JP7376280B2 - レーザ装置及びレーザ安定化方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に記載のレーザ装置は、レーザ光を出射する共振器と、共振器から出射したレーザ光が照射される吸収セルと、吸収セルを透過したレーザ光を検出して光検出信号を出力する光検出器とを備えている。このレーザ装置では、共振器長を所定範囲で変化させながら、光検出信号及び当該光検出信号の2次微分信号に基づいて飽和吸収線を探索し、目標とする飽和吸収線が観測された共振器長を実現することにより、レーザ光の発振周波数を目標とする飽和吸収線に固定している。
このような本発明によれば、駆動電圧を最大電圧値から減少させる場合、または、駆動電圧を最小電圧値から増加させる場合と比べて、駆動電圧の掃引時間を短縮化できる。
本発明のレーザ安定化方法によれば、上述した本発明のレーザ装置と同様の効果が得られる。
〔レーザ装置〕
図1に示すように、レーザ装置1は、励起用光源10と、共振器20と、導波光学部30と、検波部40と、制御装置50と、を備える。
励起用光源10は、制御装置50の制御により駆動され、駆動電流が流れることにより、例えば808nm付近の励起光La1を出射する。
レーザ媒体21は、例えばNd:YVO4結晶等により構成され、励起光La1によって励起されて、例えば1064nm付近の波長の光(基本波光)を出射する。また、励起光La1が入射される側のレーザ媒体21の面には、励起光La1を透過し、基本波光を反射するコーティングが施されている。
エタロン23は、所定波長の光を透過させることにより、基本波光及び第2高調波光をシングルモードにする。
アクチュエータ25は、例えばピエゾ素子等により構成され、制御装置50の制御により駆動されて、共振器ミラー24の位置を変化させる。つまり、アクチュエータ25は、共振器長を変化させる。
第2偏光ビームスプリッタ421は、光入射部42に入射したP偏光のレーザ光La4を透過させ、吸収セル431から入射したS偏光のレーザ光を光検出部424に反射させる。
λ/4板422は、第2偏光ビームスプリッタ421側から入射されるP偏光のレーザ光La4を円偏光に変換して吸収セル431側に出射させる。また、吸収セル431側から入射した円偏光のレーザ光をS偏光に変換して第2偏光ビームスプリッタ421側に出射させる。
光検出部424は、第2偏光ビームスプリッタ421で反射された光を検出し、光強度に応じた光検出信号SL1を制御装置50に出力する。
光反射部44は、光吸収部43を介して光入射部42とは反対側に設けられる。この光反射部44は、吸収セル431を透過したレーザ光を反射する反射ミラー442を備える。
具体的に、制御装置50は、図2に示すように、アクチュエータ25に対して駆動電圧Vを印加するアクチュエータ駆動部51と、光検出信号SL1に基づいて2次微分信号SL2及び3次微分信号SL3を生成する微分演算部52と、各信号SL1~SL3に基づいてアクチュエータ駆動部51へ制御信号Scを出力する制御部53と、メモリ54とを備えている。
アクチュエータ制御部531は、アクチュエータ駆動部51に対して制御信号Scを出力することにより、アクチュエータ駆動部51からアクチュエータ25に印加される駆動電圧Vを制御する。これにより、共振器20の共振器長が制御される。
探索部532は、2次微分信号SL2に現れる飽和吸収線とみられる特徴点を検出し、検出された特徴点から目標とする飽和吸収線を探索する探索処理を実施する。
ノイズ判別部533は、探索部532により検出された各特徴点がノイズであるか否かを判別する。
図3は、光検出信号SL1及び2次微分信号SL2を示す図である。この図3は、各信号SL1,SL2の出力値を縦軸とし、アクチュエータ25への駆動電圧Vを横軸とし、駆動電圧Vを変化させた場合(共振器長を変化させた場合)における各信号SL1,SL2の変化を示す図である。
なお、光検出信号SL1は、光検出部424により光電変換された信号を反転増幅しているため、電圧極性が反転している。すなわち、吸収セル431に対するレーザ光の吸収率が高いと、光検出信号SL1の出力値は増大する。
本実施形態では、1以上の飽和吸収線が飽和吸収線群を構成している。例えば、図4に示すピーク群M2には、飽和吸収線群N1(飽和吸収線a1)、飽和吸収線群N2(飽和吸収線a2~a5)、飽和吸収線群N3(飽和吸収線a6~a9)、飽和吸収線群N4(飽和吸収線a10)、飽和吸収線群N5(飽和吸収線a11~a14)、飽和吸収線群N6(飽和吸収線a15)が観測される。
以上の各ピーク群M1~M4に属する飽和吸収線群の数及び組み合わせ、ならびに、各飽和吸収線群に属する飽和吸収線の数は、パラメータとして、メモリ54に記憶されている。
レーザ装置1におけるレーザ安定化方法について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下では、説明の便宜上、目標とする飽和吸収線を、ピーク群M2に属する飽和吸収線a10とする。
まず、アクチュエータ制御部531は、アクチュエータ25に印加する駆動電圧Vを最大電圧値に設定する(ステップS1)。
ステップS5の後、制御部53は、ステップS3と同様に、目標とするピーク群M2を探索できたか否かを判定する(ステップS6)。
このステップS7において、探索部532は、上述のステップS2と同様の方法によって特異点を検出しつつ、特異点の検出回数をカウントする。そして、駆動電圧Vの掃引方向が減少方向である場合には5回目に検出される特異点を、目標とする飽和吸収線a10として検出し、検出時点の電圧値Vgをメモリ54に記憶させる。
一方、ステップS8においてYesと判定された場合、アクチュエータ制御部531は、駆動電圧Vを、目標とする飽和吸収線a10が検出された電圧値Vgに固定する(ステップS9)。これにより、レーザ光La2の発振周波数は、目標とする飽和吸収線a10に合わせられる。
上述のステップS3でNoと判定された場合、ノイズ判別部533は、ステップS2で検出された複数の特異点からノイズを判別する(ステップS12;ノイズ判別工程)。
例えば、レーザ光がシングルモード発振ではなく多モード発振の状態にある場合や外乱の影響を受けた場合、レーザ光が吸収セル431に吸収され始める駆動電圧Vの範囲でノイズが生じ易い。このノイズは、2次微分信号SL2の各出力値が閾値Vth1以上となることで特異点として検出されてしまうことがある。例えば、図6には、吸収領域Rv2のプラス側の境界付近に生じたノイズを例示している。本実施形態では、このようなノイズの性質に基づいて、吸収領域Rv1~Rv4の各境界付近で検出された特異点をノイズとして判別してもよい。
また、飽和吸収線は、レーザ光が吸収セル431に吸収される間に観測されるものである。このため、ノイズ判別部533は、光検出信号SL1が閾値Vth2以下である場合に検出された特異点をノイズとして判別してもよい。
また、ノイズ判別部533は、検出された複数の特異点から、メモリ54に記憶されたパラメータに合致する特異点を選択し、選択されない残りの特異点をノイズとして判別してもよい。
ノイズが存在する場合(ステップS13でYesの場合)、アクチュエータ制御部531は、ステップS2の終了時点で最小電圧値になっていた駆動電圧Vを増加させ、ノイズが検出された電圧値よりも少し小さい値(復帰値)に駆動電圧Vを設定する。すなわち、駆動電圧Vを、ステップS2の電圧掃引方向(減少方向)においてノイズを経過した位置の値に設定する(ステップS14)。
また、「ノイズが検出された電圧値よりも少し小さい値」とは、ノイズの影響を避けることができる程度に、ノイズが検出された電圧値から所定量だけ小さい値であればよい。
例えば、図6には、吸収領域Rv2のプラス側の境界付近にノイズが存在する場合に設定される復帰値Vrを例示している。
本実施形態のレーザ装置1において、制御部53は、駆動電圧Vを掃引させるアクチュエータ制御部531と、駆動電圧Vが掃引される間、2次微分信号SL2に基づいて特異点を検出し、当該特異点が検出された時点の駆動電圧Vの電圧値をメモリ54に記憶させる探索処理を行う探索部532と、探索処理において検出された複数の特異点からノイズを判別するノイズ判別部533と、を有する。そして、探索部532は、特異点として検出されたノイズが存在する場合、ノイズが検出された時点の電圧値よりも小さい値から駆動電圧Vが減少方向に変化する間、探索処理を行う。
また、本実施形態では、再探索処理においてノイズを記憶することが回避されるため、メモリ54の容量が不要に消費されることを抑制できる。
このような本実施形態によれば、駆動電圧Vを最大電圧値から減少させる場合と比べて、駆動電圧Vの掃引時間を短縮化できる。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
このような変形例によっても、前記実施形態と同様の効果を奏することができる。
このような変形例によれば、前記実施形態と同様、ノイズが検出される電圧範囲を過ぎた位置から特異点を記憶する処理が行われるため、ノイズが落ち着くまでの待機時間を必要とせず、探索処理を再開することができる。また、このような変形例によれば、駆動電圧Vを最大電圧値から掃引することによって共振器長の制御を安定的に行うことができる。
同様に、前記実施形態のステップS8においてNoの場合、ステップS15でエラー処理を行う替わりに、上述のステップS12~S14と同様の処理を行ってもよい。この変形例では、特異点として検出されたノイズが存在する場合、ノイズを経過した位置の値に駆動電圧Vを設定した後、ステップS7に戻る。そして、ノイズが検出される電圧範囲を過ぎた位置から探索処理を行うことができる。
Claims (2)
- レーザ光を出力する共振器と、
前記共振器から出力された前記レーザ光が入射される吸収セルと、
前記吸収セルを透過した前記レーザ光を検出して光検出信号を出力する光検出部と、
前記光検出信号の2次微分信号を生成する微分演算部と、
印加される駆動電圧に応じて前記共振器の共振器長を変化させるアクチュエータと、
前記駆動電圧を出力するアクチュエータ駆動部と、
制御部と、を備えるレーザ装置であって、
前記制御部は、
前記駆動電圧を増加方向または減少方向である掃引方向に掃引させるアクチュエータ制御部と、
前記駆動電圧が掃引される間、前記2次微分信号に基づいて特異点を検出し、当該特異点が検出された時点の前記駆動電圧の電圧値をメモリに記憶させる探索処理を行う探索部と、
前記探索処理において検出された複数の前記特異点からノイズを判別するノイズ判別部と、を備え、
前記特異点として検出された前記ノイズが存在する場合、前記アクチュエータ制御部は、前記掃引方向において前記ノイズを経過した位置である復帰値に前記駆動電圧を設定し、前記探索部は、前記駆動電圧が前記復帰値から前記掃引方向に再掃引される間、前記探索処理を再度行うことを特徴とするレーザ装置。 - レーザ光を出力する共振器と、
前記共振器から出力された前記レーザ光が入射される吸収セルと、
前記吸収セルを透過した前記レーザ光を検出して光検出信号を出力する光検出部と、
前記光検出信号の2次微分信号を生成する微分演算部と、
印加される駆動電圧に応じて前記共振器の共振器長を変化させるアクチュエータと、
前記駆動電圧を出力するアクチュエータ駆動部と、を備えるレーザ装置を用いて、
前記駆動電圧を増加方向または減少方向である掃引方向に変化させる間、前記2次微分信号に基づいて特異点を検出し、当該特異点が検出された時点の前記駆動電圧の電圧値をメモリに記憶させる探索処理を行う探索工程と、
前記探索工程において検出された複数の前記特異点からノイズを判別するノイズ判別工程と、
前記特異点として検出された前記ノイズが存在する場合、前記掃引方向において前記ノイズを経過した位置である復帰値に前記駆動電圧を設定する工程と、
前記駆動電圧を前記復帰値から前記掃引方向に再掃引させる間、前記探索処理を実施する再探索工程と、
を行うことを特徴とするレーザ安定化方法。
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