JP2013153111A - 飽和吸収線判定方法、及びレーザ周波数安定化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】飽和吸収線判定方法は、光出力信号の出力値に基づいて、大小関係にある第1閾値及び第2閾値を設定する閾値設定工程ST2A,ST2Dと、光出力信号の2次微分信号の出力値と第1閾値及び第2閾値とを比較し、共振器長が変化した際での2次微分信号の出力波形が、第2閾値未満から第1閾値以上となり、さらに第2閾値未満に変化する挙動を示したか否かを判定する波形判定工程ST2Bと、波形判定工程ST2Bの判定結果に基づいて、飽和吸収線であるか否かを判定する吸収線判定工程ST2C,ST2Eとを備える。
【選択図】図4
Description
レーザ周波数安定化装置100は、図7に示すように、レーザ発生部10と、レーザ光検出部20と、駆動制御部30とを備える。
レーザ発生部10は、波長808nmのレーザ光L1を放出する励起用半導体レーザ11と、レーザ光L1を入力し、波長532nmのレーザ光L2を出力する共振波生成部12とを備える。
共振波生成部12は、誘導輻射から波長1064nmの光を発光するNd:YVO4結晶121、波長1064nmの光の一部を波長532nmの光とするKTP結晶(非線形光学結晶)122、レーザ光の特定周波数のみを透過させるエタロン123、波長1064nmの光を反射させ波長532nmの光を透過させる反射鏡124等の光学素子が共振器筐体125に収納された構成を有する。
そして、共振器筐体125内部にエタロン123を配設することで、シングルモードのレーザ光L2が得られる。
また、共振器筐体125内部には、電圧の印加により反射鏡124の位置を変更(共振器長を変更)するピエゾ素子等のアクチュエータ126が配設されている。
また、レーザ光検出部20は、レーザ光L4を、第2偏光ビームスプリッタ23、λ/4板24、及びヨウ素セル(吸収セル)25を透過させた後、反射鏡26にてヨウ素セル25に向けて反射させる。
そして、レーザ光検出部20は、レーザ光L4を、再度、ヨウ素セル25及びλ/4板24を通過させた後、第2偏光ビームスプリッタ23にて変換装置としての光検出器27に向けて反射させ、光検出器27にて光電変換することで光出力信号S1を出力する。
なお、図8(A)は、各信号S1,S2の出力値を縦軸とし、アクチュエータ126への出力電圧Vを横軸とし、出力電圧Vを変化させた場合(共振器長を変化させた場合)での各信号S1,S2の波形をそれぞれ示す図である。図8(B)は、図8(A)の領域Arの2次微分信号S2を拡大した図である。
図8(A)に示すように、出力電圧Vを幅広く走査すると、吸収線M1〜M4(以下、説明の便宜上、ピーク群M1〜M4と記載)が周期的に繰り返して観測されることがわかる。なお、ピーク群M1とピーク群M3とは同一のピーク群であり、ピーク群M2とピーク群M4とは同一のピーク群である。
ここで、ピーク群M1〜M4は、飽和吸収線群が束となったものである。例えば、ピーク群M2は、図8(B)に示すように、出力電圧Vの低い側から順に、飽和吸収線群N1(飽和吸収線a1)と、飽和吸収線群N2(飽和吸収線a2〜a5)と、飽和吸収線群N3(飽和吸収線a6〜a9)と、飽和吸収線群N4(飽和吸収線a10)と、飽和吸収線群N5(飽和吸収線a11〜a14)と、飽和吸収線群N6(飽和吸収線a15)とで構成されている。
具体的に、駆動制御部30では、自動ロック装置31の制御信号により、アクチュエータ制御部32がアクチュエータ駆動回路33を制御する(アクチュエータ駆動回路33に出力する電圧値V´を調整する)ことで、アクチュエータ126への出力電圧Vを変更する。
なお、駆動制御部30は、上述した構成31〜33の他、周波数1f、2f、3fHzの信号を出力する変復調信号発生器34と、アクチュエータ駆動回路33にて周波数1fHzの信号に基づき変調されたレーザ光L2の励起により得られる光出力信号S1を周波数2f、3fHzでそれぞれ変調し、2次,3次微分信号S2,S3をそれぞれ出力する生成装置としての2次,3次微分用ロックインアンプ35,36を備える。
なお、自動ロック装置31は、探索処理及び周波数固定処理において、出力電圧Vを変更しながら、2次微分信号S2の出力値が所定の電圧値Sth(図8(B))以上となった場合に、当該信号を飽和吸収線と認定している。
特許文献1に記載のレーザ周波数安定化装置100では、2次微分信号S2にノイズが重畳しているか否かを判定する構成を備えていない。このため、ノイズの影響により2次微分信号S2の出力値が電圧値Sth以上となった場合でも、当該信号を飽和吸収線と認定してしまい、飽和吸収線を良好に認定することが難しい、という問題がある。
すなわち、2次微分信号の出力波形は、大小関係にある2つの閾値のうち小さい方の閾値(上記第2閾値に相当)未満から大きい方の閾値(上記第1閾値に相当)以上となり、さらに小さい方の閾値未満に変化する挙動(以下、第1の挙動)を示す。
一方、2次微分信号にノイズが重畳している場合には、第1の挙動を示さない。
すなわち、共振器長が変化した際に、2次微分信号の出力波形が第1の挙動を示したか否かを判定する(波形判定工程)。
そして、2次微分信号の出力波形が第1の挙動を示した場合には、飽和吸収線であると認定する(吸収線判定工程)。一方、2次微分信号の出力波形が第1の挙動を示していない場合、例えば、当該出力波形におけるピーク値が第1閾値以上であるが当該出力波形が第1の挙動を示していない場合には、飽和吸収線ではなく、2次微分信号にノイズが重畳していると認定する(吸収線判定工程)。
以上のように、本発明の飽和吸収線判定方法によれば、2次微分信号にノイズが重畳しているか否かを判定し、飽和吸収線を良好に認定できる。
そして、例えば、レーザパワーの変化に拘らず、第1,第2閾値を一律に設定した場合には、以下の問題が生じる恐れがある。
先ず、所望のレーザパワーが得られている場合には、上述した波形判定工程及び吸収線判定工程により、飽和吸収線であると認定される2次微分信号の出力波形(第1の挙動を示す出力波形)を想定する。
そして、レーザパワーが所望のレーザパワーよりも小さくなった場合には、2次微分信号の出力値(絶対値)も小さくなってしまうため、上述したように想定した2次微分信号の出力波形におけるピーク値(プラス向きのピーク値)やバレー値(マイナス向きのピーク値)が第2閾値以上、第1閾値未満の範囲内の値になってしまうことが考えられる。
すなわち、上述したように想定した2次微分信号の出力波形が第1の挙動を示さず、飽和吸収線であるにも拘らず、飽和吸収線ではなく、2次微分信号にノイズが重畳していると認定されてしまう。
このため、閾値設定工程により、光出力信号の出力値に基づいて、すなわち、レーザ周波数安定化装置の使用に応じたレーザパワーの変化に基づいて、適切な第1,第2閾値を設定できる。
したがって、波形判定工程において、閾値設定工程にて設定された第1,第2閾値を用いることで、飽和吸収線を適切に認定できる。
本発明では、閾値設定工程は、上述したように第1,第2閾値の少なくともいずれか一方の絶対値を設定する。
このことにより、光出力信号の出力値(絶対値)が小さくなると2次微分信号の出力値(絶対値)も小さくなるので、閾値設定工程にて上述したように第1,第2閾値を設定することで、上述したように想定した2次微分信号の出力波形も確実に第1の挙動を示す結果となる。
したがって、波形判定工程において、閾値設定工程にて設定された第1,第2閾値を用いることで、飽和吸収線をより適切に認定できる。
ところで、飽和吸収線が異なると、2次微分信号の出力波形におけるピーク値やバレー値も異なるものである(図8(B)参照)。
そして、例えば、全ての飽和吸収線について、第1,第2閾値を一律に設定した場合には、以下の問題が生じる恐れがある。
例えば、ピーク値やバレー値の絶対値が比較的に大きい飽和吸収線a1(図8(B))等に基づいて、比較的に大きい(絶対値が大きい)第1,第2閾値を設定した場合には、ピーク値やバレー値の絶対値が比較的に小さい飽和吸収線a6等を判定する際に、当該飽和吸収線a6等についての2次微分信号の出力波形におけるピーク値やバレー値が第2閾値以上、第1閾値未満の範囲内の値になってしまうことが考えられる。
すなわち、飽和吸収線a6等についての2次微分信号の出力波形が第1の挙動を示さず、飽和吸収線であるにも拘らず、飽和吸収線ではなく、2次微分信号にノイズが重畳していると認定されてしまう。
このことにより、判定対象となる飽和吸収線毎に適切な第1,第2閾値を設定でき、飽和吸収線をより一層適切に認定できる。
本発明のレーザ周波数安定化装置は、上述した飽和吸収線判定方法を実施する装置であるので、上述した飽和吸収線判定方法と同様の作用及び効果を享受できる。
〔レーザ周波数安定化装置の構成〕
図1は、本実施形態におけるレーザ周波数安定化装置1を示すブロック図である。
レーザ周波数安定化装置1は、図1に示すように、従来のレーザ周波数安定化装置100と同様のレーザ発生部10、レーザ光検出部20、及び駆動制御部30を備える。
なお、本実施形態のレーザ周波数安定化装置1は、従来のレーザ周波数安定化装置100と比較して、探索処理及び周波数固定処理を実施するとともに、当該各処理において、2次微分信号S2にノイズが重畳しているか否かを判別しながら飽和吸収線を認定する機能を有する制御装置37を備える点が異なる。
このため、以下では、従来のレーザ周波数安定化装置100と同様の機能及び構成については同様の符号を付して説明を省略し、本願の要部である制御装置37について詳細に説明する。
図2は、制御装置37を示すブロック図である。
制御装置37は、CPU(Central Processing Unit)や、メモリ374等を備え、メモリ374に記憶されたプログラムにしたがって、種々の処理を実行する。なお、制御装置37の機能としては、従来の自動ロック装置31と同様の機能については、説明を省略し、以下では、本願の要部である飽和吸収線を認定する機能についてのみ説明する。
この制御装置37は、図2に示すように、閾値設定手段371と、波形判定手段372と、吸収線判定手段373と、メモリ374等を備える。
波形判定手段372は、2次微分用ロックインアンプ35からの2次微分信号S2の出力値と第1,第2閾値Sth1,Sth2とを比較し、出力電圧Vが変化した際(共振器長が変化した際)での2次微分信号S2の出力波形が所定の挙動(以下、第1の挙動と記載)を示したか否かを判定する。
そして、吸収線判定手段373は、波形判定手段372の判定結果に基づいて、飽和吸収線であるか否かを判定する。
次に、上述したレーザ周波数安定化装置1の動作について説明する。
なお、以下では、レーザ周波数安定化装置1の動作として、全体の動作(探索処理及び周波数固定処理)を説明した後、探索処理及び周波数固定処理において実施される吸収線判定方法について説明する。
図3は、探索処理及び周波数固定処理を説明するフローチャートである。
なお、本実施形態における探索処理及び周波数固定処理は、従来のレーザ周波数安定化装置100にて実施される探索処理及び周波数固定処理と略同様であるため、以下では、説明を簡略化する。
また、以下では、説明の便宜上、目標とする飽和吸収線を飽和吸収線a4(当該飽和吸収線a4が属する飽和吸収線群及びピーク群がそれぞれN2,M2)とする。
先ず、制御装置37は、アクチュエータ駆動回路33の動作を制御し、アクチュエータ126に印加する出力電圧Vを最大電圧値に設定する(ステップST1A)。
具体的に、ステップST1Bでは、制御装置37は、以下に示す処理を実行する。
すなわち、制御装置37は、後述する飽和吸収線判定方法により飽和吸収線を認定し、当該飽和吸収線が観測された際にアクチュエータ126に印加していた出力電圧Vの電圧値をメモリ374の第1電圧値記憶部374B(図2)に記憶させる。
また、制御装置37は、第1電圧値記憶部374Bから電圧値Vnew,Voldを読み出し、当該電圧値Vnew,Voldの差分値を算出し、当該差分値と、ΔV,ΔV´とを比較する。
また、ΔV,ΔV´は、飽和吸収線群に属する隣接する飽和吸収線間の各出力電圧Vの差分値Va1〜Va6の最大値をVa(図8(B))、隣接する飽和吸収線群間の各出力電圧Vの差分値Vb1〜Vb6の最小値をVb(図8(B))及び最大値をVb´(図8(B))、各ピーク群間の各出力電圧Vの差分値の最小値をVc(図8(A))とした場合に、Va<ΔV<Vb、Vb´<ΔV´<Vcの関係を満たすように設定されている。
また、制御装置37は、電圧値Vnew,Voldの差分値とΔV´とを比較することで、現時点で観測された飽和吸収線が直前に観測された飽和吸収線と同一のピーク群に属するか否かを判別する。(電圧値Vnew,Voldの差分値)<ΔV´であれば、現時点で観測された飽和吸収線は、直前に観測された飽和吸収線と同一のピーク群に属することになる。
そして、制御装置37は、ステップST1Cの後、ステップST1Bにおいてピーク群M2を探索できたか否かを判定する(ステップST1D)。
ステップST1Dにおいて、制御装置37は、「NO」と判定した場合には、エラー処理を実行する(ステップST1E)。
ここで、エラー処理としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の点灯制御、あるいは、音声による報知制御により、エラーが生じた旨を作業者に知らせる処理が挙げられる。
ステップST1Fの後、制御装置37は、出力電圧Vを電圧値V1から徐々に減少させながら、ステップST1Bと同様に、ピーク群M2を再度、探索する(ステップST1G)。
そして、制御装置37は、出力電圧Vを減少させた結果、ピーク群M2を探索できたか否かを判定する(ステップST1H)。
ステップST1Hにおいて、制御装置37は、「NO」と判定した場合には、ステップST1Eのエラー処理に移行する。
ステップST1Iの後、制御装置37は、以下に示すように、目標とする飽和吸収線a4を探索する(ステップST1J)。
先ず、制御装置37は、後述する飽和吸収線判定方法による飽和吸収線の認定、及び上記判別を行いながら、最初に観測されるピーク群に属する飽和吸収線群が5回観測されるまで、出力電圧Vを減少させる。
なお、ステップST1Iにおいて、出力電圧Vを電圧値V1に設定しているため、上記最初に観測されるピーク群は、ピーク群M2である。また、当該ピーク群M2に属する飽和吸収線群として、1回目に観測される飽和吸収線群は、飽和吸収線群N6であり、5回目に観測される飽和吸収線群は、飽和吸収線群N2である。
なお、上記飽和吸収線群N2に属する飽和吸収線として、1回目に観測される飽和吸収線は、飽和吸収線a5であり、2回目に観測される飽和吸収線は、飽和吸収線a4である。
そして、制御装置37は、出力電圧Vを減少させた結果、飽和吸収線a4を探索できたか否かを判定する(ステップST1K)。
ステップST1Kにおいて、制御装置37は、「NO」と判定した場合には、ステップST1Eのエラー処理に移行する。
そして、ステップST1Lの処理により、レーザ光L2の発振周波数は、目標とする飽和吸収線a4に合致することとなる。
ステップST1Lの後、制御装置37は、2次微分用ロックインアンプ35からの2次微分信号S2の出力値と電圧値Sth(図8(B))とを比較し、2次微分信号S2の出力値が電圧値Sth以上に安定化しているか否かを常時、監視する(ステップST1M)。
すなわち、ステップST1Mの処理では、制御装置37は、レーザ光L2の発振周波数が目標とする飽和吸収線a4に安定化しているか否かを監視している。
そして、制御装置37は、ステップST1Mにおいて、「NO」と判定した場合には、ステップST1Eのエラー処理に移行する。
図4は、飽和吸収線判定方法を説明するフローチャートである。
次に、上述したステップST1B,ST1G,ST1Jにおいて実施される飽和吸収線を認定する際の飽和吸収線判定方法について説明する。
先ず、閾値設定手段371は、以下に示すように、大小関係にある第1,第2閾値Sth1,Sth2を設定する(ステップST2A:閾値設定工程)。
なお、図5では、説明の便宜上、2次微分信号S2の出力波形として、飽和吸収線a1,a2のみを図示している。
また、図5(A)〜図5(D)は、ステップST1Bで出力値記憶部374Aに記憶された最大出力値が異なる場合での2次微分信号S2の出力波形をそれぞれ示している。
なお、図5(A)〜図5(D)において、縦軸のスケールは、同一である。
具体的に、図5(A)に示す出力波形は、ステップST1Bで出力値記憶部374Aに記憶された最大出力値(絶対値)が出力値SAの場合での出力波形である。また、図5(B)〜図5(D)に示す各出力波形は、ステップST1Bで出力値記憶部374Aに記憶された各最大出力値(絶対値)がそれぞれ出力値SB〜SDの場合での出力波形である。
なお、各出力値SA〜SDの関係は、SA>SB>SC>SDである。
そして、閾値設定手段371は、出力値記憶部374Aに記憶された最大出力値(絶対値)が比較的に大きい場合には、図5(A)に示すように、絶対値が比較的に大きい第1,第2閾値Sth1,Sth2を設定する。
また、閾値設定手段371は、出力値記憶部374Aに記憶された最大出力値が小さくなるにしたがって、図5(A)〜図5(D)に示すように、第1,第2閾値Sth1,Sth2の絶対値を小さく設定する。
さらに、閾値設定手段371は、図5(A)〜図5(D)に示すように、飽和吸収線毎に、第1,第2閾値Sth1,Sth2を異なる閾値に設定する。
なお、上記第1,第2関数は、例えば、以下に示すように得られた関数である。
先ず、励起用半導体レーザ11から放出されるレーザ光L1のレーザパワーをPAに設定する。そして、出力電圧Vを最大電圧値から最小電圧値に減少させ、当該減少させた時に光検出器27から出力される光出力信号S1の最大出力値(出力値SA)を取得する。
また、レーザ光L1のレーザパワーをPB,PC,PD(PA>PB>PC>PD)に順次、設定し、上記同様の処理を行うことで、レーザパワーがPB,PC,PDでの光出力信号S1の各最大出力値(出力値SB,SC,SD)を取得する。
次に、レーザパワーをPA〜PDに設定した場合での光出力信号S1の各最大出力値(出力値SA〜SD)と、当該各出力値SA〜SDで特定の飽和吸収線(例えば、飽和吸収線a1)についての2次微分信号S2の出力波形におけるピーク値の半値(例えば、半値Hp1A〜Hp1D(図5))と、バレー値の半値(例えば、半値Hv1A〜Hv1D(図5))を取得する。
同様に、取得した各最大出力値(例えば、出力値SA〜SD)と半値(例えば、半値Hv1A〜Hv1D)との組から最小二乗法等により近似関数を算出し、当該近似関数を上記特定の飽和吸収線(例えば、飽和吸収線a1)についての第2関数とする。
以上の方法により、全ての飽和吸収線についての第1,第2関数を算出する。
例えば、飽和吸収線a2についての第1関数は、取得した各最大出力値(例えば、出力値SA〜SD)と半値(例えば、半値Hp2A〜Hp2D)との組から最小二乗法等により算出された近似関数である。また、飽和吸収線a2についての第2関数は、取得した各最大出力値(例えば、出力値SA〜SD)と半値(例えば、半値Hv2A〜Hv2D)との組から最小二乗法等により算出された近似関数である。
そして、上記のように算出された各飽和吸収線についての第1,第2関数を飽和吸収線に関連付けて関数記憶部374Dに記憶させる。
そして、閾値設定手段371は、読み出した第1,第2関数を用いて、読み出した出力値に対応する第1,第2閾値Sth1,Sth2を算出し、当該第1,第2閾値Sth1,Sth2を第1,第2閾値記憶部374E,374Fにそれぞれ記憶する。
例えば、閾値設定手段371は、判定対象となる飽和吸収線が飽和吸収線a1で、かつ、読み出した出力値が出力値SAであった場合には、上記のように第1,第2閾値Sth1,Sth2を算出することで、第1,第2閾値Sth1,Sth2を半値Hp1A,Hv1Aに設定する。
すなわち、波形判定手段372は、2次微分用ロックインアンプ35から所定のサンプリング間隔で順次、入力した2次微分信号S2の出力値と、第1,第2閾値記憶部374E,374Fに記憶された第1,第2閾値Sth1,Sth2とを比較する。
また、波形判定手段372は、当該入力した2次微分信号S2の出力値と、当該2次微分信号S2を入力した際にアクチュエータ126に印加されていた出力電圧Vの電圧値と、上記比較結果に応じた情報とを関連付けて、第2電圧値記憶部374Cに順次、記憶させる。
そして、波形判定手段372は、第2電圧値記憶部374Cに記憶された情報に基づき、出力電圧Vが所定値V2(図6)だけ変化した際の2次微分信号S2の出力波形が、第2閾値Sth2未満から第1閾値Sth1以上となり、さらに第2閾値Sth2未満に変化する第1の挙動を示したか否かを判定する。
例えば、吸収線判定手段373は、図6に示すように、所定値V2の範囲内で、第1の挙動を示す出力波形の2次微分信号S2(各ピークP)を飽和吸収線であると認定する。
そして、吸収線判定手段373は、第2電圧値記憶部374Cに記憶された情報に基づき、第1の挙動を示す出力波形の2次微分信号S2のピーク値(2次微分信号S2の出力値)を判別し、当該ピーク値に関連付けられた出力電圧Vの電圧値を、飽和吸収線が観測された際の出力電圧Vの電圧値として第1電圧値記憶部374Bに記憶させる。
すなわち、判定対象となる飽和吸収線が変わるため、閾値設定手段371は、上述したステップST2Aと同様に、判定対象となる飽和吸収線に対応する第1,第2関数を用いて、出力値記憶部374Aに記憶された出力値に対応する第1,第2閾値Sth1,Sth2を算出し、第1,第2閾値記憶部374E,374Fに記憶された第1,第2閾値Sth1,Sth2を、当該算出した第1閾値Sth1,Sth2に更新する。
ステップST2Dの後、制御装置37は、変更された第1,第2閾値Sth1,Sth2を用いて、ステップST2Bの処理を再度、実行する。
例えば、吸収線判定手段373は、図6に示すように、所定値V2の範囲内で、第1の挙動を示さない出力波形の2次微分信号S2(ピークPN)については、飽和吸収線ではなく、ノイズが重畳された信号であると認定する。
ステップST2Eの後、制御装置37は、ステップST2Dの処理を実行することなく、ステップST2Bの処理を再度、実行する。
本実施形態では、「飽和吸収線と認められる信号としては、出力電圧Vが変化した際での2次微分信号S2の出力波形が第1の挙動を示す場合である。」点に着目し、ステップST2A〜ST2Eの処理により、飽和吸収線であるか否かを判定している。
このことにより、2次微分信号S2にノイズが重畳しているか否かを判定し、飽和吸収線を良好に認定できる。
特に、ステップST2A〜ST2Eの処理により飽和吸収線であるか否かを判定することで、ピーク群M1〜M4同士の間に限らず、同一のピーク群に属する飽和吸収線群同士の間や、同一の飽和吸収線群に属する飽和吸収線同士の間で、本来、観測されるはずのない飽和吸収線を誤って飽和吸収線であると認定することがない。
したがって、レーザ光L2の発振周波数を目標とする飽和吸収線a4に良好に合致させることができる。
先ず、所望のレーザパワーが得られている場合には、上述したステップST2B,ST2Cにより、飽和吸収線であると認定される2次微分信号S2の出力波形(第1の挙動を示す出力波形)を想定する。
そして、レーザパワーが所望のレーザパワーよりも小さくなった場合には、図5に示すように、2次微分信号S2の出力値(絶対値)も小さくなってしまうため、上述したように想定した2次微分信号S2の出力波形におけるピーク値やバレー値が第2閾値Sth2以上、第1閾値Sth1未満の範囲内の値になってしまうことが考えられる。
すなわち、上述したように想定した2次微分信号S2の出力波形が第1の挙動を示さず、飽和吸収線であるにも拘らず、飽和吸収線ではなく、2次微分信号S2にノイズが重畳していると認定されてしまう。
このため、閾値設定工程ST2A,ST2Dにより、光出力信号S1の出力値に基づいて、すなわち、レーザ周波数安定化装置1の使用に応じたレーザパワーの変化に基づいて、適切な第1,第2閾値Sth1,Sth2を設定できる。
したがって、波形判定工程ST2Bにおいて、閾値設定工程ST2A,ST2Dにて設定された第1,第2閾値Sth1,Sth2を用いることで、飽和吸収線を適切に認定できる。
すなわち、光検出器27から出力される光出力信号S1が最も安定している、光出力信号S1の最大出力値(絶対値)に基づいて第1,第2閾値Sth1,Sth2を設定することで、レーザパワーの変化を良好に認識でき、レーザパワーに応じた適切な第1,第2閾値Sth1,Sth2を設定できる。
このことにより、光出力信号S1の最大出力値(絶対値)が小さくなると2次微分信号S2の出力値(絶対値)も小さくなるので、閾値設定工程ST2A,ST2Dにて上述したように第1,第2閾値Sth1,Sth2を設定することで、上述したように想定した2次微分信号S2の出力波形も確実に第1の挙動を示す結果となる。
したがって、波形判定工程ST2Bにおいて、閾値設定工程ST2A,ST2Dにて設定された第1,第2閾値Sth1,Sth2を用いることで、飽和吸収線をより適切に認定できる。
また、閾値設定工程ST2A,ST2Dは、判定対象となる飽和吸収線毎に、第1,第2閾値Sth1,Sth2を異なる閾値に設定する。
このことにより、判定対象となる飽和吸収線毎に適切な第1,第2閾値Sth1,Sth2を設定でき、飽和吸収線をより一層適切に認定できる。
すなわち、ステップST1B,ST1G,ST1Jにおいて、出力電圧Vの変化を統一せずに、例えば、ステップST1B,ST1Gでは出力電圧Vを増加させながら飽和吸収線等を探索し、ステップST1Jでは出力電圧Vを減少させながら飽和吸収線等を探索した場合には、上記ヒステリシスの影響により、所望の飽和吸収線を探索できない恐れがある。
本実施形態では、ステップST1B,ST1G,ST1Jにおいて、出力電圧Vの変化を統一し、出力電圧Vを減少させながら飽和吸収線等を探索している。
このことにより、上記ヒステリシスの影響を受けることなく、所望の飽和吸収線を探索することができる。
前記実施形態では、閾値設定工程ST2A,ST2Dは、出力値記憶部374Aに記憶された出力値、及び判定対象となる飽和吸収線毎に、第1,第2閾値Sth1,Sth2の双方を異なる閾値に設定していたが、これに限らない。
例えば、第1,第2閾値Sth1,Sth2のいずれか一方の閾値を一律に設定し、他方の閾値を、出力値記憶部374Aに記憶された出力値、及び判定対象となる飽和吸収線毎に異なる閾値に設定しても構わない。
また、例えば、出力値記憶部374Aに記憶された出力値が変化した場合に第1,第2閾値Sth1,Sth2を変更し、判定対象となる飽和吸収線が変わっても同一の第1,第2閾値Sth1,Sth2を設定するように構成しても構わない。
前記実施形態では、ステップST1B,ST1G,ST1Jにおいて、出力電圧Vを減少させながら飽和吸収線等を探索していたが、出力電圧Vの変化を統一していれば、これに限らず、出力電圧Vを増加させながら飽和吸収線等を探索しても構わない。
25・・・ヨウ素セル(吸収セル)
27・・・光検出器(変換装置)
35・・・2次微分用ロックインアンプ(生成装置)
37・・・制御装置
126・・・アクチュエータ
371・・・閾値設定手段
372・・・波形判定手段
373・・・吸収線判定手段
ST2A,ST2D・・・閾値設定工程
ST2B・・・波形判定工程
ST2C,ST2E・・・吸収線判定工程
Claims (4)
- レーザ光を吸収セルに照射して得られる光出力信号に含まれる飽和吸収線に基づき共振器長を変化させて前記レーザ光の発振周波数を特定の前記飽和吸収線に安定化させるレーザ周波数安定化装置の飽和吸収線判定方法であって、
前記光出力信号の出力値に基づいて、大小関係にある第1閾値及び第2閾値を設定する閾値設定工程と、
前記光出力信号の2次微分信号の出力値と前記第1閾値及び前記第2閾値とを比較し、前記共振器長が変化した際での前記2次微分信号の出力波形が、前記第2閾値未満から前記第1閾値以上となり、さらに前記第2閾値未満に変化する挙動を示したか否かを判定する波形判定工程と、
前記波形判定工程の判定結果に基づいて、前記飽和吸収線であるか否かを判定する吸収線判定工程とを備える
ことを特徴とする飽和吸収線判定方法。 - 請求項1に記載の飽和吸収線判定方法において、
前記閾値設定工程は、
前記光出力信号の出力値の絶対値が小さくなるにしたがって、前記第1閾値及び前記第2閾値の少なくともいずれか一方の絶対値を小さく設定する
ことを特徴とする飽和吸収線判定方法。 - 請求項1または請求項2に記載の飽和吸収線判定方法において、
前記閾値設定工程は、
判定対象となる飽和吸収線毎に、前記第1閾値及び前記第2閾値の少なくともいずれか一方を異なる閾値に設定する
ことを特徴とする飽和吸収線判定方法。 - レーザ光を吸収セルに照射して得られる光出力信号に含まれる飽和吸収線に基づき共振器長を変化させて前記レーザ光の発振周波数を特定の前記飽和吸収線に安定化させるレーザ周波数安定化装置であって、
前記吸収セルを介したレーザ光を前記光出力信号に変換する変換装置と、
前記変換装置にて変換された前記光出力信号の2次微分信号を生成する生成装置と、
前記共振器長を変化させるアクチュエータと、
前記アクチュエータの動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記変換装置から出力される前記光出力信号の出力値に基づいて、大小関係にある第1閾値及び第2閾値を設定する閾値設定手段と、
前記2次微分信号の出力値と前記第1閾値及び前記第2閾値とを比較し、前記共振器長が変化した際での前記2次微分信号の出力波形が、前記第2閾値未満から前記第1閾値以上となり、さらに前記第2閾値未満に変化する挙動を示したか否かを判定する波形判定手段と、
前記波形判定手段の判定結果に基づいて、前記飽和吸収線であるか否かを判定する吸収線判定手段とを備える
ことを特徴とするレーザ周波数安定化装置。
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