JP7375033B2 - 圧電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電素子に関する。
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなど、ディスプレイの薄型化に対応して、これらの薄型ディスプレイに用いられるスピーカーにも軽量化・薄型化が要求されている。さらに、可撓性を有するフレキシブルディスプレイにおいて、軽量性や可撓性を損なうことなくフレキシブルディスプレイに一体化するために、可撓性も要求されている。このような軽量・薄型で可撓性を有するスピーカーとして、印加電圧に応答して伸縮する性質を有するシート状の圧電素子(電気音響変換フィルム)を採用することが考えられている。
このような可撓性を有するシート状の圧電素子として、圧電層の両面に電極層および保護層を有する圧電素子が提案されている。
例えば、特許文献1には、誘電性を有する層と、誘電性を有する層(圧電層)の両面に形成される薄膜電極と、両方の薄膜電極の表面に形成される保護層とを有し、さらに、保護層の少なくとも一方が、周辺部よりも膜厚が薄い薄層部を有する電気音響変換フィルムが記載されている。
このような電気音響変換フィルムにおいて、電極層に電圧を印加して電気音響変換フィルムを振動させるためには、電極層の厚さを非常に薄くする必要がある。例えば、電極層は、厚さ1μm以下の蒸着膜などが適している。
一方、電気音響変換フィルムをスピーカ等として実装するためには、電極層を引き出して、此処に配線を接続する必要がある。
しかしながら、蒸着膜のような薄い電極層は、電気音響変換フィルムの面外に引き出すことは困難である。また、蒸着膜のような薄い電極を、配線との接続のために外部に剥き出しにして、この状態で保管すると、保管環境によっては電極が酸化して、導電性が低下してしまう。
これに対して、保護層に孔部を設けて、この孔部に導電材料を挿入し、導電材料に引出し配線を接続することが提案されている。
例えば、特許文献1では、保護層に凹部を設け、この凹部に導電材料を挿入し、この導電材料に電極層と外部の装置とを電気的に接続するための引出し配線を接続する構成が記載されている。これにより、電極層と引出し配線との電気的接続を確実にでき、また、電極層は全面的に保護層に覆われているので、酸化等によって電極層が劣化することを防止できることが記載されている。
特開2016-015354号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、保護層に設けた孔部に、液体状の導電性材料の塗布液を塗布した場合に、塗布液の粘度によって塗布厚みにばらつきができ導電性を確保するのが難しい場合がある。また、保護層は例えば4μm程度と薄いため、保護層に孔部を設けた孔部の深さは4μm程度になり、電気音響変換フィルムの反りなどを考えると、この孔部の上に塗布液を確実に塗布することは難しい。そのため、電極層への電気的接続が確実にできないおそれがある。
また、導電性材料として用いられる銀ペーストは高価であるため使用量を少なくしたいという要望もあり、導電性材料の使用量を増やして、導電性材料を孔部内に確実に存在させるようにすることは難しい。
本発明の課題は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、電極層への電気的接続を確実にできる圧電素子を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 圧電層、前記圧電層の両面に形成される電極層、および、電極層の、圧電層側の面とは反対側の面に積層される保護層を有する圧電素子であって、
保護層は、表面から電極層まで貫通する孔部を有し、
孔部内から保護層の表面の一部に形成され、電極層に電気的に接続される、導電性材料からなる充填部材と、
充填部材の少なくとも一部を覆って、充填部材に電気的に接続される導電性部材と、
導電性部材を固定する固定部材と、を有する圧電素子。
[2] 導電性部材は、導電性シートである[1]に記載の圧電素子。
[3] 導電性部材は、充填部材と接続される導電体と、導電体に接続される導電性ワイヤーまたは導電性シートとを有する[1]に記載の圧電素子。
[4] 固定部材は、導電性部材を保護層に固定する[1]~[3]のいずれかに記載の圧電素子。
[5] 保護層の、孔部の辺縁部に形成される凸部を有する[1]~[4]のいずれかに記載の圧電素子。
[6] 孔部は、深さ方向において、円相当直径が段階的に変化しており、電極層側の円相当直径が導電性部材側の円相当直径よりも小さい[1]~[5]のいずれかに記載の圧電素子。
[7] 孔部内にある、電極層の表面における炭素量が、面方向の中央部において、中央部以外の領域よりも少ない[1]~[6]のいずれかに記載の圧電素子。
[8] 孔部内にある、電極層の表面における炭素量が、面方向の中央部において、中央部以外の領域よりも多い[1]~[7]のいずれかに記載の圧電素子。
[9] 孔部の開口形状は円形状である[1]~[8]のいずれかに記載の圧電素子。
[10] 保護層は複数の孔部を有し、
複数の孔部内にそれぞれ形成される、複数の充填部材を有する[1]~[9]のいずれかに記載の圧電素子。
[11] 複数の充填部材が、保護層の表面において連結している[10]に記載の圧電素子。
[12] 保護層の表面に、孔部の周囲を囲う囲い部材を有し、
充填部材は、少なくとも囲い部材内に形成されている[1]~[11]のいずれかに記載の圧電素子。
[13] 保護層の、孔部の周囲に形成される凹部を有する[1]~[12]のいずれかに記載の圧電素子。
[14] 保護層の厚みは3μm~100μmである[1]~[13]のいずれかに記載の圧電素子。
[15] 電極層の厚みは0.05μm~10μmである[1]~[14]のいずれかに記載の圧電素子。
[16] 孔部の位置において、電極層と圧電層との間に空隙部を有し、
孔部が形成されていない位置における圧電層の電極層との界面の平均高さと、孔部の位置における圧電層の電極層との界面の平均高さとの差が、25μm以下である[1]~[15]のいずれかに記載の圧電素子。
[17] 導電性部材は、長尺形状であり、
導電性部材は、長手方向に折り返す折り返し部を有し、
固定部材は、折り返し部を挟んで、導電性部材と充填部材との接続位置とは反対側の領域で、導電性部材と保護層とを固定する[1]~[16]のいずれかに記載の圧電素子。
[18] 導電性部材は、長尺形状であり、
導電性部材は、長手方向の一方の端部側で充填部材と接続されており、
固定部材は、導電性部材の長手方向において、導電性部材と充填部材との接続位置よりも、一方の端部から遠い位置に配置されている[1]~[17]のいずれかに記載の圧電素子。
[19] 導電性部材の、一方の端部と固定部材との間の領域の辺縁部の少なくとも一部を保護層に固定する第2の固定部材を有する[18]に記載の圧電素子。
[20] 圧電層は、高分子材料を含むマトリックス中に圧電体粒子を含む高分子複合圧電体からなる[1]~[19]のいずれかに記載の圧電素子。
本発明によれば、電極層への電気的接続を確実にできる圧電素子が提供される。
本発明の圧電素子の一例を模式的に示す断面図である。 図1の圧電素子の平面図である。 図1の圧電体層の一部を拡大して示す断面図である。 本発明の圧電素子の他の一例の部分拡大断面図である。 本発明の圧電素子の他の一例の部分拡大断面図である。 本発明の圧電素子の他の一例の部分拡大断面図である。 本発明の圧電素子の他の一例の部分拡大断面図である。 本発明の圧電素子の他の一例の部分拡大断面図である。 本発明の圧電素子の他の一例の部分拡大断面図である。 界面の平均高さを説明するための概念図である。 本発明の圧電素子の他の一例の部分拡大断面図である。 本発明の圧電素子の他の一例の部分拡大平面図である。 本発明の圧電素子の他の一例の部分拡大平面図である。 圧電素子の作製方法の一例を説明するための概念図である。 圧電素子の作製方法の一例を説明するための概念図である。 圧電素子の作製方法の一例を説明するための概念図である。 圧電素子の作製方法の一例を説明するための概念図である。 圧電素子の作製方法の一例を説明するための概念図である。 圧電素子の作製方法の一例を説明するための概念図である。 本発明の圧電素子の他の一例の部分拡大断面図である。 本発明の圧電素子の他の一例の部分拡大断面図である。 本発明の圧電素子を含む物品の一例の模式図である。 本発明の圧電素子の他の一例の部分拡大断面図である。 本発明の圧電素子の他の一例の部分拡大断面図である。 図24の上面図である。 本発明の圧電素子の他の一例の部分拡大断面図である。 本発明の圧電素子の他の一例の部分拡大断面図である。
以下、本発明の圧電素子について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[圧電素子]
本発明の圧電素子は、
圧電層、圧電層の両面に形成される電極層、および、電極層の、圧電層側の面とは反対側の面に積層される保護層を有する圧電素子であって、
保護層は、表面から電極層まで貫通する孔部を有し、
孔部内から保護層の表面の一部に形成され、電極層に電気的に接続される、導電性材料からなる充填部材と、
充填部材の少なくとも一部を覆って、充填部材に電気的に接続される導電性部材と、
導電性部材を固定する固定部材と、を有する圧電素子である。
また、本発明の圧電素子において、導電性部材は、銅箔等の導電性シートであってもよい。あるいは、導電性部材は、複数の導電性の部材を組み合わせたものであってもよい。例えば、導電体と、導電体に接続される導電性ワイヤーまたは導電性シートとを有する構成が例示される。
本発明の圧電素子において、固定部材は、導電性部材を所定の部位に固定するものである。固定部材は、導電性部材を保護層に固定するものであってもよいし、圧電素子の他の部位に固定するものであってもよい。あるいは、固定部材は、導電性部材を他の部材に固定してもよい。例えば、図22に示すように、圧電素子10が振動板100に固定される場合には、固定部材74は、導電性部材72を振動板100に固定してもよい。
図1に、本発明の圧電素子の一例を断面図によって概念的に示す。図2に、図1の圧電素子を上方向から見た平面図を示す。図3に、図1の圧電素子の一部を拡大した断面図を示す。
図1~図3に示す圧電素子10は、圧電性を有するシート状物である圧電層20と、圧電層20の一方の面に積層される下部電極24と、下部電極24に積層される下部保護層28と、圧電層20の他方の面に積層される上部電極26と、上部電極26に積層される上部保護層30と、充填部材70と、導電性部材72と、固定部材74と、を有する。
図1に示す圧電層20は、高分子材料を含むマトリックス34中に、圧電体粒子36を含むものである。また、下部電極24および上部電極26は、本発明における電極層である。また、下部保護層28および上部保護層30は、本発明における保護層である。
後述するが、圧電素子10(圧電層20)は、好ましい態様として、厚さ方向に分極されている。
ここで、本発明の圧電素子は、保護層に孔部を有し、この孔部に形成される充填部材と、充填部材に接続される導電性部材と、導電性部材を固定する固定部材と、を有する。この点について、図3を用いて説明する。なお、図3は、上部保護層30側の一部を拡大して示した図であるが、下部保護層28側も同様の構成を有する。以下の説明では、上部保護層30および上部電極26側を例に説明を行う。
図3に示すように、上部保護層30は、表面から上部電極26まで貫通する孔部31を有する。すなわち、孔部31は、上部電極26とは反対側の表面から上部電極26側の界面まで上部保護層30を貫通して形成されている。図1および図2に示すように、孔部31は、面方向において、上部保護層30の端部近傍に形成されている。
また、図3に示す例では、好ましい態様として、孔部31の辺縁部に凸部32が形成されている。凸部32は、孔部31を囲うように孔部31の辺縁部に略円環状に形成されている。
充填部材70は、導電性材料からなり、孔部31内に充填され、上部保護層30の表面の一部まで覆うように形成されている。以下、充填部材70の、孔部31からはみ出した部分をはみ出し部71ともいう。充填部材70は、孔部31内で上部電極26と接触して、上部電極26と電気的に接続されている。
また、図3に示す例においては、上部保護層30が凸部32を有するが、充填部材70のはみ出し部71は、孔部31から凸部32の外側まで形成されている。
導電性部材72は、充填部材70の少なくとも一部を覆うように配置されており、充填部材70と電気的に接続されている。図示例では、導電性部材72は、上部保護層30の表面に垂直な方向から見た際に、充填部材70の全面を覆うように配置されている。
図1および図2に示すように、導電性部材72は長尺形状の導電性シートであり、長手方向の一方の端部側で充填部材70と接続されている。また、導電性部材72は、長手方向の他方の端部が、面方向において上部保護層30の外側まで延在するように配置されている。
固定部材74は、導電性部材72の、充填部材70を覆っていない位置で、導電性部材72と上部保護層30とを固定している。図3に示す例では、固定部材74は、導電性部材72の長手方向において、導電性部材72と充填部材70との接続位置よりも、充填部材70側の端部から遠い位置に配置されている。また、固定部材74は、導電性部材72の長手方向において、導電性部材72と充填部材70との接続位置と、上部保護層30の端辺との間に配置されている。また、図示例においては、固定部材74は、上部保護層30と導電性部材72との間に配置されており、上部保護層30と導電性部材72とを接着している。
このように圧電素子10において、導電性部材72は充填部材70と電気的に接続されており、充填部材70は上部電極26と電気的に接続されているため、導電性部材72を引出し配線として利用することができ、導電性部材72に配線を接続することができる。
ここで、前述のとおり、保護層に設けた孔部に、液体状の導電性材料の塗布液を塗布した場合に、塗布液の粘度によって塗布厚みにばらつきができ導電性を確保するのが難しい場合がある。また、保護層は例えば4μm程度と薄いため、保護層に孔部を設けた孔部の深さは4μm程度になり、電気音響変換フィルムの反りなどを考えると、この孔部の上に塗布液を確実に塗布することは難しい。また、導電性材料として用いられる銀ペーストは高価であるため使用量を少なくしたいという要望もあり、導電性材料の使用量を増やして、導電性材料を孔部内に確実に存在させるようにすることは難しい。
これに対して、本発明の圧電素子は、保護層に孔部を有し、この孔部に形成される充填部材と、充填部材を覆う導電性部材と、導電性部材と保護層とを固定する固定部材と、を有する。このような構成の圧電素子において、充填部材は、保護層に設けた孔部に導電性材料の塗布液を塗布し、導電性部材を塗布液の上に被せた後に、塗布液を乾燥、硬化させて形成される。導電性部材を塗布液の上に被せる際に、固定部材によって導電性部材と保護層とを固定するため、塗布液が未硬化の状態で導電性部材の位置がズレることを防止できる。また、塗布液の上に導電性部材を被せることで塗布液が孔部の上から移動してしまうことを防止でき、孔部内に充填部材を確実に存在させることができる。従って、本発明の圧電素子は、導電性部材72と充填部材70との電気的接続、および、充填部材70と上部電極26と電気的接続を確実に行うことができる。
また、孔部内に充填部材を確実に存在させることができるため、導電性材料の使用量を増やす必要がない。
ここで、孔部31の開口面の形状には限定はなく、円形状、楕円形状、矩形状、多角形状、不定形状等の種々の形状とすることができる。形成の容易性等の観点から円形状が好ましい。
また、孔部31の開口面の大きさとしては、充填部材70との電気的接続が確保でき、圧電素子が適正に動作できる大きさであれば特に限定はない。孔部31の開口面の円相当直径は、0.5mm~20mmが好ましく、1.5mm~5mmがより好ましく、2mm~3mmがさらに好ましい。
また、充填部材70の、孔部31から突出した部分の高さ(上部保護層30の表面からの高さ、以下「充填部材の高さ」ともいう)は、導電性部材72との電気的接続が確保できれば特に限定はない。充填部材の高さは、2μm~200μmが好ましく、10μm~100μmがより好ましく、20μm~50μmがさらに好ましい。
また、充填部材70のはみ出し部71の大きさ(面方向の大きさ)は、導電性部材72との電気的接続が確保できれば特に限定はない。はみ出し部71の円相当直径は、1mm~40mmが好ましく、2mm~30mmがより好ましく、2mm~20mmがさらに好ましい。
ここで、図3に示す例では、上部保護層30は、孔部31の辺縁部に凸部32を有する構成としたがこれに限定はされず、凸部32を有さない構成であってもよい。なお、凸部32を有する構成とすることで、孔部31の深さを上部保護層30の厚さよりも深くすることができ、導電性材料の塗布液が溜まりやすくでき、充填部材70と上部電極26、ならびに、充填部材70と導電性部材72との接触面積を確保することができる。
凸部32の高さは、0.2μm~100μmが好ましく、0.5μm~50μmがより好ましく、0.7μm~10μmがさらに好ましい。
ここで、図3に示す例では、1つの孔部31および1つの充填部材70を有する構成としたがこれに限定はされず、孔部31および充填部材70を複数有していてもよい。
例えば、図4に示す例では、2つの孔部31を有し、2つの孔部31それぞれに配置される2つの充填部材70を有する。2つの孔部31は、導電性部材72の長手方向に隣接して配列されている。2つの充填部材70はそれぞれ前述の充填部材と同様に孔部31内に充填され、上部保護層30の表面の一部まで覆うように形成されている。導電性部材72は、2つの孔部31に配置される2つの充填部材70を覆うように配置されている。また、2つの充填部材70は、上部保護層30の表面において、はみ出し部71が連結している。
また、図5に示す例では、十字上に配置される5つの孔部31を有し、5つの孔部31それぞれに配置される充填部材70を有する。充填部材70は、上部保護層30の表面において、はみ出し部71が連結して一体化している。また、充填部材70のはみ出し部71は、上部保護層30の表面の、5つの孔部31で囲まれた内側の領域を全面的に覆って形成されている。
圧電素子が、充填部材70を複数、有する構成の場合には、少なくとも1つの充填部材70がはみ出し部71を有していればよいが、全ての充填部材70がはみ出し部71を有することが好ましい。
また、本発明の圧電素子は、保護層の表面に、孔部の周囲を囲う囲い部材を有し、充填部材は、囲い部材内に形成されている構成であってもよい。
例えば、図6に示す例では、上部保護層30の表面の、孔部31および凸部32の外周側に孔部31の周囲を囲う囲い部材76を有する。囲い部材76に囲われた領域には、充填部材70のはみ出し部71が存在する。また、囲い部材76は上面(上部保護層30側とは反対側の面)を導電性部材72に覆われている。
囲い部材76は、例えば、円環状の部材であり、高さ(厚さ)は凸部32よりも高い。また、囲い部材76の内側に形成される充填部材70と導電性部材72とが接する構成とするために、囲い部材76の高さは、充填部材70の高さの同等以下であるのが好ましい。
囲い部材76を有することで、導電性材料の塗布液を塗布した際に塗布液が孔部31から移動することを防止でき、充填部材70を孔部31の位置に確実に存在させることができる。
囲い部材76の開口部の形状は円形状に限定はされず、楕円形状、矩形状、多角形状、不定形状等の種々の形状とすることができる。
また、上部保護層30が複数の孔部31を有する場合には、各孔部31の位置に配置される複数の囲い部材76を有していてもよいし、複数の孔部31を囲う大きさの1つの囲い部材76を有する構成としてもよい。
囲い部材76の大きさ(径)および高さは、孔部31の大きさ、凸部32の高さ、充填部材70のはみ出し部71の大きさ、高さ等に応じて適宜設定すればよい。
囲い部材76の円相当直径は、3mm~60mmが好ましく、5mm~50mmがより好ましく、5mm~40mmがさらに好ましい。
囲い部材76の高さは、0.01mm~1mmが好ましく、0.1mm~0.5mmがより好ましく、0.1mm~0.3mmがさらに好ましい。
囲い部材76は、上部保護層30と接着剤等によって接着されるのが好ましい。また、導電性部材72とも接着剤等によって接着されるのが好ましい。
また、本発明の圧電素子は、保護層の、孔部の周囲に形成される凹部を有していてもよい。
例えば、図7に示す例では、上部保護層30の表面の、孔部31および凸部32の外周側に孔部31の周囲に凹部33を有する。凹部33内には充填部材70のはみ出し部71が存在する。凹部33を有することで、導電性材料の塗布液を塗布した際に塗布液を孔部31の位置にとどめることができ、充填部材70を孔部31の位置に確実に存在させることができる。
上部保護層30が凸部32を有する場合には、凹部33は、凸部32よりも外周側に形成される。また、囲い部材76を有する場合には、凹部33は、囲い部材76の内側に形成される。
凹部33の、上部保護層30の表面からの深さは、0.1μm~3μmが好ましく、0.5μm~2μmがより好ましく、1μm~2μmがさらに好ましい。
ここで、孔部は、深さ方向において、円相当直径が段階的に変化しており、電極層側の円相当直径が導電性部材側の円相当直径よりも小さいことが好ましい。
例えば、図8に示す例では、孔部31は、深さ方向の途中で大きさが変化しており、上部電極26側の領域における円相当直径D2が、表面側(導電性部材側)の領域における円相当直径D1よりも小さい。なお、図8では導電性部材の図示は省略している。
後に詳述するが、保護層に形成される孔部は、レーザー加工によって形成される。レーザー加工の際に熱が発生し、孔部近傍の保護層、圧電層等が熱を持つため、孔部の位置の電極層が加熱されて強度が低下しやすくなる。特に、孔部と保護層との境界位置で電極層が損傷しやすくなる。
これに対して、電極層側の領域における孔のサイズを小さくすることで、電極層が加熱されることを抑制し、電極層の強度が低下することを防止できる。また、表面側の領域における孔のサイズを大きくすることで、導電性材料の塗布液を塗布した際に孔部内に塗布液を適切にとどめることができる。
また、レーザー加工によって保護層に孔部を形成した場合、熱によって、電極層および圧電層が膨張するが、電極層と圧電層とでは熱膨張率および熱伝導率が異なるため、加熱による膨張および徐熱による収縮によって、孔部内の電極層と圧電層との間に空隙部が形成される場合がある。特に、孔部の中央部分に熱がこもりやすいため、空隙部は中央部に形成されやすい。
例えば、図9に示すように、圧電層20が変形して空隙部80が形成される。
なお、図9においては、充填部材70および導電性部材72の図示は省略している。
このような空隙部80を有すると、電極層間の比誘電率が変化してしまうため、圧電素子としての性能が低下してしまうおそれがある。
これに対して、孔部が形成されていない位置における圧電層の電極層との界面の平均高さと、孔部の位置における圧電層の電極層との界面の平均高さとの差dを、25μm以下とするのが好ましく、0μm~20μmとするのがより好ましく、0μm~15μmとするのがさらに好ましい。また、この差dは、圧電層の平均厚さの50%以下であるのが好ましく、0%~40%であるのがより好ましく、0%~30%であるのがさらに好ましい。
この差dの測定方法について、図10を用いて説明する。
孔部の位置を含む圧電層を任意の大きさに切り出し、エポキシ樹脂等に包埋して硬化する。次いで、樹脂中の圧電層を集束イオンビーム(FIB)等で切断して、圧電層の断面を露出させる。この断面を光学顕微鏡等で観察して、長さ40mm程度の圧電層と電極層との境界線(界面)を、画像変換ソフトウェアで曲線数式変換する。圧電層と電極層との界面は、図10に示すように粗さを有している。
この断面において、孔部以外の部分における境界線の画像解析による算術平均粗さRa等の算出を、10個程度の切断面で行ない、平均値を算出することで、孔部以外の部分における圧電層の界面の平均高さd0を算出する。
同様に、孔部の部分における境界線の画像解析から圧電層の界面の平均高さd1を算出する。
算出した平均高さd0と平均高さd1との差を算出して平均高さの差dを求める。
具体的には、JIS B 0601-2001に記載の粗さ曲線要素の平均高さ(Rc)にて平均高さを穴部以外の部分でもとめる。その際、断面曲線では孔部に対して左右の界面の平均高さd0を算出する。同様に、孔部の部分における境界線の画像解析から圧電層の界面の平均高さd1を算出する。左右のうち、d1とd0との乖離の大きいほうをdとする。
また、レーザー加工によって保護層に孔部を形成した場合、保護層が完全に除去されずに、電極層の表面に保護層の残渣が存在する場合がある。この保護層の残渣は、レーザー加工の条件等によって、電極層の表面に偏在する。
例えば、孔部の中央部では、レーザー加工の際の熱がこもりやすいため、保護層の残渣が周辺部よりも少なくなりやすい。一方で、レーザー加工の条件によっては、孔部の中央部で保護層の残渣が多く、周辺部で少ない構成とすることもできる。
孔部の中央部での保護層の残渣が周辺部よりも少ない構成では、中央部で充填部材と電極層との電気的接続を確保し、周辺部で電極層の強度低下を抑制できる。
一方、孔部の中央部での保護層の残渣が周辺部よりも多い構成では、レーザー加工時に中央部に熱がこもるのを抑制できるため、上述した空隙部の発生を抑制でき、比誘電率の変化を抑制することができる。
なお、保護層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルムからなるため、保護層の残渣は炭素を含有する。従って、電極層の表面における保護層の残渣量を測定する際は、電極層の表面における炭素量を測定すればよい。
電極層表面の炭素量は、圧電素子から導電性部材を剥離して、充填部材の表面からエッチングしながらXPS(X線光電子分光装置)によって元素分析を行って、炭素の有無を観察する方法により求めることができる。
すなわち、孔部の中央部での保護層の残渣が周辺部よりも少ない構成は、孔部内にある、電極層の表面における炭素量が、面方向の中央部において、中央部以外の領域よりも少ない構成である。また、孔部の中央部での保護層の残渣が周辺部よりも多い構成は、孔部内にある、電極層の表面における炭素量が、面方向の中央部において、中央部以外の領域よりも多い構成である。
なお、孔部の中央部とは、面方向の孔部の重心位置を中心に、孔部の面積の1/16の面積の領域である。また、周辺部とは中央部以外の領域である。保護層の残渣量は、この範囲において、10点測定した平均値である。
ここで、本発明の圧電素子は、導電性部材は、長尺形状であり、導電性部材は、長手方向に折り返す折り返し部を有し、固定部材は、折り返し部を挟んで、導電性部材と充填部材との接続位置とは反対側の領域で、導電性部材と保護層とを固定する構成としてもよい。
この構成について、図11を用いて説明する。
図11は、本発明の圧電素子の他の一例の一部を拡大して示す断面図である。
図11において、導電性部材72の形状以外は、図3に示す圧電素子と同様の構成を有するので、以下の説明では異なる点を主に行う。
図11において、導電性部材72は、長手方向において折り返されており、折り返し部73を挟んで一方の領域を領域72a、他方の領域を領域72bとすると、領域72aの一面が充填部材70と接続されており、領域72bの一面が固定部材74と接続されている。
すなわち、導電性部材72が、固定部材74によって上部保護層30に固定される領域72bは、折り返し部73を挟んで、充填部材70と接続される領域72aとは反対側の領域である。
図11に示すように、導電性部材72は、領域72aが領域72bよりも短く、短い領域72aを充填部材70に向けて充填部材70上に配置される。また、導電性部材72の領域72bは、領域72aと重畳しない位置において固定部材74によって上部保護層30に固定されている。
このように、導電性部材72を折り曲げて、折り返し部73を挟んで一方の領域72aを充填部材70に接続し、他方の領域72bを固定部材74によって上部保護層30に固定する構成とすることで、保護層に設けた孔部に導電性材料の塗布液を塗布し、導電性部材72を塗布液の上に被せた際に、領域72aに塗布液側に向かう力が加わるため、導電性部材72と塗布液との密着を確保でき、導電性部材72と充填部材70との確実な電気的接続を得ることができる。
また、導電性部材72の領域72bに引張り力等の力が加わった場合でも、領域72aに力が伝わりにくくなるため、導電性部材72と充填部材70との確実な電気的接続を得ることができる。
なお、孔部および充填部材を複数有する場合には、図12に示すように、導電性部材72の領域72aが複数の充填部材70を覆うように折り返し部73の位置を調整して配置すればよい。
また、導電性部材の、充填部材との接続位置近傍の辺縁部を保護層に固定する第2の固定部材を有していてもよい。
例えば、図5に示す例では、導電性部材72は、長尺形状である。導電性部材72は、長手方向の一方の端部側で充填部材70と接続されており、固定部材74は、導電性部材72の長手方向において、導電性部材72と充填部材70との接続位置よりも、充填部材70側の端部から遠い位置に配置されている。また、導電性部材72は、充填部材70側の端部と固定部材74との間の領域の3辺を、第2の固定部材82でそれぞれ上部保護層30に固定されている。
第2の固定部材82は、面方向において、充填部材70(はみ出し部71)と重畳しない位置に設けられるのが好ましい。
このように、導電性部材の、充填部材との接続位置近傍の辺縁部を保護層に固定する第2の固定部材を有することで、導電性部材と充填部材とが剥離することを抑制できる。
なお、図3、図5等において、固定部材74は、導電性部材72と上部保護層30との間に配置される、いわゆる接着層/粘着層としたが、これに限定はされず、図13に示すように、導電性部材72の上から上部保護層30に固定する、いわゆる粘着シートであってもよい。
同様に、図5において、第2の固定部材82は、導電性部材72の上から上部保護層30に固定する、いわゆる粘着シートとしたが、これに限定はされず、図13に示すように、第2の固定部材82は、導電性部材72と上部保護層30との間に配置される、いわゆる接着層/粘着層としてもよい。
また、本発明の圧電素子において、充填部材70と導電性部材72との接続位置において、充填部材70は凹部を有し、導電性部材72が凹部に沿って湾曲するように形成されていてもよい。
例えば、図20に示す例では、充填部材70の導電性部材72側の表面に凹部が形成されている。また、導電性部材72は充填部材70に形成された凹部に沿って湾曲して充填部材70に接触して接続されている。
また、図21に示す例は、導電性部材72が折り返し部73を有する構成の例である。この図21に示す例では、充填部材70の導電性部材72側の表面に凹部が形成されている。また、導電性部材72の領域72aは充填部材70に形成された凹部に沿って湾曲して充填部材70に接触して接続されている。
このように、充填部材70と導電性部材72との接続位置において、充填部材70は凹部を有し、導電性部材72が凹部に沿って湾曲する構成とすることで、充填部材70と導電性部材72との接触面積を大きくすることができ、充填部材70と導電性部材72との電気的接続を確実にすることができる。
なお、図20および図21に示す例では、充填部材70に形成される凹部は、保護層の孔部31に対応する位置に形成される構成としたが、これに限定はされない。例えば、保護層に複数の孔部31が形成されて各孔部31に形成される充填部材70が連結する構成の場合には、充填部材70が連結した位置に凹部が形成されていてもよい。
なお、充填部材70の凹部は、後述する圧電素子の製造方法において、充填部材70となる導電性材料を孔部31に塗布し、導電性部材72を導電性材料84の上に載置した後に、導電性部材72の上から導電性材料84を押圧して形成することができる。
あるいは、あらかじめ導電性部材72に凹部に対応する湾曲部を設けておき、この導電性部材72の湾曲部が導電性材料84の上にくるように導電性部材72を載置して、導電性材料84に凹部を転写することで、充填部材70の凹部を形成することができる。
ここで、図3等に示す例では、導電性部材が導電性シートである例について説明したが、上述のとおり、導電性部材は、複数の導電性の部材を組み合わせたものであってもよい。
例えば、図23に示す例は、導電性部材として導電体92、および、導電性ワイヤー86を有する例である。導電体92と導電性ワイヤー86は、ハンダ87によって接続されている。導電体92は、充填部材70の上に接続されるのみで、上部保護層30等には固定されていない。導電性ワイヤー86は、固定部材74によって上部保護層30に固定されている。
また、図24および図25に示す例は、導電性部材として、導電体92、および、プリント配線シート98を有する例である。プリント配線シート98は、図25に示すように、プラスチックシート等の絶縁性の基板94上に、配線96がプリントされたものである。このプリント配線シート98の配線96が導電体92に接続されている。
導電体92は、充填部材70の上に接続されるのみで、上部保護層30等には固定されていない。プリント配線シート98は、固定部材74によって上部保護層30に固定されている。
このように、導電性部材が複数の導電性の部材を組み合わせたものであってもよい。その場合、導電性部材を構成する部材の少なくとも1つが、固定部材74によって所定の部位に固定されればよい。
また、導電性シートからなる導電性部材72には、さらに、導電性ワイヤー等の導電性の部材が接続されてもよい。また、導電性ワイヤー等の導電性の部材は、導電性部材72のどの位置に接続されてもよい。
例えば、図26に示す例では、導電性シートからなる導電性部材72の充填部材70と接続される位置の表面側に、導電性ワイヤー86がハンダ87によって固定されている。導電性ワイヤー86は、延在方向の途中の位置で、接着部材88によって、上部保護層30に固定されている。
図26に示す構成の場合、導電性部材72、ハンダ87、および、導電性ワイヤー86が、本発明における導電性部材、接着部材88が本発明における固定部材ということもできる。
図27に示す例では、導電性シートからなる導電性部材72の充填部材70と接続される位置の表面側に、導電性の支柱90が設けられており、この支柱支柱に勘合するソケット89を先端に有する導電性ワイヤー86が接続されている。導電性ワイヤー86は、延在方向の途中の位置で、接着部材88によって、上部保護層30に固定されている。
図27に示す構成の場合、導電性部材72、支柱90、ソケット89、および、導電性ワイヤー86が、本発明における導電性部材、接着部材88が本発明における固定部材ということもできる。
ここで、図2に示す例においては、上部保護層30側で充填部材70を介して上部電極26と電気的に接続される導電性部材72と、下部保護層28側で充填部材70を介して下部電極24と電気的に接続される導電性部材72とは、好ましい態様として、面方向の位置が重畳しないように配置されている。これによって、上部電極側26の導電性部材72と、下部電極24側の導電性部材72とが接触して短絡することを抑制できる。
このような圧電素子10は、一例として、スピーカー、マイクロフォン、および、ギター等の楽器に用いられるピックアップなどの各種の音響デバイス(音響機器)において、電気信号に応じた振動による音の発生(再生)や、音による振動を電気信号に変換するために利用される。
また、圧電素子は、これ以外にも、感圧センサおよび発電素子等にも利用可能である。
また、例えば、圧電素子10をスピーカーに用いる場合は、フィルム状の圧電素子10自体の振動によって音を発生するものとして用いてもよい。あるいは、圧電素子10は、振動板に貼り付けて、圧電素子10の振動によって振動板を振動させて音を発生するエキサイターとして用いてもよい。
以下、本発明の圧電素子の各構成要素について説明する。
〔圧電層〕
圧電層20は、公知の圧電体からなる層であればよい。本発明において、圧電層20は、高分子材料を含むマトリックス34に、圧電体粒子36を含む高分子複合圧電体であるのが好ましい。
圧電層20を構成する高分子複合圧電体のマトリックス34(マトリックス兼バインダ)の材料として、常温で粘弾性を有する高分子材料を用いるのが好ましい。
本発明の圧電素子10は、フレキシブルディスプレイ用のスピーカーなど、フレキシブル性を有するスピーカー等に好適に用いられる。ここで、フレキシブル性を有するスピーカーに用いられる高分子複合圧電体(圧電層20)は、次の用件を具備したものであるのが好ましい。従って、以下の要件を具備する材料として、常温で粘弾性を有する高分子材料を用いるのが好ましい。
なお、本明細書において、「常温」とは、0~50℃程度の温度域を指す。
(i) 可撓性
例えば、携帯用として新聞や雑誌のように書類感覚で緩く撓めた状態で把持する場合、絶えず外部から、数Hz以下の比較的ゆっくりとした、大きな曲げ変形を受けることになる。この時、高分子複合圧電体が硬いと、その分大きな曲げ応力が発生し、マトリックスと圧電体粒子との界面で亀裂が発生し、やがて破壊に繋がる恐れがある。従って、高分子複合圧電体には適度な柔らかさが求められる。また、歪みエネルギーを熱として外部へ拡散できれば応力を緩和することができる。従って、高分子複合圧電体の損失正接が適度に大きいことが求められる。
(ii) 音質
スピーカーは、20Hz~20kHzのオーディオ帯域の周波数で圧電体粒子を振動させ、その振動エネルギーによって高分子複合圧電体(圧電素子)全体が一体となって振動することで音が再生される。従って、振動エネルギーの伝達効率を高めるために高分子複合圧電体には適度な硬さが求められる。また、スピーカーの周波数特性が平滑であれば、曲率の変化に伴い最低共振周波数が変化した際の音質の変化量も小さくなる。従って、高分子複合圧電体の損失正接は適度に大きいことが求められる。
以上をまとめると、高分子複合圧電体は、20Hz~20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の振動に対しては柔らかく振る舞うことが求められる。また、高分子複合圧電体の損失正接は、20kHz以下の全ての周波数の振動に対して、適度に大きいことが求められる。
一般に、高分子固体は粘弾性緩和機構を有しており、温度上昇あるいは周波数の低下とともに大きなスケールの分子運動が貯蔵弾性率(ヤング率)の低下(緩和)あるいは損失弾性率の極大(吸収)として観測される。その中でも、非晶質領域の分子鎖のミクロブラウン運動によって引き起こされる緩和は、主分散と呼ばれ、非常に大きな緩和現象が見られる。この主分散が起きる温度がガラス転移点(Tg)であり、最も粘弾性緩和機構が顕著に現れる。
高分子複合圧電体(圧電層20)において、ガラス転移点が常温にある高分子材料、言い換えると、常温で粘弾性を有する高分子材料をマトリックスに用いることで、20Hz~20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の遅い振動に対しては柔らかく振舞う高分子複合圧電体が実現する。特に、この振舞いが好適に発現する等の点で、周波数1Hzでのガラス転移温度が常温、すなわち、0~50℃にある高分子材料を、高分子複合圧電体のマトリックスに用いるのが好ましい。
常温で粘弾性を有する高分子材料としては、誘電性を有するものであれば、公知の各種のものが利用可能である。好ましくは、高分子材料は、常温、すなわち、0℃~50℃において、動的粘弾性試験による周波数1Hzにおける損失正接の極大値が、0.5以上である高分子材料を用いる。
これにより、高分子複合圧電体が外力によってゆっくりと曲げられた際に、最大曲げモーメント部におけるマトリックスと圧電体粒子との界面の応力集中が緩和され、良好な可撓性が得られる。
また、高分子材料は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が、0℃において100MPa以上、50℃において10MPa以下、であるのが好ましい。
これにより、高分子複合圧電体が外力によってゆっくりと曲げられた際に発生する曲げモーメントが低減できると同時に、20Hz~20kHzの音響振動に対しては硬く振る舞うことができる。
また、高分子材料は、比誘電率が25℃において10以上有ると、より好適である。これにより、高分子複合圧電体に電圧を印加した際に、マトリックス中の圧電体粒子にはより高い電界が掛かるため、大きな変形量が期待できる。
しかしながら、その反面、良好な耐湿性の確保等を考慮すると、高分子材料は、比誘電率が25℃において10以下であるのも、好適である。
このような条件を満たす高分子材料としては、シアノエチル化ポリビニルアルコール(シアノエチル化PVA)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニリデンクロライドコアクリロニトリル、ポリスチレン-ビニルポリイソプレンブロック共重合体、ポリビニルメチルケトン、および、ポリブチルメタクリレート等が例示される。また、これらの高分子材料としては、ハイブラー5127(クラレ社製)などの市販品も、好適に利用可能である。なかでも、高分子材料としては、シアノエチル基を有する材料を用いることが好ましく、シアノエチル化PVAを用いるのが特に好ましい。
なお、これらの高分子材料は、1種のみを用いてもよく、複数種を併用(混合)して用いてもよい。
このような高分子材料を用いるマトリックス34は、必要に応じて、複数の高分子材料を併用してもよい。
すなわち、マトリックス34には、誘電特性や機械的特性の調節等を目的として、常温で粘弾性を有する高分子材料に加え、必要に応じて、その他の誘電性高分子材料を添加しても良い。
添加可能な誘電性高分子材料としては、一例として、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体およびポリフッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系高分子、シアン化ビニリデン-酢酸ビニル共重合体、シアノエチルセルロース、シアノエチルヒドロキシサッカロース、シアノエチルヒドロキシセルロース、シアノエチルヒドロキシプルラン、シアノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノエチルヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルアミロース、シアノエチルヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルジヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルヒドロキシプロピルアミロース、シアノエチルポリアクリルアミド、シアノエチルポリアクリレート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリヒドロキシメチレン、シアノエチルグリシドールプルラン、シアノエチルサッカロースおよびシアノエチルソルビトール等のシアノ基またはシアノエチル基を有するポリマー、ならびに、ニトリルゴムやクロロプレンゴム等の合成ゴム等が例示される。
中でも、シアノエチル基を有する高分子材料は、好適に利用される。
また、圧電層20のマトリックス34において、シアノエチル化PVA等の常温で粘弾性を有する高分子材料に加えて添加される誘電性高分子材料は、1種に限定はされず、複数種を添加してもよい。
また、マトリックス34には、誘電性高分子材料以外にも、ガラス転移点を調節する目的で、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリブテン、および、イソブチレン等の熱可塑性樹脂、ならびに、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、および、マイカ等の熱硬化性樹脂を添加しても良い。
さらに、粘着性を向上する目的で、ロジンエステル、ロジン、テルペン、テルペンフェノール、および、石油樹脂等の粘着付与剤を添加しても良い。
圧電層20のマトリックス34において、シアノエチル化PVA等の粘弾性を有する高分子材料以外の材料を添加する際の添加量には、特に限定は無いが、マトリックス34に占める割合で30質量%以下とするのが好ましい。
これにより、マトリックス34における粘弾性緩和機構を損なうことなく、添加する高分子材料の特性を発現できるため、高誘電率化、耐熱性の向上、圧電体粒子36および電極層との密着性向上等の点で好ましい結果を得ることができる。
圧電層20は、このようなマトリックス34に、圧電体粒子36を含む、高分子複合圧電体である。
圧電体粒子36は、ペロブスカイト型またはウルツ鉱型の結晶構造を有するセラミックス粒子からなるものである。
圧電体粒子36を構成するセラミックス粒子としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン酸鉛(PLZT)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、酸化亜鉛(ZnO)、および、チタン酸バリウムとビスマスフェライト(BiFe3)との固溶体(BFBT)等が例示される。
これらの圧電体粒子36は、1種のみを用いてもよく、複数種を併用(混合)して用いてもよい。
このような圧電体粒子36の粒径には制限はなく、高分子複合圧電体(圧電素子10)のサイズおよび用途等に応じて、適宜、選択すれば良い。
圧電体粒子36の粒径は、1~10μmが好ましい。圧電体粒子36の粒径をこの範囲とすることにより、高分子複合圧電体(圧電素子10)が高い圧電特性とフレキシビリティとを両立できる等の点で好ましい結果を得ることができる。
なお、図1においては、圧電層20中の圧電体粒子36は、マトリックス34中に、均一かつ規則性を持って分散されているが、本発明は、これに制限はされない。
すなわち、圧電層20中の圧電体粒子36は、好ましくは均一に分散されていれば、マトリックス34中に不規則に分散されていてもよい。
圧電層20(高分子複合圧電体)において、圧電層20中におけるマトリックス34と圧電体粒子36との量比には、制限はなく、圧電層20の面方向の大きさおよび厚さ、高分子複合圧電体の用途、ならびに、高分子複合圧電体に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。
圧電層20中における圧電体粒子36の体積分率は、30~80%が好ましく、50%以上がより好ましく、従って、50~80%とするのが、さらに好ましい。
マトリックス34と圧電体粒子36との量比を上記範囲とすることにより、高い圧電特性と可撓性とを両立できる等の点で好ましい結果を得ることができる。
圧電層20の厚さには制限はなく、高分子複合圧電体の用途、および、高分子複合圧電体に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。圧電層20が厚いほど、いわゆるシート状物のコシの強さなどの剛性等の点では有利であるが、同じ量だけ圧電層20を伸縮させるために必要な電圧(電位差)は大きくなる。
圧電層20の厚さは、10~300μmが好ましく、20~200μmがより好ましく、30~150μmがさらに好ましい。
圧電層20の厚さを、上記範囲とすることにより、剛性の確保と適度な柔軟性との両立等の点で好ましい結果を得ることができる。
〔電極層および保護層〕
図1に示すように、図示例の圧電素子10は、圧電層20の一面に、下部電極24を有し、その表面に下部保護層28を有し、圧電層20の他方の面に、上部電極26を有し、その表面に上部保護層30を有してなる構成を有する。ここで、上部電極26と下部電極24とが電極対を形成する。
すなわち、圧電素子10は、圧電層20の両面を電極対、すなわち、上部電極26および下部電極24で挟持し、この積層体を、下部保護層28および上部保護層30で挟持してなる構成を有する。
このように、圧電素子10において、上部電極26および下部電極24で挾持された領域は、印加された電圧に応じて伸縮される。
下部保護層28および上部保護層30は、上部電極26および下部電極24を被覆すると共に、圧電層20に適度な剛性と機械的強度を付与する役目を担っている。すなわち、圧電素子10において、マトリックス34と圧電体粒子36とからなる圧電層20は、ゆっくりとした曲げ変形に対しては、非常に優れた可撓性を示す一方で、用途によっては、剛性や機械的強度が不足する場合がある。圧電素子10は、それを補うために下部保護層28および上部保護層30が設けられる。
下部保護層28および上部保護層30には、制限はなく、各種のシート状物が利用可能であり、一例として、各種の樹脂フィルムが好適に例示される。
中でも、優れた機械的特性および耐熱性を有するなどの理由により、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイト(PPS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、および、環状オレフィン系樹脂等からなる樹脂フィルムが、好適に利用される。
下部保護層28および上部保護層30の厚さにも、制限はない。また、下部保護層28および上部保護層30の厚さは、基本的に同じであるが、異なってもよい。
ここで、下部保護層28および上部保護層30の剛性が高過ぎると、圧電層20の伸縮を拘束するばかりか、可撓性も損なわれる。そのため、機械的強度やシート状物としての良好なハンドリング性が要求される場合を除けば、下部保護層28および上部保護層30は、薄いほど有利である。
下部保護層28および上部保護層30の厚さは、3μm~100μmが好ましく、3μm~50μmがより好ましく、3μm~30μmがさらに好ましく、4μm~10μmが特に好ましい。
ここで、圧電素子10においては、下部保護層28および上部保護層30の厚さが、圧電層20の厚さの2倍以下であれば、剛性の確保と適度な柔軟性との両立等の点で好ましい結果を得ることができる。
例えば、圧電層20の厚さが50μmで下部保護層28および上部保護層30がPETからなる場合、下部保護層28および上部保護層30の厚さは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、25μm以下がさらに好ましい。
圧電素子10において、圧電層20と下部保護層28との間には下部電極24が、圧電層20と上部保護層30との間には上部電極26が、それぞれ形成される。
下部電極24および上部電極26は、圧電層20に駆動電圧を印加するために設けられる。
本発明において、下部電極24および上部電極26の形成材料には制限はなく、各種の導電体が利用可能である。具体的には、炭素、パラジウム、鉄、錫、アルミニウム、ニッケル、白金、金、銀、銅、チタン、クロムおよびモリブデン等、これらの合金、これらの金属および合金の積層体および複合体、ならびに、酸化インジウムスズ等が例示される。中でも、銅、アルミニウム、金、銀、白金、および、酸化インジウムスズは、下部電極24および上部電極26として好適に例示される。
また、下部電極24および上部電極26の形成方法にも制限はなく、真空蒸着およびスパッタリング等の気相堆積法(真空成膜法)、めっきによる成膜、ならびに、上記材料で形成された箔を貼着する方法等、公知の方法が、各種、利用可能である。
中でも特に、圧電素子10の可撓性が確保できる等の理由で、真空蒸着によって成膜された銅およびアルミニウム等の薄膜は、下部電極24および上部電極26として、好適に利用される。その中でも特に、真空蒸着による銅の薄膜は、好適に利用される。
下部電極24および上部電極26の厚さには、制限はない。また、下部電極24および上部電極26の厚さは、基本的に同じであるが、異なってもよい。
ここで、前述の下部保護層28および上部保護層30と同様に、下部電極24および上部電極26の剛性が高過ぎると、圧電層20の伸縮を拘束するばかりか、可撓性も損なわれる。そのため、下部電極24および上部電極26は、電気抵抗が高くなり過ぎない範囲であれば、薄いほど有利である。すなわち、下部電極24および上部電極26は、薄膜電極であるのが好ましい。
下部電極24および上部電極26の厚さは、保護層よりも薄く、0.05μm~10μmが好ましく、0.05μm~5μmがより好ましく、0.08μm~3μmがさらに好ましく、0.1μm~2μmが特に好ましい。
ここで、圧電素子10においては、下部電極24および上部電極26の厚さと、ヤング率との積が、下部保護層28および上部保護層30の厚さとヤング率との積を下回れば、可撓性を大きく損なうことがないため、好適である。
例えば、下部保護層28および上部保護層30がPET(ヤング率:約6.2GPa)で、下部電極24および上部電極26が銅(ヤング率:約130GPa)からなる組み合わせの場合、下部保護層28および上部保護層30の厚さが25μmだとすると、下部電極24および上部電極26の厚さは、1.2μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましく、中でも0.1μm以下とするのが好ましい。
圧電素子10は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの損失正接(Tanδ)の極大値が常温に存在するのが好ましく、0.1以上となる極大値が常温に存在するのがより好ましい。
これにより、圧電素子10が外部から数Hz以下の比較的ゆっくりとした、大きな曲げ変形を受けたとしても、歪みエネルギーを効果的に熱として外部へ拡散できるため、マトリックスと圧電体粒子との界面で亀裂が発生するのを防ぐことができる。
圧電素子10は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が、0℃で10GPa~30GPa、50℃で1GPa~10GPaであるのが好ましい。なお、この条件に関しては、圧電層20も同様である。
これにより、圧電素子10が貯蔵弾性率(E’)に大きな周波数分散を有することができる。すなわち、20Hz~20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の振動に対しては柔らかく振る舞うことができる。
また、圧電素子10は、厚さと動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率との積が、0℃において1.0×105~2.0×106(1.0E+05~2.0E+06)N/m、50℃において1.0×105~1.0×106(1.0E+05~1.0E+06)N/m、であるのが好ましい。なお、この条件に関しては、圧電層20も同様である。
これにより、圧電素子10が可撓性および音響特性を損なわない範囲で、適度な剛性と機械的強度を備えることができる。
さらに、圧電素子10は、動的粘弾性測定から得られたマスターカーブにおいて、25℃、周波数1kHzにおける損失正接が、0.05以上であるのが好ましい。なお、この条件に関しては、圧電層20も同様である。
これにより、圧電素子10を用いたスピーカーの周波数特性が平滑になり、スピーカーの曲率の変化に伴い最低共振周波数f0が変化した際の音質の変化を小さくできる。
なお、本発明において、圧電素子10および圧電層20等の貯蔵弾性率(ヤング率)および損失正接は、公知の方法で測定すればよい。一例として、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製(SIIナノテクノロジー社製)の動的粘弾性測定装置DMS6100を用いて測定すればよい。
測定条件としては、一例として、測定周波数は0.1Hz~20Hz(0.1Hz、0.2Hz、0.5Hz、1Hz、2Hz、5Hz、10Hzおよび20Hz)が、測定温度は-50~150℃が、昇温速度は2℃/分(窒素雰囲気中)が、サンプルサイズは40mm×10mm(クランプ領域込み)が、チャック間距離は20mmが、それぞれ、例示される。
〔充填部材〕
充填部材70は、液体状の導電性材料を硬化させたものである。
充填部材70として用いられる導電性材料としては、銀ペースト、金属ナノ粒子インク(Ag、Au)等が利用可能である。
導電性材料の粘度は、10mPa・s(ミリパスカル秒)~20Pa・s(パスカル秒)が好ましく、0.1Pa・s~15Pa・sがより好ましく、0.5Pa・s~10Pa・sがさらに好ましい。
硬化後の充填部材70の比抵抗は1×10^-6(Ω・cm)~1×10^-3(Ω・cm)が好ましく、1×10^-6(Ω・cm)~8×10^-4(Ω・cm)がより好ましく、1×10^-6(Ω・cm)~1×10^-4(Ω・cm)がさらに好ましい。
〔導電性部材〕
(導電性シート)
導電性部材72として用いられる導電性シートは、例えば銅箔など、導電性を有する金属材料で形成されるシート状物である。導電性シートの材料は、銅、アルミニウム、金および銀等が好適に例示される。
また、導電性シートの形状にも特に限定はないが、上述のとおり、長尺形状とするのが好ましい。また、導電性シートの大きさにも特に限定はなく、充填部材70を覆うことができる大きさであればよい。
(導電体)
前述のとおり、導電性部材72は、導電体と、導電体に接続される導電性ワイヤーまたは導電性シートとを有する構成であってもよい。
導電体の材料は、銅、アルミニウム、金、銀、および、真鍮等が好適に例示される。
また、導電体の形状および大きさにも特に限定はなく、充填部材70に接続され、導電性シートまたは導電性ワイヤーと接続できる形状および大きさであればよい。
(導電性ワイヤー)
銅、アルミニウム、金および銀等の導電性の材料からなるワイヤーである。
導電性ワイヤーの径および長さには特に限定はなく、導電体に接続され、電気的な接続を確実にできるものであればよい。
〔固定部材および第2の固定部材〕
固定部材および第2の固定部材としては、導電性部材と保護層とを固定することができれば、各種の接着材料、粘着材料、両面テープ、粘着テープが利用可能である。
前述のとおり、固定部材および第2の固定部材は、導電性部材と保護層との間に設けられる、いわゆる接着層であってもよいし、導電性部材の上から保護層に固定する、いわゆる粘着シートであってもよい。
以下、図14~図19を参照して、圧電素子10の製造方法の一例を説明する。
まず、図14に示すように、下部保護層28の上に下部電極24が形成されたシート状物10aを準備する。このシート状物10aは、下部保護層28の表面に、真空蒸着、スパッタリング、および、めっき等によって、下部電極24として銅薄膜等を形成して作製すればよい。
下部保護層28が非常に薄く、ハンドリング性が悪い時などは、必要に応じて、セパレータ(仮支持体)付きの下部保護層28を用いても良い。なお、セパレータとしては、厚さ25μm~100μmのPET等を用いることができる。セパレータは、上部電極26および上部保護層30を熱圧着した後、下部保護層28に何らかの部材を積層する前に、取り除けばよい。
一方で、有機溶媒に、マトリックスの材料となる高分子材料を溶解し、さらに、PZT粒子等の圧電体粒子36を添加し、攪拌して分散してなる塗料を調製する。
上記物質以外の有機溶媒としては制限はなく各種の有機溶媒が利用可能である。
シート状物10aを準備し、かつ、塗料を調製したら、この塗料をシート状物10aにキャスティング(塗布)して、有機溶媒を蒸発して乾燥する。これにより、図15に示すように、下部保護層28の上に下部電極24を有し、下部電極24の上に圧電層20を形成してなる積層体10bを作製する。なお、下部電極24とは、圧電層20を塗布する際の基材側の電極を差し、積層体における上下の位置関係を示すものではない。
この塗料のキャスティング方法には制限はなく、スライドコータおよびドクターナイフ等の公知の方法(塗布装置)が、全て、利用可能である。
上述したように、圧電素子10において、マトリックス34には、シアノエチル化PVA等の粘弾性材料以外にも、誘電性の高分子材料を添加しても良い。
マトリックス34に、これらの高分子材料を添加する際には、上述した塗料に添加する高分子材料を溶解すればよい。
下部保護層28の上に下部電極24を有し、下部電極24の上に圧電層20を形成してなる積層体10bを作製したら、好ましくは、圧電層20の分極処理(ポーリング)を行う。
圧電層20の分極処理の方法には、制限はなく、公知の方法が利用可能である。
なお、この分極処理の前に、圧電層20の表面を加熱ローラ等を用いて平滑化する、カレンダー処理を施してもよい。このカレンダー処理を施すことで、後述する熱圧着工程がスムーズに行える。
このようにして積層体10bの圧電層20の分極処理を行う一方で、上部保護層30の上に上部電極26が形成されたシート状物10cを、準備する。このシート状物10cは、上部保護層30の表面に、真空蒸着、スパッタリング、めっき等によって上部電極26として銅薄膜等を形成して、作製すればよい。
次いで、図16に示すように、上部電極26を圧電層20に向けて、シート状物10cを、圧電層20の分極処理を終了した積層体10bに積層する。
さらに、この積層体10bとシート状物10cとの積層体を、上部保護層30と下部保護層28とを挟持するようにして、加熱プレス装置や加熱ローラ対等で熱圧着する。
以上の工程によって、圧電層20の両面に電極層および保護層が積層された積層体が作製される。作製された積層体は、各種用途に合わせて、所望の形状に裁断されてもよい。
このような積層体は、カットシート状のシート状物を用いて製造を行っても良いし、ロール・トゥ・ロール(Roll to Roll 以下、RtoRともいう)によって作製されてもよい。
次に、この積層体の保護層に孔部を設けて、孔部に充填部材を形成し、充填部材の上に導電性部材を設置する。
具体的には、まず、図17に示すように、上部保護層30に孔部31を形成する。
孔部31の形成は、レーザー加工(炭酸ガスレーザーなど)による方法、プレス加工により保護層に深さ方向に切り込みを入れて(例えば、保護層の厚みが10μm、電極層の厚みが2μmとしたとき、保護層の厚み方向に8~9.5μmまで切り込みを円形にいれて、その後その円形部を引きはがすことにより形成する)から保護層を剥離させる方法等によって行えばよい。
また、加工の際に、孔部の周縁部に熱や外方向への外力をくわえることによる保護層の強制変形を行うことによって、凸部32を形成してもよい。
さらに、孔部31の加工後、あるいは、加工前に、孔部31の周囲に凹部33を、レーザー加工等によって形成してもよい。
ここで、レーザー加工で孔部31を形成する場合、レーザーを走査して所望の開口形状の孔部を形成する。その際、孔部の開口形状が円形状であると、レーザーを、中心から外側に向かって、あるいは、外側から中心に向かって螺旋状に走査することができるため、レーザー加工に伴い発生する熱がこもりにくくなり電極層の強度の低下を抑制できる。
孔部を複数個設ける場合には、孔部の合計面積が同じであるとすると、孔部が1つの場合に比べて、孔部を複数個設ける場合の方が、レーザー加工に伴い発生する熱がこもりにくくなるため、電極層の強度の低下を抑制でき好ましい。
また、レーザー加工の際のレーザーの走査線の間隔を孔部の中心側と外側とで異なるものとしてもよい。レーザーの走査線の間隔を孔部の中心側と外側とで異なるものとすることで、前述したように、中央部における保護層の残渣量と周辺部における保護層の残渣量とを調整することができる。
また、レーザーの走査線の間隔を孔部の中心側と外側とで異なるものとして調整することで、上述した、電極層と圧電層との間に発生する空隙部の大きさを小さくすることができる。
また、レーザー加工の際に、直径の大きな孔部を保護層の厚さ方向の途中まで形成し、その後、残りの厚さの部分に、直径の小さな孔部を電極層まで形成してもよい。これによって、上述した図8のように円相当直径が段階的に変化しており、電極層側の円相当直径が導電性部材側の円相当直径よりも小さい構成とすることができる。
保護層に孔部31を設けた後には、図18に示すように、孔部31に液体状の導電性材料84を塗布する。塗布の際、導電性材料84が孔部31からはみ出すように塗布する。
導電性材料84の塗布方法としては、シルクスクリーン印刷、ディスペンサーによる滴下、刷毛による塗布などが利用可能である。
導電性材料84を孔部31に塗布した後には、図19に示すように、導電性部材72を導電性材料84の上に載置する。すなわち、導電性部材72は、導電性材料84が硬化する前に導電性材料84を覆うように載置される。
ここで、図19に示すように、導電性部材72の上部保護層30側の面には固定部材74が接着されており、導電性部材72を導電性材料84の上に載置するとともに、導電性部材72を上部保護層30に固定する。これによって、導電性材料84が未硬化の状態で導電性部材72の位置がズレることを防止できる。また、導電性材料84の上に導電性部材72を被せることで導電性材料84が孔部31の上から移動してしまうことを防止でき、孔部31内に充填部材70を確実に存在させることができる。
導電性材料84の上に導電性部材72を載置した後に、導電性材料84を硬化させて充填部材70を形成する。
導電性材料84の硬化方法は、導電性材料84に応じた方法で行えばよい。例えば、導電性材料84の硬化方法としては、加熱乾燥等が挙げられる。
以上の工程によって、本発明の圧電素子が作製される。
このような圧電素子10は、下部電極24および上部電極26に電圧を印加すると、印加した電圧に応じて圧電体粒子36が分極方向に伸縮する。その結果、圧電素子10(圧電層20)が厚さ方向に収縮する。同時に、ポアゾン比の関係で、圧電素子10は、面内方向にも伸縮する。この伸縮は、0.01~0.1%程度である。なお、面内方向では全方向に等方的に伸縮するのは、上述のとおりである。
上述したように、圧電層20の厚さは、好ましくは10~300μm程度である。従って、厚さ方向の伸縮は、最大でも0.3μm程度と非常に小さい。
これに対して、圧電素子10すなわち圧電層20は、面方向には、厚さよりもはるかに大きなサイズを有する。従って、例えば、圧電素子10の長さが20cmであれば、電圧の印加によって、最大で0.2mm程度、圧電素子10は伸縮する。
また、圧電素子10に圧力を加えると、圧電体粒子36の作用によって、電力を発生する。
これを利用することで、圧電素子10は、上述のように、スピーカー、マイクロフォン、および、感圧センサ等の各種の用途に利用可能である。
ここで、PVDF等の高分子材料からなる一般的な圧電素子は、圧電特性に面内異方性を有し、電圧を印加された場合の面方向の伸縮量に異方性がある。
これに対して、高分子材料を含むマトリックス中に圧電体粒子を含む高分子複合圧電体からなる圧電層は、圧電特性に面内異方性がなく、面内方向では全方向に等方的に伸縮する。
このような等方的に二次元的に伸縮する圧電素子10によれば、一方向にしか大きく伸縮しないPVDF等の一般的な圧電素子を積層した場合に比べ、大きな力で振動することができ、より大きく、かつ、美しい音を発生できる。
図1に示す例においては、圧電素子10を1枚有する構成としたがこれに限定はされず
本発明の圧電素子10を複数枚、積層した構成としてもよい。また、本発明の圧電素子10を長尺な形状として、長手方向に、1回以上、好ましくは複数回、折り返すことにより、圧電素子10を複数層、積層した構成としてもよい。
以上、本発明の圧電素子について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
スピーカーおよびマイクロフォン等の音響機器、ならびに、感圧センサなど、各種の用途に好適に利用可能である。
10 圧電素子
10a、10c シート状物
10b 積層体
20 圧電層
24 下部電極
26 上部電極
28 下部保護層
30 上部保護層
31 孔部
32 凸部
33 凹部
34 マトリックス
36 圧電体粒子
70 充填部材
71 はみ出し部
72 導電性部材
72a、72b 領域
73 折り返し部
74 固定部材
76 囲い部材
80 空隙部
82 第2の固定部材
84 導電性部材
86 導電性ワイヤー
87 ハンダ
88 接着部材
90 支柱
92 導電体
94 基板
96 配線
98 プリント配線シート
100 振動板

Claims (19)

  1. 圧電層、前記圧電層の両面に形成される電極層、および、前記電極層の、前記圧電層側の面とは反対側の面に積層される保護層を有する圧電素子であって、
    前記保護層は、表面から前記電極層まで貫通する孔部を有し、
    前記孔部内から前記保護層の表面の一部に形成され、前記電極層に電気的に接続される、導電性材料からなる充填部材と、
    前記充填部材の少なくとも一部を覆って、前記充填部材に電気的に接続される導電性部材と、
    前記導電性部材を固定する固定部材と、を有し、
    前記固定部材は、前記導電性部材を前記保護層に固定する圧電素子。
  2. 前記導電性部材は、導電性シートである請求項1に記載の圧電素子。
  3. 前記導電性部材は、前記充填部材と接続される導電体と、前記導電体に接続される導電性ワイヤーまたは導電性シートとを有する請求項1に記載の圧電素子。
  4. 前記保護層の、前記孔部の辺縁部に形成される凸部を有する請求項1~のいずれか一項に記載の圧電素子。
  5. 前記孔部は、深さ方向において、円相当直径が段階的に変化しており、前記電極層側の円相当直径が前記導電性部材側の円相当直径よりも小さい請求項1~のいずれか一項に記載の圧電素子。
  6. 前記孔部内にある、前記電極層の表面における炭素量が、面方向の中央部において、前記中央部以外の領域よりも少ない請求項1~のいずれか一項に記載の圧電素子。
  7. 前記孔部内にある、前記電極層の表面における炭素量が、面方向の中央部において、前記中央部以外の領域よりも多い請求項1~のいずれか一項に記載の圧電素子。
  8. 前記孔部の開口形状は円形状である請求項1~のいずれか一項に記載の圧電素子。
  9. 前記保護層は複数の前記孔部を有し、
    前記複数の孔部内にそれぞれ形成される、複数の前記充填部材を有する請求項1~のいずれか一項に記載の圧電素子。
  10. 前記複数の充填部材が、前記保護層の表面において連結している請求項に記載の圧電素子。
  11. 前記保護層の表面に、前記孔部の周囲を囲う囲い部材を有し、
    前記充填部材は、少なくとも前記囲い部材内に形成されている請求項1~10のいずれか一項に記載の圧電素子。
  12. 前記保護層の、前記孔部の周囲に形成される凹部を有する請求項1~11のいずれか一項に記載の圧電素子。
  13. 前記保護層の厚みは3μm~100μmである請求項1~12のいずれか一項に記載の圧電素子。
  14. 前記電極層の厚みは0.05μm~10μmである請求項1~13のいずれか一項に記載の圧電素子。
  15. 前記孔部の位置において、前記電極層と前記圧電層との間に空隙部を有し、
    前記孔部が形成されていない位置における前記圧電層の前記電極層との界面の平均高さと、前記孔部の位置における前記圧電層の前記電極層との界面の平均高さとの差が、25μm以下である請求項1~14のいずれか一項に記載の圧電素子。
  16. 前記導電性部材は、長尺形状であり、
    前記導電性部材は、長手方向に折り返す折り返し部を有し、
    前記固定部材は、前記折り返し部を挟んで、前記導電性部材と前記充填部材との接続位置とは反対側の領域で、前記導電性部材と前記保護層とを固定する請求項1~15のいずれか一項に記載の圧電素子。
  17. 前記導電性部材は、長尺形状であり、
    前記導電性部材は、長手方向の一方の端部側で前記充填部材と接続されており、
    前記固定部材は、前記導電性部材の長手方向において、前記導電性部材と前記充填部材との接続位置よりも、前記一方の端部から遠い位置に配置されている請求項1~16のいずれか一項に記載の圧電素子。
  18. 前記導電性部材の、前記一方の端部と前記固定部材との間の領域の辺縁部の少なくとも一部を前記保護層に固定する第2の固定部材を有する請求項17に記載の圧電素子。
  19. 前記圧電層は、高分子材料を含むマトリックス中に圧電体粒子を含む高分子複合圧電体からなる請求項1~18のいずれか一項に記載の圧電素子。
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