JP7377713B2 - 細胞毒性治療を行わない二重her2遮断に対する反応の予測因子としてのher2 - Google Patents

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Description

本発明は、医療の分野、具体的には、乳癌、特に、化学療法を受けていないHER2陽性乳癌患者において、HER2に対する治療に対する反応を予測するための新規の方法に関する。この方法は、上記HER2陽性乳癌患者の臨床管理及びモニタリングにおいて潜在的用途がある。
IHC/FISH(標準定義)(非特許文献1)により定義されるHER2陽性乳癌は全ての乳腺腫の約20%を占める。最初は予後バイオマーカとして確立され、今日、その最大の価値は、トラスツズマブの有用性の予測因子として及びHER2経路を標的とする他の因子としてである。トラスツズマブでの治療の導入により、HER2陽性に伴う予後不良が著しく改善された(非特許文献2)。その後の耐性機構の同定及びHER2をより良好に又は異なって遮断する新規の薬物を取り入れることにより、転移の状況における生存性の結果が改善した(非特許文献3、非特許文献4)。初期段階では、新規の抗HER2剤を取り入れることによって、一致しない結果が生じた。一方、局所的に進行した、且つ大きな手術可能な腫瘍は、標準的な腫瘍免疫賦活薬トラスツズマブと化学療法の組み合わせに対してラパチニブ又はペルツズマブを取り入れた場合に、病理学的完全奏効率(pCR)の劇的な上昇を示した。HER2陽性疾患の患者における無病生存期間(DFS)についてのサロゲートエンドポイントとして確認されたpCR(非特許文献5)によって、ペルツズマブは欧州医薬品庁(EMA)及びアメリカ食品医薬品局(FDA)によってこの集団について承認された。他方、標準的な免疫賦活剤トラスツズマブと化学療法の併用に対してラパチニブを加えることにより、DFSにおいて4.5年で2%の範囲で、統計学的には有意ではない絶対的な有用性がもたらされた(非特許文献6)。同じ状況においてトラスツズマブに対してペルツズマブを取り入れた第2の大きな研究による結果が期待される。しかし、この集団における臨床的に関連する研究成果による制約は、トラスツズマブと化学療法の高い有効性に続く低-中度のリスクである。実際、1年間のトラスツズマブとともに12週間にわたる免疫賦活剤である低強度の1週間に1回のパクリタキセルを調べた、主にステージIのHER2陽性乳癌(即ち、T1かつリンパ節転移陰性又はN1 mic)の患者の単群処置の研究では、3年で98.7%のDFSが得られた(非特許文献7)。
処置を最適化する及び段階的に縮小するために、早期HER2陽性乳癌における新しいストラテジーが必要である。HER2陰性疾患/HR陽性疾患では、遺伝子発現に基づくアッセイが、リスクを一人一人に合わせるために、並びに最も重要なのは、免疫賦活剤による化学療法の有用性及び必要性を立証するために組み入れられている。HER2陽性の状況についてはいずれの予測ツールも存在しないことが、不利な状況にある免疫賦活剤の研究において数年間にわたり着手された課題である。
これまでの腫瘍免疫賦活薬の3つの研究で、ERBB2 mRNAの発現だけがHER2陽性疾患の患者における化学療法及び抗HER2治療後のより高いpCRの可能性と関係していることが示された(非特許文献8~10)。NeoALTTOの研究(非特許文献11)では、(含まれる455人の患者のうちの)254のベースライン試料のRNA配列決定を評価した(非特許文献8)。NeoALTTOにより、6週間にわたるトラスツズマブ、ラパチニブ、又は組み合わせ、それに続く12週間にわたる1週間に1回パクリタキセルの添加に対して、HER2陽性早期乳癌の455人の女性を無作為化した。全身的な処置の後、患者に外科手術を受けさせた(非特許文献11)。結果は、高いERBB2 mRNA発現が全ての処置群においてpCRと関係があることを示した(非特許文献8)。NeoALTTOの試行による別の回顧的な研究では、HER2タンパク質の発現だけがより高いpCRの可能性と関係していることも明らかになった(非特許文献12)。2回目の臨床的試行、CALGB40601では、ステージII~IIIのHER2陽性乳癌の患者を、化学療法(即ち、パクリタキセル)とトラスツズマブを単独での、又は外科手術前16週間にわたるラパチニブの添加と組み合わせた化学療法(即ち、パクリタキセル)とトラスツズマブに無作為に割り当てた(非特許文献9)。回顧的な分析により、集団全体において、mRNAによるERBB2の高い発現がpCRと関係していることが明らかになった(非特許文献9)。最後に、Tryphaenaの非盲検II相試験では、手術可能な局所的に進行した、又は炎症性のHER2陽性乳癌の患者を、トラスツズマブ及びペルツズマブと組み合わせた、3種類の異なる多剤化学療法計画の6回の腫瘍免疫賦活剤のサイクルを受けるように、1:1:1に無作為に分けた(非特許文献10)。全ての群によるデータをプールすると、分析した様々な分子バイオマーカのうち、HER2レベル(タンパク質及びmRNA)がpCR率と関係していることが示された。
ベースラインのERBB2 mRNA又はタンパク質の、抗HER2治療後のpCRとのこれまでの関係については特別の検討が必要である。実際、3種類の臨床的試行(即ち、NeoALTTO、CALGB40601、及びTryphaena)には、それらの全ての処置群に基幹である化学療法が含まれていた。このように、化学療法に関してERBB2発現の予測効果を識別することはできない。実際、免疫賦活剤の状況におけるこれまでの大きな研究により、HER2陽性(IHC及び/又はFISHを使用する定義された標準的な基準として)とパクリタキセルの有用性との間で有意な相互関係が観察された(非特許文献13)。この研究では、リンパ節転移陽性乳癌の1500人の女性を、ドキソルビシン(体表面積1平方メートルあたり60、75、又は90mg)とシクロホスファミド(1平方メートルあたり600mg)を4サイクル投与し、続いてパクリタキセル(1平方メートルあたり175mg)を4サイクル投与するか、あるいは観察するように無作為に割り当てた。これらの1500人の女性の1322の組織ブロックを得ることができた(非特許文献13)。HER2に対するCB11モノクローナル抗体を用いた、又はポリクローナル抗体検出キットを用いた、HER2についてのこれらの組織検体の免疫組織化学分析と、HER2の増幅についての蛍光in situハイブリダイゼーションを行った。HER2陽性と処置にパクリタキセルを加えたこととの間での相互関係は、0.59の再発についてのハザード比と関係していた(P=0.01)(非特許文献13)。HER2陽性乳癌の患者には、エストロゲン受容体の状態とは無関係にパクリタキセルが有効であったが、HER2陰性エストロゲン受容体陽性癌の患者にはパクリタキセルは有効ではなかった。従って、ERBB2の高いベースラインレベルもまた、化学療法の有用性の予測となる、あるいは、2つの処置法(即ち、化学療法と抗HER2治療、単独又は二重)の間での相乗効果の予測となる可能性、何か、化学療法が行われていない患者を含まないので、NeoALTTO、CALGB40601、及びTryphaenaが除外できないものを排除することができない。更に、これらの研究はいずれも、2週間の処置後のERBB2 mRNAの発現の変化の予測値を評価しなかった。
二重のHER2の遮断により単剤HER2治療の有効性が改善すると仮定すると、生じる臨床的論点は、二重の遮断により患者の亜集団における化学療法の必要性を排除することができるかどうかである。排他的な二重のHER2の遮断は、転移性の原発性HER2陽性乳癌の患者の群において高い活性が示されている(非特許文献14~16)。トラスツズマブで以前に処置されたHER2陽性転移性乳癌では、トラスツズマブにペルツズマブ又はラパチニブを加えることにより、ペルツズマブ又はラパチニブのいずれかの単独の場合よりも高い臨床的恩恵が得られる(非特許文献16)。原発性HER2陽性乳癌では、化学療法無治療での腫瘍免疫賦活薬トラスツズマブ-ラパチニブ又はトラスツズマブ-ペルツズマブの組み合わせにより、乳癌のpCR率が17~27%に達した(非特許文献14、非特許文献15)。全体的には、結果は、HER2陽性乳癌の患者の亜集団が、二重の抗HER2の遮断に対してより高い感度があり、細胞毒性治療を用いることなく処置できる可能性があることを示唆している。
今日の主要な課題は、化学療法を用いることのない二重のHER2の遮断に対してより感度が高い患者を同定するバイオマーカを発見することである。今日までのところ、免疫組織化学染色(IHC)によるホルモン受容体陽性が、化学療法を用いない二重のHER2の遮断に対する反応を予測するための唯一の分子バイオマーカである。TBCRC006の試行では、エストロゲン受容体陽性疾患におけるpCR率は、ラパチニブとトラスツズマブ(と、腫瘍がER陽性である場合には内分泌療法)での12週間の処置後のER陰性疾患における36%に対して、21%であった(非特許文献15)。NeoSphereの試行では、エストロゲン受容体(ER)陽性又はプロゲステロン受容体(PR)陽性疾患におけるpCR率は、ペルツズマブとトラスツズマブでの12週間の処置(C群)後のER陰性疾患又はPR陰性疾患における27.3%に対して5.9%であった(非特許文献14)。しかし、このバイオマーカは、化学療法を用いない二重のHER2の遮断により最高の恩恵を得る患者を同定するには十分ではない。現在、HER2陽性(HER2+)乳癌の患者の30%には、化学療法を用いない二重のHER2の遮断が実質的に有効である。しかし、処置前及び処置の間にこれらの患者を同定する必要がある。
最近は、抗HER2ダブレット(doublets)(ラパチニブ+トラスツズマブ又はペルツズマブ+トラスツズマブのいずれか)の最適な多剤化学療法計画との組み合わせにより、約60%の範囲のpCR率が得られており(非特許文献10)、具体的に、ペルツズマブが、>2cmの原発性腫瘍を持つHER2陽性早期乳癌又はリンパ節転移陽性疾患の患者について、FDA及びEMAにより承認されている。一方、ステージIのHER2陽性疾患の患者については、1週間に1回のパクリタキセルの12服用量に加えた1回の抗HER2(即ち、トラスツズマブ)が選択してよい計画と考えられる(非特許文献7)。この処置方針によっては29%から46%までの範囲のpCR率が得られる(非特許文献11)。
最近は、乳癌の処置のためのより適切な治療法を選択するために必要とされているものはホルモン受容体の状態についての試験であり、乳癌細胞がホルモンであるエストロゲン及びプロゲステロンの受容体を有しているかどうかを問う試験である。IHCにより1%を上回る腫瘍細胞がERを発現している場合は、癌は、エストロゲン受容体陽性(即ち、ER+)と呼ばれる。このことは、癌細胞が正常な乳房細胞と同様に、それらの増殖を促進することができるエストロゲンからシグナルを受容できることを示唆している。IHCにより1%を上回る腫瘍細胞がERを発現している場合には、癌はプロゲステロン受容体陽性(PR+)である。しかし、IHCによるホルモン受容体の状態についての試験は、受容体の正確な情報を提供することはできておらず、乳癌の症例のうちいくつかの特定の症例では、残念なことに、これによって、より適切な治療プロトコルの決定において医師が誤った決定を行うことが起こり得る。
努力はなされているものの、乳癌と診断された患者へのその投与の前に特定の治療法の成功についての正確な予測情報を提供する生物学的マーカが必要とされている。
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本発明者らは、ERBB2遺伝子産物の発現(特に、mRNAレベル)が、HER2陽性乳癌と既に診断された、何らかの治療が行われる前の患者において定量される場合には、化学療法を行わない抗HER2治療の投与に対する陽性の反応又は陰性の反応についての有用な情報をもたらす可能性があることを見出した(図5を参照のこと)。
以下に提供されるデータから、バイオマーカとしてERBB2を使用することにより、病理学的完全奏効率(「pCR」)について提供される情報が、ホルモン受容体の状態の決定に基づく医師が現在選択することができるプロトコルと比較して、実質的に更に正確であるという事実は驚くべきことである(以下の表4を参照のこと)。
本発明のERBB2バイオマーカにより、HER2陽性疾患の患者の集団について、抗HER2治療を受け、そして化学療法を回避する候補であり得るという情報が提供されることは驚くべきことである。上記で指摘されたように、ERBB2が化学療法の効果に影響を及ぼす可能性があり、これまでの研究では抗HER2治療に対して化学療法を伴うERBB2バイオマーカの効果を区別することができなかったとの理由から、これは極めて重要である。
したがって、本発明は、治療を開始する前に、HER2陽性乳癌と既に診断された患者が化学療法を行わない抗HER2治療に対して陽性の反応をし得るかどうかを正確に予測することにおける大幅な進歩を意味する。これは、疾患をうまく克服するための最良の治療方針を決定する目的について医師にとって大きな意義があり得る。
本発明の第1の態様は、抗HER2治療の開始前の患者由来の単離された試験試料におけるHER2の遺伝子発現産物の検出及び/又は定量を含む、HER2陽性乳癌の患者における化学療法を行わない抗HER2治療の有効性を決定するためのインビトロ(in vitro)方法に関する。
上記に加えて、本発明はまた、抗HER2治療の開始前及び抗HER2治療の開始時点より後のERBB2遺伝子産物(ERBB2 product gene)の発現の比の決定が、これもまた、HER2陽性乳癌と既に診断された患者における化学療法を行わない抗HER2治療の有効性の予測に役立ち得ることも見出した。
以下に示されるように、化学療法を行わない抗HER2治療の開始前及び化学療法を行わない抗HER2治療の開始の15日後に決定されたERBB2レベルにより、ホルモン受容体の状態と比較して処置の有効性を予測する(以下の表6を参照のこと)。これに加えて、抗HER2治療の間のこれらの2つの時点(即ち、前及び15日後)間でのERBB2遺伝子産物の発現レベルの決定により、抗HER2治療を中止するべきかどうか決定するための有用な情報が得られる。
従って、本発明の第2の態様は、以下を含む、HER2陽性乳癌の患者の化学療法を行わない抗HER2治療の有効性を決定するためのin vitro方法に関する:
(a)患者の単離された生物学的試料中のHER2の遺伝子発現産物の検出及び/又は定量:
(a.i)抗HER2治療の開始前、及び
(a.ii)抗HER2治療の開始後。
本明細書中で提供される結果は、ERBB2 mRNAの発現レベルに基づいて患者を選択した後の化学療法無治療の二重のHER2の遮断についての長期生存率の結果を評価するHER2陽性乳癌における更なる研究に門戸を開く。
本発明の第2の態様の方法を用いると、高いベースラインERBB2発現、又は2週間の時点とベースラインの時点との間でERBB2発現の高い比を有している、化学療法を行わない二重のHER2の遮断で処置された患者の群において、64.9%~75.0%のpCR率が観察され、これは、全てのHER2陽性患者のうちの約25%(即ち、4分の1)を占める患者の亜集団において化学療法を回避することができることを示唆している。これらのpCR率には、現在は、患者の選択が考慮されない場合には、二重のHER2の遮断と組み合わせて多剤化学療法を用いた場合に到達する。
本発明の第3の態様は、以下を含む、抗HER2治療の代替の医療レジメンを開始するかどうかHER2陽性乳癌の患者について決定する又は推奨するためのインビトロ方法に関する:
(a)患者の単離された生物学的試料中のHER2の遺伝子発現産物の検出及び/又は定量:
(a.i)化学療法を行わない抗HER2治療の開始前、及び
(a.ii)化学療法を行わない抗HER2治療の開始後。
本発明の第4の態様は、HER2陽性乳癌の患者における化学療法を行わない抗HER2治療の有効性を決定するためのインビトロマーカとしての、あるいは代わりに、化学療法を行わない抗HER2治療を受ける前のHER2陽性乳癌の患者において抗HER2治療の代替の医療レジメンを開始するかどうか決定又は推奨するためのインビトロマーカとしての、HER2の遺伝子発現産物の使用に関する。
本発明の第5の態様は、本発明の方法においてHER2遺伝子発現産物の存在を決定する又はHER2遺伝子発現産物を定量するための手段の使用に関する。
PAMELAの試行の概要である。 PAMELAの試行についての患者情報をまとめる図を示す。 様々な数の遺伝子(ベースラインで測定された)、並びに分類及び変数選択の様々な方法を使用する、バランスのとれた精度解析を記載する。dlda(対角線形判別分析);Ida(線形判別分析);qda(二次判別分析);rf(ランダムフォレスト);rfe(再帰的特徴量削減);t.test(Studentのt検定);welch.test(Welchのt検定)。 1、2、3、4、5、及び10種類の遺伝子の選択後の、ベースライン試料だけを使用する交差検証法による曲線下面積(AUC)の分析を示す。 ベースライン試料のデータセット全体(n=151)におけるERBB2発現のpCRとの関係を記載する。A:交差検証法による曲線下面積(AUC)の分析;B:pCRに達しなかった患者(非pCR(non-pCR))におけるERBB2発現に対するpCRに達した患者におけるERBB2発現の箱ひげ図。 ペア試料のデータセット全体(n=144)においてpCRを予測するためのERBB2発現のAUC分析(ベースラインで測定された、2週目/ベースラインの比、又は2週目)を示している。 様々な数の遺伝子(2週目/ベースラインの比)、並びに分類及び変数選択の様々な方法を使用する、バランスのとれた精度解析である。dlda(対角線形判別分析);Ida(線形判別分析);qda(二次判別分析);rf(ランダムフォレスト);rfe(再帰的特徴量削減);t.test(Studentのt検定);welch.Test(Welchのt検定)。 1、2、3、4、5、及び10種類の遺伝子の選択後の2週目/ベースライン比を使用するAUC分析を示す。
HER2(HER2陽性)乳癌は、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)と呼ばれるタンパク質について陽性と診断される乳癌である。HER2の発現を決定するための臨床試験の実施に使用される技術は当該分野の専門家に周知であり、例えば、免疫組織化学染色によるタンパク質の検出によるか、あるいは蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、SPoT-Light HER2 CISH検定(Subtraction Probe Technology Chromogenic In Situ Hybridization)によるか又はInform HER2 Dual ISH test(Inform Dual In Situ Hybridization)によるコピー数の検出による。
遺伝子「HER2」(「ERBB2」、v-erb-b2鳥類赤芽球性白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ2)(GeneID:64)は、受容体型チロシンキナーゼの上皮成長因子(EGF)受容体ファミリーのメンバーをコードする。この遺伝子の増幅及び/又は過剰発現は、乳房及び卵巣の腫瘍を含む多数の癌において報告されている。遺伝子の異名は以下のとおりである:CD340;HER-2;HER-2/neu;HER2;MLN19;NEU;NGL;及びTKR1。
配列番号1(ERBB2)(NM_001005862.1、2014年1月19日付)は、ヒト変異体2(Homo sapiens variant 2)のmRNAをコードする相補的DNA(cDNA)に相当する。
選択的スプライシングは、いくつかのさらなる転写変異体(いくつかは異なるイソ型をコードしている)を生じる。アミノ酸位置での対立遺伝子変異体が報告されている。
HER2タンパク質のIDは以下である:「NP_001005862.1」(配列番号2)。
好ましい実施形態での検出及び/又は定量のためのERBB2の標的配列は配列番号3(ACAGACACGTTTGAGTCCATGCCCAATCCCGAGGGCCGGTATACATTCGGCGCCAGCTGTGTGACTGCCTGTCCCTACAACTACCTTTCTACGGACGTGG)である。
本発明では、HER2の遺伝子発現産物の検出及び/又は定量が、化学療法を行わない抗HER2治療の前及び間に、HER2陽性乳癌の患者において行われた。
従って、本発明の方法の好ましい実施形態では、加えて、患者は、HER2の遺伝子発現産物の検出及び/又は定量の前にいずれの化学療法も受けていない。
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、HER2の遺伝子発現産物が過剰発現されている場合には、これが、化学療法を行わない抗HER2治療の有効性の指標となる。過剰発現は参照試料との比較であり、参照試料は健常者の正常な乳房組織である。
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、HER2の遺伝子発現産物の量が高度に発現されている(例えば、最大25%の百分位数、又は≧3.22のERBB2遺伝子発現スコアと定義される)場合には、これが、化学療法を行わない抗HER2治療の高い有効性の指標となる。
本発明では、用語「遺伝子発現産物」は、メッセンジャーリボ核酸(メッセンジャーRNA、即ちmRNA)又はタンパク質をいう。
1つの実施形態では、遺伝子発現産物はmRNAである。「mRNA」には、mRNA配列全体及びその断片の両方が含まれる。
別の実施形態では、用語「遺伝子発現産物」はHER2タンパク質をいう。「HER2タンパク質」には、配列番号2のHER2タンパク質全体及びその機能的断片(例えば、その免疫学的断片)、あるいは、配列番号2と少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100パーセントの配列同一性、好ましくは100%の同一性の同一性百分率を有している配列を持つタンパク質が含まれる。
本発明では、用語「同一性」は、配列が最適にアラインメントされた場合に2つの配列において同一である残基の百分率をいう。最適なアラインメントにおいて、第1の配列中の1つの位置が第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基により占められている場合は、これらの配列はその位置に関して同一性を示す。2つの配列間での同一性のレベル(即ち、「配列同一性百分率」)は、配列の大きさに対するそれらの配列が共有している同一である一の数の比として(即ち、配列同一性百分率=[同一である位置の数/位置の総数]×100)として測定される。
2以上の配列の間で最適なアラインメントを迅速に得、そして同一性を計算するための多数の数学的アルゴリズムが知られており、多数の利用することができるソフトウェアプログラムに組み込まれている。そのようなプログラムの例として、MATCH-BOX、MULTAIN、GCG、FASTA、及びアミノ酸配列の分析のためのROBUSTプログラムなどが挙げられる。好ましいソフトウェア分析プログラムとして、ALIGN、CLUSTAL W、及びBLASTプログラム(例えば、BLAST 2.1、BL2SEQ、及びそれらの後のバージョン)が挙げられる。
アミノ酸配列の分析には、BLOSUMマトリックス(例えば、BLOSUM45、BLOSUM50、BLOSUM62、及びBLOSUM80マトリックス)、Gonnetマトリックス、又はPAMマトリックス(例えば、PAM30、PAM70、PAM120、PAM160、PAM250、及びPAM350マトリックス)のような重み行列が同一性の決定に使用される。
BLASTプログラムは、データベース(例えば、GenSeq)中の複数の配列に対して選択した配列をアラインメントすることによるか、又は2つの選択した配列の間でBL2SEQを用いてのいずれかによる、少なくとも2つのアミノ酸配列の分析を提供する。BLASTプログラムは、DUST又はSEGプログラムのような低複雑性フィルタリング(low complexity filtering)プログラムによって改良されることが好ましく、これらは、BLASTプログラム動作に組み込まれることが好ましい。ギャップ存在コスト(又はギャップスコア)が用いられる場合、ギャップ存在コストは、好ましくは、約-5~-15の間である。類似するギャップパラメータを、適宜、他のプログラムと共に使用することができる。BLASTプログラム及びこれらの基礎となる原理は、例えば、Altschul et al.,「Basic local alignment search tool」,1990,J.Mol.Biol,v.215,pages 403-410に更に記載されている。
複数の配列の分析には、CLUSTAL Wプログラムを使用することができる。CLUSTAL Wプログラムは、(「ファスト(fast)」に対して)「ダイナミック(dynamic)」設定を使用して実行されることが望ましい。アミノ酸配列は、配列間の同一性のレベルに応じてBLOSUMマトリックスの可変のセットを使用して評価される。CLUSTAL Wプログラム及びこれらの基礎となる原理は、例えば、Higgins et al.,「CLUSTAL V:improved software for multiple sequence alignment」,1992,CABIOS,8(2),p.189-191に更に記載されている。
上記又は下記で提供される任意の実施形態が随意に組み合わせられる本発明の1つの実施形態では、遺伝子発現産物はmRNA(メッセンジャーRNA)である(好ましい実施形態では、配列番号1である)。別の実施形態では、検出及び/又は定量される配列は配列番号3である。
本発明の好ましい実施形態では、HER2の発現産物が定量される。より好ましい実施形態では、HER2のmRNAが定量される。より好ましい実施形態では、配列番号1が定量される。
本発明の好ましい実施形態では、HER2の発現産物が増幅技術により定量される。
本発明のより好ましい実施形態では、HER2のmRNAが、特異的プライマー及び/又はプローブを使用して定量される。
当該分野の専門家は、検出技術に更なる工程を加えることにより、定量を行えることを知っている。
検出及び/又は定量は、その方法により生物学的試料中のmRNAを検出又は定量できる限りは、当業者に公知の任意の方法により行うことができる。これらの手法の例としては、特に、PCR、定量的リアルタイムPCR(QPCR)、マルチプレックスPCR、NASBA、LCR、RT-PCR、RNA配列決定、アレイハイブリダイゼーション(array hybridization)、又は「ノーザン」トランスファ、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい実施形態では、mRNAの決定は、nCounterプラットフォーム(Nanostring Technologies)により行われる。ほとんどの手法で、目的のmRNAの検出及び/又は定量のためにはプライマー及び/又はプローブの使用が必要である。当業者は、HER2のmRNAの配列から、使用することができるプライマー及び/又はプローブの配列を容易に、そして直接得ることができる。
上記RNAの検出及び定量のほとんどの方法では、この手法が実施される前に、RNAを相補的DNA(cDNA)に変換することが必要である。この変換は、中でも逆転写のような当業者に公知の技術により行われる。
本発明により提供される任意の方法の1つの実施形態では、抗HER2治療の開始後のHER2の遺伝子発現産物の検出及び/又は定量は、抗HER2治療の開始後5日目から20日目まで(5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20日目)に行われる。別の実施形態では、抗HER2治療の開始後のHER2の遺伝子発現産物の検出及び/又は定量は、5日目から19日目まで、より好ましくは、10日目から16日目までに行われる。別の実施形態では、抗HER2治療の開始後のHER2の遺伝子発現産物の検出及び/又は定量は、抗HER2治療の開始後14日目に行われる。
本発明の方法の好ましい実施形態では、HER2の遺伝子発現産物はmRNAであり、これが、少なくとも1対のプライマー及び/又はプローブにより定量される。本発明の好ましい実施形態では、プローブが配列番号3を検出し、特定の実施形態では、2つのプローブが配列番号3を検出する。
本発明では、病理学的完全奏効率(pCR)は、HER2陽性乳癌の処置(好ましくは、二重のHER2の遮断により、より好ましくはラパチニブとトラスツズマブが用いられる)後の外科手術時の原発性腫瘍の顕微鏡検査で、浸潤性の腫瘍性細胞が存在しないことが完了することである。
本発明では、用語「抗HER2治療の開始後」は、上記処置を既に受けた、又は上記処置を受けている(処置が進行中である)被験者を意味する。
抗HER2治療は、本発明では、化学療法との組み合わせでは提供されない。従って、抗HER2治療は、化学療法が行われていない患者に(化学療法を行わずに)提供される。
知られている抗HER2治療(処置)として、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、ラパチニブ(Tykerb(登録商標))、ネラチニブ(HKI-272)、ペルツズマブ(Perjeta(登録商標))、及びado-トラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標))が挙げられる。本発明により提供されるインビトロ方法の1つの実施形態では、抗HER2治療は、トラスツズマブ、ラパチニブ、ネラチニブ、ペルツズマブ及び/又はado-トラスツズマブエムタンシン、あるいはこれらの任意の組み合わせからなるリストより選択される。トラスツズマブとラパチニブが好ましい。
従って、患者にトラスツズマブとラパチニブが投与されている場合は、上記方法は、好ましくは、mRNAを定量及び/又は検出することによって、上記治療の開始後に、HER2の遺伝子発現が基底発現(上記治療の投与前)と比較して低下している場合に、上記医学的レジメンが有効であることを決定する。このように、上記患者の処置結果は良好である。対照的に、上記比較が、遺伝子発現が低下していないことを示している場合は、上記医学的レジメンは有効性が低いか、又は無効である。このように、上記患者の処置結果は悪い。その場合、本発明の方法は、上記医学的レジメンを変更するように、及び特に、別の処置を開始するように決定又は推奨するために有用であり、従って、HER2陽性乳癌の特定の患者についての最良の処置レジメンを決定するために有用である。
上記医学的レジメンとして使用することができる化学療法(細胞毒性治療)は、パクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチン、ドキソルビシン、エピルビシン、nab-パクリタキセル、ビノレルビン、カペシタビン、及びエリブリンである。
本発明では、用語「有効性」は、HER2陽性乳癌のpCRに関係し、従って、外科手術時の原発性腫瘍の顕微鏡検査時に浸潤性の腫瘍性細胞が存在しないことが、この処置が有効であることの指標となる。
本発明の好ましい実施形態では、有効性はpCRである。
有効性は腫瘍の大きさの幾分かの減少として観察することもでき、ここでは、画像化技術が使用される。
用語「生物学的試料」には、当業者に公知であるその目的のために設計された任意の方法により得られた、個体由来の生物学的組織及び/又は体液が含まれるが、これらに限定されない。生物学的試料には、HER2をコードする遺伝子の発現産物が含まれる。
本発明により提供されるインビトロ方法の1つの実施形態では、試料は、乳房組織、血液、血清、又は血漿である。好ましい実施形態では、乳癌組織由来の生検試料である。本発明では、生物学的試料は、新鮮なもの、凍結されたもの、固定化されたもの、又は固定化されパラフィンに包埋されたものである。好ましい実施形態では、試料は固定化されパラフィンに包埋された乳癌組織である。生物学的試料は、当該分野の専門家に公知である任意の手段により、例えば、乳房の針生検により収集することができる。
本発明では、用語「患者」、「被験者」、及び「個体」は互換的に使用される。
本発明では、患者は哺乳類、例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、又はヒトであり、好ましくはヒトであり、より好ましくは女性である。患者は、任意の年齢、性別、又は人種であり得る。
本発明の第1、第2、及び第3のインビトロ方法の別の好ましい実施形態では、患者は女性である。
本発明では、患者は、抗HER2治療の開始前には、いずれの癌治療も(化学療法も)受けていない。
本発明のインビトロ方法の別の好ましい実施形態では、ホルモン受容体陽性(HR+)患者において、抗HER2治療が内分泌療法と組み合わせられる。
患者はまた、ホルモン受容体陰性(HR-)患者であってもよい。
当該分野の専門家に公知である内分泌療法は、例えば、以下である:選択的エストロゲン受容体反応モジュレーター(SERM)(例えば、タモキシフェン又はトレミフェン)、アロマターゼ阻害薬(例えば、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール)、エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(ERD)(例えば、フルベストラント)、及び黄体形成ホルモン放出ホルモン剤(LHRH)(例えば、ゴセレリン、ロイプロリド、及びトリプトレリン)。本発明の方法及び本発明の使用の好ましい実施形態では、内分泌療法は以下からなるリストより選択される:選択的エストロゲン受容体反応モジュレーター、アロマターゼ阻害薬、エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(ERD)、及び/又は黄体形成ホルモン放出ホルモン剤、あるいはそれらの任意の組み合わせ。より好ましい実施形態では、内分泌療法は以下からなるリストより選択される:タモキシフェン、トレミフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、フルベストラント、ゴセレリン、ロイプロリド、及び/又はトリプトレリン、あるいはそれらの任意の組み合わせ。より好ましい実施形態では、レトロゾール又はタモキシフェンである。
このように、本発明の方法の好ましい実施形態は、抗HER2治療がトラスツズマブとラパチニブである方法について言及する。より好ましい実施形態では、加えて、患者には化学療法は行われていない。より好ましい実施形態では、HER2の遺伝子発現産物はmRNAであり、好ましい実施形態では、配列番号1である。好ましい実施形態では、患者はHR陰性患者である。別の好ましい実施形態では、患者はHR陽性患者であり、HER2治療がレトロゾール又はタモキシフェンと組み合わせられる。本発明の第2及び第3の態様の方法に関しては、好ましい実施形態に加えて、化学療法を行わない抗HER2治療の開始後のmRNAの検出及び/又は定量が、抗HER2治療の開始後14日目に行われる。
このように、本発明の方法の好ましい実施形態は、抗HER2治療がトラスツズマブとラパチニブであり、患者がHR陰性患者であり、HER2の遺伝子発現産物がmRNAであり、そして好ましい実施形態では配列番号1である方法について言及する。本発明の第2及び第3の態様の方法に関しては、好ましい実施形態に加えて、化学療法を行わない抗HER2治療の開始後のmRNAの検出及び/又は定量が、抗HER2治療の開始後14日目に行われる。好ましい実施形態では、加えて、患者には、HER2の検出/定量の前には化学療法は行われていない。
本発明の方法の好ましい実施形態は、抗HER2治療がトラスツズマブとラパチニブであり、患者がHR陽性患者であり、HER2治療がレトロゾール又はタモキシフェンと組み合わせられ、HER2の遺伝子発現産物がmRNAであり、そして好ましい実施形態では配列番号1である方法について言及する。本発明の第2及び第3の態様の方法に関しては、好ましい実施形態に加えて、化学療法を行わない抗HER2治療の開始後のmRNAの検出及び/又は定量が、抗HER2治療の開始後14日目に行われる。好ましい実施形態では、加えて、患者には、HER2の検出/定量の前には化学療法は行われていない。
このように、本発明の第3の態様の好ましい実施形態では、抗HER2治療はトラスツズマブとラパチニブであり、患者はHR陰性患者であり、HER2の遺伝子発現産物はmRNAであり、そしてより好ましい実施形態では配列番号1であり、化学療法を行わない抗HER2治療の開始後のmRNAの検出及び/又は定量が抗HER2治療の開始後14日目に行われ、そして代替のレジメンは化学療法である。好ましい実施形態では、加えて、患者には、HER2の検出/定量の前には化学療法は行われていない。
本発明の第3の態様の好ましい実施形態では、抗HER2治療はトラスツズマブとラパチニブであり、患者はHR陽性患者であり、HER2治療がレトロゾール又はタモキシフェンと組み合わせられ、HER2の遺伝子発現産物はmRNAであり、より好ましい実施形態では配列番号1であり、化学療法を行わない抗HER2治療の開始後のmRNAの検出及び/又は定量が、抗HER2治療の開始後14日目に行われ、そして代替のレジメンは化学療法である。好ましい実施形態では、加えて、患者には、HER2の検出/定量の前には化学療法は行われていない。
本発明のインビトロ方法の好ましい実施形態では、方法には、例えば、超音波による、乳癌についての被験者の画像化もまた含まれる。画像化は本発明の方法において任意の順序で、従って、HER2の遺伝子発現産物の検出及び/又は測定の前に行うことができる。癌の大きさの縮小はHER2治療の有効性と関係がある。
本発明はまた、疾患と診断された被験者における有効性及びHER2陽性乳癌の処置を決定するための方法にも言及する。上記方法には以下の工程が含まれる:
a)抗HER2治療の開始前の被験者から、乳癌の組織生検試料を含有している第1の試料を得る工程;
b)第1の試料をHER2のmRNAに結合する第1の試薬(好ましくは、プローブ)と接触させる工程;
c)第1の試料中の第1の試薬に結合したHER2のmRNAの量
を測定する工程;
d)工程c)において第1の試薬に結合したHER2のmRNAの量を、抗HER2治療の開始後の被験者由来の乳癌の組織生検試料を含有している第2の試料から得られたHER2のmRNAと比較する工程;
e)被験者について処置結果を決定し、被験者を処置する工程であって、ここでは:
(i)工程c)において第1の試薬に結合したHER2のmRNAの量が第2の試料についてのHER2値のmRNAの量より多い場合は、抗HER2処置がより有効であるか又は有効性が高く;そして
(ii)工程c)において第1の試薬に結合したHER2のmRNAの量が第2の試料についてのHER2値のmRNAの量よりも少ない場合は、抗HER2処置があまり有効ではない又は無効であり、そして処置は、乳癌の切除、経過観察、化学療法、放射線治療、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。
本発明の第4の態様の1つの実施形態では、HER2の遺伝子発現産物はmRNAである。より好ましくは、ここでは、遺伝子発現産物は配列番号1である。
本発明の第4の態様の好ましい実施形態では、遺伝子発現産物がタンパク質であり、好ましい実施形態では、配列番号2である使用について言及される。
本発明の第4の態様の好ましい実施形態では、抗HER2治療が、トラスツズマブ、ラパチニブ、ネラチニブ、ペルツズマブ、ado-トラスツズマブエムタンシン、又はこれらの組み合わせからなる群より選択され、好ましくは、トラスツズマブとラパチニブである使用について言及される。
本発明の第4の態様の好ましい実施形態では、患者は女性であり、好ましくは、ホルモン受容体陽性(HR+)患者である。患者は、HR陽性患者又は受容体陰性(HR-)患者である。ここでは、患者はHR陽性患者であり、抗HER2治療は内分泌療法と組み合わせることができる。より好ましい実施形態では、内分泌療法は以下からなるリストより選択される:タモキシフェン、トレミフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、フルベストラント、ゴセレリン、ロイプロリド、及び/又はトリプトレリン、あるいはそれらの任意の組み合わせ。より好ましい実施形態では、レトロゾール又はタモキシフェンである。
本発明の第4の態様の好ましい実施形態では、抗HER2治療はトラスツズマブとラパチニブであり、患者はHR陰性患者であり、HER2の遺伝子発現産物はmRNAであり、好ましい実施形態では、配列番号1である。好ましい実施形態では、加えて、患者には、HER2の検出/定量の前には化学療法は行われていない。
本発明の第4の態様の好ましい実施形態では、抗HER2治療はトラスツズマブとラパチニブであり、患者はHR陽性患者であり、HER2治療はレトロゾール又はタモキシフェンと組み合わせられ、HER2の遺伝子発現産物はmRNAであり、好ましい実施形態では、配列番号1である。好ましい実施形態では、加えて、患者には、HER2の検出/定量の前には化学療法は行われていない。
本発明の第5の態様の好ましい実施形態では、遺伝子発現産物はmRNA(好ましくは、配列番号1)であるか、又はタンパク質(好ましくは、配列番号2)である。
本発明の第5の態様の好ましい実施形態では、手段はキットの一部を構成する。
本発明の別の態様では、HER2の遺伝子発現産物(好ましくは、そのmRNA)の存在又は存在しないことを検出するため、あるいはその量を定量するための特別な手段を含む、本発明の方法で使用されるキットについて言及される。特定の実施形態では、キットには、特異的プライマー及び/又はプローブ、抗体、あるいはそれらの組み合わせが含まれる。特定の実施形態では、キットには、配列番号1を検出及び/又は定量するため、より具体的な実施形態では、配列番号3を検出及び/又は定量するための特異的プライマー及び/又はプローブが含まれる。
明細書及び特許請求の範囲を通じて、用語「含む(comprise)」とその用語のバリエーションは、他の技術的特徴、付加的なもの、成分、又は工程を排除するようには意図されない。更に、用語「含む(comprise)」には、「からなる(consisting of)」の場合が含まれる。本発明の更なる目的、利点、及び特徴は、明細書の例に基づいて当業者に明らかになるか、あるいは本発明の実施によって理解されるであろう。以下の実施例及び図面は説明のために提供され、これらは本発明を限定するように意図されるものではない。図面に関連付けられた、請求項の中で括弧書きされた参照記号は、請求項の明瞭性を高めるためのものに過ぎず、その請求項の範囲を限定するように解釈されるべきではない。更に、本発明は、本明細書中に記載される特定の好ましい実施形態の全ての可能な組み合わせを網羅する。
実施例1:細胞毒性治療を行わない二重のHER2の遮断に対する反応の予測因子としてのERBB2
材料及び方法:
研究の設計及び患者:
PAMELA(NCT01973660)は、HER2陽性乳癌の女性における、無作為化されていない、多施設で行われる、期待される非盲検の第2相試験である(図1)。全ての適格である患者は、一元的に確認されたHER2、免疫組織化学染色により一元的に行われたエストロゲン受容体及びプロゲステロン受容体、直径が1cmより大きい原発性腫瘍を持つステージI~IIIAの乳癌を有しており、18歳以上の年齢であり、これまでにいずれの癌治療も受けていなかった。腫瘍はHER2免疫組織化学染色3+又は2+を有していなければならず、インサイチュ(in-situ)ハイブリダイゼーションでは色素生産性について陽性でなければならなかった。注目に値するのは、HER2、ER、及びPRの試験をIS015189の認定のもとで行ったことである。
他の主要な組み入れ基準は以下であった:0~2のベースラインのEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)の全身状態、心エコー検査又はマルチゲート収集(MUGA)により測定した場合の50%以上のベースライン左室駆出分画率(LVEF)。重要な除外基準は、多中心性の腫瘍、手術不可能なステージIIIの疾患、ステージIVの疾患、両側性乳癌、他の悪性腫瘍、不十分な骨髄機能又は腎機能、肝機能障害、心臓機能の障害、管理不良高血圧、妊娠、及び避妊を使用することに対する拒絶とした。
本研究は、医薬品の臨床試験の実施の基準についてのガイドライン及び世界医師会によるヘルシンキ宣言に従って行った。全ての患者について書面でのインフォームドコンセントを行った。研究プロトコルについての承認を独立する倫理委員会から得た。
手順:
ラパチニブを1000mgの1日量で経口投与した。トラスツズマブは、8mg/kgの負荷投与量で3週間おきに、続いて6mg/kgをIV投与した。HR陽性の患者には、閉経状態に従ってレトロゾール(1日2.5mg)又はタモキシフェン(1日20mg)を投与した。全処置期間は18週間であった。2週目に、コア針生検(core-needle biopsy)を強制的に行った。6週目に、超音波による初期反応の評価を強制的に行った。この研究の間に、又は6週目で腫瘍の大きさがいくらか増大していることを処置の失敗とみなし、患者を主要エンドポイント(即ち、二重の遮断を用いたpCR)について反応しないと分類した。これらの患者を、トラスツズマブと、12服用量の1週間に1回の80mg/mのパクリタキセル、及び750mgのラパチニブで、経口で処置した。二重のHER2の遮断の最後の用量の後1週間から3週間の間、又はパクリタキセルの最後の用量の後2週間から3週間の間に、外科手術を行った。医師の裁量にしたがって標準的な免疫賦活剤による化学療法を投与した。
遺伝子発現の分析:
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)乳房組織の切片を、浸潤性の腫瘍細胞の存在(≧10%)を確認するため、及び最小の腫瘍表面積(>4mm)を決定するために、ヘマトキシリン及びエオシン染色で最初に試験した。遺伝子発現の分析のための最小限の組織要件が満たされない限りは、患者を入れることはできなかった。浸潤性の腫瘍細胞を含まなかった15日目の試料についてもまた、プロファイリングを行った。RNA精製(Roche(登録商標)High Pure FFPET RNA単離キット)には、≧1~5の10μmのFFPEスライドを各腫瘍検体について使用し、必要である場合には通常の汚染を避けるためにマクロダイセクションを行った。最低限約100ngのトータルRNA(total RNA)を、nCounterプラットフォーム(Nanostring Technologies,Seattle,WA,US)を用いて乳癌について選択した555種類の遺伝子及び5種類のハウスキーピング遺伝子(ACTB、MRPL19、PSMC4、RPLP0、及びSF3A1)の発現を測定するために使用した。データを底2の対数に変換した。5種類のハウスキーピング遺伝子の幾何平均を各試料について得、各試料中の各遺伝子について正規化係数として使用した。標的配列を含む560のコードセット(CodeSet)の設計は表8に見ることができる。
統計学的分析:
主要エンドポイントは、外科手術時の原発性腫瘍の顕微鏡検査で浸潤性の腫瘍性細胞が存在しないこととして定義される、乳房におけるpCRであった。インサイチュ病変が残っていることは許容した。
結果:
PAMELAの臨床試験:
2013年10月から2015年12月まで、151人の患者をスペインの19の場所に集めた。集めた151人の患者のうち、137人の患者は計画したとおり処置を完了し、14人の患者は処置を中断した(図2)。視触診での乳房検診によるベースラインの腫瘍の大きさの中央値は2.4cmであり、ほとんどの患者は陰性の腋窩を有しており(64.9%)、閉経後であった(59.6%)(表1)。HR陽性疾患の患者(n=77)のうち、52%及び48%に、閉経状態に従ってタモキシフェン及びレトロゾールをそれぞれ、投与した。外科手術を行った全ての患者が病理学的反応について有効な評価を有していた。
表1.ベースラインでの患者の人口統計
Figure 0007377713000001
乳房のpCRは151人の女性のうち46人で記録された(30.5%、95%CI 23.4-38.5)。これまでの知見と一致して、HR陰性の腫瘍と比較して、HR陽性の腫瘍においてはより低いpCRが記録された(43.2%に対して18.2%;p=0.001)。処置を中断した14人の患者のうち、6人は処置に失敗した(全患者のうちの4.0%)。処置の失敗は、HR陽性疾患においては(n=2)、そしてHR陰性疾患においては(n=4)で起こった。処置に失敗した6人のうちの5人の患者には、プロトコルにより腫瘍免疫賦活薬であるパクリタキセル、ラパチニブ、及びトラスツズマブを投与し、いずれもpCRに到達しなかった。
評価した様々な臨床的病理学的変数(年齢、腫瘍の大きさ、腫瘍のステージ、閉経状態、リンパ節転移の状態、及びホルモン受容体[HR]の状態)のうち、HRの状態だけがpCRと有意な関係があることが明らかになった(表2)。
表2.処置に対する病理学的反応についてのロジスティック回帰モデルによる分析
Figure 0007377713000002
OR、オッズ比
ベースライン試料からの遺伝子発現を用いたpCRの予測:
555種類の乳癌関連遺伝子及び5種類のハウスキーピング遺伝子の発現は、全てのベースライン試料中で良好に行われていた(n=151)(表8を参照のこと)。最良のモデルを選択するために、4種類の変数選択方法(t検定、Welchのt検定、ランダムフォレスト[rf]、及び再帰的特徴量削減[rfe])、様々な数の選択した遺伝子(1、2、3、4、5、10、12、15、20、及び30種類)、並びに3種類の分類方法(対角線形判別分析[dlda]、線形判別分析[Ida]、及び二次判別分析[qda])を使用して交差検証法による分析(10分割、25回の繰り返し)を行った。図3及び表3に示すように、最良の「バランスのとれた精度解析」(分類性能の尺度)を、1つの遺伝子を用いて得た。1つの遺伝子は行った全ての分析においてERBB2であった。
表3.様々な分類方法及び遺伝子選択方法を使用する10分割交差検証法で選択した遺伝子
Figure 0007377713000003
「分類方法(Class.Method)」:分類方法;N:選択した遺伝子の数;「間違った分類(Misclass.)」:間違った分類
次に、交差検証法による分析(10分割、25回の繰り返し)及びqda法を使用して、1、2、3、4、5、及び10種類の遺伝子を選択した場合の受信者動作特性(Receiver Operating Characteristic)(ROC)分析(即ち、ROC曲線下面積[auROC])を使用した予測能力を評価した。図4に示すように、1つの単一の遺伝子(これは全ての場合においてERBB2であった)は最も高いauROCを示した。
ベースライン試料からのERBB2発現を用いたpCRの予測:
全体として、このデータは、555種類の乳癌関連遺伝子のうち、ERBB2が、化学療法を用いない二重のHER2の遮断後の反応を予測するための最も力強い遺伝子であることを示唆していた。その後、ベースラインの腫瘍試料を用いて、151人の患者のデータセット全体においてpCRを予測するERBB2発現の能力を調べた。まず、pCRを予測するERBB2の能力を推定した(図5)。結果は0.804のAUCを示した。
第二に、pCRに到達しなかった患者(非pCR)におけるERBB2の発現に対してpCRに到達した患者におけるERBB2の発現を評価した(図5)。結果は、pCR群のERBB2の発現の中央値が3.24であり、非pCR群のERBB2の発現の中央値が1.83であったことを示していた。差は1.42であり、これは2.68倍の差に相当していた。第三に、ERBB2発現にしたがってpCR率を調べた。三分位(2.93及び1.61のERBB2スコアのカットオフ)を使用した場合は、最も高い、中間、及び最も低い三分位におけるpCR率は、それぞれ、58.8%、24%、及び8%であった。四分位(3.21、2.45、及び0.97のERBB2スコアのカットオフ)を使用した場合は、最も高い、中間(合わせて1つの群にした2つの中間の四分位)、及び最も低い四分位におけるpCR率は、それぞれ、64.9%、23.7%、及び10.5%であった。
HRの状態と比較してpCRを予測するベースラインでのERBB2の能力:
HRの状態は、今日までのところ、細胞毒性治療を行わない二重のHER2の遮断後のpCRを予測するための唯一の分子予測因子であった。ここでは、HRの状態を上回るpCRを予測するERBB2の能力を評価した。HRの状態とERBB2発現を含む二変量分析のロジスティック回帰モデル(表4)において、ERBB2はなおもpCRと有意な関係があったが、一方、HRの状態はその統計学的有意性を失っていることが観察された。この結果は、ERBB2がHRの状態よりも更により予測となる情報を提供することを示唆している。
表4.ERBB2ベースライン及びHRのpCRとの関係
ベースライン、2週目でのERBB2の発現、及び2週目とベースラインとの間での比を用いたpCRの予測:
全部で144のペア試料を、集めた151人の患者からPAMELAにおいて得た。これは、全ての入手できた試料の95%を占める。従って、このペアのデータセットから、ベースラインで、2週目で測定したERBB2の発現と、2つの時点の間でのERBB2発現の比の予測能力を比較することができた。能力を比較するために、3種類のバイオマーカの間のAUCを比較した(図6)。結果は、2週目及びベースラインの時点でのERBB2発現の比が、pCRについての最良の予測因子であり(図6)、AUCが0.878であったことを示していた。
第二に、2週目及びベースラインの時点の間でのERBB2発現の比にしたがって、pCR率を調べた。三分位(-3.04及び-0.35のERBB2比スコアのカットオフ)を使用した場合は、最も低い、中間、及び最も高い三分位におけるpCR率は、それぞれ、64.6%、25%、及び2%であった。四分位(-3.88、-1.37、及び0.009のERBB2比スコアのカットオフ)を使用した場合は、最も低い、中間(合わせて1つの群にした2つの中間の四分位)、及び最も高い四分位におけるpCR率は、それぞれ、75%、22.2%、及び2.7%であった。
全体として、このデータは、pCRの最良の予測因子が2週目とベースラインの時点の間でのERBB2発現の比であることを示唆していた。しかし、これを複数の遺伝子を加えることにより改善できるかどうかは明らかではなかった。従って、555種類の乳癌関連遺伝子を使用して、本発明者らはpCRを予測することについて遺伝子発現の最良の比を評価した。そのために、各々の遺伝子について2週目とベースラインの時点との間での発現の比(即ち、2週目/ベースライン)を計算した。ベースライン試料のみが用いられたこれまでの分析と同様に、本発明者らは、4種類の変数選択方法(t検定、Welchのt検定、ランダムフォレスト[rf]、及び再帰的特徴量削減[rfe])、様々な数の選択した遺伝子(1、2、3、4、5、10、12、15、20、及び30種類)、並びに3種類の分類方法(対角線形判別分析[dlda]、線形判別分析[Ida]、及び二次判別分析[qda])を使用して交差検証法による分析(10分割、25回の繰り返し)を行った。図7及び表5に示すように、類似する「バランスのとれた精度解析」が様々な数の遺伝子を用いて得られた。注目すべきは、分類及び変数選択の様々な方法を使用した場合に、ERBB2がpCRと関係がある最も重要な遺伝子であることが明らかになったことである。これらの結果は、新しい遺伝子を加えることによってはERBB2を超える高い予測能力が得られなかったことを示唆していた。
表5.様々な分類方法及び遺伝子選択方法を使用する10分割交差検証法で選択した遺伝子
「分類方法(Class.Method)」:分類方法;「変数選択方法(Variable Sel.Method)」:変数選択方法;「選択した遺伝子の数(N.genes Sel.)」:選択した遺伝子の数;「M.」:間違った分類;「バランスのとれた精度解析(B.acc)」:バランスのとれた精度解析
更に、交差検証法による分析(10分割、25回の繰り返し)及びqda法を使用して、1、2、3、4、5、及び10種類の遺伝子を選択した場合の受信者動作特性(Receiver Operating Characteristic)(ROC)分析(即ち、ROC曲線下面積[auROC])を使用した予測能力を評価した。図8に示すように、1つの単一の遺伝子(これは全ての場合においてERBB2であった)は最も高いAUCの1つを示した。実際、2遺伝子モデル(これにはERBB2とGRB7が含まれる(即ち、k=2))は、これらが数の上ではより高いAUCを示したが、ERBB2単独の場合と比較して、AUCを有意には改善しなかった。全体的には、このデータは、555種類の乳癌関連遺伝子のうち、2週目とベースラインの時点の間でのERBB2発現の比が、化学療法を用いない二重のHER2の遮断後の反応を予測することについて最も強力であったことを示唆していた。
HRの状態と比較したpCRを予測するERBB2の能力:
HRの状態は、今日までのところ、細胞毒性治療を行わない二重のHER2の遮断後のpCRを予測するための唯一の分子予測因子であった。ここでは、HRの状態を上回るpCRを予測するERBB2比の能力を評価した。HRの状態とERBB2比を含む二変量分析のロジスティック回帰モデル(表6)において、ERBB2比はなおもpCRと有意な関係があったが、一方、HRの状態はその統計学的有意性を失っていることが観察された。この結果は、ERBB2比がHRの状態よりも更により予測となる情報を提供することを示唆していた。
表6.ERBB2比及びHRのpCRとの関係
ERBB2ベースラインと比較してpCRを予測するERBB2比の能力:
ここでは、144のペア試料において、ERBB2ベースラインと比較してpCRを予測するERBB2比の能力を比較した。ERBB2のベースラインと比を含む二変量分析のロジスティック回帰モデル(表7)において、ERBB2比はなおもpCRと有意な関係があったが、一方、ERBB2ベースラインはその統計学的有意性を失っていることが観察された。この結果は、ERBB2比がERBB2ベースラインよりも更により予測となる情報を提供することを示唆している。これは先のAUCの結果と一致している。
表7.ERBB2比及びERBB2ベースラインのpCRとの関係
結論:
本研究では、ERBB2の発現が単独で、化学療法を用いない二重のHER2の遮断後のpCRについての最良の予測因子であることが示されている。このバイオマーカは、ベースラインで、処置の2週目で、又は両方でのいずれでも評価することができる。これらの結果は、ベースラインERBB2発現の予測能力が2週目のERBB2発現と同様であるが、両方の時点によるERBB2発現データを組み合わせること(即ち、ERBB2比)が上記3つのうちの最良の予測因子であることを示唆している。従って、臨床的な将来の見通しから、ERBB2発現は、ベースラインのみ(即ち、処置開始前)、又は2週目での生検を行うことができる場合は両方の時点(即ち、ERBB2比)でのいずれを使用することもできる。いずれにしても、いずれの予測因子も、化学療法を用いない二重のHER2の遮断で処置される場合には、症例の64.9~75%においてpCRに到達するであろうHER2陽性疾患の患者の約25%(上位四分位)を同定することができる。重要であるのは、ベースライン時点でのERBB2又はERBB2比が、化学療法を行わない二重のHER2の遮断後のHER2陽性乳癌においてpCRと関係があることが今日まで一貫して明らかにされてきた唯一の分子予測因子であるHRの状態と比較して、独立した更なる情報を提供することである。
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表8.560種類の遺伝子についてのnCounter(商標)CodeSet Design
「標的領域(T.region)」:標的領域;「h.」:仮想タンパク質;「s.サイトケラチン-8(s.Cytokeratin-8)」:ケラチンタイプII細胞骨格8(Keratin typeII cytoskeletal8)(Cytokeratin-8)(CK-8)(Keraton-8)(K8)に類似する;「h.MGC18216」:仮想タンパク質MGC18216。

Claims (16)

  1. HER2陽性乳癌の患者における化学療法を行わない抗HER2治療の有効性を決定するためのインビトロ方法であって、
    (a)以下の(a.i)及び(a.ii)の時期に患者から単離された乳癌の組織生検試料中のHER2の遺伝子発現産物の検出及び/又は定量する工程を含み、
    (a.i)抗HER2治療の開始前、及び
    (a.ii)抗HER2治療の開始後5~20日目
    ここで、工程(a.i)で検出又は定量した遺伝子発現産物量と比較して工程(a.ii)で検出又は定量した遺伝子発現産物量に減少が存在する場合には、それが、抗HER2治療有効であることの指標となる、方法
  2. 化学療法を行わない抗HER2治療の代替の医療レジメンを開始するかどうかHER2陽性乳癌の患者について決定する又は推奨するためのインビトロ方法であって、
    (a)以下の(a.i)及び(a.ii)の時期に患者から単離された乳癌の組織生検試料中のHER2の遺伝子発現産物の検出及び/又は定量する工程を含み、
    (a.i)抗HER2治療の開始前、及び
    (a.ii)抗HER2治療の開始後5~20日目
    ここで、工程(a.ii)で検出又は定量された遺伝子発現産物が工程(a.i)で検出又は定量された遺伝子発現産物よりも高い場合には、それが、代替の医療レジメンが必要であることの指標となる、方法
  3. 代替の医療レジメンが、化学療法、外科手術、放射線治療、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項2に記載の代替の医療レジメンを開始するかどうかを決定又は推奨するためのインビトロ方法。
  4. 化学療法が、パクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチン、ドキソルビシン、エピルビシン、nab-パクリタキセル、ビノレルビン、カペシタビン、及びエリブリン、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項3に記載の代替の医療レジメンを開始するかどうかを決定又は推奨するためのインビトロ方法。
  5. 化学療法を行わない抗HER2治療の開始後のHER2の遺伝子発現産物の検出及び/又は定量が、抗HER2治療の開始後9~19日目の間に行われる、請求項1~4のいずれか1項に記載のインビトロ方法。
  6. HER2の遺伝子発現産物がmRNA又は配列番号2のタンパク質である請求項1~5のいずれか1項に記載のインビトロ方法。
  7. 抗HER2治療が、トラスツズマブ、ラパチニブ、トラスツズマブとラパチニブ、ネラチニブ、ペルツズマブ、ado-トラスツズマブ、エムタンシン、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載のインビトロ方法。
  8. 患者が女性である、請求項1~7のいずれか1項に記載のインビトロ方法。
  9. 患者がホルモン受容体陽性(HR+)患者、ホルモン受容体陰性(HR-)患者、又はホルモン受容体陽性(HR+)患者であり、且つ抗HER2治療が内分泌療法と組み合わせられている、請求項1~8のいずれか1項に記載のインビトロ方法。
  10. 患者がホルモン受容体陽性(HR+)患者であり、且つ抗HER2治療が内分泌療法と組み合わせられる場合、前記内分泌療法が、タモキシフェン、トレミフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、フルベストラント、ゴセレリン、ロイプロリド、及び/又はトリプトレリン、あるいはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項9に記載のインビトロ方法。
  11. HER2陽性乳癌の患者において化学療法を行わない抗HER2治療の有効性を決定するためのインビトロマーカとして、あるいは代わりに、化学療法を行わない抗HER2治療を受けているHER2陽性乳癌の患者において抗HER2治療の代替の医療レジメンを開始するかどうかを決定又は推奨するためのインビトロマーカとしての、抗HER2治療の開始前及び開始後5~20日目における前記患者の乳癌の組織生検試料中のHER2の遺伝子発現産物の比の使用。
  12. 代替の医療レジメンが、化学療法、外科手術、放射線治療、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項11に記載の使用。
  13. 抗HER2治療が、トラスツズマブ、ラパチニブ、トラスツズマブとラパチニブ、ネラチニブ、ペルツズマブ、ado-トラスツズマブ、エムタンシン、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項11又は12に記載の使用。
  14. 患者がホルモン受容体陽性(HR+)患者、ホルモン受容体陰性(HR-)患者、又はホルモン受容体陽性(HR+)患者であり、且つ抗HER2治療が内分泌療法と組み合わせられている、請求項11~13のいずれか1項に記載の使用。
  15. 請求項1~10のいずれか1項で記載された方法のいずれかにおける、HER2の遺伝子発現産物の存在を決定する又は定量するための手段の使用。
  16. 以下の工程を含む、HER2陽性乳癌と診断された被験者における、抗HER2処置の有効性決定するための方法:
    a)化学療法を行わない抗HER2治療の開始前の被験者から得られた、乳癌の組織生検試料を含有している第1の試料をHER2のmRNAに結合する試薬と接触させる工程;
    )第1の試料中の前記試薬に結合したHER2のmRNAの量を測定する工程;
    c)化学療法を行わない抗HER2治療の開始後5~20日目の被験者から得られた、乳癌の組織生検試料を含有している第2の試料を、HER2のmRNAに結合する前記試薬と接触させる工程;
    d)第2の試料中の前記試薬に結合したHER2のmRNAの量を測定する工程;および
    )工程で測定されたHER2のmRNAの量を、前記工程d)で測定されたHER2のmRNAの量と比較する工程;
    ここで:
    (i)前記工程で測定されたHER2のmRNAの量が、前記工程d)で測定されたHER2のmRNAの量より多い場合は、抗HER2処置がより有効であるか又は有効性が高く;そして
    (ii)前記工程で測定されたHER2のmRNAの量が、前記工程d)で測定されたHER2のmRNAの量よりも少ない場合は、抗HER2処置があまり有効ではない又は無効であることの指標となる、方法
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