JP7400515B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置に関する。
従来より、インクジェット方式による画像形成においては、インクを吐出した後、インクを乾燥させる手段として、IR(赤外)ランプやNIR(近赤外)ランプを用いることが知られている。
IRランプによる乾燥方式は、照射される波長を3000nm付近とし、主に水分子を振動させて光エネルギーを熱エネルギーに変換することで加熱し、インクを乾燥させる方式である。
一方、NIRランプによる乾燥方式は、照射される波長を1000nm付近とし、主にインクに含まれる色材や溶剤にエネルギーを吸収させ、これら分子を振動させて光エネルギーを熱エネルギーに変換することで加熱し、乾燥させる方式である。
また、インクジェット方式による画像形成において、UV硬化性のインク(UVインク)等のUV硬化性の材料を用いる技術が提案されている。特許文献1には水を含むUV硬化性インクが開示されている。
前記IRランプによる乾燥方式は、上述のように、照射される波長が3000nm付近であり、水分子を振動させるエネルギーを持っているため、インクを乾燥させるのと同時に、インクが吐出されていない領域でありかつ画像が形成されていない領域(白紙部)まで加熱されて記録媒体の水分が飛んでしまう。このため、印刷物を出力後に含水率が低下した白紙部が大気中の水分を再吸湿し、白紙部が波打ってしまう問題がある。
一方、前記NIRランプによる乾燥方式は、上述のように、照射される波長が1000nm付近であり、この領域においては、インクが水よりもエネルギー吸収率が高く、白紙部が加熱されない効果が期待できる。しかし、エネルギー吸収率がインクの種類によって大きく異なるため、インクの乾燥ムラや特定のインクの過剰加熱が生じる問題があった。また、伝熱など白紙部の波打ち(コックリングなどとも称する)を発生させる他方式と併用された場合に、白紙部の波打ちを抑制する効果が十分得られない問題がある。
なお、前記各問題点を解決するには、紫外線を利用し、インク中の顔料にエネルギーを選択的に吸収させ、インクを乾燥させる方式が考えられる。しかし顔料濃度が低いインクでは紫外領域の吸光度が低く、紫外線の吸収が抑制されるため、インクを効果的に加熱することができない。
なお、前記特許文献1では、UV照射によるUV硬化性の無い水性インクの乾燥性に関しては言及されていない。
そこで本発明は、記録媒体における画像が形成されていない領域の波打ちを抑制できるとともに、色材濃度が低い淡色インクや無色インクでも十分に乾燥した印刷物が得られる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題は、下記構成1)により解決される。
1)記録媒体上に液体組成物を付与する液体付与手段と、
前記記録媒体にピーク波長が300nm~450nmの光を照射する照射手段とを備える画像形成装置であって、
前記液体組成物は、水および/または有機溶剤を含み、
前記液体組成物中の紫外線重合開始剤の含有量が0.1質量%未満であり、
前記液体組成物は、測定波長350nmにおける吸光度Xが400以上であり、測定波長400~800nmの可視領域における最大吸光度Yが1000以下であり、
前記液体付与手段によって前記記録媒体上に前記液体組成物を付与した後に、前記照射手段にて前記光を照射するように構成したことを特徴とする画像形成装置。
(ただし、前記吸光度Xおよび前記吸光度Yは下記式により算出される。
吸光度X = 分光光度計により測定される、測定波長350nmにおける液体組成物の吸光度A × 希釈倍率
最大吸光度Y = 測定波長400~800nmの可視領域における液体組成物の最大吸光度B × 希釈倍率)
本発明によれば、記録媒体における画像が形成されていない領域の波打ちを抑制できるとともに、顔料濃度が低い淡色インクや無色インクでも十分に乾燥した印刷物が得られる画像形成装置を提供することができる。
本発明に係る画像形成装置の一例における概略図である。 照射手段の一例における概略図である。 乾燥後の画像部温度と白紙部温度の相関を説明するための図である。 白紙部が出力後に再吸湿した結果、どの程度波打ったかを説明するための図である。 実施例で調製した各インクの分光スペクトルである。
以下、本発明に係る画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本実施形態の画像形成装置は、記録媒体上に液体組成物を付与する液体付与手段と、前記記録媒体にピーク波長が300nm~450nmの光を照射する照射手段とを備え、前記液体組成物は、水および/または有機溶剤を含み、前記液体組成物中の紫外線重合開始剤の含有量が0.1質量%未満であり、前記液体組成物は、測定波長350nmにおける吸光度Xが400以上であり、測定波長400~800nmの可視領域における最大吸光度Yが1000以下であり、前記液体付与手段によって前記記録媒体上に前記液体組成物を付与した後に、前記照射手段にて前記光を照射するように構成したことを特徴とする。
(ただし、前記吸光度Xおよび前記吸光度Yは下記式により算出される。
吸光度X = 分光光度計により測定される、測定波長350nmにおける液体組成物の吸光度A × 希釈倍率
最大吸光度Y = 測定波長400~800nmの可視領域における液体組成物の最大吸光度B × 希釈倍率)
本発明における吸光度Xおよび最大吸光度Yは、一般的な紫外可視分光光度計を用い、インクを測定レンジに収まるように適切な濃度に水にて希釈することで測定可能である。一例として日立ハイテクサイエンス社製分光光度計U-3900Hを用い、測定範囲200~800nm、ハンドパス0.5nmの測定条件で測定される。また、希釈は水を用いて行われ、1~10000倍の範囲で希釈され、分光光度計において再現性のある吸光度の測定が可能となる程度の希釈倍率が採用される。
前記吸光度Xが400未満であると、紫外領域の吸光度が低く、紫外線の吸収が抑制されるため、液体組成物を効果的に加熱することができず、十分な乾燥度合いが得られない。
前記最大吸光度Yが1000を超えると、インクが著しく着色もしくは濁っており、紙面に強い着色をもたらす。そのため淡色インクや無色インクを得られることが出来ない。
前記吸光度Xは、600~20000が好ましく、発熱効率の面から1000以上が、インクのコストや物性面の成立性から8000以下がより好ましい。
また前記最大吸光度Yは、0~800が好ましく無色インクなら100未満であることがより好ましい。
本発明によれば、記録媒体における画像が形成されていない領域の波打ちを抑制できる。以下、記録媒体における、インクが吐出されていない領域でありかつ画像が形成されていない領域を「白紙部」と称することがあるが、白紙部の色や記録媒体の色は白色に限られるものではない。また、液体組成物が付与された領域を画像が形成されている領域と称し、画像としては有色、無色を問わない。
本実施形態では、紫外線重合開始剤の含有量が所定量未満に抑えられた液体組成物を記録媒体に付与し、ピーク波長が300nm~450nmの光を照射して乾燥させる。これにより、白紙部を加熱せずに液体組成物のみを乾燥させることができるため、出力後に記録媒体が大気中の水分を再吸湿することを抑制でき、白紙部の波打ちを抑制することができる。また、コックリング矯正装置を別途設けていた場合には、該装置を省くことができ、省スペース化や更なるコストの低減を図ることができる。
また本実施形態における液体組成物は、少なくともピーク波長が300nm~450nmの光に対してKCMYインクと同程度のエネルギー吸収率を有している。そのため、ピーク波長が300nm~450nmの光を用いることで、インク間での乾燥の進み方の差が生じにくくなり、乾燥ムラを抑制することができる。更に、インク間での乾燥の進み方の差が生じにくいため、他の乾燥方式と併用する必要がなく、白紙部の波打ちを抑制しやすくなる。
また、本実施形態で用いられる液体組成物は、紫外線重合開始剤の含有量が抑えられているため、ランニングコストを抑えることができる。更に、紫外線重合開始剤の含有量が抑えられているため、良好な安全性を有する印刷物を得ることができる。また、良好な安全性を有しているため、フードセーフティーが求められる食品のパッケージ等の印刷にも使用することができる。
以下、本発明の画像形成装置の実施形態について詳しく説明する。
<液体付与手段>
液体付与手段は、液体組成物を記録媒体上に付与する。
付与手段としては、例えばインクジェットヘッド等を用いることができる。インクジェットヘッドを用いる場合、ライン型でもよいし、シリアル型でもよい。画像形成装置に備えられる付与手段の数としては、適宜変更することができ、1つであってもよいし、複数であってもよい。
<照射手段>
照射手段は、記録媒体に、ピーク波長が300nm~450nmの光を照射する。本実施形態において、照射手段により照射される光のピーク波長は、波長カットフィルタ等を介して記録媒体に照射する場合はフィルタ透過後で判断する。
照射される光の波長が300nm~450nmである場合、上述の所期の効果が得られる。300nm未満である場合、印刷装置からUV光が僅かにでも漏れた際の人体への悪影響(炎症など)のリスクが高まる。450nmよりも大きい場合、インクの色ごとの光の吸収率の差が大きくなり、乾燥ムラが生じる。例えば吸収率の高いブラックインクは高温に加熱されているのに対し、吸収率の低いシアンインクは乾燥が進まないため、印刷画像全体を均一に乾燥できない。
記録媒体への照射位置や照射手段の発光強度としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することができる。また、画像形成装置に備えられる照射手段の数としては、適宜変更することができ、1つであってもよいし、複数であってもよい。
照射手段としては、例えば紫外線照射装置(UV光照射装置などとも称する)を用いることができる。UV光を照射する場合は、特にピーク波長が300nm~400nmの光を照射することが好ましい。
照射手段は、光源としてLED(Light Emitting Diode)が用いられていることが好ましく、中でも紫外線を発光する発光ダイオード(以下UV-LEDという)を用いることがさらに好ましい。LEDを用いる場合、メタルハライドランプなどと異なり、波長カットフィルタを用いなくても、光源として波長が単一ピークでシャープになりやすく、例えば液体組成物としてインクを用いた場合にも、インクの色差による乾燥の進み方の差を減らすことができる。
照射手段により照射される光の波長分布としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、半値全幅を約15nmとすることができる。
<液体組成物>
本実施形態に用いられる液体組成物は、水および/または有機溶剤を含み、必要に応じて、色材、樹脂等のその他の成分を含む。また、本実施形態に用いられる液体組成物は、紫外線重合性を意図しない範疇で、紫外線重合開始剤を含んでいてもよい。
液体組成物は、例えば、着色インク、前処理液(アンダーコート液)、後処理液(プロテクターコート液)等として用いることができる。本実施形態に用いられる液体組成物をインクとして用いた場合、水性インクとも称することができる。
液体組成物に、色材や紫外線吸収剤を含有させる場合、これら成分が照射手段により照射された光を吸収して熱エネルギーに変換し、発熱する。液体組成物の温度が上昇することで、水や有機溶剤が蒸発し液体組成物中の固形成分が濃縮、乾燥される。
液体組成物が樹脂粒子を含む場合は、濃縮に伴い粒子間が隣接し融着し造膜することで定着する。溶解樹脂を含む場合は濃縮されて造膜することで定着する。
液体組成物は、紫外線重合開始剤のような残留する不純物が無いか、あるいは極めて少量のため、透明性が高く安全性の高い塗膜を形成することができる。
-紫外線吸収剤-
本実施形態に用いられる紫外線吸収剤は、前記吸光度Xが400以上、かつ前記最大吸光度Yが1000以下となるように、可視領域の着色を抑制し紫外領域の吸収量を上げるために添加することができる。紫外領域に吸収がありかつ可視領域に吸収が無い無色のものが好ましく、光分解で着色しないものがより好ましい。
このような紫外線吸収剤としては、無機系、有機系のものがあり、いずれも利用することができる。また形態も溶解性、分散性のいずれもを使用することができる。
無機系紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄等があげられる。
有機系紫外線吸収剤としては、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸オクチル、パラメトキシ桂皮酸エチルヘキシル、サリチル酸オクチル、パラアミノ安息香酸、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルトリアゾン、オクトクリレン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンソイルメタン誘導体、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤等があげられる。
これらの紫外線吸収剤は水性インク中に、分散または可溶して存在することが求められる。有機系紫外線吸収剤として、パラアミノ安息香酸、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸などは水溶性や自己分散性を有しており、容易に使用することができる。
無機系紫外線吸収剤は溶剤に溶解せず分散状態で使用されており、可視領域の吸収性は分散粒径に依存している。分散平均粒径を10~35nm程度の粒径とすることで可視領域に透明性があり、紫外領域に吸収を持つ成分とすることができる。
このような紫外線吸収剤の中で安全性と紫外線吸収性の面から無機系が好ましく、紫外領域の吸収と可視領域の吸収の差が大きいことから酸化チタンが好ましい。また可視領域の吸収性を抑制する意味で、酸化チタンの平均粒径を50nm以下、好ましくは35nm以下にしたものがより好ましい。酸化チタンの平均粒径の下限はとくに規定しないが、入手性の観点から例えば5nm以上である。
酸化チタンのような無機粒子は樹脂に比べて固く、屈折率が高い特徴がある。そのため液体組成物がクリアインクの場合、その塗膜は屈折率が上がり、硬度を高めることができる。
なお、前記酸化チタンの平均粒径とは、50%累積体積粒径(D50)を意味し、下記のようにして測定される。
前記粒子の累積50%粒子経(D50)は、粒子の直径、存在数を求める測定を行い、結果を統計的に処理して得られる粒径加積曲線から、総質量の50%となるときの粒子の直径を累積50%粒子経(D50)とした値である。前記粒子の直径は、粒子自身の直径であってもよいし、粒子がコロイド状で分散している場合には、前記粒子コロイドの直径であってもよい。
前記粒子の直径は、溶媒中分散状態であるなら、例えば、動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置を使用することによって求めることができる。動的光散乱法による粒子径分布測定装置としては、例えば、ナノトラック Wave-UT151(マイクロトラック・ベル株式会社製)、ナノトラック Wave-EX150(日機装株式会社製)、ELSZ-2、DLS-8000(以上、大塚電子株式会社製)、LB-550(株式会社堀場製作所製)などが挙げられる。
なお、これら以外でも電子顕微鏡法によって測定することができる。前記電子顕微鏡により粒子の写真を得て、この写真を画像処理して計測することにより、粒子の直径を求めることができる。一例として、写真よりランダムに写真中の50個以上の粒子の面積を求め、同等となる円の直径を計算し粒子径として求める。そして得られた粒子径から粒径加積曲線を求めることができる。
液体組成物中の紫外線吸収剤の含有量は、例えば0.1~10質量%であり、好ましくは0.5~3質量%である。またとくに紫外線吸収剤として酸化チタンを使用する場合、その含有量は液体組成物全体に対し例えば0.1~3質量%であり、好ましくは0.1~1質量%である。本発明では、紫外線吸収剤の添加量を適宜調整することにより、本発明で規定する前記吸光度Xおよび前記最大吸光度Yの範囲を満足することができる。
-紫外線重合開始剤及び紫外線重合性化合物-
本実施形態に用いられる液体組成物は、紫外線重合性を意図しない範疇で、紫外線重合開始剤を含んでいてもよいが、これらを含む場合は、紫外線重合開始剤の含有量が所定量未満に抑えられている。これにより、照射手段により光が照射されても、重合反応による硬化は生じない又はほぼ生じない。
液体組成物中に紫外線重合開始剤が含まれる場合、その含有量は、液体組成物中に0.1質量%未満である。液体組成物中に紫外線重合開始剤が0.1質量%以上含まれる場合、乾燥塗膜中に重合開始剤の分解残差が残ることで臭気の原因になり、活性種が残ることで安全性を害し、良好な印刷物が得られない。また紫外線重合性化合物は、液体組成物中、0.05質量%以下であることが望ましい。
-水-
液体組成物における水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
-有機溶剤-
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
多価アルコール類の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等が挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテル類としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル類としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。
アミド類としては、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等が挙げられる。
アミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
含硫黄化合物類としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等が挙げられる。
その他の有機溶剤としては、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
有機溶剤として、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤の液体組成物中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
-水と有機溶剤の含有量-
液体組成物における水と有機溶剤を合計量としては、合計で80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。この場合、吐出性を向上させることができる。
-色材-
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、顔料として、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液体組成物中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましい。
顔料を分散して液体組成物を得る方法としては、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、液体組成物に配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料が液体組成物中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
分散剤として、竹本油脂社製RT-100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインク等の液体組成物を得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合して液体組成物を製造することも可能である。
顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
顔料分散体に対し、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
本発明では、液体組成物が顔料を含有するインクであり、前記インク中、顔料濃度が1質量%以下である、いわゆる淡色インク、クリアインクであることが好ましい。本発明では、前記吸光度Xおよび前記最大吸光度Yが特定の範囲を有しているので、このような紫外領域の吸光度が低いインクである場合でも、インクを良好に乾燥させることができる。なお前記淡色インクおよび前記クリアインク顔料濃度の下限値は、例えば淡色インクでは着色の必要性があるため0.1質量%、クリアインクでは0質量%である。
-樹脂-
液体組成物中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合して液体組成物を得ることが可能である。樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、液体組成物の保存安定性の点から、液体組成物全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
-その他の成分-
液体組成物には、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
-前処理液(アンダーコート液)-
液体組成物を前処理液として用いる場合、前処理液は、有機溶剤、水を含有し、必要に応じて凝集剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等を含有しても良い。有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤は、液体組成物に用いる材料と同様の材料を使用でき、その他、公知の処理液に用いられる材料を使用できる。凝集剤の種類は特に限定されず、水溶性カチオンポリマー、酸、多価金属塩等が挙げられる。
-後処理液(プロテクターコート液)-
液体組成物を後処理液として用いる場合、後処理液は、透明な層を形成することが可能であれば、特に限定されない。後処理液は、有機溶剤、水の他、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等、必要に応じて選択し、混合して得られる。また、後処理液は、記録媒体に形成された記録領域の全域に塗布しても良いし、選択された領域のみに塗布しても良い。
<記録媒体>
記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
<印刷モード>
本実施形態の画像形成装置は、複数の印刷モード(動作モードなどとも称する)を備えていてもよく、1以上の印刷モードを選択可能である。印刷モードは、オペレーターが選択してもよいし、その他の手段により選択されるようにしてもよい。
本実施形態では、選択可能な印刷モードのうちの少なくとも1つが、液体付与手段から記録媒体に付与される液体組成物の紫外線重合開始剤の含有量が所定量に抑えられており、照射手段が所定のピーク波長となる光を照射する印刷モードであることを要する。このような印刷モードを選択可能であることにより、白紙部の波打ちを抑制できるとともに、ランニングコストを抑え、良好な安全性を有する印刷物を得ることができる。
第1の印刷モードとしては、液体組成物のみを記録媒体に付与し、照射手段により光照射することで乾燥を行うことが好ましい。これにより、白紙部の波打ちを抑制し、ランニングコストを抑え、良好な安全性を有する印刷物を得ることができる。
第1の印刷モード及び第2の印刷モードとしては、例えば、モノクロモード、フルカラーモード、ホワイトモード、特色印刷モード等から、1つ又は複数を適宜選択可能である。適宜変更することが可能であるが、例えばモノクロモードが選択されると、ブラックの液体組成物を付与する液体付与手段のみが画像形成に用いられる。フルカラーモードが選択されると、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの液体組成物を付与する液体付与手段のみが画像形成に用いられる。ホワイトモードが選択されると、ホワイトの液体組成物を付与する液体付与手段のみが画像形成に用いられる。特色印刷モードが選択されると、色材を含まない液体組成物を付与する液体付与手段のみが画像形成に用いられる。
<コロ搬送手段>
本実施形態の画像形成装置は、記録媒体の片面に画像を形成してもよいし、両面に画像を形成してもよい。両面に画像を形成する場合、適宜変更することが可能であるが、本実施形態の画像形成装置は、2つの円柱状の部材により記録媒体を挟み込んで搬送させるコロ搬送手段を備えることが好ましい。
コロ搬送手段を備える場合、記録媒体の搬送方向において、上流側から付与手段、照射手段、コロ搬送手段の順に備えられる。照射手段により光照射がされた後、コロ搬送手段により記録媒体が搬送されて、記録媒体の裏面(画像が形成されていない面)に対して再度、液体組成物の付与及び光照射が行われる。
本実施形態によれば、記録媒体の先端を掴むグリッパー搬送に比べて、コロ搬送手段を用いる場合、簡易な構成で記録媒体を表裏反転させ両面印刷することができる。コロ搬送手段を用いる搬送方式(以下、コロ搬送とも称する)では、2つの円柱状の部材により記録媒体を挟み込んで搬送させるため、画像部(液体組成物が付与された部分)も含めて記録媒体を擦ることになる。しかし、上述の液体組成物及び照射手段を用いることにより、白紙部の波打ちを発生させずに液体組成物を乾燥させることができ、コロ搬送による擦れ跡の無い良好な印刷画像を得ることができる。
画像形成装置に備えられるコロ搬送手段としては、1つであってもよいし、複数であってもよい。また、記録媒体を反転させるために用いる場合もコロ搬送手段に含まれる。円柱状の部材(コロ部材などとも称する)としては、特に制限されるものではなく、径や軸方向の長さ、材質等は適宜変更することができる。
次に、本実施形態の画像形成装置について一例を挙げて説明する。以下、液体組成物がインクである場合の例について説明する。
図1に、本例の画像形成装置を示す。本例では、液体付与手段としてインクジェット方式を用いているため、本例の画像形成装置はインクジェット印刷装置などとも称することができる。
本例の画像形成装置1は、給紙部100、画像形成部200、乾燥部300、排紙部400、両面印刷用の反転部500からなる。
給紙部100の給紙トレイ110から給送装置120により1枚ずつ用紙Pが搬送され、レジストローラ対130で一時停止した後、所定のタイミングで画像形成部200に給紙される。
画像形成部200では受け取り胴201を経由して用紙担持ドラム210に用紙Pが搬送され、この用紙担持ドラム210上でインクジェットヘッド220(付与手段)により用紙Pに画像が形成される。なお、インクが付与された時点を画像が形成されたとしてもよいし、照射手段により光が照射された後の時点を画像が形成されたとしてもよい。
その際、オペレーターが選択した印刷モードに応じて、どの色のインクジェットヘッド220を画像形成に用いるかが切り替わる。オペレーターは印刷画像に応じて、例えばモノクロモード、フルカラーモード、フルカラー+クリアモードの3種類の印刷モードから1種類を選択可能である。
クリアモードを選択した場合は、インクジェットヘッド220Wのみが画像形成に用いられ、インクジェットヘッド220K、220C、220M、220Yは印刷動作中もキャップで保護されたままである。
フルカラーモードを選択した場合は、インクジェットヘッド220K、220C、220M、220Yが画像形成に用いられ、インクジェットヘッド220Wは印刷動作中もキャップで保護されたままである。
フルカラー+クリアモードを選択した場合は、インクジェットヘッド220K、220C、220M、220Y、220Wの全てが画像形成に用いられる。
本実施形態はフルカラー+クリアモードを選択した場合の例である。
本実施形態では、インクジェットヘッド220K、220C、220M、220Y(第1の付与手段)によって吐出されるインクを紫外線重合開始剤の含有量が抑えられた水性インクとしている。ここで用いられる水性インクとしては、水及び他の高沸点有機溶剤が約90質量%であり、樹脂が約5質量%、顔料が約5質量%である。
顔料としては、インクジェットヘッド220Kはカーボンブラック、インクジェットヘッド220Cは銅フタロシアニン、インクジェットヘッド220Mはキナクリドン、インクジェットヘッド220Yはモノアゾイエローを用いた(処方の詳細は下記実施例で示す)。
一方、インクジェットヘッド220Wによって吐出される実施例クリアインクは、水及び他の高沸点有機溶剤が約89質量%であり、樹脂が約10質量%であり、酸化チタンが約1質量%である(処方の詳細は下記実施例で示す)。一方、比較例クリアインクは、水及び他の高沸点有機溶剤が約90質量%であり、樹脂が約10質量%であり、酸化チタンが未添加のものである(処方の詳細は下記実施例で示す)。
図1中、矢印は用紙Pの搬送方向を示し、インクジェットヘッド220C、220M、220Y、220K、220Wの順にインクを記録媒体に吐出した。ただし、吐出の順番はこれに限られるものではない。
用紙Pにインクが付与された後、受け渡し胴202を経由して乾燥部300に用紙Pが搬送される。乾燥部300では乾燥搬送ベルト302上で用紙Pが搬送され、UV光照射装置301(照射手段)がUV光を用紙Pに照射することで、印字画像が乾燥する。
図1では、UV光照射装置301が3つ図示されているが、これに限られるものではない。UV光照射装置301は1つであってもよいし、複数備えられていてもよい。1つのUV光照射装置で乾燥に必要な光量を賄おうとすると装置が大型になることがあるため、小型のUV光照射装置を複数並べて使用することにより、装置の大型化を防止でき、更にはメンテナンス時の取り扱いを容易にすることができる。
光照射された後、片面印刷の場合、用紙Pは反転部500を通過し、排紙部400の排紙トレイ410に排紙される。両面印刷の場合、用紙Pは分岐爪により搬送コロ510を経由して反転コロ520まで搬送される。ここで用紙Pは一旦停止した後、スイッチバックして逆方向に搬送される。スイッチバックした用紙Pは両面パスの搬送コロ530、540、550を経て、給紙部のレジストローラ対130に再合流し、裏面の画像形成を開始する。
次に、乾燥部300による乾燥の詳細を説明する。
本実施形態で用いたUV光照射装置301の模式図を図2に示す。図2は、UV光照射装置301を用紙Pや乾燥搬送ベルト302側から見た場合の模式図である。
本実施形態では、UV光照射装置301における、用紙Pや乾燥搬送ベルト302と対向する面をUV光照射面311としており、UV光照射面311においてUV-LED発光素子312が碁盤の目状に設けられている。1個1個のUV-LED発光素子312が同一の照度で発光することで、UV光照射装置301全体としては、UV光照射面311に沿って均一に発光している状態になる。
照射される光の波長としては、ピーク波長が395nmで、波長分布は半値全幅が約15nmのものが挙げられる。
ここで、乾燥後の画像部温度と白紙部温度の相関を説明するためのグラフを図3に示す。
本実施形態の例(図中のA)ではUV-LEDによる乾燥とし、本実施形態の別の例(図中のB)ではIR乾燥(IRランプによる乾燥)としている。それぞれ乾燥条件(IRランプやUV-LEDの出力設定)を振って乾燥部通過後の用紙表面温度を測定し、画像部の温度と白紙部の温度を確認した。
なお、両者で同じ水性インクを用いた。画像部温度が90℃前後まで上昇すると、水性インク中の水分や有機溶剤の蒸発が進んで乾燥することが分かっている。ここでは、水性インクが付与される個所を画像部、水性インクが付与されない箇所を白紙部としている。
図中のBのIRランプ乾燥では画像部温度が90℃になる設定にした時、同時に白紙部温度が105℃になっていた。これに対して、図中のAのUV-LED乾燥では画像部温度を同様に90℃近辺になるように設定した時、白紙部温度が45℃近辺となり、IRランプ乾燥に比べて約60℃も低かった。
このような白紙部温度の差により、IRランプ乾燥では白紙部の含水率が6.1%から1.4%まで低下していたのに対して、UV-LED乾燥では白紙部の含水率が6.1%から2.9%への低下にとどまっており、本実施形態の方が乾燥後に白紙部の水分をより多く保持できていることが確認できた。
次に、白紙部が出力後に再吸湿した結果、どの程度波打ったかを説明するためのグラフを図4に示す。図4におけるAは、前記UV-LEDによる乾燥の例と対応し、Bは、前記IRランプによる乾燥の例と対応している。
図4中、主走査位置とあるのは、記録媒体における白紙部の任意の点を0mmとし、ここから記録媒体の搬送方向と平行な方向の距離としている。
乾燥により白紙の水分を多く失ったIRランプ乾燥の例(B)では、出力後に白紙部が再吸湿して大きく波打ってしまった。凹凸の高さはPeak-to-Peakで最大1.4mm程度であった。
これに対して白紙の水分を保持できていたUV-LED乾燥の例(A)では、出力後に白紙部がほとんど再吸湿しないため、波打ちもほぼ発生しなかった。凹凸の高さはPeak-to-Peakで0.2mm程度に収まっており、波打ちが抑制された良好な画像が得られていた。
次に、本実施形態における両面印刷とコロ搬送について補足を説明する。
図1における両面印刷時の反転部500における用紙Pの挙動については、上述した通り、コロ搬送手段により、乾燥済みの印字画像が形成された用紙Pを挟んで搬送する際に画像面をコロ部材(円柱状の部材)で擦る力が働く。図1の反転コロ520において、コロ部材の回転速度は、順回転で駆動する際、一時停止する際、逆回転で再駆動する際に変化する。このように、コロ部材の回転速度が変化する場合、画像面をコロで擦る力は特に大きくなる。
コロ搬送された印字画像においては、印字画像の乾燥強度が不足している場合、コロで部材により擦られた箇所にキズや縦帯状の光沢ムラが発生してしまう。従来の乾燥方式では、乾燥強度を十分に強くしようとすると白紙部の波打ちが悪化してしまうため、コロ搬送でのキズや光沢ムラの抑制が困難だった。これに対して、本実施形態では、乾燥強度を十分に強くしても白紙部が波打たないため、コロ搬送でのキズや光沢ムラの抑制が可能となる。
また前記実施例クリアインクを用いてUV乾燥を行った場合、他のインク同様に塗膜温度が上昇して乾燥状態となった。それに対して前記比較例クリアインクでは塗膜温度が紙面同様となり十分に乾燥することができていない。
IR乾燥を行った場合、実施例クリアインク、比較例クリアインク共々に乾燥できているが、いずれも出力後に白紙部が再吸湿して大きく波打ってしまった。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されない。なお、部とあるのは特記しないかぎり質量基準である。
(被覆分散樹脂)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ジエチレングリコール100部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、メチルポリオキシエチレン(n=2)メタクリレート20部、アクリル酸20部、ベンジルメタクリレート60.0部、及びパーブチルO(日油株式会社)5.0部の混合物を3時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で1時間反応させた後、パーブチルOを0.5部添加し、さらに110℃ で1時間反応を続けた。その後、不揮発分測定にて転化率が98%超えたことを確認し、ジエチレングリコールを加え、不揮発分が30%になるように調整し、室温まで冷却し反応を終了させ被覆分散樹脂溶液を得た。
(着色剤粒子C1)
着色剤としてLIONOGEN BLUE 7351(トーヨーカラー株式会社製)35.0部、塩化ナトリウム175.0部、被覆分散樹脂を固形分として12.25部、水溶性溶剤としてジエチレングリコール6.4部をステンレス製ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で3時間混練した。この混合物を水1,000部に投入し、約40℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及び水溶性有機溶剤を除き、減圧下40℃で乾燥して着色剤粒子C1を得た。
(着色剤粒子K1)
着色剤としてPRINTEX 85(オリオンエンジニアドカーボンズ株式会社製)を用いる以外は、着色剤粒子C1と同様に行い着色剤粒子K1を得た。
(着色剤粒子M1)
着色剤としてFASTOGEN SUPER MAGENTA RG(DIC社製)を用いる以外は、着色剤粒子C1と同様に行い着色剤粒子M1を得た。
(着色剤粒子Y1)
着色剤としてFAST YELLOW 7416(山陽色素株式会社製)を用いる以外は、着色剤粒子C1と同様に行い着色剤粒子Y1を得た。
(着色剤分散物C2)
着色剤粒子としてC1を20部、塩基性化合物として水酸化カリウムの10%水溶液を10.92部、防腐剤としてPROXEL GXL(S)(Lonza製)を0.03部、さらに不揮発分が22%になるようにイオン交換水を加え、70℃のオイルバスで加温しながらディスパーで約1時間撹拌した。次いで超音波ホモジナイザー(商品名:US-300T、株式会社日本精機製作所製、チップ:φ26)を使用し、氷冷下で10分間超音波照射させた。なお、超音波照射機の振幅は70%とした。
次いで、架橋剤としてデナコールEX321(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス製、不揮発分100%、エポキシ当量140g/eq)を0.82部加え、さらに約1時間撹拌し、再度不揮発分が22%になるようにイオン交換水で調整し、5μmのセルロースアセテートメンブランフィルター(商品名:ミニザルト17594K、ザルトリウス製)で濾過して、着色剤分散物C2を得た。
(着色剤分散物K2、M2、Y2)
着色剤粒子としてK1、M1、Y1をC1の代わりに用いて、着色剤分散物C2と同様に行い、着色剤分散物K2、着色剤分散物M2、着色剤分散物Y2を得た。
(カラーインクの調製)
着色剤分散物を33.3部、スチレンアクリル樹脂エマルジョン(Tg80℃、Nv.40%)を8.1部、1,2-ブタンジオール15.5部、1,2-ヘキサンジオールを5.5部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル1部、レベリング剤としてサーフィノールDF110D(エアープロダクツジャパン製)を0.1部、イオン交換水を36.5部を混合し、平均孔径が0.8μmのメンブレンフィルターでろ過して、各種インクを得た。着色分散物K2、C2、M2、Y2に対応するインクは、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクである。
(二酸化チタン分散物T1)
分散容器に、高純水30.8質量部、分散剤(商品名:DISPERBYK-190、ビックケミー・ジャパン株式会社製)1.2質量部を入れ、軽く撹拌して均一にした後、二酸化チタンSTR-100W(堺化学工業株式会社製、粒子径16nm、ルチル型)12.0質量部を加え、超音波ホモジナイザー(商品名:US-300T、株式会社日本精機製作所製、チップ:φ26)を使用し、氷冷下で10分間超音波照射させた。なお、超音波照射機の振幅は70%とした。処理後5μmのセルロースアセテートメンブランフィルター(商品名:ミニザルト17594K、ザルトリウス製)で濾過して、固形分30質量%の二酸化チタン水分散体T1を得た。
(二酸化チタン分散物T2)
二酸化チタンとしてTTO-55(A)(石原産業株式会社製、粒子径30nm、ルチル型)を用いる以外は、二酸化チタン分散物T1と同様に行い二酸化チタン分散物T2を得た。
(二酸化チタン分散物T3)
二酸化チタンとして二酸化チタンR-7E(堺化学工業株式会社製、粒子径230nm、ルチル型)を用いる以外は、二酸化チタン分散物T1と同様に行い二酸化チタン分散物T3を得た。
(クリアインクの調製)
スチレンアクリル樹脂エマルジョン(Tg80℃、Nv.40%)を25.0部、1,2-ブタンジオール15.5部、1,2-ヘキサンジオールを5.5部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル1部、レベリング剤としてサーフィノールDF110D(エアープロダクツジャパン製)を0.1部、イオン交換水を41.4部、要否に応じて二酸化チタン分散物を3.3部を混合し、平均孔径が0.8μmのメンブレンフィルターでろ過して、各種クリアインクを得た。
二酸化チタン分散物T1、T2、T3、なしに対応するインクは、クリアインク1、クリアインク2、クリアインク3、比較例クリアインクである。
得られた各インクの2000倍希釈したときの吸光度Xおよび最大吸光度Yを、表1に示す。
Figure 0007400515000001
また、前記分光光度計を用いて測定した、各インクの分光スペクトルを図5に示す。図5から、クリアインク1~3は、紫外領域の光に吸収を有し、可視領域の光はそれほど吸収せず、この現象はクリアインク1および2に顕著であった。なおクリアインク3は、可視領域の光に吸収を持っているが、下地の光沢や画像に対して曇った風合いを与えるインクとして、有用である。
図1~3に示すような画像形成装置を用い、クリアインク1~3および比較例クリアインクを装填し、記録媒体として紙(王子製紙社製商品名OKトップコートプラス127.9gsm)を用い、付着量7.0g/m2となる各色の単色べた画像を形成した。次に、ピーク波長が395nmであり、波長分布として半値全幅が約15nmである図3に示すようなUV-LED発光素子を用い、得られた画像部に光を5秒照射した。
その結果、クリアインク1~3における画像部の乾燥は十分に行われていたが、比較例クリアインクでは、画像部の乾燥状態が不良であった。白紙部の波打ちはいずれのインクを用いた例でも抑制されていた(凹凸の高さはPeak-to-Peakで0.2mm程度)。
1 画像形成装置
100 給紙部
110 給紙トレイ
120 給送装置
130 レジストローラ対
200 画像形成部
201 受け取り胴
202 受け渡し胴
210 用紙担持ドラム
220 インクジェットヘッド
300 乾燥部
301 UV光照射装置
302 乾燥搬送ベルト
310 外側カバー
311 UV光照射面
312 UV-LED発光素子
320 内側カバー
331 突起
332 スイッチ
400 排紙部
410 排紙トレイ
500 反転部
510、530、540、550 搬送コロ
520 反転コロ
特表2015-529731号公報

Claims (7)

  1. 記録媒体上に液体組成物を付与する液体付与手段と、
    前記記録媒体にピーク波長が300nm~450nmの光を照射する照射手段とを備える画像形成装置であって、
    前記液体組成物は、水および/または有機溶剤を含み、
    前記液体組成物中の紫外線重合開始剤の含有量が0.1質量%未満であり、
    前記液体組成物は、測定波長350nmにおける吸光度Xが400以上であり、測定波長400~800nmの可視領域における最大吸光度Yが1000以下であり、
    前記液体付与手段によって前記記録媒体上に前記液体組成物を付与した後に、前記照射手段にて前記光を照射するように構成したことを特徴とする画像形成装置。
    (ただし、前記吸光度Xおよび前記吸光度Yは下記式により算出される。
    吸光度X = 分光光度計により測定される、測定波長350nmにおける液体組成物の吸光度A × 希釈倍率
    最大吸光度Y = 測定波長400~800nmの可視領域における液体組成物の最大吸光度B × 希釈倍率)
  2. 前記液体組成物は、無機系紫外線吸収剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記無機系紫外線吸収剤が酸化チタンであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記酸化チタンの平均粒径が50nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記酸化チタンの平均粒径が35nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  6. 前記照射手段は、光源としてLED(Light Emitting Diode)が用いられていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 前記液体組成物は、顔料を含有するインクであり、前記インクは、前記顔料濃度が1質量%以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。

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