ここで、上記特許文献1の反射装置は反射制御面による光の反射によって配光パターンを形成するため、当該配光パターンにおける光の強度分布は反射制御面における光の強度分布の影響を受ける傾向にある。反射制御面における光の強度分布は、発光光学系から出射する光の強度分布に依存するため、形成する配光パターンにおける光の強度分布は、発光光学系から出射する光の強度分布の影響を受ける傾向にある。上記特許文献1では、光源から出射する光がレンズを透過して発光光学系から出射し、当該光が反射制御面に照射される。一般的に光を屈折する光学部材としてのレンズでは、出射する光の強度分布は入射する光の強度分布の影響を受ける傾向にあり、レンズを用いて光の強度分布を変化させることは難しい傾向にある。このため、上記特許文献1の反射装置では、出射する光の配光パターンにおける光の強度分布の自由度が制限される場合があり、当該配光パターンにおける光の強度分布の自由度を向上したいとの要請がある。また、車両用灯具では、車両前方の広範囲に光を照射したり、路面に大きな画像を描画したり、照射する光の強度を高めたりする場合があり、多くの光量を必要とする場合がある。
そこで、本発明は、出射する光量を増加させつつ、出射する光の配光パターンにおける光の強度分布の自由度を向上させ得る車両用灯具を提供することを目的とする。
上記目的の達成のため、本発明の車両用灯具は、光を出射する複数の発光光学系と、前記複数の発光光学系から出射するそれぞれの光を反射する反射面を有し、当該反射面で反射する光によって所定の配光パターンを形成する反射装置と、を備え、前記複数の発光光学系は、第1光源と前記第1光源から出射する光を透過して前記反射装置の反射面に照射するレンズとを有する第1発光光学系と、第2光源と前記第2光源から出射する光を反射して前記反射装置の反射面に照射するリフレクタとを有する第2発光光学系と、を含むことを特徴とする。
この車両用灯具では、反射装置の反射面で反射する光によって、所定の配光パターンの光が形成される。ここで、上記のように、反射装置の反射面における光の強度分布は、発光光学系から出射する光の強度分布に依存するため、形成する配光パターンにおける光の強度分布は、発光光学系から出射する光の強度分布の影響を受ける傾向にある。この車両用灯具では、上記のように、複数の発光光学系から出射する光が反射装置の反射面に照射される。このため、この車両用灯具は、1つの発光光学系から出射する光が反射装置の反射面に照射される場合と比べて、反射装置の反射面に照射される光量を増加させつつ、当該反射面における光の強度分布の自由度を向上し得る。従って、この車両用灯具は、出射する光量を増加させつつ、出射する光の配光パターンにおける光の強度分布の自由度を向上し得る。また、この車両用灯具では、上記のように、複数の発光光学系は、第1光源と第1光源から出射する光を透過して反射装置の反射面に照射するレンズとを有する第1発光光学系と、第2光源と第2光源から出射する光を反射して反射装置の反射面に照射するリフレクタとを有する第2発光光学系と、を含む。レンズは入射面と出射面との2つの面を有するが、光を反射する光学部材であるリフレクタは反射面を有していればよく、レンズと比べて構造上の制約が少ない傾向にある。このため、一般的にリフレクタは、レンズと比べて、入射する光の強度分布を変化させて出射し易い傾向にある。このため、この車両用灯具は、第2発光光学系が第2光源と当該第2光源から出射する光を透過して反射装置の反射面に照射するレンズとから構成される場合と比べて、反射面における光の強度分布の自由度を向上し得る。また、リフレクタは光を反射するためリフレクタで反射する光が光源によって遮られる場合があるが、レンズは光を透過するためレンズを透過する光が光源によって遮られることが抑制される。このため、この車両用灯具は、第1発光光学系が第1光源と当該第1光源から出射する光を反射して反射装置の反射面に照射するリフレクタとから構成される場合と比べて、反射面に照射される光量が減少することを抑制し得、車両用灯具から出射する光量が減少することを抑制し得る。
前記複数の発光光学系は、第3光源と前記第3光源から出射する光を反射して前記反射装置の反射面に照射するリフレクタとを有する第3発光光学系を更に含むこととしてもよい。
このような構成にすることで、2つの発光光学系から出射する光が反射装置の反射面に照射される場合と比べて、反射装置の反射面に照射される光量を増加させつつ、当該反射面における光の強度分布の自由度を向上し得る。
複数の発光光学系が第3発光光学系を含む場合、前記第1発光光学系のレンズは前記反射装置の反射面の中心を通り前記反射装置の反射面に垂直な所定の平面と交わり、前記第2発光光学系のリフレクタは前記所定の平面よりも一方側に位置し、前記第3発光光学系のリフレクタは前記所定の平面よりも他方側に位置することとしてもよい。
このような構成にすることで、第1発光光学系のレンズが上記所定の平面と交わらない場合と比べて、第1発光光学系から反射装置の反射面に入射する光の上記所定の平面と垂直な方向における入射角が大きくなることを抑制し得る。このため、第1発光光学系から出射する光の反射装置の反射面における照射パターンを上記所定の平面と垂直な方向において対称にし易い。また、第2発光光学系から出射する光と第3発光光学系から出射する光は、上記所定の平面を基準とした互いに異なる側から反射装置の反射面に入射する。また、第2発光光学系及び第3発光光学系のそれぞれにおける反射装置の反射面に光を照射する部位は、リフレクタの反射面である。このため、第2発光光学系から出射する光の反射装置の反射面における照射パターンと、第3発光光学系から出射する光の反射装置の反射面における照射パターンとが上記所定の平面と垂直な方向において互いに対称となるようにし易い。このため、反射装置の反射面における光の強度分布を上記所定の平面と垂直な方向において対称となるようにし易い。従って、車両用灯具から出射する光の配光パターンにおける光の強度分布が所定の方向において対称に近い分布とされる場合に、特に有用である。
この場合、前記第1発光光学系のレンズ、前記第2発光光学系のリフレクタ、及び前記第3発光光学系のリフレクタは、前記反射装置の反射面の中心を通り前記所定の平面及び前記反射装置の反射面と垂直な他の所定の平面よりも一方側に位置することとしてもよい。
この場合、前記反射装置の反射面を平面視する場合に、前記第1発光光学系のレンズ、前記第2発光光学系のリフレクタ、及び前記第3発光光学系のリフレクタは、特定の方向に並列することとしてもよい。
複数の発光光学系が第3発光光学系を含む場合、前記反射装置の反射面を平面視する場合に、前記第1発光光学系のレンズ、前記第2発光光学系のリフレクタ、及び前記第3発光光学系のリフレクタは、互いに重ならないこととしてもよい。
このような構成にすることで、反射装置の反射面を平面視する場合に、第1発光光学系のレンズと第2発光光学系のリフレクタ、及び第3発光光学系のリフレクタにおける少なくとも2つが互いに重なる場合と比べて、第2発光光学系が有する部材及び第3発光光学系が有する部材によって第1発光光学系から出射する光の一部が遮られたり、第1発光光学系が有する部材及び第3発光光学系が有する部材によって第2発光光学系から出射する光の一部が遮られたり、第1発光光学系が有する部材及び第2発光光学系が有する部材によって第3発光光学系から出射する光の一部が遮られたりすることを抑制し得る。
前記複数の発光光学系は、第4光源と前記第4光源から出射する光を透過して前記反射装置の反射面に照射するレンズとを有する第4発光光学系を更に含むこととしてもよい。
このような構成にすることで、2つの発光光学系から出射する光が反射装置の反射面に照射される場合と比べて、反射装置の反射面に照射される光量を増加させつつ、当該反射面における光の強度分布の自由度を向上し得る。
複数の発光光学系が第4発光光学系を含む場合、前記第2発光光学系のリフレクタは前記反射装置の反射面の中心を通り前記反射装置の反射面に垂直な所定の平面と交わり、前記第1発光光学系のレンズは前記所定の平面よりも一方側に位置し、前記第4発光光学系のレンズは前記所定の平面よりも他方側に位置することとしてもよい。
このような構成にすることで、第2発光光学系のリフレクタが上記所定の平面と交わらない場合と比べて、第2発光光学系から反射装置の反射面に入射する光の上記所定の平面と垂直な方向における入射角が大きくなることを抑制し得る。このため、第2発光光学系から出射する光の反射装置の反射面における照射パターンを上記所定の平面と垂直な方向において対称にし易い。また、第1発光光学系から出射する光と第4発光光学系から出射する光は、反射装置の反射面を平面視する場合に上記所定の平面を基準とした互いに異なる側から反射装置の反射面に入射する。また、第1発光光学系及び第4発光光学系のそれぞれにおける反射装置の反射面に光を照射する部位は、レンズの出射面である。このため、第1発光光学系から出射する光の反射装置の反射面における照射パターンと、第4発光光学系から出射する光の反射装置の反射面における照射パターンとが上記所定の平面と垂直な方向において互いに対称となるようにし易い。このため、反射装置の反射面における光の強度分布を上記所定の平面と垂直な方向において対称となるようにし易い。従って、車両用灯具から出射する光の配光パターンにおける光の強度分布が所定の方向において対称に近い分布とされる場合に、特に有用である。
この場合、前記第1発光光学系のレンズ、前記第2発光光学系のリフレクタ、及び前記第4発光光学系のレンズは、前記反射装置の反射面の中心を通り前記所定の平面及び前記反射装置の反射面と垂直な他の所定の平面よりも一方側に位置することとしてもよい。
この場合、前記反射装置の反射面を平面視する場合に、前記第1発光光学系のレンズ、前記第2発光光学系のリフレクタ、及び前記第4発光光学系のレンズは、特定の方向に並列することとしてもよい。
複数の発光光学系が第4発光光学系を含む場合、前記反射装置の反射面を平面視する場合に、前記第1発光光学系のレンズ、前記第2発光光学系のリフレクタ、及び前記第4発光光学系のレンズは、互いに重ならないこととしてもよい。
このような構成にすることで、反射装置の反射面を平面視する場合に、第1発光光学系のレンズと第2発光光学系のリフレクタ、及び第4発光光学系のレンズにおける少なくとも2つが互いに重なる場合と比べて、第2発光光学系が有する部材及び第4発光光学系が有する部材によって第1発光光学系から出射する光の一部が遮られたり、第1発光光学系が有する部材及び第4発光光学系が有する部材によって第2発光光学系から出射する光の一部が遮られたり、第1発光光学系が有する部材及び第2発光光学系が有する部材によって第4発光光学系から出射する光の一部が遮られたりすることを抑制し得る。
前記反射装置から出射し前記所定の配光パターンを形成する光の発散角を調整する投影レンズを更に備えることとしてもよい。
このような構成にすることで、投影レンズを備えない場合と比べて、出射する光の配光パターンの大きさを所望の大きさにし易い。
前記反射装置の反射面は、傾倒状態を個別に切り替え可能である複数の反射素子の反射面によって構成されることとしてもよい。
この車両用灯具では、反射装置の反射面を構成する複数の反射素子の傾倒状態を制御することによって、出射する光の配光パターンを変更し得る。
以上のように本発明によれば、出射する光量を増加させつつ、出射する光の配光パターンにおける光の強度分布の自由度を向上させ得る車両用灯具を提供できる。
以下、本発明に係る車両用灯具を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における車両用灯具を備える車両の概略を示す正面図である。本実施形態の車両用灯具1は自動車用の前照灯とされる。図1に示すように車両100は、前方の左右方向のそれぞれに一対の車両用灯具1を備える。車両100に備わる一対の車両用灯具1は、互いに左右方向に対称な形状とされる。本実施形態の車両用灯具1は、複数の灯具1a,1b,1cが互いに横並びに並べられており、灯具1aが車両100の最も外側に配置され、灯具1cが車両100の最も中心側に配置され、灯具1bが灯具1aと灯具1cとの間に配置される。本実施形態では、以下に説明するように、灯具1a及び灯具1bはハイビーム用の灯具とされ、灯具1cはロービーム用の灯具とされる。このため、車両用灯具1は、光を出射する灯具を切り替えることによって、出射する光をハイビームとロービームとに切り替え可能とされている。灯具1b及び灯具1cの構成は特に限定されるものではない。灯具1b及び灯具1cは、灯具1aと同じ構成とされてもよく、灯具1aと異なる構成とされてもよい。例えば、灯具1b及び灯具1cは、パラボラ型の灯具やプロジェクター型の灯具や直射レンズ型の灯具等とされてもよい。
図2は、図1のII-II線における断面図であり、灯具1aの水平方向の断面を概略的に示す図である。図2に示すように、車両用灯具1の一部である灯具1aは、筐体10と、灯具ユニット20とを主な構成として備える。本実施形態において灯具ユニット20は、ハイビームの一部を出射する灯具ユニットとされる。
筐体10は、ランプハウジング11、フロントカバー12及びバックカバー13を主な構成として備える。ランプハウジング11の前方は開口しており、当該開口を塞ぐようにフロントカバー12がランプハウジング11に固定されている。また、ランプハウジング11の後方には前方よりも小さな開口が形成されており、当該開口を塞ぐようにバックカバー13がランプハウジング11に固定されている。
ランプハウジング11と、当該ランプハウジング11の前方の開口を塞ぐフロントカバー12と、当該ランプハウジング11の後方の開口を塞ぐバックカバー13とによって形成される空間は灯室Rであり、この灯室R内に灯具ユニット20が収容されている。
図3は、図2に示す灯具ユニットを概略的に示す斜視図であり、灯具ユニットを後方側から見る斜視図である。また、図4は、図2に示す灯具ユニットを概略的に示す側面図である。図2、図3、図4に示すように、本実施形態の灯具ユニット20は、第1発光光学系30と、第2発光光学系40と、反射装置50と、投影レンズ60と、光吸収板70とを主な構成として備え、不図示の構成により筐体10に固定されている。なお、理解容易のために、図3では光吸収板70の記載が省略されている。
本実施形態では、第1発光光学系30は、第1光源31と主レンズ35と補助レンズ36とを有し、第2発光光学系40は、第2光源41とリフレクタ42とを有する。
第1光源31は、光を出射する発光素子とされ、本実施形態では光を出射する出射面が概ね長方形で白色の光を出射する表面実装型のLED(Light Emitting Diode)とされる。また、第1光源31は出射面が後方側を向くように配置される。なお、灯具ユニット20は、不図示の回路基板を有しており、第1光源31は当該回路基板に実装されている。
補助レンズ36は、入射する光の発散角を調節するレンズである。補助レンズ36は、当該補助レンズ36の入射面が第1光源31の出射面と対向するように配置され、第1光源31から出射する光が補助レンズ36に入射し、この光の発散角が補助レンズ36で調整される。本実施形態では、補助レンズ36は、入射面が平面状に形成され出射面が凸状に形成されたレンズとされ、第1光源31から出射する光の発散角が補助レンズ36で小さくなるように調節される。
主レンズ35は、入射する光の発散角を調節するレンズである。主レンズ35は、当該主レンズ35の入射面35iが補助レンズ36の出射面と対向するように配置され、補助レンズ36の出射面から出射する光が主レンズ35に入射し、この光の発散角が主レンズ35で調整される。このように主レンズ35で発散角が調整された光が後述する反射装置50の反射制御面に照射される。つまり、第1光源31から出射して補助レンズ36及び主レンズ35を透過する光が第1発光光学系30から出射する。このため、第1発光光学系30における反射装置50の反射制御面に光を照射する部位は、主レンズ35の出射面35oである。また、反射装置50の反射制御面に照射される光の照射パターンは、主レンズ35の入射面35iや出射面35oの形状に応じて変化する。この照射パターンには光の強度分布が含まれる。このため、入射面35iや出射面35oの形状を調節することで、反射装置50の反射制御面に照射する光の照射パターンを調整できる。本実施形態では、主レンズ35は、入射面35i及び出射面35oが凸状に形成されたレンズとされ、第1光源31から出射して補助レンズ36を透過する光は、この主レンズ35によって集光されて反射装置50の反射制御面53に照射される。
第2光源41は、光を出射する発光素子とされ、本実施形態では、第1光源31と同様に、光を出射する出射面が概ね長方形で白色の光を出射する表面実装型のLEDとされる。また、第2光源41は、出射面が前方側を向くように配置される。第2光源41は、第1光源と同様に、上記の回路基板に実装されている。
リフレクタ42は、第2光源41から出射する光を反射面42rによって反射して当該光を後述する反射装置50の反射制御面に照射するように構成される。つまり、第2光源41から出射してリフレクタ42の反射面42rによって反射される光が第2発光光学系40から出射する。このため、第2発光光学系40における反射装置50の反射制御面に光を照射する部位は、リフレクタ42の反射面42rである。
本実施形態では、リフレクタ42は、曲面状の板状部材とされ、前方側から第2光源41に被さるように配置される。リフレクタ42における第2光源41側の面が第2光源41から出射する光を反射する反射面42rとされる。この反射面42rは第2光源41側と反対側に凹状となるように湾曲し、例えば、回転楕円曲面を基調として第2光源41から出射する光を集光して反射制御面に照射するように構成される。なお、反射装置50の反射制御面に照射される光の照射パターンは、リフレクタ42の反射面42rの形状に応じて変化する。この照射パターンには光の強度分布が含まれる。このため、反射面42rの形状を調節することで、反射装置50の反射制御面に照射する光の照射パターンを調整できる。図2、図3に示すように、この第2発光光学系40のリフレクタ42と第1発光光学系30の主レンズ35は左右方向に並列されている。本実施形態では、リフレクタ42の主レンズ35側の端部と主レンズ35のリフレクタ42側の端部とは離間しており、前後方向において主レンズ35とリフレクタ42とは互いに重なっていない。なお、リフレクタ42の主レンズ35側の端部と主レンズ35のリフレクタ42側の端部とは互いに接合されていてもよい。
本実施形態の反射装置50は、所謂DMD(Digital Mirror Device)とされ、図2に示すように、反射部51と縁部カバー52とを主な構成として備える。なお、図2では反射部51の内部の記載が省略されている。反射部51は、入射する光を反射する反射制御面53を有し、この反射制御面53によって反射する光によって所定の配光パターンを形成するように構成される。この反射部51の反射制御面53に第1発光光学系30から出射する光及び第2発光光学系40から出射する光が照射される。
図5は、図2に示す反射部の一部の厚さ方向の断面を概略的に示す図であり、反射部の一部の鉛直方向の断面を概略的に示す図である。本実施形態の反射部51は、図示せぬ基板に二次元配列される複数の反射素子54を有し、反射部51の反射制御面53はこれら複数の反射素子54の反射面54rによって構成されている。複数の反射素子54は、上記の基板に回転軸54aを中心として個別に傾倒可能に支持される。この複数の反射素子54は、一方側に所定の角度傾倒する第1傾倒状態と他方側に所定の角度傾倒する第2傾倒状態とにそれぞれ個別に切り替え可能とされている。反射部51には不図示の反射部駆動回路が接続され、この反射部駆動回路によるそれぞれの反射素子54に対する印加電圧に応じてそれぞれの反射素子54の傾倒状態が切り換えられる。
本実施形態では、複数の反射素子54の回転軸54aは、互いに概ね平行とされており、それぞれの反射素子54は、第1傾倒状態において反射面54rに入射する第1発光光学系30からの光及び第2発光光学系40からの光を第1方向に向けて反射する。一方、それぞれの反射素子54は、第2傾倒状態において反射面54rに入射する第1発光光学系30からの光及び第2発光光学系40からの光を第1方向と異なる第2方向に向けて反射する。なお、複数の反射素子54は、第1傾倒状態において反射面54rに入射する第1発光光学系30からの光及び第2発光光学系40からの光を第1方向に向けて反射することができればよい。例えば、複数の反射素子54は、第1方向と異なる第2方向が互いに異なるような複数の反射素子を含んでいてもよい。つまり、複数の反射素子54の回転軸54aは、互いに非平行とされていてもよい。
上記のように、複数の反射素子54は、一方側に所定の角度傾倒する第1傾倒状態と他方側に所定の角度傾倒する第2傾倒状態とにそれぞれ個別に切り換え可能とされている。このため、反射部51は、これらの反射素子54の傾倒状態を制御することによって、例えば反射制御面53から第1方向に向けて出射する光によって所定の配光パターンを形成し得る。また、反射装置50は、反射素子54の傾倒状態を制御することによって、反射制御面53から第1方向に向けて出射する光によって形成される配光パターンを変更できる。また、これらの反射素子54の傾倒状態を経時的に制御することによって、所定の配光パターンの光の強度分布を所定の強度分布にし得る。例えば、所定の時間間隔で第1傾倒状態と第2傾倒状態とに繰り返し切り換えられる反射素子54から第1方向に向けて出射する光の単位時間当たりの光量は、常時第1傾倒状態とされる反射素子54から第1方向に向けて出射する光の単位時間当たりの光量よりも低くなる。このように反射素子54の傾倒状態の経時的な違いによって、それぞれの反射素子54から第1方向に向けて出射する光の単位時間当たりの光量は変化する。このため、複数の反射素子54の傾倒状態を経時的に制御することによって、第1方向に向けて出射する光の配光パターンにおける光の強度分布を所定の強度分布にし得る。本実施形態では、反射装置50に電気的に接続される図示せぬ制御部によって、反射制御面53から第1方向に向けて出射する光によってハイビームの配光パターンの一部を形成するように、複数の反射素子54の傾倒状態が制御される。なお、複数の反射素子54の数、形状、配列、大きさ等は特に限定されるものではない。また、反射制御面53は、透光性を有する部材によって覆われていてもよい。
図6は、図2に示す反射装置を概略的に示す正面図であり、反射制御面53側から見る反射装置50の正面図である。本実施形態の反射部51は、正面視において概ね長方形に形成され、正面視における全領域が反射制御面53とされている。縁部カバー52は、反射部51の側面の全周及び反射制御面53と反対側を覆っており、反射制御面53は、縁部カバー52に覆われずに外部に露出している。なお、縁部カバー52は特に限定されるものではなく、例えば反射部51の背面側を覆っていなくてもよく、反射装置50は縁部カバー52を備えなくてもよい。
上記のような反射装置50は、反射制御面53に第1発光光学系30からの光及び第2発光光学系40からの光が照射されるとともに、反射制御面53から第1方向に向けて出射する光が投影レンズ60に入射するように配置される。具体的には、本実施形態の反射装置50は、反射制御面53が鉛直方向と概ね平行で左右方向に延在するとともに第1発光光学系30及び第2発光光学系40よりも後方側に位置するように配置される。なお、ここでの反射制御面53は、複数の反射素子54の傾倒状態が当該複数の反射素子54の反射面54rが同一平面上に位置する状態とされる場合の反射制御面53である。このように配置される反射装置50では、複数の反射素子54の回転軸54aの延在方向が左右方向と概ね平行とさている。また、図4に示すように、反射装置50の反射制御面53は、主レンズ35及びリフレクタ42よりも上方側かつ後方側に位置している。
本実施形態では、図2に示すように、主レンズ35とリフレクタ42は、反射制御面53と平行な方向である左右方向に並列されている。また、反射制御面53の中心53cを通るとともに反射制御面53と垂直で鉛直方向に延在する基準平面RP1を基準とする一方側に、第1発光光学系30が位置し、この基準平面RP1を基準とする他方側に、第2発光光学系40が位置している。このため、第1発光光学系30における反射制御面53に光を照射する部位である主レンズ35の出射面35oは、基準平面RP1を基準とする一方側に位置する。また、第2発光光学系40における反射制御面53に光を照射する部位であるリフレクタ42の反射面42rは、基準平面RP1を基準とする他方側に位置する。なお、上記のように、本実施形態の反射素子54の回転軸54aの延在方向は左右方向と概ね平行であるため、本実施形態の基準平面RP1はこの回転軸54aと概ね垂直である。ここで、上記のように反射制御面53は、主レンズ35及びリフレクタ42よりも上方側に位置している。このため、主レンズ35及びリフレクタ42は、反射制御面53の中心53cを通るとともに上記基準平面RP1及び反射制御面53と垂直で左右方向に延在する別の基準平面RP2よりも一方側に位置する。また、反射装置50の反射制御面53を平面視する場合に、主レンズ35及びリフレクタ42のそれぞれと反射制御面53とは互いに重ならない。また、上記のように、前後方向において主レンズ35とリフレクタ42とは互いに重なっていないため、反射制御面53を平面視する場合に、主レンズ35とリフレクタ42とは互いに重ならない。また、上記のように、主レンズ35とリフレクタ42は左右方向に並列されているため、反射制御面53を平面視する場合に、主レンズ35とリフレクタ42は左右方向に並列する。
投影レンズ60は、入射する光の発散角を調節するレンズである。投影レンズ60は、反射装置50よりも前方に配置され、反射制御面53から第1方向に向けて出射する光が投影レンズ60に入射し、この光の発散角が投影レンズ60で調整される。このように投影レンズ60で発散角が調整された光がフロントカバー12を介して灯具1aから出射する。また、投影レンズ60は、入射面60i及び出射面60oが凸状に形成されたレンズとされ、投影レンズ60の後方焦点は、反射装置50の反射制御面53上またはその近傍に位置している。また、投影レンズ60は、当該投影レンズ60の光軸60aと上記基準平面RP1とが互いに重なるように配置されている。
また、投影レンズ60の下部が切り欠かれている。具体的には、図4に示すように、投影レンズ60の下部を通り投影レンズ60の入射面60i側から出射面60o側に向かうにつれて投影レンズ60の光軸60aから離れるように傾く平面RPを基準として、投影レンズ60における当該投影レンズ60の光軸60a側と反対側が切り欠かれている。このため、投影レンズ60が上記のように切り欠かれることによって投影レンズ60に形成される底面60bは、上記平面RP上に位置し、入射面60i側から出射面60o側に向かうにつれて投影レンズ60の光軸60aから離れるように傾く。なお、投影レンズ60を切り欠く際の基準とされる面は、投影レンズ60を通り投影レンズ60の入射面60i側から出射面60o側に向かうにつれて投影レンズ60の光軸60aから離れるように傾いていればよく、曲面とされてもよい。このように投影レンズ60が切り欠かれることによって形成される空間内に、主レンズ35の一部及びリフレクタ42の一部が位置している。
光吸収板70は、光吸収性を有する板状部材であり、入射する光の多くを熱に変換するように構成される。図4に示すように、本実施形態では、光吸収板70は、反射装置50よりも前方かつ上方に配置され、反射制御面53から第2方向に向けて出射する光が光吸収板70に入射し、この光の多くが熱に変換される。光吸収板70として、例えばアルミニウム等の金属から構成されて表面に黒アルマイト加工等が施される板状部材が挙げられる。なお、光吸収板70は、筐体10のランプハウジング11と一体に形成されて、ランプハウジング11の一部とされてもよい。
次に車両用灯具1の動作について説明する。具体的には、ハイビームを出射する動作について説明する。
本実施形態では、上記のように、車両用灯具1の灯具1a及び灯具1bはハイビーム用の灯具とされ、灯具1aから出射する光と灯具1bから出射する光とによってハイビームの配光パターンが形成される。
図2、図3、図4に示すように、灯具1aでは、不図示の電源から電力が供給されることで、第1光源31及び第2光源41から白色の光L1,L2が出射する。第1光源31から出射する光L1は、補助レンズ36及び主レンズ35を透過して、第1発光光学系30から出射する。この第1発光光学系30から出射する光L1は、集光して反射装置50の反射制御面53に照射され、反射制御面53によって反射される。また、第2光源41から出射する光L2は、リフレクタ42の反射面42rによって反射され、第2発光光学系40から出射する。この第2発光光学系40から出射する光L2は、集光して反射装置50の反射制御面53に照射され、反射制御面53によって反射される。本実施形態では、これら光L1,L2のそれぞれは、反射制御面53の全面に照射される。
図7はハイビームの配光パターンを示す図である。図7においてSは水平線を示し、配光パターンが太線で示される。図7に示されるハイビームの配光パターンPHのうち、領域HA1は最も光の強度が高い領域であり、領域HA2、領域HA3、領域HA4の順に光の強度が低くなる。本実施形態では、ハイビームの配光パターンPHのうち、領域HA1全体と領域HA2の一部とを含む領域PHAは灯具1aから出射する光によって形成され、領域PHA以外は灯具1bから出射する光によって形成される。
図8は、図7に示すハイビームの配光パターンの一部を示す図であり、灯具1aから出射する光によって形成される領域PHAを示す図である。図8に示すように、光の強度が高い領域HA1における光の強度は一様ではなく、領域HA1aは最も光の強度が高い領域であり、領域HA1b、領域HA1c、領域HA1dの順に光の強度が低くなり、領域HA2における強度は領域HA1dにおける強度よりも低い。また、領域HA1aは領域PHAの中心PHAcと重なっており、領域PHAの光の強度分布は概ね左右対称の分布とされている。つまり、灯具1aの反射装置50における反射部51の複数の反射素子54の傾倒状態は、反射制御面53から第1方向に向けて出射する光LFがハイビームの配光パターンPHにおけるこのような領域PHAを形成する光となるように制御される。このため、反射部51の反射制御面53から第1方向へ出射する光LFによって形成される配光パターンはハイビームの配光パターンPHにおける領域PHAとなり、この光LFは、投影レンズ60を透過し、フロントカバー12を介して灯具1aから出射する。なお、反射制御面53から第2方向に向けて出射する光LSの多くは光吸収板70に入射して熱に変換される。また、図示による説明は省略するが、本実施形態では、主レンズ35の出射面35oから出射して反射制御面53に照射される光L1の反射制御面53での照射パターンは、左右方向に概ね対称とされる。また、この照射パターンにおける光の強度分布は反射制御面53の中心53c側の強度が高く中心53c側から外縁側に向かって強度が低下するような分布とされる。つまり、この照射パターンが上記のようになるように、主レンズ35の入射面35i及び出射面35oの形状が調節される。また、リフレクタ42の反射面42rで反射して反射制御面53に照射される光L2の反射制御面53での照射パターンは、左右方向に概ね対称とされる。また、この照射パターンにおける光の強度分布は反射制御面53の中心53c側の強度が高く中心53c側から外縁側に向かって強度が低下するような分布とされる。つまり、この照射パターンが上記のようになるように、リフレクタ42の反射面42rの形状が調節される。このため、主レンズ35の出射面35oから出射して反射制御面53に照射される光L1とリフレクタ42の反射面42rで反射して反射制御面53に照射される光L2とが合成された光の反射制御面53での照射パターンは、左右方向に概ね対称となる。また、この照射パターンにおける光の強度分布は反射制御面53の中心53c側の強度が高く中心53c側から外縁側に向かって強度が低下するような分布とされる。
本実施形態では、上記のように、反射部51の複数の反射素子54の傾倒状態が制御されることによって、ハイビームの配光パターンPHの一部が灯具1aから出射する光によって形成される。また、ハイビームの配光パターンPHの他の一部が灯具1bから出射する光によって形成される。そして、車両用灯具1からハイビームが出射される。なお、灯具1aから出射する光によって形成される領域PHAは灯具1bから出射する光によって形成される領域と重なっていてもよい。
以上説明したように、本実施形態の車両用灯具1は、光L1を出射する第1発光光学系30と、光L2を出射する第2発光光学系40と、反射装置50と、を備える。反射装置50は、第1発光光学系30から出射する光L1及び第2発光光学系40から出射する光L2を反射する反射制御面53を有し、この反射制御面53で反射する光によって所定の配光パターンを形成する。
ここで、反射装置50は反射制御面53による光の反射によって配光パターンを形成するため、形成する配光パターンにおける光LFの強度分布は反射制御面53における光の強度分布の影響を受ける傾向にある。本実施形態の車両用灯具1では、上記のように、第1発光光学系30から出射する光L1及び第2発光光学系40から出射する光L2が反射制御面53に照射される。このため、本実施形態の車両用灯具1は、1つの発光光学系から出射する光が反射制御面53に照射される場合と比べて、反射装置50の反射制御面53に照射される光量を増加させつつ、当該反射制御面53における光の強度分布の自由度を向上し得る。従って、本実施形態の車両用灯具1は、出射する光量を増加させつつ、出射する光の配光パターンにおける光の強度分布の自由度を向上し得る。
本実施形態の車両用灯具1では、第1発光光学系30は、第1光源31と第1光源31から出射する光L1を透過して反射装置50の反射制御面53に照射する主レンズ35とを有する。また、第2発光光学系40は、第2光源41と第2光源41から出射する光L2を反射して反射装置50の反射制御面53に照射するリフレクタ42とを有する。ここで、上記のように、レンズは入射面と出射面との2つの面を有するが、光を反射する光学部材であるリフレクタは反射面を有していればよく、レンズと比べて構造上の制約が少ない傾向にある。このため、一般的にリフレクタは、レンズと比べて、入射する光の強度分布を変化させて出射し易い傾向にある。このため、本実施形態の車両用灯具1は、第2発光光学系40が第2光源41と当該第2光源41から出射する光L2を透過して反射装置50の反射制御面53に照射するレンズとから構成される場合と比べて、反射制御面53における光の強度分布の自由度を向上し得る。また、上記のように、リフレクタは光を反射するためリフレクタで反射する光が光源によって遮られる場合があるが、レンズは光を透過するためレンズを透過する光が光源によって遮られることが抑制される。このため、本実施形態の車両用灯具1は、第1発光光学系30が第1光源31と当該第1光源31から出射する光L1を反射して反射装置50の反射制御面53に照射するリフレクタとから構成される場合と比べて、反射制御面53に照射される光量が減少することを抑制し得、車両用灯具1から出射する光量が減少することを抑制し得る。
本実施形態の車両用灯具1では、反射装置50から出射し所定の配光パターンを形成する光LFの発散角を調整する投影レンズ60を更に備える。このため、本実施形態の車両用灯具1は、投影レンズ60を備えない場合と比べて、出射する光の配光パターンの大きさを所望の大きさにし易い。
本実施形態の車両用灯具1では、反射装置50の反射制御面53は、傾倒状態を個別に切り替え可能である複数の反射素子54の反射面54rによって構成される。このため、これら複数の反射素子54の傾倒状態を制御することによって出射する光の配光パターンを変化させることができる。
本実施形態の車両用灯具1では、投影レンズ60を通り投影レンズ60の入射面60i側から出射面60o側に向かうにつれて投影レンズ60の光軸60aから離れるように傾く平面RPを基準として、投影レンズ60における当該投影レンズ60の光軸60a側と反対側が切り欠かれる。このため、投影レンズ60が切り欠かれることによって形成される空間内に部材を配置することができ、車両用灯具が小型化され得る。また、投影レンズ60が切り欠かれることによって当該投影レンズ60に形成される底面60bは、入射面60i側から出射面60o側に向かって投影レンズ60の光軸60aから離れるように傾く。このため、投影レンズ60が切り欠かれることによって投影レンズ60に形成される底面60bが投影レンズ60の光軸60aと平行である場合や入射面60i側から出射面60o側に向かって投影レンズ60の光軸60aに近づくように傾く場合と比べて、投影レンズ60に入射する光がこの底面60bで反射することを抑制し得、意図しない方向に光が出射されることを抑制し得る。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図9を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図9は、本発明の第2実施形態における車両用灯具の1つの灯具を図2と同様に示す図であり、灯具1aを図2と同様に示す図である。図9に示すように、本実施形態の灯具ユニット20は、第3発光光学系80を更に備える点において、第1実施形態の灯具ユニット20と主に異なる。
第3発光光学系80は、第2発光光学系40と同様に、第3光源81とリフレクタ82とを有する。第3光源81は、第2光源41と同様に、光を出射する出射面が概ね長方形で白色の光を出射する表面実装型のLEDとされる。また、第3光源81は、出射面が前方側を向くように配置され、第2光源41と同様に、不図示の回路基板に実装されている。
第3発光光学系80のリフレクタ82は、第3光源81から出射する光を反射面82rによって反射して当該光を反射装置50の反射制御面53に照射するように構成される。つまり、第3光源81から出射してリフレクタ82の反射面82rによって反射される光が第3発光光学系80から出射する。このため、第3発光光学系80における反射装置50の反射制御面53に光を照射する部位は、リフレクタ82の反射面82rである。
本実施形態では、リフレクタ82は、曲面状の板状部材とされ、前方側から第3光源81に被さるように配置される。リフレクタ82における第3光源81側の面が第3光源81から出射する光を反射する反射面82rとされる。この反射面82rは第3光源81側と反対側に凹状となるように湾曲し、例えば、回転楕円曲面を基調として第3光源81から出射する光を集光して反射制御面53に照射するように構成される。
本実施形態では、第1発光光学系30、第2発光光学系40、及び第3発光光学系80は、反射装置50の反射制御面53よりも下方側において、左右方向に並列されるように配置されている。具体的は、第1発光光学系30の主レンズ35、第2発光光学系40のリフレクタ42、第3発光光学系80のリフレクタ82が、所定の間隔を空けて左右方向に並列されている。これら部材の並列方向において、第2発光光学系40のリフレクタ42と第3発光光学系80のリフレクタ82との間に主レンズ35が位置している。また、このように配置される第2発光光学系40と第3発光光学系80は左右方向において互いに対称の構成とされている。また、第1発光光学系30の主レンズ35は、反射制御面53の中心を通り反射制御面53に垂直な基準平面RP1と交わっており、この基準平面RP1よりも一方側に第2発光光学系40のリフレクタ42が位置し、この基準平面RP1よりも他方側に第3発光光学系80のリフレクタ82が位置している。また、上記のように第1発光光学系30、第2発光光学系40、及び第3発光光学系80は、反射装置50の反射制御面53よりも下方側に位置している。このため、主レンズ35、リフレクタ42、及びリフレクタ82は、反射制御面53の中心を通り上記基準平面RP1及び反射制御面53と垂直な基準平面RP2よりも一方側に位置する。また、反射装置50の反射制御面53を平面視する場合に、主レンズ35、リフレクタ42、及びリフレクタ82のそれぞれと反射制御面53とは互いに重ならない。また、上記のように、主レンズ35、リフレクタ42、及びリフレクタ82は、所定の間隔を空けて左右方向に並列されているため、反射制御面53を平面視する場合に、主レンズ35、リフレクタ42、及びリフレクタ82は互いに重ならない。また、反射制御面53を平面視する場合に、主レンズ35、リフレクタ42、及びリフレクタ82は、左右方向に並列する。
本実施形態では、上記第1実施形態と同様に、ハイビームの配光パターンPHにおける領域PHAは灯具1aから出射する光によって形成され、領域PHA以外は灯具1bから出射する光によって形成される。灯具1aでは、第1光源31から出射する光L1は、補助レンズ36及び主レンズ35を透過して、第1発光光学系30から出射する。この第1発光光学系30から出射する光L1は、集光して反射装置50の反射制御面53に照射され、反射制御面53によって反射される。また、第2光源41から出射する光L2は、リフレクタ42の反射面42rによって反射され、第2発光光学系40から出射する。この第2発光光学系40から出射する光L2は、集光して反射装置50の反射制御面53に照射され、反射制御面53によって反射される。また、第3光源81から出射する光L3は、リフレクタ82の反射面82rによって反射され、第3発光光学系80から出射する。この第3発光光学系80から出射する光L3は、集光して反射装置50の反射制御面53に照射され、反射制御面53によって反射される。本実施形態では、これら光L1,L2,L3のそれぞれは、反射制御面53の全面に照射される。また、これら光L1,L2,L3が合成された光の反射制御面53での照射パターンは、左右方向に概ね対称とされ、この照射パターンにおける光の強度分布は反射制御面53の中心53c側の強度が高く中心53c側から外縁側に向かって強度が低下するような分布とされる。つまり、この照射パターンが上記のようになるように、主レンズ35の入射面35i及び出射面35oの形状、リフレクタ42の反射面42rの形状、及びリフレクタ82の反射面82rの形状が調節される。そして、反射装置50における反射部51の複数の反射素子54の傾倒状態は、反射制御面53から第1方向に向けて出射する光LFがハイビームの配光パターンPHにおける領域PHAを形成する光となるように制御される。このため、反射部51の反射制御面53から第1方向へ出射する光LFによって形成される配光パターンはハイビームの配光パターンPHにおける領域PHAとなり、この光LFは、投影レンズ60を透過し、フロントカバー12を介して灯具1aから出射する。
本実施形態の車両用灯具1は、上記のように、第1発光光学系30、第2発光光学系40、及び第3発光光学系80を備える。このため、本実施形態の車両用灯具1は、2つの発光光学系から出射する光が反射制御面53に照射される場合と比べて、反射制御面53に照射される光量を増加させつつ、当該反射制御面53における光の強度分布の自由度を向上し得る。
本実施形態の車両用灯具1は、上記のように、第1発光光学系30の主レンズ35は反射装置50の反射制御面53の中心53cを通り反射装置50の反射制御面53に垂直な基準平面RP1と交わり、第2発光光学系40のリフレクタ42は基準平面RP1よりも一方側に位置し、第3発光光学系80のリフレクタ82は基準平面RP1よりも他方側に位置する。このため、第1発光光学系30の主レンズ35が反射制御面53の中心53cを通り反射装置50の反射制御面53に垂直な基準平面RP1と交わらない場合と比べて、第1発光光学系30から反射装置50の反射制御面53に入射する光L1の基準平面RP1と垂直な方向における入射角が大きくなることを抑制し得る。このため、第1発光光学系30から出射する光L1の反射装置50の反射制御面53における照射パターンを基準平面RP1と垂直な方向において対称にし易い。また、第2発光光学系40から出射する光L2と第3発光光学系80から出射する光L3は、反射装置50の反射制御面53を平面視する場合に基準平面RP1を基準とした互いに異なる側から反射装置50の反射制御面53に入射する。また、第2発光光学系40及び第3発光光学系80のそれぞれにおける反射装置50の反射制御面53に光を照射する部位は、リフレクタ42,82の反射面42r,82rである。このため、第2発光光学系40から出射する光L2の反射装置50の反射制御面53における照射パターンと、第3発光光学系80から出射する光L3の反射装置50の反射制御面53における照射パターンとが基準平面RP1と垂直な方向において互いに対称となるようにし易い。このため、反射装置50の反射制御面53における光の強度分布を基準平面RP1と垂直な方向において対称となるようにし易い。従って、車両用灯具1から出射する光の配光パターンにおける光の強度分布が所定の方向において対称に近い分布とされる場合に、特に有用である。なお、主レンズ35は、反射装置50の反射制御面53の中心53cを通り反射装置50の反射制御面53に垂直な基準平面RP1と交わらないように配置されてもよい。また、リフレクタ42とリフレクタ82とは、基準平面RP1を基準とした同じ側に位置するように配置されてもよい。
本実施形態の車両用灯具1は、上記のように、反射装置50の反射制御面53を平面視する場合に、第1発光光学系30の主レンズ35、第2発光光学系40のリフレクタ42、及び第3発光光学系80のリフレクタ82は、互いに重ならない。このため、反射装置50の反射制御面53を平面視する場合に主レンズ35とリフレクタ42とリフレクタ82における少なくとも2つが互いに重なる場合と比べて、第2発光光学系40が有する部材及び第3発光光学系80が有する部材によって第1発光光学系30から出射する光L1の一部が遮られたり、第1発光光学系30が有する部材及び第3発光光学系80が有する部材によって第2発光光学系40から出射する光L2の一部が遮られたり、第1発光光学系30が有する部材及び第2発光光学系40が有する部材によって第3発光光学系80から出射する光L3の一部が遮られたりすることを抑制し得る。なお、主レンズ35、リフレクタ42、及びリフレクタ82は、反射装置50の反射制御面53を平面視する場合に、少なくとも2つが互いに重なるように配置されてもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図10を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図10は、本発明の第3実施形態における車両用灯具の1つの灯具を図2と同様に示す図であり、灯具1aを図2と同様に示す図である。図10に示すように、本実施形態の灯具ユニット20は、第4発光光学系90を更に備える点において、第1実施形態の灯具ユニット20と主に異なる。
第4発光光学系90は、第1発光光学系30と同様に、第4光源91と主レンズ95と補助レンズ96とを有する。第4光源91は、第1光源31と同様に、光を出射する出射面が概ね長方形で白色の光を出射する表面実装型のLEDとされる。また、第4光源91は、出射面が後方側を向くように配置され、第1光源31と同様に、不図示の回路基板に実装されている。
補助レンズ96は、第1発光光学系30の補助レンズ36と同様に、入射する光の発散角を調節するレンズである。補助レンズ96は、当該補助レンズ96の入射面が第4光源91の出射面と対向するように配置され、第4光源91から出射する光が補助レンズ96に入射し、この光の発散角が補助レンズ96で調整される。本実施形態では、補助レンズ96は、入射面が平面状に形成され出射面が凸状に形成されたレンズとされ、第4光源91から出射する光の発散角が補助レンズ96で小さくなるように調節される。
主レンズ95は、第1発光光学系30の主レンズ35と同様に、入射する光の発散角を調節するレンズである。主レンズ95は、当該主レンズ95の入射面95iが補助レンズ96の出射面と対向するように配置され、補助レンズ96の出射面から出射する光が主レンズ95に入射し、この光の発散角が主レンズ95で調整される。このように主レンズ95で発散角が調整された光が反射装置50の反射制御面53に照射される。つまり、第4光源91から出射して補助レンズ96及び主レンズ95を透過する光が第4発光光学系90から出射する。このため、第4発光光学系90における反射装置50の反射制御面53に光を照射する部位は、主レンズ95の出射面95oである。本実施形態では、主レンズ95は、入射面95i及び出射面95oが凸状に形成されたレンズとされ、第4光源91から出射して補助レンズ96を透過する光は、この主レンズ95によって集光されて反射装置50の反射制御面53に照射される。
本実施形態では、第1発光光学系30、第2発光光学系40、及び第4発光光学系90は、反射装置50の反射制御面53よりも下方側において、左右方向に並列されるように配置されている。具体的は、第1発光光学系30の主レンズ35、第2発光光学系40のリフレクタ42、第4発光光学系90の主レンズ35が、所定の間隔を空けて左右方向に並列されている。これら部材の並列方向において、第1発光光学系30の主レンズ35と第4発光光学系90の主レンズ95との間に第2発光光学系40のリフレクタ42が位置している。また、このように配置される第1発光光学系30と第4発光光学系90は左右方向において互いに対称の構成とされている。また、第2発光光学系40のリフレクタ42は、反射制御面53の中心を通り反射制御面53に垂直な基準平面RP1と交わっており、この基準平面RP1よりも一方側に第1発光光学系30の主レンズ35が位置し、この基準平面RP1よりも他方側に第4発光光学系90の主レンズ95が位置している。また、上記のように第1発光光学系30、第2発光光学系40、及び第4発光光学系90は、反射装置50の反射制御面53よりも下方側に位置している。このため、主レンズ35、リフレクタ42、及び主レンズ95は、反射制御面53の中心を通り上記基準平面RP1及び反射制御面53と垂直な基準平面RP2よりも一方側に位置する。また、反射装置50の反射制御面53を平面視する場合に、主レンズ35、リフレクタ42、及び主レンズ95のそれぞれと反射制御面53とは互いに重ならない。また、上記のように、主レンズ35、リフレクタ42、及び主レンズ95は、所定の間隔を空けて左右方向に並列されているため、反射制御面53を平面視する場合に、主レンズ35、リフレクタ42、及び主レンズ95は互いに重ならない。また、反射制御面53を平面視する場合に、主レンズ35、リフレクタ42、及び主レンズ95は、左右方向に並列する。
本実施形態では、上記第1実施形態と同様に、ハイビームの配光パターンPHにおける領域PHAは灯具1aから出射する光によって形成され、領域PHA以外は灯具1bから出射する光によって形成される。灯具1aでは、第1光源31から出射する光L1は、補助レンズ36及び主レンズ35を透過して、第1発光光学系30から出射する。この第1発光光学系30から出射する光L1は、集光して反射装置50の反射制御面53に照射され、反射制御面53によって反射される。また、第2光源41から出射する光L2は、リフレクタ42の反射面42rによって反射され、第2発光光学系40から出射する。この第2発光光学系40から出射する光L2は、集光して反射装置50の反射制御面53に照射され、反射制御面53によって反射される。また、第4光源91から出射する光L4は、補助レンズ96及び主レンズ95を透過して、第4発光光学系90から出射する。この第4発光光学系90から出射する光L4は、集光して反射装置50の反射制御面53に照射され、反射制御面53によって反射される。本実施形態では、これら光L1,L2,L4のそれぞれは、反射制御面53の全面に照射される。また、これら光L1,L2,L4が合成された光の反射制御面53での照射パターンは、左右方向に概ね対称とされ、この照射パターンにおける光の強度分布は反射制御面53の中心53c側の強度が高く中心53c側から外縁側に向かって強度が低下するような分布とされる。つまり、この照射パターンが上記のようになるように、主レンズ35の入射面35i及び出射面35oの形状、リフレクタ42の反射面42rの形状、及び主レンズ95の入射面95i及び出射面95oの形状が調節される。そして、反射装置50における反射部51の複数の反射素子54の傾倒状態は、反射制御面53から第1方向に向けて出射する光LFがハイビームの配光パターンPHにおける領域PHAを形成する光となるように制御される。このため、反射部51の反射制御面53から第1方向へ出射する光LFによって形成される配光パターンはハイビームの配光パターンPHにおける領域PHAとなり、この光LFは、投影レンズ60を透過し、フロントカバー12を介して灯具1aから出射する。
本実施形態の車両用灯具1は、上記のように、第1発光光学系30、第2発光光学系40、及び第4発光光学系90を備える。このため、本実施形態の車両用灯具1は、2つの発光光学系から出射する光が反射制御面53に照射される場合と比べて、反射制御面53に照射される光量を増加させつつ、当該反射制御面53における光の強度分布の自由度を向上し得る。
本実施形態の車両用灯具1は、上記のように、第2発光光学系40のリフレクタ42は反射装置50の反射制御面53の中心53cを通り反射装置50の反射制御面53に垂直な基準平面RP1と交わり、第1発光光学系30の主レンズ35は基準平面RP1よりも一方側に位置し、第4発光光学系90の主レンズ95は基準平面RP1よりも他方側に位置する。このため、第2発光光学系40のリフレクタ42が反射制御面53の中心53cを通り反射装置50の反射制御面53に垂直な基準平面RP1と交わらない場合と比べて、第2発光光学系40から反射装置50の反射制御面53に入射する光L2の基準平面RP1と垂直な方向における入射角が大きくなることを抑制し得る。このため、第2発光光学系40から出射する光L2の反射装置50の反射制御面53における照射パターンを基準平面RP1と垂直な方向において対称にし易い。また、第1発光光学系30から出射する光L1と第4発光光学系90から出射する光L4は、基準平面RP1を基準とした互いに異なる側から反射装置50の反射制御面53に入射する。また、第1発光光学系30及び第4発光光学系90のそれぞれにおける反射装置50の反射制御面53に光を照射する部位は、主レンズ35,95の出射面35o,95oである。このため、第1発光光学系30から出射する光L1の反射装置50の反射制御面53における照射パターンと、第4発光光学系90から出射する光L4の反射装置50の反射制御面53における照射パターンとが基準平面RP1と垂直な方向において互いに対称となるようにし易い。このため、反射装置50の反射制御面53における光の強度分布を基準平面RP1と垂直な方向において対称となるようにし易い。従って、車両用灯具1から出射する光の配光パターンにおける光の強度分布が所定の方向において対称に近い分布とされる場合に、特に有用である。なお、リフレクタ42は、反射装置50の反射制御面53の中心53cを通り反射装置50の反射制御面53に垂直な基準平面RP1と交わらないように配置されてもよい。また、主レンズ35と主レンズ95とは、基準平面RP1を基準とした同じ側に位置するように配置されてもよい。
本実施形態の車両用灯具1は、上記のように、反射装置50の反射制御面53を平面視する場合に、第1発光光学系30の主レンズ35、第2発光光学系40のリフレクタ42、及び第4発光光学系90の主レンズ95は、互いに重ならない。このため、反射装置50の反射制御面53を平面視する場合に主レンズ35とリフレクタ42と主レンズ95における少なくとも2つが互いに重なる場合と比べて、第2発光光学系40が有する部材及び第4発光光学系90が有する部材によって第1発光光学系30から出射する光L1の一部が遮られたり、第1発光光学系30が有する部材及び第4発光光学系90が有する部材によって第2発光光学系40から出射する光L2の一部が遮られたり、第1発光光学系30が有する部材及び第2発光光学系40が有する部材によって第4発光光学系90から出射する光L4の一部が遮られたりすることを抑制し得る。なお、主レンズ35、リフレクタ42、及び主レンズ95は、反射装置50の反射制御面53を平面視する場合に、少なくとも2つが互いに重なるように配置されてもよい。
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、車両用灯具1は、ハイビームまたはロービームを照射するものとされたが、本発明は特に限定されない。例えば、車両用灯具1は、画像を構成する光を路面等の被照射体に照射するものとされてもよい。また、車両用灯具が画像を構成する光を路面等の被照射体に照射するものとされる場合、車両用灯具が出射する光の方向や車両用灯具が車両に取り付けられる位置は特に限定されない。
また、上記実施形態では、灯具1aから出射する光と灯具1bから出射する光とによってハイビームの配光パターンが形成されていた。しかし、車両用灯具1は、灯具1aから出射する光のみによって、ハイビーム等の所定の配光パターンを形成してもよい。この場合、灯具1aの反射装置50における反射部51の複数の反射素子54の傾倒状態は、反射制御面53から第1方向に向けて出射する光LFが所定の配光パターンを形成する光となるように制御される。
また、上記第1実施形態では車両用灯具1は2つの発光光学系30,40を有し、上記第2実施形態では車両用灯具1は3つの発光光学系30,40,80を有し、上記第3実施形態では車両用灯具1は3つの発光光学系30,40,90を有していた。しかし、車両用灯具1は複数の発光光学系を有していればよく、発光光学系の数は特に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、複数の発光光学系は、左右方向に並列して配置されていたが、複数の発光光学系は、上下方向に並列して配置されていてもよく、特定の方向に並列していなくてもよく、並列方向や並び順は特に限定されるものではない。例えば、上記第2実施形態において、主レンズ35、リフレクタ42、リフレクタ82は、反射装置50の反射制御面53に沿った方向から見て、反射装置50側と反対側に凹状となる弧状に配置されてもよい。つまり、主レンズ35がリフレクタ42及びリフレクタ82よりも前方側に配置されてもよい。また、上記第3実施形態において、主レンズ35、リフレクタ42、主レンズ95は、反射装置50の反射制御面53に沿った方向から見て、反射装置50側と反対側に凹状となる弧状に配置されてもよい。つまり、リフレクタ42が主レンズ35及び主レンズ95よりも前方側に配置されてもよい。
また、上記第2実施形態では、第2発光光学系40と第3発光光学系80とは対称の構成とされ、上記第3実施形態では、第1発光光学系30と第4発光光学系90とは対称の構成とされていた。しかし、これらの発光光学系は、非対称の構成とされてもよい。また、上記実施形態では、第1発光光学系30及び第4発光光学系90は補助レンズ36,96を有していたが、補助レンズ36,96を有していなくてもよい。この場合、主レンズ35は補助レンズ36を兼ねるような構成とされ、主レンズ95は補助レンズ96を兼ねるような構成とされることが好ましい。つまり、主レンズ35は、第1光源31から出射する光の発散角が小さくなるように調節しつつ、主レンズ35の出射面35oから出射する光が反射制御面53に照射されるように構成されることが好ましい。また、主レンズ95は、第4光源91から出射する光の発散角が小さくなるように調節しつつ、主レンズ95の出射面95oから出射する光が反射制御面53に照射されるように構成されることが好ましい。また、上記実施形態では、リフレクタ42,82は、光源41,81から出射する光を集光して反射制御面53に照射するような曲面状に形成されていた。しかし、リフレクタ42,82は、光源41,81から出射する光を反射制御面53に照射可能に構成されていればよい。
また、上記実施形態では、発光光学系から出射する光L1,L2,L3,L4は、反射制御面53の全面に照射されていた。しかし、発光光学系から出射する光L1,L2,L3,L4は、反射制御面53に照射されればよく、反射制御面53の一部にのみ照射されてもよい。
また、上記実施形態では、反射装置50は、傾倒状態を個別に切り替え可能である複数の反射素子54の反射面54rによって構成される反射制御面53を有している所謂DMDとされた。しかし、反射装置は、複数の発光光学系から出射するそれぞれの光を反射する反射面を有し、当該反射面で反射する光によって所定の配光パターンを形成すればよい。このような反射装置として、例えば、反射型の液晶パネルであるLCOS(Liquid Crystal On Silicon)が挙げられる。
LCOSは、それぞれ独立して電位が制御される複数の電極が表面にマトリックス状に配置されたシリコン基板、透明電極、及び電極と透明電極とに挟まれる液晶層を備える。LCOSでは、複数の電極の電位がそれぞれ独立して制御されることによって、それぞれの電極と透明電極とに挟まれる液晶層の屈折率が独立して変化する。このため、透明電極側から入射して電極で反射して透明電極側から出射する光は、電極の電位に応じる屈折率とされる液晶層を透過する。従って、LCOSに入射する光の位相は各電極に対応する部位ごとに調節され、位相分布が変調された光がLCOSから出射する。位相が互いに異なる光は干渉し合って回折するため、LCOSは、各電極に対応する液晶層の屈折率から成るパターンに応じて入射する光を回折し、この屈折率のパターンに基づく配光パターンの光を出射する。上記のように、LCOSでは、透明電極側から入射する光は、電極で反射して透明電極側から出射し、この透明電極側から出射する光によって配光パターンが形成される。このため、LCOSでは、電極の透明電極側の面が光を反射する反射面であり、電極の透明電極側の面によって反射する光によって配光パターンが形成されると理解できる。また、LCOSは、複数の電極の電位を制御することで、電極の透明電極側の面によって反射する光によって形成される配光パターンを変更できる。
また、上記実施形態では、光源31,41,81,91は、表面実装型のLEDとされた。しかし、光源は特に限定されるものではなく、例えば、光源はレーザ光を出射するレーザ素子とされてもよい。
本発明によれば、出射する光量を増加させつつ、出射する光の配光パターンにおける光の強度分布の自由度を向上させ得る車両用灯具が提供され、自動車等の車両用灯具などの分野において利用可能である。