特許法第30条第2項適用 平成30年5月22日、2018New環境展(日報ビジネス株式会社主催)にて展示 平成30年7月31日、スターライト販売株式会社に販売
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る表示システム1の構成を示すブロック図、図2は、表示システム1の使用者であるユーザーUが装着するウェアラブル機器の一例であるヘルメット6を示す部分断面図、図3は、取得部2及び携帯情報端末3等の具体的構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る表示システム1は、ユーザーUの情報である使用者情報の一例として、熱中症に関する生体情報及び環境情報に関するデータを検出し、この使用者情報データから算出した分析情報の一例である、熱中症に関する判定結果を算出するものである。即ち、本実施形態に係る表示システム1は、熱中症危険度算出システムとして用いられるものであり、表示システム1を用いることにより、ユーザーUにおける熱中症発生の可能性を予測することができる。なお、表示システム1は、使用者情報を取捨選択し、又は、分析情報の算出手法を変更することにより、熱中症危険度を算出する以外にユーザーUの健康管理、状態管理等、他の用途に用いることが可能である。
表示システム1は、図1に示すように、ユーザーUが装着するウェアラブル機器の一例であるヘルメット6と、ヘルメット6が備える送信機4と通信可能とされ、ユーザーUが携帯する携帯情報端末3と、インターネット又はイントラネット等からなる通信回線50を介して携帯情報端末3に接続されるWebサーバー等からなる管理サーバー5と、を備える。ヘルメット6は、ユーザーUの情報である使用者情報を検出する各種センサである取得部2を備えることにより、使用者情報をユーザーUの熱中症の発生予防に用いる。本実施形態において取得部2は、使用者情報の一例として生体情報及び環境情報に関するデータを取得する。送信機4は、取得部2で取得したデータを携帯情報端末3に送信する。管理サーバー5は通信回線50を介してクライアント端末7と接続されている。クライアント端末7は、例えば各ユーザーUを管理する管理者の情報機器端末であり、本発明に係る表示端末である。なお,表示システム1の構成は,上記の形態に限定されるものではない。
本発明に係る表示システム1は、携帯情報端末3、管理サーバー5、及び、クライアント端末7等にインストールされたアプリケーションプログラム(管理プログラム)に従って、取得部2、携帯情報端末3、送信機4、管理サーバー5、及び、クライアント端末7を制御するとともに,所定の演算を行う。管理プログラムは各構成要素が備える記憶部に記憶される。管理プログラムは、インターネット経由でダウンロードする他、光ディスク、DVD、SDカード、USBフラッシュメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することが可能である。また、表示システム1は、携帯情報端末3、管理サーバー5、及び、クライアント端末7等全てにアプリケーションがインストールされる必要はない。例えば携帯情報端末3、管理サーバー5にアプリケーションをインストールし、クライアント端末7が通信回線50を経由して管理サーバー5にアクセスすることで、表示システム1を構築することもできる。
取得部2は図3に示すように、生体情報取得部21と環境情報取得部22とで構成されている。生体情報取得部21及び環境情報取得部22は、図2に示す如く、工場や工事現場あるいは山林等で作業する作業者等のユーザーUが頭部に装着するヘルメット6に設けられている。なお、生体情報取得部21及び環境情報取得部22を、ヘルメット6とは異なる他のウェアラブル機器(例えば、ユーザーUが身に着ける上着やベルト等)に設けることも可能である。
本実施形態において、生体情報取得部21はヘルメット6のヘッドバンド61に設けられ、ユーザーUの生体情報を所定の計測時間毎に取得する。本実施形態における生体情報取得部21は、ユーザーUのひたいに接触する電極を有する皮膚表面温度センサであり、ユーザーUのひたい温度に関する生体情報を1分毎に取得する。
なお、生体情報取得部21において、ユーザーUのひたい以外の箇所における皮膚接触温度又は体内温度等の温度を取得し、ユーザーUの脈波、脳波、又は血流等、他の様々の情報を取得し、又は、これらを組み合わせることにより、生体情報として使用することも可能である。ただし、表示システム1を熱中症の予防管理に用いる場合は、熱中症の発症との相関性の高さから、生体情報としてユーザーUの体温を、温度センサを用いて取得する構成が好ましい。また、危険を伴う作業を行う作業者にとって、体内に器具を入れる必要がないという安全性の観点、及び、測定の容易性の観点から、ユーザーUが身に着けるウェアラブル機器に皮膚表面温度センサを設けてユーザーUの体温を取得する構成がより好ましい。加えて、熱中症の影響が最も大きい脳に近い部分で生体情報を測定するという観点より、ユーザーUの体温はヘルメット6のひたい部分に接触温度センサを設けて皮膚接触温度を測定する構成がより好ましい。
また、所定の計測時間間隔は1分以外とすることも可能である。但し、表示システム1が採用される現場においては、休憩時間が数分から十数分の場合が多いため、所定の計測時間間隔を1分から10分の間で設定することが好ましい。なお、計測時間間隔を1分より小さく設定することもできる。例えば、計測時間間隔を1秒として常時計測を行う構成とすることも可能である。しかし、常時計測のように頻繁に計測を行う構成とした場合、計測及び送信の頻度が高くなり、バッテリーの消費が大きくなる。このため、本実施形態においては計測時間間隔を1分以上に設定することにより、頻繁に計測する場合と比較して計測及び送信の頻度を低くして、バッテリーの消費を抑える構成としている。
本実施形態において、環境情報取得部22は図2及び図3に示す如く、ヘルメット6の後部又はヘッドバンド61等に着脱可能に取り付けられた収容部材40内に収容されており、ユーザーUの周囲における環境情報を所定の計測時間毎に取得する。本実施形態における環境情報取得部22は、外気温を1分毎に取得する温度センサ、及び外湿度を1分毎に取得する湿度センサ等で構成されている。
環境情報取得部22は、取得した外気温と外湿度とから、暑さ指標として知られているWBGT指標の近似値(以下、単に「WBGT」と記載する)を1分毎に算出している。WBGT指標とは、人体が受ける熱ストレスの大きさを、気温・湿度・風速・輻射熱を考慮して指標化したものであり、この値が大きい場合には、作業やスポーツを休止することが望ましいとされている。なお、環境情報取得部22において、外気温及び外湿度以外に、日射強度、天気、照度等を取得し、時刻や位置情報等の様々の情報を取得し、又は、これらを組み合わせることにより、環境情報として使用することも可能である。但し、測定の簡易性の観点から、環境情報はユーザーUの周囲の気温と湿度とに基づいて算出することが好ましい。
送信機4は、取得部2で取得した使用者情報データである生体情報及び環境情報のデータを、計測時間毎にユーザーUが携帯する携帯情報端末3に送信する近距離用の無線送信機であり、図3に示す如く収容部材40内に収容される。近距離用の無線送信機としては、例えばBluetooth(登録商標)や、ZigBee(登録商標)の規格により規定された無線PAN、又はWiMAX(登録商標)の規格により規定された無線MAN等が用いられる。
図3に示す如く、収容部材40には環境情報取得部22、送信機4の他に、バッテリー41が収容される。バッテリー41は端末演算部30及び送信機4等に電力を供給する。バッテリー41としては、例えば使い捨てのリチウム乾電池やアルカリ乾電池又は充電式のリチウム電池等からなる各種のバッテリーを採用可能である。特に、ヘルメット6に配設されるバッテリー41としては、小型のボタン型電池やコイン型電池等が省スペースかつ軽量であるため好適に用いられる。
送信機4は、取得部2で取得したユーザーUの使用者情報データである、生体情報、及び、環境情報のデータを、計測時間毎に携帯情報端末3に送信する。携帯情報端末3は、各ユーザーUがそれぞれ携帯するスマートフォン、タブレット、携帯用無線機又は携帯型パソコン等で構成される。なお、本実施形態においてはウェアラブル機器であるヘルメット6と携帯情報端末3とを別々に構成しているが、携帯情報端末3がウェアラブル機器と一体に構成されていても良い。図3に示す如く、携帯情報端末3には、端末演算部30と、送信機4及び管理サーバー5と使用者情報データである生体情報及び環境情報のデータを送受信する通信機31と、タッチパネル等からなる入力部32と、液晶表示パネル等からなる端末表示部33と、が設けられている。
端末演算部30は図3に示す如く、使用者点数算出部301と、判定点数算出部302と、判定部303と、を備え、各部は図示しない記憶部(メモリ等)及び演算部(CPU等)を具備する。以下、各部について具体的に説明する。
使用者点数算出部301は、通信機31で受信した使用者情報データである、生体情報取得部21で取得したユーザーUの生体情報(本実施形態においてはユーザーUのひたい温度)と、環境情報取得部22で取得した環境情報(本実施形態においてはユーザーUの周囲のWBGT)と、に基づいて、使用者点数を計測時間(1分)毎に算出する。
具体的には図4(a)に示す如く、使用者点数算出部301の記憶部には、生体情報取得部21で取得した生体情報データ(ユーザーUのひたい温度)に対応して予め設定された点数(以下、「生体点数」と記載する)が記憶されている。また、図4(b)に示す如く、使用者点数算出部301の記憶部には、環境情報取得部22で取得した環境情報データ(WBGT)に対応して予め設定された点数(以下、「環境点数」と記載する)が記憶されている。そして、使用者点数算出部301の演算部において、受信した生体情報データに対応する生体点数と、受信した環境情報データに対応する環境点数と、を足し合わせることにより、使用者点数を計測時間毎に算出するのである。
例えば、生体情報取得部21で取得したユーザーUのひたい温度が36℃の場合、図4(a)に示す如く生体点数は6となる。また、環境情報取得部22で取得したWBGTが29℃の場合、図4(b)に示す如く環境点数は5となる。この場合、使用者点数は6+5=11となる。
本実施形態に係る表示システム1において、使用者点数算出部301は、生体情報及び環境情報の値が、予め設定した設定値から遠いほど、使用者点数を高く算出するように設定されている。具体的には図4(a)に示す如く、使用者点数算出部301の記憶部には、生体情報データ(ひたい温度)が高くなるほど生体点数が高くなるように設定されている。本実施形態において、生体情報データの設定値は30℃に設定している。また、図4(b)に示す如く、使用者点数算出部301の記憶部には、環境情報データ(WBGT)が高くなるほど環境点数が高くなるように設定されている。本実施形態において、環境情報データの設定値は10℃に設定している。
なお、本実施形態において、使用者点数は生体点数と環境点数との和で算出しているが、使用者点数の算出方法はこれに限定されるものではない。例えば、生体点数と環境点数とのうち何れか一方のみを用いる方法や、生体点数と環境点数とを所定の演算式に代入する方法により、使用者点数を算出することも可能である。
判定点数算出部302は、使用者点数算出部301で算出した使用者点数と、現在から過去に遡った経過時間毎に設定された時間係数と、から算出される値の累積により、分析情報の一例である判定点数を計測時間毎に算出する。
具体的には図4(c)に示す如く、判定点数算出部302の記憶部には、現在から過去に遡った経過時間に対応して予め設定された係数(以下、「時間係数」と記載する)が記憶されている。そして、判定点数算出部302の演算部において、使用者点数算出部301で算出した使用者点数と、経過時間毎に設定された時間係数と、の積の累積により、計測時間毎に判定点数を算出するのである。
例えば、過去240分間の全てで生体点数と環境点数との両方が最高値の12であった場合、使用者点数は常に24となる。このため、理論上の判定点数の最高値は24×0.5×60分+24×1.0×60分+24×1.5×60分+24×2.0×60分=7200となる。
本実施形態に係る表示システム1において、判定点数算出部302において用いられる時間係数は、経過時間が過去に遡るほど小さくなるように設定されている。具体的には図4(c)に示す如く、判定点数算出部302の記憶部には、経過時間が60分未満であれば時間係数が2.0に設定され、以下同様に120分未満で1.5、180分未満で1.0、240分未満で0.5、240分以上で0となるように設定されている。
なお、本実施形態において、分析情報である判定点数は使用者点数と時間係数との積の累積値として算出しているが、判定点数の算出方法はこれに限定されるものではない。例えば、使用者点数と時間係数とを所定の演算式に代入して得られる値を累積することにより判定点数を算出することも可能である。
判定部303は、判定点数算出部302で算出した判定点数が予め設定した閾値を超えている否かを判定する。具体的には、判定点数が閾値未満であれば「安全」、判定点数が閾値以上であれば「危険」と判定するのである。本実施形態においては、第一の閾値と第二の閾値とをそれぞれ4000及び5000に設定し、判定点数が第一の閾値未満(4000未満)であれば「安全」、判定点数が第一の閾値以上、第二の閾値未満(4000以上、5000未満)であれば「注意」、判定点数が第二の閾値以上(5000以上)であれば「危険」と判定するように構成している。
図1に示す如く、携帯情報端末3の通信機31は、通信回線50を介して管理サーバー5との間でデータのやり取りを行う双方向通信機能を有している。また、携帯情報端末3の端末表示部33には、判定点数算出部302で算出した判定点数と、判定部303で判定した判定結果と、が表示される。なお、端末表示部33に、判定点数と判定結果とのうち何れか一方のみを表示する構成とすることも可能である。
具体的には図7(a)及び(b)に示す如く、分析情報である判定点数が端末表示部33における判定点数表示部33aに表示され、判定点数を棒グラフで表したものが端末表示部33におけるグラフ表示部33bに表示され、判定部303における判定結果が端末表示部33における判定結果表示部33cに記号と文字とで表示される。本実施形態において、判定結果が「安全」の場合は「〇」、「注意」の場合は「△」、「危険」の場合は「×」と表示している。なお、端末表示部33における表示方法は、上記の如く数値、棒グラフ、記号、及び、文字以外にも、円グラフ、ヒトの表情や危険性を表したアイコン等の画像表示等で表示しても良い。また、端末表示部33において、警告音、警告灯、e-メール通知等を用いて、管理者や家族に通知する構成とすることも可能である。
端末表示部33に各種の情報を表示する際は、表示部33a~33cにおける表示の色彩を、ユーザーUの危険度合に応じて緑から黄色、赤へと変化させるように構成すれば、ユーザーUの危険度合いを効果的に報知することが可能となる。
携帯情報端末3から管理サーバー5には、通信機31及び通信回線50を介して、ヘルメット6の送信機4から受信した使用者情報データである生体情報及び環境情報のデータが送信される。管理サーバー5は図1に示すように、管理演算部500と、本発明に係る制御部である見守り制御部51と、を備え、各部は図示しない記憶部(メモリ等)及び演算部(CPU等)を具備する。図1に示す如く、管理サーバー5の見守り制御部51は通信回線50を介してヘルメット6と通信可能とされている。
本実施形態において管理演算部500は、携帯情報端末3における端末演算部30と同様の機能を有する。具体的には図1に示す如く、管理演算部500は使用者点数算出部501と、判定点数算出部502と、判定部503と、を備える。
使用者点数算出部501は、送信機4から受信した、ユーザーUの生体情報(本実施形態においてはユーザーUのひたい温度)と、環境情報(本実施形態においてはユーザーUの周囲のWBGT)と、に基づいて、使用者点数を計測時間(1分)毎に算出する。
具体的には端末演算部30における使用者点数算出部301と同様に、使用者点数算出部501の記憶部には、生体情報データ(ユーザーUのひたい温度)に対応して予め設定された点数(以下、「生体点数」と記載する)が記憶されている(図4(a)を参照)。また、使用者点数算出部501の記憶部には、環境情報データ(WBGT)に対応して予め設定された点数(以下、「環境点数」と記載する)が記憶されている(図4(b)を参照)。そして、使用者点数算出部501の演算部において、受信した生体情報データに対応する生体点数と、受信した環境情報データに対応する環境点数と、を足し合わせることにより、使用者点数を計測時間毎に算出するのである。
判定点数算出部502は、使用者点数算出部501で算出した使用者点数と、現在から過去に遡った経過時間毎に設定された時間係数と、から算出される値の累積により、分析情報の一例である判定点数を計測時間毎に算出する。
具体的には端末演算部30における判定点数算出部302と同様に、判定点数算出部502の記憶部には、現在から過去に遡った経過時間に対応して予め設定された係数(以下、「時間係数」と記載する)が記憶されている(図4(c)を参照)。そして、判定点数算出部502の演算部において、使用者点数算出部501で算出した使用者点数と、経過時間毎に設定された時間係数と、の積の累積により、計測時間毎に判定点数を算出するのである。
なお、本実施形態においては、端末演算部30と管理演算部500とにおいて、判定点数を同一の手法で算出しているが、判定点数を算出するための途中のプロセスは全く同じでなくても良い。即ち、途中の計算順序が入れ替わるなど、異なる手法により分析情報である判定点数を算出する構成とすることも可能である。
判定部503は、端末演算部30における判定点数算出部303と同様に、判定点数算出部502で算出した判定点数が予め設定した閾値を超えている否かを判定する。具体的には、判定点数が閾値未満であれば「安全」、判定点数が閾値以上であれば「危険」と判定するのである。本実施形態においては、第一の閾値と第二の閾値とをそれぞれ4000及び5000に設定し、判定点数が第一の閾値未満(4000未満)であれば「安全」、判定点数が第一の閾値以上、第二の閾値未満(4000以上、5000未満)であれば「注意」、判定点数が第二の閾値以上(5000以上)であれば「危険」と判定するように構成している。各ユーザーUが有する携帯情報端末3から受信した使用者情報データである生体情報及び環境情報のデータ、及び、使用者情報データに基づいて算出した分析情報である判定点数並びに判定結果は、見守り制御部51における記憶部に記録される。
見守り制御部51における記憶部には、それぞれのユーザーUを分類した使用者データとして、ユーザーマップUMが予め記録されている。ユーザーマップUMにおいては図8に示す如く、端末NO.欄Mに各ユーザーUが携帯する携帯情報端末3の番号Mnが記録されている。また、ユーザーマップUMにおける氏名欄Nには各ユーザーUの氏名Unが記録されている。図8においては便宜的に、ユーザーUの氏名Unを「ユーザーU(番号)」というように記載している。
本実施形態において、ユーザーマップUMには、第一カテゴリー、第二カテゴリー、及び、第三カテゴリーの三種類のカテゴリーが記録されている。具体的には図8に示す如く、第一カテゴリーである「事業部名」については、事業部名欄C1において、複数の第一属性である、「事業本部」、「製造事業部」・・・等の事業部名P1が記録されている。同様に、第二カテゴリーである「部名」については、部名欄C2において、事業部ごとに設けられた複数の第二属性である、「法務部」、「第一製造部」・・・等の部名P2が記録されている。同様に、第三カテゴリーである「課名」については、課名欄C3において、部ごとに設けられた複数の第三属性である、「知財課」、「製造三課」・・・等の課名P3が記録されている。
例えば、図8に示すユーザーマップUMにおいて、「端末番号1」の携帯情報端末3を携帯するユーザーUの氏名は「ユーザーU161」であり、ユーザーU161は第一カテゴリーである事業部について「事業本部」、第二カテゴリーである部について「法務部」、第三カテゴリーである課について「知財課」にそれぞれ所属しているということを記録している。即ち、ユーザーマップUMにおいて、全てのユーザーUは、上記の各カテゴリーで複数の属性のうち何れか一つに分類されているのである。なお、本実施形態においてはユーザーマップUMにおいて「事業部名」、「部名」、及び、「課名」の三種類のカテゴリーが記録される場合について説明するが、カテゴリーの数は一種類、二種類、又は四種類以上としても差し支えない。また、各カテゴリーにおいて分類される属性の数も限定されるものではない。また、カテゴリーとしてユーザーUの所属企業、又は、役職、性別、年齢、体重等、所属以外のものを採用することも可能である。カテゴリーとしてユーザーUの所属企業を用いた場合、分析情報を当該企業の信用調査に活用することも可能である。また、ユーザーUが複数の属性のうち二つ以上に分類される構成とすることも可能である。即ち、ユーザーUはユーザーUは複数の属性のうち少なくとも何れか一つに分類されていれば差し支えない。
また、見守り制御部51における記憶部には、各カテゴリーにおける属性がカテゴリーマップとして予め記録されている。具体的には図9(a)に示す如く、第一カテゴリーである「事業部名」については、事業部マップMC0として記録されている。事業部マップMC0には、四個の属性として事業部No.1~4として「事業本部(Pn1)」、「製造事業部(Pn2)」、「管理事業部(Pn3)」、及び、「営業事業部(Pn4)」がそれぞれ記録されている。
さらに、第二カテゴリーである「部名」についても、事業部ごとに部マップが記録されている。例えば図9(b)に示す如く、製造事業部Pn2に関する製造事業部マップMC2においては部No.21~23として「第一製造部(Pn21)」、「第二製造部(Pn22)」、及び、「第三製造部(Pn23)」がそれぞれ記録されている。他の事業部についても、同様に部マップが記録される。
さらに、第三カテゴリーである「課名」についても、部ごとに課マップが記録されている。例えば図9(c)に示す如く、第一製造部Pn21に関する第一製造部マップMC21においては課No.211~214として「製造一課(Pn211)」、「製造二課(Pn212)」、「製造三課(Pn213)」、及び、「製造四課(Pn214)」がそれぞれ記録されている。製造事業部及び他の事業部における他の部についても、同様に課マップが記録される。
見守り制御部51は、ユーザーマップUMを照合することにより、記録部に記録されている各ユーザーUの使用者データ(各カテゴリーにおいて分類されたユーザーUの属性)と、各ユーザーUが有する携帯情報端末3から受信した使用者情報データである生体情報及び環境情報のデータ、及び、使用者情報データに基づいて算出した分析情報である判定点数と、を紐づけて、各ユーザーUの管理データを生成する。
また、見守り制御部51は、管理者がクライアント端末7と管理サーバー5とを通信回線50を介して接続した際に、クライアント端末7からのアクセスに応じて、見守り制御部51から各ユーザーUの管理データを出力し、クライアント端末7の管理表示部71に表示させる機能を有している。
クライアント端末7の管理表示部71においてユーザーUの管理データを表示する方法について、図10から図13を用いて説明する。図10から図13に示す如く、管理表示部71の表示画面71aにおける上部には、カテゴリー等を選択して入力する選択表示部71sが表示される。選択表示部71sの下側には、選択表示部71sで入力された内容に応じて集計された結果が表示される。
選択表示部71sには、第一カテゴリーである事業部名を入力する事業部名入力部WC1、第二カテゴリーである部名を入力する部名入力部WC2、第三カテゴリーである課名を入力する課名入力部WC3、対称日付入力部WD、及び、時刻入力部WTが表示される。
事業部名入力部WC1、部名入力部WC2、及び、課名入力部WC3においては、表示枠の右端にプルダウンボタンPd1~Pd3が表示されており、このプルダウンボタンPd1~Pd3をクリックすることにより事業部名入力部WC1、部名入力部WC2、及び、課名入力部WC3への入力内容が選択できる。例えば事業部名入力部WC1のプルダウンボタンPd1をクリックした場合、事業部マップMC0に記録されている属性でる「事業本部」、「製造事業部」、「管理事業部」、及び、「営業事業部」が表示され、これらの何れかを選択することにより、事業部名入力部WC1への入力が可能となる。
事業部名入力部WC1に「製造事業部」が入力されている際に、部名入力部WC2のプルダウンボタンPd2をクリックした場合、製造事業部マップMC2に記録されている属性でる「第一製造部」、「第二製造部」、及び、「第三製造部」が表示される。そして、これらの何れかを選択することにより、部名入力部WC2への入力が可能となる。
同様に、事業部名入力部WC1に「製造事業部」が入力され、部名入力部WC2に「第一製造部」が入力されている際に、課名入力部WC3のプルダウンボタンPd3をクリックした場合、第一製造部マップMC21に記録されている属性でる「製造一課」、「製造二課」、「製造三課」、及び、「製造四課」が表示される。そして、これらの何れかを選択することにより、課名入力部WC3への入力が可能となる。
対称日付入力部WDにおいては、表示枠の右側にカレンダー表示ボタンCが表示されており、このカレンダー表示ボタンCをクリックした場合、表示画面71aにカレンダーが表示される。そして、このカレンダー上で特定の日付を選択することにより、対称日付入力部WDに結果を表示したい日付(使用者情報データが検出された日付)を入力できる。
時刻入力部WTにおいては、表示枠の右端にプルダウンボタンPTが表示されており、このプルダウンボタンPTをクリックした場合、予め設定された複数の時刻が表示される。例えば、「9:00」、「9:30」、「10:00」・・・のように、30分刻みの時刻を表示することができる。そして、これらの時刻の何れかを選択することにより、時刻入力部WTに結果を表示したい時刻(使用者情報データが検出された時刻)を入力できる。
上記の如く選択表示部71sにおいて所定の入力部に入力した状態で、選択表示部71sの右下に表示されている検索ボタンSをクリックした場合、当該入力条件に応じて、選択表示部71sの下側に結果が表示される。図10から図13においては、対称日付入力部WDに「2018/06/25」が入力され、時刻入力部WTに「15:30」が入力されているため、2018年6月25日の15:30に検出された使用者情報データに基づく集計結果が表示される。なお、対称日付入力部WD又は時刻入力部WTの何れかが空欄の場合は、「日付/時刻を入力して下さい」というエラー表示が表示される。
図10に示す如く、日付と時刻のみを入力して、事業部名入力部WC1、部名入力部WC2、及び、課名入力部WC3に何も入力せずに検索ボタンSをクリックした場合、見守り制御部51は第一カテゴリーである「事業部名」が選択されたと判断し、選択表示部71sの下側に第一結果表示部71rを表示する。
第一結果表示部71rは、第一所属表示部NP1、危険者数表示部ND、稼働人員数表示部NR、所属人員数表示部NMで構成される。第一所属表示部NP1は、第一カテゴリーである「事業部名」の属性である「事業本部」、「製造事業部」、「管理事業部」、及び、「営業事業部」が一覧で表示される。なお、第一所属表示部NP1における属性の表示方法は横に並べる形態でも差し支えない(他の結果表示部においても同様)。
図10に示す如く、第一結果表示部71rにおける所属人員数表示部NMには、各ユーザーUの管理データから、それぞれの事業部における所属人数(使用者データの事業部名欄C1に当該事業部名が記載されている人数)を集計した数が表示される。稼働人員数表示部NRには、それぞれの事業部における稼働人員数(当該事業部の所属人員のうち、携帯情報端末3がログインされて稼働することにより携帯情報端末3との通信がなされている人数)を集計した数が表示される。危険者数表示部NDには、それぞれの事業部における危険者数(当該事業部の所属人員のうち、判定部503において「危険」と判定された人数)を集計した数が表示される。
なお、本実施形態においては危険者数を集計して表示しているが、表示する結果は熱中症危険度の高いユーザーUの人数以外に、高い外気温に晒されている人数、持病を抱える人数等、他の数を集計して表示することもできる。また、ユーザーUの位置情報データを使用者情報として収集することで、危険な作業現場で作業するユーザーUの人数等を集計して表示することも可能である。また、人数の他、稼動中の工具や設備数、ノルマ達成数、アンケート集計結果等を集計して表示する構成とすることもできる。加えて、携帯情報端末3で収集したアンケート結果から、作業開始前のユーザーUの体調、前日の行動履歴等から状態のポイント付けを行い、当該ポイントを集計画面に反映させる(ポイントの多寡を表示するなど)ことも可能である。
図11に示す如く、日付、時刻に加えて、事業部名入力部WC1で「製造事業部」を入力し、部名入力部WC2、及び、課名入力部WC3に何も入力せずに検索ボタンSをクリックした場合、見守り制御部51は第二カテゴリーである「部名」が選択されたと判断し、選択表示部71sの下側の表示を第二結果表示部72rに切り替える。
第二結果表示部72rは、第二所属表示部NP2、危険者数表示部ND、稼働人員数表示部NR、所属人員数表示部NMで構成される。第二所属表示部NP2は、製造事業部における第二カテゴリーである「部名」の属性である「第一製造部」、「第二製造部」、及び、「第三製造部」が一覧で表示される。
図11に示す如く、第二結果表示部72rにおける所属人員数表示部NMには、各ユーザーUの管理データから、それぞれの部における所属人数(使用者データの部名欄C2に当該部名が記載されている人数)を集計した数が表示される。稼働人員数表示部NRには、それぞれの部における稼働人員数(当該部の所属人員のうち、携帯情報端末3がログインされて稼働することにより携帯情報端末3との通信がなされている人数)を集計した数が表示される。危険者数表示部NDには、それぞれの部における危険者数(当該部の所属人員のうち、判定部503において「危険」と判定された人数)を集計した数が表示される。
図12に示す如く、日付、時刻に加えて、事業部名入力部WC1で「製造事業部」を入力し、部名入力部WC2で「第一製造部」を入力し、課名入力部WC3に何も入力せずに検索ボタンSをクリックした場合、見守り制御部51は第三カテゴリーである「課名」が選択されたと判断し、選択表示部71sの下側の表示を第三結果表示部73rに切り替える。
第三結果表示部73rは、第三所属表示部NP3、危険者数表示部ND、稼働人員数表示部NR、所属人員数表示部NMで構成される。第三所属表示部NP3は、第一製造部における第三カテゴリーである「課名」の属性である「製造一課」、「製造二課」、「製造三課」、及び、「製造四課」が一覧で表示される。
図12に示す如く、第三結果表示部73rにおける所属人員数表示部NMには、各ユーザーUの管理データから、それぞれの課における所属人数(使用者データの課名欄C3に当該課名が記載されている人数)を集計した数が表示される。稼働人員数表示部NRには、それぞれの課における稼働人員数(当該課の所属人員のうち、携帯情報端末3がログインされて稼働することにより携帯情報端末3との通信がなされている人数)を集計した数が表示される。危険者数表示部NDには、それぞれの課における危険者数(当該課の所属人員のうち、判定部503において「危険」と判定された人数)を集計した数が表示される。
図13に示す如く、日付、時刻に加えて、事業部名入力部WC1で「製造事業部」を入力し、部名入力部WC2で「第一製造部」を入力し、課名入力部WC3で「製造三課」を入力して検索ボタンSをクリックした場合、見守り制御部51は選択表示部71sの下側の表示を個別結果表示部74rに切り替える。
個別結果表示部74rは、氏名表示部UN、判定点数表示部JP、判定ゲージ表示部PG、判定結果表示部JRで構成される。氏名表示部UNには、製造三課に所属するユーザーUの氏名が一覧で表示される。
図13に示す如く、判定点数表示部JPには、各ユーザーUについて、判定点数算出部502で算出した判定点数が表示される。また、判定ゲージ表示部PGには、各ユーザーUについて、判定点数算出部502で算出した判定点数を棒グラフで表したものが表示される。また、判定結果表示部JRには、判定部503で判定した判定結果が記号(アイコン)と文字とで表示される。即ち、個別結果表示部74rにおいては、複数のユーザーUの生体情報及び環境情報に基づいて、ユーザーU別に、判定点数及び判定結果を表示するのである。本実施形態において、判定結果が「安全」の場合は「〇」、「注意」の場合は「△」、「危険」の場合は「×」と表示している。
上記の如く、見守り制御部51は図10から図12に示すように、使用者データに基づいて、選択された一のカテゴリーについて分析情報を属性ごとに集計して一括表示する表示制御を実行する。これにより、使用者情報を分析して得られた分析情報について、ユーザーUの属性について所定時間ごとに比較を行い、分析することができる。本実施形態においては、使用者情報及び分析情報を熱中症に関する情報とすることにより、ユーザーUの熱中症の可能性について、使用者の属性ごとに比較を行い、分析することができる。具体的には、各カテゴリー(事業部、部、又は課)において、どの日時に、何れの属性(個別の事業部、部、又は課)について、分析情報(本実施形態においては熱中症危険度)の数値が高くなっている人数が多いのかを比較し、分析することができる。なお、選択表示部を複数個表示することにより、複数個のカテゴリーを選択する構成とすることも可能である。
また、本実施形態においては、第一カテゴリー、第二カテゴリー、及び、第三カテゴリーとして、ユーザーUの所属先である「事業部名」、「部名」、及び、「課名」が採用されている。これにより、分析情報について、ユーザーUの属性である所属先ごとに比較を行い、分析することができる。
また、本実施形態においては、使用者情報として、ユーザーUの生体情報、及び、ユーザーUの周囲の環境情報を採用している。これにより、ユーザーUの熱中症の可能性について、ユーザーUの属性(所属先)ごとに比較を行い、分析することができる。
また、見守り制御部51は、使用者データに基づいて、選択されたカテゴリーについて属性ごとのユーザーUの人数(本実施形態においては属性ごとの所属人員)を母数として集計して、所属人員数表示部NMに一括表示する表示制御を実行する。これにより、ユーザーUの属性ごとに分析情報の傾向(所属人数に対する危険者の比率等)について比較を行い、分析することができる。
また、見守り制御部51は、母数として、携帯情報端末3の稼働数を集計して稼働人員数表示部NRに一括表示する表示制御を実行することもできる。これにより、ユーザーUの属性ごとに分析情報の実際の傾向(稼働者数に対する危険者の比率等)について比較を行い、分析することができる。このように、本実施形態においては、母数として、ユーザーUの人数、及び、携帯情報端末3の稼働数を集計して一括表示する表示制御を実行する。これにより、ユーザーUの属性ごとに分析情報のより実際的な傾向について比較を行い、分析することができる。
また、見守り制御部51は、分析情報を一括表示する表示画面71aの一部である上部に、カテゴリーを選択する選択表示部71sを表示し、下部に集計結果(第一結果表示部71r、第二結果表示部72r等)を表示する表示制御を実行する。これにより、表示画面71aにおいて分析情報を表示するカテゴリーを変更する際に、選択表示部71sの画面が切り替わらないため、異なるカテゴリーについて円滑に分析情報の比較を行うことができる。
また、見守り制御部51は、携帯情報端末3から受信した使用者情報に基づいて算出した分析情報を、対称日付入力部WD及び時刻入力部WTにおいて選択された一の日時について、属性ごとに集計して一括表示する表示制御を実行する。これにより、分析情報について、日時とカテゴリーとの相関関係を分析することができる。
また、上記の如く見守り制御部51は、クライアント端末7からのアクセスに応じて、使用者データに基づいて、分析情報を選択された一のカテゴリーについて属性ごとに集計して管理表示部71の表示画面71aに一括表示させる表示制御を実行する。これにより、管理サーバー5から離れた場所からでも、管理者が分析情報を含む管理データを確認し、使用者の属性ごとに比較を行って分析する事ができる。
また、見守り制御部51では、ユーザーUの生体情報、環境情報、判定点数算出部502で算出した判定点数、及び、判定部503で判定した判定結果等の情報からなる管理データの少なくとも一つが、ユーザーU毎に取得されるとともに、記憶部に記憶されるようになっている。このように、表示システム1においては、リアルタイムの情報と過去の情報との両方を収集・記憶することで、利用者の利用シーンに合わせた使い方が出来る。例えば、過去の熱中症データとリアルタイムのデータを比較することで、熱中症による事故の発生率を推測することや、作業効率の変遷を推測することができる。
なお、見守り制御部51は、取得した管理データをWeb画面等からなる表示部に表示させるように構成することも可能である。また、見守り制御部51は、取得した上述のユーザーUの生体情報、環境情報等の管理データの少なくとも一つを、管理表示部71等に表示させるように構成してもよい。
また、判定部303又は判定部503のうち少なくとも何れか一方が、一のユーザーUについての判定点数が閾値を超えていると判定した場合、送信機4が携帯情報端末3及び通信回線50を通じて、上記判定結果を管理者のクライアント端末7に送信する構成とすることも可能である。これにより、ユーザーUにおいて熱中症の危険性が高まった際に、管理者が即座に認識することができる。
見守り制御部51は、予め登録されたクライアント、例えばユーザーUの所属会社が所有するパソコン等からなるクライアント端末7が、通信回線50を介して管理サーバー5に接続された場合に、見守り制御部51において取得された管理データをクライアント端末7に提供する。
本実施形態においては、見守り制御部51により生成されたユーザーUの管理データ(判定点数)を、個別結果表示部74rにおける判定結果表示部JRにおいて数値化して表示している。また、同じく判定点数を、判定ゲージ表示部PGにおいてあるいは色彩グラデーション化して表示している。さらに、見守り制御部51により生成されたユーザーUの管理データ(判定結果)を、判定結果表示部JRにおいて、文字だけでなく記号により表示している。これにより、特定のユーザーUが危険である点を直感的に把握することが可能となる。さらに、個別結果表示部74rの判定結果表示部JR、判定ゲージ表示部PG、及び、判定結果表示部JRにおける表示の色彩を、緑から黄色、赤へと危険度に応じて変化させることにより、危険性の度合いが直感的に把握できるように表現することもできる。
上記の如く構成した表示システム1で行われる管理方法の一例として、熱中症危険度算出方法について図6(a)に示す第一実施例データを用いて具体的に説明する。本実施例データは、一例であるユーザーU1に係るものであり、図7(a)は当該ユーザーUが有する携帯情報端末3を図示しているものとする。
まず、生体情報取得部21において、ユーザーUが身に着けているヘルメット6で測定したユーザーUの生体情報であるひたい温度を、1分毎に取得する(生体情報取得工程、図5中のステップS01)。本実施例においては説明の便宜上、図6(a)に示す如く、過去60分以内のひたい温度が36℃で一定であったものとする。そして、以下同様に、過去60分以上120分未満において37℃、過去120分以上180分未満において37℃、過去180分以上240分未満において36℃、過去240分以上経過した時間帯において36℃で一定のデータが取得されたものとする。
生体情報取得工程と並行して、環境情報取得部22において、ユーザーUの周囲の環境情報であるWBGTを、1分毎に取得する(環境情報取得工程、図5中のステップS02)。本実施例においては説明の便宜上、図6(a)に示す如く、過去60分以内のWBGTが28℃で一定であったものとする。そして、以下同様に、過去60分以上120分未満において33℃、過去120分以上180分未満において32℃、過去180分以上240分未満において31℃、過去240分以上経過した時間帯において29℃で一定のWBGTのデータが取得されたものとする。
次に、使用者点数算出部301・501において、ひたい温度及びWBGTに基づいて、使用者点数を1分毎に算出する(使用者点数算出工程、図5中のステップS03)。具体的には図6(a)に示す如く、生体情報データであるひたい温度に対応する生体点数と、環境情報データであるWBGTに対応する環境点数と、を足し合わせることにより、使用者点数を計測時間毎に算出する。本実施例においては、過去60分以内の使用者点数は毎分10であり、以下同様に、過去60分以上120分未満において14、過去120分以上180分未満において13、過去180分以上240分未満において12、過去240分以上経過した時間帯において11となる。
次に、判定点数算出部302・502において、使用者点数と、現在から過去に遡った経過時間毎に設定された時間係数と、から算出される値の累積により、判定点数を1分毎に算出する(判定点数算出工程、図5中のステップS04)。具体的には、使用者点数算出部301で算出した使用者点数と、経過時間毎に設定された時間係数と、の積を累積する。本実施形態において、経過時間が60分未満の時間係数が2.0に設定され、以下同様に120分未満において1.5、180分未満において1.0、240分未満において0.5、240分以上において0となるように設定されている。このため、各時間帯における毎分の使用者点数と時間係数との積は図6(a)に示す如く、過去60分以内において20、過去60分以上120分未満において21、過去120分以上180分未満において13、過去180分以上240分未満において6、過去240分以上経過した時間帯において0となる。そして、それぞれの時間帯における60分間の累積値は、順に1200、1260、780、360、0となるため、これらを合計した判定点数は3600となる。
次に、判定部303・503において、判定点数算出部302・502で算出した判定点数が予め設定した閾値を超えている否かを判定する(熱中症危険度判定工程、図5中のステップS05)。具体的には、判定点数が第一の閾値未満(4000未満)であれば「安全」、判定点数が第一の閾値以上、第二の閾値未満(4000以上、5000未満)であれば「注意」、判定点数が第二の閾値以上(5000以上)であれば「危険」と判定する。本実施例においては、判定点数が3600であるため、判定部303・503において「安全」と判定される。
次に、携帯情報端末3の端末表示部33、及び、クライアント端末7の管理表示部71において、判定点数及び判定結果を表示する(判定結果表示工程、図5中のステップS06)。具体的には図7(a)中のユーザーU1の欄に示す如く、判定点数表示部33aに判定点数「3600」を表示し、グラフ表示部33bに判定点数を棒グラフで表示し、判定結果表示部33cに判定結果を記号「〇」と文字「安全」とで表示するのである。
次に、図6(b)に示す第二実施例データについて説明する。本実施例データは、他の例であるユーザーUに係るものであり、図7(b)は当該ユーザーUが有する携帯情報端末3Aを図示しているものとする。なお、以下の実施例データにおける判定手順は上記第一実施例データと同様であるため、各種データの算出方法等の詳細な手順は説明を省略する。
本実施例における生体情報取得工程では、図6(b)に示す如く、過去60分以内のひたい温度が39℃で一定であったものとする。そして、以下同様に、過去60分以上120分未満において39℃、過去120分以上180分未満において38℃、過去180分以上240分未満において36℃、過去240分以上経過した時間帯において36℃で一定のデータが取得されたものとする。即ち本実施例では、過去から現在に近づくにつれてひたい温度が上昇傾向にあるものとする。
また、環境情報取得工程では、図6(b)に示す如く、過去60分以内のWBGTが38℃で一定であったものとする。そして、以下同様に、過去60分以上120分未満において37℃、過去120分以上180分未満において35℃、過去180分以上240分未満において31℃、過去240分以上経過した時間帯において29℃で一定のWBGTのデータが取得されたものとする。即ち本実施例では、過去から現在に近づくにつれてWBGTが上昇傾向にあるものとする。
次に、使用者点数算出工程では、図6(b)に示す如く、過去60分以内の使用者点数は毎分18であり、以下同様に、過去60分以上120分未満において18、過去120分以上180分未満において16、過去180分以上240分未満において12、過去240分以上経過した時間帯において11となる。
次に、判定点数算出工程では、図6(b)に示す如く、過去60分以内において36、過去60分以上120分未満において27、過去120分以上180分未満において16、過去180分以上240分未満においてで6、過去240分以上経過した時間帯において0となる。そして、それぞれの時間帯における60分間の累積値は、順に2160、1620、960、360、0となるため、これらを合計した判定点数は5100となる。
次に、熱中症危険度判定工程では、本実施例の判定点数が5100であるため、判定部303において「危険」と判定される。
次に、表示工程では、携帯情報端末3の端末表示部33、及び、クライアント端末7の管理表示部71において、図7(b)中のユーザーU3の欄に示す如く、判定点数表示部33aに判定点数「5100」を表示し、グラフ表示部33bに判定点数を棒グラフで表示し、判定結果表示部33cに判定結果を記号「×」と文字「危険」とで表示するのである。
次に、図6(c)に示す第三実施例データについて説明する。本実施例データは、第一実施例及び第二実施例と異なるユーザーUに係るものである。また、本実施例データは、前記第二実施例データの時系列を逆にしたものである。即ち、第二実施例データでは、過去から現在に近づくにつれてひたい温度及びWBGTが上昇傾向にあったのに対し、本実施例データでは、過去から現在に近づくにつれてひたい温度及びWBGTが下降傾向にあるものとする。
本実施例における生体情報取得工程では、図6(c)に示す如く、過去60分以内のひたい温度が36℃で一定であったものとする。そして、以下同様に、過去60分以上120分未満において36℃、過去120分以上180分未満において38℃、過去180分以上240分未満において39℃、過去240分以上経過した時間帯において39℃で一定のデータが取得されたものとする。即ち本実施例では、過去から現在に近づくにつれてひたい温度が下降傾向にあるものとする。
また、環境情報取得工程では、図6(c)に示す如く、過去60分以内のWBGTが29℃で一定であったものとする。そして、以下同様に、過去60分以上120分未満において31℃、過去120分以上180分未満において35℃、過去180分以上240分未満において37℃、過去240分以上経過した時間帯において38℃で一定のWBGTのデータが取得されたものとする。即ち本実施例では、過去から現在に近づくにつれてWBGTが下降傾向にあるものとする。
次に、使用者点数算出工程では、図6(c)に示す如く、過去60分以内の使用者点数は毎分11であり、以下同様に、過去60分以上120分未満において12、過去120分以上180分未満において16、過去180分以上240分未満において18、過去240分以上経過した時間帯において18となる。
次に、判定点数算出工程では、図6(c)に示す如く、過去60分以内において22、過去60分以上120分未満において18、過去120分以上180分未満において16、過去180分以上240分未満において9、過去240分以上経過した時間帯において0となる。そして、それぞれの時間帯における60分間の累積値は、順に1320、1080、960、540、0となるため、これらを合計した判定点数は3900となる。
次に、熱中症危険度判定工程では、本実施例の判定点数が3900であるため、判定部303において「安全」と判定される。このように、本実施例においては、第二実施例と使用者点数の合計値は同じ数値であるが、時系列が逆であるために時間係数が異なり、これにより異なる判定結果が判定される。
次に、表示工程では、携帯情報端末3の端末表示部33、及び、クライアント端末7の管理表示部71において、判定点数表示部33aに判定点数「3900」を表示し、グラフ表示部33bに判定点数を棒グラフで表示し、判定結果表示部33cに判定結果を記号「〇」と文字「安全」とで表示するのである。
このように、本実施形態に係る表示システム1は、携帯情報端末3と管理サーバー5とのそれぞれにおいて、ユーザーUが身に着けているウェアラブル機器であるヘルメット6で測定したユーザーUの使用者情報である生体情報及び環境情報に基づいて、使用者点数を計測時間毎に算出する、使用者点数算出部301・501と、使用者点数と、現在から過去に遡った経過時間毎に設定された時間係数と、から算出される値の累積により、分析情報である判定点数を計測時間毎に算出する、判定点数算出部302・502と、を備えている。
上記の如く、表示システム1においては、管理サーバー5から携帯情報端末3に対して情報データを送信しないため、双方向の通信システムと比較してデータ通信量を抑制することができる。また、表示システム1によれば、携帯情報端末3で判定点数を算出して端末表示部33に表示するため、管理サーバーで算出した判定点数を受信して端末表示部に表示する構成と比較して、使用者情報の取得から端末表示部33での判定点数の表示までに要する時間を短くしてタイムラグを小さくすることができる。
また、表示システム1によれば、携帯情報端末3で判定点数を算出して端末表示部33に表示するため、管理サーバー5や通信回線50に不具合が生じた場合でも、端末表示部33において判定点数を表示することができる。また、表示システム1によれば、管理サーバー5において、記憶部に使用者情報である生体情報及び環境情報、及び、分析情報である判定点数を記録することによりこれらに関するデータを蓄積することができる。
また、表示システム1において、携帯情報端末3が管理サーバー5に送信する使用者情報はユーザーUの生体情報及び環境情報であり、端末演算部30で算出した分析情報である判定点数等は含まれない。このように、携帯情報端末3から管理サーバー5に対して、使用者情報よりもデータ量が大きくなる分析情報を送信しないため、通信回線50を介して携帯情報端末3と管理サーバー5との間で通信を行うデータ量を抑制することができる。
また、表示システム1において、使用者点数算出部301・501では、生体情報及び環境情報の値が、予め設定した設定値から遠いほど、使用者点数を高く算出するように設定されている。これにより、生体情報や環境情報が高くなるほど使用者点数が高く算出され、適切に熱中症の危険度を算出することができる。
また、表示システム1において、判定点数算出部302・502で用いられる時間係数は、経過時間が過去に遡るほど小さくなるように設定されている。これにより、表示システム1においては適切に熱中症の危険度を算出することが可能となる。即ち、所定の算出時間内における直近の過去の情報についての時間係数を大きくすることにより、同じく所定の算出時間内においてある程度の時間が経過した情報よりも重要度を大きく判断している。
即ち、本実施形態においては直近の使用者点数の大きさが重要視されるため、第二実施例と第三実施例の如く使用者点数の合計値が同じ場合でも、第二実施例の如く使用者点数が上昇傾向にある場合は危険と判断され、第三実施例の如く使用者点数が下降傾向にある場合は安全と判断されるのである。即ち、使用者点数が上昇中の場合のように、使用者点数が一定の場合と比べて熱中症のリスクが高くなるケースにおいて、危険性を過少に評価してしまう可能性を低減させることができる。逆に、使用者点数が下降中の場合のように、使用者点数が一定の場合と比べて熱中症のリスクが低くなるケースにおいて、危険性を過大に評価してしまう可能性を低減させることができる。
このように、本実施形態に係る表示システム1によれば、高温に曝された累積時間や、経過時間によるリスク減少等を考慮して、熱中症の危険度を総合的に判定できる。即ち、表示システム1は、リアルタイムの測定値や、単純に算出時間内の情報を累積した値のみで判断する構成と比較して、より適切に熱中症の危険度を算出することが可能となるのである。
また、本実施形態に係る表示システム1において、使用者点数算出部301・501は、生体情報データ及び環境情報データが、予め設定した設定値に近い場合は、使用者点数がマイナスになるように設定されている。具体的には図4(a)に示す如く、使用者点数算出部301の記憶部には、生体情報データ(ひたい温度)が32℃未満で生体点数が-6、32℃以上33℃未満で生体点数が-3となるように設定されている。また、図4(b)に示す如く、使用者点数算出部301の記憶部には、環境情報データ(WBGT)が17℃未満で環境点数が-6、17℃以上19℃未満で環境点数が-4、19℃以上21℃未満で環境点数が-2となるように設定されている。このように、生体情報データ及び環境情報データが設定値に近い場合には、ユーザーUが身体の冷却や休憩を行ったと判断して、使用者点数を下げるように構成しているのである。なお、時間係数は、表示システム1を用いてユーザーUを管理する管理者(例えば、ユーザーUを雇用する企業の責任者等)の側で、任意に設定することも可能である。
また、本実施形態に係る表示システム1において、判定点数算出部302・502において用いられる時間係数は、経過時間が所定時間である240分を超えると0になるように設定されている。これにより、所定時間が経過した過去の情報の影響を考慮しないことにより、より適切に熱中症の危険度を算出することが可能となる。本実施形態においては、工事現場等において4時間単位で作業が行われることから、所定時間を240分に設定しているが、この所定時間を別の数値に設定することも可能である。
なお、表示システム1において、環境情報取得部22をヘルメット6ではなく、ユーザーUが使用する携帯情報端末3や作業現場に設けることも可能である。また、管理サーバー5がWeb上の情報を環境情報として取得する構成とすることも可能である。また、携帯情報端末3をヘルメット6と一体に構成することにより、使用者点数算出部301、判定点数算出部302、及び、判定部303を備える端末演算部30を、収容部材40に設ける構成とすることも可能である。
また、本発明に係る表示システム1は、工場や工事現場あるいは山林等で作業するユーザーUに限られず、その他熱中症が発症する可能性があるユーザーUを管理するシステムとしても使用可能である。例えば、ユーザーが身に着ける帽子、ヘッドバンド、カチューシャもしくはイアリング等のアクセサリー、アームバンド、腰ベルト、ベルト用固定金具、ネックストラップ、又は時計等からなる各種のウェアラブル機器に、取得部2、送信機4、バッテリー41及び端末演算部30を取り付けるように構成してもよい。
さらに、前記ウェアラブル機器以外、例えばユーザーUが操作するフォークリフト等の作業車、又は自家用車のハンドル等であって、ユーザーUの体の少なくとも一部が常時触れている可能性が高い作業機器又は作業机等に、取得部2、送信機4、バッテリー41及び端末演算部30を設ける構造とすることもできる。
上述の実施形態では、複数のユーザーUが有する携帯情報端末3から送信されたデータに基づいて各ユーザーUの管理データを見守り制御部51において取得し、各ユーザーUの管理データを管理表示部71に一覧リストで表示させる制御(図8を参照)を見守り制御部51より実行するように構成した。このため、多数のユーザーUが作業現場で作業している場合等に、各ユーザーUが所属する会社の作業管理者等が管理表示部71の管理データを閲覧することにより、各ユーザーUの状態をそれぞれ適正に管理し、特定のユーザーUに異常が生じた場合に、迅速かつ適切な対応を取ることができる。
また、見守り制御部51により取得された現在の管理データと、メモリに記憶された過去の管理データと、の両方を管理表示部71等に表示し、両者を経時的に比較することにより同一のユーザーUの危険度を判別し得るように構成してもよい。換言すれば、複数の使用日におけるユーザーUの生体情報及び環境情報に基づいて、複数の使用日別に、判定点数を計測時間毎に表示することも可能である。これにより、同一のユーザーUについて、現在と過去との情報を対比することにより、より適切に熱中症の危険度を判定することが可能となる。
さらに、ユーザーUの家族又は知人等からなる関係者が、通信回線50を介して管理サーバー5に接続し、ユーザーID及びパスワードを入力した場合に、見守り制御部51がユーザーUの管理データの全部又は一部を前記関係者に提供するようにしてもよい。この場合、ユーザーID及びパスワードに応じて該当するユーザーUを判別し、該ユーザーUの管理データだけを前記関係者に提供し、他のユーザーUの管理データが提供されないように制限することが好ましい。
また、見守り制御部51において取得した管理データの少なくとも一つを管理表示部71等に表示させる制御を実行するように構成した場合には、ユーザーUが現在どのような状態にあるかを詳細に判別することが可能である。
なお、ユーザーUの管理データとして、例えばユーザーUの氏名、顔写真、性別、年齢、体重、身長、通常の血圧、血液型、所属会社、所属部署、社員番号、現在の業務内容、スケジュール、作業場所、緊急連絡先、緊急時に搬送される病院名、病歴、通院歴、ドナー登録の有無、労災履歴、家族情報等を管理表示部71に表示させることも可能である。
また、携帯情報端末3のアプリケーションにログイン画面を設け、該携帯情報端末3を所持するユーザーUが通信回線50を介して管理サーバー5にアクセスし得るようにしてもよい。また、ヘルメット6等に設けられた送信機4が有する個別の固体識別番号を、携帯情報端末3の記憶装置に入力して記憶させるようにすれば、特定の携帯情報端末3によるアクセスのみを許容するように制限することで混線を防止することができる。しかも、前記携帯情報端末3を使用して再接続する際に、ユーザーID等を再度入力する操作を不要として、管理サーバー5に対する接続操作を簡略化できるという利点がある。
また、携帯情報端末3が有するSDカード等からなる記憶媒体に、前記取得部2及び端末演算部30等から送信された送信データを蓄積するようにしてもよい。この構成によれば、通信回線50を使用した携帯情報端末3と管理サーバー5との接続が、通信不良等によって遮断されたとしても、記憶媒体の蓄積データを利用することにより、管理サーバー5の記憶装置におけるデータの欠落を防止できる等の利点がある。
また、管理サーバー5から提供される画像情報にログイン画面を設け、特定の管理者のみにユーザーIDとパスワードを与えることにより、閲覧権限を有する者を制限するようにすれば、複数の利用者間におけるデータの干渉を防止できるとともに、本発明に係る表示システム1のセキュリティを効果的に向上させることができる。
さらに、管理サーバー5の記憶装置に蓄積される各ユーザーUの管理データ(所謂ビッグデータ)に基づいて、AI等を用いてユーザーUの熱中症の危険状態を推測し、あるいはユーザーUの将来における危険状態を予測するように構成することも可能である。