JP7389410B2 - 圧電振動子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電振動子及びその製造方法に関する。
振動子は、移動通信端末、通信基地局、家電などの各種電子機器において、タイミングデバイス、センサ、発振器などの用途に用いられている。電子機器の高機能化に伴い、小型且つ薄型な圧電振動素子が求められている。
特許文献1には、アルミナ製の基体と、基体に接着固定された圧電振動素子と、圧電振動素子を覆う金属製の蓋部材と、基体と蓋部材とを接着固定する接合部材とを備え、蓋部材は、その開口部の外周にフランジ部が形成されるように薄肉金属板を絞り成形した後、フランジ部を蓋部材の外側面の近傍位置でかつ外側面と平行にカットしたものであり、開口部は基体に対してほぼ線接触状態で接着封止される、圧電振動子が開示されている。
特許文献2には、ベース部材と、ベース部材の上に搭載された圧電振動素子と、ベース部材に接合され、圧電振動素子を収容する内部空間をベース部材と共に形成する蓋部材と、を備え、蓋部材は、圧電振動素子を挟んでベース部材30と対向する天壁部と、天壁部の主面と交差する方向に延在する側壁部と、を有し、天壁部の厚みが、側壁部の厚みよりも大きい、圧電振動子が開示されている。蓋部材は、平板状の金属部材をプレス工法によって変形させて形成している。
特開平8-111627号公報 特開2018-98599号公報
特許文献1や特許文献2に記載されているようにプレス工法によって製造された蓋部材は、側壁部の厚みが天壁部の厚みよりも小さくなることがある。このような蓋部材を用いた圧電振動子は蓋部材の側壁部が変形し易い場合がある。蓋部材の変形は、蓋部材と圧電振動素子との接触による動作不良や、ベース部材の損傷による気密破壊による周波数特性の変動などの不具合を引き起こす場合があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、信頼性が高い圧電振動子及びその製造方法の提供である。
本発明の一態様に係る圧電振動子は、ベース部材と、ベース部材の搭載面に搭載された圧電振動素子と、圧電振動素子の側に開口する凹部を有する蓋部材と、ベース部材と蓋部材とを接合する接合部材とを備え、蓋部材は、ベース部材の搭載面に沿って延在する天壁部と、天壁部の外縁に接続されベース部材の搭載面と交差する高さ方向に沿って延在する側壁部と、側壁部からベース部材の搭載面に沿って外側に延在するフランジ部とを含み、高さ方向に沿ったフランジ部の厚みをT3、高さ方向に沿った蓋部材の凹部の高さをH9としたとき、T3≧H9を満たす。
本発明の他の一態様に係る圧電振動子の製造方法は、蓋部材を形成する工程と、ベース部材に圧電振動素子を搭載する工程と、ベース部材に蓋部材を接合する工程とを備え、蓋部材を形成する工程は、一対の主面を有する板状部材を準備する工程と、プレス工法によって一対の主面と交差する方向に沿って板状部材を変形させる工程とを有し、一対の主面と交差する方向において、板状部材の厚みをT3、プレス工法による変形の深さをH9としたとき、T3≧H9を満たす。
本発明によれば、信頼性が高い圧電振動子及びその製造方法が提供できる。
第1実施形態に係る水晶振動子の構成を概略的に示す分解斜視図である。 第1実施形態に係る水晶振動子の構成を概略的に示す断面図である。 第1実施形態に係る蓋部材の端部の構成を概略的に示す断面図である。 第1実施形態に係る水晶振動子の製造方法を概略的に示すフローチャートである。 金属板の端部を保持する工程を概略的に示す断面図である。 金属板の中央部をプレスする工程を概略的に示す断面図である。 自然落下試験条件を示す表である。 自然落下試験の試験結果を示す表である。 第2実施形態に係る水晶振動子の構成を概略的に示す断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。各実施形態の図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
<第1実施形態>
図1~図3を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る水晶振動子1の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る水晶振動子の構成を概略的に示す分解斜視図である。図2は、第1実施形態に係る水晶振動子の構成を概略的に示す断面図である。図3は、第1実施形態に係る蓋部材の端部の構成を概略的に示す断面図である。なお、図2は、図1に示した水晶振動子1のII-II線に沿った断面図である。
各々の図面には、各々の図面相互の関係を明確にし、各部材の位置関係を理解する助けとするために、便宜的にX軸、Y´軸及びZ´軸からなる直交座標系を付すことがある。X軸、Y´軸及びZ´軸は各図面において互いに対応している。X軸、Y´軸及びZ´軸は、それぞれ、後述の水晶片11の結晶軸(Crystallographic Axes)に対応している。X軸が水晶の電気軸(極性軸)、Y軸が水晶の機械軸、Z軸が水晶の光学軸に相当する。Y´軸及びZ´軸は、それぞれ、Y軸及びZ軸をX軸の周りにY軸からZ軸の方向に35度15分±1分30秒回転させた軸である。
以下の説明において、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y´軸に平行な方向を「Y´軸方向」、Z´軸に平行な方向を「Z´軸方向」という。また、X軸、Y´軸及びZ´軸の矢印の先端方向を「+(プラス)」、矢印とは反対の方向を「-(マイナス)」という。なお、便宜的に、+Y´軸方向を上方向、-Y´軸方向を下方向として説明するが、水晶振動子1の上下の向きは限定されるものではない。例えば、以下の説明において、水晶振動素子10における+Y´軸方向の側を上面11Aとし、-Y´軸方向の側を下面11Bとするが、水晶片11は、上面11Aが下面11Bの鉛直下側に位置するように配置されてもよい。
水晶振動子1は、水晶振動素子10と、ベース部材30と、蓋部材40と、接合部材50とを備えている。水晶振動素子10は、ベース部材30と蓋部材40との間に設けられている。ベース部材30及び蓋部材40は、水晶振動素子10を収容するための保持器を構成しており、Y´軸方向に沿って重なっている。図1及び図2に示した例では、ベース部材30は平板状をなしており、蓋部材40はベース部材30側に水晶振動素子10を収容する有底の開口部を有する。水晶振動素子10は、ベース部材30に搭載されている。なお、水晶振動素子10のうち少なくとも励振される部分が保持器に収容されれば、ベース部材30の形状は上記に限定されるものではない。例えば、ベース部材30が蓋部材40側に水晶振動素子10の一部を収容する有底の開口部を有してもよい。また、水晶振動素子10の保持方法も上記に限定されるものではない。例えば、ベース部材30及び蓋部材40が、水晶振動素子10のうち励振される部分の周辺部を挟持してもよい。なお、以下の説明において、ベース部材30と蓋部材40とが重なる方向であるY´軸方向を、「高さ方向」とする。
まず、水晶振動素子10について説明する。
水晶振動素子10は、圧電効果により水晶を振動させ、電気エネルギーと機械エネルギーとを変換する素子である。水晶振動素子10は、薄片状の水晶片11と、一対の励振電極を構成する第1励振電極14a及び第2励振電極14bと、一対の引出電極を構成する第1引出電極15a及び第2引出電極15bと、一対の接続電極を構成する第1接続電極16a及び第2接続電極16bとを備えている。
水晶片11は、互いに対向する上面11A及び下面11Bを有している。上面11Aは、ベース部材30に対向する側とは反対側、すなわち後述する蓋部材40の天壁部41に対向する側に位置している。下面11Bは、ベース部材30に対向する側に位置している。
水晶片11は、例えば、ATカット型の水晶片である。ATカット型の水晶片11は、互いに交差するX軸、Y´軸、及びZ´軸からなる直交座標系において、X軸及びZ´軸によって特定される面と平行な面(以下、「XZ´面」と呼ぶ。他の軸によって特定される面についても同様である。)が主面となり、Y´軸と平行な方向が厚さとなるように形成される。例えば、ATカット型の水晶片11は、人工水晶(Synthetic Quartz Crystal)の結晶体を切断及び研磨加工して得られる水晶基板(例えば、水晶ウェハ)をエッチング加工することで形成される。
ATカット型の水晶片11を用いた水晶振動素子10は、広い温度範囲で高い周波数安定性を有する。ATカット型の水晶振動素子10では、厚みすべり振動モード(Thickness Shear Vibration Mode)が主要振動として用いられる。なお、ATカット型の水晶片11におけるY´軸及びZ´軸の回転角度は、35度15分から-5度以上15度以下の範囲で傾いてもよい。水晶片11のカット角度は、ATカット以外の異なるカットを適用してもよい。例えばBTカット、GTカット、SCカットなどを適用してよい。また、水晶振動素子は、Z板と呼ばれるカット角の水晶片を用いた音叉型水晶振動素子であってもよい。
ATカット型の水晶片11は、X軸方向に平行な長辺が延在する長辺方向と、Z´軸方向に平行な短辺が延在する短辺方向と、Y´軸方向に平行な厚さが延在する厚さ方向を有する板状である。水晶片11の上面11Aを平面視したとき、水晶片11の平面形状は矩形状をなしており、水晶片11は、中央に位置し励振に寄与する励振部17と、励振部17に隣接する周辺部18,19とを有している。励振部17及び周辺部18,19は、それぞれ、水晶片11のZ´軸方向に沿った全幅に亘って帯状に形成されている。周辺部18は励振部17の-X軸方向側に位置し、周辺部19は励振部17の+X軸方向側に位置している。
なお、上面11Aを平面視したときの水晶片11の平面形状は矩形状に限定されるものではない。水晶片11の平面形状は、多角形状、円形状、楕円形状又はこれらの組合せであってもよい。水晶片11の平面形状は音叉形状であってもよい。言い換えると、水晶片11が、基部と、基部から並行に延出する振動腕部とを有してもよい。水晶片11には、振動漏れや応力伝搬を抑制する目的でスリットが形成されてもよい。水晶片11の励振部17及び周辺部18,19の形状も全幅に亘る帯状に限定されるものではない。例えば、励振部の平面形状は、Z´軸方向においても周辺部と隣接する島状であってもよく、周辺部の平面形状は、励振部を囲む枠状に形成されてもよい。
水晶片11は、励振部17の厚さが周辺部18,19の厚さよりも大きい、いわゆるメサ型構造である。メサ型構造の水晶片11によれば、励振部17からの振動漏れが抑制できる。水晶片11は両面メサ型構造であり、上面11A及び下面11Bの両側において、励振部17が周辺部18,19から突出している。励振部17と周辺部18との境界、及び、励振部17と周辺部19との境界は、厚みが連続的に変化するテーパ形状をなすが、厚みの変化が不連続な階段形状をなしてもよい。当該境界は、厚みの変化量が連続的に変化するコンベックス形状、又は厚みの変化量が不連続に変化するベベル形状であってもよい。なお、水晶片11は、上面11A又は下面11Bの片側において励振部17が周辺部18,19から突出する片面メサ型構造であってもよい。また、水晶片11は、励振部17の厚さが周辺部18,19の厚さよりも小さい、いわゆる逆メサ型構造であってもよい。
第1励振電極14a及び第2励振電極14bは、励振部17に設けられている。第1励振電極14aは水晶片11の上面11A側に設けられ、第2励振電極14bは水晶片11の下面11B側に設けられている。言い換えると、第1励振電極14aは水晶片11の蓋部材40側の主面に設けられ、第2励振電極14bは水晶片11のベース部材30側の主面に設けられている。第1励振電極14a及び第2励振電極14bは、水晶片11を挟んで互いに対向している。水晶片11の上面11Aを平面視したとき、第1励振電極14a及び第2励振電極14bは、それぞれ矩形状をなしており、互いの略全体が重なり合うように配置されている。第1励振電極14a及び第2励振電極14bは、それぞれ、水晶片11のZ´軸方向に沿った全幅に亘って帯状に形成されている。一対の電極を構成する第1励振電極14a及び第2励振電極14bのそれぞれは、水晶片11を挟んで互いに対向する各電極に相当する。
なお、水晶片11の上面11Aを平面視したときの第1励振電極14a及び第2励振電極14bの平面形状は矩形状に限定されるものではない。第1励振電極14a及び第2励振電極14bの平面形状は、多角形状、円形状、楕円形状又はこれらの組合せであってもよい。
第1引出電極15a及び第2引出電極15bは、周辺部18に設けられている。第1引出電極15aは水晶片11の上面11A側に設けられ、第2引出電極15bは水晶片11の下面11B側に設けられている。第1引出電極15aは、第1励振電極14aと第1接続電極16aとを電気的に接続している。第2引出電極15bは、第2励振電極14bと第2接続電極16bとを電気的に接続している。例えば、図1に示すように、第1引出電極15aの一端が励振部17において第1励振電極14aに接続され、第1引出電極15aの他端が周辺部18において第1接続電極16aに接続されている。また、第2引出電極15bの一端が励振部17において第2励振電極14bに接続され、第2引出電極15bの他端が周辺部18において第2接続電極16bに接続されている。浮遊容量の低減を目的として、第1引出電極15a及び第2引出電極15bは、水晶片11の上面11Aを平面視したときに互いに離れていることが望ましい。例えば、第1引出電極15aは、第2引出電極15bから視て+Z´軸方向に設けられている。
第1接続電極16a及び第2接続電極16bは、それぞれ、第1励振電極14a及び第2励振電極14bをベース部材30に電気的に接続するための電極であり、周辺部18において水晶片11の下面11B側に設けられている。第1接続電極16aは、水晶片11の-X軸方向側の端部と+Z´軸方向側の端部とによって形成される角部に設けられ、第2接続電極16bは、水晶片11の-X軸方向側の端部と-Z´軸方向側の端部とによって形成される角部に設けられている。
第1励振電極14a、第1引出電極15a及び第1接続電極16aからなる一方の電極群は、互いに連続的に形成されており、例えば互いに一体的に形成されている。第2励振電極14b、第2引出電極15b及び第2接続電極16bからなる他方の電極群も同様に、互いに連続的に形成されており、例えば互いに一体的に形成されている。このように、水晶振動素子10には一対の電極群が設けられている。水晶振動素子10の一対の電極群は、例えば多層構造であり、下地層と最表層とをこの順に積層して設けられている。下地層は、水晶片11に接触する層であり、水晶片11との密着性が良好な材料で設けられる。最表層は、一対の電極群の最表面に位置する層であり、化学的安定性が良好な材料で設けられる。これによれば、一対の電極群の剥離や酸化が抑制でき、信頼性の高い水晶振動素子10が提供できる。下地層は例えばクロム(Cr)を含有し、最表層は例えば金(Au)を含有する。
水晶振動素子10の一対の電極群を構成する材料はCr及びAuに限定されるものではなく、例えばチタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、インジウム(In)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銅(Cu)、錫(Sn)、鉄(Fe)などの金属材料を含有してもよい。一対の電極群は、導電性セラミック、導電性樹脂、半導体などを含有してもよい。
次に、ベース部材30について説明する。
ベース部材30は、水晶振動素子10を励振可能に保持するものである。ベース部材30は、互いに対向する上面31A及び下面31Bを有する基体31を備えている。上面31A及び下面31Bは、基体31の一対の主面に相当する。上面31Aは、水晶振動素子10及び蓋部材40に対向する側に位置し、水晶振動素子10が搭載される搭載面に相当する。下面31Bは、例えば、水晶振動子1を外部の回路基板に実装する際に、当該回路基板に対向する側に位置し、当該回路基板が接続される実装面に相当する。基体31は、例えば絶縁性セラミック(アルミナ)などの焼結材である。熱応力の発生を抑制する観点から、基体31は耐熱性材料から構成されることが好ましい。熱履歴によって水晶振動素子10にかかる応力を抑制する観点から、基体31は、水晶片11に近い熱膨張率を有する材料によって設けられてもよく、例えば水晶によって設けられてもよい。また、熱応力による基体31の損傷を抑制する観点から、基体31は、蓋部材40に近い熱膨張率を有する材料によって設けられてもよい。
ベース部材30は、一対の電極パッドを構成する第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bを備えている。第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bは、基体31の上面31Aに設けられている。第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bは、ベース部材30に水晶振動素子10を電気的に接続するための端子である。酸化による信頼性の低下を抑制する観点から、第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bのそれぞれの最表面は金を含有するのが望ましく、ほぼ金のみからなるのがさらに望ましい。例えば、第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bは、基体31との密着性を向上させる下地層と、金を含み酸化を抑制する最表面とを有する積層構造であってもよい。
ベース部材30は、第1外部電極35a、第2外部電極35b、第3外部電極35c及び第4外部電極35dを備えている。第1外部電極35a~第4外部電極35dは、基体31の下面31Bに設けられている。第1外部電極35a及び第2外部電極35bは、図示しない外部の回路基板と水晶振動子1とを電気的に接続するための端子である。第3外部電極35c及び第4外部電極35dは、例えば電気信号等が入出力されないダミー電極であるが、蓋部材40を接地させて蓋部材20の電磁シールド機能を向上させる接地電極であってもよい。なお、第3外部電極35c及び第4外部電極35dは、省略されてもよい。
第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bは、ベース部材30の-X軸方向の側の端部において、Z´軸方向に沿って並んでいる。第1外部電極35a及び第2外部電極35bは、ベース部材30の-X軸方向の側の端部において、Z´軸方向に沿って並んでいる。第3外部電極35c及び第4外部電極35dは、ベース部材30の+X軸方向の側の端部において、Z´軸方向に沿って並んでいる。第1電極パッド33aは、基体31をY´軸方向に沿って貫通する第1貫通電極34aを介して、第1外部電極35aに電気的に接続されている。第2電極パッド33bは、基体31をY´軸方向に沿って貫通する第2貫通電極34bを介して、第2外部電極35bに電気的に接続されている。
第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bは、それぞれ、基体31の上面31Aと下面31Bとを繋ぐ側面に設けられた側面電極を介して、第1外部電極35a及び第2外部電極35bに電気的に接続されてもよい。第1外部電極35a~第4外部電極35dは、基体31の側面に凹状に設けられたキャスタレーション電極でもよい。
ベース部材30は、一対の導電性保持部材を構成する第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bを備えている。第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bは、励振部17が励振可能となるように、ベース部材30及び蓋部材40から間隔を空けて水晶振動素子10を保持している。励振部17がベース部材30及び蓋部材40に接触しないように、水晶振動素子10を保持している。第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bは、水晶振動素子10とベース部材30とを電気的に接続する。具体的には、第1導電性保持部材36aが第1電極パッド33aと第1接続電極16aとを電気的に接続し、第2導電性保持部材36bが第2電極パッド33bと第2接続電極16bとを電気的に接続している。
第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bは、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂等を含む導電性接着剤の硬化物であり、第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bの主成分は、例えばシリコーン樹脂である。第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bは導電性粒子を含んでおり、当該導電性粒子としては例えば銀(Ag)を含む金属粒子が用いられる。第1導電性保持部材36aは第1電極パッド33aと第1接続電極16aとを接着し、第2導電性保持部材36bは第2電極パッド33bと第2接続電極16bとを接着している。
第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bの主成分は、硬化性樹脂であればシリコーン樹脂に限定されるものではなく、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などであってもよい。また、第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bへの導電性の付与は、銀粒子によるものに限定されるものではなく、その他の金属、導電性セラミック、導電性有機材料などによるものでもよい。第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bの主成分が導電性高分子であってもよい。
第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bの樹脂組成物には、任意の添加剤を含有してもよい。添加剤は、例えば、導電性接着剤の作業性や保存性の向上などを目的とする粘着付与剤、充填剤、増粘剤、増感剤、老化防止剤、消泡剤などである。また、硬化物の強度を増加させる目的、あるいはベース部材30と水晶振動素子10との間隔を保つ目的のフィラーが添加されてもよい。
次に、蓋部材40について説明する。
蓋部材40は、ベース部材30に接合されている。蓋部材40は、ベース部材30との間に水晶振動素子10を収容する内部空間を形成する。蓋部材40はベース部材30の側に開口する凹部49を有しており、本実施形態における内部空間は、凹部49の内側の空間に相当する。凹部49は、例えば真空状態で封止されているが、窒素や希ガスなどの不活性ガスが充填された状態で封止されてもよい。蓋部材40の材質は、望ましくは導電材料であり、さらに望ましくは気密性の高い金属材料である。蓋部材40が導電材料で構成されることによって、内部空間への電磁波の出入りを低減する電磁シールド機能が蓋部材40に付与される。熱応力の発生を抑制する観点から、蓋部材40の材質は、基体31に近い熱膨張率を有する材料であることが望ましく、例えば常温付近での熱膨張率がガラスやセラミックと広い温度範囲で一致するFe-Ni-Co系合金である。なお、蓋部材40の材質は、基体31の材質と同じであってもよく、セラミック、水晶、樹脂などを含んでもよい。但し、蓋部材40の弾性率は、望ましくは基体31の弾性率よりも小さい。これによれば、外部からの衝撃を蓋部材40が吸収する。具体的には、蓋部材40へ小さな外部応力が作用したときは蓋部材40が弾性変形し、蓋部材40へ比較的大きな外部応力が作用したときは、蓋部材40が塑性変形する。このように蓋部材40が変形することによって、外部応力に起因したベース部材30の損傷が抑制される。
蓋部材40は、平板状の天壁部41と、天壁部41の外縁に接続されており且つ高さ方向に沿って延在する側壁部42とを有している。蓋部材40の凹部49は、天壁部41と側壁部42とによって形成されている。具体的には、天壁部41は、基体31の上面31Aに沿って延在し、高さ方向において水晶振動素子10を挟んでベース部材30と対向している。また、側壁部42は、天壁部41からベース部材30に向かって延在しており、基体31の上面31Aと平行な方向において水晶振動素子10を囲んでいる。蓋部材40はさらに、側壁部42のベース部材30側の先端部に接続されており且つ基体31の上面31Aに沿って外側に延在するフランジ部43を有している。言い換えると、側壁部42の上端部に接続された天壁部41と、側壁部42の下端部に接続されたフランジ部43とが、互いに反対方向へ延在している。基体31の上面31Aを平面視したとき、フランジ部43は、水晶振動素子10を囲むように枠状に延在している。
図3に示すように、天壁部41は、ベース部材30の側に位置する天壁下面41Bと、天壁下面41Bとは反対側に位置する天壁上面41Aとを有している。フランジ部43は、ベース部材30の側に位置するフランジ下面43Bと、フランジ下面43Bとは反対側に位置するフランジ上面43Aとを有している。側壁部42は、凹部49の側において天壁下面41Bとフランジ下面43Bとをつなぐ側壁内面42Bと、側壁内面42Bとは反対側において天壁上面41Aとフランジ上面43Aとをつなぐ側壁外面42Aとを有している。蓋部材40の接合部材50に接触する接触面は、フランジ部43のフランジ下面43Bと、側壁部42のベース部材30に対向する対向面とによって構成されている。このため、フランジ部43を備えていない構成に比べて接触面が拡大し、ベース部材30と蓋部材40との接合強度が向上している。なお、フランジ部43のフランジ下面43Bと側壁部42の対向面とは、連続している。
天壁下面41Bと側壁内面42Bとを繋ぐ角部は、R形状となっている。同様に、側壁内面42Bとフランジ下面43Bとを繋ぐ角部、天壁上面41Aと側壁外面42Aとを繋ぐ角部、及び、側壁外面42Aとフランジ上面43Aとを繋ぐ角部も、R形状となっている。例えば、天壁下面41Bと側壁内面42Bとを繋ぐ角部の曲率は、天壁上面41Aと側壁外面42Aとを繋ぐ角部の曲率よりも大きい。また、側壁内面42Bとフランジ下面43Bとを繋ぐ角部の曲率は、側壁外面42Aとフランジ上面43Aとを繋ぐ角部の曲率よりも大きい。
天壁部41は、高さ方向に沿った厚みT1(以下、「天壁厚T1」とする。)を有している。天壁厚T1は、天壁下面41Bから天壁上面41Aまでの最短距離に相当する。側壁部42は、基体31の上面31Aに沿った厚みT2(以下、「側壁厚T2」とする。)を有している。側壁厚T2は、高さ方向と直交する方向に沿った厚みであり、側壁内面42Bから延長された仮想内側面から、側壁外面42Aまでの最短距離に相当する。フランジ部43は、高さ方向に沿った厚みT3(以下、「フランジ厚T3」とする。)を有している。フランジ厚T3は、フランジ下面43Bからフランジ上面43Aまでの最短距離に相当する。例えば、天壁厚T1とフランジ厚T3とはほぼ同じ大きさであり、側壁厚T2は天壁厚T1又はフランジ厚T3よりも小さい(T2<T1=T3)。
なお、天壁厚T1、側壁厚T2及びフランジ厚T3の大小関係は上記に限定されるものではない。天壁厚T1は、フランジ厚T3よりも大きくてもよく(T3<T1)、フランジ厚T3よりも小さくてもよい(T1<T3)。側壁厚T2は、天壁厚T1及びフランジ厚T3の少なくとも一方とほぼ同じ大きさであってもよく(T1=T2及び/又はT3=T2)、天壁厚T1又はフランジ厚T3の少なくとも一方よりも大きくてもよい(T1≦T2及び/又はT3≦T2)。また、天壁部41が平板状でない、すなわち天壁厚T1が位置によって異なり一定の値とはならない場合、天壁厚T1の最小値が側壁厚T2及びフランジ厚T3の少なくとも一方よりも小さくてもよく(T1min<T2及び/又はT1min<T3)、天壁厚T1の最大値が側壁厚T2及びフランジ厚T3の少なくとも一方よりも大きくてもよい(T2<T1max及び/又はT3<T1max)。同様に、側壁厚T2が位置によって異なり一定の値とはならない場合、側壁厚T2の最小値が天壁厚T1及びフランジ厚T3の少なくとも一方よりも小さくてもよく(T2min<T1及び/又はT2min<T3)、側壁厚T2の最大値が天壁厚T1及びフランジ厚T3の少なくとも一方よりも大きくてもよい(T1<T2max及び/又はT3<T2max)。同様に、フランジ厚T3が位置によって異なり一定の値とはならない場合、フランジ厚T3の最小値が天壁厚T1及び側壁厚T2の少なくとも一方よりも小さくてもよく(T3min<T1及び/又はT3min<T2)、フランジ厚T3の最大値が天壁厚T1及び側壁厚T2の少なくとも一方よりも大きくてもよい(T1<T3max及び/又はT2<T3max)。
凹部49は、高さ方向に沿った高さH9(以下、「内寸高H9」とする。)を有している。内寸高H9は、フランジ下面43Bから延長された仮想底面から、天壁下面41Bまでの最短距離に相当する。蓋部材40は、高さ方向に沿った高さH1(以下、「全高H1」とする。)を有している。全高H1は、フランジ下面43Bから延長された仮想底面から、天壁上面41Aまでの最短距離に相当する。フランジ部43は、基体31の上面31Aに沿った幅W3(以下、「フランジ幅W3」とする。)を有している。フランジ幅W3は、側壁外面42Aから延長された仮想外側面から、フランジ部43の先端までの最短距離に相当する。したがって、蓋部材40の接合部材50と接触する接合面の幅は、側壁厚T2とフランジ幅W3との和となる。
フランジ厚T3は、全高H1よりも小さい(T3<H1)。また、フランジ厚T3は、内寸高H9と同等以上の大きさであり(H9≦T3)、望ましくは内寸高H9よりも大きい(H9<T3)。言い換えると、フランジ上面43Aが天壁下面41Bと同一平面上に位置するか、若しくはフランジ上面43Aから延長した仮想延長面が天壁上面41Aと天壁下面41Bとの間に位置する。これによれば、外部からの衝撃に対する蓋部材40の機械的強度をフランジ部43が担保するため、蓋部材40の変形が抑制できる。全高H1は、内寸高H9と天壁厚T1との和である(H1=H9+T1)。蓋部材40の機械的強度を向上させる観点から、全高H1は、天壁厚T1とフランジ厚T3との和と同等以下の大きさであり(H1≦T1+T3)、望ましくは天壁厚T1とフランジ厚T3との和よりも小さい(H1<T1+T3)。
天壁部41及びフランジ部43が平板状でない場合、言い換えると天壁厚T1、フランジ厚T3、内寸高H9及び全高H1のそれぞれが位置によって異なり一定の値とはならない場合、天壁厚T1、フランジ厚T3、内寸高H9及び全高H1の大小関係は上記に限定されるものではない。フランジ厚T3の最大値をT3max、最小値をT3min、内寸高H9の最大値をH9max、最小値をH9minとしたとき、H9min≦T3maxであればH9≦T3を満たしているといえる。したがって、H9≦T3を満たすとき、T3min<H9minであってもよいが、望ましくはH9min≦T3minであり、さらに望ましくはH9min<T3minである。また、H9≦T3を満たすとき、望ましくはH9max≦T3maxであり、さらに望ましくはH9max<T3maxである。同様に、H9≦T3を満たすとき、望ましくはH9max≦T3minであり、さらに望ましくはH9max<T3minである。
フランジ部43が横方向からの衝撃に対する機械的強度を充分に担保するためには、フランジ幅W3と側壁厚T2との和が例えば内寸高H9と同等以上の大きさであり(H9≦W3+T2)、望ましくはフランジ幅W3と側壁厚T2との和が内寸高H9よりも大きい(H9<W3+T2)。また、さらに望ましくはフランジ幅W3と側壁厚T2との和がフランジ厚T3と同等以上の大きさであり(T3≦W3+T2)、さらに望ましくはフランジ幅W3と側壁厚T2との和がフランジ厚T3よりも大きい(T3<W3+T2)。また、さらに望ましくはフランジ幅W3と側壁厚T2との和が全高H1と同等以上の大きさであり(H1≦W3+T2)、さらに望ましくはフランジ幅W3と側壁厚T2との和が全高H1よりも大きい(H1<W3+T2)。同様に機械的強度を充分に担保するためには、望ましくはフランジ幅W3が側壁厚T2と同等以上の大きさであり(T2≦W3)、さらに望ましくはフランジ幅W3が内寸高H9と同等以上の大きさであり(H9≦W3)、さらに望ましくはフランジ幅W3がフランジ厚T3と同等以上の大きさである(T3≦W3)。
側壁厚T2、フランジ幅W3、内寸高H9及び全高H1のそれぞれが位置によって異なり一定の値とはならない場合、側壁厚T2、フランジ幅W3、内寸高H9及び全高H1の大小関係は上記に限定されるものではない。内寸高H9の最大値をH9max、側壁厚T2とフランジ幅W3との和の最大値を(W3+T2)max、最小値を(W3+T2)minとしたとき、H9max≦(W3+T2)maxであればH9≦W3+T2を満たしているといえる。したがって、H9≦W3+T2のとき、(W3+T2)min<H9maxであってもよいが、望ましくはH9max≦(W3+T2)minである。同様に、H9<(W3+T2)を満たすとき、H9max<(W3+T2)maxであればよく、望ましくはH9max<(W3+T2)minである。また、フランジ厚T3の最大値をT3max、最小値をT3minとしたとき、T3max≦(W3+T2)maxであればT3≦W3+T2を満たしているといえる。したがって、T3≦W3+T2のとき、(W3+T2)min<T3maxであってもよいが、望ましくはT3max≦(W3+T2)minである。同様に、T3<W3+T2を満たすとき、T3max<(W3+T2)maxであればよく、望ましくはT3max<(W3+T2)minである。また、全高H1の最大値をH1max、最小値をH1minとしたとき、H1max≦(W3+T2)maxであればH1≦W3+T2を満たしているといえる。したがって、H1≦W3+T2のとき、(W3+T2)min<H1maxであってもよいが、望ましくはH1max≦(W3+T2)minである。
同様に、フランジ幅W3及び側壁厚T2の大小関係も上記に限定されるものではない。フランジ幅W3の最大値をW3max、最小値をW3min、側壁厚T2の最大値をT2max、最小値をT2minとしたとき、T2min≦W3maxであればT2≦W3を満たしているといえる。したがって、T2≦W3のとき、W3min<T2minであってもよいが、望ましくはT2min≦W3minである。T2≦W3のとき、望ましくはT2max≦W3maxであり、W3min<T2maxであってもよいが、さらに望ましくはT2max≦W3minである。
同様に、フランジ幅W3及び内寸高H9の大小関係も上記に限定されるものではない。フランジ幅W3の最大値をW3max、最小値をW3min、内寸高H9の最大値をH9max、最小値をH9minとしたとき、H9min≦W3maxであればH9≦W3を満たしているといえる。したがって、H9≦W3のとき、W3min<H9minであってもよいが、望ましくはH9min<W3minである。H9≦W3のとき、望ましくはH9max≦W3maxであり、W3min<H9maxであってもよいが、さらに望ましくはH9max≦W3minである。
同様に、フランジ幅W3及びフランジ厚T3の大小関係も上記に限定されるものではない。フランジ幅W3の最大値をW3max、最小値をW3min、フランジ厚T3の最大値をT3max、最小値をT3minとしたとき、T3min≦W3maxであればT3≦W3を満たしているといえる。したがって、T3≦W3のとき、W3min<T3minであってもよいが、望ましくはT3min<W3minである。T3≦W3のとき、望ましくはT3max≦W3maxであり、W3min<T3maxであってもよいが、さらに望ましくはT3max≦W3minである。
主面の法線方向から平面視したときの蓋部材40の平面形状は、例えば矩形状である。蓋部材40の平面形状は上記に限定されるものではなく、多角形状、円形状、楕円形状及びこれらの組合せでもよい。
次に、接合部材50について説明する。
接合部材50は、ベース部材30及び蓋部材40の各全周に亘って設けられ、矩形の枠状をなしている。ベース部材30の上面31Aを平面視したとき、第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bは、接合部材50の内側に配置されており、接合部材50は水晶振動素子10を囲むように設けられている。接合部材50は、ベース部材30と蓋部材40とを接合し、内部空間に相当する凹部49を封止している。具体的には、接合部材50は、基体31とフランジ部43とを接合している。水晶振動素子10の周波数特性の変動を抑制する観点から、接合部材50の材質は、透湿性が低いことが望ましく、ガス透過性が低いことがさらに望ましい。また、接合部材50を介して蓋部材40を接地電位に電気的に接続するためには、接合部材50が導電性を有することが望ましい。これらの観点から、接合部材50の材質は金属が望ましい。一例として、接合部材50は、基体31の上面31Aに設けられたモリブデン(Mo)からなるメタライズ層と、メタライズ層とフランジ部43との間に設けられた金錫(Au-Sn)系の共晶合金からなる金属半田層とによって設けられている。
なお、接合部材50は、水ガラスなどを含むケイ素系接着剤や、セメントなどを含むカルシウム系接着剤などの無機系接着剤によって設けられてもよい。接合部材50の材質は、エポキシ系、ビニル系、アクリル系、ウレタン系又はシリコーン系の有機系接着剤によって設けられてもよい。接合部材50が無機系又は有機系接着剤によって設けられる場合、ガス透過性を下げるために、接合部材50の外側に当該接着剤よりもガス透過性が低いコーティングが設けられてもよい。ベース部材30と蓋部材40とは、シーム溶接によって接合されてもよい。
次に、図4~図6を参照しつつ、水晶振動子1の製造方法について説明する。図4は、第1実施形態に係る水晶振動子の製造方法を概略的に示すフローチャートである。図5は、金属板の端部を保持する工程を概略的に示す断面図である。図6は、金属板の中央部をプレスする工程を概略的に示す断面図である。
まず、金属板を準備する(S10)。
準備する金属板140は、Fe-Ni-Co系合金からなる。金属板140は、互いに対向する第1主面140A及び第2主面140Bからなる一対の主面を有する板状部材である。金属板140は、厚み(第1主面140Aと第2主面140Bとの間の最短距離)が一様な平板であり、金属板140の厚みはT3である。
次に、金属板を絞り加工する(S20)。
金属板140をプレス工法によって変形させ、天壁部41、側壁部42及びフランジ部43を形成する。
まずは、図5に示すように、ダイAP1とホルダAP2とで金属板140を挟持する。ダイAP1は、金属板140を第1主面140A側から支持する。ホルダAP2は、金属板140を第1主面140A側からダイAP1に押さえ付ける。ホルダAP2は、金属板140の加工位置の変動を抑制するとともに、プレス加工による変形時に金属板140のシワの発生を抑制する。パンチAP3は、金属板140の第2主面140B側にセットされる。金属板140の第2主面140Bを平面視したときのダイAP1とパンチAP3との間のクリアランスをT2に設定する。
次に、図6に示すように、パンチAP3を金属板140に押し込んで、金属板140を変形させる。金属板140の第2主面140B側は凹状に変形し、第1主面140A側は凸状に変形する。パンチAP3が押し込まれて形成された金属板140に囲まれる空間が、凹部49となる。このとき、パンチAP3が金属板140の一対の主面(第1主面140A及び第2主面140B)と交差する方向に金属板140を押し込む深さをH9とする。深さH9は、金属板140の第2主面140B側に形成される凹部の第2主面140Bを基準としたときの深さ、及び、金属板140の第1主面140A側に形成される凸部の第1主面140Aを基準としたときの高さに相当する。深さH9は厚みT3以下の大きさに設定する(T3≧H9)。つまり、金属板140は、プレス工法によって、その厚みと同等以下の深さでの絞り加工が施される。これによって、金属板140のうち、パンチAP3の先端が対向する部分が天壁部41となり、ダイAP1とパンチAP3との間のクリアランスに位置する部分が側壁部42となり、ダイAP1とホルダAP2とに挟まれた部分がフランジ部43となる。
次に、ベース部材を準備する(S30)。
基体31は、アルミナのグリーンシートを焼結させて形成される。焼結前のグリーンシートには金属膜が設けられ、グリーンシートとともに焼結された金属膜は、接合部材50のメタライズ層、電極パッド33a,33b及び外部電極35a~35dを形成する。金属膜は、例えば、各種の印刷法(スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷など)、各種の塗布法(キャスト、ディスペンスなど)、及び各種の湿式メッキ法(無電解メッキ、溶融メッキ、電気メッキなど)などのウェットプロセスによって形成される。
基体31は、インゴットから切り出したウェハによって形成されてもよい。金属膜は、PVD(Physical Vapor Deposition)やCVD(Chemical Vapor Depositon)などの各種の気相成長法を一例とするドライプロセスによって形成されてもよい。接合部材50のメタライズ層、電極パッド33a,33b及び外部電極35a~35dのそれぞれの少なくとも一部は、グリーンシートの焼結後に形成されてもよい。
次に、水晶振動素子を準備する(S40)。
まず、水晶の結晶体をスライスして水晶ウェハを形成する。水晶ウェハには、化学機械研磨などの平坦化処理や、リンス液による洗浄処理など、適宜必要な処理が実施されてもよい。
次に、水晶ウェハの一部を除去加工し、互いに連結した複数の水晶片の輪郭を形成する。次に、複数の水晶片のそれぞれの一部を除去加工し、複数の水晶片のそれぞれをメサ型構造に加工する。除去加工は、例えばフォトリソグラフィを利用したエッチングによって行われるが、プラズマCVM(Chemical Vaporization Machining)などの他の処理方法によって実施されてもよい。
次に、複数の水晶片のそれぞれの表面に金属膜を設け、フォトリソグラフィを利用したエッチングによって金属膜の一部を除去加工し、金属膜から電極を形成する。なお、電極の形成方法はエッチングに限定されるものではなく、電極はリフトオフによって形成されてもよい。
最後に、水晶振動素子を個片化する。複数の水晶片を連結する部分には、周囲よりも厚みの薄い薄肉部分が形成されており、曲げ応力を加えることで薄肉部分が亀裂の起点となり、複数の水晶片を連結する部分が割断される。薄肉部分は、例えば、複数の水晶片の輪郭を形成する工程や、複数の水晶片のそれぞれをメサ型構造に加工する工程におけるエッチングを利用して形成される。薄肉部分は、スクライブツールによって形成されてもよい。なお、水晶振動素子は、レーザーカッターやダイシングソーなどによる切断によって個片化されてもよい。
次に、水晶振動素子を搭載する(S50)。
ます、熱硬化性樹脂の組成物を含む導電性接着剤ペーストを準備する。次に、昇温していないホットプレートの上にベース部材30を載置する。次に、ベース部材30の第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bのそれぞれの上に導電性接着剤ペーストを塗布する。次に、水晶振動素子10の先端がベース部材30に接触しないように、導電性接着剤ペーストの上に水晶振動素子10を載置する。次に、ホットプレートで導電性接着剤ペーストを加熱して硬化させ、ベース部材30の第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bのそれぞれと、水晶振動素子10の第1接続電極16a及び第2接続電極16bのそれぞれとを接合する。
なお、導電性接着剤ペーストの上に水晶振動素子10を載置する前に、導電性接着剤ペーストの粘度を調整するための予備加熱を行ってもよい。また、導電性接着剤ペーストの樹脂組成物は、熱硬化性樹脂の組成物に限定されず、光(UV)硬化性樹脂の組成物を含んでもよい。この場合、本工程S40では、導電性接着剤ペーストに光(UV)を照射する工程を含んでもよい。
次に、ベース部材と蓋部材とを接合する(S60)。
まず、蓋部材40を収納トレイに入れる。収納トレイには、蓋部材40がほぼ隙間なく収納可能な有底の開口部が設けられている。天壁部41の天壁上面41Aを開口部の底に向けて、蓋部材を開口部に収納する。
次に、フランジ部43のフランジ下面43Bの上に、金属半田を設ける。金属半田は、金錫(Au-Sn)系の共晶合金である。なお、金属半田は、ベース部材30に設けられたメタライズ層の上に設けられていてもよい。
次に、ベース部材を収納トレイに入れる。水晶振動素子10を蓋部材40側に向けて、水晶振動素子10が搭載されたベース部材30を開口部に収納する。このとき、蓋部材40の金属半田に、ベース部材30のメタライズ層が重なる。
次に、金属半田を加熱して軟化させ、軟化した金属半田を冷却して固化させる。固化した金属半田はベース部材30のメタライズ層とともに接合部材50を形成し、ベース部材30と蓋部材40とを接合して内部空間に相当する凹部49を封止する。
最後に、水晶振動子1を収納トレイから取り出す。
なお、金属板140から蓋部材40を形成する工程S10及びS20と、ベース部材30を準備する工程S30と、水晶振動素子10を準備する工程S40との順番は、上記に限定されるものではない。金属板140から蓋部材40を形成する工程S10及びS20は、ベース部材30を準備する工程S30の後に実施されてもよく、水晶振動素子10を準備する工程S40の後に実施されてもよい。ベース部材30を準備する工程S30は、水晶振動素子10を準備する工程S40の後に実施されてもよい。
(耐久性評価)
次に、図7及び図8を参照しつつ、耐久性に関する評価試験の結果について説明する。図7は、自然落下試験条件を示す表である。図8は、自然落下試験の試験結果を示す表である。
第1実施例の構成は、図1~図3に示した水晶振動子1に準ずるものとし、既に説明した部分以外の構成について以下に説明する。なお、外形寸法は「X軸に沿った長さ×Z´軸に沿った長さ×Y´軸に沿った長さ」と表現する。
水晶振動素子の周波数は37.4Hz、ESRは30Ωである。
ベース部材の基体はアルミナからなり、外形寸法は1.0mm×0.8mm×0.12mmである。
接合部材は、厚み15μm且つ幅60μmの金錫合金を備えている。
蓋部材はFe-Ni-Co系合金からなり、外形寸法は1.0mm×0.8mm×0.16mmである。天壁厚T1は0.06mm、側壁厚T2は55μm、フランジ厚T3は0.1mm、フランジ幅W3は85μm、内寸高H9は0.1mm、全高H1は外形寸法のY´軸方向に沿った長さに相当する0.16mmである。すなわち、第1実施例において、フランジ厚T3は、内寸高H9と同等の大きさである(T3=H9)。
第2実施例の構成は、フランジ厚T3が0.16mmである以外は第1実施例の構成と同様である。すなわち、第2実施例において、フランジ厚T3は、内寸高H9よりも大きい(T3>H9)。
比較例の構成は、フランジ厚T3が0.06mmである以外は第1実施例の構成と同様である。すなわち、比較例において、フランジ厚T3は内寸高H9よりも小さい(T3<H9)。
蓋部材の変形に起因した不良の発生を評価すべく、図7に示すようにJIS C 60068-2-31(2013)に準拠した自然落下試験を行い、周波数又はESRの変動を測定した。具体的には、比較例、第1実施例及び第2実施例に係る水晶振動子を、運搬中の正常な姿勢で、平坦な床面に向けて自然落下させる。床材はコンクリートとし、試験1では床面から750mmの高さから2回自然落下させ、試験前後での周波数の変動が試験前の周波数に対して±10ppm以上、又は試験前後でのESRの変動が試験前のESRに対して±10オーム以上であった場合を不良と判定した。同様に、試験2では床面から1000mmの高さから2回自然落下させて不良を判定し、試験3では床面から1500mmの高さから2回自然落下させて不良を判定した。試験1~3のそれぞれにおいて、22個のサンプルで評価を行った。
図8に示すように、比較例では試験1における不良の発生数は0だが、試験2においては2個の不良が発生し、試験3では7個の不良が発生した。対して、第1実施例及び第2実施例では、試験1~3のいずれにおいても不良の発生数は0であった。実施例と比較例との相違はフランジ厚T3の大小のみであるにも関わらず、比較例では発生した不良が実施例では発生しなかった。比較例と実施例との相違は、より具体的には、フランジ部の構成によって決定される、蓋部材の機械的強度である。したがって、本評価試験における不良の発生は、蓋部材の変形によって引き起こされたと考えられる。例えば、蓋部材が塑性変形した場合、蓋部材と水晶振動素子との接触によって振動が阻害されることがある。また、蓋部材の変形が塑性変形及び弾性変形のいずれであろうと、蓋部材の変形によって接合部材やベース部材には歪が生じるため、基体の損傷や接合部材の界面剥離によって内部空間の気密が破壊されることがある。フランジ厚T3が内寸高H9よりも小さい比較例においては、落下によって、振動の阻害や気密の破壊が生じていた。しかし、フランジ厚T3が内寸高H9と同等の大きさである第1実施例や、フランジ厚T3が内寸高H9よりも大きい第2実施例では、落下によって、振動の阻害や気密の破壊が生じなかった。ここから、フランジ厚T3が内寸高H9と同等以上の大きさであれば、蓋部材の機械的強度に起因した水晶振動子の不良が発生しないことがわかる。
以上のように、第1実施形態では、蓋部材40の全高H1、内寸高H9及びフランジ厚T3が、H1>T3≧H9を満たす。また、蓋部材40の全高H1、天壁厚T1及びフランジ厚T3が、H1≦T1+T3を満たす。
これによれば、蓋部材40の機械的強度が向上し、水晶振動子1の物理的な耐久性が向上する。具体的には、落下等の衝撃による蓋部材40の変形が抑制できる。したがって、蓋部材40の変形に起因した水晶振動素子10と蓋部材40との接触による振動特性の変動が抑制できる。また、蓋部材40の変形に起因した基体31や接合部材50の損傷による気密の破壊が抑制でき、水晶振動素子10の電極の酸化による振動特性の変動が抑制できる。以上のことから、信頼性が高い水晶振動子1が提供できる。
蓋部材40の側壁厚T2、フランジ厚T3及びフランジ幅W3が、T3<W3+T2を満たす。
これによれば、フランジ部43が蓋部材40の機械的強度を充分に向上させることができる。
ベース部材30は、蓋部材40及び水晶振動素子10が接合された基体31を有する。また、蓋部材40の弾性率は、基体31の弾性率よりも小さい。
このように蓋部材40が変形しやすく基体31に応力が集中しやすい構成であっても、本実施形態によれば水晶振動子1の信頼性が向上する。
蓋部材40の材質は、金属である。
これによれば、延展性を有する材料からなる蓋部材40であれは、プレス工法による絞り加工等によって容易に、本実施形態に係る形状の蓋部材40を形成できる。
基体31の材質はセラミックである。
これによれば、亀裂等の損傷が生じ易い脆性材料であるセラミックによって基体31を設けたとしても、本実施形態によれば水晶振動子1の信頼性が改善できる。
基体31は平板状である。
これによれば、例えば凹部が形成された基体を備える水晶振動子に比べて、製造工程が簡略化でき、製造コストを低減できる。
第1実施形態では、蓋部材40を形成する工程は、プレス工法によって金属板140を変形させる工程を有し、金属板140の厚みをT3、プレス工法による変形の深さをH9としたとき、T3≧H9を満たす。
これによれば、信頼性が高い水晶振動子1を低コストで製造できる。
以下に、本発明の他の実施形態に係る水晶振動子1の構成について説明する。なお、下記の実施形態では、上記の第1実施形態と共通の事柄については記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については逐次言及しない。
<第2実施形態>
次に、図9を参照しつつ、第2実施形態に係る水晶振動子2の外縁部及びその近傍の構成について説明する。図9は、第2実施形態に係る水晶振動子の構成を概略的に示す断面図である。
基体31には、上面31A側に開口する有底の凹部39が形成されている。基体31を水晶振動素子10の側から平面視したとき、凹部39は、少なくとも励振部17と重なっている。言い換えると、凹部39は、少なくとも第1励振電極14a及び第2励振電極14bに重なっている。また、凹部39は、望ましくは周辺部18及び周辺部19のそれぞれの少なくとも一部と重なっており、さらに望ましくは周辺部19の全部と重なっている。水晶振動素子10は、その先端(周辺部19)が根本(周辺部18)に比べてベース部材30に近づくように傾いてもよい。
これによれば、水晶振動素子10が収容される内部空間が、凹部49と凹部39とによって形成される。このため、水晶振動子1を小型化したとしても、水晶振動素子10が振動するための空間を充分に確保でき、水晶振動素子10の振幅が制限されない。言い換えると、水晶振動子1が小型化できる。また、水晶振動素子10をベース部材30に搭載するとき、水晶振動素子10が自重によって傾いた場合であっても、水晶振動素子10の先端とベース部材30との接触が抑制できる。
以下に、本発明の実施形態の一部又は全部を付記し、その効果について説明する。なお、本発明は以下の付記に限定されるものではない。
本発明の一態様によれば、ベース部材と、ベース部材の搭載面に搭載された水晶振動素子と、水晶振動素子の側に開口する凹部を有する蓋部材と、ベース部材と蓋部材とを接合する接合部材とを備え、蓋部材は、ベース部材の搭載面に沿って延在する天壁部と、天壁部の外縁に接続されベース部材の搭載面と交差する高さ方向に沿って延在する側壁部と、側壁部からベース部材の搭載面に沿って外側に延在するフランジ部とを含み、高さ方向に沿ったフランジ部の厚みをT3、高さ方向に沿った蓋部材の凹部の高さをH9としたとき、T3≧H9を満たす水晶振動子が提供される。
これによれば、蓋部材の機械的強度が向上し、水晶振動子の物理的な耐久性が向上する。具体的には、落下等の衝撃による蓋部材の変形が抑制できる。したがって、蓋部材の変形に起因した水晶振動素子と蓋部材との接触による振動特性の変動が抑制できる。また、蓋部材の変形に起因した基体や接合部材の損傷による気密の破壊が抑制でき、水晶振動素子の電極の酸化による振動特性の変動が抑制できる。以上のことから、信頼性が高い水晶振動子が提供できる。
一態様として、ベース部材の搭載面に沿った側壁部の厚さをT2、ベース部材の搭載面に沿ったフランジ部の幅をW3としたとき、T3<W3+T2を満たす。
これによれば、フランジ部が蓋部材の機械的強度を充分に向上させることができる。
一態様として、ベース部材は、蓋部材が接合された基体と、基体の蓋部材に対向する側に設けられ水晶振動素子が電気的に接続される電極パッドとを有する。
一態様として、蓋部材の弾性率は、基体の弾性率よりも小さい。
このように蓋部材が変形しやすく基体に応力が集中しやすい構成であっても、本実施形態によれば水晶振動子の信頼性が向上する。
一態様として、蓋部材の材質は、金属である。
これによれば、延展性を有する材料からなる蓋部材であれは、プレス工法による絞り加工等によって容易に、本実施形態に係る形状の蓋部材を形成できる。
一態様として、基体の材質は、セラミックである。
これによれば、亀裂等の損傷が生じ易い脆性材料であるセラミックによって基体を設けたとしても、本実施形態によれば水晶振動子の信頼性が改善できる。
一態様として、基体は平板状である。
これによれば、例えば凹部が形成された基体を備える水晶振動子に比べて、製造工程が簡略化でき、製造コストを低減できる。
一態様として、基体の水晶振動素子に対向する側には凹部が形成されており、基体を水晶振動素子の側から平面視したとき、凹部は、少なくとも水晶振動素子の励振電極と重なる。
これによれば、水晶振動素子を収容する内部空間が、ベース部材側の凹部と蓋部材側の凹部とによって形成される。このため、水晶振動子を小型化したとしても、水晶振動素子の振動空間を充分に確保でき、水晶振動素子の振幅が制限されない。言い換えると、水晶振動子が小型化できる。また、水晶振動素子をベース部材に搭載するとき、水晶振動素子が自重によって傾いた場合であっても、水晶振動素子の先端とベース部材との接触が抑制できる。
本発明の他の一態様によれば、蓋部材を形成する工程と、ベース部材に水晶振動素子を搭載する工程と、ベース部材に蓋部材を接合する工程とを備え、蓋部材を形成する工程は、一対の主面を有する板状部材を準備する工程と、プレス工法によって一対の主面と交差する方向に沿って板状部材を変形させる工程とを有し、一対の主面と交差する方向において、板状部材の厚みをT3、プレス工法による変形の深さをH9としたとき、T3≧H9を満たす。
これによれば、信頼性が高い水晶振動子を低コストで製造できる。
本発明に係る実施形態は、水晶振動子に限定されるものではなく、圧電振動子にも適用可能である。圧電振動子(Piezoelectric Resonator Unit)の一例が、水晶振動素子(Quartz Crystal Resonator)を備えた水晶振動子(Quartz Crystal Resonator Unit)である。水晶振動素子は、圧電効果によって励振される圧電片として、水晶片(Quartz Crystal Element)を利用するが、圧電片は、圧電単結晶、圧電セラミック、圧電薄膜、又は、圧電高分子膜などの任意の圧電材料によって形成されてもよい。一例として、圧電単結晶は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)を挙げることができる。同様に、圧電セラミックは、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(ZrTi1-x)O3;PZT)、窒化アルミニウム(AlN)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、メタニオブ酸リチウム(LiNb)、チタン酸ビスマス(BiTi12)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、四ホウ酸リチウム(Li)、ランガサイト(LaGaSiO14)、又は、五酸化タンタル(Ta)などを挙げることができる。圧電薄膜は、石英、又は、サファイアなどの基板上に上記の圧電セラミックをスパッタリング工法などによって成膜したものを挙げることができる。圧電高分子膜は、ポリ乳酸(PLA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又は、フッ化ビニリデン/三フッ化エチレン(VDF/TrFE)共重合体などを挙げることができる。上記の各種圧電材料は、互いに積層して用いられてもよく、他の部材に積層されてもよい。
本発明に係る実施形態は、タイミングデバイス、発音器、発振器、荷重センサなど、圧電効果により電気機械エネルギー変換を行うデバイスであれば、特に限定されることなく適宜適用可能である。
以上説明したように、本発明の一態様によれば、信頼性が高い圧電振動子及びその製造方法が提供できる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。例えば、本発明の振動素子および振動子は、タイミングデバイスまたは荷重センサに用いることができる。また、各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
1…水晶振動子、
10…水晶振動素子、
11…水晶片、
30…ベース部材、
31…基体、
40…蓋部材、
41…天壁部、
42…側壁部、
43…フランジ部、
50…接合部材、
T1…天壁厚、
T2…側壁厚、
T3…フランジ厚、
W3…フランジ幅、
H1…全高、
H9…内寸高

Claims (9)

  1. ベース部材と、
    前記ベース部材の搭載面に搭載された圧電振動素子と、
    前記圧電振動素子の側に開口する有底の凹部を有する蓋部材と、
    前記ベース部材と前記蓋部材とを接合する接合部材と
    を備え、
    前記蓋部材は、
    前記ベース部材の前記搭載面に沿って延在する天壁部と、
    前記天壁部の外縁に接続され前記ベース部材の前記搭載面と交差する高さ方向に沿って延在する側壁部と、
    前記側壁部から前記ベース部材の前記搭載面に沿って外側に延在するフランジ部と
    を含み、
    前記高さ方向に沿った前記フランジ部の厚みをT3、前記高さ方向に沿った前記蓋部材の前記凹部の高さの最大値をH9maxとしたとき、
    T3≧H9max
    を満たす、圧電振動子。
  2. 前記ベース部材の前記搭載面に沿った前記側壁部の厚さをT2、前記ベース部材の前記搭載面に沿った前記フランジ部の幅をW3としたとき、
    T3<W3+T2
    を満たす、
    請求項1に記載の圧電振動子。
  3. 前記ベース部材は、
    前記蓋部材が接合される基体と、
    前記基体の前記蓋部材に対向する側に設けられ前記圧電振動素子が電気的に接続される電極パッドと
    を有する、
    請求項1又は2に記載の圧電振動子。
  4. 前記蓋部材の弾性率は、前記基体の弾性率よりも小さい、
    請求項3に記載の圧電振動子。
  5. 前記蓋部材の材質は、金属である、
    請求項3又は4に記載の圧電振動子。
  6. 前記基体の材質は、セラミックである、
    請求項3から5のいずれか1項に記載の圧電振動子。
  7. 前記基体は平板状である、
    請求項3から6のいずれか1項に記載の圧電振動子。
  8. 前記基体の前記圧電振動素子に対向する側には凹部が形成されており、
    前記基体を前記圧電振動素子の側から平面視したとき、前記凹部は、少なくとも前記圧電振動素子の励振電極と重なる、
    請求項3から6のいずれか1項に記載の圧電振動子。
  9. 有底の凹部を有する蓋部材を形成する工程と、
    ベース部材に圧電振動素子を搭載する工程と、
    前記ベース部材に前記蓋部材を接合する工程と
    を備え、
    前記蓋部材を形成する工程は、
    一対の主面を有する板状部材を準備する工程と、
    プレス工法によって前記一対の主面と交差する方向に沿って前記板状部材を変形させる工程と
    を有し、
    前記一対の主面と交差する方向において、前記板状部材の厚みをT3、前記プレス工法による変形の深さの最大値をH9maxとしたとき、
    T3≧H9max
    を満たす、圧電振動子の製造方法。
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