JP7378683B2 - 無線通信装置および信号処理方法 - Google Patents

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Description

本開示は、無線通信装置、制御回路、記憶媒体および信号処理方法に関する。
無線通信システムにおいて、同一の信号フォーマットを有する複数の送信信号が時間軸および周波数軸で構成される2次元空間上で信号の重なりを生じる場合、これらの送信信号は互いに干渉する。例えば、信号の重なりを生じる一例としては、同一システム内の複数の送信装置から共通の周波数帯で同じ時期に信号が送信され、受信装置に到来する場合が挙げられる。このように干渉する複数の送信信号を同時に受信する場合に有効な受信技術として、SIC(Successive Interference Cancellation)に代表される干渉キャンセリングが挙げられる。SICは、受信信号の中に含まれる複数の送信信号のうち最も電力の大きい信号を復調する処理、復調した信号のレプリカを生成する処理、受信信号からレプリカを減算する処理、および、次に電力の大きい信号を復調する処理、を繰り返すことで複数の送信信号を逐次復調することを可能にする技術である。
例えば、非特許文献1には、1つのアンテナを備える受信機が、複数のIoT(Internet Of Things)デバイスから非同期に送信される複数の送信信号を受信する際に、SICを繰り返し用いて、受信電力の高い信号から逐次復調する技術が開示されている。
Milutin Pajovic, Gozde Ozcan, Toshiaki Koike-Akino, Pu Wang, Philip Orlik "Packet Separation in Phase Noise Impaired Random Access Channel", 2018 IEEE Global Communications Conference (GLOBECOM), Feb. 2019.
しかしながら、非特許文献1に開示されている技術は、受信信号に含まれる複数の送信信号を分離することが困難であって、送信信号を復調することができない場合があるという問題があった。例えば、互いに干渉する複数の送信信号の受信電力差が小さい場合、非同期に到来する複数の送信号の到来時間差、周波数差が小さい場合にも、複数の送信信号を分離することが困難であって、送信信号を復調することができない場合がある。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、送信信号の復調性能を向上させることが可能な無線通信装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる無線通信装置は、同一の信号フォーマットを有する複数の送信信号であって、共通の周波数帯を使用する複数の送信装置から送信された複数の送信信号を含み、複数のアンテナを用いて受信された受信信号を処理する無線通信装置であって、受信信号に含まれる複数の送信信号の間の、到来時間差、周波数差、および受信電力差の少なくとも1つが大きくなるように、受信信号の指向性を制御するための指向性制御係数を決定する制御係数決定部と、指向性制御係数を用いて、受信信号の指向性を制御する指向性制御部と、受信信号に含まれる複数の送信信号の中の1つである復調対象信号の到来時刻および周波数を推定する同期部と、到来時刻および周波数の推定結果に基づいて、復調対象信号を復調する復調部と、推定結果と復調結果とに基づいて、復調対象信号のレプリカを生成するレプリカ生成部と、受信信号からレプリカを減算し、減算結果を出力する干渉キャンセル部と、を備え、制御係数決定部は、送信装置および無線通信装置のそれぞれの位置と、送信装置および無線通信装置の間の相対的な移動速度とに基づいて、到来時間差および周波数差の少なくとも1つが大きくなるように指向性制御係数を決定することを特徴とする。
本開示にかかる無線通信装置は、送信信号の復調性能を向上させることが可能であるという効果を奏する。
実施の形態1にかかる無線通信装置の機能構成を示す図 図1に示す無線通信装置の受信信号に含まれる送信信号の信号フォーマットの一例を示す図 図1に示す無線通信装置の受信信号が複数の送信信号を含む場合の状況を示す図 図1に示す無線通信装置の指向性制御係数の決定方法の第1の例について説明するための図 図1に示す無線通信装置の指向性制御係数の決定方法の第2の例について説明するための図 図5に示す送信装置の一方に向けてメインビームを向けた場合の受信信号に含まれる複数の送信信号の受信電力差を示す図 メインビーム方向を図6の状態からずらした場合の受信電力に含まれる複数の送信信号の受信電力差を示す図 図1に示す無線通信装置の動作を説明するためのフローチャート 実施の形態2にかかる無線通信装置の機能構成を示す図 図9に示す無線通信装置の動作を説明するためのフローチャート 無線通信装置が備えるプロセッサおよびメモリを用いた処理回路を示す図 無線通信装置が備える専用のハードウェアである処理回路を示す図
以下に、本開示の実施の形態にかかる無線通信装置、制御回路、記憶媒体および信号処理方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態によって本開示の技術的範囲が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる無線通信装置10の機能構成を示す図である。無線通信装置10は、時間軸および周波数軸からなる2次元空間上で信号の一部に重なりを生じ、互いに干渉する複数の非同期な送信信号が含まれる無線信号を受信可能である。無線通信装置10は、移動する車両、航空機、人工衛星といった移動体に搭載されてよい。なお、以下では無線通信装置10が移動体に搭載されている例について説明するが、無線通信装置10が移動体に搭載されていない場合であっても、以下に説明する無線通信装置10の構成および動作を適用することは可能である。
無線通信装置10は、アンテナ部101と、干渉キャンセル部102と、制御係数決定部103と、指向性制御部104と、同期部105と、復調部106と、レプリカ生成部107とを有する。
アンテナ部101は、伝搬路を介して無線通信装置10に到来する複数の送信信号を受信する。アンテナ部101は、複数のアンテナ素子を有するアレーアンテナである。複数のアンテナ素子は、直線状、平面状、または曲面状などに配列されている。アレーアンテナは、これらの複数のアンテナ素子の全部または一部の振幅および位相を制御して合成し、所望のビームパターンを得るアンテナである。アンテナ部101が有するアンテナ素子の数や、複数のアンテナ素子の配列規則は限定されない。また、アンテナ部101は、A/D(Analog/Digital)変換器を有していてもよい。アンテナ部101は、受信信号を各種の周波数変換技術に基づいてダウンコンバージョンし、ベースバンド領域のデジタル受信信号を生成して、受信信号を干渉キャンセル部102に出力する。具体的には、アンテナ部101は、複数のアンテナ素子のそれぞれが受信する受信信号である複数の個別受信信号を干渉キャンセル部102に出力する。
アンテナ部101の受信信号には、同一の信号フォーマットを有する複数の送信信号が含まれ得る。これらの複数の送信信号は、共通の周波数帯を使用する複数の送信装置から送信される。図2は、図1に示す無線通信装置10の受信信号に含まれる送信信号の信号フォーマットの一例を示す図である。図2に示す例では、送信信号は、プリアンブル21、データペイロード22および誤り検出符号23を含む。図2に示すフォーマットで送信される送信信号の単位をフレームと呼ぶ。プリアンブル21は、予め定められたビット列であり、同期信号または参照信号とも呼ばれる。プリアンブル21は、無線通信装置10においてフレームの先頭位置の検出、すなわちフレームタイミングの同期に使用される。データペイロード22は、送信装置から送信される情報を示すデータである。誤り検出符号23は、誤り検出符号を用いた誤り検出符号化において生成される誤り検出のための冗長データである。誤り検出符号の一例としては、CRC(Cyclic Redundancy Check)が挙げられるが、誤り検出符号は、CRC符号に限定されず他の誤り検出符号であってもよい。また、図2では、誤り検出符号として、情報系データと冗長データとが分離可能な組織符号が用いられる例を示しているが、この例に限定されず、組織符号以外の誤り検出符号が用いられてもよい。
図3は、図1に示す無線通信装置10の受信信号が複数の送信信号S1,S2を含む場合の状況を示す図である。送信信号S1および送信信号S2は、同一の信号フォーマットで構成されている。なお、ここでは図2で示した信号フォーマットが用いられているものとする。送信信号S2は、送信信号S1に対して周波数軸上でΔf、時間軸上でΔtずれて無線通信装置10に到来している。送信信号S1および送信信号S2は、時間軸および周波数軸からなる2次元空間上で信号の一部に重なりを生じている。つまり、送信信号S1のフレーム長の範囲内に送信信号S2のフレームの一部も含まれ、送信信号S1の持つ帯域幅内に送信信号S2の持つ帯域の一部も重なりを生じており、送信信号S1および送信信号S2の一部は、時間軸および周波数軸で互いに干渉している状況である。
時間軸および周波数軸からなる2次元空間上で信号の一部に重なりを生じ、互いに干渉する複数の非同期な送信信号が含まれる無線信号を受信する状況の一例としては、周波数帯を共用する複数の送信装置から送信された信号が、無線通信装置10に到来する到来時刻が近い場合が挙げられる。例えば、多数の端末がセンサデータ、位置情報などを短いバーストで伝送する無線通信システムで、送受信機のどちらか一方が高速で移動する場合、地上または海上からの信号を衛星で受信するような場合にこのような現象が発生し易い。通常、このような無線通信システムでは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)、TDMA(Time Division Multiple Access)、ALOHAプロトコルなど、信号衝突回避のための技術を利用している。しかしながら、これらの技術では、送受信機の移動が発生する場合に信号の衝突を回避できることを保証していない。このため、端末間の同期精度が十分でなかったり、十分な同期精度があっても送受信機間の距離が長く、受信機と各送信機との間の伝搬距離のばらつきが大きかったりする場合、複数の送信信号が衝突してしまう。このとき、複数の送信装置からの信号は、時間軸上で信号の一部が不特定な重なりを生じた状態で受信されてしまう。また、センサの検知データを送受信するセンサネットワークにおいて、複数の端末間で発振器の周波数誤差などを補償する仕組みが十分でない場合、送信機または受信機が移動する場合など、異なるドップラー周波数遷移を持って各送信機からの信号が受信機に到来してしまう。この結果、複数の信号が、同一帯域でありながら僅かに異なる時間周波数で到来し、部分的にオーバーラップして送信信号同士が衝突してしまう場合がある。上記のような条件で発生する信号衝突は、例えば基地局が端末を制御するセルラ通信システムでは発生しにくい。しかしながら、多数のデバイスを収容する装置間通信で、ドローン、自動車などにおいて、ドップラー周波数などシステムで制御しきれないパラメータがある場合には、同様の問題が発生し得る。なお、上述のシステムは一例であり、以下に説明する実施の形態において想定する無線信号は、上述の例に限定されない。
図1の説明に戻る。干渉キャンセル部102は、アンテナ部101が出力する受信信号から、後述するレプリカ生成部107が出力するレプリカを減算し、減算結果を指向性制御部104に出力する。具体的には、アンテナ部101が出力する受信信号は、複数の個別受信信号であり、レプリカ生成部107が出力するレプリカは、各個別受信信号に対応する複数のレプリカである。干渉キャンセル部102は、複数の個別受信信号のそれぞれから、各個別受信信号に対応するレプリカを減算し、複数の減算結果を指向性制御部104に出力する。なお、初期動作時には、レプリカ生成部107はなにも出力しない、または、振幅0のレプリカを出力し、干渉キャンセル部102は、個別受信信号をそのまま出力することになる。
制御係数決定部103は、受信信号に含まれる複数の送信信号の到来時間差、周波数差、および受信電力差の少なくとも1つが大きくなるように、受信信号の指向性を制御するための指向性制御係数を決定する。制御係数決定部103は、決定した指向性制御係数を指向性制御部104に出力する。なお、ここで到来時間差、周波数差、および受信電力差は、いずれも無線通信装置10に到来した時点における到来時刻、周波数、および受信電力のそれぞれの差異のことを指す。
まず、制御係数決定部103が、到来時間差が大きくなるように指向性制御係数を決定する方法について説明する。図4は、図1に示す無線通信装置10の指向性制御係数の決定方法の第1の例について説明するための図である。ここでは、無線通信装置10が搭載されている移動体は、y軸方向に移動していることとする。無線通信装置10は、x軸と並行に配置された複数の送信装置30-A~30-Dが送信した送信信号を受信する。無線通信装置10は、y軸上に配置されており、送信装置30-A~30-Dは、y軸を挟んで対称に配置されている。この場合、送信装置30-Aと無線通信装置10との間の伝搬距離rAと、送信装置30-Dと無線通信装置10との間の伝搬距離rDとは概ね等しくなり、送信装置30-Bと無線通信装置10との間の伝搬距離rBと、送信装置30-Cと無線通信装置10との間の伝搬距離rCとは概ね等しくなる。このように伝搬距離が等しくなる送信装置30が複数存在する場合、伝搬距離が同程度である複数の送信装置30のうちの1つの送信信号を復調対象信号とすると、復調対象信号の送信装置30以外の送信装置30の方向のアンテナ利得を下げるようにビームを制御したり、ヌルを向けたりすることで、同じ伝搬距離を有する信号が受信される確率を下げることができる。例えば、図4に示す例では、伝搬距離が同程度である送信装置30-A,30-Dのうち送信装置30-Aからの送信信号を復調対象信号とした場合、送信装置30-Dの方向のアンテナ利得を下げるようにビーム制御したり、送信装置30-Dの方向にヌルを向けたりすることで、送信装置30-Dからの送信信号が受信される確率を下げることができる。同様に、伝搬距離が同程度である送信装置30-B,30-Cのうち送信装置30-Bからの送信信号を復調対象信号とした場合、送信装置30-Cの方向のアンテナ利得を下げるようにビームを制御したり、送信装置30-Cの方向にヌルを向けたりすることで、送信装置30-Cからの送信信号が受信される確率を下げることができる。以上説明したように、伝搬距離が同程度である複数の送信装置30が存在する場合、制御係数決定部103は、復調対象以外の送信装置30の方向のアンテナ利得を下げるように、または、復調対象以外の送信装置30の方向にヌルを向けるように、指向性制御係数を決定する。これにより、同程度の到来時刻で複数の送信信号が受信される確率を下げ、復調性能を向上させることができる。なお、無線通信装置10と、複数の送信装置30との間の位置関係は、図4に示す例に限定されず、送信装置30の数も限定されない。また、無線通信装置10にとって、送信装置30の数および位置が不明な場合であっても、無線通信装置10の移動方向、移動速度などから想定される伝搬距離および伝搬遅延の分布に基づいて、受信したい方向と同じ分布になる方向のアンテナ利得を下げるように指向性制御係数を決定することで、無線通信装置10が送信信号を復調することができる確率を上げることが可能になる。
次に、制御係数決定部103が、周波数差が大きくなるように指向性制御係数を決定する方法について説明する。周波数差についても到来時間差と同様の考え方をすることができる。ドップラー周波数は、無線通信装置10の移動方向と移動速度、厳密には、各送信装置30との間の相対速度で決定される。したがって、図4に示す例では、送信装置30-Aと無線通信装置10との間のドップラー周波数による周波数偏差fAと、送信装置30-Dと無線通信装置10との間のドップラー周波数による周波数偏差fDとは概ね等しくなり、送信装置30-Bと無線通信装置10との間のドップラー周波数による周波数偏差fBと、送信装置30-Cと無線通信装置10との間のドップラー周波数による周波数偏差fCとは概ね等しくなる。なお、ここで周波数偏差とは、送信時の信号の周波数と受信時の信号の周波数との差を指している。このように受信時の周波数が同程度である複数の送信信号が受信信号に含まれる場合、到来時間差を制御する場合と同様の考え方により、制御係数決定部103は、無線通信装置10と各送信装置30との間の位置および相対速度の関係から生成したドップラー周波数の分布に基づいて、受信したい方向と同じドップラー分布になる方向のアンテナ利得を下げるように、または、ヌルを向けるように指向性制御係数を決定する。これにより、同程度の周波数で複数の送信信号が受信される確率を下げ、無線通信装置10が送信信号を復調することができる確率を上げることが可能になる。
上記では、アンテナ利得を下げることにより複数の送信信号間の干渉度合いを低減する方法について説明したが、アンテナ構造の制約から、アンテナ利得を十分に下げることが難しい場合であっても、受信電力差を少しでも大きくすることができれば、複数の送信信号間の干渉度合いを低減し、送信信号を復調することができる確率を高めることが可能になる。
続いて図5は、図1に示す無線通信装置10の指向性制御係数の決定方法の第2の例について説明するための図である。制御係数決定部103は、受信電力差を大きくするように指向性制御係数を決定することができる。例えば、上述のように、アンテナ構造の制約から、アンテナ利得を十分に下げることが難しい場合や、図5に示すように送信装置30同士が近接している環境で信号が送信される場合には、複数の送信信号の到来時間差および周波数差を大きくすることが難しいため、受信電力差が大きくなるように指向性制御係数を決定することで、複数の送信信号のそれぞれを復調することが可能になる。図5に示すy軸は、無線通信装置10の移動方向であり、y軸上を移動する無線通信装置10と、y軸を挟んで対称に近接して配置された送信装置30-Eおよび送信装置30-Fとが示されている。無線通信装置10は、送信装置30-Eおよび送信装置30-Fからの送信信号を受信する。図5に示すように、送信装置30-Eおよび送信装置30-Fがy軸を挟んで対称に配置されている場合、送信装置30-Eと無線通信装置10との間の伝搬距離rEと、送信装置30-Fと無線通信装置10との間の伝搬距離rFとは概ね等しくなり、送信装置30-Eと無線通信装置10との間のドップラー周波数による周波数偏差fEと、送信装置30-Fと無線通信装置10との間のドップラー周波数による周波数偏差fFとは概ね等しくなる。しかしながら、図5に示す例では、送信装置30-Eと送信装置30-Fとが近接して配置されているため、無線通信装置10から送信装置30-Eに向かう方向と、無線通信装置10から送信装置30-Fに向かう方向との差が小さく、一方の方向だけアンテナ利得を下げることが困難である。この場合、アンテナ部101のメインビーム方向を、あえて電波の到来方向からずらすように制御することで、送信装置30-Eの送信信号と、送信装置30-Fの送信信号との受信電力差を大きくすることができる。
図6は、図5に示す送信装置の一方に向けてメインビームを向けた場合の受信信号に含まれる複数の送信信号の受信電力差を示す図である。図5に示すように複数の送信装置30-E,30-Fが近接して配置されている場合、メインビーム方向を無線通信装置10から送信装置30-Eに向かう方向θ1とした場合、送信装置30-Eからの送信信号である到来波#1の受信電力と、送信装置30-Fからの送信信号である到来波#2の受信電力との強度差は、受信電力差v1となる。図7は、メインビーム方向を図6の状態からずらした場合の受信電力に含まれる複数の送信信号の受信電力差を示す図である。図7に示すように、メインビーム方向を方向θ1からずらして方向θ2とした場合、ビームの利得が急峻に落ちる部分でそれぞれの到来波#1,#2を受信することになり、受信電力差v2は、メインビーム方向を方向θ1としたときの受信電力差v1よりも大きくなる。このように、送信装置30-E,30-F同士の位置が近く、到来時間差および周波数差を大きくすることが難しい場合であっても、メインビーム方向をあえて所望受信方向からずらして、ビームの利得が急峻に変化する部分を利用して、所望受信方向に存在する複数の到来波#1および到来波#2の受信電力差を大きくすることで、無線通信装置10の復調性能を向上させることができる。送信装置30-E,30-Fの位置が無線通信装置10にとって不明である場合、無線通信装置10は、メインビーム方向を走査しながら復調動作を繰り返し行うことで、同様の効果を得ることができる。なお、所望受信方向とは、無線通信装置10から、復調対象信号を送信する送信装置30に向かう方向であり、送信信号が存在する方向、復調対象信号の受信電力が最大となる方向ともいえる。
なお、メインビームの幅は、狭域化した方が受信電力差を大きくすることができる。したがって、メインビームの幅を狭域化するように指向性制御係数を決定することで、さらに受信電力差を大きくすることができる。具体的には、制御係数決定部103は、チェビシェフ分布、テイラー分布などに基づいて指向性制御係数を決定することで、サイドローブレベルを設定可能なアンテナ設計アルゴリズムを用いることができる。これらのアルゴリズムは、サイドローブレベルを任意に設定可能な指向性制御係数決定方法であり、サイドローブレベルを下げるほどメインビームが太くなるトレードオフの関係がある。よって、サイドローブレベルをあえて高く設定することで、アンテナ素子数を増加させずにメインビームを狭域化することが考えられる。また、あるアンテナの利得を0にすることでメインビームを狭域化するスパースアレーや、信号処理によりアンテナ自由度を向上させるカトリラオ積拡張など、メインビームを狭域化する任意の技術を適用することで、受信電力差をさらに大きくすることができる。
制御係数決定部103は、上記で説明した複数の指向性制御係数決定方法のうち、いずれか1つの方法を用いてもよいし、複数の方法を用いてもよい。例えば、制御係数決定部103は、想定される送信装置30の配置に基づいて、複数の方法のうちの1つを選択して用いてもよいし、送信装置30の配置が不明である場合、複数の方法を試行して、無線通信装置10は、誤り検出なしとなった信号を復調結果として出力するような構成をとってもよい。また、所望受信方向と同じ到来時刻または周波数となる方向にヌルを向けるという制約条件をつけた上で、メインビームを狭域化してメインビーム方向を走査することで近接波を分離するなど、複数の指向性制御係数決定方法を同時に実行することもできる。
また、アンテナ自由度を超えた数の到来波に対しては、上記のような指向性制御係数の制御によって複数の送信信号を分離する本願技術を用い、到来波の数がアンテナ自由度以下であれば、空間フィルタリング技術のような従来技術を用いて複数の送信信号を分離するなど、想定される送信装置30の数によって、従来の技術と組み合わせて使用することもできる。また、受信動作を開始する段階で、受信信号に含まれる送信信号の数を推定し、推定結果によって従来技術と本願技術とを切り替えて使用することもできる。また、送信信号の数の推定結果がアンテナ自由度を超えている場合において、本願技術を用いた干渉キャンセルを逐次行い、受信信号に含まれる送信信号の数が、従来技術を使用することができる数になった時点で、従来技術に切り替えてもよい。受信信号に含まれる送信信号の数の推定方法としては、例えば、到来方向推定法でもあるMUSIC(Multiple Signal Classification)、AIC(Akaike Information Criteria)、MDL(Minimum Description Length)アルゴリズムなどが挙げられる。
図1の説明に戻る。指向性制御部104は、制御係数決定部103が出力する指向性制御係数を用いて、受信信号の指向性を制御する。具体的には、指向性制御部104は、干渉キャンセル部102が出力する減算結果であるレプリカを減算した後の複数の個別受信信号のそれぞれに、アンテナ毎の指向性制御係数を乗算し、複数の乗算結果を合成した指向性制御後の受信信号を同期部105に出力する。
同期部105は、指向性制御部104が出力する指向性制御後の受信信号に基づいて同期処理を行う。具体的には、同期部105は、受信信号に含まれる複数の送信信号のうちの1つを選択して復調対象信号とし、復調対象信号の到来時刻および周波数を推定する。また、同期部105は、到来時刻および周波数の推定結果に基づいて、受信信号から復調対象信号を抽出するフレーム同期処理および周波数補正処理を行い、復調対象信号を復調部106に出力する。ここで、フレーム同期処理とは、受信信号の中で復調対象信号のフレームが含まれると考えられる区間を抜き出す操作である。周波数補正処理は、復調部106が想定する周波数に復調対象信号の周波数を同期させる処理である。
到来時刻および周波数の推定方法としては、例えば、入力される信号と既知信号であるプリアンブルとを用いて、相関演算により推定する方法が挙げられる。時間変数と周波数変数に関わる評価関数を生成し、生成した評価関数に基づいて、入力される信号に含まれる複数の送信信号の中で、最も電力の大きい送信信号である復調対象信号に対応する時間および周波数の推定値を出力する。より具体的には、時間変数をプリアンブルの時間遅延量とし、周波数変数をキャリア周波数など無線通信装置10が想定する周波数からの偏差量とし、時間変数および周波数変数をそれぞれ変更した複数のプリアンブルをパターン信号として生成しておく。プリアンブルの遅延量は、例えば基準時刻からプリアンブルの先頭位置までの時間である。その後、入力信号とパターン信号との相関値を、全てのパターン信号に対して算出する。これらの算出された相関電力の大きさを評価関数とすると、評価関数が最大となる時間変数および周波数変数の組み合わせが、最も電力の大きい送信信号である復調対象信号に対応する到来時刻および周波数であると推定することができる。
ここで、時間変数と周波数変数とは、無線通信装置10と複数の送信装置30のそれぞれとの位置関係から想定される範囲で生成することになる。このとき、指向性制御によってこれらの範囲を絞り込むことで、到来時刻および周波数の推定精度を高めることができる。具体的には、指向性制御によってアンテナ利得が低くなる時間および周波数推定値の範囲に関しては、相関演算の対象外とすることが考えられる。
復調部106は、同期部105から出力される復調対象信号に対して、復調処理を実行して復調結果を出力する。復調結果とは、プリアンブルなども含む復調したビット列、誤り検出結果などである。また、復調結果は、レプリカ生成部107にも出力される。復調処理は、同期検波、遅延検波など、変調方式に応じた各種の一般的な復調処理である。また、復調対象信号に残留周波数偏差、位相雑音による位相変動、フェージングによるチャネル変動などがある場合、復調性能を高めるために、復調部106は、判定指向型の位相変動パターン推定処理、チャネル変動パターン推定処理を実施しながら復調を行ってもよい。また、その際の位相変動パターン推定結果およびチャネル変動パターン推定結果をレプリカ生成部107に出力して、レプリカ生成の際に使用してもよい。
レプリカ生成部107は、レプリカ生成に必要なパラメータの推定を行い、これらのパラメータと復調結果のビット列とからアンテナ毎の復調対象信号のレプリカを生成し、生成した複数のレプリカを干渉キャンセル部102に出力する。レプリカ生成に必要なパラメータとは、復調対象信号の到来時刻、周波数、チャネル変動パターン、位相変動パターン、振幅変動パターン、帯域制限フィルタ係数、アンテナ間位相差などである。到来時刻および周波数については、同期部105の推定結果をそのまま使用してもよいし、復調結果のビット列から生成したレプリカと受信信号との相関演算によって再度推定して推定精度を高めてもよい。チャネル変動パターン、位相変動パターンおよび振幅変動パターンについては、復調部106が既に推定している場合にはそのまま推定結果を使用してもよいし、復調結果のビット列から生成したレプリカと受信信号との相関演算により再推定してもよい。帯域制限フィルタ係数に関しては、複数の帯域制限フィルタを用いて生成したレプリカと受信信号との相関演算を行うなどして推定することができる。
復調対象信号の到来時刻、周波数、チャネル変動パターン、位相変動パターン、振幅変動パターンおよび帯域制限フィルタ係数については、アンテナ毎に独立した値ではないため、指向制御後の受信信号とレプリカとの間の相関演算などにより再推定処理を行うことで、ノイズや干渉の影響を軽減してパラメータを推定することができる。また、各アンテナ受信信号とレプリカとの間の相関演算などにより再推定処理を行い、それらの結果を平均化することでもノイズ、干渉などの影響を軽減してパラメータを推定することができる。
アンテナ間位相差については、アンテナ毎に独立のパラメータであるため、アンテナ毎の個別受信信号とレプリカとの間で相関演算を行うなどして推定処理を行う。または、復調対象信号の到来方向が推定できている場合、レプリカ生成部107は、到来方向からアンテナ間位相差を計算することができる。また、アンテナ間位相差は、2アンテナ毎の位相差分で計算できるため、複数のアンテナを2アンテナずつに分けて位相差分を計算し、これらを平均化することで推定精度を高めることができる。
このように、アンテナ毎のレプリカを生成してアンテナ毎の受信信号である個別受信信号のそれぞれから対応するレプリカを減算することで、干渉キャンセル後の個別受信信号に対して、再度別の指向性制御方法を適用することができる。したがって、複数の送信信号を復調することができる可能性を高めることができる。具体的には、図4および図5に示す全ての送信装置30-A~30-Fから信号が無線通信装置10に到来する場合、図5に示す信号に対しては、送信装置30-Eの送信信号と送信装置30-Fの送信信号との間の受信電力差が大きくなるように指向性制御係数を決定して干渉キャンセル処理を行った後、図4に示す送信装置30-A~30-Dに対しては、到来時間差および周波数差の少なくとも1つが大きくなるように指向性制御係数を決定して干渉キャンセル処理を行うことで、全ての送信信号を復調することが可能になる。
なお、アンテナ毎のレプリカを生成してアンテナ毎の受信信号である個別受信信号のそれぞれから対応するレプリカを減算する操作は、再度別の指向性制御方法を適用した後で行われてもよい。複数の指向性制御方法を適用して復調処理を行い、複数の復調信号が得られた場合は、複数の復調信号それぞれのレプリカを生成し、アンテナ毎の受信信号である個別受信信号のそれぞれから各レプリカを減算する。このようにレプリカを減算する前に複数の指向性制御および復調処理を行うことで、レプリカ減算に起因する誤差により他の送信信号を復調することができなくなってしまうといった減少を軽減することができる。
図8は、図1に示す無線通信装置10の動作を説明するためのフローチャートである。なお、図8に示す動作は一例であり、無線通信装置10の動作は図8に示す例に限定されない。
無線通信装置10のアンテナ部101は、信号を受信する(ステップS11)。アンテナ部101は、アンテナ毎の受信信号である複数の個別受信信号を干渉キャンセル部102に出力する。干渉キャンセル部102は、アンテナ毎の複数の個別受信信号のそれぞれからレプリカ信号を減算する(ステップS12)。なお、先に述べた通り、アンテナ毎の複数の個別受信信号のそれぞれからレプリカ信号を減算する操作は、複数の指向性制御方法を適用して復調処理を行い、複数の復調信号が得られた後に行われてもよい。複数の復調信号からそれぞれの復調信号に対応したレプリカを生成し、アンテナ毎の複数の個別受信信号のそれぞれから各レプリカ信号をまとめて減算してもよい。
干渉キャンセル部102は、複数の減算結果を制御係数決定部103に出力する。制御係数決定部103は、複数の減算結果に基づいて、アンテナ毎に指向性制御係数を決定する(ステップS13)。制御係数決定部103は、決定した指向性制御係数を指向性制御部104に出力する。
指向性制御部104は、アンテナ毎の個別受信信号のそれぞれにアンテナ毎の指向性制御係数を乗算し、乗算結果を合成して同期部105に出力する(ステップS14)。同期部105は、受信信号に含まれる複数の送信信号の中から復調対象信号を決定する(ステップS15)。同期部105は、復調対象信号の同期処理を行うことで(ステップS16)、受信信号から復調対象信号を抽出し、抽出した復調対象信号を復調部106に出力する。復調部106は、復調対象信号の復調処理を行う(ステップS17)。復調部106は、復調結果をレプリカ生成部107に出力する。
レプリカ生成部107は、復調した信号のレプリカをアンテナ毎に生成し(ステップS18)、アンテナ毎のレプリカを干渉キャンセル部102に出力する。干渉キャンセル部102は、処理を終了するか否かを判断する(ステップS19)。例えば、干渉キャンセル部102は、未だ処理対象の受信信号に送信信号が含まれているか否かを判断し、送信信号が含まれている場合には、未だ処理を終了しないと判断し、送信信号が含まれていない場合、処理を終了すると判断することができる。処理を終了しないと判断された場合(ステップS19:No)、干渉キャンセル部102は、ステップS12の処理を繰り返す。処理を終了すると判断された場合(ステップS19:Yes)、処理を終了する。未だ処理対象の受信信号に送信信号が含まれているか否かを判断する方法としては、受信信号の電力値が予め定められた閾値以下である場合は受信信号に送信信号が含まれていないと判定する方法、予め想定される送信信号数を決めておき、想定される数の送信信号を全て復調し終わったら処理を終了する方法などが挙げられる。
以上説明したように、実施の形態1によれば、無線通信装置10は、同一の信号フォーマットを有する複数の送信信号であって、共通の周波数帯を使用する複数の送信装置から送信された複数の送信信号を含む信号を複数の通信アンテナを用いて受信し、受信信号に含まれる複数の送信信号の間の、到来時間差、周波数差、および受信電力差の少なくとも1つが大きくなるように、受信信号の指向性を制御するための指向性制御係数を決定する。これにより、受信信号に含まれる複数の送信信号の復調性能を高めることが可能になる。
実施の形態2.
実施の形態1では、互いに干渉する非同期な複数の送信信号を復調するため、複数の送信信号の間の到来時間差、周波数差および受信電力差の少なくとも1つが大きくなるように、指向性制御係数を決定してビーム制御を行い、アンテナ毎のレプリカを生成する技術について説明した。実施の形態2では、アンテナ毎の干渉キャンセルが困難である場合に適用可能な技術について説明する。具体的には、アンテナ毎の干渉キャンセルが困難である場合とは、各アンテナの受信SNR(Signal Noise Ratio)が低く、アンテナ間位相差などのアンテナ毎のレプリカ生成に必要なパラメータの推定精度が低いために復調性能が低下する場合、指向制御まではアナログで行って指向性制御後の信号がA/D変換されてデジタル信号として干渉キャンセル処理が行われる構成をとっている場合などが考えられる。指向性制御後にA/D変換を行うことで、アンテナ毎にA/D変換器を設ける必要がないため、無線通信装置10のコスト低下につながるため、指向性制御後にA/D変換を行う構成をとることも多い。
図9は、実施の形態2にかかる無線通信装置11の機能構成を示す図である。無線通信装置11は、アンテナ部111と、指向性制御部112と、制御係数決定部113と、干渉キャンセル部114と、同期部115と、復調部116と、レプリカ生成部117とを有する。
アンテナ部111は、アンテナ部101と同様の機能を有し、複数のアンテナのそれぞれが受信した個別受信信号を指向性制御部112に出力する。
指向性制御部112は、指向性制御部104と同様の機能を有し、アンテナ部111が出力するアンテナ毎の受信信号である個別受信信号に対して、制御係数決定部113が出力するアンテナ毎の指向性制御係数のそれぞれを乗算し、乗算結果を合成して干渉キャンセル部114に出力する。このとき、アンテナ部111が出力する個別受信信号がアナログ信号である場合には、制御係数決定部113が出力する指向性制御係数の制御量に応じた振幅変換および位相変換の少なくとも一方を行って合成し、合成後の信号をA/D変換などによりデジタル信号に変換してから出力する。
制御係数決定部113は、制御係数決定部103と同様の機能を有し、受信信号に含まれる複数の送信信号の到来時間差、周波数差および受信電力差の少なくとも1つが大きくなるように指向性制御係数を決定する。制御係数決定部113は、決定した指向性制御係数を指向性制御部112に出力する。
干渉キャンセル部114は、レプリカ生成部117が出力する、指向性制御後の復調対象信号のレプリカを、指向性制御部112が出力する指向性制御後の受信信号から減算し、減算結果を同期部115に出力する。
同期部115は、同期部105と同様の機能を有し、干渉キャンセル部114が出力する指向性制御後の受信信号に基づいて同期処理を行う。具体的には、受信信号に含まれる複数の送信信号の中から復調対象信号を選択し、復調対象信号の到来時刻および周波数を推定し、フレーム同期および周波数同期を実施した信号を復調部116に出力する。
復調部116は、復調部106と同様の機能を有し、同期部115が出力する復調対象信号に対して、復調処理を実行して復調結果を出力する。復調結果は、レプリカ生成部117にも出力される。
レプリカ生成部117は、指向性制御後のレプリカ生成に必要なパラメータの推定を行い、生成したレプリカを干渉キャンセル部114に出力する。レプリカ生成部117の基本的な機能はレプリカ生成部107と同様であるが、アンテナ間位相差のパラメータ推定は不要であり、その代わりに、指向性制御後の復調対象信号の初期位相を推定する。指向性制御後の復調対象信号は、指向性制御によって干渉およびノイズの影響が小さくなっているため、より精度の高いパラメータ推定を行うことが可能になる。
図10は、図9に示す無線通信装置11の動作を説明するためのフローチャートである。無線通信装置11のアンテナ部111は、複数のアンテナを用いて信号を受信する(ステップS21)。アンテナ部111は、アンテナ毎の受信信号である複数の個別受信信号を指向性制御部112に出力する。
制御係数決定部113は、アンテナ毎に指向性制御係数を決定する(ステップS22)。制御係数決定部113は、決定した指向性制御係数を指向性制御部112に出力する。指向性制御部112は、アンテナ毎の受信信号である個別受信信号のそれぞれに、指向性制御係数を乗算し、乗算結果を合成して干渉キャンセル部114に出力する(ステップS23)。
干渉キャンセル部114は、指向性制御部112が出力する指向制御後の受信信号から、レプリカ生成部117が出力するレプリカ信号を減算する(ステップS24)。干渉キャンセル部114は、減算結果を同期部115に出力する。
同期部115は、受信信号に含まれる複数の送信信号の中から復調対象信号を決定する(ステップS25)。同期部115は、復調対象信号の同期処理を行うことで(ステップS26)、受信信号から復調対象信号を抽出し、抽出した復調対象信号を復調部116に出力する。復調部116は、復調対象信号の復調処理を行う(ステップS27)。復調部116は、復調結果をレプリカ生成部117に出力する。
レプリカ生成部117は、復調した信号のレプリカを生成し(ステップS28)、レプリカを干渉キャンセル部114に出力する。干渉キャンセル部114は、処理を終了するか否かを判断する(ステップS29)。例えば、干渉キャンセル部114は、未だ処理対象の受信信号に送信信号が含まれているか否かを判断し、送信信号が含まれている場合には、未だ処理を終了しないと判断し、送信信号が含まれていない場合、処理を終了すると判断することができる。処理を終了しないと判断された場合(ステップS29:No)、干渉キャンセル部114は、ステップS22の処理を繰り返す。処理を終了すると判断された場合(ステップS29:Yes)、無線通信装置11は、処理を終了する。
以上説明したように、実施の形態2によれば、無線通信装置11は、指向性制御後の信号に対して干渉キャンセル処理を行う。このため、アンテナ毎のレプリカを生成する必要がなく、必要な推定パラメータが少なくなるため、より高精度な干渉キャンセル処理を行うことが可能になり、受信信号に含まれる複数の送信信号の復調性能を高めることが可能になる。また、無線通信装置11全体の回路規模を小さくすることが可能になる。
なお、実施の形態1で説明した無線通信装置10および実施の形態2で説明した無線通信装置11の機能は必ずしも全て移動体に搭載される必要はない。無線通信装置10,11の機能構成のうち、アンテナ部101,111を無線通信装置10,11から切り離して移動体に搭載し、アンテナ部101,111が出力する信号を無線通信、有線通信、RoF(Radio on Fiber)およびこれらの組み合わせなどの手段を用いて、無線通信装置10の干渉キャンセル部102または無線通信装置11の指向性制御部112に転送してもよい。
ここで、無線通信装置10,11のハードウェア構成について説明する。無線通信装置10,11のアンテナ部101,111は、受信機により実現される。無線通信装置10,11のアンテナ部101,111以外の構成は、処理回路により実現される。処理回路は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサおよびメモリであってもよいし、専用のハードウェアであってもよい。処理回路は、制御回路とも呼ばれる。
図11は、無線通信装置10,11が備えるプロセッサ91およびメモリ92を用いた処理回路90を示す図である。処理回路90は、制御回路であり、プロセッサ91およびメモリ92を有する。処理回路90がプロセッサ91およびメモリ92で構成される場合、処理回路90の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ92に格納される。処理回路90は、メモリ92に記憶されたプログラムをプロセッサ91が読みだして実行することにより、各機能を実現することができる。すなわち、処理回路90は、無線通信装置10,11の処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ92を備える。このプログラムは、処理回路90により実現される各機能を無線通信装置10,11に実行させるためのプログラムであるともいえる。このプログラムは、記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよいし、通信媒体など他の手段により提供されてもよい。
ここで、プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などである。また、メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
図12は、無線通信装置10,11が備える専用のハードウェアである処理回路93を示す図である。図12に示す処理回路93は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路については、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
10,11 無線通信装置、21 プリアンブル、22 データペイロード、23 誤り検出符号、30,30-A~30-F 送信装置、90,93 処理回路、91 プロセッサ、92 メモリ、101,111 アンテナ部、102,114 干渉キャンセル部、103,113 制御係数決定部、104,112 指向性制御部、105,115 同期部、106,116 復調部、107,117 レプリカ生成部、S1,S2 送信信号。

Claims (5)

  1. 同一の信号フォーマットを有する複数の送信信号であって、共通の周波数帯を使用する複数の送信装置から送信された複数の送信信号を含み、複数のアンテナを用いて受信された受信信号を処理する無線通信装置であって、
    前記受信信号に含まれる複数の前記送信信号の間の、到来時間差、周波数差、および受信電力差の少なくとも1つが大きくなるように、前記受信信号の指向性を制御するための指向性制御係数を決定する制御係数決定部と、
    前記指向性制御係数を用いて、前記受信信号の指向性を制御する指向性制御部と、
    前記受信信号に含まれる複数の送信信号の中の1つである復調対象信号の到来時刻および周波数を推定する同期部と、
    前記到来時刻および周波数の推定結果に基づいて、前記復調対象信号を復調する復調部と、
    前記推定結果と復調結果とに基づいて、前記復調対象信号のレプリカを生成するレプリカ生成部と、
    前記受信信号から前記レプリカを減算し、減算結果を出力する干渉キャンセル部と、
    を備え、
    前記制御係数決定部は、前記送信装置および前記無線通信装置のそれぞれの位置と、前記送信装置および前記無線通信装置の間の相対的な移動速度とに基づいて、前記到来時間差および前記周波数差の少なくとも1つが大きくなるように前記指向性制御係数を決定することを特徴とする無線通信装置。
  2. 前記指向性制御部は、複数のアンテナのそれぞれが受信した受信信号である複数の個別受信信号のそれぞれに前記指向性制御係数を乗算したものを合成して指向性制御後の受信信号を出力し、
    前記レプリカ生成部は、前記指向性制御後の受信信号のレプリカを生成し、
    前記干渉キャンセル部は、前記指向性制御後の受信信号から前記レプリカを減算し、減算結果を出力することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
  3. 同一の信号フォーマットを有する複数の送信信号であって、共通の周波数帯を使用する複数の送信装置から送信された複数の送信信号を含み、複数のアンテナを用いて受信された受信信号を処理する無線通信装置であって、
    前記受信信号に含まれる複数の前記送信信号の間の、到来時間差、周波数差、および受信電力差の少なくとも1つが大きくなるように、前記受信信号の指向性を制御するための指向性制御係数を決定する制御係数決定部と、
    前記指向性制御係数を用いて、前記受信信号の指向性を制御する指向性制御部と、
    前記受信信号に含まれる複数の送信信号の中の1つである復調対象信号の到来時刻および周波数を推定する同期部と、
    前記到来時刻および周波数の推定結果に基づいて、前記復調対象信号を復調する復調部と、
    前記推定結果と復調結果とに基づいて、前記復調対象信号のレプリカを生成するレプリカ生成部と、
    前記受信信号から前記レプリカを減算し、減算結果を出力する干渉キャンセル部と、
    を備え、
    前記レプリカ生成部は、複数のアンテナのそれぞれが受信した受信信号である複数の個別受信信号のそれぞれに基づいて前記復調対象信号のアンテナ間位相差を推定し、前記アンテナ間位相差の推定結果に基づいて、複数の前記個別受信信号のそれぞれに対応するレプリカを生成し、
    前記干渉キャンセル部は、複数の前記個別受信信号のそれぞれから、各個別受信信号に対応するレプリカを減算し、減算結果を出力することを特徴とする無線通信装置。
  4. 前記制御係数決定部は、送信信号が存在する方向である所望受信方向とは異なる方向にメインビーム方向を設定することで、前記所望受信方向に存在する複数の送信信号同士の受信電力差が大きくなるように前記指向性制御係数を決定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
  5. 同一の信号フォーマットを有する複数の送信信号であって、共通の周波数帯を使用する複数の送信装置から送信された複数の送信信号を含み、複数のアンテナを用いて受信された受信信号を処理する無線通信装置が実行する信号処理方法であって、
    前記受信信号に含まれる複数の前記送信信号の間の、到来時間差、周波数差、および受信電力差の少なくとも1つが大きくなるように、前記受信信号の指向性を制御するための指向性制御係数を決定するステップと、
    複数の前記アンテナのそれぞれが受信した受信信号である個別受信信号のそれぞれに前記指向性制御係数を乗算したものを合成して指向性制御後の受信信号を出力するステップと、
    前記複数の送信信号の中の1つである復調対象信号の到来時刻および周波数を推定するステップと、
    前記到来時刻および周波数の推定結果に基づいて、前記復調対象信号を復調するステップと、
    前記推定結果と復調結果とに基づいて、複数の前記個別受信信号のそれぞれに対応する複数の前記復調対象信号のレプリカを生成するステップと、
    複数の前記個別受信信号のそれぞれから、各個別受信信号に対応する前記レプリカを減算し、減算結果を出力するステップと、
    を含むことを特徴とする信号処理方法。
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