JP7392210B1 - プラスチックフィルムの分離回収方法、及び再生プラスチックペレットの製造方法 - Google Patents

プラスチックフィルムの分離回収方法、及び再生プラスチックペレットの製造方法 Download PDF

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Abstract

少なくとも印刷層を有する多種多様なプラスチックフィルムを容易に分離回収する方法、及び当該方法により回収したプラスチック破砕物を用いて高品質な再生プラスチックペレットを製造する方法として、少なくとも印刷層を有するプラスチックフィルムの分離回収方法であって、前記プラスチックフィルムを破砕する工程1と、前記プラスチックフィルムを洗浄液中に浸漬する工程2と、破砕した前記プラスチックフィルムを水中で攪拌することにより、前記プラスチックフィルムを分離する工程3を有するプラスチックフィルムの分離回収方法を提供する。

Description

本発明は、プラスチックフィルムの分離回収方法、及び当該方法により回収したプラスチック破砕物を用いた再生プラスチックペレットの製造方法に関する。
現在、プラスチックごみの分別回収しているリサイクル率は、世界全体でみると製造されたプラスチックの9%である。ゴミとなった91%のプラスチックのうち、焼却処分されたものは12%であり、79%は埋め立て処分されたか、もしくは環境中に漏れ出ている(非特許文献1)。このようにリサイクル率が低い状態が続いている理由の一つに、分別回収システムの困難性があげられる。プラスチックをリサイクルするためには、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の異種のプラスチック材料が一体化された廃プラスチックを、材料ごとに分離して回収する必要がある。しかし、積層フィルムをはじめとするプラスチック製品の多くは、異種プラスチック材料が接着して積層されていることから、材料ごとに分離・回収することが困難な状況である。そのため、廃プラスチックを簡易に分離・回収可能なリサイクルシステムの構築が強く求められている。
また、リサイクルされたプラスチック製品は、コストの観点から同じ製品に戻ることは難しく、基本的にはリサイクルするたびに劣化するため、品質が落ちた製品に生まれ変わらざるを得ない。リサイクルプラスチックの品質が落ちる理由としては、プラスチックにインキや顔料が不純物として混在していることがあげられる。しかし、多くのプラスチック製品はその表面に印刷加工が施されているため、リサイクル工程で脱色することが難しく、結果として再生プラスチック製品は着色している。顔料やインキなどを含んだ再生プラスチックは、着色のため商品価値が著しく低いだけではなく、不純物が起点となって物性的に劣化したプラスチックにしかならないのが実情であり、良品質の再生プラスチックを生み出すリサイクル方法も求められている。
このような課題に対して、特許文献1は、破砕した多層フィルムからアルミニウム層をアルカリで溶解したのち、複層のフィルムを比重差で分離し、更に溶剤中で選択的に溶融させることで有価成分を分離してリサイクルする方法を提案し、特許文献2は、印刷済みフィルムを破砕、インキ除去、リンス、乾燥の工程を提案しているが、いずれも工程が長く煩雑である。
また、特許文献3は、印刷済みのロール状態にあるフィルムを溶剤と非研磨布を使用しインキを除去する方法を、特許文献4は、印刷済みのロール状態にあるフィルムを溶剤とブラシとワイパーブレードを使用しインキを除去する方法を提供しているが、ロール状態にあるフィルムからインキを除去した無印刷のフィルムを作製しているだけに留まっている。
特に近年は包装材の多様化に伴い、包装材の高機能性、インキ膜のプラスチック基材への密着性の向上、印刷物の高意匠性がより一層求められていることから、包装材やインキの種類の多様化が進み、それと同時に、インキ層の剥離はより困難となる状況である。例えば、複数のフィルムを積層した積層フィルム、あるいはフィルム上にインキ層を設けた後、接着剤層を介して他のフィルム等を重ね合わせてラミネートした積層体において、インキ層が複数のフィルムの間に設けられている(裏刷り)積層フィルムの場合、インキ層を除去するには複数のフィルムの分離が必要となるため、インキ層の剥離はより困難となる。それらの多様な構成のプラスチックフィルムに対してインキ層を剥離できる方法が望まれている。
Science Advances 19 Jul 2017:Vol. 3, no. 7, e1700782
特開2006-205160号公報 特表2015-520684号公報 特表2016-509613号公報 特表2018-514384号公報
従来技術における積層フィルムの分離は、いずれも積層フィルムを乾式で破砕する工程ののちに、インキ除去又は分離工程を実施しており、その工程は一般的であり、工程が長く煩雑である。また、従来技術の方法では、多種多様な構成の積層フィルムのリサイクルは困難であることから、リサイクルプラスチックの品質や商品価値を低下させている。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、少なくともインキ層を有する多種多様なプラスチックフィルムを容易に分離回収する方法、及び当該方法により回収したプラスチック破砕物を用いて高品質な再生プラスチックペレットを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、少なくともインキ層を有するプラスチックフィルムの分離回収方法であって、前記プラスチックフィルムを破砕する工程1と、前記プラスチックフィルムを洗浄液中に浸漬する工程2と、破砕した前記プラスチックフィルムを水中で攪拌することにより、前記プラスチックフィルムを分離する工程3を有する、プラスチック積層体を高品質なリサイクル原料に再生できる容易な方法を見出した。
即ち本発明は、少なくともインキ層を有するプラスチックフィルムの分離回収方法であって、前記プラスチックフィルムを破砕する工程1と、前記プラスチックフィルムを洗浄液中に浸漬する工程2と、破砕した前記プラスチックフィルムを水中で攪拌することにより、前記プラスチックフィルムを分離する工程3を有するプラスチックフィルムの分離回収方法を提供する。
また本発明は、前記記載の方法により分離されたプラスチック破砕物を単層ごとに回収し、回収物を溶融後に成形機により成形する再生プラスチックペレットの製造方法を提供する。
本発明により、少なくともインキ層を有する多種多様なプラスチックフィルムを単層に分離することができ、破砕された単層フィルムを容易に回収分別再利用することができる。本発明の方法によると、フィルム面にインキ層がむき出しに設けられている(表刷り)プラスチックフィルムのみならず、インキ層が複数のフィルムの間に設けられている(裏刷り)積層フィルムのような多様な構成のプラスチック積層体においても、プラスチック積層体を単層に分離することができ、且つインキ層を容易に剥離することができる。つまり、プラスチック積層体の種類を問わず、フィルムを単層に分離可能であり、且つインキ層を容易に剥離することができることから、プラスチック積層体の分離回収方法を容易にすることができ、且つ、回収したプラスチックを高品質なリサイクルプラスチック原料に再利用することができる。
<工程1について>
本発明のプラスチックフィルムの分離回収方法は、プラスチックフィルムを破砕する工程1を有する。工程1において、プラスチックフィルムを破砕する方法は特に限定されず、公知の方法で行うことができる。また破砕は、溶媒等の液体が存在しない空気雰囲気下で行ってもよいし、水又は洗浄液中で行ってもよい。空気雰囲気下で破砕を行う場合は、乾式破砕機を使用することができる。また、水又は洗浄液中で破砕を行う場合は、破砕と同時に圧送を行うことができる湿式破砕機を使用することができる。湿式破砕機を使用した場合、プラスチックフィルムを効率的に破砕することができ、また、ラミネートされたプラスチックフィルムを各層に剥がすことができる。
工程1においてプラスチックフィルムが破砕されることにより、後述する工程2および工程3においてプラスチックフィルムを完全に単層に剥離しやすくできる。工程1では、プラスチックフィルムは破砕されていればよく、破砕されたプラスチックフィルムは端部等の少なくとも一部が部分的に剥離した状態であってもよいし、各層が完全に剥離されていてもいいし、各層が剥離していなくてもよい。
工程1において破砕されたプラスチックフィルムの長辺は、好ましくは1mm~30mm、さらに好ましくは1mm~20mm、より好ましくは1mm~10mmである。上記範囲内であると、プラスチックフィルムを洗浄液中に浸漬する工程2において、処理液がフラフの端面から中心部まで浸透する時間が短縮され、プラスチックフィルムを完全に単層に剥離しやすくできる。
処理液がフラフの端面から中心部まで浸透する時間を短縮する点においては、破砕されたプラスチックフィルムに穴または切れ目が開くことがより好ましい。穴の直径または切れ目の長さは、好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.8mm以上、より好ましくは1.0mm以上である。
(乾式破砕機)
工程1において用いられる乾式破砕機としては、特に限定されないが、例えば、ジョークラッシャー、インパクトクラッシャー、カッターミル、スタンプミル、リングミル、ローラーミル、ジェットミル、ハンマーミル、コロイドミル、ロータリーカッター、マイコロイダー、マスコロイダー、ボールミル、パワーミル、ピンミル、気流式粉砕機(ジェットミル)、せん断摩擦式粉砕機、カッター式粉砕機、衝撃式粉砕機(ハンマーミル、ボールミル)、ロール式粉砕機、ホモジナイザー、超音波破砕機等、固体の粉砕またはフィルムの裁断を行うための公知技術が適用できる。破砕時の摩擦熱により基材またはインキ層が軟化して積層体断面が融着することを防ぐため、積層体または破砕装置が冷却された状態で粉砕、破砕を行えることが好ましい。
前記乾式破砕機は、フィルム面にインキ層がむき出しに設けられている(表刷り)プラスチックフィルムや、フィルム面にインキ層及びインキ層を覆うコート層が設けられているプラスチックフィルムを分離回収する場合に好ましく使用できる。また、工程1から工程4までの分離回収を行う場合にも好ましく使用できる。プラスチックフィルムに施されるインキ層は、商品名等の表示や装飾性を付与するための印刷インキ層であり、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、オフセット印刷機、インクジェット印刷機等を使用し、有機溶剤型印刷インキ、水性型又は活性エネルギー線硬化型インキを印刷されている場合が多い。このようなインキ層が設けられたプラスチックフィルムにおいては、工程1において乾式破砕機を用いた場合にフィルムと印刷面とが完全に分離することはないが、本発明においては、後述の工程2および工程3においてフィルムと印刷面とを完全に分離することが可能である。インキ層が複数のフィルムの間に設けられている(裏刷り)積層フィルムにおいては前記乾式破砕機の他、湿式破砕機を用いることができる。
(湿式破砕機)
工程1において用いられる湿式破砕機としては、特に限定されないが、液体中の固形物を破砕・分散・混合・圧送を同時に行うことが出来る湿式破砕機が好ましい。具体的には剪断力及び/又は摩擦力より液体中の固形物を破砕する機構を有するものが好ましく、且つプラスチックフィルムを破砕して圧送できる機構を有する破砕機が好ましい。このような湿式破砕機としては、湿式破砕ポンプ、コロイドミル、磨砕機、叩解機等が挙げられる。
(湿式破砕ポンプ)
湿式破砕ポンプは、液中で固形物を圧送しながら、固形物を固定刃と回転刃により破砕する機構を有することが好ましく、より好ましい機構は、切刃、破砕羽根車、シュラウドリング、グリッドの4点部品の組み合わせにより、3段階に破砕される機構である。
湿式破砕ポンプにより、プラスチックフィルムは3段階で破砕される。プラスチックフィルムは、固定刃の切刃と回転刃の破砕羽根車の入り口のエッジによって荒切りされ、次いで軸流型の破砕羽根車によって攪拌圧送され、一部のプラスチックフィルムは固定刃のシュラウドリングの刃部に当たって切断される。破砕羽根車を通った積層フィルムは格子との間でさらに細かく破砕攪拌され、グリッドを通って加圧羽根車により加圧され、次工程に圧送される。
圧送速度は特に限定されるものではないが、インキ層の剥離やプラスチックフィルムを各層に分離する際の剥離と分離効率を考慮すると、0.03m/min以上が好ましい。圧送速度の上限は特に限定されなく、装置の標準的な運転速度、例えば1.4m/minでも十分に、インキの剥離とプラスチックフィルムの単層への分離をすることが出来る。
グリッド形状は特に限定されない。グリッド口径は積層フィルムの破砕後の大きさに関与するため、グリッド口径は0.1~50mmが好ましく、破砕効率や破砕後の積層フィルムの大きさを考慮すると、より好ましくは1~20mmである。
具体的な湿式破砕ポンプとしては、ハスクバーナ・ゼノア社のKDシリーズ、ニクニ社のサンカッタシリーズ、古河産機システムズ社のディスインテグレータシリーズ、相川鉄工社のインクラッシャーシリーズやリファイナー、三和ハイドロテック社のスキャッター、日本コークス社製トリゴナルなどが例示できる。
(コロイドミル)
本発明で使用するコロイドミルは、粒子が液体中を浮遊している分散系において粒子サイズを低減するために使用される機械である。コロイドミルは、ロータとステータの組み合わせからなり、固定されたステータに対してロータは高速で回転する。高速回転により、生じる高レベルの剪断により液中の粒子サイズを小さくするために使用される。
コロイドミルの破砕部は、歯形状をした円錐台形状のロータと、ステータの組み合わせからなり、ロータとステータは吐出口に近づくにつれて狭くなるようなテーパ形状となっている。積層フィルムは、吐出口に近づくにつれて狭くなるリング状の間隙で、強力な剪断、圧縮、衝撃を繰り返し与えられ破砕される。
具体的なコロイドミルは、一般的にコロイドミルと呼称される分散機であれば特に限定されないが、IKA社のコロイドミルMKシリーズ、イワキ社のWCMシリーズ、マウンテック社のPUCコロイドミルシリーズ、ユーロテック社のキャビトロンなどが例示できる。
(磨砕機)
磨砕機は、液中で上下一組の石臼を回転させながら、石臼の間に投入された固形物をせん断や摩擦により破砕する機構を有することが好ましく、水を流しながら固形物を微粉体状まで粉砕できるものが好ましい。
上下一組の石臼の間隔を調整することにより破砕物のサイズを調整可能であるが、通常500μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下に微粉砕される。このように破砕物のサイズを小さくすることにより、プラスチックフィルムの各層が単層に分離した状態となり、また、破砕物の保存場所を小さくすることができ、在庫管理が容易となる。また、破砕物から再生プラスチックを作製する際、圧縮機等を経由せずに混錬機へ投入できるため、工程を簡略化できる。一方、破砕物のサイズの下限は、回収を容易にするために、10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。
回転速度や、水流速度は特に制限されるものではない。
具体的な磨砕機械としては、増幸産業株式会社製のスーパーマスコロイダー等が例示できる。
前記湿式破砕機は、前述の通り、インキ層が複数のフィルムの間に設けられている(裏刷り)積層プラスチックフィルムを分離回収する場合に好ましく使用できる。
裏刷りの積層プラスチックフィルムには、接着剤の他、商品名等の表示や装飾性を付与するための印刷インキ層を設けている場合が殆どであるが、インキ層は、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、オフセット印刷機、インクジェット印刷機等を使用し、有機溶剤型印刷インキ、水性型又は活性エネルギー線硬化型インキを印刷されている場合が多い。このようなインキ層が設けられたプラスチックフィルムにおいては、インキ層をより効率的に剥離除去するために、水に洗浄成分や剥離成分を含有させた洗浄液中でプラスチックフィルムを破砕してもよい。水に洗浄成分や剥離成分を含有させた洗浄液中でプラスチックフィルムを破砕することにより、プラスチックフィルムに設けられたインキ層の剥離除去とプラスチックフィルムの単層分離とを同時に行うことができる。例えば、食品包装用をはじめとしたプラスチック積層フィルムに最も多く使用されているインキはグラビアインキやフレキソインキであるが、洗浄液を用いた湿式破砕工程においては、該印刷インキ層も剥離させることができるため、効率的である。また、積層フィルムにはアルミニウム等の金属の箔や蒸着膜が積層している場合もあるが、本発明においては金属の箔や蒸着膜も剥離あるいは溶解させることができる。なお、既に前述したとおり、水中での破砕により、プラスチックフィルムを構成する各層が単層に剥離されてもいいし、破砕されたプラスチックフィルムの一部が部分的に剥離した状態であってもよい。また、プラスチックフィルムに設けられたインキ層は、工程1においてプラスチックフィルムから完全に除去される必要はなく、部分的に付着されていてもよいし、あるいは、インキ層から除去されなくてもよい。
工程1において湿式破砕機を使用する場合は、溶媒として水、あるいは水に無機塩基や界面活性剤等の洗浄あるいは剥離成分、又はその他の成分を含有させた洗浄液を用いて破砕を行ってもよい。洗浄液は、以下にあげる成分を1種または2種以上を適宜に組合せて水に含有させたものを使用できる。
(無機塩基)
工程1において使用可能な水性洗浄液として、水に無機塩基を含有させたものを用いることができる。無機塩基としては、具体的には水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが挙げられる。これらの無機塩基は、水性洗浄液全量に対して0.1~10重量%の濃度で含有するが、0.1重量%~5重量%の濃度がより好ましい。またpHは10以上が好ましい。
(界面活性剤)
工程1において使用可能な水性洗浄液として、水に界面活性剤を含有させたものを用いることができる。界面活性剤は特に限定されるものではなく、公知の界面活性剤を使用できるが、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤などが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては一般的には、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、などをあげることができ、これらの中では、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーがあげられる。
本発明においては、50重量%以上の水、及び、一般式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤を0.01重量%~5重量%含有する水性洗浄液であることが好ましい。
-O-[CH-CH(X)-O]n-H (1)
一般式(1)中、Rは直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はオクチルフェノール基を表し、nは平均付加モル数を表し、Xは水素又は短鎖アルキル基を示す。
さらに好ましくは、一般式(1)のうちRが示す炭素原子数が10以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。炭素原子数は、10を超えて多いほどインキ剥離性がよく好ましい。具体的な炭素原子数は、炭素原子数10のデシル基、炭素原子数12のラウリル基、炭素原子数13のトリデシル基、炭素原子数14のミリスチル基、炭素原子数16のセチル基、炭素原子数18のオレイル基、ステアリル基があげられる。
具体的な製品としては、第一工業製薬社製のノイゲンシリーズ,DSK NL-Dashシリーズ,DKS-NLシリーズ、日油社製のノニオンシリーズ、花王の社製エマルゲンシリーズ、ライオン社製のレオックスシリーズ,レオコールシリーズ,ライオノールシリーズなどのうち、一般式(1)であらわされるノニオン系界面活性剤のうちRが示す炭素原子数が10以上であれば該当するが、これに限定されるものではない。
前記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤におけるHLB値は特に限定されるものではない。なお、ここでいうHLB値とは、界面活性剤の水と油(水に不溶性の有機化合物)への親和性の程度を表す値であり、グリフィン法(HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量)で定義されるものである。
前記一般式(1)で表されるノニオン系界面活性剤のうち、Rが示す炭素原子数が10以上でかつ、HLB値が12.5未満の具体的な界面活性剤は、第一工業製薬社では、ノイゲンXL-41、ノイゲンLF-40X、ノイゲンTDS-30、ノイゲンTDS-50、ノイゲンTDS-70、ノイゲンTDX-50、ノイゲンSD-30、ノイゲンSD-60、DKS NL-15、DKS NL-30、DKS NL-40、DKS NL-50、DKS NL-60、DKS NL-70、ノイゲンET-83、ノイゲンET-102、DSK Dash400、DSK Dash403、DSK Dash404、DSK Dash408、ノイゲンLP-55ノイゲンLP-70、ノイゲンET-65、ノイゲンET-95、ノイゲンET-115、ノイゲンET-69、ノイゲンET-89、ノイゲンET-109、ノイゲンET-129、ノイゲンET-149、日油社製では、ノニオンK-204、パーソフトNK-60、ノニオンP-208、ノニオンP-210、ノニオンE-202、ノニオンE-202S、ノニオンE-205、ノニオンE-205S、ノニオンS-202、ノニオンS-207、ノニオンEH-204、ノニオンID-203、ノニオンHT-505、ノニオンHT-507、ノニオンHT-510、ノニオンHT-512、花王社製では、エマルゲン102KG、エマルゲン103、エマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン210P、エマルゲン404、エマルゲン408、エマルゲン409PV、エマルゲン705、エマルゲン707、ライオン社製では、レオックスCL-30、レオックスCL-40、レオックスCL-50、レオックスCL-60、レオコールNL-30C、レオコールTD-50、レオコールTD-70、レオコールSC-50、レオコールSC-70などが例示できるが、これに限定されるものではない。
また、一般式(1)で表されるノニオン系界面活性剤のうち、R1の炭素原子数が10以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、かつHLB値が12.5以上の具体的な界面活性剤は、第一工業製薬社では、ノイゲンXL-61、ノイゲンXL-6190、ノイゲンXL-70、ノイゲンXL-80、ノイゲンXL-100、ノイゲンXL-140、ノイゲンXL-160、XL-400D、ノイゲンXL-1000、ノイゲンLF-60X、ノイゲンLF-80X、ノイゲンLF-100X、ノイゲンTDS-80、ノイゲンTDS-100、ノイゲンTDS-120、ノイゲンTDS-200D、ノイゲンTDS-500F、ノイゲンTDX-80、ノイゲンTDX-80D、ノイゲンTDX-100D、ノイゲンTDX-120D、ノイゲンSD-70、ノイゲンSD-80、ノイゲンSD-110、ノイゲンSD-150、DKS NL-80、DKS NL-90、DKS NL-100、DKS NL-110、DKS NL-180、DKS NL-250、DKS NL-450F、DKS NL-600F、ノイゲンET-160,ノイゲンET-170,ノイゲンET-190,DSK Dash410,ノイゲンLP-80、ノイゲンLP-100、ノイゲンLP-180、ノイゲンET-135、ノイゲンET-165、ノイゲンET-159、ノイゲンET-189、日油社製では、ノニオンK-220,ノニオンK-230,ノニオンK-2100W,パーソフトNH-90C、パーソフトNK-100、パーソフトNK-100C、ノニオンP-210、ノニオンP-213、ノニオンE-212、ノニオンE-215、ノニオンE-230、ノニオンS-215、ノニオンS-220、ノニオンB-250、ノニオンID-206、ノニオンID-209、ディスパノールTOC、ノニオンHT-515、ノニオンHT-518、花王社製では、エマルゲン109P、エマルゲン120、エマルゲン123P、エマルゲン130K、エマルゲン147、エマルゲン150、エマルゲン220、エマルゲン320P、エマルゲン350、エマルゲン420、エマルゲン430、エマルゲン709、エマルゲン1108、エマルゲン1118S-70,エマルゲン1135S-70,エマルゲン1150S-60,エマルゲン4085,エマルゲン2020G-HA,エマルゲン2025G、ライオン社製では、レオックスCL-90、レオックスCL-230、レオコールTD-90、レオコールTD-90D、レオコールTDA-90-25、レオコールTDN-90-80、レオコールTD-120、レオコールTD-200、レオコールTDA-400-75、レオコールSC-80、レオコールSC-90、レオコールSC-120、レオコールSC-150、レオコールSC-200、レオコールSC-300、レオコールSC-400などが例示できるが、これに限定されるものではない。
一般式(1)のうちRがオクチルフェノール基のとき、オクチルフェノールエトキシレートが好ましい。
具体的な製品としては、ダウケミカル社TRITON(登録商標)シリーズ、ローディア社のIgepal CAシリーズ、シェルケミカルズ社のNonidet Pシリーズ、日光ケミカルズ社のNikkol OPシリーズがあげられるが、これに限定されるものではない。
両性界面活性剤として具体的には、ベタイン型の両面活性剤が好ましく、例えば一般式(2a)で表される少なくとも1種の化合物を含有するアルキルカルボキシベタイン骨格又はアルキルアミドカルボキシベタイン骨格の両性界面活性剤を含有することがより好ましい。
R1-R2-N(CHCHCOO (2a)
(一般式(2a)中、R1は水素又はC(=O)R3-NH-(R3は直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す)を示し、R2はアルキレン基、アルケニレン基を示す。)
一般式(2a)中、R1は水素原子を表すことが好ましい。
一般式(2a)で表される化合物は、一般式(2a-1)で表されるアルキルカルボキシベタイン骨格である両性界面活性剤であることが好ましい。
2n+1(CHCHCOO (2a-1)
(一般式(2a-1)中、nは平均付加モル数を示す。)
一般式(2a-1)において、nは8以上であることが好ましく、10以上であることが好ましく、11以上であることが好ましい。
一般式(2a)に該当する具体的な製品としては、日油社製では、ニッサンアノンBDF(登録商標)-R、ニッサンアノンBDF(登録商標)-SF、ニッサンアノンBDC-SF、ニッサンアノンBDL-SF、第一工業製薬社製では、アモーゲンCB-H、アモーゲンHB-C、新日本理化社製では、リカビオンB-200、リカビオンB-300、東邦化学工業社製では、オバゾリンCAB-30、オバゾリンISABなどがあげられる。また、一般式(1a-1)に該当する具体的な製品としては、第一工業製薬社製では、アモーゲンS、アモーゲンS-H、アモーゲンK、花王社製では、アンヒトール20BS、アンヒトール24B、アンヒトール86B、日油社製では、ニッサンアノンBF、ニッサンアノンBL、ニッサンアノンBL-SF、新日本理化社製では、リカビオンA-100、リカビオンA-200、リカビオンA-700、東邦化学社製では、オバゾリンLB、オバゾリンLB-SF、などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
また、ベタイン型の両性界面活性剤としては、イミダゾリニウムベタイン骨格を有するものでもよく、該当する具体的な製品としては日油社製では、ニッサンアノンGLM-R、ニッサンアノンGLM-R-LV、花王社製ではアンヒトール20Y-Bなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
また、両性界面活性剤としては、以下の一般式(2b)で表される界面活性剤であってもよい。
R4-(NHCnb-N(R5) (2b)
(一般式(2b)中、R4は直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、nbは0~5の整数を表し、R5は水素、-CHCOONa又は-CHCOOHを示すが、2つ存在するR5は同一であっても異なってもよく、少なくとも一つのR5は-CHCOONaを示す。)
一般式(2b)中、R4は直鎖のアルキル基を表すことが好ましく、R4の炭素原子数は8以上であることが好ましく、10以上であることが好ましく、12以上であることが好ましい。
一般式(2b)に該当する具体的な製品としては、日油社製では、ニッサンアノンLG-R、ニッサンアノンLAなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
また、両性界面活性剤としては、以下の一般式(2c)で表されるアミンオキサイド型の界面活性剤であってもよい。
R6-N(CH (2c)
(一般式(2c)中、R6は直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
一般式(2c)中、 R6は一般式(2b)中、R4は直鎖のアルキル基を表すことが好ましく、R4の炭素原子数は8以上であることが好ましく、10以上であることが好ましく、12以上であることが好ましい。
一般式(2c)に該当する具体的な製品としては、第一工業製薬社製では、アモーゲンAOL、花王社製ではアンヒトール20Nなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
カチオン性界面活性剤として具体的には、4級アンモニウム骨格のカチオン性面活性剤が好ましく、例えば一般式(3a)で表される少なくとも1種の化合物を含有する4級アンモニウム骨格のカチオン性界面活性剤を含有することがより好ましい。
R1-N(R2R3)-R4 (3a)
(一般式(3a)中、R1は直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基、又は直鎖あるいは分岐鎖のアルケニル基を示し、該アルキル基又はアルケニル基中の-CH-は-C(=O)-、-NH-又は-C(=O)-NH-で置換されてもよく、R2及びR3は水素原子、直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基又は直鎖あるいは分岐鎖のアルケニル基を示し、R4は水素原子、直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基、直鎖あるいは分岐鎖のアルケニル基又はフェニル基を示し、該アルキル基又はアルケニル基中の末端の-CHは、カルボキシ基、又はフェニル基で置換されてもよい。)
一般式(3a)中、R1は、インキの剥離性をより高めるために、長鎖のアルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、具体的には炭素素原子数8~30のアルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数10~25のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数12~22のアルキル基又はアルケニル基であることが好ましい。アルキル基又はアルケニル基は直鎖であっても分岐していてもよいが、直鎖であることが好ましく、直鎖のアルキル基であることがより好ましい。
R1は、アルキル基又はアルケニル基中の少なくとも一つ以上の-CH-が-C(=O)-、-NH-又は-C(=O)-NH-で置換されてもよい。中でも、アルキル基又はアルケニル基中の少なくとも一つ以上の-CH-が-C(=O)-NH-又は-NH-C(=O)で置換されていることが好ましく、アルキル基中の一つの-CH-が-C(=O)-NH-又は-NH-C(=O)で置換されていることが好ましく、R1中にアミドプロピル骨格を有することがより好ましい。
R2及びR3は直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基又は直鎖あるいは分岐鎖のアルケニル基を示すことが好ましく、直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基を表すことが好ましい。中でも、炭素原子数1~3直鎖のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。
R4は、直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基、直鎖あるいは分岐鎖のアルケニル基又はフェニル基を示すことが好ましく、直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基を表すことがより好ましい。また、アルキル基又はアルケニル基中の末端の-CHは、カルボキシ基、又はフェニル基で置換されていることが好ましい。
R4の炭素原子数1~8であることが好ましく、1~5であることが好ましく、1~3であることが好ましく、1又は2を表すことがより好ましい。
R4がメチル基を表す場合は、R2及びR3もメチル基を表し、一般式(3a)がアルキルトリメチルアンモニウム骨格を示すことが好ましい。
また、R4がエチル基を表す場合は、エチル基中の末端の-CHは、カルボキシ基、又はフェニル基で置換されていることが好ましい。つまり、R4が-CH-(C(=O)OHを表すか、若しくは、ベンジル基を表すことが好ましい。
一般式(3a)で表される化合物は、一般式(3a-1)で表される4級アンモニウム骨格のカチオン性界面活性剤が好ましい。
2n+1(CHR4 (3a-1)
(一般式(3a-1)中、nは平均付加モル数を示し、R4は請求項3に記載の一般式(3a)中のR4と同じ意味を示す。)
一般式(3a-1aにおいて、nが示す炭素原子数は8以上が好ましい。炭素原子数は、8を超えて多いほどインキ剥離性がよく好ましい。具体的な炭素原子数は、炭素原子数8のオクチル基、炭素原子数9のノニル基、炭素原子数10のデシル基、炭素原子数11のウンデシル基、炭素原子数12のラウリル基、炭素原子数13のトリデシル基、炭素原子数14のミリスチル基、炭素数15のペンタデシル基本、炭素原子数16のセチル基、炭素原子数18のオレイル基、ステアリル基があげられる。
R4の好ましい基は、一般式(3a)と同様である。
これらの4級アンモニウム骨格のカチオン性面活性剤は、ハロゲンと塩を形成した4級アンモニウム骨格塩型であることが好ましく、Clと塩を形成することが好ましく、より好ましくはBrと塩を形成することが好ましく、更に好ましくは、Iと塩を形成することが好ましい。ハロゲンと塩を形成した4級アンモニウム骨格塩は、ハロゲンの求核作用によりインキ膜の加水分解を促進することから、インキの剥離性を向上させると考えられる。
中でも、塩化アルキルトリメチルアンモニウム型、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム型、塩化アルキルベンザルコニウム型の化合物が好ましい。
一般式(3a)あるいは(3a-1)に該当する具体的な製品としては、日油社製では、ニッサンカチオンMA、ニッサンカチオンSA、ニッサンカチオンBB、ニッサンカチオンFB、ニッサンカチオンPB-300、ニッサンカチオンABT2-500、ニッサンカチオンAB、ニッサンカチオンAB-600、ニッサンカチオンVB-Mフレーク、ニッサンカチオンVB-F、ニッサンカチオン2-DB-500E、ニッサンカチオン2-DB-800E、ニッサンカチオン2ABT、ニッサンカチオン2-OLR、ニッサンカチオンF-50R、ニッサンカチオンM-100Rがあげられ、第一工業社製では、カチオーゲンTML、カチオーゲンTMP、カチオーゲンTMS、カチオーゲンDDM-PG、カチオーゲンBC-50、カチオーゲンTBBがあげられ、花王社では、コータミン24P、コータミン86Pコンク、コータミン60W、コータミン86W、サニゾールC、サニゾールB-50があげられ、ライオン社製では、リポガードC-50、リポガードT-28、リポガードT-30、リポガードT-50、リポガードT-800、リポガード16-29、リポガード16-50E、リポガード18-63、リポガード22-80、リポガードCB-50、リポガード210-80E、リポガード2C-75、リポガード2HP-75、リポガード2HPフレーク、リポガード2HT-75、リポガード2HTフレーク、リポガード20-75l、リポガード41-50、TMAC-50、TPAH-40、TBAB-50A、TBAB-100A、TBAH-40、リポガードPH-100、BTMAC-50、BTMAC-100A、BTEAC-50、BTEAC-100A、BTBAC-50A、などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
また、カチオン性界面活性剤は、1級~2級のアルカノールアミン骨格で表される少なくとも1種の化合物を含有することが好ましく、モノアルカノールアミン骨格で表される少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。
1級のモノアルカノールアミンとしては、炭素原子数1~4の低級アルカノールであることが好ましく、具体的には、モノエタノールアミン、2-アミノイソブタノールなどがあげられ、2級のモノアルカノールアミンとしては、N-メチルエタノールアミン、2-エチルアミノエタノール、イソプロパノールアミンなどがあげられるが、例示以外の物質も適宜使用することができる。また、これらモノアルカノールアミン系化合物は1種を単独でまたは2種以上を適宜に組合せて使用でき、水に混合して使用することもできる。
これらのモノアルカノールアミン骨格のカチオン性面活性剤は、ハロゲンと塩を形成したモノアルカノールアミン塩型であることが好ましく、Clと塩を形成することが好ましい。
これらの界面活性剤は、単独で用いることもでき、又2種類以上を混合して用いることもできる。その添加量は水性洗浄液全量に対し5重量%以下の範囲が好ましく、2質量%以下であることが好ましい。界面活性剤の下限値は特に限定されず、0質量%でもよいが、界面活性剤を含有する場合は0.1質量%以上であることが好ましい。
(非水溶性アルコール)
工程1において使用可能な洗浄液として、水に非水溶性の第一級アルコールを含有させたものを用いることができる。非水溶性第一級アルコールは、水に対し20重量%以下含有することが好ましい。
非水溶性の第一級アルコールとしては、例えば、ブタン-1-オール、ペンタン-1-オール、ヘキサン-1-オール、ヘプタン-1-オール、オクタン-1-オール、ノナン-1-オール、デカン-1-オール、ウンデカン-1-オール、ドデカン-1-オール、トリデカン-1-オール、テトラデカン-1-オール、ペンタデカン-1-オール、ヘキサデカン-1-オール、ヘプタデカン-1-オール、オクタデカン-1-オール、ノナデカン-1-オール、イコサン-1-オール、ヘネイコサン-1-オール、ドコサン-1-オール、トリコサン-1-オール、テトラコサン-1-オール、ペンタコサン-1-オール、ヘキサコサン-1-オール、ヘプタコサン-1-オール、オクタコサン-1-オール、ノナコサン-1-オール、トリアコンタン-1-オール、ポリコサノール、2-メチルプロパン-1-オール、ベンジルアルコールが挙げられ、中でもブタン-1-オールやベンジルアルコールが好ましい。
(水溶性アルコール)
工程1において使用可能な洗浄液として、水に水溶性の第一級アルコールを含有させたものを用いることができる。水溶性第一級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパン-1-オールが挙げられ、工業用アルコールとしてそれらが任意に混合されたものも使用できる。水溶性第一級アルコールは、水に対し20重量%以上含有することが好ましい。
(非水溶性グリコールエーテル系有機溶剤)
工程1において使用可能な洗浄液として、水に非水溶性グリコールエーテル系有機溶剤を含有させたものを用いることができる。非水溶性グリコールエーテル系有機溶剤は、水に対し20重量%以下含有する水性洗浄液であることが好ましい。
非水溶性グリコールエーテル系有機溶剤としては、例えば、芳香族系グリコールエーテルが挙げられる。
(芳香族系グリコールエーテル溶剤)
工程1において使用可能な洗浄液として、水に芳香族系グリコールエーテル溶剤を含有させたものを用いることができる。芳香族系グリコールエーテル溶剤としては、例えば、芳香族系グリコールエーテルの例としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールジベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルなどが挙げられる。エステル系グリコールエーテルの例としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。なかでも、エチレングリコールモノフェニルエーテル(フェノキシエタノール)がより好ましい。
(水溶性グリコールエーテル系有機溶剤)
工程1において使用可能な洗浄液として、水に水溶性グリコールエーテル系有機溶剤を含有させたものを用いることができる。水溶性グリコールエーテル系有機溶剤は、水に対し20重量%以上含有する水性洗浄液であることが好ましい。
水溶性グリコールエーテル系有機溶剤としては、例えば、アルキレングリコールアルキルエーテルが挙げられる。
(水溶性アルキレングリコールアルキルエーテル溶剤)
-O-[CH-CH(X)-O]n-R (4)
(一般式(4)中、Rは炭素原子数1以上のアルキル基を、Rは炭素原子数1以上のアルキル基または水素を、nは1~3の整数を、Xは水素又はメチル基を示す。)
一般式(4)で表されるアルキレングリコールアルキルエーテルの中でさらに好ましくは、水溶性のアルキレングリコールアルキルエーテルである。
一般式(4)で表されるアルキレングリコールアルキルエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールメチルプロピルエーテル、エチレングリコールエチルプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール-tert-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテルなどが例示できる。
これらアルキレングリコールアルキルエーテルは1種を単独でまたは2種以上を適宜に組合せて使用でき、水に混合して使用することもできる。アルキレングリコールアルキルエーテルの含有量は20重量%以上であれば特に問題はないが、水が媒体の場合は30重量%以上が好ましく、40重量%以上が最も好ましい。一方、上限は100重量%でもよいが、環境への影響や安全性の観点から水を媒体とする方が好ましい。
一般式(4)で表される水溶性のアルキレングリコールアルキルエーテルのうち、さらに好ましいのは一般式(5)で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテルである。
-O-[CH-CH(X)-O]n-H (5)
(一般式(5)中、Rは炭素原子数1以上のアルキル基を、nは1~3の整数を、Xは水素又はメチル基を示す。)
一般式(5)で表される水溶性のアルキレングリコールアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール-tert-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどが例示できる。
さらに、一般式(5)で表される水溶性のアルキレングリコールアルキルエーテルを含有する水性洗浄液において、水の含有割合が、50重量%を大きく超えて配合される組成でも剥離性を維持できる点では、Rは炭素原子数3以上のアルキル基、nは1~3、Xは水素又はメチル基であるものが好ましい。
具体的には、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール-tert-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどが例示できる。これらアルキレングリコールアルキルエーテルは1種を単独でまたは2種以上を適宜に組合せて使用でき、水に混合して使用することもできる。
さらに、これらの中でも環境特性、引火性、消泡性の点から、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルが特に好ましい。
(水溶性モノアルカノールアミン系有機溶剤)
工程1において使用可能な洗浄液として、水に水溶性アルカノールアミン系有機溶剤を含有させたものを用いることができる。水溶性アルカノールアミン系有機溶剤は、水に対し20重量%以上含有する水性洗浄液であることが好ましい
沸点150~200℃の1級~2級モノアルカノールアミンは、前記洗浄液全量に対し10重量%~50重量%含有することができる。
1級のモノアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、2-アミノイソブタノール、イソプロパノールアミンなどがあげられ、2級のモノアルカノールアミンとしては、N-メチルエタノールアミン、2-エチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノールなどがあげられるが、1級~2級のモノアルカノールアミンにおいて、沸点150~200℃内であれば、例示以外の物質も適宜使用することができる。また、これらモノアルカノールアミン系化合物は1種を単独でまたは2種以上を適宜に組合せて使用でき、水に混合して使用することもできる。
(消泡剤)
工程1において使用する水は、消泡剤を含んでいてもよい。工程1において、攪拌や破砕工程において多量の泡が発生する場合があり、泡が残るとプラスチックフィルムの回収工程において泡があふれ出すことがある。また、プラスチックフィルムの破砕工程においては、洗浄液中に泡を多量に巻き込んだ場合に、プラスチック基材が所望のサイズに破砕されない場合がある。
消泡剤として一般的に用いられる化合物として、水溶性の有機溶剤やHLB値の低いが1~3の範囲であるノニオン性界面活性剤が使われるが、消泡能力が高いという点で特に好ましい化合物としてはシリコーン系化合物である。中でもエマルジョン型や自己乳化型のシリコーン化合物が好ましい。
具体的な消泡剤として、自己乳化型としては、信越化学社製、X-50-1176、KS-530、KS-537があげられ、エマルジョン型としては、信越化学社製KM-7750D、KM-7752、KM-98、ナガセケムスペック社製FS Antifoam 025、FS Antifoam 80、FS Antifoam 92、FS Antifoam 93、DKQ1-1183、DKQ1-1247などが例示できるが、これに限定されるものではない。
消泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。工程1において使用可能な洗浄液に、好ましくは0.01~5重量%の範囲であり、より好ましくは0.02~4重量%の範囲であり、さらに好ましくは0.03~3重量%である。
(液温)
工程1に使用する水又は洗浄液の液温は、液体状態が保てれば特段限定されないが、通常は液温が15~90℃で行うことが好ましい。水に界面活性剤等を添加した水性洗浄液を利用する場合、界面活性剤の種類に応じて液温を調節することが好ましい。洗浄効果に優れる最適な温度は界面活性剤の種類によって異なるが、例えば40℃以上が好ましく、65℃以上が好ましく、85℃以上が好ましい。
一方、プラスチックフィルムの破砕性を高めたい場合、すなわちプラスチックフィルムをより細かく破砕するためには、液温が高すぎないことが好ましいことから、40℃以下が好ましく、30℃以下が好ましく、20℃以下であることが好ましい。破砕後のプラスチックフィルムのサイズが小さいほど断面積が増えるため、工程2においてプラスチックフィルムを構成する各層が単層に膨潤が容易になる。
<工程2について>
本発明のプラスチックフィルムの分離回収方法は、工程1において破砕したプラスチックフィルムを、洗浄液中に浸漬する工程2を有する。工程2において、プラスチックフィルムを構成する各層やインキ層を、容易に膨潤することができる。
(浸漬時間)
工程2において、浸漬する時間は、破砕したプラスチックフィルムが十分膨潤される時間であることが好ましく、具体的には30分以上であることが好ましい。より具体的には30分~48時間の範囲内である。下限が30分未満では、工程2において、十分膨潤することが困難となる。一方上限が48時間を超える場合、本発明の分離回収において時間がかかりすぎる。
また浸漬する時間は、後述の液温と攪拌を組み合わせることで適宜調整することができる。液温が高いほど浸漬時間は短くて済む。実用的なリサイクルシステムを構築する場合は、液温を加温させながら浸漬時間の上限を4時間程度とすることが好ましい。
例えば常温で浸漬を行う場合は、24時間以上の浸漬で十分膨潤させることができる。また液温を40℃とした場合は、16時間の浸漬で十分膨潤させることができる。また液温を75℃とした場合は、2時間の浸漬で十分膨潤させることができる。
(温度)
工程2において、洗浄液の液温は液体状態が保てれば特段限定されない。液温を常温で行えば加熱を必要としないのでCO排出低減に寄与でき好ましい。一方実用的なリサイクルシステムとして効率を優先させる場合は、液温を加温させながら浸漬時間を短縮させる方法も好ましい。即ち通常は液温が15~90℃で行うことが好ましい。水に界面活性剤等を添加した水性洗浄液を利用する場合、界面活性剤の種類に応じて液温を調節することが好ましい。洗浄効果に優れる最適な温度は界面活性剤の種類によって異なるが、40℃以上が好ましく、50℃以上が好ましく、60℃以上が好ましい。液温の上限は、液体状態が保てれば特段限定されないが、通常は90℃以下が好ましい。
一方、プラスチックフィルムの破砕性を高めたい場合、すなわちプラスチックフィルムをより細かく破砕するためには、液温が高すぎないことが好ましいことから、40℃以下が好ましく、30℃以下が好ましく、20℃以下であることが好ましい。破砕後のプラスチックフィルムのサイズが小さいほど断面積が増えるため、工程3においてプラスチックフィルムを構成する各層が単層に分離しやすくなり、且つ、インキ層の剥離及び無色化が容易になる。
(攪拌)
工程2において、攪拌は必須ではなく任意でよいが、攪拌されていた方がより効率よく膨潤させることができる。攪拌は、消泡剤を添加しなくても泡立ち等が生じにくい攪拌速度にとどめておくことが好ましい。
攪拌する場合の攪拌する設備や方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を利用できる。具体的には、容器内で洗浄液を攪拌することができる攪拌翼付きモータを具備した装置、超音波を発生させる装置を具備した装置、容器ごと振盪することができる装置、湿式破砕機などがあげられる。湿式破砕機は、工程1において記載した破砕機と同様のものを用いることができる。
(洗浄液)
工程2において使用する洗浄液は、工程1の湿式破砕機を使用する際に使用する洗浄液をそのまま使用することもできる。具体的には、水と、前記工程1で述べた無機塩基、前記工程1で述べた界面活性剤を含有する洗浄液を使用することが好ましい。
また工程2において使用する洗浄液は、有機溶剤を適量含んでいてもよく好ましい。有機溶剤としては、例えば、水溶性アルコール類や、引火点が21℃以上の水溶性溶剤を1種又は2種以上含有することが好ましい。洗浄液に水溶性溶剤を用いることにより、洗浄液中に含有する無機塩基から生じる水酸化物イオンが水和されにくいため、水酸化物イオンの求核性が高くなり、また、疎水場環境においてインキ層剥離の反応を進行させることができることから、インキ膜の剥離に効果的である。
引火点が21℃以上の水溶性溶剤は、消防法に定める第二石油類及び第三石油類に該当する有機溶媒のうち水溶性の溶剤が好ましく、例えば、ジエチレングリコールブチルエーテルやプロピレングリコールプロピルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールが好ましい。
また、水溶性アルコール類としては消防法に定めるアルコールが挙げられる。これらとして具体的には、メタノール、エタノール、1-プロピルアルコール、2-プロピルアルコール等が挙げられ、これらを単独で用いても混合して用いてもよい。
また有機溶剤として、前記工程1で述べた非水溶性アルコールや非水溶性グリコールエーテル系有機溶剤を含有していてもよく好ましい。中でも特にブタン-1-オール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル(フェノキシエタノール)が好ましい。
工程2において、工程1で破砕したプラスチックフィルムを十分膨潤させることで、工程3において水のみであっても容易にプラスチックフィルムを完全に単層に剥離することができる。特に、プラスチックフィルムがインキ層を有する場合、インキの種類やプラスチックフィルムの構成によってはプラスチックの無色化は困難であるが、本発明では、工程1と工程2を行うことで、プラスチックフィルムの各層の少なくとも一部を剥離させる、あるいは剥離しやすくする下地を作り、後述の工程3においてプラスチックフィルムを単層に分離、及びインキ層の剥離を行うので、インキの種類やプラスチックフィルムの構成を問わず、容易にインキ層を剥離することができる。
特に工程2において使用する洗浄液は、インキ層の剥離性の観点からは洗浄液中に水溶性溶剤を多く含有することが好ましく、具体的には、水溶性溶剤は30質量%以上が好ましく、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが好ましい。
また、特に工程2において使用する洗浄液は、無機塩基を含有することが好ましい。無機塩基は、具体的には水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが挙げられる。これらの無機塩基は、インキ洗浄液全量に対して0.1~10重量%の濃度で含有することが好ましく、0.1重量%~5重量%の濃度がより好ましい。またpHは10以上が好ましく、11以上が好ましく、12以上がより好ましい。水酸化ナトリウムは有機溶剤に難溶のため、水酸化ナトリウムを使用する場合はカチオン系界面活性剤を併用することが好ましい。具体的には、水酸化ナトリウムとカチオン系界面活性剤と非水溶性芳香族系グリコールエーテル溶剤と、水溶性アルコール類もしく水溶性アルカノールアミン溶剤剤とを含有する洗浄液が挙げられる。一方水酸化カリウムを使用する場合は、有機溶剤に易溶のため、カチオン系界面活性剤を併用しなくてもよい。具体的には例えば、水酸化カリウムと水溶性アルコール類もしくは芳香族系グリコールエーテル溶剤とを含有する洗浄液が挙げられる。
また、特に工程2において使用する洗浄液は、水を含有してもよい。工程2の洗浄液中に水を含有することにより、工程2における作業安定性や環境安定性を向上させることができる。
また、特に工程2において使用する洗浄液は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は特に限定されるものではなく、公知の界面活性剤を使用できるが、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤の具体的な種類は、工程1において水に含有可能な界面活性剤として記載したものと同様のものを用いることができる。
工程2の洗浄液において、界面活性剤は、単独で用いることもでき、又2種類以上を混合して用いることもできる。その添加量は洗浄液全量に対し5重量%以下の範囲が好ましく、2質量%以下であることが好ましい。界面活性剤の下限値は特に限定されず、0質量%でもよいが、界面活性剤を含有する場合は0.01質量%以上であることが好ましい。
<工程3について>
本発明のプラスチックフィルムの分離回収方法は、前記工程1、工程2を経た後、破砕し膨潤した前記プラスチックフィルムを水中で攪拌することにより、前記プラスチックフィルムを分離する工程3を有する。
(攪拌)
工程3において、攪拌する場合の攪拌する設備や方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を利用できる。具体的には、容器内で洗浄液を攪拌することができる攪拌翼付きモータを具備した装置、超音波を発生させる装置を具備した装置、容器ごと振盪することができる装置、湿式破砕機などがあげられる。湿式破砕機は、工程1において記載した破砕機と同様のものを用いることができる。
工程3は、工程1で破砕されたプラスチックフィルムが、30mm以下のクリアランスを通過する工程を含むことが好ましい。クリアランスは、さらに好ましくは20mm以下より好ましくは10mm以下である。10mm以下のクリアランスを通過することで、プラスチックフィルムに高い剪断力を加えることができ、例えばインキ層がむき出しに設けられているプラスチックフィルムからインキを擦り落とす効果や、インキ層が複数のフィルムの間に設けられているプラスチックフィルムにずり応力を加える効果があり、積層体の剥離を促進することができる。
湿式破砕機は、固定刃と回転刃により破砕する機構を有しているため、その運転条件により容易にクリアランスを制御することができる。クリアランスは狭いほどプラスチックフィルムに高い剪断力を与えることができるが、狭いほどプラスチックフィルムの詰まりが発生し易く、水又は洗浄液の液温上昇が早くなるため、0.1mm以上であることが好ましい。
プラスチックフィルムが通過するクリアランスは、具体的には、所定のサイズ以下のクリアランスを設けて高せん断を加える方法により設けられる。例えば、プラスチックフィルムおよび/または水を攪拌する処理槽のタンク内壁と攪拌翼とのサイズギャップを所定のサイズ以下に制御する、タンク壁から所定のサイズ以下の距離に邪魔板を設置する、プラスチックフィルムおよび/または水が所定のサイズ以下の直径の穴を有するスクリーンを通過する設計とする、ギャップが所定のサイズ以下の2本ロールの間を通す、ボールミルなどを用いて積層体を間に挟んでメディア同士を衝突させる、例えばホモジナイザーのように回転刃の外側に固定刃を設けて回転刃と固定刃のギャップを所定のサイズ以下に制御する、などにより設計できる。
工程3における剪断速度は、2,000s-1以上であることが好ましい。剪断速度は速いほどプラスチックフィルムからインキを擦り落とす効果や、インキ層が複数のフィルムの間に設けられているプラスチックフィルムにずり応力を加える効果が高いため、上限は限定されない。
なお、ここでいう剪断速度(D) は以下の式で定義される。
D=v/Δy
v:流速(m/s)、v=π×R×(n/60) として算出
π:円周率
R:回転刃の直径(m)
n:回転刃の回転数(rpm)
Δy:クリアランス(m) 、ここでは回転刃と固定刃の隙間(m)を指す。
湿式破砕機の固定刃の直径は大きいほど流速は上昇するため、湿式破砕機の固定刃はサイズが大きいほど好ましく、クリアランスは狭いほど剪断速度は上昇するため狭いほど好ましい。
固定刃と回転刃の刃物デザインは、少なくとも一部の刃物が放射方向に配置されている形状が好ましく、放射方向に配置された刃物は、放射方向から2~60°傾いている方が好ましい。より好ましくは5~45°である。
回転刃に複数の刃物が並行して配置されている場合には、回転刃の刃幅は0.5~5.0mmであることが好ましく、刃と刃の溝幅は0.5~5.0mmが好ましく、刃の高さは1.0~5.0mmであることが好ましい。
工程3における攪拌フルード数(Fr) は10以上であることが好ましい。攪拌フルード数は速いほどプラスチックフィルムからインキを擦り落とす効果や、インキ層が複数のフィルムの間に設けられているプラスチックフィルムにずり応力を加える効果が高いため、上限は限定されない。
なお、ここでいう攪拌フルード数(Fr) は以下の式で定義される。
Fr={(n/60) }×R/g
n:回転刃の回転数(rpm)
R:回転刃の直径(m)
g:重力加速度=9.8(m/s
工程3は水中で膨潤したプラスチックフィルムから接着剤やインキ層等を剥離する工程であることから、高い剪断力及び/又は高い摩擦力が得られる湿式破砕機を使用することが好ましい。このような湿式破砕機としては、例えばハスクバーナ・ゼノア社のKDシリーズ、ニクニ社のサンカッタシリーズ、古河産機システムズ社のディスインテグレータシリーズ、相川鉄工社のインクラッシャーシリーズやリファイナー、三和ハイドロテック社のスキャッター、日本コークス社製トリゴナル、日本シーム社製アルカリ洗浄・洗浄脱墨設備、洗浄粉砕機シザーズカッターシリーズなどが挙げられる。
(インキ除去性)
工程3の後のプラスチックフィルムのインキ除去性は、好ましくは50%以上、より好ましくは75%以上、特に好ましくは90%以上である。
インキ除去性は、以下のように測定する。
工程3の攪拌工程後のフィルムを洗浄し、乾燥したのちに、印刷部のインキ除去性について、光学顕微鏡を用いて撮影された写真の画像処理にて面積を算出し、以下式を用いてインキ除去率を求めることで判定する。
インキ除去率(%)=(1-洗浄後インキ付着面積/洗浄前インキ付着面積)×100
(表面粗さ)
工程3後のプラスチックフィルム片の表面粗さは0.7μm以上が好ましい。前述したような湿式破砕設備を用いて破砕物の表面粗さを0.7μm以上にすることで、プラスチックフィルム積層体を単層に分離でき、また、プラスチックフィルム積層体の表面に設けられたインキ層のみならず、積層体の間に設けられたインキ層も除去できることから、回収した破砕物は、高品質なリサイクルプラスチックを製造するための原料として好適である。
破砕物の表面粗さは、0.7μm以上であることが好ましく、0.8μm以上がより好ましく、0.9μm以上であることが更に好ましい。一方、上限は特に限定されず、湿式破砕設備の条件に応じて適宜調整できる。
フィルムの表面粗さは、菱化システム社製の白色干渉顕微鏡を用いて500μm×600μmの面粗さSaを測定して求める。Saは、Raのように断面から求められる値では無く面内全域を示す値なので、より評価範囲が広く、全体的な表面粗さを評価できる。
(フィルム片の大きさ)
工程3後のプラスチックフィルム片の大きさは、長辺方向の長さが20mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることが更に好ましい。また、短辺方向の長さが20mm以下であることが好ましく、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることが好ましい。破砕物の大きさの下限は特に限定は無いが、小さすぎると回収性が低下することから、長辺方向の長さが1mm以上であることが好ましい。
(水)
工程3においては、溶媒として水を使用する。工程3の後に、単層ごとにプラスチック破砕物を回収するが、工程3において工程2で使用するようなpHは10以上の洗浄液を使用した場合、得られたプラスチック破砕物はpHを中性にするために洗浄工程が必要となることが多い。また、pHは10以上の洗浄液は時として装置そのものの腐食等につながる可能性もある。本発明においては工程3において溶媒として中性の水を使用するので、このような問題が生じにくい。
(回収設備)
工程3において単層に分離されたプラスチック破砕物は、単層ごとに回収することができる。プラスチック破砕物を回収する設備や方法は特に限定されるものではないが、例えば、濾過機、遠心分離機、自動掻上げバー・スクリーン、傾斜式ワイヤ・スクリーン、回転ドラム式スクリーンなどを用いることができる。
<工程4について>
本発明のプラスチックフィルムの分離回収方法は、前記工程1、工程2、工程3を経た後、前記層ごとに回収されたプラスチックフィルムをリンス液中で攪拌することにより、前記プラスチックフィルムを仕上げ洗浄する工程4を有することが好ましい。
(攪拌)
工程4において、攪拌する場合の攪拌する設備や方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を利用できる。具体的には、容器内で洗浄液を攪拌することができる攪拌翼付きモータを具備した装置、超音波を発生させる装置を具備した装置、容器ごと振盪することができる装置、湿式破砕機、ニーダーなどがあげられる。湿式破砕機は、工程1において記載した破砕機と同様のものを用いることができる。
工程4は、プラスチックフィルム表層に残るわずかなインキ片を落とすことを目的にしているため、ビーズなどのメディアを使用した公知の分散機器を使用することができる。メディアあり分散機としては、例えば、ディスパー、タービン翼等攪拌翼を有する分散機、ペイントシェイカー、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等が挙げられ、使用するメディアとしては、塩、ガラスビーズ、ジルコニアビーズなどを使用することが好ましい。
使用するメディアの球径としては、0.5~20mmが好ましく、より好ましくは1~10mm、さらに好ましくは2mm~5mmである。メディアの材質としては、スチール、ジルコニア、アルミナ、ガラスなどが挙げられ、選択するリンス液の性質により適宜使い分けることができる。メディア径が0.2mm未満であると扱いが難しく、ビーズを回収したりするのが困難となり、5mmを超えると扱いは容易になるが、リンス時間が多大にかかることになり生産性の低下を引き起こす。工程4での装置滞留時間は1~30分が好ましい。
前記メディアあり分散機としては、例えば、アシザワ・ファインテック社製のスターミル、三井鉱山社製のMSC-MILL、SC-MILL、アトライター MA01SC、浅田鉄工社のナノグレンミル、ピコグレンミル、ピュアグレンミル、メガキャッパーグレンミル、セラパワーグレンミル、デュアルグレンミル、ADミル、ツインADミル、バスケットミル、ツインバスケットミル、寿工業社製のアペックスミル、ウルトラアペックスミル、スーパーアペックスミル等が挙げられる。
(リンス液)
工程4において使用するリンス液は、工程1の湿式破砕機を使用する際に使用する洗浄液をそのまま使用することもできる。具体的には、有機溶剤を適量含んでいてもよく好ましい。有機溶剤としては、例えば、水溶性アルコール類や、引火点が21℃以上の水溶性溶剤を1種又は2種以上含有することが好ましい。リンス液に水溶性溶剤を用いることにより、工程3後のプラスチックフィルム片の表面にわずかに残留するインキ膜の剥離に効果的である。引火点が21℃以上の水溶性溶剤は、消防法に定める第二石油類及び第三石油類に該当する有機溶媒のうち水溶性の溶剤が好ましい。また、水溶性アルコール類としては消防法に定めるアルコール類が挙げられる。これらとして具体的には、第二石油類及び第三石油類としては、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、N-メチルエタノールアミン、2-エチルアミノエタノール、イソプロパノールアミンが挙げられ、アルコール類としては、メタノール、エタノール、1-プロピルアルコール、2-プロピルアルコール等が挙げられ、これらが含有した工業用エタノールを単独で用いても、これらを混合して用いてもよい。
また有機溶剤として、前記工程1で述べた非水溶性アルコールや非水溶性グリコールエーテル系有機溶剤を含有していてもよく好ましい。中でも特にブタン-1-オール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル(フェノキシエタノール)が好ましい。
特に工程4において使用するリンス液は、わずかに残留したインキ層の剥離性の観点からは洗浄液中に、アルコール類を含むいわゆる水溶性溶剤を多く含有することが好ましく、具体的には、水溶性溶剤は30質量%以上が好ましく、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが好ましい。
工程4において、意図して水を配合しないアルコール類を含むいわゆる水溶性溶剤を主体としたリンス液を使用する場合、無機塩を使用することができる。
(無機塩)
本発明で用いられる無機塩は磨砕助剤として使用できるものであればよく、特に制限はないが後工程で無機塩を除去する観点から、常温の水100gに10g以上溶解する程度の水溶性であることが好ましい。また、常温の上記水溶性有機溶剤100gに10mg以下しか溶解しない程度の不溶性であることが好ましく、実質的に有機溶剤に不溶であることがより好ましい。具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム等が挙げられるが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムがより好ましい。上記の無機塩は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機塩を磨砕助剤として使用する場合、無機塩はプラスチックフィルム100に対し、好ましくは100~2000質量%、より好ましくは300~1500質量%である。また、リンス液量はプラスチックフィルム100に対し、5000~50000質量%、好ましくは10000~40000質量%である。プラスチックフィルムに対し無機塩は多いほど残留したインキ層の剥離性効果が高く、そのときの溶剤量は少ないほど効果が高い。
無機塩を磨砕助剤として使用する場合、処理温度は120℃以下、特に20~70℃が好ましい。処理時間は5分~3時間程度が好ましい。
工程3を経たプラスチックフィルム片と無機塩(摩砕助剤)と水溶性有機溶剤との混合物を混練する装置は、プラスチックフィルム片を機械的に摩砕することができる装置であればよく、具体例としてニーダーを挙げることができる。この他に、ペイントシェイカー、ペイントコンディショナーを初め、カワタ社製スーパーミキサー、日本コークス社FMミキサー、井上製作所社製トリミックスのようなバッチ型の混練機、浅田鉄工社製KCKミルのような連続混練機を用いることもできる。またこれら以外の装置を用いることもできる。
(プラスチックフィルム)
本発明により分離回収されるプラスチックフィルムは、少なくともインキ層を有するプラスチックフィルムである。フィルム面にインキ層がむき出しに設けられている(表刷り)プラスチックフィルムや、インキ層が複数のフィルムの間に設けられている(裏刷り)積層フィルム等、一般に食品包装用や生活用品用包装材として流通している単層フィルムや積層フィルム等、リサイクルによって廃棄された様々な種類の樹脂層を有するプラスチックフィルム等、特に限定なく分離回収できる。即ち本発明の分離回収方法は、特に再分別する必要はなく、一緒に処理できることが特徴である。
また、例えばペットボトルなどの容器には、商品名等の表示や装飾性を付与するために、筒状に形成された積層フィルムであるシュリンクラベルが用いられており、リサイクル時には該シュリンクラベルを消費者がはがして、ペットボトル本体とシュリンクラベルとを別々に廃棄することが多いが、本発明の分離回収方法では、ペットボトル本体とシュリンクラベルとが一体となった状態でも、ペットボトル本体からシュリンクラベルを分離し、且つシュリンクラベルを各々の単層フィルムに分離することができる。
反応性接着剤でラミネート接着された積層フィルムは、少なくとも2つの樹脂フィルム層または金属箔や蒸着膜層の間に前記反応性接着剤からなる接着剤層を積層されていることが多い。具体的には、該積層フィルムにおいて、樹脂フィルム層を(F)と表現し、金属箔や蒸着膜層の金属箔層を(M)と表現し、前記反応性接着剤等の接着剤層を(AD)と表現すると、積層フィルムの具体的態様として以下の構成が考えられるが、もちろんこれに限定されることはない。
(F)/(AD)/(F)、
(F)/(AD)/(F)/(AD)/(F)、
(F)/(AD)/(M)/(AD)/(F)、
(F)/(AD)/(M)、
(F)/(AD)/(M)/(F)、
(F)/(AD)/(F)/(AD)/(M)/(AD)/(F)、
(F)/(AD)/(M)/(AD)/(F)/(AD)/(F)、
(M)/(AD)/(F)/(AD)/(M)、
(AD)/(F)/(AD)/(M)、
(AD)/(F)/(AD)/(F)/(AD)、等。
(コート層)
上記積層フィルム構成の最表面には機能性コート層があってもよい。コート層は、無色であっても有色であってもよい。コート層は基材と接して設けられていてもよいし、基材と接した無機蒸着層等を介して設けられていてもよい。コート層は異なるコート層を積層した形態であってもかまわない。コート層の厚さに特に制限はないが、好ましくは0.1μm以上100μm以下、より好ましくは0.1μm以上10μm以下、さらに好ましくは1μm以上5μm以下である。
機能性コート層は様々な目的で形成されている。代表的な機能はハードコート、シリコーン系の剥離、IRカット、防水防湿、抗菌、UVカット、放熱、光触媒、対候性、防曇、耐指紋防汚、自己修復、撥水撥油など多岐に渡る。
本分離回収方法の対象である積層フィルムは、さらに、紙層、酸素吸収層、アンカーコート層、インキ層、インキの剥離を容易にするために設けられた脱離用プライマー層等を有することもある。
(プライマー層)
前記印刷インキは、前記積層フィルムにおいて基材フィルム層(F1)となる樹脂フィルムに印刷された後、該印刷面に前記反応性接着剤を塗布し、もう1つの基材フィルム(F1)やシーラント層(F2)や金属箔や蒸着膜層の金属箔層(M)とラミネートされ積層フィルムとなることが多い。この層構成を有する積層フィルムにおいては、印刷面となる基材フィルム層(F1)上に、プライマー層を設けることもでき好ましい。プライマー層としては、アルカリ溶液により溶解あるいは加水分解しやすいことから、酸性基を有する樹脂を含有することが好ましく、インキが印刷され、その後接着剤によりラミネートされた積層フィルムを、容易に単層フィルムに分離することが可能となる。
前記プライマーは、シーラント層(F2)上に設けてもよく、F1上とF2上の両方に設けてもよい。F1とF2の両方にプライマーを設けると、更に容易に単層フィルムに分離することができる。
プライマー層には酸性基を有する樹脂や低分子化合物を単独で用いることができる。また、酸性基を有しない樹脂に酸性基を有する樹脂や低分子化合物を混合して用いることができる。酸性基を有する樹脂としては、例えば、ロジン変性マレイン酸樹脂やロジン変性フマル酸樹脂等の酸価を有する樹脂や、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸あるいはこれらの酸無水物等のカルボキシル基を有する重合性モノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性モノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性モノマー等の、酸性基を有する重合性モノマーを共重合させた、(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(無水)マレイン酸樹脂、テルペン-(無水)マレイン酸樹脂等のラジカル共重合体である樹脂や、酸変性されたポリオレフィン樹脂等が挙げられ、これを単数あるいは複数混合して使用することができる。
また、プライマー層は、低酸価でかつ常温で製膜性がある樹脂に、酸性基を有する低分子化合物を単数あるいは複数混合して使用することもできる。
酸性基を有する低分子化合物としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ酸、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、オキソカルボン酸、カルボン酸誘導体、酸無水物などが挙げられ、これを単数あるいは複数混合して使用することができる。
飽和脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸などがあげられ、不飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸などがあげられ、ヒドロキシ酸としては、乳酸、リンゴ酸、クエン酸などがあげられ、芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸などがあげられ、ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸などがあげられ、トリカルボン酸としてはアコニット酸などがあげられ、オキソカルボン酸としては、ピルビン酸、オキサロ酢酸などがあげられ、カルボン酸誘導体としては、アミノ酸、ニトロカルボン酸があげられ、酸無水物としては、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などがあげられ、これらを単数あるいは複数混合して使用することができる。
前記、常温で製膜性がある樹脂としては、各種の合成樹脂があり、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニルや塩化ビニルと他の不飽和二重結合含有モノマーとの共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体や(メタ)アクリル酸エステルとその他の不飽和二重結合含有モノマーとの共重合体、ポリスチレンやスチレンモノマーとその他の不飽和二重結合含有モノマーとの共重合体、ケトン-ホルムアルデヒド縮合体やその水素添加物、多官能エポキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリウレタンなどが挙げられる、これらは、単独又はこれらから選ばれる1種以上を併用することが出来る。多官能エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールSノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記低酸価でかつ常温で製膜性がある樹脂に、酸性基を有する低分子化合物を単数あるいは複数混合して使用する場合は、その添加量はプライマー溶液の印刷適性もしくは塗工適性を損なわない範囲において適宜決定すればよいが、概ねプライマー溶液の固形分に対して0.5~50重量%の範囲であることが好ましくより好ましくは1.0~30重量%の範囲である。
被印刷物が、例えば、ポリプロピレン(PP)である場合、製膜性がある樹脂としては、それ自体のPPへの密着性が良好である、ケトン-ホルムアルデヒド縮合体やその水素添加物、ポリエステル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタールからなる群から選ばれる少なくとも一種の50℃において固体である熱可塑性樹脂が好適に使用される。この様なケトン-ホルムアルデヒド縮合体やその水素添加物としては、エボニックデグサジャパン(株)TEGO(登録商標)VariPlusシリーズ(SK,A
Pなど)、ポリエステルとしては、東洋紡株式会社製のバイロン(登録商標)シリーズ(バイロン200など)が、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体としては、日信化学工御油株式会社製のソルバイン(登録商標)シリーズ(ソルバインALなど)が、ポリビニルアセタールとしては、積水化学工業株式会社製のエスレック(登録商標)シリーズ(エスレックKS-10など)が挙げられる。
基材上にプライマー層を形成するには、上記の各成分を用いて調整した溶液を基材に塗布し乾燥する。塗布量は、0.1~5μm(乾燥厚さ)程度であるが、0.1未満では均一に塗布することが困難であり、5μmを越えると不経済的であるため実用的ではない。塗布は通常の塗布方法、例えば、グラビア、凸版、フレキソ、ロールコータ、リバースコータ、スプレー方式などが用いられる。プライマー層の形成と、その上への印刷は連続式(インライン)あるいは、プライマー層の形成と印刷とを別々に行っても良い。
ロールtoロールのような印刷機を用いて、インラインでプライマー塗工後にすぐさま印刷を実施する場合、プライマー層に用いる樹脂のインキ溶剤への再溶解性や、樹脂そのもののガラス転移点(Tg)によっては、印刷面が基材裏面とくっついてしまう、いわゆるブロッキングが発生する。このようなブロッキングを防止するため、ブロッキング防止剤としてシリカや酸化チタンなどの粒径0.1μm~10μmの透明粒子をプライマー全量に対して、0.005~5%程度プライマー溶剤に混入しても良い。
また、ブロッキングを防止することを目的に、プライマーに用いる酸価が高い樹脂溶液を塗工前にあらかじめアンモニアなどで中和しておくことで、印刷インキに含まれる溶剤への再溶解性を防止しても良い。
前記酸性基を有する化合物の酸価は、特に限定はないが150mgKOH/g以上が好ましい。
前述のプライマー層を用いた積層フィルムでは、印刷デザインが白を基調にした場合、インキ層には白インキを殆ど使用することになり、接着剤とラミネートされたフィルムは、低温あるいは低濃度のアルカリ溶液での剥離が難しい場合がある。その場合は、プライマー層と白インキ層、あるいは白インキ層と接着剤層の間に印刷インキに使用されるメジゥム層を導入することでよりインキ層の剥離性を向上させることができる。
本発明においては、前記積層フィルムが、反応性接着剤でラミネート接着された積層フィルムである場合は、反応性接着剤が酸性基を有する化合物を含有することが好ましい。また、前記積層フィルムが、反応性接着剤でラミネート接着された積層フィルムであって、且つインキ層及び/又はプライマー層を有する場合、前記反応性接着剤、前記インキ層、前記プライマー層の少なくとも1つの層が酸性基を有する化合物を含有することが好ましい。いずれかの層が酸性基を有する化合物を含有することが、より容易に分離回収が進む。
中でも、アルカリ溶液により溶解あるいは加水分解しやすいことから、反応性接着剤の構成成分のいずれかがエステル結合を有することが好ましく、前記工程2および工程3において短時間で容易に単層フィルムに分離させることができる。反応性接着剤の構成成分のいずれかがエステル結合を有するとは、具体的には、エステル結合を有するポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステル(ポリウレタン)ポリオール、アクリルポリオール等のポリオール化合物を有するポリオール組成物や、前記エステル結合を有するポリオール化合物と、前記各種のポリイソシアネートとの反応生成物であるポリイソシアネート化合物を有するポリイソシアネート組成物のいずれかまたは両方を含有する反応性接着剤であることが挙げられる。
また、前記ポリオール組成物や前記ポリイソシアネート組成物以外に、酸性基を有する樹脂や低分子化合物が添加された反応性接着剤も好ましく使用することができる。酸性基を有する樹脂や低分子化合物としては、反応性接着剤の主成分である前記ポリオール組成物や前記ポリイソシアネート組成物と容易に混合でき(この場合必要に応じて後述の溶剤を使用してもよい)、酸価を有する樹脂や低分子化合物であれば特に限定なく使用することができる。
酸性基を有する樹脂としては、例えば、ロジン変性マレイン酸樹脂やロジン変性フマル酸樹脂等の酸価を有する樹脂や、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸あるいはこれらの酸無水物等のカルボキシル基を有する重合性モノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性モノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性モノマー等の、酸性基を有する重合性モノマーを共重合させた、(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(無水)マレイン酸樹脂、テルペン-(無水)マレイン酸樹脂等のラジカル共重合体である樹脂や、酸変性されたポリオレフィン樹脂等が挙げられ、これを単数あるいは複数混合して使用することができる。
また、酸性基を有する低分子化合物としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ酸、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、オキソカルボン酸、カルボン酸誘導体、酸無水物などが挙げられ、これを単数あるいは複数混合して使用することができる。
飽和脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸などがあげられ、不飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸などがあげられ、ヒドロキシ酸としては、乳酸、リンゴ酸、クエン酸などがあげられ、芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸などがあげられ、ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸などがあげられ、トリカルボン酸としてはアコニット酸などがあげられ、オキソカルボン酸としては、ピルビン酸、オキサロ酢酸などがあげられ、カルボン酸誘導体としては、アミノ酸、ニトロカルボン酸があげられ、酸無水物としては、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などがあげられ、これらを単数あるいは複数混合して使用することができる。
前記酸性基を有する樹脂や低分子化合物の酸価は、特に限定はないが150mgKOH/g以上が好ましい。
本分離回収方法で使用するアルカリ溶液は、前述の通り、積層フィルムと接着剤や印刷インキとの界面に作用しその接着力を著しく低減させることで、界面剥離を生じさせると推定される。一方アルカリ溶液そのものの溶解度も高いことから、架橋していない印刷インキ層は溶解も生じる。また印刷インキ層そのものが架橋している場合も、本発明では界面剥離を生じさせているので、短時間で効率よく分離回収が行えるものと推定される。
(インキ層)
インキ層は、例えば、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、オフセット印刷機、インクジェット印刷機等を使用し、有機溶剤型印刷インキ、水性型又は活性エネルギー線硬化型インキを印刷された印刷インキである。複数のインキ種を用いる多色印刷のインキ層であってもよい。本発明では工程1及び工程2を経ることにより、インキの種類を問わずインキ層を剥離できる。
酸性基を有する樹脂や酸性基を有する低分子化合物が添加された印刷インキも好ましく使用することができる。酸性基を有する樹脂もしくは低分子化合物としては、印刷インキの主成分である前記バインダー樹脂や有機溶剤等と容易に混合でき、酸価を有する樹脂や低分子化合物であれば特に限定なく使用することができる。
酸性基を有する樹脂や低分子化合物は、プライマー層で記載した化合物を使用することができる。
前記印刷インキは中でも、前記酸性基を有する樹脂や低分子化合物を含有することが好ましい。その添加量は印刷インキの印刷適性を損なわない範囲において適宜決定すればよいが、概ね印刷インキの固形分に対して、0.5~50重量%の範囲であることが好ましくより好ましくは1.0~30重量%の範囲である。
インキ層の設けられる場所は特に限定されない。例えば、インキ層は積層フィルムの最外層に設けられていてもよいし、樹脂フィルム層(F)と接着剤層(AD)の間であってもよい。樹脂フィルム層(F)と接着剤層(AD)の間にインキ層を有する場合は(裏刷り)、インキ層と接着剤層がより強固に結合することからインキ層の剥離がより困難となるが、本発明の方法により裏刷り印刷の構成においてもインキ層を効果的に剥離することができる。
インキ層は、装飾又は美感の付与や、内容物、賞味期限、及び、製造者又は販売者の表示等を目的とした、任意の絵柄、パターン、文字、及び記号等を表示する層であることができる 。インキ層は、絵柄、パターン、文字、及び記号等を有さないベタインキ層であってもよい。インキ層の形成方法は特に制限されず、公知の顔料及び/又は染料を用いて形成することができる。インキ層は好ましくは、顔料及び/又は染料を含む印刷インキを用いて形成することができる。インキ層は、単層構成でも複層構成でもよい。インキ層の厚みは、好ましくは0.1~10μmであり、より好ましくは1~5μmである。
インキ層は、着色剤の分散剤として、顔料誘導体及び/ 又は樹脂型分散剤を含有することもよい。これらは単独で用いてもよいが、併用することで、さらに分散安定性及び経時安定性が良好となるため、好ましい。
例えば、プラスチックフィルムの構成が(F1)/INK/(AD)/(M)/(F2)や、(F1)/INK/(AD)/(F2)の構成である場合のように、インキ層がプラスチックフィルムを構成する層間に存在し、且つ、インキ層と接着剤層がより強固に結合することから、これらを単層に分離し、インキ層を除去することは難しいプラスチックフィルムの構成であるが、工程1においてF2のフィルムを一部剥がす、またはF2が剥がれやすい状態の破砕物にしておけば、工程2において、残りの層構成を容易に剥離でき、且つインキ層を除去することが可能である。
樹脂フィルム層(F)は、求められる役割で分類すると、基材フィルム層(F1)や包装材料を形成する際にヒートシール部位となるシーラント層(F2)などとして機能する。
例えば基材フィルム層(F1)となる樹脂フィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)、CPP(無延伸ポリプロピレン)などのポリオレフィン系フィルムや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルムや、ナイロン6、ナイロン6,6、メタキシレンアジパミド(N-MXD6)などのポリアミド系フィルムや、ポリ乳酸などの生分解性フィルムや、ポリアクリロニトリル系フィルムや、ポリ(メタ)アクリル系フィルムや、ポリスチレン系フィルムや、ポリカーボネート系フィルムや、エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)系フィルムや、ポリビニルアルコール系フィルムや、ポリ塩化ビニリデン、等のKコート等、これらに顔料を含むフィルムも挙げられる。これらフィルムにアルミナ、またはシリカ等の蒸着した透明蒸着フィルムも使用してよい。
また前記フィルム材料の表面に火炎処理、コロナ放電処理、または脱離プライマー等のケミカル処理などの各種表面処理が実施されていることもある。
シーラント層(F2)となる可撓性ポリマーフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系フィルム、イオノマー樹脂、EAA樹脂、EMAA樹脂、EMA樹脂、EMMA樹脂、生分解樹脂のフィルムなどが好ましい。汎用名では、CPP(無延伸ポリプロピレン)フィルム、VMCPP(アルミ蒸着無延伸ポリプロピレンフィルム)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、VMLDPE(アルミ蒸着無低密度ポリエチレンフィルム)フィルム、これらの顔料を含むフィルム等が挙げられる。フィルムの表面には火炎処理、コロナ放電処理、または脱離プライマー等のケミカル処理などの各種表面処理が実施されていてもよい。
プラスチックフィルムの厚さは、好ましくは5μm以上200μm 以下、より好ましくは10μm以上100μm 以下、さらに好ましくは10μm以上50μm以下である。
リサイクル基材として再利用する観点から、基材は、ポリエチレン、二軸延伸ポリプロピレンのようなポリオレフィン樹脂フィルムを含むことが好ましい。
金属箔層(M)としては、例えば金、銀、銅、亜鉛、鉄、鉛、錫及びこれらの合金、スチール、ステンレス、アルミニウム等の、展延性に優れた金属の箔があげられる。
紙層としては、天然紙や合成紙などが挙げられる。第1および第2のシーラント層は、上述のシーラント層と同様の材料で形成されていることもある。
他の層には、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、非反応性接着剤層、易接着コート剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいる場合もある。
<脱離したインキ成分の粒度分布>
脱離したインキ成分のメジアン径(D50)は1μm以上であることが好ましい。脱離したインキ層成分のメジアン径が1μm以上であることで、脱離したインキ成分が基材に再付着することを抑制し、無色の再生材を得ることができる。脱離したインキ成分のメジアン径は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上である。
脱離したインキ成分のスパン値Aは、脱離したインキ層成分の粒度分布幅を表し、数値が大きいほど粒度分布幅が広く、基材に再付着しやすい微細なインキ層成分を含む傾向がある。スパン値Aは10以下が好ましく、8以下がより好ましく、5以下であるとさらに好ましい。スパン値が10以下であると、脱離したインキ層の再付着を抑制できるため好ましい。
本発明において、プラスチック基材層から脱離したインキ層成分の体積基準におけるメジアン径(D50) 及びスパン値Aはレーザー回折式粒度分布測定装置により測定される。スパン値A は、以下の式により表される。
A=(D90-D10)/D50
D10:脱離したインキ成分のレーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布の累積10%径
D90:脱離したインキ層成分のレーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布の累積90%径
<成型用材料の製造方法>
上述した再生プラスチックフィルムの製造方法により回収された再生プラスチックフィルム片を溶融混練することで、成型用ペレットを製造することができる。溶融混練工程は、必要に応じて各種添加剤等を加え、ヘンシェルミキサーやタンブラー、ディスパー等で混合した後、ニーダー、ロールミル、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等を用いて混合や分散を行う。これにより樹脂組成物である再生樹脂が得られる。再生樹脂の形状は、特に制限されず、ペレット状、粉体状、顆粒状、ビーズ状であってもよい。溶融混練工程は、二軸押出機を用いるのが好ましい。成型用材料は、さらにマスターバッチを含有することができる。マスターバッチは、再生樹脂に対して相溶性を有するものであれば特に制限されず、一般的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂と着色剤とを混練したものを使用できる。マスターバッチに含まれる熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。マスターバッチは、本発明の効果を阻害しない範囲で、アルカリ金属やアルカリ土類金属又は亜鉛の金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、帯電防止剤、ハロゲン系、リン系又は金属酸化物等の難燃剤、エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、過酸化物を含有してもよい。
<成型物>
上述した製造方法により得られる成型用材料を加熱成形することで、成型体を得ることができる。加熱成形方法は特に制限されず、例えば、射出成形、押出し成形、ブロー成形、圧縮成形が挙げられる。 本発明の分離回収方法により回収されたプラスチック基材を用いて製造された成型材料は、インキ層が脱離され、さらに接着剤成分の再付着が抑制されているため高品位であり、家電製品や文房具、自動車用のパーツ、おもちゃやスポーツ用品、医療用や建築・建設資材の材料等、様々な分野に用いることができる。
再生プラスチックフィルムの製造方法によって得られた再生ペレットの製造工程に用いることができる添加剤には、フェノール系及びリン系からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤や、脂肪酸アミド系、アルキレン脂肪酸アミド系、金属石鹸系、及びエステル系から選ばれる少なくとも1種の滑剤や、ヒンダードアミン系の耐候安定剤や、酸価が5mg KOH/g以下のワックスや、脂肪酸スルホン酸塩及び脂肪酸エステル系から選ばれる少なくとも1種の帯電防止剤、ポリプロピレン改質用として有機過酸化物から選ばれる少なくとも1種類の過酸化物などが挙げられる。
フェノール系の酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール 、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2 ,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレ ン-ビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス-(3-メ チル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6- t-ブチルフェノール)、3,9-ビス〔{1,1-ジメチル-2-{β-(3-t-ブ チル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,8 ,10-テトラオキサスピロ〕5,5-ウンデカン、1,1,3-トリス-(2-メチル -4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4 ,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキ ス-{メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキスフェニル)プロピ オネート}メタン、及びビス{(3,3’-ビス-4’-ヒドロキシ-3’-t-ブチルフ ェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステルが挙げられる。
リン系の酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシ ルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス-( 3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシル)ホスファイト、サイクリックネ オペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリスジフェニルホスファイ ト、ジイソデシノレペンタエリスリトールジホスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オ キサ-10-ホスファフェナスレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-t-ブチ ル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェ ナンスレン-10-オキサイド、10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ- 10-ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ -t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2, 6-ジ-t-メチルフェニル)ホスファイト、及び2,2-メチレンビス(4,6-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイトが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。酸化防止剤の添加量は、成形用材料の質量を基準として、好ましくは0.01~1質量%、より好ましくは0.03~0.5質量%である。添加量は、0.01質量%以上であると、酸化防止性の点で好ましく、1質量%以下であると、加工性の点で好ましい。
脂肪酸アミド系の滑剤としては、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレ イン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸 アミド、及びヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪族モノカルボン酸アミドや、N-オレ イルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、及びN-ステアリルオレイン 酸アミド等のN-置換脂肪族モノカルボン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、 及びエチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪族ビスカルボン酸アミド、N,N’-エチレン-ビス-オレイルアミド、N,N’-エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’-メ チレンビスステアリン酸アミドが挙げられる。
金属石鹸系の滑剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウ ム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン 酸リチウム、ラウリル酸カルシウム、ラウリル酸マグネシウム、ラウリル酸バリウム、ラウリル酸亜鉛、ラウリル酸アルミニウム、及びラウリル酸リチウム等の高級脂肪酸の金属塩等の他、ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシステアリン酸バリウム、ヒドロキシステアリン酸亜鉛、ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、ヒドロキシステアリン酸リチウムなどが挙げられる。
これらの滑剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。滑剤の添加量は、成形用材料の質量を基準として、好ましくは0.01~1質量%、より好ましくは0.03~0.5質量%である。添加量は、0.01質量%以上であると、活性の点で好ましく、1質量%以下であると、加工性の点で好ましい。
ヒンダードアミン系の耐候安定剤としては、例えば、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒド ロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、 ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン -2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキ サメチレン{{2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン-2,4-ビス[N-ブチル-N-(1 ,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5 -トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セパレー ト、及び2-(3,5-ジ-t-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビ ス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)が挙げられる。
酸価が5mgKOH/g以下のワックスとしては、例えば、天然ワックスと合成ワックスが挙げられる。天然ワックスとしては、例えば、キャリデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、及び木ろう等の植物系ワックスや、蜜蝋、ラノリン、及び鯨ろう等の動物系ワックスや、モンタンワックス、オゾケライト、及びセレシン等の鉱物系ワックスや、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びペトロラタム等の石油ワックスが挙げられる。合成ワックスとしては、半合成ワックスと全合成ワックスがある。半合成ワックスは、天然ワックス又は天然ワックス様材料を、エステル化、アミド化、及び酸性ワックスを用いた中和等の化学的処理により変性させたものである。合成ワックスとしては、例えば、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、及びポリスチレン系ワックス等の合成炭化水素が挙げられる。
これらの酸価が5mgKOH/g以下のワックスは、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。酸価が5mgKOH/g以下のワックスの添加量は、成形用材料の質量を基準として、好ましくは0.5~50質量%、より好ましくは1~30質量%である。添加量は、0.5質量%以上であると、流動性調整の点で好ましく、50質量%以下であると、加工性の点で好ましい。
アニオン系界面活性剤系の帯電防止剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等のカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、及び高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、及びパラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、及びポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド又はグリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビット又はソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、及び、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン界面活性剤などが挙げられる。
これらの帯電防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
帯電防止剤の添加量は、成形用材料の質量を基準として、好ましくは0.05~1質量%、より好ましくは0.1~0.5質量%である。添加量は、0.05質量%以上であると、帯電防止性の点で好ましく、1質量%以下であると、透明性及び低ブリード性の点で好ましい。
有機過酸化物としては、ジクミルペルオキシド、ジ(2-t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3などが上げられる。
これらの有機過酸化物は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよいし、無機充填剤で希釈されたものも使用することができる。
再生プラスチックフィルムの製造方法によって得られた再生ペレットの物性を改質するために、融点が130℃以上である酸変性ポリプロピレンおよび熱可塑性エラストマーもしくは、密度が0.94以下であるメタロセン触媒のポリエチレンの少なくともいずれかを溶融混練してもよい。
再生ペレットの物性改質とは、再生される前のプラスチックフィルムの原料プラスチックペレットの物性を変更することをいう。物性を改質する目的は、フィルムグレードのプラスチックペレットを使用したフィルムから再生ペレットを製造した場合、再生ペレットをそのまま成型物に用いると様々な物性値が不足していることが多いためである。
物性値の改質項目はさまざまで、引張強さ、曲げ強さ、破断伸び、引張弾性率、曲げ弾性率、降伏点応力などであるが、これに限定されるものではない。
酸変性熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、クラレ社製LIR-403などの無水マレイン酸変性イソプレンゴム、クラレ社製LIR-410などの変性イソプレンゴム、ポリサー社製クライナック110、221、231などのカルボキシ変性ニトリルゴム、新日本石油社製日石ポリブテンなどの無水マレイン酸変性ポリブテン、三井デュポンポリケミカル社製ニュクレルなどのエチレンメタクリル酸コポリマー、三菱化学社製ユカロンなどのエチレンメタクリル酸共重合体、三井化学社製タフマーM(MA8510)、三井化学社製TX-1215などの無水マレイン酸変性エチレン-プロピレンゴム、三井化学社製タフマーM(MH7020)などの無水マレイン酸変性エチレン-ブテンゴム、三井・デュポンポリケミカル社製HPRシリーズ(無水マレイン酸変性EEA)、アトフィナ社製ボンダイン(無水マレイン酸変性EEA)、旭化成社製タフテック(無水マレイン酸変性SEBS、M1943)、クレイトンポリマー社製クレイトン(無水マレイン酸変性SEBS、FG1901X)、旭化成社製タフプレン(無水マレイン酸変性SBS、912)、クラレ社製セプトン(無水マレイン酸変性SEPS)、日本ポリオレフィン社製レクスパール(無水マレイン酸変性EEA、ET-182G、224M、234M)、日本製紙ケミカル社製アウローレン(無水マレイン酸変性EEA、200S、250S)などの無水マレイン酸変性ポリエチレンなどが挙げられる。
酸変性熱可塑性エラストマーの特に好適な例として、無水マレイン酸変性したスチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合体が挙げられる。酸変性スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体の市販品としては、旭化成ケミカルズ社製タフテックM1911、旭化成ケミカルズ社製タフテックM1913、旭化成ケミカルズ社製タフテックM1943などが挙げられる。
酸変性されていない熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、三井デュポンポリケミカル社製ニュクレルなどのエチレンメタクリル酸コポリマー、三菱化学社製ユカロンなどのエチレンメタクリル酸共重合体、三井化学社製タフマーなどのα―オレフィンコポリマー、旭化成社製タフテックなどのSEBS、旭化成社製タフプレンなどのクラレ社製SBS、セプトンなどのSEPS、日本ポリオレフィン社製レクスパールなどのEEAなどが挙げられる。
溶融混練工程は例えば、1軸ないし2軸押出機を使用する場合、その溶融混錬条件は一般的なものが使用することができる。混練温度は、好ましくは180~260℃、より好ましくは190~250℃、さらに好ましくは200~240℃である。さらに良好な溶融混錬状態を形成するためには、原料入口側温度は中央部より-50~-100℃程度が好ましく、出口側温度も中央部より-50~-100℃程度が好ましい。より好ましくは、原料入口温度から中央部にかけて傾斜を付けて徐々に温度を高め、中央部から出口にかけて傾斜を付けて徐々に温度を下げることが好ましい。特に、中央部から出口付近の押出機設定温度が投入したプラスチックの融点よりも低い場合、ダイス温度をプラスチックの融点より5~10℃程度高めるとプラスチックストランドが形成されやすい。
中央部温度は180℃以下であると溶融混錬することが難しく、260℃以上であると製造した再生ペレットの物性が著しく低下する。フィルム投入直下の温度は、フィルムがすぐに溶けてブリッジの原因とならないように20~100℃が好ましい。
スクリュー回転は、好ましくは50~500rpm、より好ましくは180~400rpm、さらに好ましくは100~300rpmである。回転数が低すぎると溶融時に均一な再生ペレットができにくく、高すぎると混錬時に生じる熱で製造した再生ペレットの物性が著しく低下する。
破砕したプラスチックフィルムを押出機に投入する速度は、5~100kg/hが好ましく、より好ましくは5~50kg/h、さらに好ましくは5~30kg/hである。投入する速度が速いほど押出機内の樹脂圧が高まり、より良好な混錬状態が形成できる。従って、再生ペレットを未使用ペレットと混錬する場合や、再生ペレットと改質樹脂や添加剤などと混錬する場合、樹脂圧を高めてあげることが好ましい。樹脂圧は1~30MPaが好ましく、より好ましくは1~25MPa、さらに好ましくは1~20MPaである。
再生ペレットのメルトマスフローレイト(MFR)は、好ましくは2~50g/10分であり、より好ましくは3~40g/10分であり、より好ましくは5~30g/10分である。メルトマスフローレイトが上記の範囲内にあることにより、射出成型及び押出成形等の様々な成型に適した再生成型用材料を提供することができる。
(再生ペレットの脱色評価)
工程1~4を順次経たプラスチックフィルム片を2軸押出機にて200℃ で押出し、ペレタイズをすることで行い再生ペレットを得た。再生ペレットを熱プレス機にて200℃で加熱プレスを行い厚み1mmのプレス板を作成した。プレス板は、分光測色計(X-rite社製、X-riteeXact) で色彩値L、a、bを測定した。プラスチックフィルムの原料ペレットについても同様に加熱プレス工程を経て厚み1mmのプレス板を作成し、下記計算式にて色差ΔEを求めた。
ΔE=((Lx-Ly)+(ax-ay)+(bx―by)1/2
x:原料ペレット
y:再生ペレット
ΔEは、好ましくは30以下であり、より好ましくは20以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは5以下である。再生ペレットは原料ペレットと色差ないほど洗浄工程によりインキが脱色されていることを示し、再生ペレットとして利用価値が高い。また、多くの成型物は着色剤を含んだマスターバッチと溶融混錬しているため、目的とする色調を得ることができれば、ΔEは30以下であれば十分に使用することができる。
再生ペレットを厚み100μm程度のフィルム形態とした場合、その全光線透過率は30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。全光透過率が高いほど洗浄工程によりインキが脱色されていることを示し、再生ペレットとして利用価値が高い。
(再生ペレットと未使用ペレットの混合)
インキ層を除去したプラスチックフィルムの溶融混錬工程において、目的に応じて任意の割合で未使用プラスチックペレットと混合することもできる。例えば、再生ペレットと未使用ペレットとの重量換算の混合比率は99.5:0.5~50:50である。リサイクル性からすれば、再生ペレットの比率はできるだけ高くすることが好ましい。
このとき使用する未使用プラスチックペレットは、ブロックポリマー、ランダムポリマー、ホモポリマーから選ばれるポリプロピレンを少なくとも1種類以上使用することができる。また、酸変性ポリプロピレン、熱可塑性エラストマー、メタロセン触媒を使用したポリエチレンからも選ぶことができ、これらを少なくとも1種類以上混合して使用することもできる。
本発明のプラスチックフィルムの分離回収方法について、具体的態様の一例を説明する。
(1)プラスチックフィルムを破砕する工程1
まず、プラスチックフィルムを、乾式破砕機又は湿式破砕機(以下単に破砕機と称す)に順次投入して、プラスチック破砕物とする。このとき、プラスチックフィルムを、例えば20cm四方サイズまたは30cm四方サイズ程度の大きさのプラスチック片に裁断したものを、破砕機に投入してもよい。当該裁断工程を経ることにより、次工程における破砕機における破砕をより効率的に行うことができる。裁断は公知の破砕機を利用することができ、例えば、ハンマークラッシャー、ロータリークラッシャー等の衝撃式破砕機、シュレッダー、カッター等があげられる。投入するプラスチックフィルムのサイズや形状は特に限定されるものではないが、プラスチック片の最大長は例えば50cm以下が好ましく、30cm以下が好ましく、20cm以下が好ましく、10cm以下が好ましい。
工程1で乾式破砕機にスクリーンもしくはメッシュを用いる場合には、穴径は好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下、さらに好ましくは10mm以下である。10mmスクリーンもしくはメッシュを用いた場合、破砕されたフィルム片のサイズは、長辺で0.5~10mmである。工程2の洗浄液での浸漬は、破砕されたフィルムサイズが小さいほど効果が得やすいため、工程1では破砕サイズは小さいほど好ましい。
工程1で湿式破砕機を用いる場合には、積層フィルムロールを20cm四方サイズまたは30cm四方サイズ程度に裁断した積層フィルムは、破砕機の吸引により破砕部に引き込まれ1~20mm程度、または5~20mm程度に破砕され、次工程へ0.03m/minで圧送される。このとき、投入されたフィルムは、破砕されるときに受ける高剪断により、積層フィルムを構成する各層の少なくとも一部が単層分離されやすくなる。積層フィルムにインキ層が設けられている場合は、破砕による高剪断によりインキ層もフィルムから剥離・除去されやすくなり、インキ層の少なくとも一部が剥離されていることが好ましい。
破砕対象が積層フィルムロールではなく、市場から回収されてきた個別のフィルム袋であっても、破砕機には回収されてきたままの状態でそのまま投入することができる。
破砕機として磨砕機を用いてプラスチックフィルムを粉体状に粉砕する場合は、積層フィルムロールを5mm四方サイズ程度に小さく裁断したものを用いることが好ましい。磨砕機により破砕されたプラスチックフィルムは、10~500μm程度に粉砕される。
前記工程1における破砕工程の回数は、1回でも数回に分けて行ってもよい。
(2)プラスチックフィルムを洗浄液中に浸漬する工程2
工程2では、工程1において破砕したプラスチック破砕物を、洗浄液中で静置して浸漬させてもよいし、ホモディスパー等の公知の撹拌装置や工程1と同様の湿式破砕機を使用して浸漬、必要に応じて攪拌させてもよい。破砕したプラスチックフィルムをが表刷りであれば表層のインキ層を十分膨潤させ、裏刷りを含んだ積層フィルムであればインキ層および接着剤層を純分に膨潤させる。
洗浄液中で浸漬するときの液温及び攪拌時間は特に限定されるものではなく、用いた洗浄液の材料、プラスチックフィルムの構成等の各種条件から適宜調整可能である。
(3)破砕した前記プラスチックフィルムを水中で攪拌することにより、前記プラスチックフィルムを分離する工程3
プラスチックフィルムを工程1及び工程2によりプラスチック破砕物を膨潤させた後、水中で攪拌し、前記プラスチックフィルムを分離する。分離後の水中には、分離した各層の単層フィルムと、接着剤や印刷インキ、金属箔等の残渣が浮遊あるいは溶解している状態となっている。これらを水中から取り出した後、分別して回収する。
具体的な方法の一例としては、例えば、浮上選別において、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン等の比重の軽いプラスチックと(浮物)、ポリオレフィンより比重の重いポリエステル、ナイロン等の縮合合成系フィルム、もしくは金属箔等の重量物を選別し、重量物を取り除き、次に、必要に応じて更に洗浄脱水工程で回収したプラスチックを洗浄・脱水し、遠心分離で比重の異なるプラスチックを分別する。例えば水に沈む比重1以上の塩化ビニル樹脂やポリエチレンテレフタレート等を含むプラスチック分離物と、塩化ビニル樹脂を含まないポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を含むプラスチック分離物に分けることができる。さらなる分別は、浮遊分別で使用する液体、例えば水と有機溶剤や塩との配合比率を適宜変更することにより比重を変化させることで可能である。
比重分離で荒い分別回収したのちに、プラスチックの固有帯電特性を利用した静電分離などを用いて高度な分別をしても良い。
具体的な方法の一例としては、あらかじめ帯電したプラスチック混合物を電圧の印加された平行平板電極間に落下することで分離する方法である。比重分離では分離困難な比重差の小さいプラスチックの組合せも分別することができる。
(4)洗浄したプラスチックフィルムに残留するインキをリンス液中で仕上げ洗浄する工程4
プラスチックフィルムを工程1、工程2、工程3によりプラスチック破砕物からインキ層を洗浄した後、リンス液中で攪拌し、工程3では取り切れなかったフィルム表面にわずかに残るインキ片を取り除くことで、再生ペレットの品質を大きく向上させる。
工程4では、ホモディスパー等の公知の撹拌装置や、工程1と同様の湿式破砕機のほか、ペイントシェイカー、ペイントコンディショナーを初め、いわゆるミキサーや混練機を用いることもできる。またこれら以外の装置を用いることもできる。
(5)洗浄溶液の回収、再利用(工程5)
工程1~4で使用した水、洗浄液、リンス液は、これらを回収するために濾過機、遠心分離機、限外濾過機から選ばれるいずれか1つ以上のリサイクル機に供給し、固形物を取り除いたのちに再利用される。工程1~4において湿式破砕工程、比重分離工程を行いながら、その一方で水、洗浄液又は洗浄液の再利用工程を連続的に運転し、固形物を水、洗浄液、リンス液から分離することもできる。
(6)プラスチック分離物の乾燥(工程6)
工程3又は4において分離・回収したプラスチックフィルムの回収物を、残留水分を除去するために減圧加熱乾燥、熱風乾燥、加圧圧縮乾燥から選ばれるいずれか1つ以上の方法により、フィルム片の乾燥を行う。後述の再生ペレットを作製する事前処理として、回収物であるフィルム片の乾燥後もしくは乾燥中に、日本シーム社製圧搾脱水機、御池鐡工所製ペレットミルやエルコム社製ステラ、ブリケットマシンのような加圧圧縮機を用いてブリケットを作製してもよい。湿式破砕機として磨砕機を用いてプラスチックフィルムを粉体状に粉砕した場合は、破砕物が10~500μm程度に粉砕され、破砕物の密度が高いことから、加圧圧縮工程を省略することができる。密度は、粉砕物を構成する材料によって異なるが、混錬機にかけるためには密度が大きいほど扱いやすいため好ましい。具体的には、乾燥状態で0.03kg以上が好ましく、0.05kg以上がより好ましく、0.2kg以上がより好ましく、0.3kg以上が更に好ましい。
(7)再生ペレットの作製(工程7)
工程6で乾燥されたフィルム片もしくはブリケットを1軸および2軸押出機に投入し再生ペレットを作製する。加圧圧縮工程を経ずにフィルム片を直接押出機に投入する場合、投入口にインキ片が詰まるブリッヂという現象が起こりやすい。ブリッヂを回避するために、フィーダー部でフィルム片を加圧してもよいし、エアーで押込んでもよい。また、ブリッジを回避するために、押出機本体のスクリューは相互に逆回転する2軸スクリューを用いてもよいし、サイドフィーダーを用いて押込んでもよい。混錬機条件は特に限定されないが、リサイクル前の樹脂性能を大きく劣化させないために、180~260℃で運転することが好ましい。
以下に、本発明の内容および効果を実施例により更に詳細に説明する。また、各実施例及び比較例で原料として用いたフィルム、印刷インキ、反応性接着剤、有機溶剤を以下に示す。
(積層フィルムに使用するフィルム)
OPP:2軸延伸ポリプロピレンフィルム 20μm
CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム 35μm
(印刷インキ)
INK1:DICグラフィックス社製 グロッサ 507原色藍S2
INK2:DICグラフィックス社製 フィナート R507原色藍
INK3:DICグラフィックス社製 フィナート R794白 S

(反応性接着剤)
AD1:溶剤型接着剤 ディックドライ LX-401AとSP-60との2液型接着剤(エーテル系接着剤)
AD2:無溶剤接着剤 ディックドライ 2K-SF-400AとHA-400Bとの2液型接着剤(エステル系接着剤)
(積層フィルムの製造方法)
積層フィルムは、後述の印刷方法により対象とするフィルムに印刷後、後述のラミネート方法により対象とするフィルムを貼りあわせて作製した。フィルムの層構成や反応性接着剤、印刷インキの種類は表1の組み合わせにより行った。
(印刷方法)
印刷インキであるグラビアインキは、プルーファーを用いて各インキをフィルム「Film1」に展色した。
(ラミネート方法)
印刷インキを展色したフィルム「Film1」の印刷インキの展色面に、反応性接着剤「AD」をラミネーターで固形分3g/m2の塗膜量になるように塗布し、フィルム「Film2」と貼り合わせた。貼り合わせた積層フィルムは、40℃で72時間エージング反応させた。表1に示す積層フィルム「LAM1」~「LAM2」を得た。なお空欄は、構成が存在しないことを示す。
Figure 0007392210000001
(工程1 破砕工程)
Print1および、LAM1,2を湿式破砕ポンプに投入し、破砕フィルムの短辺方向が5~10mm、長辺方向が10~20mm程度になるまで湿式粉砕した。
(工程2 浸漬工程)
PRO_A:120分間、常温で洗浄液に静かに浸漬した。
PRO_B:120分間、75℃の洗浄液に入れ、スリーワンモーターを用い300rpmで攪拌した。
PRO_C:60分間、75℃の洗浄液に入れ、28kHzの超音波槽で60分間浸漬した。
(工程3 攪拌分離工程)
PRO_1:常温の水中で、IKA製 MultiDrive を使用し、20,000rpmで2分間運転した。
PRO_2:常温の水中で、ニクニ製 サンカッタ C125H を使用し、0.1m3/minで圧送した。
(洗浄液)
水と、表2に示す溶剤と、水酸化ナトリウムを2重量%とを混合して、表3に示す洗浄液を調製した。洗浄液組成は、配合は縦方向に加算し、100%に満たない分は100%になるように水を加えた。なお塩化ベンザルコニウムはカチオン性界面活性剤である。
Figure 0007392210000002



Figure 0007392210000003


(プラスチックフィルムからのインキ除去性)
表4~5の結果は、プラスチックフィルムからのインキ除去状態を示している。工程2の浸漬工程後と、工程3の攪拌分離工程後のフィルムを洗浄し、乾燥したのちに、印刷部のインキ除去性について、光学顕微鏡を用いて撮影された写真の画像処理にて面積を算出し、以下式を用いてインキ除去率を求めることで判定した。
インキ除去率(%)=(1-洗浄後のインキ付着面積/洗浄前のインキ付着面積)×100
◎:印刷部の100%が除去。
〇:印刷部の75%以上100%未満が除去。
〇△:印刷部もしくは積層部の50%以上75%未満が除去。
× :全く剥離しない~50%未満が除去。
なお、◎、○は実用上問題がない範囲である。
Figure 0007392210000004


Figure 0007392210000005



前記実施例において、工程2(浸漬工程)の洗浄液を表6記載の溶剤を含む、表7記載の洗浄液を用い、工程3(攪拌分離工程)を常温の水に代えて、50℃に加温した該洗浄液を用いる以外は、前記実施例と同様にしてプラスチックフィルムからのインキを除去し、前記実施例の方法でインキ除去率を判定した。
Figure 0007392210000006

Figure 0007392210000007



Figure 0007392210000008





Figure 0007392210000009


この結果より、本発明の実施例は、プラスチックフィルムの剥離を行うことができ、プラスチックフィルムの層間に存在するインキ層の剥離も行うことができた。実施例の方法は、工程2を経た後のフィルムがいずれも膨潤していた。
表1に示すPrint1,LAM1及びLAM2を用いて、以下の処理を行った。
(工程1 破砕工程)
Print1および、LAM1,2を穴径10mmのスクリーンを装着した乾式破砕機に投入し、破砕フィルムの短辺方向が5~10mm、長辺方向が10~20mm程度になるまで破砕した。
(工程2 浸漬工程)
PRO_2A:240分間、40℃で洗浄液に静かに浸漬した。
PRO_2B:120分間、75℃の洗浄液に入れ、スリーワンモーターを用い500rpmで攪拌した。
(洗浄液)
水と、表2に示す溶剤と、水酸化カリウムを2重量%とを混合して、表3に示す洗浄液を調製した。洗浄液組成は、配合は縦方向に加算し、100%に満たない分は100%になるように水を加えた。
Figure 0007392210000010
Figure 0007392210000011
(工程3 攪拌分離工程)
PRO_1:常温の水中で、IKA製 MultiDrive を使用し、20,000rpmで2分間運転した。
PRO_2:常温の水中で、ニクニ製 サンカッタ C125H を使用し、0.1m3/minで圧送した。
(工程4 仕上げ工程)
PRO_W:工程3で得られたプラスチックフィルムを10g用い、水300mL中で、大阪ガスケミカル製MightyBlenderを使用し、15,000rpmで5分間運転した。
PRO_X:工程3で得られたプラスチックフィルムを10g用い、ノルマルプロピルアルコール300mL中で、大阪ガスケミカル製MightyBlenderを使用し、15,000rpmで5分間運転した。
PRO_Y:工程3で得られたプラスチックフィルムを10g用い、塩化ナトリウムを30g配合したジエチレングリコールブチルエーテル300mL中で、スリーワンモーターを用い500rpmで30分間運転した。
PRO_Z:工程3で得られたプラスチックフィルムを10g用い、ノルマルプロピルアルコール:水=60:40の液300mL中で、スリーワンモーターを用い500rpmで30分間運転した。
(再生ペレットの脱色評価)
表4~6の結果は、プラスチックフィルムからのインキ除去状態を示している。工程1~4を順次経たプラスチックフィルム片を2軸押出機にて200℃で押出し、再生ペレットを製造した。得られた再生ペレットは、熱プレス機にて200℃で加熱プレスを行い厚み1mmのプレス板を作成した。プレス板は、分光測色計(X-rite社製、X-riteeXact)で色彩値L*、a*、b*を測定した。プラスチックフィルムの原料ペレット(非再生品プライムポリマー社製 F-300SP)についても同様に加熱プレス工程を経て、色差ΔEを求めた。
◎:ΔEは10以下
〇:ΔEは20以下
△:ΔEは30以下
×:ΔEは31以上
Figure 0007392210000012
Figure 0007392210000013
表6に比較例を示す。表中空欄は実施していないことを示す。
Figure 0007392210000014
この結果より、本発明の実施例は、プラスチックフィルムの剥離を行うことができ、プラスチックフィルムの層間に存在するインキ層の剥離も行うことができた。

Claims (5)

  1. 少なくとも2つのプラスチックフィルムの間にインキ層及び接着剤層が設けられ、前記接着剤層がエーテル系接着剤またはエステル系接着剤から選ばれる積層フィルムの分離回収方法であって、
    前記積層フィルムを破砕する工程1と、
    前記積層フィルムを洗浄液中に浸漬する工程2と、
    破砕した前記積層フィルムを水中で破砕と圧送を行う湿式破砕処理によって攪拌することにより、前記積層フィルムを単層のプラスチック破砕物に分離する工程3
    を有し、
    前記洗浄液が、(a)水溶性アルコール類、水溶性モノアルカノールアミン系有機溶剤、非水溶性芳香族系グリコールエーテル溶剤、又は水溶性グリコールエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも1種と、
    (b)無機塩基と、

    を含有することを特徴とする積層フィルムの分離回収方法。
  2. 工程3の後のプラスチックフィルムをリンス液中で洗浄する工程4
    を有する請求項1に記載の積層フィルムの分離回収方法。
  3. 前記リンス液は、水溶性溶剤を30質量%以上含有する請求項に記載の積層フィルムの分離回収方法。
  4. 前記リンス液は、水溶性溶剤と無機塩を含有する請求項に記載の積層フィルムの分離回収方法。
  5. 請求項1~のいずれか一項に記載の方法により分離されたプラスチック破砕物を単層ごとに回収し、回収物を溶融後に成形機により成形する再生プラスチックペレットの製造方法。
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