JP7390429B2 - コネクタ位置保証要素を備える電気コネクタ - Google Patents

Description

本発明は、圧縮部材の動作と共に相手側電気コネクタに対する誤接続を自動的に防止することを可能とするコネクタ位置保証要素（ＣＰＡ）を備える、自動車の安全拘束装置用の電気コネクタ、特にスクイブコネクタに関する。

特に自動車産業向けの電気接続部の分野において、圧縮部材を備えるコネクタを用いることが知られている。ここで、圧縮部材は通常、コネクタに配置された螺旋タイプの１つの従来型のばねであり、電気コネクタを相手側電気コネクタに結合させる試行中に、電気コネクタおよび／または相手側電気コネクタに印加される力がそれらを正しく結合させるのに十分でない限り、相手側電気コネクタを押し戻すことを可能とする。そのようなシステムにおいて、圧縮部材は、出荷時位置の電気コネクタ、すなわち相手側コネクタへの接続を初めて試行する前の電気コネクタでは弛緩しており、相手側電気コネクタとの結合の試行中に軸方向において圧縮されることが知られている。このとき圧縮部材の圧縮は、それらの嵌合電気コネクタの結合方向の反対方向である。
よって、２つの嵌合電気コネクタを結合させるために及ぼされる力が、結合を完了する、すなわち２つの嵌合電気コネクタを互いにロックすることを可能とするのに十分でない限り、圧縮部材の圧縮によって生じる張力により、相手側電気コネクタを結合方向と反対の方向に押し戻すことが可能となり、それにより誤接続の可能性が回避される。

したがって、従来技術において知られているコネクタでは、圧縮部材の圧縮が、嵌合電気コネクタどうしが互いに完全にロックされない場合に嵌合電気コネクタの良好な取り外しが可能なように十分に大きい必要がある。所望の機能性を得るために、圧縮部材には少なくとも１つのばねを用いることが知られている。

また、電気コネクタの相手側コネクタへの適切な結合を監視して確実にすることを可能とするコネクタ位置保証（ＣＰＡ）要素を用いることも、従来技術から知られている。自動車産業においては、一方では２つの嵌合電気コネクタが正しく結合されロックされることを確実にし、他方では追加のロック機構によって嵌合電気コネクタのロックを強化するために、ＣＰＡ要素を用いることが特に知られている。その目的の１つは、例えば自動車の接続要素が通常受ける多くの衝撃および強い振動に起因する、嵌合電気コネクタの不所望な接続解除を回避することにある。

自動車のシートベルトまたはエアバッグにおいて一般的に用いられる安全拘束装置は、車両のセンサが受け取った衝撃または振動の情報に基づいてベルトのロックまたはエアバッグの膨張を作動させることが可能な点火デバイスを備えることが知られている。また、センサの制御ユニットを対応する点火デバイスまたはスクイブに接続する電気ケーブルは、一般的に相手側電気コネクタの受け口またはスクイブキャリアに接続される電気コネクタにおいて終端することが知られている。

さらに、自動車のエアバッグのスクイブシステムには、規格化されたスクイブコネクタを用いることが知られている。それらに関する規格は、高度なコンパクト性を要求し、したがって車両の他のシステムまたは電気要素に用いられるコネクタと比較して小さい寸法を要求する。この規格は特に、従来技術の既知のばねロック式コネクタに使用されているようなロックばねの移動に必要なスペースとは相容れない寸法を要する。

文献ＷＯ２０１５／０８８６３６Ａ１は特に、コネクタのハウジングにおいてカバーとコネクタ位置保証（ＣＰＡ）要素との間に配置された１つの螺旋圧縮ばねを備える自動拒絶自動車用ハーネスコネクタを開示している。しかしながら、ＷＯ２０１５／０８８６３６Ａ１から知られている螺旋圧縮ばねの配置では、圧縮力をハウジングに対して一様に分散させることができない。加えて、螺旋圧縮ばねと導電端子との間の意図しない接触が良好に防止されない。ＷＯ２０１５／０８８６３６Ａ１に係る設計はまた、装着動作により生じる機械的応力を抑制するのに十分な巻回量を螺旋圧縮ばねが備えることを必要とする。その結果、ＷＯ２０１５／０８８６３６Ａ１から知られている螺旋圧縮ばねには、最小の長さを設ける必要があり、そのためハウジングのサイズをさらに低減することができない。

したがって、本発明の１つの目的は、スクイブ電気コネクタを、先行技術から知られているコネクタよりも耐久性が高くかつ信頼性が高くなるようにするために改善することである。

装着方向において相手側電気コネクタと接続するための電気コネクタ、特に自動車の安全拘束装置用のスクイブコネクタであって、ハウジングであって、ハウジングは、装着方向に沿って相手側電気コネクタに挿入可能な差し込み部を備え、差し込み部は、導電端子の少なくとも１つの電気コンタクトを受け入れる少なくとも１つの受け口を有する、ハウジングと、圧縮部材であって、この圧縮部材が装着方向に沿って圧縮され得るように、ハウジング内に配置されている、圧縮部材と、装着方向に沿ってロック解除位置からロック位置まで摺動可能なコネクタ位置保証要素（ＣＰＡ）であって、ＣＰＡの前記ロック位置は、電気コネクタが相手側コネクタに接続されているときに、電気コネクタが相手側コネクタに対してロックされることを可能とする、コネクタ位置保証要素（ＣＰＡ）とを備える電気コネクタにより、本発明の目的が実現される。
本発明によれば、圧縮部材の中心軸が、装着方向においてハウジングの差し込み部の中心軸と実質的に位置合わせされる。

圧縮部材の中心軸を装着方向においてハウジングの差し込み部の中心軸と位置合わせすることにより、装着動作中にハウジングに印加される力の分散を改善することが可能となる。

実際、装着方向に沿って生じる圧縮部材の圧縮中、本発明に係る電気コネクタ内における圧縮部材の特定の配置により、印加される力がハウジングの差し込み部に対して均一に分散する。これにより、圧縮ばねの中心軸がハウジングの差し込み部の中心軸と位置合わせされない従来技術の電気コネクタとは対照的に、一様な歪みがハウジングの差し込み部に印加される。

それにより、本発明に係る電気コネクタが、特に装着動作中においてより安定するようになる。したがって、先行技術から知られているコネクタよりも耐久性が高くかつ信頼性の高い電気コネクタが提供される。

様々な有利な実施形態に従って、電気コネクタをさらに改善することができる。

一実施形態によれば、圧縮部材は、その中心軸に沿って反力を及ぼすように構成されてよい。

したがって、圧縮部材を装着方向に平行な方向に沿って変形させることができる。

一実施形態によれば、ＣＰＡは、前記少なくとも１つのラッチアームが延びる頭部を備えてよく、少なくとも１つのラッチアームは、ロック位置においてＣＰＡとハウジングとの間の相対移動を防止するように構成され、圧縮部材は、部分的にＣＰＡの頭部に配置される。

圧縮部材が部分的にＣＰＡの頭部に配置されるので、圧縮部材がＣＰＡに力を直接印加することができる。圧縮部材によりＣＰＡに印加される力の作用下において、ＣＰＡを装着方向に摺動させることができる。特に、ＣＰＡをロック解除位置からロック位置まで摺動させることができ、それによりＣＰＡの機能が電気コネクタに提供される。

一実施形態によれば、圧縮部材は、部分的にＣＰＡの頭部の凹部にまたは突起部の周囲に配置されてよい。

これにより、ＣＰＡに対する圧縮部材のより良好な保持を提供することが可能となる。圧縮部材の良好な保持は、電気コネクタが衝撃および振動を受ける場合がある自動車用途において特に必要とされる。

一実施形態によれば、ＣＰＡの頭部は、導電端子の少なくとも１つの電気コンタクトを受け入れるための少なくとも１つの受け口を完全に覆うように構成されてよい。

ＣＰＡは、電気絶縁材料、特にプラスチックから作製される。

よって、本発明に係るＣＰＡは、圧縮部材と導電端子の電気コンタクトとの間の電気絶縁バリアを提供するように配置される。したがって、ＣＰＡの設計および配置により、電気コンタクトと圧縮部材との間の接触のリスクを防止することができる。結果として、電気コンタクトと圧縮部材との間の短絡のリスクを低減することができる。

加えて、ＣＰＡが少なくとも１つの受け口を完全に覆うので、ＣＰＡは、受け口の蓋としても働き、それにより、受け口およびそこに配置された電気コンタクトへのあらゆる直接的な到達を防止する。

一実施形態によれば、ハウジングは、少なくとも１つの電気コンタクトから延びる少なくとも１つの導電端子を受け入れるための部分をさらに備えてよい。

よって、ハウジングは、電気コンタクトと共に、電気コンタクトが延びる導電端子を備えるように適合される。

一実施形態によれば、電気コネクタは、ハウジングに取り付けられ得るカバーをさらに備えてよく、前記カバーは、少なくとも圧縮部材を囲み、ＣＰＡを部分的に囲むように構成される。

したがって、圧縮部材の紛失がカバーによって防止される。

ＣＰＡは、カバーにより少なくとも部分的に囲まれる。それにより、ＣＰＡの紛失も防止することができる。しかしながら、操作部、および／または作業者に対するＣＰＡの位置の視覚インジケータを提供するように、カバーおよびハウジングにより形成される筐体からＣＰＡの一部分が突出していてもよい。

一実施形態によれば、圧縮部材は、部分的にカバーの凹部にまたは突起部の周囲に配置されてよい。

これにより、カバーに印加される力によって圧縮部材を圧縮することができる。

これにより、カバーに対する圧縮部材のより良好な保持を提供することも可能となる。圧縮部材の良好な保持は、電気コネクタが衝撃および振動を受ける場合がある自動車用途において特に必要とされる。

一実施形態によれば、圧縮部材は、円筒圧縮ばね、円錐圧縮ばね、マルチウェーブ（ｍｕｌｔｉ－ｗａｖｅｓ）圧縮ばねまたはエラストマーばねであってよい。

円筒圧縮ばねは、広く利用可能であり費用効果が高い。

円錐圧縮ばねは、圧縮を受けるとばねのコイルが互いに収まり合うので、小型かつ省スペースな圧縮部材を提供する。

マルチウェーブ圧縮ばねは、さらに小型かつ省スペースな圧縮部材を提供する。特に、同じ圧縮力について、円筒形または円錐形の圧縮ばねと比較して、そのような圧縮部材の高さを低減することができる。

エラストマーばねは、電気絶縁性の圧縮部材を提供することを可能とする。

一実施形態によれば、電気コネクタは、各圧縮部材のそれぞれの中心軸が装着方向においてハウジングの差し込み部の中心軸と実質的に位置合わせされるように配置されている少なくとも２つの圧縮部材を備えてよい。

したがって、圧縮部材が複数あることにより、より一層堅牢であり、よって高信頼な電気コネクタを提供する代替的な配置を得ることができる。

以下、有利な実施形態を用いて、また以下の添付の図面に基づいて、本発明をより詳細に説明する。

本発明の第１の実施形態に係る電気コネクタ、および相手側電気コネクタの分解組立図である。 本発明の第１の実施形態に係る電気コネクタの側断面図である。 本発明の第１の実施形態に係る電気コネクタの部分的な立体図である。 本発明の第１の実施形態に係る電気コネクタの上面図である。 本発明の第２の実施形態に係る電気コネクタの側断面図である。

添付の図面は、単に本発明が実施および使用され得る好適な例および代替的な例を示すことを目的とするものであり、本発明を例示および説明されている実施形態のみに限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、実施形態のいくつかの態様は、個別にまたは様々な組み合わせで、本発明に係る解決策を形成し得る。よって、以下で説明する実施形態は、単独またはそれらの任意の組み合わせのいずれかとみなされてよい。添付の図面に示すような本発明の様々な実施形態についての以下のより具体的な説明から、さらなる特徴および利点が明らかとなるであろう。

図１は、本発明の第１の実施形態に係る電気コネクタ１０、および相手側電気コネクタ１００の分解組立図を表す。電気コネクタ１０は、装着方向Ｄに沿って相手側電気コネクタ１００に装着されるように構成される。

電気コネクタ１０は、いくつかの要素、すなわちハウジング１２、少なくとも１つの導電端子１４、コネクタ位置保証要素１６（以下「ＣＰＡ１６」と称する）、圧縮部材１８およびカバー２０の組立品に相当する。

電気コネクタ１０のハウジング１２は、２つの主要部２２、２４、すなわち差し込み部２２および受け部２４を備える。ハウジング１２は、特に射出成形により、一体に形成される。

差し込み部２２は、装着方向Ｄに沿って相手側電気コネクタ１００に挿入可能なハウジング１２の部分である。よって、差し込み部２２は、相手側電気コネクタ１００に差し込まれるのに適した幾何学的形状を有する。図１により示される例において、差し込み部２２は、直径Ｌ１（直径Ｌ１は図２において視認可能）の実質的に円筒形である。

差し込み部２２は、中心軸Ｃ１を有する。中心軸Ｃ１は、差し込み部２２の重心（図１では視認不可能）を通過する。中心軸Ｃ１は、装着方向Ｄに平行である。図１に示すように差し込み部２２が実質的に円筒形である場合、中心軸Ｃ１はまた、差し込み部２２の長手方向中心軸および回転軸に相当する。図１においてＣ１で表されるこれらの軸は全て、差し込み部２２の重心（図１では視認不可能）を通過する。加えて、図１においてＣ１で表されるこれらの軸は全て、装着方向Ｄに平行である。

差し込み部２２は、導電端子１４の電気コンタクト２８を受け入れるように構成された２つの受け口２６を備える。受け口２６の数は、電気コンタクト２８の数に適合される。受け口２６は、電気コンタクト２８を収容するのに適した幾何学的形状を有する。特に、各受け口２６はそれぞれ、差し込み部２２にトンネル３０を形成する。各トンネル３０（すなわち各受け口２６）の長手方向中心軸Ｃ２は、差し込み部２２の中心軸Ｃ１に平行である。トンネル３０は、電気コンタクト２８と相補的な寸法（特に直径および長さ）を有する中空円筒状の開口部３０である。

差し込み部２２の外周部３２に設けられるものとして、上記差し込み部２２は、差し込み部２２を相手側電気コネクタ１００に挿入することを可能とするために、それぞれの屈曲スペース（図１の図では視認不可能だが、図３において参照符号３３によって示す）において内方に、すなわち差し込み部２２の内側に向かって屈曲し得る２つのロックランス３４（図１の図では１つのみが視認可能）を備える。

上記で述べたように、ハウジング１２は、受け部２４をさらに備える。

図１により示す例において、受け部２４は、実質的に平行六面体の幾何学的形状を有する。

図１により示す例において、受け部２４は、ＣＰＡ１６を摺動により受け入れるように構成された第１の領域３６と、導電端子１４およびフェライトビーズ４０を受け入れるように構成された第２の領域３８とを備える。

変形例（不図示）においては、導電端子１４にフェライトビーズ４０が設けられない。

導電端子１４は、電気コンタクト２８により成端される。導電端子１４は、フェライトビーズ４０を通過する。フェライトビーズ４０において、図２に示すように、導電端子１４は導電体４２に圧着される。導電体４２は、受け部２４の開口部４６を通過するケーブル４４を通して受け部２４から出る。図２に示す例において、導電端子１４は、三箇所で湾曲している。変形例（不図示）において、導電端子１４は、一箇所のみ、もしくは二箇所のみ、または四箇所以上で湾曲していてもよい。

図２に示すように、導電端子１４の第１の湾曲部（図２でのみ視認可能、参照符号１４Ａで示す導電端子１４の部分）が、導電体４２に対して直角Ａ１をなす。第１の湾曲部（すなわち直角Ａ１）は、第１の領域３６と第２の領域３８との間の境界部３７に位置する。

図２に示すように、導電端子１４の第２の湾曲部が、第１の領域３６における導電端子１４の２つの部分１４Ｂ、１４Ｃの間で直角Ａ２をなす。

図２に示すように、導電端子１４の第３の湾曲部が、第１の領域３６と差し込み部２２との間の境界部において、導電端子１４の部分１４Ｃと電気コンタクト２８との間で直角Ａ３をなす。

したがって、直角Ａ２をなす第２の湾曲部は、第１の湾曲部（Ａ１）と第３の湾曲部（Ａ３）との間に配される。

よって、導電端子１４は、３つの湾曲部分１４Ａ、１４Ｂおよび１４Ｃを備える。第１の部分１４Ａは第２の部分１４Ｂに垂直であり、第２の部分１４Ｂは第３の部分１４Ｃに垂直である。第１の部分１４Ａは、第３の部分１４Ｃに平行である。さらに後述するように、導電端子１４の湾曲設計により、より短い電気コンタクト２８を提供することが可能となる。したがって、本発明に係る電気コネクタ１０において用いられる導電端子１４を製造するための原料を節約することができる。

差し込み部２２は、第１の領域３６において受け部２４から実質的に垂直に延びる。よって、差し込み部２２の受け口２６は、受け部２４の第１の領域３６に通じるトンネル３０に相当する。したがって、図１の分解組立図によって示すように、電気コンタクト２８を、装着方向Ｄに沿って受け部２４の第１の領域３６を介して差し込み部２２の受け口３８に収容することができる。

ＣＰＡ１６もまた、装着方向Ｄに沿って受け部２４の第１の領域３６を介して差し込み部２２に収容されるように構成される。この目的で、差し込み部２２は、装着方向ＤにおいてＣＰＡ１６のいくつかの部分（詳細は後述）を受け入れるための、装着方向Ｄに平行な方向に沿って延びる長手方向開口部４８、５０（図２でのみ視認可能）を備える。

ＣＰＡ１６は、装着方向Ｄに沿ってロック解除位置からロック位置まで摺動可能である。ＣＰＡ１６のロック位置は、コネクタ１０、１００が共に適切に装着されているときに、電気コネクタ１０が相手側コネクタ１００に対してロックされることを可能とする。

本発明に係るＣＰＡ１６は、装着方向Ｄに沿って２つのラッチアーム５４が垂直に延びる実質的に平坦な頭部５２を備える。各ラッチアーム５４は、フック５６で終端する。

ラッチアーム５４およびそれらの対応するフック５６は、ロック位置においてＣＰＡ１６とハウジング１２との間の相対移動を防止するように構成される。ラッチアーム５４は、差し込み部２２の長手方向開口部４８（図２において視認可能）に受けられるように構成される。

図１に示すように、さらなるタブ５８が、ラッチアーム５４と同じ方向においてＣＰＡ１６の頭部５２から垂直に延びる。タブ５８は、差し込み部２２の長手方向開口部５０（図２において視認可能）に受けられるように構成される。タブ５８は、ロック位置においてＣＰＡ１６にさらなる機械的支持を提供し、よって安定性を提供する。

上記で述べたように、ＣＰＡ１６の頭部５２は実質的に平坦である。これにより、圧縮部材１８を押し付けて圧縮することができる平坦面６１Ａを提供し、それにより、ＣＰＡ頭部５２の平坦な幾何学的形状に起因して圧縮力の均一な分散を容易にすることが可能となる。したがって、さらにＣＰＡ１６がより堅牢かつ安定になる。

第１の実施形態において、ＣＰＡ１６の頭部５２は、ラッチアーム５４およびタブ５８が延びる面６１Ｂの反対側の表面６１Ａ（または面６１Ａ）における円形凹部６０を備える。円形凹部６０は、直径Ｌ２を有する。円形凹部６０の直径Ｌ２は、圧縮部材１８の直径Ｌ３に適合される。

不図示の変形例においては、円形凹部６０に代えて、直径Ｌ２の底面を有する実質的に円筒形または円錐形の形状を有する突起部が頭部５２に設けられる。

図１に示す第１の実施形態のように圧縮部材１８が円筒圧縮ばね６２である場合、圧縮部材１８の直径Ｌ３は、各コイルの直径Ｌ３に相当する。円筒圧縮ばねの各コイルの直径は、互いに同一であることに留意されたい。

本発明の第２の実施形態（図５に示す）のように圧縮部材１８が円錐圧縮ばねである場合、直径Ｌ３は、円錐圧縮ばねのより大きいコイルの直径に相当する。この態様については、図５を参照してさらに後述する。

ＣＰＡ１６の円形凹部６０（または突起部）は、圧縮部材１８を保持し安定させるための保持手段を提供する。実際、円形凹部６０は、円形凹部６０に位置する圧縮部材１８の部分を囲み得る円形の縁部を形成する。

ＣＰＡ１６の頭部５２は、ＣＰＡ１６を把持するための操作部および／または作業者に対するＣＰＡ１６の位置の視覚インジケータを提供する、円形凹部６０とは異なる２つの反対側の端部６４をさらに備える。図１に示すように、２つの反対側の端部６４は、ＣＰＡ１６の頭部５２の面６１Ａ、６１Ｂにより形成される。

圧縮部材１８は、中心軸Ｃ３を有する。上記に示したように、図１に示す第１の実施形態において、圧縮部材１８は円筒圧縮ばね６２である。円筒圧縮ばね６２の中心軸Ｃ３は、円筒圧縮ばね６２の長手方向中心軸に相当する。特に装着方向Ｄにおいて圧縮を受けると、圧縮部材１８に印加される圧縮力が中心軸Ｃ３に沿って働く。よって、圧縮部材１８の中心軸Ｃ３はまた、圧縮部材１８の圧縮軸に相当する。圧縮部材１８の中心軸Ｃ３は、装着方向Ｄに平行である。

電気コネクタ１０は、カバー２０をさらに備える。カバー２０は、ハウジング１２と実質的に相補的な形状を有し、スナップ嵌め接続によってハウジング１２と係合可能である。それにより、導電端子１４を囲む高剛性かつ一体構造のコネクタ１０が得られる。これにより、電気コンタクト２８、導電端子１４およびフェライトビーズ４０は、カバー２０によって電気コネクタ１０に封入される。

カバー２０は、Ｕ字形状を有し、カバー２０の側壁６８に設けられた２つの開口部６６（図１では１つのみが視認可能）を備える。側壁６８は、部分的にカバー２０の主面６９から垂直に延びる。開口部６６はそれぞれ、ＣＰＡ１６の頭部５２の端部６４のための通路７０を提供する。したがって、カバー２０がハウジング１２にスナップ嵌めされている場合でも、ＣＰＡ１６の端部６４が作業者から到達可能なままとなる。

主面６９は、実質的に平坦である。図２に示すように、主面６９の第１の面６９Ａは、外部環境に露出している。第１の面６９Ａの反対側の第２の面６９Ｂは、カバー２０の内面、すなわち電気コネクタ１０内に位置し、よって外部環境に露出しない面６９Ｂに相当する。

引き続き図２を参照すると、カバー２０の面６９Ｂには、実質的に円筒形の形状を有する突起部７４が設けられる。突起部７４の自由端７６は、面取りされた端部であってよい。

突起部７４は、圧縮部材１８の直径Ｌ３に適合された直径Ｌ４を有する。したがって、圧縮部材１８は、図２に示すように突起部７４の周囲に挿入されてよく、それに保持されてよい。特に、圧縮部材１８は、摩擦嵌めにより、すなわち締り嵌めにより突起部７４に保持されてよい。

変形例において、突起部７４は、底面が直径Ｌ４を有する実質的に円錐形の形状であってよい。

図２に示すように、壁部７８が、カバー２０の面６９Ｂから垂直に延びる。壁部７８は、境界部３７における第１の領域３６の高さＨ１（Ｈ１は図１に示す）よりもわずかに小さい高さＨ２を有する。高さＨ１およびＨ２の間の差Ｈ３（図２に示す）は、特に直角Ａ２において、導電端子１４を通過させるように適合される。

図２に示すように、またカバー２０が示されていない図３と比較して、カバー２０の壁部７８は、圧縮部材１８と導電端子１４との間、特に各導電端子１４の部分１４Ｂとの電気絶縁バリアを提供することを可能とする。それにより、圧縮部材１８と導電端子１４との間の短絡のリスクを低減することができる。

電気コネクタ１０の組み立て済み状態を表す図２に示すように、圧縮部材１８は、ＣＰＡ１６とカバー２０との間に保持される。より正確には、圧縮部材１８は、例えば摩擦嵌めおよびプレス嵌めにより、ＣＰＡ１６の円形凹部６０とカバー２０の突起部７４との間に保持される。

本発明によれば、圧縮部材１８は、圧縮部材１８の中心軸Ｃ３が差し込み部２２の中心軸Ｃ１と実質的に位置合わせされるように、ハウジング１２の受け部２４の第１の領域３６内に配置される。軸Ｃ１、Ｃ３の位置合わせは、図４の上面図によってさらに示されている。

位置合わせされた軸Ｃ１、Ｃ３は、装着方向Ｄに平行である。

軸Ｃ１、Ｃ３は、ＣＰＡ１６の頭部５２の円形凹部６０の中心を通過する。

軸Ｃ１、Ｃ３の位置合わせにより、装着方向Ｄに沿って装着動作中にハウジング１２に印加される力の分散を改善することが可能となる。

実際、装着方向Ｄに平行な中心軸Ｃ３に沿って反力を及ぼす圧縮部材１８の圧縮中、本発明に係る電気コネクタ１０内における圧縮部材１８の特定の配置により、印加される力がハウジング１２の差し込み部２２に対して均一に分散する。これにより、ハウジング１２の差し込み部２２に一様な歪みが印加される。それにより、本発明に係る電気コネクタ１０が、特に装着動作中においてより安定するようになる。

さらに、本発明に係るＣＰＡ１６の設計および配置は、導電端子１４と圧縮部材１８との間の接触（よって短絡も）防止する一助となる。これは、ＣＰＡ１６の実質的に平坦な頭部５２が、差し込み部２２を覆い、それにより電気コンタクト２８が挿入される受け口２６を完全に覆うような寸法となっているためである。特に、ＣＰＡ１６の実質的に平坦な頭部５２は、差し込み部２２の直径Ｌ１と実質的に同等な幅Ｈ４を有する。図２および図３に示すように、ＣＰＡ１６の頭部５２は、圧縮部材１８と電気コンタクト２８との間、加えて各導電端子１４の部分１４Ｃとの電気絶縁バリアを提供する。実際、図２に示すように、導電端子１４の部分１４Ｃは、ハウジング１２、カバー２０の壁部７８、およびＣＰＡ１６の頭部５２の存在によって圧縮部材１８から物理的に分離している。
部分１４Ｂは、実際にカバー２０の壁部７８によって覆われ、一方で部分１４ＣはＣＰＡ１６の頭部５２によって覆われる。カバー２０およびＣＰＡ１６は、プラスチックから作製され、したがって電気絶縁性である。

さらに、本発明に係るＣＰＡ１６の頭部５２の寸法は、大きい、すなわち実質的に差し込み部２２の直径Ｌ１ほどの大きさの面６１ＡをＣＰＡ１６に提供することを可能とするので、従来技術よりも大きい直径Ｌ３を有する圧縮部材１８を用いることができる。したがって、同等の圧縮力で、従来技術で用いられるものよりも大きく、従来技術で用いられるものよりも高さ（すなわち圧縮軸に沿った長さ）が小さい圧縮部材１８を用いることが可能となる。結果として、圧縮部材１８の高さを低減することができるので、受け部２４の高さＨ１を低減することができ、それにより、より小型のハウジング１２が有利に提供される。

加えて、直角Ａ１、Ａ２、Ａ３の複数の湾曲部分１４Ａ、１４Ｂ、１４Ｃにより、従来技術よりも短い電気コンタクト２８を有する導電端子１４を提供することが可能となる。したがって、導電端子１４およびそれらの電気コンタクト２８に用いる原料をより少なくすることが可能となる。

図５に示すように、第２の実施形態において、圧縮部材１８は円錐圧縮ばね８０であってよい。

図１～図４において既に説明および例示したものと同じ参照番号の要素については、詳細に説明せず、それらの上記の説明が参照される。

円錐圧縮ばね８０は、１つの第１の自由端８２および第２の自由端８４を有する。円錐圧縮ばね８０の第１の自由端８２におけるコイルは、直径Ｌ５を有する。円錐圧縮ばね８０の第２の自由端８４におけるコイルは、直径Ｌ６を有する。圧縮ばね８０は円錐形なので、直径Ｌ６は直径Ｌ５よりも大きい。第１の自由端８２は、突起部７４の周囲に配置され、それによりカバー２０に保持される。特に、第１の自由端８２は、摩擦嵌めによりカバー２０に保持されてよい。第２の自由端８４は、ＣＰＡ１６の頭部５２の円形凹部６０内に配置される。

よって、円錐圧縮ばね８０の後続のコイルの直径は、装着方向Ｄに大きくなる。

変形例（不図示）において、円錐圧縮ばね８０の後続のコイルの直径は、装着方向Ｄと反対の方向に大きくなっていてもよい。

円錐圧縮ばね８０は、装着方向Ｄに沿った圧縮を受けるとばねのコイルが互いに収まり合うので、小型かつ省スペースな圧縮部材１８を提供する。

不図示の別の実施形態において、圧縮部材１８は、マルチウェーブ圧縮ばねまたはエラストマーばねである。

不図示の別の実施形態において、ハウジング１２は、各圧縮部材１８のそれぞれの中心軸Ｃ３が装着方向Ｄにおいてハウジング１２の差し込み部２２の中心軸Ｃ１と実質的に位置合わせされるように配置された少なくとも２つの圧縮部材１８を備える。

実施形態を特定の例に関して説明したが、本発明は限定されず、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、開示の実施形態に対する多数の変更がなされてよい。様々な実施形態および例は、本発明に係るさらなる実施形態または例を得るように互いに自由に組み合わされ得る個々の特徴を含む。

１０ 本発明の第１の実施形態に係る電気コネクタ
１００ 相手側電気コネクタ
１２ ハウジング
１４ 導電端子
１４Ａ、１４Ｂ、１４Ｃ 導電端子１４の部分
１６ コネクタ位置保証要素１６（ＣＰＡ１６と呼称）
１８ 圧縮部材
２０ カバー
２２ 差し込み部
２４ 受け部
２６ 受け口
２８ 導電端子１４の電気コンタクト
３０ トンネル
３２ 差し込み部２２の外周部
３３ 屈曲スペース
３４ ロックランス
３６ 第１の領域
３７ 第１の領域と第２の領域との間の境界部
３８ 第２の領域
４０ フェライトビーズ
４２ 導電体
４４ ケーブル
４６ 受け部２４の 開口部
４８、５０ 差し込み部２２の長手方向開口部
５２ ＣＰＡ１６の頭部
５４ ラッチアーム
５６ フック
５８ タブ
６０ 円形凹部
６１Ａ、６１Ｂ ＣＰＡの反対面
６２ 円筒圧縮ばね
６４ 端部
６６ 開口部
６８ カバー２０の側壁
６９ 主面
６９Ａ、６９Ｂ 反対面
７０ 通路
７４ 突起部
７６ 自由端
７８ 壁部
８０ 円錐圧縮ばね
８２、８４ 円錐圧縮ばねの自由端
Ａ１、Ａ２、Ａ３ 直角
Ｃ１ 差し込み部２２の中心軸
Ｃ２ トンネル３０の中心軸
Ｃ３ 圧縮部材１８の中心軸
Ｄ 装着方向
Ｈ１、Ｈ２ 高さ
Ｈ３ 高さの差
Ｈ４ ＣＰＡ１６の幅
Ｌ１、Ｌ２、Ｌ３、Ｌ４、Ｌ５、Ｌ６ 直径
Ｘ、Ｙ、Ｚ デカルト座標

Claims (9)

1. 装着方向において相手側電気コネクタと接続するための電気コネクタであって、前記電気コネクタは、自動車の安全拘束装置用のスクイブコネクタであって、前記電気コネクタは、
   ハウジング（１２）であって、
   前記ハウジング（１２）は、前記装着方向（Ｄ）に沿って前記相手側電気コネクタに挿入可能な差し込み部（２２）を備え、
   前記差し込み部（２２）は、導電端子の少なくとも１つの電気コンタクトを受け入れる少なくとも１つの受け口（２６）を有する、
   ハウジング（１２）と、
   圧縮部材（１８）であって、
   前記圧縮部材（１８）が前記装着方向（Ｄ）に沿って圧縮され得るように、前記ハウジング（１２）内に配置されている、
   圧縮部材（１８）と、
   前記装着方向（Ｄ）に沿ってロック解除位置からロック位置まで摺動可能なコネクタ位置保証要素（ＣＰＡ）（１６）であって、
   前記コネクタ位置保証要素（ＣＰＡ）（１６）の前記ロック位置は、前記電気コネクタが前記相手側電気コネクタに接続されているときに、前記電気コネクタが前記相手側電気コネクタに対してロックされることを可能とする、
   コネクタ位置保証要素（ＣＰＡ）（１６）と
   を備えた、電気コネクタにおいて、
   前記圧縮部材（１８）の中心軸（Ｃ３）が、前記装着方向（Ｄ）において前記ハウジング（１２）の前記差し込み部（２２）の中心軸（Ｃ１）と位置合わせされており、
   前記コネクタ位置保証要素（ＣＰＡ）（１６）は、少なくとも１つのラッチアーム（５４）が延びる頭部（５２）を備え、
   前記少なくとも１つのラッチアーム（５４）は、前記ロック位置において前記コネクタ位置保証要素（ＣＰＡ）（１６）と前記ハウジング（１２）との間の相対移動を防止するように構成され、
   前記圧縮部材（１８）は、部分的に前記コネクタ位置保証要素（ＣＰＡ）（１６）の前記頭部（５２）の凹部（６０）にまたは突起部の周囲に配置されている、
   ことを特徴とする、
   電気コネクタ。
   
2. 前記圧縮部材（１８）は、その中心軸（Ｃ３）に沿って反力を及ぼすように構成されている、請求項１に記載の電気コネクタ。
   
3. 前記コネクタ位置保証要素（ＣＰＡ）（１６）の前記頭部（５２）は、導電端子の少なくとも１つの電気コンタクトを受け入れるための前記少なくとも１つの受け口（２６）を完全に覆うように構成されている、請求項１に記載の電気コネクタ。
   
4. 前記ハウジング（１２）は、前記少なくとも１つの電気コンタクトから延びる少なくとも１つの導電端子を受け入れるための部分（２４）をさらに備える、請求項１に記載の電気コネクタ。
   
5. 前記ハウジング（１２）に取り付けられ得るカバー（２０）をさらに備え、前記カバー（２０）は、
   少なくとも前記圧縮部材（１８）を囲み、
   前記コネクタ位置保証要素（ＣＰＡ）（１６）を部分的に囲む
   ように構成されている、請求項１に記載の電気コネクタ。
   
6. 前記圧縮部材（１８）は、部分的に前記カバー（２０）の凹部にまたは突起部（７４）の周囲に配置されている、請求項５に記載の電気コネクタ。
   
7. 前記圧縮部材（１８）は、円筒圧縮ばね（６２）、円錐圧縮ばね（８０）、マルチウェーブ圧縮ばねまたはエラストマーばねである、請求項１に記載の電気コネクタ。
   
8. 各圧縮部材（１８）のそれぞれの前記中心軸（Ｃ３）が前記装着方向（Ｄ）において前記ハウジング（１２）の前記差し込み部（２２）の前記中心軸（Ｃ１）と位置合わせされるように配置されている少なくとも２つの圧縮部材（１８）を備える、請求項１から７のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
   
9. 前記圧縮部材（１８）の前記中心軸（Ｃ３）と、前記ハウジング（１２）の前記差し込み部（２２）の前記中心軸（Ｃ１）は、前記コネクタ位置保証要素（ＣＰＡ）（１６）の前記頭部（５２）の前記凹部（６０）の中心を通過する、請求項１に記載の電気コネクタ。

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