JP7382380B2 - 変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、変速機に関する。
従来、車両に搭載される変速機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、車両に搭載される変速機として、例えば、ベルト式のCVT(Continuously Variable Transmission:無段変速機)が開示されている。ベルト式のCVTでは、エンジンからの動力が入力される入力軸が無段変速機構のプライマリ軸に動力を伝達可能に接続されており、入力軸に入力される動力は、入力軸からプライマリ軸に伝達される。
上記特許文献1に開示された無段変速機構では、セカンダリ軸がプライマリ軸と間隔を空けて平行に配置されて、プライマリ軸に支持されるプライマリプーリとセカンダリ軸に支持されるセカンダリプーリとの間に無端状のベルトが巻き掛けられている。これにより、入力軸からプライマリ軸に伝達される動力は、プライマリプーリからベルトに伝達され、ベルトからセカンダリプーリに伝達される。その結果、セカンダリプーリに伝達される動力がセカンダリ軸を介して出力軸に伝達され、出力軸からデファレンシャルギヤを介して左右の駆動輪に動力が伝達される。
また、上記特許文献1には、プライマリ軸に対するプライマリ入力ギヤの回転を許容/禁止する前進クラッチや、セカンダリ軸に対するセカンダリ入力ギヤの回転を許容/禁止する後進クラッチ等のクラッチ構造が開示されている。上記特許文献1に開示されたクラッチ構造では、プライマリ軸及びセカンダリ軸の各々の中間部から径方向外側に突出するように設けられたエッジ部が、前進クラッチ及び後進クラッチの各々においてクラッチドラムの内周端部に対して径方向に沿って接続されている。
特開2021-76122号公報
一般的に、プライマリ軸及びセカンダリ軸の各々は高硬度の材料により形成されているのに対して、クラッチドラムは通常の圧延鋼板により形成されている。このため、プライマリ軸及びセカンダリ軸の各々のエッジ部が、クラッチドラムの内周端部との接続部に対してせん断荷重の起点となり得るという不都合がある。その結果、クラッチドラムの破損や疲労破壊につながるおそれがあるという問題点がある。
本発明は、上記問題点を解消すべくなされたものであって、クラッチドラムの耐久性を向上することが可能な変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、次のように構成されている。
(1)本発明による変速機は、駆動源から伝達される動力により駆動される駆動軸と、前記駆動軸に固定されクラッチを構成するクラッチドラムとを備え、前記クラッチドラムは、前記駆動軸に対して接続される内周端部と、複数のクラッチプレートが保持される外周端部と、前記外周端部から前記内周端部に亘って前記駆動軸の径方向に拡がる面状の面状部と、を有し、前記内周端部において前記駆動軸に対して接続されており、前記駆動軸は、前記クラッチドラムとの接続部において、前記面状部に対して面接触する面接触部と、前記面状部の内周縁に対して接触する内周縁接触部とを有しており、前記面状部が、前記クラッチの動作に伴って軸線方向に作用する押圧力を受ける第一の面と、前記第一の面とは反対側において前記面接触部と接触する第二の面とを有しており、前記第二の面において前記面接触部の端部に臨む部分に、前記第一の面側に向けて凹状に形成された凹部が設けられていること、を特徴とする。
上記本発明による変速機によれば、クラッチドラムの第二の面において面接触部の端部に臨む部分に凹部を設けることによって、駆動軸とクラッチドラムとの接続部に対してせん断荷重が与えられないように、荷重を分散させることができる。すなわち、駆動源の駆動やクラッチの動作に伴ってクラッチドラムの外周端部から入力される応力(駆動軸及びクラッチドラムに対して向かい合う力)や、駆動軸とクラッチドラムとの接続部に発生する応力(駆動軸及びクラッチドラムを引き離す力)を分散させることができる。これにより、クラッチドラムの破損を防止することができるとともに、クラッチドラムの第二の面に疲労破壊の起点となり得るへこみが発生することを抑制することができる。その結果、クラッチドラムの耐久性を向上することができる。また、クラッチドラムの第二の面に凹部を設ける際に、追加加工を必要とせずに、現状の工程内で加工を行うことができる。
また、上記本発明による変速機によれば、クラッチドラムの破損という走行不能に陥る重大な故障に対して、凹状に形成された凹部という簡易な形状により発生原因が除去されるため、クラッチドラムに対して根本的な破損防止を講じることができる。また、上記本発明による変速機によれば、駆動軸側の面取形状を変更する方法と比較して、クラッチドラムが被切削性に優れているため、より低コストで破損を防止することができる。
(2)本発明による変速機において、好ましくは、前記クラッチドラムは、前記駆動軸に対して硬度の低い材料により形成されていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、クラッチドラムが駆動軸に対して硬度の低い材料により形成されているため、クラッチドラムの第二の面に凹部を加工し易くすることができる。このため、加工性を向上させることができるため、駆動軸を加工する場合と比較して、コストを低下させることができる。また、上記本発明による変速機によれば、クラッチドラムの材質の硬度を向上させる方法と比較して、クラッチプレート等のクラッチドラムと組み合わされる部品の変更を必要とせず、クラッチドラム単体で対策が完結するため、より低コストで破損防止が可能となる。
(3)上記クラッチドラムが駆動軸に対して硬度の低い材料により形成されている構成において、好ましくは、前記駆動軸は、浸炭により形成されており、前記クラッチドラムは、圧延鋼板により形成されていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、クラッチドラムが駆動軸に対して硬度の低い圧延鋼板により形成されているため、クラッチドラムに凹部を加工し易くすることができる。このため、加工性を向上させることができるため、浸炭により形成された駆動軸を加工する場合と比較して、コストを低下させることができる。
(4)本発明による変速機において、好ましくは、前記凹部が、前記クラッチドラムの第二の面の全周にわたって設けられており、前記クラッチドラムの凹部及び前記駆動軸の面接触部の端部は、軸線方向から見て、全周にわたって重なる位置に配置されていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、駆動軸とクラッチドラムとの接続部における全周に対してせん断荷重が与えられることを凹部によって抑制することができる。これにより、クラッチドラムの破損を効果的に防止することができるとともに、疲労破壊の起点となるへこみの発生をより抑制することができる。その結果、クラッチドラムの耐久性をより向上することができる。
(5)本発明による変速機において、好ましくは、前記駆動軸は、径方向外側に向かって突出するように設けられた拡径部を有しており、前記拡径部に、前記面接触部、及び前記内周縁接触部が設けられたものであり、前記クラッチドラムの前記面状部と前記拡径部とが、前記面状部の前記第一の面側において溶接により接続されていること、を特徴とするとよい。このように構成すれば、面状部の第一の面側から第二の面側に向けて溶接材を溶け込ませることによって、クラッチドラムと駆動軸とを溶接を用いて強固に接続固定することができる。また、上記本発明による変速機によれば、駆動軸とクラッチドラムとの溶接部は、溶接前処理として、必ず黒皮除去加工が行われるため、本発明による凹形状の凹部を採用するにあたり、従来技術からの工程変更を生じない。また、上記本発明による変速機によれば、例えば変速機に設けられたギヤからのスラスト加重等の油圧変位と逆方向の入力に対して、本発明による凹形状の凹部により、接続部に加わる応力が分散されるため、溶接溶け込み部の切欠き形状(クラッチドラムの面状部と駆動軸の拡径部とが接続される溶接部)に発生する応力を低減することができる。
本発明に係る態様によれば、クラッチドラムの耐久性を向上することが可能な変速機を提供することができる。
本実施形態に係る変速ユニット(変速機)の構成を示す断面図である。 本実施形態に係る変速ユニット(変速機)の構成を示す要部拡大図であり、図1に示す破線領域F1の拡大図である。 本実施形態に係るプライマリ軸及びクラッチドラムの接続部におけるクラッチドラムの破損防止構造を示す要部拡大図であり、図2に示す破線領域F2の拡大図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る変速ユニット(変速機)について説明する。これらの図は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではない。また、図中、同様の構成部品は、同様の符号を付して示す。
図1に示すように、変速ユニット1は、車両に搭載されて、走行用の駆動源としてのエンジン2(E/G)2が発生する動力を変速するユニットである。車両は、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)ベースのパートタイム4WD(four-wheel-drive:4輪駆動)車である。
エンジン2は、たとえば、3気筒4ストロークエンジンであり、クランクシャフトが車体の前後方向に対して縦向きになる縦置きで搭載される。エンジン2の気筒数は、3気筒に限らず、4気筒以上であってもよいし、2気筒以下であってもよい。また、エンジン2のストローク数は、4ストロークに限らず、2ストロークであってもよい。
変速ユニット1は、外殻をなすユニットケース3内に、トルクコンバータ4、CVT(Continuously Variable Transmission:無段変速機)5、及びトランスファ6を備えている。
<ユニットケース>
ユニットケース3は、トルクコンバータ4、及びCVT5を収容するトランスミッションケースと、トランスファ6を収容するトランスファケースとを含む。トランスミッションケースは、第一トランスミッションケース11、第二トランスミッションケース12、及び第三トランスミッションケース13の3分割で構成されている。トランスファケースは、第一トランスファケース14、及び第二トランスファケース15の2分割で構成されている。第一トランスミッションケース11、第二トランスミッションケース12、第三トランスミッションケース13、第一トランスファケース14、及び第二トランスファケース15は、たとえば、アルミ合金製であり、ダイカスト法によって鋳造される。
第一トランスミッションケース11、第二トランスミッションケース12、及び第三トランスミッションケース13は、前側(エンジン2側)からこの順に並べられている。第一トランスミッションケース11と第二トランスミッションケース12とがボルト16で締結され、第二トランスミッションケース12と第三トランスミッションケース13とがボルト17で締結されることにより、第一トランスミッションケース11、第二トランスミッションケース12、及び第三トランスミッションケース13は、一体化されている。
第一トランスファケース14、及び第二トランスファケース15は、前側からこの順に並べられている。第一トランスファケース14と第二トランスファケース15とは、ボルト18で締結されることにより一体化されている。そして、第一トランスファケース14がボルト19で第三トランスミッションケース13に締結されることにより、トランスミッションケース、及びトランスファケースは、一体化されている。
<トルクコンバータ>
トルクコンバータ4は、第一トランスミッションケース11内に収容されている。トルクコンバータ4は、フロントカバー21、ポンプインペラ22、タービンハブ23、タービンランナ24、ロックアップ機構25、及びステータ26を備えている。
フロントカバー21は、車両(車体)の前後方向に延びる回転軸線を中心に略円板状に延び、その外周端部がエンジン2側と反対側(後述する無段変速機構42側)である後側に屈曲した形状をなしている。フロントカバー21の中心部は、前側に膨出している。この膨出した部分には、エンジン2のクランクシャフトが相対回転不能に結合される。
ポンプインペラ22は、フロントカバー21の後側に配置されている。ポンプインペラ22の外周端部は、フロントカバー21の外周端部に接続され、回転軸線を中心にフロントカバー21と一体回転可能に設けられている。ポンプインペラ22の内面には、複数のブレード27が放射状に並べて配置されている。
タービンハブ23は、フロントカバー21とポンプインペラ22との間に配置されている。
タービンランナ24は、タービンハブ23に固定されている。タービンランナ24のポンプインペラ22との対向面には、複数のブレード28が放射状に並べて配置されている。
ロックアップ機構25は、ロックアップピストン31、及びダンパ機構32を備えている。
ロックアップピストン31は、略円環板状をなし、その内周端部がタービンハブ23に外嵌されて、フロントカバー21とタービンランナ24との間に位置している。ロックアップピストン31に対してタービンランナ24側の係合側油室33の油圧がフロントカバー21側の解放側油室34の油圧よりも高いと、その差圧により、ロックアップピストン31がフロントカバー21側に移動する。そして、ロックアップピストン31がフロントカバー21に押し付けられると、ポンプインペラ22とタービンランナ24とが直結(ロックアップオン)される。逆に、解放側油室34の油圧が係合側油室33の油圧よりも高いと、その差圧により、ロックアップピストン31がタービンランナ24側に移動する。ロックアップピストン31がフロントカバー21から離間した状態では、ポンプインペラ22とタービンランナ24との直結が解除(ロックアップオフ)される。
ダンパ機構32は、ポンプインペラ22とタービンランナ24との直結時にエンジン2からの振動を減衰するための機構である。
ステータ26は、ポンプインペラ22とタービンランナ24との間に配置されている。
ロックアップオフの状態において、エンジントルクによりポンプインペラ22が回転すると、ポンプインペラ22からタービンランナ24に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ24のブレード28で受けられて、タービンランナ24が回転する。このとき、トルクコンバータ4の増幅作用が生じ、タービンランナ24には、エンジントルクよりも大きなトルクが発生する。
<CVT>
CVT5は、第二トランスミッションケース12、及び第三トランスミッションケース13内に収容されている。CVT5は、入力軸41、無段変速機構42、出力軸43、及びリバース伝達機構44を備えている。変速ユニット1は、エンジン2の後側に、CVT5の入力軸41が車両の前後方向に延びる縦向きとなる縦置きで配置されている。
入力軸41は、中空軸に形成されて、トルクコンバータ4の回転軸線上を延びている。入力軸41の前端部は、トルクコンバータ4内に挿入されて、タービンハブ23とスプライン嵌合している。
なお、以下の説明において、入力軸41の軸線が延びる方向を「軸線方向」という。また、軸線方向と直交する方向、つまり入力軸41の径方向を「軸径方向」という。
入力軸41の後端部は、第二トランスミッションケース12内に配置された機械式のオイルポンプ45に回転可能に支持されている。具体的には、オイルポンプ45は、ポンプケース46と、ポンプケース46に後側から接合されるポンプカバー47と、ポンプケース46内のスペースに配置されるポンプギヤ48と、ポンプギヤ48に相対回転不能に結合されるポンプ軸49とを備えている。ポンプカバー47は、第二トランスミッションケース12に固定され、ポンプケース46内のスペースを後側から閉鎖している。ポンプケース46の前端部には、後側に略円柱状に凹んだ凹部51が形成されている。入力軸41の後端部は、凹部51内に挿入されて、入力軸41の周面と凹部51の内周面との間に介在されるベアリング52を介してポンプケース46に回転可能に支持されている。
ポンプ軸49は、ポンプケース46、及びポンプカバー47を貫通して設けられている。ポンプ軸49は、ポンプケース46から前側に延び、入力軸41にその内周面との間に隙間を空けて挿通されている。ポンプ軸49の前端部は、トルクコンバータ4のフロントカバー21に達し、そのフロントカバー21の中心部に相対回転不能に接続されている。これにより、エンジン2の動力によりフロントカバー21が回転すると、フロントカバー21と一体にポンプ軸49、及びポンプギヤ48が回転し、オイルポンプ45から油圧が発生する。
無段変速機構42は、プライマリ軸54、セカンダリ軸55、プライマリプーリ56、セカンダリプーリ57、及びベルト58を備えている。
プライマリ軸54は、第一トランスミッションケース11と第二トランスミッションケース12との間において、入力軸41に対して車両の後側から見て右下方に離間した位置で、入力軸41と平行に延び、その軸心まわりに回転可能に設けられている。
セカンダリ軸55は、第一トランスミッションケース11と第二トランスミッションケース12との間において、入力軸41の軸心に対して車両の後側から見て左上方に離間した位置で入力軸41と平行に延び、その軸心まわりに回転可能に設けられている。
プライマリプーリ56は、プライマリ軸54に固定されたプライマリ固定シーブ61と、プライマリ固定シーブ61にベルト58を挟んで対向配置され、プライマリ軸54に軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持されたプライマリ可動シーブ62とを備えている。プライマリ可動シーブ62は、プライマリ固定シーブ61に対して前側に配置されている。プライマリ可動シーブ62に対してプライマリ固定シーブ61側と反対側、つまり前側には、シリンダ63が設けられ、プライマリ可動シーブ62とシリンダ63との間には、油圧室(ピストン室)64が形成されている。
セカンダリプーリ57は、セカンダリ軸55に固定されたセカンダリ固定シーブ65と、セカンダリ固定シーブ65にベルト58を挟んで対向配置され、セカンダリ軸55に軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持されたセカンダリ可動シーブ66とを備えている。セカンダリ可動シーブ66は、セカンダリ固定シーブ65に対して後側に配置されている。セカンダリ可動シーブ66に対してセカンダリ固定シーブ65と反対側、つまり後側には、ピストン67が設けられ、セカンダリ可動シーブ66とピストン67との間には、油圧室68が形成されている。
ベルト58は、無端状に形成され、プライマリ固定シーブ61とプライマリ可動シーブ62との間に挟まれた状態でプライマリプーリ56に巻き掛けられるとともに、セカンダリ固定シーブ65とセカンダリ可動シーブ66との間に挟まれた状態でセカンダリプーリ57に巻き掛けられている。
無段変速機構42では、プライマリプーリ56、及びセカンダリプーリ57の各油圧室64,68に供給される油圧が制御されて、プライマリプーリ56、及びセカンダリプーリ57の各溝幅が変更されることにより、ベルト変速比(プライマリプーリ56とセカンダリプーリ57とのプーリ比)が一定の変速比範囲内で連続的に無段階で変更される。
具体的には、ベルト変速比が小さくされるときには、プライマリプーリ56の油圧室64に供給される油圧が上げられる。これにより、プライマリプーリ56のプライマリ可動シーブ62がプライマリ固定シーブ61側に移動し、プライマリ固定シーブ61とプライマリ可動シーブ62との間隔(溝幅)が小さくなる。これに伴い、プライマリプーリ56に対するベルト58の巻き掛け径が大きくなり、セカンダリプーリ57のセカンダリ固定シーブ65とセカンダリ可動シーブ66との間隔(溝幅)が大きくなる。その結果、ベルト変速比が小さくなる。
ベルト変速比が大きくされるときには、プライマリプーリ56の油圧室64に供給される油圧が下げられる。これにより、ベルト58に対するセカンダリプーリ57の推力がベルト58に対するプライマリプーリ56の推力よりも大きくなり、セカンダリプーリ57のセカンダリ固定シーブ65とセカンダリ可動シーブ66との間隔が小さくなるとともに、プライマリ固定シーブ61とプライマリ可動シーブ62との間隔が大きくなる。その結果、ベルト変速比が大きくなる。
セカンダリプーリ57の油圧室68には、バイアススプリング69が設けられている。バイアススプリング69は、一端がセカンダリ可動シーブ66に弾性的に当接し、他端がピストン67に弾性的に当接している。バイアススプリング69の弾性力により、セカンダリ可動シーブ66、及びピストン67が互いに離間する方向に付勢されている。セカンダリ可動シーブ66には、油圧室68内の油圧、及びバイアススプリング69による付勢力が付与され、ベルト58には、それに応じた挟圧が付与される。
また、入力軸41には、軸線方向の中央部に、入力軸ギヤ81が一体に形成されている。これに対応して、プライマリ軸54には、入力軸ギヤ81と噛合するプライマリ入力ギヤ82が相対回転可能に支持されている。これらの互いに噛合する入力軸ギヤ81、及びプライマリ入力ギヤ82とオイルポンプ45との間のスペースを利用して、プライマリ軸54に対するプライマリ入力ギヤ82の回転を許容/禁止する前進クラッチ83が設けられている。前進クラッチ83の一部は、オイルポンプ45と軸径方向に重なっている(軸線方向に見て重なっている)。
前進クラッチ83は、クラッチドラム84、クラッチハブ85、及びクラッチピストン86を備えている。クラッチドラム84は、後述する内周端部841(図3参照)がインターミディエイトシャフト540に固定され、インターミディエイトシャフト540から軸径方向に延び、後述する外周端部842(図3参照)がプライマリ入力ギヤ82側、つまり前側に屈曲して延びている。インターミディエイトシャフト540は、プライマリ軸54におけるエンジン2側に設けられている。クラッチハブ85は、プライマリ入力ギヤ82と一体に形成され、プライマリ入力ギヤ82から後側に延出する円筒状をなし、クラッチドラム84の外周端部に対して軸径方向の内側から間隔を空けて対向している。クラッチピストン86は、クラッチドラム84とクラッチハブ85との間に、軸線方向に移動可能に設けられている。クラッチピストン86は、クラッチドラム84に液密的に当接しており、クラッチドラム84とクラッチピストン86との間には、クラッチピストン86に作用する油圧が供給される油圧室87が形成されている。また、クラッチピストン86は、リターンスプリング88により、後側に弾性的に付勢されている。
図1及び図2に示すように、クラッチドラム84の外周端部842とクラッチハブ85とに軸径方向に挟まれる空間において、クラッチドラム84に保持されるクラッチディスク84bとクラッチハブ85に保持されるクラッチプレート84aとが軸線方向に交互に並んでいる。油圧室87に供給される油圧により、クラッチピストン86が前側に移動してクラッチプレート84aを後側から押圧すると、クラッチプレート84aとクラッチディスク84bとが圧接し、前進クラッチ83が係合する。前進クラッチ83の係合により、プライマリ軸54に対するプライマリ入力ギヤ82の回転が禁止され、プライマリ入力ギヤ82が回転すると、プライマリ軸54がプライマリ入力ギヤ82と一体に回転する。前進クラッチ83の係合状態から油圧が開放されると、リターンスプリング88の付勢力により、クラッチピストン86が後側に移動し、クラッチディスク84bとクラッチプレート84aとの圧接が解除されて、前進クラッチ83が解放される。前進クラッチ83の解放により、プライマリ軸54に対するプライマリ入力ギヤ82の回転が許容され、プライマリ入力ギヤ82が回転しても、その回転がプライマリ軸54に伝達されない。
ここで、本実施形態に係る変速ユニット1におけるクラッチドラム破損防止構造について、詳細に説明する。
図2及び図3に示すように、インターミディエイトシャフト540とクラッチドラム84とは、接続部Xにおいて接続されている。この接続部Xには、エンジン2の駆動による油圧の変位や前進クラッチ83の動作等に伴って、互いに近接する方向及び離間する方向に沿って力が発生する。なお、インターミディエイトシャフト540は、本発明の「駆動軸」の一例である。
図3に示すように、インターミディエイトシャフト540は、軸中心から軸径方向外側に向かって突出するように設けられた拡径部541を有している。拡径部541には、第一側面部542と、非接触部543と、面接触部544と、内周縁接触部545と、第二側面部546とが設けられている。第一側面部542、非接触部543、面接触部544、内周縁接触部545、及び第二側面部546は、エンジン2側から出力軸43(図1参照)側に沿ってこの順で配置されている。
第一側面部542及び第二側面部546は、それぞれ、インターミディエイトシャフト540の軸中心から軸径方向外側に向かって延びている。
非接触部543は、第一側面部542の軸径方向外側の端部に接続されている。非接触部543は、軸線方向に沿って延びている。
面接触部544は、非接触部543における軸線方向の出力軸43側の端部に接続されている。面接触部544は、軸径方向に沿って延びている。面接触部544は、クラッチドラム84との接続部Xにおいて、後述するクラッチドラム84の面状部843の第二の面845に対して軸径方向に沿って面接触している。
内周縁接触部545は、面接触部544における軸径方向内側の端部に接続されている。内周縁接触部545は、軸線方向に沿って延びている。内周縁接触部545は、クラッチドラム84との接続部Xにおいて、後述するクラッチドラム84の面状部843の内周縁846に対して軸線方向に沿って面接触している。
非接触部543における軸線方向の長さは、面接触部544における軸径方向の長さ、及び内周縁接触部545における軸線方向の長さよりも小さい。面接触部544における軸径方向の長さは、内周縁接触部545における軸線方向の長さよりも小さい。なお、上述した寸法関係は一例であるため、上述した寸法は適宜設定可能である。
クラッチドラム84は、内周端部841と、外周端部842(図2参照)と、面状部843とを有している。内周端部841は、接続部Xにおいて、インターミディエイトシャフト540の拡径部541に対して接続されている。外周端部842は、上述のように複数のクラッチディスク84b(図2参照)を保持している。面状部843は、外周端部842から内周端部841に亘ってインターミディエイトシャフト540の軸径方向に沿って面状に拡がっている。
面状部843は、第一の面844と、第二の面845とを有している。第一の面844及び/又は第二の面845は、エンジン2の駆動による油圧の変位や前進クラッチ83の動作等に伴って軸線方向に作用する押圧力を受ける面である。
クラッチドラム84の第一の面844、及びインターミディエイトシャフト540の第二側面部546は、それぞれ軸線方向における位置が略同一になるように配置されている。クラッチドラム84の第二の面845は、第一の面844とは反対側(エンジン2側)において、インターミディエイトシャフト540の面接触部544と接触している。
クラッチドラム84の内周端部841における軸径方向内側の端部には、内周縁846が設けられている。内周縁846は、軸線方向に沿って延びている。内周縁846は、インターミディエイトシャフト540の内周縁接触部545と軸線方向に沿って接触している。内周縁846における軸線方向の長さは、インターミディエイトシャフト540の内周縁接触部545における軸線方向の長さと略同じである。
インターミディエイトシャフト540及びクラッチドラム84は、クラッチドラム84の面状部843の第一の面844側において溶接部Wにより接続されている。インターミディエイトシャフト540とクラッチドラム84とが溶接により接続される際には、溶接材がインターミディエイトシャフト540の内周縁接触部545とクラッチドラム84の面状部843の内周縁846との間を介して、インターミディエイトシャフト540の面接触部544とクラッチドラム84の第二の面845との間に溶け込むことにより接続される。
ここで、本実施形態では、クラッチドラム84の第二の面845には、凹部845aが設けられている。具体的には、第二の面845において面接触部544の端部544aに臨む部分に、第一の面844側に向けて凹状に形成された凹部845aが設けられている。凹部845aは、クラッチドラム84の第二の面845の全周にわたって設けられている。第二の面845に設けられた凹部845aと、インターミディエイトシャフト540の非接触部543とは、軸線方向から見て、全周にわたって重なる位置に配置されている。
インターミディエイトシャフト540の非接触部543と面接触部544との境界部分には、エッジ部547が形成されている。エッジ部547は、インターミディエイトシャフト540の拡径部541の端部544aの全周にわたって形成されている。エッジ部547が、クラッチドラム84の凹部845aと軸線方向に沿って対向するように配置されている。これにより、インターミディエイトシャフト540とクラッチドラム84との接続部Xに対して軸線方向に沿った応力が発生した際に、インターミディエイトシャフト540のエッジ部547がクラッチドラム84の第二の面845に対してエッジロードとなることを回避することが可能となる。
また、クラッチドラム84は、インターミディエイトシャフト540に対して硬度の低い材料により形成されている。具体的には、インターミディエイトシャフト540は、浸炭により形成されている。クラッチドラム84は、圧延鋼板により形成されている。
また、図1に示すように、セカンダリ軸55には、セカンダリ入力ギヤ91が相対回転可能に支持されている。セカンダリ入力ギヤ91は、軸線方向において、入力軸ギヤ81とオイルポンプ45との間に配置されている。また、セカンダリ入力ギヤ91とオイルポンプ45との間のスペースを利用して、セカンダリ軸55に対するセカンダリ入力ギヤ91の回転を許容/禁止する後進クラッチ92が設けられている。後進クラッチ92の一部は、オイルポンプ45と軸径方向に重なっている(軸線方向に見て重なっている)。
後進クラッチ92は、クラッチドラム93、クラッチハブ94、及びクラッチピストン95を備えている。クラッチドラム93は、内周端部がインターミディエイトシャフト550に固定され、インターミディエイトシャフト550から軸径方向に延び、外周端部がセカンダリ入力ギヤ91側、つまり前側に屈曲して延びている。インターミディエイトシャフト550は、セカンダリ軸55におけるエンジン2側に設けられている。クラッチハブ94は、セカンダリ入力ギヤ91と一体に形成され、セカンダリ入力ギヤ91から後側に延出する円筒状をなし、クラッチドラム93の外周端部に対して軸径方向内側から間隔を空けて対向している。クラッチピストン95は、クラッチドラム93とクラッチハブ94との間に、軸線方向に移動可能に設けられている。クラッチピストン95は、クラッチドラム93に液密的に当接しており、クラッチドラム93とクラッチピストン95との間には、クラッチピストン95に作用する油圧が供給される油圧室96が形成されている。また、クラッチピストン95は、リターンスプリング97により、後側に弾性的に付勢されている。
クラッチドラム93の外周端部とクラッチハブ94とに軸径方向に挟まれる空間において、クラッチドラム93に保持されるクラッチプレートとクラッチハブ94に保持されるクラッチディスクとが軸線方向に交互に並んでいる。油圧室96に供給される油圧により、クラッチピストン95が前側に移動してクラッチプレートを後側から押圧すると、クラッチプレートとクラッチディスクとが圧接し、後進クラッチ92が係合する。後進クラッチ92の係合により、セカンダリ軸55に対するセカンダリ入力ギヤ91の回転が禁止され、セカンダリ入力ギヤ91が回転すると、セカンダリ軸55がセカンダリ入力ギヤ91と一体に回転する。後進クラッチ92の係合状態から油圧が開放されると、リターンスプリング97の付勢力により、クラッチピストン95が後側に移動し、クラッチディスクとクラッチプレートとの圧接が解除されて、後進クラッチ92が解放される。後進クラッチ92の解放により、セカンダリ軸55に対するセカンダリ入力ギヤ91の回転が許容され、セカンダリ入力ギヤ91が回転しても、その回転がセカンダリ軸55に伝達されない。
なお、本実施形態では、クラッチドラム93及びセカンダリ軸55の構造についても、上記したクラッチドラム84及びインターミディエイトシャフト540と同様のクラッチドラム破損防止構造が適用される。
また、出力軸43は、入力軸41に対して後側に間隔を空けて、入力軸41と同一軸線上に配置されている。言い換えれば、入力軸41と出力軸43とは、軸線方向に間隔を空けてそれぞれ前後に、車両の前後方向に沿った縦向きに延びる共通の軸線を有するように配置されている。出力軸43には、出力軸ギヤ101が一体に形成されている。これに対応して、セカンダリ軸55には、出力軸ギヤ101と噛合するセカンダリ出力ギヤ102が相対回転不能に支持されている。
リバース伝達機構44は、入力軸41の動力(回転)をセカンダリ入力ギヤ91に伝達する機構である。リバース伝達機構44には、リバースアイドラ軸103、第一リバースギヤ104、及び第二リバースギヤ105が含まれる。リバースアイドラ軸103は、軸線方向に延び、第一トランスミッションケース11と第二トランスミッションケース12とに跨がって、第一トランスミッションケース11、及び第二トランスミッションケース12に回転可能に支持されている。第一リバースギヤ104は、リバースアイドラ軸103と一体に形成されて、入力軸ギヤ81と噛合している。第二リバースギヤ105は、第一リバースギヤ104の後側において、リバースアイドラ軸103と一体に形成され、セカンダリ入力ギヤ91と噛合している。
<トランスファ>
トランスファ6は、出力軸43の動力(回転)を車両の前輪に伝達する機構である。トランスファ6には、伝達軸111、第一スプロケット112、第二スプロケット113、及びチェーン114が含まれる。
伝達軸111は、出力軸43に対して軸径方向に間隔を空けた位置で、出力軸43と平行をなして、第一トランスファケース14と第二トランスファケース15とに跨がって延びている。伝達軸111の後端部には、ボールベアリング116の内輪が圧入により固定されている。また、伝達軸111には、ボールベアリング116から前側に間隔を空けた位置に、ボールベアリング117の内輪が圧入により固定されている。そして、ボールベアリング116の外輪が第二トランスファケース15に固定的に保持され、ボールベアリング117の外輪が第一トランスファケース14に固定的に保持されることにより、伝達軸111は、第一トランスファケース14、及び第二トランスファケース15に回転可能に支持されている。
第一スプロケット112は、第一トランスファケース14、及び第二トランスファケース15に回転可能に支持されて、出力軸43に相対回転可能に外嵌されている。具体的には、第一スプロケット112は、出力軸43の周囲を取り囲む略円環板状のスプロケット部121と、スプロケット部121の内周部から前側に延出する前側延出部122と、スプロケット部121の内周部から後側に延出する後側延出部123とを一体に有している。スプロケット部121の外周部には、複数の歯が周方向に等間隔で形成されている。前側延出部122には、ボールベアリング124の内輪が圧入により外嵌されている。また、後側延出部123には、ボールベアリング125の内輪が圧入により外嵌されている。そして、ボールベアリング124の外輪が第一トランスファケース14に固定的に保持され、ボールベアリング125の外輪が第二トランスファケース15に固定的に保持されている。これにより、第一スプロケット112は、出力軸43に相対回転可能に外嵌された状態で、ボールベアリング124,125を介して、第一トランスファケース14、及び第二トランスファケース15に回転可能に支持されている。
第二スプロケット113は、ボールベアリング116及び117の間において、伝達軸111と一体に、伝達軸111から軸径方向に張り出す略円環板状に形成されている。第二スプロケット113の外周部には、複数の歯が周方向に等間隔で形成されている。
チェーン114は、無端状に形成され、第一スプロケット112のスプロケット部121、及び第二スプロケット113に巻き掛けられている。
4WDクラッチ115は、CVT5が収容されるケース内に収容されている。4WDクラッチ115は、第一スプロケット112の前側に設けられている。4WDクラッチ115は、クラッチドラム131、クラッチハブ132、クラッチピストン133、及びキャンセラ134を備えている。
出力軸43には、出力軸ギヤ101と第一スプロケット112との間に、略円筒状の筒状部材135が外嵌されて固定されている。筒状部材135と第一スプロケット112との間には、間隔が空けられている。筒状部材135の軸線方向の中央部であって、セカンダリ軸55の後端部と軸径方向に対向する位置には、軸径方向に張り出す鍔状の接続部136が筒状部材135と一体に形成されている。
クラッチドラム131は、出力軸43の軸線を中心に回転対称に形成され、軸線方向に見て、筒状部材135の接続部136の全周を取り囲む略円環形状をなしている。クラッチドラム131の内周端部は、接続部136に固定されている。クラッチドラム131は、内周端部から軸線方向と交差する方向に延び、セカンダリ軸55を後側に越え、セカンダリ軸55に対して軸線方向に後側から対向する位置で後側に屈曲して、その位置から軸線方向に延びている。言い換えれば、クラッチドラム131は、接続部136から後側に向けて拡径する拡径部137と、拡径部137の後端(外周端)から軸線方向の後側に延びる略円筒状の円筒状部138とを一体に有しており、拡径部137の前端部は、セカンダリ軸55の後端部に対して軸径方向に対向し、円筒状部138は、セカンダリ軸55に対して軸線方向に後側から対向している。また、クラッチドラム131の軸線方向に延びる部分、つまり円筒状部138は、第一スプロケット112の前側延出部122と軸径方向に対向している。円筒状部138の内周面には、複数のクラッチディスク153が軸線方向に間隔を空けて並べて保持されている。
第一スプロケット112と筒状部材135との間には、支持部材141が設けられている。支持部材141は、出力軸43を取り囲む略円筒状の外嵌部142と、外嵌部142の前端部から軸径方向に延出する鍔状(円環板状)の鍔状部143とを一体的に有している。外嵌部142は、第一スプロケット112の前側延出部122と出力軸43との間に進入し、第一スプロケット112の前側延出部122は、外嵌部142、及びクラッチドラム131の円筒状部138と軸径方向に対向している。外嵌部142の外周面は、第一スプロケット112の前側延出部122の内周面とスプライン嵌合により相対回転不能に結合されている。外嵌部142の内周面は、出力軸43の周面と密着しておらず、出力軸43の外周面と外嵌部142の内周面との間には、微小な隙間が生じている。これにより、支持部材141は、第一スプロケット112との間で相対的な回転が不能であり、かつ、出力軸43との間で相対的な回転が可能である。筒状部材135と支持部材141との間には、それらの相対回転時のメカニカルロスを低減するため、スラストベアリング144が介在されている。
クラッチハブ132は、出力軸43の軸線を中心に回転対称に形成され、軸線方向に見て、支持部材141の鍔状部143の全周を取り囲む略円環形状をなしている。クラッチハブ132の内周端部は、鍔状部143に固定されている。クラッチハブ132は、鍔状部143から軸径方向の外側に延び、クラッチドラム131の円筒状部138に対して軸径方向の内側に間隔を空けた位置で後側に屈曲して、その位置から軸線方向に延びている。言い換えれば、クラッチハブ132は、鍔状部143から周囲に延出する略円環板状の円環板状部151と、円環板状部151の外周端から軸線方向の後側に延びる略円筒状の円筒状部152とを一体に有しており、円筒状部152は、クラッチドラム131の円筒状部138に対して軸径方向の内側に配置されて、その円筒状部138とともに二重円筒状をなしている。円筒状部152の外周面には、複数のクラッチプレート139が軸線方向に間隔を空けて並べて保持されている。クラッチプレート139とクラッチディスク153とは、軸線方向に交互に並べられている。
クラッチピストン133は、クラッチドラム131とクラッチハブ132との間に、軸線方向に移動可能に設けられている。クラッチピストン133は、筒状部材135から屈曲を繰り返しつつクラッチプレート139に向けて延びている。クラッチピストン133の途中部分には、シール部材154が設けられており、クラッチピストン133の位置にかかわらず、シール部材154がクラッチドラム131に液密的に当接する。これにより、クラッチドラム131とクラッチピストン133との間には、クラッチピストン133に作用する油圧が供給される油圧室155が形成されている。
キャンセラ134は、クラッチハブ132とクラッチピストン133との間に設けられている。キャンセラ134は、略円環板状に形成されている。キャンセラ134の内周端部は、筒状部材135に固定されている。キャンセラ134の外周端には、シール部材156が設けられており、このシール部材156は、クラッチピストン133の位置にかかわらず、クラッチピストン133に当接する。クラッチピストン133とキャンセラ134との間には、リターンスプリング157が介在されている。このリターンスプリング157の付勢力(弾性力)により、クラッチピストン133とキャンセラ134とは、互いに離間する方向に弾性的に付勢されている。
クラッチピストン133は、油圧室155に供給される油圧により、クラッチプレート139側に移動し、クラッチプレート139を押圧する。この押圧により、クラッチプレート139とクラッチディスク153とが圧接し、4WDクラッチ115が係合する。4WDクラッチ115の係合により、クラッチドラム131とクラッチハブ132との相対回転が阻止されて、支持部材141が出力軸43、及び筒状部材135と一体に回転し、支持部材141と一体に第一スプロケット112が回転する。第一スプロケット112の回転(動力)は、チェーン114を介して第二スプロケット113に伝達され、第二スプロケット113を第一スプロケット112と同方向に回転させる。そして、第二スプロケット113と一体に、伝達軸111が回転する。
4WDクラッチ115の係合状態から油圧室155の油圧が解放されると、リターンスプリング157の付勢力により、クラッチピストン133がキャンセラ134から離間する方向に移動し、クラッチピストン133によるクラッチプレート139の押圧が解除される。その結果、クラッチプレート139とクラッチディスク153との圧接が解除されて、4WDクラッチ115が解放される。4WDクラッチ115の解放により、クラッチドラム131とクラッチハブ132との相対回転が許容される。そのため、出力軸43、及び筒状部材135が回転しても、その回転は、支持部材141、及び第一スプロケット112に伝達されず、それゆえ、第一スプロケット112からチェーン114、及び第二スプロケット113を介して伝達軸111にも伝達されない。
<油供給構造>
第二トランスミッションケース12の底部には、バルブボディ191が設けられている。バルブボディ191には、変速ユニット1の各部へのオイルの供給を制御するための各種のバルブを含む油圧回路が形成されている。また、第二トランスミッションケース12の底部には、ストレーナ192が設けられている。ストレーナ192は、バルブボディ191と横並びで配置される本体部193と、本体部193から延出し、その先端部がバルブボディ191の下側に配置される管部194とを備えている。また、第二トランスミッションケース12には、オイルパン195が下側から複数のボルト196で固定されている。ストレーナ192の管部194の先端部は、オイルパン195の中央部に位置しており、その先端部の下面は、オイルパン195内に貯留されるオイルを吸い込むためのオイル吸込口197として開口している。
オイルポンプ45のポンプギヤ48の回転により吸引力が発生し、その吸引力により、オイルパン195に貯留されているオイルがオイル吸込口197から管部194内に吸い込まれる。管部194内に吸い込まれたオイルは、管部194内を本体部193に向けて流れ、本体部193内に設けられた濾過材を通過する。オイルが濾過材を通過することにより、オイル中に含まれる異物が濾過材に捕獲されて、オイル中から異物が除去される。濾過材を通過したオイルは、バルブボディ191に供給される。そして、バルブボディ191から無段変速機構42などのオイルの供給を必要とする各部に作動油または潤滑油としてオイルが供給される。
上記説明した実施形態によれば、以下の効果(1)~(4)を得ることができる。
(1)上記実施形態による変速ユニット1では、第二の面845において面接触部544の端部に臨む部分に、第一の面844側に向けて凹状に形成された凹部845aを設けた。上記実施形態によれば、クラッチドラム84の第二の面845に凹部845aを設けることによって、インターミディエイトシャフト540とクラッチドラム84との接続部Xに対してせん断荷重が与えられないように、荷重を分散させることができる。すなわち、エンジン2の駆動やクラッチの動作に伴ってクラッチドラム84の外周端部842から入力される応力(インターミディエイトシャフト540及びクラッチドラム84に対して向かい合う力)や、インターミディエイトシャフト540とクラッチドラム84との接続部Xに発生する応力(インターミディエイトシャフト540及びクラッチドラム84を引き離す力)を分散させることができる。これにより、クラッチドラム84の破損を防止することができるとともに、クラッチドラム84の第二の面845に疲労破壊の起点となり得るへこみが発生することを抑制することができる。その結果、クラッチドラム84の耐久性を向上することができる。また、クラッチドラム84の第二の面845に凹部845aを設ける際に、追加加工を必要とせずに、現状の工程内で加工を行うことができる。
また、上記実施形態によれば、クラッチドラム84の破損という走行不能に陥る重大な故障に対して、凹状に形成された凹部845aという簡易な形状により発生原因が除去されるため、クラッチドラム84に対して根本的な破損防止を講じることができる。また、上記実施形態によれば、インターミディエイトシャフト540側の面取形状を変更する方法と比較して、クラッチドラム84が被切削性に優れているため、より低コストで破損を防止することができる。
(2)上記実施形態による変速ユニット1では、インターミディエイトシャフト540を浸炭により形成するとともに、クラッチドラム84を圧延鋼板により形成した。これにより、クラッチドラム84がインターミディエイトシャフト540に対して硬度の低い材料である圧延鋼板により形成されているため、クラッチドラム84の第二の面845に凹部845aを加工し易くすることができる。このため、加工性を向上させることができるため、インターミディエイトシャフト540を加工する場合と比較して、コストを低下させることができる。また、上記実施形態によれば、クラッチドラム84の材質の硬度を向上させる方法と比較して、クラッチプレート84a等のクラッチドラム84と組み合わされる部品の変更を必要とせず、クラッチドラム84単体で対策が完結するため、より低コストで破損防止が可能となる。
(3)上記実施形態による変速ユニット1では、クラッチドラム84の凹部845a及びインターミディエイトシャフト540の面接触部544の端部544aを、軸線方向から見て全周にわたって重なる位置に配置した。これにより、インターミディエイトシャフト540とクラッチドラム84との接続部Xにおける全周に対してせん断荷重が与えられることを凹部845aによって抑制することができる。このため、クラッチドラム84の破損を効果的に防止することができるとともに、疲労破壊の起点となるへこみの発生をより抑制することができる。その結果、クラッチドラム84の耐久性をより向上することができる。
(4)上記実施形態による変速ユニット1では、クラッチドラム84の面状部843と拡径部541とを面状部843の第一の面844側において溶接により接続した。これにより、面状部843の第一の面844側から第二の面845側に向けて溶接材を溶け込ませることによって、クラッチドラム84とインターミディエイトシャフト540とを溶接を用いて強固に接続固定することができる。また、上記実施形態によれば、インターミディエイトシャフト540とクラッチドラム84との溶接部Wは、溶接前処理として、必ず黒皮除去加工が行われるため、上記実施形態による凹形状の凹部845aを採用するにあたり、従来技術からの工程変更を生じない。また、上記実施形態によれば、例えば変速ユニット1に設けられたギヤからのスラスト加重等の油圧変位と逆方向の入力に対して、上記実施形態による凹形状の凹部845aにより、接続部Xに加わる応力が分散されるため、溶接溶け込み部の切欠き形状(クラッチドラム84の面状部843とインターミディエイトシャフト540の拡径部541とが接続される溶接部W)に発生する応力を低減することができる。
(変形例)
上記実施形態は、以下のように変更した構成とすることもできる。
上記実施形態では、クラッチドラムの第二の面の全周にわたって凹部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、クラッチドラムの第二の面の周方向において少なくとも一部に凹部を設けてもよい。これによっても、駆動軸とクラッチドラムとの接続部におけるせん断荷重による破損を抑制可能である。
上記実施形態では、駆動軸を浸炭により形成するとともに、クラッチドラムを圧延鋼板により形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動軸及びクラッチドラムの材料を適宜選定可能である。また、本発明では、クラッチドラムを駆動軸に対して硬度の低い材料により形成可能なように材料を選定すれば、クラッチドラムの加工を容易にすることが可能である。
上記実施形態では、駆動軸とクラッチドラムとを溶接により接続する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動軸とクラッチドラムとを溶接以外の方法により接続してもよい。
上記実施形態は、いずれも本発明の適応の例示であり、特許請求の範囲に記載の範囲内におけるその他いかなる実施形態も、発明の技術的範囲に含まれることは当然のことである。
1 :変速ユニット(変速機)
2 :エンジン(駆動源)
54 :プライマリ軸
540 :インターミディエイトシャフト(駆動軸)
541 :拡径部
544 :面接触部
544a :端部
545 :内周縁接触部
84 :クラッチドラム
84a :クラッチプレート
841 :内周端部
842 :外周端部
843 :面状部
844 :第一の面
845 :第二の面
845a :凹部
846 :内周縁
W :溶接部
X :接続部

Claims (3)

  1. 駆動源から伝達される動力により駆動される駆動軸と、
    前記駆動軸に固定されクラッチを構成するクラッチドラムとを備え、
    前記クラッチドラムは、前記駆動軸に対して接続される内周端部と、複数のクラッチプレートが保持される外周端部と、前記外周端部から前記内周端部に亘って前記駆動軸の軸径方向に拡がる面状の面状部と、を有し、前記内周端部において前記駆動軸に対して接続されており、
    前記駆動軸は、前記クラッチドラムとの接続部において、前記面状部に対して面接触する面接触部と、前記面状部の内周縁に対して接触する内周縁接触部とを有しており、
    前記面状部が、前記クラッチの動作に伴って軸線方向に作用する押圧力を受ける第一の面と、前記第一の面とは反対側において前記面接触部と接触する第二の面とを有しており、
    前記第二の面において前記面接触部の端部に臨む部分に、前記第一の面側に向けて凹状に形成された凹部が設けられていること、を特徴とする変速機。
  2. 前記凹部が、前記クラッチドラムの第二の面の全周にわたって設けられており、
    前記クラッチドラムの凹部及び前記駆動軸の面接触部の端部は、軸線方向から見て、全周にわたって重なる位置に配置されていること、を特徴とする請求項1に記載の変速機。
  3. 前記駆動軸は、軸径方向外側に向かって突出するように設けられた拡径部を有しており、
    前記拡径部に、前記面接触部、及び前記内周縁接触部が設けられたものであり、
    前記クラッチドラムの前記面状部と前記拡径部とが、前記面状部の前記第一の面側において溶接により接続されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の変速機。
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