JP7400414B2 - 電気機器 - Google Patents

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Description

本発明は、電気機器に関するものである。
下記特許文献1に記載の電動工具(電気機器)は、減速室(収容部)内の空気の膨張を抑制し、且つ減速室内の潤滑剤(グリス)の漏れを防止する漏出防止機構を有している。この漏出防止機構は、減速室とモータハウジングとを連通する連通部を有している。また、連通部の減速室側の開口部には、第1フィルタが設けられ、連通部のモータハウジング側の開口部には、第2フィルタが設けられている。さらに、連通部には、第1フィルタと第2フィルタとの間において、連通路形成部品が配置されており、連通路形成部品によって、ラビリンス構造(迷路構造)を構成している。これにより、減速室内の空気のみを連通路からモータハウジング側へ流出させると共に、潤滑剤のモータハウジング側への漏出を防止している。
特開2006-130594号公報
しかしながら、上記電動工具では、上述のように、潤滑剤のモータハウジング側への漏出を防止する漏出防止機構において、2つのフィルタと連通路形成部品とを連通路に設ける構成をしているため、漏出防止機構の構造が複雑になるという問題がある。
本発明は、上記事実を考慮して、収容部内の潤滑剤の漏出を簡易な構成で防止又は抑制することができる電気機器を提供することを目的とする。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、駆動軸を有するモータと、前記駆動軸の駆動力を先端工具へ伝達する伝達機構と、前記伝達機構を内部に収容する収容部と、前記収容部の壁部に形成され、第1方向に延在されて前記収容部の内外を連通すると共に、前記収容部の内部に開口する内側開口部を有する連通路と、前記収容部の壁部に設けられ、前記第1方向に交差する第2方向に延在されると共に、前記第1方向において前記内側開口部と対向配置された遮蔽部と、を備え、前記伝達機構は、前記先端工具への伝達状態を複数のモードに切替可能に構成されており、前記収容部の壁部には、回動操作されることで前記伝達機構のモードを切替える切替操作部が設けられており、前記遮蔽部は、前記収容部の壁部に回転可能に軸支された前記切替操作部の回動軸である電気機器である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記遮蔽部は、柱状に形成されると共に、前記収容部の壁部から前記収容部の内部に向って突出している電気機器である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記伝達機構は、第1モード又は第2モードに切替可能に構成され、前記遮蔽部は、前記第1モードにおいて前記内側開口部と対向する第1面と、前記第2モードにおいて前記内側開口部と対向する第2面と、を有しており、前記第1面と前記内側開口部との対向距離と、前記第2面と前記内側開口部との対向距離が異なる距離に設定されている電気機器である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記遮蔽部は、前記切替操作部の回動中心軸を中心とする円柱であって、円弧状の外周面の一部が切り欠かれた形状を成し、前記第1モードにおいては前記外周面が前記内側開口部と対向し、前記第2モードにおいては前記外周面が前記内側開口部と対向しない電気機器である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記遮蔽部と対向する前記収容部の壁面は、前記外周面の円弧形状に対応した円弧状の凹曲面として構成されている電気機器である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記伝達機構は、前記駆動力を前記第1方向に沿った打撃力に変換可能に構成されると共に、前記駆動力を前記第1方向に沿った軸線回りの回転力に変換可能に構成されており、前記伝達機構は、前記第1モードにおいて前記先端工具に前記回転力のみを伝達し、前記第2モードにおいて前記先端工具に前記打撃力及び前記回転力を伝達する電気機器である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記収容部の壁部には、前記壁部から第1方向一方側へ延出され且つ内部に前記連通路が形成された延伸部が形成され、前記内側開口部は、前記延伸部の第1方向一方側端部に形成されている電気機器である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記連通路の内部には、前記収容部の潤滑剤が前記収容部の外部へ漏出することを抑制するフィルタ部材が設けられている電気機器である。
上記構成の電気機器によれば、収容部内の潤滑剤の漏出を簡易な構成で防止又は抑制することができる。
本実施の形態に係るハンマドリルを示す左側面図である。 図1に示されるハンマドリルの内部を示す縦断面図である。 (A)は、図2に示されるハンマドリルのシリンダが初期位置からドリルモード切替位置に移動した状態を示す縦断面図であり、(B)は、図2に示されるハンマドリルのシリンダが初期位置からハンマドリルモード切替位置に移動した状態を示す縦断面図である。 図2に示されるインナハウジング、シリンダ支持部材、シリンダ、及び切替プレートを示す斜視図である。 本実施の形態に係るハンマドリルの要部を示す上側から見た平断面図(図1の5-5線断面図)である。 (A)は、図1に示されるハンマドリルの操作レバーがドリルモード設定位置に配置されたときのモード設定プレートと切替プレートとの位置関係を示す後側から見た断面図(図1の6-6線位置における断面図)であり、(B)は、操作レバーがハンマドリルモード設定位置に配置されたときのモード設定プレートと切替プレートとの位置関係を示す(A)に対応する断面図である。 図1に示されるハンマドリルの操作レバーがハンマドリルモード設定位置に配置されたときの操作レバーとレバー規制部との位置関係を示す左断面図(図5の7-7線断面図)である。 図7に示されるハンマドリルの操作レバーがドリルモード切替位置に配置されたときの操作レバーとレバー規制部との位置関係を示す図7に対応する断面図である。 変形例のハンマの内部を示す縦断面図である。 図9のハンマの要部を示す一部破断した平断面図である。
以下、図面を用いて、本実施形態に係る「電気機器」としてのハンマドリル10について説明する。ハンマドリル10は、被加工物に対して穴あけ加工等を行う工具として構成されている。なお、図面に適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印LHは、ハンマドリル10の上側、前側、左側を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、ハンマドリル10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。そして、前後方向が本発明の「第1方向」に対応し、左右方向が本発明の「第2方向」に対応する。
図1及び図2に示されるように、ハンマドリル10は、ハウジング12と、ハウジング12内に収容された、インナカバー30と、モータ40と、モータ40の駆動力を先端工具Tへ伝達する伝達機構50と、バッテリーパック90と、モータ40を駆動制御する制御部92と、を含んで構成されている。また、ハンマドリル10は、モード切替機構70(図6参照)を有している。そして、モード切替機構70によって、伝達機構50における先端工具Tへの伝達経路が切替えられて、ハンマドリル10が、先端工具Tに回転力を付与する「第1モード」としてのドリルモード、又は、先端工具Tに回転力及び打撃力を付与する「第2モード」としてのハンマドリルモードに切替わるように構成されている。以下、ハンマドリル10の各構成について説明する。
(ハウジング12について)
ハウジング12は、中空状に形成されて、ハンマドリル10の外郭を構成している。このハウジング12は、ハウジング12の前部を構成するフロントハウジング13と、ハウジング12の後部を構成するリヤハウジング16と、を有している。リヤハウジング16は、左側から見た側面視で、前側へ開放された略U字形状に形成されており、フロントハウジング13は、側面視で略逆L字形状に形成されている。そして、リヤハウジング16の上端部及び下端部がエラストマ等の弾性材によって構成された連結部17によってフロントハウジング13に連結されている。なお、連結部17の内部には、連結プレート18が設けられており、連結プレート18によって、フロントハウジング13とリヤハウジング16とが前後方向に所定距離以上に離間しない構成になっている。
リヤハウジング16の後端部は、作業者が把持するハンドル部16Aとして構成されており、ハンドル部16Aは、上下方向に延在されている。また、前述した連結部17は、ハンドル部16Aの外周面を被覆するように、後側へ延出されている。これにより、連結部17が弾性変形することで、ハンドル部16A(リヤハウジング16)がハウジング12(フロントハウジング13)に対して前後方向に相対移動可能に構成されている。
ハンドル部16Aの上端部には、トリガ20が設けられている。また、トリガ20の上側には、後述するモータ40の回転方向を切替える切替ボタン21が設けられている。さらに、トリガ20の後側には、スイッチ機構22が設けられている。スイッチ機構22は、トリガ20及び切替ボタン21によって操作される、図示しないスイッチを有している。当該スイッチは、後述する制御部92に電気的に接続されており、トリガ20の操作状態及び切替ボタン21の切替状態に応じた出力信号を制御部92に出力する構成になっている。
フロントハウジング13は、第1ハウジング部14と第2ハウジング部15とを含んで構成されている。第1ハウジング部14は、後述する伝達機構50を収容するためのハウジング部として構成されて、前後方向を軸方向とした略円筒状に形成されている。第2ハウジング部15は、後述するモータ40を収容するためのハウジング部として構成され、上下方向に延在されて、第1ハウジング部14の後端部に接続されている。第2ハウジング部15の後部には、上下方向中間部において、変速スイッチ23が設けられている。変速スイッチ23は、操作されることで、後述するモータ40の回転数を多段に切替えるスイッチとして構成されており、後述する制御部92に電気的に接続されている。
また、第2ハウジング部15の下端部が、リヤハウジング16よりも下側へ突出している。すなわち、ハウジング12の後下の角部は、後側及び下側へ開放された凹状に切り欠かれており、この部分が、後述するバッテリーパック90を装着するバッテリー取付部16Bとして構成されている。さらに、リヤハウジング16の下端部(ハンドル部16Aの下側)には、バッテリーパック90と接続されるコネクタ24が設けられている。
(インナカバー30について)
図2~図4に示されるように、インナカバー30は、前側へ開放された略有底楕円筒状に形成されている。インナカバー30は、第1ハウジング部14の内部に配置されて、第1ハウジング部14の後端側の開口部を閉塞し且つ第1ハウジング部14と第2ハウジング部15とを区画するように、第1ハウジング部14に取付けられている。これにより、第1ハウジング部14及びインナカバー30によって、後述する伝達機構50を収容する収容部32が構成されている。換言すると、第1ハウジング部14及びインナカバー30が、収容部32の壁部として構成されている。なお、第1ハウジング部14とインナカバー30との間には、収容部32の気密性を確保するためのシール部材34が設けられている。
インナカバー30の上部には、後述するシリンダ57を支持するためのシリンダ支持部材36が固定されている。シリンダ支持部材36は、前後方向を軸方向とした略円筒状に形成されており、シリンダ支持部材36の前端部が、インナカバー30よりも前側へ突出している。また、インナカバー30の下端部には、後述するモータ40の駆動軸41を支持するためのモータ支持部30Aが形成されている。モータ支持部30Aは、上下方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、インナカバー30の内部と連通している。
図4、図5、図7、及び図8に示されるように、インナカバー30には、シリンダ支持部材36の左側において「延伸部」としてのレバー規制部30Bが形成されており、レバー規制部30Bは、インナカバー30から前側(前後方向一方側)へ延出された略矩形柱状に形成されている。レバー規制部30Bの略中央部には、連通路31が前後方向に貫通形成されている。これにより、連通路31によって収容部32の内部と外部とが連通されている。連通路31は、段付き孔として構成されている。具体的には、連通路31は、連通路31の前部を構成する第1連通路31Aと、連通路31の後部を構成する第2連通路31Bと、を有しており、第1連通路31Aの内径が、第2連通路31Bの内径よりも小さく設定されている。そして、連通路31(第1連通路31A)の前端部が、内側開口部31Cとして構成されて、内側開口部31Cが収容部32内へ開口している。また、第2連通路31Bの前部の断面は、略D字形状に形成されている。
レバー規制部30Bの前端面は、後側へ凸となる凹曲面30Cとして構成されており、凹曲面30Cは、左右方向から見て、略円弧状に湾曲している(図7及び図8参照)。また、第2連通路31Bの後部内には、フェルト製のフィルタ部材38が挿入されており、フィルタ部材38は前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されている。さらに、第2連通路31Bの後側には、第2ハウジング部15に形成されたリブ15B(図5参照)が隣接して配置されており、第2連通路31Bの後側の開口部の大半が、リブ15Bによって閉塞されている。これにより、フィルタ部材38の後側への移動が制限されている。
(モータ40について)
図2に示されるように、モータ40は、3相のブラシレスモータとして構成されて、ハウジング12の第2ハウジング部15内に収容されている。モータ40は、上下方向を軸方向とする駆動軸41と、駆動軸41に固定された略円筒状のロータ42と、ロータ42の径方向外側に配置された略円筒状のステータ43と、を含んで構成されている。駆動軸41の上端側の部分は、軸受44に回転可能に支持されており、軸受44は、インナカバー30のモータ支持部30Aに固定されている。駆動軸41の下端部は、軸受45に回転可能に支持されており、軸受45は、第2ハウジング部15に形成された固定壁15Aに固定されている。この固定壁15Aは、上下方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されると共に、左右方向から見て、上側へ開放された略U字形状に形成されている。駆動軸41の上端部は、収容部32の内部に配置されており、駆動軸41の上端部には、モータ側ベベルギヤ41Aが形成されている。ステータ43は、ステータホルダ43Aを有しており、ステータホルダ43Aにはコイルが巻き回されている。そして、モータ40が、後述する制御部92に電気的に接続されている。
駆動軸41の上端側の部分には、軸受44の下側の位置において、ファン46が設けられており、ファン46は、駆動軸41に一体回転可能に固定されている。このファン46は、所謂遠心ファンとして構成されており、ファン46の中央側の空気を径方向外側へ流出させるように構成されている。
(伝達機構50について)
図2及び図3に示されるように、伝達機構50は、中間軸51と、シリンダ57と、ピストン64と、打撃子65と、中間子66と、を含んで構成されて、収容部32の内部に配置されている。
<中間軸51について>
中間軸51は、前後方向を軸方向とした略円柱状に形成されて、収容部32の下部に配置されている。中間軸51の前端部は、第1ハウジング部14に固定された軸受52に回転可能に支持されており、中間軸51の後端部は、インナカバー30に固定された軸受53に回転可能に支持されている。中間軸51の後端側部分には、軸側ベベルギヤ54が固定されており、軸側ベベルギヤ54は、モータ40のモータ側ベベルギヤ41Aに噛合している。これにより、モータ40が駆動して駆動軸41が回転することで、中間軸51が自身の軸回りに回転する構成になっている。
中間軸51の前端側部分における外周部には、中間ギヤ部51Aが形成されている。また、中間軸51には、中間ギヤ部51Aの後側において、略円筒状のクラッチ55が外挿されている。クラッチ55は、中間ギヤ部51Aにスプライン嵌合されている。すなわち、クラッチ55が、中間ギヤ部51Aの軸方向に相対移動可能に且つ中間ギヤ部51Aと一体回転可能に連結されている。クラッチ55の後端部には、噛合い部55Aが形成されている。また、クラッチ55の前端部の外周部には、クラッチ溝55Bが形成されており、クラッチ溝55Bは、クラッチ55の周方向に延在され且つ径方向外側へ開放されている。
中間軸51には、クラッチ55の後側において、運動変換部材56が回転可能に外挿されている。運動変換部材56は、中間軸51の回転運動を変換して、後述するピストン64を前後方向へ往復移動させる部材として構成されている。運動変換部材56の前端部には、噛合い部56Aが形成されている。そして、クラッチ55が後側へ移動して、噛合い部55Aが噛合い部56Aに噛合うことで、クラッチ55と運動変換部材56とが連結して、運動変換部材56が中間軸51と一体に回転する構成になっている。また、運動変換部材56は、上方側へ延出されたアーム部56Bを有している。
<シリンダ57について>
シリンダ57は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、中間軸51の上側において収容部32内に収容されている。シリンダ57の後端部は、軸受58に回転可能に支持されており、軸受58は、シリンダ支持部材36の内周部に固定されている。一方、シリンダ57の前端側部分は、軸受59に回転可能に支持されており、軸受59は、第1ハウジング部14に支持リング60を介して固定されている。また、シリンダ57は、略段付き円筒状に形成されており、シリンダ57の前端部の内径が、他の部分の内径よりも小さく設定されている。シリンダ57の前端部には、工具保持部62が取付けられており、工具保持部62によって先端工具Tが着脱可能に固定されている。
シリンダ57の軸方向中間部には、径方向外側へ突出したフランジ57Aが形成されている。フランジ57Aの前部には、リング状のシリンダギヤ63が設けられている。シリンダギヤ63の前側には、圧縮コイルスプリングとして構成された付勢バネ67が設けられており、付勢バネ67によって、シリンダギヤ63が、フランジ57Aに押し付けられて、シリンダ57と一体回転可能に構成されている。また、シリンダギヤ63は、中間軸51の中間ギヤ部51Aに噛合している。これにより、モータ40の駆動力によって中間軸51が回転することで、シリンダ57及び先端工具Tがシリンダ57の軸線AL回りに回転する構成になっている。
<ピストン64について>
ピストン64は、前側へ開放された略有底円筒状に形成されて、シリンダ57の後部内に前後方向に相対移動可能に挿入されている。ピストン64の底壁には、後側へ延出されたピストン連結部64Aが形成されており、ピストン連結部64Aには、運動変換部材56におけるアーム部56Bの上端部が左右方向を軸方向として回転可能に連結されている。これにより、運動変換部材56が中間軸51と一体に回転するときには、アーム部56Bによってピストン64が前後方向に往復移動する構成になっている。
<打撃子65について>
打撃子65は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、ピストン64の内部に前後方向に相対移動可能に挿入されている。そして、ピストン64内におけるピストン64の底壁と打撃子65との間の空間が、空気室64Bとして構成されている。また、打撃子65の前面には、略中心部において、前側へ開放された凹部65Aが形成されている。
<中間子66について>
中間子66は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、シリンダ57の前端部内に前後方向に相対移動可能に挿入されている。また、中間子66の後端部は、打撃子65の凹部65Aの内部と当接可能に、打撃子65の前側に隣接して配置されている。これにより、ピストン64が前側へ移動して空気室64B内の圧力が上昇することで、打撃子65及び中間子66が前側へ移動して、前後方向に沿った打撃力が先端工具Tに付与される構成になっている。
(モード切替機構70について)
図2~図6に示されるように、モード切替機構70は、切替プレート71と、リターンスプリング75と、「切替操作部」としての操作レバー76と、を含んで構成されている。
<切替プレート71について>
切替プレート71は、前後方向を板厚方向とする略円環板状に形成されて、シリンダ57のフランジ57Aの後側において、シリンダ57に前後方向に相対移動可能に外挿されている。切替プレート71の下端部は、他の部分と比べて切替プレート71の径方向外側(下側)へ突出しており、切替プレート71の下端部には、下側へ開放された略半円状の係合部71A(図4参照)が形成されている。そして、係合部71Aが、クラッチ55のクラッチ溝55B内に挿入されて、クラッチ55及び切替プレート71が前後方向に一体に移動可能に構成されている。
切替プレート71の左端部には、上下方向中間部において、左側へ開放された切欠部71B(図4及び図6参照)が形成されている。切欠部71Bは、後述するモード設定プレート80の形状に対応した所定の形状に切り欠かれている。
また、切替プレート71とシリンダ57のフランジ57Aとの間には、スラストワッシャ72、73が設けられている。スラストワッシャ72、73は、シリンダ57に外挿されている。
<リターンスプリング75について>
リターンスプリング75は、圧縮コイルスプリングとして構成されている。リターンスプリング75は、切替プレート71と軸受58との間においてシリンダ57に外挿されて、切替プレート71を介してシリンダ57を前側に付勢している。これにより、切替プレート71がシリンダ57と前後方向に一体移動可能に連結されると共に、シリンダ57が、図2に示される初期位置に保持されている。そして、シリンダ57の初期位置では、クラッチ55が運動変換部材56に対して前側へ離間しており、クラッチ55と運動変換部材56とが非連結状態になっている。
<操作レバー76について>
図1、図5、及び図6~図8に示されるように、操作レバー76は、レバー本体77と、モード設定プレート80と、を含んで構成されている。レバー本体77は、「遮蔽部」としての回転軸78を有しており、回転軸78は、左右方向を軸方向とした略円柱状に形成されている。そして、回転軸78が、第1ハウジング部14の左側壁に貫通形成された支持孔14Bに回転可能に支持されており、回転軸78の先端部(左端部)が、収容部32内に突出している。具体的には、回転軸78の先端部が、インナカバー30におけるレバー規制部30Bの凹曲面30Cの前側に隣接して配置されると共に、切替プレート71の後側に所定の間隔を空けて配置されている。なお、回転軸78の基端側の部分には、シール溝78Aが形成されており、シール溝78Aは、回転軸78の周方向に延在されると共に、回転軸78の径方向外側へ開放されている。シール溝78A内には、リング状のシール部材82が配置されており、シール部材82によって回転軸78と第1ハウジング部14との間がシールされている。
レバー本体77は、レバー部79を有しており、レバー部79は、回転軸78の基端部(左端部)から回転軸78の径方向外側へ延出されている。レバー部79は、収容部32(第1ハウジング部14)の外部において、第1ハウジング部14に形成されたレバー収容凹部14C(図1参照)の内部に回動操作可能に配置されている。具体的には、操作レバー76が、図1において実線にて示されるハンマドリルモード設定位置と、ハンマドリルモード設定位置から略90度回転したドリル設定位置(図1において2点鎖線にて示される位置)と、の間を回転可能に構成されている。そして、ハンマドリルモード設定位置では、レバー部79が、回転軸78から後側斜め上方へ延出されており、ドリルモード設定位置では、レバー部79が、回転軸78から後側斜め下方へ延出されている。
回転軸78には、後述するモード設定プレート80を固定するためのスリット78Bが形成されており、スリット78Bは、回転軸78の先端側へ開放されている。また、回転軸78の先端部では、回転軸78における円弧状の外周面78Cを切り欠いたカット部78Dが形成されている。
モード設定プレート80は、略クランク形板状に形成されている。具体的には、モード設定プレート80は、略逆L字形板状の固定プレート部80Aと、固定プレート部80Aから右側へ突出したストッパプレート部80Bと、を含んで構成されている。そして、固定プレート部80Aが回転軸78のスリット78Bに挿入されて、固定ネジ81によって回転軸78に固定されている。具体的には、固定ネジ81の頭部が、回転軸78のカット部78D内に配置されて、固定ネジ81の先端部が頭部から回転軸78の径方向内側へ延出されて、固定プレート部80Aが回転軸78に固定されている。また、モード設定プレート80の回転軸78への固定状態では、ストッパプレート部80Bが、回転軸78から右側へ突出している。
ここで、ハンマドリル10では、先端工具Tを被加工物に押し付けて、被加工物に負荷を付与した状態(以下、この状態を負荷状態という)で、被加工物に対して加工を行うようになっている。これにより、ハンマドリル10の負荷状態では、被加工物からの反力によって、シリンダ57がリターンスプリング75の付勢力に抗して後側へ移動する構成になっている。
そして、操作レバー76のドリルモード設定位置では、操作レバー76のモード設定プレート80が、上下方向を板厚方向として配置され、後側から見て、ストッパプレート部80Bの先端部が切替プレート71に重なるように配置される設定になっている(図6(A)参照)。このため、操作レバー76のドリルモード設定位置でハンマドリル10を負荷状態にすると、シリンダ57が切替プレート71と共に初期位置から後側へ所定距離移動し、切替プレート71が操作レバー76のストッパプレート部80Bに当接した位置でシリンダ57が停止するようになっている(図3(A)に示される位置であり、以下、このシリンダ57の位置を「ドリルモード切替位置」という)。
また、シリンダ57のドリルモード切替位置では、切替プレート71と共に移動するクラッチ55が運動変換部材56に到達せずに、クラッチ55と運動変換部材56との非連結状態が維持される構成になっている。これにより、ハンマドリル10がドリルモードになり、伝達機構50によって先端工具Tに回転力のみが付与される構成になっている。なお、前述したように、操作レバー76における回転軸78の先端部がインナカバー30のレバー規制部30Bの前側に隣接して配置されている。このため、ドリルモードにおいて、切替プレート71が操作レバー76のストッパプレート部80Bを後側へ押圧しても、レバー規制部30B(インナカバー30)によって、操作レバー76の後側への変位を規制するようになっている。
一方、操作レバー76のハンマドリルモード設定位置では、操作レバー76のモード設定プレート80が、前後方向を板厚方向として配置され、後側から見て、モード設定プレート80のストッパプレート部80Bが、切替プレート71の切欠部71B内に配置される設定になっている(図6(B)参照)。すなわち、後側から見て、ストッパプレート部80Bと切替プレート71とが重ならない設定になっている。このため、ハンマドリル10を負荷状態時にシリンダ57が後側へ移動すると、切替プレート71が、ストッパプレート部80Bを通過し、シリンダ支持部材36の先端に当接した位置で、シリンダ57が停止するようになっている(図3(B)に示される位置であり、以下、このシリンダ57の位置を「ハンマドリルモード切替位置」という)。
そして、シリンダ57のハンマドリルモード切替位置では、クラッチ55の噛合い部55Aと運動変換部材56の噛合い部56Aとが噛合い、クラッチ55と運動変換部材56とが連結する構成になっている。これにより、ハンマドリル10がハンマドリルモードになり、伝達機構50による回転力及び打撃力が先端工具Tに付与される構成になっている。
ここで、前述したように、操作レバー76の回転軸78の先端部がインナカバー30のレバー規制部30Bの前側に隣接して配置されている。すなわち、固定ネジ81を含む回転軸78が、連通路31の内側開口部31Cと前後方向に対向配置されている。以下、回転軸78と内側開口部31Cとの対向配置関係について説明する。
図7に示されるように、操作レバー76のハンマドリルモード設定位置では、回転軸78における固定ネジ81の頭部が、レバー規制部30Bの凹曲面30Cの前側に隣接して配置される構成になっている。また、凹曲面30C(内側開口部31Cの開口端)と固定ネジ81の頭部の外周面81Aとの間には、微小隙間G1が形成されている。すなわち、凹曲面30Cと固定ネジ81の頭部とが、微小隙間G1を介して前後方向に対向配置されている。そして、前後方向における、固定ネジ81の頭部の外周面81Aと凹曲面30Cとの間の距離が、対向距離L1として設定されている。
一方、図8に示されるように、操作レバー76のドリルモード設定位置では、回転軸78の円弧状の外周面78Cが、レバー規制部30Bの凹曲面30Cの前側に隣接して配置される構成になっている。また、凹曲面30C(内側開口部31Cの開口端)と回転軸78との間には、微小隙間G2が形成されている。すなわち、凹曲面30Cと回転軸78の外周面78Cとが、微小隙間G2を介して前後方向に対向配置されている。そして、前後方向における、回転軸78の外周面78Cと凹曲面30Cとの間の距離が、対向距離L2として設定されている。すなわち、本発明における「回転軸」とは、回転軸78に設けられ且つ回転軸78と一体に回転する固定ネジ81を含んでいる。そして、回転軸78における円弧状に湾曲された外周面78Cが、本発明の「遮蔽部の第1面」に対応しており、固定ネジ81の頭部の外周面81Aが、本発明の「遮蔽部の第2面」に対応している。
さらに、回転軸78(固定ネジ81)と凹曲面30Cとの間の対向距離L1が、回転軸78と凹曲面30Cとの間の対向距離L2よりも大きく設定されている。すなわち、ドリルモードとハンマドリルモードとでは、回転軸78と凹曲面30Cとの間の対向距離が異なる距離に設定されている。また、回転軸78(固定ネジ81)と凹曲面30Cとの間の対向距離L1、L2は、伝達機構50における各ギヤ等に塗布された潤滑剤(グリス)の内側開口部31Cへの流入を防止し、且つ収容部32内の空気の内側開口部31Cへの流入可能とする寸法に設定されている。すなわち、固定ネジ81を含む回転軸78が、潤滑剤の連通路31への流入を遮蔽する遮蔽部として機能している。
(バッテリーパック90)
図1及び図2に示されるように、バッテリーパック90は、略直方体に形成されている。そして、バッテリーパック90が、ハウジング12のバッテリー取付部16Bに、後側から装着されている。バッテリーパック90は、図示しないコネクタを有しており、バッテリーパック90のバッテリー取付部16Bへの装着状態では、当該コネクタがコネクタ24に接続されて、バッテリーパック90から制御部92へ電力が供給される構成になっている。また、バッテリーパック90は、一対のロック部材90Aを有しており、ロック部材90Aは、バッテリーパック90の左右の側部に設けられている。そして、バッテリーパック90のバッテリー取付部16Bへの装着状態では、ロック部材90Aがリヤハウジング16に係合して、バッテリーパック90の後側への移動が制限されている。
また、前述した第2ハウジング部15の下端部(バッテリー取付部16B)には、ゴム等の弾性材によって構成されたストッパ部材25が設けられており、ストッパ部材25は、バッテリーパック90の前側に隣接して配置されている。これにより、ストッパ部材25が、バッテリーパック90のバッテリー取付部16Bへの装着時における突き当て部として機能している。
(制御部92について)
制御部92は、第2ハウジング部15の下端部に配置されている。制御部92には、前述したスイッチ機構22のスイッチ、切替ボタン21、変速スイッチ23、及びバッテリーパック90が電気的に接続されている。そして、トリガ20が引き操作されることで、制御部92によってモータ40が駆動して、伝達機構50によってモータ40の駆動力が先端工具Tに伝達される構成になっている。また、制御部92によってモータ40が駆動するときには、切替ボタン21の切替状態に応じて、モータ40の回転方向が設定され、変速スイッチ23に操作位置に応じた回転速度でモータ40が回転する構成になっている。
(作用効果)
上記のように構成されたハンマドリル10では、第1ハウジング部14及びインナカバー30によって構成された収容部32内に伝達機構50が収容されており、伝達機構50によってモータ40の駆動力が先端工具Tに伝達される。また、ハンマドリル10の非作業状態(無負荷状態)では、シリンダ57が初期位置に配置されて、伝達機構50のクラッチ55と運動変換部材56とが非連結状態になっている。さらに、ハンマドリル10は、操作レバー76を有しており、操作レバー76が、ドリルモード設定位置又はハンマドリル設定位置に回転操作されることで、ハンマドリル10が、ドリルモード又はハンマドリルモードに切替わる。
そして、ハンマドリル10のドリルモードにおいて、先端工具Tによって被加工物を押し付けると、シリンダ57が初期位置からドリルモード切替位置へ移動するが、伝達機構50のクラッチ55及び運動変換部材56の非連結状態が維持される。これにより、モータ40の駆動力が、伝達機構50によって先端工具Tに伝達されて、シリンダ57の軸線AL回りの回転力が先端工具Tに付与される。
一方、ハンマドリル10のハンマドリルモードにおいて、先端工具Tによって被加工物を押し付けると、シリンダ57が初期位置からハンマドリルモード切替位置へ移動すると共に、伝達機構50のクラッチ55及び運動変換部材56が連結される。これにより、モータ40の駆動力が、伝達機構50によって先端工具Tに伝達されて、シリンダ57の軸線AL回りの回転力及び前後方向に沿った打撃力が先端工具Tに付与される。
ところで、ハンマドリル10の作動時には、モータ40の駆動力によって伝達機構50が作動するため、伝達機構50を収容する収容部32内の温度が上昇する。このため、収容部32内の空気が膨張すると共に、伝達機構50のギヤ等に塗布された潤滑剤の流動性が高くなる。これにより、収容部32内の潤滑剤が収容部32の外部へ漏出し易くなる。
ここで、ハンマドリル10では、収容部32の壁部を構成するインナカバー30に連通路31が前後方向に貫通形成されており、収容部32の内外が連通路31によって連通されている。また、収容部32の壁部を構成する第1ハウジング部14には、操作レバー76の回転軸78が軸支されており、回転軸78が左右方向に延在されている。そして、回転軸78が、連通路31の内側開口部31Cと前後方向に対向して配置されている。具体的には、回転軸78が、微小隙間G1又は微小隙間G2を空けて内側開口部31Cの前側に近接して配置されている。このため、伝達機構50の作動時に収容部32内の温度が上昇して、収容部32内における潤滑剤の流動性が高くなっても、潤滑剤が内側開口部31Cから連通路31内への流入することを防止又は抑制できると共に、収容部32内の空気を連通路31から収容部32の外部へ流出させることができる。したがって、収容部32の潤滑剤が漏出することを簡易な構成で防止又は抑制することができる。
また、上述のように、操作レバー76における固定ネジ81を含む回転軸78が、潤滑剤の連通路31(内側開口部31C)への流入を遮蔽する遮蔽部として機能しており、操作レバー76は、伝達機構50の先端工具Tへの伝達モードを切替える操作部として機能している。このため、伝達機構50の先端工具Tへの伝達モードを切替える操作レバー76を活用して、潤滑剤の連通路31(内側開口部31C)への流入を防止又は抑制することができる。すなわち、背景技術に記載したような、連通路31の入口側に配置されるフィルタや連通路31内に配置される連通路形成部材などの部材を設けることなく、収容部32の潤滑剤が漏出することを防止又は抑制できる。これにより、背景技術に記載されたハンマドリルと比べて、部品点数の増加を抑制できると共に、組立工数を削減することができる。したがって、ハンマドリル10のコストダウンに寄与することができる。
また、ハンマドリル10のドリルモードとハンマドリルモードとでは、固定ネジ81を含む回転軸78とレバー規制部30Bの凹曲面30Cとの間の対向距離L1、L2が異なる距離に設定されている。具体的には、ハンマドリルモードにおける回転軸78(固定ネジ81)と凹曲面30Cとの間の対向距離L1が、ドリルモードにおける回転軸78と凹曲面30Cとの間の対向距離L2よりも大きく設定されている。これにより、ハンマドリルモードにおける収容部32の温度上昇を効果的に抑制しつつ、潤滑剤の収容部32外への漏出を抑制又は防止することができる。
すなわち、ドリルモードでは、伝達機構50において、クラッチ55と運動変換部材56とが非連結状態になり、運動変換部材56及びピストン64が作動しない。一方、ハンマドリルモードでは、伝達機構50において、クラッチ55と運動変換部材56とが連結されて、運動変換部材56及びピストン64が作動する。このため、ドリルモードに比べてハンマドリルモードのときの収容部32内の温度が高くなる。すなわち、ドリルモードに比べてハンマドリルモードにおける収容部32内の空気の膨張が大きくなる。このため、仮に、ハンマドリルモードでの回転軸78(固定ネジ81)と凹曲面30Cとの間の対向距離L1を、ドリルモードでの回転軸78と凹曲面30Cとの間の対向距離L2以下に設定すると、ハンマドリルモードにおける収容部32内の空気を外部に良好に流出させることができず、収容部32内の温度上昇を効果的に抑制することができなくなる可能性がある。また、収容部32内の空気が外部に良好に流出させることができない状態が継続すると、収容部32内の空気圧が高まる。これにより、収容部32内が常温の状態と比較して、収容部32内の空気圧と空気室64Bの圧力との関係が変化してしまうため、打撃子65の挙動も変化し、打撃不良を引き起こす可能性がある。
これに対して、本実施の形態では、上述のように、ハンマドリルモードにおける回転軸78(固定ネジ81)と凹曲面30Cとの間の対向距離L1が、ドリルモードにおける回転軸78と凹曲面30Cとの間の対向距離L2よりも大きく設定されている。このため、ハンマドリルモードにおける収容部32内の空気を外部に良好に流出させることができる。その結果、ハンマドリルモードにおける収容部32の温度上昇を効果的に抑制しつつ、収容部32の潤滑剤の漏出を抑制又は防止することができる。すなわち、ハンマドリル10の動作モードに対応した収容部32内の温度上昇を効果的に抑制しつつ、収容部32の潤滑剤の漏出を抑制又は防止することができる。さらには、収容部32内の温度が上昇しても、常温時と比較した打撃子65の挙動の変化を小さくし、打撃不良の発生を抑制できる。
また、操作レバー76の回転軸78の先端部には、回転軸78の外周面78Cの一部を切り欠いたカット部78Dが形成されており、カット部78Dに固定ネジ81の頭部が配置されている。そして、ハンマドリルモードでは、回転軸78の固定ネジ81と凹曲面30Cとが前後方向に対向配置され、ドリルモードでは、回転軸78の外周面78Cと凹曲面30Cとが前後方向に対向配置されている。このため、操作レバー76のモード設定プレート80を固定する固定ネジ81を活用して、ドリルモードとハンマドリルモードとにおいて、回転軸78と凹曲面30Cとの間の対向距離L1、L2を異なる距離に設定することができる。
また、レバー規制部30Bの前端面は、回転軸78の外周面78Cの円弧形状に対応した凹曲面30Cとして形成されている。このため、回転軸78の外周面78Cの形状に対応して、潤滑剤の内側開口部31Cへの流入を効果的に遮蔽することができる。
また、レバー規制部30Bは、インナカバー30から前側へ延出されており、レバー規制部30Bに連通路31が貫通形成されている。このため、連通路31が形成されたレバー規制部30Bを活用して、ドリルモード時における、操作レバー76の後側への変位を規制することができる。
また、連通路31の第2連通路31B内には、フェルト製のフィルタ部材38が設けられている。これにより、仮に、潤滑剤が、連通路31の内側開口部31C内に流入した場合でも、フィルタ部材38によって、潤滑剤が第2連通路31Bから収容部32外へ漏出することを抑制又は防止することができる。
なお、本実施の形態では、収容部32の潤滑剤の漏出を防止又は抑制する漏出防止機構をハンマドリル10に適用したが、ハンマドリル10以外の電気機器にも適用することができる。以下、漏出防止機構を他の機器に適用した例を、図9及び図10を用いて説明する。
図9及び図10には、漏出防止機構を、「電気機器」としてのハンマ100に適用した例を示している。このハンマ100は、先端工具Tに打撃力のみを付与する工具として構成されている。そして、ハンマ100は、以下に示す点を除いて、本実施の形態のハンマドリル10と同様に構成されている。なお、図9及び図10では、本実施の形態のハンマドリル10と同様に構成されている部分には、同一の符号を付している。
すなわち、ハンマ100は、ハンマ100の外郭を構成するハウジング12を有しており、インナカバー30が、ハウジング12における第1ハウジング部14の後端側の開口部を閉塞するように第1ハウジング部14に取付けられている。そして、収容部32が、第1ハウジング部14及びインナカバー30によって構成されている。
また、伝達機構50では、中間軸51、クラッチ55、運動変換部材56が省略されている。さらに、伝達機構50は、伝達ギヤ102を有しており、伝達ギヤ102は、上下方向を軸方向して、インナカバー30に固定された軸受104に回転可能に支持されている。伝達ギヤ102の下端部には、円板状の伝達ギヤ部102Aが形成されており、伝達ギヤ部102Aは、モータ40の上端部に形成されたモータ側ギヤ部41Bに噛合されている。また、伝達ギヤ102の上端部には、連結片102Bが設けられており、ピストン64が、伝達ギヤ102の回転中心軸から偏心した位置において、連結片102Bに連結されている。これにより、モータ40が駆動することで、伝達ギヤ102が回転して、ピストン64が前後方向に往復移動する構成になっている。このため、先端工具Tに打撃力を付与するようになっている。
インナカバー30の後壁は、上側から見た平面視で、後側へ凸となる円弧状に湾曲されており、当該後壁に、連通路31が、前後方向に貫通形成されている。そして、連通路31の前端側の部分が、第1連通路31Aとして構成されており、連通路31の後端側の部分が第2連通路31Bとして構成されている。また、第2連通路31B内には、フィルタ部材38が挿入されている。なお、図示は省略するが、第1連通路31Aの前端部が、内側開口部31Cとして構成されて、内側開口部31Cが収容部32内に開口している。
第1ハウジング部14の後端部の上壁には、連通路31が形成されたインナカバー30の後壁の前側において、左右方向に延在された「遮蔽部」としての遮蔽壁14Dが形成されている。この遮蔽壁14Dは、インナカバー30の後壁に対応して、平面視で、後側へ凸となる円弧状に湾曲されている。また、連通路31と遮蔽壁14Dとが、微小隙間G2を介して前後方向に対向した配置されている。すなわち、図示は省略するが、前後方向における連通路31と遮蔽壁14Dとの間の対向距離が対向距離L2として設定されている。そして、この対向距離L2は、収容部32内の潤滑剤の連通路31への流入を防止し、収容部32内の連通路31への流入を可能とする寸法に設定されている。
このため、伝達機構50の作動時に収容部32内の温度が上昇して、収容部32内における潤滑剤の流動性が高くなっても、潤滑剤が連通路31内への流入することを防止又は抑制できると共に、収容部32内の空気を連通路31から収容部32の外部へ流出させることができる。したがって、ハンマ100においても、本実施の形態のハンマドリル10と同様に、収容部32の潤滑剤が漏出することを簡易な構成で防止又は抑制することができる。
また、本実施の形態では、ドリルモード時に操作レバー76の回転軸78の外周面78Cをレバー規制部30Bの凹曲面30Cに対向配置し、ハンマドリルモード時に操作レバー76の固定ネジ81の頭部の外周面81Aを凹曲面30Cに対向配置して、対向距離L1、L2との距離を異なる距離に設定している。これに代えて、ドリルモード及びハンマドリルモード時に、回転軸78の外周面78Cをレバー規制部30Bの凹曲面30Cに対向配置させて、対向距離L1と対向距離L2との距離を異なる距離に設定してもよい。例えば、ハンマドリルモード時に、凹曲面30Cに対向配置される回転軸78の外周面78Cの半径を、ドリルモード時に、凹曲面30Cに対向配置される回転軸78の外周面78Cの半径よりも小さくするように、回転軸78の外形を設定して、対向距離L1と対向距離L2との距離を異なる距離に設定してもよい。
10 ハンマドリル(電気機器)
14 第1ハウジング部(収容部の壁部)
14D 遮蔽壁(遮蔽部)
30 インナカバー(収容部の壁部)
30B レバー規制部(延伸部)
30C 凹曲面
31 連通路
31C 内側開口部
32 収容部
38 フィルタ部材
40 モータ
41 駆動軸
50 伝達機構
76 操作レバー(切替操作部)
78 回転軸(遮蔽部)
78C 外周面(第1面)
81A 外周面(第2面)
100 ハンマ(電気機器)
L1 対向距離(第2面と内側開口部との対向距離)
L2 対向距離(第1面と内側開口部との対向距離)
T 先端工具

Claims (8)

  1. 駆動軸を有するモータと、
    前記駆動軸の駆動力を先端工具へ伝達する伝達機構と、
    前記伝達機構を内部に収容する収容部と、
    前記収容部の壁部に形成され、第1方向に延在されて前記収容部の内外を連通すると共に、前記収容部の内部に開口する内側開口部を有する連通路と、
    前記収容部の壁部に設けられ、前記第1方向に交差する第2方向に延在されると共に、前記第1方向において前記内側開口部と対向配置された遮蔽部と、
    を備え
    前記伝達機構は、前記先端工具への伝達状態を複数のモードに切替可能に構成されており、
    前記収容部の壁部には、回動操作されることで前記伝達機構のモードを切替える切替操作部が設けられており、
    前記遮蔽部は、前記収容部の壁部に回転可能に軸支された前記切替操作部の回動軸である電気機器。
  2. 前記遮蔽部は、柱状に形成されると共に、前記収容部の壁部から前記収容部の内部に向って突出している請求項1に記載の電気機器。
  3. 前記伝達機構は、第1モード又は第2モードに切替可能に構成され、
    前記遮蔽部は、前記第1モードにおいて前記内側開口部と対向する第1面と、前記第2モードにおいて前記内側開口部と対向する第2面と、を有しており、
    前記第1面と前記内側開口部との対向距離と、前記第2面と前記内側開口部との対向距離が異なる距離に設定されている請求項2に記載の電気機器。
  4. 前記遮蔽部は、前記切替操作部の回動中心軸を中心とする円柱であって、円弧状の外周面の一部が切り欠かれた形状を成し、前記第1モードにおいては前記外周面が前記内側開口部と対向し、前記第2モードにおいては前記外周面が前記内側開口部と対向しない請求項3に記載の電気機器。
  5. 前記遮蔽部と対向する前記収容部の壁面は、前記外周面の円弧形状に対応した円弧状の凹曲面として構成されている請求項4の記載の電気機器。
  6. 前記伝達機構は、前記駆動力を前記第1方向に沿った打撃力に変換可能に構成されると共に、前記駆動力を前記第1方向に沿った軸線回りの回転力に変換可能に構成されており、
    前記伝達機構は、前記第1モードにおいて前記先端工具に前記回転力のみを伝達し、前記第2モードにおいて前記先端工具に前記打撃力及び前記回転力を伝達する請求項4又は5に記載の電気機器。
  7. 前記収容部の壁部には、前記壁部から第1方向一方側へ延出され且つ内部に前記連通路が形成された延伸部が形成され、
    前記内側開口部は、前記延伸部の第1方向一方側端部に形成されている請求項1~請求項6の何れか1項に記載の電気機器。
  8. 前記連通路の内部には、前記収容部の潤滑剤が前記収容部の外部へ漏出することを抑制するフィルタ部材が設けられている請求項1~請求項7の何れか1項に記載の電気機器。
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