JP7391639B2 - 医薬製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、医薬製剤、固形医薬製剤及び錠剤に関する。
解熱鎮痛薬等の医薬製剤は、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)等が解熱鎮痛成分として汎用されている。NSAIDsの中でも、メロキシカム又はその塩は、鎮痛作用を長時間にわたって示す鎮痛成分として知られている。
メロキシカム又はその塩は、副作用として胃障害を有することが知られている。胃障害の抑制を図るために、制酸剤を配合した医薬製剤が知られている。
例えば、特許文献1には、メロキシカム又はその塩と制酸薬(制酸剤)との組み合わせからなる配合物が開示されている。
国際公開第2005/004915号
しかしながら、アルミニウムを含有する化合物を制酸剤として用いると、メロキシカム又はその塩の含有量が低下するという問題がある。
そこで、本発明は、制酸剤を併有しても、メロキシカム又はその塩の含有量の低下を抑制できる医薬製剤を目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
<1>メロキシカム及びその医薬的に許容可能な塩から選ばれる少なくとも1種(A)と、
アルミニウムを含有する制酸剤(B)と、
有機カルボン酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種(C)と、
を含有する、医薬製剤。
<2>前記(C)成分/前記(B)成分で表される質量比は、0.001~2.5である、<1>に記載の医薬製剤。
<3>メロキシカム及びその医薬的に許容可能な塩から選ばれる少なくとも1種(A)を含有し、かつ、アルミニウムを含有する制酸剤(B)を実質的に含有しない粒子の群(α1)と、
前記(B)成分を含有し、前記(A)成分を実質的に含有しない粒子の群(β1)と、を有し、
前記粒子の群(α1)及び前記粒子の群(β1)の少なくとも一方は、造粒粒子の群である、固形医薬製剤。
<4>前記粒子の群(α1)及び前記粒子の群(β1)の少なくとも一方が、有機カルボン酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種(C)をさらに含有する造粒粒子の群である、<3>に記載の固形医薬製剤。
<5>前記(C)成分/前記(B)成分で表される質量比は、0.001~2.5である、<4>に記載の固形医薬製剤。
<6>メロキシカム及びその医薬的に許容可能な塩から選ばれる少なくとも1種(A)を含有し、かつ、アルミニウムを含有する制酸剤(B)を実質的に含有しない層(α2)と、
前記(B)成分を含有し、前記(A)成分を実質的に含有しない層(β2)と、
を有する、錠剤。
<7>前記層(α2)及び前記層(β2)の少なくとも一方の層に、有機カルボン酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種(C)をさらに含有する、<6>に記載の錠剤。
<8>
前記(C)成分/前記(B)成分で表される質量比は、0.001~2.5である、<7>に記載の錠剤。
本発明の医薬製剤によれば、アルミニウムを含有する制酸剤を併有しても、メロキシカム又はその塩の含有量の低下を抑制できる。
本発明の医薬製剤は、メロキシカム及びその医薬的に許容可能な塩から選ばれる少なくとも1種(A)((A)成分)と、アルミニウムを含有する制酸剤(B)((B)成分)と、を含有する。
医薬製剤の剤形は、経口剤でもよいし、非経口剤でもよい。経口剤としては、錠剤(フィルムコーティング錠、口腔内崩壊錠等)、カプセル剤、マイクロカプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の固形医薬製剤でもよいし、乳剤、自己乳化型製剤、シロップ剤、ゼリー剤、吸入剤等の液体製剤又は半固形医薬製剤でもよい。非経口剤としては、例えば、軟膏、坐剤、注射剤(乳濁性、懸濁性、非水性)、用時に乳濁又は懸濁して用いる固形注射剤、輸液製剤、経皮吸収剤等の外用剤等が挙げられる。
本発明の医薬製剤は、経口、静脈内、動脈内、吸入、直腸内、膣内又は外用を問わず患者に投与されるが、中でも、経口製剤が好ましく、錠剤、カプセル剤等がより好ましい。錠剤としては、単層錠でもよいし、二層以上の多層錠でもよい。また、錠剤は、素錠でもよいし、コーティング錠でもよい。カプセル剤としては、例えば、軟質カプセルやマイクロカプセルに封入した錠剤でもよい。
本発明の医薬製剤が錠剤の場合、錠剤の形状によって、本発明の効果は大きく変化しない。錠剤の寸法は、本発明の効果の点では特に限定されないが、錠剤の取り扱いやすさと嚥下性の点から、錠剤の直径φは、例えば、6~14mmが好ましい。
錠剤の取り扱いやすさと嚥下性の点から、錠剤の形状は、円柱部及び前記円柱部の上下の端面から膨出する膨出部とを有する形状が好ましい。前記の円柱部及び膨出部を有する形状の錠剤としては、R錠(標準R錠、糖衣R錠等)、2段R錠、スミ角平錠、スミ丸平錠等が挙げられる。これらの錠剤の膨出部は上下非対称であってもよいが、上下対称であることが好ましい。
医薬製剤が顆粒剤、細粒剤又は散剤である場合、医薬製剤の平均粒子径は、10~700μmが好ましく、50~500μmがより好ましい。平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定法に準じて測定される、重量平均粒子径(D50)である。
(第一の実施形態)
<医薬製剤>
本発明の第一の実施形態に係る医薬製剤について、説明する。
本実施形態の医薬製剤は、(A)成分と、(B)成分と、有機カルボン酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種(C)((C)成分)とを併有する。
本実施形態の医薬製剤としては、単層錠、丸剤、(A)~(C)成分を共に造粒した顆粒剤、粉体混合された散剤や細粒剤、液体製剤等が挙げられる。また、本実施形態の医薬製剤としては、(A)~(C)成分を併有する層を有する多層錠が挙げられる。即ち、本実施形態の医薬製剤は、(A)~(C)成分が共存する剤形である。
≪(A)成分≫
(A)成分は、メロキシカム(化学名:4-ヒドロキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド)及びその医薬的に許容可能な塩から選ばれる少なくとも1種である。メロキシカムの医薬的に許容可能な塩としては、例えば、欧州特許第2,482B1号明細書、米国特許第4,233,299号明細書及び国際公開第99/49867号に記載されているものが挙げられる。許容可能な塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、メグルミン塩、トリス塩等が挙げられる。
(A)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
医薬製剤中の(A)成分の含有量は、服用1回当たりの(A)成分の量が0.5~70mgとなる量が好ましく、2~50mgがより好ましく、2.5~20mgがさらに好ましく、5~15mgが特に好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であれば、医薬製剤の薬理効果をより高められる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、錠剤製造時の障害(例えば、打錠機の盤や杵に対する医薬製剤の付着等)を生じにくい。また、(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、胃障害をより軽減できる。
なお、医薬製剤が錠剤の場合、下記の(A)成分の含有量は、1錠に含まれていてもよいし、1回に服用する錠剤数の総量でもよい。
医薬製剤が錠剤やカプセル剤の場合、錠剤1錠(又は1カプセル)当たりの(A)成分の含有量は、服用1回当たりの錠剤数(又はカプセル数)を勘案して適宜決定される。
医薬製剤中の(A)成分の含有割合は、例えば、医薬製剤の総質量に対して、0.1~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、1.0~5.0質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有割合が上記下限値以上であれば、医薬製剤の薬理効果をより高められる。(A)成分の含有割合が上記上限値以下であれば、錠剤製造時の障害(例えば、打錠機の盤や杵に対する医薬製剤の付着等)を生じにくい。また、(A)成分の含有割合が上記上限値以下であれば、胃障害をより軽減できる。
≪(B)成分≫
(B)成分は、アルミニウムを含有する制酸剤である。本実施形態の医薬製剤は、(B)成分を含有することで、(A)成分による胃障害を軽減できる。
(B)成分は、いわゆるアルミニウム系制酸剤であり、分子中にアルミニウムを有するアルカリ性化合物である。(B)成分は、アルミニウムの他に、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、ケイ素等の金属原子を含んでもよい。(B)成分の総質量に対するアルミニウムの含有量は、1質量%以上である。本発明の課題に対する効果の顕著性から、(B)成分の総質量に対するアルミニウムの含有量は、10質量%以上が好ましい。(B)成分中のアルミニウムの含有量は、化学式から算出される質量比により求められる値である。
(B)成分としては、乾燥水酸化アルミニウムゲル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、合成ケイ酸アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノ酢酸、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム-炭酸マグネシウム共乾燥ゲル、水酸化アルミニウム-重炭酸ナトリウム共沈殿物、水酸化アルミニウム-炭酸カルシウム-炭酸マグネシウム共沈殿物、水酸化マグネシウム-硫酸アルミニウムカリウム共沈殿物、アルミノケイ酸マグネシウム、水酸化マグネシウムアルミニウム等が挙げられる。中でも、(B)成分としては、乾燥水酸化アルミニウムゲル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、合成ケイ酸アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノ酢酸が好ましい。
これらの(B)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
医薬製剤中の(B)成分の含有量は、服用1回当たりの(B)成分の量が40~1500mgとなる量が好ましく、60~800mgとなる量がより好ましく、200~500mgとなる量がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、(A)成分による胃障害をより軽減できる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、(A)成分の含有量の低下をより良好に抑制できる。
以下に、主な(B)成分の服用1回当たりの量を示す。医薬製剤が錠剤の場合、下記の(B)成分の含有量は、1錠に含まれていてもよいし、1回に服用する錠剤数の総量でもよい。
(B)成分が乾燥水酸化アルミニウムゲルの場合、服用1回当たりの(B)成分の量は、40~1000mgが好ましく、100~800mgがより好ましく、200~500mgがさらに好ましい。
(B)成分がメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの場合、服用1回当たりの(B)成分の量は、60~1500mgが好ましく、150~800mgがより好ましく、250~500mgがさらに好ましい。
(B)成分が合成ヒドロタルサイトの場合、服用1回当たりの(B)成分の量は、100~1000mgが好ましく、200~600mgがより好ましく、300~400mgがさらに好ましい。
(B)成分が合成ケイ酸アルミニウムの場合、服用1回当たりの(B)成分の量は、100~1000mgが好ましく、180~700mgがより好ましく、250~400mgがさらに好ましい。
(B)成分がジヒドロキシアルミニウム酢酸の場合、服用1回当たりの(B)成分の量は、40~1500mgが好ましく、100~600mgがより好ましく、150~400mgがさらに好ましい。
医薬製剤中の(B)成分の含有割合は、10~85質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましい。(B)成分の含有割合が上記下限値以上であれば、(A)成分による胃障害をより軽減できる。(B)成分の含有割合が上記上限値以下であれば、(A)成分の含有量の低下をより良好に抑制できる。
≪(C)成分≫
医薬製剤は、有機カルボン酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種(C)((C)成分)を含有する。本実施形態の医薬製剤は、(C)成分を含有することで、(A)成分の含有量の低下を抑制できる。
(C)成分としては、一価又は多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸等が挙げられる。一価又は多価カルボン酸のカルボン酸としては、酢酸、酪酸、コハク酸、マレイン酸やフマル酸等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられる。アミノカルボン酸としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)等が挙げられる。
(C)成分の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
これらの(C)成分の中でも、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びこれらの塩が好ましい。
これらの(C)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
医薬製剤中の(C)成分の下限値は、服用1回当たりの(C)成分の量が1mg以上となる量が好ましく、2mg以上となる量がより好ましく、3mg以上となる量がさらに好ましく、4mg以上となる量が特に好ましく、5mg以上となる量が最も好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であれば、医薬製剤中で(C)成分が均一に分布し、(A)成分の含有量の低下をより良好に抑制できる。
医薬製剤中の(C)成分の上限値は、服用1回当たりの(C)成分の量が250mg以下となる量が好ましく、150mg以下となる量がより好ましく、100mg以下となる量がさらに好ましく、90mg以下となる量が特に好ましく、75mg以下となる量がより好適に好ましく、50mg以下となる量がさらに好適に好ましく、25mg以下となる量がより一層好ましく、20mg以下となる量が最も好ましい。(C)成分の含有量が上記上限値以下であれば、医薬製剤を錠剤とした場合に、服用後の錠剤の崩壊を早められる。
服用1回当たりの医薬製剤中の(C)成分の含有量の好適な範囲は、1~250mgが好ましく、1~100mgがより好ましく、3~50mgがさらに好ましく、5~20mgが最も好ましい。1錠中の含有量としては、0.2~250mgが好ましく、1~50mgがより好ましい。
なお、医薬製剤が錠剤の場合、上記の(C)成分の含有量は、1錠に含まれていてもよいし、1回に服用する錠剤数の総量でもよい。
医薬製剤中の(C)成分の含有割合は、0.1~30質量%が好ましく、0.3~15質量%がより好ましい。(C)成分の含有割合が上記下限値以上であれば、(A)成分の含有量の低下をより抑制できる。(C)成分の含有割合が上記上限値以下であれば、医薬製剤を錠剤とした場合に、服用後の錠剤の崩壊を早められる。
医薬製剤中、(C)成分/(B)成分で表される質量比(C/B比)の下限値は、0.001以上が好ましく、0.00375以上がより好ましく、0.01以上がさらに好ましい。C/B比の上限値は、2.5以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.1以下がさらに好ましい。C/B比が上記下限以上であれば、(A)成分の経時安定性が良好となる。C/B比が上記上限以下であれば、医薬製剤を錠剤とした場合に、服用後の錠剤の崩壊を早められる。
医薬製剤中、(C)成分/(A)成分で表される質量比(C/A比)の下限値は、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。C/A比の上限値は、25以下が好ましく、7.5以下がより好ましく、2.0以下がさらに好ましい。C/A比が上記下限以上であれば、(A)成分の経時安定性が良好となり、医薬製剤を錠剤とした場合に、硬度をより高められる。C/A比が上記上限以下であれば、(A)成分の溶出性をより高められる。
≪任意成分≫
医薬製剤は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)~(C)成分以外の他の成分(任意成分)をさらに含有してもよい。
任意成分としては、生理活性成分、添加剤(但し、(A)~(C)成分を除く)等が挙げられる。
生理活性成分の例としては、解熱鎮痛成分(但し、(A)成分を除く。)(例えばピロキシカム、アンピロキシカム、セロコキシブ、ロフェコキシブ、チアラミド、ロキソプロフェンNa、エテンザミド、スルピリン、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸等)、鎮静催眠成分(例えば、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素等)、抗ヒスタミン成分(例えば、塩酸イソチペンジル、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェテロール、塩酸トリプロリジン、塩酸トリペレナミン、塩酸トンジルアミン、塩酸フェネタジン、塩酸メトジラジン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、テオクル酸ジフェニルピラリン、ナパジシル酸メブヒドロリン、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、マレイン酸カルビノキサミン、dl-マレイン酸クロルフェニラミン、d-マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸ジフェテロール等)、中枢興奮成分(例えば、安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン、無水カフェイン等)、鎮咳去痰成分(コデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩、カルボシステイン、アセチルシステイン、エチルシステイン、dl-メチルエフェドリン、ブロムヘキシン塩酸塩、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、アンブロキソール、テオフィリン、アミノフィリン)、ビタミン成分(例えば、ビタミンB及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンB及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンB及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンB12及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンC及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンD及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンE及びその誘導体並びにそれらの塩類、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等)、生薬(イレイセン、エンゴサク、オウゴン、ガイハク、カンゾウ、キキョウ、シャクヤク、セネガ等、第十七改正日本薬局方 医薬品各条「生薬等」に収載の成分)等が挙げられる。これらの生理活性成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
医薬製剤中の上記生理活性成分の含有量は、特に限定されないが、医薬製剤の総質量に対して、1~40質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましい。
添加剤の例としては、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、香料、色素、基剤、甘味剤、酸味剤等が挙げられる。
結合剤としては、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン等が挙げられる。
賦形剤としては、結晶セルロース、乳糖(水和物)、コーンスターチ、粉糖、マンニトール、L-システイン等が挙げられる。
崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム等が挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
香料としては、メントール、リモネン、植物精油(ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油等)等が挙げられる。
色素としては、三二酸化鉄等が挙げられる。
基剤としては、水、エタノール等が挙げられる。
甘味料としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸二カリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロース等が挙げられる。
酸味剤としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸及びそれらの塩等が挙げられる。クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸及びそれらの塩は、(C)成分に含まれるが酸味剤として適宜用いられてもよい。
これらの添加剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
医薬製剤中の添加剤の含有量は、特に限定されないが、医薬製剤の総質量に対して、1~80質量%が好ましく、10~70質量%がより好ましい。
なお、(A)~(C)成分及び任意成分の合計は、100質量%を超えない。
<製造方法>
本実施形態の医薬製剤の製造方法は、(A)~(C)成分が共存できるものであれば、特に限定されない。
医薬製剤が単層錠である場合、(A)~(C)成分及び必要に応じて任意成分を粉体混合し、得られた粉体混合物を打錠する製造方法が挙げられる。
また、例えば、(A)~(C)成分及び必要に応じて任意成分を粉体混合し、得られた粉体混合物を造粒して造粒粒子の群とし、これを顆粒剤とする製造方法が挙げられる。得られた粒子群をカプセルに封入してカプセル剤としてもよいし、得られた粒子群を打錠して錠剤としてもよい。
以下、顆粒剤の造粒方法について説明する。
造粒方法としては、乾式造粒法、湿式造粒法等が挙げられる。湿式造粒法としては、流動層造粒法、攪拌造粒法、転動造粒法、押し出し造粒法等が挙げられる。
造粒方法としては、製造性の点から、湿式造粒法が好ましい。中でも、(A)~(C)成分を効率良く接触可能なこと、操作性、生産性の観点から、流動層造粒法及び攪拌造粒法が好ましい。
造粒条件は、造粒方法に応じて適宜選定できる。例えば、流動層造粒法にて造粒を行う場合は、給気温度60~100℃、給気風量1.0~4.0m/分で造粒を行うことができる。攪拌造粒法にて造粒を行う場合は、チョッパー回転速度500~3000rpm、アジテーター回転速度100~500rpmにて造粒を行うことできる。
製造上問題ない液体を噴霧しながら造粒を行ってもよい。このような液体としては、水、エタノール等が挙げられる。
一般的に湿式造粒法では、水溶性高分子や水不溶性アクリル酸重合体等の結合剤を水に分散又は溶解させた結合液を噴霧しながら造粒を行う。本態様の造粒工程においても、結合液を噴霧しながら造粒を行ってよい。この場合、得られる粒子群(X)を構成する粒子(x)は結合剤を含む。
結合剤が水溶性高分子を含む場合、崩壊性を良好に保つ点から、粒子(x)は、結合剤の含有量が少ないことが好ましい。具体的には、結合液の噴霧量は、水溶性高分子の含有量が、粒子(x)の総質量に対し、5質量%以下となる量が好ましい。
造粒後、必要に応じて、水分率の調整等を目的とし、得られた造粒粒子を乾燥する。
乾燥方法としては、特に限定されないが、流動層造粒機又は箱式通気型式乾燥機等の乾燥機を使用して棚乾燥することが好ましい。
乾燥条件は、乾燥方法に応じて適宜選定できる。例えば、流動層造粒機を用いて乾燥を行う場合は、給気温度60~100℃、乾燥時間10~90分間、給気風量1.0~4.0m/分で乾燥させることができる。箱式通気型式乾燥機を用いて乾燥を行う場合は、乾燥温度40~90℃、乾燥時間15~130分間で乾燥させることができる。
以上、粉体混合工程と造粒工程とを有する態様の製造方法について説明したが、粒子群(X)の製造方法はこの態様の製造方法に限定されるものではない。
例えば、造粒工程を有し、粉体混合工程を有しない製造方法により粒子群(X)を製造してもよい。この場合、造粒工程では、造粒する各成分((A)~(C)成分等)を、粉体等の固体の状態で接触させてもよく、液状媒体に溶解又は分散された状態で接触させてもよい。
粉体混合工程を経ずに造粒工程を行う場合、(A)~(C)成分の造粒機への投入順序は、製造上問題なければ特に限定されない。例えば、(A)成分を投入し、造粒した後、造粒機に(B)成分及び(C)を投入し、さらに造粒を行ってもよく、(A)成分と(B)成分の投入順序を逆にしてもよい。粒子(x)がより均一になりやすく、さらに工程の煩雑化を避けることができる点では、(A)~(C)成分を同時に又は予め造粒機に投入して造粒を行うことが好ましい。
医薬製剤が液体製剤である場合、分散媒となる水等に、(A)~(C)成分及び必要に応じて任意成分を分散する製造方法が挙げられる。
<使用方法>
本実施形態の医薬製剤の使用方法は、剤形に応じて適宜決定される。即ち、(A)~(C)成分が所望の服用量となるように、医薬製剤を経口等で摂取する。
本実施形態の医薬製剤によれば、(A)成分と(B)成分とを併有するため、(A)成分の薬効を発揮しつつ、(A)成分による胃障害を軽減できる。ここで、(A)成分は、(B)成分と共存すると、経時的に含有量が低下する。しかしながら、本実施形態の医薬製剤によれば、(C)成分を含有するため、(A)成分と(B)成分とが共存しても、(A)成分の含有量の低下を抑制できる。
(A)成分と(B)成分とが共存する剤形(単層錠、カプセル剤、マイクロカプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、乳剤、自己乳化型製剤、シロップ剤、ゼリー剤、吸入剤等)においては、本発明の課題を生じる。このため、本実施形態の医薬製剤によれば、(A)成分と(B)成分との共存下において、(C)成分が存在することで、如何なる剤形においても、(A)成分の含有量の低下を抑制できる。
(第二の実施形態)
本実施形態の固形医薬製剤は、(A)成分を含有し、実質的に(B)成分を含有しない粒子の群(α1)と、(B)成分を含有し、実質的に(A)成分を含有しない粒子の群(β1)とを有する。粒子の群(α1)及び粒子の群(β1)の少なくとも一方は、造粒粒子である。
なお、「実質的に含有しない」とは、全く含有しないか、又は各成分の影響を生じない程度に含有することをいう。
<粒子の群(α1)>
粒子の群(α1)は、(A)成分を含有し、(B)成分を実質的に含有しない粒子の群である。後述する粒子の群(β1)が造粒粒子の群である場合、粒子の群(α1)は造粒粒子の群でもよいし(A)成分の粒子が独立して存在する粒子の群でもよい。後述する粒子の群(β1)が造粒粒子でない場合、粒子の群(α1)は、造粒粒子の群である。
(A)成分の種類、含有量及び含有割合は、第一の実施形態と同様である。
粒子の群(α1)の総質量に対する(B)成分の含有量は、例えば、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、0質量%がさらに好ましい。
粒子の群(α1)は、(C)成分を含有する造粒粒子の群としてもよい。粒子の群(α1)が(C)成分を含有することで、固形医薬製剤における(A)成分の含有量の低下をより良好に抑制できる。
(C)成分の種類は、第一の実施形態と同様である。
本実施形態における固形医薬製剤中の(C)成分の含有量は、服用1回当たり1~250mgが好ましく、3~50mgがより好ましい。固形医薬製剤中の(C)成分の含有割合は、0.1~30質量%が好ましく、0.3~15質量%がより好ましい。前記含有量や含有割合が好ましい理由は、第一の実施形態と同様である。
粒子の群(α1)において、(C)成分/(A)成分で表される質量比(C/A比)の下限値は、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。C/A比の上限値は、25以下が好ましく、7.5以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。C/A比が上記下限以上であれば、(A)成分の経時安定がより良好となり、固形医薬製剤を錠剤とした場合に、硬度をより高められる。C/A比が上記上限以下であれば、(A)成分の溶出性をより高められる。
粒子の群(α1)は、(A)成分及び(C)成分以外の任意成分を含有してもよい。
任意成分としては、第一の実施形態と同様の成分が挙げられる。
粒子の群(α1)が造粒粒子の群である場合、粒子の群(α1)の製造方法は、(A)成分と、必要に応じて(C)成分又は任意成分とを粉体混合物とし、これを造粒する製造方法が挙げられる。造粒方法は、第一の実施形態と同様の造粒方法が挙げられる。
粒子の群(α1)が造粒粒子の群である場合、粒子の群(α1)の平均粒子径は、10~700μmが好ましく、50~500μmがより好ましい。平均粒子径が上記下限値以上であれば、体積に対する表面積の割合が小さく、粒子の群(α1)を構成する造粒粒子が、粒子の群(β1)を構成する粒子と接触しても、粒子の群(α1)内の(A)成分に対する(B)成分の影響が少ない。このため、(A)成分の含有量の低下をより良好に抑制できる。平均粒子径が上記上限値以下であれば、固形医薬製剤を錠剤とした場合に、(A)成分の溶出性を高められる。
粒子の群(α1)が造粒粒子の群ではなく、(A)成分の粒子が独立して存在する粒子の群である場合、その平均粒子径は、5~500μmが好ましく、20~350μmが好ましい。前記平均粒子径が好ましい理由は、粒子の群(α1)が造粒粒子の群である場合と同様である。
なお、上記平均粒子径は、ロータップ法又はレーザー回折散乱法で測定できる。ロータップ法で測定される平均粒子径は質量基準において頻度の累積が50質量%となる粒子径に相当する。
<粒子の群(β1)>
粒子の群(β1)は、(B)成分を含有し、(A)成分を実質的に含有しない粒子群である。粒子の群(α1)が造粒粒子の群である場合、粒子の群(β1)は、造粒粒子の群でもよいし、(B)成分の粒子が独立して存在する粒子群でもよい。粒子の群(α1)が造粒粒子でない場合、粒子の群(β1)は、造粒粒子の群である。
(B)成分の種類、含有量及び含有割合は、第一の実施形態と同様である。
粒子の群(β1)の総質量に対する(A)成分の含有量は、例えば、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、0質量%がさらに好ましい。
粒子の群(β1)は、(C)成分を含有する造粒粒子の群としてもよい。粒子の群(β1)が(C)成分を含有することで、固形医薬製剤における(A)成分の含有量の低下をより良好に抑制できる。
(C)成分の種類は、第一の実施形態と同様である。
本実施形態における固形医薬製剤中の(C)成分の含有量は、服用1回当たり1~250mgが好ましく、3~50mgがより好ましい。固形医薬製剤中の(C)成分の含有割合は、0.1~30質量%が好ましく、0.3~15質量%がより好ましい。前記含有量や含有割合が好ましい理由は、第一の実施形態と同様である。
粒子の群(β1)において、(C)成分/(B)成分で表される質量比(C/B比)の下限値は、0.001以上が好ましく、0.00375以上がより好ましく、0.01以上がさらに好ましい。C/B比の上限値は、2.5以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.1以下がさらに好ましい。C/B比が上記下限以上であれば、(A)成分の経時安定性が良好となる。C/B比が上記上限以下であれば、固形医薬製剤を錠剤とした場合に、服用後の錠剤の崩壊を早められる。
また、固形医薬製剤中、C/B比の下限値は、0.001以上が好ましく、0.00375以上がより好ましく、0.01以上がさらに好ましい。C/B比の上限値は、2.5以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.1以下がさらに好ましい。C/B比が上記下限以上であれば、(A)成分の経時安定性が良好となる。C/B比が上記上限以下であれば、固形医薬製剤を錠剤とした場合に、服用後の錠剤の崩壊を早められる。
粒子の群(β1)は、(B)成分及び(C)成分以外の任意成分を含有してもよい。
任意成分としては、第一の実施形態と同様の成分が挙げられる。
粒子の群(β1)が造粒粒子の群の場合、粒子の群(β1)の製造方法は、(B)成分と、必要に応じて(C)成分又は任意成分とを粉体混合物とし、これを造粒する製造方法が挙げられる。造粒方法は、第一の実施形態と同様の造粒方法が挙げられる。
粒子の群(β1)が造粒粒子の群である場合、粒子の群(β1)の平均粒子径は、10~700μmが好ましく、50~500μmがより好ましい。平均粒子径が上記下限値以上であれば、体積に対する表面積の割合が小さく、粒子の群(β1)を構成する造粒粒子が、粒子の群(α1)を構成する粒子と接触しても、粒子の群(α1)内の(A)成分に対する(B)成分の影響が少ない。このため、(A)成分の含有量の低下をより良好に抑制できる。平均粒子径が上記上限値以下であれば、固形医薬製剤を錠剤とした場合に、製剤の均一性がより良好になる。
粒子の群(β1)が造粒粒子の群ではなく、(B)成分の粒子が独立して存在する粒子の群である場合、その平均粒子径は、5~500μmが好ましく、20~350μmが好ましい。前記平均粒子径が好ましい理由は、粒子の群(β1)が造粒粒子の群である場合と同様である。
なお、粒子の群(β1)の平均粒子径の測定方法は、粒子の群(α1)の平均粒子径の測定方法と同様である。
<任意粒子群>
本実施形態の固形医薬製剤は、粒子の群(α1)及び粒子の群(β1)の他に他の粒子の群(任意粒子群)を有してもよい。任意粒子群としては、例えば、(C)成分を含有し、実質的に(A)成分及び(B)成分を含有しない粒子群が挙げられる。即ち、(C)成分は、粒子の群(α1)及び粒子の群(β1)とは異なる粒子群として、固形医薬製剤中に存在してもよい。
<製造方法>
本実施形態の固形医薬製剤の製造方法は、粒子の群(α1)と粒子の群(β1)とを粉体混合し、これを顆粒剤とする。あるいは、得られた顆粒剤をカプセル剤としてもよい。また、例えば、得られた顆粒剤を打錠して、粒子の群(α1)と粒子の群(β1)とを同一層に含む錠剤としてもよい。
本実施形態の固形医薬製剤によれば、粒子の群(α1)及び粒子の群(β1)の少なくとも一方が造粒粒子の群であるため、(A)成分と(B)成分とが直接接触する機会が少ない。このため、(A)成分の含有量の低下を抑制できる。本実施形態の固形医薬製剤は、(A)成分、(B)成分の少なくとも一方が造粒粒子の群に含まれれば、特に限定されないが、(A)成分の含有量の低下を抑制し、1回当たりの服用量を低減できることから、粒子の群(α1)を造粒粒子とすることが好ましい。
(A)成分と(B)成分とが共存する剤形(単層錠、カプセル剤、マイクロカプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、吸入剤等)においては、本発明の課題を生じる。このため、本実施形態の医薬製剤によれば、(A)成分と(B)成分とを各々に含有する粒子を独立させることで、如何なる剤形においても、(A)成分の含有量の低下を抑制できる。
(第三の実施形態)
本実施形態の錠剤は、(A)成分を含有し、実質的に(B)成分を含有しない層(α2)と、(B)成分を含有し、実質的に(A)成分を含有しない層(β2)とを有する多層錠である。
<層(α2)>
層(α2)は、(A)成分を含有し、(B)成分を実質的に含有しない層である。
(A)成分の種類、含有量及び含有割合は、第一の実施形態と同様である。
層(α2)の総質量に対する(B)成分の含有量は、例えば、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、0質量%がさらに好ましい。
層(α2)は、(C)成分を含有してもよい。層(α2)が(C)成分を含有することで、錠剤における(A)成分の含有量の低下をより良好に抑制できる。
(C)成分の種類は、第一の実施形態と同様である。
本実施形態における錠剤中の(C)成分の含有量は、服用1回当たり1~250mgが好ましく、3~50mgがより好ましい。錠剤中の(C)成分の含有割合は、0.1~30質量%が好ましく、0.3~15質量%がより好ましい。前記含有量や含有割合が好ましい理由は、第一の実施形態と同様である。
層(α2)において、(C)成分/(A)成分で表される質量比(C/A比)の下限値は、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。C/A比の上限値は、25以下が好ましく、7.5以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。C/A比が上記下限以上であれば、錠剤の硬度をより高められる。C/A比が上記上限以下であれば、(A)成分の溶出性をより高められる。
層(α2)は、(A)成分及び(C)成分以外の任意成分を含有してもよい。
任意成分としては、第一の実施形態と同様の成分が挙げられる。
<層(β2)>
層(β2)は、(B)成分を含有し、(A)成分を実質的に含有しない造粒粒子群である。
(B)成分の種類、含有量及び含有割合は、第一の実施形態と同様である。
層(β2)の総質量に対する(A)成分の含有量は、例えば、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、0質量%がさらに好ましい。
層(β2)は、(C)成分を含有してもよい。層(β2)が(C)成分を含有することで、錠剤における(A)成分の含有量の低下をより良好に抑制できる。
(C)成分の種類は、第一の実施形態と同様である。
本実施形態における錠剤中の(C)成分の含有量は、服用1回当たり1~250mgが好ましく、3~50mgがより好ましい。錠剤中の(C)成分の含有割合は、0.1~30質量%が好ましく、0.3~15質量%がより好ましい。前記含有量や含有割合が好ましい理由は、第一の実施形態と同様である。
層(β2)において、(C)成分/(B)成分で表される質量比(C/B比)の下限値は、0.001以上が好ましく、0.00375以上がより好ましく、0.01以上がさらに好ましい。C/B比の上限値は、2.5以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.1以下がさらに好ましい。C/B比が上記下限以上であれば、(A)成分の経時安定性が良好となる。C/B比が上記上限以下であれば、服用後の錠剤の崩壊を早められる。
また、錠剤中、C/B比の下限値は、0.001以上が好ましく、0.00375以上がより好ましく、0.01以上がさらに好ましい。C/B比の上限値は、2.5以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.1以下がさらに好ましい。C/B比が上記下限以上であれば、(A)成分の経時安定性が良好となる。C/B比が上記上限以下であれば、服用後の錠剤の崩壊を早められる。
層(β2)は、(B)成分及び(C)成分以外の任意成分を含有してもよい。
任意成分としては、第一の実施形態と同様の成分が挙げられる。
<製造方法>
本実施形態の錠剤の製造方法としては従来公知の製造方法に準じた製造方法を例示できる。
例えば、以下の製造方法を例示できる。層(β2)の原料となる粉体を打錠機の臼に投入し、これを仮圧縮する。次いで、層(α2)の原料となる粉体を臼に投入し、仮圧縮した粉体の上に層(α2)の原料となる粉体を乗せる。次いで、臼内に杵を挿入して、下層に層(β2)、上層に層(α2)を有する二層錠の素錠を得る。さらに、素錠の表面にコーティングを施し、コーティング剤としてもよい。また、層(α2)と層(β2)との間に、任意の層を設けて、3層錠としてもよい。
なお、臼に投入する原料の順序は特に限定されない。
本実施形態の錠剤によれば、(A)成分と(B)成分とが、それぞれ異なる層に含有されているため、両者の接触点はその境界に限られる。このため、(A)成分は(B)成分の影響を受けにくくなり、(A)成分の含有量の低下が抑制される。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
(使用原料)
<(A)成分>
・A-1:メロキシカム(商品名:メロキシカム、SUN Pharma社製)。
<(B)成分>
・B-1:乾燥水酸化アルミニウムゲル(商品名:S-100、規格:日局、協和化学工業株式会社製)。
・B-2:メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(商品名:ノイシリンUFL-2、規格:局外規、富士化学工業株式会社)。
・B-3:合成ヒドロタルサイト(商品名:アルカマックSN、規格:局外規、協和化学工業株式会社製)。
・B-4:合成ケイ酸アルミニウム(吉田製薬株式会社製)。
・B-5:ジヒドロキシアルミニウムアミノ酢酸(商品名:グリシナール、規格:局外規、協和化学株式会社製)。
<(C)成分>
・C-1:クエン酸(扶桑薬品株式会社製)。
・C-2:リンゴ酸(DL-リンゴ酸、和光純薬株式会社製)。
・C-3:EDTA(商品名:ドウジンN001 2Na、株式会社同仁化学研究所製)。
<任意成分>
・結晶セルロース(グレード:PH-302、規格:日局、旭化成株式会社製)。
・ステアリン酸マグネシウム(規格:日局、太平化学産業株式会社製)。
・乳糖水和物(商品名:Pharmatose200M、規格:日局、DMV社製)。
・ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC-L、規格:日局、日本曹達株式会社製)。
(評価方法)
<残存率>
各例の錠剤をPTP(プレススルーパック、ブリスター部:VSL-4601N、住友ベークライト株式会社製)で包装し、この包装物を55℃、80%RH条件下にて6週間保存した。
保存開始直前の錠剤における(A)成分の含有量(Ax)と、保存後の錠剤における(A)成分の含有量(Ay)とを測定し、下記式(1)で(A)成分の残存率を算出した。メロキシカムの含有量の測定は、USP収載のメロキシカム錠の定量法に基づき、分光光度計(UV-2700、株式会社島津製作所製)を用いて、UVで測定した。
残存率(質量%)=Ay÷Ax×100 ・・・(1)
(実施例1-1~1-17、比較例1-1~1-5)
表1~2に示す配合比に従い、(A)~(C)成分及び任意成分をプラスチック製の袋内で粉体混合して、2000gの粉体混合物を得た。
得られた粉体混合物をLIBRA2(菊水製作所社製)で、表に記載の1錠質量となるように打錠して、各例の錠剤(標準R錠)を得た。打錠に用いた杵はφ8.5mmであり、硬度は2kgf~30kgfとした。
得られた錠剤について、(A)成分の残存率を評価し、その結果を表中に示す。
Figure 0007391639000001
Figure 0007391639000002
表1~2に示す通り、本発明を適用した実施例1-1~1-17は、いずれも(A)成分の残存率が84質量%以上であった。
(C)成分を欠く、比較例1-1~1-5の(A)成分の残存率は、73質量%以下であった。
(実施例2-1~2-4)
表3に示す配合比に基づき、粒子の群(α1)の原料の粉体(但し、ヒドロキシプロピルセルロースを除く)をプラスチック製の袋内で粉体混合して、3000gの粉体混合物を得た。得られた粉体混合物を流動層造粒機(フロイント産業株式会社製、「FLO-5」)に投入し、4質量%の結合液(ヒドロキシプロピルセルロース水溶液)を噴霧しながら、流動層造粒を行った。造粒条件を給気温度60℃、給気風量2.0m/分とした。粒子の群(α1)中のヒドロキシプロピルセルロースの含有量が固形物換算で表中に示す値となるように結合液を噴霧して流動層造粒を完了させ、各例の粒子の群(α1)を造粒粒子の群として得た。引き続き同じ流動層造粒機を用いて給気温度70℃、給気風量1.5m/分にて20分間、粒子の群(α1)を乾燥した。得られた粒子の群(α1)に対して、表に示す配合比に従い、粒子の群(β1)、結晶セルロース及びステアリン酸マグネシウムを加え、プラスチック製の袋内で粉体混合した。この粉体混合物をLIBRA2(菊水製作所社製)で、表に記載の1錠質量となるように打錠して、各例の錠剤(標準R錠)を得た。打錠に用いた杵はφ8.5mmであり、硬度は2kgf~30kgfとした。
得られた錠剤について、残存率を評価し、その結果を表中に示す。
(比較例2-1)
(A)成分と(B)成分と結晶セルロースとステアリン酸マグネシウムとを粉体混合して、粉体混合物を得た以外は、実施例2-1と同様にして、錠剤を得た。
得られた錠剤について、(A)成分の残存率を評価し、その結果を表中に示す。
Figure 0007391639000003
表3に示すように、本発明を適用した実施例2-1~2-4は、いずれも(A)成分の残存率が81質量%以上であった。造粒粒子の群ではない(A)成分と(B)成分とを含む粉体混合物を打錠した比較例2-1の(A)成分の残存率は、77質量%であった。
(実施例3-1~3-3)
表4に示す配合比に基づき、層(α2)の原料の粉体をプラスチック製の袋内で粉体混合して、3000gの粉体混合物(α2)を得た。また、層(β2)の原料の粉体をプラスチック製の袋内で粉体混合して、3000gの粉体混合物(β2)を得た。
粉体混合物(α2)と粉体混合物(β2)とをLIBRA2(菊水製作所社製)で、表に記載の1錠質量となるように打錠して、各例の錠剤(標準R錠)を得た。打錠に用いた杵はφ8.5mmであり、硬度を2kgf~30kgfとした。また、打錠に際しては、粉体混合物(β2)を先に臼へ投入し、仮圧縮操作を行った。
得られた錠剤について、(A)成分の残存率を評価し、その結果を表中に示す。
Figure 0007391639000004
表4に示すように、本発明を適用した実施例3-1~3-3の(A)成分の残存率は、97質量%以上であった。

Claims (6)

  1. メロキシカム及びその医薬的に許容可能な塩から選ばれる少なくとも1種(A)と、
    アルミニウムを含有する制酸剤(B)と、
    乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、エチレンジアミン四酢酸及びこれらのナトリウム塩又はカリウム塩から選ばれる少なくとも1種(C)と、
    を含有する、医薬製剤。
  2. 前記(C)成分/前記(B)成分で表される質量比は、0.001~2.5である、請求項1に記載の医薬製剤。
  3. 前記(C)成分/前記(A)成分で表される質量比は、0.1~25である、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
  4. 前記医薬製剤が、顆粒剤、カプセル剤、錠剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  5. 前記(A)成分を含有し、かつ、前記(B)成分を実質的に含有しない粒子の群(α1)と、
    前記(B)成分を含有し、前記(A)成分を実質的に含有しない粒子の群(β1)と、
    を有し、
    前記粒子の群(α1)及び前記粒子の群(β1)の少なくとも一方は、造粒粒子の群であり、
    前記粒子の群(α1)及び前記粒子の群(β1)の少なくとも一方が、前記(C)成分を含有する造粒粒子の群である、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  6. 錠剤であり、
    前記(A)成分を含有し、かつ、前記(B)成分を実質的に含有しない層(α2)と、
    前記(B)成分を含有し、前記(A)成分を実質的に含有しない層(β2)と、を有し、
    前記層(α2)及び前記層(β2)の少なくとも一方に、前記(C)成分を含有し、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
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