JP7376106B2 - 歯科用ユニットの給水配管内の水を殺菌するための装置及び方法 - Google Patents

歯科用ユニットの給水配管内の水を殺菌するための装置及び方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7376106B2
JP7376106B2 JP2020522630A JP2020522630A JP7376106B2 JP 7376106 B2 JP7376106 B2 JP 7376106B2 JP 2020522630 A JP2020522630 A JP 2020522630A JP 2020522630 A JP2020522630 A JP 2020522630A JP 7376106 B2 JP7376106 B2 JP 7376106B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
water supply
supply pipe
heating device
dental unit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020522630A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2019230952A1 (ja
Inventor
宏 江草
信博 高橋
将博 山田
純平 鷲尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku University NUC
Original Assignee
Tohoku University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tohoku University NUC filed Critical Tohoku University NUC
Publication of JPWO2019230952A1 publication Critical patent/JPWO2019230952A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7376106B2 publication Critical patent/JP7376106B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61CDENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
    • A61C19/00Dental auxiliary appliances
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C02TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02FTREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02F1/00Treatment of water, waste water, or sewage
    • C02F1/02Treatment of water, waste water, or sewage by heating

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • Water Supply & Treatment (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Hydrology & Water Resources (AREA)
  • Environmental & Geological Engineering (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Dental Tools And Instruments Or Auxiliary Dental Instruments (AREA)
  • Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)

Description

本発明は、歯科用ユニットの給水配管内の水を殺菌するための装置及び方法に関する。
昨今、歯を削る機器(エアータービン、マイクロモーター、超音波スケーラー)等の歯科用インスツルメントと患者が着座又は横になって診療を受ける診療台(チェア)とを備えた歯科用ユニットにおいて、内部に滞留する水の微生物汚染が大きな問題として注目されている。この微生物汚染が生じる原因の一つとして、歯科用ユニットの内部に多く利用されている細長い管の内部に水が滞留し易いことや、細菌の集合により形成されるバイオフィルムが付着しやすいことが考えられている。
この問題を解決する従来技術として、自動的に歯科用ユニット水の残留塩素濃度を補正する中性電解水生成装置(例えば特許文献1参照)が利用されているものの高価であり、細菌現存量をより正確に把握する指標として近年注目されている従属栄養細菌数の減少に効果があるかが不明である。
なお、医療現場で利用される水の従属栄養細菌数を減少させる手段として、例えば熱水消毒後の人工透析液製造装置ラインの温度管理を50℃に設定すること(非特許文献1)や、手術室における手洗い水場の配管内や循環系統を65℃の熱水で処理すること(非特許文献2)が提案されている。また、非特許文献3には、歯科用ユニットから採取し、3.9×104 CFU/mlの従属栄養細菌が検出されたユニット水を80℃に加熱し、熱消毒を行ったところ、1分間で全ての菌が殺菌されたことが記載されている。
特開2009-118892
北海道科学大学研究紀要, 41, 185-191(2016) 医学検査, 65(4), 447-452(2016) 科学研究費補助金研究成果報告書 ウイルス肝炎患者および易感染性患者の歯科治療における院内対策に関する研究 平成21年5月8日
ところで、発明者らは一般歯科用ユニット内の給水配管内に滞留する水(つまり給水配管から排出される水でもある)の従属栄養細菌数に関して、水の滞留箇所(つまり給水配管からの排出箇所でもある)が水道栓から離れるほど増加する傾向にあることを報告している(厚生労働科学研究費補助金 地域医療基盤開発推進研究事業 平成28年度総括研究報告書歯科ユニット給水システム純水化装置の開発に関する研究)。しかしながら、特許文献1ではこの問題を取り扱っていない。
我が国では、歯科用ユニットを初めとする装置の給水配管における水の厳密な水質管理目標設定値は無いが、歯科用ユニット内部を通って供給される水の汚染への対応は喫緊の課題である。歯科用ユニットにおける水道栓から離れた箇所でも厳密な水質管理目標設定値を満たす水を供給できれば、科学的な根拠をもって微生物学的に安全な水質の水を歯科医療に提供することができるため、安全衛生管理上有益である。
本発明の課題は、装置の水道栓から離れた箇所でも、従属栄養細菌数が減少された水を簡便かつ安価に供給できる給水配管内の水を殺菌するための装置及び方法を提供することにある。
本発明者らは、歯科用ユニットの給水配管にヒーターを取り付け、該ヒータにより55~75℃程度の中等度の温度に加熱した給水を用いることで、歯科用ユニットにおける水道栓からの距離が離れた箇所でも水の微生物汚染の原因となる従属栄養細菌の増殖を抑制できることに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の項に記載の主題を包含する。
項1.給水配管と、前記給水配管に取り付けられた、給水配管内の水を殺菌するための加温装置とを備え、前記加温装置は、前記加温装置より下流の給水配管内の水の従属栄養細菌数を2000 CFU/mL以下にすることを特徴とする装置。
項2.前記加温装置は前記給水配管内の水を収容可能なケーシングと、前記ケーシング内に設けられたヒータとを備え、前記ケーシング内の水を50℃以上に加熱することを特徴とする項1に記載の装置。
項3.前記加温装置より下流の給水配管内の水の遊離残留塩素濃度を0.1 mg/L以上にすることを特徴とする項1に記載の装置。
項4.前記装置は、アシスタントユニットとドクターユニットとを備えた歯科用ユニットであり、前記給水配管はアシスタントユニットに至る給水配管と、ドクターユニットに至る給水配管とに分岐しており、前記加温装置は該分岐部又はその上流に設けられている項1~3のいずれかに記載の装置。
項5.前記ドクターユニットは前記給水配管と流体連通するインスツルメントを備え、前記インスツルメントから排出される水の従属栄養細菌数を2000 CFU/mL以下にすることを特徴とする項4に記載の装置。
項6.前記加熱装置による60~70℃での10分間の加熱の2分後に前記インスツルメントから排出される水の温度が15~35℃である項5のいずれかに記載の装置。
項7.装置の給水配管内の水の殺菌方法であって、前記給水配管に取り付けられた、前記給水配管内の水を加熱殺菌するための加温装置を用いて、前記加温装置より下流の給水配管内の水の従属栄養細菌数を2000 CFU/mL以下にすることを特徴とする殺菌方法。
本発明の殺菌装置及び方法によれば、装置の水道栓から離れた箇所の従属栄養細菌数を簡便かつ安価に減少させることができる。本発明の殺菌装置及び方法によれば、給水配管内の水の殺菌のための薬剤の使用頻度又は量を低減させることもでき、安全性に優れている。本発明は、既存の歯科用ユニットに安価かつ安全に組み込むことができ、実用性に優れている。
歯科用ユニットの例の略平面図。 加温装置の例の略断面図。 歯科用ユニット内の給水配管と、採水箇所を示す説明図。 好気及び嫌気環境下での従属栄養細菌及び一般細菌の培養結果を示す写真。 残留水排出による一般歯科用ユニット中の従属栄養細菌の変化を示すグラフ。ハンド:ハンドピース水。含漱:含漱用水。 残留水排出による一般歯科用ユニット中の遊離残留塩素濃度の変化を示すグラフ。ハンド:ハンドピース水。含漱:含漱用水。 一般歯科用ユニット配管各箇所における従属栄養細菌数(CFU/mL)を示すグラフ。(A)水道栓(P1)から術者テーブル内部(P6)までのグラフ。(B)ハンドピース(P7)のグラフ。 一般歯科用ユニット配管各箇所における遊離残留塩素濃度(mg/L)を示すグラフ。 薬物洗浄機能付き歯科用ユニットのハンドピース排水中の従属栄養細菌数(CFU/mL)を示すグラフ。 薬物洗浄機能付き歯科用ユニットのハンドピース排出水中の遊離残留塩素濃度(mg/L)を示すグラフ。 一般歯科用ユニットの給水配管内の水の加熱による、ハンドピース排出水に存在する従属栄養細菌に対する影響を示すグラフ。各加温温度において、左側の棒グラフはユニット1、中央の棒グラフはユニット2、右側の棒グラフはユニット3のデータである。グラフ中の矢印は従属栄養細菌数の目標値(2000 CFU/mL)以下の細菌数を含む試料を示す。 一般歯科用ユニットの給水配管内の水の加熱による、ハンドピース排出水の温度と該排出水中の従属栄養細菌とに対する影響を示すグラフ。グラフ中の#は従属栄養細菌数の目標値(2000 CFU/mL)以下の細菌数を含む試料を示す。 一般歯科用ユニットの給水配管内の水の加熱による、ハンドピース排出水の温度と該排出水中の遊離残留塩素濃度とに対する影響を示すグラフ。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
本明細書において、一般細菌とは、血液寒天培地を用いて、36℃±1℃、7日間という条件下で培養したときに培地に集落を形成する好気性細菌、通性嫌気性細菌、及び偏性嫌気性菌の総称である。
従属栄養細菌とは、低濃度の有機栄養物を含む培地を用いて低温で長時間培養したときに培地に集落を形成するすべての菌を指し、具体的にはR2A寒天培地を用いて20℃で7日間培養したときに集落を形成する細菌の総称である。
図1は、一実施形態に係る歯科用ユニット1の略平面図である。
歯科用ユニット1は、患者用椅子10、歯科用照明(非図示)、患者用椅子10の一方の側面で接続されたスピットン装置15、アーム22を介してスピットン装置15に接続されたアシスタントユニット20、及び患者用椅子10の他方の側面で接続されたドクターユニット30を備えている。
患者用椅子10の下方には基台2が配置されており、該患者用椅子10を支持する。基台2内には、各種制御機器が内包されている。該制御機器としては、例えば、患者用椅子10の昇降、傾倒起立等させるための油圧回路、及び該油圧回路を制御する油圧制御手段等が挙げられる。基台2における患者用椅子10の背面側にはフットスイッチ(非図示)が設けられており、歯科医、歯科助手等の施術者はこのフットスイッチ又はドクターユニット30の操作パネル(非図示)を操作して油圧制御手段に対して指令を送り、油圧回路を制御して患者用椅子10の昇降、傾倒起立等させることが可能である。
患者用椅子10は、ヘッドレスト11、背もたれ12、座部13、及びレッグレスト14を備えている。
スピットン装置15は、給水ノズル16、患者が口腔内を洗浄して吐き出した後の水を受けるためのボウル形又は鉢状のスピットン17、給水ノズル16へ水を供給する配管(非図示)及びスピットン17の底面の排出孔17aを通って流れる水を排出する配管(非図示)を収容する給排水ボックス18を備えている。
アシスタントユニット20は、作業台としての補佐テーブル21、補佐テーブル21と連結され、補佐テーブル21を回動可能なアーム22を備え、アーム22の基端部はスピットン装置15に軸支されている。
アシスタントユニット20には各種インスツルメント23を載置又は懸架することができ、そのようなインスツルメント23としては、例えばバキューム、排唾管、シリンジ等のハンドピースを挙げることができる。
ドクターユニット30は、作業台としての術者テーブル31及び操作パネル32を備えている。ドクターユニット30には各種インスツルメント33を懸架することができ、そのようなインスツルメント33としては施術者が施術の際に使用するハンドピースである、エアータービン、マイクロモーター、超音波スケーラー、シリンジスリーウェイシリンジ等が挙げられる。インスツルメント33の一部は電気回路、水回路、エア回路等と連結されている。操作パネル32は、各種インスツルメント33を動作させるためのスイッチ(非図示)を備えており、例えば、患者用椅子10を上下動、傾倒起立させるスイッチ、インスツルメント33から施術用の水を給水し、給水を停止するスイッチ等が挙げられる。施術者が各種スイッチを操作することにより、非図示の駆動回路及び制御回路を介して、対応する各種インスツルメント33を適宜動作させることが可能である。
図1に示すように、本実施形態の歯科用ユニット1は、歯科用ユニット1の給水配管内の水を殺菌するための加温装置40を備えている。加温装置40は歯科用ユニット1の給水配管に取り付けられ、給水配管内の水を加熱殺菌するよう機能する。加温装置40はスピットン装置15の給排水ボックス18内に収容可能であり、患者の施術時には視認されないようにすることができる。
図2は加温装置40の構造をより詳細に示した図である。加温装置40は、給水配管61内の水を収容可能な略筒形(特には略円筒形)のケーシング41と、ケーシング41の内部空間42に設けられたヒータ46と、ヒータ46の電源の入/切を切り替えるサーモスイッチ47とを備えている。給水配管61は給水配管60(図3参照)のうち、水道栓4から内部分岐P3までの部分を指す。ケーシング41は側方部材43と、側方部材43の両端に接続された末端部材44及び基端部材45からなる。ヒータ46は末端部材44に取り付けられ、サーモスイッチ47は基端部材45に取り付けられている。基端部材45は歯科用ユニット1の給水配管61と流体連通する孔45a,45bを備え、一方の孔45aが給水配管61からケーシング41の内部空間42内へ流入される水(すなわち加温装置より上流の給水配管内の水)の流入口として作用し、もう一方の孔45bはケーシング41の内部空間42から給水配管61へ流出される水(すなわち加温装置より下流の給水配管内の水)の流出口として作用する。ケーシング41により区画形成された内部空間42は給水配管61と流体連通しているため、ケーシング41及び内部空間42も歯科用ユニット1の給水配管を構成する。
サーモスイッチ47は加温装置40の表面の温度を感知し、加温装置40内の水温の低下により加温装置40の表面の温度が下がり、ある一定温度(第1温度)に達すると、サーモスイッチ47はヒータ46への電源供給を開始し、加温装置40内の水温の上昇により加温装置40の表面の温度が上がりある温度(第2温度)に達すると、サーモスイッチ47はヒータ46への電源供給を停止する。このようなサーモスイッチによる制御は周知技術である。
厚生労働省が示す水質基準に関する省令の一部改正で水質管理目標設定項目として追加された健水発第1115002号の目標値として「1mlの検水で、R2A寒天培地法にて20±1℃で7日間培養した後に形成される集落数として2000 CFU/mL以下」が定められている。
加温装置40より下流の給水配管60内の各箇所における水の従属栄養細菌数が2000 CFU/mL以下という基準を満たすためには、加温装置40内の水を55℃以上に加熱することが好ましく、60℃以上に加熱することが好ましく、65℃以上に加熱することがさらに好ましい。特に、水道栓からの距離が長い、ハンドピースを初めとするインスツルメント33から排出される水でも従属栄養細菌数の上記値を満たすために、55℃以上に加熱することが好ましく、60℃以上に加熱することがより好ましく、65℃以上に加熱することがさらに好ましい。また、加熱された水の温度が高すぎると、歯科用ユニット1の部品への負担及び施術者への使用に適さないことから、100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましく、75℃以下であることが特に好ましい。加温装置40内の水を55℃~75℃の中等度の温度に加熱することが好ましく、60℃~70℃に加熱することがより好ましい。このため、例えば、上記第1温度を約60℃前後、上記第2温度を約80℃、好ましくは上記第2温度を約70℃に設定することが好ましい。
加温装置40による水の加熱時間は特に限定されないが、短時間の方が後の施術の迅速さ及びコストの点で好ましい。加温装置40による水の加熱時間は、好ましくは5秒以上、より好ましくは30秒以上、さらに好ましくは1分以上、さらにより好ましくは2分以上である。加熱時間の上限は例えば60分以下とする。
また、加温装置40による加熱後に、ハンドピースを初めとするインスツルメント33から排出される水の温度は、そのまま患者の施術に使用できるよう、15~42℃であることが好ましく、15~35℃であることがより好ましく、18~35℃であることがさらに好ましい。
さらに、前記加熱装置による60~70℃での10分間の加熱の2分後に前記インスツルメントから排出される水の温度が、15~42℃であることが好ましく、15~35℃であることがより好ましく、18~35℃であることがさらに好ましい。特に、前記加熱装置による60~65℃での10分間の加熱の2分後に前記インスツルメントから排出される水の温度が、15~42℃であることが好ましく、15~35℃であることが好ましく、18~35℃であることがより好ましい。
さらに、前記加熱装置による60~70℃での10分間の加熱後の0~2分間の間に前記インスツルメントから排出される水の温度が、15~42℃であることが好ましく、15~35℃であることがより好ましく、18~35℃であることがさらに好ましい。特に、前記加熱装置による60~65℃での10分間の加熱後の0~2分間の間に前記インスツルメントから排出される水の温度が、15~42℃であることが好ましく、15~35℃であることが好ましく、18~35℃であることがより好ましい。
また、前記加熱装置により、加温装置40内の水を55℃~75℃、より好ましくは60℃~70℃、さらに好ましくは60~65℃の温度に30秒以上、より好ましくは1分以上、さらにより好ましくは2分以上加熱し、加熱2分後に前記インスツルメントから排出される水の温度が、15~42℃であることが好ましく、15~35℃であることがより好ましく、18~35℃であることがさらに好ましい。
さらに、前記加熱装置により、加温装置40内の水を55℃~75℃、より好ましくは60℃~70℃、さらに好ましくは60~65℃の温度に30秒以上、より好ましくは1分以上、さらにより好ましくは2分以上加熱し、加熱後の0~2分間の間に前記インスツルメントから排出される水の温度が、15~42℃であることが好ましく、15~35℃であることがより好ましく、18~35℃であることがさらに好ましい。
厚生労働省が示す水道水質基準(水道法施行規則第17条3号)によれば、水道水の遊離残留塩素濃度の基準値が0.1 mg/L以上と定められている。
給水配管60内の各箇所における水の遊離残留塩素濃度は0.1 mg/L以上であることが好ましく、特に、水道栓からの距離が長い、ハンドピースを初めとするインスツルメント33から排出される水でも遊離残留塩素濃度の上記値を満たすために、加温装置40内の水を45℃以上に加熱することが好ましく、好ましい加熱温度及び加熱時間は、従属栄養細菌数の基準を満たすために上述した通りである。
次に、歯科用ユニット1の給水配管60について説明する。
図3に示すように、本実施形態の歯科用ユニット1の給水配管60は水道栓4に接続されており、スピットン装置15の給排水ボックス18(図1参照)の内部を通り、分岐する。本実施形態では、給水配管60は、水道栓4から内部分岐P3までの部分である給水配管61と、内部分岐P3から給水ノズル16までの部分である給水配管62と、内部分岐P3からアーム22を介して補佐テーブル21に至る給水配管63と、内部分岐P3からドクターユニット30の術者テーブル31に至る給水配管64とを備えている。歯科医、歯科助手等の施術者は、補佐テーブル21の給水配管63に取り付けたインスツルメント23、及び/又は術者テーブル31の給水配管64に取り付けたインスツルメント33を用いて、給水配管60(61,63,64)からインスツルメント23,33へ排出される水を用いて施術を行う。
後述するように、給水配管60において水道栓からの距離が離れるほど(採水箇所P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7の順に遠い)、給水配管60内に滞留する水の従属栄養細菌数は増加し、遊離残留塩素濃度は低下する傾向がある。このため、特に、水道栓からの距離が離れるほど、給水配管60内に滞留する水は2000 CFU/mL以下の従属栄養細菌数の管理目標値に適合しない場合がある。また、0.1 mg/L以上の遊離残留塩素濃度の水道水基準も満たさない場合もある。特に、スピットン装置15から排出される含嗽水や、水道栓から最も遠いドクターユニット30のインスツルメント33(図ではハンドピースとして例示)から排出される水では、従属栄養細菌数と遊離残留塩素濃度の上記の目標値および基準値をいずれも満たさない場合がある。
本実施形態の歯科用ユニット1によれば、スピットン装置15内に収容された加温装置40により給水配管60内の水を55℃~75℃の中等度の温度に加熱することができるため、給水配管62を経て排出される含嗽水や、給水配管63,64を経て排出されるハンドピース排出水を初めとする歯科用ユニットから排出される水における従属栄養細菌数の水質管理目標値及び遊離残留塩素濃度の水質基準をいずれも満たす水を簡便かつ迅速に供給することができる。また、水の加熱に必ずしも薬剤を用いなくても済むため、安全性及び費用の点でも優れている。
本発明は、給水配管内の水を加熱殺菌するための上記加温装置40、加温装置40を備えた歯科用ユニット1、及び加温装置40を用いた歯科用ユニット1の給水配管内の水の殺菌方法も包含する。
上記実施形態は以下の効果を有する。
・本実施形態の歯科用ユニット1によれば、加温装置40により給水配管60内の水を加熱するだけで、加温装置40よりも下流の、水道栓から離れた箇所に従属栄養細菌数の水質管理目標値及び遊離残留塩素濃度の水質基準をいずれも満たす水を供給できるため、簡便性かつ迅速性に優れている。
・従来技術は、歯科用ユニットの水路系に添加する消毒液の残留液が及ぼす生体への影響や、費用対効果などが課題であるところ、本実施形態の歯科用ユニットによれば、水温を中等度に上げるだけで従属栄養細菌が殺菌できるため、安全性は高く、安価で効果的なアプローチである。また、消毒液使用による歯科用ユニットの機器の腐食の可能性も排除又は低減することができる。
・消毒液の頻繁な購入、使用が不要となる。少なくとも消毒液の使用頻度又は使用量を低減させることができる。
・本実施形態の歯科用ユニット1では、加温装置40を内部分岐P3よりも上流の位置に設けているため、加温装置40を一か所に設けるだけで済み、内部分岐P3から分岐する給水配管60のすべての箇所に効率的に従属栄養細菌数の水質管理目標値及び遊離残留塩素濃度の水質基準をいずれも満たす水を供給することができる。
・本実施形態の歯科用ユニット1では、加温装置40を内部分岐P3よりも上流の位置に設けているため、施術者がインスツルメント23,33を使用する時には加温された水の温度は患者に刺激を与えない程度の温度に冷めており、施術にそのまま使用することができる。
・本実施形態は、既存の歯科用ユニットの給水配管に加温装置40を設置することもできるため、現在使用されているすべての歯科用ユニットに安価かつ安全に組み込むことができ、汎用性、実用性に優れている。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形が可能である。
・加温装置40の構成は図2に示したものに限定されず、公知のヒータを含む、給水配管60内の水を加熱可能な別の構成ヒータを用いてもよい。
・本発明によれば、従属栄養細菌数が2000 CFU/mL以下に抑制されておればよく、遊離残留塩素濃度0.1 mg/L以上の水質基準は必ずしも満たされなくてもよい。
・加温装置40の取り付け位置は水道栓4と内部分岐P3の間の配管61の位置に限定されず、従属栄養細菌数の水質管理目標値を満たす限り、歯科ユニット1内の給水配管60の任意の箇所に取り付けることができる。例えば、加温装置40は、水道栓4とスピットン装置15の間に設けてもよいし、内部分岐P3に設けてもよいし、内部分岐P3より下流の、アシスタントユニット20又はドクターユニット30等に設けてもよい。設置箇所が一か所で済み、施術者がインスツルメント23,33を使用する時には加温された水の温度が患者に刺激を与えない程度の温度に冷めているという点では、加温装置40は内部分岐P3又はその上流に設けられることが好ましい。
・本発明は、歯科用ユニット1に限定されず、家庭用浄水装置の給水配管や、貯水タンクの給水配管等、給水配管を備えた任意の他の装置にも適用することができる。これにより、水質汚染が危惧される敷地、地域、海外でも本発明の装置を使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
1.歯科用ユニットからの水試料の採取
一般歯科用ユニットとして、東北大学病院内で2009年12月より稼働しているGC社レフィーノ3台(製造番号00036、00041及び00042)と2012年9月より稼働しているGC社イオム レガロ2台(製造番号00672及び00672)を対象とした。また、薬物洗浄機能付き歯科用ユニットとして、2015年5月もしくは2016年3月より稼働しているモリタ スペースラインスピリットV PdWトレーシステム3台(製造番号CH1006、EB1503及びZC1001)を対象とした。
一般歯科用ユニットは使用前に日本歯科医学会監修 院内感染対策実践マニュアルにあるガイドラインに従い、図1及び図2の符号を用いて説明すると、スピットン装置での使用のために、スピットン装置15の給水ノズル16(P4)から排出される含漱用水(以下、「含漱水」と称する)では紙コップ8杯分、ハンドピースでの使用のために、ハンドピース(P7)から排出される水(以下、「ハンドピース水」と称する)では30秒間の最大運転によるフラッシング(残留水排出)を行い、水質管理を施した。また、薬物洗浄機能付き歯科用ユニットでは、毎週末に、0.1%過酸化水素水をチェア給水管路内部に約2日間滞留させ、毎朝使用前に、専用フラッシングタンクにハンドピース等全ての経路を接続し、水道水を豊富な水流量で7分間循環させ、残留水を排出させた。
一般歯科用ユニットおよび薬物洗浄機能付き歯科用ユニットについて、それぞれ残留水排出前後の患者用の含漱用水及びハンドピース水25 mLの各々を滅菌ポリエチレンチューブに10 mLと15 mLとに分けて採水した。先の10 mLは細菌検査に、後の15 mLは遊離残留塩素濃度測定に使用した。
また、一般歯科用ユニットGC社レフィーノ2台(製造番号00036及び00041)の給水配管パーツを取り外し、(1)水道栓(採水箇所P1)、(2)水道栓からユニット配管に入った直後(採水箇所P2)、(3)内部分岐点(採水箇所P3)、(4)スピットン装置の給水ノズル(P4)、(5)補佐用テーブル内部(採水箇所P5)及び(6)術者用テーブル内部(採水箇所P6)の各ポイントから同様に25 mLを滅菌ポリエチレンチューブに10 mLと15 mLとに分けて採水した(図3)。
2.従属栄養細菌及び一般細菌の培養・観察方法
上記1.の各水試料は、0.22μmのフィルタ(Millex-GP SLGP033RS,メルクミリポア社製)にて滅菌したmilliQ水を用いて10倍及び100倍に希釈した。
一連の実験を開始する前に、培養条件検討のための予備実験として、ハンドピース部より採取した残留水試料中の従属栄養細菌及び一般細菌を、好気及び嫌気環境下で培養した。好気培養は以下に記した従属栄養細菌及び一般細菌検出法と同様に行った。嫌気培養は、テーハー式アナエロボックス(ANB-18-2E、ヒラサワ製)を用いた高度嫌気環境(80% N2, 10% CO2, 10% H2)下で行った。
従属栄養細菌の培養では、R2A寒天培地(251258, 日本BD)に原液及び希釈した試料を100μLずつ播種し、クールインキュベータ(CN-25C-1, 三菱電機エンジニアリング社製)を用いて20℃、7日間培養後、各寒天培地上のコロニー数を目視にてカウントし、各試料中の細菌数(CFU/mL)を算定した。
また、一般細菌検出のための培養では、CDC羊血液寒天培地(251733, 日本BD)に原液試料を100μL播種し、インキュベータ(CI-410, アドバンテック社製)を用いて37℃、7日間培養後、同様に細菌数(CFU/mL)を算定した。
従属栄養細菌では、水質基準に関する省令の一部改正で水質管理目標設定項目として追加され、健水発第1115002号で当面の目標値として設定された「1mlの検水で、R2A寒天培地法にて20℃で7日間培養した後に形成される集落数として2000 CFU/mL以下」を基に合否を判定した。
3.遊離残留塩素濃度の測定
遊離残留塩素濃度の測定はジエチルパラフェニレンジアミン試薬(遊離残留塩素測定用試薬DPDプラス、株式会社オーヤラックス、Cat. # OYWT-11-03)及び吸光光度法による残留塩素測定器(Photometer CL、株式会社オーヤラックス、Cat. # OYWT-31)を用いて、添付の取り扱い説明書に沿って行った。15 mLの水サンプルの内10mLを試料セル内に分取し、ゼロ校正を行った後、粉末試薬1包を溶解した。測定器のセル挿入部にセットし、約30秒間静置後測定を行った。ゼロ校正ならびに超純水による試料セルの洗浄を試料ごとに行った。厚生労働省が示す水道水質基準(水道法施行規則第17条3号)の基準値(0.1 mg/L以上)をもとに合否を判定した。
4.ハンドピース残留水中の従属栄養細菌に対する加温効果の検証方法(in vitro)
一般歯科用ユニットGC社レフィーノ3台(製造番号00036、00041及び00042)よりフラッシング(残留水排出)を行わずに採取した、前日からハンドピース内に残留していたハンドピース水試料をin vitroで加熱した際の、試料中の従属栄養細菌に対する殺菌効果を検証するため、以下のように試料を処理した。
残留水試料を、それぞれ15mlの滅菌コニカルチューブに5ml分注した。アルミブロックを搭載した小型ドライインキュベータ(BSR-M002, Bio Medical Science社製)に、上記1.の水試料を入れたコニカルチューブと、水道水を同量入れた同コニカルチューブをセット後、加温を開始した。水道水を入れたコニカルチューブには水銀温度計をセットし、この温度計の温度が30、35、40、45、50、55、60℃に達した時点で、各試料の入ったコニカルチューブから速やかに300μLの水試料を滅菌フィンピペットにて採取し、滅菌チューブ(アシストチューブ 72.693.100S, ザルスタット株式会社)に移して播種まで氷冷にて保管した。
5.一般歯科用ユニットの給水配管への中等度加温効果の検証方法
一般歯科用ユニットGC社イオム レガロ2台(製造番号00672及び00672)の給水配管のスピットン装置(15)の給排水ボックス(18)内の内部分岐P3の直前(図3に矢印で示した位置)(図3参照)に図2に示す構造を有する中等度加温装置を設置した。この加温装置は、歯科用ユニットの加温装置40内の温度を9分間で23℃から65℃まで加温することができる。加温装置のケーシングの容量は180ml、加温装置の電圧はAC24V、電力は52.8W、電力密度は2.5W/cm2、最大温度(ヒータ吐出口における最大水温)は約65℃であった。
加温装置の作動前にフラッシング(残留水排出)を行わずに前日からハンドピース内に残留していたハンドピース水25mLを滅菌ポリエチレンチューブに10 mLと15 mLに分けて採水した。その後、加温装置を作動させ、10分間加温した。その後、ハンドピースの最大出力での運転を開始し、ハンドピース運転30秒後、1分間後及び2分間後それぞれで25mLを同様の方法で採水した。各採水時に、デジタル温度計(CT-05SD, CUSTOM社製)を用いて検温した。加温装置は実験が終了するまで作動させ続けた。
6.結果
(1)培養条件の検討:好気及び嫌気環境下での従属栄養細菌及び一般細菌の培養結果
図4に示すように、一連の実験の開始前の予備実験として、ハンドピースより採取した残留水試料中の従属栄養細菌及び一般細菌を、好気及び嫌気環境下で培養したところ、従属栄養細菌は好気環境のみでコロニーが観察され、嫌気では非検出となった。また、一般細菌はどちらの条件でも非検出となった。そのため、それ以後の実験では、好気培養で検出された従属栄養細菌数を研究対象とした。
(2)残留水排出による一般歯科用ユニット水中の従属栄養細菌数の変化
図5に示すように、残留水排出後のハンドピース水及び含漱用水中の従属栄養細菌数は、排出前と比較し、ハンドピース水で約94%、含漱用水で98%、有意に減少した。(P <0.01, paired t-test)。また、含漱用水では残留水排出後の細菌数が目標値である2000 CFU/mLを下回ったが、ハンドピース水では残留水排出後でも目標値の5倍近い細菌数が検出された。
(3)残留水排出による一般歯科用ユニット水中の遊離残留塩素濃度の変化
図6に示すように、含漱用水の遊離残留塩素濃度は、残留水排出前では水道法の基準値(0.1mg/L)よりも低かったが、残留水排出後に0.2mg/L以上となり基準値を大きく上回った(P<0.01,paired t-test)。一方、ハンドピース水の遊離残留塩素濃度は残留水排出の有無にかかわらず、0.05mg/L程度であり、基準値を上回ることはなかった。
(4)歯科用ユニットの給水配管各部の従属栄養細菌数
図7に示すように、ユニット内の各ポイントから水試料を採取し、各々の従属栄養細菌数を比較したところ、水道栓(P1)及び水道栓からユニット配管に入った直後(P2)の試料中では、従属栄養細菌はほとんど検出されなかったのに対し、内部分岐部(P3)、スピットン装置の給水ノズル(P4)、及び補佐用テーブル内(P5)の配管から採取した試料では、目標値である2000 CFU/mL内に収まったものの、その検出数は徐々に増加した。さらに、術者用テーブル内(P6)では2000 CFU/mL前後の検出数となり、より細い配管で繋げられたハンドピース先端からの試料(P7)では、その検出数が一気に150000 CFU/mLへと増加した。これらの結果は、元栓からの距離に応じて、従属栄養細菌数が増加する傾向を示しており、元栓から遠いユニット内配管中では水中に含まれる従属栄養細菌が滞り、バイオフィルムなどの細菌供給源を形成している可能性が示唆された。
(5)歯科用ユニットの給水配管各部の遊離残留塩素濃度
図8に示すように、水道栓(P1)及び水道栓からユニット配管に入った直後(P2)の遊離残留塩素濃度は、0.3 mg/L以上であり、水道法の基準値(0.1 mg/L)を大きく超えていた。一般歯科用ユニット内部に進むにつれ遊離残留塩素濃度は下がるが、内部分岐部(P3)や補佐用テーブル内部(P5)では未だ基準値以上であった。しかし、スピットン装置の給水ノズル(P4)、術者用テーブル内部(P6)及びハンドピース先端からの試料(P7)では基準値を下回った。水道栓から遠い箇所ほど、遊離残留塩素濃度は低くなる傾向を示した。
(6)薬物洗浄機能付き歯科用ユニットのハンドピース水中の従属栄養細菌数
図9に示すように、参考例として、薬物洗浄機能付き歯科用ユニットハンドピースより採取した水試料では、残留水排出前でも、従属栄養細菌数が非常に少なく、目標値をクリアしていた。残留水の排出後はさらにその数が減少した。日頃より過酸化水素水が流路を循環することで、流路内の従属栄養細菌が殺菌されていることが示唆された。
(7)薬物洗浄機能付き歯科用ユニットのハンドピース水中の遊離残留塩素濃度
図10に示すように、参考例として、残留水排出前の薬物洗浄機能付き歯科用ユニットハンドピースより採取した水試料中の遊離残留塩素濃度は水道法基準値未満であった。残留水排出により、遊離残留塩素濃度は増加傾向にあったが、必ずしも基準値以上にならなかった。このように、遊離残留塩素濃度が必ずしも水道法に準拠しないこと、さらに、過酸化水素による配管の継時的腐食が危惧された。
(8)従属栄養細菌に対する加温による影響(in vitro)
ハンドピースより各々採取した水試料をin vitroで各温度まで加熱した際の、試料中の従属栄養細菌に対する影響を検証した。
図11に示すように、今回対象とした3台の一般歯科ユニットから採取した試料では、検出される従属栄養細菌数は常温から45度までは、ほぼ横ばいの値を示したが、50度以上で急激に減少し、55℃以上では、目標値である2000 CFU/mLを下回る検出量となった。50~60℃程度の中等度の加温により、ハンドピース水中の従属栄養細菌数を大幅に減少させることができることが示された。
(9)一般歯科用ユニットの給水配管の中等度加温によるハンドピース水内従属栄養細菌への殺菌効果
ユニットの給水配管内の加温装置により、最大で65℃まで加温した際の、ハンドピース水試料中の採取直後の温度及び従属栄養細菌数の経時的変化を調べた。
図12に示すように、中等度加温後にハンドピース先端より採取した水試料温度は最大で33℃程度であった。これは、加温装置からハンドピース先端までのユニット内配管に距離があったことから、流路内で冷却されたためと考えられた。
従属栄養細菌数は、ハンドピース先端より水を出し続け30秒後に採取した試料では、加温前の試料と比較し、大きく減少し2台のユニット共に目標値である2000 CFU/mLをクリアする結果を得た。その後、1分後、2分後まで、減少した状態が保たれた。
この加温装置によりユニット内の従属栄養細菌が殺菌され、排水中はその効果が維持されることが示された。
(10)一般歯科用ユニットの給水配管の中等度加温によるハンドピース排出水の温度と遊離残留塩素濃度への影響
図13に示すように、一般歯科用ユニットのハンドピース水の温度は加熱前後の残留水は約20℃の常温であり、加熱後残留水を排出するにつれ上昇したが、30℃前後で頭打ちとなった。
ハンドピース残留水の遊離残留塩素濃度は加熱前は水道法の基準値(0.1 mg/L)以下をとる場合があったが、中等度加熱後にハンドピース残留水中の遊離残留塩素濃度は著しく増加し、ユニット1では0.3 mg/L以上となり、水道法の基準値を大きく上回った。2分間の残留水排出中、遊離残留塩素濃度が水道法の基準値未満となることはなく、いずれのユニットも常に0.2 mg/L以上であった。
以上の結果から、既存の院内感染対策実践マニュアルにあるガイドラインに従う方法や薬物洗浄機能付き歯科用ユニットにおける過酸化水素水を用いた殺菌では、従属栄養細菌数及び遊離残留塩素濃度の両方の点で、水道法に準拠した基準で水質管理が困難であることが示された。一方で、本実施例では、歯科用ユニット内部の給水配管の分岐部に中等度加温装置を取り付けることで、歯科用ユニットのハンドピース水の水質を、安全性と確実性が高く、従属栄養細菌数及び遊離残留塩素濃度の両方の点で、水道法に準拠した水準で管理できることが示された。
40…加温装置、60…給水配管。

Claims (4)

  1. 給水配管と、
    前記給水配管に取り付けられた、給水配管内の水道水の塩素濃度を上昇及び/又は維持するための加温装置であって、前記給水配管が水道栓から歯科ユニットに入る箇所よりも下流に設けられた加温装置と、
    ドクターユニットと、
    前記ドクターユニットに懸架される、前記給水配管と流体連通するハンドピースとを備えた歯科ユニットであって
    前記加温装置は、前記給水配管内の水道水を収容可能なケーシングと、前記ケーシング内に設けられたヒータとを備え、前記ケーシング内の水道水を65℃以上に加熱し、前記ハンドピースから排出される水道水の遊離残留塩素濃度を0.1mg/L以上にし、かつ従属栄養細菌数を2000CFU/mL以下にする歯科ユニット。
  2. 前記歯科ユニットは、アシスタントユニットをえ、前記給水配管はアシスタントユニットに至る給水配管と、ドクターユニットに至る給水配管とに分岐しており、前記加温装置は、前記給水配管が水道栓から歯科ユニットに入る箇所よりも下流であって前記分岐部の上流に設けられているか、前記分岐部に設けられるか、又は前記分岐部よりも下流に設けられている請求項1に記載の歯科ユニット。
  3. 前記加装置による6~70℃での10分間の加熱の2分後に前記ハンドピースから排出される水道水の温度が15~35℃である請求項1に記載の歯科ユニット。
  4. 歯科ユニットの給水配管内の水道水の殺菌方法であって、
    前記歯科ユニットは、前記給水配管に取り付けられた、前記給水配管内の水道水の塩素濃度を上昇及び/又は維持するための加温装置と、ドクターユニットと、
    前記ドクターユニットに懸架される、前記給水配管と流体連通するハンドピースとを備え、
    前記加温装置は、前記給水配管が水道栓から歯科ユニットに入る箇所よりも下流に設けられ、
    前記加温装置は、前記給水配管内の水道水を収容可能なケーシングと、前記ケーシング内に設けられたヒータとを備え、
    前記方法は、前記加温装置を用いて、前記ケーシング内の水道水を65℃以上に加熱することにより、前記ハンドピースから排出される水道水の遊離残留塩素濃度を0.1mg/L以上にし、かつ従属栄養細菌数を2000CFU/mL以下にすることを含む殺菌方法。
JP2020522630A 2018-06-01 2019-05-31 歯科用ユニットの給水配管内の水を殺菌するための装置及び方法 Active JP7376106B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018106435 2018-06-01
JP2018106435 2018-06-01
PCT/JP2019/021736 WO2019230952A1 (ja) 2018-06-01 2019-05-31 歯科用ユニットの給水配管内の水を殺菌するための装置及び方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019230952A1 JPWO2019230952A1 (ja) 2021-07-26
JP7376106B2 true JP7376106B2 (ja) 2023-11-08

Family

ID=68696695

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020522630A Active JP7376106B2 (ja) 2018-06-01 2019-05-31 歯科用ユニットの給水配管内の水を殺菌するための装置及び方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7376106B2 (ja)
WO (1) WO2019230952A1 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000070291A (ja) 1998-08-31 2000-03-07 J Morita Tokyo Mfg Corp 歯科用殺菌・洗浄管理装置
JP2004181078A (ja) 2002-12-05 2004-07-02 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電気湯沸器および除菌方法
WO2009125702A1 (ja) 2008-04-09 2009-10-15 国立大学法人長崎大学 加熱滅菌浄水器

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003164474A (ja) * 2001-04-27 2003-06-10 Jonan Kk 医療用ユニットの配水管および配水の電流殺菌方法および装置
JP2011254989A (ja) * 2010-06-09 2011-12-22 Takeshi Kameda 加圧滅菌・乾燥・滅菌水生成システム
JP4902803B1 (ja) * 2011-06-28 2012-03-21 株式会社セルフメディカル 電解水生成装置、およびそれを含む歯科用診療装置、並びに歯科用診療装置の給水管路内を殺菌する方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000070291A (ja) 1998-08-31 2000-03-07 J Morita Tokyo Mfg Corp 歯科用殺菌・洗浄管理装置
JP2004181078A (ja) 2002-12-05 2004-07-02 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電気湯沸器および除菌方法
WO2009125702A1 (ja) 2008-04-09 2009-10-15 国立大学法人長崎大学 加熱滅菌浄水器

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2019230952A1 (ja) 2021-07-26
WO2019230952A1 (ja) 2019-12-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN103330628B (zh) 牙科综合治疗台
US5158454A (en) Dental unit
CN203370070U (zh) 牙科综合治疗台
Al‐Hiyasat et al. The presence of Pseudomonas aeruginosa in the dental unit waterline systems of teaching clinics
JP2017530742A (ja) 体外循環用の温度調節装置のための熱媒液
JP5816445B2 (ja) 歯科用診療装置
WO2015059651A1 (en) Dental operating unit consisting of original single equipment joined to each other through hoses and cables which allow operating under absolute sterility conditions
KR101020517B1 (ko) 의료용 핸드피스의 멸균 및 건조 장치
JP7376106B2 (ja) 歯科用ユニットの給水配管内の水を殺菌するための装置及び方法
US6612838B2 (en) Method for sterilizing conduits that convey fluid to medical instruments, especially dental instruments
US6253964B1 (en) Remotely actuable flushing system
CN216757520U (zh) 一种管道自动消毒设备及具备该设备的系统
CN214495951U (zh) 一种水杀菌系统
JP2011254989A (ja) 加圧滅菌・乾燥・滅菌水生成システム
EP1257301B1 (en) Medical device disinfection
CN110314246B (zh) 口腔诊疗用水管路消毒系统及诊疗台水路消毒清洗单元
CN114306681A (zh) 一种管道自动消毒系统及方法
KR102101759B1 (ko) 치과용 진료수 공급 장치, 방법 및 컴퓨터가 판독 가능한 기록 매체
CN203677575U (zh) 鼻内窥镜消毒装置
KR20020095135A (ko) 디지털 치과용 워터시스템
JPH0771565B2 (ja) ハンドピース滅菌装置
JP6746666B2 (ja) 体外循環用の温度調節装置のための熱媒液
CN218642537U (zh) 口腔综合治疗台水路消毒系统及口腔综合治疗台
KR101580505B1 (ko) 치과 체어용 물공급 장치
JP3070314U (ja) 食肉加工中に殺菌を行えるナイフ・ヤスリ殺菌装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201013

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220406

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230404

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230601

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230621

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231010

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231019

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7376106

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150