本出願は、2013年3月28日に出願されたアメリカ仮出願No.61/806,329の優先権を主張する。その開示の内容は、すべての目的のために参考としてここに組み込まれる。
図1は、マイクロ流体多細胞アッセイに基づく、単一のエフェクター細胞の同定および選択のためのマイクロ流体アプローチの一実施形態のプロセスフロー図である。単一細胞は、任意の動物から得られ、必要に応じてエフェクター細胞集団のために濃縮されている。ハイスループットマイクロ流体分析は、不均一な細胞集団に存在するいくつかの例において、単一のエフェクター細胞から分泌された抗体に機能的スクリーニングを実行するために使用される。マイクロ流体分析の1または複数のラウンドの後、細胞は回収され、抗体可変領域遺伝子は、細胞株でクローニングおよび配列決定(Vh/Vl)のために増幅される。このプロセスは、一週間後に回収された配列を用いて、一日で10万細胞以上のスクリーニングを可能にする。
図2は、マイクロ流体エフェクター細胞濃縮方法の一実施形態のプロセスフロー図である。エフェクター細胞は、チャンバあたり25個の細胞の平均濃度で最初にロードされ、抗体のポリクローナル混合物を作成するために培養される。ポリクローナル混合物のスクリーニングは、細胞外効果(例えば、結合性、親和性または機能活性)の変動を有するチャンバを特定するために使用される。40個のポジティブチャンバは、目的の抗体を作製する~4%のエフェクター細胞で濃縮された集団を得るために回収される。濃縮された集団のエフェクター細胞は、次いで、細胞外効果の変動を有する単一のASC(s)を選択するために、限界希釈法で第2のアレイにおいて分析される。濃縮のために必要な時間は約4時間であり、合計のスクリーニングのスループットは、実行ごとに100,000個の細胞である。濃縮工程は、必要に応じて2回実施されてもよく、各スクリーンに同じまたは異なる特性を使用してもよい。
図3は、本発明の実施形態に係る標的の読み出し粒子に特異的に結合することができる生体分子を産生するエフェクター細胞の存在を同定する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。
図4は、正常細胞ではなく悪性細胞に特異的に結合する生体分子(例えば、抗体)を産生する少なくとも一つのエフェクター細胞の存在を同定する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。
図5は、本発明の一実施形態による、エフェクター細胞の存在を同定する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。そのエフェクター細胞は、読み出し細胞に結合する生体分子を産生する。エフェクター細胞の亜集団は、読み出し細胞として振る舞うように官能化されている。
図6は、抗体テトラマーの模式図である。
図7は、本発明の実施形態に係る、既知の生体分子が結合する標的のエピトープ/分子用スクリーニング方法の上面及び断面を模式的に示す図である。
図8は、本発明の実施形態に係る、標的のエピトープ/抗原に特異的に結合する抗体を産生するエフェクター細胞の存在を同定する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。
図9は、細胞溶解を定量化する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。
図10は、本発明の実施形態に係る、標的のエピトープ/抗原に特異的に結合する抗体を産生するエフェクター細胞の存在を同定する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。
図11は、細胞溶解を定量化する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。
図12は、読み出し細胞の増殖を誘導する生体分子を産生するエフェクター細胞の存在を同定する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。
図13は、アポトーシスを受けるように読み出し細胞を刺激する生体分子を産生するエフェクター細胞の存在を同定する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。
図14は、読み出しのオートファジーを刺激する生体分子を産生するエフェクター細胞の存在を同定する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。
図15は、目的のサイトカインを中和する生体分子を産生するエフェクター細胞の存在を同定する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。
図16は、細胞に感染するウイルスの能力を阻害する生体分子を産生するエフェクター細胞の存在を同定する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。
図17は、本発明の実施形態に係る、標的酵素の機能を阻害する生体分子を産生するエフェクター細胞の存在を同定する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。
図18は、第2のタイプのエフェクター細胞の活性化を誘発する分子を表示するエフェクター細胞の存在を同定する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。そのエフェクター細胞は、読み出し粒子に効果を有する分子を順番に分泌する。
図19は、第2のタイプのエフェクター細胞の活性化を誘導する分子を分泌するエフェクター細胞の存在を同定する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。そのエフェクター細胞は、読み出し粒子に効果を有する分子を順番に分泌する。
図20は、不均一な細胞集団から高親和性を有する抗体を分泌する少なくとも一つのエフェクター細胞の存在を検出する方法の上面及び断面を模式的に示す図である。その細胞集団は、同じ抗原に対して、低い親和性を有する抗体を分泌する細胞を含む。
図21は、本発明の実施形態に係る、抗原の増加した特異性を有する抗体のスクリーニング方法の上面及び断面を模式的に示す図である。異なるエピトープを表示する読み出し粒子が異なる光学的特性によって区別できる。
図22は、均一または不均一なエフェクター細胞の集団において生体分子を分泌する細胞の存在を同時に同定する工程と、分子によって影響を受ける1または複数の細胞内化合物を分析する工程を含む方法の上面及び断面を模式的に示す図である。
図23は、読み出し粒子の複数のセットのエフェクター細胞の細胞外効果を同時に評価する方法の平面を模式的に示す図である。
図24は、ヒト、ウサギ、マウス、ラットのPDGFRαのための細胞外ドメインのアライメントである。(上)リボンは、(Shim et al. (2010). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 107, pp. 11307-11312(その全体が参照により本明細書に組み込まれる))PDGFBBのダイマーと複合体中の2つのPDGFRβの細胞外ドメイン(ECD)の構造を示す図である。PDGFRαの同様の構造が期待されたが、利用できなかったので、PDGFRβが示されていることに注意されたい。(下)ECDのアライメントは、ヒト、マウス、ウサギ、ラットのPDGFRαである。ヒトアイソフォームからの変動の領域は、より明るい陰影と、「*」で示される。実質的な変動は、人間から最も変動を有するウサギで、抗体認識に利用可能な多数のエピトープがあることを示している。
図25は、多層ソフトリソグラフィマイクロ流体工学の種々の態様を示す画像を提供する。(A)は、MSL製のバルブの光学顕微鏡写真である。二つの交差微細加工チャネル(一方は活性流体の「フローチャネル」(垂直)、他方はバルブ作動用制御チャネル(水平))は、バルブ構造を作成する。フローチャネルは、「ピンチ弁」を作成するために、薄いエラストマー膜によって制御チャネルから分離される。コントロールチャネルの加圧は、フローチャネルを閉鎖するために膜を偏向させる。(B)は、(緑色及び青色食用色素で充填された)複数のバルブを一体化するデバイスの断面である。(C)は、合計、16,000個のバルブ、4000個のチャンバ、および3000個以上の層‐層相互接続(矢印)を有するUBCで組み立てられたデバイスの断面である。(D)は、スケール用のペニーとマイクロ流体デバイスの例である。
図26は、本発明の一つのデバイスの概略図である。(A)は、単一の抗体分泌細胞から抗体を選択するためのマイクロ流体デバイスの構造を示す模式図である。(B)は、4032個の分析チャンバのアレイである。各チャンバは、インキュベーション中に隔離され、培地は数分以内に交換される。(C)は、個々のチャンバの拡大図である。細胞、読み出し粒子および試薬は、連続的に注入され、重力により沈降する。画像イメージングは、自動化された明視野/蛍光顕微鏡を用いて実行される。
図27は、一実施形態のデバイス製造中に組み立てられている層の概略図である。
図28の(A)は、インフレータブルチャンバデザインの上面図と側面図である。チャンバは、上部に大きな円形の「リップ」を有する円形の形状を有し、かつ薄い膜によって分離された凹部によって覆われている。流路にチャンバを接続するバルブが密封され、細胞が流路の下へロードされる。(B)チャンバに対しバルブが開放され、圧力がチャンバを膨張させるために付与される。これにより、細胞がチャンバの上部に入る原因となる。(C)バルブは、チャンバを密閉するために閉じられ、そして細胞は、チャンバの床に落下する。チャネルは、新鮮な培地でフラッシュされる。(D)バルブが開放され、圧力が解放され、チャンバが当初のボリュームに戻るように「収縮」する。このプロセスの繰り返しは、培地および/または可溶性因子を交換するために使用されてもよい。
図29は、細胞フェンスの片側に粒子を向かわせるために層流の使用を示す本発明の実施形態に係る細胞フェンスを有するマイクロ流体チャンバの概略図である。
図30は、入口チャネルの一方の側に粒子を優先的に向かわせるために、チャンバの入口の上流が制限されていることを示す本発明の実施形態に係る細胞フェンスを有するマイクロ流体チャンバの概略図である。
図31は、PDMSマイクロ流体デバイスの製造に使用される、シリコンウエハ基板上のフォトレジストの複数の層から作られた再利用可能な金型の概略図である。
図32は、粒子サイズに基づいて、粒子を選択的に分離する細胞フェンスの使用を示す本発明の実施形態に係る細胞フェンスを有するマイクロ流体チャンバの概略図である。
図33は、チャンバ(全体のチャンバ寸法は300μmX160μm)の下面に、ウェルのアレイを形成する一連の交差細胞フェンス(複数のエフェクターおよび読み出しゾーンを定義している)を有するチャンバの実施形態の上面図である。
図34は、粒子トラップを規定する一般的な円形部分によって接続された2つの垂直細胞のフェンスを有するチャンバ用の粒子トラップの実施形態(グリッドピッチが2μmである)の図である。
図35は、チャンバ内に特定のサイズの粒子を保持するために、出口に位置された微細加工構造の使用を示す本発明の実施形態によるマイクロ流体チャンバの概略図である。
図36は、チャンバの底部にデッドエンドカップを含むマイクロ流体チャンバの側面模式図である。
図37は、構造要素がエフェクター細胞および読み出し粒子を保持するために流路内に配置された本発明の実施形態によるチャンバの側面概略図である。
図38は、構造要素が大きさに基づいて粒子を保持および分離するためにチャンバ内に連続して配置された本発明の実施形態に係るチャンバの側面模式図である。
図39は、多孔質膜が読み出し粒子からエフェクター細胞を分離するために使用されるマイクロ流体チャンバの連続フロースルー配置の平面模式図である。
図40は、非官能化ビーズの層が読み出し粒子からエフェクター細胞を分離するために使用されるマイクロ流体チャンバの連続フロースルー配置の平面模式図である。
図41は、チャンバ内に粒子を配置するために磁場の使用を示す本発明の実施形態によるマイクロ流体チャンバの概略図である。
図42は、本発明の実施形態に係る粒子を分離する方法の概略図である。その方法は、あるタイプの粒子をチャンバ内のある位置に向かわせるために、磁性粒子が結合される磁場を使用する。磁粒子が結合されない粒子には、効果はないか、ほとんどない。
図43は、細胞フェンスを有するチャンバの実施形態の断面図である。チャンバは、読み出したゾーンに読み出し粒子(ビーズ)のローディングを促進するために傾けられている。
図44は、本発明の実施形態に係る細胞フェンスを有するマイクロ流体チャンバの概略図である。これは、フェンスの一方の側に粒子を優先的に向かわせるためにチャンバの回転の使用を示している。
図45は、エフェクター細胞及び読み出し粒子の差分密度を用いた本発明の実施形態によるエフェクター細胞および読み出し粒子を分離する方法の概略図である。
図46は、チャンバ内の粒子を配置するための誘電場の使用を示す本発明の実施形態に係る集積電極を含むマイクロ流体チャンバの概略図である。
図47は、本発明の実施形態に係るチャンバの平面概略図を示す。エフェクター細胞および読み出し粒子は、別個の入口を介してチャンバに導入されている。
図48は、本発明の実施形態による化合物チャンバの平面模式図である。エフェクターゾーンサブチャンバと読み出しゾーンサブチャンバとが互いに流体連通するように配置されている。
図49は、チャンバの底部にサスペンションエフェクター細胞をとどめるための重力、チャンバの天井で読み出しゾーンの足場依存性読み出し細胞をとどめるための表面機能とを使用して、エフェクター細胞と読み出し粒子とを分離する方法の概略図である。
図50は、浮遊細胞が重力によって一方の側に分離されている間、反対側のみに接着細胞を維持するための官能化されたチャンバの平面模式図である。
図51は、表面上に異なる種類の抗体を提示する粒子を分離するために、2種類の抗体で官能化されたチャンバの平面模式図である。
図52は、マイクロ流体チャンバの直列「フロースルー」配置の平面模式図である。各チャンバは、チャンバ間に位置するバルブによって、その隣のものから隔離されている。
図53は、マイクロ流体チャンバの直列「フロースルー」配置の平面模式図である。各チャンバは、「蓋」構造により、隣のチャンバで共有される流路から分離されている。
図54は、マイクロ流体チャンバの並列「フロースルー」配置の平面を模式的に示す図である。隣接するチャンバは、共通の入口チャネル及び出口バスチャネルを共有する。
図55は、マイクロ流体チャンバの並列「フロースルー」配置の平面を模式的に示す図である。隣接するチャンバは、共通の入口チャネル及び出口バスチャネルを共有する。
図56は、マイクロ流体チャンバの並列配置で使用される「デッドエンド」充填チャンバの上面および側面を概略的に示す図である。
図57は、化合物チャンバの機能を提供することができるデッドエンド充填チャンバの並列配置の模式図である。
図58は、細胞の回収中、細胞の回収用のマイクロ流体機器と、画像シーケンスとの画像である。上の図は、左から右へ流れ、チャンバ内の細胞と細胞回収中の画像シーケンスの光学顕微鏡写真、キャピラリーピアスチャンバルーフ(左端)、吸引、空のチャンバ、およびチューブに細胞を分配するキャピラリー(右端)である。左下の図は、次の(i)~(viii)を含む特注のマイクロ流体スクリーニング機器の画像である。(i)は、ロボットマイクロマニピュレータに取り付けられたマイクロキャピラリーである。(ii)は、ナノリットル流量吸引/分注用のデジタル空気力学である。(iii)は、X-Y翻訳マウントである。(iv)は、回収管用マウント付きのインキュベーターインサートである。(V)は、アレイの全域でイメージ獲得用のX-Yステージスキャニングである。(vi)は、倒立顕微鏡である。(vii)は、高感度蛍光イメージングのために冷却されたHamamatz CCDカメラである。(viii)は、キャピラリー操作用制御ソレノイドである。右下の図は、細胞の回収用の配置キャピラリーを有するインキュベーターインサートの下に取り付けられたマイクロ流体デバイスの近接撮影である。(C)チャンバ内の細胞と細胞回収中の画像シーケンスの光学顕微鏡写真(左上)、キャピラリーピアスチャンバルーフ(右上)、吸引、空のチャンバ(左下)、およびチューブに細胞を分配するキャピラリー(右下)。(D)細胞回収の性能である。モードIで動作しているときに、複数のチャンバは、分注する前に吸引される。これは、細胞の2段階スクリーニング(濃縮)、または細胞のプールの回収のために使用される。各チャンバからの回収は、約3秒かかる。モードIIで動作している場合、単一のチャンバの内容物は、吸引され、分注される。単一の細胞間にキャリーオーバーがないことを保証するように4回の洗浄工程が続いて行われる。
図59は、テンプレート切替えを使用して、単一の細胞のHV/LVアプローチの概略図である。単一細胞がマイクロチューブ内に堆積され、cDNAは、重鎖および軽鎖の定常領域を標的とする多重化遺伝子特異的プライマーから生成される。MMLV酵素のテンプレート切替え活性は、得られたcDNAの3 '末端にテンプレート切替えオリゴの逆相補体を付加するために使用される。半ネステッドPCRは、その重鎖および軽鎖の定常領域と、オリゴ切替えコピーテンプレートに相補的なユニバーサルプライマーとをアニールする多重化プライマーを使用する。半ネステッドPCRは、cDNAを増幅し、各単一の細胞のアンプリコンに特異的であるインデックス配列を導入するために使用される。その後、アンプリコンは、プールされ、配列決定される。
図60、従来のハイブリドーマアプローチの概略図である。免疫マウスからの脾細胞を骨髄腫細胞と融合させる。低効率では、これらの融合体は、mAbsを分泌することができ、培養で増殖させることができる実行可能な「ハイブリドーマ」を作成する。ハイブリドーマのプールは、増殖され、抗原特異的細胞の存在を検出するためにアッセイされる。その抗原特異的細胞は、その後サブクローニングされ、機能的スクリーニングのための十分なmAbsを生成するために拡張される。独自のハイブリドーマ技術がウサギのために開発されたが、このアプローチは、適切な融合パートナーを必要とし、マウスまたはラットと使用するためにに大きく制限される。典型的な融合は、100未満の安定したハイブリドーマをもたらし、培養およびサブクローニングのために~9週間を必要とする。
図61は、細胞培養チャンバ、バルブ、およびチャネル接続チャンバを示すラベルを有する薄い膜内に含まれるマイクロ流体チャンバレイの断面図を示す図である。
図62は、図61に示されるマイクロ流体デバイスのチャンバの概略図である。
図63は、2048個の4つサブアレイに配置された8192個のチャンバを有するマイクロ流体デバイスの写真を示す。マイクロ流体チャンバアレイは、エラストマーの300ミクロンの厚さの層内の浸透槽貯水層の下に直接的に位置されている。
図64は、図62に示されたマイクロ流体デバイスの模式図である。
図65は、エフェクター細胞と標的細胞の分離を可能にするマイクロ流体デバイスの概略図である。
図66は、図6のマイクロ流体デバイスの単一ユニット細胞の概略図である。
図67は、図66の縦方向の点線に沿って切断した断面の顕微鏡写真である。
図68は、図66の水平方向の点線に沿って切断した断面の顕微鏡写真である。
図69は、サイトカイン中和アッセイの実施形態を示す連続の模式図である。
図70Aは、エフェクターゾーン(上)の右端に示される5つのエフェクター細胞と、読み出しゾーン(下)の4つの読み出し粒子とを有する具体化チャンバの平面光学顕微鏡画像を示す。
図70Bは、読み出しゾーンの4つの読み出し粒子と関連する蛍光と、エフェクターゾーンの右端でエフェクター細胞に関連するいくつかの蛍光を有する、図70Aに示される具体化チャンバの平面蛍光顕微鏡画像を示す。
図70Cは、エフェクターゾーンに示された一つのエフェクター細胞(左)と、読み出しゾーン(右)内の1つの読み出し粒子とを有する具体化チャンバの平面光学顕微鏡像である。
図70Dは、読み出しゾーンにおける読み出し粒子に関連した蛍光を有する図70Cに示される具体化チャンバの平面蛍光顕微鏡像である。
図70Eは、エフェクターゾーンにおける2つのエフェクター細胞(左)と、読み出しゾーンにおける6つの読み出し粒子(右)とを有する具体化チャンバの平面光学顕微鏡像である。
図70Fは、読み出しゾーンにおける読み出し粒子に関連したいくつかの蛍光を有する図70Eに示される具体化チャンバの平面蛍光顕微鏡像である。
図71は、抗体分泌細胞からの抗体の捕捉および検出のためのワークフローの概略図である。
図72は、ビーズ免疫捕捉アッセイからの蛍光明視野画像、それに続く4.5日間のクローンのタイムラプス画像の例である。
図73は、マイクロ流体アレイにおけるCHO抗体分泌細胞の強固な細胞培養物を示している。それは、96マルチウェルプレートに播種された単一細胞と、バッチ振盪フラスコとで比較されている。
図74Aは、抗リゾチーム抗体を分泌するHyHEL5ハイブリドーマ細胞がロードされたマイクロ流体チャンバ(上のパネル)と、HyHEL5ハイブリドーマ細胞がロードされなかったマイクロ流体チャンバ(下のパネル)の光顕微鏡写真である。
図74Bは、図74Aに示されるチャンバの光顕微鏡写真である。リゾチームに結合しない「バックグラウンド」抗体を分泌する4B2ハイブリドーマ細胞がHyHEL5細胞に加えて、ロードされている。
図74Cは、蛍光リゾチームとのインキュベーション後、図74Bに示されるチャンバの蛍光顕微鏡写真である。
図74Dは、蛍光抗IgG抗体とのインキュベーション後、図18Cに示されるチャンバの蛍光顕微鏡写真である。
図74Eは、図74Cに示されるチャンバの抗体の蓄積と解放との反応速度論を示すグラフである。
図74Fは、経時的に記録された増殖培地における10 nMのリゾチームと、タンパク質Aとの存在下でインキュベートされた4B2ハイブリドーマ細胞とHyHEL5との混合物を含む600個のチャンバの蛍光を示すグラフである。
図75Aは、抗体を分泌する細胞を含むが、目的の抗原に対する抗体を分泌する細胞を含まないチャンバ内のシグナル欠如の3つの代表的な例を示す。
図75Bは、3つの代表的なチャンバの例を示す。目的の抗原に対する抗体を分泌する単一の細胞は、目的の抗原に特異的でない抗体を分泌する複数の細胞のバックグラウンドの中で検出される。
図75Cは、目的の抗原に対する抗体を分泌しないハイブリドーマ細胞のみを含むチャンバの全てにおける蛍光信号のヒストグラムを示す。
図75Dは、目的の抗原(ニワトリ卵白リゾチーム)に対する抗体を産生するHyHEL5ハイブリドーマ細胞と、異なる光源に対する抗体を産生するDMS-1ハイブリドーマ細胞との混合物を含有するチャンバにおける蛍光信号のヒストグラムを示す。
図76Aは、固定されたK562細胞上でヒトCD45に対する抗体を分泌する単一のハイブリドーマ細胞(4B2)の概略図である。細胞とビーズは、インキュベーションに続き、検出抗体で染色される。
図76Bは、単一のハイブリドーマを含むチャンバと、空のチャンバとの自動画像解析により測定された読出し細胞およびビーズの平均蛍光強度を示す。
図76Cは、左から右へ、単一のハイブリドーマ細胞を有するチャンバを示す。同一チャンバ内で抗CD45抗体染色の明視野画像、蛍光画像および統合画像は、標的固定K562細胞との一晩のインキュベーションおよびプロテインAビーズとの2時間のインキュベーションに続いている。
図77Aは、免疫化および結合アッセイの概略図である。マウスは、卵巣癌細胞(TOV21G)からライブ細胞で免疫された。抗体分泌細胞は、FACSを用いて選別され、次いで、マイクロ流体デバイスに注入され、CFSEで染色された読み出し細胞(固定ライブTOV21G細胞)と共にインキュベートされた。結合抗体は、二次標識抗体を用いて可視化されている。
図77Bは、チップ上にロードした後の形質細胞および読み出し細胞(ライブおよび固定)を示す。読み出し細胞は、同定するためにCFSEで染色されている。ライブ細胞や固定細胞の細胞表面に結合する抗体は、二次標識抗体を用いて可視化されている。右端に、読み出し細胞に非常に低い信号を有するネガティブチャンバを示している。
図78は、(A)8日間成長させたマウスASC、及び(B)5日間増殖させたヒトのASCのELISPOTによる細胞生存および抗体分泌を示す画像である。ウェルあたり播種された細胞数が示されている。
図79は、卵巣癌細胞で免疫したマウスからのASC選択を示す。(A)は、PE抗マウスCD138で染色されたマウス脾臓細胞の蛍光活性化細胞選別を示すプロットである。ゲーティングは、CD138 +集団を示している。(B)は、ソートされていない脾臓コントロール、CD138-コントロール、およびCD138 +集団からの抗体の分泌を示すELISPOTである。ウェルあたりプレートされた細胞数が示されている。(C)は、各集団用にプレートされた細胞あたりの%スポットとしてELISPOTカウントを示すグラフである。
図80は、インフルエンザで免疫したウサギからのASC選択を示す。(A)は、ER-トラッカーおよびマウス抗ウサギIgGを用いて、ウサギPBMCの蛍光活性化細胞選別を示すプロットである。ゲーティングは、ERhighIgGlow集団の選択を示す。(B)は、ソートされていないPBMCコントロール、ERhighIgGlow集団、および無細胞コントロールからの抗体の分泌を示すELISPOTである。ウェルあたりプレートされた細胞数が示される。(C)は、ソートされていないPBMCコントロールおよびERhighIgGlow集団のためにプレートされた細胞あたりの%スポットとしてELISPOTカウントを示すグラフである。
図81Aは、濃縮の前の抗原特異的ポジティブチャンバからの明視野(上)および蛍光(下)画像の代表的な例を示す。
図81Bは、一晩の培養と回収後のマルチウェルプレート中の細胞を示す。
図81Cは、濃縮した後の単一細胞希釈でロードされた抗原特異的ポジティブチャンバの明視野(上)および蛍光(下)画像の代表的な例を示す。
図81Dは、濃縮前後、H1N1-ポジティブチャンおよびH3N2-ポジティブチャンバの頻度を示す。
図82は、2つのチャンバを示す光学顕微鏡画像である。それは、抗体(上)を分泌する2つのチャンバの少なくとも一つと、任意のエフェクター細胞(下)がないもう一つのチャンバとともに複数のエフェクター細胞を含む。読み出し粒子は、分泌された抗体が、存在し(上)、抗体分泌エフェクター細胞(下)の不存在下で分散したままである時、凝集体を形成する。
図83は、16Gにおける2つのチャンバを示す蛍光顕微鏡画像である。それは、抗体(上)を分泌する2つのチャンバの少なくとも一つと、任意のエフェクター細胞(底)なしのもう一つのチャンバとともに、複数のエフェクター細胞を含む。両方のチャンバは、細胞外効果の存在を決定するために、蛍光標識された抗ヒト抗体で染色されている読み出し粒子(プロテインAビーズ)を含む。
図84Aは、実施例13に示された実験を示す図である。
図84Bは、標識抗原の濃度が異なるマイクロ流体チャンバの光学顕微鏡写真である。
図84Cは、異なる親和性を有する抗体を分泌する単一のハイブリドーマ細胞(HyHEL5とD1.3)とのインキュベーション後、標識された抗原(鶏卵リゾチーム)の異なる濃度でのビーズの蛍光強度のグラフである。
図84Dは、異なる親和性を有する抗体を分泌する単一のD1.3とHyHEL5細胞とのインキュベーション後および異なる濃度の抗原(ニワトリ卵白リゾチーム)で標識した後、図84Bにおける画像に対応したビーズの蛍光強度を示すグラフである。
図85は、分離維持された各チャンバのバルブを閉じた状態でインキュベーションした後、H3N2に対する抗体を分泌するヒト血漿細胞を含むマイクロ流体アレイの断面を示す。
図86は、隔離バルブを用いずにインキュベートした後、H3N2に対する抗体を分泌するヒト血漿の細胞を含有するマイクロ流体アレイの断面を示す。チャンバは、流路によって接続されたままであることを可能にする。
図87は、ニワトリ卵白リゾチームに対する抗体を産生する二つの単一の一次マウス血漿細胞用マイクロ流体スクリーニングによって得られる親和性測定の代表的な例を示す。
図88は、HyHEL5ポジティブチャンバ中のビーズの残りの蛍光レベルが、洗浄の終了時にチャンバの残りの部分よりも高いことを示す棒グラフである。
図89Aは、不均一な細胞(赤血球およびヒトB細胞)集団を含むチャンバの上面光学顕微鏡の例である。
図89Bは、不均一な細胞集団と、読み出し粒子の集団(プロテインAビーズ)とを含むチャンバの上面光学顕微鏡の一例である。
図89Cは、不均一な集団中の少なくとも1つの細胞がヒトIgG抗体を分泌することを示すチャンバの上面蛍光顕微鏡の一例である。抗体は、Dylight594結合抗ヒト抗体で染色された読み出し粒子によって捕獲された。
図89Dは、チャンバ内にH1N1抗原を流した後、不均一な細胞集団と、読み出し粒子の集団とを有するチャンバの上面光学顕微鏡の一例である。
図89Eは、チャンバ内にH1N1抗原を流した後、読み出し粒子(プロテインAビーズ)の集団とともに不均一な細胞集団の平面蛍光顕微鏡の一例である。H1N1抗原は、全IgG染色からの抗原特異的な染色を区別するように、4Dylight88に結合された。
図89Fは、細胞の回収後のチャンバの上面光学顕微鏡の例である。
図90は、マルチウェルプレートにおいて、PathHunter(登録商標)eXpress CCR4 CHO-K1のβアレスチンGPCRアッセイを用いる化学発光シグナル伝達アッセイの一例を示す。
図91は、実験の概略図である。ヒトボランティアは、形質細胞を濃縮するためにフローサイトメトリーで選別され、回収された季節性インフルエンザワクチンの末梢血単核細胞(PBMCs)で免疫化された。細胞は、マイクロ流体デバイス内に注入され、H1N1およびH3N2特異性についてアッセイされた。
図92は、プロテインAビーズを有するチャンバ内の単一ヒト形質細胞の例である。ビーズ上に捕捉され分泌された抗体は、H1N1とH3N2の両方の標識抗原に結合する。したがって、その抗体は交差反応性である。標識抗ヒトIgGは、総IgG分泌の可視化を可能にする。
図93は、マイクロ流体デバイスで一晩のインキュベーション中、分割され(右上)、ビーズアッセイを使用してインフルエンザに対する抗体を産生する(左下)ように同定された一次ヒト抗体分泌細胞(左上)の一例を示す図である。
図94は、マイクロ流体デバイス内の単一細胞スクリーニングの後、抗体の重鎖および軽鎖遺伝子特異的PCR生産物のSizeSelect(登録商標)の2%アガロースゲルの写真である。レーンI~IVはそれぞれ、サンプル3~6の重鎖PCR増幅の生産物を示す。レーンVは、核酸ラダーを示す。レーンVI~VIIIはそれぞれ、サンプル3,5,6のκ鎖PCR増幅を示している。レーンIXは、サンプル4のラムダ鎖のPCR増幅を示している。
図95Aは、インフルエンザに対する抗体を分泌する2つの単一細胞からの重鎖および軽鎖の両方の増幅を示すゲルである。
図95Bは、H1N1およびH3N2に対する抗体を分泌する2つの細胞からの可変重および軽アミノ酸配列を示す。
図95Cは、H1N1とH3N2の両方と交差反応する組換えヒトmAbsの機能的検証である。
図96Aは、読み出し捕捉ビーズ上の蛍光シグナルによって検出されたH1N1に対する抗体を分泌する少なくとも一つのエフェクター細胞を含有するウサギ血漿細胞の不均一な集団を有する容器の一例を示す図である。
図96Bは、読み出し捕捉ビーズ上の蛍光シグナルによって検出されたH3N2に対する抗体を分泌する少なくとも一つのエフェクター細胞を含有するウサギ血漿細胞の不均一な集団を有する容器の一例を示す図である。
図97Aは、複数の濃縮されたウサギ血漿細胞でロードされた4つのチャンバの明視野画像を示す。
図97Bは、H1N1を検出した後の図123Aのチャンバの蛍光画像を示す。すべてのチャンバは、陰性であり、H1N1に対する抗体を分泌する細胞を含んでいない。
図97Cは、H3N2を検出した後の図123Cのチャンバの蛍光画像を示す。チャンバは、可変ビーズ強度を示すが、それらのすべてが陽性であり、H3N2に対する抗体を分泌する少なくとも一つの細胞を含む。
図97Dは、図123CにおけるH3N2陽性マイクロ流体チャンバからの回収後、ウサギの細胞から増幅された重鎖および軽鎖を示すゲルである。
図98は、濃縮のために再注入する直前に、注入ポートに近づいている回収された細胞でロードされたキャピラリーの画像を示す。
図99は、抗体のクローニング、発現および特徴付けによって、ヒト抗体配列の検証の一例を示す図である。
図100は、マイクロ流体デバイスから回収されたハイブリドーマ単一細胞のRT-PCR増幅からのバンドを示すゲルである。
図101は、マイクロ流体デバイスでスクリーニングされた単一のD1.3およびHyHEL5ハイブリドーマ細胞から取得された配列の組換え発現と、ハイブリドーマ(D1.3とHyHEL5)によって産生された抗鶏卵リゾチーム抗体の親和性を比較したグラフである。抗マウス抗体捕捉ビーズは、D1.3およびHyHEL5抗体を発現する組換えHEK293細胞またはハイブリドーマからの細胞上清と共にインキュベートされ、洗浄され、異なる濃度の標識された抗原でインキュベートされた。蛍光測定は、組換えにより産生された抗体の結合特性を検証するために、最も高い抗原濃度で最大のビーズの強度に正規化された。
図102は、R05C14抗体を一時的に発現するHEK293細胞またはHEK293細胞(対照)からの上清とインキュベートされ、続いて、標識されたニワトリ卵白リゾチーム(10nM)とインキュベートされたビーズの蛍光強度を示すグラフである。ニワトリ卵白リゾチームに対する新規なマウス抗体の結合は、配列R05C14がマイクロ流体スクリーンで抗原特異的として同定された一次マウス血漿細胞から得られた後、確認された。
図103Aは、40~60℃のRT温度の勾配を用いて、実施例25に記載の方法によって産生されたアンプリコンを示すPCRゲルの画像である。
図103Bは、図103Aに示される400~600塩基対のバンドのサンガー法による配列決定の結果を示す。配列を整列し、D1.3の重鎖の可変領域配列に一致することを確認した。
図104Aは、次世代シークエンシングに基づいたIgGレパートリーの機能的解釈の方法の概略図である。
図104Bは、次世代シークエンシングに基づいたIgGレパートリーの機能的解釈の方法の概略図である。
図104Cは、次世代シークエンシングに基づいたIgGレパートリーの機能的解釈の方法の概略図である。
図105Aは、異なる蛍光強度のビーズを用いた抗原検出多重化の概略図である。
図105Bは、マイクロ流体チャンバ内にロードされた3種類の読み出しビーズの明視野像である。
図105Cは、マイクロ流体チャンバ内の抗原および異なる強度を有する3種類の読み出しビーズの蛍光画像である。
図105Dは、信号を表示するH1N1でコーティングされたビーズ(矢印)のみで、ウサギ抗H1N1抗体および二次抗ウサギ抗体との検出後の3種類の読み出しビーズの蛍光画像である。
図105Eは、異なるインフルエンザ株でコーティングされ、蛍光強度に基づいて区別された3種類のビーズのH1N1検出後の信号を示す。
図106Aは、TNF-α濃度の関数として、アクチノマイシンDの存在下、L929細胞の毒性応答を示す。
図106Bは、TNF-αおよびアクチノマイシン-Dの存在下、マイクロ流体デバイス内で培養されたL929細胞を使用するアポトーシス壊死アッセイを示す。
図107Aは、TNFα機能アッセイからのタイムラプス蛍光顕微鏡画像を示す。(A)上のパネル:TNFαリガンドの非存在下、蛍光局在は細胞質である。中央のパネル:TNFαリガンド10ng / mLにより活性化されると、細胞質から核の蛍光の変化が観察される。下のパネル:TNFαリガンド10ng / mLに加え、TNFαリガンドを中和する抗体を含む細胞上清の存在下、蛍光局在は細胞質のままである。
図107Bは、核蛍光局在化を示す活性化細胞の頻度を示すプロットである。定量した細胞の数がnで示されている。
図108は、個々のマイクロ流体チャンバにおけるSKBR3細胞集団の0日、1日、3日後の光学顕微鏡写真を示す。SKBR3細胞は、LC3-GFPレポーターを含んでいる。
図109Aは、CEFペプチドで活性化された後、IFNγ捕捉ビーズの存在下でインキュベートされた末梢血単核細胞の集団を含むチャンバの明視野像を示す。
図109Bは、CEFペプチドで活性化された後、IFNγを分泌する少なくとも一つの活性化T細胞を含むチャンバの蛍光画像を示す。
図109Cは、CEFペプチドで活性化された後、5日間培養されたT細胞クローンを含むチャンバの明視野像を示す。
図109Dは、CEFペプチドで刺激された末梢血単核細胞の集団中の抗原特異的T細胞の数を測定するELISPOTと比較して、マイクロ流体アッセイを使用する方が感度が高いことを示す。
図110は、細胞生存PDGFRα機能的細胞外効果アッセイから、3つのサブアレイからのチャンバの蛍光顕微鏡像である。T=48時間で、(A)リガンドの不存在下または(B)PDGF-AAの25ng/ mLの存在下、PDGFRαおよびヒストン2B-YFPを発現するBaF3クローンにおいて、YFP蛍光読み出しを示している。挿入図は、個々のマイクロ流体チャンバを拡大する。図110Cは、マイクロ流体デバイス中での12、24、36および48時間の培養後、ライブ読み出し細胞集団(PDGFRAを過剰発現させているBaF3、白い矢印)と共培養され、少なくとも1つのエフェクター抗体分泌細胞を含む濃縮化マウス脾細胞(2細胞、黒い矢印)の集団の顕微鏡写真を示す。
図111は、プレート系アッセイから得られた蛍光画像を示す。そのアッセイにおいて、PathHunter(登録商標)eXpress CCR4 CHO-K1のβアレスチンのGPCRレポーター細胞は、異なるの濃度のアゴニストCCL22、その後に続く異なる濃度の基質C12FDGでインキュベートされた。GPCR CCR4の活性化は、βガラクトシダーゼ酵素の相補性の原因となり、順番に蛍光生成物中の基質を切断した。
図112Aは、マイクロ流体GPCRシグナル伝達アッセイの明視野蛍光画像を示す。そのアッセイにおいて、PathHunter(登録商標)eXpress CCR4 CHO-K1のβアレスチンのGPCRレポーター細胞は、マイクロ流体デバイスにロードされ、90分間C12FDG基質でインキュベートされた。その後、90分間、異なる濃度のアゴニストCCL12とのインキュベートが続いた。アゴニストによるGPCR CCR4の活性化は、βガラクトシダーゼ酵素の相補性の原因となり、順番に蛍光生成物中の基質を切断した。
図112Bは、図112Aに示すように、基質C12GDFおよび異なる濃度のアゴニストCCL12とインキュベートされたPathHunter(登録商標)eXpress CCR4 CHO-K1βアレスチンGPCRレポーター細胞の蛍光強度の測定値を示すグラフである。
本明細書で使用される、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかに別の指示がない限り、複数の場合を含む。したがって、例えば、「もの」は、一つのそのようなもの以上のものを含む。ここに記載された参考文献は、そのような参考文献が本発明に対する先行技術であることを認めるものではない。
本明細書中で使用される「読み出し」は、細胞外効果が報告される方法を指す。本明細書に記載されるように、「読み出し粒子集団」は、一つ以上の読み出し粒子を含むことができる。
本明細書で使用される「細胞外効果」とは、エフェクター細胞の細胞外にある読み出し粒子の直接的または間接的な効果である。それは、特に限定されないが、増加した細胞増殖、減少した増殖、アポトーシス、溶解、分化、感染、結合(例えば、細胞表面受容体またはエピトープへの結合)、形態変化、誘導またはシグナル伝達カスケードの阻害、酵素阻害、ウイルス阻害、サイトカイン阻害、補体の活性化を含む。本明細書で提供されるように、一実施形態では、細胞外効果は、エフェクター細胞によって分泌される目的の生体分子の読み出し粒子への結合である。別の実施形態では、細胞外効果は、読み出し細胞またはアクセサリー細胞のアポトーシスなどの応答である。
本明細書において提供される方法は、細胞外効果の変動を提示するエフェクター細胞を含む細胞集団またはエフェクター細胞を同定するために使用される。細胞外効果の変動は、コントロール(陰性または陽性対照)と比較される変動、または1または複数の他の細胞集団と比較される変動である。
特に粒子または不均一な細胞集団に関して、本明細書で言及される「不均一な集団」は、異なる機能を有する、少なくとも2の粒子または細胞を含む粒子または細胞の集団を意味する。例えば、一実施形態における特徴は、形態、大きさ、蛍光レポーターの種類、異なる細胞種、表現型、遺伝子型、細胞分化型、1または複数の発現されたRNA種の配列または機能的特性である。
本明細書で言及される「亜集団」とは、粒子(細胞)の大きな集団の割合を意味する。一実施形態では、細胞の集団は、例えば、個々のマイクロ流体チャンバ内の個々の亜集団を単離することによって、亜集団に分割される。さらに、個々の亜集団は、例えば、複数のマイクロ流体チャンバまたは他の反応容器中で、さらなる亜集団に分割されることができる。亜集団は、同じマイクロ流体チャンバ内に位置された大きな集団内の粒子のほんの一部であってもよい。亜集団は、1または複数の粒子を含み、複数の粒子は、亜集団中に存在する。複数の粒子内の個々の粒子は、互いに対して均一または不均一であることができる。
一つの態様において、「細胞固定器具」は、連続的又は断続的に、少なくとも一つのエフェクターゾーンと、少なくとも一つの読み出しゾーンとを規定する。固定器具は、バルブ、細胞フェンス、外部フィールドまたはフィールド勾配(例えば、重力、磁気、電磁気、加速度など)の方向付け、電極または光学部品または磁気プローブ、細胞接着を促進または阻害する表面修飾(例えば、テクスチャリング、コーティング等)によって局所的に生成されたフィールドの局在化および/または方向付け、または、チャンバ内の溶液の比重によって局所的に生成されたフィールドの局在化および/または方向付けのような構造的要素であってもよく、またはこれらの1または複数の組み合わせであってもよい。
本明細書で使用する「コーティング」は、チャンバの表面に付着するエフェクター細胞または読み出し粒子の能力を促進または阻害するチャンバ表面へのいずれの添加であってもよい。コーティングは、以下の1または複数から選択される。それは、細胞、ポリマーブラシ、高分子ヒドロゲル、自己組織化単分子膜(SAM)、フォトグラフト分子、細胞結合特性を有するタンパク質またはタンパク質断片(例えば、アクチン、フィブロネクチン、インテグリン、プロテインA、プロテインGなどからの細胞結合ドメイン)などである。より一般的には、アルギニン‐グリシン‐アスパラギン酸(セリン)(RGD(S))のペプチド配列モチーフが使用される。ポリ-L-リシンはまた、静電相互作用を介して細胞接着を強化するために、PDMSを有するポリマーコーティングとして広く使用されている(細胞結合性を有するリン脂質、細胞結合特性を有するコレステロール、細胞結合特性を有する糖タンパク質および細胞結合特性を有する糖脂質)。また、ビオチン化生体分子を使用するPDMS表面機能は、シンプルで、非常に魅力的であり、かつ柔軟なアプローチである。疎水性ドメインのために、ウシ血清アルブミン(BSA)がPDMS表面上の疎水性効果によって容易に吸着することは、広く知られている。そのPDS表面は、チャンバにおけるストレプトアビジン系複合体(タンパク質、DNA、ポリマー、フルオロフォア)の更なる直接結合を可能にする。疎水性のポリエチレングリコール系重合体はまた、バイオファウリング特性のために知られており、PDMS表面(吸着、共有結合グラフト化)上に塗布されることができる。それにより、細胞接着を防止している。ポリ(パラキシキシレン)、例えば、パリレンCはまた、PDMSの表面上に化学蒸着(CDV)を使用して堆積され、細胞の付着を防止することができる。
本明細書で使用される「単離される」とは、特定のチャンバがマイクロ流体デバイスの別のチャンバの粒子または生体分子を用いて分析されたエフェクター細胞および/または読み出し粒子の実質的な汚染を認めないという状況を指す。このような単離は、例えば、化合物のチャンバの場合には、チャンバのセットまたは一つのチャンバを密封することによって、チャンバ間の流体連通を制限することによって、またはチャンバ間の流体の流れを制限することによって、成し遂げられる。
本明細書中で使用される「入口」または「出口」は、流体がチャンバ内に流れるおよびチャンバの外に流れる任意の開口を含む。流体の流れは、その周囲環境からチャンバを分離するために、入口または出口もしくはその両方を介して制限されてもよい。1または複数のバルブがあってもよく、流れは、流れを防止する層(たとえば、制御層又は絶縁層)を有する入口および出口に至る流体流路を制限することによって制御されてもよい。あるいは、流れは、流体がデバイスを通過する速度によって調節されてもよい。入口または出口はまた、エフェクター細胞または読み出し粒子、または分析中に必要とされるような流れで運ばれる他の成分を運ぶためのデバイスに流体の流れを提供してもよい。いくつかの実施形態では、入口と出口は、流体が入口側から出口側に向かって流れるチャンバの頂部で単一の開口によって提供されてもよい。
本明細書中で使用される「磁石」は、任意の強磁性体または常磁性材料を含む。本明細書で使用される「強磁性体」は、鉄、ニッケル、クロム、コバルトまたはそれらの組み合わせおよび種々の合金で構成される材料を含むという意味である。その結果、磁性材料は、磁石に引きつけられ、または磁石自体である。例えば、磁性材料は、強磁性ステンレス鋼から作られてもよく、磁性を有するステンレス鋼または希土類磁石から作られてもよい。磁石はまた、規定された形状または配向における磁性流体を使用することによって作られていてもよい。磁石はまた、電流で通電されたたとき、磁界を発生するように設計されたコイルまたは他の電気的に作動するデバイスを用いて実現されてもよい。
本明細書中で使用される「ウェルのアレイ」は、特定の読み出しゾーンまたはエフェクターゾーンに一つまたは他を局在化することによって、エフェクター細胞および/または読み出し粒子の移動を制限するチャンバ内の構造体の任意の配列を意味する。ゾーン(すなわち、エフェクターまたは読み出し)は、粒子の種類がその中に存在することによって定義される。例えば、ウェルのアレイの一実施形態は、図33に示されている。連続して交差する細胞フェンスは、チャンバの表面上のウェルのアレイを形成する。
本明細書中で使用される「粒子トラップ」は、アッセイ中、動きを制限するように特定の空間位置にエフェクター細胞または読み出し粒子(ビーズ)を空間的にとどめることが可能な構造を意味する。「細胞フェンス」は、一種の「粒子トラップ」である。一実施形態では、「エフェクター細胞トラップ」と呼ばれる場合に、粒子トラップは、エフェクター細胞をとどめるために使用される。いくつかの実施形態では、「読み出し粒子トラップ」または「読み出し細胞トラップ」と呼ばれる場合に、粒子トラップは、読み出し粒子をとどめるために使用される。一実施形態では、「粒子トラップ」は、固定位置を有するようにトラップされた粒子を可能にする。固定位置を有することは、撮像及び画像解析を単純化する。読み出し粒子または粒子のために固定位置を有することも、エフェクター細胞と読み出し粒子との間の拡散距離を制御するまたは制限するという利点を有する。また、固定位置を有することは、エフェクター細胞および読み出し粒子の相互作用を防止することができる。
本明細書で使用されるように、「テクスチャ加工表面」は、チャンバ表面への細胞接着を促進するか、または低減させる任意のタイプの表面改質であってもよい。例えば、表面は、バンプ、へこみ、粗さ、突起、フック、ペグ、ウェル、溝、隆起部、粒子、模様、ウェブ、疎水性、親水性等の1以上でテクスチャード加工されてもよい。
人間の体は、どんなときでも、数百万から数十億の異なる種類の抗体を作成する。それらは、「抗体分泌細胞」また「ASC」と呼ばれる異なる単一形質細胞によって産生される。各ASCは、約7μm~約15μmの直径を有し、供給源に応じて、人間の髪の毛の幅の約1/10の直径を有し、微量の抗体のみを生成する。ヒトの体内における数十億の異なるのASCのうち、ごくまれな数が治療薬として使用するのに適している抗体を産生する。従来の形式の容量で分析すると、この少量の抗体はとても希薄であり完全に検出不能である。この理由のため、現在、抗体の発見は、各ASCを分離し、ハイブリドーマを作成する不死の癌細胞と融合し、「成長」させることを必要とする(図60参照)。結局のところ、測定するために十分な抗体を産生することができる何千もの同一の細胞を生成している。例えば、McCullough and Spier (1990). バイオテクノロジーにおけるモノクローナル抗体:理論と実用化、第2章、ケンブリッジ大学出版局(これらはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を参照されたし。このプロセスは、信じられないほど非効率的(出発免疫細胞の99.9%が失われている)だけでなく、非常に遅く、高価であり、治療機能をテストすることができる前に、最小3ヶ月の労力を必要とする。その結果、最適な治療特性を有する抗体の発見は、薬剤開発の主要な未解決のボトルネックである。
ASCは、培養で直接増殖されることができない最終分化細胞である。上述したように、この問題を克服するための既存の方法(例えば、ハイブリドーマ法、図60を参照)は非常に非効率的であり、抗体多様性(通常は<0.1%)のごく一部を捕捉している。これらのアプローチは、げっ歯類での使用に制限され、非常に遅く、高価である。治療機能を試験することができる前に、数ヶ月の労力を必要としている。以下に説明するように、本発明は、供給源に関係なく、抗体とASCに直接機能的アッセイを可能にすることによって、これらの制限を克服している。
様々な技術は、抗体スクリーニングの速度およびスループットを向上させるために進歩しているが、これらの技術は、情報を使用して進歩している。具体的には、既存の技術は、結合、親和性および特異性に基づいて、抗体の選択に制限されている。研究用途のために十分であるが、多くの治療への応用は、標的への単なる結合より、結合する高親和性抗体を必要とする。むしろ、治療への応用は、所望の生物学的応答を誘導する抗体を必要とする(例えば、アゴニスト/細胞シグナル伝達のアンタゴニスト;免疫応答の活性化;アポトーシスの誘導;細胞増殖や分化の阻害)。現在、すべてのハイスループット抗体の検出技術は、この機能的特徴付けが、標的の結合が評価された後、下流で実行されることを必要とする。それにより、ハイブリドーマ手法と比較しても、面倒で費用がかかり、低スループットである方法を用いている。このため、40年以上前に開発されたハイブリドーマ方法は、まだ治療用抗体発見において主力である。
一態様において、本発明は、目的の性質(以下、「細胞外効果」と称す)のための細胞集団をスクリーニングするために、マイクロ流体プラットフォームの大規模並列アッセイの能力と、小さな反応容積とを活用する。各細胞集団は、必要に応じて1または複数のエフェクター細胞を含む。細胞外効果は、特定の効果に限定されるものではなく、むしろ、結合特性(特異性、親和性)または機能的特性であってもよい(例えば、細胞表面受容体のアンタゴニズムまたはアゴニズム)。一実施形態では、細胞外効果は、特定のエフェクター細胞の分泌物によって発揮される効果である。
本明細書に提供される統合されたマイクロ流体デバイスおよび方法は、一部、小さいものが敏感であるというコンセプトに基づいている。それぞれのデバイスは、何千ものナノリットルの体積細胞分析チャンバを含む。各チャンバは、従来のプレート系アッセイよりも約10万倍小さい。これらの小さなナノリットルのチャンバにおいて、単一エフェクター細胞のそれぞれは、数分以内に分泌される生体分子を高濃度で産生する。例えば、各ASCは、数分以内に、抗体を高濃度で産生する。この濃度の効果は、一実施形態では、細胞系スクリーニングアッセイを実行するために利用される。このアッセイは、細胞表面受容体活性の調節(例えば、アゴニズムまたはアンタゴニズム)などのような特定の機能的特性を有する単一の第1のASCによって作られる抗体を特定する。本明細書で提供される方法およびデバイスを使用するために適した機能的アッセイを以下に詳細に説明する。重要なことに、本明細書で提供されるスクリーニング方法において、細胞外効果の存在が、細胞集団を含む特定のマイクロ流体チャンバ内で検出されるかぎり、特定の性質を有する特定のエフェクター細胞またはエフェクター細胞の亜集団は、特定される必要がない。効果が測定されるチャンバ内の細胞のいくつかまたは全ては、細胞外効果の原因となる細胞または特定な細胞を同定するためのさらなる特徴付けのために回収される。スクリーニング前の細胞培養の必要性を完全に排除することによって、本明細書中に提供される単一細胞アプローチは、1回の実行につき100,000個の細胞より多いスループットで、わずか数日で、任意の種から機能的抗体の直接的な選択を初めて可能にする(図1)。
本明細書で提供されるマイクロ流体デバイスおよび方法は、単一細胞の細胞外効果(例えば、単一のASCによって分泌された抗体の細胞外効果)を評価するために現在利用可能な戦略上の利点を提供する。例えば、本明細書に記載されるデバイスは、拡大縮小が可能であり、試薬消費量の減少とスループットの向上が、研究用の大規模な単一細胞アッセイプラットフォームを提供することができる。そうでなければ、研究は非現実的または非常に高価である。また、現在利用可能な単一細胞アッセイプラットフォームは、下流分析(例えば、定量PCR)に必要な製品を生成するために、従来のチューブ内において、複数の細胞の取り扱いおよび処理ステップを必要とする。したがって、本明細書に記載されているようなマイクロ流体細胞の取り扱いと処理を含めることは、小容量の制限を通じて精度と感度を向上させながら、改善されたスループットおよびコストに対して重要な手段を提供する。
理論に束縛されることなく、正確な細胞の取り扱いおよび操作(例えば、培地条件の時空基準コントロール)と同時に、本明細書で提供されるナノリットルマイクロ流体チャンバによって与えられる濃度の向上と迅速な拡散混合は、免疫細胞(例えば、B細胞、T細胞およびマクロファージ)などのエフェクター細胞の単一細胞分析を可能にする。その免疫細胞の主要機能は、抗体およびサイトカインのような異なるエフェクタータンパク質の分泌を含んでいる。
本明細書に記載の実施形態は、1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団から分泌された産物の多細胞アッセイを実施することのできる方法と、マイクロ流体システムとを提供し、続いて、その後の分析のための細胞集団の回収を提供する。いくつかの実施形態において、細胞集団は、不均一の細胞集団である。すなわち、集団中の2つ以上の細胞は、遺伝子型、表現型、またはいくつかの他の特性において異なる。さらに、細胞集団は、1つのデバイス上で並行にアッセイされる。少なくとも2つの集団は、互いに対して不均一である(例えば、細胞の異なる数、細胞型等)。本明細書に記載のアッセイにおいて、読み出し粒子集団は、1または複数の読み出し粒子を含む。その読み出し粒子は、検出試薬(例えば、細胞受容体を発現する読み出し細胞、読み出しビーズ、センサー、可溶性酵素など)が、検出される読み出し信号のために十分な濃度(例えば、蛍光シグナル)で、1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団と、1または複数のエフェクター細胞からの分泌された生産物とにさらされるように働く。いくつかの実施形態で、読み出し信号は、1または複数の読み出し粒子(例えば、読み出し細胞)の集団における1または複数のエフェクター細胞によって誘発される生物学的応答/機能的効果(例えば、アポトーシス)を報告する。例えば、所与のASCから産生される抗体にとって、ASC、または、読み出し粒子および必要に応じてアクセサリー検出試薬とともに1または複数のASCを含む細胞集団は、デバイス上に小さい体積で隔離されている。そして、アッセイが実行される(チャンバは、約100pL~50nLの容積を有する。例えば、約1 nL~約5 nL)。重要なことに、一実施形態におけるエフェクター細胞は、稀な細胞であるため、本明細書に記載した方法によってアッセイされた全ての細胞集団は、最初にエフェクター細胞を含むとは限らない。例えば、数千の細胞集団が単一のデバイスでアッセイされる場合、一実施形態では、チャンバの一部のみが、エフェクター細胞を含む。本明細書において提供される方法は、エフェクター細胞とチャンバの同定を可能にする。
本発明は、前述のマイクロ流体の方法とは異なるアプローチを採用する。後者は、個々のチャンバにおいて、単一の細胞の数を最大化するような密度で単一細胞をロードする方法を取る(例えば、液滴またはマイクロウェルが使用される)。これは、限界希釈法によって単一細胞を単離し、これに続く、単一の細胞を含むチャンバまたは容量の一部の分析によって達成される。このような戦略は、スループットを犠牲にする。なぜなら、最適な単一細胞のロードが、ウェル平均密度あたり約1個の細胞で達成されるからである。同様に、これらの方法について記載した配列は、通常、チャンバ内の少数の細胞よりも多くできず、多くの場合において、単一の細胞のみを物理的に収容するように設計されている。減少したスループットのほかに、多くの技術的課題は、単一のマイクロ流体チャンバで単一細胞を単離およびアッセイするアプローチから生じる。例えば、栄養枯渇、エアレーションの必要性、不要な蒸気透過効果、コントロール不良の培地条件、および廃棄物の除去の必要性が原因で、個々の細胞を生かし続けること、不均一の集団から有意義な読み出しを実現するために十分な細胞濃度を達成することは、信頼性の高い、再現可能な単一細胞のマイクロ流体アッセイを達成するために深刻な問題を引き起こす。多くの機能的アッセイで、細胞増殖の阻害と同様に、数日間生存するエフェクター細胞および読み出し細胞の両方を維持することが必要である。このようなアッセイは、マイクロウェル系システムおよび液滴において現実的ではない。しかし、本明細書で説明するように、本発明は、数日にわたるアッセイのために堅牢なプラットフォームを提供する。
本明細書に記載のデバイスおよびアッセイは、単一細胞アッセイを提供する。それによって、1または複数のエフェクター細胞は、単一のマイクロ流体チャンバにおける個々の細胞集団に存在する。細胞集団は、各チャンバ内で細胞外効果を発揮するために、それぞれの能力についてアッセイされる。それによって、前述した方法よりも高い総スループットを提供する。重要なことに、単一のエフェクター細胞の効果は、より大きな細胞集団(例えば、不均一の細胞集団)内で検出される。単一のマイクロ流体チャンバ内で多細胞アッセイアプローチをとることにより、本明細書に記載の実施形態は、以前に報告されたスループットより100倍以上のスループットで動作する。細胞集団が、読み出した粒子の細胞外効果、または別の集団と比較されるような細胞外効果の変動を識別すると、一実施形態における細胞集団は、集団内のエフェクター細胞が細胞外効果の原因であるかを決定するために回収され、さらに、個々の細胞亜集団としてアッセイされる(例えば、回収された細胞集団が限界希釈法でアッセイされる)。
単一細胞よりも多くを収容するように設計されている、当技術分野で知られている方法およびデバイスは、本明細書に記載されるアッセイの種類に不適当な制限を有する。それは、例えば、生存可能な状態で細胞を維持すること、目的のエフェクター細胞を選択的に回収する能力がないこと、デバイス内での蒸発、圧力変動、交差汚染、イメージング機能を制限するデバイスアーキテクチャ(例えば、異なる焦点面に粒子を提供すること、低減された解像度)、およびスループットの欠如(WO2012/072822およびBocchi et al. (2012)、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)である。
本明細書に記載の実施形態は、機能的エフェクター細胞アッセイの一部に関連する(ここで、細胞外効果アッセイと称する)。そのアッセイは、不均一な細胞集団において、個々のマイクロ流体チャンバ内に存在する目的の単一のエフェクター細胞の検出を可能にする。具体的には、チャンバが不均一な細胞集団を含む場合において、集団の各細胞が抗体(すなわち、単一のマイクロ流体チャンバ内の不均一なASC集団)を分泌し、または、集団における一部のみの細胞が抗体を分泌する。これにより、一つのエフェクター細胞のみまたはエフェクター細胞の亜集団は、読み出した粒子に所望の細胞外効果をもたらす抗体を分泌する。本明細書に記載の実施形態は、所望の細胞外効果を測定し、検出する方法を提供する。チャンバが効果を示す細胞集団を含むことを識別されると、集団は、例えば、限界希釈法でサブ集団に細胞集団を分割することによって、下流分析のために回収される。一実施形態では、後述するように、細胞外効果を提示する細胞の1または複数の不均一な集団は、細胞外効果が細胞に起因することを決定するために、回収され、限界希釈法(例えば、アッセイ当たり1から約25個の細胞)でさらにスクリーニングにかけられる。
一実施形態では、マイクロ流体アッセイは、一つの集団の中のエフェクター細胞が、読み出し細胞の増殖を阻害する抗体または他の生体分子を分泌するかどうかを決定するために、個々のマイクロ流体チャンバに存在する複数の細胞集団で行われる。この実施形態において、読み出し細胞の増殖に影響しない抗体を分泌する複数のASCを含む不均一な細胞集団の存在下でさえ、読み出し細胞の増殖は、依然として均等に抑制される。マイクロ流体チャンバは、所望のエフェクター細胞および分泌物を含むように特定できる。チャンバの内容物は、例えば、エフェクター細胞が効果を提示することを決定するために、エフェクター細胞を限界希釈法で、さらなるマイクロ流体分析または卓上型分析のために回収される。抗体配列はまた、当業者に公知の方法により回収される。
一実施形態では、新規な抗体は、本明細書に記載の方法により提供される。例えば、1または複数のASCは、本明細書に記載の方法によって同定され、回収され、そしてそれらの抗体遺伝子を配列決定し、クローニングすることができる。
単一細胞がチャンバ当たり約1個の細胞密度で個々のチャンバにロードされる場合、本明細書において提供されるデバイスは、1回の実験当たり約1000個の単一細胞(例えば、ASC)のスクリーニングを可能にする。1または複数の単一細胞は、ASCまたは異なる種類のエフェクター細胞であることができる。ハイブリドーマ法よりも約10倍高いが、数万の細胞、または数百万の細胞でさえもスクリーニングすることは、多くの場合に望ましい。この例としては、ASCが高純度(例えば、ASCマーカー/抗体が利用可能でない種、または乏しい免疫応答の場合のために)で得られない場合、または、結合する抗体は頻繁であるが、所望の特性を有する抗体は非常に稀である場合(受容体の遮断のような)を含む。しかしながら、目的の細胞外効果を提示する1または複数のエフェクター細胞を含有する細胞集団を特定した後、細胞集団は、一実施形態において、細胞外効果の原因となる個々のエフェクター細胞の同一性を決定するために、例えば、個々のマイクロ流体チャンバ内の単一の細胞、または個々のチャンバ内の小さい集団(第1画面と比較して)として、再び(しかし、限界希釈法で)分析される。この二段階のスクリーニング方法の一実施形態は、図2に示される。エフェクター細胞が同定されると、その遺伝情報は増幅され、配列決定される。一実施形態では、遺伝情報は、新規抗体遺伝子を含む。
図2に示す実施形態では、マイクロ流体アレイは、チャンバ当たり約25個の細胞の密度でロードされ、単一のデバイスにおいて、合計で約100,000個の細胞をもたらす。その後、チャンバは、単離され、インキュベートされ、各チャンバ内で抗体の固有のポリクローナル混合物を生成する。これらの抗体は、所望の細胞外効果、例えば、抗原結合、高い結合親和性、抗原特異性または一つ以上の機能的特性を発揮するチャンバを同定するためにスクリーニングされる。その後、各ポジティブチャンバの内容物を回収する。一実施形態では、各集団の回収は、単一のマイクロキャピラリーでなされ、チャンバの内容物は、同じデバイスまたは異なったマイクロ流体デバイスに限界希釈法でマイクロキャピラリーにプールされ、再ロードされる。図2に示す実施形態で、アレイのいずれかからの細胞は、チャンバあたり約1個の細胞の密度で、異なるチャンバにリロードされる。その後、回収された集団からの細胞は、同じ細胞外効果または異なる細胞外の効果のために再スクリーニングされる。二番目のアレイからのポジティブチャンバの内容物は、例えば、次世代のシーケンシングおよび/またはPCRによって、目的の抗体配列を同定するために回収される。1つの実施形態において、抗体配列が配列決定され、クローン化される。したがって、一実施形態では、本明細書で提供される方法は、新規な抗体遺伝子の発見を可能にする。
別の実施形態では、細胞外効果を提示する細胞集団は、チャンバが個々に対処することを可能にするマイクロ流体バルブを統合したシステムを使用して回収される(例えば、Singhal et al. (2010), Anal. Chem. 82, pp 8671-8679、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。なお、本発明は、「アレイ1」のポジティチャンバの内容物に対して実行される細胞外効果アッセイのタイプに限定されるものではない(図2)。例えば、いくつかの実施形態では、むしろ第2のマイクロ流体アレイよりも、ベンチトップ法を介して「アレイ1」からポジティブチャンバの内容物をさらにアッセイすることが望ましい。ベンチトップ法としては、例えば、RT-PCRおよび次世代シークエンシングを含む。
単一細胞と、本明細書に記載の単一の細胞および多細胞マイクロ流体アッセイに関して、本明細書で「チャンバ」を参照する。そのチャンバにおいて、1または複数のエフェクター細胞を任意に含む細胞集団は、細胞外効果(例えば、機能的効果または結合効果)のためにアッセイされる。しかしながら、当業者は、本明細書で提供されるデバイスが何万ものチャンバを組み込む大規模並列システムを提供することを認識する。また、当業者は、アッセイが、すべてのチャンバまたは実質的にすべてのチャンバ、またはデバイスのサブアレイ内のすべてのチャンバにおいて、エフェクター細胞または複数のエフェクター細胞を任意に含む複数の個々の細胞集団で並行して行われることを認識する。なぜなら、いくつかのエフェクター細胞の希少性により、全ての細胞集団が、マイクロ流体チャンバ内に存在するとき、エフェクター細胞を含むとは限らないからである。複数のチャンバを個々にまたは一緒に対処する流体構造(例えば、マルチプレクサ)を以下に説明する。
本明細書に記載の実施形態のいくつかは、1または複数の以下の特徴を提供する。
エフェクター細胞生産物をアッセイするために小さな容量を有するマイクロ流体チャンバ内に1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団を濃縮させ、ロードする能力。チャンバ内で所望の特性を有する個々のエフェクター細胞生産物(例えば、分泌タンパク質)の存在を検出するために使用される読み出し粒子(読み出しビーズ、読み出し細胞等)に共局在化する能力。
従来の培養法またはマイクロ流体デバイスを用いて、細胞生存不足または成長をもたらすことが報告されている濃度で、本明細書に記載の浸透浴によって支援された細胞集団の成長および/または生存能力を維持する能力と、個々の細胞の周囲の培地を交換する能力。
エフェクター細胞が不健康になる、またはその各マイクロ流体チャンバより大きくなる前に、所望のエフェクター細胞生成物の特性を測定するための十分な時間で、チャンバ内にエフェクター細胞生産物を濃縮する能力。
マイクロ流体チャンバ内で細胞の集団を維持しながら、細胞のクラスターに検出試薬を追加する能力、または培地内容物を選択的に交換する能力。
1または複数のマイクロ流体構造、マニュアル方法またはロボットの方法を使用する、選択された細胞集団を指定可能に回収する能力。
不均一な集団における各単一細胞からのエフェクター細胞生成物、または不均一な集団における各単一細胞から発生した複数のクローンまたは一つのクローンの分析を可能にする第2低級スループットスクリーニングに回収された細胞集団を移動する能力。
単一細胞の回収された不均一な集団から凝集遺伝物質を直接的に分析し、次いで、目的の細胞に関連する遺伝子を同定するために、この情報または遺伝物質を使用する能力。
いくつかの実施形態では、細胞の出発集団から細胞外効果を発揮するエフェクター細胞を濃縮する方法が提供される。その出発集団は、細胞外効果を発揮する1または複数のエフェクター細胞を含む。一実施形態では、方法は、複数の細胞の亜集団を得るための複数のマイクロ流体チャンバにおいて、細胞の出発集団を保持する工程を含む。チャンバあたりのエフェクター細胞の平均数は、Yより大きく、集団中の細胞の総数は、Xよりも大きく、集団中のエフェクター細胞の予想される割合は、1 / Xである。マイクロ流体チャンバ内の細胞亜集団は、細胞外効果を提示する1または複数のエフェクター細胞を含む1または複数のチャンバを識別するために、細胞外効果アッセイに供される。細胞外効果アッセイの結果に基づいて、1または複数のチャンバは、その後、細胞外効果を示す1または複数のエフェクター細胞を含むものとして同定される。同定されたチャンバの内容物は、濃縮された細胞集団を提供するために回収される。エフェクター細胞のために濃縮された細胞の濃縮された集団は、1/Yのエフェクター細胞の割合を有している。さらなる実施形態では、1/Xは、0.05未満、又は0.01未満、又は0.001未満である。細胞外効果は、本明細書に記載の1または複数の細胞外効果であることができる。一実施形態では、細胞の出発集団は、免疫化または抗原に曝露された動物から単離した末梢血単核細胞(PBMC)である。別の実施形態では、細胞の出発集団は、免疫化または抗原に曝露された動物から単離されたB細胞の集団である。さらに別の実施形態では、細胞の出発集団の供給源は、免疫化または抗原に曝露された動物からの全血である。
本明細書において提供されるように、一態様では、本発明のデバイスおよび方法は、細胞外効果の存在のために、1または複数のエフェクター細胞を任意に含む細胞集団をアッセイするために使用される。別の態様では、本明細書で提供されるデバイスおよび方法は、他の細胞集団と比較して、細胞外効果の変動を提示する細胞集団の同定を可能にする。この態様で、複数の個々の細胞集団は、別々のマイクロ流体チャンバ内に保持される。個々の細胞集団の少なくとも一つは、1または複数のエフェクター細胞を含む。別々のマイクロ流体チャンバは、1または複数の読み出し粒子を含む読み出し粒子集団をさらに含む。細胞集団は、細胞外効果の存在のためにアッセイされる。それによって、読み出し粒子集団またはその亜集団は、細胞外効果の読み出しを提供する。複数の細胞集団の中からの一つの細胞集団は、複数の細胞集団の中の1または複数の残りの細胞集団と比べて、細胞外効果の変動を示すことを同定することができる。細胞集団が細胞外効果の変動を提示することを確認されると、集団は、回収され、細胞外効果の原因となる集団内の細胞または複数の細胞を同定するために限界希釈法でさらにアッセイされてもよい。
本明細書で分析される細胞集団は、特定のタイプに限定されるものではない。例えば、一実施形態では、マイクロリアクター中の個々の細胞集団に分割された細胞の出発集団は、免疫化されまたは抗原に曝露された動物から単離された末梢血単核細胞(PBMCs)であってもよい。別の実施形態では、細胞の出発集団は、免疫化されまたは抗原に曝露された動物から単離されたB細胞である。細胞の出発集団の供給源は、免疫化されまたは抗原に曝露された動物からの全血であってもよい。
本明細書において使用される「エフェクター細胞」は、細胞外効果を発揮する能力を有する細胞を指す。以下に詳細に記載されるように、細胞効果は、読み出し粒子の直接的または間接的な効果である。細胞外効果は、エフェクター細胞、またはエフェクター細胞によって分泌される分子(例えば、シグナル伝達分子、代謝産物、抗体、神経伝達物質、ホルモン、酵素、サイトカイン)に起因する。一実施形態では、エフェクター細胞は、タンパク質(例えば、T細胞レセプター)を分泌するか、提示する細胞である。本明細書に記載の実施形態では、細胞外効果は、読み出し粒子(例えば、読み出し細胞または読み出しビーズ、または読み出し粒子集団または亜集団)を使用することによって特徴づけられる。例えば、本明細書に記載の一実施形態では、細胞外効果は、読み出し細胞または読み出しビーズ上に存在する、細胞表面受容体、イオンチャネルまたはATP結合カセット(ABC)トランスポーターのアゴナイズまたはアンタゴナイズである。一実施形態では、エフェクター細胞は、抗体分泌細胞(ASC)である。本明細書中で使用されるようなASCは、抗体を産生及び分泌する任意の細胞型を指す。形質細胞(「プラズマB細胞」、「プラズモサイト」および「エフェクターB細胞」と呼ばれる)は、最終分化され、ASCの一種である。本発明の目的のために、「エフェクター細胞」とみなされる他のASCは、形質、メモリーB細胞の増殖により生成した細胞、組換えモノクローナル抗体を発現する細胞株、ハイブリドーマ細胞株を含む。別の実施形態では、エフェクター細胞は、タンパク質を分泌する細胞である。エフェクター細胞とみなされる他の細胞型は、T細胞(例えば、CD8 + T細胞およびCD4 + T細胞)、造血細胞、ヒトおよび動物由来の細胞株、組換え細胞株(例えば、抗体を産生するように操作された組換え細胞株、T細胞受容体を発現するように操作された組換え細胞株)を含む。
1または複数のエフェクター細胞を任意に含む個々の細胞集団は、それぞれの細胞集団が、細胞外効果、または他の個々の細胞集団またはその複数の細胞集団と比較される細胞外効果の変動を発揮するエフェクター細胞を含むかどうかを決定するために、アッセイされる。上記のように、細胞集団が1つのデバイス上で並行してアッセイされる場合、全ての細胞集団がエフェクター細胞を含むとは限らない。本明細書に記載の方法は、1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団の同定を可能にする。また、エフェクター細胞を含む細胞集団は、複数のエフェクター細胞を含む必要なない、またはエフェクター細胞のみの集団である必要はない。むしろ、本明細書に記載の実施形態では、非エフェクター細胞が集団に含まれている。非エフェクター細胞は、集団の大多数または少数であってもよい。エフェクター細胞を含む不均一な集団は、複数のエフェクター細胞を含む必要はない。むしろ、不均一な細胞集団は、2つの細胞が互いに不均一である限り、不均一である。細胞集団は、エフェクター細胞を含んでいなくてもよく、1つのエフェクター細胞または複数のエフェクター細胞を含んでいてもよい。同様に、細胞の亜集団は、エフェクター細胞を含んでいなくてもよく、1つのエフェクター細胞または複数のエフェクター細胞を含んでいてもよい。
一実施形態における細胞外効果は、抗原または機能的効果との結合相互作用である。例えば、一実施形態では、細胞外効果は、細胞表面受容体のアゴニズムまたはアンタゴニズム、イオンチャネルのアゴニズムまたはアンタゴニズムまたはABC輸送体のアゴニズムまたはアンタゴニズム、アポトーシスの調節、細胞増殖の調節、読み出し粒子の形態学的外観の変化、読み出し粒子内のタンパク質の局在の変化、読み出し粒子によるタンパク質の発現、アクセサリー粒子の生物学的活性の中和、エフェクター細胞によって誘発される読み出し細胞の細胞溶解、細胞エフェクター細胞によって誘発される読み出し細胞の細胞アポトーシス、読み出し細胞の細胞壊死、読み出し細胞による抗体の内在化、読み出し細胞によるアクセサリー粒子の内在化、エフェクター細胞による酵素中和、可溶性シグナル伝達分子の中和、またはそれらの組み合わせである。
目的の標的(例えば、抗原)を結合する生体分子(例えば、抗体)を分泌するエフェクター細胞の存在と同定は、エフェクター細胞が目的の標的に特異的でない抗体を分泌する複数のエフェクター細胞を含む不均一な細胞集団中に存在する実施形態において、容易に確認される。一実施形態では、これは、抗体(例えば、プロテインGまたはプロテインAで官能化された)を捕捉するために官能化された読み出し粒子(例えば、ビーズ)上で集団の分泌された抗体のすべてまたは実質的にすべてをチャンバに最初にキャプチャし、チャンバ内に蛍光標識された抗原を添加し、固定化抗体に対する抗原の結合に起因する蛍光の増加の有無を検出するために粒子をイメージングすることによって、個々のマイクロ流体チャンバ内で達成される。信頼できる検出のために必要とされるビーズ上に捕捉された抗体の最小数の推定は、単一細胞からの抗体の分泌を測定する実験を行うことによって得られる。一実施形態では、約500個の細胞の不均一な集団中の単一のASCから分泌された抗原特異的抗体を検出することができる。本発明の場合には、個々のマイクロ流体チャンバ内に存在する細胞集団は、約2~約500個の細胞(例えば、約2~約250のASC)を含むことができる。上述のように、細胞集団は、エフェクター細胞以外の細胞を含むことができ、全ての細胞集団がエフェクター細胞を含むとは限らない。これは、従来の濃縮プロトコル(例えば、FACS)が同じ細胞型のほぼ純粋な細胞集団を得るために使用できない場合に、特に当てはまる。
不均一な細胞集団(すべての細胞が互いに不均一というわけではない)について、集団に互いに不均一である少なくとも2つの細胞がある(エフェクター細胞と非エフェクター細胞)とする。不均一な細胞集団は、わずか2つの細胞から構成されてもよい。細胞集団または細胞亜集団は、単一細胞から構成されてもよい。原理的には、不均一な細胞集団は、細胞外効果アッセイ(例えば、本明細書で提供される細胞外効果アッセイの一つ)の必要な期間、実行可能な状態で維持される任意の数の細胞を含んでもよい。一実施形態では、細胞集団中の細胞の数は、チャンバあたり1個の細胞から約500個の細胞である。一実施形態では、個々の細胞または読み出し粒子のイメージングが必要とされる場合、集団中の細胞の数は、チャンバの床を覆うには不十分であるように選択される。その結果、撮像される細胞が単層に配置される。あるいは、細胞集団は、チャンバの表面を覆う二重層を形成するには不十分である多くの細胞を含む。
いくつかの実施形態では、細胞の大きな集団は、特定の集団内の単一のエフェクター細胞または少数のエフェクター細胞から生じる効果の検出を阻害することなく、単一のマイクロ流体チャンバまたはマイクロリアクター内で集団に存在することができる。例えば、一実施形態では、細胞集団中の細胞の数は、2から約900、または約10から約900、または約100から約900である。別の実施形態では、細胞集団中の細胞の数は、2~約800、または約10から約800、または約100から約800である。別の実施形態で、細胞集団中の細胞の数は、2から約700、または約10から約700、または約100から約700である。別の実施形態で、細胞集団中の細胞の数は、2から約600、または約10から約600、または約100から約600である。他の実施形態で、細胞集団中の細胞の数は、2から約500、または約10から約500、または約100から約500である。別の実施形態で、細胞集団中の細胞の数は、2から約400、または約10から約400、または約100から約400である。別の実施形態において、細胞集団中の細胞の数は、2から約300、または約10から約300、または約100から約300である。別の実施形態では、細胞集団中の細胞の数は、2から約200、または約10から約200、または約100から約200である。別の実施形態で、細胞集団中の細胞の数は、2から約100、または約10から約100、約50から約100である。別の実施形態で、細胞集団中の細胞の数は、2から約90、または約10から約90、または約50から約900である。さらに別の実施形態では、細胞集団中の細胞の数は、2から約80、または約10から約80、または2から約70、または約10から約70、または約2から約60、または約10から約60、または約2から約50、または約10から約50、または約2から約40、または約10から約40、または2から約30、または約10から約20、または2から約10である。いくつかの実施形態で、細胞集団中の細胞の大部分は、エフェクター細胞である。
本発明の一態様において、本明細書で提供される方法によって分析される細胞または細胞集団は、1または複数のエフェクター細胞(例えば、抗体分泌細胞(ASC)または複数のASC)を含む。一実施形態において、細胞は、数千のマイクロ流体チャンバで、複数の細胞集団に分離されている。そして、1または複数のエフェクター細胞を含む個々の細胞集団(すなわち、単一のマイクロ流体チャンバ内)は、細胞外効果のためにアッセイされる。1または複数の集団内のエフェクター細胞が、細胞外または細胞外効果のへ変動を発揮すると、1または複数の個々の細胞集団は、特定され、回収される。細胞外効果は、ユーザによって決定され、一実施形態では、抗原、細胞表面受容体、ABCトランスポーター又はイオンチャネルとの結合相互作用である。
本明細書で提供される方法は、結合相互作用(例えば、抗原親和性および特異性)に基づいて、単一のエフェクター細胞(単独で、または異種集団内で)を識別するために使用されるが、本発明はこれに限定されない。むしろ、細胞集団の同定は、一実施形態では、直接に機能的アッセイの実施を介して行われる。従って、本発明の一態様は、結合特性(例えば、抗原標的に対する親和性および選択性)のために「機能的抗体」を最初にスクリーニングする必要なく、「機能的抗体」を分泌する細胞集団内でASCの直接検出を可能にする方法およびデバイスを含む。
これらの方向に沿って、一つの態様において、本明細書における方法によって発見できる受容体および機能的抗体が提供される。この態様の一実施形態では、細胞外効果の原因となるエフェクター細胞の核酸が増幅され、配列決定される。核酸は、分泌された生体分子(例えば、抗体またはそのフラグメント)をコードする遺伝子、または細胞受容体またはそのフラグメント(例えば、T細胞受容体)をコードする遺伝子である。抗体またはそのフラグメントまたは細胞受容体またはそのフラグメントは、当該分野で公知の方法によってクローン化され、および/または配列決定される。例えば、一実施形態で、本明細書で提供される方法およびデバイスによって発見できる機能的抗体を分泌するASCは、標的細胞表面タンパク質(例えば、イオンチャネル受容体、ABCトランスポーター、G-タンパク質共役受容体(GPCR)、受容体チロシンキナーゼ(RTK)または固有のグアニル酸シクラーゼ活性のような固有の酵素活性を有する受容体)に結合することによって細胞シグナル伝達を調節するものである。
本発明の一態様では、1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団は、チャンバ内で行われる細胞外効果アッセイの結果に基づいて、マイクロリアクター(例えば、マイクロ流体チャンバ)で同定される。細胞外効果または細胞外効果の変動がマイクロリアクターで測定されると、細胞集団は、効果の原因となる集団内のエフェクター細胞または複数のエフェクター細胞を決定するために、回収され、分析される(例えば、図2)。エフェクター細胞が抗体を分泌する実施形態では、ASCまたは複数のASCによって産生される抗体をコードするDNA配列は、決定され、続いてクローン化される。一実施形態では、抗体のDNA配列は、さらなる検証および前臨床試験用のモノクローナル抗体の不滅のソースを提供するために、細胞株中で発現され、クローン化される。
本明細書に記載のように、不均一な細胞集団は、典型的には2から約1000、または2から約500、または約2から約250、または約2から約100の範囲の数を有する細胞の集団を含む。不均一な細胞集団は、細胞の集団を特徴付ける。その細胞の集団は、遺伝子型、タンパク質発現、mRNA発現または分化状態(少なくとも一つの細胞がエフェクター細胞である)において基本的な差異を有する少なくとも2つの細胞を含んでいる。特に、不均一な細胞集団は、一実施形態では、2つ以上のエフェクター細胞(例えば、約2から約250の細胞)を含む。その2以上のエフェクター細胞は、異なる免疫グロブリン遺伝子を発現または含み、免疫グロブリン遺伝子に由来する異なる遺伝子を発現または含み、T細胞受容体の遺伝子に由来する異なる遺伝子を発現または含み、異なる免疫グロブリンタンパク質を分泌し、免疫グロブリンタンパク質に由来する異なるタンパク質を分泌し、異なるタンパク質を分泌し、または、T細胞受容体タンパク質に由来する異なるタンパク質を発現する。
一つの態様において、細胞集団は、標的エピトープに結合し得る分子のライブラリーを発現するように遺伝的に操作された細胞と、目的のcDNAライブラリーに由来する遺伝子のフラグメントまたは遺伝子を発現するように遺伝的に操作された細胞と、様々な生物学的機能のためのレポーターで遺伝子的に操作された細胞と、不死化株や一次情報源に由来する細胞との集団を含む。注目すべきことに、単一の細胞に由来するクローンは、一実施形態では、例えば、遺伝子サイレンシング、分化、遺伝子発現の変化、形態の変化等の原因のために、互いに不均一である。加えて、不死化株または一次供給源に由来する細胞は、単一細胞の同一クローンではなく、互いに対して不均一であると考えられている。むしろ、細胞のクローン集団は、単一の細胞に由来しており、遺伝的に修飾されず、RNAで形質導入されず、DNAで形質導入されず、ウイルスで感染されず、差別されず、または別の方法で重要な機能的かつ分子的手段で異なる細胞を作るように操作されない。単一の細胞に由来する細胞(しかし、体細胞超変異を自然に受けるまたは(例えば、活性化誘導シチジンデアミナーゼの発現を誘導すること等によって)体細胞超変異を受けるように操作される)は、クローンとみなされない。したがって、これらの細胞は、ともに存在する場合、不均一な細胞集団とみなされる。
全体を通し提供されるように、一態様において、方法およびデバイスは、1または複数の細胞集団を同定するために、1または複数のエフェクター細胞を任意に含む複数の個々の細胞集団のアッセイのために提供される。その細胞集団は、読み出し粒子集団またはそれらの亜集団で細胞効果(例えば、所望の特性を有する生体分子の分泌)を有する少なくとも一つのエフェクター細胞を含む。細胞集団が識別されると、一実施形態では、それは、回収した細胞集団を得るために選択的に回収される。複数の細胞集団が同定されると、一実施形態では、それらは、回収された細胞集団を得るために、回収され、プールされる。回収された細胞集団は、エフェクター細胞のために濃縮され、デバイス上に最初にロードされた細胞の出発集団と比較される。この点において、前者は後者と比較して、エフェクター細胞の割合が大きい。
回収された細胞集団の亜集団は、読み出し粒子集団の第2の細胞外効果の存在のためにアッセイされる。読み出し粒子集団または亜集団は、その第2の細胞外効果の読み出しを提供する。細胞外効果は、識別された細胞集団でアッセイされた効果と同じ効果、または異なる細胞外効果であることができる。さらなる実施形態では、識別された集団の亜集団は、それぞれ約1から約10個の細胞含む。さらなる実施形態でさえ、識別された集団の亜集団は、それぞれ、平均1個の細胞を含む。その後、細胞外効果を提示する1または複数の亜集団は、回収された亜集団を得るために識別され、回収される。それは、一実施形態では、エフェクター細胞のために濃縮されている。複数の細胞亜集団が同定されると、一実施形態では、それらは、回収された細胞亜集団を得るために、回収され、プールされる。回収された細胞亜集団からの遺伝情報は、その後、単離され、増幅されおよび/または配列決定される。
本発明は、本発明の方法に従ってアッセイすることができるエフェクター細胞または細胞集団のタイプによって限定されるものではない。本発明で使用するエフェクター細胞の種類としては、例えば、上記のものが挙げられ、任意の種(例えば、ヒト、マウス、ウサギなど)からの一次抗体分泌細胞、一次メモリ細胞(例えば、これは、IgG、IgM、IgD、または細胞の表面に提示された他の免疫グロビン抗体をアッセイすること、または形質細胞に増殖/分化させることができる)、T細胞、選択後または融合直後のハイブリドーマ融合物、モノクローナル抗体(mAb)の1または複数のライブラリーで核酸を導入された(安定または一過性である)細胞株(例えば、fab領域で突然変異体のライブラリーを使用して同定されたmAbの親和性成熟、またはFc領域で突然変異を有する同定されたmAbを使したエフェクター機能の最適化用)、人/動物/ライブラリーから得られた増幅HC / LC可変領域からの重鎖(HC)および軽鎖(LC)の組み合わせ、または細胞発現mAbの組み合わせ(相乗効果を探すために特徴付けられているか特徴づけられていないのいずれか)で核酸を導入された細胞株を含む。
形質細胞(「形質B細胞」、「プラズモサイト」と「エフェクターB細胞」と呼ばれる)は、末期的に分化され、本発明のデバイスおよび方法でアッセイすることができるエフェクター細胞(ASC)の一種である。本発明の目的のための「エフェクター細胞」としてみなす他のASCは、形質芽球、メモリーB細胞の増殖によって生成した細胞、組換えモノクローナル抗体を発現する細胞株、サイトカインを分泌する初代造血細胞、T細胞(例えば、CD4+およびCD8+ T細胞)、それらの表面上のタンパク質またはペプチドを提示する樹状細胞、タンパク質を分泌する組換え細胞株、ハイブリドーマ細胞株、抗体を産生するよう操作された組換え細胞、T細胞受容体を発現するように操作された組換え細胞を含む。
また、本発明で使用するための細胞集団は、供給源によって限定されるものではないことが理解されるが、むしろ、それは、インビトロ組織培養物からヒトまたは他の哺乳動物あるいは別のものを含む任意の動物由来であってもよい。細胞は、本技術分野(例えば、フローサイトメトリー)で知られている様々なプロトコルを使用することによって、所望の特性(例えば、特定の抗原に結合する抗体の分泌)を有する集団の濃縮後、直接的に分析されてもよく、または、例えば、供給源から採取した後直接に分析されてもよい。動物源から採取する前、一実施形態では、動物は1または複数の免疫化を受ける。一実施形態では、フローサイトメトリーは、本明細書に提供されるデバイスの一つにロードする前に、エフェクター細胞を濃縮するために使用される。そして、フローサイトメトリーは、蛍光活性化細胞選別(FACS)である。出発細胞集団がエフェクター細胞(例えば、ASC)のために濃縮され、個々のマイクロ流体チャンバ内の個々の細胞集団として保持されることを使用する場合、個々の細胞集団は、エフェクター細胞で完全に構成される必要はない。むしろ、他の細胞型は、大多数派または少数派として存在してもよい。さらに、1または複数の個々の細胞集団は、エフェクター細胞を含有していなくてもよい。
当業者に公知の動物由来のASCの濃縮用のいくつかの方法がある。それは、本明細書において提供される方法およびデバイスによる分析用の細胞の出発集団を濃縮するために使用される。例えば、一実施形態において、FACSは、表面マーカーCD19+CD20lowCD27hiCD38hiを使用するヒトのASCを濃縮するために使用される(Smith et al. (2009). Nature Protocols, 4. pp. 372-384、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。別の実施形態において、細胞集団は、表面マーカーを提示する細胞の磁気免疫捕捉系ポジティブまたはネガティブ選択により濃縮される。別の実施形態では、プラークアッセイ(Jerne et al. (1963). Science 140, p. 405、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、ELISPOTアッセイ(Czerkinsky et al. (1983). J. Immunol. Methods 65, pp.109-121、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、液滴アッセイ(Powel et al. (1990). Bio/Technology 8, pp. 333-337、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、細胞表面蛍光‐結合免疫吸着アッセイ(Yoshimoto et al. (2013). Scientific Reports, 3, 1191、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)または細胞表面親和性マトリックスアッセイ(Manz et al. (1995). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 92, pp. 1921-1925、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、本明細書で提供される方法の一つを実行する前、または本明細書に提供されるデバイスの一つに出発細胞集団をロードする前に、ASCを濃縮するために使用される。
種々の実施形態において、細胞集団内の2つ以上のエフェクター細胞は、細胞生産物(例えば、読み出し粒子集団またはそれらの亜集団に直接的または間接的な効果を有する抗体)を産生し、分泌する。本明細書で提供されるデバイスに関して、デバイス上の全てのチャンバが必ずしも細胞集団および/または読み出し粒子集団を含むという訳ではないことに留意されたい。例えば、空のチャンバまたは部分的に充填されたチャンバが存在してもよい。また、全体に提供されるように、それは、個々のチャンバ内で、細胞集団内の細胞のサブセット、または抗体を産生及び分泌する集団内の個々の細胞のみであってもよい。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャンバ内の細胞集団は、エフェクター細胞を含まない。これらのチャンバは、細胞集団の各々に対して一つ以上の細胞外効果アッセイを実行することにより同定可能である。
いくつかの態様では、1または複数のアクセサリー粒子を有することが望ましい。そのアクセサリー粒子は、細胞集団内の1または複数の細胞の生存能力および/または機能を支持するため、または細胞外効果アッセイを実行するために、マイクロリアクター(例えば、マイクロ流体チャンバ)中に存在する1または複数のアクセサリー細胞を含むことができる。例えば、一実施形態では、アクセサリー細胞または複数のアクセサリー細胞は、線維芽細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、キラーT細胞、抗原提示細胞、樹状細胞、組換え細胞、またはそれらの組み合わせを含む。
アクセサリー粒子または細胞、またはそれを含む集団は、一実施形態では、細胞集団と共に、マイクロリアクター(例えば、マイクロ流体チャンバ)に運ばれる。換言すれば、一実施形態におけるアクセサリー細胞は、マイクロ流体チャンバに搬送される細胞集団の一部である。代替的にまたは追加的に、アクセサリー粒子またはアクセサリー細胞は、エフェクター細胞または複数のエフェクター細胞を含む細胞の不均一な集団をマイクロリアクターまたは複数のマイクロリアクター(例えば、マイクロ流体チャンバまたは複数のマイクロ流体チャンバ)にローディングする前後にチャンバに送出される。
本明細書における「アクセサリー粒子」は、特に限定されないが、タンパク質、タンパク質フラグメント、細胞を含む任意の粒子を意味する。その粒子は、(i)エフェクター細胞の生存能力および/または機能をサポートし、(ii)細胞外効果を容易にし、(iii)細胞外効果の測定を容易にし、または(iv)エフェクター細胞の細胞外効果を検出する。
アクセサリー粒子は、特に限定されないが、タンパク質、ペプチド、成長因子、サイトカイン、神経伝達物質、脂質、リン脂質、炭水化物、代謝産物、シグナル伝達分子、アミノ酸、モノアミン、糖タンパク質、ホルモン、ウイルス粒子、又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、1または複数のアクセサリー粒子は、スフィンゴシン-1-リン酸、リゾホスファチジン酸、またはそれらの組み合わせを含む。
アクセサリー細胞の例として、一実施形態では、(抗体を分泌しない)線維芽細胞の集団は、集団内のエフェクター細胞(例えば、ASC)の生存率を高めるために、エフェクター細胞(例えば、ASCs)用に濃縮された細胞集団内に含まれる。別の実施形態では、NK細胞の集団は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害アッセイを実施するためにアクセサリー粒子として添加されてもよい。NK細胞は、その表面に抗体の結合により、標的細胞を攻撃し溶解する。機能的細胞アッセイが1または複数の細胞集団に対して実施される実施形態において、1または複数の細胞集団内のエフェクター細胞は、マイクロ流体デバイスのチャンバ内ではあるが、長期間生存能力を維持する必要があることが理解される。この目的のために、アクセサリー粒子および/またはアクセサリー細胞は、一実施形態では、1または複数のエフェクター細胞を任意に含む細胞集団の生存能力を維持するために使用される。以下に説明するように、アクセサリー粒子、例えば、アクセサリー細胞はまた、読み出し細胞集団またはその亜集団の生存能力を向上又は維持させるために使用される。いずれも単一の読み出し細胞であり得る。
本明細書に記載の実施形態の一つの利点は、単一のマイクロリアクター(例えば、マイクロ流体チャンバ)内の一つのエフェクター細胞以上の分析、および/または、他の細胞の存在下の単一または少数のエフェクター細胞の分析は、はるかに大きいアッセイスループットを可能にし、したがって、所望のエフェクター細胞の同定および選択を可能にする。そうでなければ、所望のエフェクター細胞はあまりにも希少で、効率的に検出できない。これは、所望の細胞型のために濃縮する方法が限られる場合、または、そのような濃縮がアッセイされた細胞の生存能力を低下させるという有害な効果を有する場合などの多くの場合に有利である。構築された本発明の一実施形態は、3500個の細胞分析チャンバのアレイを特徴付ける。このデバイスは、チャンバあたり平均30個の細胞で操作されるとき、全アッセイのスループットは、実験あたり105,000個の細胞である。このスループットは、例えば、全細胞集団の1%未満で存在する数十または数百のエフェクター細胞の選択のために使用される。
例えば、抗体分泌細胞は、表面マーカーに基づく濃縮の必要性なしに、同定され単離される。免疫後の末梢血単核細胞(PBMCs)から単離されたB細胞において、ASCの頻度は、0.01%と1%の間であってもよい。デバイス作動あたり105,000個の細胞のスループットで、さらなる精製なく、数百のASCを直接的に選択することができる。これは、ASCのFACS精製が細胞生存率を減少させることができるので、特に重要である。これはまた、ASCの濃縮のための適切な試薬が目的の宿主種のために使用できない場合があるので、重要である。実際、免疫後、末梢血単核細胞(PBMCs)における抗体分泌細胞の頻度は、0.01~1%の間であってもよく、本明細書に提供されるマイクロ流体アレイ(例えば、チャンバあたり30個の細胞の平均密度でロードされた3500個のチャンバのマイクロ流体アレイ)を使用して検出可能である。したがって、末梢血単核細胞(PBMCs)の単離は、特異的な捕捉試薬なしで任意の種に対して実施されるので、本発明の方法のいくつかは、任意の種から目的の抗体を分泌する細胞の迅速かつ経済的な選択を提供する。
ヒトの基底レベルからのASCは、一実施形態では、本明細書で提供される方法およびデバイスによって識別される。動物は、多くの抗原に対して新しい抗体を生成するために、免疫化される。一方で、承認されたワクチンを除いて、同じ手順をヒトに対して幅広く行うことはできない。しかし、自然に抗原に曝露され、またはそれらの寿命のある時点でワクチン接種されている人間は、一般的に、抗原に対する抗体分泌細胞の低い基底レベルを有している。本発明は、大多数の細胞(例えば、デバイス作動あたり100,000個より多い)から特定の抗体を分泌する非常に稀なエフェクター細胞を同定および単離するために使用されることができる。このような方法は、例えば、自己抗体が存在する自己免疫疾患および癌の治療薬として、機能的抗体の検出のために本明細書で使用される。
全体に提供されるように、本発明は、一部、単一のマイクロ流体チャンバ内で大規模な並列処理で行われる細胞外効果に関する。アッセイは、細胞集団に存在するエフェクター細胞、またはそれらの複数によって発揮される細胞外効果を測定し、検出するために行われる。読み出し粒子の集団またはその亜集団は、細胞外効果の読み出しを提供する。例えば、本明細書に記載される方法は、細細胞外効果を発揮しない約250個の細胞までのバックグラウンドにおいて、細胞外効果(例えば、所望の光源に特異的な抗体の分泌)を発揮するフェクター細胞を含む不均一な細胞集団の同定を可能にする。
本明細書で使用されるような「読み出し粒子」は、ビーズまたは細胞(例えば、機能化されたビーズまたは機能または特性を報告する細胞)を含む任意の粒子を意味し、または、エフェクター細胞の細胞外効果(例えば、機能または特性)を決定するためのアッセイにおいて使用される。本明細書で説明するように、「読み出し粒子」は、単一の読み出し粒子として存在でき、または単一のマイクロ流体チャンバ内の読み出し粒子の均一または不均一な集団内に存在することができる。一実施形態では、読み出し粒子は、エフェクター細胞(例えば、1または複数の抗体)によって分泌される1または複数の生体分子に結合するための官能化ビーズである、あるいは溶解時にエフェクターまたはアクセサリー細胞によって放出されるビーズである。単一の読み出し粒子は、1または複数の異なる種類の生体分子(例えば、タンパク質および/または核酸)または1または複数の異なるモノクローナル抗体を捕捉するように機能化されていてもよい。一実施形態では、読み出し粒子は、抗体を産生および/または分泌するエフェクター細胞によって産生された抗体に結合することができる細胞またはビーズである。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞はまた、読み出し粒子であってもよい。例えば、集団内の1つのエフェクター細胞の分泌物は、エフェクター細胞の大きくまたは異なる亜集団に対する効果を有する。または代替的に、1つのエフェクター細胞の分泌物は、補足の読み出し用の同じ細胞に取り込まれる。
本明細書中で使用される「読み出し細胞」は、1または複数のエフェクター細胞(例えば、抗体を分泌する1または複数のエフェクター細胞)を含む単一のエフェクター細胞または細胞集団の存在下で応答を示す読み出し粒子のタイプである。様々な実施形態では、読み出し細胞は、分泌分子に特異的な表面抗原または受容体(例えば、GPCR又はRTK)を提示する細胞である。一実施形態では、読み出し細胞への分泌分子の結合は、細胞外効果である。読み出し細胞は、蛍光標識され、および/または結合すると活性化された蛍光レポーターを有す。
上述したように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に供された細胞集団は、ASCまたは複数のASCを含んでいる。そして、読み出し粒子集団またはその亜集団は、複数の標的エピトープまたは一つの標的エピトープを提示する。一実施形態における読み出し粒子集団は、特定のエピトープまたは複数のエピトープによって抗体を捕捉するために官能化されたビーズの集団である。代替的にまたは追加的に、読み出し粒子集団は、抗体のFc領域に特異的である。したがって、読み出し粒子集団は、異なるエピトープを有する抗体間を区別しない。一実施形態では、読み出し粒子集団又はその亜集団は、例えば、ELISAアッセイを実行するために、標的エピトープを含む蛍光共役系分子で標識される。蛍光系抗体およびサイトカインビーズアッセイは、当技術分野で知られている(例えば、Singhal et al. (2010). Anal. Chem. 82, pp. 8671-8679、Luminex(登録商標)Assays(Life Terchnologies)、BD(商標)Cytometric Bead Array、その開示の全体が参考として援用される)。これらの方法は、エフェクター細胞が、読み出し粒子上で細胞外効果を有するかどうかを決定するために本明細書中で使用される。
また、本明細書に記載するように、個々のマイクロリアクター(例えば、マイクロ流体チャンバ)は、個々のチャンバ内でその試薬交換が可能であり、それによって、交差汚染がチャンバ間で除去または実質的に除去されるように構成されている。これは、例えば、各結合複合体を標識するために抗原および二次抗体を交換し、それに続けて画像化することによって、単一のチャンバ内の複数の細胞外効果(例えば、単一のチャンバ内の機能的効果および/または複数の抗原結合効果)の検出を可能にする。これらの一連の検出の実施形態では、各反応は、洗浄工程の後に連続的に行われるので、アッセイは、同じフルオロフォアを用いて行うことができる。あるいは、異なるフルオロフォアは、1つのマイクロリアクター(例えば、マイクロ流体チャンバ)において、連続状態または並行状態で、異なる細胞外効果を検出するために使用される。
別の実施形態では、読み出し粒子集団は、読み出し細胞集団である。読み出し細胞の少なくとも一部は、その表面上で標的エピトープを提示する。一実施形態では、読み出し細胞集団またはその亜集団は、生存し、生存能力がある。別の実施形態では、読み出し細胞集団または亜集団は、固定されている。上記の説明から認識されるように、抗体結合がアッセイされると、「抗体結合」は、一つのエフェクター細胞または複数のエフェクター細胞の細胞外効果であると考えられる。抗体結合は、例えば、1または複数の蛍光標識二次抗体を用いた細胞の染色によって検出されることができる。別の実施形態において、本明細書で説明するように、読み出し粒子又は読み出し細胞上の標的エピトープへの抗体の結合は、読み出し細胞の死、またはいくつかの他の読み出し細胞応答を引き起こす(例えば、生体分子の分泌、細胞シグナル伝達経路の活性化または阻害)。
集団における読み出し細胞は、例えば、形態、大きさ、表面付着、運動性、蛍光応答などの特徴により区別される。例えば、一実施形態では、読み出し細胞の集団は、読み出し細胞がアッセイのユーザによって選択されたような応答を発揮するかどうかを決定するために、その表面上または細胞内で標識される。例えば、カルセイン、カルボキシフルオレセインスクシニルミルエステルレポーター(CFSE)、GFP / YFP / RFPレポーターは、細胞外受容体および細胞内タンパク質および他の生体分子を含む1または複数のレポーター細胞を標識するために使用される。
いくつかの実施形態では、読み出し粒子集団は、不均一な読み出し粒子集団であり、不均一な読み出し細胞集団であることができる。ここで、例えば、ASCまたは複数のASCsは、細胞集団中に存在する。集団内の個々の読み出し粒子は、異なる標的エピトープ、または2つの異なる細胞受容体(例えば、GPCR又はRTKまたはそれらの組み合わせ)を提示してもよい。したがって、細胞外効果の特異性(例えば、標的エピトープのための抗体の特異性または特定の細胞表面受容体の阻害)は、評価される。別の実施形態では、細胞集団内のエフェクター細胞は、ASCであり、読み出し粒子集団は、不均一なビーズ集団を含む。その集団は、すべての抗体(例えば、Fc特定領域)および固有の標的エピトープに特異的なビーズ集団を非選択的に補足する。
一実施形態において、アクセサリー粒子は、細胞外効果の測定を容易にするために、または細胞外効果の読み出しを容易にするために提供される。全体を通じて説明したように、細胞外効果は、エフェクター細胞の分泌産物(例えば、抗体)により発揮される効果を含む。例えば、一実施形態では、ナチュラルキラー(NK)細胞は、読み出し細胞の溶解の測定を容易にするために、アクセサリー粒子として提供される。本実施形態では、細胞外効果は、エフェクター細胞により分泌された抗体が上記読み出し細胞に結合すると、ナチュラルキラー(NK)細胞によって、特異的エピトープまたは細胞受容体に結合する読み出し細胞の溶解を含む。
いくつかの実施形態において、アクセサリー粒子は、タンパク質、タンパク質フラグメント、ペプチド、成長因子、サイトカイン、神経伝達物質(例えば、神経修飾物質または神経ペプチド)、脂質、リン脂質、アミノ酸、モノアミン、糖タンパク質、ホルモン、ウイルス粒子、または、読み出し細胞にエフェクター細胞の分泌物を結合する時に補体経路を活性化するために必要な因子、またはそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、1または複数のアクセサリー粒子は、スフィンゴシン-1-リン酸、リゾホスファチジン酸またはそれらの組合せを含む。本明細書において提供されるデバイスおよび方法で測定可能である種々の細胞効果(抗体を結合する読み出し細胞の溶解を含む)は、以下に詳細に説明される。
例えば、アクセサリー粒子として使用され得るサイトカインは、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンフォカイン、腫瘍壊死因子を含む。いくつかの実施形態において、アクセサリー粒子は、読み出し細胞によって産生される。いくつかの実施形態では、サイトカインは、アクセサリー粒子として使用され、以下の表1に提供される1または複数のサイトカインである。別の実施形態において、1または複数の以下のサイトカイは、アクセサリー粒子として使用される。例えば、インターロイキン(IL)-1α、IL-1β、IL-1RA、IL18、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL17、IL-18 、IL-19、IL-20、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、白血病阻害因子、オンコスタチンM、インターフェロン(IFN)-α、IFN-β、IFN-γ、CD154、リンホトキシンβ(LTB)、腫瘍壊死因子(TNF)-α、TNF-β、トランスフォーミング増殖因子(TGF)-β、エリスロポイエチン、巨核球増殖および発達因子(MGDF)、FMS関連チロシンキナーゼ3リガンド(FLT-3L)、幹細胞因子、コロニー刺激因子-1(CSF-1)、マクロファージ刺激因子、4-1BBリガンド、増殖誘導リガンド(APRIL)、分化クラスター70(CD70)、分化クラスター153(CD153)、分化クラスター178(CD17)8、グルココルチコイド誘導性TNF受容体リガンド(GITRL)、LIGHT(TNFリガンドスーパーファミリーメンバー14、HVEMリガンド、CD258とも呼ばれる)、OX40L(CD252とも称され、CD134のリガンドである)、TALL-1、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、アポトーシスの腫瘍壊死因子弱誘導因子(TWEAK)、TNF関連活性化誘導サイトカイン(TRANCE)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
一実施形態では、アクセサリー粒子は、読み出し細胞の応答を刺激するように動作可能なサイトカインまたは他の因子である。例えば、読み出し細胞は、一つのエフェクター細胞またはその複数と共にインキュベートされ、読み出し細胞に影響を与えるように動作可能であるサイトカインでパルスされる。代替的にまたは追加的に、読み出し粒子に影響を与えるように動作可能なサイトカイン分泌細胞は、アクセサリー細胞としてチャンバ内に供給される。一実施形態では、エフェクター細胞の分泌物によって分泌されたサイトカインの中和は、読み出し細胞上のサイトカインの予測される効果の欠如によって検出される。別の実施形態において、アクセサリー粒子は、提供され、1または複数の読み出し細胞に感染するように動作可能なウイルスである。そして、ウイルスの中和は、ウイルスによる読み出し細胞の感染減少として検出される。
なお、アクセサリー粒子に関して上述された議論により明らかであるように、本明細書で提供されるデバイスおよび方法によって測定可能で検出可能な細胞外効果は、標的エピトープに対する抗体の結合に限定されるものではない。むしろ、一実施形態において、本明細書に記載のような細胞外効果は、機能的な効果である。一実施形態における機能的効果は、アポトーシス、細胞増殖の調節、読み出し粒子の形態学的外観の変化、複数の読み出し粒子の凝集の変化、読み出し粒子内のタンパク質の局在の変化、読み出し粒子によるタンパク質の発現、読み出し粒子によるタンパク質の分泌、細胞シグナル伝達カスケードの誘発、エフェクター細胞によって分泌された分子の読み出し細胞内在化、読み出し粒子に影響を与えるように動作可能なアクセサリー粒子の中和などである。
細胞外効果が、細胞集団を含むマイクロリアクター(例えば、マイクロ流体チャンバ)内で識別されると、集団は回収される。下流アッセイは、エフェクター細胞が測定された細胞外効果の原因となることを決定するために、回収された細胞集団の亜集団に対して行われる。一実施形態における下流アッセイは、マイクロ流体アッセイである。さらなる実施形態において、下流アッセイは、最初の細胞外効果アッセイと同じデバイスで実行される。しかし、別の実施形態において、下流アッセイは、異なるマイクロ流体デバイスで実行される、または非マイクロ流体法(例えば、ベンチトップ単一細胞逆転写酵素(RT)-PCR反応)を介して実行される。一実施形態で識別され、回収されたエフェクター細胞の抗体遺伝子配列は、単離され、クローニングされ、新規の機能的抗体を提供するために発現される。
単一のASCの機能的効果は、本明細書で提供される方法およびデバイスによって測定可能であるが、親和性、結合性及び特異性はまた、エフェクター細胞の「効果」(例えば、エフェクター細胞分泌物の効果)として測定されることができる。例えば、Dierks et al. (2009). Anal. Biochem. 386, pp.30-35(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)によって提供される結合アッセイは、ASCが特定の標的に結合する抗体を分泌するかどうかを決定するために、本明細書で提供されるデバイスに用いられる。
別の実施形態では、細胞外効果は、抗原または細胞受容体に対する親和性である。そして、Singhal et al. (2020). Anal. Chem. 82, pp. 8671-8679(すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる)によって説明される方法は、細胞外効果をアッセイするために使用される。
一実施形態では、複数の細胞外効果の並行分析は、読み出し粒子の複数の種類を使用することによって、1つのマイクロリアクター(例えば、マイクロ流体チャンバ)で行われる。代替的にまたは付加的に、多数の機能的効果の並行分析は、少なくとも2つの異なるチャンバ内の異なる読み出し粒子を用いることにより、単一のマイクロ流体デバイス上で行われる。
一実施形態では、読み出し粒子は、可溶性分子として存在する酵素である。または、それは、マイクロ流体チャンバ表面にまたはチャンバの読み出しゾーン内の別の物理的支持体に拘束されている酵素である。この場合、一実施形態では、読み出し粒子の酵素活性を阻害する抗体の結合は、酵素活性(蛍光シグナル又は比色シグナルまたは沈殿反応を含む)に関する報告をする低減された信号により検出される。
様々な実施形態において、細胞集団内の一つのエフェクター細胞または複数のエフェクター細胞、読み出し粒子の集団またはその亜集団で細胞外効果を有するかどうかを決定することは、その細胞集団を含むマイクロ流体チャンバの光および/または蛍光顕微鏡検査を伴う。従って、本発明の一実施形態は、顕微鏡検査による粒子の画像化を容易にするように、単一の平面内で読み出し粒子集団を維持する工程を含む。一実施形態では、チャンバ内の読み出し粒子集団は、単一の平面内に維持される。その単一の平面は、チャンバの一つまたは多くの高解像度画を生成するために、デバイス材料またはその一部分(例えば、ガラスまたはPDMS)を介して撮像される。一実施形態では、高解像度画像は、同等な光学機器で(レンズや目標物、照明、コントラストメカニズムなど)、標準的な顕微鏡検査の形式を使用して達成されるものと同等な画像である。
本発明の一態様によれば、方法は、細胞外効果の変動を提示する1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団を同定するために提供される。一実施形態において、本方法は、別個のマイクロリアクター(例えば、マイクロ流体チャンバ)内の複数の個々の細胞集団を保持する工程を含む。個々の細胞集団の少なくとも一つは、別個のマイクロ流体チャンバの内容物と、一つ以上の読み出し粒子とを含み、さらに、1または複数の読み出し粒子集団を含む読み出し粒子集団を含む。細胞集団と読み出し粒子集団は、マイクロリアクター内でインキュベートされ、細胞集団は、細胞外効果の存在についてアッセイされる。読み出し粒子集団またはその亜集団は、その細胞外効果の直接的または間接的な読み出しを提供する。アッセイの結果に基づいて、複数の細胞集団の中から一つの細胞集団が、細胞外効果を示す一つ以上のエフェクター細胞を含むかどうかということを決定する。
いくつかの実施形態では、一つ以上の個々の細胞集団と読み出し粒子集団とは、それぞれ、マイクロリアクターの「エフェクターゾーン」と「読み出しゾーン」内に配置されている。しかし、本発明はこれに限定されない。エフェクターゾーンと読み出しゾーンが使用される場合、一実施形態では、それらは、その中に配置される細胞または粒子の性質によって実質的に定義される。すなわち、一つ以上のエフェクター細胞は、エフェクターゾーンに分離され、1または複数の読み出し粒子は、読み出しゾーンに分離されている。エフェクターゾーンは、読み出しゾーンと流体連通している。したがって、いくつかの実施形態では、細胞集団および読み出し粒子が低密度(例えば、チャンバ当たり2つのエフェクター細胞および読み出し粒子未満)でチャンバ内に提供される場合、エフェクター細胞からの読み出し粒子の物理的分離が達成される。しかしながら、本発明は、チャンバ内の個別のゾーンで実施される必要がないということが認識される。本発明の説明によって明らかであるように、このような分離は、本明細書に記載の細胞外効果アッセイを行うために必ずしも必要ではない。
細胞集団および読み出し粒子集団は、例えば、異なる入口ポートを介してマイクロリアクターに、または単一の入口ポートを介して1つの混合物に同時にロードされる。あるいは、エフェクター細胞および読み出し粒子は、マイクロリアクター(例えば、マイクロ流体チャンバ)に連続的にロードされる。当業者は、細胞集団が、チャンバへの読み出し粒子のロード前(または後)に、マイクロリアクターに提供されることを理解する。しかしながら、読み出し粒子集団と細胞集団とを混合物として同時に提供することができる。
本明細書中で開示されたデバイス及び方法は、例えば、細胞外効果の変動を提示する複数の細胞集団から一つの細胞集団を同定するために、複数の細胞集団に一つ以上の細胞外効果のアッセイを実施するための強固なプラットフォームを提供する。変動は、細胞集団中に存在する1または複数のエフェクター細胞に起因する。各細胞集団は、単一のマイクロ流体チャンバに限定され、デバイスの各チャンバで行われるエフェクター細胞アッセイは同じである(例えば、すべての細胞毒性アッセイ、すべての結合アッセイなど)か、異なっている(例えば、1つの結合アッセイ、1つのアポトーシスアッセイ)。デバイス(例えば、エフェクター細胞のアッセイを行うための試薬と、異なる読み出し粒子とを有する)上の特定のチャンバの対応能力は、多様な分析方法を可能にする。
本明細書に記載のマイクロ流体デバイスは、複数のチャンバを含む。前記複数のチャンバのそれぞれは、細胞集団と読み出し粒子集団とを収容する能力を有し、細胞集団中の任意のエフェクター細胞が読み出し粒子集団またはその亜集団に細胞外効果を提示するかどうかを決定する。読み出し粒子集団は、単一の読み出し粒子から構成されてもよい。以下に提供されるように、本明細書に提供されるデバイスは、1つのデバイス上で複数の細胞集団をアッセイするように設計され、組み立てられている。例えば、数百~数千の細胞集団は、細胞外効果の変動を提示する1または複数の細胞集団を識別するために、1つのデバイス上でアッセイされる。細胞集団の少なくとも一部は、互いに不均一である。変動は、例えば、複数の他の集団によって提示される細胞外効果と比較された変動である。例えば、一実施形態では、方法は、複数の細胞集団の中から一つの細胞集団を識別するために提供される。選択された集団は、残りの細胞集団と比較して、細胞外効果の変動を有する。細胞外効果の変動は、例えば、残りの複数の集団またはその亜集団と比較して、チャンバの一つの蛍光強度の差によって、検出可能である。
本発明の一態様によれば、この方法は、細胞外効果の変動を提示する複数の細胞集団の中から一つの細胞集団を同定するために提供される。細胞外効果は、エフェクター細胞から読み出し粒子集団またはその亜集団に分泌される1または複数の可溶性因子の結合によって誘導される。読み出し粒子集団は、均一または不均一な集団である。一実施形態において、本明細書において提供される方法は、マイクロ流体デバイスの異なるチャンバ内の個々の読み出し粒子集団を保持する工程を含む。分析された読み出し粒子の数は、変化し、上記のような細胞集団と同様の考慮事項に応じて決定される。
個々の読み出し粒子集団と細胞集団は、本明細書で提供されるマイクロ流体デバイスの一つの単一のチャンバ内に保持されている。必要に応じて、チャンバは、例えば、チャンバ間の汚染を最小限にするために、マイクロ流体デバイスの他のチャンバ(個々の細胞集団および読み出し粒子集団を含む)から実質的に分離されている。しかし、その分離は、本明細書において提供される方法を実施するために必要ではない。一実施形態では、分離が求められる場合、分離は流体の分離を含む。チャンバの流体の分離は、チャンバを物理的に密閉することによって(例えば、チャンバを囲むバルブを使用することによって)、成し遂げられる。しかし、別の実施形態では、分離は、マイクロ流体デバイスの一つのチャンバと他のチャンバとの間の汚染を排除するように、チャンバ間の流体連通を制限することによって、チャンバを物理的に閉じることなく、成し遂げられる。
細胞集団を含む複数のチャンバまたは一つのチャンバが1または複数のエフェクター細胞を任意に含み、読み出し粒子集団が分離されると、そのチャンバまたは複数のチャンバ、具体的に、一つのチャンバ(または複数のチャンバ)での細胞集団は、インキュベートされる。最初のインキュベーション工程は、読み出し粒子の添加に先立っておよび/または読み出した粒子が細胞集団を含むチャンバに添加された後、起こり得る。
例えば、インキュベーション工程は、健康な細胞集団を維持するために培地交換、または細胞の洗浄工程を含む。インキュベーションはまた、細胞外効果のアッセイを実施するために使用されるアクセサリー粒子の添加を含む。
インキュベーション工程は、一実施形態では、細胞の生存能力(エフェクター細胞、アクセサリー細胞または読み出し細胞)を維持するため、および/またはチャンバ内の細胞の1または複数の機能特性(分泌、表面マーカー発現、遺伝子発現、シグナル伝達機構等)を維持するために、チャンバの1または複数の性質(例えば、湿度、温度、および/またはpH)を制御する工程を含む。一実施形態では、インキュベーション工程は、チャンバを通って灌流流体を流す工程を含む。灌流流体は、エフェクター細胞の種類に応じて選択され、および/または読み出し細胞は特定のチャンバ内にある。例えば、一実施形態における灌流流体は、細胞の生存能力を維持するため(例えば、枯渇酸素を補充するか、廃棄物の生産を除去するため)、または細胞の状態を維持するため(例えば、必須のサイトカインを補充するため)、または所望の効果をアッセイすることを支援するため(例えば、蛍光検出試薬を追加するため)に選択される。灌流は、試薬を交換するために、例えば、連続的な方法で多数の細胞外効果をアッセイするために使用される。
別の実施形態では、細胞集団をインキュベーションする工程は、読み出し粒子(例えば、読み出し細胞)の細胞応答を誘導するために、チャンバを通って潅流流体を流す工程を含む。例えば、一実施形態におけるインキュベーション工程は、細胞集団を含むチャンバにシグナル伝達サイトカインを含む流体を添加する工程を含む。インキュベーション工程は、連続的、周期的、またはそれらの組み合わせであることができる。例えば、マイクロ流体チャンバまたは複数のチャンバに灌流流体を流す工程は、定期的または連続して、またはそれらの組み合わせである。一実施形態では、インキュベーション流体(例えば、灌流流体)の流量は、統合されたマイクロ流体マイクロバルブ、マイクロポンプによって制御される。別の実施形態では、インキュベーション流体の流れは、例えば、圧力の流れを調節するために、圧縮空気、シリンジポンプまたは重力を使用することによって、圧力駆動される。
デバイス内の個々のチャンバが、細胞集団と読み出し粒子集団を提供されたら、方法は、集団内の細胞が読み出し粒子集団又はその亜集団に細胞外効果を発揮するかどうかを決定するために行われる。細胞集団と、読み出し粒子集団および/またはその亜集団とは、必要に応じて、その集団内の細胞が細胞外効果を発揮するか、または他の細胞集団と比較した場合、細胞外効果の変動を発揮するかどうかを決定するために検査される。存在および/または変動がチャンバ内で検出される限り、細胞外効果またはその変動を発揮する特定の細胞または細胞がチャンバ内で識別されることは、必要ではない。一実施形態において、細胞集団が細胞外効果の変動または細胞外効果を発揮するものとして識別されると、細胞集団は、細胞外効果またはその変動の原因となる特異的なエフェクター細胞を同定するために、さらなる特徴付けのために回収される。別の実施形態では、細胞集団が細胞外効果または細胞外効果の変動を発揮するものとして識別されると、細胞集団は回収され、細胞集団からの核酸が増幅され、配列決定される。
一実施形態における細胞外効果は、エフェクター細胞によって産生されるタンパク質と、読み出し粒子(例えば、ビーズまたは細胞)との間の結合相互作用である。一実施形態では、集団中の1または複数のエフェクター細胞は、抗体産生細胞であり、読み出し粒子は、標的エピトープを有する抗原を含む。一実施形態における細胞外効果は、抗原に対する抗体の結合と変動であり、例えば、一つのコントロールチャンバ又は複数のうちの他の集団と比較して大きい結合である。また、細胞効果の変動は、特定の抗原に対する変調された親和性を有する抗体を分泌するエフェクター細胞の存在である。すなわち、結合相互作用は、抗原-抗体結合特異性、抗原-抗体の結合親和性、および抗原-抗体結合反応速度のうちの1または複数の測定である。代替的にまたは追加的に、細胞外効果は、アポトーシスの調節、細胞増殖の調節、読み出し粒子の形態学的外観の変化、読み出し粒子内のタンパク質の局在の変化、読み出し粒子によるタンパク質の発現、アクセサリー粒子の生物学的活性の中和、エフェクター細胞によって誘発される読み出し細胞の細胞溶解、エフェクター細胞によって誘導される読み出し細胞の細胞アポトーシス、読み出し細胞壊死、抗体の内在化、アクセサリー粒子の内在化、エフェクター細胞による酵素中和、可溶性シグナル伝達分子の中和またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、読み出し粒子の少なくとも二つの異なるタイプは、読み出し粒子の一方のタイプが標的エピトープを含まないチャンバに提供される。
読み出し粒子の異なるタイプは、1または複数の特性(例えば、蛍光標識すること、蛍光強度、形態、大きさ、表面染色およびチャンバ内の場所のレベルを変化させること)によって、区別されてもよい。
一度エフェクター細胞を含む細胞集団とインキュベートされると、読み出し粒子集団またはその亜集団は、細胞集団内の1または複数の細胞が、1または複数の読み出し粒子に細胞外効果(直接的か間接的かどうか)、または細胞外効果の変動を発揮するかどうかを決定するために検査される。細胞集団は、下流分析のために、アッセイされた細胞外効果の変動を有することが確認され、その後回収される。重要なことに、全体を通して提供されるように、細胞外効果の存在が特定のマイクロリアクター(例えば、マイクロ流体チャンバ)内で検出される限り、1または複数の読み出し粒子上で特定の細胞外効果を有する特定のエフェクター細胞が同定されるということは、必要ではない。
いくつかの実施形態では、細胞集団内の1または複数のエフェクター細胞は、規定された生体分子(例えば、抗体)を分泌する。そして、これらの因子の細胞外効果は、細胞外効果を示す細胞集団を検出するために、一つの読み出し粒子又は複数の読み出し粒子(例えば、読み出し細胞)で評価される。しかし、細胞外効果は、分泌された生体分子の効果に限定されるものではない。例えば、一実施形態では、細胞外効果は、T細胞受容体の効果、例えば、抗原に対する結合である。
一実施形態では、読み出し粒子集団は、読み出し細胞の不均一な集団であり、cDNAライブラリーを発現するように操作された読み出し細胞を含む。それによって、cDNAライブラリーは、細胞表面タンパク質をコードする。これらの細胞への抗体の結合は、標的エピトープに結合する抗体を分泌する細胞を回収するために、また場合によっては、その細胞を分析するために使用される。
いくつかの実施形態では、読み出し粒子集団またはその亜集団で細胞外効果を測定するための方法は、効果が測定されているチャンバに1または複数のアクセサリー粒子を添加する工程を含む。例えば、読み出し細胞への抗体の結合で補体を活性化するために必要な少なくとも1つの因子は、アクセサリー粒子として提供されてもよい。上記のように、一実施形態において、ナチュラルキラー細胞またはその複数は、細胞溶解が測定されている場合に、アクセサリー細胞としてチャンバに添加される。当業者は、使用されるアッセイに基づいて、アクセサリー粒子が必要であることを決定することができる。
いくつかの実施形態では、一つ以上の読み出し粒子が標的抗原を発現するまたは提示する読み出し細胞を含む場合、ナチュラルキラー細胞またはその複数は、測定される機能的効果(溶解)を容易にする「アクセサリー細胞」として、チャンバに提供される。アクセサリー細胞は、読み出し粒子がロードされる前、または読み出し粒子がチャンバ内にロードされた後、細胞集団と読み出し粒子とチャンバに提供される。ナチュラルキラー細胞が使用される実施形態では、ナチュラルキラー細胞は、エフェクター細胞によって産生される抗体が結合した1または複数の読み出し細胞を標的とする。細胞外効果は、このように、ナチュラルキラー細胞による一つ以上の読み出し細胞の溶解を含む。溶解は、生存色素、膜の完全性色素、蛍光色素の放出、酵素アッセイなどによって測定されることができる。
いくつかの実施形態では、細胞外効果は、読み出し粒子に影響を与えるように動作可能なアクセサリー粒子(またはアクセサリー試薬)(例えば、少なくとも一つの読み出し細胞の応答を刺激するように動作可能なサイトカイン(アクセサリー粒子))の中和である。例えば、読み出し粒子細胞に影響を与えるように動作可能なサイトカイン分泌細胞は、さらに、チャンバに提供されてもよい。エフェクター細胞によって分泌されるサイトカインの中和は、読み出し細胞でサイトカインの期待される効果(例えば、増殖)の欠如として検出されてもよい。別の実施形態において、アクセサリー粒子は、読み出し細胞に感染するように動作可能なウイルスであり、ウイルスの中和は、ウイルスによる読み出し細胞の感染減少として検出される。
いくつかの実施形態では、1つのエフェクター細胞型の細胞外効果は、異なるタイプのエフェクター細胞(例えば、抗体またはサイトカインの分泌)の活性化を誘導する。それは、少なくとも一つの読み出し細胞内応答を誘発することができる。
全体を通して提供されるように、本明細書で提供される方法およびデバイスは、読み出し粒子で細胞外効果の変化を示すエフェクター細胞を同定するために使用される。エフェクター細胞は、マイクロ流体チャンバ内で、または単一のチャンバ内の細胞集団中で、単一エフェクター細胞として存在する。細胞外効果は、例えば、エフェクター細胞の分泌物の細胞外効果であることができる。エフェクター細胞が、より大きな細胞集団中に存在する場合において、細胞外効果は、細胞集団に第一に起因している。そして、集団は単離され、単離された集団の亜集団は、細胞外効果の細胞学的根拠を決定するために分析される。細胞外効果を示す亜集団は、単離され、例えば、単一の細胞のような限界希釈法でさらに分析され、または核酸の分析に供することができる。一実施形態において、単離された細胞集団の亜集団は、単一の細胞を含む。
一つの態様において、細胞集団は、モノクローナル抗体を分泌するASCを含む。一実施形態では、読み出しビーズ系アッセイは、抗体を分泌していない1つまたは複数の追加の細胞のバックグラウンドの中で抗体を分泌するエフェクター細胞の存在を検出する方法において使用される。例えば、ビーズ系アッセイは、目的の標的エピトープに結合しない抗体を分泌する1つまたは複数の追加のASCsの存在下、細胞集団内のASCを検出する方法において(その抗体は目的の標的エピトープに結合する)、一実施形態で使用される。
別の実施形態では、標的細胞に特異的に結合する抗体の能力が評価される。図3を参照すると、このアッセイは、少なくとも一つのエフェクター細胞182(ASC)に加えて、少なくとも2つの読み出し粒子(例えば、読み出し細胞181及び186)を含む。読み出し細胞181は、目的の既知の標的エピトープ(すなわち、標的エピトープ183)をその表面上に(自然にまたは遺伝子工学を介して)発現する。一方、読み出し細胞186は発現しない。読み出し細胞181と186の2つのタイプは、区別可能な蛍光マーカー、他の染色剤や形態によって、自身とエフェクター細胞182とから区別可能である。エフェクター細胞182は、読み出し細胞181及び186と同じチャンバで抗体184を分泌する。エフェクター細胞182によって分泌された抗体184は、標的エピトープ183を介して読み出し細胞181に結合するが、読み出し細胞186に結合しない。二次抗体は、読み出し細胞181への抗体184の選択的な結合を検出するために使用される。その後、マイクロ流体チャンバは、読み出し細胞181および/または読み出し細胞186に結合する抗体184が発生したかどうかを決定するためにイメージ化される。
このようなアッセイはまた、高解像度顕微鏡を用いて、読み出し細胞の内部またはその細胞上に結合する抗体の位置を評価するために使用される。本実施形態では、読み出し粒子は、異なる粒子の種類(例えば、細胞タイプ)、または、結合特異性および/または局在化を評価する異なる方法(例えば、透過処理および固化)で調製された粒子/細胞を含む。例えば、そのようなアッセイは、抗体を同定するために使用される。その抗体は、ライブ細胞上の標的の自然の構造と、固定細胞上の編成された構造とを結合する。そのようなアッセイは、ブロックされた異なるエピトープを有する読み出し粒子の異なる集団で、既知のエピトープに対する抗体を有する分子の他の部分を最初にブロックすることによって、標的分子上のエピトープの位置を決定するために代替的に使用されてもよい。
別の実施形態では、個々の不均一な読み出し粒子集団(例えば、悪性および正常細胞を含む読み出し細胞集団)および個々の細胞集団は、本明細書に提供されるデバイスのうちの1または複数のマイクロ流体チャンバ(例えば、1000を超えるチャンバ)に提供される。個々の細胞集団の少なくとも一つは、エフェクター細胞を含む。例えば、図4を参照すると、読み出し細胞の集団における健康な読み出し細胞426への結合の不存在および1または複数の悪性読み出し細胞425への結合は、目的の抗体を産生する1または複数のエフェクター細胞(すなわち、集団における1または複数の悪性細胞に特異的な抗体428を産生するエフェクター細胞427)を含む目的の細胞集団を同定するために使用される。チャンバ内の読み出し細胞425と426の2つのタイプは、少なくとも1つの特性(例えば、蛍光標識すること、マイクロ流体チャンバ内の位置、表面染色、大きさ、形態蛍光強度のレベルを変化させること)によって区別される。次いで、細胞は、1または複数のチャンバが細胞外効果(すなわち、健康な読み出し細胞でなく悪性読み出し細胞に結合する抗体を分泌するASC)を発揮する細胞集団を含むかどうかを決定するために、画像化され、個々のチャンバ内でインキュベートされる。
チャンバ内に存在する場合には、健康な読み出し細胞426ではなく、悪性読み出し細胞425に結合する抗体を分泌する一つ以上のASCsを含む細胞集団は、その後、チャンバ内で抗体の配列を取得するために回収され、あるいは、集団内の個々の細胞で他の下流のアッセイを行うため回収される(例えば、集団のどのエフェクター細胞が所望の結合特性を有するかということを決定するためのアッセイ)。従って、新規の機能的抗体は、本明細書に記載の一つ以上の方法によって発見されることが提供される。悪性読み出し細胞425上のエピトープは、既知または未知である。後者の場合、抗体のためのエピトープは、以下の方法により同定されることができる。
一実施形態では、単一の細胞タイプは、エフェクター細胞および読み出し細胞の両方として機能することができる。図5を参照すると、このアッセイは、単一の細胞タイプ(すなわち、エフェクター細胞430および読み出し細胞431、両方はそれらの表面上で目的の分子432を捕捉するために官能化されている)の不均一な細胞亜集団を用いて行われる。例えば、表面マーカーと目的の分子432に対して向けられた四量体抗体433、または、ビオチン化抗体を結合するために、細胞上のアフィニティーマトリックスを使用する。図6を参照すると、四量体抗体複合体は、細胞を結合する抗体(A)435と、細胞から分泌された抗体に結合する抗体(B)436とからなる。抗体AとBは、抗体AとBのFcタンパク質を結合する二つの抗体437によって接続されている。そのような四量体抗体複合体は、当技術分野において記載され(Lansdorp et al. (1986). European Journal of Immunology 16, pp. 679-683、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、市販されている(Stemcell Technologies社、バンクーバーカナダ)。これらの四量体を用いて、分泌された抗体は、捕捉され、細胞の表面に結合される。したがって、エフェクター細胞はまた、読み出し粒子として機能する。いったん細胞の表面に結合すると、これらの抗体は、例えば、蛍光標識された抗原を添加することによって、結合するためにアッセイされる。例えば、一つの特定の標的に結合するモノクローナル抗体を分泌する細胞を含むチャンバを識別しようとする場合、エフェクター細胞から分泌された抗体は、適切な捕捉剤を使用して、これらのエフェクター細胞の表面およびチャンバ中のその他のエフェクター細胞に捕捉される。図5を再び参照すると、エフェクター細胞430はまた、読み出し細胞として機能することができることが理解される。すなわち、目的の分子432を分泌するエフェクター細胞は、読み出し細胞431よりも目的の分子をより効率的捕捉することができる。
一実施形態では、細胞外効果のアッセイは、各チャンバにおける細胞のほぼ均一な集団と、読み出し粒子の不均一な集団(例えば、不均一な読み出し細胞集団)とで複数のマイクロ流体チャンバ内で並行して行われる。ほぼ均一な集団内の個々のエフェクター細胞は、それぞれ、同一の抗体を産生する。さらなる実施形態では、読み出し粒子は、エフェクター細胞によって分泌された抗体の標的エピトープを決定するために、タンパク質またはタンパク質フラグメントのライブラリーを発現するように遺伝的に操作された読み出し細胞である。図7を参照すると、アッセイの一実施形態は、抗体191を分泌する複数のエフェクター細胞190含む。アッセイはさらに、エピトープ196、197、198、及び199を提示する読み出し細胞192、193、194、195を含む不均一な読み出し細胞集団を含む。エフェクター細胞190は、読み出し細胞192、193、194、および195に向かって拡散する抗体191を分泌する。抗体191は、標的エピトープ198を介して読み出し細胞194に結合するが、読み出し細胞192、193または195に結合しない。二次抗体は、読み出し細胞194への抗体191の選択的結合を検出するために使用されてもよい。
読み出し細胞194(または他のエピトープ)を結合する抗体191を含む細胞集団は、その後、デバイスから回収され、さらなるアッセイにかけられる。
一つの態様において、機能的アッセイは、細胞集団内の個々のASCが標的細胞の細胞溶解を活性化するかどうか(すなわち、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を活性化するかどうか)を決定するために提供される。ADCCは、細胞媒介性免疫防御機構である。免疫系のエフェクター細胞は、標的細胞を溶解する。その膜表面抗原は、特異的な抗体(すなわち、本明細書で提供される特定のマイクロ流体チャンバ内のASCによって分泌された抗体)によって結合されている。古典的なADCCは、ナチュラルキラー(NK)細胞により媒介される。しかし、マクロファージ、好中球および好酸球もADCCを媒介することができ、ADCC細胞外効果アッセイにおいて使用されるべきアクセサリー細胞として本明細書に提供される。
本明細書で提供されるADCCアッセイの一実施形態は、一つのエフェクター細胞またはその複数を含む細胞集団と、読み出し細胞集団(それらの表面上に目的のエピトープを有する)と、アクセサリー細胞としてNK細胞とを含む。アッセイは、細胞集団からのASCが、標的細胞を攻撃し、それらを溶解するNK細胞を誘導するかどうかを決定するために実行される。図8を参照すると、図示された実施形態はそれぞれ、抗体202および203を分泌するASC200および201を含む細胞集団を含む。図示した実施形態は、さらに、それぞれのエピトープ206および207を提示する読み出し細胞204及び205を含む不均一な読み出し細胞集団を含む。ASC 200および201は、読み出し細胞204及び205に向かって拡散する抗体202および203を分泌する。抗体202は、標的エピトープ207を介して読み出し細胞205に結合するが、読み出し細胞204に結合しない。抗体203は、読み出し細胞204および205のいずれかに結合しない。NK細胞208は、結合していない読み出し細胞204をそのままにしつつ抗体202が結合した読み出し細胞205を検出し、読み出し細胞205を殺すために進行する。
NK細胞は、それが読み出し細胞へのアクセスを容易にするようにチャンバに添加されていれば、読み出し細胞とエフェクター細胞のインキュベーションの間または後にチャンバに添加されてもよいということを当業者は理解する。NK細胞は、アクセサリー細胞(例えば、末梢血単核細胞)の不均一な集団からのものであってもよい。NK細胞は、動物またはヒト由来の細胞株からのものであり、ADCC活性を増加させるように操作されていてもよい。このアッセイは、マクロファージ、好酸球や好中球のようなADCCを媒介することができる他の造血細胞型を用いて実施され得るということを当業者はさらに理解する。この場合には、マクロファージ、好酸球や好中球は、アッセイにおいてアクセサリー細胞である。ADCCを媒介することができる細胞型はまた、ADCC活性を増加させるために操作され、または標的細胞上に抗体を結合するシグナルを報告するために操作された動物又はヒト由来の細胞株であることができる。後者では、ADCCを媒介する細胞は、読み出し粒子であるが、標的細胞は、アクセサリー粒子である。
ADCC細胞外効果アッセイは、単一のエフェクター細胞、均一な細胞集団、または図8に示すような不均一な細胞集団に対して行うことができる。同様に、ADCCアッセイは、単一の読み出し細胞、均一な読み出し細胞集団、または図8に示されるような不均一な読み出し細胞集団を用いて実施することができる。しかしながら、多くの場合では、読み出し細胞のランダム死に起因する偽陽性の検出を回避するために、複数の読み出し細胞でADCCアッセイを行うことが望ましい。
細胞溶解は、一実施形態では、クローン形成アッセイにより、膜の完全性染料を添加することにより、細胞内の蛍光分子の損失により、または溶液中での細胞内分子の放出により、定量化される。放出された生体分子は、溶液中で直接測定可能であるか、または測定のための読み出し粒子に捕捉される。いくつかの場合において、追加のアクセサリー分子(酸化還元アッセイ用の基質または酵素アッセイ用の基質)が添加される。図9を参照すると、例えば、第1の生体分子502と、第1の生体分子502を分泌しない第2のエフェクター細胞501とを分泌するエフェクター細胞500を含む細胞集団は、不均一な読み出し粒子集団(読み出し細胞503と、読み出し粒子504とを含む)と、アクセサリー粒子(例えば、ナチュラルキラー細胞505)との存在下でインキュベートされる。読み出し細胞503への第1の生体分子502の結合は、読み出し細胞503を溶解させるナチュラルキラー細胞505の動員を誘発する。細胞溶解の際に、第2の生体分子506は、読み出し細胞503から放出され、読み出し粒子504(例えば、分子507を介して、第2の生体分子506を捕捉するために官能化された異なるタイプの読み出し粒子)上に捕捉される。分子507は、一実施形態では、タンパク質、抗体、酵素、反応性基および/または核酸である。補足された第2の生体分子506は、タンパク質、酵素、炭水化物または核酸のような読み出し細胞503中に存在する任意の分子であり得る。一実施形態では、読み出し粒子504への第2の生体分子506の結合は、蛍光アッセイ、比色アッセイ、生物発光アッセイ、または化学発光アッセイを使用して定量される。捕捉された生体分子506が異なる光学特性を有する生成物に基質を変換する酵素である場合、アッセイは、例えば、読み出し粒子504上で直接的に、または周囲の溶液で間接的に実行される。アッセイは、いずれかのチャンバが細胞溶解を誘発する生体分子を分泌するエフェクター細胞を含むかどうかを決定するために、本明細書に提供されるデバイスの一つのうちの複数のチャンバで行われる。
ADCCアッセイは、当技術分野で公知であり、構成要素は、市販されている。例えば、フローサイトメトリー(ミリポア社)用のグアバ細胞毒性キット、ADCCレポーターバイオアッセイコアキット(Promega社)、ADCCアッセイ(GenScript社)、LIVE/DEAD細胞仲介細胞毒性キット(Life Technologies社)とDELFIA細胞毒性アッセイは、本明細書で提供されるデバイスに利用される。
別の実施形態では、細胞外効果のアッセイは、補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイである。1つのCDCの実施形態において、本方法は、細胞集団内でASC(またはASCの分泌された抗体)の存在を同定するために設けられている。その細胞集団は、古典的補体経路を経由して読み出し細胞の溶解を誘導するのに十分なおよび/または必要な可溶性因子の存在下で読み出し細胞に結合する。したがって、このアッセイは、ASCによって分泌された抗体が古典的補体経路によって、1または複数の標的細胞の溶解を促進するかどうかを決定することである。
CDCアッセイは、少なくとも1つのエフェクター細胞と、なくとも一つの読み出し細胞とを含む。そして、1つCDCの実施形態が、図10に示されている。実施形態は、抗体212および213をそれぞれ分泌する、エフェクター細胞210と、エフェクター細胞211とを含む細胞集団を含む。さらに図示された実施形態は、エピトープ216および217をそれぞれ提示する、読み出し細胞214と、読み出し細胞215とを含む不均一な読み出し細胞集団を含む。エフェクター細胞210および211は、読み出し細胞214及び215に向かって拡散する抗体212、213を分泌する。抗体212は、標的エピトープ217を介して読み出し細胞215に結合するが、読み出し細胞214に結合しない。抗体213は、読み出し細胞214及び215のいずれかに結合しない。酵素C1 218、アクセサリー粒子、及び古典補体経路を介して細胞の溶解を誘導するのに必要な可溶性因子の一つは、結合しない読み出し細胞214をそのままにして、抗体212と読み出し細胞215の複合体に結合する。抗体212と読み出し細胞215の複合体に酵素のC1 208を結合することは、必要な追加の可溶性因子が関与する古典的補体経路を動作させ、古典補体経路(図示せず)を介して細胞の溶解を誘導する。それにより、読み出し細胞215の破裂および死をもたらす。
読み出し細胞の溶解を誘導するのに必要な可溶性因子(すなわち、アッセイのために必要なアクセサリー粒子)は、それが読み出し細胞へのアクセスを容易にする方法でチャンバに添加されていれば、読み出し細胞とエフェクター細胞のインキュベーション中又は後に添加される。本明細書に提供されるCDCアッセイは、単一のエフェクター細胞、均一なエフェクター細胞集団、または図8に示されるような不均一な細胞集団に対して行うことができる。同様に、CDCアッセイは、図8に示すように、単一の読み出し細胞、均一な読み出し細胞集団または不均一な読み出し細胞集団で行うことができる。しかし、読み出し細胞のランダム死に起因する偽陽性の検出を回避するために、読み出し細胞集団でCDCアッセイを実行することは、多くの場合において好ましい。
補体経路による細胞溶解は、当業者に公知の方法に従って定量される。例えば、細胞溶解は、クローン形成アッセイにより、膜の完全性色素を添加することにより、細胞内の蛍光分子の損失により、または溶液中での細胞内分子を放出することにより、定量化される。放出された生体分子は、溶液中で直接測定されまたは読み出し粒子上に捕捉される。いくつかの場合において、追加のアクセサリー分子(酸化還元アッセイ用基質または酵素アッセイ用基質)は、添加されてもよい。図11を参照すると、例えば、第1の生体分子512と、第1の生体分子512を分泌しない第2のエフェクター細胞511とを分泌するエフェクター細胞510を含む細胞集団は、アクセサリー粒子515(例えば、補体タンパク質)の存在下、1または複数の不均一な読み出し粒子(例えば、読み出し細胞513と、読み出し粒子514)の存在下でインキュベートされる。アクセサリー粒子515の存在下、読み出し細胞513への生体分子512の結合は、読み出し細胞513が溶解する原因となる。細胞溶解の際に、第2の生体分子516は、放出され、読み出し粒子514(例えば、分子517を介して、生体分子516を捕捉するために官能化された読み出し粒子の第2のタイプ)に捕捉される。分子517は、タンパク質分子、抗体、酵素、反応性基および/または核酸のような1または複数のタイプの分子であってもよい。補足された生体分子516は、タイプに限定されるものではない。むしろ、捕捉された生体分子516は、タンパク質、酵素、染料、炭水化物または核酸のような読み出し細胞513中に存在する任意の分子であり得る。読み出し粒子514への第2の生体分子516の結合は、蛍光アッセイ、比色アッセイ、生物発光アッセイ、または化学発光アッセイを使用して定量される。例えば、捕捉される生体分子516が、異なる光学特性を有する生成物に基質を変換する酵素である場合、アッセイは、読み出し粒子514上で直接的に、または周囲の溶液中で間接的に実行されてもよいことが理解される。
別の実施形態では、アッセイは、エフェクター細胞単独、または細胞集団内のエフェクター細胞が成長細胞を調節するかどうかを決定するために設けられている。具体的には、アッセイは、エフェクター細胞が読み出し細胞の増殖速度を調節する生体分子(例えば、サイトカインまたは抗体)を分泌するかどうかを決定するために使用される。図12を参照すると、図示の実施形態は、生体分子222および223をそれぞれ分泌するエフェクター細胞220およびエフェクター細胞221を含む細胞集団を含む。さらに図示された実施形態は、読み出し細胞224を含む均一な読み出し細胞集団を含む。エフェクター細胞220と221は、読み出し細胞224に向かって拡散する生体分子222および223分泌する。生体分子222は、読み出し細胞224の成長を誘導するために読み出し細胞224に結合する(穴あき線で示されている)。生体分子223は、読み出し粒子224に結合しない。チャンバの顕微鏡画像は、生体分子に曝露されていない他のチャンバ内の細胞に関連した読み出し細胞224の増殖を評価するために使用される。
細胞増殖変調アッセイは、1または複数のエフェクター細胞を任意に含む細胞集団を用いて行われる。上述のように、いくつかの実施形態では、全ての細胞集団が、その希少性、および/または出発集団において濃縮される困難性のために、エフェクター細胞を含むという訳ではない。その出発集団は、本明細書中に提供されるデバイスの一つに最初にロードされる。本発明は、1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団を同定することによって、これらの稀少な細胞の同定を可能にする。
細胞増殖変調アッセイは、単一の読み出し細胞、または単一のチャンバ内で不均一な読み出し細胞集団を用いて行われる。しかし、多くの場合には、成長速度のより正確な測定を可能にするために、均一な読み出し細胞集団と細胞増殖調節アッセイを行うことが望ましい。
細胞増殖変調アッセイは、一実施形態では、細胞増殖を阻害する生体分子を産生する細胞をスクリーニングするように適合される。別の実施形態では、方法は、読み出し細胞の増殖速度を調節(すなわち、増加または減少)する分子を産生する細胞をスクリーニングするために適合される。成長速度は、一実施形態では、光学顕微鏡像から手動または自動細胞計数、蛍光を発現する細胞の総蛍光強度、希薄化染料(例えばCFSE)で標識された細胞の平均蛍光強度、核染色、または当業者に知られている他の何らかの方法によって測定される。
増殖を測定するための市販のアッセイは、alamarBlue(登録商標)細胞生存率アッセイ、CellTrace(登録商標)CFSE細胞増殖キットおよびCellTrace(登録商標)バイオレット細胞増殖キット(Life Technologies社のすべて)を含む。それらは、本明細書に記載の方法およびデバイスで使用することができる。
別の実施形態では、アポトーシスの機能的アッセイは、他の細胞のアポトーシスを誘導する一又は複数のエフェクター細胞(すなわち、読み出し細胞またはアクセサリー細胞)を含む細胞集団を選択するために提供される。一実施形態では、方法は、読み出し細胞またはアクセサリー細胞のアポトーシスを誘発する生体分子(例えば、サイトカインまたは抗体)を分泌するエフェクター細胞の存在を同定するために使用される。図13を参照すると、図示の実施形態は、生体分子232と生体分子233をそれぞれ分泌するエフェクター細胞230およびエフェクター細胞231を含む細胞集団を含む。さらなる図示の実施形態では、読み出し細胞234を含む均一な読み出し細胞集団を含む。エフェクター細胞230とエフェクター細胞231はそれぞれ、読み出し細胞234に向かって拡散する、生体分子232および233を分泌する。生体分子232は、読み出し細胞234に結合し、読み出し細胞234のアポトーシスを誘導する。生体分子233は、読み出し細胞に結合しない。チャンバの顕微鏡画像は、一実施形態では、当該技術分野で知られているアポトーシスの他のマーカー及び染色剤を潜在的に使用してアポトーシスを評価するために使用される(例えば、アネキシン5、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)媒介dUTP切れ目末端標識、ミトコンドリア膜電位の破壊など)。一実施形態では、市販の染料またはキットを使用するアポトーシスよりむしろ細胞死は、例えば、ヨウ化プロピジウム(PI)、LIVE/DEAD(登録商標)生存率/細胞毒性キット(Life Technologies社)またはLIVE/DEAD(登録商標)細胞媒介細胞傷害性キット(Life Technologies社)で測定される。
アポトーシスアッセイは、一実施形態では、単一のエフェクター細胞を含む細胞集団、1または複数のエフェクター細胞を任意に含む細胞集団、または1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団上で行われる。一実施形態において、アポトーシスアッセイは、単一の読み出し細胞、または不均一な読み出し細胞集団を用いて行われる。しかし、多くの場合には、アポトーシスのより正確な評価を可能にするために、均一な読み出し細胞集団でアポトーシスのアッセイを行うことが望ましい。
別の実施形態において、本明細書で提供されるマイクロ流体デバイスは、生体分子、例えば、読み出し細胞のオートファジーを誘導するサイトカインまたは抗体を分泌するエフェクター細胞を選択するために使用される。この方法の一実施形態は、図14に示されている。図14を参照すると、図示の実施形態は、エフェクター細胞441とエフェクター細胞442とを含む細胞集団を含む。図示した実施形態は、さらに、標的エピトープ449を提示する第1の読み出し細胞444と、標的エピトープを欠く第2のタイプの読み出し細胞445とを含む不均一な読み出し細胞集団を含む。エフェクター細胞441は、生体分子443を分泌する。それは、第1のタイプの読み出し細胞444と、第2タイプの読み出し細胞445に向かって拡散する。生体分子443は、第1のタイプの読み出し細胞444に結合し、第1のタイプの読み出し細胞444のオートファジーを誘導する。体分子443は、第2のタイプの読み出し細胞445に結合しない。チャンバの顕微鏡画像は、一実施形態では、オートファジー報告で操作された細胞株を使用して、オートファジーを評価するために使用される。そのオートファジー報告は、当技術分野で知られている(例えば、FlowCellect(登録商標)GFP-LC3レポーターオートファジーアッセイキット(20S)(EMDミリポア)、Premo(登録商標)オートファジタンデムセンサーRFP-GFP-LC3Bキット(Life Technologies社))。
一実施形態では、オートファジーアッセイは、単一のエフェクター細胞を含む細胞集団、1または複数のエフェクター細胞を任意に含む細胞集団、または1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団で行われる。一実施形態では、オートファジーアッセイは、単一の読み出し細胞、または不均一な読み出し細胞集団、または均一な読み出し細胞集団を用いて行われる。このアッセイは、一実施形態では、均一な読み出し細胞集団を用いて行われる。
別の実施形態では、方法は、エフェクター細胞の存在を同定するために提供されるか、または生体分子(例えば、抗体)を分泌するエフェクター細胞を選択するために提供される。その生体分子は、応答を受ける読み出し細胞を誘導する既知の生体分子(例えば、サイトカイン)の機能を妨害する。応答は、タイプによって限定されるものではない。例えば、一実施形態における応答は、細胞死、細胞増殖、レポーターの発現、形態の変化、または方法のユーザによって選択されたいくつかの他の反応から選択される。方法の一実施形態は、図15に提供される。図15を参照すると、図示の実施形態は、生体分子242および243をそれぞれ分泌するエフェクター細胞240と、エフェクター細胞241と含む細胞集団を含む。さらに図示された実施形態は、読み出し細胞244を含む均一な読み出し細胞集団を含む。エフェクター細胞240,241は、抗体242および243を分泌する。それは、チャンバ内の培地に拡散する。チャンバは、サイトカイン245でパルスされ、通常、読み出し細胞244に既知の効果を有している。抗体242は、サイトカイン245に結合し、それによって、それらが読み出し細胞244に結合することを防いでいる。従って、期待される応答は観察されない。これは、エフェクター細胞240および241の一方が、応答を受ける読み出し細胞244を刺激するサイトカイン245の能力を中和することができる抗体を分泌するということを含んでいる。
一実施形態では、サイトカイン中和アッセイは、エフェクター細胞の存在を同定するために使用される。このエフェクター細胞は、読み出し細胞上に存在するサイトカインのための受容体を標的とする生体分子を生成する。この場合、応答が刺激されないように、読み出し細胞244上のサイトカイン245の受容体246への抗体(例えば、抗体242)の結合は、サイトカインと受容体との相互作用をブロックする。他の実施形態では、サイトカイン受容体は、「可溶化」または「安定化」されており、例えば、HeptaresSTAR(登録商標)プラットフォームを介して操作されたサイトカイン受容体である。
サイトカインへの応答は、一実施形態において、当業界で知られているような関連シグナリングの顕微鏡測定によって確認されるが、細胞死、細胞増殖、蛍光レポータータンパク質の発現、細胞成分の局在化、細胞形態の変化、運動性、走化性、細胞凝集等に限定されるものではない。1つの実施形態では、エフェクター細胞とチャンバの応答は、応答が阻害されるかどうかを決定するために、エフェクター細胞を欠くチャンバと比較される。応答が阻害される場合、チャンバ内のエフェクター細胞は、さらなる分析のために採取される。
一実施形態では、サイトカインアッセイは、単一のエフェクター細胞を含む細胞集団、1または複数のエフェクター細胞を任意に含む細胞集団、または1または複数のエフェクター細胞含む細胞集団の個々のマイクロリアクター内で行われる。もちろん、この方法は、複数の細胞集団の複数のマイクロチャンバで並列的に実行される。一実施形態では、サイトカインアッセイは、単一の読み出し細胞、または不均一な読み出し細胞集団を用いて行われる。一実施形態では、本方法は、読み出し細胞の刺激(またはむしろそれを欠いて)によるより正確な評価を可能にする不均一な読み出し細胞集団を用いて行われる。
そのようなアッセイのための、市販のサイトカイン依存性又はサイトカイン感受性細胞株の例としては、特に限定されるものではなく、TF-1、NR6R-3T3、CTLL-2、L929細胞、A549、HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)、BaF3、BW5147.G.1.4.OUAR.1、(ATCCから入手可能なすべて)、PathHunter(登録商標)CHO細胞(DiscoveRx社)とTANGO細胞(Life Technologies社)が挙げられる。当業者は、初代細胞(例えば、リンパ球、単球)はまた、サイトカインアッセイの読み出し細胞として使用され得ることを理解する。
一実施形態では、シグナル伝達アッセイは、分子(例えば、抗体またはサイトカイン)を分泌する1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団を同定するために使用される。その分子は、読み出し細胞の受容体にアゴニスト活性を有している。受容体に結合すると、読み出し細胞集団に及ぼす効果は、蛍光レポーターの発現、細胞内の蛍光レポーターの転座、増殖速度の変化、細胞死、形態分化の変化、読み出し細胞の表面上に発現されたタンパク質の変化等によって、可視化されたシグナル伝達経路の活性化を含む。
いくつかの操作されたレポーター細胞株は、市販されており、そのようなアッセイを実施するために使用される。例としては、PathHunte cells(登録商標)(DiscoverRx社)、TANGO(商標)細胞(Life Technologies社)、EGFPレポーター細胞(ThermoScientific社)が挙げられる。
一実施形態では、ウイルス中和アッセイは、生体分子(例えば、抗体)を分泌する1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団を同定および/または選択するために行われる。その生体分子は、標的読み出し細胞または標的アクセサリー細胞を感染させるウイルスの能力を妨害する。この方法の一実施形態は、図16に示されている。図16を参照すると、図示の実施形態では、生体分子(例えば、抗体252及び253)ををそれぞれ分泌するエフェクター細胞250とエフェクター細胞251とを含む細胞集団を含む。図示した実施形態は、さらに、読み出し細胞254を含む均一な読み出し細胞集団を含む。エフェクター細胞250,251は、生体分子、例えば、抗体252および253を分泌する。それは、チャンバ内の培地に拡散する。次いで、チャンバは、ウイルス255(アクセサリー粒子)でパルスされる。それは、通常、読み出し細胞254を感染させない。抗体252または253は、ウイルス255に結合し、それによって、ウイルスが読み出し細胞254に結合することを防止している。したがって、予想される感染が観察されない。これは、エフェクター細胞250または251の一方がウイルス255を中和することができる抗体を分泌するということを含んでいる。
ウイルス中和アッセイは、読み出し細胞上のウイルスの受容体に結合する生体分子を生産するエフェクター細胞の存在を同定するためにも適している。この場合、感染が観察されないように、読み出し細胞254上でウイルス255の受容体への抗体(例えば、抗体252)の結合は、受容体とウイルスの相互作用をブロックする。
ウイルス感染の評価は、当該分野で公知の方法を用いて行うことができる。例えば、ウイルスは、蛍光タンパク質を含むように操作されることができる。この蛍光タンパク質は、感染後の読み出しの細胞、ウイルス感染の間にアップレギュレートされた読み出し細胞内の蛍光タンパク質の発現、読み出し細胞またはアクセサリー細胞からのタンパク質の分泌、(それらは、ウイルス感染中に増加する読み出し粒子上で測定され、補足されている)、読み出し細胞またはアクセサリー細胞の死、読み出し細胞またはアクセサリー細胞の形態の変化、および/または読み出し細胞の凝集によって発現される。
一実施形態では、個々のマイクロリアクター内のウイルス中和アッセイは、単一のエフェクター細胞を含む細胞集団、1または複数のエフェクター細胞を任意に含む細胞集団、または1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団で行われる。一実施形態では、ウイルス中和アッセイは、単一の読み出し細胞、または不均一な読み出し細胞集団を用いて行われる。一実施形態では、方法は、応答を受ける読み出し細胞の刺激(またはむしろそれを欠いて)によるより正確な評価を可能にする、不均一な読み出し細胞集団を用いて行われる。もちろん、この方法は、複数の細胞集団の複数のマイクロチャンバで並列的に行われることができる。
例えば、ウイルス中和アッセイのために商業的に入手可能な細胞株は、MDCK細胞(ATCC)及びCEM-NKR-CCR5細胞(NIH補助試薬プログラム)であり、これらは、本明細書に記載される方法およびデバイスとともに使用されることができる。
別の実施形態では、酵素中和アッセイは、エフェクター細胞ディスプレイまたは標的酵素を阻害する生体分子を分泌するかどうかを決定するために行われる。方法の一実施形態は、図17に提供される。図17を参照すると、図示の実施形態は、生体分子(例えば、タンパク質282および283)をそれぞれ分泌するエフェクター細胞280とエフェクター細胞281とを含む細胞集団を含む。さらに図示の実施形態は、標的酵素285が接合される均一な読み出し粒子集団(例えば、ビーズ284)を含む。しかし、別の実施形態では、標的酵素285は、デバイスの表面に結合されており、または溶けている。タンパク質282と283は培地中を拡散し、タンパク質282は標的酵素285に結合する。それによって、その活性を阻害している。タンパク質283は、標的酵素に結合しない。一実施形態では、チャンバ内に存在する基質の酵素活性の検出(またはむしろそれを欠如)は、特に限定されないが、当技術分野で公知の方法(蛍光読み出し、比色読み出し、沈殿等を含む)によって評価される。
別の実施形態では、酵素中和アッセイは、個々のチャンバにつき、単一のエフェクター細胞を含む細胞集団、1または複数のエフェクター細胞を任意に含む細胞集団、または1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団上で行われる。一実施形態では、酵素中和アッセイは、個々のチャンバ内で単一の読み出し粒子を用いて行われる。一実施形態では、酵素中和アッセイは、アッセイの応答の変化を有する細胞集団を同定するために、複数の細胞集団で行われる。
別の実施形態では、アッセイ方法は、第2のタイプのエフェクター粒子の活性化を誘発する分子を提示または分泌するエフェクター細胞の存在を同定するために提供される。エフェクター細胞は、読み出し粒子の効果を有する分子を順番に分泌する。したがって、本実施形態では、細胞集団は、個々のマイクロ流体チャンバに提供される。この方法の一実施形態は、図18に提供される。図18を参照すると、図示の実施形態は、その表面上の分子461(例えば、抗体、表面受容体、主要組織適合性遺伝子複合分子など)を提示する1つのエフェクター細胞460を含む細胞集団を含む。細胞460は、異なるタイプの隣接するエフェクター細胞を活性化し(この場合において、フェクター細胞462)、読み出し粒子464によって捕捉された別のタイプの分子463(例えば、サイトカイン、抗体)の分泌を誘導する。この例において、読み出し粒子464は、分泌分子463に特異的な受容体または抗体465で官能化されている。
別の実施形態では、アクセサリー粒子によって活性化されエフェクター細胞は、増殖、生存能力、形態、運動性や分化などのような表現型の変化を示す。この場合、エフェクター細胞はまた、読み出し粒子である。この効果は、活性化されたエフェクター細胞によるタンパク質のオートクリン分泌によって、および/またはアクセサリー粒子によって引き起こされ得る。
図19を参照すると、図示された実施形態は、分子471(例えば、抗体、サイトカインなど)を分泌するエフェクター細胞470を含む細胞集団を含む。その分子471は、異なるタイプの第2のエフェクター細胞(この場合において、エフェクター細胞472)を活性化する。エフェクター細胞472は、一旦活性化されると、読み出し粒子474によって捕捉される別のタイプの分子473(例えば、サイトカイン、抗体)を分泌する。この例において、読み出し細胞474は、分泌された分子473に特異的な受容体または抗体475で官能化される。
本明細書中に提供されるように、低オフ速度を有するモノクローナル抗体は、同じ抗原に特異的であるが、速いオフ速度を持つモノクローナル抗体の大きなバックグラウンド(同じチャンバにおいて)の存在下で検出可能である。しかしながら、親和性はまた、本明細書に提供されるデバイスおよび方法で測定可能である。したがって、オン速度も測定することができる。これらの測定は、光学系の感度だけでなく、捕獲試薬(例えば、ビーズ)の結合能力に依存する。特異性をアッセイするために、捕捉試薬(読み出し粒子)は、目的のエピトープが所望の特異性を有する抗体のみを結合するように、目的のエピトープを存在するように設計されてもよい。
図20を参照すると、図示された実施形態は、同じ抗原に対する特異的な抗体を分泌するが、異なる抗体を有する均一の細胞集団を含む。このアッセイは、高親和性抗体を産生する少なくとも一つのエフェクター細胞を含有する集団内でエフェクター細胞を識別するために使用される。エフェクター細胞450、451は、標的エピトープ(図示せず)に対する低い親和性を有する抗体453及び454を分泌する。一方、エフェクター細胞452は、標的エピトープに対してより高い親和性を有する抗体455を分泌する。抗体453、454は、読み出しビーズ456を含む均一の読み出し粒子集団によって捕捉される。読み出しビーズは、すべての抗体に結合する蛍光標識された抗原(図示せず)とインキュベートされる。非標識抗原(図示せず)で洗浄すると、蛍光標識された抗原は、読み出しビーズがその表面上にの高親和性抗体455を提示する場合にのみ残る。
図21を参照すると、別の例示された実施形態は、生体分子(例えば、抗体261)を分泌するエフェクター細胞260を含む。図示された実施形態は、不均一な読み出し粒子集団をさらに含んでいる。その集団は、読み出し粒子、例えば、異なる標的エピトープ264、265をそれぞれ提示するビーズ262と263を光学的に区別可能である。抗体261は、チャンバ内に拡散する。抗体261は、抗体264に結合するが、抗体265に結合しない。一実施形態では、エピトープ264への抗体261の優先的な結合は、ビーズ262の蛍光面で観察されたが、ビーズ263では観察されていない。
図示の実施形態では、ビーズ262と263は、交差反応性を評価するために、形状によって光学的に区別可能である。しかし、読み出し粒子はまた、他の手段によって識別可能である。他の手段として、蛍光標識(異なる蛍光波長を含む)、蛍光強度のレベルの変化(例えば、異なる蛍光強度、形態、大きさ、表面染色およびマイクロ流体チャンバ内の場所を有するStarfire(商標)ビーズ)のような1または複数の特性などが挙げられる。
一実施形態では、ビーズ262と263は、例えば細胞フェンスにより、別々の読み出しゾーンに分離されたとき、光学的に識別可能である。代替的に、異なる色のフルオロフォアは、光学的に読み出しビーズを区別するために使用される。
別の方法として、特異性は、標的エピトープに結合する分泌抗体と競合する別の抗体を含めることによって測定されることができる。例えば、一実施形態において、抗原を提示する読み出し粒子に結合された分泌された抗体の存在は、蛍光標識二次抗体を用いて同定される。非標識競合抗体は、異なるホストから生成され、抗原の既知の標的エピトープを結合することが知られている。その非標識競合抗体のその後の添加は、分泌された抗体が競合抗体と同じ標的エピトープに結合される場合にのみ、分泌された抗体変位が原因で、蛍光の減少をもたらす。あるいは、特異性は、種々の抗原の混合物を添加することにより測定される。その抗原は、分泌された抗体が低い特異性を有する場合に、標的エピトープへの分泌抗体の結合と競合する。あるいは、特異性は、ビーズ上で分泌された抗体を捕捉した後、分泌された抗体の結合特性を評価するために、差別的に標識された抗原を用いて測定される。
本明細書に記載の特異性の測定は、標的の一つに結合する抗体を分泌する二つ以上のエフェクター細胞を含む細胞集団で実行されたとき、本質的にポリクローナル測定である。
本発明の様々な実施形態では、生体分子を分泌するエフェクター細胞の存在を同定する方法は、エフェクター細胞の1または複数の細胞内化合物の存在または非存在の分析と対になっている。図22を参照すると、細胞集団は、少なくとも1つのエフェクター細胞タイプ520と、別のエフェクター細胞タイプ521とを含む。エフェクター細胞タイプ520は、目的の生体分子522(例えば、抗体、またはサイトカイン)を分泌する。エフェクター細胞タイプ521は、目的の生体分子を分泌しない。この細胞集団は、目的の生体分子を捕捉するために官能化された読み出し粒子523を含む読み出し粒子集団の存在下、インキュベートされる。インキュベーション期間の後、エフェクター細胞タイプ520および521を含む細胞集団は、集団中の細胞の細胞内内容物を放出するために溶解される。読み出し粒子523はまた、目的の細胞内生体分子524(例えば、核酸、タンパク質、抗体など)を補足するために官能化されている。細胞溶解は、当業者に公知の様々な方法によって達成されることができる。
一実施形態では、方法は、所望の結合特性を有する分泌された生体分子のポリクローナル混合物を同定するために提供される。アッセイは、標的エピトープに対する既知の親和性、標的分子、又は標的細胞タイプを有する抗体を産生するエフェクター細胞の不均一なの混合物と実施されてもよい。混合物という状況での標的の結合は、例えば、混合物が増大化された効果を提供するかどうかを決定するために、個々のエフェクター細胞単独という状況での標的の結合と比較される。
本明細書に記載の結合及び/又は機能アッセイを組み合わせた多機能分析は、複数の読み出し領域、複数のエフェクター領域、複数の読み出し粒子タイプ、またはそれらの組み合わせを有することによって行ってもよい。例えば、灌流工程は異なる機能実験用の試薬を交換するために、細胞外効果アッセイの間で実行されることができる。
多機能アッセイの一実施形態は、図23に提供される。図23を参照すると、読み出し粒子の3つのサブセットにエフェクター細胞の細胞外効果を同時に評価するためのマイクロ流体チャンバが410で一般的に示されている。マイクロ流体チャンバ410は、チャンバを4つのゾーンに分割する細胞フェンス420及び421を含む。細胞フェンス420及び421は、この例では互いに直角であるように示されているが、当業者は、4つのゾーンが作成される限り、フェンスの正確な位置決めは、変えることができることを理解する。さらに、当業者は、細胞フェンスは、多官能性アッセイ(直列または並列)を必ずしも行う必要はないことを理解する。一実施形態では、細胞フェンス以外の構成は、異なるゾーンが細胞集団および読み出し粒子の搬送の点で対処可能である限り、作成ゾーンをもたらすために含まれている。別の実施形態では、多機能アッセイは、細胞フェンスまたは構造なしで行われる。むしろ、各アッセイは、例えば、異なる波長の光を放射する蛍光分子と、同時にまたは連続的にチャンバ内で行われる。
図23に示されている実施形態では、抗体419および423をそれぞれ分泌するエフェクター細胞411および422は、チャンバ410の左上の領域に供給される。それによって、エフェクターゾーン415を規定している。読み出し粒子412、413、及び414は、残りの領域に供給される。それによって、それぞれ、読み出しゾーン416、417、および418を規定している。読み出し粒子412、413および414は、一実施形態では、読み出し粒子の不均一な集団を構成する。例えば、一実施形態では、読み出し粒子412及び414は、同じ抗原の異なるエピトープを提示している異なるサイズのビーズであり、読み出し粒子413は、ナチュラルキラー細胞424の存在下、抗原を提示する細胞である。したがって、与えられたエピトープに選択的に結合し、ナチュラルキラー細胞によって読み出し細胞の死滅を誘導することができるエフェクター細胞の存在または非存在を、単一のチャンバ内で同時に評価することができる。
あるいは、読み出し粒子412、413および414は、同一であり、単一のチャンバ内のエフェクター細胞の単一のセットによって与えられた細胞外効果の複数の独立した測定を可能にする。また、粒子412および414は識別可能であり、アッセイは連続して実行される。
一実施形態において、1または複数の細胞外効果の存在が分析される。効果に応じて、当業者は、結合された細胞外効果の存在または不存在が所望され得ることを認識する。同様に、所望の特性は、1または複数のタイプの細胞外効果の存在と、異なるタイプの細胞外効果の存在とを含むことも可能である。例えば、一実施形態では、多機能アッセイは、読み出し細胞上の受容体エピトープに結合するが、対応するシグナル伝達経路の活性化を誘導しない抗体を分泌するエフェクター細胞を識別するために使用される。
一実施形態では、多機能アッセイは、異なる領域において、複数のエフェクター領域を含むチャンバ内で、例えば、異なるエフェクター細胞またはエフェクター細胞の組み合わせを導入するとにより行われる。例えば、一実施形態では、標的抗原に対する既知の親和性の抗体を産生する異なる細胞集団は、チャンバの異なるエフェクターゾーンに導入される。その後、混合物という状況での標的の結合は、個々のエフェクター細胞単独という状況での標的の結合と比較される。したがって、複数のエフェクターゾーンのそのような使用は、単一のチャンバ内の複数の組み合わせのスクリーニングを可能にする。
本明細書に提供されるアッセイの一つの態様において、読み出し粒子がマイクロ流体チャンバ内の細胞集団と共にインキュベートされた後、蛍光測定は、集団内の細胞が細胞外効果を示すかどうかを決定するために行われる。本実施形態では、読み出し粒子集団は、蛍光標識され、蛍光の変化は、細胞外効果の存在および/または大きさと相関している。読み出し粒子集団は、直接的または間接的に蛍光標識される。全体を通して提供されるいくつかの実施形態において、アクセサリー粒子(例えば、アクセサリー細胞)は、蛍光読み出しを容易にすることを助けるためにチャンバに供給される。当業者によって理解されるように、正確なイメージングおよび蛍光測定を可能にするために、ある焦点面に読み出し粒子およびエフェクター細胞を提供するアッセイを設計することに注意されたし。
一実施形態では、読み出し粒子の応答は、自動化された高分解能顕微鏡法を使用してモニターされる。例えば、画像化は、Axiovert200(Zeiss社)またはDMIRE2(Leica社)電動倒立顕微鏡で20倍(0.4 NA)対物レンズを使用することによって、モニターされることができる。本明細書に提供される自動化された顕微鏡システムを使用すると、約30分で、1つの明視野と3つの蛍光チャネルを含む4000個のチャンバアレイの完全なイメージングを可能にする。このプラットフォームは、Lecault et al. (2011)に記載されているように、様々なチップ設計に適合される。Nature Methods 8, pp. 581-586は、本明細書に全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。重要なことに、本明細書中で使用される撮像方法は、細胞への光損傷を最小限に抑えながら、効果ポジティブチャンバで十分な信号を得る。
一実施形態では、本明細書で提供されるエフェクター細胞アッセイは、長期細胞培養物から利益を得る。したがって、エフェクター細胞アッセイは、デバイス内に維持されたエフェクター細胞が生存可能であり、健康な細胞であることを必要とする。読み出し細胞またはアクセサリー細胞がエフェクター細胞アッセイにおいて使用されている実施形態では、それらは、あまりにも健全な状態に維持され、生存可能かつ健康であるということが理解される。本明細書で提供される流体構造は、機能的アッセイを行うことができるように、培地条件の慎重かつ正確な制御がエフェクター読み出し細胞生存率を維持することを可能にする。例えば、いくつかの細胞タイプは、分泌された産物の蓄積に依存するオートクリンまたはパラクリン因子を必要とする。例えば、CHO細胞の増殖速度は、播種密度に大きく依存する。4nLチャンバ内で単一のCHO細胞を閉じ込めることは、従来のマクロスケールの培養物に匹敵する、250,000細胞/mlの播種密度に相当する。図73に示すように、単一のCHO細胞は、マルチウェルプレートに播種した場合よりも、マイクロ流体デバイスでより高い成長速度を有する。それらは、高い播種密度で繁殖するため、CHO細胞は、複数日の間、灌流を必要としない場合がある。しかし、他の細胞、特に、サイトカイン依存性であるもの(例えば、ND13細胞、BaF3細胞、造血幹細胞)は、一般的にマクロスケールの培養物中に高濃度に到達しない。また、サイトカインの枯渇を防ぐために、マイクロ流体デバイス内の頻繁な給餌を必要とするかもしれない。サイトカインは、培地に添加され、またはフィーダー細胞によって産生され得る。例えば、骨髄由来間質細胞および好酸球は、IL-6および他の因子のそれらの産生のため、形質細胞の生存を支持するように示されている(Wols et al., (2002), Journal of Immunology 169, pp. 4213-21; Chu et al. (2001), Nature Immunology, 2, pp. 151-159、その全体が本明細書中に参考として援用される)。この場合、灌流頻度は、栄養枯渇を防止しつつ、パラクリン因子の十分な蓄積を可能にするように調節される。
一つの態様において、本発明は、1または複数のエフェクター細胞を任意に含有する細胞集団が、読み出し粒子の細胞外効果(例えば、細胞表面受容体を含む細胞)を発揮するかどうかを決定するための方法を提供する。エフェクター細胞は、不均一な細胞集団、均一な集団、または単一の細胞中に存在することができる。一実施形態では、エフェクター細胞は、抗体分泌細胞である。1または複数の細胞外の性質は、一実施形態では、読み出し粒子の細胞外効果、例えば、読み出し細胞上の細胞表面受容体の阻害(アンタゴニズム)または活性化(アゴニズム)(例えば、抗体分泌細胞によって分泌された抗体のアゴニストおよび/またはアンタゴニスト特性)を含む。さらなる実施形態では、細胞外効果は、膜貫通タンパク質のアゴニスト又はアンタゴニスト効果である。それは、さらなる実施形態において、Gタンパク質共役受容体(GPCR)、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、イオンチャネルまたはABCトランスポーターである。さらなる実施形態において、受容体はサイトカイン受容体である。GPCRとのRTKs以外の代謝型受容体の細胞外効果は、評価されることができる。例えば、グアニル酸シクラーゼ受容体の細胞外効果がグアニリルシクラーゼ受容体を発現する読み出し細胞集団を有する細胞集団をインキュベートして評価される。
読み出し細胞が使用される実施形態では、読み出し細胞は、生きているまたは固定されることができる。固定された読み出し細胞に関して、一実施形態における細胞外効果は、固定された読み出し細胞の細胞内タンパク質の効果である。細胞外効果はまた、生きているまたは固定された読み出し細胞の細胞外タンパク質、または生きている読み出し細胞の分泌タンパク質で測定されることができる。
別の実施形態では、読み出し細胞は、以下のタイプの細胞受容体の一つを発現し、そして、細胞外効果アッセイは、結合、細胞受容体(受容体セリン/トレオニンキナーゼ、ヒスチジンキナーゼ関連レセプター)のアゴニズムまたはアンタゴニズムを測定する。
特定の受容体は、(例えば、受容体セリン/トレオニンキナーゼ、ヒスチジンキナーゼ関連受容体またはGPCR)は、オーファン受容体である。すなわち、特定の受容体を活性化するためのリガンドが知られていない実施形態では、本明細書中で提供される方法は、特定のオーファン受容体を発現する読み出し細胞で細胞外アッセイを行い、細胞集団または亜集団を同定することによって、特定のオーファン受容体のリガンドの発見を可能にする。細胞集団または亜集団は、オーファン受容体を発現する読み出し細胞の細胞外効果の変動を有するエフェクター細胞を含んでいる。
一実施形態では、細胞表面タンパク質は、膜貫通イオンチャネルである。さらなる実施形態において、イオンチャネルは、リガンド依存性イオンチャネルである。また、マイクロ流体アッセイで測定された細胞外効果は、イオンチャネルの開閉の調節、例えば、アゴニスト結合によるイオンチャネルのオープニング、またはアンタゴニスト結合によるイオンチャネルのクロージング/ブロッキングである。アンタゴニストまたはアゴニストは、例えば、一つ以上のエフェクター細胞を含む不均一な細胞集団における1または複数のエフェクター細胞によって分泌された生体分子(例えば、抗体)である。本明細書中に記載の細胞外アッセイは、システインループスーパーファミリーにおけるリガンド依存性イオンチャネル、イオンチャネル型グルタミン酸受容体および/またはATP依存性イオンチャネルを発現する細胞上でエフェクター細胞の細胞外効果を測定するために使用される。アニオン性のシステインループイオン依存性チャネルの具体例としては、GABAA受容体およびグリシン受容体(GlyR)を含む。カチオン性のシステインループイオン依存性チャネルの具体例としては、セロトニン(5-HT)受容体、ニコチン性アセチルコリン(nAChR)及び亜鉛活性化イオンチャネルを含む。上記の1または複数のチャネルは、エフェクター細胞がイオンチャネルをアゴナイズまたはアンタゴナイズすることにより、それぞれの細胞に細胞外効果を有するかどうかを決定するために、読み出し細胞によって発現される。イオンフラックスの測定は、一般的に短い時間(すなわち、秒)で発生し、それらの実施のために正確な流体制御を必要とする。市販のイオンチャネルアッセイの例は、フルオ-4-ダイレクトカルシウムアッセイキット(Life Technologies社)、FLIPR膜電位アッセイキット(Molecular Devices社)を含む。イオンチャネルを発現する細胞株(例えば、PrecisION(商標)細胞株、EMD Millipore社)もまた、市販されている。
一実施形態では、細胞表面タンパク質は、ATP結合カセット(ABC)トランスポーターであり、測定された細胞外効果は、膜を通過する基質の搬送である。読み出し粒子は、ビーズ上に固定化されることができるタンパク質(例えば、GenoMembrane ABC Transporter Vesicles(Life Technologies社))を発現する細胞由来の膜小胞である。例えば、ABCトランスポーターは、透過性の糖タンパク質(多剤耐性タンパク質)とすることができる。効果は、読み出し細胞のカルセインの蛍光強度によって測定されることができる。Vybrant(商標)多剤耐性アッセイキット(分子プローブ)は、そのようなアッセイを実施するために市販されている。
細胞外効果はまた、AMPA受容体(クラスGluA)、カイナイト受容体(クラスGluK)またはNMDA受容体(クラスGluN)のようなイオンチャネル型グルタミン酸受容体を発現する読み出し細胞で評価される。同様に、細胞外効果は、ATP依存性チャネルまたはホスファチジル4-5-ビスリン酸(PIP2)依存性チャネルを発現する読み出し細胞で評価される。
全体を通して提供されるように、本発明は、細胞外効果の変動を提示する細胞集団を同定する方法を提供する。一実施形態において、本方法は、別個のマイクロ流体チャンバに複数の個々の細胞集団を保持する工程を含む。個々の細胞集団の少なくとも一つは、1または複数のエフェクター細胞を含み、別のマイクロ流体チャンバの内容物は、1または複数の読み出し粒子を含む読み出し粒子集団をさらに含む。また、当該方法は、マイクロ流体チャンバ内で個々の細胞集団と読み出し粒子集団とをインキュベートする工程と、細胞外効果の存在のために個々の細胞集団をアッセイする工程とを含む。読み出し粒子集団またはその亜集団は、その細胞外効果の読み出しを提供する。一実施形態では、細胞外効果は、例えば、RTK、RTKのアンタゴニズム、またはRTKのアゴニズムに結合する受容体チロシンキナーゼ(RTK)の効果である。RTKsは、多くのポリペプチド成長因子、サイトカインおよびホルモンのための高親和性細胞表面受容体である。今日までに、ヒトゲノムで同定された約60の受容体キナーゼタンパク質が存在している(Robinson et al. (200). Oncogene 19, pp. 5548-5557、全ての目的のためにその全体が参考として援用される)。RTKsは、細胞プロセスを調節し、多くの種類の癌の進歩および開発において役割を有することが示されている(Zwick et al. (2001). Endocr. Relat. Cancer 8, pp. 161-173、全ての目的のためにその全体が参考として援用される)。
細胞外効果がRTKの効果である場合、本発明は、特定のRTKクラスまたはメンバーに限定されるものではない。約20個の異なるRTKクラスが同定され、これらのクラスのいずれかのメンバーの細胞外効果は、本明細書で提供される方法およびデバイスでスクリーニングされる。表2は、異なるRTKクラスと、各クラスの代表メンバーを提供する。それぞれは、読み出し粒子(例えば、読み出し細胞または小胞)上で発現されたとき、本明細書における使用に適している。一実施形態では、方法は、本明細書中において、1または複数の集団を同定するために、並行して複数の細胞集団をスクリーニングする工程を提供する。その1または複数の集団は、表2に提供されるサブクラスの一つのRTKの細胞外効果を有するエフェクター細胞を含む。一実施形態では、方法はさらに、単離された細胞集団を提供するために、細胞外効果を有するASCを含む1または複数の細胞集団を単離する工程を含む。さらに、方法は、細胞外効果を有するASCを同定するために、単離された亜集団を、限界希釈法で、1または複数の追加の細胞外効果アッセイにかける工程を含む。追加の細胞外効果アッセイは、本明細書で提供されるマイクロ流体法、またはベンチトップアッセイを介して行われることができる。あるいは、細胞集団がRTKの細胞外効果を示す細胞を有していることが確認されれば、細胞集団は、回収され、溶解され、核酸が増幅される。さらなる実施形態では、核酸は、1または複数の抗体遺伝子である。
一つの態様において、本発明は、例えば、分泌物(例えば、モノクローナル抗体)を介して、RTK(すなわち、細胞外効果)をアンタゴナイズするか、アゴナイズするエフェクター細胞を含む細胞集団の同定に関する。エフェクター細胞は、孤立したエフェクター細胞に存在し、または1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団中に存在する。
一実施形態では、RTKは、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、例えば、PDGFRαである。 PDGFsは、種々のホモおよびヘテロ二量体を形成するために結合する可溶性増殖因子(A、B、C、およびD)のファミリーである。これらの二量体は、異なる特異性を有する、密接に関連する2つの受容体(PDGFRa とPDGFRb)によって認識される。具体的には、PDGF-αは、PDGFRαに選択的に結合し、肺線維症、肝硬変、強皮症、糸球体硬化症、および心臓線維症を含む線維性疾患における病的間葉応答を駆動するために示されている(Andrae et al. (2008). Genes Dev. 22, pp. 1276-1312、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。それはまた、マウスにおけるPDGFRαの構成的活性化は、複数の臓器における進行性線維症につながることを実証している(Olson et al. (2009). Dev. Cell 16, pp. 303-313、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。従って、PDGFRαを抑制する療法は、線維症の治療と、疾患の40%までを悪化させ、人口の高齢化に不適当な大きな医学的問題を表す状態とに高い可能性を秘めている。抗体(イマチニブおよびニロチニブ)は、PDGFRaの阻害剤として検討されているが、c-KITおよびFLT-3を含む他の重要なRTKsに大きな的外れの効果を有し、多くの副作用をもたらす。したがって、イマチニブとニロチニブは、PDGFRαおよびPDGFRβを効果的に阻害することができるが、その副作用は、線維性疾患の治療に許容できない。それは、高い特異的な抗体阻害剤の可能性を強調している。本発明は、イマチニブおよびニロチニブと比較して、より高いPDGFRα特異性を有する抗体を一実施形態で提供することにより、この問題を克服する。
PDGFRαは、線維症の治療用の標的として以前から確立されている。癌の治療の初期の臨床試験に入る2つの抗ヒトPDGFRαモノクローナル抗体アンタゴニストが開発中である(例えば、Shah et al. (2010). Cancer 116, pp. 1018-1026、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。本明細書で提供される方法は、PDGFRαに結合するエフェクター細胞の分泌物の同定を容易にする。さらなる実施形態では、分泌物は、癌および線維症モデルの両方におけるヒトおよびマウスPDGFRa の両方の活性をブロックする。
エフェクター細胞の分泌物がPDGFRαに結合するかどうかを決定するためのエフェクター細胞アッセイの一実施形態は、懸濁細胞株(例えば、32DおよびBa / F3)の使用に基づいている。その懸濁細胞株は、生存および増殖のためにサイトカインIL-3に厳密に依存している。しかし、ほぼ任意のチロシンキナーゼの発現および活性化を通して、この「IL-3依存症」で治療される。このアプローチは、BCR-ABL融合癌遺伝子を評価するためにデイリーとボルティモアによって最初に使用され、小分子チロシンキナーゼ阻害剤のハイスループットスクリーニングのために広く使用されてきた(例えば、Warmuth et al. (2007). Curr. Opom. Oncology 19, pp. 55-60; Daley and Boltimore (19898). Proc. Natl. Acad. Sci.U.S.A. 85, pp. 9312-9316、それぞれすべての目的のためにその全体を参照として援用される)。シグナリングを監視するには、PDGFRαおよびPDGFRβ(ヒトおよびマウスの形態の両方)は、32D細胞(読み出し細胞)、いずれかの受容体を自然に発現しないマウスの造血細胞株において発現される。これは、各経路の分離(さもなければ、両方の受容体が共発現されるので、いくらかは困難である)を可能にする。32D細胞におけるヒトPDGFRα/βの発現は、機能PDGF誘導性分裂促進応答を与えることが以前に確認されている(Matsui ete al. (1989). Proc. Natl. Acad Sc. U.S.A. 86, pp. 8314-8318、その全体を参照して援用される)。IL-3の非存在下では、32D細胞は全く分裂しないが、RTKを発現する細胞のPDGF刺激は、IL-3の要求を緩和し、顕微鏡で検出可能である迅速な分裂促進応答を提供する。検出可能な応答は、一実施形態で、細胞増殖、形態学的な変化、増大された運動性/走化性またはアンタゴニストの存在下での細胞死/アポトーシスである。光多重化方法は、一実施形態で、本明細書に提供されるデバイスの一つにおいて、PDGFRα及びPDGFRβの両方の応答の阻害/活性化を同時に測定するために使用される。別の実施形態において、本明細書に提供されるデバイスの一つにおいて、PDGFRα及びPDGFRβの両方の応答の阻害/活性化は、同じマイクロ流体チャンバ内で連続的に行う2つの細胞外アッセイによって測定される。
ヒト/マウスPDGFRαおよびPDGFRβ(Sino Biological社)の完全長cDNAは、一実施形態では、32D細胞(ATCC; CRL-11346)において発現される。その32D細胞は、GFPまたはRFPのいずれかを有するIRES配列を含む改変されたpCMV発現ベクターを使用する。それにより、蛍光イメージングにより識別可能な2つのタイプの「読み出し細胞」を作成している。読み出し細胞は、培地及び摂食条件を最適化すること、PDGFリガンドに対する用量反応を決定すること、形態および応答動態を特徴付けることを特徴とする。懸濁細胞(例えば、32D又はBa / F3)の使用は、単一の細胞が、画像解析により容易に同定されるという利点と、接着細胞より物理的に小さい(投影面積で)という利点を提供する。その結果、単一のチャンバは、コンフルエンスに到達する前に100個以上の読み出し細胞を収容することができる。別の実施形態では、32D細胞、Ba / F3細胞の代わりに、32Dと同様の特性を有する別のIL-3依存性マウス細胞株が、読み出し細胞として使用される。32D細胞およびBa / F3細胞の両方は、骨髄に由来し、ASC用に最適化された培地でよく成長し、また、ASCの維持に重要な成長因子であるIL-6を分泌する(例えば、Cassese et al. (2003). J. Immunol. 171, pp. 1684-1690、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
線維化におけるPDGFRaの役割を評価する前臨床モデルが開発されている。具体的には、心臓線維症の二つのモデルがここに提供される。第一は、虚血性損傷(イソプロテレノール誘発性心臓損傷; ICD)に基づくものであり、第二は、冠動脈結紮によって誘発される心筋梗塞(MI)に基づいている。破損時には、線維化反応は、PDGFRα+ /Sca1 +ポジティブ前駆細胞の急速な拡大により開始される。それによって、損傷に応答して増殖する細胞の50%以上を占めている。それに続いて、PDGFRα低/ Sca1 低筋線維芽細胞を生産するマトリックスにこれらの子孫の分化が生じる。RT-qPCRによる遺伝子発現は、α平滑筋アクチン(αSMA)とI型コラーゲン(のCol1)を含む線維性マトリックス沈着に関連する複数のマーカーの発現を示す。それらは、(Sca1 +)前駆細胞で検出可能であるが、分化した集団中で実質的にアップレギュレートされる。一実施形態において、細胞集団は、減少した線維症につながる前駆拡張を減衰するモノクローナル抗体を分泌するエフェクター細胞を含むことが同定されている。この細胞外効果アッセイは、2つの独立したマーカー(Sca1 + /PDGFRα+前駆細胞および大腸菌駆動型GFPの初期の増殖)をモニターすることによって行われる。具体的には、MI後、線維性応答は、新興の筋線維芽細胞の集団において、PDGFRα+ /のSca1 +前駆細胞の最初のGFP発現によって、そして後に増加した強度で特徴付けられている。
本発明は、複数の細胞集団において他の集団と比較される細胞外効果、または細胞外効果の変動を有する1または複数の細胞集団を同定するために、多数の細胞集団を並列にスクリーニングするための方法およびデバイスを提供する。同定された細胞集団は、細胞外効果の原因である1または複数のエフェクター細胞を含む。細胞外効果は、例えば、GPCR(例えば、GPCR結合)、アゴニストまたはアンタゴニストの細胞外効果である。本明細書に記載のように、細胞外効果は、集団において各細胞、あるいは複数の細胞に起因している必要はない。むしろ、本明細書で提供される方法は、エフェクター細胞が、数十~数百個の細胞(例えば、約10~約500個の細胞、または約10~約100個の細胞)または約2~約10個の細胞(例えば、約2~約10個の細胞)を含む不均一な集団中に存在するとき、単一のエフェクター細胞の細胞外効果の検出を可能にする。
GPCRは、ヒトゲノム中に800以上のメンバーを含む7回膜貫通受容体のスーパーファミリーである。各GPCRは、細胞質ゾルに面しているC末端尾部と、細胞の外表面とにあるアミノ末端を有する。細胞の内側でGPCRは、ヘテロ三量体Gタンパク質に結合する。アゴニストが結合すると、GPCRは、関連するGタンパク質の活性化をもたらす構造変化を受ける。これらの約半分は、異なるリガンドの全範囲に応答する残りの部分を有する嗅覚受容体である。その全範囲は、カルシウムおよび代謝物からサイトカイン及び神経伝達物質の範囲である。本発明は、一実施形態では、GPCRの細胞外効果を有する1または複数のASCを選択するための方法を提供する。GPCRは、本明細書中で特に限定されない。むしろ、任意のGPCRのためのスクリーニング方法は、本発明での使用に適している。
特定のGPCRと自然に関連付くGタンパク質のタイプは、形質導入された細胞シグナル伝達カスケードを決定する。Gq共役受容体にとって受容体活性から生じる信号は、細胞内カルシウムレベルの増加である。Gs共役受容体に、細胞内cAMPの増加が観察される。GPCRの50%を構成するGi共役受容体にとって、活性化はcAMP産生の阻害につながる。エフェクター細胞の性質がGi共役GPCRの活性である実施形態にとって、アデニリルシクラーゼの非特異的活性化剤で読み出し細胞を刺激することが必要な場合がある。一実施形態では、アデニルシクラーゼの活性化剤は、フォルスコリンである。このように、1または複数のエフェクター細胞によるGi共役受容体の活性化は、誘導されたフォルスコリンがcAMPの増加を防止する。従って、フォルスコリンは、本明細書に提供される1または複数のGPCRの細胞外効果アッセイにおけるアクセサリー粒子として使用される。
本発明は、一実施形態では、細胞集団内のエフェクター細胞(例えば、ASC)がGPCRの細胞外効果を有するかどうかを決定するための手段を提供する。GPCRは、マイクロ流体チャンバ内の1または複数の読み出し粒子に存在する。そして、一実施形態における細胞外効果は、GPCRに対する結合、実証された親和性または特異性、阻害または活性である。GPCRは、Heptares Therapeutics社の方法(安定化受容体、STAR(登録商標)技術)によって作られたGPCRのうちの一つのような安定化されたGPCRであってもよい。エフェクター細胞(例えば、ASC)は、一実施形態では、単一の細胞として存在する。または、マイクロ流体チャンバ内の均一なまたは不均一な細胞集団中に存在する。一実施形態では、本明細書で提供される方法およびデバイスは、1または複数のASCを含むまたは複数の細胞集団を識別するために使用される。その1または複数のASCは、表3Aおよび/または表に記載されたGPCRの一つまたは、PCT国際公開WO 2004/040000号(その全体が参照により組み込まれる)に開示されたGPCRsの一つの細胞外効果を示す1または複数の抗体を分泌する。例えば、一実施形態において、GPCRは、次のクラス(クラスA、クラスB、クラスC、接着、フリッツルド)の一つに属する。
別の実施形態では、細胞外効果は、内皮分化、Gタンパク質共役(EDG)受容体に効果がある。EDG受容体ファミリーは、脂質シグナル伝達に関与している11個のGPCR(S1P1-5とLPA1-6)を含み、リゾホスファチジン酸(LPA)およびスフィンゴシン1-リン酸(S1P)を結合する。LPAおよびS1Pを通じたシグナリングは、細胞増殖、免疫細胞の活性化、移動、浸潤、炎症、および血管形成を含む疾患および健康における多くの機能を調節する。このファミリーに強力かつ特異的な小分子阻害剤を生成する成功がほとんどなかった。そのため、モノクローナル抗体を非常に魅力的で代替的にさせている。一実施形態では、EDG受容体は、S1P3(EDG3)、S1PR1(EDG1)である。その後者は、乳癌、リンパ腫、卵巣癌、及びメラノーマを含むいくつかの種類の癌のNF-κBおよびSTAT3を活性化することを示しており、免疫細胞の輸送および癌転移において重要な役割を果たす(Milstien and Spiegel (2006). Cancer Cell 9, pp. 148-15、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。S1Pリガンド(Sonepcizumab)を中和するモノクローナル抗体は、最近、進行した固形腫瘍(NCT00661414)の治療のためにフェーズII試験に入った。一実施形態では、本明細書で提供される方法およびデバイスは、ソネシズマブ(Sonepcizumab)よりも高い親和性を有する抗体、またはSonepcizumabより大きくS1Pを阻害する抗体を分泌するASCを同定および単離するために使用される。別の実施形態では、細胞外効果は、LPA2(EDG4)受容体の効果である。LPA2は、甲状腺、大腸、胃や胸の癌腫、ならびに多くの卵巣腫瘍で過剰発現される。そのため、LPA2は、LPAの有害および感度に対してに第1の貢献者である。
一つの態様において、細胞集団は、読み出し粒子上に存在するケモカイン受容体の細胞外効果を発揮するかどうかについてアッセイされる。さらなる実施形態では、ケモカイン受容体はまた、フシンまたはCD184としても知られているCXCケモカイン受容体4型(CXCR-4)である。CXCR4は、CXCモチーフケモカイン12(CXCL12)として知られている免疫細胞補充用の強力な走化性のSDF1α(CXCL12)を結合する。DNA免疫化は、この標的に対して92個のハイブリドーマを生成するために使用される。そのハイブリドーマのうちの75個は、異なる鎖の使用量とエピトープの認識を発揮した(Genetic Eng and Biotech news, Aug 2013)。ハイブリドーマの選択は、利用可能な多様な抗体のほんの一部を補足することを示している。CXCR4 / CXCL12軸を介したシグナリング伝達は、腫瘍細胞増殖、血管形成、細胞生存において中心的な役割を果たすことが示されており、肝臓および骨髄のようなCXCL12産生器官における二次転移の増殖を媒介することに関与することが示されている(Teicher and Fricker (2010). Clin. Cncer Res. 16, pp. 2927-2931、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
別の実施形態において、細胞集団は、SDF1αに結合することが最近見出されたケモカイン受容体CXCR7上で効果を発揮する能力のためにスクリーニングされる。標準的なGタンパク質結合を介して信号を送るCXCR4とは異なり、CXCR7は、βアレスチン経路を通って、独自に信号を送る。
別の実施形態では、GPCRは、プロテアーゼ活性化受容体である(PAR1、PAR3およびPAR4)。そのGPCRは、露出したN末端のトロンビン媒介性切断によって活性化されたGPCRのクラスである。プロテアーゼ活性化受容体は、線維化に関与している。さらに別の実施形態において、GPCRは、以下の表3Aまたは表3BにおけるGPCRの一つである。
細胞外効果がGPCRの効果である実施形態において、本発明は、特定のGPCRに限定されるものではない。例えば、結合、活性または阻害の読み出しを提供するように設計された特定のGPCRsを発現する細胞株は、例えば、Life Thechnologies社(GeneBLAzer(登録商標)およびTango(商標)細胞株)、DiscoveRx社、Cisbio社、Perkin Elmer社等から市販されており、および本明細書に記載される読み出し細胞として使用するために適している。
一実施形態では、以下の受容体ファミリーの一つからのGPCRは、本明細書における1または複数の読み出し細胞上に発現される。細胞外効果は、以下の1または複数のGPCRsに関連して測定される。すなわち、アセチルコリン受容体、アデノシン受容体、アドレナリン受容体、アンギオテンシン受容体、ブラジキニン受容体、カルシトニン受容体、カルシウム感知受容体、カンナビノイド受容体、ケモカイン受容体、コレシストキニン受容体、補体成分(C5AR1)、コルチコトロピン放出因子受容体、ドーパミン受容体、内皮分化遺伝子受容体、エンドセリン受容体、ホルミルペプチド様受容体、ガラニン受容体、ガストリン放出ペプチド受容体、受容体のグレリン受容体、胃抑制ポリペプチド受容体、グルカゴン受容体、ゴナドトロピン放出ホルモン受容体、ヒスタミン受容体、キスペプチン(KISS1)受容体、ロイコトリエン受容体、メラニン凝集ホルモン受容体、メラノコルチン受容体、メラトニン受容体、モチリン受容体、神経ペプチド受容体、ニコチン酸、オピオイド受容体、オレキシン受容体、オーファン受容体、血小板因子受容体、プロキネチシン受容体、プロラクチン放出ペプチド、プロスタノイド受容体、プロテアーゼ活性化受容体、P2Y(プリン)受容体、リラキシン受容体、セクレチン受容体、セロトニン受容体、ソマトスタチン受容体、タキキニン受容体、バソプレッシン受容体、オキシトシン受容体、血管作動性腸管ペプチド(VIP)受容体または下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)受容体が挙げられる。
一実施形態では、エフェクター細胞は、以下の表4に提供される1または複数のアッセイによって、GPCRを発現する読み出し細胞の細胞外効果のためにアッセイされる。別の実施形態では、読み出し粒子集団は、膜抽出物で官能化されたビーズまたは小胞(Integral Molecular社から入手可能)、または安定化された可溶化GPCR(例えば、Heptares社)を含む。
GPCRは、リン酸化され、アレスチンと呼ばれるタンパク質と相互作用する。アレスチンの活性化を測定するための3つの主要な方法がある。(i)蛍光標識されたアレスチン(例えば、GFPまたはYFP)を使用する顕微鏡、(ii)酵素相補性を利用する顕微鏡、(iii)TANGO(商標)レポーターシステム(βラクタマーゼ)(Promega社)を使用する顕微鏡である。一実施形態では、TANGO(商標)レポーターシステムは、一つの読み出し細胞または複数の読み出し細胞において使用される。この技術は、切断可能なリンカーを介して転写因子にリンクされているGPCRを使用する。アレスチンは、不活発なプロテアーゼに融合される。アレスチンがGPCRに結合すると、リンカーとプロテアーゼの高局所濃度は、リンカーの切断につながり、転写を活性化する核内転写因子を放出する。βラクタマーゼアッセイは、細胞溶解を必要とせず、ライブ細胞上で実行することができ、かつアゴニストインキュベーションのわずか6時間で撮像される。
一実施形態では、GPCRシグナル伝達のアンタゴニストおよびアゴニストの検出用に普遍的に使用されるβアレスチンのGPCRアッセイは、GPCRに結合する生体分子を分泌するエフェクター細胞を識別するために、本明細書に提供される方法およびデバイスで使用される(Rossi et al. (1997). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94, pp. 8405-8410、全ての目的のためにその全体が参考として援用される)。このアッセイは、現在DiscoveRx社によって商品化されているβ-ガラクトシダーゼ(β-Gal)酵素相補技術をベースにしている。GPCR標的は、β-Gal酵素の小さなN末端フラグメントとフレームで融合される。GPCRの活性化の際に、β-GalのN末端配列に連結されたβ-アレスチンを含む第2の融合タンパク質は、機能的なβ-Gal酵素の形成をもたらすGPCRに結合する。β-Gal酵素は、その後、非蛍光基質ジ-β-D-ガラクトピラノシド(FDG)をフルオレセインに急速に変換し、大きな増幅と優れた感度を提供する。本実施形態では、読み出し細胞(GPCRsを有する)は、アセテート基のエステラーゼ開裂によって細胞不浸透性FDGに変換される細胞透過性プロ基質(アセチル化されたFDG)で、プレロード(オフチップ)される。フルオレセインは、マイクロ流体チャンバ内でこのアッセイを実施することにより、ライブ細胞の外に積極的に搬送されるが、蛍光生成物は濃縮される。それにより、プレート系アッセイを超える大幅に強化された感度を提供している。DiscoveRx社は、GPCRsの大きなパネルにわたって、マイクロウェルフォーマットで使用されるこのアッセイの戦略を検証した。
一実施形態では、エフェクター細胞によるGPCRの活性化は、1または複数の読み出し細胞における細胞質カルシウムの増加を検出することによって、マイクロ流体フォーマットで決定される。さらなる実施形態では、細胞質カルシウムの増加は、1または複数のカルシウム感受性色素を用いて検出される。カルシウム感受性色素は、カルシウムの非存在下において、低い蛍光レベルを有し、カルシウムによって一度結合されると、蛍光特性の増加を受ける。約1分での蛍光信号のピークは、5~10分の時間帯で検出可能である。このように、蛍光カルシウムを使用して活性を検出するために、アゴニストの添加と検出は、密接に関係している。この関係を達成するために、エフェクター細胞は、読み出し細胞の集団と、1または複数のカルシウム感受性色素とに同時に曝される。一実施形態では、1または複数のカルシウム感受性色素は、FLIPR(商標)カルシウムアッセイ(Molecular Devices社)で提供された一つである。
一実施形態において、組換え発現されたクラゲの発光タンパク質、エクオリンは、機能的なGPCRスクリーン(すなわち、細胞外効果アッセイ)に使用される。細胞外効果は、GPCRの調節である。エクオリンは、セレンテラジン誘導体が添加されると、発光シグナルを生成するカルシウム感受性レポータータンパク質である。アポエクオリンのミトコンドリア標的バージョンで発現されたGPCRsで操作された細胞株は、市販されている(Euroscreen社)。一実施形態では、Euroscreen社から入手可能な一つ以上の細胞株は、エフェクター細胞の細胞外効果、または細胞外効果の変動を評価する方法において、読み出し細胞の集団として使用される。
一実施形態において、GPCRの細胞外効果は、読み出し細胞の集団として、GPCRおよび環状ヌクレオチド依存性(CNG)チャネルを発現するACTOne細胞株(Codex Biosolutions社)の一つを使用して測定される。本実施形態では、細胞外効果アッセイは、外因性の環状ヌクレオチド依存性(CNG)チャネルを含む細胞株と連動する。チャネルは、cAMPの高められた細胞内レベルによって活性化される。それは、イオンフラックス(カルシウム応答性染料によってしばしば検出可能)と、蛍光膜電位(MP)色素を用いて検出される細胞膜の脱分極とをもたらす。ACTOne cAMPアッセイは、蛍光マイクロプレートリーダーを用いて、細胞内cAMPの変動の速度論的測定およびエンドポイント測定の両方を可能にする。
レポーター遺伝子アッセイは、一実施形態では、エフェクター細胞が特定のGPCRを調節するかどうかを決定するために使用される。本実施形態では、GPCRの調節は、評価される細胞外効果である。レポーター遺伝子アッセイは、一実施形態では、最小プロモーターの上流に配置された応答要素を活性化または阻害するためのカルシウム(AP1またはNFAT応答エレメント)またはcAMPの(CRE応答エレメント)のようなGPCR第2メッセンジャーに基づいている。それは、ユーザによって選択されるレポータータンパク質の発現を順番に調節する。レポーターの発現は、一実施形態において、GPCRを介したシグナル伝達によって活性化される転写因子の応答エレメントに結合されている。例えば、レポーター遺伝子の発現は、以下の転写因子の一つの応答エレメントに結合されることができる。ATF2 / ATF3 / AFT4、CREB、ELK1 / SRF、FOS / JUN、MEF2、GLI、FOXO、STAT3、NFAT、NFκBなどが挙げられる。さらなる実施形態において、転写因子はNFATである。レポーター遺伝子アッセイは、例えば、SA Biosciences社から、市販されている。
レポータータンパク質は、当技術分野で公知であり、例えば、βガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ(例えば、Paguio. et al. (2006). 「GPCRモジュレーター用のスクリーニングにルシフェラーゼレポーターアッセイを使用する」、Cell Notes Issue 16, pp. 22-25;Dual-Glo(商標)ルシフェラーゼアッセイシステムテクニカルマニュアル#TM058;pGL4ルシフェラーゼレポーターベクターテクニカルマニュアル#TM259、すべての目的のためにその全体を参照により援用される)、GFP、YFP、CFP、β-ラクタマーゼを含む。 GPCRシグナル伝達を測定するためのレポーター遺伝子アッセイは、市販されており、本明細書に記載される方法及びデバイスにおいて使用されることができる。例えば、Life Technologies社からのGeneBLAzer(登録商標)アッセイは、本発明での使用に適している。
一実施形態では、レポーター細胞におけるGタンパク質の過剰発現は、カルシウムを介してcAMP共役GPCRに強制的にシグナル伝達するよう実行される。これは、カップリング力と呼ばれている。
一実施形態では、Gq共役細胞株は、本明細書に記載の方法で読み出し細胞株として使用される。一実施形態では、Gq共役細胞株は、βラクタマーゼを介してシグナル伝達するGPCRを報告する。例えば、細胞系GPCRレポーター細胞株(GeneBLAzer(登録商標)、Life Technologies社)の一つがある。レポーター細胞株は、分裂細胞であることができ、または正常分割細胞を含むことができる。
cAMP応答エレメント結合タンパク質(CREB)は、上述したような転写因子であり、Gsおよび/またはGi 共役GPCRのための一実施形態で使用される。更なる実施態様では、フォルスコリンは、アクセサリー粒子として利用される。CREレポーターは、SA Biosciences社からのGFP発現を駆動するプラスミドまたはレンチウイルスの形で入手可能であり、本明細書に記載の方法およびデバイスで使用するために適している。例えば、一実施形態ではSA Biosciences社から入手可能なアッセイシステムは、読み出し細胞(http://www.sabiosciences.com/reporter_assay_product/HTML/CCS-002G.html)を生成するために本明細書で使用される。Life Technologies社は、特定のGPCRsを発現するCRE応答性細胞株を有しており、これらは、読み出し細胞、ならびに本明細書に記載する方法で使用されることができる。
一つの態様において、細胞集団中に存在する1または複数のエフェクター細胞は、1または複数の読み出し細胞の内部のcAMPレベルの増加または減少を検出することによって、1または複数の読み出し細胞に存在するGPCRを活性化または拮抗する能力のためにアッセイされる。ELISA系アッセイ、均一時間分解蛍光(HTRF)(Dogorce et al. (2009). Current Chemical Genomics 3, pp. 22-32、その開示は、その全体が参考として援用される)、および相補性酵素はすべて、読み出し細胞中のcAMPレベルを決定するために、本明細書で提供されるマイクロ流体デバイスおよびアッセイで使用される。これらのcAMP検出方法のそれぞれは、実際に測定されたサイクリックAMPのように、検出用のcAMPを遊離させるために細胞溶解を必要とする。
全細胞中のcAMPを測定するアッセイと、膜中のアデニルシクラーゼ活性を測定するアッセイとは、市販されており(例えば、Gabriel et al. (2003). Assay Drug Dev. Technol. 1, pp. 291-303; Williams (2004). Nat. Rev. Drug Discov. 3, pp. 125-135、その全体が参照により組み込まれる)、本明細書において提供されるデバイスおよび方法で使用するために適している。つまり、1または複数のマイクロ流体チャンバ内の細胞集団は、これらの方法に従ってアッセイされる。
Cisbio社インターナショナル(コドレ、フランス)は、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動の技術に基づいて、敏感なハイスループット均一系cAMPアッセイを開発している(HTRF、Degorce et al. (2009). Current Chemical Genomics 3, pp. 22-32、その開示はその全体を参照することにより組み込まれる)。それは、GPCRの効果を示すエフェクター細胞をスクリーニングするために本明細書中で使用される。この方法は、細胞によって産生されたネイティブのcAMPとcAMP標識色素(cAMP-D2)との間の競合イムノアッセイである。cAMP-D2結合は、クリプテートで標識されたMaB抗cAMPによって可視化される。特異的シグナル(すなわち、エネルギー移動)は、試料中のcAMPの濃度、この場合において、エフェクター細胞またはエフェクター細胞の分泌物による読み出し細胞で活性化されたcAMPの量に反比例する。cAMPが測定されるように、読み出し細胞は、検出用のcAMPを解放するために最初に溶解される。このアッセイは、Gs-共役(β2-アドレナリン、ヒスタミンH2、メラノコルチンMC4、CGRPおよびドーパミンD1)受容体とG-i/o共役(ヒスタミンH3)受容体の両方に確認されている。
蛍光偏光に基づいたcAMPアッセイキットは、例えば、Perkin Elmer社、Molecular Devices社およびGE Healthcare社から市販されており、それぞれが本明細書に提供される方法およびデバイスにおけるエフェクター細胞アッセイとして使用するのに適している。従って、本発明の一実施形態は、エフェクター細胞および/またはcAMPの蛍光偏光アッセイの結果に基づいて、1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団を選択する工程を含む。この方法は、エフェクター細胞が特定のGPCRを活性化(アゴニズム)または阻害(アンタゴニズム)するかどうかを決定するために、1つの実施形態において使用される。
一実施形態では、Perkin Elmer社のAlphaScreen(商標)cAMPアッセイ、すなわちレーザー活性を必要とする敏感なビーズ系化学発光アッセイは、読み出し細胞に効果(具体的には、GPCRの活性または阻害)を有するエフェクター細胞をスクリーニングするために本明細書に提供されるデバイスで使用される。
DiscoveRx社(http://www.discoverx.com)は、蛍光または発光基質のいずれかを使用する特許化された酵素(βガラクトシダーゼ)相補技術をベースに、HitHunter(商標)と呼ばれる均一系高スループットのcAMPアッセイキットを提供する(Eglen and Singh (2003). Comb Chem. High Throughput Screen 6, pp. 381-387; Weber et al. (2004). Assay Drug Dev. Technol. 2, pp. 39-49; Englen (2005). Comb. Chem. High Throughput Screen 8, pp. 311-3188、それぞれその全体が参照により組み込まれる)。このアッセイは、GPCRを発現する読み出し細胞の細胞外効果の変動または細胞外効果を有するエフェクター細胞を検出するために、本明細書で実施されることができる。
GPCR受容体の活性または阻害に起因する細胞事象はまた、読み出し細胞でエフェクター細胞の特性(例えば、活性化または拮抗する細胞の能力を産生する抗体)を決定するために検出されることができる。例えば、Gq共役受容体の場合には、GPCRが活性化されたとき、Gqタンパク質は活性化される。これは、膜リン脂質のホスホリパーゼCの開裂をもたらす。この開裂は、イノシトール三リン酸3(IP3)の生成につながる。フリーIP3は、カルシウムの放出を引き起こす小胞体の表面でその標的に結合する。カルシウムは、活性化T細胞(NFAT)の核因子のような特定のカルシウム応答性転写ベクターを活性化させる。したがって、NFATの活性または発現をモニタリングすることにより、読み出し細胞におけるGPCRの間接的な読み出しが確立される。例えば、Crabtree and Olson (2002). Cell 109, pp. S67-S79(その全体が本明細書に参考として援用される)を参照されたし。
一旦活性化されると、全てのGPCRsの60%以上が内在化される。タグ付けされたGPCR(通常はC末端GFPタグでなされる)を利用して、一実施形態における受容体の分布は、リガンドの存在下および非存在下で撮像される。リガンド刺激の際に、正常に均等に分布した受容体は、多くの場合、エンドサイトーシス点として表示される。
単一細胞抗体分泌細胞(ASC)/抗体選択のパイプライン用のワークフローの一実施形態は、図1に示されている。本実施の形態では、宿主動物は、標的抗原で免疫化され、細胞は、脾臓、血液、リンパ節および/または最終免疫ブーストの1週間後の骨髄から得られる。次いで、これらの試料は、確立された表面マーカーを使用する(利用可能な場合)またはマイクロ流体濃縮を使用する、フローサイトメトリー(例えば、FACS)または磁気ビーズ精製によりASCのために任意に濃縮されている。その後、濃縮されたASC集団は、チャンバあたり約1~約500個の細胞またはチャンバあたり約1~約2050個の細胞を達成するように選択されたロード濃度で、ナノリットルの容積チャンバのマイクロ流体アレイにロードされる。前濃縮工程に応じて、個々のチャンバは、複数のASC、単一のASCを含むか、またはASCを含まない。チャンバは、その後、マイクロバルブを閉じることによって単離され、抗体が小チャンバ容積中に分泌されることを可能にするためにインキュベートされる。ASCは、一般的に、毎秒1000個の抗体分子の割合で抗体を分泌する。そして、本明細書中に提供される個々のチャンバの体積は2 nLのオーダーであるので、分泌されたモノクローナル抗体の約10nMの濃度は、約3時間で提供される(それぞれのASCは、ユニークなモノクローナル抗体を分泌する)。さらなる実施形態では、統合されたマイクロ流体制御は、自動顕微鏡検査とリアルタイム画像処理を使用して読み出された画像系エフェクター細胞アッセイを実施するために、試薬の搬送と交換のために使用される。所望の特性(例えば、結合、特異性、親和性、機能)を有する抗体を分泌する1または複数のASCを含む細胞集団または個々のASCは、その後、個々のチャンバから回収される。限界希釈法で回収した細胞集団のさらなる分析は、その後に行われる。個々のASCがチャンバに供給され、回収される場合には、個々のASCのさらなる分析も行われることができる。例えば、一実施形態では、更なる分析は、細胞株でのクローニングと配列分析のためにHVとLVのペアを増幅するための単一細胞RT-PCRを含む。
別の実施形態では、動物を免疫し、脾臓、血液、リンパ節および/または骨髄から細胞を得た後、細胞は出発集団を作り上げる。その出発集団は、すなわち、複数の細胞集団として、本明細書に提供されるマイクロ流体デバイスの個々のチャンバに直接ロードされる。個々の細胞集団は、各マイクロ流体チャンバ内に存在する。細胞外効果アッセイは、個々の細胞集団のいずれかが細胞外効果の原因となる1または複数のエフェクター細胞を含むかどうかを決定するために、個々のチャンバ内の個々の細胞集団で行われる。
宿主動物は、マイクロ流体分析の前に、標的抗原で免疫化されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、一実施形態では、細胞は、宿主(ヒトを含む)からの脾臓、血液、リンパ節、または骨髄から得られる。その後にASCのための濃縮が続く。あるいは、濃縮工程が行われず、細胞が本明細書に提供されるデバイスのチャンバに(すなわち、複数の細胞集団として)直接ロードされる。個々の細胞集団は、各チャンバ内に存在する。
本明細書で提供される方法は、任意の宿主種由来の抗体の選択を可能にする。これは、治療用抗体の発見のための2つの重要な利点を提供する。第一に、マウスおよびラット以外の種に働く能力は、マウスのタンパク質に対して高い相同性を有する標的に対するmAbsと、ヒトタンパク質に対するmAbsとの選択を可能にする。そのヒトタンパク質に対するmAbsは、マウスと交差反応し、容易にアクセス可能な前臨床マウスモデルに使用される。第二に、マウスの免疫は、いくつかのエピトープに免疫優性を備える応答につながる。それにより、生成された抗体の低多様性につながっている。その結果、他の種に拡大すると、異なるエピトープを認識する抗体の多様性を大幅に向上させる。したがって、本明細書に記載の実施形態では、マウス、ラット及びウサギは、免疫化のために使用される。これに続いて、これらの免疫された動物からのASCを選択する。一実施形態では、ウサギは抗原で免疫され、免疫されたウサギからのASCは、本明細書で提供される方法およびデバイスで選択される。当業者が認識するように、ウサギは、より大きな抗体の多様性、より大きな物理的なサイズ(複数の抗体の多様性)およびヒトからのより大きな進化距離(より認識されたエピトープ)を得るために、遺伝子変換を使用する親和性成熟の明確なメカニズムの利点を提供する。
免疫戦略は、一実施形態では、タンパク質は、細胞および/またはDNAの免疫化である。例えば、PDGFRαのために、哺乳動物細胞株における発現から得られた細胞外ドメイン、または商業的供給源(Calixar社)から購入された細胞外ドメインは、動物を免疫するために使用される。CXCR4のために、一実施形態では、商業的供給源(Integral Molecular社)からの、ウイルス様粒子(VLP)の調製物、未変性コンフォメーションにおけるGPCRの高発現を有するナノ粒子が使用される。細胞ベースの免疫化は、細胞株(例えば、マウス/ラット用の32D-PDGFRα細胞)およびウサギ用のウサギ線維芽細胞株(SIRC細胞)で完全長タンパク質を過剰発現することによって行われる。それは、新しい細胞株が特異的mAbsを濃縮するための最終的なブーストで使用されるプロトコルを含んでいる。確立されたDNA免疫の様々なプロトコルは、本発明での使用にも適している。DNA免疫は、複雑な膜タンパク質のための選択の方法となっている。なぜなら、それは、1)タンパク質の発現および精製の必要性を排除する、2)抗原の未変性コンフォメーションを保証する、3)その他の細胞膜抗原に非特異的免疫反応の可能性を減少させる、および4)挑戦的な標的のために有効であることが証明されるからである(Bates et al. (2006). Biotechniques 40, pp. 199-208; Chambers and Johnston (2003). Nat. Biotechnol. 21, pp. 1088-1092; Nagata et al. (2003). J. Immunol. Methods 280, pp. 59-72; Chowdhury et al. (2001). J. Immunol Methods 249, pp. 147-154; Surman et al. (1998). J. Immunol. Methods 214, pp. 51-62; Leinonen et al. (2004). J. Immunol. Methods 289, pp. 157-167; Takatasuka et al. (2011). J. Pharmacol. and Toxicol. Methods 63, pp. 250-257、それぞれ全ての目的のためにその全体が参考として援用される)。すべての免疫化は、動物ケアの要件と確立されたプロトコルに従って行われる。
抗PDGFRα抗体は、ラット、マウス、およびウサギで以前に生産され、PDGFRαの細胞外ドメインの比較は、実質的な変動のいくつかのサイトを示す(図24)。したがって、良好な免疫応答が、この抗原から得られることが期待される。抗CXCR4 mAbsは、脂質粒子とDNA免疫の両方を使用して以前生成された。その結果、この目標は、良好な免疫応答を生じさせる可能性がある。必要に応じて、我々は、分子アジュバントとしてのGroElまたはGM-CSF(共発現されるかまたは融合としてのいずれか)の共発現を使用して、および異なるアジュバントおよび免疫スケジュールをテストして調査する(Takatsuka et al. (2011). J. Pharmacol. and Toxicol. Methods 63, pp. 250-257、Fujimoto et al. (2012). J. Immunol. Methods 375, pp. 243-251、全ての目的のためにその全体が参照により援用される)。
本明細書で提供されるデバイスは、多層ソフトリソグラフィー(MSL)マイクロ流体工学に基づいている(Unger et al. (2000). Science 7, pp. 113-116、その全体が参照により組み込まれる)。MSLは、小容量の反応、高い拡張性と並列化、強固な細胞培養、複雑なアッセイに必要な流体処理制御、およびコストや試薬消費量の大幅な削減を通して、増加した感度を提供する製造方法である。
デバイスの実行ごとに単離されたエフェクター細胞の数(すなわち、デバイスの各チャンバ内の細胞の数)は、デバイス上にロードされた細胞懸濁液中の細胞の濃度と、選択される特定のエフェクター細胞の細胞懸濁液中の頻度と、デバイスのチャンバの合計数との関数である。40,000個のエフェクター細胞アッセイチャンバ以上のアレイを有するデバイスが意図されている。
すべてのマイクロ流体技術の中で、MSLは、数千の統合されたマイクロバルブを有するデバイスの急速なかつ安価なプロトタイピングでユニークである(Thorsen et el. (2002). Science 298, pp. 58-584、その全体が参照により組み込まれる)。これらのバルブは、ミキサー、蠕動ポンプ(Unger et al. (2000). Science 7, pp. 113-116)、および流体多重構造(Thorsen et el. (2002). Science 298, pp. 58-584; Hansen and Quake (2003). Curr. Opin. Struc. Biol. 13, pp. 538-544、その全体が本明細書中に参考として援用される)を含む高レベルの流体コンポーネントを構築するために使用される。したがって、高レベル集積化とオンチップ液体処理を可能にしている(Hansen et al. (2004). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 101, pp. 14431-1436; Maerkl and Quake (2007). Science 315, pp. 233-237、その全体が参考として援用される)(図25)。
図25Aは、MSL製のバルブの光学顕微鏡写真を示す。二つの交差微細加工チャネル(一方は活性流体用の「フローチャネル」(垂直)、他方はバルブ作動用コントロールチャネル(水平))は、バルブ構造を作成する。フローチャネルは、「ピンチ弁」を作成するために、薄いエラストマー膜によって、コントロールチャネルから分離されている。コントロールチャネルの加圧は、フローチャネルを閉鎖するために膜を偏向させる。図25Bは、(緑色と青色食用色素で充填された)複数のバルブを一体化するMSLデバイスの断面を示す。図25Cは、合計16,000個のバルブと、4000個のチャンバと、3000以上の層-層相互接続(矢印)とを有するデバイスの断面である。図25Dは、スケール用のペニーとマイクロ流体デバイスの一例を示している。示されたデバイスは、MSL製造技術の説明用である。
デバイスのアッセイチャンバは、一実施形態では、約100 pL~約100nLの平均体積を有する。例えば、一実施形態では、エフェクター細胞の1または複数の特性は、細胞集団を含むマイクロ流体チャンバ内でアッセイされることである。マイクロ流体チャンバの容積は、約100 pL、約200 pL、約300 pL、約400 pL、約500 pL、約60 pL、約700 pL、約800 pL、約900 pLまたは約1 nLである。別の実施形態では、マイクロ流体チャンバの容積は、約2 nLである。別の実施形態では、細胞集団内でエフェクター細胞の特性をアッセイするためのマイクロ流体チャンバの容積は、約100 pLから約100 nL、約100 pLから約50 nL、約100 pLから約10 nL、約100 nLから約1 nL、約50 pLから約100 nL、約50 pLから約50 nL、約50 pLから約10 n、または約50 pLから約1 nLである。さらに別の実施形態では、細胞集団内のエフェクター細胞の特性をアッセイするためのマイクロ流体チャンバの容積は、約10 nL、約20 nL、約30 nL、約40 nL、約50 nL、約60 nL、約70、約80 nL、約90 nL、または約100 nLである。
MSL製造プロセスは、よく確立されたフォトリソグラフィ技術を利用し、マイクロ電子製造技術において進歩する。MSLの最初のステップは、高解像度のマスクに印刷されたコンピュータ製図ソフトウェアを使用してフローチャネルおよびコントロールチャネルのデザインを描くことである。フォトレジストで覆われたシリコン(Si)ウエハは、紫外光にさらされる。紫外光は、マスクによって、特定の領域でフィルタリングされる。フォトレジストがネガティブまたはポジティブ(露光された領域(ネガティブ)またはそうでない領域(ポジティブ)のいずれか)であるかどうかに応じて、架橋およびレジストは重合する。非重合レジストは、現像液に可溶であり、続いて洗い流される。異なる速度でのスピンコーティングと異なるフォトレジストとを組み合わせることにより、シリコンウエハは、種々のチャネルおよびチャンバを画定する様々な異なる形状および高さでパターン化される。ウエハは、次いで、ポリジメチルシロキサン(PDMS)にパターンを転写するための型として使用される。一実施形態では、PDMSで成形する前かつフォトレジスト層を規定した後、型は、成形中のPDMSの付着を減少させるため、型の耐久性を向上させるため、および小さな特徴の複製を可能にするために被覆されたパリレン(化学蒸着ポリ(p-キシリレン)ポリマーバリア)である。
MSLにおいて、異なる型からPDMSキャストの異なる層を互いの上に積層することは、「フロー」層と「コントロール」層とを重ねるチャネルを作成するために使用される。2つ(またはそれ以上)の層は、加硫を達成するために、相補的な化学量論比で硬化剤成分と、ポッティングプレポリマー成分とを混合することによって結合される。シンプルなマイクロ流体チップを作成するために、「厚い」層(例えば、約200~2000μm)は、フロー層を含む型からの鋳造である。また、「薄い」層(例えば、約25~300μm)は、コントロール層を含む型からの鋳造である。両方の層の部分的な加硫の後、フロー層は、目視検査により、その型から剥離され、コントロール層(その型上にまだ存在するが)に整列される。コントロール層及びフロー層は、例えば、約15~60分間、80℃で、結合される。二重スラブは、コントロール型から剥離され、入口孔と出口孔はパンチされ、二重スラブがPDMSのブランク層に接着される(すなわち、構造的特徴のないPDMSの平らな層)。結合するためにより多くの時間をかけた後、完成したデバイスは、ガラススライド上に搭載される。デバイス内の流体の流れは、コントロール層のチャネル内の流体に負荷される圧力を作動するオフチップコンピュータプログラム可能なソレノイドを使用して制御される。圧力がこれらのコントロールチャネルに負荷されると、重複直交制御とフローラインとの間の柔軟な膜は、流路内で偏向させられ、流れを効果的に弁調節する。これらのバルブの異なる組み合わせは、蠕動ポンプ、マルチプレクサ・コントロールを作成して、チップの異なる領域を分離するために使用される。
流動層に関し、アッセイチャンバと、アッセイチャンバからのおよびアッセイチャンバへの流体の流れを制御するチャネルは、フォトレジスト層によって規定される。当業者によって理解されるように、フォトレジスト層の厚さは、スピンコーティングの速度と、使用のために選択される特定のフォトレジストとによって部分的に制御される。アッセイチャンバの大部分は、一実施形態では、Siウエハ上に直接載っているSU-8100の機能によって規定される。当業者に知られているように、SU-8は、一般的に使用されるエポキシ系ネガ型フォトレジストである。あるいは、当業者に知られている他のフォトレジストは、上述した高さを有するアッセイチャンバを規定するために使用される。いくつかの実施形態では、アッセイチャンバは、SU-8の特徴によって規定されるように、それぞれ50-500μMの幅および50-500μMの高さを有する。
MSL製造技術は、製造されるべきチャンバ容積およびデバイス密度の広い範囲を可能にする。一実施形態では、本明細書で提供されるデバイスのため、約2000から約10,000個のエフェクター細胞分析チャンバは、単一の集積デバイスに設けられる。エフェクター細胞分析チャンバは、一実施形態では、約1 nLから約4 nL、例えば、約1 nLから約3 nL、または約2 nLから約4 nLの平均容積を有する。エフェクター細胞分析チャンバは、一実施形態では、図26に示すように、連続形式で接続されている。実例として、連続形式で接続された4032個の個々の分析チャンバ(2.25 nLの平均容積)を有するデバイスは、運転あたり約100,000細胞のスクリーニングのスループットを達成する(図8)。本明細書中に提供されるデバイスで利用される統合マイクロ流体バルブは、チャンバ分離を可能にし、複数の入口(例えば、2から約32の入口、2から約20の入口、2から約15の入口、2から約10の入口、または2から約9の入口、または2から約8の入口、または2から約7の入口または2から約6の入口)から選択された試薬でプログラム可能な洗浄を可能にする。追加の入口は、バルブの圧力を制御するために提供される(図26)。
本明細書中に提供されるデバイスは、細胞および/または粒子の重力系固定化を活用する。重力系固定化は、非接着性細胞型の灌流を可能にし、一般的に、チャンバ内で緩衝液と試薬を交換する。各チャンバは、上部を通過するアクセスチャネルと立方形状を有する(図26)。例えば、一実施形態では、本明細書で提供されるチャンバは、以下の寸法を有している。50~250μm×50~250μm×50~250μm、l×w×h(例えば、150μm×100μm×150μm、l×w×h)の寸法である。ロード中に、粒子(例えば、細胞またはビーズ)は、流線に従い、チャンバ頂部上を通過するが、流れが停止したとき、チャンバの底に落ちる。層流プロファイルのために、流速は、チャンバの底部の近くで無視できる。これは、チャンバ内の非接着細胞(またはビーズ)の位置を乱すことなく、チャンバレイの灌流、および組合わされた対流/拡散による試薬の交換を可能にする。
重要なことは、本明細書に提供されるデバイスは、細胞の長期培養および維持(エフェクター細胞、アクセサリー細胞または読み出し細胞の変化かどうか)を可能にする。チャンバのマイクロ流体アレイは、培地(例えば、前述された1mLの培地)のリザーバーに覆われたPDMSエラストマーの厚い膜(例えば、約150μmから約500μmの厚さ、約200μmの厚さ、約300μmの厚さ、約400μmの厚さ、または約500μmの厚さ)内に製造されている(Lecault et al. (2011). Nature Methods 8, pp. 581-586、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。細胞チャンバに対する培地リザーバ(浸透浴)の近接は、(ガス透過性PDMS材料を介して)蒸発を効果的にブロックし、強固な細胞生存率(細胞は完全に分化されず、数日間にわたって成長される)を保証する。また、μLボリュームフォーマットと同一である細胞応答と、成長率とを有しながら、nLのボリュームにおいて長期培養を達成するために重要である。図27は、本明細書で使用されるデバイスの層の概略図を示す。
本明細書に提供されるデバイスの膜設計はまた、マイクロキャピラリーで、上部膜を貫通することにより、任意のチャンバからの細胞の選択的回収を可能にする。
本明細書で提供されるデバイス構造は、エフェクター細胞の可溶性分泌物が、追加の成分(例えば、アクセサリー粒子または細胞のシグナル伝達リガンド)がチャンバに添加されるとき、チャンバから離れて洗浄されないように設計されている。さらに、本明細書に提供されるデバイスは、デバイスの個々のチャンバの間に分泌物(例えば、抗体)の交差汚染を導入することなく、チャンバへの成分の添加を可能にする。チャンバが直列に接続されている実施形態では、培地交換は、アレイ全体をフラッシングする必要がある。配列全体をフラッシングすることは、一実施形態では、各チャンバからの抗体の損失をもたらし、下流チャンバに交差汚染を導入する。しかしながら、分泌物がチャンバの表面に結合し、または読み出し粒子が表面に結合する場合、分泌物は固定化されるので、分泌物の交差汚染および/または損失は重大な問題ではない。
一実施形態では、分泌物の交差汚染および/または損失は、図28A-Dに示されるように、「膨張可能なチャンバ」デザインを使用することによって最小化される。各チャンバは、単一の入口を有し、マイクロバルブによって制御される短い「アクセスチャネル」を介して共通チャネルに接続される。各チャンバの上部は、凹部によって覆われ、薄い(~10ミクロン)膜によってチャンバから分離されている。これにより、チャンバが加圧されるとき、かなりの体積膨張を可能にする。一実施形態では、チャンバは、2倍のボリューム(例えば、2 nから4 nL、1 nLから2 nL、または2.5 nLから5 nL)に膨らませることができる。別の実施形態では、チャンバは、アプリケーションによって1.5倍のボリューム(例えば、2 nLから約3.5 nL)に膨らませることができる。粒子(細胞またはビーズ)は、一実施形態では、チャンバを膨張させ、重力下で粒子を沈降させ、そしてチャンバを収縮させることにより、膨張可能なチャンバにロードされる。同様に、膨張、拡散混合、収縮の連続的なプロセスは、チャンバの内容物の洗浄および/または培地の交換を可能にする。このアプローチは、分泌物を失うことなく、可溶性リガンドの添加を可能にする。それらは、50%未満に希釈されるのみであるからである。チャンバが直列に接続されていないため、膨張可能なチャンバはまた、交差汚染の可能性を排除する。この構造の単純さは、高密度アレイ統合を可能にし、一実施形態では、わずか1平方インチの面積に10,000個のチャンバを有するデバイスに適用可能である。
一つの態様において、本明細書で提供されるマイクロ流体デバイスは、慣性の影響を抑制するフロー状態で動作され、粘度に影響を及ぼされている。この流量様式は、低レイノルズ数Re =ρdu/ηによって特徴付けられている。ここで、ρは流体の密度であり、dはチャネルの特性長さスケールであり、uは流れの特性速度であり、ηは粘度である。低レイノルズ数で、流量のストリームラインは、予測可能であり、所望の効果のために設計されることができる。図29および30を参照して、例えば、目的がチャンバ41の左側にのみエフェクター細胞40をロードすることである場合、一実施形態のデバイスは、入口流路43の左側にエフェクター細胞を優先的に向けるチャンバの上流制限で設計される(例えば、図30の偏向器42によって形成される)。エフェクター細胞40は流下のチャンバ41に入るので、エフェクター粒子は流れのストリームラインにしたがって、チャンバの左側に連続する。エフェクター細胞がストリームラインを実質的に横切って拡散しないように搬送時間が選択される。同様に、読み出し粒子は、一実施形態では、入口チャネルに接続された補助チャネルを使用することにより、チャンバの右側に向けられる。その入口流路は、入口流路の右側で読み出し粒子の位置決めをもたらす。別の実施形態では、読み出し粒子は、出口チャネルを含むチャンバにアクセスする異なるチャネルを介して導入される。チャンバ内の具体的な配置が望まれる場合には、層流プロファイルの設計は、チャンバの特定の領域に対する粒子の方向に大きな柔軟性を提供することが当業者によって理解される。
特定のチャンバ内の読み出し粒子からエフェクター細胞の分離は、フローチャネルまたはデバイスのチャネル内の流れ、確率的負荷、磁場、電場または誘電場、重力場、接着に影響を与えるマイクロ流体チャンバの表面の変形、およびエフェクター細胞と読み出し粒子の相対的な浮力、またはそれらの組み合わせを操作することにより、構造エレメントを使用することによっても達成されることができる。
一実施形態では、エフェクター細胞および/または読み出し細胞は、チャンバ内の構成エレメントを用いるチャンバ(例えば、エフェクターゾーンまたは読み出しゾーン)の一部またはチャンバに閉じ込められる。
本明細書で使用されるような「エフェクターゾーン」は、エフェクター細胞、エフェクター細胞の集団(またはその亜集団)が保持されているマイクロ流体チャンバの領域である。
本明細書で使用されるような「読み出しゾーン」は、読み出し粒子がエフェクター細胞から分離保持され、エフェクター細胞の機能性が検出されるマイクロ流体チャンバの領域である。例えば、「エフェクターゾーン」と「読み出しゾーン」がマイクロ流体デバイスの三次元領域である場合、それらは、個体チャンバ(例えば、化合物チャンバ)であってもよい。そのチャンバは、互いに流体連通している。
本明細書に記載のように、一実施形態では、1または複数の構成要素は、1または複数のチャンバ内のエフェクター細胞および/または読み出し粒子の分布のために使用される。さらなる実施形態において、1または複数の構成要素は、チャンバの規定された領域(例えば、エフェクターゾーン及び/または読み出しゾーン)内のエフェクター細胞および/または読み出し粒子の保持のために使用される。いくつかの実施形態では、そのような構成要素の使用は、保持機能を実現するためのフィールド(例えば、重力、誘電体、磁性体など)の使用と結びつけられている。例えば、一実施形態では、細胞フェンスは、特定のチャンバの位置で細胞(エフェクター又は読み出し)をトラップするために利用される。細胞フェンスは、PCT出願公開第2012/162779号に記載されており、その開示はすべての目的のためにその全体が参考として援用される。本明細書で用いられる「細胞フェンス」は、細胞及び読み出し粒子の移動を制限するために機能する任意の構造を指すが、マイクロ流体チャンバ内で、他の細胞産物の移動を可能にすることができる。
細胞フェンスを利用する実施形態では、各フェンスは、SU-8 100フェンスの上にある薄いSU-8 2010の機能によって規定される。このような構造は、図31に模式的に示されている。細胞フェンスの製造は、PCT出願公開第2012/162779号に記載されている。その全体が参考として援用される。細胞フェンスが、1または複数のエフェクター細胞を任意に含む細胞集団またはエフェクター細胞を捕捉するために使用される一実施形態では、マイクロ流体チャンバは、最終工程の現像が省略されたことを除いて、標準的なプロトコルに従ったSU-8 100ネガ型フォトレジスト(一般的に、160μmの高さ)を使用して定義される。具体的には、SU-8 100フォトレジストを有するSiウエハ紡糸は、露光後ベークの後に冷却される。そして、フォトレジストを現像する代わりに、SU-8 2010は、未現像のSU-8 100(典型的には、10- 20μmの高さ)の上で回転される。SU-8 2010の厚さは、フェンスの高さを決定する。各チャンバの深さは、両方のフォトレジスト層を合わせた高さだった。
代替細胞フェンスの実施施態では、SU-8 100層が完全に現像され、ウエハは第1層より高いSU-8 100の追加層で被覆される。その差異はフェンスの高さになっている。
本明細書に記載の構造要素は、重力を利用して、チャンバの異なる側面にエフェクター細胞および読み出し粒子の保持を提供することができる。この場合、重力は、チャンバの床に向いており、細胞がフェンスを越えて上昇することを妨げる力を提供する。微細粒子は、確率的にフェンスを越えて「拡散」するブラウン運動に依存してもよいことに留意すべきである。しかし、粒子がにブラウン運動によってフェンスを越えて自発的に上昇する確率は、ボルツマン分布によって決定され、ボルツマン要因e-E/KTに比例する。ここで、Eはフェンスの高さと等しい高さに粒子を上昇させる位置エネルギーであり(E=粒子の体積×粒子の密度と液体の密度との間の差×重力×フェンスの高さ)、Kはボルツマン定数、Tは液体の温度である。したがって、当業者は、フェンスを越えて粒子の自発的な「拡散」の確率が無視できるほど小さくなるように、フェンスの高さを設計し、製造することができる。また、フェンスの上を通過するのに必要な位置エネルギーに依存して、与えられた高さのフェンスは、いくつかの粒子(例えば、ビーズまたは細胞)に対する障壁を示していることが当業者によって理解される。しかし、液体中で適切な低見かけ質量を有する粒子に対する障壁を示していない。例えば、約20μmの高さを有するフェンスは、細胞が拡散により自然に通過することができるが、基本的にタンパク質の拡散に対する障壁を提示しない。一実施形態において、細胞を保持するための構成要素は、重力と組み合わせて使用される。しかし、磁気勾配力、誘電力、遠心力、流れ力、または光力などの他の力は、同様に使用されることができる。
構造要素はまた、通路に機械的なバリアを提供することによって、エフェクター細胞または読み出し粒子を保持するのに有効である。チャンバのルーフのギャップ「d」内に到達するフェンスの使用は、別の力のアプリケーションの必要性なく、障壁として作用する。ここで、「d」は、すべてのエフェクター細胞または読み出し粒子の直径よりも小さい。このような構造は、一つのタイプの粒子が通過する(他の粒子でない)ことができるギャップdを設計することにより、チャンバの異なる側でエフェクター細胞または粒子を選択的に分割するように設計されていてもよい。図32を参照すると、例えば、一実施形態では、エフェクター細胞120は、10ミクロンの直径を有し、そしてエフェクター細胞および読み出し粒子121(1ミクロンの直径を有する)の混合物は、チャンバの一方の側にロードされている。そして、そのチャンバの一方の側は、(チャンバのルーフで測定されるように)5ミクロンのギャップを有するフェンス122によって、反対側から分離されている。デバイスを適切に傾けることにより、一方の側にエフェクター細胞120を残したまま、1ミクロンの読み出し粒子121がチャンバの他方の側に移動する。このような方法で、エフェクター細胞は、チャンバのエフェクターゾーンに配置される。一方、読み出し粒子は、読み出しゾーンに配置される。
チャンバ内のウェルはまた、補足アッセイ試薬、エフェクター細胞および/または読み出し細胞に使用される。例えば、代表的なデバイスの形状は、図33と図34に示される。一実施形態では、チャンバは、ウェルの配列を用いて設計されている。それによって、小さなウェルは、チャンバ(図33)の底部に規定されている。ウェルは、任意の形状であってもよく、それらは関連するように設計されたエフェクター細胞または読み出し粒子に基づいて設計されている。正方形と円形のウェルの両方は、本明細書に記載されたデバイスで使用するのに適している。そして、一般的に、多角形のウェルは、チャンバ内での使用に適している。様々なプロトタイプは、正方形と円形のウェルだけでなく、正方形と円形の「ポスト」で製作された。エフェクター細胞と読み出し粒子は、チャンバ内の各ウェルが細胞の亜集団または読み出し粒子を含むような濃度で、デバイスにロードされる。例えば、一実施形態では、チャンバ内の各ウェルは、1つのエフェクター細胞を含むようにまたはエフェクター細胞を含まないようにされる。このような設計は、粒子/細胞を空間的に制限することができる。個別の「エフェクターゾーン」と「読み出しゾーン」が利用される実施形態では、エフェクター細胞は、「エフェクターゾーン」として存在するウェルを規定し、読み出し粒子は、「読み出しゾーン」として存在するウェルを規定する。
図34は、本発明のデバイスで使用することができる「ビーズトラップ」の実施形態を示す。この設計は、複数の読み出し粒子(例えば、複数のビーズまたは読み出し細胞)または細胞集団を、チャンバ内の特定の空間位置に空間的に閉じ込める。このような設計は、アッセイの間中、移動するビーズまたは粒子と関連する問題を克服し、それによって下流の撮像及び画像分析を簡略化している。読み出し粒子用の固定位置を持つことは、良好に制御されたエフェクター細胞と、読み出し粒子との間の拡散距離が原因で利点である。
一実施形態では、ビーズトラップの動作(図34に示されている)は、次のように生じる。読み出し粒子は、チャンバ内にロードされ、その後、チャンバの底部に重力により沈降される。一方、チャンバが右上の角(すなわち、垂直細胞フェンスと、右上の象限に向かって開口するほぼ円形の粒子トラップとで囲まれたゾーン)に向かって傾けられる。読み出し粒子または粒子がチャンバの底に沈殿した後、デバイスは、(同じ軸に沿って)逆方向に傾けられる。その結果、読み出し粒子または粒子は、チャンバの底部に沿って、そしてチャンバの中央における円形「トラップ」の特徴でスライドまたはロールする。上述したように、同じ方法およびデバイスは、エフェクター細胞を隔離するために使用されることができる。
一実施形態では、エフェクター細胞および読み出し粒子は、1種類以上の粒子(例えば、細胞)を保持するように設計されているマイクロ加工構造体を使用して、エフェクターゾーン及び読み出しゾーンにおけるチャンバ内に配置されている。例えば、一実施形態では、エフェクター細胞または読み出し粒子の流れは、マイクロ加工カップ構造と交差するように設計されている。そのマイクロ加工カップ構造体は、流れは通過することができるが、粒子を保持するように設計されている。このような構造体は、粒子又は細胞の固定数、粒子又は細胞の規定サイズ範囲のみを調整することができるように設計されている。それにより、構造体を異なる粒子タイプに対して選択的にさせている。そのようなトラップは、チャンバ、またはチャンバの入口および出口に実質的に配置されていてもよい。
別の実施形態では、図35を参照すると、エフェクター細胞は81、重力を用いてチャンバの底部に提供される。一方、読み出し粒子82は、出口に作製されたトラップ構造84とチャンバの出口83に配置されている。
本発明の一実施形態によれば、チャンバの底部に一つ以上の凹部(以下、「カップ」と呼ぶ)が、読み出し粒子からエフェクター細胞を分離するために設けられている。図36を参照すると、例えば、デッドエンドカップ361は、チャンバ362の底部に設けられている。このデッドエンドカップ361は、エフェクター細胞363の平均直径よりも小さいが、読み出し粒子364の直径よりも大きい幅を有する。この構成において、読み出し粒子364は、カップ361の底に沈み、一方、エフェクター細胞363は、カップの入り口の上に保持される。いくつかの実施形態では、カップ361の底部は、エフェクター細胞で覆われるデッドエンドカップにおいて、読み出し粒子への流体アクセスを強化するために、多孔質膜とチャネル構造を通って下方にアクセスされる。
一実施形態において、構成要素は、1または複数の粒子又は細胞を保持するために、流路またはチャンバ内に配置されている。図37を参照して、構造要素371(または官能化された表面パッチ等)は、1または複数のエフェクター細胞372および/または1または複数の読み出し粒子373を保持するために、流路(必ずしもマイクロウェルではない)内に配置されている。例えば、トラップ構造は、特定の物理的特性(例えば、サイズ)を有する細胞または粒子を保持するように設計されてもよく、または非特異的(エフェクター細胞と読み出し粒子のランダム分布)であってもよい。バルブ374は、隣接するチャンバを分離するために使用される。
上述した設計(例えば、図37)の延長で、流路内の構成要素は、互いに近接してエフェクター細胞および読み出し粒子を保持するように設計されている。図38を参照すると、一実施形態では、一つのユニットは、エフェクター細胞382をトラップするエフェクター細胞トラップ381と、1または複数の読み出し粒子384を保持する微細構造383とを含んでいる。細胞トラップのギャップより小さい直径を有する読み出し粒子は、細胞トラップを通過し、エフェクター細胞トラップ331の下流に位置する微細構造383に保持されている。エフェクター細胞トラップ381のギャップ385よりも大きい径を有するエフェクター細胞は、述したように、保持される。別の実施形態では、微細構造は、読み出し粒子(またはエフェクター細胞)の異なるタイプの距離及び位置が明確に規定されるように、設計される。
エフェクター細胞と読み出し粒子との間のフェンスのような障壁に加えて、多孔質膜はまた、障壁として機能し、したがって、本発明での使用に適している。例えば、図39を参照すると、一実施形態では、多孔質膜391(また、拡散チャネルとも呼ばれる)は、エフェクター細胞395を保持するエフェクター細胞チャンバ392と、読み出し粒子394を保持する読み出し粒子チャンバ393との間に製造される。それにより、水平配置を提供している。このような水平配置では、多孔質膜391は、一実施形態では、エフェクター細胞または読み出し粒子の直径よりも小さい断面を有する流路または篩バルブで置換されている。篩バルブは、米国特許出願公開第2008/0264863号に記載されており、その全体が全ての目的のために参考として援用される。
別の実施形態では、多孔質膜は、垂直配置を提供するために、PDMS層の間に製造される。本実施形態では、エフェクターゾーンは、1つのPDMS層に設けられ、読み出しゾーンは、第2のPDMS層に設けられている。垂直配置の一つの利点は、エフェクターゾーン及び読み出しゾーンとの間の間隔が明確に規定されることである。
PDMSデバイス内に組み込まれた多孔質膜は、例えば、Aran et al. (2010). Lab Chip 10, pp. 548-552; Cheuh et al. (2007). Anal. Chem. 79, pp. 3504-350(その開示内容はすべての目的のためにその全体が本明細書に参考として援用される)によって報告されている。一実施形態では、多孔質膜は、以下の実施形態のいずれかに従って製造される。別の実施形態では、PDMS層は、PDMSの未硬化成分に不混和性流体を添加することにより多孔質化される。焼成工程の間に、不混和性流体が蒸発する。さらに別の実施形態では、PDMS膜は、レーザーアブレーションまたは他の除去技術を用いて、硬化後に穿孔される。さらに別の実施形態では、PDMS膜は、PDMS膜を多孔性にするために、膜の厚さを超える高さを有する1または複数の微細構造上に成型される。
一実施形態では、1または複数のエフェクター細胞および/または読み出し粒子を保持する構造は、一時的な構造であり、および/または取り外し可能である。一実施形態では、図40に示すように、読み出し粒子401(例えば、ビーズ)は、篩バルブ402(チャネル断面の一部のみをブロックするバルブ)に対して積み重ねられている。非官能性ビーズ403の層は、読み出し粒子401に対して積み重ねられている。それにより、障壁を提供している。エフェクター細胞404の層は、提供され、非官能性ビーズ403の層に対して積み重ねられている。図40から理解されるように、エフェクター細胞404は、一実施形態において、供給チャネル)405を通って提供される。1または複数の読み出し粒子401の1または複数のエフェクター細胞404の効果を測定するエフェクター細胞アッセイは、一実施形態では、下部バスチャネル406を使用して実施される。一時的な構造の一つの利点は、そのチャンバの内容物が、一つまたは複数の篩バルブを開くことによって下部バスチャネルを介して、回収可能(いくつかの実施形態では、選択的に回収可能)であるということである。
微細加工された保持方法やフィールドに加えて、アガロースなどのヒドロゲルは、エフェクター細胞および/または読み出し粒子を局在化するために使用するのに適している。例えば、一実施形態では、読み出し粒子および/またはエフェクター細胞は、オンチップを固化する液体アガロース(例えば、感光アガロース)にロードされる。このように、エフェクター細胞または読み出し粒子の動きは、制限されている。これは、依然として拡散搬送を可能にしながら、画像形成プロセスを簡略化している。アガロースの再溶融時に(一実施形態では、選択的な再溶融)、エフェクター細胞は、本明細書に記載のマイクロ流体の方法を使用して回収される。別の実施形態では、固定化された細胞は、マイクロマニピュレータまたはロボットの方法を使用して選択的に回収される。
一実施形態では、チャンバまたは特定のチャンバ内の特定のゾーン内のエフェクター細胞および読み出し粒子の分離は、特定のフロープロファイル、確率的ローディング、磁場、電場または誘電場、重力場、マイクロ流体チャンバの表面の変形によって、およびエフェクター細胞の特定の相対的な浮力を選択することによって、または、それらの組み合わせによって、達成される。例えば、一実施形態では、細胞集団のいずれかは磁性粒子で標識され、または読み出し粒子は磁性である。その結果、特定のチャンバの上面への磁場の提供は、細胞集団または読み出し粒子を上方に引き寄せる。また、磁場は、細胞が磁気標識された場合の読み出し粒子、または読み出し粒子が磁気的に標識されている場合の細胞集団のいずれかから遠ざけて、それらを引き寄せる。別の実施形態では、細胞集団および読み出し粒子がインキュベートされた流体の比重は、それらの相対的な浮力に基づいて、エフェクター細胞および読み出し粒子の分離を容易にするように選択される。特定の粒子および細胞の隔離方法は、以下でより詳細に説明される。
エフェクター細胞および読み出し粒子は、一実施形態では、チャンバの1または複数の壁を官能化することにより、チャンバ内に分配される。一実施形態では、表面官能化は、グラフト、共有結合、吸着またはそうでなければチャンバの表面に1または複数の分子の付着、またはチャンバの表面の修飾によって実行される。その結果、チャンバ表面への細胞または粒子の付着が改変される。本明細書中で使用される官能化の包括的な例は、タンパク質の非特異的吸着、タンパク質の化学的カップリング、ポリマーの非特異的吸着、静電吸着のポリマー、低分子の化学的カップリング、核酸の化学的カップリング、表面の酸化などである。PDMS表面官能化がすでに記載されており、これらの方法は、本明細書に提供されるデバイスの表面を官能化するために本明細書中で使用される(例えば、Zhou et al. (2010). Electrophoresis 31, pp. 2-16、これはすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる)。本明細書に記載された表面官能化は、一実施形態では、一つのタイプのエフェクター細胞(例えば、細胞集団中に存在するエフェクター細胞)を選択的に結合する。または、一つのタイプの読み出し粒子を選択的に結合する。別の実施形態では、表面官能化は、チャンバ内に存在するすべての読出し粒子を隔離するために使用される。
さらに別の実施形態では、表面官能化または複数の異なる表面官能化は、デバイスのチャンバ内で空間的に規定される。また、表面官能化または複数の異なる表面官能化が、チャンバ全体になされる。これらの実施形態の両方は、マイクロ流体チャンバ内の別個の位置における読み出し粒子であるエフェクター細胞の分布に有用である。例えば、チャンバ全体がすべてのタイプの導入された読み出し粒子を結合する分子で官能化されている実施形態において、粒子は、上述の方法を用いて、デバイスの異なる領域に向けられる。それらは、表面に固定化される。別の実施形態では、チャンバ全体は、1つの特定のタイプの読み出し粒子のみを結合するように官能化されてもよい。この場合、すべての粒子は、一実施形態では、本明細書に記載される方法のいずれかを使用する一つの領域に最初に向けられる。それによって、粒子のサブセットが官能化領域におけるチャンバ表面に付着する原因となっている。それに続いて、官能化された表面または表面に結合しない粒子のみを置換する異なる領域に向かって力を発揮している。さらに別の実施形態では、デバイスの領域(例えば、単一のチャンバ内での異なるチャンバまたは領域)は、エフェクター細胞および/または読み出し粒子の異なるサブセットを選択的に結合する異なる分子で官能化される。その結果、チャンバ表面のほぼ全体でエフェクター細胞および/または読み出し粒子の相互作用を誘導することは、異なる領域で異なる粒子または細胞タイプの分割につながる。本明細書に記載のように、表面官能化は、エフェクター細胞と読み出し粒子の操作のために、本明細書に記載の他の方法単独で、または当該他の方法と組み合わせて使用されてもよい。複数の流体形状とともに、粒子および細胞隔離方法の複数の組み合わせが可能である。
別の実施形態では、エフェクター細胞および/または読み出し粒子は、磁場を利用して、チャンバ内に配置される。エフェクター細胞および/または読み出し細胞を磁気的に操作し、位置決めすることが理解される。エフェクター細胞および/または読み出し細胞は、それらに結合する磁気粒子に最初に官能化またはさらされている。一実施形態では、磁界は、永久磁石、電磁石、ソレノイドコイル、または他の手段を使用するマイクロ流体デバイスの外部磁石を使用することによって、外部から作成される。別の実施形態では、図41を参照すると、磁界は、デバイスに組み込まれ、またはデバイスから分離する磁性構造90によって局所的に生成される。磁界は、一実施形態では、異なる時間に適用される。また、一実施形態では、磁界は、磁界に応答するエフェクター細胞および/または読み出し粒子の位置に影響を与えるために、粒子のローディングに関連して適用される。
また、生物学的サンプルの分離および/または精製に使用される市販のビーズ又はナノ粒子が、本明細書で提供されるデバイスおよび方法において使用することができることは、当業者によって理解される。例えば、「ダイナビーズ」(Life Technologies社)は、超常磁性単一サイズ球状ポリマー粒子であり、一実施形態では、読み出し粒子として本明細書に提供されるデバイスおよび方法において使用される。標的エピトープまたは細胞タイプを特異的に結合する分子と接合された磁性粒子は、当技術分野で周知であり、また本明細書で提供されるデバイスおよび方法と共に使用するのに適している。不均一性を有する磁場の存在下で、このような磁性粒子は、磁場の勾配に向けられる力を受ける。この勾配力は、一実施形態では、チャンバ内に位置する粒子に負荷される。
図42に示された実施形態を参照して、勾配力は、チャンバ内で一つのサブタイプ(すなわち、粒子100)を優先的移動させるために、粒子のサブセットに力を特異的に負荷するために使用されることが理解される。一実施形態では、この勾配力は、入口チャネルの所定の位置に粒子を配置するために、粒子がチャンバに入る前に負荷される。それにより、チャンバの特定の領域にロードする粒子をもたらしている。別の実施形態では、勾配力は、チャンバ内への粒子のロード前、ロード中、ロード後に負荷される。
力を流すことに加えて、フロー内の細胞または粒子(例えば、エフェクター粒子または読み出し粒子)は、外部磁場の作用から導出される「体力」を受ける。重力場中で、本明細書に提供されるマイクロ流体デバイスの向きは、デバイスチャンバの特定の領域に、エフェクター細胞および読み出し粒子を向かわせるために使用される。図43に示すように、そのような方法は、フェンスの軸に沿ってマイクロ流体デバイス及び試料ホルダの全体を物理的に傾ける工程と、それぞれの粒子がフェンスの両側に重力によって沈降するのに十分な時間を待機する工程とを含む。一実施形態では、傾斜角は、約30から約50度、例えば、約30度から約45度である。しかし、この角度は、ロードされた細胞または粒子、流速、溶液の粘度に応じて、調整されることができることが理解される。異なる向きでデバイスを傾けることは、傾斜のタイミング及び粒子の導入に応じて、粒子の複数のセットを複数の別個の領域に向かわせるために使用されてもよいことが理解される。
当業者は、チャンバ内で粒子を向かわせる重力の使用が、複数の工程で行われることを理解する。図44を参照すると、一例として、デバイスは、実質的に逆さまになっている。粒子51は、デバイスを傾けることで、チャンバのルーフの一方の側に向けられている。次に、デバイスは直立位置にデバイスを戻すプロセス中に、粒子が遠くに移動しないように、すぐに直立位置に回転し戻される。次いで、粒子は、チャンバの底に沈降するが、フェンス50の存在のために、チャンバの右側に残っている。このように、チャンバのルーフの特徴は、粒子のタイプを分離するために使用される。それに続いて、チャンバ内の粒子の横方向の位置をほぼ変更することなく、各チャンバの床面に粒子を移動させている。前述したように粒子を局在化するために、デバイスを反転するための時間は、速度に部分的に依存するということを当業者は理解する。その速度で、粒子は、正確な位置決めのために受け入れ可能な最大変位と液体を通って落下する。流体を通って落下する粒子の速度は、重力場の方向であり、以下の式に従って計算されることができる。これは、当業者に知られている。
U = Vparticle * (ρparticle - ρliquid) * g * γ-1
ここで、Vparticleは粒子の体積であり、Gは重力加速度であり、γは粒子の抗力係数である。球状粒子の場合、γはストークス抵抗式のように近似される。
γsphere = 6πηr
重力がチャンバ内に粒子を配置するために使用される本発明のいくつかの実施形態では、粒子の効果的なサイズおよび/または密度は、粒子の表面に結合するより小さな粒子を使用することによって操作される。例えば、エフェクター細胞は、エフェクター細胞を結合する、官能化された強磁性マイクロビーズにさらされてもよい。それによって、エフェクター細胞が非常に高い有効密度を有し、わずかに大きい抗力係数と正味の効果を有するようにさせている。正味の効果は、細胞が重力場を通って速く落ちることである。
また、本発明の範囲、粒子の位置決めのための重力の使用に関連する範囲内で、流体内の粒子の浮力の使用は、流体の流れと、エフェクター細胞および読み出し粒子の位置とを案内するためである。図45を参照すると、例えば、一実施形態では、エフェクター細胞74及び読み出し粒子73は、異なる密度を有する。その結果、エフェクター細胞74の密度は、チャンバ77内の液体のそれよりも大きい。読み出し粒子の密度は、液体のそれより小さい。デバイスは、重力場がルーフ75から床面76にチャンバ内で下向きに向かわせられるように、重力場の中に配置される。エフェクター細胞および読み出し粒子は、それぞれのデバイスの床とルーフに分けられている。それによって、チャンバ77のエフェクター領域および読み出し領域を画定している。一実施形態では、この効果は、密度を変える液体成分を添加することによって、および/または粒子の修飾によって制御され、または読み出し粒子73およびエフェクター細胞74の選択によって制御される。その結果、それらは、適切な濃度差を有する。チャンバ内の培地を交換することによる粒子の分配は、可逆的に変調されてもよいことに留意すべきである。このような交換は、本発明の範囲内である。
エフェクター細胞および/または読み出し粒子は、一実施形態では、粒子に力を与える静電界および/または誘電場を使用することにより、チャンバの異なる領域に分割される。これらのフィールドは、一実施形態では、デバイスの外部に生成される。別の実施形態では、静電および/または誘電場は、マイクロ流体デバイス内の1または複数の微細加工電極を使用して局所的に生成される。このような電極は、デバイスが取り付けられる基板上に金属膜で規定される。その基板は、デバイスの別の層に組み込まれ、またはマイクロ流体チャネルを導電性液体で充填することによって規定される。マイクロ流体デバイス内の電極の統合と様々な形状の多くの例がある。統合の方法は、当業者には明らかである。例えば、電極は、Li et al. (2006). Nano Letters 6, pp. 815-819によって開示されている(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。それは、本発明での使用に適している。
一実施形態では、誘電場は、本明細書に記載したデバイスのいずれかに適用される。誘電場は、差動特性を有する粒子の差動力を生じる周波数で設計されている。それは、差動特性によって粒子の分離をもたらす。統合された電極によって生成される誘電場を使用して、チャンバ内のエフェクター細胞および読み出し粒子を配置するために誘電体のフィールドを使用する例は、図46に示されている。この実施形態では、エフェクター細胞110は、デバイスの上に位置する入口チャネル112を介して、底にフェンス構造111を有するチャンバ内にロードされている。エフェクター細胞110をロードすると、電極113は、エフェクター細胞110に力をもたらす勾配を有する誘電場を生成するために使用される。チャンバの一方の側に向けられたこの力は、エフェクター細胞110をチャンバのエフェクター領域に選択的に落下(重力の影響下で)させる。読み出し粒子でこのプロセスを繰り返し、チャンバの反対側の電極(読み出しゾーン)は、読み出しゾーンに読み出し粒子をロードするために使用される。このような誘電操作は、エフェクター細胞および読み出し粒子を分割する目的のために、様々な構成またはプロセスにおいて使用されることができる力を提供する。
さらに別の実施形態では、音響定在波のような音響波が、エフェクター細胞および/または読み出し粒子をトラップ、配置および/または保持するために使用される。
さらに別の実施形態では、エフェクター細胞および/または読み出し粒子は、チャンバの幾何学的形状および充填密度の適切な設計により、マイクロ流体チャンバのエフェクターゾーンおよび読み出しゾーンに高効率で、確率的にロードされる。例えば、図33は、約2ナノリットルの容積を有するチャンバの底部に作製された45マイクロウェルのアレイを有するマイクロ流体チャンバを示す。マイクロ流体チャンバのマイクロウェルへのエフェクター細胞および読み出し粒子のロードは、一実施形態では、上記のように重力を用いて達成される。エフェクター細胞および読み出し粒子の数が十分に少なく維持される場合、2つのエフェクター細胞および/または読み出し粒子が、マイクロ流体チャンバ内の同一のマイクロウェル内に配置されているという可能性は低い。
チャンバあたりのエフェクター細胞および読み出し粒子の数は、読み出し粒子およびエフェクター細胞の両方がないチャンバを有する可能性が非常に低くなるように選択される。一例として、一実施形態では、エフェクター細胞および読み出し粒子の濃度は、チャンバあたり三つのタイプの平均値が存在するように選択される。マイクロウェル内の粒子のランダム分布を仮定すると、チャンバの特定のマイクロウェルにいずれかのタイプのk個の粒子を有する機会は、以下のようにポアソン統計で与えられる。
P(マイクロウェル内の1または複数) = λke-λ/k!
ここで、λはマイクロ流体チャンバのマイクロウェル当たりの粒子の平均数である。この例においては、(3+3)/45=0.133である。このように、本実施形態では、マイクロウェルにおける0または1の粒子を有する確率は、以下のようである。
P(k=0) = e-0.133 = 87.5%, および P(k=1) = 11.7%
このように、本実施の形態では、複数の粒子を有する機会は、P(K>1)= 100%-87.5%-11.7%=0.83%で与えられる。複数の粒子を含む指定されたチャンバ内のマイクロウェルを有さない機会は、次のように二項統計にしたがって計算される。
P(複数の粒子を有するウェルがない) = (1-0.0083)45= 69%
このように、この例では、チャンバの約70%は、複数の粒子を有するマイクロウェルがない。この分析は、有用なチャンバの一部に結合された下部を表す。なぜなら、いくつかのマイクロウェルが少なくとも1つのマイクロウェルに複数の粒子を有するチャンバにおいて、有用な測定は、まだ他のチャンバを使用する可能性があるからである。
マイクロウェルは、複数の粒子を収容しないような大きさで設計されてもよい。この場合において、ロード後のデバイスの傾斜は、全ての粒子がデバイスの一つのマイクロウェル内に含まれ、マイクロウェルは複数の粒子を有していないことを保証するために使用される。また、異なるエフェクターまたは読み出し粒子を含む異なるタイプの粒子は、アッセイの設計に応じて、一緒にまたは順次にロードされてもよい。最後に、マイクロウェルを使用している間、この形状は、チャンバの単離の利点を維持することが理解される。なぜなら、マイクロウェルのアレイは、他のチャンバから単離される可能性を有する小さいチャンバ内に含まれているからである。
上記のように、上述された1または複数の方法は、一実施形態で、組み合わせられ、細胞集団の分離を達成するために使用される。その細胞集団は、マイクロ流体チャンバのエフェクター細胞ゾーンおよび読み出しゾーンのそれぞれで、読み出し粒子の集団からの1または複数のエフェクター細胞を任意に含んでいる。さらに、上述された1または複数の方法は、一実施形態では、例えば、マイクロ流体チャンバのエフェクターゾーンまたは読み出しゾーンの特定の領域において、元の細胞集団からの細胞亜集団の分離を達成するために、または読み出しゾーンの集団から読み出し粒子の亜集団を分離するために使用される。
エフェクター細胞および読み出し粒子は、一実施形態では、共通の入口を使用するチャンバに送出され、チャンバに入る際に分離される。あるいは、エフェクター細胞および読み出し粒子は、エフェクターゾーンおよび読み出しゾーンに特定の別個の入口を介してチャンバに導入される。図47を参照すると、本発明の実施形態によれば、チャンバ298が示されている。エフェクター細胞290は、エフェクター細胞入口292を介してエフェクターゾーン291内に導入される。一方、読み出し粒子293は、読み出し粒子入口295を介してチャンバの読み出しゾーン294に導入される。図示の実施形態では、エフェクターゾーン291と読み出しゾーン294は、それぞれの出口296、297を有している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。具体的には、エフェクターゾーン291及び読み出しゾーン294は、他の実施形態では、共通の出口を有している。
別の実施形態では、化合物チャンバ(すなわち、複数のサブチャンバを備えたチャンバ)は、エフェクターゾーン及び読み出しゾーンを提供するために使用される。化合物チャンバ300の一実施形態は、図48に示される。一実施形態では、1または複数のエフェクター細胞301を含む細胞集団は、細胞入口304を介して化合物チャンバ300のエフェクター細胞サブチャンバ303によって規定されたエフェクターゾーン302に供給される。同様に、読み出し粒子305は、読み出し粒子入口308を介して化合物チャンバ300の読み出し粒子サブチャンバ307によって規定された読み出しゾーン306に供給される。図示した実施形態(図48)では、エフェクター細胞サブチャンバ303および読み出し粒子サブチャンバ307は、それぞれ、出口309と310とを有している。エフェクター細胞サブチャンバ303と読み出し粒子サブチャンバ307は、開口部311を介して流体連通している。バルブ312は、一実施形態では、開口部を可逆的に密閉可能な状態にするために、開口部311内に設けられている。
一実施形態において、付着は、いくつかの実施形態における読み出し粒子から別個のエフェクター細胞を分離するために使用される。例えば、当業者は、図49に示された実施形態に向けられる。図49において、チャンバ480は、足場依存性読み出し細胞の接着を可能にするためにコーティング溶液で官能化される。チャンバは、細胞が上面482に付着するまで、足場依存性読み出し細胞481をロードするように反転される。その後、チャンバ480は、細胞483の懸濁液をロードするために再び反転される。その細胞483は、チャンバ480の底面484へ重力によって沈降される。それにより、個別のエフェクターゾーンと読み出しゾーンに細胞集団と足場依存性読み出し細胞481とを効果的にを分離している。細胞集団は、一実施形態では、一つ以上のエフェクター細胞を含む。
図50に示す実施形態では、細胞接着を促進するコーティング液530は、層流でのT接合部533において、コーティング溶液と第2の溶液532(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)とを流すことにより、チャンバ531の半分に導入される。接着読み出し細胞534は、その後、チャンバ531に導入され、(矢印で示される)重力により接着性コーティング535の側に向けられる。接着期間の後、結合していない読み出し細胞534は、チャンバ531から洗浄される。細胞集団536は、その後、チャンバ531にロードされる。細胞集団536は、重力によってチャンバ531の反対側537に維持される。一方、付着読み出し細胞534は、接着コーティング535の側にとどまる。細胞集団は、一実施形態では、一つ以上のエフェクター細胞を含む。
図51に示された実施形態を参照すると、二つの溶液は(例えば、標的Aに対する抗体(抗A抗体)を含む溶液A540および標的Bに対する抗体(抗B抗体)を含む溶液B541)、T字路543の異なる側からチャンバ542にロードされ、官能化されたチャンバ542の表面を被覆することができる(例えば、タンパク質被覆PDMS)。層流を使用して、チャンバ542の最初の半分(第1のハーフ)544は、抗A抗体でコーティングされている。一方、後半(第2のハーフ)545は、抗B抗体でコーティングされている。二つの異なるタイプの粒子(表面上に抗原Aを表示する第一の粒子546と、表面上に抗原Bを表示する第二の粒子547)は、その後、チャンバ542内に導入される。2つのタイプの粒子の分離は、まず、一方の側にチャンバ542を傾斜させ、次に他方の側にチャンバ542を傾斜させることによって達成される。その結果、一度、粒子がその提示された抗原に対する抗体で被覆された部分に到達すると、粒子は、チャンバの適切な側に残る。
チャンバが、細胞集団、および読み出し粒子又は読み出し粒子集団、および細胞集団でアッセイを実施するために任意の追加の試薬でロードされると、チャンバは、一実施形態では、マイクロ流体デバイスの1または複数の残りのチャンバから流体的に分離される。一実施形態では、チャンバの分離は、チャンバを物理的に密封することによって、例えば、チャンバの周囲環境からチャンバを流体的に隔離するために1または複数のバルブを使用することによって、達成される。当業者によって理解されるように、本明細書に記載されるようなバルブは、「コントロールチャネル」を介して制御され、コントロールチャネルに十分な圧力を加えることによって制御される。特定のバルブを作動させることができる。一実施形態では、所与のチャンバのサブセクション(例えば、エフェクターゾーン及び読み出しゾーン)、または化合物チャンバ(すなわち、複数のサブチャンバまたはウェルを備えたチャンバ)のサブチャンバは、例えば、一つ以上のバルブを使用することにより、サブセクションおよび/またはサブチャンバを流体的に単離するために、サブセクションまたはサブチャンバを物理的に封止することによって互いに分離される。
別の実施形態において、チャンバの周囲環境からのチャンバの分離は、チャンバを物理的に密閉することなく達成される。むしろ、分離は、マイクロ流体デバイスの一つのチャンバと、他のチャンバとの間のかなりの汚染を排除するために、チャンバ間の流体連通を制限することによって達成される。例えば、1または複数のバルブを使用する代わりに、隣接するチャンバは、チャンバの入口および/または出口をブロックする油などの非混和性流体相の使用によって分離される。また、チャンバは、入口と出口を有するように設計されている。その結果、チャンバの中と外での分子の拡散は、特定のチャンバ内の分泌物の効果の分析を大幅に妨げないように十分に遅くなる。
様々なチャンバ構成が全体に記載されている。
図52は、本発明の実施形態と共に使用するためのチャンバの構造を示す。構造は、バルブ312(「コントロールチャネル」層)によって、隣から隔離された各チャンバが一列に配置された(「フロー層」で製作された)チャンバ311を含む。別の実施形態では、バルブは、図53に示すように各チャンバ(「蓋チャンバ」)の上方に配置されている。それにより、列構造よりも、高いオンチップ機能密度になっている。図53の左側に示された実施形態では、チャンバ321の幅は、バルブ322がチャンバの周囲を封止する場合において、(例えば、エフェクター細胞および/または読み出し粒子を提供するために)丸められた供給チャネル323の幅未満である。本明細書において詳細に説明するように、丸みを帯びたチャネルは、特定のタイプのフォトレジスト(例えば、Megaposit SPR220シリーズ(Microchem社)及びAZ 40 XT(MicroChemicals社))上でPDMSを用いて成形することによって製造される。図53の右側に示された実施形態では、チャンバ321の幅は、供給チャネルの幅を超えている。本実施形態では、チャンバは、各チャンバの入口および出口を同時に閉鎖する単一のバルブ322によって分離されている。
重要なことに、本発明のマイクロ流体デバイスは、「フロースルー」モードに対処した、直列に配置されたチャンバに限定されるものではない。そのモードにおいて、チャンバは、一つのチャンバの出口が、隣接する下流のチャンバの入口に接続されるように列状に配置されている。むしろ、多数の異なるチャンバ構成および充填モードは、本明細書中に提供され、本発明に包含される。例えば、一実施形態では、チャンバは、複数のチャンバが同一の供給路を介して、同時に対処できるように並列に配置されている。さらなる実施形態では、並列チャンバレイは、「デッドエンド」充填モードで使用される(すなわち、チャンバの出口を備えていない場合)。
図54と55は、本発明の種々の並列チャンバ配列の実施形態を示す。これらの実施形態では、チャンバ331(図54)と、チャンバ331(図55)の各列は、共通の入口チャネル332と、出口バスチャネル333とを共有する。これらの構成において、チャンバ間の交差汚染は、バルブ334を使用して防止される。図55は、チャンバ331に示すように、チャンバのエフェクターゾーン335が同じチャンバ331の読み出しゾーン336から流体的に単離される実施形態を示す。具体的に、図55に示されるように、チャンバ331は、一実施形態では、エフェクターゾーン335がシール可能なチャネル337(例えば、バルブ337とのシール性)によって読み出しゾーン336から分離される化合物チャンバを含む。個々のチャンバ間の汚染は、低減される。なぜなら、一実施形態では、各チャンバから分泌された産物が、デバイスのさらに下流に位置するチャンバを通って輸送されないからである。重要なことに、供給チャネル中の試薬は、チャンバが単離されたままで、交換される。それによって、直列に配置されたチャンバ内で発生し得る勾配の影響のリスクを排除している。
いくつかの実施形態では、例えば、図56に示すように、バルブによって制御されるチャネルとチャンバとの間の単一の接続は、チャンバの中または外において、流れの方向に応じて、入口と出口の両方として機能することができる。図56を参照すると、チャンバ341は、バルブ344の制御下にある単一の接続路343を介して供給チャネル342に接続されている。この場合、チャンバ壁は、弾性及び気体透過性の材料から作られている。これは、チャンバ341内の空気をPDMS材料に押すことで、接続流路343を通って充填された「デッドエンド」であるチャンバを可能にする。この構造の上面図は、図56の左下に設けられている。チャンバ341は、単一の接続流路343を介して供給チャネル342に接続されている。バルブ344は、供給チャネル342からチャンバ341を流体的に隔離するよう作動される。図56に示す左上図は、同じ構造の断面を示す。
一度チャンバ341が満たされると、フローは、チャンバに負荷される圧力を調節することによって、チャンバ341の中(図56、右上)、または外(図56、右下)に向けられる。これは、チャンバ341が容積を拡大または圧縮する原因となる。チャンバの容積を調節および変更する機能は、チャンバ341内の粒子345(例えば、細胞)のアッセイにおいて有利である。例えば、一実施形態では、粒子345は、供給チャネル342にそれらをもたらすことによって、チャンバ341の圧力よりも高い圧力を供給チャネル342に加え、その後、流れがチャンバ341に入るようにチャンバ341に対するバルブ344を開くことによって、チャンバ341内に導入される。別の実施形態では、バルブ344が最初に開かれ、供給チャネル342の圧力が上昇する。チャンバ341の内部で、粒子345(例えば、エフェクター細胞または読み出し粒子)は、重力の影響下でチャンバの底に落ちる。
さらなる実施形態では、供給チャネル342の圧力は低減される。それによって、チャンバの外に向けられる流れと共に、力が抜かれて、チャンバ341が元のボリュームに戻る原因になっている。粒子345(例えば、エフェクター細胞および/または読み出し粒子)がチャンバ341の底部にあるので、それらは流れから実質的に除去され、圧力が低下すると、チャンバ内に残る。供給チャネル342の圧力変調はまた、細胞(エフェクター細胞または読み出し細胞かどうか)の生存率および成長を維持するために、チャンバ341に新鮮な培地を定期的に追加するために使用される。本実施形態では、チャンバ341は、拡散によってチャンバ内にすでにある培地と混合する新鮮な培地で膨張される。一度混合されると、チャンバ341内の流体の一部が除去され、ユーザが所望するようなプロセスが繰り返される。重要なことに、(例えば、バルブ344の作動により)後続の培地添加工程の間で供給チャネルに近接するチャンバ341とともに供給チャネル342をフラッシュすることによって、アレイ内のチャンバの内容物は、チャンバアレイ内の他のチャンバを汚染しない。
供給路圧力変調のこの同じアプローチは、一実施形態では、チャンバに試薬を追加するために使用される。その試薬は、チャンバ内の1または複数の読み出し粒子の1または複数のエフェクター細胞の効果を観察および測定するために必要十分である。例えば、以下に詳細に説明するように、1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団は、サイトカインを中和する1または複数のエフェクター細胞の機能のために、一実施形態においてアッセイされる。この場合、チャンバはまず、細胞集団(例えば、抗体を分泌する1または複数のエフェクター細胞を含む細胞集団)でロードされてもよい。抗体は、サイトカインを中和する能力のためにチャンバ内で試験される。例えば、一実施形態では、サイトカインの中和効果は、チャンバに読み出し粒子を提供することによって測定される。それによって、読み出し粒子は、例えば、蛍光タンパク質の発現によって、サイトカインに応答する細胞を含む。一実施形態では、個々のチャンバは、第一に、抗体の十分な量の蓄積を可能にするためにインキュベートされ、単離される。サイトカインを含有する培地の量は、チャンバを膨張させることによってチャンバに添加される。それによって、チャンバ内に抗体を維持し、チャンバ間を交差汚染させない。さらなる実施形態では、チャンバがサイトカインを中和することができる抗体を分泌するエフェクター細胞が含むかどうかを決定するために、チャンバは、必要とされるような追加の量の交換と共にインキュベートされる。
上記の戦略はまた、チャンバの容積を調節するメカニズムを使用することなく達成することができる。例えば、チャンバは、一実施形態では、試薬で独立してフラッシュされる2つの別個の区画(例えば、個々のチャンバ内の別個のチャンバ、またはサブチャンバまたはウェル)を有するように構成される。これは、デバイスの他のチャンバから単離されてもよい。新鮮な培地、または特定のアッセイに必要な他の試薬/成分を含有する培地で培地を交換することは、一実施形態では、他の区画からチャンバ(例えば、「試薬区画」)のいずれかの区画を分離することによって実現される。これにより、「他の区画」は、エフェクター細胞および読み出し粒子を含む。試薬区画をフラッシュし、その後、拡散によって、または二つの区画の間のポンプなどの別の手段によって、混合を可能にするため区画を再接続している。
本明細書で議論されるように、チャンバのエフェクターゾーンと読み出しゾーンは、一実施形態では、1または複数のバルブを介して互いに流体的に分離される。この構造は、デッドエンド充填され、相互に連通しているチャンバにさらに拡張されることができる。図57に示すように、例えば、バルブ353によって、エフェクターゾーン351と読み出しゾーン352を分離することは、個々の対処能力の利点を提供する。各ゾーンの試薬は、独立して交換されてもよく、および/またはアッセイは、その後、エフェクター細胞と読み出し粒子の両方で行われてもよい。チャネルのデッドエンド部分は、図57に図示されていないことに注意されたし。
全体を通して提供されるように、1つの局面において、本発明は、細胞外効果を有するエフェクター細胞を含む細胞集団を同定する方法に関し、別の態様では、方法は、細胞外効果の変動を有する細胞集団を同定するために提供される。一度、細胞集団が細胞外効果、または細胞外効果の変動を示すことが決定されると、細胞集団またはその一部は、回収された細胞集団を得るために回収される。回収は、一実施形態では、細胞外効果を示す1または複数の細胞を含む細胞集団を含むマイクロ流体チャンバをマイクロキャピラリーで穿孔する工程と、チャンバの内容物をまたはその一部を吸引する工程とを含む。それにより、回収され、吸引された細胞集団を得ることができる。
回収された細胞の集団は、一度回収されると、一実施形態では、さらなる分析に供される。例えば、細胞外効果の変動の原因となる回収された細胞集団から、単一のエフェクター細胞またはエフェクター細胞の亜集団の同定に供される。回収された細胞集団は、最初の細胞外効果と同一または異なる第2の細胞外効果のための亜集団として、限界希釈法で分析される。第2の細胞外効果を有する細胞の亜集団は、その後、さらなる分析のために回収される。例えば、ベンチトップ法(例えば、RT-PCRおよび/または次世代シークエンシング)により、マイクロ流体デバイスの第3の細胞外効果のために回収される。
特定のチャンバからの1または複数の細胞の回収のための様々な方法が本明細書中で使用するために適している。
本明細書に提供されるデバイスのPDMS膜の設計は、マイクロキャピラリーで、上部膜を貫通することにより、任意のチャンバから細胞の選択的回収を可能にする。一実施形態では、チャンバからの細胞回収は、Lecault et al. (2011). Nature Methods 8, pp. 581-586(本明細書に全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれる)によって記載された方法に部分的に基づいて行われる。特定のチャンバ上の膜は、マイクロキャピラリーで貫通され、細胞は吸引される(図58、上)。同じマイクロキャピラリーは、1つのデバイスに複数の細胞集団を回収するために使用される。回収された細胞は、その後、さらなる分析(例えば、RT-PCR分析)のために、または、同じマイクロ流体デバイスまたは別のマイクロ流体デバイス上でさらなる機能的アッセイに供するために、微量遠心管中で堆積される。
一実施形態では、識別されたチャンバからエフェクター細胞が回収されたら、その細胞は、限界希釈法(例えば、最初のアッセイより小さい集団またはチャンバごとに単一の細胞のいずれか)で、異なる領域、同じデバイスに再導入される(例えば、図2)。これは、エフェクター細胞が細胞外効果の変動の原因となることを決定するために、すなわち、回収した細胞に別の細胞外アッセイを行うことによって行われる。
一実施形態では、1または複数の細胞集団は、回収吸引された細胞集団を提供するために、細胞集団を含むチャンバの内容物を吸引することにより、マイクロキャピラリーを用いて回収される。さらなる実施形態では、回収吸引された細胞集団は、マイクロキャピラリーを有するマイクロ流体デバイスに再注入される。マイクロキャピラリーは、マイクロ流体デバイスの1つの壁を貫通する。次いで、圧力は、マイクロ流体デバイスの別々のチャンバに回収吸引細胞集団を流すために、マイクロキャピラリーに負荷される。マイクロキャピラリーは、マイクロ流体構造の壁を実質的に再密封させるために格納される。
回収は、一実施形態では、自動化され、ロボットマイクロキャピラリー装置を使用する(図58、下部)。しかしながら、回収はまた、マイクロキャピラリーを使用して手動で行うことができる。本明細書に提供される回収方法は、15分で95%より大きい効率で100個のチャンバから回収することができる。代替的に、回収されたエフェクター細胞は、細胞外効果の変動の原因となる特定の細胞の同一性を決定するために、第2のデバイスに導入され、またはベンチトップ法によって分析される。
マイクロキャピラリーは、一実施形態では上記のように、マイクロ流体チャンバから1または複数の細胞集団(またはマイクロ流体濃縮が行われたかどうかに応じて亜集団)を回収するために使用される。吸引回収された細胞集団を得るために、チャンバの内容物またはその一部を吸引する。1または複数の細胞集団(またはサブ集団)の細胞は、回収吸引された細胞集団(または亜集団)を提供するために、マイクロキャピラリーでチャンバの内容物を吸引することによって実質的に回収される。一実施形態では、マイクロキャピラリーは、約5μmから約200μmの直径を有する。さらなる実施形態では、マイクロキャピラリーは、約5μmから約200μm、または約5μmから約150μm、または約5μmから約100μm、または約5μmから約75μm、または約5μmから約50μm、または約50μmから約200μm、または約100μmから約200μm、または約150μmから約200μmの径を有する。
いくつかの実施形態では、マイクロキャピラリーは、ベベル先端を有する。いくつかの実施形態では、マイクロキャピラリーは、楕円形、正方形または円形の断面を有する。また、図58に示すように、いくつかの実施形態におけるマイクロキャピラリーは、自動回収装置を提供する顕微鏡のロボットマイクロマニピュレーションシステムに搭載されている。
一実施形態では、本明細書に提供されるマイクロキャピラリーは、単一のバレルを持っている。しかしながら、他の実施形態でマイクロキャピラリーは、複数のバレル(例えば、ダブルバレル、トリプルバレル、また三つ以上のバレル)を有する。
細胞または複数の細胞は、特定のチャンバで一意的に対処するために、およびチャンバから回収用の出口ポートに単一細胞または複数の細胞をフラッシュするための流れを誘導するように、マイクロ流体バルブを用いて選択的に回収される。デバイス基板と接着する細胞は、一実施形態では、当業者に公知の方法(例えば、トリプシンでマイクロ流体基材をパージまたはコーティングする)によって、最小化することができる。別の実施形態では、目的の細胞を含む複数のチャンバは、単一のポートを介して、例えば、流体の流れを制御する対処可能なバルブアレイの使用を介して、同時に回収される。別の実施形態では、目的でないチャンバからの細胞は、洗浄または溶解のいずれかにより、デバイスから最初に除去される。目的の細胞を含むデバイスの残りの内容物は、その後、所望のポートにフラッシュすることによって回収される。
一実施形態では、細胞外効果の変動を提示するエフェクター細胞を含むチャンバの内容物は、吸引によって、例えば、適切なサイズおよび形状を有するように製造されたマイクロキャピラリーを用いることによって、デバイスから回収される。いくつかの実施形態では、回収方法は、目的の細胞を含むチャンバの上部をマイクロキャピラリーで貫通する工程と、目的の細胞を吸引する工程とを含む。一実施形態では、膜は、再密封する、または穿孔が完了した後に実質的に再密封する。別の実施形態では、細胞外効果の変動を提示するエフェクター細胞を含むチャンバの内容物(例えば、1または複数のASC)の回収は、アクセスポイントを作成するために、チャンバの壁を最初にカットし、その後にマイクロキャピラリーを使用して吸引することで細胞を抽出することにより行われる。さらに別の実施形態では、細胞外効果をアッセイするために使用されるマイクロ流体デバイスは、チャンバの1つの壁の材料を剥がして露出させるように製造される。これにより、オープンマイクロウェルのアレイをそのままの状態にしている。同定されたチャンバ(すなわち、細胞外効果の変動を提示するエフェクター細胞を含むチャンバ)は、それぞれのチャンバから吸引される。マイクロ流体ウェルの内容物の正確な抽出を容易にするために、マイクロキャピラリーチューブのような吸引ツールは、一実施形態では、ロボットマニピュレーター、または手動マイクロマニピュレーター(図58)に搭載されている。しかしながら、他の実施形態では、吸引は手動で行われる。
いくつかの例では、所定のチャンバから細胞のサブセットを抽出することが望ましい。例えば、本明細書で提供される方法は、マイクロ流体チャンバの特定の領域(例えば、読み出しゾーンまたはエフェクターゾーン)から細胞の除去を可能にする。一実施形態では、本明細書に提供される回収方法は、連続様式で、個々の単一細胞の吸引を備える。
1または複数のマイクロ流体チャンバから1または複数の細胞の回収は、一実施形態では、磁気分離/回収を含む。例えば、一実施形態では、マイクロ流体チャンバは、チャンバ内の1または複数の細胞に付着する磁性粒子(または複数の磁性粒子)に曝される。付着は、単一細胞、ウェル中の細胞集団の亜集団のために選択的(すなわち、磁石が全ての細胞に付着することができる)、または非選択的のいずれかであることができる。この場合には、マイクロキャピラリーに細胞を吸引する代わりに、磁性粒子で標識された細胞は、磁場勾配を生成する磁気プローブに引き付けられている。プローブは、一実施形態では、磁場がオン・オフされることができるように設計されている。それにより、細胞は、除去のために磁気プローブに付着され、次いで、堆積中に解除されている(EasySep Selection Kit, StemCell Technologies社)。
チャンバから採取された複数の細胞または単一細胞は、一実施形態では、さらなる分析のために、1または複数の容器内(例えば、オープンマイクロウェル、マイクロ液滴、チューブ、培養皿、プレート、ペトリ皿、酵素結合免疫スポット(ELISPOT)プレート、第二のマイクロ流体デバイス、同じマイクロ流体デバイス(別の領域)など)に堆積される。容器の選択は、当業者によって決定され、下流の分析および/または保管の性質に基づいている。
いくつかの実施形態では、細胞由来の産物または細胞内物質は、単一の細胞または複数の細胞の回収に加えてまたは回収の代わりに、目的のマイクロ流体チャンバから回収される。例えば、マイクロ流体チャンバが、細胞外効果の変動を示している細胞を有すると同定される場合、一実施形態では、チャンバからの分泌物は、下流の分析(例えば、配列分析)のために回収される。別の実施形態では、細胞または複数の細胞は、例えば、第1のアッセイが行われるチャンバ内のマイクロ流体デバイスで溶解され、そして溶解物を回収する。一実施形態では、溶解物は、例えば、細胞または複数の細胞からタンパク質、mRNAまたはDNAを単離するために、さらにチップの処理に供される。単一のチャンバ内の細胞または複数の細胞のRNAは、一実施形態では、細胞からRNAの放出を引き起こす試薬を使用する特定のチャンバを通ってフラッシュするマイクロ流体バルブを使用して選択的に回収される。この材料は、その後、出口ポートで収集される。別の実施形態では、すべてのウェルまたはウェルのサブセット中の細胞は、溶解試薬を使用して溶解され、その後、所定のチャンバの内容物またはチャンバのサブセットは回収される。別の実施形態において、目的の一つのチャンバまたは目的の複数のチャンバ内の細胞は、ビーズの存在下で溶解される。そのビーズは、細胞から放出されるRNAを捕捉する。それに続いて、例えば、上述された細胞回収の技術を用いて、ビーズは回収される。この場合、RNAは、回収の前または後に逆転写酵素を使用してcDNAに変換されてもよい。チップmRNA単離、cDNA合成および回収を遂行する方法の一例は、Anal. Chem 78 (2006), pp. 3084-3089(その内容はすべての目的のためにその全体が参考として援用される)に見つけられる。
目的のチャンバまたは複数のチャンバからの細胞または細胞由来物質の回収に続いて、これらの材料または細胞は、単離物または単一細胞または複数の細胞を同定または特徴付けるために分析される。前述したように、さらなる分析は、マイクロ流体アッセイ(例えば、図2)、またはベンチトップアッセイを介して行うことができる。本発明は、例えば、第2の細胞外効果、第3の細胞外効果および/または第4の細胞外効果を提示する回収された細胞集団から細胞亜集団を識別するために、マイクロ流体分析の複数のラウンドを可能にする。回収された細胞集団に細胞外効果アッセイを繰り返すことにより、この方法の使用者は、目的の機能的特徴、または目的の複数の機能的特徴のために高度に濃縮された細胞集団を得る。
一実施形態では、細胞外効果の変動または細胞外効果を示す1または複数の細胞集団は、1または複数の回収された細胞集団を得るために回収される。1または複数の個々の細胞集団が同定され、回収されると、1または複数の個々の細胞集団は、観察される細胞外効果の原因となる細胞または複数の細胞を決定するためにさらに分析される。一実施形態では、方法は、マイクロ流体デバイスの別々のチャンバ内に1または複数の回収された細胞集団に由来する複数の細胞亜集団を保持する工程を含む。別々のチャンバの各々は、1または複数の読み出し粒子を含む読み出し粒子集団を含む。個々の細胞亜集団は、チャンバ内の読み出し粒子集団でインキュベートされる。個々の細胞亜集団は、第2の細胞外効果の変動のためにアッセイされる。読み出し粒子集団またはその亜集団は、第2の細胞外効果の読み出しを提供する。第2の細胞外効果は、回収された細胞集団のために測定された細胞外効果と同じ細胞外効果または異なる細胞外効果である。第2の細胞外効果分析に基づいて、1または複数の個々の細胞亜集団は、第2の細胞外効果の変動を示すことが同定される。一実施形態における1または複数の個々の細胞亜集団は、その後、さらなる分析のために回収される。第2の細胞外効果アッセイは、本明細書に記載の細胞外効果アッセイの1つである。
1または複数の個々の細胞亜集団は、例えば、上記で詳細に説明したようにマイクロキャピラリーを用いて回収される。マイクロキャピラリーは、一実施形態では、細胞外効果を提示する細胞集団をさらに濃縮するために、同じマイクロ流体デバイス、または別のマイクロ流体デバイスに、回収さた細胞亜集団を再注入するために使用される。例えば、回収された細胞亜集団に由来する複数の細胞亜集団は、一実施形態では、マイクロ流体デバイスの別々のチャンバ内に保持されている。別個のチャンバの各々は、1または複数の読み出し粒子を含む読み出し粒子集団を含む。細胞亜集団は、マイクロ流体チャンバ内で読み出し粒子集団とインキュベートされる。そして、細胞亜集団は、第3の細胞外効果の存在のためにアッセイされる。読み出し粒子集団またはその亜集団は、その第3の細胞外効果の読み出しを提供する。アッセイ工程の結果に基づいて、1または複数の細胞亜集団の内の1または複数の細胞が第3の細胞外効果を示すか否かが判断される。1または複数の細胞亜集団は、本明細書に記載されるように回収される。
一実施形態では、回収された細胞集団、または回収された細胞亜集団または複数の細胞集団または亜集団からの細胞は、細胞亜集団として複数の容器に保持される。細胞サブ亜集団は、すでに回収した細胞亜集団の亜集団を意味する。しかしながら、当業者は、細胞亜集団が、さらに、亜集団に分割することができることを認識する。そして、「サブ亜集団」の使用は、この区別をするために必ずしも必要ではない。各細胞亜集団は、個々の容器内に存在する。個々の亜集団またはサブ亜集団は、提供されるために溶解される。そして、溶解された細胞亜集団または溶解された細胞サブ亜集団内の1または複数の核酸が、増幅される。さらなる実施形態では、1または複数の核酸は、抗体遺伝子を含む。
マイクロ流体分析を含むいくつかのアプローチは、細胞の性質、元のスクリーン内の細胞の数、及び分析の目的に依存して、この下流の分析のために使用されてもよい。一実施形態では、集団エフェクター細胞が、チャンバから回収される場合、または、複数の集団が複数のチャンバから回収される場合、複数の各細胞は、個々の容器に隔離されている(例えば、個々のマイクロ流体チャンバ)。そして、分析は、各エフェクター細胞で個々に実行される。個々の細胞分析は、マイクロ流体分析(図2)、またはベンチトップ分析である。別の実施形態では、集団エフェクター細胞がチャンバから回収される場合、または複数の集団が複数のチャンバから回収される場合、細胞集団は、別個の領域における同じマイクロ流体デバイス(または第2の装置)に再導入される。そして、細胞は、限界希釈法で分離される(すなわち、「細胞亜集団」として)。例えば、細胞は、チャンバあたり単一の細胞の密度で単離され、またはチャンバあたり約2~約10個の細胞から単離される。そして、第2の細胞外効果アッセイが行われる。下流分析(マイクロ流体またはその他)は、任意のサイズ(例えば、最初の細胞外効果細胞アッセイと同じ大きさ、またはより小さな集団の大きさ)の細胞亜集団であってもよい。例えば、それは、単一の細胞、2つの細胞、約2個の細胞から約20個の細胞、約2個の細胞から約25個の細胞などである。読み出し粒子は、細胞亜集団を含むチャンバに導入され、第2の細胞外効果アッセイが行われる。細胞外効果の変動を提示する細胞亜集団を含むチャンバの内容物は、さらなる分析のために採取される。このさらなる分析は、ベンチトップ分析(例えば、PCR、次世代シーケンシング)またはマイクロ流体分析(例えば、第3の細胞外効果アッセイ、単細胞PCRを行うことによる)であることができる。
一実施形態では、個々に回収されたエフェクター細胞は、回収された細胞からクローンを得るために、複数の細胞培養チャンバで限界希釈法により複数の細胞を分配することによって、培養物中で増殖される。例えば、抗体のライブラリーを発現するように操作された細胞株の複数のエフェクター細胞の実施形態では、チャンバまたは複数のチャンバからの細胞は、チャンバに存在した単一のエフェクター細胞を単離するために、限界希釈法にかけられる。単一のエフェクター細胞は、その後、それぞれのエフェクター細胞のクローン集団を得るために使用される。1または複数のクローン集団は、その後、アッセイのために分析される。エフェクター細胞は、分泌された抗体(例えば、ELISAまたは機能的アッセイによる)の特性を測定することによって、目的の抗体を産生する。
代替的にまたは付加的に、細胞は、マイクロ流体チャンバから回収され、例えば、限界希釈法によって単離される。そして、1または複数の目的の遺伝子(例えば、目的の抗体をコードする遺伝子)の配列決定または増幅および精製のための十分な材料を取得するために増殖される。さらに別の実施形態では、細胞は、マイクロ流体チャンバから回収され、例えば、限界希釈法によって、単離される。そして、細胞は、例えば、1または複数の目的の遺伝子の配列を決定するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または逆転写酵素(RT)-PCR、それに続く配列決定によって、単一細胞DNAまたはmRNAの増幅のために使用される。さらに別の実施形態では、目的の細胞は、1または複数のマイクロ流体チャンバから回収され、例えば、限界希釈法により単離され、目的の遺伝子のmRNAの増幅または、単一細胞DNAのために続けて使用される。これに続いて、その後の発現および分析のために別の細胞タイプにこれらの遺伝子をクローニングする。
一実施形態では、回収された細胞集団または亜集団は、例えば、動物にそれらを注入することによって、in vivoでの分析用に使用され、分離される。または、それらは、培地で増殖され、その後に、マイクロ流体デバイスで以前に行われた1または複数の機能アッセイに細胞を供される。
一つの態様において、細胞集団または亜集団は、(例えば、第一又は第二のマイクロ流体細胞外効果アッセイの後)の細胞外効果の変動を提示し、回収される。細胞の一つまたは複数の核酸が増幅に供される。増幅は、一実施形態において、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、cDNA末端の5'-迅速増幅(RACE)、インビトロ転写または全トランスクリプトーム増幅(WTA)によって行われる。さらなる実施形態において、増幅は、逆転写(RT)-PCRによって行われる。RT-PCRは、単一細胞または集団の複数の細胞であってもよい。単一細胞RT-PCRは分析方法として一般的な環境になっているが、抗体遺伝子の増幅は、複数の遺伝子使用及び変動が原因で簡単でない課題を提供する。単一細胞から抗体遺伝子を回収するための二つの主要なアプローチは、縮重プライマーおよびcDNA末端の5 '迅速増幅(RACE)PCRを用いるRT-PCRを含む。一実施形態では、RT-PCR法は、遺伝子特異的鋳型スイッチングRT、それに続く、半ネステッドPCR及び次世代アンプリコンの配列決定に基づいている。
細胞外効果の変動を有する特定されたエフェクター細胞と共に使用するRT-PCR法の一実施形態は、図59に示されている。図は、逆転写および多重化されたプライマーを切り替えるテンプレートを使用する単一細胞HV / LVのアプローチを示す。本実施形態では、単一の細胞は、マイクロチューブに堆積され、cDNAは、重鎖および軽鎖の定常領域を標的とする多重化遺伝子特異的プライマーから生成される。MMLV酵素のテンプレート切換え活性は、得られたcDNAの3'末端にテンプレート切り替えオリゴの逆相補体を付加するために使用される(Huber et al. 1989). J. Biol. Chem. 264, pp. 4669-4678; Luo and Taylor (1990). J. Virology 64, pp. 4321-4328; 全ての目的のためにその全体が参考として援用される)。重鎖および軽鎖の定常領域で、多重化されたプライマーおよびオリゴスイッチングコピーテンプレートに相補的なユニバーサルプライマーを用いる半ネステッドPCR(RTプライマー領域の内側に位置された多重化ネステッドプライマーおよび共通の3'プライマー)は、cDNAを増幅するために使用され、そして各単一の細胞の単位複数配列に特有であるインデックス化配列を導入するために使用される。得られた単一細胞の単位複数配列は、プールされ、配列決定される。
いくつかの例では、回収された細胞集団は、マイクロ流体デバイスからの回収後、単一細胞にさらに分離されない。例えば、チャンバから分離された複数の細胞が、目的の抗体(例えば、他の抗体を分泌する1または複数の追加の細胞の集団に存在する)を分泌する細胞を含む場合、複数の細胞は、一つの実施形態において、複数の細胞のクローン集団を生成するために培地で増殖される。複数のうちのいくつかは、所望の生成物(すなわち、目的の抗体)を作る。別の実施形態では、マイクロ流体ウェルから単離された複数の細胞は、(マイクロ流体デバイスまたは回収に続くデバイスのいずれかで)溶解される。それに続いて、配列決定による分析とプールされた核酸集団の増幅がある。この場合、得られた配列のバイオインフォマティックス分析は、他のソースからの情報を使用して、推測するために使用されてもよい。その配列は、目的のタンパク質(例えば、抗体)をコードする可能性がある。重要なことに、本発明によって提供される分析方法は、回収される細胞の限定された数が原因で、多数の細胞のバルク分析と比較して、大幅に簡略化される。この細胞の限定された数は、細胞集団内のゲノム情報の複雑さを低減する。
一実施形態では、複数の細胞の増幅されたDNA配列は、当業者に公知の方法に従って、不死化細胞株で組換え的に発現される配列のライブラリーを作成するために使用される。その後、この細胞株は、目的の遺伝子を同定するために、クローンを最初に単離することによって分析される。いくつかの例では、これらのライブラリーは、目的のタンパク質複合体を生じる遺伝子の組み合わせをスクリーニングするために使用される。例えば、一実施形態では、目的の細胞中で発現された遺伝子は、所望の特性を有する遺伝子対を同定するために、抗体遺伝子の重鎖及び軽鎖の両方を含む。このような分析の複雑さは、元のスクリーンで分析された細胞の数が少ないという事実によって大幅に低減される。例えば、元のスクリーンに10個の細胞が存在すれば、可能な抗体の重鎖および軽鎖の100個のみのペアがある。比較すると、バルクサンプルは、通常、数百万の可能なペアに対応する、数千の異なる抗体配列を有している。
いくつかの例において、回収された細胞は、当業者に公知の方法を用いて単離することができる異なる細胞タイプを含む。例えば、マイクロ流体チャンバが、細胞を分泌する抗体と、抗体分泌細胞を維持するために使用される線維芽細胞との両方を含む場合、一実施形態における抗体分泌細胞は、アフィニティー捕捉法を用いて回収した後の線維芽細胞から分離される。
本発明は、以下の実施例を参照することによりさらに例示される。しかし、これらの実施例は、上述した実施形態と同様に、例示であり、決して本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことに留意すべきである。
実施例1 - マイクロ流体デバイスの作製
マイクロ流体デバイスは、Lecault et al. (2011). Nature Methods 8, pp. 581-586に記載されているプロトコル(例えば、変更されたベーキング時間や硬化プロトコル)を使用して製造された。これにより、ガラススライドの底から上部にかけて、フローチャンバと、コントロール層と、膜と、バス層とを含む複数の層を得た(図27)。デバイスの断面と、チャンバ、フローチャネルおよびコントロールチャネルの対応する3次元概略図は、それぞれ、図61および図62に示されている。上述したように、コントロールチャネルがフローチャネルと交差する場合、ピンチバルブが形成され、コントロールチャネルを加圧することにより閉じられる。カバー層は、バスを閉じるために特定の場合において追加された。または、カバー層は、図63のデバイスに示されるようなオープンバス用に省略されたままにされた。
実施例2 - 選択と再注入による細胞の濃縮のためのマイクロ流体デバイス
図63に示すマイクロ流体デバイスは、濃縮のために再注入の機能を備えたエフェクター細胞(抗体分泌細胞)の選択アッセイを実施するために使用された。図64に示すように、デバイスは、6つの入口ポート1030と、それぞれの入口を制御するための6つの制御ポート1031と、4つの再注入ポート(そのうちの一つは1032)と、単一の出力ポート1033とを含む。デバイスは、8192個の同一の単位細胞のアレイを含む(その一つは図2(b)および図61に示されている)。各単位細胞は、幅100μm、長さ160μm、高さ160μmであるチャンバを含む。各チャンバは、約2.6 nLの容量を有する。デバイスは、4つのサブアレイに分割されている。その一つは、1032で示されている(図64)。各サブアレイは、合計で8192個の単位細胞のうちの2048個を含む。各サブアレイは、独自のサブアレイバルブ1034を有する。それは、各サブアレイが他のサブアレイから流体的独立的に対処可能であることを示す。各サブアレイは、単一の再注入ポート1035を有する。再注入ポートは、約300μmの直径と、約160μmの深さと、約11.3 nLの容積とを有する円形のチャンである。再注入ポートは、4つのサブ・アレイの1または複数の中に試薬または粒子を注入するために、マイクロキャピラリーによって貫通される。
実施例3 - エフェクターと読み出し細胞の分離用のマイクロ流体デバイス
マイクロ流体デバイスは、読み出し細胞がエフェクター細胞から分離されたチャンバに分離した状態にされることを可能にするよう設計され、これらのチャンバの内容物が必要に応じて混合されることを可能にするように設計された。この構成は、エフェクター細胞のアッセイ(例えば、サイトカイン中和アッセイ)を実施するために使用される。構成は、エフェクター細胞を含むチャンバが流体で灌流されたとき(例えば、長期間にわたって生存能力を維持するために新鮮な培地を提供するとき)、エフェクター細胞の分泌物が完全に洗浄されたアレイになることを防止するために特に有用である。この構成は、エフェクター細胞が、細胞外効果アッセイのために必要な培地条件に曝される間中の時間を制限することが有用である場合にも適している(例えば、毒性サイトカインがアクセサリー粒子として使用される場合)。
図65に示すように、このデバイスは、6つの入口ポート1040と、9つの制御ポート1041,1042と、二つの出口ポート1043、1044と、396個の単位細胞のアレイ(それぞれ1045と同一であり、図66により詳細に示されている)とから成る。各単位細胞は、2つの円形のチャンバを含む。各チャンバは、210μmの径と、180μmの高さと、5.6 nLの容積とを有している。一般的に、これらのチャンバの一つは、1または複数のエフェクター細胞を保持し、他のチャンバは、1または複数の読み出し細胞を保持する。流路は、二つのチャンバを接続する。この流路は、「拡散バルブ」1050で閉じることができる。拡散バルブ1050を開いた状態で、二つのチャンバの内容物は、拡散によって混合する。拡散バルブ1050を閉じた状態で、チャンバは、互いに分離されている。2つの流路は、デバイス内で互いの単位細胞に各単位細胞を連続的に接続する。これらの流路の一方はチャンバ1を通って流れ、他方はチャンバ2を通って流れる。これらの2つの流路は、互いの単位細胞のチャンバから各単位細胞のチャンバを隔離するために、「メインバルブ1」1051と、「メインバルブ2」1052とで閉じられている。これら2つの流路は、独立に開閉され、チャンバ1またはチャンバ2の独立した灌流を可能にしている。図66の垂直面および水平面(点線)でのデバイスの断面図は、それぞれ、図67および図68に示されている。
デバイスで実現することができるサイトカインの中和機能的アッセイの実施例は、図69に示される。パネルAは、少なくともと、複数の読み出し細胞を含む下部チャンバと、一つのエフェクター細胞を含む上部チャンバとを示している。両方のチャンバは、読み出し細胞の生存率を維持するために必要とされる同じ濃度のサイトカインを含む。すべてのバルブは閉じられている。閉じたバルブは黒の斜線で示され、開いたバルブは水平斜線で示されている。パネルBは、時間が経過し、少なくとも一つのエフェクター細胞が抗体を分泌していることを示している。図示されている特定の場合において、抗体は、エフェクターチャンバ内のサイトカインに結合する。それにより、それらを中和している。パネルCは、拡散バルブ1050が開かれたことを示している。フリーのサイトカインは、上部チャンバに向かって下部チャンバから拡散する。中和されたサイトカインは、下部チャンバに向かって上部チャンバから拡散する。パネルDは、十分な時間が経過し、その結果、各チャンバ内でフリーで中和されたサイトカインの濃度が実質的に均一化されたことを示す。すべてのバルブは、その後作動され、ロックされている。読み出し細胞を含む下部チャンバ中のサイトカインの有効濃度は、現在、初期濃度の約半分である。パネルEは、エフェクター細胞が追加のサイトカインを含有する新鮮な培地で灌流されていることを示す。灌流は、上部チャンバから中和されたサイトカインを除去する。プロセスは、数時間ごとに繰り返され、最終的に読み出し細胞の死およびサイトカインの完全な枯渇をもたらす。他の例では、読み出し細胞のサイトカインの中和の効果は、シグナル伝達経路の阻害または活性化、増殖停止、分化、または形態の変化を含む。読み出し細胞の効果は、その後、当業者に公知の方法によって測定される。
実施例4 - 細胞フェンスチャンバの統合
1または複数のエフェクター細胞を含む細胞の不均一な集団または単一のエフェクター細胞の捕捉用の細胞フェンスを有するデバイスが以下のように作製された。
細胞フェンス付きPDMSデバイスは、再利用可能な流路金型と、再利用可能なコントロールチャネルとから成形することにより作製された。流路金型は、シリコンウエハ基板上のフォトレジストの複数の層を含んでいた。ここで利用されるデバイスにおけるチャンバの大部分は、Siウエハ上に直接に形成されるSU-8 100の特徴によって規定された。細胞フェンスは、製造されたとき、SU-8 100の特徴の上に形成された薄いSU-8 2010特徴によって規定された。これは、図31に概略的に示されている。
マイクロ流体チャンバの大部分は、最終工程の現像が省略されたことを除いて、標準的なプロトコルに続いてSU-8 100ネガ型フォトレジストを(一般的に、高さ160μm)を使用して作製された。ウエハは、ポスト露光ベーク後に冷却され、その後、SU-8 2010は、典型的に、高さ10~20μmで未現像のSU-8 100の上で回転された。SU-8 2010の厚さは、フェンスの高さを決定した。各チャンバの深さは、両方のフォトレジスト層を合わせた高さだった。
代替的な製造手順では、SU-8 100層が完全に現像され、その後、ウエハは、第一の層よりも高いSU-8 100の追加の層でコーティングされた。高さの差は、フェンスの高さとなっている。
次に、金型はパリレン被覆された(化学蒸着ポリ(p-キシリレン)ポリマー障壁)。そして、成形中PDMSの付着を減少させ、金型の耐久性を向上させ、上述のパリレン被覆で製造されなかった小さな特徴の複製を可能にした。
多くのプロトタイプデバイスは、実現可能なフェンスの幅-高さの組み合わせを決定するために作製された。プロトタイプフロー層の型は、正常に作製される寸法を決定するために作製された。この金型は、フェンス(同じ金型全体で変化するフェンスの幅)を有する複数のチャンバから成っていた。また、フェンスの高さとチャンバの高さは、製造中、(スピン速度を調整することで)変化させることができた。プロトタイプの金型は、製造テスト用のチャンバのみを含んだ。
2つのフォトリソグラフィマスクが要求される。一方は、チャンバ(SU-8 100)の大部分を規定し、他方は、フェンス(SU-8 2010)を規定する。しかしながら、一つの物理的なマスクは、使用されることができ、両方の特徴のセットを含んでいる。
プロトタイプフェンスチャンバが作成された。そのチャンバの全幅Wは、300μmで固定された。ほとんどの既存のデバイスのチャンバの典型的な幅は160μmである。最初に、これらのチャンバの各半分は、エフェクターゾーンと読み出しゾーンの各々用の別個の入口および出口を可能にするために同様のサイズとされた。Lは、チャンバの長さである。Xの各固有の値は、L=160μm(長さ)の3つのチャンバと、L=2000μmの1または複数のチャンバがあった。拡張された長さを有するチャンバは、最終的なPDMSモールドがフェンスに垂直に容易に切断されることを可能にするために含まれている。その結果、断面は撮像される。
最初に、単一の金型が作成され、チャンバとフェンスの高さの単一セットにデータを提供する。表5は、プロトタイプ金型の寸法をまとめたものである。
表6は、金型のフェンス幅と、正常に作製されたフェンスの幅とをリストする。
上記表は、実際のフェンス幅が設計値よりも大きかったことを示している。
製造の失敗は、PDMS成形後まで明らかではなかった。より小さいフェンス幅は、顕微鏡下で観察することにより、フォトレジストモールドの品質を決定することは困難であった。フェンスを構成するPDMSがチャンバの底部から完全にまたは部分的に離れて引き裂かれ、金型にとどまったため、フェンスは失敗した。例えば、15μmの幅を有するフェンスは失敗した。この特定のデザインおよび上記の方法を用いて作製された最小の幅は17.5μmだった。
フェンスがチャンバ底部から離れて引き裂かれたということが、プロトタイプデバイスのPDMS成形中に観察された。この引き裂きは、フェンスがチャンバの壁に出会う90度の角で始まるように思われた。この90度の角は、応力が集中する。設計は、これらの応力集中を低減し、それにより、PMDS成形性を向上させるために、45度のチャンバを含むように改変された。この設計変更は、フェンス幅がテスト金型に可能な最大サイズであった17.5μm幅以下に減少されることを可能にした。フェンスの幅は、10μmの設計値に減少された。実測値、12μmは、プロトタイプ金型で成し遂げられたよりも設計値にかなり近づいていた。
この例でのフェンスは流れに並行に走る。しかし、フェンスがフローに対して垂直にまたはフローに対して斜めに作製することはできないという固有の理由はない。同様に、この例におけるチャンバは対称的である。しかし、本発明はこれに限定されない。
細胞フェンス、エフェクターゾーン及び読み出しゾーンを有する個々のマイクロ流体チャンバは、読み出しゾーンに読み出し粒子を、またはエフェクターゾーンにエフェクター細胞を向けるために、傾ける方法を使用して、細胞集団および読み出し粒子でロードされた。
図70A、70Cおよび70Eは、細胞フェンスを持つマイクロ流体チャンバのライト光顕微鏡図を示す。また、70B、70Dおよび70Fは、蛍光顕微鏡下で同じチャンバを示す。読み出しゾーンにおけるビーズ(読み出し粒子)は、ビーズのエフェクター細胞生成物の凝集を示す。その凝集は、一般的に、エフェクター細胞およびエフェクターゾーンからの相対的距離にもかかわらず、均一である。
実施例5 - 抗体分泌エフェクター細胞の堅牢なマイクロ流体成長
ヒトIgG抗体を産生する複数の組換えチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(エフェクター細胞)は、2Mの細胞/mLの濃度でマイクロ流体デバイスにロードされた。分泌された抗体は、2時間のインキュベーション、それに続く、ウサギ抗ヒトIgG(H+ L)のDylight594結合F(ab')2フラグメントの添加と洗浄の間に、タンパク質A被覆ビーズ(4.9μmの平均直径)上に捕捉された(図71)。明視野および蛍光画像は、抗体分泌および取り込みを定量化するために撮られた。細胞は、クローン集団を生成するために、4.5日間デバイスで続けて培養された。そして、多量の抗体を分泌するクローンは、さらなる増殖のためにデバイスから回収された。
図72は、抗体検出エフェクター細胞アッセイを行った後のCHOクローンのタイムラプス図を示している。読み出しビーズは黒色矢印で識別されてきる。一方、細胞は白抜き矢印で識別されている。図73は、96ウェルプレート(n = 3の実験;プレートあたり27-36個のクローン)またはマイクロ流体アレイ(n = 3の実験;実験あたり追跡された50個のクローン)における単一の細胞のような、振盪フラスコ中で培養されたCHO細胞の成長曲線(エラーバー、s.d.)を示している(2.5´105細胞ml-1で播種された3倍のn =3の実験)。マイクロ流体アレイで増殖されたCHO細胞は、成長速度を示した。その成長速度は、バッチ振とうフラスコ培養物に匹敵し、96-マルチウェルプレート中で培養した単一細胞より優れた(図73)。
実施例6 - ASCの不均一な集団の存在下で単一のASCの検出感度
数学的モデリングは、時間の関数およびビーズの数の関数として、4.1 nL(160μM×160μM×160μM)の容積を有するチャンバ内のビーズの抗体捕捉の全効率を決定するために使用された。CHO細胞のこの株の平均分泌速度は、毎秒約300のタンパク質であることがバルクサンプルで測定された。この分泌速度は、毎秒100から2000個の間の抗体を分泌するように推定される一次抗体分泌細胞からの予想される分泌速度に匹敵する。従って、これらの測定値に基づいて、2時間のインキュベーションの間に、細胞からさらに離れるビーズは、約4000個の抗体を捕捉すると予想されると判定され、蛍光を介して検出される。
図74A~74Dに示される例において、目的(抗原)の標的は、ニワトリ卵白リゾチーム(HEL)である。デバイスは、二つのハイブリドーマ株(HyHel5および4B2)由来のエフェクター細胞でロードされた。HyHel5ハイブリドーマ細胞は、HELを結合するモノクローナル抗体を分泌する。そして、4B2ハイブリドーマ細胞は、HELを結合しないモノクローナル抗体を分泌する。図74Aを参照すると、上部パネルは、約700個のアッセイチャンバを有するデバイスのチャンバにロードされたHyHel5細胞を示す。HyHel5細胞は、10個のチャンバ毎に平均約1個の細胞になる密度で最初にロードされた。下のパネルは、HyHel5細胞がロードされていないチャンバを示す。ロードされたHyHel5細胞の位置が記録され、いったんデバイスにロードされた。図74Bを参照すると、4B2細胞は、チャンバあたり平均25個の細胞(HyHel5細胞の250倍の濃度に相当する)で、デバイスにロードされる2つの細胞株の平均割合でチャンバにロードされた。
デバイスのチャンバは次に洗浄され、ウサギポリクローナル抗マウスIgG抗体(読み出し粒子)で官能化されたビーズがチャンバにロードされた。チャンバは、単離され、インキュベートされた。それにより、そのチャンバ内のビーズ上で各チャンバ内の細胞によって産生された抗体の捕捉をもたらしている。図74Cを参照すると、蛍光標識HEL(10nM)は、インキュベーション工程の間に培地に含められた。そして、蛍光画像は、結合したHyHel5を有するビーズを有するチャンバを識別し、ビーズ上のHyHel5抗体の蓄積をモニターするために採取された。図74Cに見られるように、蛍光は、上部パネルでのみ検出された。それは、蛍光標識HEL抗原とインキュベートされたとき、HyHel5細胞を有する唯一のチャンバがビーズに強い蛍光シグナルを生成することを示している。図74Dを参照すると、デバイスは、その後、結合したIgG(HyHel5細胞または4B2細胞のいずれかから分泌された)とビーズを有するチャンバを識別するために、蛍光標識されたポリクローナル抗IgG抗体でインキュベートされた。全てのチャンバは、蛍光標識抗IgG抗体を露出したとき、蛍光シグナルを生成した。それは、両方の細胞株からの抗体が全てのチャンバに捕捉されたことを示している。蛍光標識されたHELとのインキュベーション後、チャンバは、標識HEL抗原の非存在下において培地でフラッシュされた。そして、図74Eに示すように、画像は、チャンバ内で結合するHyHel5-HELの解離速度をモニターするために撮られた。図74Fは、上述したようHyHEL5及び4B2ハイブリドーマ細胞の混合物を含む600個のチャンバの経時的な蛍光を示す。それらは、プロテインAビーズと10nMのリゾチームの存在下でインキュベートされた。HyHEL5細胞を含むチャンバは、ベースラインより上の蛍光によって容易に区別できた。これは、抗原特異的mAbを分泌する希少な細胞を検出するために、このシステムの能力を実証している。
異なる実施例では、ニワトリ卵白リゾチーム(HEL)に対する抗体を分泌するHyHEL5ハイブリドーマ細胞の集団は、限界希釈法でマイクロ流体デバイスにロードされた。デバイスは、チャンバのそれぞれにおけるHyHEL5細胞の存在を決定するために画像化された。HELを結合しない抗体を分泌するDMS-1ハイブリドーマ細胞は、同じアレイでチャンバ当たり約5個の細胞の平均濃度で続けてロードされた。細胞は、読み出し抗体捕捉ビーズ(ウサギ抗マウス抗体で被覆されたプロテインAビーズ)の存在下でインキュベートされた。そして、リゾチームに特異的な抗体の分泌は、Alexa-488で標識されたリゾチームの1nMの溶液で洗浄することによって測定された。明視野画像は、HyHeL5細胞(上)をロードした後に得られた。明視野画像は、DMS-1細胞およびビーズ(中央)とのインキュベーション後に撮られた。対応する蛍光像(下)は、DMS-1細胞のみ(図75A)、または単一のHyHEL5細胞と複数のDMS-1細胞とからなる混合物(図75B)を含む3つの代表チャンバ用に示されている。蛍光強度の分布は、DMS-1細胞のみ(図75C)、またはHyHEL5細胞およびDMS-1細胞の両方(図75D)を含むチャンバ用に示されている。HyHEL5集団におけるニワトリ卵白リゾチームに対する抗体を分泌する細胞は、非抗原特異的抗体を分泌する複数のDMS-1の細胞の存在下でさえ検出された。
実施例7 - ビーズ系結合アッセイおよび細胞系結合アッセイを使用する単一細胞からモノクローナル抗体の選択
単一ハイブリドーマエフェクター細胞(4B2)は、マイクロ流体デバイスの個々のチャンバにロードされた。そして、分泌された抗体(抗ヒトCD45に対するIgG)の結合は、ビーズ系および細胞系の読み出し結合アッセイの両方を使用して測定された。この実験における読み出し細胞は、ヒトCD45の膜受容体を内生的に発現するK562細胞であり、エフェクター細胞と区別するために、固定前にカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で染色された。単一のエフェクター細胞は、デバイスの個々のチャンバに提供され、一晩、複数の読み出しK562細胞と共にインキュベートされた。次いで、エフェクター細胞は、さらに追加の2時間、読み出しプロテインAビーズと共にインキュベートされ、その後、検出抗体(蛍光標識抗マウスIgG)を用いて染色された。その抗体は、分泌されたIgG抗ヒトCD45抗体を結合する。個々のチャンバの蛍光を測定した。実験の概略図は、図76Aに設けられている。
図76Bは、空のチャンバと、単一のハイブリドーマ細胞を含むチャンバで自動画像解析により測定された読み出しビーズおよび読み出し細胞の平均蛍光強度を示すグラフである。図76C(左から右)は、単一のハイブリドーマ細胞(左パネル)を有する単一のチャンバを示している。この例でハイブリドーマ細胞を一晩分割した。残りのパネルは、蛍光を示し、標的固定K562細胞と一晩インキュベートし、プロテインAビーズ(適切なポリクローナル抗マウスIgG抗体で標識)で2時間のインキュベーション後、同じチャンバ内で染色する抗CD45抗体の画像を統合した。当業者は、このアッセイは、ライブ読み出し細胞および/または異なる種の読み出し細胞を用いて実行されるように改変され得ることを理解する。
実施例8 - 細胞系免疫化および細胞結合アッセイ
マウスは、ヒト卵巣癌細胞株(TOV21G)から、固定された細胞で免疫された(図77A)。抗体分泌エフェクター細胞は、FACSを用いて選別され、次いで、マイクロ流体デバイスに注入され、CFSEで染色した読み出し細胞(固定されたライブTOV21G細胞)と共にインキュベートされた。抗体結合は、二次標識抗体を用いて可視化された。図77Bは、この実験の結果を示す。左から右へ、チップ上へのロード後の形質細胞と読み出し細胞(ライブおよび固定)を示す。読み出し細胞は、同定用のCFSEで染色された。ライブおよび固定された細胞の細胞表面に結合する抗体は、二次標識抗体(抗マウスIgG)を用いて可視化された。右端は、読み出し細胞で非常に低い信号を有するネガティブチャンバ(無エフェクター細胞)を示す。
実施例9 - 細胞生存率および分泌のメンテナンス
条件は、5-8日間、ASCエフェクター細胞の細胞生存率および分泌を維持するために最適化された。図78は、8日成長させたマウスASCs(図78A)、およびIL-6を10ng / mLを有する完全なRPMIにおいて5日間成長させたヒトASCs(図78B)からのELISPOTによる細胞の生存および抗体分泌を示す。
この免疫手順について、マウスは、2週間間隔で3回、ニワトリ卵白リゾチームと、アルヒドロゲルアジュバント(Alhydrogel adjuvant)(Accurate Chemical & Scientific Corporation社)とで皮下注射された。人間は、採血前に1週間インフルエンザワクチンで免疫された。免疫手順は、ブリティッシュコロンビア大学によって承認されたプロトコルに従って行われた。マウス脾臓細胞は、単離され、PE抗マウスCD138(BD Pharmingen社)で染色され、CD138 +細胞集団(さらなる説明については、実施例10を参照)のためにFACSにより選別された。ヒト末梢血単核細胞(PBMCs)は、単離され、Wrammert et al. (2008), Nature Letters 453, pp. 667-671(その開示は全ての目的のためにその全体が参考として援用される)に記載のようにマーカーで染色された。
酵素結合イムノスポット(ELISPOT)アッセイは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜‐96ウェル列マイクロプレート(Millipore社製)で行われた。PVDF膜は、70%エタノールで事前に湿らせ、PBSで洗浄された。プレートは、ヤギ抗マウスIgG(H+L)(Jackson Immunoresearch社)またはウサギ抗ヒトIgG(H+L)(ジャクソンイムノ抗体(1:1000/100μL/ウェル)で一晩被覆され、PBSで3~4回洗浄された。次いで、細胞が添加され、37°C、20時間インキュベートされた。細胞は、0.1%のTween(PBS-Tween)を含有するPBSで、3~4回洗浄することによって除去された。そして、プレートは、アルカリホスファターゼヤギ抗マウスIgG(H+L)(Jackson Immunoresearch社)(1:1000/100μL/ウェル)でインキュベートされた。PBS-Tweenで3~4回洗浄した後、プレートは、BCIP/NBT発色剤(Sigma-Aldrich社B6404-100μL)でインキュベートされた。スポットは、正立顕微鏡とCCDカメラとによりカウントされた。
実施例10 - 形質細胞を濃縮する方法
抗体分泌細胞は、公知のマーカー(特に、マウスではCD138形質細胞マーカー)を有する種で濃縮された(図79)。まず、マウスは、承認された動物の治療プロトコルに従って、5×106卵巣癌細胞(TOV-21G)を1週間間隔で3回腹腔内に免疫した。マウス脾臓細胞は、PE抗マウスCD138(BD Pharmingen社)で染色され、陰性対照としてのCD138-およびCD138+用のFACSによって選別された(図79A)。ソートまたはソートされていない細胞集団からの抗体分泌を検出するために、実施例9に記載したようにELISPOTを行った(図79B)。ソートされていない脾細胞と比較されたCD138+集団由来のASCsにおいて20倍の増加が観察された(図79C)。ここで実行されていないが、濃縮はまた、市販の磁気系濃縮キット(例えば、StemCell Technologies社、Miltenyi社)単独を、またはFACSソーティングとの組み合わせを使用して行うことができる。
抗体分泌細胞は、ウサギのER-Tracker(商標)(Life Technologies社)を使用して、形質細胞用に確立されたマーカーを欠いている種から濃縮された(図80)。ウサギは、1週間間隔で、インフルエンザワクチンの皮内で4回免疫化された。それに続いて、承認された動物の治療プロトコルに従って、採血の1週間前に追加免疫がなされた。ウサギPBMCsは、ER-トラッカー(Life Technologies社)およびマウス抗ウサギIgG(Jackson Immunoresearch社)で染色され、ERhighIgGlow集団用のFACSによって分類された(図80A)。 ERhighIgGlow集団と、ソートされていないPBMCsコントロールから抗体分泌を検出するために、実施例9に記載したようにELISPOTを行った(図80B)。ソートされていないPBMCsに比べてERhighIgGlow集団から抗体分泌の6倍の増加を観察した(図80C)。
実施例11 - インフルエンザヒトシステムを用いる濃縮
末梢血単核細胞(PBMC)を、インフルエンザ三価ワクチンによる免疫化後のヒト患者7日の血液から単離した。細胞は、市販のビーズ分離キット(Stem Cell Technologies社)を使用してCD138の発現に基づいて濃縮された。また、合計約44,000個の細胞のためにチャンバあたり11個の細胞(すなわち、不均一な細胞集団は平均11個の細胞を含む)の平均密度でマイクロ流体デバイスにロードされた。細胞を、2時間、プロテインAビーズと共にインキュベートし、そして異なる色でH1N1およびH3N2を蛍光標識した。 171 H1N1陽性チャンバと199 H3N2陽性チャンバの合計(例えば、図81A)は、それぞれ0.39%と0.45%の抗原特異的頻度を表している。これらのチャンバ24の内容物を回収し、マルチウェルプレート(図81B)で一晩培養した後、次の日に第2マイクロ流体デバイスに導入した。濃縮した後、H1N1陽性H3N2陽性チャンバ(図81C)の頻度は、それぞれ7%と6%だった。これは、13~18倍の濃縮(図81D)が得られたことを意味している。
実施例12 - 抗体分泌の指標としてのビーズ凝集
マイクロ流体デバイスのチャンバは、ヒト抗体分泌細胞と非抗体分泌細胞の混合物でロードされた。細胞は、タンパク質Aビーズの存在下で2時間インキュベートされ、その後、二次標識抗体を用いて染色された。抗体分泌細胞を含有するチャンバのビーズは、凝集体を形成した(図82)。一方、残りのビーズは、分泌された抗体の非存在下で分散した(図83)。
実施例13 - HEL特異的ハイブリドーマ用の親和性測定
鶏卵リゾチーム(HEL)に対する高い親和性を有する抗体を産生するハイブリドーマエフェクター細胞(HyHEL5)の集団は、限界希釈法で、マイクロ流体デバイスに最初に導入された。画像セットは、HyHEL 5細胞を含有するチャンバを識別するために撮られた。その後、HELに対して低い親和性を有する抗体を分泌するハイブリドーマ細胞(D1.3)の第2の集団は、同一のデバイス内にロードされた。第2の画像セットを撮り、1つのHyHEL5細胞または1つのD1.3細胞のいずれかを含有するチャンバを同定した。ウサギ抗マウス抗体でコーティングされたプロテインAビーズをチャンバ内に導入し、2時間、細胞と共にインキュベートした。インキュベーション期間の終わりに、標識抗原を段階的に100 fM~10nMの間で濃度を増加させることで、デバイスに導入した。図84Aは、この実験の図を示し、異なる濃度のチャンバの顕微鏡写真は、図84Bに示される。ビーズの蛍光強度は、すべての工程で測定され、すべてのチャンバのバックグラウンドに正規化された。HyHEL5を含むチャンバは、親和性測定に基づいて、D1.3細胞を含むチャンバから区別された(図84C)。単一細胞HyHEL5とD1.3を含む代表チャンバからの曲線例と、これらの同じチャンバからの画像とは、それぞれ、図84Dおよび図84Bに示されている。HyHel5とD1.3抗体に対する親和性は、それぞれ、30 pMおよび1.5 nMである(Singhal et al. (2010), Anal Chem 82, pp. 8671-8679、すべての目的のために参照により本明細書組み込まれる)。
実施例14 - チャンバ分離のあるまたはチャンバ分離のない抗原特異的細胞の同定
ヒト形質細胞は、三価インフルエンザワクチンによる免疫化後、一週間、ヒト患者の血液から得られたPBMCから濃縮された。細胞は、2つの異なるマイクロ流体デバイスに導入され、2時間、プロテインAビーズ(読み出しビーズ)の存在下でインキュベートされた。一つのデバイス(図85)においては、不均一な細胞集団と、読み出しビーズとを含む個々のチャンバは、インキュベーション中、バルブで互いに単離された。第2の装置(図86)では、バルブを開いたままにした。標識された抗原(H1N1およびH3N2)は、15分間のインキュベーション期間の終了時にデバイス内に導入され、その後チャンバを培地で洗浄した。図85と図86は、白矢印で識別されるH3N2陽性ヒットとともに、各アレイの部分から複数のチャンバを示す。メインバルブ分離の非存在下(図86)では、チャンバを囲むバックグラウンドは、閉じられたメインバルブ(図85)よりも高かった。しかし、抗体-キャリーオーバーは、ネガティブチャンバとポジティブチャンバとの間に明確な区別を防ぐことはできなかった。フローチャネルの方向は、黒矢印で示されている。
実施例15 - 親和性測定に基づく新規なマウス抗体分泌細胞の選択
形質細胞はニワトリ卵白リゾチームで免疫されたマウスの骨髄から単離された。約23,800個の細胞は、マイクロ流体デバイス内の6144個のチャンバを含む3つのサブアレイにわたって分布された(平均密度:~4細胞/チャンバ)。細胞は、標識されたニワトリ卵白リゾチームの10 nMので洗浄され、画像化されたウサギ抗マウス捕捉抗体で2時間被覆されたプロテインAビーズと共にインキュベートされた。117個の抗原特異的なチャンバは、同定された。その内容物は、マイクロキャピラリーで回収され、2048個のチャンバを含む第4のサブアレイに限界希釈法で再注入された。再注入細胞を2時間、ウサギ抗マウス捕捉抗体で被覆されたプロテインAビーズと共にインキュベートした。次いで、標識抗原の増大した濃度に曝露した。画像は、各工程で撮られ、ビーズ蛍光強度を測定した。図87は、異なる親和性を有する抗体を分泌する2つの単一細胞(標識MM20とMm25)からの結合曲線の一例を示している。次のようにこれらの細胞を回収した。
合計882個の細胞を含む117個のチャンバは、少なくとも1つの抗体分泌細胞を含有するものとして同定された。117個すべてのチャンバの内容物は、マイクロキャピラリーで回収され、図58に示される回収ロボットを使用して元のデバイスの残りの2048個の空のチャンバに直ちに再注入され、プールされた。図98は、細胞を再注入する直前の注入ポート近傍でのマイクロキャピラリーの写真を示す。回収プロセスは、合計で、チャンバあたり1時間35分または49秒かかった。再注入後、合計682個の細胞は、回収された初期の集団(882個の細胞)の77%を占め、分析チャンバに存在した。
再注入された細胞は、直ちに、1または複数の抗体分泌細胞の存在のために再度アッセイされた。38個のチャンバは、少なくとも1つの抗体分泌細胞(38/117=32%)を含有するとして同定された。これらのうち、38個のチャンバは、19個の単一の細胞(117の16%)を含有した。10個のコントロールチャンバ(5個の無細胞と5個の非分泌コントロール)と一緒に全38個のチャンバの内容物は、RT-PCRのために回収された。回収プロセスは、合計で、チャンバ当たり2時間15分または170秒かかった。48個のサンプルのうちの43個(90%)において、チャンバ内のすべての細胞は、キャピラリーによって回収されたことが視覚的に確認された。48個のサンプルのうちの5個では、少なくとも1つの細胞は、チャンバ底部に固着するように見られ、回収されなかった。
以下の配列を検索した。
Mm20 (IGHV1-9*01) IGHD2-4*01, IGHD2-4*01, IGHD2-9*02 IGHJ2*01 重鎖核酸配列 (SEQ ID NO: 1):
ATGGAATGGACCTGGGTCTTTCTCTTCCTCCTGTCAGTAACTGCAGGTGTCCACTCCCAGGTTCAGCTGCAGCAGTCTGGACCTGAGCTGATGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGATATCCTGCAAGGCAACTGGCTACACATTCAGAAACTACTGGATAGAGTGGATAAAGCAGAGGCCTGGACATGGCCTTGAGTGGATTGGAGAGATTTTACCTGAAAGTGGTAGTATTAATTACAATGAGAAATTCAAGGGCAAGGCCACATTCACTGCAGATACATCCTCCAACACAGCCTACTTGCAACTCCGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCCGTCTATTATTGTTTTTATGATAATTACGTTTTTGACTACTGGGGCCAaggcacCACTctcAC
Mm20 軽鎖アミノ酸配列 (SEQ ID NO: 2):
M E W T W V F L F L L S V T A G V H S Q V Q L Q Q S G P E L M K P G A S V K I S C K A T G Y T F R N Y W I E W I K Q R P G H G L E W I G E I L P E S G S I N Y N E K F K G K A T F T A D T S S N T A Y L Q L R S L T S E D S A V Y Y C F Y D N Y V F D Y W G Q G T T L
Mm20 (IGKV4-59*01) IGKJ5*01軽鎖核酸配列(SEQ ID NO: 3):
ATGGATTCTCAAGTGCAGATTTTCAGCTTCCTGCTAATCAGTGCCTCGGTCATACTATCCAGTGGACAAATTGTTCTCATCCAGTCTCCAACAATCATGTCTGCATCTCCAGGGGAGAAGGTCACCATGACCTGCAGTGCCAACTCAAGTTTCAGTTACATGCACTGGTACCAGCAGAAGTCAGGCACCTCCCCCAAAAGATGGATTTATGACACATCCAAACTGGCTTCTGGAGTCCCTGCTCGCTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACCTCTTACTCTCTCACAATTAGCAGCATGGAGGCTGAAGATGCTGCCACTTATTACTGTCAGCAGTGGAGTAGAAACCCCACGTTCGGTGCtggacCaAGCtGa
Mm20 軽鎖アミノ酸配列 (SEQ ID NO: 4):
M D S Q V Q I F S F L L I S A S V I L S S G Q I V L I Q S P T I M S A S P G E K V T M T C S A N S S F S Y M H W Y Q Q K S G T S P K R W I Y D T S K L A S G V P A R F S G S G S G T S Y S L T I S S M E A E D A A T Y Y C Q Q W S R N P T F G A G T K L
>Mm25 (IGHV2-9-1*01) IGHD2-3*01 IGHJ3*01重鎖核酸配列 (SEQ ID NO: 5):
ATGCAAGCAGTGGTATCAACGCAGAGTACGGGGAAGGAGTCAGGACCTGGCTTGGTGGCGCCCTCACAGAGCATGTCCATCATGTGCACTGTCTCTGGGTTTTCATTAAGCAACTATGGTGTACACTGGGTTCGCCAGCCTCCAGGAAAGGGTCTGGAGTGGCTGGGAGTAATTTGGGCTGGTGGAAACACAAATTATAATTCGGCTCTCATGTCCAGACTGAGCATCAGCAAAGACAAGTCCAAGAGTCAAGTTTTCTTAAAAATGAACCGTCTGGAAACTGATGACACAGCCATGTACTATCTGTGCCAGTGTAGGATGGTTACCCCTTGCTTACTGGGCCAAGG
Mm25 重鎖アミノ酸配列(SEQ ID NO: 6):
M Q A V V S T Q S T G K E S G P G L V A P S Q S M S I M C T V S G F S L S N Y G V H W V R Q P P G K G L E W L G V I W A G G N T N Y N S A L M S R L S I S K D K S K S Q V F L K M N R L E T D D T A M Y Y L C Q C R M V T P C L L G Q
>Mm25 (IGKV6-17*01) IGKJ4*01 軽鎖核酸配列 (SEQ ID NO: 7):
ATGGAGTCACAGATTCAGGTCTTTGTATTCGTGTTTCTCTGGTTGTCTGGTGTTGACGGAGACATTGTGATGACCCAGTCTCACAAATTCATGTCCACATCAGTAGGAGACAGGGTCAGCATCACCTGCAAGGCCAGTCAGGATGTGAGTATTTCTGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGACAATCTCCTAAACTACTGATTTACTCGGCATCCTACCGGTACACTGGAGTCCCTGATCGCTTCACTGGCAGTGGATCTGGGACGGATTTCACTTTCACCATCCGCAGTGTGCAGGCTGAAGACCTGGCAGTTTATTACTGTCAGCAACATTATAGTACTCCttTCACGTCGGCTcggGaCAAagTG
Mm25軽鎖アミノ酸配列 (SEQ ID NO: 8):
M E S Q I Q V F V F V F L W L S G V D G D I V M T Q S H K F M S T S V G D R V S I T C K A S Q D V S I S V A W Y Q Q K P G Q S P K L L I Y S A S Y R Y T G V P D R F T G S G S G T D F T F T I R S V Q A E D L A V Y Y C Q Q H Y S T P F T S A R D K V
実施例16 - HyHEL5ハイブリドーマ細胞のためのK
off
値
HyHEL5ハイブリドーマ(低Koff)の混合物およびD1.3ハイブリドーマ(高Koff)細胞のバックグラウンドは、本発明の実施形態に係るマイクロ流体デバイスでスクリーニングされた。HyHEL5ハイブリドーマが存在しているチャンバは、各チャンバの洗浄工程に続く抗原放出(Koff測定用)の前、Ab分泌(すなわち、ビーズ上の蛍光蓄積)に関連した蛍光強度で検出された。図88は、HyHEL5陽性ウェル中のビーズの残りの蛍光レベルの棒グラフが、洗浄の最後で、ウェルの残りの部分よりも高いことを示している。
実施例17 - ヒト抗特異的抗原における希少循環抗体-分泌細胞の検出
一実施形態において、本発明は、基礎レベル(すなわち、抗原との感染または最近の免疫なしに)で起こるインスタンス抗原特異的形質B細胞のために、非常に稀な細胞をスクリーニングするために使用される。図89Aは、健康な患者から濃縮B細胞および赤血球を含む不均一な細胞集団を示す。集団は、読み出しビーズ粒子上で染色する全IgGによって測定されるような少なくとも1つの抗体分泌細胞を含有した(図89Bおよび89C)。加えて、この集団は、抗体を捕捉した読み出しビーズに標識されたH1N1抗原の結合により測定されたようなH1N1に特異的な少なくとも一つのエフェクター細胞分泌抗体を含んだ(図89Dおよび89E)。全画面は、48,000個の細胞の全集団のための1600個のチャンバアレイにおいて、チャンバ当たり~30個の細胞を用いて行われた。これは、0.000625%の頻度で存在する一つのエフェクター細胞の検出を可能にした。チャンバの細胞を回収し(図89F)、そのエフェクター細胞から重鎖および軽鎖を増幅した。
このアッセイはまた、例えば、自然感染後または抗原との約1週間後の免疫の後、より豊富な細胞を発見するために実施されることができる。
実施例18 - 細胞外および細胞内の生体分子の同時分析
細胞外および細胞内成分の分析は、細胞シグナル伝達読み出しアッセイの前後関係で評価された。β-ガラクトシダーゼフラグメント相補性(DiscovcerX社)でGPCR CXCR4を過剰発現するように操作されたCHO細胞は、受容体へのリガンドCCL22の結合を定量するために使用された。リガンドによる受容体の活性化は、細胞内のβ-ガラクトシデータ相補性を引き起こした。その相補性は、化学発光シグナルを生じるβ-ガラクトシデータ基質の存在下、細胞を溶解することによって測定された。マルチウェルプレートにおいて行われるこのアッセイの例は、図90に示される。アッセイは、メーカー(DiscovcerX社)によって提供されるプロトコルに従って行われた。アゴニスト/リガンドCCL22のための3つの異なる濃度(100nM、1nM、0.01nM)は、溶解/化学発光試薬を添加する前に、細胞とインキュベートされた。光強度の化学発光シグナルは、特定の条件に対応する各ウェルからTecan M200プレートリーダーを用いて取得された。
このアッセイは、細胞結合アッセイと組み合わせて使用されることができる(例えば、図77に示した実験)。そして、細胞表面受容体に特異的なアンタゴニスト抗体を発見する。マイクロ流体チャンバにおけるこの溶解アッセイの実施は、生きた、生存能力のあるエフェクター細胞を回収することが望まれる場合、読み出し細胞からエフェクター細胞の分離を必要とする。このようなアッセイは、実施例1および2に示すもののように、デバイスに実装されることができる。
実施例19 -ヒト細胞からの抗体スクリーニングおよびシーケンスの回収
血液は、季節性インフルエンザワクチンを受けていた患者(図91)から免疫化後7日で回収された。PBMCは、市販のキット(SepMate、StemCell Technologies社)を用いて単離された。形質細胞は、Wrammert et al. (2008), Nature Letters, 453:667-671(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたマーカーに基づくFACSを用いて濃縮された。次いで、細胞は、限界希釈法でマイクロ流体デバイスにロードされ、プロテインAマイクロスフェア(直径4.9μm、Bang Laboratories社)で2時間インキュベートされた。H1N1およびH3N2標識抗原(2つの異なる色:それぞれ488 nmおよび594 nmの発光)は、アレイに導入され、形質細胞と15分間インキュベートされた。マイクロ流体チャンバの内容物は、イメージングの前に培地で洗浄された。抗原特異的抗体を含むチャンバを検出した後、標識された抗ヒト抗体(Dylight 594)は、デバイス内に導入され、15分間インキュベートされ、その後、IgG分泌細胞の全体的な頻度を決定するために洗浄された。H1N1およびH3N2の両方のための単一の形質細胞交差反応性の例は、図92に示された。抗原特異的細胞は、直ちに回収されるか、または、次の日の回収のためにマイクロ流体デバイス中で一晩培養された。細胞は、生存可能で生き残り、いくつかの場合で、分割を受けた(例えば、図93)。
図94を参照して、H1N1および/またはH3N2(インフルエンザ特異)、およびIgG(すなわち、抗原特異的ではない)用の8つのポジティブチャンバからの細胞は、回収され、溶解された。溶解した細胞からのRNAを逆転写にかけた。それに続き、抗体の重鎖および軽鎖(Kappa/lambda)特異的PCRを行った。8つのうちの4つのサンプルは、~400bpの予想される生成物のサイズ(すなわち、サンプル3(H1N1ポジティブ)、4(H1N1/ H3N2ポジティブ)、5(H1N1/ H3N2ポジティブ)および6(IgGポジティブ、抗原特異的ではない))を有する重鎖および軽鎖(100%ペアで50%の効率)の両方にポジティブPCR増幅を提供した。核酸ラダーは、100塩基対増殖を示す。これらの精製されたPCRからサンガーの配列決定は、配列が重く、κおよびλヒト免疫グロブリンに特異的であったことを確認した。
図95を参照すると、単一細胞から増幅された2つのヒトmAb(HS-7およびHS-15)の配列は、季節性インフルエンザワクチンで免疫された患者から得られた。細胞は、血球凝集素サブタイプH1N1およびH3N2に対する交差反応性を有するmAbを分泌するそれらの能力に基づいて、マイクロ流体アッセイ中で選択された。抗体のシークエンシングは、本明細書に記載されたようなシークエンシングおよびRT-PCRによって取得された(図95A)。両mAbは、共有遺伝子使用、CDRの長さおよび接合配列によって明らかなように、同じクローン型に属する。突然変異は、明るい灰色に示される(図95B)。抗体配列は、その結合特性を検証するためにHEK293細胞で発現され、クローン化された。プロテインAビーズは、3時間、細胞上清と共にインキュベートされ、洗浄され、異なる濃度で標識されたH1N1またはH3N2のいずれかでインキュベートされ、その後、ビーズの蛍光強度を測定するために画像化された。期待されたように交差反応された両方のmAbは、単一細胞測定と一致したが、H1N1およびH3N2に対して異なる親和性を持っていた(図95C)。
Hs7 (IGHV4-39*01) IGHD3-3*02 IGHJ3*02 重鎖核酸配列 (SEQ ID NO: 9):
ATGAAGCACCTGTGGTTCTTCCTCCTGCTGGTGGCGGCTCCCAGATGGGTCCTGTCTCAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGTCTTCGGAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGTGACTCCATCACCAGCAGTACTTACGACTGGGGCTGGATCCGTCAGCCCCCCGGGAAGGGCCTGGAGTGGATTGGCAATGTCTATTATAGAGGGAGCACCTACTACAACCCGTCCCTCAAGAGTCGAGTCACCATATCCGTAGACAGGTCCAGGACCCAGATCTCCCTGAGGCTGAGCTCTGTGACCGCCGCTGACACGGCTCTGTATTTCTGTGCGAGACACCCGAAACGTCTAACGGTTTTTGAAGTGGTCAACGCTTTTGATATCTGGGGCCAAGGGACAATGGTCACCGTCTTTTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCTGCTGACGAGGCACTGAGGACTG
Hs7 重鎖アミノ酸配列 (SEQ ID NO: 10):
M K H L W F F L L L V A A P R W V L S Q V Q L Q E S G P G L V K S S E T L S L T C T V S G D S I T S S T Y D W G W I R Q P P G K G L E W I G N V Y Y R G S T Y Y N P S L K S R V T I S V D R S R T Q I S L R L S S V T A A D T A L Y F C A R H P K R L T V F E V V N A F D I W G Q G Q T M V T V F S A S T K G P S V F P L A P S S K S T S G G T A
Hs7 (IGLV2-14*01) IGLJ3*02 軽鎖核酸配列 (SEQ ID NO: 11):
ATGGCCTGGGCTCTGCTACTCCTCACCCTCCTCACTCAGGGCACAGGGTCCTGGGCCCAGTCTGCCCTGACTCAGCCTGCCTCCGTGTCTGCATCTCCTGGACAGTCGATCACCATCTCCTGCACTGGAATCAGCAGTGACATTGGTGGTTATAGCTCTGTCTCCTGGTACCAAGCGCACCCAGGCAAAGCCCCCAAACTCATGATCTATGATGTCAATAATCGGCCCTCAGGCATTTCTAATCGCTTCTCTGGTTCCAAGTCTGGCAACACGGCCTCCCTGGCCATCTCTGGGCTCCAGgctgaGGACGAGGCAGATTATTACTGCAGCTTATATACAAGTATCAACGCTTCCATAGTGTTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTAGGTCAGCCCAAGGCTGCCCCCTCGGTCACTCTGTTCCCGCCCTCCTCTGAGGAGCTTCAAGCCAACAAGGCCACA
Hs7 軽鎖アミノ酸配列 (SEQ ID NO: 12):
M A W A L L L L T L L T Q G T G S W A Q S A L T Q P A S V S A S P G Q S I T I S C T G I S S D I G G Y S S V S W Y Q A H P G K A P K L M I Y D V N N R P S G I S N R F S G S K S G N T A S L A I S G L Q A E D E A D Y Y C S L Y T S I N A S I V F G G G T K L T V L G Q P K A A P S V T L F P P S S
Hs15 (IGHV4-39*01) IGHD3-3*01 IGHJ3*02 重鎖核酸配列 (SEQ ID NO: 13):
ATGAAGCACCTGTGGTTCTTCCTTCTGCTGGTGGCGGCTCCCAGATGGGTCCTGTCCCAGCTGCAACTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGTGACTCCATCAGCAGTAGTACTTACTACTGGGGCTGGATCCGCCAGCCCCCAGGAAAGGGGCTGGAGTGGATTGCCTTTATCTTTTATAGCGGGAGCACCTTCTACAACCCGTCCCTCAAGAGTCGAGTCACCGTCTCCGTAGACAGGTCCACGAACCAGTTCTCCCTGAGGCTGAAGTCTGTGACCGCCGCAGACACGTCCAGATATTACTGTGCGAGACACCCAAAACGTATCTCGATTTTTGAAGTGGTCAACGCTTTTGATATCtGGGGCCAGGGGACAATGGTCACCGTCTCTTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCTGCTGACGAGGCACTGAGGACTG
Hs15 重鎖アミノ酸配列 (SEQ ID NO: 14):
M K H L W F F L L L V A A P R W V L S Q L Q L Q E S G P G L V K P S E T L S L T C T V S G D S I S S S T Y Y W G W I R Q P P G K G L E W I A F I F Y S G S T F Y N P S L K S R V T V S V D R S T N Q F S L R L K S V T A A D T S R Y Y C A R H P K R I S I F E V V N A F D I W G Q G T M V T V S S A S T K G P S V F P L A P S S K S T S G G T A
>Hs15 (IGLV2-14*01) IGLJ2*01 IGLJ3*01軽鎖核酸配列 (SEQ ID NO: 15):
ATGGCCTGGACTCTGCTATTCCTCACCCTCCTCACTCAGGGCACAGGGTCCTGGGCCCAGTCTGCCCTGACTCAGCCTGCCTCCGTGTCTGGGTCTCCTGGACAGTCGATCACCATCACCTGCACTGGAATCAGCAGTGACGTTGGTGCTTATAATTCTGTCTCCTGGTACCAGCAGTACCCAGGCAAATCCCCCAAGCTCATGATTTATGATGTCAGTAATCGGTCCTCAGGGGTTTCTAATCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGACAACACGGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGCTGAGGACGAGGCTTCTTATTTCTGCAGCTTATATAGAAGCAGCACCACTTCCGTGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTACGTCAGCCCAAGGCTGCCCCCTCGGTCACTCTGTTCCCGCCCTCCTCTGAGGAGCTTCAAGCCAACAAGGCCACA
Hs15 軽鎖核酸配列 (SEQ ID NO: 16):
M A W T L L F L T L L T Q G T G S W A Q S A L T Q P A S V S G S P G Q S I T I T C T G I S S D V G A Y N S V S W Y Q Q Y P G K S P K L M I Y D V S N R S S G V S N R F S G S K S D N T A S L T I S G L Q A E D E A S Y F C S L Y R S S T T S V V F G G G T K L T V L R Q P K A A P S V T L F P P S S
実施例20 - ウサギの不均一な細胞集団からの抗体スクリーニングおよびシーケンス回収
ウサギは、季節性インフルエンザワクチンで免疫された。末梢血単核細胞(PBMC)は、回収され、血漿細胞を濃縮するためにフローサイトメトリーで選別され、または直接スクリーニングされた。細胞は、マイクロ流体デバイス内に注入され、H1N1およびH3N2特異性についてアッセイされた。蛍光系検出用に使用されるプロテインA被覆ビーズも視認可能だった。次いで、細胞を2時間ビーズと共にインキュベートし、その後、蛍光標識された抗原を15分間導入し、未結合の抗原を培地で洗い流した。図96Aおよび96Bは、それぞれ、H1N1ポジティブチャンバと、H3N2ポジティブチャンバの例を示す。
図97Aは、抗原特異的シグナルのためにスクリーニングされた4つのマイクロ流体チャンバ内のいくつかのウサギ細胞の明視野像を示す。図97Bは、ウサギ抗体産生細胞からスクリーニングするH1N1抗原特異的抗体を示す。信号は、非常に低く、したがって、H1N1特異的な抗体を発現するように見えた細胞はなかった。図97Cは、ウサギ抗体産生細胞から結合するH3N2抗原特異的抗体を示す。信号は、一つのチャンバから別のチャンバへ変動可能であるが、すべてのチャンバはH3N2結合について陽性であった。自動化されたロボットとマイクロキャピラリーを使用するマイクロ流体チャンバからの細胞回収後、重鎖および軽鎖抗体特異的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物は、2%Egel(Invitrogen社製)で実行された。バンド(~400/500 bp)は、試験された4つの試料において、4つの重鎖のうちの3つと、4つの軽鎖のうちの4つに対して見えた(図97D)。サンガーの配列決定は、2つの重鎖配列がウサギ重鎖であることを明らかにした(www.imgt.org)。1つは、このチャンバ内で2つ以上の細胞が抗体分泌細胞であったということを示唆する複数のピークを含んでいる。4つのうちの2つの軽鎖は、ウサギの軽鎖であることが確認された。一方、他の2つの軽鎖は、複数のピークを含有した。チャンバ1と3から対になった重鎖および軽鎖は、不均一な細胞集団から、単一のエフェクター細胞の配列を決定することが可能であることを示した。単一のピークを有する可変領域用に回収された配列は次のようであった。
重 1 (SEQ ID NO: 17):
GCTAGCCACCATGGAGACTGGGCTGCGCTGGCTTCTCCTGGTCGCTGTGCTCAAAGGTGTCCAGTGTCAGTCGGTGGAGGAGTCCGGGGGTCGCCTGGTCACGCCTGGGACACCCCTGACACTCACCTGCATAGTCTCTGGAATCGACCTCAGTAGCTATGCAATGGGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGAAAGGGGCTGGAATACATCGGAATCATTAGTAGCAGTGGTATCACATACTACGCGAGCTGGGCGAAAGGCCGATTCACCATCTCCAAAACCTCGTCGACCACGGTGACTCTGACAATCACCGATCTGCAACCTTCAGACACGGGCACCTATTTCTGTGCCAGAGGGTCTCGTTATAGTGCTTTTGGTGCTTTTGATACCTGGGGCCCAGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCAAGCTTNAN
重3 (SEQ ID NO: 18):
TTTGGCTAGCCACCATGGAGACTGGGCTGCGCTGGCTTCTCCTGGTCGCTGTGCTCAAAGGTGTCCAGTGTCAGTCGGTGGAGGAGTCCGGGGGTCGCCTGGTCACGCCTGGGACACCCCTGACACTCACCTGCACAGTCTCTGGATTCTCCCTCAGTAGCTATGCAATGGGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAATGGATCGGAGTCATTAATAATAATGGTGACACATACTACGCGAGCTGGCCGAAAGGCCGATTCACCATCTCCAAAACCTCGACCACGGTGGATCTGAAAATCACCAGTCCGACAACCGAGGACACGGCCACCTATTTCTGTGCCAGAGATCGTGGTAATAGTTATTACTTTGGATTGGACTACTTTAACTTGTGGGGCCCAGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCAAGCTTTATAN
軽 1 (SEQ ID NO: 19):
CTCTGCTGCTCTGGCTCCCAGGTGCCAGATGTGCCTTCGAATTGACCCAGACTCCATCCTCCGTGGAGGCAGCTGTGGGAGGCACAGTCACCATCAAGTGCCAGGCCAGTCAGAGTATTAATAGTTGGTTATCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGCAGCCTCCCAAGCTCCTGATCTACAAGGCATCCAATCTGGCATCTGGGGTCCCATCGCGGTTCAGAGGCAGTGGATCTGGGACAGAGTTCACTCTCACCATCAGCGACCTGGAGTGTGNCGATGCTGCCACTTACTACTGTCAAAGCNATTATGCTACTAGTAGTGTTGATTATNATGCTTTCGGCGGAAGGACCGAGGTGGTGGTCAANACTGCGGCNGTANTANTNNN
軽 3 (SEQ ID NO: 20):
TGCAGCTAGCCACCATGGACACGAGGGCCCCCATCAGCTGCTGGGGCTCCTGCTGCTCTGGCTCCCAGGTGCCAGGTGTGCCCTTGTGATGACCCAGACTCCAGCCTCTGTGGAGGTAGCTGTGGGAGGCACAGTCACCATCAAGTGCCAGGCCAGTCAGAGCATTGATAGTTGGTTATCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGCAGCGTCCCAGGCTCCTGATCTATTATGCATCCAATCTGGCATCTGGGGTCTCATCGCGGTTCAAAGGCAGTGGATCTGGGACAGAATACACTCTCACCATCAGCGGCGTGGAGTGTGCCGATGCTGCCACTTACTACTGTCAAGAGGGTTATAGTAGTGGTAATGTTGATAATGTTTTCGGCGGAGGGACCGAGGTGGTGGTCAAAACTGCGNCCGCTATAN
実施例21 -ヒト配列からの抗体の発現と検証
ヒト抗MCP1抗体の発現は、リポソーム系トランスフェクションを用いるHEK293細胞で行われた。発現された抗体は、プロテインA被覆ビーズ上で増殖培地から沈殿され、蛍光標識MCP-1抗原を用いて試験された。組換え抗体の親和性は、商業的に入手可能な安定したCHO細胞株(ATCC(登録商標)PTA-5308(商標))によって生成された同じアミノ酸配列の抗体と比較された(図99)。
クローンHu-11K2-3f2-H2。重鎖および軽鎖可変配列を合成し、それぞれpFUSEss-CHIg-hG1およびpFUSE2-CLIg-hk発現ベクターでクローニングした。
aMCP1-重 (SEQ ID NO: 21):
GAATTCCATGCAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGCGCCGAAGTGAAGAAACCCGGCAGCAGCGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCCAGCGGCCTGACCATCAGCGACACCTACATGCACTGGGTGCGCCAGGCTCCAGGCCAGGGACTGGAATGGATGGGCAGAATCGACCCCGCCAACGGCAACACCAAGTTCGACCCCAAGTTCCAGGGCAGAGTGACCATCACCGCCGACACCAGCACCTCCACCGCCTACATGGAACTGAGCAGCCTGCGGAGCGAGGACACCGCCGTGTACTATTGTGCCAGAGGCGTGTTCGGCTTCTTCGACTACTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACCGTGTCATCTGCTAGC
aMCP1-軽 (SEQ ID NO: 22):
ACCGGTGCCACCATGTACCGGATGCAGCTGCTGAGCTGTATCGCCCTGTCTCTGGCCCTCGTGACGAATTCAGCCATGGACATCCAGATGACCCAGAGCCCCAGCAGCCTGTCTGCCAGCGTGGGCGACAGAGTGACCATCACATGCAAGGCCACCGAGGACATCTACAACCGGCTGGCCTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGCTGATTAGCGGAGCCACCAGCCTGGAAACCGGCGTGCCAAGCAGATTTTCCGGCAGCGGCTCCGGCAAGGACTACACCCTGACCATCAGCTCCCTGCAGCCCGAGGACTTCGCCACCTACTACTGCCAGCAGTTTTGGAGCGCCCCCTACACCTTTGGCGGAGGCACCAAGGTGGAAATCAAGCGTACG
実施例22 - 単一細胞からマウスシーケンス回収に続く検証用抗体のクローニングおよび発現
D1.3とHyHEL5は、マイクロ流体デバイスに限界希釈法で連続的にロードされた。画像セットは、D1.3とHyHEL5細胞の位置を記録するデバイスにおいて、各細胞型を導入した後撮られた。細胞は、ウサギ抗マウス捕捉抗体で被覆されたプロテインAビーズと、10 nMの標識ニワトリ卵白リゾチームと共に2時間インキュベートされた。単一の抗体分泌細胞は、ロボットによって制御されるマイクロキャピラリーで回収され、RT-PCR用のチューブに移され、その後、抗体配列を回収した。コントロールチャンバは、陰性対照として、各単一細胞間で回収された。図100は、コントロールにおいて信号がなく、2つの単一細胞からのゲルの重鎖及び軽鎖を示す。HyHEL5(高親和性)及びD1.3(低親和性)抗体の重鎖および軽鎖の可変領域の配列は、合成され、pFUSEss-CHIg-mG1およびpFUSE2ss-CLIg-mkの発現ベクターにクローニングされた。抗体は、ウサギ抗マウス抗体で被覆されたプロテインA被覆ビーズ上に捕捉されるHEK293細胞株で産生された。親和性は、蛍光標識リゾチームの漸増濃度を用いて試験された(図101)。
D1.3-重 (SEQ ID NO: 23):
ATGCAGGTGCAGCTGAAGGAGTCAGGACCTGGCCTGGTGGCGCCCTCACAGAGCCTGTCCATCACATGCACCGTCTCAGGGTTCTCATTAACCGGCTATGGTGTAAACTGGGTTCGCCAGCCTCCAGGAAAGGGTCTGGAGTGGCTGGGAATGATTTGGGGTGATGGAAACACAGACTATAATTCAGCTCTCAAATCCAGACTGAGCATCAGCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTAAAAATGAACAGTCTGCACACTGATGACACAGCCAGGTACTACTGTGCCAGAGAGAGAGATTATAGGCTTGACTACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCAGCTAGC
D1.3-軽 (SEQ ID NO: 24):
ATGGACATCCAGATGACTCAGTCTCCAGCCTCCCTTTCTGCGTCTGTGGGAGAAACTGTCACCATCACATGTCGAGCAAGTGGGAATATTCACAATTATTTAGCATGGTATCAGCAGAAACAGGGAAAATCTCCTCAGCTCCTGGTCTATTATACAACAACCTTAGCAGATGGTGTGCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGAACACAATATTCTCTCAAGATCAACAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGGGAGTTATTACTGTCAACATTTTTGGAGTACTCCTCGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTCGAG
HyHEL5-重 (SEQ ID NO: 25):
ATGGAGGTCCAGCTGCAGCAGTCTGGAGCTGAGCTGATGAAGCCAGGGGCCTCAGTGAAGATATCCTGCAAAGCTTCTGGCTACACATTCAGTGACTACTGGATAGAGTGGGTAAAGCAGAGGCCTGGACATGGCCTTGAGTGGATTGGAGAGATTTTACCTGGAAGTGGTAGCACTAATTACCATGAGAGATTCAAGGGCAAGGCCACATTCACTGCAGATACATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAACTCAACAGCCTGACATCTGAAGACTCTGGCGTCTATTACTGCCTCCATGGTAACTACGACTTTGACGGCTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCAGCTAGC
HyHEL5-軽 (SEQ ID NO: 26):
ATGGATATCGTTCTCACACAGTCTCCAGCAATCATGTCTGCATCTCCAGGGGAGAAGGTCACCATGACCTGCAGTGCCAGTTCAAGTGTAAATTACATGTACTGGTACCAGCAGAAGTCAGGCACTTCCCCCAAAAGATGGATTTATGACACATCCAAACTGGCTTCTGGAGTCCCTGTTCGCTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACCTCTTACTCTCTCACAATCAGCAGCATGGAGACTGAAGATGCTGCCACTTATTACTGCCAACAGTGGGGTCGTAACCCCACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTCGAG
実施例23 - マイクロ流体スクリーニングから得られた新規のマウス抗体配列の検証
脾細胞は、鶏卵リゾチームで免疫され、マイクロ流体デバイスで抗体分泌用にスクリーニングされたマウスから単離された。抗原特異的な細胞R05C14からの配列は、回収され、クローン化され、HEK293細胞で発現された。抗原結合は、ウサギ抗マウス抗体で被覆されたプロテインAビーズ上で抗体を捕捉し、10nMの標識ニワトリ卵白リゾチームをインキュベートし、蛍光強度を測定することにより、確認された(図102)。
R05C14-重可変 (SEQ ID NO: 27):
TGGAAGGTGGTGCACACTGCTGGACAGGGATCCAGAGTTCCAGGTCACTGTCACTGGCTCAGGGAAATAGCCCTTGACCAGGCATCCCAGGGTCACCATGGAGTTAGTTTGGGCAGCAGATCCAGGGGCCAGTGGATAGACAGATGGGGGTGTCGTTTTGGCTGAGGAGACTGTGAGAGTGGTGCCTTGGCCCCAGCAGTCCCCGTCCCAGTTTGCACAGTAATATGTGGCTGTGTCCTCAGGAGTCACAGAAATCAACTGCAGGTAGCACTGGTTCTTGGATGTGTCTCGAGTGATAGAGATTCGACCTTTGAGAGATGGATTGTAGTAAGTGCTACCACTGTAGCTTATGTACCCCATATACTCAAGTTTGTTCCCTGGGAATTTCCGGATCCAGCTCCAGTAATCATTGGTGATGGAGTCGCCAGTGACAGAACAGGTGAGGGACAGAGTCTGAGAAGGTTTCACGAGGCTAGGTCCAGACTCCTGCAGCTGCACCTCGAATTCCCA
R05C14-軽可変 (SEQ ID NO: 28):
TTGGTCCCCCCTCCGAACGTGTACGGCCAGTTGTTACTCTGTTGACAGAAATACATTCCAAAATCTTCAGTCTCCACACTGATGATACTGAGAGTGAAATCCGTCCCTGATCCACTGCCACTGAACCTGGAGGGGATCCCAGAGATGGACTGGGAAGCATACTTGATGAGAAGCCTTGGAGACTCATGTGATTTTTGTTGATACCAGTGTAGGTTGTTGCTAATACTTTGGCTGGCCCTGCAGGAAAGACTGACGCTATCTCCTGGAGTCACAGACAGGGTGTCTGGAGACTGAGTTAGCACAATATCACCTCTGGAGGCTGAAATCCAGAAAAGCAAAAAA
実施例24 -エフェクター細胞抗体の増幅のシーケンス回収
以下のプロトコルおよびプライマーは、マウス、ヒトまたはウサギの抗体配列を回収するために使用された。
逆転写(RT)およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のための試薬は、表7に提供される。
以下のRT-PCR熱サイクリングプロトコルに従った。
RT:72℃で3分、42°C で90分、85°Cで10分。
ホットスタート:95℃で2分、変性:95℃で15秒、伸び:72℃で15秒、アニーリング:以下の温度(72℃で3サイクル、70℃で3サイクル、68℃で3サイクル、66℃で3サイクル、64℃で3サイクル、62℃で6サイクル、60℃で20~30サイクル)で15秒。
RT-PCR実験に使用されるプライマーは、次のように表8に提供される。
図103Aは、上記したようにして作製したPCRアンプリコンの顕微鏡写真と、60°Cから40°Cの範囲のRT温度の勾配のテストとを示す。テンプレートは、ハイブリドーマ細胞(D1.3)から精製された200 pgのRNA(~10細胞等価)だった。右端のレーンは、KODポリメラーゼを使用する最適化条件を示す。HVとLVアンプリコンは、強いバンドが観察された450~550bpの範囲内と予想される。この領域はまた、いくつかの非特定産物を含む。図103Bを参照して、400~600bpのバンドは、抽出された。サンガーは、重鎖の定常領域にアニールされたプライマーを用いて配列決定した。トレースは、CCCによって連結されたcDNAとテンプレートスイッチングオリゴとの間のMMLVによって作成された接合を示した。そのCCCは、cDNA合成中、MMLVによって追加された。配列は、整列され、D1.3の重鎖の可変領域配列に一致することが確認された。
実施例25 - デバイスから回収された単一細胞のNGSシーケンシング
抗体配列を取得するための別のアプローチは、テンプレート切替えと次世代シーケンシングを兼ね備えている。図59を参照すると、単一の細胞はマイクロチューブ内に堆積され、cDNAは、重鎖および軽鎖の定常領域を標的とする多重化遺伝子特異的プライマーから生成される。MMLV酵素のテンプレート切替え活性は、得られたcDNAの3つの末端にテンプレート切替えグオリゴの逆相補体を付加するために使用される。半ネステッドPCRは、cDNAを増幅し、各単一細胞のアンプリコンに特異的である割出し配列を導入するために使用される。その半ネステッドPCRは、重鎖および軽鎖の定常領域にアニールする多重化プライマーと、コピーされたテンプレート切替えオリゴヌクレオチドに相補的なユニバーサルプライマーとを使用する。その後、アンプリコンをプールし、配列決定する。
細胞の不均一な集団から配列を回収するための別のアプローチは、マイクロ流体単一細胞抗体分析をIg-Seq(図104A)と結合させることである。免疫後、ASCを動物から収集する。画分は、マイクロ流体デバイスで分析される。一方、残りは、Ig-Seq用のバルクアンプリコンライブラリの構築のために使用される。マイクロ流体デバイスから、96インデックス付きの単一細胞(SC)のライブラリーと、96インデックス付き低多様性(LD)のライブラリーとの合計は、MiSeqのシークエンシングのためにプールされている。バルクライブラリーの分析は、免疫応答中に存在するHV及びLVクローン型を決定するために使用され、図104Bにクラスターとして示されている。SCライブラリーは、抗原特異的であることが確認された最も豊富なクローン型からのmAbのHV配列とLV配列とを組み合わせたチェーンを提供する。LDライブラリーは、抗原特定的ではないまたは抗原特異的であるHV配列とLV配列の追加の識別を提供する。LDライブラリーは、LDライブラリーの全てでHV配列とLV配列との共起性の分析によってペアリングするチェーンを推測するために使用されている。それは、図104Cに示されている。特定の配列の組み合わせのチェーンと結合状態とに関する情報により、クローン型のペアリングと、結合状態(図104Bに×(非特異的)と*(抗原特異的)として表されている)の割り当てによるバルクサンプルの解釈が可能になる。
実施例26 - 光学的にコード化されたビーズを使用する多重化ビーズアッセイ
この例では、多重化ビーズ系アッセイは、抗体分泌細胞から同一チャンバ内でいくつかの異なる抗原特異的抗体を測定することができる。蛍光強度コード化ビーズ(例えば、Starfire Red(商標)色素ビーズ、Bangs laboratories社)は、従来のスルホ-NHS(N-ヒドロキシスルホスクシンイミド)/1-エチル-3- [3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)タンパク質カップリングストラテジー(Pierce社)を使用する異なる抗原でビーズの各サブセットを標識することにより、異なる抗原特異的抗体を追跡するために使用される。Starfire Red(商標)(紫外線から赤への励起、675 nmで発光最大)および抗原特異的蛍光シグナルを測定し、定量化することができる。
蛍光コード化ビーズの3つのサブセットを含むStarfire Red(商標)色素ビーズ(5.5μmの直径)は、2012年から2013年の異なる季節性インフルエンザ特異抗原で被覆された(図105A)。ビーズ(Starfire Red(商標)の最小の強度から最大の強度)は、H1N1(A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)pdm09様菌株)と、H3N2(A/ビクトリア/361/2011(H3N2様菌株)と、B株(B/ウィスコンシン州/1/2010様菌株み)抗原(Protein Science社)とで結合された。
ビーズは、1:1:1比で混合され、マイクロ流体デバイスに注入された(図105B)。Starfire Red(商標)色素の蛍光測定は、ビーズの各特定のサブセットの位置を明らかにし、抗原特異的抗体結合のさらなるその後のトラッキングを可能にする(図105C)。培地中に溶解したウサギ抗H1N1特異的抗体(Sino Biological社)は、400 pg / mlの濃度でデバイス内に流され、45分間インキュベートされた。Dylight488(Jackson Immunoresearch社)で標識した抗ウサギIgGは、デバイスに送られ、蛍光イメージングを行った。ポジティブ信号は、1N1被覆ビーズ(矢印で示された最小の明るさのStarfire Red(商標)ビーズ)にはっきりと見える(図105D)。非特異的結合は、H3N2およびB株の特異抗原で標識されたビーズ上に検出されない(図105E)。
実施例27 - マイクロ流体アポトーシスエフェクターアッセイ
機能的細胞外効果アッセイは、抗体を産生する、TNF-αを中和する、またはその受容体をブロックするエフェクター細胞および抗体を見つけるために実行された。標的L929細胞(読み出し細胞)でTNF-αの効果を定量化するために、読み出し細胞は、DiOC18で染色され、1μg/ mLのアクチノマイシンDおよびマルチウェルプレート中の異なる濃度のTNF-αの存在下でインキュベートされた。24時間後、細胞をヨウ化プロピジウム(PI)で対比染色した。そして、細胞生存率は、顕微鏡下、DiOC18染色細胞からのPI染色細胞の割合をカウントすることにより測定された。L929細胞上のTNF-αの用量応答を図106Aに示す。
第2の実験では、L929細胞は、CFSEで染色され、マイクロ流体デバイスにロードされ、10μg/mlのアクチノマイシンDおよび10 ng/mlのTNF-αの存在中でインキュベートされ、タイムラプス画像によりトラック化された。細胞は、24時間でのPI標識により確認された急速なアポトーシスを受けた(図106B)。
実施例28 - マイクロ流体細胞シグナリングエフェクターアッセイ
核または細胞質の蛍光局在に基づくTNFα機能アッセイは、TNFαに対する抗体の機能系の選択のために開発された。使用される読み出し細胞株は、Tay et al. (2010). Nature 466, pp. 267-71(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)にすでに記載されている。TNFα誘導性活性化の際に、蛍光標識されたNF-κB転写因子のサブユニットは、細胞質から核に輸送される。図107Aは、TNFα機能アッセイのためのタイムラプス蛍光画像を示す。TNFαリガンドの非存在下で、蛍光の局在化は、細胞質である(図107A、上のパネル)。TNFαリガンド(10 ng/mL)による活性化で、細胞質から核に蛍光の変化が観察される(図107A、中央のパネル)。TNFαリガンド(10ng/mL)に加えて、TNFαリガンドを中和する抗体を含む細胞上清の存在下で、蛍光局在化は、細胞質に残る(図107A、下のパネル)。それは、TNFαリガンドが抗体によって効果的に中和されたことを示しており、このようにして、NFκBシグナル伝達を防止している。各条件について活性化された細胞の画分は、図107Bに示されている。
実施例29 - マイクロ流体増殖およびオートファジーエフェクター細胞アッセイ
HER2を過剰発現し、LC3-GFPオートファジーレポーターで操作されたヒト乳癌細胞株(SKBR3)は、マイクロ流体デバイス内にロードされ、読み出し細胞として、この細胞株を使用して実現可能性を決定するために3日間培養された(図108)。個々のSKBR3細胞集団は、個々のマイクロ流体チャンバに提供された。明視野および蛍光のタイムラプス画像は、時間をかけて細胞数の増加を示した(図108)。結果は、SKBR3細胞が細胞外効果アッセイにおける読み出し細胞として使用するのに適していることを示した。その細胞外効果アッセイは、SKBR3細胞の増殖をブロックするエフェクター細胞の能力/傾向を測定する。SKBR3細胞株を使用して、オートファジーを調節する抗体をスクリーニングすることも可能ですある。
実施例30 - 抗原特異的T細胞の検出および回収
図109を参照すると、ヒト患者からの末梢血単核細胞(PBMC)は、マイクロ流体デバイス内にロードされ、10μg /mlの一晩で、サイトメガロウイルス、エプスタイン-バーウイルスおよびインフルエンザウイルス(CEF)ペプチドから誘導されるウイルス性の抗原のプールで刺激された。図109Aは、PBMCおよびインターフェロンγ(IFNγ)捕捉ビーズでロードされたマイクロ流体チャンバの明視野像を示す。CEFペプチドで刺激すると、活性化された抗原特異的T細胞によって分泌されたIFNγは、抗IFNγ抗体でコーティングされた官能化ビーズ上に捕捉され、蛍光標識した二次抗体を用いて検出された。図109Bは、活性化抗原特異的T細胞を含む、図109Aからのポジティブチャンバの蛍光画像である。活性化した細胞を5日間インターロイキン-2(IL-2)の100 U / mLで増殖させ(図109C)、その後、回収した。同じ患者からの末梢血単核細胞におけるCEF特異的T細胞の頻度を、ELISPOTおよび比較のためのマイクロ流体ビーズアッセイにより測定した。マイクロ流体アッセイの感度は、ELISPOTより、抗原特異的T細胞の高い頻度の検出を可能にした(図109D)。
実施例31 - シグナリングのためのBAF3 PDGFRαアッセイ
細胞生存アッセイは、PDGFRαに対する抗体の機能系の選択のために生成された。生存および増殖のために、サイトカインIL-3に依存するBaF3懸濁細胞株は、CMVプロモーター(Oriene社)によって駆動されるヒトPDGFRαで電気穿孔される。そして、発現するクローンを安定に作製した。Ba/F3細胞で過剰発現されたPDGFRαは、IL-3シグナル伝達の必須要件の代わりになる。IL-3の非存在下、BaF3細胞は停止し死亡するが、PDGFリガンドの存在下、PDGFRαシグナル伝達はこれらの細胞を救出する。それは、顕微鏡によって容易に検出される分裂促進応答と、細胞生存とを与えている。これは、増殖、形態学的変化および増加した運動性/走化性を含んでいる。蛍光の読み出しとして、BaF3細胞も細胞核を標識するために、黄色蛍光タンパク質(YFP)に融合したヒストン2Bを安定に発現した。図110は、細胞生存PDGFRα機能アッセイの検証を示している。それは、T = 48時間で、PDGF-AA 25ng/ mLの存在下またはリガンド不存在下、PDGFRαおよびヒストン2B-YFPを発現するBaF3クローンを示している。リガンドの非存在下では、BaF3細胞は、アポトーシス及びYFP蛍光の損失(アポトーシスの際にタンパク質分解の結果の可能性)を受ける(図110A)。PDGF-AAリガンドの存在下で、細胞の生存と成長は、YFP蛍光読み出しによって示されるように、救出される(図110B)。
抗体分泌細胞がそのようなアッセイの実行可能な長さに保つことができるかどうかを試験するために、マウス脾細胞は、形質細胞のために濃縮され、マイクロ流体デバイス内のPDFGRαを過剰発現するBaF3細胞と共培養された。明視野および蛍光画像は、読み出し細胞集団(H2B-YFPを含む)からエフェクター細胞集団を区別するために、実験の開始時に撮られた。細胞は、IL-3の存在下で培養され、48時間、タイムラプス画像によってト撮影された。その時点で、抗マウス抗体捕捉ビーズは、2時間のインキュベーションのためにデバイスに導入された。抗体分泌細胞を含有するチャンバは、Dylight-594標識抗体を用いて同定された。図110Cは、実験の開始時に、2つの脾細胞(黒矢印)と2つの読み出し細胞(白矢印)とを含むマイクロ流体チャンバの一例を示す。読み出し細胞は、22個の細胞に増殖した。一方、エフェクター細胞集団は、48時間培養の後、抗体を分泌し続けた。
実施例32 - DiscoveRx細胞を用いるリガンドに対するGPCR応答
DiscoeRx社(www.discoverx.com)からのPathHunter(登録商標)β‐アレスチンシステムでは、小ペプチドは、目的のGPCR標的の細胞内の配列に融合され、そして相補ペプチドフラグメントは、他の細胞内タンパク質(β‐アレスチン)に融合される。その特定のリガンドに結合した後、GPCRは、βアレスチンを補充する。それは、2つのペプチドの相補性に機能的β-ガラクトシダーゼ酵素を強制的に生産させている。従来の非マイクロ流体アッセイにおいて、酵素活性およびGPCRに結合するリガンドの量は、細胞を溶解する試薬カクテルの単一の添加によって検出される。その細胞は、伝統的なプレートリーダーを用いて分析される前に、化学発光を生成する。
このアッセイは、蛍光ベースの基板を用いることによって、本明細書に記載のマイクロ流体フォーマットに適合させるために変更された。5-ドデカノイルアミノフルオレスセインジ-β-D-ガラクトピラノシド(C12FDG)は、化学的に修飾され、酵素切断後、蛍光になる非蛍光βガラクトシダーゼ基質である。それはまた、基質が細胞膜の内部に拡散することができる親油性のテール部を含み、切断後、細胞内で保持を促進する。
CCR4/CCL22 GPCRアゴニストペア(PathHunter(登録商標)eXpress CCR4 CHO-K1のβアレスチンGPCRアッセイ)は、C12FDG基質とのアッセイを適合させるために使用された。細胞は、蛍光を用いて画像化される前に、基質とリガンドの種々の濃度でインキュベートされた。
適応されたアッセイは、最初にマルチウェルプレートで試験された。細胞は、C12FDG基質の種々の濃度で90分間、培地中でインキュベートされた。基質は、細胞内で拡散され、それが切断されるまで、非蛍光性のままだった。その後、リガンド/アゴニストCCL22は、異なる濃度で添加され、細胞内に生じる相補性のために60分間インキュベートされた。それにより、β‐ガラクトシダーゼの形成および基質の切断をもたらし、細胞の内部で蛍光産物を産生させている。蛍光ベースの顕微鏡は、特定の条件に対応する各ウェルを画像化するために使用された(図111)。
次いで、細胞は、マイクロ流体デバイス内にロードされ、細胞培養培地中で33μMのC12FDG基質と共にインキュベートされた。基質と細胞は、細胞内で非蛍光基質の拡散と蓄積を可能にするために、90分間インキュベートされた。インキュベーションの最後で、細胞を10分間培地で洗浄した。CCL22アゴニスト/リガンドは、デバイス(サブアレイ1:0.01 nM、、サブアレイ2:1 nM、サブアレイ3:100 nM、サブアレイ4:アゴニストなし)の4つの異なるサブアレイに4種の異なる濃度でロードされた。蛍光ベースの顕微鏡は、特定の条件に対応する各チャンバを画像化するために使用された(図112A)。画像解析は、各チャンバで行われ、平均強度は、チャンバ内で測定された。バックグラウンド減算を行い、結果を図112Bにプロットした。
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