JP7382343B2 - Mfap4に対する抗体 - Google Patents

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Description

本発明は、一般に抗体医薬およびその用途に関する。本発明は特に新規抗体、とりわけヒトミクロフィブリル関連タンパク質4(MFAP4)と結合するヒト化モノクローナル抗体に関する。
MFAP4は、潜在的なインテグリン結合性RGD配列と、これに続くフィブリノーゲン関連ドメイン(FReD)を含む短いN末端領域を含む36kDaの糖タンパク質である。このタンパク質は自然の条件下ではホモオリゴマー構造を形成する。FReD(複数)は、凝固、血管新生、組織成長やリモデリングおよび先天性免疫などの種々の機能に関与する種々のヒトタンパク質群に見られる。
MAGP-36/MFAP4は、アミノ酸組成と動脈中のECMに局在している点で、テネイシンに似たタンパク質であると最初は同定された。MAGP-36は、エラスチン、コラーゲン、またはカルバスクリンを含むECM線維と直接相互作用することがその後示された。MAGP-36と細胞インテグリン受容体との相互作用は、固定化MAGP-36に結合したヒト大動脈平滑筋細胞のRGD含有ペプチドによる阻害を用いて示された。
WO 2014/114298はMFAP4を標的とする種々の抗体(HG-HYB 7-5を含む)を開示する。
WO 2016/008498もMFAP4を標的とする抗体(HG-HYB 7-1を含む)を開示する。
WO 2014/114298 WO 2016/008498
したがって、MFAP4に対する改良された抗体が有益であり、特にMFAP4に結合する、より効率のよい、および/または信頼性のある抗体が有益である。さらに、MFAP4抗体の新規用途が有益である。
発明の概要
本発明は、ヒト化抗体を含む、MFAP4を標的とする新規抗体を提供する。これらの抗体は、MFAP4を標的とする公知の抗体と比べて異なる配列と異なる結合特性をもつ。全てのRGD依存性インテグリンがこのRGD部位と相互作用する可能性があるが、インテグリンaVb3/5が、血管リモデリング、血管新生、血管漏出および炎症の研究と高度に関連する。
本発明による抗体の医薬用途を実施例の部において記載する。
したがって、本発明の目的はMFAP4を標的とする新規リガンド(抗体)を提供することである。特にMFAP4に対するヒト化抗体を提供することが本発明の目的である。
よって、本発明の一面はMFAP4の新規エピトープに結合する抗体などのタンパク質リガンドに関する。
本発明の別の一面は、以下のものを含む、抗体などのタンパク質リガンドまたは本発明のリガンドに関する:
・配列番号9のCDR1領域、配列番号10のCDR2領域、および配列番号11のCDR3領域を含む軽鎖可変領域;および
・配列番号12のCDR1領域、配列番号13のCDR2領域、および配列番号14のCDR3領域を含む重鎖可変領域。
本発明のさらに別の一面は、以下のものを含む、抗体などのタンパク質リガンドまたは本発明のリガンドを提供する:
・配列番号1または3のアミノ酸配列、またはアミノ酸配列1または3と少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも90%の配列同一性、または少なくとも95%の配列同一性をもつ配列を含む軽鎖可変領域;および
・配列番号2または4のアミノ酸配列、またはアミノ酸配列2または4と少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも90%の配列同一性、または少なくとも95%の配列同一性をもつ配列を含む重鎖可変領域。
本発明のさらに別の一面は本発明のリガンドをコードするベクターを提供することである。
さらなる一面は本発明のリガンドを発現する細胞、および/または本発明のベクターを含む細胞に関する。
さらに別の一面は本発明のリガンド、および1以上の生理学的に受容可能な担体、賦形剤および/または希釈剤を含む組成物に関する。
さらなる一面は本発明のリガンドおよび/または本発明の組成物を医薬として用いることに関する。
さらに別の一面は本発明のリガンドまたは本発明の組成物を、哺乳動物における病理学的増殖または血管漏出または炎症または繊維症および/または関連疾患で特徴づけられる血管疾患の予防または治療に用いることに関する。
図1は、モノクローナル抗体HG Hyb 7-1 (HYB7-1)(LC=配列番号5およびHC=配列番号6)、HG Hyb 7-5(HYB7-5)(LC=配列番号7およびHC=配列番号8)、mAS0326(LC=配列番号1およびHC=配列番号2)、およびhAS0326(LC=配列番号3およびHC=配列番号4)の可変重鎖(HC)および軽鎖(LC)配列を並列させたものを示す。CDR配列を下線で示す。 図2は、競合ELISAによる抗体のエピトープマッピングを示す。0.5μg/mlの固定濃度でビオチニル化したA)HG HYB 7-5(ビオチンHYB7-5)、B)hAS0326(ビオチンhAS0426)およびC)mAS0326(b mAS0326)を、20μg/mlから2倍希釈した非標識IgGイソタイプ対照、HG HYB 7-18(HYB7-18),HG HYB 7-5(HYB7-5)、hAS0326およびmAS0326と混合した。得られる結合パターンは、関心のあるビオチニル化モノクローナル抗体の固定化された標的組換えMFAP4への結合が同じ非標識モノクローナル抗体によって阻害されたことを示す。HG Hyb 7-5のみがHG HYB 7-5と標的との相互作用を阻害できた。これとは対照的に、mAS0326はhAS0326の標的への結合を阻害でき、また逆も同様であった。 図3は、ビオチニル化モノクローナル抗体(Mab)hAS0326(ビオチンhAS0326)、mAS0326(ビオチンmAS0326)およびHG HYB 7-5(ビオチンHYB 7-5)の、A)組換えヒトMFAP4、B)AAAに変異させたRGDインテグリン結合モチーフをもつ組換えヒトMFAP4、およびC)組換えマウスMFAP4との結合を示す。 図4は、HG HYB 7-5、mAS0326およびhAS0326のマウス血清MFAP4およびヒト血清MFAP4との結合を示す。MFAP4欠失マウス(MFAP4 KO)から得た血清を陰性対照として含めた。マイクロタイタープレートをA)HG HYB 7-5、B)mAS0326およびC)hAS0326で被覆した。ビオチニル化HG HYB 7-18を検出抗体として用いた。 図5は、溶液中の抗体凝集を示す。hAS0326およびmAS0326を所定濃度(7.4 mg/ml-67 mg/ml)に濃縮した後、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を行った。A)44 mg/mlに濃縮したmAS0326および67 mg/mlに濃縮したhAS0326のSECクロマトグラム。B)試験したすべての濃度についてのSECクロマトグラムの拡大表示。C)還元状態(R)および非還元状態(UR)における、3μg/レーンのhAS0326およびmAS0326のSDS-PAGEおよびクマシー染色を用いた純度試験(M=MWマーカー)。 図5は、溶液中の抗体凝集を示す。hAS0326およびmAS0326を所定濃度(7.4 mg/ml-67 mg/ml)に濃縮した後、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を行った。A)44 mg/mlに濃縮したmAS0326および67 mg/mlに濃縮したhAS0326のSECクロマトグラム。B)試験したすべての濃度についてのSECクロマトグラムの拡大表示。C)還元状態(R)および非還元状態(UR)における、3μg/レーンのhAS0326およびmAS0326のSDS-PAGEおよびクマシー染色を用いた純度試験(M=MWマーカー)。 図6は、マウスのレーザー誘導CNVモデルにおける、病理学的眼の血管新生、血管漏出および炎症性浸潤についての、mAS0326に仲介される阻害を示す。レーザー火傷後1日目および7日目に抗体を眼内注射した。各処置群について、1つの眼あたり4つまでの病巣をもつ4-8匹のマウスを用いた。各データ点は1つの病巣を表す。mAS0326または抗-VEGFで処置した眼において、A)7日目およびB)14日目の蛍光眼底造影では、病巣の大きさ(血管新生/血管漏出の組合せ)に減少がみられた。スケールバーは100μm。mAS0326の眼内注射は、血管新生自体(脈絡膜の内皮マーカーであるレクチンIB4陽性容積で測定)C)、および脈絡膜に浸透するCD45(炎症細胞)陽性細胞D)も減少した。スケールバーは50μm。CおよびDのデータは、レーザー誘導した脈絡膜血管新生の14日後に切り出した脈絡膜組織の共焦点画像解析によって得られた。示された統計は処置群間での比較のみを示す(中央値と四分位範囲による散布図)。p<0.05、***p<0.001(クラスカル・ウォリス検定およびダンの多重比較検定)。 図6は、マウスのレーザー誘導CNVモデルにおける、病理学的眼の血管新生、血管漏出および炎症性浸潤についての、mAS0326に仲介される阻害を示す。レーザー火傷後1日目および7日目に抗体を眼内注射した。各処置群について、1つの眼あたり4つまでの病巣をもつ4-8匹のマウスを用いた。各データ点は1つの病巣を表す。mAS0326または抗-VEGFで処置した眼において、A)7日目およびB)14日目の蛍光眼底造影では、病巣の大きさ(血管新生/血管漏出の組合せ)に減少がみられた。スケールバーは100μm。mAS0326の眼内注射は、血管新生自体(脈絡膜の内皮マーカーであるレクチンIB4陽性容積で測定)C)、および脈絡膜に浸透するCD45(炎症細胞)陽性細胞D)も減少した。スケールバーは50μm。CおよびDのデータは、レーザー誘導した脈絡膜血管新生の14日後に切り出した脈絡膜組織の共焦点画像解析によって得られた。示された統計は処置群間での比較のみを示す(中央値と四分位範囲による散布図)。p<0.05、***p<0.001(クラスカル・ウォリス検定およびダンの多重比較検定)。 図7は、マウスのレーザー誘導CNVモデルにおける、病理学的眼の血管新生、血管漏出および炎症性浸潤についての、hAS0326に仲介される阻害を示す。レーザー火傷後1日目および7日目に抗体を眼内注射した。各処置群について、1つの眼あたり4つまでの病巣をもつ6-8匹のマウスを用いた。各データ点は1つの病巣を表す。hAS0326で処置した眼は、抗-VEGFで処置した眼と比較して、A)7日目およびB)14日目の蛍光眼底造影で、病巣の大きさ(血管新生/血管漏出の組合せ)に減少がみられた。hAS0326の眼内注射も、血管新生自体(脈絡膜の内皮マーカーであるレクチンIB4陽性容積で測定)C)、および脈絡膜に浸透するCD45(炎症細胞)陽性細胞を減少した。hAS0326と抗-VEGFの組合せ処置はこの効果をさらに増強したD)。CおよびDのデータは、レーザー誘導した脈絡膜血管新生の14日後に切り出した脈絡膜組織の共焦点画像解析によって得られた。示された統計は処置群間での比較のみを示す(中央値と四分位範囲による散布図)。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001(クラスカル・ウォリス検定およびダンの多重比較検定)。スケールバーは100μm。 図7は、マウスのレーザー誘導CNVモデルにおける、病理学的眼の血管新生、血管漏出および炎症性浸潤についての、hAS0326に仲介される阻害を示す。レーザー火傷後1日目および7日目に抗体を眼内注射した。各処置群について、1つの眼あたり4つまでの病巣をもつ6-8匹のマウスを用いた。各データ点は1つの病巣を表す。hAS0326で処置した眼は、抗-VEGFで処置した眼と比較して、A)7日目およびB)14日目の蛍光眼底造影で、病巣の大きさ(血管新生/血管漏出の組合せ)に減少がみられた。hAS0326の眼内注射も、血管新生自体(脈絡膜の内皮マーカーであるレクチンIB4陽性容積で測定)C)、および脈絡膜に浸透するCD45(炎症細胞)陽性細胞を減少した。hAS0326と抗-VEGFの組合せ処置はこの効果をさらに増強したD)。CおよびDのデータは、レーザー誘導した脈絡膜血管新生の14日後に切り出した脈絡膜組織の共焦点画像解析によって得られた。示された統計は処置群間での比較のみを示す(中央値と四分位範囲による散布図)。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001(クラスカル・ウォリス検定およびダンの多重比較検定)。スケールバーは100μm。 図8は、ストレプトゾトシン(STZ)誘導ラット糖尿病モデルにおける、病理学的眼漏出についての、hAS0326に仲介される阻害を示す。スプラーグドーリーラット(n=8)に糖尿病を誘導するために、STZ(50mg/kg、腹腔内投与)を用いた。糖尿病ラットに、STZ処置後1日目および7日目に抗体を眼内注射した。血管領域は、Imarisソフトウェアを用いて各動物の網膜の3つの部分からの平均として、また二次元平面におけるエバンスブルー染色陽性血管系で占める領域として測定して計算した。示された統計は処置群間での比較のみを示す(中央値と四分位範囲による散布図)。p<0.05(クラスカル・ウォリス検定およびダンの多重比較検定)。A)0日目;B)21日目。 図9は、hAS0326およびその変異体がMFAP4誘導の細胞活性化を阻害する能力を、網膜内皮遊走アッセイによって評価したものを示す。VEGFへの網膜内皮遊走はトランスウエルフィルターを用いて評価した。A)全長hAS0326とFabが仲介する内皮遊走の阻害、およびB)全長hAS0326とF(ab’)2が仲介する内皮遊走の阻害。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
発明の詳細な説明
定義
本発明をさらに詳細に議論する前に、以下の用語と慣例をまず定義する。
本発明のリガンド(抗体や抗原結合ドメインなど)はMFAP4と選択的に結合する、すなわち他の抗原よりも大きな結合アフィニティでMFAP4と優先的に結合する。当該抗体はヒトMFAP4と選択的に結合しうるが、また非ヒトMFAP4、たとえばネズミMFAP4とも検出可能的に結合しうる。あるいは、当該抗体はヒトMFAP4と限定的に結合して、非ヒトMFAP4とは検出可能な結合をしない。
用語「タンパク質リガンド」は、抗体またはその断片のような、主としてアミノ酸から構成されるリガンドをいう。また、本明細書に開示するように、タンパク質リガンドは検出可能な標識または毒性あるいは治療活性を有する物質のような部分を含んでいてもよい。
用語「モノクローナル抗体」は、本質的に均一な抗体の集合から得られる抗体をいい、ここで各モノクローナル抗体は典型的に抗原上の1つのエピトープを認識する。用語「モノクローナル」は、抗体を作製する何らかの特定の方法に限定されない。たとえば、本発明のモノクローナル抗体はKohlerら、Nature 256, 495 (1975)に記載のハイブリドーマ法で作製してもよく、あるいはここに記載する方法を用いてファージライブラリーから単離してもよい。
用語「抗原結合ドメイン」または「抗原結合領域」または「その断片または誘導体」は、選択的結合剤(抗体分子など)の一部をいい、これが抗原と相互作用して結合剤に抗原に対する特異性とアフィニティを与えるアミノ酸残基を含む。好ましくは、抗原結合領域はヒト由来である。別の態様では、抗原結合領域は他の動物種由来であってよく、特に家畜およびウサギ、ラットまたはハムスターなどのげっ歯類であってよい。MFAP4ペプチドと免疫反応性である抗体またはその抗原結合ドメイン、断片または誘導体に関して用いる場合には、用語「有効量」および「治療的有効量」は、MFAP4の1以上の生物学的活性のレベルにおいて観察しうる変化を支えるのに有効または必要な選択的結合剤の量をいい、ここで該変化はMFAP4活性のレベルの増加または減少のいずれかでありうる。
本発明の文脈において、用語「配列同一性」または「相同(ホモログ)」は、2つのアミノ酸配列間又は2つの核酸配列間における相同性度の量的測定をいう。比較する2つの配列が同じ長さでない場合には、ギャップを入れたり、これらをポリペプチド配列または核酸配列の末端で切断して最大の適合をするように並列させる。配列同一性は、式
Figure 0007382343000001
で計算でき、ここでNdifは2つの配列を並列させたときに同じでない残基の総数であり、Nrefは配列のうちの1つにおける残基数である。したがって、DNA配列AGTCAGTCは、配列AATCAATCと75%の配列同一性を有する(Ndif=2、Nref=8)。ギャップは特定残基の非同一性として数える。すなわち、DNA配列AGTGTCは、DNA配列AGTCAGTCと75%の配列同一性を有する(Ndif=2、Nref=8)。
アミノ酸配列または核酸配列に関する本発明の全ての態様に関して、1以上の配列間の配列同一性のパーセントは、デフォルト設定でclustalWソフトウェア(http://www.ebi.ac.uk/clustalW/index.html)を用いる並列に基づいてもよい。ヌクレオチド配列の並列についての設定は以下の通りである:並列=3Dfull、ギャップオープン10.00、ギャップエグジット0.20、ギャップセパレーションDist.4、DNAウェイトマトリックス:同一性(IUB)。アミノ酸配列の並列についての設定は以下の通りである:並列=3Dfull、ギャップオープン10.00、ギャップエグジット0.20、ギャップセパレーションDist.4、タンパク質ウェイトマトリックス:Gonnet。
あるいは、ヌクレオチド配列は、プログラムDNASIS Maxを用いて分析し、配列の比較は、http://www.paralign.org/で行ってもよい。このサービスはSmith-Waterman (SW)およびParAlignと呼ばれる2つの比較アルゴリズムに基づいている。1つ目のアルゴリズムはSmithおよびWaterman (1981)によって出版され、2つの配列の最適な局地的並列を見出す十分確立された方法である。もう1つのアルゴリズムであるParAlignは配列並列のための発見的手法であり、この方法の詳細はRognes (2001)によって出版されている。スコアマトリックスおよびギャップペナルティのためのデフォルト設定がE値とともに用いられた。
本発明の文脈では、用語「KD」または「KD値」は、抗体(リガンド)とその抗原との間の平衡解離定数をいう。KD値は抗体濃度(特定の試験のために必要な抗体量)と関連し、したがってKD値が低ければ(低濃度)抗体のアフィニティは高くなる。本発明の文脈では、KDはBiacore T200で測定される。
本発明の文脈では、「配列番号XのAA-yy」という定義は、AAはアミノ酸を、そして-yyは配列番号X中のアミノ酸の位置を示すものと理解すべきである。したがって、たとえば「配列番号2のTrp-33」は配列番号2中の33位にあるTrpと理解すべきである。
本発明の文脈において、「多くても5アミノ酸」という定義は、せいぜい5アミノ酸であること、すなわち、5アミノ酸、4アミノ酸、3アミノ酸、2アミノ酸または1アミノ酸であると理解すべきである。
本発明の文脈において、「多くてもxxアミノ酸が配列番号Xと異なる配列」という定義は、xxアミノ酸以外は配列番号Xと同じである配列であり、これは配列中のアミノ酸と異なる、すなわち、異なるアミノ酸の配列であると理解すべきである。したがって、多くても2アミノ酸が配列番号9と異なるとは、配列番号9と2、1、または0アミノ酸が異なる配列であると理解すべきである。「X」は、配列表の配列番号1-14のいずれでもあると理解すべきである。あるいは、「X」は、配列表の配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14のいずれかであると理解すべきである。「xx」は、5、4、3、2、または1のいずれかであると理解すべきである。
リガンド
上述したように、本明細書ではヒト化抗体を含む、MFAP4に対する新規抗体を開示する。これらの抗体は、MFAP4に対する公知の抗体とは異なる配列および異なる結合特性を有する。抗体の医薬用途が実施例の部に記載される。したがって、本発明は一面において、MFAP4の新規エピトープに結合する抗体などのタンパク質リガンドに関する。
本発明者らは、本発明の抗体が公知の抗-MFAP4抗体とは異なるCDR配列を有することを同定した。したがって、別の一面において、本発明は以下のものを含む、抗体などのタンパク質リガンドまたは本発明のリガンドに関する:
・配列番号9のCDR1領域、配列番号10のCDR2領域、および配列番号11のCDR3領域を含む軽鎖可変領域;および
・配列番号12のCDR1領域、配列番号13のCDR2領域、および配列番号14のCDR3領域を含む重鎖可変領域。
本発明の抗体のパラトープおよびMFAP4のエピトープのX線結晶学法によって、また当業者に公知の方法を用いて、本発明者らはMFAP4のエピトープと強く相互作用し、よって抗体のパラトープがMFAP4のエピトープと結合するのに重要である軽鎖可変領域と重鎖可変領域のCDR中のアミノ酸をさらに同定した。したがって、本発明は一態様において、以下のものを含む、抗体などのタンパク質リガンドまたは本発明のリガンドに関する:
・以下のものを含む軽鎖可変領域:
・配列番号9、または多くても5アミノ酸が、たとえば多くても4アミノ酸が、たとえば多くても3アミノ酸が、たとえば多くても2アミノ酸が、たとえば多くても1アミノ酸が配列番号9と異なる配列のCDR1領域、ただし、9位のアミノ酸はTyrである;
・配列番号10、または多くても5アミノ酸が、たとえば多くても4アミノ酸が、たとえば多くても3アミノ酸が、たとえば多くても2アミノ酸が、たとえば多くても1アミノ酸が配列番号10と異なる配列のCDR2領域;および
・配列番号11、または多くても5アミノ酸が、たとえば多くても4アミノ酸が、たとえば多くても3アミノ酸が、たとえば多くても2アミノ酸が、たとえば多くても1アミノ酸が配列番号11と異なる配列のCDR3領域、ただし、6位のアミノ酸はTyrである;および
・以下のものを含む重鎖可変領域:
・配列番号12、または多くても5アミノ酸が、たとえば多くても4アミノ酸が、たとえば多くても3アミノ酸が、たとえば多くても2アミノ酸が、たとえば多くても1アミノ酸が配列番号12と異なる配列のCDR1領域、ただし、3位のアミノ酸はTrpである;
・配列番号13、または多くても5アミノ酸が、たとえば多くても4アミノ酸が、たとえば多くても3アミノ酸が、たとえば多くても2アミノ酸が、たとえば多くても1アミノ酸が配列番号13と異なる配列のCDR2領域;および
・配列番号14、または多くても5アミノ酸が、たとえば多くても4アミノ酸が、たとえば多くても3アミノ酸が、たとえば多くても2アミノ酸が、たとえば多くても1アミノ酸が配列番号14と異なる配列のCDR3領域、ただし、1位のアミノ酸はGluであり、9位のアミノ酸はTrpである。
また、当業者に公知の方法を用いて実施したX線結晶学法によって、本発明者らは抗体のパッケージングに強く関与する重鎖可変領域のCDR中のアミノ酸をさらに同定した。したがって、本発明はさらなる一態様において、以下のものを含む、抗体などのタンパク質リガンドまたは本発明のリガンドに関する:
・以下のものを含む軽鎖可変領域:
・配列番号9、または多くても5アミノ酸が、たとえば多くても4アミノ酸が、たとえば多くても3アミノ酸が、たとえば多くても2アミノ酸が、たとえば多くても1アミノ酸が配列番号9と異なる配列のCDR1領域、ただし、9位のアミノ酸はTyrである;
・配列番号10、または多くても5アミノ酸が、たとえば多くても4アミノ酸が、たとえば多くても3アミノ酸が、たとえば多くても2アミノ酸が、たとえば多くても1アミノ酸が配列番号10と異なる配列のCDR2領域;および
・配列番号11、または多くても5アミノ酸が、たとえば多くても4アミノ酸が、たとえば多くても3アミノ酸が、たとえば多くても2アミノ酸が、たとえば多くても1アミノ酸が配列番号11と異なる配列のCDR3領域、ただし、6位のアミノ酸はTyrである;および
・以下のものを含む重鎖可変領域:
・配列番号12、または多くても5アミノ酸が、たとえば多くても4アミノ酸が、たとえば多くても3アミノ酸が、たとえば多くても2アミノ酸が、たとえば多くても1アミノ酸が配列番号12と異なる配列のCDR1領域、ただし、3位のアミノ酸はTrpであり、2位のアミノ酸はMetである;
・配列番号13、または多くても5アミノ酸が、たとえば多くても4アミノ酸が、たとえば多くても3アミノ酸が、たとえば多くても2アミノ酸が、たとえば多くても1アミノ酸が配列番号13と異なる配列のCDR2領域、ただし、4位のアミノ酸はProである;および
・配列番号14、または多くても5アミノ酸が、たとえば多くても4アミノ酸が、たとえば多くても3アミノ酸が、たとえば多くても2アミノ酸が、たとえば多くても1アミノ酸が配列番号14と異なる配列のCDR3領域、ただし、1位のアミノ酸はGluであり、9位のアミノ酸はTrpである。
したがって、上記の態様によると、CDR領域は、配列番号9-14に定める配列と異なるが、ここに示した特定のアミノ酸がエピトープ結合に重要である(実施例12参照)。
実施例の部に示すように、MFAP4に対する新規抗体が作製された(実施例3および4と対応の図参照)。これらの抗体は、他のMFAP4抗体とは異なる結合特性を有する(実施例5参照)。これらの抗体はMFAP4に対する他の抗体と比較して以下に記載するいくつかの利点を示す:
・ヒト化抗体は、溶液中でより安定であり、凝集が少ない(実施例6および実施例10参照)。
・抗体は、病理学的眼血管新生、は血管漏出および炎症などに有益な効果を示す(実施例7-9参照)。
また、本発明者らは本発明のリガンドの軽鎖および重鎖を同定した。したがって、一態様において、リガンドは以下のものを含む:
・配列番号1または3のアミノ酸配列、またはアミノ酸配列1または3と少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも90%の配列同一性、または少なくとも95%の配列同一性をもつアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;および
・配列番号2または4のアミノ酸配列、またはアミノ酸配列2または4と少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも90%の配列同一性、または少なくとも95%の配列同一性をもつアミノ酸配列を含む重鎖可変領域。
配列番号1と2はmAS0326由来の軽鎖および重鎖であり、配列番号3と4はhAS0326由来の軽鎖および重鎖である。
別の一態様において、リガンドは以下のものを含む:
・配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;および
・配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域。
したがって、この態様ではリガンドはhAS0326由来の軽鎖および重鎖を含む。
さらに別の一態様において、リガンドは以下のものを含む:
・配列番号1または3のアミノ酸配列、またはアミノ酸配列1または3と少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも90%の配列同一性、たとえば少なくとも95%の配列同一性、たとえば98%の配列同一性、または99%の配列同一性をもつアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、ただし、32位のアミノ酸はTyrであり、94位のアミノ酸はTyrである;および
・配列番号2または4のアミノ酸配列、またはアミノ酸配列2または4と少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも90%の配列同一性、たとえば少なくとも95%の配列同一性、たとえば98%の配列同一性、または99%の配列同一性をもつアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ただし、33位のアミノ酸はTrpであり、99位のアミノ酸はGluであり、107位のアミノ酸はTrpである。
さらに別の一態様において、リガンドは以下のものを含む:
・配列番号1または3のアミノ酸配列、またはアミノ酸配列1または3と少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも90%の配列同一性、たとえば少なくとも95%の配列同一性、たとえば98%の配列同一性、または99%の配列同一性をもつアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ただし、32位のアミノ酸はTyrであり、94位のアミノ酸はTyrである;および
・配列番号2または4のアミノ酸配列、またはアミノ酸配列2または4と少なくとも80%の配列同一性、たとえば少なくとも90%の配列同一性、たとえば少なくとも95%の配列同一性、たとえば98%の配列同一性、または99%の配列同一性をもつアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ただし、33位のアミノ酸はTrpであり、34位のアミノ酸はMetであり、53位のアミノ酸Proであり、99位のアミノ酸はGluであり、107位のアミノ酸はTrpである。
したがって、上記の態様によると、領域は、配列同一性の程度を変えることにより配列番号1-4に定める配列と異なるが、ここに示した特定のアミノ酸がエピトープ結合に重要である(実施例12参照)。
リガンドは種々の形で作製できる。したがって、一態様では、リガンドはポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、重鎖と軽鎖が柔軟なリンカーで連結された抗体、Fv分子、抗原結合性断片、Fab断片、F(ab’)2分子、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、およびキメラ抗体からなる群から選択される。一態様では、リガンドはF(ab’)2分子である。さらに好ましい態様では、リガンドはモノクローナル抗体、Fab断片、およびヒト化モノクローナル抗体からなる群から選択される。また別の好ましい態様では、抗体はヒト化および/またはモノクローナル、好ましくはヒト化モノクローナル抗体である。
本発明のリガンドに種々の分子を結合することも有利である。したがって、別の態様では、リガンドは検出可能な標識又は毒性あるいは治療活性を有する物質と結合される。
もちろん、リガンドが十分な結合効率で標的と結合できることが重要である。したがって、別の態様では、リガンドは110-7未満、たとえば110-8未満、またはたとえば110-9M未満、またはたとえば110-7から110-12Mの領域、またはたとえば110-7から110-10Mの領域のrhMFAP4に対するKD値をもつ。実施例2は本発明の抗体についてのKD値を示す。
本発明のリガンドが医薬として用いられるためには、十分可溶性でなければならず、沈殿などの凝集物を形成してはならない。したがって、さらなる態様では、本発明のリガンドは主として単量体(PBS中、pH 7.4で測定して)である。「主として」とは、リガンドの少なくとも90%、たとえば少なくとも95%が単量体であると理解すべきである。
本発明のリガンドの結合特異性はMFAP4に結合する他の公知の抗体とは異なる。したがって、さらに別の態様では、リガンドはrhMFAP4中のRGD-インテグリン相互作用配列と(直接)結合しないが、インテグリン結合の立体障害で示されるMFAP4-仲介性活性をブロックする。本発明の抗体の結合データを実施例5に示す。
RGD-インテグリン相互作用ドメインはフィブリノーゲン関連ドメイン(FReD)(シグナルペプチドを含むときには26-28位、シグナルペプチドを含まないときには6-8位)に先行する短いN-末端領域に位置する。
ベクター
本発明のリガンドは1以上のベクターで発現される。したがって、本発明の一態様は本発明のリガンドをコードする1(または複数)のベクターに関する。たとえば軽鎖または重鎖が2つの異なるベクターから発現されてもよいと理解すべきである。一態様では、ベクターはプラスミドである。
細胞
ベクターは細胞中でリガンドを発現することができる。したがって、本発明のさらなる態様は本発明のリガンドを発現する細胞、および/または本発明のベクターを含む細胞に関する。一態様では、細胞はCHO細胞である。
組成物
本発明のリガンドはもちろん組成物(医薬組成物など)中に存在しうる。したがって、さらなる態様では、本発明は本発明のリガンド、および1以上の生理学的に受容できる担体、賦形剤および/または希釈剤を含む組成物に関する。一態様では、組成物は1以上の安定化剤および/または1以上の緩衝剤を含む。別の態様では、安定化剤は界面活性剤である。
さらに別の態様では、組成物はVEGF-A(スプライスフォームを含む)またはVEGF-受容体(VEGFR1/VEGFR2)アンタゴニストまたは抗-VEGF抗体のような抗-VEGF薬をさらに含む。実施例の部で示すように、このような組合せで一定の場合に有利な効果がみられる。
医薬
本発明のリガンドおよび/または組成物は医薬として用いられる。したがって、本発明のさらなる態様は本発明のリガンドおよび/または組成物を医薬として使用することに関する。
一態様では、リガンドまたは組成物を哺乳類における血管増殖性疾患および/または関連障害の予防または治療に用いる。好ましい態様では哺乳類はヒトである。
別の態様では、血管増殖性疾患および/または関連障害は血管の過形成またはリモデリングによって引き起こされる。
別の態様では、血管増殖性疾患および/または関連障害は病理学的血管新生によって引き起こされるか、または血管漏出もしくは炎症および/または哺乳類の関連障害とともに存在する。
さらなる態様では、疾患および/または関連障害は細気管支過形成またはアレルギー性喘息における好酸球炎症である。
さらなる態様では、血管増殖性疾患および/または関連障害は眼の病理学的血管新生で特徴づけられる。関連する態様では、眼の病理学的血管新生で特徴づけられる障害は、地図状萎縮および増殖性AMDを含む加齢性黄斑変性症(AMD)、網膜静脈閉塞症、網膜症、高血圧性網膜症、硝子体牽引症、および増殖性DRおよび糖尿病黄斑浮腫を含む糖尿病性網膜症(DR)からなる群から選択される。
一態様では、血管増殖性疾患および/または関連障害は癌またはその他の悪性腫瘍である。関連する態様では、癌または悪性腫瘍は、膠芽腫、頭、首および肺の癌からなる群から選択される。
リガンドまたは組成物は様々な経路で投与できる。したがって、一態様では、リガンドまたは組成物は静脈内、眼内(眼に投与)または皮下で投与される。
血管増殖性疾患の予防又は治療法
さらに別の一面では、本発明は哺乳類における血管増殖性疾患および/または関連障害の予防または治療法に関し、該方法は本発明のリガンドまたは組成物を(これを必要とする)哺乳類に投与することを含む。好ましい態様では、哺乳類はヒトである。
一態様では、該方法は、病理学的血管新生によって引き起こされる血管増殖性疾患および/または関連障害を予防または治療するためのものである。
さらなる態様では、該方法は、細気管支過形成またはアレルギー性喘息における好酸球炎症疾患を予防または治療するためのものである。
さらに別の態様では、該方法は、眼の病理学的血管新生で特徴づけられる障害を予防または治療するためのものである。関連する態様ではが、眼の病理学的血管新生で特徴づけられる障害は、地図状萎縮および増殖性AMDを含む加齢性黄斑変性症(AMD)、網膜静脈閉塞症、網膜症、高血圧性網膜症、硝子体牽引症、増殖性DRおよび糖尿病黄斑浮腫を含む糖尿病性網膜症(DR)からなる群から選択される。
一態様では、血管増殖性疾患および/または関連障害は癌またはその他の悪性腫瘍である。関連する態様では、癌または悪性腫瘍は、膠芽腫、頭、首および肺の癌からなる群から選択される。
リガンドまたは組成物は様々な経路で投与できる。したがって、一態様では、リガンドまたは組成物は静脈内、眼に投与、眼内または皮下で投与される。
本発明の態様および種々の面についての文脈において記載する特徴は本発明の他の面にも適用されることに注意すべきである。
本出願で引用したすべての特許文献および非特許文献はその全体を参照することによりここに含まれる。
本発明を以下の非限定的な実施例においてさらに詳細に説明する。
実施例
実施例1 材料および方法
本実施例では以下の実施例で用いた材料と方法を記載する。
緩衝液
トリス緩衝食塩水 (TBS): 140mM NaCl、10mM Tris-HCl、0.02% (w/v) NaN2、pH 7.4; TBS/Tw: 0.05% (v/v) Tween 20 (ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、MERCK-Schuchardt)を含むTBS;リン酸緩衝食塩水 (PBS): 137mM NaCl、3mM KCl、8mM Na2HPO4、1.5mM KH2PO4、pH 7.4;基質緩衝液: 35 mM クエン酸、67 mM Na2HPO4、pH 5.0。
マウスモノクローナル抗体の作
免疫に用いたhrMFAP4は文献記載のように作製した(Sakmose ら、 PLoS One. 2013 Dec 4;8(12))。
hrMFAP4に対する親和性をもつモノクローナル抗体を標準のハイブリドーマ法とMFAP4欠失マウスを用いて作製した。この方法によって以下のものを含む一連のモノクローナル抗体を得た:
・ヒト組換えMFAP4(hrMFAP4)に対するネズミモノクローナル抗体HG Hyb 7-1(たとえばWO 2016/008498に記載)
・ヒト組換えMFAP4(hrMFAP4)に対するネズミモノクローナル抗体HG Hyb 7-5(たとえばWO 2014/114298に記載)
・ヒト組換えMFAP4(hrMFAP4)に対するネズミモノクローナル抗体であってヒト化のために選ばれたmAS0326。
全ての抗体は標準法を用いてアミノ酸配列を決定した。
抗体のヒト化
mAS0326抗体をGenscript(www.Genscript.com)によって、所有者の方法を用いてヒト化した。可変ドメイン配列をヒト生殖細胞系に対してBLASTして、いくつかのフレームワーク領域FR1、FR2およびFR3を、マウス抗体と最大の同一性を示すヒトFRから独立に選択した。選択したFRをオーバーラップPCRを用いてmAS0326 CDRに組み立て、Fab断片を発現するためのファージディスプレイライブラリーを構築した。Genscriptの所有するFASEBAスクリーニング法を用いてパニングを3回行った後、MFAP4タンパク質と強く結合するファージを選択した。選択したFab遺伝子をファージDNAから増幅した。Fabをコードする遺伝子をヒトIgG1の適切な定常領域をコードする遺伝子と融合して全IgGを作製した。このシリーズではBiacore T200を用いて、hAS0326を最適な組換えヒトMFAP4の結合体として選択し、得られた軽鎖および重鎖構築物を哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1 plus中にクローン化した。
ヒト化抗体の発現とMFAP4の組換え形
ExpiCHO-S 細胞をヒトMFAP4発現プラスミド(pcDNA 3.4-hMFAP4 TOPOR TA)、マウスMFAP4発現プラスミド(pcDNA5/FRT/V5-His TOPOR TA)、ヒトMFAP4 RGD-AAA変異(pcDNA 3.1 plus)およびhAS0326 軽鎖および重鎖発現プラスミド (pcDNA3.1 plus- hAS0326 軽鎖)および (pcDNA3.1 plus- hAS0326 重鎖) にExpiFectamine を用いて製造者プロトコルに従ってトランスフェクトした(hAS0326 軽鎖とhAS0326 重鎖を1:1 のモル比で共トランスフェクトした)。ExpiFectamine CHO Enhancer および ExpiCHO Feedを添加した後、細胞を37℃、8%CO2で10日間振とうして培養した。
MFAP4の組換え形の精製
ExpiCHO-S 細胞の培地に放出された組換えMFAP4タンパク質をLausen ら記載の方法 (J Biol Chem (1999) 274(45):32234-40)でアフィニティ精製し、次いでAkta FPLC 装置(Amersham Pharmacia Biotech)で、Resource Q カラム(GE Healthcare Life Sciences) 上で陰イオン交換クロマトグラフィーを行った。タンパク質の純度をSDS-PAGEで試験し、次にSimplyBlue(TM) SafeStain (Invitrogen)を用いるクマシー染色で試験した。
抗体の精製
抗体をAkta FPLC 装置(Amersham Pharmacia Biotech)で標準のタンパク質G精製を用いて精製した。培養上清をカラムにかけて、カラムをPBS (0.5M NaCl)で洗浄し、クエン酸濃度を順次増加して抗体を溶出した。抗体含有分画を直ちにNa2CO3で中和して集めた。精製抗体の集合をPBSに透析した。
ビオチニル化
抗体を3% (w/v) Na2CO3でpH 8.5 に調節したリン酸緩衝食塩水に透析し、ビオチン-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(Sigma H-1759、ジメチルスルホキシド中 40 mg/ml) を0.17 mg/mg タンパク質で添加した。混合物を4℃で十分な時間インキュベートし、PBSに透析した。
競合ELISAによる抗体のエピトープマッピング
96ウェルプレート(Nunc-MaxiSorp)を、PBS中の組換えヒトMFAP4 0.5 μgで4℃で十分な時間コーティングし、次いで洗浄し、TBS/Tw中4℃で十分な時間ブロッキングした。ビオチニル化Mab(0.5 μg/ml)と非標識Mab (20 μg/mlから156 ng/mlに2倍希釈)をTBS/Tw中、別のミクロタイタープレートであらかじめ混合し、これをMFAP4でコーティングしたミクロタイタープレートに加えた。プレートを2時間室温でインキュベートした。プレートをTBS/Twで3回洗浄し、TBS/Tw 中、1:2000 に希釈したストレプトアビジン西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体(Invitrogen)と20分間インキュベートした。3回の最終洗浄の後、結合酵素の量を、基質緩衝液(0.03% 新しく調製した H2O2)中に溶解したo-フェニレンジアミン(OPD、0.8mg/ml、Kementec, Taastrup, Denmark)を添加して、暗室、室温で15分間反応させることにより評価した。100 μlの1 M H2SO4を添加して発色を止めて、OD600 nmを参考としてOD492nmでプレートを読み取った。
組換えマウスMFAP4、組換えヒトMFAP4、およびRGD配列をAAA配列に変異させた組換えヒトMFAP4との抗体結合試験
96-ウェルプレート(Nunc-MaxiSorp) ( Nunc(TM))を、0.5 μgの組換えマウスMFAP4、組換えヒトMFAP4、およびRGD配列をAAA配列に変異させた組換えヒトMFAPでPBS中、4℃で十分な時間コーティングした。コーティングの後、洗浄し、TBS/Tw中、4℃で十分な時間ブロッキングした。ブロッキングの後、最初の濃度100 ng/ml から2倍希釈したビオチニル化抗体を添加した。次いでプレートを室温で2時間インキュベートした。プレートをTBS/Twで3回洗浄し、TBS/Tw 中、1:2000 に希釈したストレプトアビジン西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体(Invitrogen)で20分間インキュベートした。3回の最終洗浄の後、結合酵素の量を、基質緩衝液(0.03% 新しく調製した H2O2)中に溶解したOPD(0.8mg/ml、Kementec, Taastrup, Denmark)を添加して、暗室、室温で15分間反応させることにより評価した。100 μlの1 M H2SO4を添加して発色を止めて、OD600 nmを参考としてOD492nmでプレートを読み取った。
サンドイッチELISAアッセイ
サンドイッチELISAアッセイでは、種々の抗-MFAP4抗体を96-ウェルプレート(Nunc-MaxiSorp)のウェルにPBS 中、1μg/mlで4℃で十分な時間固定化した。TBS/Twで3回洗浄し、TBS/Tw中、4℃で十分な時間ブロッキングした。プレートをヒト、マウス、およびMFAP4欠失マウス由来の血清で、最初の1:50希釈から2倍希釈物で、4℃で十分な時間インキュベートした。プレートをTBS/Twで3回洗浄し、ビオチニル化抗体(TBS/Tw 中 0.5 μg /ml)で室温、2時間インキュベートした。プレートをTBS/Twで3回洗浄し、TBS/Tw 中、1:2000 に希釈したストレプトアビジン西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体(Invitrogen)で20分間インキュベートした。3回の最終洗浄の後、結合酵素の量を、基質緩衝液(0.03% 新しく調製した H2O2)中に溶解したOPD(0.8mg/ml、Kementec, Taastrup, Denmark)を添加して、暗室、室温で15分間反応させることにより評価した。100 μlの1 M H2SO4を添加して発色を止めて、OD600 nmを参考としてOD492nmでプレートを読み取った。
凝集試験のための抗体濃縮
タンパク質G精製した抗体をVivaspin 2遠心濃縮器(Viva products)を用いて濃縮し、4℃、2時間インキュベートした後、サイズ排除クロマトグラフィーを実施した。濃縮抗体の純度をSDS-PAGEで試験し、次にSimplyBlue(TM) SafeStain (Invitrogen)を用いてクマシー染色した。抗体濃度を光学密度測定(OD280)で評価した。
サイズ排除クロマトグラフィー
濃縮抗体50 μl を用いてサイズ排除クロマトグラフィーを行った。抗体試料を、Akta FPLC システム (Amersham Pharmacia Biotech)に連結した分析用Superose 6カラムに適用し、0.05%Emulphogeneを含むPBS、pH7.4を溶離液として用い、0.4 ml/分の流速で実施した。
動物倫理
マウスおよびラットは、眼科および視覚研究における動物使用のためのARVO Statement、the Universit of Nottingham Biological Services Unit、UK Home Office licenseに従って処置した。
マウス脈絡膜血管新生(CNV)モデル
メスC57/BL6Jマウスを試験に用いた。動物に50mg/kgのKetaset(塩酸ケタミン、Zoetis)を腹腔内(IP)注射して麻酔し、0.5mg/kgのSedastop(塩酸アティパメゾール、Animalcare)をIP注射して回復させた。5%塩酸フェニレフリン(Bausch & Lomb)および0.8%トロピカミド(Bausch & Lomb)を局所投与して瞳を膨張し、脱水を防止するため眼をルブリタール(Dechura)で覆った。
Meridian Merilas 532a緑色レーザー光凝固器を用いて1眼当たり4か所、両眼で脈絡膜を貫通して病巣を作った。網膜下の泡の存在で脈絡膜破壊の成功を確認した。レーザー設定は各光凝固病巣につき450mWで130msに維持した。
マウスに1μg m/hAS0326、5μg m/hAS0326、1μgマウスIgG(DAKO)または対照としての食塩水、または1μg抗-VEGF-A(Biolegend)を眼内注射した。抗体は滅菌PBSで0.5μg/μl(5μg注射につき2.5μg/μl)に希釈し、眼を安定化するための細い鉗子付きの36ゲージのハミルトン針(World Precision Instruments)で2μl投与した。抗体は0日目(病巣作製日)と7日目に投与した。
血管新生と病巣の進展をin vivoで可視化(7日目および14日目)するために、食塩水中の100mg/mlフルオレセインナトリウム(Sigma-Aldrich)200μlを腹腔内注射してゆきわたらせた後、Micron IV網膜画像顕微鏡(Phoenix Research Labs)で画像を撮った。白内障の進展は、いくつかの眼が連続的な眼底フルオレセイン血管造影(FFA)から除外されることを意味した。
動物を殺して眼の解剖をした(14日目)後、脈絡膜を平らに置いて血清中(5%ヤギ血清、3%トリトンX-100、1% BSA)でブロックし、Isolectin-B4(IB4)(Sigma Aldrich、ビオチン結合)5μg/mlおよびCD45(Abcan)5μg/mlで一晩、4℃で染色した。IB4およびCD45染色をそれぞれ検出するために、ストレプトアビジン結合Alexafluor 488 2μg/mlおよびロバ抗-ウサギAlexafluor 555 4μg/mlを用いた。DAPIを含む封入剤Fluoroshieldとともにカバーグラスをおいた。Leica TCS SPE共焦点顕微鏡で画像を得たが、画像間の設定は全て同じにした。病巣および炎症細胞領域はImaris(Bitplane, UK)で直接μm2で測定した。併合したすべての病巣、あるいは反対側の眼が平均から2標準偏差よりおおきい火傷をもつ動物は分析から除外した。
ラットストレプトゾトシン(STZ)誘導糖尿病モデル
糖尿病を誘導するために、オスNorway Brownラット(250-300g、Envigo, US)にストレプトゾトシン(STZ、50mg/kg、Sigma-Aldrich)を1回腹腔内投与した。対照ラットには300μlの食塩水を腹腔内投与した。インシュリンペレット(LinShin)の3分の1を次の4週間の体重維持のために皮下に埋め込んだ。誘導後4日目に尾静脈から血液を採取して血液グルコースレベルを測定した。15mmol/l以上の血液グルコースのラットを糖尿病とみなした。4日目に高血糖にならなかったSTZ誘導ラットには翌朝STZを再注射した。
ラットを3-5%イソフルラン(IsoFlo、Abbott Laboratories)で麻酔して、5%塩酸フェニレフリン(Bausch & Lomb)および0.8%トロピカミド(Bausch & Lomb)を局所投与して瞳を膨張し、脱水を防止するため眼をルブリタール(Dechura)で覆った。動物に1μg m/hAS0326、5μg m/hAS0326、対照としての食塩水、または1μg抗-VEGF-A(Biolegend)を眼内注射した。抗体は滅菌PBSで0.5μg/μl(5μg注射につき2.5μg/μl)に希釈し、眼を安定化するための細い鉗子付き36ゲージのハミルトン針(World Precision Instruments)で2μl投与した。抗体は0日目(糖尿病前)と7日目(糖尿病後)に投与した。
血管新生と病巣の進展をin vivoで可視化(0、7、14および21日目)するために、食塩水中の100mg/mlフルオレセインナトリウム(Sigma-Aldrich)200μlを眼内注射してゆきわたらせた後、Micron IV網膜画像顕微鏡(Phoenix Research Labs)で画像を撮った。白内障の進展は、いくつかの眼が連続的な眼底フルオレセイン血管造影(FFA)から除外されることを意味した。
エバンスブルー染色の調製、投与およびそれに続く溶解による眼血管透過性の連続モニタリングは文献記載の方法(Ved N, Clin Sci (Lond) 2017)で行った。
統計
全ての統計とグラフはGraphPad Prism 6で作成した。示した統計は処置群間の比較のためである。比較はクラスカル・ウォリス検定およびダンの多重比較検定を用いて行った。グラフ上の有意差は星印で表し、ここでp<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001である。
実施例2 hAS0326およびmAS0326のrhMFAP4との相互作用についてのKD評価
目的
hAS0326およびmAS0326のrhMFAP4との相互作用についてのKD値を評価すること。
材料および方法
所定の抗体とrhMFAP4との間の結合相互作用はGenscriptのBiacore T200を用いて行った。
結果
Figure 0007382343000002
結論
これらの結果は、hAS0326がナノモル領域のKDを有する高親和性の抗体であることを示す。hAS0326はmAS0326と比べて低いrhMFAP4親和性を有するが、それでも高親和性を保持していた。
実施例3 作製したモノクローナル抗体中のCDR配列の並列
作製した抗体HG Hyb 7-5、HG Hyb 7-1、mAS0326およびhAS0326の間のCDR相同性を図1に示す。
・HG Hyb 7-1、mAS0326およびhAS0326の重鎖CDR配列間は100%相同
・HG Hyb 7-5とhAS0326の重鎖CDR間は<50%相同
・mAS0326とhAS0326の軽鎖CDR配列間は100%相同
・HG Hyb 7-1またはHG Hyb 7-5とhAS0326の軽鎖CDR間は<50%相同
実施例4 モノクローナル抗体間の重鎖および軽鎖可変ドメインの相同性
hAS0326重鎖可変ドメインは作製したマウスモノクローナル抗体と以下の相同性を有する。
・HG Hyb 7-1: 78.7%
・HG Hyb 7-5: 66.1%
・mAS0326: 78.7%
hAS0326軽鎖可変ドメインは作製したマウスモノクローナル抗体と以下の相同性を有する。
・HG Hyb 7-1: 66.4%
・HG Hyb 7-5: 61.7%
・mAS0326: 79.4%
結論
全ての相同性は80%より小さく、これはhAS0326のアミノ酸配列が過去の特許出願に提示される抗体を含む、試験した他の抗体と顕著に異なることを示す。
実施例5 HG HYB7-5と比較したhAS0326/mAS0326のMFAP4結合特性
目的
HG HYB7-5と比較したhAS0326/mAS0326のMFAP4結合特性を評価すること。
結果
競合ELISA試験を用いて、HG HYB7-5はhAS0326およびmAS0326とは異なるエピトープを有することが示された(図2)。精製した組換えマウスMFAP4、組換えヒトMFAP4、およびRGDインテグリン結合モチーフをAAAに変異させた組換えヒトMFAP4を用いる直接結合アッセイでは、RGDモチーフがHG HYB7-5エピトープの本質的部分であるが、hAS0326/mAS0326エピトープの本質的部分ではないことが示された(図3Aおよび3B)。さらに、hAS0326/mAS0326はヒトおよびマウスMFAP4と同等によく結合するが、HG HYB7-5はマウスMFAP4と結合しないことが示された(図3C)。
天然型マウスおよびヒトMFAP4源として血清を用いて、図4は、HG HYB7-5はマウスMFAP4とは結合しないが、hAS0326/mAS0326は結合することを示す。
結論
配列相同性とエピトープのオーバーラップ研究によって、HG Hyb 7-5とmAS0326(およびhAS0326)は低いCDR/可変鎖相同性を有しており、これらは異なる組換えMFAP4エピトープを認識することが明らかとなった。また、HG Hyb 7-5はrhMFAP4中のRGDインテグリン相互作用ドメインを認識するが、mAS0326(およびhAS0326)は組換えヒトMFAP4中のRGDインテグリン相互作用ドメインとは反応しないことが示された。さらに、AS0326はネズミMFAP4と相互作用するが、HG HYB7-5はしないことが示された。
実施例6 抗体凝集
目的
hAS0326およびmAS0326の凝集特性を比較すること。
結果
抗体溶液を濃縮した後、hAS0326とmAS0326の凝集特性は異なることが示された(図5)。hAS0326は本質的に単量体形にとどまる。対照的にmAS0326は凝集を形成する。
結論
溶液中でhAS0326はmAS0326よりも安定であり、mAS0326は調製後まもなく凝集を形成し、したがって臨床用途には適していない。hAS0326が凝集しないということは、この抗体が現在の形で臨床用途に適しているであろうことを示している。
実施例7 マウスレーザー誘導脈絡膜血管新生(CNV)モデルおよび滲出型加齢性黄斑変性症(wet AMD)における眼の血管新生、血管漏出および炎症を減少するmAS0326の能力
目的
マウスレーザー誘導脈絡膜血管新生(CNV)モデルおよび滲出型加齢性黄斑変性症(wet AMD)における眼の血管新生、血管漏出および炎症を減少するmAS0326の能力を評価すること。
結果
レーザー誘導CNVの7日目および14日目にフルオレセインナトリウムを注射して目の血管系を可視化し、レーザー火傷と漏出領域を示した。7日目にはIgG陰性対照と抗-VEGF陽性対照との間に顕著な違いは見られなかった(図6A)。5μgのmAS0326で処置すると、抗-VEGF陽性対照と比較して病巣の大きさを顕著に減少した(p<0.05)。
14日目に、採取、組織回収の直前にフルオレセイン血管造影を再度行った。7日目に見られたように、5μgのmAS0326でIgG対照と比較して顕著に病巣を減少することができた(p<0.01、図中には示さず)(図6B)。しかし、処置群間では顕著な違いは見られなかった。
内皮マーカーIB4で血管系を染色したところ、図6Bの観察と同様に、いずれの処置群間にも火傷の領域に顕著な違いは見られなかった(図6C)。
CD45発現のために脈絡膜を免疫染色して、炎症細胞のレーザー火傷領域への浸潤を検出した(図6D)。1μgの抗-VEGF処置は5μgのmAS0326と同様に、IgG陰性対照と比較して炎症細胞の浸潤を顕著に減少した(それぞれp<0.01およびp<0.0001、統計は図中には示さず)。さらに、5μgのmAS0326処置は1μgの抗-VEGF陽性対照と比較して炎症細胞の浸潤を顕著に減少した(p<0.01)。
結論
マウスCNVにおけるwet AMDのためのmAS0326の有効性研究では、病理学的眼の血管新生、血管漏出および炎症に対する有益な効果を概念実証した。観察された有効性は標準の抗-VEGF処置と同等、および/またはそれよりも優れていた。
実施例8 wet AMDのマウスレーザー誘導CNVモデルにおける眼の血管新生、血管漏出および炎症を減少するhAS0326の能力
目的
wet AMDのマウスレーザー誘導CNVモデルにおける眼の血管新生、血管漏出および炎症を減少するhAS0326の能力を評価すること。
結果
実施例7で上述したmAS0326のCNV試験とは対照的に、食塩水を陰性対照として用いたhAS0326のCNV試験では対照処置群との違いは明らかだった。7日目に全ての処置は食塩水陰性対照と比較して病巣の大きさを顕著に減少した(p<0.0001-p<0.05、統計は示さず)(図7A)。5μgのhAS0326で処置すると、抗-VEGF陽性対照と比較して病巣の大きさを顕著に減少した(それぞれp<0.001および<0.0001)(図7B)。hAS0326処置群間で病巣の大きさに顕著な違いはなく、hAS0326と抗-VEGF処置の組合せに顕著な効果はなかった。
内皮マーカーIB4で血管系を染色したところ、食塩水対照処置と比較して全ての処置で顕著に減少した(統計は示さず)(図7C)。いずれの処置群間にもIB4で定める火傷の領域に顕著な違いは見られなかった(図7C)。
CD45発現のために脈絡膜を免疫染色したところ、全ての処置でIgG陰性対照と比較して炎症細胞の浸潤を顕著に減少した(統計は図中に示さず)。組合せ処置は全ての他の処置群と比較して炎症性浸潤を顕著に減少した(図7D)。
結論
マウスCNVにおけるwet AMDのためのhAS0326の有効性研究では、病理学的眼の血管新生、血管漏出および炎症に対する有益な効果を概念実証した。mAS0326はhAS0326と同様な定性的応答をもつと思われた。hAS0326とは対照的に、CNVモデルにおける眼の病巣サイズを減少するmAS0326処置の能力は抗-VEGF処置と顕著な違いはなかった。観察されたhAS0326の有効性は、CNVモデルにおける標準の抗-VEGF処置の有効性と似ているか、および/またはそれより上回っており、抗-VEGFとhAS0326の組合せ処置は炎症の減少において、いずれかの化合物単独による処置よりも上回っていた。
実施例9 糖尿病性網膜症のラットストレプトゾトシン(STZ)モデルにおける、hAS0326の眼血管新生を減少する能力
目的
糖尿病性網膜症のラットストレプトゾトシン(STZ)モデルにおける、hAS0326の眼血管新生を減少する能力を評価すること。
結果
STZモデルの発症前には処置群間で血管領域に統計的差はなかった(図8A)。
高血糖の誘導を伴うSTZ処置による発症の21日後(データ示さず)に、5μgのhAS0326単独処置または1μgの抗-VEGFと5μgのhAS032の組合せ処置はいずれも、食塩水陰性対照と比較して病巣の大きさを顕著に減少した(それぞれp<0.001および<0.0001、統計は示さず)(図8B)。処置の効率を比較すると、1μgの抗-VEGFと5μgのhAS032の組合せ処置は、抗-VEGF陽性対照と比較して病巣の大きさを顕著に減少した(p<0.05)(図8B)。
結論
糖尿病性網膜症のラットストレプトゾトシン(STZ)モデルにおける、血管漏出の減少におけるhAS0326の有効性研究は、抗-VEGFと同等の有益な効果を概念実証した。
実施例10 低pHおよび熱ストレスはモノクローナル抗体HG HYB 7-5、HG HYB 7-14、mAS0326およびhAS0326の凝集を誘導し、hAS0326の優位な安定性を示す。
目的
HG Hyb 7-5(HYB7-5)、HG Hyb 7-14(HYB7-14)、mAS0326およびhAS0326の安定性を評価、比較するために、モノクローナル抗体(Mabs)を熱ストレスに付した。Mabsを低pHおよび高温にさらすことによりMabsの高分子量形(凝集体)の形成を誘導し、可溶性の凝集体をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で分析した。不溶性凝集体の量を遠心分離によて試験し、タンパク質濃度を測定した。
材料および方法
サイズ排除クロマトグラフィー
HG Hyb 7-5、HG Hyb 7-14、mAS0326およびhAS0326をHiTrapカラムタンパク質A(GE Healthcare)5mlで精製し、25 mM Tris、25 mM NaCl pH 7.2 で洗浄し、次いで100 mM クエン酸 pH 3.5で溶出した。ウイルス不活性化工程としてMabsを溶出バッファー中で30分インキュベートし、1 M トリス pH 8.6を用いてpH 5 に調整した。50℃で5日および10日インキュベートした後、試料をサイズ排除クロマトグラフィーで分析した。6 mg/mlで調製した各ストレスをかけた試料上澄み30μlを25℃で作動させたカラム(MabPac SEC-1、Thermo Scientific)上に注入し、280nmでの吸光度を記録した。全溶出時間は30分で、流速は0.76 ml/分だった。移動相はリン酸ナトリウム50mm、pH 6.8および塩化ナトリウム300mmを含む。高分子量(HMW)ピークは排除された容積と抗-MFAP4(単量体)ピークの開始との間の領域の全てを含んでいた。集積した領域を全集積領域の比率とした。
凝集体の濃度
凝集体として存在する元のタンパク質の比率を評価するために、50℃で10日間ストレスをかけた試料を12,000rpmで遠心分離して不溶性物質をペレットにし、NanoDrop ONE UV可視分光光度計(Thermo Scientific)上のA280を測定することによって遠心分離の前後のタンパク質濃度を決定した。
結果
SECによってMabsの3つの高分子形が観察され、これらの保持容量を表1に示しており、その保持容量は単量体モノクローナル抗体hAS0326と比較して減少している。したがって、表1はサイズ排除クロマトグラフィー(MabPac SEC-1カラム、Thermo Scientific)で観察された高分子量(HMW)形(凝集体)について、全ての実験とそれぞれの保持容量をまとめて示す。
Figure 0007382343000003
低pHストレス試験
タンパク質Aカラム上でMabsを並行して精製し、pH 3.5、30分でウイルス不活性化工程を行った。表2は、低pHウイルス不活性化行程後の抗-MFAP4 Mabsの高分子量(HMW)形の分布を示し、HG Hyb 7-14とhAS0326のみが単分散を示した。したがって、表2は、タンパク質A精製とpH 3.5、30分でウイルス不活性化を行った後にサイズ排除クロマトグラフィーで観察された抗-MFAP4およびHMWs(可溶性HMW形)の比率を示す。
Figure 0007382343000004
時間間隔を伴う熱ストレス試験
Mabsの熱ストレス試験を行い、可溶性HMW形の量を評価するために試料を5日目および10日目にSECで分析した。表3および表4に示すように、hAS0326がどちらの条件でも最小量のHMWを示した。したがって、表3は50℃で5日間熱ストレスをかけた後にサイズ排除クロマトグラフィーで観察された抗-MFAP4およびHMW形の比率を示し、表4は50℃で10日間熱ストレスをかけた後にサイズ排除クロマトグラフィーで観察された抗-MFAP4およびHMW形の比率を示す。
Figure 0007382343000005
Figure 0007382343000006
不溶性の凝集体として存在する元のタンパク質の比率を評価するために、ストレスをかけた試料(50℃で熱ストレス)を12,000rpmで30分遠心分離して不溶性物質をペレットにし、NanoDrop ONE UV可視分光光度計(Thermo Scientific)上のA280を測定することによって遠心分離の前後のタンパク質濃度を決定した。得られた結果を表5に示し、ここでmAS0326およびHG Hyb 7-1とは異なり、hAS0326は50℃、10日間の後にも不溶性凝集体を何ら形成しなかった。
Figure 0007382343000007
結論
低pHおよび熱ストレス後の凝集体形成は、mAS0326、HG Hyb 7-5、およびHG Hyb 7-14と比較して、hAS0326のでは顕著に低く、これはhAS0326の安定性が顕著に高いことを示す。
実施例11 網膜内皮細胞のMFAP4誘導遊走の阻害-in vitro 研究
目的
MFAP4誘導の細胞活性化に対するhAS0326およびその変異体の効果を研究するために、網膜内皮細胞遊走アッセイを行った。全長hAS0326、抗原結合性断片(Fab)、および F(ab’)2 (2つのFabを含む)を試験した。
材料および方法
全長抗体および抗体変異体の発現
全長および抗体断片はEXPI CHO細胞(Thermo Scientific)で製造者の勧めに従って発現させた。
内皮遊走アッセイ
実験は修飾Boyden遊走アッセイとヒト網膜微小血管内皮細胞(Neuromics)を用いて行った。8μmのトランスウェルフィルター(Falcon cat#35097)の下側を組換えヒトMFAP4 10μg/cm2 で終夜4℃でコーティングし、PBSで洗浄した。0.5%FBSを含む0.5 mlの内皮基本培地(PromoCell)中の50,000細胞をフィルターの先端側に加えて、0.5%FBSを含む1 mlの内皮基本培地をフィルターの基底側に加えた。遊走阻害のために、種々のMabsおよびMab変異体をVEGF (25 ng/ml)と一緒に下のチャンバーに加えた。3.5時間後、上側表面を綿棒で優しくなぜて非遊走細胞を除去し、PBS中で洗浄して、フィルターをReastain Quick-Diff キット(Gentaur Molecular Products)で染色した。膜を横切った細胞を明視野顕微鏡(200倍)で数えた。
結果
全長および抗体断片は全て内皮遊走を阻害することができたが、その効率は異なっていた。全長hAS0326は内皮遊走をかなり阻害したが、hAS0326の組換えFab断片は用量を増やしても同等の阻害を推測することはできなかった(図9A)。
hAS0326のF(ab’)2断片はhAS0326と同程度に移動を阻害した(図9B)。もしも効率のよいF(ab’)2(完全抗体と比較してin vitroで十分作用する)が作製できたら、これらはin vivoで完全抗体よりもうまく作用できることが十分確立されていると考えられる。なぜなら、免疫グロブリン断片の使用は抗体のFc部分と細胞上のFc受容体との間の非特異的結合を排除するからである。したがって、効率のよいhAS0326のF(ab’)2断片の作製は有望な候補となる。
結論
このin vivoアッセイは、全長hAS0326、hAS0326 Fab、およびhAS0326 F(ab’)2 が程度の差はあっても内皮遊走を阻害する能力を示す。
実施例12 エピトープとパラトープ間の相互作用のX線結晶学
目的
MFAP4のエピトープに結合するために重要なパラトープのアミノ酸を決定するためにX線結晶学を用いた。
材料および方法
Fabを作製するために、抗-MFAP4を20 mM リン酸ナトリウム、10 mM EDTAおよび20 mM L-システイン pH 7.4 中で4時間、37℃で、固定化パパインビーズ(Thermo scientific)と インキュベートした。遠心分離でビーズをペレットとし、上澄みを50mM酢酸ナトリウムpH 5.5で平衡化した1 ml Mono S カラム上に充填した。20から 500 mM NaClの勾配でFabを溶出し、次いで20 mM Hepes、150 mM NaCl pH 7.4中で平衡化した24 ml Superdex 200 Increase上のサイズ排除クロマトグラフィーで精製した。結晶化の前にMFAP4を自前で調製したEndoglycosidase Hを用いて18時間4℃で脱グリコシル化した。脱グリコシル化MFAP4を過剰のFabと混合し、複合体を20 mM Hepes pH 7.4、150 mM NaCl中で平衡化した24 ml Superdex 200 Increase上で精製した。単離した複合体を6 mg/mlまで濃縮し、0.14 Mリン酸二アンモニウム、14% w/v ポリエチレングリコール3,350を含むリザーバー溶液0.5μlとタンパク質0.5μlと混合した後、19℃で蒸気拡散によって結晶化した。データ収集の前に、20%グリセロールを補充したリザーバー溶液に結晶を漬けて、液体窒素中でフラッシュ冷却した。
回折データをESRF ID23-1で収集し、XDS および XSCALE (Kabsch, W. (2010) Acta crystallographica. Section D, Biological crystallography 66, 133-144)で処理、スケール化した。単量体FIBCD1 (PDB ID 4M7H) および生殖細胞系列Fab (PDB ID 4JPI)をサーチモデルとして用いて、Phaser (McCoy, A. J., Grosse-Kunstleve, R. W., Adams, P. D., Winn, M. D., Storoni, L. C., および Read, R. J. (2007) Journal of applied crystallography 40, 658-674)による分子置換法によって構造を決定した。反復法で構造を手動でCootに再構築し、位置調整、グループ化B-因子およびTLSグループおよび非結晶学的対称拘束を用いて、Phenix. Refine (Afonine, P. V. et al. (2012) Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 68, 352-367)で精密化した。モデルのタンパク質部分を完成した後、文献記載のように (Croll, T. I., et al. (2016) Acta Crystallogr D Struct Biol 72, 1006-1016) 分子動力学拘束実空間フィッティングを用いて、構造を電子密度マップにフィッティングさせた。次にCa2+イオンと2つの水配位分子をそれぞれの位置に挿入し、FIBCD1 (Shrive, A. K. ら(2014) J Biol Chem 289, 2880-2887)での観察に従ってカルシウムリガンド配位構造を拘束した。最終的精密化サイクルにおいて、位置調整に加えていくつかの個々のB-因子精密化サイクルを許可した。最終的な構造は、回折データの分析を考慮するとMolprobity (Chen, V. B. ら (2010) Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 66, 12-21)に従う素晴らしい立体化学を示した。分子内インターフェースはPyMol 1.8.6 (Schrodinger, LLC. (2015) The PyMOL Molecular Graphics System, Version 1.8.) および PISA (Krissinel, E. et al. (2007) J Mol Biol 372, 774-797)で分析し、図面はPyMolで作成した。
結果
パラトープの強く相互作用しパッケージングするアミノ酸は可変重鎖中の3つ全てのCDR由来の残基を含み、一方可変軽鎖では2つのCDRのみ、すなわち、CDR1とCDR3がMFAP4中のエピトープと強く相互作用するアミノ酸を示す。
可変重鎖中の強く相互作用するアミノ酸は以下のものである:
CDR1中:配列番号2および4についてTrp-33;配列番号12についてTrp-3;
CDR3中:配列番号2および4についてGlu-99;配列番号14についてGlu-1;
CDR3中:配列番号2および4についてTrp-107;配列番号14についてTrp-9。
可変軽鎖中の強く相互作用するアミノ酸は以下のものである:
CDR1中:配列番号1および3についてTyr-32;配列番号9についてTyr-9;
CDR3中:配列番号1および3についてTyr-94;配列番号11についてTyr-6。
さらに、結果は可変重鎖中の2つのアミノ酸がパッケージング、すなわち、パラトープの正しい折りたたみにとって重要であることを示した:
CDR1中:配列番号2および4についてMet-34;配列番号12についてMet-4;
CDR2中:配列番号2および4についてPro-53;配列番号13についてPro-4。
結論
X線結晶学によってhAS0326パラトープおよびそのMFAP4エピトープへの結合を定めることに成功した。これらの分析は、パラトープの5つのアミノ酸がエピトープと強く結合し、またパッケージングのためには2つのアミノ酸が重要であることを示す。したがって、これらのアミノ酸の1以上に部位特異的変異導入することによってパラトープのエピトープへの結合をなくしたり、弱めたりできるとの仮説が成り立ちうる。

Claims (17)

  1. 配列番号1または3のアミノ酸配列、または配列番号1または3と少なくとも90%の配列同一性をもつアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;および
    ・配列番号2または4のアミノ酸配列、または配列番号2または4と少なくとも90%の配列同一性をもつアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
    を含む、抗-MFAP4抗体であって、
    前記軽鎖可変領域は配列番号9のCDR1領域、配列番号10のCDR2領域、および配列番号11のCDR3領域を含み、
    前記重鎖可変領域は配列番号12のCDR1領域、配列番号13のCDR2領域、および配列番号14のCDR3領域を含む、抗-MFAP4抗体。
  2. 以下のものを含む、請求項1に記載の抗-MFAP4抗体:
    ・配列番号3のアミノ酸配列、または配列番号3と少なくとも90%の配列同一性をもつアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;および
    ・配列番号4のアミノ酸配列、または配列番号4と少なくとも90%の配列同一性をもつアミノ酸配列を含む重鎖可変領域。
  3. 以下のものを含む、請求項1又は2に記載の抗-MFAP4抗体:
    ・配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;および
    ・配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域。
  4. 前記抗-MFAP4抗体がポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、重鎖と軽鎖が柔軟なリンカーで連結された抗体、Fv分子、抗原結合性断片、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2分子、ヒト化抗体、およびキメラ抗体からなる群から選択される、請求項1-3のいずれか一項に記載の抗-MFAP4抗体。
  5. 前記抗-MFAP4抗体がF(ab’)2分子である、請求項1-4のいずれか一項に記載の抗-MFAP4抗体。
  6. 前記抗-MFAP4抗体がヒト化抗体である、請求項1-5のいずれか一項に記載の抗-MFAP4抗体。
  7. 前記抗-MFAP4抗体が検出可能な標識または毒性あるいは治療活性を有する物質と結合されている、請求項1-6のいずれか一項に記載の抗-MFAP4抗体。
  8. 1*10-7M未満のrhMFAP4に対するKD値をもつ、請求項1-7のいずれか一項に記載の抗-MFAP4抗体。
  9. 前記抗-MFAP4抗体の少なくとも95%が単量体形である、請求項1-8のいずれか一項に記載の抗-MFAP4抗体。
  10. 前記抗-MFAP4抗体がrhMFAP4 N-末端ドメイン中のRGD-インテグリン相互作用配列と結合しない、請求項1-9のいずれか一項に記載の抗-MFAP4抗体。
  11. 請求項1-10のいずれか一項に記載の抗-MFAP4抗体をコードするベクター。
  12. 請求項1-10のいずれか一項に記載の抗-MFAP4抗体を発現する細胞、および/または請求項11に記載のベクターを含む細胞。
  13. 請求項1-10のいずれか一項に記載の抗-MFAP4抗体、および1以上の生理学的に受容可能な担体、賦形剤および/または希釈剤を含む薬学的組成物。
  14. 医薬用途のための請求項1-10のいずれか一項に記載の抗-MFAP4抗体および/または請求項13に記載の薬学的組成物。
  15. 病理学的血管新生、血管漏出、炎症または眼の繊維症などで特徴づけられる、哺乳動物における血管増殖性疾患の予防または治療に用いるための請求項1-10のいずれか一項に記載の抗-MFAP4抗体または請求項13に記載の薬学的組成物。
  16. 眼の病理学的血管新生で特徴づけられる障害が、地図状萎縮および増殖性AMDを含む加齢性黄斑変性症(AMD)、網膜静脈閉塞症、網膜症、高血圧性網膜症、硝子体牽引症、増殖性DRおよび糖尿病黄斑浮腫を含む糖尿病性網膜症(DR)からなる群から選択される、請求項15に記載の抗-MFAP4抗体または薬学的組成物。
  17. 血管増殖性疾患が癌である、請求項15に記載の抗-MFAP4抗体または薬学的組成物。
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