JP7394269B1 - 正極活物質の製造方法 - Google Patents

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Abstract

下記工程を含む正極活物質の製造方法。(1)正極活物質、結着材、及び、電解質を含み、電解質洗浄溶媒との接触により前記電解質の少なくとも一部が除去された電極合材に、1種又は2種以上のアルカリ金属化合物を含有する活性化処理剤を混合して混合物を得る(2)混合物を、活性化処理剤の溶融開始温度以上の保持温度に加熱する(3)工程(2)後の混合物を、水を含む液体と接触させて固体成分及び液体成分を含むスラリーを得て、その後、スラリーを固体成分と液体成分とに分離する(4)得られた固体成分を加熱及び/又は減圧環境に曝して固体成分から水を除去し、スラリーを固体成分と前記液体成分とに分離してから24時間以内に、固体成分が存在する環境気圧に対する、固体成分の温度における飽和水蒸気圧の比が80%以上となるように、環境気圧及び/又は固体成分の温度を変更する(5)(4)工程後の固体成分を900℃未満で熱処理する

Description

本発明は、正極活物質の製造方法に関する。
電池の正極活物質にはコバルト、ニッケル、マンガン、リチウムなどの希少金属成分が含有されており、特に非水電解質二次電池の正極活物質には、上記の希少金属成分を主成分とする化合物が利用されている。希少金属成分の資源を保全するために、二次電池の電池廃材から、希少金属成分を再生産する方法が求められている。
例えば、特許文献1には、電極合材とアルカリ金属化合物を含有する活性化処理剤とを混合し、混合物を加熱してバインダーを分解し、水などにより分解物や活性化処理剤を除去して正極活物質を回収する方法が開示されている。この方法では、有機溶剤を使用せずに、電池廃材から正極活物質を直接回収する点でコスト的に優れている。
特開2012-186150号公報
ところで、再生産後の正極活物質を好適に再利用するに当たり、再生産工程前後での正極活物質の劣化を抑制することが求められる。正極活物質が劣化すると、再生後の正極活物質を使用した電池の性能、例えば、充放電容量の低下、内部抵抗の増大につながり好ましくない。
本発明の課題は、正極活物質の劣化を抑えることが可能な、正極活物質の製造方法を提供することにある。
一側面に係る方法は、下記工程を含む正極活物質の製造方法である。
下記工程を含む正極活物質の製造方法。
(1)正極活物質、結着材、及び、電解質を含み、電解質洗浄溶媒との接触により前記電解質の少なくとも一部が除去された電極合材に、1種又は2種以上のアルカリ金属化合物を含有する活性化処理剤を混合して混合物を得る工程
(2)前記混合物を、前記活性化処理剤の溶融開始温度以上の保持温度に加熱する工程
(3)前記工程(2)後の混合物を、水を含む液体と接触させて固体成分及び液体成分を含むスラリーを得て、その後、前記スラリーを固体成分と液体成分とに分離する工程
(4)得られた固体成分を加熱及び/又は減圧環境に曝して前記固体成分から水を除去する工程であり、前記スラリーを前記固体成分と前記液体成分とに分離してから24時間以内に、前記固体成分が存在する環境気圧に対する、前記固体成分の温度における飽和水蒸気圧の比が80%以上となるように、前記環境気圧及び/又は前記固体成分の温度を変更する工程、
(5)前記(4)工程後の固体成分を900℃未満で熱処理する工程
前記正極活物質が、下記の元素群1から選ばれる1種以上の元素と、元素群2から選ばれる1種以上の元素とを含有する複合酸化物であることができる。
元素群1:Ni、Co、Mn、Fe、Al、P
元素群2:Li、Na、K、Ca、Sr、Ba、Mg
前記正極活物質が、下式のように表されることができる。
Li1+a 2+d
ただし、Mは、Na、K、Ca、Sr、Ba、及び、Mgからなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、
は、Ni、Co、Mn、Fe、Al、及び、Pからなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、
は、Ni、Co、Mn、及び、Fe以外の遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、
XはO及びPを除く非金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、
-0.4<a<1.5,0≦b<0.5,0≦c<0.5,-0.5<d<1.5,0≦e<0.5を満たす。
正極活物質の劣化を抑えつつ、電極合材から正極活物質を生産することができる。
(正極活物質の製造方法)
以下、リサイクルに係る正極活物質の製造方法について説明する。
本発明の実施形態に係る正極活物質の製造方法は、下記工程を含む。
(1)正極活物質、結着材、及び、電解質を含み、電解質洗浄溶媒との接触により前記電解質の少なくとも一部が除去された電極合材に、1種又は2種以上のアルカリ金属化合物を含有する活性化処理剤を混合して混合物を得る工程
(2)前記混合物を、前記活性化処理剤の溶融開始温度以上の保持温度に加熱する工程
(3)前記工程(2)後の混合物を、水を含む液体と接触させて固体成分及び液体成分を含むスラリーを得て、その後、前記スラリーを固体成分と液体成分とに分離する工程
(4)得られた固体成分を加熱及び/又は減圧環境に曝して前記固体成分から水を除去する工程であり、前記スラリーを前記固体成分と前記液体成分とに分離してから24時間以内に、前記固体成分が存在する環境気圧に対する、前記固体成分の温度における飽和水蒸気圧の比が80%以上となるように、前記環境気圧及び/又は前記固体成分の温度を変更する工程、
(5)前記(4)工程後の固体成分を900℃未満で熱処理する工程
以下、本実施形態における各工程について詳細に説明する。
工程(1):活性化処理剤混合工程
(1)正極活物質、結着材、及び、電解質を含み、電解質洗浄溶媒との接触により前記電解質の少なくとも一部が除去された電極合材に、1種又は2種以上のアルカリ金属化合物を含有する活性化処理剤を混合して混合物を得る工程
<電解質洗浄溶媒との接触前の電極合材>
接触前の電極合材は、正極活物質、結着材、及び、電解質を含み、正極活物質が結着材により互いに結着されている。電極合材は、さらに、導電材を含んでもよく、その場合、正極活物質及び導電材が互いに結着剤により結着されている。電解質は、電池の電解液に由来して電極合材に含浸される成分である。
<正極活物質>
正極活物質の例は、リチウム、酸素、フッ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、硫黄、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ニオブ、モリブデン、銀、インジウム、タングステン、などを構成元素とする複合化合物である。
なお、正極活物質は単一の化合物のみからなってもよいし、複数の化合物から構成されていてもよい。
好適な正極活物質の例は、下記の元素群1から選ばれる1種以上の元素と、元素群2から選ばれる1種以上の元素とを含有する複合酸化物である。
元素群1:Ni、Co、Mn、Fe、Al、P
元素群2:Li、Na、K、Ca、Sr、Ba、Mg
中でも、正極活物質は、以下の化学式(A式)で表されることが好適である。
Li1+a 2+d
ただし、Mは、Na、K、Ca、Sr、Ba、及び、Mgからなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、
M1は、Ni、Co、Mn、Fe、Al、及び、Pからなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、
MTは、Ni、Co、Mn、及び、Fe以外の遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、
Xは、O及びPを除く非金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、
-0.4<a<1.5,0≦b<0.5,0≦c<0.5,-0.5<d<1.5,0≦e<0.5を満たす。
は、Cu、Ti、Mg、Al、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、V、B、Si、Ca、Sr、Ba、Ge、Cr、Sc、Y、La、Ta、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、及びInからなる群から選択される少なくとも1種の元素であることが好ましい。
正極活物質は、LiとNiを少なくとも含む複合酸化物であることが好ましい。
また、正極活物質において、MにおけるNiのモル分率は0.3~0.95であることがより好ましい。
正極活物質としての上記複合酸化物の結晶構造には、特に制限はないが、層状構造が好ましく、六方晶型または単斜晶型の結晶構造がより好ましい。
六方晶型の結晶構造は、P3、P3、P3、R3、P-3、R-3、P312、P321、P312、P321、P312、P321、R32、P3m1、P31m、P3c1、P31c、R3m、R3c、P-31m、P-31c、P-3m1、P-3c1、R-3m、R-3c、P6、P6、P6、P6、P6、P6、P-6、P6/m、P6/m、P622、P622、P622、P622、P622、P622、P6mm、P6cc、P6cm、P6mc、P-6m2、P-6c2、P-62m、P-62c、P6/mmm、P6/mcc、P6/mcmおよびP6/mmcからなる群より選ばれるいずれか一つの空間群に帰属する。
単斜晶型の結晶構造は、P2、P2、C2、Pm、Pc、Cm、Cc、P2/m、P2/m、C2/m、P2/c、P2/cおよびC2/cからなる群より選ばれるいずれか一つの空間群に帰属する。
さらには、六方晶型の結晶構造に含まれるR-3mまたは単斜晶型の結晶構造に含まれるC2/mの空間群に帰属することが好ましい。
なお、正極活物質の結晶構造はCuKα線を線源とする粉末エックス線回折測定により得られる粉末X線回折図形から同定される。
電極合材中の正極活物質の粒子径には特に制限はないが、通常、0.001~100μm程度である。なお、正極活物質の粒度分布はレーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、マルバーン社製マスターサイザー2000)を用いて測定できる。得られた粒度分布から、体積基準の累積粒度分布曲線を作成し、微小粒子側から50%累積時の粒子径(D50)の値を粉末の平均粒子径とすることができる。また、正極活物質の一次粒子の粒径は、電子顕微鏡写真において円相当径の算術平均として測定できる。
<導電材>
導電材の例は、金属粒子等の金属系導電材、及び、炭素材料からなる炭素系導電材である。
炭素系導電材の例は、具体的には黒鉛粉末、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック)および繊維状炭素材料(例えば黒鉛化炭素繊維、カーボンナノチューブ)である。
炭素系導電材は、単一の炭素材料でもよいし、複数の炭素材料から構成されていてもよい。
また、炭素系導電材として用いられる炭素材料の比表面積は、通常0.1~500m/gであることができる。
その場合、導電材は30m/g以上の炭素系導電材のみからなることができ、30m/g以上のカーボンブラックであってもよく、30m/g以上のアセチレンブラックであってもよい。
なお、後述する酸化力のあるアルカリ金属化合物を含む活性化処理剤を用いる場合、炭素系導電材の酸化処理の速度を高めることができ、比表面積が小さい炭素材料であっても酸化処理することができる場合がある。
<結着材>
電極合材に含まれる結着材(活性化処理前結着材)の例は、熱可塑性樹脂であり、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体および四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;スチレンブタジエン共重合体(以下、SBRということがある。);が挙げられ、これらの二種以上の混合物であってもよい。
電極合材中の活物質、導電材及び結着材の配合量に特段の限定はない。結着材の配合量は、正極活物質100重量部に対し、0.5~30重量部であることができ、1~5重量部であってもよい。導電剤の配合量は、0であってもよいが、正極活物質100重量部に対し、0~50重量部であることができ、1~10重量部であってもよい。
<電解質>
電解質の例は、LiPF、LiBF、LiClO、LiN(SOCF、LiN(SOF)、LiCFSOである。電極合材に含まれる電解質の量に限定はないが0.0005~7質量%であることができる。
電極合材は、電解液に由来する溶媒を含んでいてもよい。溶媒の例は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートである。
このような電極合材は、集電体と電極合材層とを有する廃電極から電極合材を分離して回収することにより得ることができる。
「廃電極」とは、廃棄された電池から回収された電極、及び、電極及び電池の製造の過程で発生する電極の廃棄物であることができる。廃棄された電池は、使用済みの電池であってもよく、未使用であるが規格外品の電池であってもよい。また、電極の廃棄物は、電池の製造工程で発生する電極の端部、及び、規格外品の電極であることができる。また、電極合材製造工程で生じる、集電体に貼り付けられていない電極合材の廃棄品を用いることもできる。
電極は、アルミニウム箔及び銅箔などの金属箔である集電体と、当該集電体上に設けられた電極合材層とを有する。電極合材層は、集電体の片面に設けられてもよく、両面に設けられていてもよい。
電極合材層と集電体とを有する電極から電極合材から分離する方法としては、集電体から電極合材層を機械的に剥離する方法(例えば、集電体から電極合材を掻き落とす方法)、電極合材層と集電体との界面に溶剤を浸透させて集電体から電極合材層を剥離する方法、アルカリ性もしくは酸性の水溶液を用いて、集電体を溶解して電極合材層を分離する方法などがある。好ましくは、集電体から電極合材層を機械的に剥離する方法である。
(電極合材の洗浄工程)
つづいて、準備した電極合材に対して、電解質洗浄溶媒を接触させて、電極合材から電解質の少なくとも一部を除去する。具体的には、正極活物質、結着材、及び、電解質を含む電極合材を、電解質洗浄溶媒と接触させて固体成分と液体成分とを含むスラリーを得て、その後、スラリーを固体成分と液体成分とに分離する。
固液分離とは、スラリーを液体成分と固体成分とに分離する工程である。固液分離の方法としては、従来公知の方法でよく、例えば、ろ過や遠心分離法が挙げられる。
電解質洗浄溶媒に特に限定はない。例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル類;水;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
電極合材に対して電解質洗浄溶媒を接触させることは、公知の粉体と液体との接触装置、例えば、攪拌槽等で行うことができる。
電極合材を電解質洗浄溶媒と接触させる工程において、スラリー濃度、すなわち、スラリーの体積に対する固体成分の濃度が3~2000g/Lであることが好適である。
電極合材を電解質洗浄溶媒と接触させる工程において、電極合材と電解質洗浄溶媒とを攪拌してスラリーを得ることが好適である。攪拌翼の先端の周速は0.1~1.0m/sとすることができる。
接触方法に特に限定はないが、以下の(a)工程により行うことが好適である。
工程(a)
工程(1)の電解質の少なくとも一部が除去された電極合材を得る工程であって、正極活物質、結着材、及び、電解質を含む電極合材を、電解質洗浄溶媒と接触させて固体成分と液体成分とを含むスラリーを得て、その後、スラリーを固体成分と液体成分とに分離する工程であり、分離後の液体成分中のP量が0.0020~2.0質量%、F量が0.01~7.0質量%であり、かつ、分離後の固体成分中に残存するP量が0.7質量%以下である。
電極合材の洗浄工程において、固液分離した後、得られた固体成分のリンスを実施してもよい。リンスとは、得られた固体成分に再び電解質洗浄溶媒を接触させてスラリーを得て、その後、スラリーを再び固体成分と液体成分とに分離する操作である。電極合材の洗浄では、リンスを複数回実施してもよい。リンスにおけるスラリー濃度も上記と同様にすることができる。リンスにおいても、上述のようにスラリーの攪拌を行うことができる。
電極合材の洗浄工程において、固体成分と液体成分との接触時間が、1分間以上25時間未満であることも好適である。電極合材の洗浄工程における固体成分と液体成分との接触時間とは、電極合材と電解質洗浄溶媒とが接触している時間である。例えば、リンスを行わない場合には、固体成分と液体成分との接触時間は、電解質を含む電極合材(固体成分)と、電解質洗浄溶媒との接触を開始してから、スラリーを固体成分及び液体成分に固液分離する操作が完了するまでに要した時間Aである。リンスを行う場合には、固体成分と液体成分との接触時間は、上記の時間Aと、各リンスの工程において、分離後の固体成分と、電解質洗浄溶媒との接触を開始してから、固体成分と液体成分との固液分離が完了するまでに要した時間Bとの和である。固液分離をろ過で行う場合には、固液分離の完了時刻は、ろ過の終了時刻となる。
本工程(a)では、固液分離後の液体成分中のP量が0.0020~2.0質量%、F量が0.01~7.0質量%であり、かつ、固液分離後の固体成分中に残存するP量が0.7質量%以下である。
固液分離後の液体成分中のPの量及びFの量、及び、固液分離後の固体成分中のPの量が高すぎないことにより、電極合材から電解質を十分に除去できる。例えば、電解質が残っていると以下の反応が起こり、正極活物質の構造が層状岩塩構造からスピネル構造に変化してしまう。
LiPF+16LiMO+2O→6LiF+LiPO+8LiM
また、活性化剤として炭酸リチウムを含む場合、以下の反応によるリチウムの消費も起こる。
LiPF+4LiCO→6LiF+LiPO+4CO
一方、固液分離後の液体成分中のPの量及びFの量が低すぎないことにより、過度な洗浄による正極活物質の劣化が抑制される。
なお、1又は複数回のリンス工程を行う場合には、最初の固液分離で得られた液体成分と、その後の1又は複数回のリンスの固液分離で得られた液体成分とを、すべて混合した合計液体成分におけるP及びFの含有量が、順に0.0020~2.0質量%、及び、0.01~7.0質量%を満たす。1又は複数回のリンス工程を行う場合には、最後の固液分離で得られた固体成分におけるPの含有量が0.7質量%以下を満たす。また、洗浄を連続式で行う場合には、装置から連続的に排出される液体成分に対するP及びFの含有量が上記の範囲に入ればよい。
また、リンスを行わない場合、及び、1又は複数回のリンスを行う場合のいずれにおいても、電極合材の洗浄において、最後の固液分離で得られた液体成分におけるPの含有量は2.0質量%以下、および、Fの含有量は7.0質量%以下に入ることが好適であり、Pの含有量は0.0020質量%以上、Fの含有量が0.01質量%以上であることも好適である。また、洗浄を連続式で行う場合には、装置から排出される液体成分に対するP量およびF量が順に0.0020~2.0質量%、及び、0.01~7.0質量%の範囲に入ればよい。
固液分離後の固体成分中に残存するP量は0.0001質量%以上であってもよい。固液分離後の固体成分中に残存するF量は、3.5質量%以下とすることができ、0.0001質量%以上であってもよい。
分離された固体成分は、必要に応じて、減圧及び/または加熱により電解質洗浄溶媒の乾燥を行うことができる。加熱温度は、50~200℃とすることができる。
このようにして、洗浄により電解質の少なくとも一部が除去された電極合材が得られる。
(電解質の少なくとも一部が除去された電極合材と活性化処理剤との混合)
つづいて、得られた電極合材に、1種または2種以上のアルカリ金属化合物を含有する活性化処理剤を混合して混合物を得る。
電極合材と活性化処理剤との混合方法は、乾式混合又は湿式混合のいずれでもよく、これらの混合方法の組み合わせでもよく、その混合順序も特に制限されない。
混合の際には、ボールなどの混合メディアを備えた混合装置を用いて、粉砕混合する工程を経ることが好ましく、これにより混合効率を向上させることができる。
混合方法としては、より簡便に混合が行える点で乾式混合が好ましい。乾式混合においては、V型混合機、W型混合機、リボン混合機、ドラムミキサー、攪拌翼を内部に備えた粉体混合機、ボールミル、振動ミルまたはこれらの装置の組み合わせを用いることができる。
乾式混合に用いる混合装置としては、攪拌翼を内部に備えた粉体混合機が好ましく、具体的には、レーディゲミキサー(株式会社マツボー製)を挙げることができる。
以下、本工程で使用される活性化処理剤について詳細に説明する。
<活性化処理剤>
活性化処理剤は、1種又は2種以上のアルカリ金属化合物を含有する。活性化処理剤は、カリウム化合物及びナトリウム化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有することが好適である。活性化処理剤は、カリウム化合物及び/又はナトリウム化合物以外に、Liなどの他のアルカリ金属を含むアルカリ金属化合物を含有してもよい。
活性化処理剤が正極活物質と接触すると、正極活物質を活性化させることができる。活性化処理剤におけるアルカリ金属化合物が特に溶融部分を含む場合には、該溶融部分と正極活物質との接触性が向上することで、正極活物質の活性化がより促進される。
また、電極合材は、結着材及び/又は電解液に由来してフッ素を含む化合物を含むことがあるが、該フッ素を含む化合物と活性化処理剤とを接触させることで、フッ素成分がアルカリ金属フッ化物として安定化するため、フッ化水素などの腐食性ガスが発生することを抑制することができる。なお、フッ化水素は正極活物質の活性を落とすことからも発生を防止することが望ましい。
活性化処理剤における全アルカリ金属化合物の割合は、アルカリ金属化合物の種類や、対象となる正極活物質の種類等に考慮して適宜設定されるが、活性化処理剤全重量に対して、通常、50重量%以上、好ましくは70重量%以上(100重量%含む)である。
アルカリ金属化合物中に含まれるアルカリ金属のうちカリウム及びナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属の濃度は、0~100モル%で任意に調整できるが、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上であり、好ましくは90モル%以下であり、より好ましくは80モル%以下である。
活性化処理剤の成分となるアルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の、水酸化物、ホウ酸塩、炭酸塩、酸化物、過酸化物、超酸化物、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、塩化物、バナジウム酸塩、臭酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩が挙げられる。これらは活性化処理剤の成分として、単独でも複数を組み合わせて使用することができる。
好適なアルカリ金属化合物の具体例としては、LiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOH等の水酸化物;
LiBO、NaBO、KBO、RbBO、CsBO等のホウ酸化物;
LiCO、NaCO、KCO、RbCO、CsCO等の炭酸塩;
LiO、NaO、KO、RbO、CsO等の酸化物;
Li、Na、K、Rb、Cs等の過酸化物;
LiO、NaO、KO、RbO、CsO等の超酸化物;
LiNO、NaNO、KNO、RbNO、CsNO等の硝酸塩;
LiPO、NaPO、KPO、RbPO、CsPO等のリン酸塩;
LiSO、NaSO、KSO、RbSO、CsSO等の硫酸塩;
LiCl、NaCl、KCl、RbCl、CsCl等の塩化物;
LiBr、NaBr、KBr、RbBr、CsBr等の臭化物;
LiVO、NaVO、KVO、RbVO、CsVO等のバナジウム酸塩;
LiMoO、NaMoO、KMoO、RbMoO、CsMoO等のモリブデン酸塩;
LiWO、NaWO、KWO、RbWO、CsWO等のタングステン酸塩;が挙げられる。
ここで、より正極活物質の活性化効果を高めるため、活性化処理剤は、カリウム化合物及びナトリウム化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物以外に、電極合材中の正極活物質に含まれるアルカリ金属元素と同一のアルカリ金属元素を含むことができる。
すなわち、電極合材中の正極活物質がリチウム複合酸化物の場合には、活性化処理剤は、カリウム化合物及びナトリウム化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物以外に、リチウム化合物を含むことが好適である。好適なリチウム化合物としては、LiOH、LiBO、LiCO、LiO、Li、LiO、LiNO、LiPO、LiSO、LiCl、LiVO、LiBr、LiMoO、LiWOが挙げられる。
活性化処理剤は、必要に応じてアルカリ金属化合物以外の化合物を含んでいてもよい。アルカリ金属化合物以外の化合物として、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属元素を含有するアルカリ土類金属化合物が挙げられる。アルカリ土類金属化合物は、活性化処理剤の溶融開始温度をコントロールする目的で、アルカリ金属化合物と共に活性化処理剤中に含有される。
また、活性化処理剤中のアルカリ金属化合物以外の化合物の含有量は、上述の溶融したアルカリ金属化合物に由来する効果を著しく抑制しない範囲で選択され、活性化処理剤全重量の50重量%未満であることができる。
電極合材及び活性化処理剤の混合物における活性化処理剤の添加量は、電極合材が含む正極活物質の重量に対して、0.001~100倍であることが好ましく、より好ましくは、0.05~1倍である。
電極合材及び活性化処理剤の混合物における活性化処理剤中のアルカリ金属化合物のモル数は、電極合材が含む正極活物質(例えばA式)のモル数を1としたときに、アルカリ金属元素のモル数が0.001~200倍となるように添加することができる。
混合物中の活性化処理剤の割合を適切に制御することで、電極合材からの正極活物質の回収にかかる費用を低減でき、炭素系導電材や結着材の酸化分解処理速度を高めることができる。また、加熱工程における腐食性ガスの発生を防止する効果を向上させることができ、さらには得られる正極活物質を用いて製造される電池の放電容量をより高めることができる。
また、活性化処理剤に含有されるアルカリ金属化合物の少なくとも1種が、水に溶解させた場合にアルカリ性を示すアルカリ金属化合物であることが好ましい。このようなアルカリ金属化合物を含む活性化処理剤は、純水に溶解した際に、該溶液のpHが7よりも大きくなる。以下、このような活性化処理剤を「アルカリ性の活性化処理剤」と称す場合がある。
アルカリ性の活性化処理剤を使用することにより、加熱工程における腐食性ガスの発生をより抑制することができるため、回収される正極活物質を用いて製造される電池の放電容量をより高めることができる。また、アルカリ性の活性化処理剤を使用することにより、炭素系導電材や結着材の酸化分解処理速度を高めることもできる。
アルカリ性の活性化処理剤に含まれる水に溶解させた場合にアルカリ性を示すアルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、過酸化物、超酸化物が挙げられる。具体的には、LiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOH;LiCO、NaCO、KCO、RbCO、CsCO;LiHCO、NaHCO、KHCO、RbHCO、CsHCO;LiO、NaO、KO、RbO、CsO;Li、Na、K、Rb、Cs;LiO、NaO、KO、RbO、CsO;が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を活性化処理剤に含ませてもよい。
また、電極合材に含まれる導電材が、炭素系導電材である場合には、活性化処理剤に含有されるアルカリ金属化合物の少なくとも1種が、加熱工程の温度において、炭素系導電材を酸化分解する酸化力を有するアルカリ金属化合物であってもよい。なお、このようなアルカリ金属化合物を含有する活性化処理剤を、以下、「酸化力を有する活性化処理剤」と称す場合がある。
このような酸化力を有する活性化処理剤を用いると、炭素材料である導電材の二酸化炭素へ酸化を促進し、炭化水素材料である結着材の二酸化炭素と水蒸気へと酸化を促進することに特に効果を発揮し、得られる正極活物質を用いて製造される電池の放電容量をより高めることができ、さらに加熱工程における腐食性ガスの発生を防止する効果を向上させることができる場合がある。
炭素系導電材および炭化水素を二酸化炭素と水蒸気へと酸化するために必要な酸化力を有するアルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の過酸化物、超酸化物、硝酸塩、硫酸塩、バナジウム酸塩、モリブデン酸塩を挙げられる。これらは、1種あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
具体的には、Li、Na、K、Rb、Cs;LiO、NaO、KO、RbO、CsO;LiNO、NaNO、KNO、RbNO、CsNO;LiSO、NaSO、KSO、RbSO、CsSO;LiVO、NaVO、KVO、RbVO、CsVO;LiMoO、NaMoO、KMoO、RbMoO、CsMoO;が挙げられる。
これらのアルカリ金属化合物の酸化力の詳細については、特開2012-186150号公報に記載されている。
工程(2):加熱工程
加熱工程は、工程(1)にて得られた混合物(以下、「加熱前の混合物」と呼ぶ場合がある。)を、活性化処理剤の溶融開始温度以上の温度に加熱する工程である。本加熱工程で得られた混合物を「加熱後の混合物」又は「工程(2)後の混合物」と呼ぶことがある。
なお、「活性化処理剤の溶融開始温度(Tmp)」は、活性化処理剤の一部が液相を呈する最も低い温度を意味する。
活性化処理剤の溶融開始温度(Tmp)は、示差熱測定(DTA)により求めた値である。すなわち加熱前の混合物5mgを示差熱測定(DTA,測定条件:昇温速度:10℃/min)にて、DTAシグナルが吸熱のピークを示す温度を溶融開始温度(Tmp)とする。
活性化処理剤の溶融開始温度(Tmp)は、700℃以下であることが好ましく、600℃以下であることがより好ましい。活性化処理剤の溶融開始温度(Tmp)に下限はないが、例えば、150℃であってもよい。
また、活性化処理剤の融点は、活性化処理剤のみを加熱したときに、活性化処理剤の一部が液相を呈する最も低い温度を意味する。電極合材と活性化処理剤とを混合することで、活性化処理剤の溶融開始温度(Tmp)は、活性化処理剤の融点より低くなる。
活性化処理剤の融点は、示差熱測定(DTA)により求めた値である。具体的には、当該活性化処理剤5mgを示差熱測定(DTA,測定条件:昇温速度:10℃/min)にて、DTAシグナルが吸熱のピークを示す温度を活性化処理剤の融点とする。
加熱における雰囲気に特に限定はなく、空気などの酸素含有ガス、窒素、アルゴン、二酸化炭素であってよい。雰囲気の圧力に特に限定はないが、大気圧とすることができるが、減圧雰囲気でもよく、加圧雰囲気でもよい。
工程(2)では、上述のように加熱前の混合物を活性化処理剤の溶融開始温度(Tmp)以上の温度に加熱することにより、以下の作用が生じる。
融解状態の活性化処理剤が正極活物質と接触することにより、正極活物質の結晶構造の劣化を抑制することができる。また、場合によっては、結晶構造の修復作用を得ることもできる。
融解状態の活性化処理剤が炭素系導電材や結着材と接触することにより導電材及び結着材の酸化分解の速度が向上し、さらに、融解状態の活性化処理剤が結着材及び電解液に由来するフッ素化合物と接触することにより、フッ素成分がアルカリ金属フッ化物として安定化され、腐食性ガスであるフッ化水素の発生を防止し、正極活物質の結晶構造の劣化が抑制される。
さらに、活性化処理剤が、正極活物質と同じアルカリ金属を含有する場合には、正極活物質に対して不足するアルカリ金属を供給することも可能となる。
加熱工程の温度及び、当該温度における保持時間は、電極合材を構成する正極活物質、導電材、結着材、および活性化処理剤に含有されるアルカリ金属化合物やその他の化合物におけるそれぞれの種類や組み合わせにより適宜調節することができる。通常、温度は100~1500℃の範囲であり、保持時間は、10分~24時間程度である。
加熱工程の温度は、活性化処理剤が含有するアルカリ金属化合物の融点よりも高い温度であることが好ましい。なお、アルカリ金属化合物の融点は複数種の化合物を混合することで、各化合物の単体の融点よりも下がることがある。活性化処理剤が2種以上のアルカリ金属化合物を含む場合には、共晶点をアルカリ金属化合物の融点とする。
加熱工程後には、必要に応じて、混合物を、例えば、室温程度など、任意の温度にまで冷却することができる。
工程(3):固液分離工程(アルカリ金属の除去)
加熱後の混合物を、水を含む液体と接触させて固体成分及び液体成分を含むスラリーを得て、その後、スラリーを固体成分と液体成分とに分離する工程
加熱後の混合物には、正極活物質の他、活性化処理剤に由来する成分(アルカリ金属化合物等)、未分解の導電材や結着材、その他の電極合材の未分解物が含まれる。また、電極合材にフッ素成分を含有する電解液が含まれている場合には、電解質に由来するフッ素成分を含む場合もある。
加熱後の混合物から正極活物質を分離回収するために、該混合物に水を含む液体を加えてスラリー化させた後に固液分離して、固体成分と液体成分とに分離する。
スラリー化工程に用いる液体は、水を含む限り特に制限はない。液体における水の量は50質量%以上であってよい。水溶性成分の溶解度を高めたり、溶解速度を高めたりするために液体に水以外の成分を添加して、pHを調整してもよい。
水を含む液体の好適例としては、純水やアルカリ性洗浄液があげられる。アルカリ性洗浄液としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸アンモニウムからなる群より選ばれる1種以上の無水物並びにその水和物の水溶液を挙げることができる。また、アルカリとして、アンモニアを使用することもできる。
得られるスラリーは、正極活物質を主として含む固体成分と、正極活物質以外の水溶性成分を含む液体成分とを含む。なお、液体成分には、活性化処理剤に由来するアルカリ金属成分、及び/又は、結着材及び電解液に由来するフッ素成分が含まれる。
混合物に添加される液体の量は、混合物に含まれる正極活物質と、正極活物質以外の水溶性成分のそれぞれの量を考慮して適宜決定される。
工程(3)において、スラリー濃度、すなわち、スラリーの体積に対する固体成分の濃度が12~1000g/Lとなるように、加熱後の混合物と水を含む液体とを接触させることが好適である。
工程(3)において、加熱後の混合物と水を含む液体とを攪拌してスラリーを得ることが好適である。これにより、水溶性成分の溶解が促進される。攪拌翼の先端の周速は0.1~0.9m/sとすることが好ましい。
スラリー化工程で形成されたスラリーは、次いで、固液分離に供される。固液分離とは、スラリーを液体成分と固体成分とに分離する工程である。固液分離の方法としては、従来公知の方法でよく、例えば、ろ過や遠心分離法が挙げられる。
工程(3)において、固液分離した後、得られた固体成分のリンスを実施してもよい。リンスとは、得られた固体成分に再び水を含む液体を接触させてスラリーを得て、その後、スラリーを再び固体成分と液体成分とに分離する操作である。工程(3)では、リンスを複数回実施してもよい。リンスにおけるスラリー濃度も上記と同様にすることができる。
工程(3)において、固体成分と液体成分との接触時間が、4分間以上24時間未満であることが好適である。工程(3)における固体成分と液体成分との接触時間とは、正極活物質と水を含む液体とが接触している時間である。例えば、リンスを行わない場合には、固体成分と液体成分との接触時間は、加熱後の混合物と、水を含む液体との接触を開始してから、スラリーを固体成分及び液体成分に固液分離する操作が完了するまでに要した時間Cである。リンスを行う場合には、固体成分と液体成分との接触時間は、上記の時間Cと、各リンスの工程において、分離後の固体成分と、水を含む液体との接触を開始してから、固体成分と液体成分との固液分離が完了するまでに要した時間Dとの和である。固液分離をろ過で行う場合には、固液分離の完了時刻は、ろ過の終了時刻となる。
工程(3)では、固液分離により得られた液体成分中のカリウム及びナトリウムの合計含有量が0.090~2.0質量%であり、固液分離により得られた固体成分中のカリウム及びナトリウムの合計含有量が1.2質量%以下であることが好適である。
固液分離後の液体成分中のカリウム及びナトリウムの合計含有量、及び、固体成分中のカリウム及びナトリウムの合計含有量が高すぎないことにより、電極合材からのアルカリ金属成分を十分に除去できる。一方、液体成分中のカリウム及びナトリウムの合計含有量が低すぎないことにより、過度な洗浄による正極活物質の劣化が抑制される。
なお、1又は複数回のリンス工程を行う場合には、最初の固液分離で得られた液体成分と、その後の1又は複数回のリンスの固液分離で得られた液体成分とを、すべて混合した合計液体成分におけるカリウム及びナトリウムの合計含有量が、0.090~2.0質量%を満たす。1又は複数回のリンス工程を行う場合には、最後の固液分離で得られた固体成分におけるカリウム及びナトリウムの合計含有量が1.2質量%以下を満たす。また、洗浄を連続式で行う場合には、装置から連続的に排出される液体成分に対するカリウム及びナトリウムの合計含有量が0.090~2.0質量%の範囲に入ればよい。また、リンスを行わない場合、及び、1又は複数回のリンスを行う場合のいずれにおいても、電極合材の洗浄において、最後の固液分離で得られた液体成分におけるカリウム及びナトリウムの合計含有量は0.090~2.0質量%であることが好適である。
分離された固体成分中のカリウム及びナトリウムの合計含有量の下限は0.001質量%であってよい。
工程(4):正極活物質の乾燥工程
工程(4)は、前記工程(3)で分離された固体成分を加熱及び/又は減圧環境に曝して固体成分から前記水を除去する工程である。ここでは、工程(3)でスラリーを固体成分と液体成分とに分離してから24時間以内に、固体成分が存在する環境気圧に対する、固体成分の温度における飽和水蒸気圧の比が80%以上となるように、前記環境気圧及び/又は前記固体成分の温度を変更することが好適である。
固体成分が存在する環境気圧に対する、固体成分の温度における飽和水蒸気圧の比を80%以上にすれば、固体成分から十分に水が除去される条件となる。
このように、スラリーを液体成分と固体成分とに分離してから、24時間以内にこのような条件に到達させることにより、固体成分が湿潤環境にさらされる時間を短くし、これにより、正極活物質の劣化を抑制できる。
スラリーを固体成分と液体成分とに分離してから、固体成分が存在する環境気圧に対する、固体成分の温度における飽和水蒸気圧の比が80%以上に到達するまでの時間は、15時間以内でもよいし、10時間以内でもよいし、5時間以内でもよいし、2時間以内でもよいし、1時間以内でもよいし、40分以内でもよい。
具体的には、例えば、湿潤環境下では以下の反応が進行しうる。
2LiMO+HO→2LiOH+M
また、空気中など二酸化炭素を含有する湿潤環境下では以下の反応も進行しうる。
2LiMO+CO→LiCO+M
具体的には、減圧のみによって固体成分から十分に水が除去される条件に到達させてもよく、加熱のみによって固体成分から十分に水が除去される条件に到達させてもよく、加熱及び減圧によって固体成分から十分に水が除去される条件に到達させてもよい。任意の温度での飽和水蒸気圧は、下記のAntoine式で推算することができる。
ここで、pの単位をmmHg,Tの単位を摂氏温度(℃)とすると、純水の場合、A=8.02754、B=1705.616、C=231.405である。
固体成分が存在する環境気圧に対する、固体成分の温度における飽和水蒸気圧の比が80%以上となるまでの時間は、固体成分が存在する環境圧力と、固体成分の温度とをモニタすることにより測定できる。具体的には、例えば、乾燥器に設けられた圧力計及び湿度計等のセンサを利用すればよい。
加熱の温度としては工程(3)で用いた液体に含まれる水を除去するために100℃以上が好ましい。さらに十分に水を除去するために150℃以上とすることが好ましい。特に250℃以上の温度では、得られる正極活物質を用いて製造される電池の放電容量がさらに高まることから好ましい。乾燥工程における温度は、一定でもよく、また段階的もしくは連続的に変化させてもよい。加熱の到達温度範囲は、例えば、10℃以上900℃未満であることができる。
減圧の到達圧力範囲は、例えば、1.0×10-10~1.0×10Paであることができる。
工程(5):熱処理(追加の乾燥、及び、アニール(再焼成))工程
工程(5)では、工程(4)により、固体成分が存在する環境気圧に対する、固体成分の温度における飽和水蒸気圧の比が80%以上となるまで乾燥された固体成分を900℃未満で熱処理する。本実施形態では、工程(4)の後に900℃以上で熱処理をすることはない。
熱処理の雰囲気に限定はないが、減圧雰囲気でもよく、空気などの酸素雰囲気でもよく、減圧雰囲気での熱処理の後、酸素雰囲気下で熱処理してもよい。少なくとも空気などの酸素含有雰囲気下で熱処理することが好適である。また、熱処理の温度は、100℃以上であることができる。また、熱処理の保持時間は、1分~24時間とすることができ、酸素雰囲気下で1分~24時間とすることが好適である。例えば、工程(4)の後に減圧雰囲気のまま1分~24時間分程度900℃未満で熱処理し、その後、空気などの酸素雰囲気下で1分~24時間分程度900℃未満で熱処理することができる。特に、酸素雰囲気下で、350℃以上の保持温度にて、0.1時間以上5時間以下で加熱することが好適である。
熱処理は、工程(4)を行う乾燥機内等で、工程(4)に引き続いて行ってもよいし、工程(4)での乾燥後に常温に戻し、その後に、乾燥機とは別のるつぼなどの装置内で熱処理を行ってもよい。
本発明の正極活物質の製造方法を用いることで電池合材から得られた正極活物質は、未使用活物質と同様に再利用することができる。正極活物質を用いて、電極及び電池を製造する方法は周知である。
最終的に得られる、本発明の実施形態に係る正極活物質の放電容量は、150mAh/g以上であることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
正極活物質の物性の測定、該正極活物質を用いた電池による充放電試験は、次のようにして行った。
(1)元素の含有量
溶液、及び、粉末を溶解させた酸溶液について、ICP発光分析装置(例えばエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SPS3000)を用いて該溶液及び該粉末中に含まれるアルカリ金属元素の含有量の分析を行った。
(2)充放電試験
1.電極(正極)の製造
正極活物質の放電容量の測定のために、下記の手順に従って電極(正極)を製造した。
各正極活物質と、結着材(PVdF#1100(株式会社クレハ社製))と、導電材(アセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、品番:デンカブラック HS100)とを、正極活物質:結着材:導電材の重量比がそれぞれ92:3:5となるように混合した。ここで結着材であるPVdFは、予めPVdFをNMPに溶解したバインダー溶液を用いた。正極合材ペースト中の正極活物質と導電材と結着材の重量の合計が50重量%となるようにNMPを添加して調整した。自転・公転方式ミキサー(株式会社シンキー製 ARE-310)で混練して、正極合材ペーストを製造した。
なお、バインダー溶液としては、結着材であるPVdFを溶解したNMP溶液を使用し、正極合材ペースト中の正極活物質と導電材とバインダーの重量の合計が50重量%となるようにNMPを添加して調整した。
正極合材ペーストを集電体となる厚さ20μmのリチウムイオン二次電池正極集電体用アルミニウム箔1085(日本製箔社製)に、正極活物質量が3.0±0.1mg/cmとなるように塗布した後、150℃で8時間真空乾燥して、正極を得た。この正極の電極面積は1.65cmとした。
2.電池の製造
上述の正極と、電解液と、セパレータと、負極とを組み合わせて、非水電解質二次電池(コイン型電池R2032)を製造した。なお、電池の組み立てはアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
電解液としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの30:35:35(体積比)混合液に、LiPFを1.0mol/Lとなる割合で溶解した溶液を用いた。
セパレータとしてポリエチレン製多孔質フィルムの上に、耐熱多孔層を積層した積層フィルムセパレータを使用した。また、負極として金属リチウムを使用した。
3.充放電試験
製造したコイン型電池を用いて、25℃保持下で、初回充放電後、内部抵抗測定を実施した。
・初回充放電
充電最大電圧:4.3V、充電電流:0.2C、定電流定電圧充電
放電最小電圧:2.5V、放電電流:0.2C、定電流放電
(初回放電容量回復率)
再活性化正極活物質の初回充放電における0.2C放電容量をXmAh/g、未使用正極活物質の初回充放電における0.2C放電容量をYmAh/gとしたとき、初回放電容量回復率は以下の式(a)で求められる。
初回放電容量回復率(%)=X/Y×100 (a)
・内部抵抗測定
充電最大電圧:4.3V、充電電流:0.2Cにて定電流定電圧充電を行い、交流インピーダンス測定装置(周波数応答アナライザsolartron1260、ポテンショ/ガルバノスタットsolartron1287)を用いて、周波数1MHz~0.1Hzまで走査し、縦軸に虚数部、横軸に実数部を示すコール-コールプロットを作成した。つづいて、このコール-コールプロットにおいて、100Hz~1Hzに含まれる円弧部分を円でフィッティングし、円の直径を抵抗値とし、正極活物質の内部抵抗とした。
(内部抵抗回復率)
再活性化正極活物質の内部抵抗をxΩ、未使用正極活物質の内部抵抗をyΩとしたとき、内部抵抗回復率は以下の式(b)で求められる。
内部抵抗回復率(%)=y/x×100 (b)
(実施例及び比較例)
A.正極Aの製造
正極活物質としては、組成がLi1.04Ni0.60Co0.20Mn0.20であり、結晶構造がR-3mである正極活物質を用いた。この正極活物質の定格容量は160mAh/g、1C電流は160mA/gとした。この正極活物質(未使用活物質)を正極活物質として用いたコイン型電池による充放電試験で測定された0.2C初回放電容量は183mAh/gであった。
導電材としては、アセチレンブラックHS100(電気化学工業株式会社製)を使用した。
結着材と溶媒としては、結着材であるPVdF#1100を12重量%含むNMP溶液(株式会社クレハ製)にさらにNMP溶媒を追加投入して所定の比率とした。
正極合材における正極活物質と、結着剤と、導電材との質量比は、92:3:5とした。溶媒の配合量は、正極合材ペースト全体に対して50質量%とした。
正極合材ペーストを厚さ20μmのリチウムイオン2次電池正極集電体用アルミニウム箔1085(日本製箔社製)上に,ドクターブレード方式コーターを用いて塗工し、乾燥し、正極Aを得た。アルミニウム箔上の正極活物質層は20mg/cmであった。
B.正極Aからの電極合材の回収
正極Aから、電極合材を集電体から機械的に剥離した。
C.電解液浸漬工程
剥離した電極合材を粉砕して粉末化した。電極合材の粉末にスラリー濃度が1500g/Lとなるよう電解液を加えてスラリー化した。ここで電解液としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの30:35:35(体積比)混合液に、電解質としてLiPFを1.0mol/Lとなる割合で溶解した溶液を用いた。電極合材のスラリーを最大流速0.550m/secで1分間攪拌した。その後、該スラリーをろ過することで固相を分離し、さらに固相を24時間減圧乾燥することで、電解質含有電極合材を得た。なお、電解液浸漬工程はアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った
D.電解質含有電極合材洗浄工程
得られた電解質含有電極合材に、電解質洗浄溶媒としてジメチルカーボネートをスラリー濃度が535g/Lとなるよう加えてスラリー化し、攪拌翼の先端の周速を0.550m/sとして5分間攪拌した後、該スラリーを3分間かけてろ過することで、固体成分と液体成分とに分離した。すなわち、固体成分と液体成分との接触時間は8分間であった。
得られた固体成分を100℃で1時間減圧乾燥し、洗浄後の電極合材を回収した。
E.活性化処理剤混合工程(工程(1)に対応)
洗浄後電極合材に、活性化処理剤としてLiCOとKSOを、電極合材中の正極活物質1モルに対して0.15モルと0.15モルとなるよう混合して混合物(加熱前の混合物)を得た。活性化処理剤の溶融開始温度は550℃であった。
F.加熱工程(工程(2)に対応)
得られた加熱前の混合物をアルミナ製焼成容器に入れて電気炉に設置した。大気圧下、加熱前の混合物を保持温度700℃、保持時間3時間で活性化処理した。加熱速度は300℃/時間とし、室温までの冷却は自然冷却とした。室温まで冷却された後に、加熱後の混合物を回収した。
G.アルカリ金属の除去工程(工程(3)の水洗及び固液分離に対応)
加熱後の混合物を粉砕し、水を加えて1分間攪拌してスラリー化した。その後、該スラリーを3分間かけてろ過することで、固体成分と液体成分とに分離した。スラリー濃度は20g/L、固体成分と液体成分(水)との接触時間は4分、攪拌翼の先端の周速(最大流速)は0.785m/sとした。
H.正極活物質の乾燥工程(工程(4)に対応)及び熱処理工程(工程(5)に対応)
実施例1では、分離された固体成分を、真空乾燥機内で、25℃で設定(最終)圧力が1.3×10-4MPaとなるように減圧して、その後設定(最終)温度100℃で加熱した。25℃での飽和水蒸気圧は0.031MPa(Antoineの式より計算)である。水の飽和水蒸気圧の80%となる0.025MPaを超えて、1.3×10-4MPaになるように環境気圧を下げた。実施例1では、設定圧力まで圧力が低下する過程において、スラリーを固体成分と液体成分とに分離してから、固体成分が存在する環境気圧に対する、固体成分の温度における飽和水蒸気圧の比が80%に到達するのに要した時間は20分であった。80%に到達し、さらに設定圧力に達した後、100℃に加熱して減圧乾燥を60分実施した。その後、減圧をやめて常圧の大気雰囲気の中で固体成分の温度を100℃として熱処理を60分行った。その後自然放冷した。
実施例2~8、比較例1では、固体成分が存在する環境気圧に対する、水の飽和水蒸気圧の比が80%に到達し、さらに設定圧力に達した後、設定(最終)温度100℃で加熱して乾燥した。その後、大気雰囲気の中で、固体成分の温度を、それぞれ、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃、900℃として熱処理を60分行う以外は、実施例1と同様とした。
実施例9では、分離された固体成分を、電気炉内で、設定(最終)温度700℃で、常圧の大気雰囲気中で加熱して乾燥した。この場合、大気圧0.1MPaが環境気圧であり、飽和水蒸気圧が環境気圧の80%となる0.08MPaに達成する温度は94℃であるとAntoineの式より計算できる。スラリーを固体成分と液体成分とに分離してから、固体成分が存在する環境気圧に対する、固体成分の温度における水の飽和水蒸気圧の比が80%(温度94℃)に到達するのに要した時間は20分であった。80%に到達した後、常圧の大気雰囲気中で固体成分の温度を700℃として熱処理を60分行った。
比較例2では、分離された固体成分を、恒温槽内で、設定(最終)温度50℃で保持し、その後、真空乾燥機内で設定(最終)圧力が1.3×10-4MPaとなるように、減圧した。スラリーを固体成分と液体成分とに分離してから、固体成分が存在する環境気圧に対する、固体成分の温度における水の飽和水蒸気圧の比が80%に到達するのに要した時間は1460分(24時間20分)であった。内訳は、減圧前の保持(静置)が1440分、及び、減圧時の20分であった。その後、減圧をやめて常圧の大気雰囲気の中で固体成分の温度を100℃として熱処理を60分行った。
比較例3では、分離された固体成分を、乾燥機内で、設定(最終)温度50℃で、常圧の大気雰囲気中で加熱して乾燥した。スラリーを固体成分と液体成分とに分離してから後、固体成分が存在する環境気圧に対する、固体成分の温度における水の飽和水蒸気圧の比が80%に到達することはなかった。その後の熱処理も行わなかった。
実施例及び比較例での条件を、表1及び表2に示す。
以上により、実施例及び比較例の正極活物質を得た。
回収された再活性化正極活物質について、コイン型電池を製造し、充放電試験を実施した。充放電試験による放電容量及び内部抵抗を測定し、初回放電容量回復率及び内部抵抗回復率を求めた。
各実施例及び比較例における、初回放電容量回復率及び内部抵抗回復率を表1及び表2に示す。
工程(4)で、スラリーを固体成分と液体成分とに分離してから24時間以内に、固体成分が存在する環境気圧に対する、固体成分の温度における飽和水蒸気圧の比が80%以上に高め、かつ、再焼成温度を900℃未満とした実施例1~9では、比較例1~4に比べて、内部抵抗の回復率も高く、初回放電容量の維持率も高かった。

Claims (3)

  1. 下記工程を含む正極活物質の製造方法。
    (1)正極活物質、結着材、及び、電解質を含み、電解質洗浄溶媒との接触により前記電解質の少なくとも一部が除去された電極合材に、1種又は2種以上のアルカリ金属化合物を含有する活性化処理剤を混合して混合物を得る工程
    (2)前記混合物を、前記活性化処理剤の溶融開始温度以上の保持温度に加熱する工程
    (3)前記工程(2)後の混合物を、水を含む液体と接触させて固体成分及び液体成分を含むスラリーを得て、その後、前記スラリーを固体成分と液体成分とに分離する工程
    (4)得られた固体成分を加熱及び/又は減圧環境に曝して前記固体成分から水を除去する工程であり、前記スラリーを前記固体成分と前記液体成分とに分離してから24時間以内に、前記固体成分が存在する環境気圧に対する、前記固体成分の温度における飽和水蒸気圧の比が80%以上となるように、前記環境気圧及び/又は前記固体成分の温度を変更する工程、
    (5)前記(4)工程後の固体成分を900℃未満で熱処理する工程
  2. 前記正極活物質が、下記の元素群1から選ばれる1種以上の元素と、元素群2から選ばれる1種以上の元素とを含有する複合酸化物である、請求項1に記載の方法。
    元素群1:Ni、Co、Mn、Fe、Al、P
    元素群2:Li、Na、K、Ca、Sr、Ba、Mg
  3. 前記正極活物質が、下式のように表される請求項1又は2に記載の方法。
    Li1+a 2+d
    ただし、Mは、Na、K、Ca、Sr、Ba、及び、Mgからなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、
    は、Ni、Co、Mn、Fe、Al、及び、Pからなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、
    は、Ni、Co、Mn、及び、Fe以外の遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、
    XはO及びPを除く非金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、
    -0.4<a<1.5,0≦b<0.5,0≦c<0.5,-0.5<d<1.5,0≦e<0.5を満たす。

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