JP7401034B2 - 経路生成装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、移動体運行制御あるいは支援のための経路生成装置及び方法に関する。
車両に代表される移動体の運行制御あるいは支援を目的とし、車両の走行経路のコストに基づいて、最適な走行経路を生成する経路生成技術が提案されている。従来の経路生成装置として、例えば、車両の走行路の幅に対してグリッドが設定されており、目標横加速度に応じた走行経路のコストを設定し、最小コストの走行経路を生成する方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
特開2020-111302号公報
しかしながら、従来の経路生成装置は、最小コストの走行経路を選択するために、車線変更に伴う目標横加速度(運転者が不快となる横加速度)を考慮するものの、走行車線変更の回数は減少しない可能性がある。頻繁な走行車線変更は車両の乗り心地を悪化させるため、生成された走行経路(すなわち、移動経路)は、車両(すなわち、移動体)に搭乗しているユーザにとって快適とはならない問題がある。
この発明は上記のような問題を解決するためになされたもので、走行車線変更を抑制し、移動体に搭乗しているユーザにとって快適な移動経路を生成する、経路生成装置及び方法を提供することを目的とする。
本開示に係る経路生成装置は、
移動体の位置情報と、前記移動体の周辺情報と、一つの通路の複数の進路上で前記移動体の複数の進路にそれぞれ設定される複数の経路点とを用いて、前記移動体の移動経路を生成する経路生成装置であって、
前記移動体の通過地点に関する情報を含む地図情報と、前記複数の経路点とから得られる前記移動体の一つ以上の移動経路候補に対し前記移動経路候補の基準コストに前記位置情報および前記周辺情報を用いて得られる動的情報に基づく重みを設定し前記重みが設定された前記移動経路候補動的座標ベクトル情報として生成する動的情報取得部と、
前記動的座標ベクトル情報に属する経路点間が有する所定の基準コストに対し、前記動的情報に応じた所定の正値を重み付けした上で当該基準コストの総和を計算し、
前記基準コストの総和に対し、前記移動体の進路変更の頻度に応じた所定の正値の重みを与え、
複数の移動経路候補のうち前記基準コストの総和が小さい移動経路を選択する移動経路生成部と、
前記動的情報と、前記移動経路と、移動体の通行規則を保持するルールセットとを用いて、前記移動体の動作を制御する判断情報を出力する移動・停止判断部とを備え、
前記移動経路生成部が、前記判断情報を用いて前記移動経路を生成するための再計算を行うものである。
また、本開示に係る経路生成方法は、
情報処理装置が、
移動体の位置情報と、前記移動体の周辺情報と、一つの通路の複数の進路上で前記移動体の複数の進路にそれぞれ設定される複数の経路点とを用いて、前記移動体の移動経路を生成する経路生成方法であって、
前記移動体の通過地点に関する情報を含む地図情報と、前記複数の経路点とから得られる前記移動体の一つ以上の移動経路候補に対し前記移動経路候補の基準コストに前記位置情報および前記周辺情報を用いて得られる動的情報に基づく重みを設定し前記重みが設定された前記移動経路候補動的座標ベクトル情報として生成する動的情報取得ステップと、
前記動的座標ベクトル情報に属する経路点間が有する所定の基準コストに対し、前記動的情報に応じた所定の正値を重み付けした上で当該基準コストの総和を計算し、
前記基準コストの総和に対し、前記移動体の進路変更の頻度に応じた所定の正値の重みを与え、
複数の移動経路候補のうち前記基準コストの総和が小さい移動経路を選択する移動経路生成ステップと、
前記動的情報と、前記移動経路と、移動体の通行規則を保持するルールセットとを用いて、前記移動体の動作を制御する判断情報を出力する移動・停止判断ステップとを備え、
前記移動経路生成ステップが、前記判断情報を用いて前記移動経路を生成するための再計算を行うものである。

本開示によれば、移動体に搭乗しているユーザにとって快適な移動経路を生成する効果を有する。
実施の形態1における経路生成装置の概略構成図である。 実施の形態1における経路生成装置のブロック構成図である。 実施の形態1における格子構造(ラティス)により定義される走行経路の一例である 実施の形態1における座標ベクトル情報の一例である。 実施の形態1における走行経路のコスト計算に用いる、格子構造(ラティス)により定義される走行経路の基準コストの一例である。 実施の形態1における経路生成装置の処理順序を示すフローチャートである。 実施の形態1の移動経路生成部における、移動経路生成の内部処理のフローチャートである。 実施の形態1の移動経路生成部における、走行経路のコスト算出の一例である。 実施の形態1の経路生成装置により生成された走行経路データによる、自車両の走行・停止判断処理の一例である。 実施の形態1の走行・停止判断処理をビヘイビアツリーにより表現した一例である 実施の形態1における信号機停止判断処理のフローチャートである。 実施の形態1における交差点判断処理のフローチャートである。 実施の形態1における走行指示処理のフローチャートである。 実施の形態1における経路生成装置が有するハードウェアの構成図である。
実施の形態1.
<構成>
実施の形態1における経路生成装置について図1~図14を用いて説明する。図1は、実施の形態1における経路生成装置の概略構成図である。本実施の形態1では、移動体の一例として車両を挙げて説明する。車両の通路は、例えば道路であり、車両の進路は、例えば走行車線である。また、当該経路生成装置による運行支援の対象である車両を「自車両」と記すと共に、当該車両の移動経路を「走行経路」として記す。特に指定が無い限り、ユーザは、自車両に搭乗する乗員を意味するものとして説明する。
自車両1は、人(ユーザ)が搭乗する車両である。例えば、自車両1は、普通乗用車、電動車いす、PMV(Personal Mobility Vehicle)、二輪車、バス、タクシーなどである。また、自車両1は、走行するための動力を有する車両(牽引車)と、当該牽引車によって牽引される、動力を有さない車両との組合せであってもよい。
自車両1は、走行するための動力(例えば、エンジン、モータ、など)および車輪と、移動方向を変更するための車輪の操舵機構(例えば、ステアリング、など)、減速または停止させるための制動機構(例えば、ブレーキ、など)とを有する。また、自車両1は、ユーザに対し、自車両1の走行経路を画面呈示するための表示装置(例えば、ディスプレイ、など)、音声案内するためのガイダンス装置(例えば、スピーカ、など)を有してもよい。
通信装置2は、経路生成装置100の入出力インタフェースである。例えば、通信装置2は、自車両1から入力される各種センサ情報D1を取得するために用いられる。また、経路生成装置100で生成された車両制御情報D2を自車両1へ出力するために用いられる。
より具体的には、通信装置2には、例えば、自車両1に備えられた各種センサ(例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)、IMU(Inartial Measurement Unit)、路側装置(Road Side Unit)情報受信機、単眼カメラ、ステレオカメラ、LiDAR(Light Detection and Ranging)、ミリ波レーダ、超音波センサ、など)が接続される。
また、通信装置2は、受信装置と送信装置とを有してもよい。通信装置2は、受信装置と送信装置とを用いて、外部のネットワークに接続されてもよい。ここで、受信装置と送信装置とは、外部のネットワークを接続可能とする装置であり、例えば、NIC(Network Interface Card)、あるいはモデムである。
通信網3は、有線あるいは無線のネットワークであり、例えば、CAN(Controller Area Network)(登録商標)、LAN(Local Area Network)、インターネット、あるいは電話回線である。
なお、経路生成装置100は、自車両1に搭載されていてもよいが、これに限らず、自車両1とは別の場所にあるサーバコンピュータにより構成されてもよい。あるいは、自車両1に搭乗中のユーザが持つ携帯型コンピュータにより構成されてもよい。この場合、自車両1から取得した各種センサ情報D1は、例えば、通信装置2に接続された通信網3を介してデータ伝送を行い、コンピュータ上の経路生成装置100に入力されればよい。また、コンピュータ上の経路生成装置100で生成された車両制御情報D2は、各種センサ情報D1の場合と同様に、例えば、通信網3を介して自車両1へ送出すればよい。更に、各種センサは必ずしも自車両1に搭載されている必要は無く、例えば、自車両1の近傍に存在する他車両から収集された各種センサ情報を、通信網3を介して自車両1へ入力することもできる。
図2は実施の形態1における経路生成装置の構成例を示すブロック図である。図2において、経路生成装置100は、認知部200、地図情報解析部201、静的情報取得部202、座標ベクトル生成部203、周辺情報・自己情報解析部204、動的情報取得部205、移動経路生成部206、移動・停止判断部207、車両制御部208で構成される。
認知部200は、自車両1、すなわち、ユーザが搭乗する車両が出力する各種センサ情報D1が入力され、各種センサから出力される各種情報をそれぞれ認識し、各種センサ情報 1に対応した情報を出力する。以降、自車両1以外の車両を他車両と称する。自車両1が出力する各種センサ情報D1に対応した情報として、例えば、路側装置から得られる道路情報D3(例えば、自車両1に関する制限速度情報、工事等による車線規制情報、交差点情報、信号機情報、停止線情報、など)と、例えば、GNSSあるいはIMUより得られる、自車両1の位置情報D4(例えば、自車両1の位置、移動速度、加速度、進路方向、など)と、カメラ等あるいはLiDARより得られる自車両1の周辺情報D5(例えば、走行車線情報、障害物、他車両、信号機との相対距離情報、道路標識、路面標示、など)とを認識し、それぞれ出力する。なお、周辺情報 5に道路情報 3が含まれてもよい。言い換えれば、周辺情報 5を用いて道路情報 3を取得してもよい。例えば、周辺情報 5により取得された制限速度に関する道路標識から、道路情報 3である制限速度の情報を取得することができる。これは、道路情報 3の直接取得に支障がある場合(例えば、路側装置が自車両1近傍に無い、など)に有効である。
地図情報解析部201は、地図データ210が保持する地図情報D6と、道路情報D3と、自車両1の位置情報D4とを用いて、地図データ210に登録されている全ての地図情報D6から、例えば、出発地点から目的地点までの経路生成に必要な範囲の地図情報D6を取得し、静的情報D7として出力する。ここで、出発地点とは、例えば、後述する走行経路のコストを評価する際、自車両が位置する場所である。なお、地図データ210は、経路生成装置100の内部に保持されてもよいし、通信装置104を用いて、経路生成装置100の外部の地図データ210が経路生成装置100の内部へと供給されてもよい。
静的情報取得部202は、静的情報D7を用いて、静的情報 7中の情報、例えば、道路幅及び走行帯数に関する道路形状情報と、自車両1に関する制限速度情報とに基づいて、自車両1が走行可能な全ての経路の地点情報D8を取得する。得られた地点情報D8は、後述する座標ベクトル生成部203に適用可能なパラメータに変換され、出力される。
座標ベクトル生成部203は、地点情報D8と、後述する、格子構造を為しており、1つの道路の複数の走行車線上で複数の走行経路を構成する複数の経路点から成るラティスD9とに基づいて、地点情報D8中の各地点で辿ることができる複数の走行経路を生成し、生成された走行経路を座標ベクトル情報D10として出力する。なお、ラティスD9は、経路生成装置100の内部に保持されてもよいし、通信装置104を用いて、経路生成装置100の外部のラティス 9が経路生成装置100の内部へと供給されてもよい。以降、ラティスD9の構造を説明する際、番号を省略して単に「ラティス」と称する場合がある。
図3は、実施の形態1における走行経路のラティスD9の一例である。図3において、車両の走行車線数は二車線であり、第1車線LANE1及び第2車線LANE2の進行方向は同一である。第2車線LANE2中に記載した矢印は、車両の進行方向を示す。図3中の丸印は、経路点(waypoint)と呼ばれる、論理的に設定された地点マークであり、経路点p[x,y]と表現される。ここで、xは走行車線番号を示し、yは進行方向に並んだ順番を示す。なお、p[x,y]は、各経路点の位置関係を表すIDとして用いてもよい。ラティスD9は、近接する経路点p[x,y]を結ぶ四角形(例えば、p[1,0]とp[2,0]とp[1,1]とp[2,1]とを結ぶ長方形)を基本形状とし、この基本形状を複数個連結した格子構造で定義されたテーブルデータである。
ラティスD9の経路点p[x,y]は、地点情報D8中の各地点に対応付けることができる。また、ラティスD9の経路点は、例えば、自車両1に関する制限速度情報に応じて、安全に進路変更が可能な角度(例えば、進路変更角度が20度以下とする)となるように構成される。なお、走行経路の車線数は二車線に限定されることは無く、三車線以上であってもよいし、走行経路の途中で車線数が増減してもよい。また、道路は屋外の場合に限らず、屋内(例えば、屋内駐車場、施設内の通路、トンネル、など)であってもよい。なお、ラティスは必ずしも格子構造である必要はない。例えば、走行車線が一車線の場合は格子を構成しないが、近接経路点を結ぶ線分は格子と見做すことができる。つまり、複数の経路点を結んだ構成は走行経路の基本的な構造を表現しており、この構成(複数の経路点を結んだ構成)がラティスであることは言うまでもない。
また、図3に示したラティスD9の各経路点の間隔(すなわち、経路点間距離)は、例えば、自車両1の形状、大きさ、制限速度情報などに応じて、任意の数値に設定することができる。本実施の形態では、例えば、自車両1を普通乗用車とした場合、進行方向(例えば、p[1,0]とp[1,1]との間)の経路点間距離を3m、車線間(例えば、p[1,1]とp[2,1]との間)の経路点間距離を2mに設定されるが、更に短い距離に設定されてもよい。
なお、本実施の形態の動作説明を簡単にするため、図3に示したラティスD9は、経路点の格子を二次元(すなわち、平面)の長方形で構成しているが、これに限ることは無い。例えば、走行経路に曲線(例えば、カーブ、環状交差点、など)がある場合、経路点間を繋ぐ線は曲線で構成されてもよい。また、ラティスの基本形状は四方格子(四角形)である必要は無く、例えば、三角形、六角形などの多角形で構成されてもよい。また、走行経路が三次元で構成される場合(例えば、立体交差、立体駐車場、スロープ、など、上下方向の移動を含む経路)、ラティスは立方体、正四面体などの三次元の格子で形成されてもよい。更に、経路点間の距離は等間隔である必要は無いし、基本形状は同一の種類である必要も無い。換言するならば、経路点間の距離は不等間隔であってもよいし、基本形状も二次元構成と三次元構成が混在してもよく、交通状況(例えば、工事による道路の形状変化、交通量の増減、など)に合わせて適宜変更することができる。
図4に、図3に示したラティスD9上に生成された、座標ベクトル情報D10の一例を示す。図4において、座標ベクトル情報D10は、出発地点(start)の経路点から目的地点(goal)の経路点までの実線部分を辿る経路点の集合である。より具体的に言えば、座標ベクトル情報D10の一例は、第1車線LANE1の出発地点の経路点p[1,0]を出発し、経路点p[2,1]→p[2,2]→p[2,3]→p[1,4]を経て、第1車線LANE1の目的地点の経路点[1,5]へ至る経路点の集合Pである。経路点の集合Pは、{P|p[1,0],p[2,1],p[2,2],p[2,3],p[1,4],p[1,5]}と表現される。
図5に、走行経路のコスト計算に用いるラティスD9の基準コストの一例を示す。図5中の経路点間に記された数値は、ラティスD9の基準コストの値であり、所定の正数値で設定される。ラティスD9の基準コストの設定方法は、例えば、左側通行ルールの国では、左側車線を優先して走行する(キープレフト)といった交通法規、あるいは交通における慣習に基づいて設定される。図5では、第1車線LANE1(すなわち、左側車線)を走行する場合の基準コスト(例えば、1)よりも、第2車線LANE2を走行する場合の基準コストを大きな値(例えば、2)に設定している。第1車線LANE1の基準コストよりも第2車線LANE2の基準コストを大きな値にすることで、第1車線LANE1を優先して走行することができる。なお、これらは一例にすぎず、ラティスD9の基準コストの数値は、走行経路の状況(例えば、車線の幅の大小、車線の勾配角の違い、など)によって任意に設定することができる。
また、走行経路のコスト算出時において、自車両1の進行方向の走行経路上に障害物(例えば、路上駐車車両、街路樹、落石、水たまり、あるいは、大型トラック・自転車など、自車両1より低速で走行する他車両、など)が存在する場合、障害物を回避するために自車両1の車線変更が行われる場合がある。また、自車両1の後方から他車両が接近した場合、走行車線を譲るために自車両1の車線変更が行われる場合がある。車線変更する場合、経路点間の基準コストは、同一車線上を走行するよりも大きい基準コスト(図5では、例えば、5)が設定される。また、障害物の直前あるいは直後の車線変更を抑制するために、更に大きい基準コストが設定されてもよい。
なお、障害物以外での車線変更には、例えば、右左折、走行時間、その後の車線変更数が多くなる、ユーザを含む乗員の状況に応じて、などが挙げられる。この場合も経路点間の基準コストは、同一車線上を走行するよりも大きい基準コストが設定されてもよい。
周辺情報・自己情報解析部204は、自車両1の位置情報D4、および自車両1の周辺情報D5をリアルタイム(例えば、1msecの短時間毎)に取得すると共に、それら情報を用いて解析し、その解析結果である、自車両1の時々刻々変化する車両状態(例えば、40km/hで走行中、信号で停止中、進路変更中、加速中、他車両の後方を走行中、など)を動的情報D11として出力する。
動的情報取得部205は、動的情報D11と地点情報D8とを対応付ける。具体的には、座標ベクトル情報D10に含まれる地点情報 8に対し、各経路点に対応した動的情報D11(例えば、自車両1の車両状態、他車両、障害物、信号機などの周辺情報、など)を付加する。地点情報 8に時々刻々変化する自車両1の車両状態の情報を付加することで、座標ベクトル情報 10にリアルタイム性を持たせることができる。本処理により動的情報 11が付加された座標ベクトル情報 10を、動的座標ベクトル情報D12として出力する。
移動経路生成部206は、動的座標ベクトル情報D12を用いて、ラティスD9の基準コストに対し、動的情報D11に応じてリアルタイムに重み付けを行う。具体的には、図5に示したラティスD9の基準コストに対し、例えば、動的情報 11により取得された障害物に関する情報(例えば、道路上に停車している他車両、自車両よりも低速で走行する他車両、など)、あるいはリスク領域に関する情報を用いて、それら情報別に設定されている重み係数により、基準コストに対してリアルタイムに重み付けを行う。次に、重み付けされたラティスの基準コストを用い、各経路点を通過する場合の走行経路の基準コストから、例えば、基準コストの総和が最小となる走行経路を選択し、走行経路データD13として出力する。
なお、走行経路データD13の算出において、後述する、移動・停止判断部207が出力する判断情報D14を再入力(ループバック)して反映(再計算)しても良い。また、リスク領域(例えば、路上駐車車両が多い地点、渋滞が頻繁に発生する地点およびその時刻、など)を用いて走行経路の基準コストの総和を算出しても良い。リスク領域近傍では、例えば、経路点間の基準コストの重みを大きくすることで走行経路の基準コストを増加させる。このような基準コストの重みの制御により、リスク領域を避ける走行経路を生成することができる。
これら車線変更条件において、車線変更しない経路と車線変更した経路とで、出発地点の経路点から目的地点の経路点までの走行経路の基準コストの総和(以降、走行経路のコストの総和と略する)に差が生じる場合、自車両1を車線変更させることができる。ただし、頻繁な車線変更は車両の乗り心地を悪化させるので、危険回避の場合を除き、車線変更後の一定区間(例えば、所定の距離、所定の数の経路点を通過する区間、など)は、走行経路のコストの総和に対して重み(ペナルティ)を与えることにより、再度の車線変更を禁止あるいは抑制してもよい。
移動経路(走行経路)のコストの総和に対して、進路変更(走行車線変更、または車線変更)の頻度に応じてペナルティを与える方法、すなわち、再度の車線変更を抑制する方法として、例えば、一定区間内で再度車線変更する場合、走行経路のコストの総和に正の定数の重み(例えば、1.2)を乗算することで、走行経路のコストの総和を大きくすることができる。また、車線変更後、次の車線変更までの距離が一定以下の場合、走行経路のコストの総和にペナルティを与えてもよい。更に、車線変更の頻度(例えば、出発地点から目的地点までの車線変更回数の合計、所定の時間あたりの車線変更の平均回数、など)が最小となる走行経路を選択してもよい。このように、車両の走行特性、あるいは走行経路の長さ等の状況に応じ、様々な車線変更条件に基づいて、走行経路を生成することが可能である。
上記のように、リスク領域、障害物などに合わせて、リアルタイムに経路点間の基準コストの重みを変更することで、突然のリスク領域・障害物の出現に際しても、頻繁な車線変更が少ない快適な走行経路を生成することができる。すなわち、リアルタイムに自車両1の頻繁な車線変更を抑制することができるので、自車両1に搭乗するユーザの快適性を向上することができる。
ルールセット211は、論理式で表現された順守すべき交通法規の集合を保持する。例えば、交通法規は以下のような論理式で表現される。「信号機の指示が赤信号である」、信号機の指示が黄色信号である」、「交差点に進入する」、を表す命題記号をそれぞれ「A」、「B」、「C」とする。「信号機が赤信号または黄色信号を指示する場合、交差点に進入してはならない」という交通法規は、式(1)のような論理式で表現される。
Figure 0007401034000001
ここで、「|」は論理和を意味し、「!」は否定を意味する。なお、後述の論理体系構築が可能であれば、他の表現方法としてもよい。ルールセット211は、順守すべきものであれば、交通法規以外のルール(例えば、交通における慣習、施設内の私道通行ルール、など)を含めてもよい。なお、ルールセット211は、経路生成装置100の内部に保持されてもよいし、外部から供給されてもよい。
移動・停止判断部207は、動的情報 11と走行経路データD13とルールセット211とを用いて、自車両1の動作制御(例えば、走行・停止・回避・追随、など)を判断し、その判断結果である判断情報D14を生成し、出力する。
車両制御部208は、移動・停止判断部207が出力する判断情報D14に従って、自車両1が備える動力、操舵機構など運転制御(例えば、走行、減速、停止、他車両追従、走行経路変更、など)を行うための制御信号を生成し、その制御信号を車両制御情報D2として出力する。
自車両1は、車両制御情報D2を受信し、自車両1が有する動力と、移動方向を変更するための車輪の操舵機構と、減速または停止させるための制動機構とをそれぞれ制御して走行する。なお、自車両1が自動走行車両ではない場合(すなわち、ユーザ自身が運転する車両)、ユーザに対し、表示装置を用いて生成された走行経路を画面呈示したり、ガイダンス装置を用いて音声案内したりすることが可能である。よって、ユーザ自身が運転する場合でも、本発明の効果は自動走行車両の場合と同じく奏功することは言うまでもない。更に、通信網3を用いて、生成された走行経路データ 13を自車両1以外の他車両に通知してもよい。自車両1の走行経路を他車両に通知することで、他車両に対して円滑な交通を促す効果を奏する。
<処理動作>
次に本実施の形態1の動作について説明する。図6は実施の形態1における経路生成装置100の処理順序を示すフローチャートである。以下、図6のフローチャートを用いて動作の詳細を説明する。なお、以下の各ステップにおける「部」を、「ステップ」または「処理」または「工程」と読み替えてもよい。
まず、静的情報受信時の処理を行う。ステップST101では、移動・停止判断部207が、ルールセット211を用いて、移動・停止判断部207の走行経路の初期状態を構築する(ステップST101)。具体的には、例えば、車両の種別(例えば、普通乗用車、二輪車、バス、など)による、交通法規上で当該車両が走行可能な(すなわち、走行が許可されている)車線を確認する初期設定である。ステップST101の処理後、ステップST102へ移行する。
ステップST102では、静的情報取得部202が、静的情報D7を取得すると共に、静的情報D7を経路生成装置100の内部で使用できるように成形する(ステップST102)。静的情報 7の成形方法として、例えば、静的情報 7の内容を配列変数化するなど、計算機で処理し易い形状に成形する。ステップST102の処理後、ステップST103へ移行する。
ステップST103では、座標ベクトル生成部203が、座標ベクトル情報D10を生成する(ステップST103)。ステップST103の処理後、ステップST104へ移行する。
続いて、動的情報受信時の処理を行う。ステップST104では、周辺情報・自己情報解析部204が、自車両1の位置情報D4と自車両1の周辺情報D5とを用いて動的情報D11を取得すると共に、動的情報D11を経路生成装置100の内部で使用できるように成形する(ステップST104)。動的情報 11の成形方法として、例えば、動的情報 11の内容を配列変数化するなど、計算機で処理し易い形状に成形する。ステップST104の処理後、ステップST105へ移行する。
ステップST105では、動的情報取得部205が、動的情報D11と座標ベクトル情報D10とを対応付ける。対応付けは、例えば、自車両1の位置、障害物の座標と各経路点の座標から一番近い経路点を算出することで行う。なお、閾値内の距離に経路点が存在しない場合、対応する経路点は無しとする。ただし、交通法規上で車線変更不可の区間(例えば、交差点内、追い越し禁止区間、横断歩道前、停止線前、など)、あるいは、車線変更すべきでない区間(例えば、見通しの悪いカーブ、など)では直線情報のみ付与する。また、車線変更可能な道路上の経路点から、進行方向に対して法線方向に次の経路点が存在するか否かで車線変更可否を判断する。
具体的には、同じ道路上、かつ車線が隣接している車線内の全ての経路点のIDから、式(2)を満たす値(a,b)の組合せの存在の有無を確認し、存在する組合せについては車線変更可能であると定義する。
Figure 0007401034000002
ここで、dは自車両1の移動方向ベクトル、hはdの法線ベクトル、pは現在の経路点の位置ベクトル、pは次の経路点の位置ベクトルの法線ベクトルである。また、marginは、進行方向の経路点間の距離マージンに関する車線変更判定閾値、widthは、隣接車線までの距離に関する車線変更判定閾値であり、それぞれ所定の正値をとる。ステップST105の処理後、ステップST106へ移行する。
ステップST106では、移動経路生成部206が、動的座標ベクトル情報D12を用い、図5に示したラティスD9の基準コストに対し、例えば、障害物(例えば、道路上に停車している他車両、自車両よりも低速で走行する他車両、など)、あるいはリスク領域に合わせた重みを設定し、基準コストの重み付けを行う。具体的には、障害物あるいはリスク領域に合わせて、座標ベクトル情報D10の各経路点を通過する場合の重みを設定し、基準コストに重みを乗じる。
続いて、出発地点の経路点p[1,0]から、目的地点の経路点p[1,5]に至るまで、走行経路のコストの総和を算出する。そして、走行経路のコストの総和が最小になる走行経路を算出し、その走行経路を走行経路データD13として出力する(ステップST106)。ステップST106の処理後、ステップST107へ移行する。
図7は、ステップST106の移動経路生成の内部処理のフローチャートである。まず、ステップST106Aでは、動的座標ベクトル情報D12を参照し、ラティスD9の基準コストを取得する(ステップST106A)。ステップ106Aの処理後、ステップST106Bへ移行する。
ステップST106Bでは、動的座標ベクトル情報D12を参照し、障害物あるいはリスク領域に合わせて、座標ベクトル情報D10の各経路点を通過する場合の重みを設定し、各基準コストに重みを乗じる(ステップST106B)。例えば、障害物近傍の経路点を通過する場合の重みを大きく設定する。ステップST106Bの処理後、ステップST106Cへ移行する。
ステップST106Cでは、重み付けされた基準コストに基づいて、式(3)に従い、出発地点の経路点から目的地点の経路点に至るまで、走行経路候補毎のコストの総和CSUM(k)を算出する(ステップST106C)。ステップST106Cの処理後、ステップST106Dへ移行する。
Figure 0007401034000003

ここで、kは動的座標ベクトル情報(すなわち、走行経路候補)を示す番号、Cp[x,y](k)は、k番目の動的座標ベクトル情報に属する経路点p[x,y]の基準コスト、wp[x,y](k)は、k番目の動的座標ベクトル情報に属する経路点p[x,y]の重み係数である。
ステップST106Dでは、式(3)で得られたCSUM(k)に対し、式(4)によりペナルティを与える(α(k)およびβ(k)をCSUM(k)へ乗算する)(ステップST106D)。ステップST106Dの処理後、ステップST106Eへ移行する。
Figure 0007401034000004
ステップST106Eでは、ペナルティが与えられた走行経路のコストの総和C^SUM(k)が最小となる走行経路を選択する(ステップST106E)。
ステップST106Eの処理後、本フローチャートを終了(END)する。
図8は、実施の形態1の移動経路生成部206における、ラティスを用いた走行経路のコスト算出の具体的な一例である。図8中の障害物HZDは、例えば、他車両である。説明を簡単にするため、障害物HZD(すなわち、他車両)は、静止中(停車中)とする。自車両1の車線変更条件として、式(2)のmarginを、例えば、隣接する経路点間の距離とする。すなわち、経路点間に障害物HZDがある場合、その経路点間では車線変更は行われない。また、動的座標ベクトル情報の番号kは省略する。
また、障害物HZDの周囲はリスク領域と判断されるため、障害物HZDの周囲のラティスの経路に大きな重みが設定される。リスク領域の周囲の状況に応じて、経路点間のコストに大きな重みが設定されることで、自車両1がその経路点間を通過することを抑制できる。図8の例では、例えば、p[1,0]からp[1,1]の経路、およびp[1,3]からp[1,4]の経路では重みが50(図8では、1の基準コストが50倍され、50と表示)、また、p[2,2]からp[1,4]の経路では重みが100(図8では、5の基準コストが100倍され、500と表示)というように、各経路のリスクに応じた重みが設定されている。以降、重み付けされた基準コストを、単に「重み付きコスト」と省略する。
リスク領域を含めてラティスの経路に大きな重みが設定されることで、自車両1からリスク領域までの距離の余裕を持った計算を行うことができ、頻繁な車線変更を抑制することができる。例えば、自車両1の第1車線LANE1上に連続かつ近接して2つの障害物が存在する場合を考える。リスク領域を考慮しない場合、自車両1が1つ目の障害物を回避するためにLANE2に車線変更後、再度、第1車線LANE1に車線変更(戻る)する可能性がある。故に、2つ目の障害物を回避するために、再度、第2車線LANE2に車線変更する必要が生じる。一方、リスク領域を考慮した場合、1つ目の障害物と2つ目の障害物とのリスク領域が重なり合うことで、2つの障害物は連続した一体の障害物と見做され、この一体の障害物に対して走行経路が生成される。よって、1つ目の障害物を回避した後、再度、第1車線LANE1へ車線変更することが無くなるので、頻繁な車線変更を抑制することができる。
更に、頻繁な車線変更を抑制するためのペナルティが以下のように定義される。車線変更頻度のペナルティαとして、出発地点から目的地点までの走行経路において、例えば、車線変更後、経路点を2か所通過するまでに再度車線変更する場合、その条件を満たすごとに走行経路のコストの総和を1.2倍する。すなわち、当該車線変更の条件を満たす回数をnとすると、α=(1.2)^nとなる。例えば、n=2回の場合は、α=(1.2)^2=1.44となる(条件を満たす回数が無い、すなわちn=0回の場合、α=1.0とする)。また、出発地点から目的地点までの進路変更回数の合計値に1を加えた値をペナルティβとして与える。例えば、進路変更回数の合計値が5回の場合、β=6となる(進路変更回数が0回の場合、β=1となる)。なお、これら走行経路のコストの総和に対するペナルティの与え方については、一例にすぎない。別の方法として、車線変更の所定の時間あたりの平均回数に応じてペナルティを与えてもよく、様々な方法をとることが可能である。
図8(a)は、自車両1の走行経路上に障害物HZDが存在しない場合である。図8(a)において、座標ベクトル情報D10が示す経路点の集合Pは、{P|p[1,0],p[1,1],p[1,2],p[1,3],p[1,4],p[1,5]}である。p[1,0]からp[1,1]までの重み付きコストは1、p[1,1]からp[1,2]までの重み付きコストは1、p[1,2]からp[1,3]までの重み付きコストは1、p[1,3]からp[1,4]までの重み付きコストは1、p[1,4]からp[1,5]までの重み付きコストは1、であるので、走行経路のコストの総和CSUMは、CSUM=5である。
一方、自車両1の走行経路上に障害物HZDが存在する場合、上述の車線変更条件と重みの設定条件より、最小コストの可能性がある走行経路の候補は、2パタンの走行経路が考えられる。図8(b)および(c)は、自車両1の走行経路上に障害物HZDが存在する場合の走行経路の2パタンである。
図8(b)において、座標ベクトル情報D10が示す経路点の集合Pは、{P|p[1,0],p[2,1],p[2,2],p[2,3],p[1,4],p[1,5]}である。p[1,0]からp[2,1]までの重み付きコストは5である。p[2,1]からp[2,2]までの重み付きコストは2である。p[2,2]からp[2,3]までの重み付きコストは2である。p[2,3]からp[1,4]までの重み付きコストは5である。p[1,4]からp[1,5]までの重み付きコストは1である。よって、走行経路のコストの総和CSUMは、CSUM=15である。
図8(c)において、座標ベクトル情報D10が示す経路点の集合Pは、{P|p[1,0],p[2,1],p[2,2],p[2,3],p[2,4],p[1,5]}である。p[1,0]からp[2,1]までの重み付きコストは5である。p[2,1]からp[2,2]までの重み付きコストは2である。p[2,2]からp[2,3]までの重み付きコストは2である。p[2,3]からp[2,4]までの重み付きコストは2である。p[2,4]からp[1,5]までの重み付きコストは5である。よって、走行経路のコストの総和CSUMは、CSUM=16である。
図8において、(b)のパタンの走行経路のコストの総和がCSUM=15である一方、(c)のパタンでは走行経路のコストの総和はCSUM=16である。単純比較では、(b)のパタンの方がコストの総和が小さいが、(b)のパタンでは、車線変更後に経路点を2か所通過する前に再度車線変更を行うので、頻繁な車線変更のペナルティとしてコストの総和CSUMが1.2倍される(すなわち、α=1.2)。また、車線変更の回数の合計は2回であり、β=3となる)。よって、(b)のパタンのペナルティが与えられた走行経路のコストの総和はC^SUM=1.2×3×15=54となる。一方、(c)のパタンでは、頻繁な車線変更のペナルティは与えられない(すなわち、α=1.0)。また、車線変更の回数の合計は2回であり、β=3となる。よって、(c)のパタンのペナルティが与えられた走行経路のコストの総和はC^SUM=1.0×3×16=48となる。
よって、ペナルティが与えられた走行経路のコストの総和C^SUMが最小となる走行経路のパタンは、(c)のパタンとなる。以上、生成された(c)のパタンの走行経路が、走行経路データD13として出力される。
上述したように、(b)のパタンの走行経路と比較して、(c)のパタンの走行経路では、車線変更後の再度の車線変更までの距離が長くなる。言い換えれば、自車両の車線変更の頻度が少なくなる。よって、自車両1に搭乗するユーザの快適性を向上することができる。
停車中の他車両が動き出した場合、すなわち障害物HZDの移動に伴って、経路点間の重みが変化するので、走行経路の重み付きコストの再設定と、走行経路のコストの総和の再計算が為される。なお、コスト再計算には、元の出発地点の経路点から計算する必要は無い。例えば、現時点における自車両1の最近傍の経路点を、新たな出発地点として計算すればよく、再計算のための処理量を削減することができる。
ステップST107では、移動・停止判断部207が、動的情報 11と走行経路データD13とルールセット211とを用いて、自車両1の移動・停止判断の処理を行う(ステップST107)。
移動・停止判断部207の処理について、具体例を用いて詳述する。図9は、本実施の形態1の経路生成装置100により生成された走行経路データD13による、自車両1の移動・停止判断処理の一例である。具体的には、信号機300、自車両1(図9では、1a、1b、1cで示す)と同一車線上を走行中、あるいは停止中の他車両(他車両301)、自車両1の反対車線の対向方向から進行する他車両(対向車302)、停止線303、横断歩道304a、304bを有する交差点305、が存在する中で生成された走行経路データD13に基づいて、自車両1の移動・停止判断処理を行うものである。図9において、自車両1の走行経路は、北方向に進行し、交差点305を右折して東方向に進むものである。
自車両1の移動・停止判断には、例えば、ビヘイビアツリー(Behavior Tree、以下、BTと略する)のようにグラフ構造で表現されるフォーマットを用いることができる。図10は、本実施の形態1の移動・停止判断処理をBTにより表現した一例である。なお、フォーマットにはBTの他、例えば、ステートマシンなどの公知技術を用いてもよい。
図11は、ステップST107の経路決定処理の一部である、信号機停止判断処理のフローチャートである。図12は、ステップST107の経路決定処理の一部である、交差点停止判断処理のフローチャートである。なお、本処理の説明を簡単にするため、信号機300の指示が赤信号、黄信号、緑信号の通常の場合に限定する。なお、信号機300の指示が、矢印表示、点滅表示などの場合は省略するが、通常の場合と同様、交通法規に則った処理を行えば良い。
まず、図11に示した信号機停止判断処理を行う。ステップST201では、動的情報 11と走行経路データD13とを用いて、自車両1の現在位置から、自車両1の進行方向上に存在する最も近い信号機(例えば、信号機300)までの距離Nsを計算し、閾値Ndと比較する(ステップST201)。ここで、閾値Ndは、自車両1が安全かつ速やかに停止できる値に設定される。具体的には、閾値Ndは、現在の自車両1の走行速度と、安全に停止できる減速加速度の上限とから計算される距離で設定される。
距離Nsが閾値Ndより大きい場合(ステップST201のYes)、自車両1から信号機300までの距離が十分にあると判断されるので、ステップST202へ移行する。
ステップST202では、自車両1に対して、走行指示が為される(ステップST202)。ステップST202の走行指示の詳細については、後述する。ステップST202の走行指示処理後、図12の交差点停止判断処理へ移行する。
一方、距離Nsが閾値Nd以下の場合(ステップST201のNo)、自車両1から信号機300までの距離が短いと判断されるので、ステップST203へ移行する。
ステップST203では、動的情報 11と走行経路データD13とルールセット211とを用いて、信号機300の指示内容を確認する。信号機300の指示内容が赤信号、あるいは黄信号の場合(ステップST203のYes)、自車両1は停止すべきと判断されるので、ステップST204へ移行する。
ステップST204では、自車両1に対し、停止指示が為される(ステップST204)。なお、当該停止指示には、自車両1が少なくとも横断歩道304a手前の停止線303までに、安全に停止可能とする減速指示が含まれる。ステップST204の処理後、ステップ107の処理を完了(END)する。
一方、信号機300の指示内容が赤信号以外、あるいは黄信号以外(すなわち、緑信号)の場合(ステップST203のNo)、自車両1は進行可能と判断されるので、ステップST202へ移行する。
続いて、図12に示した交差点停止判断処理を行う。ステップST205では、交差点300内、あるいは交差点300の近傍において、横断歩道304a、304bを横断中、あるいは横断開始しようとしている歩行者等(例えば、人、自転車、など)の障害物の有無を判断する(ステップST205)。歩行者等が存在する場合(ステップST205のYes)、自車両1は停止すべきと判断されるので、ステップST206へ移行する。歩行者等が存在しない場合(ステップST205のNo)、ステップST207へ移行する。
ステップST206では、自車両1に対して、停止指示が為される(ステップST206)。なお、当該停止指示には、自車両1が少なくとも横断歩道304aの手前の停止線303までに安全に停止可能な減速指示が含まれる。あるいは、横断歩道304bの手前、かつ、他車両の通行に影響を及ぼさない位置に、安全に停止可能な減速指示が含まれる。ステップST206の処理後、ステップST107の処理を完了(END)する。
ステップST207では、自車両1の反対車線の対向方向から進行する他車両(例えば、対向車302)が存在するか否かを判定する(ステップST207)。対向車302が存在する場合(ステップST207のYes)、自車両1は停止すべきと判断されるので、ステップST208に移行する。
ステップST208では、自車両1に対して、停止指示が為される(ステップST208)。なお、当該停止指示には、自車両1が、少なくとも交差点内に進入する手前まで、かつ、対向車301を含む他車両の通行に影響を及ぼさない位置に、安全に停止可能な減速指示が含まれる。ステップST208の処理後、ステップST107の処理を完了(END)する。
一方、対向車302が存在しない場合(ステップST207のNo)、ステップST205にて横断歩道304a、304bに歩行者等も存在しない判断が為されている。よって、自車両1は進行可能と判断されるので、ステップST209へ移行する。
ステップST209では、自車両1に対して、走行指示が為される(ステップST209)。なお、当該走行指示は、上述したステップST202の走行指示と同一であってもよいし、動的情報 11と走行経路データD13とに応じて適宜変更してもよい。
図13は、ステップST202(あるいは、ステップST209)の内部処理である、走行指示処理のフローチャートである。図13を用いて、走行指示処理を説明する。
ステップST301では、動的情報 11と走行経路データD13とを用いて、自車両1の走行経路の経路点上に障害物が有るかどうかを確認する。走行経路の経路点上に障害物がある場合(ステップST301のYes)、ステップST302へ移行する。
ステップST302では、動的情報 11と走行経路データD13とを用いて、障害物(例えば、他車両301)が停止中、または、自車両1の走行速度よりも遅いか否かを確認する。障害物が停止している場合(ステップST302のYes)、自車両1は障害物を回避すべきと判断されるので、ステップST303へ移行する。
ステップST303では、自車両1の行動モードが「回避」に設定され、自車両1に対して、動的情報 11と走行経路データD13とに応じた進路変更指示と走行速度制御とが為される(ステップST303)。ステップST303の処理後、走行指示処理を完了(END)する。
一方、障害物の走行速度が、自車両1の走行速度よりも速い場合(ステップST302のNo)、自車両1は障害物を現時点で回避する必要は無いため、ステップST304へ移行する。
ステップST304では、自車両1の行動モードが「追従」に設定され、自車両1に対して、動的情報 11と走行経路データD13とに応じて、先行する他車両に追従するような走行速度制御(例えば、自車両1の制限速度を上限とし、所定の一定距離を保持するような速度で走行する、など)が為される(ステップST304)。ステップST304の処理後、走行指示処理を完了(END)する。
ステップST305では、動的情報 11と走行経路データD13とを用いて、自車両1の位置が交差点外、かつ、車線変更無しか否かを確認する(ステップST305)。自車両1の位置が交差点外であり、かつ、車線変更も無い場合(ステップST305のYes)、自車両1は現時点で回避も追従も必要無いため、ステップST306へ移行する。
ステップST306では、自車両1の行動モードが「走行」に設定され、自車両1に対して、動的情報 11と走行経路データD13とに応じた走行速度制御が為される(ステップST306)。ステップST306の処理後、走行指示処理を完了(END)する。
一方、自車両1の位置が交差点内、あるいは、車線変更が有る場合(ステップST305のNo)、自車両1は、交差点内において、対向車302の回避の可能性、あるいは、走行経路上の障害物回避の可能性があると判断されるので、ステップST307へ移行する。
ステップST307では、動的情報 11と走行経路データD13とを用いて、自車両1の周辺に障害物(例えば、駐車車両301、対向車302、など)が無いか否かを確認する(ステップST307)。自車両1の周辺に障害物が無い場合(ステップST307のYes)、自車両1は障害物回避の必要が無いため、ステップST306へ移行する。一方、自車両1の周辺に障害物がある場合(ステップST307のNo)、自車両1は障害物回避の必要があるため、ステップST308へ移行する。
ステップST308では、自車両1の行動モードが「回避」に設定され、自車両1に対して、動的情報 11と走行経路データD13とに応じた進路変更指示と走行速度制御とが為される(ステップST308)。ステップST308の処理後、走行指示処理を完了(END)する。
以上、ステップST107の移動・停止判断処理を完了し、ステップST108へ移行する。
ステップST108では、移動・停止判断部207が、動的情報 11と走行経路データD13とルールセット211とを用いて、検討が必要な走行経路の他のパタンが無いかどうか確認する。他のパタンが存在する場合(ステップST108のYes)、ステップST106の移動経路生成部206の処理に戻る。ステップST106の処理に戻る場合、移動経路生成部206に判断情報D14を再入力してもよい。判断情報D14を用いることで、走行経路データD13の再計算を行うことができ、自車両1の状況に応じた、更に精度の高い走行経路データD13を生成することができる。
一方、検討が必要な走行経路の他のパタンが無い場合(ステップST108のNo)、動的情報 11と走行経路データD13とに対応した自車両1の移動・停止を判断し、その判断結果を判断情報D14として出力する。本処理後、ステップST109へ移行する。
最後に、ステップST109では、車両制御部208が、判断情報D14に従って、自車両1の運転制御(例えば、走行、減速、停止、他車両追従、走行経路変更、など)を行う制御信号を生成し、その制御信号を車両制御情報D2として出力する。
なお、図6および、図11から図13のそれぞれに示したフローチャートにおける各処理は、コンピュータの処理能力に応じた実行間隔(例えば、5ミリ秒間隔)により、その処理順序に従ってリアルタイムに実行することができる。
<ハードウェア構成>
図2に示される経路生成装置100の各構成は、例えば、プロセッサを内蔵する情報処理装置であるコンピュータで実現可能である。図14は、実施の形態1における経路生成装置が有するハードウェアの構成図である。図14において、経路生成装置100は、プロセッサ400、揮発性記憶装置401、不揮発性記憶装置402、通信装置403、及び通信路404とで構成される。
プロセッサ400を内蔵するコンピュータは、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ型コンピュータなどの据え置き型コンピュータ、スマートフォン、タブレット型コンピュータなどの可搬型コンピュータ、あるいは、カーナビゲーションシステムなどの車載情報システムの機器組み込み用途のマイクロコンピュータ、及びSoC(System on Chip)などである。
プロセッサ400は、経路生成装置100の全体を制御する。例えば、プロセッサ400は、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)などである。プロセッサ400は、単一のプロセッサでもマルチプロセッサでもよい。また、経路生成装置100は、コンピュータ以外にASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの処理回路を有してもよい。処理回路は、単一回路又は複合回路でもよい。
揮発性記憶装置401は、経路生成装置100の主記憶装置である。例えば、揮発性記憶装置401は、RAM(Random Access Memory)である。
不揮発性記憶装置402は、経路生成装置100の補助記憶装置である。例えば、不揮発性記憶装置402は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)である。
通信装置403は、経路生成装置100の入出力インタフェースである。例えば、通信装置403は、自車両1から入力される各種センサ情報D1を取得するために用いられる。また、経路生成装置100で生成された車両制御情報D2を自車両1へ出力するために用いられる。なお、通信装置403は、経路生成装置100の内部に備えられていなくてもよく、図1に示した通信装置2と同一、あるいは同等の装置を用いてもよい。
プロセッサ400は、作業用メモリとして揮発性記憶装置401(例えば、RAM)を使用し、不揮発性記憶装置402(例えば、ROM)から、通信路404を通じて読み出されたコンピュータ・プログラム(すなわち、経路生成プログラム)に従って動作する。なお、経路生成プログラムは、通信装置403を通じ、経路生成装置100の外部から供給されてもよい。また、経路生成プログラムは、コンピュータで読み取り可能な不揮発性記憶媒体(例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ、など)により配布されてもよい。
以上のように、本実施の形態1によれば、車両走行時の道路状況が動的に変化する状況に応じて、車線変更の頻度が少なくなるようにペナルティを与えて走行経路のコストを修正し、最小コストの走行経路を選択するようにした。よって、走行車線変更を抑制し、車両に搭乗しているユーザにとって快適となる走行経路を生成することができる。
以上の実施の形態では、走行経路のコストの総和が最小のものを選択する場合について説明したがこれに限らない。例えば、走行経路のコストの総和が2番目に小さいものを選択する、または、走行経路のコストの総和が閾値より小さいものを選択するようにしてもよい。走行経路のコストの総和が小さいものほど車線変更の頻度が少なくなり、車両に搭乗しているユーザにとって快適となる走行となる。
実施の形態2.
上記した実施の形態1では、車両走行時の経路生成方法について例示したが、これに限らない。例えば、航空機(例えば、ヘリコプター、乗用ドローン、など)、あるいは船舶(例えば、旅客船、潜水艇、など)などの移動体の通行のための経路生成方法にも適用可能である。これを実施の形態1の変形例である実施の形態2として説明する。
航空機あるいは船舶を対象とする経路生成の場合、例えば、移動体の通路である道路を航路、あるいは水路などの通路と読み替える、すなわち、道路情報は通路情報と読み替えればよい。また、ルールセット211に記憶する交通法規は、例えば、航空機の関連法規、あるいは船舶の関連法規など、各移動体に関連した通行規則に置き換えればよい。また、車線変更を進路変更、地図を航路図とそれぞれ読み替えればよい。各種センサ情報D1は、例えば、ソナー、ビーコン装置などから得られる情報を含めてもよい。
移動体が航空機あるいは船舶である場合、障害物の対象に、気象条件(例えば、雷雲、乱気流、氷山、海流、霧、火山灰、など)も含まれてもよい。なお、航空機については停止が困難なので(空中停止が可能な航空機、例えば、ヘリコプターなどを除く)、回避、追従のみの経路生成となる。
以上のように、本実施の形態2によれば、移動体の移動時の状況が動的に変化する状況に応じて、進路変更の頻度が少なくなるようにペナルティを与えて移動経路のコストを修正し、最小コストの移動経路を選択するようにした。よって、進路変更を抑制し、移動体に搭乗しているユーザにとって快適となる移動経路を生成することができる。
上記以外にも、本開示はその開示の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
1、1a、1b、1c 自車両、2 通信装置、3 通信網、100 経路生成装置、
200 認知部、201 地図情報解析部、202 静的情報取得部、203 座標ベクトル生成部、204 周辺情報・自己情報解析部、205 動的情報取得部、206 移動経路生成部、207 移動・停止判断部、208 車両制御部、210 地図データ、211 ルールセット、
300 信号機、301 他車両、302 対向車、303 停止線、304a、304b 横断歩道、305 交差点、
400 プロセッサ、401 揮発性記憶装置、402 不揮発性記憶装置、403 通信装置、405 通信路

Claims (8)

  1. 移動体の位置情報と、前記移動体の周辺情報と、一つの通路の複数の進路上で前記移動体の複数の進路にそれぞれ設定される複数の経路点とを用いて、前記移動体の移動経路を生成する経路生成装置であって、
    前記移動体の通過地点に関する情報を含む地図情報と、前記複数の経路点とから得られる前記移動体の一つ以上の移動経路候補に対し前記移動経路候補の基準コストに前記位置情報および前記周辺情報を用いて得られる動的情報に基づく重みを設定し前記重みが設定された前記移動経路候補動的座標ベクトル情報として生成する動的情報取得部と、
    前記動的座標ベクトル情報に属する経路点間が有する所定の基準コストに対し、前記動的情報に応じた所定の正値を重み付けした上で当該基準コストの総和を計算し、
    前記基準コストの総和に対し、前記移動体の進路変更の頻度に応じた所定の正値の重みを与え、
    複数の移動経路候補のうち前記基準コストの総和が小さい移動経路を選択する移動経路生成部と、
    前記動的情報と、前記移動経路と、移動体の通行規則を保持するルールセットとを用いて、前記移動体の動作を制御する判断情報を出力する移動・停止判断部とを備え、
    前記移動経路生成部が、前記判断情報を用いて前記移動経路を生成するための再計算を行うことを特徴とする経路生成装置。
  2. 前記移動経路生成部が、進路変更後の一定区間は、再度の進路変更を禁止あるいは抑制することを特徴とする請求項1に記載の経路生成装置。
  3. 前記移動体の進路変更の頻度が、進路変更の総回数であることを特徴とする請求項1に記載の経路生成装置。
  4. 前記移動体の進路変更の頻度が、所定の時間あたりの進路変更の平均回数であることを特徴とする請求項1に記載の経路生成装置。
  5. 情報処理装置が、
    移動体の位置情報と、前記移動体の周辺情報と、一つの通路の複数の進路上で前記移動体の複数の進路にそれぞれ設定される複数の経路点とを用いて、前記移動体の移動経路を生成する経路生成方法であって、
    前記移動体の通過地点に関する情報を含む地図情報と、前記複数の経路点とから得られる前記移動体の一つ以上の移動経路候補に対し前記移動経路候補の基準コストに前記位置情報および前記周辺情報を用いて得られる動的情報に基づく重みを設定し前記重みが設定された前記移動経路候補動的座標ベクトル情報として生成する動的情報取得ステップと、
    前記動的座標ベクトル情報に属する経路点間が有する所定の基準コストに対し、前記動的情報に応じた所定の正値を重み付けした上で当該基準コストの総和を計算し、
    前記基準コストの総和に対し、前記移動体の進路変更の頻度に応じた所定の正値の重みを与え、
    複数の移動経路候補のうち前記基準コストの総和が小さい移動経路を選択する移動経路生成ステップと、
    前記動的情報と、前記移動経路と、移動体の通行規則を保持するルールセットとを用いて、前記移動体の動作を制御する判断情報を出力する移動・停止判断ステップとを備え、
    前記移動経路生成ステップが、前記判断情報を用いて前記移動経路を生成するための再計算を行うことを特徴とする経路生成方法。
  6. 前記移動経路生成ステップが、進路変更後の一定区間は、再度の進路変更を禁止あるいは抑制することを特徴とする請求項5に記載の経路生成方法。
  7. 前記移動体の進路変更の頻度が、進路変更の総回数であることを特徴とする請求項5に記載の経路生成方法。
  8. 前記移動体の進路変更の頻度が、所定の時間あたりの進路変更の平均回数であることを特徴とする請求項5に記載の経路生成方法。
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