以下、図面を参照しながら、本発明に係るプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るプリンタ100の正面図である。図2は、図1のII-II線におけるプリンタ100の断面図である。以下の説明において、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、プリンタ100を正面から見たときの前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。ここで、プリンタ100の正面の側とは、後述する媒体5(図1参照)を搬送する際の下流側のことをいう。また、図面中の矢印は、空気の流れを示している。
図面中の符号Yは主走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは左右方向である。主走査方向Yは、後述のプリントヘッド24(図2参照)の移動方向である。主走査方向Yは、第2方向の一例である。図面中の符号Xは副走査方向を示している。本実施形態では、副走査方向Xは、前後方向であり、平面視において主走査方向Yと交差(詳しくは直交)する方向である。副走査方向Xは、媒体5の移動方向である。本実施形態では、媒体5は、副走査方向Xのうち後ろから前に向かって移動するものとする。そのため、後側を上流側といい、前側を下流側という。ここでは、副走査方向Xは、第1方向の一例である。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ100の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
プリンタ100は、いわゆるインクジェット方式のプリンタである。しかしながら、プリンタ100の方式は、インクジェット方式に限定されず、例えばドットインパクト方式のプリンタであってもよいし、レーザプリンタやサーマルプリンタであってもよい。
図1に示すように、プリンタ100は、媒体5に対して印刷を行うものである。媒体5は例えばロール状の記録紙であり、いわゆるロール紙である。媒体5は、熱が付与されると加温する性質を持ち、かつ、熱が付与されると媒体5に吐出されたインクの乾燥が促進される。なお、媒体5の種類などは特に限定されない。例えば媒体5は、普通紙やインクジェット用印刷紙などの紙類以外に、ポリ塩化ビニルやポリエステルなどの樹脂製のシートやフィルム、板材、織布や不織布などの布帛、その他の媒体であってもよい。
本実施形態に係るプリンタ100は、家庭用のプリンタと比較すると主走査方向Yに長い、いわゆる大型のプリンタである。例えばプリンタ100は、業務用のプリンタである。
本実施形態では、図1および図2に示すように、プリンタ100は、プリンタ本体10と、ガイドレール20と、キャリッジ22と、プリントヘッド24と、ヘッド移動機構30と、プラテン40と、上流側エプロン42と、下流側エプロン44と、媒体移動機構50と、吸着機構60と、プラテンヒータ70と、下流側ヒータ72と、ダクト機構80と、制御装置110とを備えている。
図1に示すように、プリンタ本体10は、主走査方向Yに延びたケーシングを有する。プリンタ本体10には、脚11が設けられている。脚11は、プリンタ本体10を支持し、プリンタ本体10から下方に向かって延びている。なお、図2では、脚11の図示は省略されている。本実施形態では、プリンタ本体10には、操作パネル13が設けられている。操作パネル13は、利用者が印刷に関する操作を行うものである。ここでは、操作パネル13は、プリンタ本体10の右側の前面に設けられているが、操作パネル13の設置位置は特に限定されない。操作パネル13は、例えば解像度、インクの濃さなどの印刷に関する情報や、印刷中のプリンタ100のステータスなどが表示される表示部14と、印刷に関する情報を入力するための入力キー15とを有する。
ガイドレール20は、プリンタ本体10に固定されており、主走査方向Yに延びている。キャリッジ22は、ガイドレール20に摺動可能に係合している。キャリッジ22は、ガイドレール20に沿って主走査方向Yに移動することが可能である。
図2に示すように、プリントヘッド24は、プラテン40に向かってインクを吐出する。詳しくは、プリントヘッド24は、プラテン40に支持された媒体5に向かってインクを吐出する。プリントヘッド24は、キャリッジ22に設けられている。プリントヘッド24は、キャリッジ22と共にガイドレール20に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。
図3は、キャリッジ22の下面を模式的に示した図である。図3に示すように、プリントヘッド24は、インクを吐出する複数のノズル25が形成されたノズル面26を有している。このノズル面26は、プリントヘッド24の下面を構成しており、プラテン40(図2参照)と対向している。1つのプリントヘッド24において、複数のノズル25は、副走査方向Xに並んで配置されている。
なお、プリントヘッド24の数は特に限定されない。本実施形態では、プリントヘッド24の数は4つである。4つのプリントヘッド24は、主走査方向Yに並んで配置されている。なお、プリントヘッド24から吐出されるインクの色は特に限定されず、例えばシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなどのプロセスカラーインク、および、クリアインク、ホワイトインクなどの特色インクのうちの何れかの色のインクを吐出する。
図1に示すように、ヘッド移動機構30は、キャリッジ22と共にプリントヘッド24(図2参照)を主走査方向Yに移動させる機構である。ヘッド移動機構30の構成は特に限定されない。本実施形態では、ヘッド移動機構30は、左右のプーリ31a、31bと、ベルト32と、スキャンモータ33とを有している。左のプーリ31aは、ガイドレール20の左端部に設けられている。右のプーリ31bは、ガイドレール20の右端部に設けられている。ベルト32は、無端状のベルトであり、左右のプーリ31a、31bに巻き掛けられている。ベルト32には、キャリッジ22が取り付け固定されている。ここでは、右のプーリ31bには、スキャンモータ33が接続されている。スキャンモータ33が駆動することで、右のプーリ31bが回転し、ベルト32が走行する。このことで、キャリッジ22およびプリントヘッド24は、ガイドレール20に沿って主走査方向Yに移動する。
次に、プラテン40、上流側エプロン42および下流側エプロン44について説明する。図2に示すように、プラテン40は、媒体5を支持するものである。媒体5への印刷は、プラテン40上で行われる。プラテン40は、ガイドレール20、キャリッジ22およびプリントヘッド24の下方に配置されている。図4は、プラテン40、上流側エプロン42および下流側エプロン44を模式的に示す平面図である。図4に示すように、プラテン40は主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がっている。プラテン40は、副走査方向Xよりも主走査方向Yに長いものである。本実施形態では、図2に示すように、プラテン40の表面(言い換えると上面)は、平らな面を有している。この平らな面に媒体5が載置され、平らな面に載置された媒体5の部分にプリントヘッド24からインクが吐出される。
上流側エプロン42は、媒体5を支持する。上流側エプロン42は、プラテン40の上流側(ここでは後方)に配置されている。ここでは、上流側エプロン42は、プラテン40と連続している。上流側エプロン42は、媒体5をプラテン40に案内するものである。上流側エプロン42に支持された媒体5の部分は、媒体移動機構50によってプラテン40に移動する。上流側エプロン42は、例えば横断面円弧状に形成されている。上流側エプロン42は、プラテン40から離れるほど下方に向かうように湾曲している。
下流側エプロン44は、媒体5を支持する。下流側エプロン44は、プラテン40の下流側(ここでは前方)に配置されている。下流側エプロン44は、プラテン40と連続している。ここでは、下流側エプロン44は、例えばプラテン40に支持されている媒体5の部分を、媒体5を巻き取る巻き取り装置(図示せず)に案内するものである。プラテン40に支持された媒体5の部分は、媒体移動機構50によって下流側エプロン44に移動する。その後、媒体移動機構50によって、下流側エプロン44に支持された媒体5の部分が上記巻き取り装置に巻き取られる。下流側エプロン44は、例えば横断面円弧状に形成されている。下流側エプロン44は、プラテン40から離れるほど下方に向かうように湾曲している。
媒体移動機構50は、プラテン40に支持された媒体5を、副走査方向Xであって上流(ここでは後ろ)から下流(ここでは前)に移動させる機構である。ここでは、媒体移動機構50は、上流側エプロン42に支持された媒体5の部分をプラテン40に移動させ、かつ、プラテン40に支持された媒体5の部分を下流側エプロン44に移動させる。媒体移動機構50は、下流側エプロン44に支持された媒体5の部分を、上記巻き取り装置に向かって移動させる。
なお、媒体移動機構50の構成は特に限定されない。本実施形態では、図1に示すように、媒体移動機構50は、グリットローラ51と、ピンチローラ52と、フィードモータ53と、を有している。グリットローラ51は、プラテン40に設けられている。ここでは、図2に示すように、グリットローラ51の一部がプラテン40から上方に露出しており、グリットローラ51の他の一部がプラテン40に埋設されている。なお、図4では、グリットローラ51の図示は省略されている。ピンチローラ52は、媒体5を上から押さえつけるものである。ピンチローラ52は、プラテン40の上方であって、グリットローラ51の上方に配置されている。ピンチローラ52は、グリットローラ51と対向する位置に設けられている。ピンチローラ52は、上下に移動可能に構成されている。なお、グリットローラ51およびピンチローラ52のそれぞれの設置位置および数は特に限定されない。本実施形態では、図1に示すように、グリットローラ51およびピンチローラ52は、プラテン40の左端部および右端部にそれぞれ配置されている。
本実施形態では、フィードモータ53は、グリットローラ51に接続されている。グリットローラ51とピンチローラ52との間に媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ53が駆動する。フィードモータ53が駆動してグリットローラ51が回転すると、媒体5は副走査方向Xに移動する。
次に、吸着機構60について説明する。吸着機構60は、プラテン40に支持された媒体5の部分をプラテン40に吸着させる機構である。本実施形態では、図4に示すように、プラテン40には、複数の吸着孔41が形成されている。吸着孔41は、プラテン40を上下に貫通するものであり、複数の吸着孔41は、プラテン40の表面の全体に亘って形成されている。図2に示すように、吸着機構60は、プラテン40の下方に配置されており、吸着孔41(図4参照)を通じてプラテン40上の空気を吸引することで、媒体5をプラテン40に吸着させる。
なお、吸着機構60の構成は特に限定されない。本実施形態では、吸着機構60は、吸着本体61と、吸着ファン63とを有している。吸着本体61は、内部に吸着空間61aを有する箱状のものである。吸着本体61は、プラテン40の下面に設けられている。例えば吸着本体61は、上方に開口しており、その開口部分がプラテン40によって閉じられている状態である。吸着本体61の吸着空間61aは、吸着本体61とプラテン40とによって囲まれた空間である。本実施形態では、吸着本体61の吸着空間61aは、プラテン40に形成された複数の吸着孔41(図4参照)の下方に位置している。吸着本体61は、平面視においてプラテン40の全体に亘って配置されている。
本実施形態では、吸着本体61は、底板62aと、側板62bとを有している。底板62aは、プラテン40の下方において、プラテン40と離間するように配置されている。底板62aは、プラテン40と対向している。底板62aは、例えば矩形状であり、平面視においてプラテン40と同じ大きさを有している。側板62bは、底板62aの端からプラテン40に向かって延びている。側板62bの上端は、プラテン40に接続されている。ここでは、側板62bの右側を構成する部位は、プラテン40の右端部に接続され、側板62bの左側を構成する部位は、プラテン40の左端部に接続されている。平面視において側板62bは、吸着空間61aを囲んでいる。平面視において、側板62b内にプラテン40に形成された複数の吸着孔41が位置する。本実施形態では、側板62bと底板62aとの間、および、側板62bとプラテン40との間には、隙間が形成されていない。
吸着ファン63は、吸着本体61の吸着空間61aに接続されており、吸着空間61aの空気を吸引する。ここで、吸着空間61aに「接続」とは、吸着空間61aと連通している状態のことをいう。本実施形態では、吸着ファン63は、吸着本体61の下方に配置されており、底板62aに取り付けられている。図4に示すように、吸着ファン63は、ファン吸引口64と、ファン排出口65とを有している。ファン吸引口64は、吸着空間61a(ここでは上方)に向かって開口している。吸着空間61aの空気は、ファン吸引口64を通じて吸着ファン63内に吸引される。ファン排出口65は、吸着空間61a以外の方(例えば側方または下方)に向かって開口している。ファン吸引口64から吸着ファン63内に吸引された空気は、ファン排出口65から外部に排出される。
本実施形態では、吸着ファン63が駆動(言い換えると、図示しない羽根が回転)することで、吸着本体61の吸着空間61aの空気が吸着ファン63に吸引される。このとき、プラテン40に形成された吸着孔41を通じて、プラテン40上の空気が吸着空間61aに引き込まれる。このことで、プラテン40上の媒体5がプラテン40に吸着される。
本実施形態では、プラテン40は、図2に示すプラテンヒータ70によって温められる。プラテンヒータ70は、プラテン40を温めることで、プラテン40に載置された媒体5の部分を温めることができる。このことで、媒体5の温められた部分に吐出されたインクであって、プリントヘッド24から吐出された直後のインクの乾燥が促進される。図2に示すように、プラテンヒータ70は、プラテン40に設けられ、かつ、吸着空間61aに配置されている。詳しくは、プラテンヒータ70は、プラテン40の下面であって、吸着本体61内に位置する。なお、プラテンヒータ70の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。プラテンヒータ70の数が複数の場合、複数のプラテンヒータ70は、例えば主走査方向Yに並んで配置されている。
下流側エプロン44は、下流側ヒータ72によって温められる。下流側ヒータ72は、下流側エプロン44を温めることで、下流側エプロン44に載置された媒体5の部分を温めることができる。このことで、媒体5の温められた部分に吐出されたインクの乾燥が促進される。下流側ヒータ72は、プラテンヒータ70よりも副走査方向Xの下流側(ここでは前方)に配置されている。下流側ヒータ72は、下流側エプロン44に設けられている。ここでは、下流側ヒータ72は、下流側エプロン44の下面に配置されており、吸着機構60よりも下流側に配置されている。なお、下流側ヒータ72の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。本実施形態では、下流側ヒータ72は2つである。下流側ヒータ72の数が複数の場合、複数の下流側ヒータ72は、例えば主走査方向Yに並んで配置されている。
なお、プラテンヒータ70および下流側ヒータ72の種類は特に限定されない。プラテンヒータ70と下流側ヒータ72は、同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。本実施形態では、プラテンヒータ70および下流側ヒータ72は、例えばニクロム線によって構成されている。ただし、プラテンヒータ70および下流側ヒータ72の種類は、ニクロム線に限定されず、例えばラバーヒータ、シリコンゴムヒータ、カーボンヒータ、ポリイミドヒータなどであってもよい。
このように、本実施形態では、プラテン40および下流側エプロン44は、ヒータ70、72によって温められる。一方、上流側エプロン42には、ヒータが設けられておらず、上流側エプロン42は、ヒータによって直接温められない。しかしながら、上流側エプロン42に載置された媒体5の部分も温められた方が好ましい。上流側エプロン42に載置された媒体5の部分は、プリントヘッド24からインクが吐出される前であり、印刷が行われる前の部分である。仮に、上流側エプロン42において媒体5が温められない場合、上流側エプロン42で温められない媒体5の部分は、プラテン40上においてプラテンヒータ70によって急に温められることになる。その結果、プラテン40に支持された媒体5の部分に歪みが生じ易くなる。歪みが生じた媒体5に対してインクが吐出されることで、印刷の品質が低下することがあった。
そのため、プリンタ100は、印刷時の媒体5の歪みを抑制するために、上流側エプロン42を温める構成を有している方がよい。ここで、上流側エプロン42にヒータを設けることが考えられるが、プリンタ100の消費電力は小さい方が好ましい。
そこで、本願発明者は、プリンタ100の消費電力を抑えつつ、上流側エプロン42を温める構成について検討した。その結果、本願発明者は、下流側エプロン44に設けられた下流側ヒータ72の熱を利用して、上流側エプロン42を温めることを見出した。下流側ヒータ72が熱を発しているとき、下流側エプロン44が温められるが、下流側エプロン44以外に、下流側ヒータ72の周りの空気も温められる。そこで、本実施形態では、下流側ヒータ72の周りの温められた空気を利用して、上流側エプロン42を温めることとする。
本実施形態に係るプリンタ100は、下流側ヒータ72によって温められた空気を利用して、上流側エプロン42を温めることを実現するため、ダクト機構80を備えている。ダクト機構80は、下流側ヒータ72の周りの温められた空気を上流側エプロン42に送る機構である。本実施形態では、ダクト機構80は、下流側ヒータ72によって温められた空気を循環させる機構である。すなわち、ダクト機構80は、下流側エプロン44の下方の空気(言い換えると、下流側ヒータ72によって温められた空気)を上流側エプロン42の下方に送り、上流側エプロン42の下方の空気を、下流側エプロン44の下方に送る機構である。本実施形態では、ダクト機構80は、図2に示すように、プラテン40、上流側エプロン42および下流側エプロン44の下方において、吸着機構60を除いた空間に配置されている。
なお、ダクト機構80の構成は特に限定されない。図5は、吸着機構60とダクト機構80との位置関係を模式的に示した平面図である。図6は、ダクト機構80を模式的に示した平面断面図である。本実施形態では、図6に示すように、ダクト機構80は、上流側ダクト82と、下流側ダクト84と、ジョイントダクト86と、ファン88とを有している。上流側ダクト82は、内部に空間を有している。図2に示すように、上流側ダクト82は、上流側エプロン42の下方において、下流側ヒータ72に温められた空気が通るものである。このように、上流側ダクト82に温かい空気が通ることで、上流側エプロン42が温められる。
上流側ダクト82は、上流側エプロン42の下方に配置されている。本実施形態では、上流側ダクト82は、プラテン40よりも副走査方向Xの上流側(ここでは後方)に配置され、図5に示すように、吸着機構60よりも副走査方向Xの上流側に配置されている。上流側ダクト82は、主走査方向Yに延びている。詳しい図示は省略するが、上流側ダクト82の主走査方向Yの一端(ここでは左端)は、上流側エプロン42の左端部の下方に位置する。上流側ダクト82の主走査方向Yの他端(ここでは右端)は、上流側エプロン42の右端部の下方に位置する。上流側ダクト82は、平面視において上流側エプロン42の左端部から右端部まで延びたものである。
ここでは、図2に示すように、上流側ダクト82は、一部が上流側エプロン42によって形成されている。上流側ダクト82における上流側エプロン42によって形成された部分以外の部分は、上流側ダクト82の専用の部材によって形成されていてもよい。ただし、上流側ダクト82における上流側エプロン42によって形成された以外の部分は、吸着機構60の側板62bなどの他の構成部材によって形成されていてもよい。
下流側ダクト84は、下流側エプロン44の下方において、下流側ヒータ72に温められた空気が通るものである。下流側ダクト84は、下流側エプロン44の下方に配置されている。本実施形態では、下流側ダクト84は、プラテン40および吸着機構60よりも副走査方向Xの下流側(ここでは前方)に配置されている。図5に示すように、平面視において、下流側ダクト84は、プラテン40(図2参照)および吸着機構60を挟んで、上流側ダクト82と対向している。下流側ダクト84は、主走査方向Yに延びている。詳しい図示は省略するが、下流側ダクト84の主走査方向Yの一端(ここでは左端)は、下流側エプロン44の左端部の下方に位置する。下流側ダクト84の主走査方向Yの他端(ここでは右端)は、下流側エプロン44の右端部の下方に位置する。下流側ダクト84は、平面視において下流側エプロン44の左端部から右端部まで延びたものである。
本実施形態では、図2に示すように、下流側ダクト84の一部は、下流側エプロン44によって形成されている。下流側ダクト84内には、下流側エプロン44に設けられた下流側ヒータ72が配置される。下流側ダクト84における下流側エプロン44によって形成された部分以外の部分は、下流側ダクト84の専用の部材によって形成されていてもよい。ただし、下流側ダクト84における下流側エプロン44によって形成された以外の部分は、吸着機構60の側板62bなどの他の構成部材によって形成されていてもよい。
図6に示すように、ジョイントダクト86は、上流側ダクト82と下流側ダクト84とに接続されている。ここでの「接続」とは、ジョイントダクト86の内部と、上流側ダクト82の内部、および、下流側ダクト84の内部とが連通している状態のことをいう。図2に示すように、ジョイントダクト86は、プラテン40の下方に配置されている。また、ジョイントダクト86は、吸着機構60とは干渉しない位置に配置されている。
本実施形態では、図6に示すように、ジョイントダクト86は、第1ジョイントダクト86aと、第2ジョイントダクト86bとを有しており、第1ジョイントダクト86aおよび第2ジョイントダクト86bの2つの部材によって構成されている。第1ジョイントダクト86aは、上流側ダクト82の主走査方向Yの一端部(ここでは左端部)と、下流側ダクト84の主走査方向Yの一端部とに接続されている。ここでは、第1ジョイントダクト86は、内部に空間を有しており、上流側ダクト82の内部と、下流側ダクト84の内部とに連通している。
第1ジョイントダクト86aは、副走査方向Xに延びている。第1ジョイントダクト86aは、プラテン40の左端部の下方に配置されている。図5に示すように、第1ジョイントダクト86aは、吸着機構60の吸着本体61の下方であって、吸着機構60の吸着ファン63の左方に配置されている。また、図示は省略するが、第1ジョイントダクト86aは、上流側ダクト82の上端部よりも下方に配置され、かつ、下流側ダクト84の上端部よりも下方に配置されている。
図6に示すように、第2ジョイントダクト86bは、上流側ダクト82の主走査方向Yの他端部(ここでは右端部)と、下流側ダクト84の主走査方向Yの他端部とに接続されている。ここでは、第2ジョイントダクト86bは、内部に空間を有しており、上流側ダクト82の内部と、下流側ダクト84の内部とに連通している。第2ジョイントダクト86bは、副走査方向Xに延びており、プラテン40の右端部の下方に配置されている。図5に示すように、第2ジョイントダクト86bは、吸着本体61の下方に配置され、かつ、吸着ファン63の右方に配置されている。
また、図2に示すように、第2ジョイントダクト86bは、上流側ダクト82の上端部、および、下流側ダクト84の上流端よりも下方に配置されている。ここでは、第2ジョイントダクト86bは、第1ジョイントダクト86aと同じ高さの位置に配置されている。図6に示すように、第2ジョイントダクト86bは、吸着ファン63を挟んで第1ジョイントダクト86aと対向している。本実施形態では、第2ジョイントダクト86bの形状および大きさは、第1ジョイントダクト86aと同じである。
ファン88は、下流側ダクト84内の空気を上流側ダクト82へ送るものである。本実施形態では、ファン88は、ジョイントダクト86内に配置されている。詳しくは、ファン88は、ジョイントダクト86の第1ジョイントダクト86aの内部に配置されている。そのため、ファン88は、下流側ダクト84内の空気を第1ジョイントダクト86a内に引き込み、上流側ダクト82に向かって送り出す。ここでは、ファン88は、上流側ダクト82、下流側ダクト84およびジョイントダクト86において、空気の流れを作るものである。ファン88は、図6の矢印のように、下流側ダクト84、第1ジョイントダクト86a、上流側ダクト82および第2ジョイントダクト86bの順で空気を循環させる。
以上、ダクト機構80について説明した。次に、制御装置110について説明する。図7は、プリンタ100のブロック図である。制御装置110は、媒体5への印刷に関する制御を行う装置である。制御装置110の構成は特に限定されない。制御装置110は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されない。例えば制御装置110は、I/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置と、を備えている。制御装置110は、図1に示すように、プリンタ本体10の内部に設けられている。ただし、制御装置110はプリンタ本体10の内部に設けられていなくてもよい。例えば、制御装置110は、プリンタ本体10の外部に設置されたコンピュータなどであってもよい。この場合、制御装置110は、有線または無線を介してプリンタ100と通信可能に接続されている。
本実施形態では、図7に示すように、制御装置110は、操作パネル13の表示部14および入力キー15と通信可能に接続されている。制御装置110は、プリントヘッド24に通信可能に接続されており、プリントヘッド24におけるノズル25(図3参照)からのインクの吐出のタイミングや吐出量を制御する。制御装置110は、ヘッド移動機構30(詳しくはスキャンモータ33)、および、媒体移動機構50(詳しくはフィードモータ53)に通信可能に接続されている。制御装置110は、ヘッド移動機構30を制御することで、プリントヘッド24の主走査方向Yの移動を制御する。また、制御装置110は、媒体移動機構50を制御することで、プラテン40に支持された媒体5の副走査方向Xへの移動を制御する。
本実施形態では、制御装置110は、吸着機構60の吸着ファン63に通信可能に接続されている。制御装置110は、吸着ファン63の駆動(詳しくは、羽根の回転)を制御することで、プラテン40に支持された媒体5をプラテン40に吸着させる制御を行う。また、制御装置110は、プラテンヒータ70および下流側ヒータ72に通信可能に接続されている。制御装置110は、プラテンヒータ70の発熱量などを制御することで、プラテン40、および、プラテン40に支持された媒体5の部分の温めを制御する。また、制御装置110は、下流側ヒータ72の発熱量などを制御することで、下流側エプロン44、および、下流側エプロン44に支持された媒体5の部分の温めを制御する。また、制御装置110は、ダクト機構80のファン88と通信可能に接続されている。制御装置110は、ファン88の駆動を制御することで、下流側ダクト84から上流側ダクト82へ送る空気の量やタイミングを制御する。
以上、本実施形態に係るプリンタ100の構成について説明した。ここでは、印刷中において、図2に示すように、プラテンヒータ70および下流側ヒータ72から熱が発せられる。プラテンヒータ70から発せられた熱によって、プラテン40が温められる。そのことで、プラテン40に支持された媒体5の部分が温められ、その部分に吐出されたインクの乾燥が促進される。また、下流側ヒータ72から発せられた熱によって、下流側エプロン44が温められる。その結果、プラテン40から送られ、かつ、印刷が行われた媒体5の部分であって、下流側エプロン44に支持された媒体5の部分が温められ、その部分の印刷の乾燥が促進される。
また、本実施形態では、印刷中、図6に示すように、下流側ヒータ72から熱が発せられると共に、ダクト機構80のファン88が駆動される。下流側ヒータ72から熱が発せられることで、下流側ヒータ72の周りの空気であって、下流側ダクト84内の空気が温められる。そのような状態で、ファン88が駆動しているため、下流側ダクト84内の温かい空気は、図6の矢印のように、第1ジョイントダクト86aを通じて、上流側ダクト82に送り込まれる。その後、温かい空気が上流側ダクト82を通ることで、温かい空気によって上流側エプロン42が温められる。そのことで、上流側エプロン42に支持された媒体5の部分が温められる。なお、本実施形態では、ファン88によって、上流側ダクト82、下流側ダクト84およびジョイントダクト86内において空気の流れが作られる。そのため、ファン88によって、上流側ダクト82内の空気は、第2ジョイントダクト86bを通じて下流側ダクト84に送り込まれる。このように、空気は、下流側ダクト84、第1ジョイントダクト86a、上流側ダクト82および第2ジョイントダクト86bの順で循環する。
以上、本実施形態では、図2に示すように、プラテン40は、媒体5を支持する。プリントヘッド24は、プラテン40に向かってインクを吐出する。媒体移動機構50は、プラテン40に支持された媒体5を上流から下流に向かう副走査方向Xに移動させる。上流側エプロン42は、プラテン40の上流側に配置され、下流側エプロン44は、プラテン40の下流側に配置されている。下流側ヒータ72は、下流側エプロン44に設けられている。本実施形態に係るプリンタ100は、図6に示すように、上流側ダクト82と、下流側ダクト84と、ジョイントダクト86と、ファン88とを備えている。上流側ダクト82は、上流側エプロン42の下方に配置され(図2参照)、主走査方向Yに延びている。下流側ダクト84は、下流側エプロン44の下方に配置され(図2参照)、主走査方向Yに延びている。ジョイントダクト86は、上流側ダクト82と下流側ダクト84とに接続されている。ファン88は、図6の矢印にように、下流側ダクト84内の空気を上流側ダクト82へ送る。
このことによって、本実施形態では、図2に示すように、下流側ヒータ72から熱が発せられることで、下流側エプロン44が温められる。よって、プラテン40上で印刷が行われた媒体5の部分を、下流側エプロン44で温めることができる。また、本実施形態では、図6に示すように、下流側ヒータ72から熱が発せられた状態で、ファン88が駆動することで、下流側ヒータ72の周りの温かい空気が、下流側ダクト84およびジョイントダクト86を通じて、上流側ダクト82に送り込まれる。そのため、上流側ダクト82には、温かい空気が入り込み、この温かい空気によって上流側エプロン42が温められる。よって、上流側エプロン42で温められた媒体5がプラテン40に移動して、上流側エプロン42で温められた媒体5に対して印刷が行われるため、印刷時の媒体5の歪みを抑制することができる。また、本実施形態では、下流側ヒータ72によって温められた空気を利用して上流側エプロン42を温めているため、消費電力を抑えることができる。したがって、プリンタ100の消費電力を抑えつつ、印刷の前後において媒体5を温めることができる。
本実施形態では、ジョイントダクト86は、上流側ダクト82の主走査方向Yの一端部(ここでは左端部)と下流側ダクト84の主走査方向Yの一端部とに接続された第1ジョイントダクト86aと、上流側ダクト82の主走査方向Yの他端部(ここでは右端部)と下流側ダクト84の主走査方向Yの他端部とに接続された第2ジョイントダクト86bと、を有する。このことによって、下流側ダクト84内において下流側ヒータ72で温められた空気を、下流側ダクト84、第1ジョイントダクト86a、上流側ダクト82および第2ジョイントダクト86b内で循環させることができる。よって、下流側ダクト84、第1ジョイントダクト86a、上流側ダクト82および第2ジョイントダクト86b内の空気を温め易くすることができる。
本実施形態では、ファン88は、ジョイントダクト86内に配置されている。詳しくは、ファン88は、ジョイントダクト86の第1ジョイントダクト86a内に配置されている。このことによって、下流側ダクト84内の温かい空気を、ジョイントダクト86内に直接引き込んで、上流側ダクト82へ送り込むことができる。そのため、上流側ダクト82に温かい空気を送り込み易い。
本実施形態では、図4に示すように、プラテン40には、複数の吸着孔41が形成されている。プリンタ100は、図2に示すように、吸着本体61と、吸着ファン63とを備えている。吸着本体61は、プラテン40の下方であって、上流側ダクト82と下流側ダクト84との間に配置された吸着空間61aを有する。吸着ファン63は、吸着空間61aに接続され、吸着空間61a内の空気を吸引する。ジョイントダクト86は、吸着本体61の下方に配置されている。このことによって、吸着ファン63が駆動することで、吸着空間61aの空気を吸引することができる。吸着空間61aの空気が吸引されることで、プラテン40上の空気が吸着孔41を通じて吸着空間61aに吸引される。よって、プラテン40に支持された媒体5をプラテン40に吸着させることができる。また、本実施形態では、ジョイントダクト86は、吸着本体61の下方に配置されている。そのため、媒体5をプラテン40に吸着させることを実現させつつ、ジョイントダクト86を配置することができる。また、吸着本体61の下方の空間は、デッドスペースであるため、デッドスペースを有効活用することができる。
本実施形態では、プラテンヒータ70は、プラテン40に設けられ、かつ、吸着空間61aに配置されている。このことによって、印刷の前後に媒体5を温めると共に、印刷直後においても媒体5を温めることができる。よって、媒体5の印刷の乾燥をより促進することができる。
本実施形態において、ダクト機構80のファン88は、第1ジョイントダクト86a内に配置されていたが、ファン88の位置は特に限定されない。ファン88は、例えば第2ジョイントダクト86b内に配置されていてもよいし、上流側ダクト82内に配置されていてもよいし、下流側ダクト84内に配置されていてもよい。
本実施形態では、ダクト機構80において、空気は、下流側ダクト84、第1ジョイントダクト86a、上流側ダクト82および第2ジョイントダクト86bの順で循環している。しかしながら、空気は、本実施形態とは反対周り、すなわち下流側ダクト84、第2ジョイントダクト86b、上流側ダクト82および第1ジョイントダクト86aの順に循環していてもよい。この場合において第1ジョイントダクト86a内にファン88が配置されているとき、ファン88は、上流側ダクト82から下流側ダクト84に向かって空気を送る向きに配置されているとよい。この場合であっても、第2ジョイントダクト86b内では、下流側ダクト84から上流側ダクト82に向かって空気が送られるため、ファン88は、下流側ダクト84内の空気を上流側ダクト82に送るように構成されているといえる。
本実施形態では、ジョイントダクト86は、第1ジョイントダクト86aと、第2ジョイントダクト86bとの2つのダクトで構成されていた。しかしながら、ジョイントダクト86は、1つのダクトによって構成されていてもよいし、3つ以上のダクトによって構成されていてもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るプリンタ100Aについて説明する。図8は、第2実施形態に係るプリンタ100Aのダクト機構80を模式的に示した平面断面図であり、図6相当図である。図8に示すように、第2実施形態に係るプリンタ100Aは、ダクト機構80Aを備えている。ダクト機構80Aは、上流側ダクト82Aを有している。本実施形態では、上流側ダクト82Aが、第1実施形態の上流側ダクト82(図6参照)と構成が異なる以外、プリンタ100Aは、第1実施形態に係るプリンタ100と同様の構成を有している。そのため、以下では、上流側ダクト82Aの構成について説明し、その他の構成の説明は適宜省略する。
上流側ダクト82Aは、上流側エプロン42(図2参照)の下方に配置されるものであり、下流側ヒータ72に温められた空気が通るものである。上流側ダクト82Aは、第1上流側ダクト181と、第2上流側ダクト182と、上流側接続ダクト183とを有する。
図8に示すように、第1上流側ダクト181は、主走査方向Yに延びたものである。第1上流側ダクト181は、第1ジョイントダクト86aに接続され、第1ジョイントダクト86aから第2ジョイントダクト86bに向かって延びたものである。詳しくは、第1上流側ダクト181の左端部が第1ジョイントダクト86aの後端に接続されている。第1上流側ダクト181は、ファン88が内部に配置された第1ジョイントダクト86aと連通している。なお、第1上流側ダクト181は、第2ジョイントダクト86bに直接接続されていない。
第2上流側ダクト182は、第1上流側ダクト181と同様に、主走査方向Yに延びている。第2上流側ダクト182は、第2ジョイントダクト86bに接続され、第2ジョイントダクト86bから第1ジョイントダクト86aに向かって延びたものである。詳しくは、第2上流側ダクト182の右端部が第2ジョイントダクト86bの後端に接続されている。第2上流側ダクト182は、第2ジョイントダクト86bと連通している。なお、第2上流側ダクト182は、第1ジョイントダクト86aに直接接続されていない。
第2上流側ダクト182は、第1上流側ダクト181から離間するように、副走査方向Xに並んで配置されている。本実施形態では、第2上流側ダクト182は、第1上流側ダクト181よりも上流側(ここでは後方)に配置されている。しかしながら、第1上流側ダクト181に対する第2上流側ダクト182の位置は特に限定されない。第2上流側ダクト182は、例えば第1上流側ダクト181よりも下流側に配置されていてもよいし、第1上流側ダクト181よりも上方または下方に配置されていてもよい。
上流側接続ダクト183は、第1上流側ダクト181と第2上流側ダクト182との間に配置されており、第1上流側ダクト181と第2上流側ダクト182に接続されている。上流側接続ダクト183は、第1上流側ダクト181および第2上流側ダクト182と連通しており、第1上流側ダクト181と第2上流側ダクト182との間で空気を送るダクトとして機能する。なお、上流側接続ダクト183の数は、特に限定されず、複数であってもよい。本実施形態では、第1上流側ダクト181と第2上流側ダクト182とは、7つの上流側接続ダクト183に接続されている。なお、以下では、7つの上流側接続ダクト183に対して、第1ジョイントダクト86a側(ここでは左側)から第2ジョイントダクト86b側(ここでは右側)に向かって順に183a~183gの符号を付して適宜説明する。
本実施形態では、上流側接続ダクト183a~183gは、所定の間隔で主走査方向Yに並んで配置されている。上流側接続ダクト183a~183gは、等間隔で配置されてもよいし、一部または全部が異なる間隔で配置されてもよい。最も第1ジョイントダクト86a側に配置されている上流側接続ダクト183aは、第1上流側ダクト181の左端部、および、第2上流側ダクト182の左端部に接続されている。最も第2ジョイントダクト86b側に配置されている上流側接続ダクト183gは、第1上流側ダクト181の右端部に接続されている。
複数の上流側接続ダクト183のそれぞれの容積は、第1ジョイントダクト86a側から第2ジョイントダクト86b側に向かうにしたがって、大きくなる。言い換えると、複数の上流側接続ダクト183のそれぞれの径は、第1ジョイントダクト86a側から第2ジョイントダクト86b側に向かうに連れて、長くなる。ここでは、上流側接続ダクト183aの容積は、上流側接続ダクト183b~183gのそれぞれの容積よりも小さい。上流側接続ダクト183a~183gのうち、上流側接続ダクト183aの容積が最も小さく、上流側接続ダクト183gの容積が最も大きい。本実施形態では、例えば上流側接続ダクト183aが第1上流側接続ダクトの一例であり、上流側接続ダクト183bが第2上流側接続ダクトの一例である。
本実施形態に係るダクト機構80Aでは、下流側ヒータ72で温められた下流側ダクト84内の温かい空気は、図8の矢印のように、第1ジョイントダクト86aを通じて、第1上流側ダクト181の第1ジョイントダクト86a側の端部(ここでは左端部)から第1上流側ダクト181内に送り込まれる。そのため、温かい空気は、第1上流側ダクト181の左端部から右端部に向かって流れる。このとき、第1上流側ダクト181は、主走査方向Yに長いため、右端部に向かうに連れて、空気の温度が徐々に低くなる傾向になることがあり得る。
ここで、第1上流側ダクト181と第2上流側ダクト182とは、複数の上流側接続ダクト183に接続されており、第1上流側ダクト181内の空気の一部は、複数の上流側接続ダクト183を通じて第2上流側ダクト182内に送り込まれる。このとき、上流側接続ダクト183a~183gの容積に応じて、第2上流側ダクト182に送り込まれる空気の量が変更される。例えば、容積が最も小さい上流側接続ダクト183aから第2上流側ダクト182に送り込まれる空気の量は、比較的に少なくなる。このとき、上流側接続ダクト183aよりも第2ジョイントダクト86b側に位置する第1上流側ダクト181の部分には、より多くの空気が送られる。そのため、上流側接続ダクト183aよりも第2ジョイントダクト86b側に位置する第1上流側ダクト181の部分に送る込まれる空気の温度を低くなり難くすることができる。なお、上流側接続ダクト183aから第2上流側ダクト182の左端部には、第1上流側ダクト181の左端部の比較的に温かい空気が送られるため、少ない空気の量であっても第2上流側ダクト182の左端部を温めることができる。
一方、容積が最も大きい上流側接続ダクト183gから第2上流側ダクト182に送り込まれる空気の量は、比較的に多くなる。ここで、上流側接続ダクト183gから第2上流側ダクト182の右端部には、第1上流側ダクト181の左端部よりも温度が多少低いと考えれる空気が送られることになるが、送られる空気の量が多い。また、第2上流側ダクト182の右端部には、第2上流側ダクト182の左端部から空気が送られる。このように、第2上流側ダクト182の右端部には、比較的に多くの空気が送られることで、当該右端部を流れる空気の温度が低くなり難い。
以上のことから、本実施形態では、ダクト機構80Aは、上流側ダクト82A内で空気の温度が低くなり難い構造であるため、上流側ダクト82A内の空気の温度のばらつきを小さくすることができる。よって、上流側エプロン42を一様に温めることができる。したがって、上流側エプロン42に支持された媒体5の部分を一様に温めることができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係るプリンタ100Bについて説明する。図9は、第3実施形態に係るプリンタ100Bのダクト機構80Bを模式的に示した平面断面図であり、図6相当図である。図9に示すように、第3実施形態に係るプリンタ100Bは、ダクト機構80Bを備えている。ダクト機構80Bは、上流側ダクト82Bを有している。本実施形態では、上流側ダクト82Bが、第1実施形態の上流側ダクト82(図6参照)と構成が異なる以外、プリンタ100Bは、第1実施形態に係るプリンタ100と同様の構成を有している。そのため、以下では、上流側ダクト82Bの構成について説明し、その他の構成の説明は適宜省略する。
本実施形態では、図9に示すように、上流側ダクト82Bの左端部は、第1ジョイントダクト86aに接続され、上流側ダクト82Bの右端部は、第2ジョイントダクト86bに接続されている。上流側ダクト82Bの形状は、テーパー状であり、第1ジョイントダクト86a側から第2ジョイントダクト86b側に向かうに連れて、上流側ダクト82Bの径が長くなっている。言い換えると、上流側ダクト82Bにおいて、第1ジョイントダクト86aから第2ジョイントダクト86bに向かうにしたがって断面積が大きくなっている。本実施形態における断面積は、径方向に切断したときの切断面の面積のことをいう。
更に言い換えると、例えば上流側ダクト82Bは、第1部分282aと、第1部分282aよりも第2ジョイントダクト86b側に位置する第2部分282bとを含んでいる。第1部分282aおよび第2部分282bは、共に上流側ダクト82Bの一部分を構成している。ここで、第1部分282aの径は、第2部分282bの径よりも短く、かつ、第1部分282aの断面積は、第2部分282bの断面積よりも小さい。
本実施形態に係るダクト機構80Bでは、下流側ヒータ72で温められた下流側ダクト84内の温かい空気は、第1ジョイントダクト86aを通じて、上流側ダクト82Bの第1ジョイントダクト86a側の端部(ここでは左端部)から上流側ダクト82B内に送り込まれる。そのため、温かい空気は、上流側ダクト82Bの左端部から右端部に向かって流れる。このとき、上流側ダクト82Bは、主走査方向Yに長いため、右端部に向かうに連れて、空気の温度が徐々に低くなる傾向になり得る。しかしながら、上流側ダクト82Bの形状は、テーパー状であるため、上流側ダクト82Bの左端部から右端部に向かうに従って、単位時間当たりに流れる空気の量を多くすることができる。よって、上流側ダクト82Bの右端部に流れる空気の温度を低くなり難くすることができる。
更に、本実施形態では、図9に示すように、上流側ダクト82Bには、断熱材285が設けられている。断熱材285は、上流側ダクト82Bに沿って主走査方向Yに延びたものである。断熱材285は、第1ジョイントダクト86aから第2ジョイントダクト86bに向かって延びている。断熱材285は、上流側ダクト82Bの少なくとも一部を覆っている。本実施形態では、断熱材285は、上流側ダクト82Bの後部を覆っている。しかしながら、断熱材285は、上流側ダクト82Bの前部を覆っていてもよいし、上流側ダクト82Bの上部または下部を覆っていてもよい。なお、断熱材285の具体的な種類は特に限定されない。例えば断熱材285は、発砲スチロールによって形成されている。
本実施形態では、断熱材285は、第1ジョイントダクト86a側から第2ジョイントダクト86b側に向かうにしたがって断面積が徐々に小さくなっている。言い換えると、例えば断熱材285は、第1断熱部分285aと、第1断熱部分285aよりも第2ジョイントダクト86b側に位置する第2断熱部分285bとを含んでいる。第1断熱部分285aおよび第2断熱部分285bは、共に断熱材285の一部分を構成している。ここで、第1断熱部分285aの断面積は、第2断熱部分285bの断面積よりも大きい。
このように、上流側ダクト82Bに断熱材285が設けられることで、断熱材285が設けられた上流側ダクト82Bの部分を流れる空気の温度は低くなり難い。よって、上流側ダクト82B内の空気の温度のばらつきを小さくすることができる。
本実施形態では、断熱材285の断面積が大きい部分が設けられた上流側ダクト82Bの部分を流れる空気は、断熱材285の断面積が小さい部分が設けられた上流側ダクト82Bの部分を流れる空気よりも温度が低くなり難い。言い換えると、第1断熱部分285aが設けられた上流側ダクト82Bの部分を流れる空気は、第2断熱部分285bが設けられた上流側ダクト82Bの部分を流れる空気よりも温度が低くなり難い。よって、断面積が大きい断熱材285の部分を、上流側ダクト82Bの第1ジョイントダクト86a側の部分に設けることで、温度の下がり幅が小さい空気を、上流側ダクト82Bの第2ジョイントダクト86b側に送ることができる。よって、上流側ダクト82B内の空気の温度のばらつきをより小さくすることができる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係るプリンタ100Cについて説明する。図10は、第4実施形態に係るプリンタ100Cのダクト機構80Cを模式的に示した平面断面図であり、図6相当図である。図10に示すように、第4実施形態に係るプリンタ100Cは、ダクト機構80Cを備えている。本実施形態では、ダクト機構80Cが、第1実施形態のダクト機構80(図6参照)と構成が異なる以外、プリンタ100Cは、第1実施形態に係るプリンタ100と同様の構成を有している。そのため、以下では、ダクト機構80Cの構成について説明し、その他の構成の説明は適宜省略する。
図10に示すように、ダクト機構80Cは、上流側ダクト82Cと、下流側ダクト84Cと、ジョイントダクト86Cとを有している。ダクト機構80Cでは、ダクト機構80Cの専用のファン(例えば第1実施形態のようなファン88(図6参照))は、設けられておらず、吸着機構60の吸着ファン63を利用する。
上流側ダクト82Cは、第1実施形態に係る上流側ダクト82(図6参照)と同様に、上流側エプロン42(図2参照)の下方に配置されており、主走査方向Yに延びている。上流側ダクト82Cの一端部(ここでは左端部)は、ジョイントダクト86Cに接続されている。上流側ダクト82Cの他端部(ここでは右端部)には、ダクト排出口380が形成されている。上流側ダクト82Cを流れる空気は、ダクト排出口380を通じて外部に排出される。このように、本実施形態に係るダクト機構80Cは、第1実施形態に係るダクト機構80(図6参照)と異なり、空気は循環しない。
下流側ダクト84Cは、第1実施形態に係る下流側ダクト84(図6参照)と同様に、下流側エプロン44(図2参照)の下方に配置されており、主走査方向Yに延びている。ここでは、下流側ダクト84Cの一端部は、ジョイントダクト86Cに接続されている。下流側ダクト84Cの他端部には、ダクト吸引口381が形成されている。このダクト吸引口381には、吸着機構60の吸着ファン63のファン排出口65が接続されている。
本実施形態では、ダクト吸引口381には、ファンダクト366の一端が接続されている。ファンダクト366の他端は、吸着ファン63のファン排出口65に接続されている。そのため、ダクト吸引口381は、ファンダクト366を介してファン排出口65に間接的に接続されている。
ジョイントダクト86Cは、第1実施形態に係るジョイントダクト86(図6参照)のように複数のダクトによって構成されておらず、1つのダクトによって構成されている。ジョイントダクト86Cの後端は、上流側ダクト82Cの左端部に接続されている。ジョイントダクト86Cの前端は、下流側ダクト84Cの左端部に接続されている。ジョイントダクト86Cは、内部に空間を有しており、上流側ダクト82の内部と、下流側ダクト84の内部とに連通している。ジョイントダクト86Cは、副走査方向Xに延びている。ジョイントダクト86Cは、プラテン40(図4参照)の左端部の下方に配置されている。ジョイントダクト86Cは、吸着機構60の吸着本体61(図2参照)の下方であって、吸着機構60の吸着ファン63の左方に配置されている。また図示は省略するが、ジョイントダクト86Cは、上流側ダクト82Cの上端部よりも下方に配置され、かつ、下流側ダクト84Cの上端部よりも下方に配置されている。
本実施形態では、吸着機構60の吸着ファン63が駆動することで、プラテン40に支持された媒体5の部分がプラテン40に吸着される。このとき、吸着空間61aの空気は、ファン吸引口64を通じて吸着ファン63に吸引される。ファン吸引口64から吸着ファン63内に吸引された空気は、ファン排出口65から吸着ファン63の外部に排出される。ここでは、ファン排出口65は、ファンダクト366を介して下流側ダクト84Cのダクト吸引口381に接続されているため、ファン排出口65から排出された空気は、図10の矢印のように、ダクト吸引口381を通じて下流側ダクト84C内に排出される。
ダクト吸引口381を通じて下流側ダクト84C内に送り込まれた空気は、下流側ダクト84Cの右端部から左端部に向かって流れる。このとき、ダクト吸引口381から送り込まれた空気は、下流側ヒータ72によって温められた空気と混在することで、温められた空気となる。その後、下流側ダクト84の左端部内の温められた空気は、ジョイントダクト86Cを通じて、上流側ダクト82Cの左端部に送り込まれる。上流側ダクト82C内において、左端部から右端部に向かって空気が流れ、上流側ダクト82Cのダクト排出口380からダクト機構80Cの外部に排出される。
本実施形態であっても、上流側ダクト82Cを流れる空気は、下流側ヒータ72によって温めれた空気であるため、上流側エプロン42を温めることができる。よって、上流側エプロン42に支持された媒体5の部分であって、印刷前の媒体5の部分を温めることができる。
また、本実施形態では、吸着機構60において、媒体5をプラテン40に吸着させるために利用される吸着ファン63を利用して、下流側ヒータ72によって温められた空気を、上流側ダクト82C内に送り込んでいる。よって、ダクト機構80Cの専用のファンを利用しなくてもよいため、部品点数を削減することができる。