫通部62は、スペーサ6の組み込み時において、締め付け部材4の軸部42及びネジ部43が挿通する。しかし、スペーサ6の組み込み後において、貫通部62の短尺方向の内径を、締め付け部材4の頭部41やネジ部43の最大外径よりも小さく且つ軸部42の外径よりも大きくしている。
つまり、スペーサ6の全体が弾性変形可能な材料で形成され、貫通部62の短尺方向の内径をネジ部43の外径よりも僅かに小さくして、ネジ部43の挿通時に貫通部62がその短尺方向へ伸縮変形するように形成している。図示例では貫通部62が、ネジ部43の外径よりも僅かに小径な大円形部位と、軸部42の外径と略同径の小円形部位とを連結したダルマ型に形成されている。
先述したように、かつ、図8(b)に示されるように、どちらの分割ホルダ3にも、ホルダ延長部33が設けられているため、分割ホルダの(図面における)上下向きは特に気にせずに組み付けることが可能である。
図8(c)及び図8(d)から看取できるように、周端部31に対応する箇所の内側面は、円弧の延長線より径が大きくなるように外側に膨らむ略直線の退避部36として形成されている。退避部36には、スペーサ6のガイド面61の反対の面が接することになる。先述したように、スリーブ2(不図示)が弾性を有する場合には、複数の分割ホルダ3,3を径方向へ互いに接近移動させると、スリーブ2(不図示)の縮径変形により肉余り部位が膨出することがある。何らの対処がされていない通常の分割ホルダ構造であれば、締め付けの際に、肉余り部が複数の分割ホルダの間に噛み込んでしまう事態が生じる虞がある。しかし、本実施形態においては、退避部36とそこに配置されるスペーサ6によって、肉余り部の膨出を抑制して、複数の分割ホルダ3,3の周端部31の間に肉余り部位が入り込まず、周方向へ誘導される。それにより、複数の分割ホルダ3,3の周端部31の間にスリーブ2(不図示)の肉余り部位が噛み込まれることを防止して、複数の分割ホルダ3,3を締め付け部材4で締め切ることができるのである。
これまでに説明してきた実施形態で用いられる管体Bは、導電性カーボンラインBCを軸方向に備え、かつ、外表面に沿って螺旋状に突設される補強部材を備えた管体Bであったが、管体Bの外表面が平坦な管体Bについても本発明は適用可能である。外表面が平坦な管体Bを対象とした別の実施形態について説明する。
図9は、本発明の別の実施形態に係る管継手の全体構成を示す説明図であり、図9(a)が正面図、図9(b)が上面図、図9(c)が左側面図、図9(d)が左上斜視図、図9(e)が管継手の構成部品であるスリーブの側断面図、図9(f)がスリーブの斜視図である。
別の実施形態に係る管継手Aは、図9(a)~(f)に示すように、ニップル1と径方向へ変形可能なスリーブ2の間に、導電性カーボンラインBCを有する管体Bの接続端部を差し込み、スリーブ2の外側に複数の分割ホルダ3を被せ、分割ホルダ3同士を締め付け部材4で径方向へ互いに接近移動させて円筒状に連結させつつ、同時に管体Bのアース接続を行うための管継手である。ただし、管継手が対象とする管体Bは、螺旋状の補強部材を備えることのない、外表面が平坦な管体Bである。
締め付け部材4で複数の分割ホルダ3を接近移動させることにより、スリーブ2が縮径変形して、スリーブ2の内面を管体Bの接続端部の外表面に対し全周に亘って略均等に密着させる。これとともに、管体Bの内表面をニップル1の外周面に密着させて着脱自在に配管接続される。それによって、簡単に接続でき、且つ組立及び分解が容易に行えるため、洗浄などメンテナンスにも適している。また、単なる連結に止まらず、分割ホルダ3同士が連結された際には、ニップル1の外周に係止されたアースクリップ5が管体Bの導電性カーボンラインBCに接触してアース接続がされる。
スリーブ2の内面は、その拡径時における内径が、管体Bの外径と略同じか又はそれよりも若干大きく設定され、縮径時における内径が、管体Bの外径よりも小さくなるように設定されている。また、図9(e)及び図9(f)に示されるように、スリーブ2の内面には、縮径変形しやすいように溝が形成されているものの、先の実施例のように、螺旋状の溝が形成されることはない。
このことから理解されるように、別の実施形態は、スリーブ2の形状が異なるのみで、それ以外の構成は、先の実施形態と全く同じである。
1 ニップル
11 フランジ
12 係止孔
2 スリーブ
3 分割ホルダ
31 周端部
32 凹部
33 ホルダ延長部
34 係止部
35 段部
36 退避部
4 締め付け部材
41 頭部
42 軸部
43 ネジ部
5 アースクリップ
51 略U字状部
52 凸部
53 当接部
6 スペーサ
61 ガイド面
62 貫通部
B 管体
Claims (3)
- 管体を接続するための管継手であって、
管体の挿入空間に沿って設けられるニップルと、
前記ニップルの外周面に沿って形成した前記管体の前記挿入空間の外周を囲むように設けられる径方向へ変形可能なスリーブと、
前記スリーブの外側に前記スリーブの外面を周方向へ覆い且つ径方向へ分離可能に設けられる複数の分割ホルダと、
複数の前記分割ホルダに亘り設けられて前記分割ホルダ同士を前記スリーブが縮径するように径方向へ接近移動させる締め付け部材と、を備え、
複数の前記分割ホルダと前記スリーブの間にはスペーサが配置されており、
前記スペーサは、締め付けが完了していない状態においては、複数の前記分割ホルダの間を通して視認可能である一方で、締め付けが完了した状態においては、複数の前記分割ホルダの凹部に収納されることで完全に視認不能となる
ことを特徴とする管継手。 - 前記スペーサは、前記分割ホルダの内周面に接触しつつ、かつ前記締め付け部材が貫通していることによって、複数の前記分割ホルダから露出することなく、完全に視認不能となる
ことを特徴とする請求項1に記載の管継手。 - 前記スペーサは、スリーブが弾性変形スリーブである場合に、当該弾性変形スリーブが締め付けられることより発生する肉余り部を周方向に逃がす役割を果たす
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の管継手。
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