JP7388156B2 - 画像処理装置、画像処理方法及びプログラム - Google Patents
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例えば、図10の例では、特定の色の階調データα10を量子化するとき、階調データα10と、周囲の4点(C0,M0)、(C1,M0)、(C0,M1)、(C1,M1)とのベクトルV1,V2,V3,V4を利用する。そして、最も距離が短いベクトル(ここではベクトルV2)を量子化値に決定する。そして、次のドットの量子化を行う際には、誤差であるベクトルV2を考慮する。このようにして、ベクトル量子化を用いて誤差拡散を実行することができる。
図1は、本例の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
本例の画像処理装置は、例えば画像形成装置(例えばインクジェットプリンタ)の内部で、画像形成を行うための階調データを、印字用に量子化する処理を行う。本例においては、シアン(C)の階調データと、マゼンタ(M)の階調データの量子化を行っている。
座標設定部1に供給されるシアン(C)とマゼンタ(M)の階調データは、それぞれ例えば0~255の256段階のデータである。
すなわち、座標設定部1は、シアン(C)に重み係数pを設定すると共に、マゼンタ(M)に重み係数qを設定し、第1座標成分の値k×(p×C+q×M)と第2座標成分の値(p×C-q×M)を得る。ここでの第1座標成分は、シアン(C)とマゼンタ(M)の濃淡変化を表す成分であり、シアン(C)とマゼンタ(M)を加算した成分である。また、第2座標成分は、シアン(C)とマゼンタ(M)の色味の変化を表す成分であり、シアン(C)とマゼンタ(M)の差の成分である。
なお、重み係数p及びqは、それぞれ値を1としてもよい。以下の説明では、重み係数p及びqを1とした例を説明する。
図2は、量子化部2で誤差拡散処理を行う構成を示す。
図2では、第1色成分(シアン)がX、第2色成分(マゼンタ)がYとして示されている。
入力端子11に得られる値IXYは、減算器12に供給される。減算器12では、後述する誤差拡散フィルタ16の出力Xeが入力値から減算され、減算値PXYが得られる。減算値PXYは、加算器13に供給され、後述する係数乗算器18の出力Xkを乗算した出力PXY′が得られる。
加算器13が出力する量子化値QXYは、出力端子19から出力される。出力端子19から出力される量子化値QXYにより、画像形成用のヘッド(インクジェットヘッドなど)の駆動が行われる。
図3は、本例の画像処理装置で実行される座標設定と量子化の流れを示すフローチャートである。
まず、座標設定部1に1ドットのシアン(C)とマゼンタ(M)の階調データが供給される(ステップS11)。座標設定部1は、供給された階調データから、シアン(C)とマゼンタ(M)の濃淡変化を表す成分である第1座標成分(C+M)と、シアン(C)とマゼンタ(M)の色味の変化の成分である第2座標成分(C-M)を得る(ステップS12)。但し、この時点では、第1座標成分(C+M)に係数kは乗算されていない。また、第1座標成分(C+M)の係数p及び第2座標成分(C-M)の係数qは、ここではそれぞれ1としている。係数p,qが1であるため、以下の説明の各座標成分では係数p及びqを省略する。
このようにして得られた第1座標成分の階調データk(C+M)と、第2座標成分の階調データ(C-M)を、座標設定部1から量子化部2に送る。
ここまでの1ドットの量子化処理が終了すると、次のドットについて、ステップS11からステップS16の処理が繰り返される。
図4は、座標設定部1が設定する第1座標成分の階調データk(C+M)と、第2座標成分の階調データ(C-M)の例を示す。図4では、縦軸が第1座標成分であり、横軸は第2座標成分である。なお、第1座標成分に乗算される係数kの値によって、縦軸と横軸の比は変動する。
先に説明したように、第1座標成分の階調データk(C+M)は、シアン(C)とマゼンタ(M)の濃淡変化を表す成分であり、第2座標成分は、シアン(C)とマゼンタ(M)の色味の変化の成分である。
・シアンが0、マゼンタが0の点α0:(C0,M0)
・シアンが0、マゼンタが1の点α1:(C0,M1)
・シアンが0、マゼンタが2の点α2:(C0,M2)
・シアンが1、マゼンタが0の点α3:(C1,M0)
・シアンが1、マゼンタが1の点α4:(C1,M1)
・シアンが1、マゼンタが2の点α5:(C1,M2)
・シアンが2、マゼンタが0の点α6:(C2,M0)
・シアンが2、マゼンタが1の点α7:(C2,M1)
・シアンが2、マゼンタが3の点α8:(C2,M2)
シアン(C)とマゼンタ(M)の2色の量子化値の組み合わせは、これら9個の点のいずれかになる。
この値α11は、シアンの滴下量0及びマゼンタの滴下量0の点α0:(C0,M0)と、シアンの滴下量1及びマゼンタの滴下量0の点α1:(C1,M0)と、シアンの滴下量0及びマゼンタの滴下量1の点α3:(C0,M1)と、シアンの滴下量1及びマゼンタの滴下量1の点α4:(C1,M1)の4つの点で囲まれる範囲に存在する。
ここで、先に説明したように、第1座標成分の階調データk(C+M)には、係数kが乗算されているため、値α11と4点との距離を求めたとき、色味変化成分である第2座標成分側(横軸側)に隣接した点が選ばれる可能性が高くなる。
例えば、係数kを10としたときには、値α11が、点α0又は点α4に非常に近い座標位置のときだけ、第2座標成分側(横軸側)に隣接した点α1,α3とのベクトルV11,V12よりも短くなる。このため、本例の場合には、係数kの値に応じて、色味変化を使った誤差拡散が、濃淡変化を使った誤差拡散に優先して行われることになる。
この場合、濃淡変化を示す第1座標成分と色味変化を示す第2座標成分に変換すると共に、第1座標成分に係数kを乗算するだけで、色空間が設定され、その色空間から簡単に各色の量子化が行え、高速処理が可能であると低コスト化に適した回路で実現できる。
すなわち、3値量子化において量子化点α0~α8は、(C,M)=(0,0),(0,1),(0,2),(1,0),(1,1),(1,2),(2,0),(2,1),(2,2)に対応するx=C-Mとy=k(C+M)とするxy平面上の(0,0),(-1,k),(-2,2k),(1,k),(0,2k),(-1,3k),(2,2k),(1,3k),(0,4k)の9点と定義できる。ここで、k>1の場合、各量子化の境界線は近接量子化点間の垂直二等分線16本を定めることができる。一般に(x1,y1)と(x2,y2)の垂直二等分線は(x2-x1)x+(y2-y1)y=(x2^2-x1^2+y2^2-y1^2)/2となるので、入力値に対して、次の[真偽判定0]~[真偽判定15]の16回の真偽判定で、量子化を行う。
[真偽判定1]:x+ky<(1+k^2)/2
[真偽判定2]:x<0
[真偽判定3]:-x+ky<(3+3k^2)/2
[真偽判定4]:x+ky<(-1+3k^2)/2
[真偽判定5]:-x+ky<(-1+3k^2)/2
[真偽判定6]:x+ky<(3+3k^2)/2
[真偽判定7]:x<-1
[真偽判定8]:x<1
[真偽判定9]:x+ky<(-3+5k^2)/2
[真偽判定10]:-x+ky<(1+5k^2)/2
[真偽判定11]:x+ky<(1+5k^2)/2
[真偽判定12]:-x+ky<(-3+5k^2)/2
[真偽判定13]:x<0
[真偽判定14]:x+ky<(-1+7k^2)/2
[真偽判定15]:-x+ky<(-1+7k^2)/2
また、[真偽判定0]が偽、かつ[真偽判定2]が真、かつ[真偽判定3]が真、かつ[真偽判定4]が真のとき、量子化点α1の(C,M)=(0,1)に量子化する。
また、[真偽判定3]が偽、かつ[真偽判定7]が真、かつ[真偽判定9]が真のとき、量子化点α2の(C,M)=(0,2)に量子化する。
また、[真偽判定1]が偽、かつ[真偽判定2]が偽、かつ[真偽判定5]が真かつ[真偽判定6]が真のとき、量子化点α3の(C,M)=(1,0)に量子化する。
また、[真偽判定4]が偽、かつ[真偽判定5]が偽、かつ[真偽判定7]が偽、かつ[真偽判定8]が真、かつ[真偽判定10]が真、かつ[真偽判定11]が真であるとき、量子化点α4の(C,M)=(1,1)に量子化する。
また、[真偽判定9]が偽、かつ[真偽判定10]が偽、かつ[真偽判定13]が真、かつ[真偽判定14]が真であるとき、量子化点α5の(C,M)=(1,2)に量子化する。
また、[真偽判定6]が偽、かつ[真偽判定8]が偽、かつ[真偽判定12]が真であるとき、量子化点α6の(C,M)=(2,0)に量子化する。
また、[真偽判定11]が偽、かつ[真偽判定12]が偽、かつ[真偽判定13]が偽、かつ[真偽判定15]が真であるとき、量子化点α7の(C,M)=(2,1)に量子化する。
さらに、その他([真偽判定14]が偽、かつ[真偽判定15]が偽)のとき、量子化点α8の(C,M)=(2,2)に量子化する。
図5~図7は、シアン(C)とマゼンタ(M)について、2値量子化を行う場合と、3値量子化を行う場合について説明した図である。
2値量子化を行う場合には、図5の左側に示すように、0~255の階調データの内のほぼ中央値の127以下か、128以上かによって、量子化値が0か1かのいずれかに決まる。例えば、量子化値0の場合には、インクジェットヘッドからの吐出量が0、量子化値1の場合には、インクジェットヘッドからの吐出量が2dpdに設定される。
2値量子化による特性S1では、吐出量が0の場合と2dpdの場合の2段階の設定である。
3値量子化による特性S2では、吐出量が0の場合と1dpdの場合と2dpdの場合の3段階の設定である。
図7(a)は、シアン(C)とマゼンタ(M)のそれぞれについて、3値で量子化した場合を示す。この図7(a)の例は、図4で説明した例と同じである。この図7(a)では、各点α0~α8が選ばれる範囲の境界を示す。図7(b)~(d)についても、同様に各点α0~α8が選ばれる範囲の境界を示す。
マゼンタ(M)を2値で量子化した場合、マゼンタの値は0か1のみとなる。つまり、3値で量子化した場合の1となる点は存在しない。したがって、図7(b)に示すように、点α0,α2,α3,α5,α6,α8の6点で量子化が行われることになる。
シアン(C)を2値で量子化した場合、シアンの値は0か1のみとなる。つまり、3値で量子化した場合の1となる点は存在しない。したがって、図7(c)に示すように、点α0,α1,α2,α6,α7,α8の6点で量子化が行われることになる。
シアン(C)とマゼンタ(M)の双方を2値で量子化した場合には、それぞれの値は0か1のみである。つまり、3値で量子化した場合の1となる点が存在しない。したがって、図7(d)に示すように、点α0,α2,α6,α8の4点で量子化が行われることになる。
図8は、濃淡の成分である第1座標成分(C+M)に乗算する係数kの設定例を示す。
図8(a)はk=1とした比較例であり、図8(b)はk=1.2、図8(c)はk=1.5、図8(d)はk=2、図8(e)はk=3、図8(f)はk=4、図8(g)はk=10、図8(h)はk=30、図8(i)はk=100をそれぞれ示す。この図8(a)~(i)において、各点で量子化される範囲を、それぞれ別の背景で示す。なお、図8の例は、シアン(C)とマゼンタ(M)の双方について、3値量子化した場合である。また、図8の縦軸は、本来はkの値に応じて伸びるが、図8ではいずれのkの値の場合も同じ長さで示す。
そして、k=1.5、k=2、k=3、k=4、k=10、k=30、k=100と軽数値が大きくなるに従って、色味変化である横軸側の隣接点が量子化値として優先的に選ばれる範囲が拡大して行くことが分かる。
図9は、肌色の領域を、本例の画像処理装置で量子化した場合の例を示す。図9(a)は、本例の量子化を行って場合の画像を示し、図9(b)は、シアン(C)とマゼンタ(M)を独立して量子化した従来例を示す。なお、図9の元になる画像はカラー画像であり、図9では、カラー画像の濃淡を白黒の画像で示す。
ここまでの説明では、第1座標成分(C+M)の係数p及び第2座標成分(C-M)の係数qは1とした。これに対して、入力した階調データに応じて、係数p及びqを1以外の値としてもよい。すなわち、図1に示すp・q設定部3は、入力したシアン(C)とマゼンタ(M)のコントラストによって適宜調整してもよい。
また、p・q設定部3は、第1色成分(シアン)と第2色成分(マゼンタ)の100%出力時の明度差が有意に大きい場合、q>pと設定となるように、pとqの値を異なる値に設定する。具体的には、pを1とし、qを1よりも大きな値とする。
このように係数p及びqを可変設定することで、各色のコントラストに応じた適切な係数の設定が可能になる。
なお、ここまでの説明では、画像処理装置は、シアンとマゼンタの2色の階調データの量子化を行う場合について説明した。これに対して、シアンとマゼンタの組み合わせ以外の2色の階調データの量子化を、同様にして行ってもよい。
例えば、シアン(C)とイエロー(Y)の混色領域である緑色の領域の粒状性を抑制したい場合に、上述した実施の形態例と同様の処理で、シアン(C)とイエロー(Y)を組み合わせた量子化を行ってもよい。但し、シアン(C)とイエロー(Y)の場合には、明度方向のコントラストの差が大きいため、係数値p,qを対応して設定するのが好ましい。
さらに、図4に示す回路構成についても一例を示すものであり、本発明は、この図4に示す構成に限定されるものではない。図4に示すように負帰還回路32を設けた点についても、好適な一例を示したものであり、負帰還回路32がない構成としてもよい。
また、本例の処理は、図1などに示したハードウェア構成で実行する他に、コンピュータ装置で実行可能なプログラムとして構成してもよい。この場合には、例えば図3のフローチャートに示す各処理を順に実行する手順を有するプログラムとし、そのプログラムをコンピュータ装置に実行させる。
Claims (9)
- ハーフトーン処理のために階調データを量子化する画像処理装置であって、
前記階調データの全色成分の内の少なくとも第1色成分と第2色成分について、それぞれの色成分の重み係数p,qを設定した上で、(p×[第1色成分])+(q×[第2色成分])に明るさ重み係数kを乗算した第1座標成分と、(p×[第1色成分])-(q×[第2色成分])の第2座標成分を得る座標設定部と、
前記座標設定部で設定された前記第1座標成分と前記第2座標成分とによる色空間で、最近接点への誤差拡散による量子化を行う量子化部と、を備える
画像処理装置。 - 前記全色成分は、少なくともシアンとマゼンタとイエローを含み、前記第1色成分と前記第2色成分は、シアンとマゼンタである
請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記明るさ重み係数kは、1.2以上である
請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記色成分の重み係数p,qは、それぞれの色成分のコントラストによって調整される
請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記色成分の重み係数p,qは、量子化した階調データで印字される用紙の色又は種類によって設定される
請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記色成分の重み係数p,qは、前記第1色成分と前記第2色成分の0%出力時と100%出力時の明度差として、前記第1色成分が大きい場合にp≧qに設定し、前記第2色成分が大きい場合にp≦qに設定する
請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記第1色成分は3値で量子化を行い、前記第2色成分は2値で量子化を行う
請求項1に記載の画像処理装置。 - ハーフトーン処理のために階調データを量子化する画像処理方法であって、
前記階調データの全色成分の内の少なくとも第1色成分と第2色成分について、それぞれの色成分の重み係数p,qを設定した上で、(p×[第1色成分])+(q×[第2色成分])に明るさ重み係数kを乗算した第1座標成分と、(p×[第1色成分])-(q×[第2色成分])の第2座標成分を得る座標設定処理と、
前記座標設定処理により設定された前記第1座標成分と前記第2座標成分による色空間で、最近接点への誤差拡散による量子化を行う量子化処理と、を含む
画像処理方法。 - ハーフトーン処理のために階調データを量子化する演算をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記階調データの全色成分の内の少なくとも第1色成分と第2色成分について、それぞれの色成分の重み係数p,qを設定した上で、(p×[第1色成分])+(q×[第2色成分])に明るさ重み係数kを乗算した第1座標成分と、(p×[第1色成分])-(q×[第2色成分])の第2座標成分を得る座標設定手順と、
前記座標設定手順により設定された前記第1座標成分と前記第2座標成分による色空間で、最近接点への誤差拡散による量子化を行う量子化手順と、をコンピュータに実行させる
プログラム。
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