以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1~3に示すように、排水栓装置1は、槽体としての洗面ボウル100(図2参照)に取付けられている。尚、図1等では、洗面ボウル100の図示を省略している。
洗面ボウル100は、その底面を構成する底壁部101を備えており、当該底壁部101には、排水口102が貫通形成されている。また、洗面ボウル100には、水の溢れ出しを防止するためのオーバーフロー口(図示せず)が設けられており、底壁部101の内部には、当該オーバーフロー口を通って流出した排水の流れ込む排水空間103が形成されている。
排水栓装置1は、排水口部材2と、配管3と、栓蓋駆動機構4と、栓蓋ユニット5とを備えている。
排水口部材2は、円筒状に形成されており、自身の中心軸と排水口102の中心軸とがほぼ一致した状態で排水口102に挿設されている。排水口部材2は、その上端部において径方向外側に突出形成された鍔部21と、当該鍔部21よりも下方の外周に形成された雄ねじ部22とを備えている。また、排水口部材2における鍔部21と雄ねじ部22との間の部位には、複数の通水孔23が周方向に沿って間隔をあけた状態で貫通形成されている。
そして、排水口部材2を排水口102に挿通しつつ当該排水口部材2の鍔部21を底壁部101上に配置した状態で、内周に雌ねじを有する環状の第一ナット部材9aを前記雄ねじ部22に対し螺着し、鍔部21及び第一ナット部材9aにより洗面ボウル100を挟み込んだ状態とすることで、排水口部材2が洗面ボウル100に取付けられている。
また、洗面ボウル100と排水口部材2(鍔部21)との間、及び、洗面ボウル100と第一ナット部材9aとの間には、それぞれ弾性変形可能な材料(例えば、樹脂やゴム等)により形成された環状のシール部7,8が介在されている。これらシール部7,8により、排水口部材2及び洗面ボウル100間からの漏水防止が図られている。また、第一ナット部材9a及びシール部8間には、滑りリングとして機能する薄肉環状のワッシャ部品6が配置されている。尚、洗面ボウル100に排水口部材2を取付けた状態において、シール部7,8は圧縮変形した状態となるが、図2等では、圧縮変形していない状態のシール部7,8を示している。
さらに、洗面ボウル100に排水口部材2を取付けた状態では、通水孔23が排水空間103に向けて開口した状態となる。これにより、前記オーバーフロー口を通過した排水は、排水空間103及び通水孔23を通って排水口部材2の内部空間すなわち排水の流路へと流れ込むようになっている。
配管3は、排水口102を通って流れる排水の流路を構成しつつ、栓蓋駆動機構4を保持する役割を有する。配管3は、流路部31及び分岐部32を備えている。
流路部31は、鉛直方向に沿って延びており、排水口102を通って流れる排水の流路を構成する。また、流路部31は、その上端部に外側に向けて略直角に屈曲された折返部31a(図2参照)を備えている。そして、排水口部材2と、弾性変形可能な材料により形成された環状の内側シール部10と、流路部31とを直列的に並べた状態で、内周に雌ねじを有するとともに端部内周に内鍔の設けられた第二ナット部材9bを、折返部31aに係止させつつ前記雄ねじ部22に螺合し、第二ナット部材9bの前記内鍔と排水口部材2の下端部との間で折返部31a及び内側シール部10を挟み込んだ状態とすることにより、排水口部材2に対し流路部31が水密な状態で直列的に接続された状態となっている。
分岐部32は、栓蓋駆動機構4の被取付部として機能する。分岐部32は、全体として円筒状をなしており、流路部31の外周から突出し、自身の内部空間が流路部31の内部空間と連通した状態とされている。さらに、分岐部32における流路部31とは反対側に位置する端部には、外側に突出する鍔状の被取付鍔部32aが設けられており、当該被取付鍔部32aには、栓蓋駆動機構4を取付けるための被係止用孔部32b(図2参照)が貫通形成されている。被係止用孔部32bは、分岐部32の周方向に沿って延びる湾曲形状をなしており、当該周方向に沿って間隔をあけて複数(本実施形態では、3つ)設けられている。
栓蓋駆動機構4は、栓蓋ユニット5を上下動させるための機構である。栓蓋駆動機構4は、回動可能な回動部41と、当該回動部41の先端面の外周寄りから突出し、当該回動部41の回動に伴い上下動可能な支持突起42とを具備している(それぞれ図2参照)。本実施形態では「回動部41」が「駆動部」に相当し、「支持突起42」が「支持部」に相当する。また、栓蓋駆動機構4は、回動部41が分岐部32に対し回動可能な状態で挿通されつつ、支持突起42が流路部31内に配置された状態で設置されている。支持突起42は、比較的短いものとされており、その先端が流路部31の中心に到達しないように構成されている。
さらに、栓蓋駆動機構4は、長尺筒状をなすアウターチューブ43と、当該アウターチューブ43の内周に往復移動可能な状態で挿通された、例えば撚り線などからなるインナーワイヤ44(図3参照)とを有している。アウターチューブ43の図示しない端部は、所定の操作部(例えば操作ボタンや操作レバーなど)を有する操作装置(図示せず)に接続固定されており、前記操作部の変位に伴いインナーワイヤ44が往復移動するようになっている。そして、栓蓋駆動機構4においては、インナーワイヤ44の往復移動に伴い回動部41が回動するように構成されており、回動部41の回動により支持突起42が上下動するようになっている。尚、前記操作部は、手動により変位するものであってもよいし、電動により変位するものであってもよい。勿論、栓蓋駆動機構4がモータ等の通電動作部品を有するとともに、当該通電動作部品の動作に伴い回動部41が回動する構成としてもよい。この場合には、アウターチューブ43やインナーワイヤ44を設けないこととしてもよい。
また、栓蓋駆動機構4は、被係止用孔部32bに挿通される取付用爪部45(図2参照)を有している。取付用爪部45は、被係止用孔部32bと同数設けられており、これら取付用爪部45を各被係止用孔部32bに挿通するとともに、被取付鍔部32aに係止した状態とすることで、分岐部32に対し栓蓋駆動機構4が取付けられた状態となっている。
栓蓋ユニット5は、排水口102の開閉などを行うために、排水の流路に対応して設けられるものである。栓蓋ユニット5は、栓蓋支持部材51及び栓蓋52を有している。
栓蓋支持部材51は、栓蓋52を支持するためのものであり、排水口部材2や流路部31内において排水口部材2や流路部31の内周面に沿って上下動可能な状態で配置されている。栓蓋支持部材51は、平面視十字状をなす支持軸51aと、当該支持軸51aの下部に連結された円環状の被支持部51b(図4参照)と、当該被支持部51bの下面から突出する引抜防止部51c(図2参照)とを備えている。尚、図4は、図3のJ-J線断面図である。
支持軸51aは、その上端部が栓蓋52の背面中央部分に設けられた円筒状部位に対し、ねじ止めや嵌合等によって取付けられている。これにより、支持軸51aによって栓蓋52が支持された状態となっている。また、支持軸51aにおける上側部分及び下側部分は、外側に突出した羽根状をなしており、各羽根状部分の外縁部は排水口部材2や流路部31の内周面に近接した状態で配置されている。その結果、水平方向に沿った栓蓋ユニット5の位置ずれや、栓蓋ユニット5の傾きを抑制可能となっている。
被支持部51bは、支持軸51aにおける下側の羽根状部分の外縁部を繋ぐようにして設けられており、外周面が流路部31の内周面に近接した状態とされている。被支持部51bの下面は、前記支持突起42によって支持されるようになっている。
引抜防止部51cは、所定の孔を有しており、当該孔に対し支持突起42が挿通された状態とされている。引抜防止部51cは、栓蓋ユニット5を引き上げたときに支持突起42と接触することで、排水口部材2や流路部31(つまり排水の流路)からの栓蓋ユニット5の引抜きを防止する役割を有している。
栓蓋52は、排水口102を開閉するためのものであり、栓蓋支持部材51を介して支持突起42により間接的に支持されている。栓蓋52は、樹脂等からなる円板状の栓蓋本体部52aと、当該栓蓋本体部52aに取付けられたパッキン部52bとを備えている。パッキン部52bは、弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)によって環状に形成されており、栓蓋本体部52aの下部外周側に設けられた、外側に開口する凹部に嵌め込まれた状態とされている。
本実施形態では、回動部41が一方側へと回動し支持突起42が回動しつつ下動することで、栓蓋支持部材51及び栓蓋52が下動する。そして、パッキン部52bの外周部分全域が排水口部材2に接触することで、排水口102が閉状態とされる。一方、回動部41が他方側へと回動し支持突起42が回動しつつ上動することで、当該支持突起42によって栓蓋支持部材51及び栓蓋52が持ち上げられる。その結果、パッキン部52bが排水口部材2から離間することで、排水口102が開状態とされる(図1~3参照)。
尚、本実施形態では、排水口102が閉状態とされ、支持突起42が最も下方に配置されたときに、支持突起42から栓蓋支持部材51(被支持部51b)が浮いた状態となるように構成されている。そのため、排水口102を閉状態としたときに、排水口部材2へとパッキン部52bをより確実に接触させることができ、良好な水密性を得ることが可能となっている。
次いで、配管3の構成についてより詳しく説明する。本実施形態における配管3は、少なくとも一部(本実施形態ではほぼ全体)に直筒状の直管部11aを有する管状部品11と、当該管状部品11とは別体である一体型バンド部品12と、管状部品11及び一体型バンド部品12間を水密にシールするためのシール部材13(図2,4参照)とを備えている。
管状部品11は、流路部31を構成するものであり、一般的に使用される管状の部品(例えば金属製の直管状パイプなど)によって構成されている。管状部品11は、内外に貫通する円形状の貫通孔11b(図2,4参照)を備えるものの、内周に雌ねじなどを特段備えない非常にシンプルなものである。
一体型バンド部品12は、図5,6に示すように、分岐部32を構成する筒部121と、当該筒部121の外周から突出する締結部122とを備えた一部材(例えば樹脂など)からなる一体品である。すなわち、一体型バンド部品12は、例えば型成形などにより形成され、筒部121及び締結部122が分離不能な状態で一体となったものである。
筒部121は、回動部41の先端面の外径とほぼ同一の内径を有する円筒形状をなしている。また、筒部121の内側端部121aは、締結部122(特に後述するシール対応部122a)の内側面から若干だけ突出している。本実施形態では、管状部品11に一体型バンド部品12を取付けることによって、筒部121は、内側端部121aが貫通孔11bの内周に挿通された状態で管状部品11に取付けられている。但し、貫通孔11bの内周に対し内側端部121aを挿通した状態において、内側端部121aは、管状部品11(流路部31)内に突出しない状態、又は、管状部品11(流路部31)の内周面からほとんど突出しない状態(例えば突出量が3mm以下に抑えられた状態)となる。
さらに、筒部121のうち内側端部121aとは反対側の端部には、前記被取付鍔部32aを構成する鍔状の環状突部123が突出形成されている。当該環状突部123には、前記被係止用孔部32bを構成する透孔123aが複数貫通形成されている。
締結部122は、主として管状部品11に対する一体型バンド部品12の取付に用いられる部位であるが、管状部品11及び一体型バンド部品12間におけるシール性の確保等にも利用される部位である。締結部122は、全体として環状をなしており、シール対応部122a並びに第一アーム部1221及び第二アーム部1222を有している。
シール対応部122aは、筒部121の外周から当該筒部121の周方向全周に亘って突出しており、湾曲板状をなしている。シール対応部122aは、貫通孔11bの周囲に位置する直管部11aの外周面と相対向しており、シール対応部122aにおける少なくとも直管部11aの外周面と相対向する面は、当該直管部11aの外周面に対応する形状、すなわち直管部11aの外周面に沿う形状とされている。本実施形態では、シール対応部122aの内側面は、直管部11aの外周面と平行にされている。
第一アーム部1221及び第二アーム部1222は、一体型バンド部品12を構成する材料の弾性変形を利用することで、これらの先端部同士の間隔を広げたり、狭めたりすることができるように構成されている。本実施形態において、第一アーム部1221及び第二アーム部1222の先端部同士の間隔は、少なくともこれら先端部同士の間を管状部品11(直管部11a)が通過可能な程度まで広げることが可能とされている。尚、管状部品11(直管部11a)を締結部122内に配置可能であれば、必ずしも両アーム部1221,1222の先端部同士の間隔を管状部品11(直管部11a)が通過可能な程度まで拡大可能とする必要はない。従って、例えば、締結部122内に、管状部品11をその端部から挿通していくことで、管状部品11(直管部11a)を締結部122内に配置可能に構成してもよい。
また、第一アーム部1221は、シール対応部122aの幅方向(周方向)一端部から内側に突出する第一アーム基部1221aと、当該第一アーム基部1221aの先端部から突出する第一アーム主部1221bとを備えている。また、第二アーム部1222は、シール対応部122aの幅方向(周方向)他端部から内側に突出する第二アーム基部1222aと、当該第二アーム基部1222aの先端部から突出する第二アーム主部1222bとを備えている。本実施形態では、第一アーム基部1221a及び第二アーム基部1222aが「外側位置規定部」に相当する。
第一アーム基部1221a及び第二アーム基部1222aは、管状部品11に一体型バンド部品12を取付けた状態において、管状部品11の外周面に向けて突出する形状をなしている。第一アーム基部1221a及び第二アーム基部1222aの各内側面(内側端部121a側を向く面)は、平行な状態で相対向している。
また、第一アーム部1221及び第二アーム部1222の先端部同士の間隔を増減させる際には、シール対応部122aからアーム基部1221a,1222aにかけて設けられた屈曲部分と、アーム基部1221a,1222aからアーム主部1221b,1222bにかけて設けられた屈曲部分とを主な基点として、アーム部1221,1222が弾性変形することとなる。尚、弾性変形時に生じる負荷に対し十分な強度を確保すべく、第一アーム基部1221a及び第二アーム基部1222aは、シール対応部122aやアーム主部1221b,1222bよりも厚肉とされている。
第一アーム主部1221bは、管状部品11に一体型バンド部品12を取付けた状態において、直管部11aの周方向一方側に向けて突出し、直管部11aの周方向に沿って延びる円弧形状をなしている。一方、第二アーム主部1222bは、管状部品11に一体型バンド部品12を取付けた状態において、直管部11aの周方向他方側に向けて突出し、直管部11aの周方向に沿って延びる円弧形状をなしている。
また、第一アーム部1221の先端部には、略コの字状をなす係止部1221cが設けられ、第二アーム部1222の先端部には、外側に向けて突出し、係止部1221cを係止可能な被係止部1222cが設けられている。本実施形態では、第一アーム部1221及び第二アーム部1222を管状部品11(直管部11a)の外周に巻き付けるとともに、被係止部1222cに対し係止部1221cを係止することで、管状部品11に対し一体型バンド部品12が取付けられるようになっている。
尚、一体型バンド部品12が単独の状態であって特段の力が加えられていないとき(つまり、一体型バンド部品12が自然に置かれている状態であるとき)には、図7に示すように、被係止部1222cに対し係止部1221cは係止されることなく、第一アーム部1221及び第二アーム部1222の各先端部が離れた状態となる。一体型バンド部品12は、この状態に対応する形状を有してなる金型を用いて、型成形により形成される。
シール部材13は、少なくとも管状部品11(直管部11a)の外周面とシール対応部122aの内側面との間を水密にシールし、管状部品11及び一体型バンド部品12間を水密にシールすることで、貫通孔11bを通った管状部品11からの漏水防止を図るためのものである。シール部材13は、弾性変形可能な材料(例えばゴムや樹脂等)により形成させており、図8~10に示すように、環状部131及び形状維持部132を備えている。尚、図10は、図9のK-K線断面図である。
環状部131は、断面円形状の円環状をなしている。環状部131は、筒部121(内側端部121a)の外周に配置されるとともに、シール対応部122aの内側面及び管状部品11(直管部11a)の外周面で挟み込まれた状態とされている(図4参照)。環状部131すなわちシール部材13の内周部は、筒部121(内側端部121a)の外周面に接触した状態又は近接した状態(例えば、筒部121の外周面までの距離が2mm以下の状態)とされている。
形状維持部132は、環状部131の内周及び外周の少なくとも一方から突出し、管状部品11(直管部11a)の外周形状に対応する湾曲形状をなしている。本実施形態において、形状維持部132は、環状部131の外周から突出し、当該環状部131の周方向全周に亘って設けられた外側形状維持部132aによって構成されている。形状維持部132によって、シール部材13が単独の状態(つまり、シール対応部122a及び管状部品11に挟まれていない状態)で、環状部131を、当該環状部131と接触する管状部品11(直管部11a)の外周に対応する湾曲形状で維持可能となっている。
尚、「管状部品11(直管部11a)の外周に対応する湾曲形状」とあるのは、管状部品11(直管部11a)の外周と同じ向きに湾曲した形状であることを意味し、管状部品11(直管部11a)の外周の曲率半径と異なる曲率半径で、管状部品11(直管部11a)の外周と同じ向きに湾曲した形状を含む。但し、本実施形態では、形状維持部132によって、シール部材13が単独の状態で、環状部131は、管状部品11(直管部11a)の外周形状とぴったりと合うような湾曲形状〔管状部品11(直管部11a)の外周の曲率半径とほぼ同一の曲率半径で湾曲する形状〕で維持されるようになっている。
また、形状維持部132(外側形状維持部132a)は、その幅方向(湾曲方向)に沿った長さL1と、その高さ方向(前記幅方向と直交する方向)に沿った長さL2とが異なるものとされている(図8参照)。本実施形態では、長さL1が長さL2よりも小さなものとされている。これにより、筒部121(内側端部121a)の外周にシール部材13を配置したときには、形状維持部132(外側形状維持部132a)の幅方向両端縁部をアーム基部1221a,1222aの内側面に接触した状態又は近接した状態(例えば、アーム基部1221a,1222aの内側面までの距離が2mm以下の状態)とすることが可能である一方、形状維持部132(外側形状維持部132a)の高さ方向両端縁部をアーム基部1221a,1222aに接触又は近接した状態とすることができないように構成されている。
そして、上記のように構成されることで、筒部121(内側端部121a)をシール部材13に挿通して、当該シール部材13の内周部(本実施形態では環状部131の内周)を筒部121(内側端部121a)に接触又は近接させつつ、シール部材13の外周部(本実施形態では形状維持部132の幅方向両端縁部)をアーム基部1221a,1222aの内側面に接触又は近接した状態とすることで、環状部131の配設位置及び配設向きが一義的に定まるようになっている。すなわち、シール部材13の内周部を筒部121に接触又は近接させつつ、シール部材13の外周部をアーム基部1221a,1222aに接触又は近接した状態とすることで、環状部131を、配設位置や配設向きの調整を特段行うことなく、筒部121(内側端部121a)の外周であって、管状部品11(直管部11a)の外周面の湾曲方向と同じ方向に湾曲するような位置及び向きで設置可能となっている。
また、形状維持部132は、環状部131よりも薄肉とされており、環状部131の湾曲内側面及び湾曲外側面の少なくとも一方が、形状維持部132の表面から突出した状態となっている。本実施形態では、形状維持部132の内側面から環状部131の湾曲内側部分が突出するとともに、形状維持部132の外側面から環状部131の湾曲外側部分が突出した状態とされている。
さらに、シール部材13は、図11(図11は、排水栓装置1の底面図である)に示すように、環状部131がシール対応部122a及び管状部品11(直管部11a)で挟み込まれた状態において、シール部材13が正しく(正しい位置及び向きで)配設されたことを確認するための外部から視認可能な確認用部133を備えている。本実施形態において、確認用部133は、形状維持部132(外側形状維持部132a)の外縁に設けられた、形状維持部132の幅方向に延びる湾曲形状の両辺部のうち、下方から視認可能となる一方の辺部によって構成されている。確認用部133及び配管3の構成部品(本実施形態では、シール対応部122aの下端面)の位置関係や、配管3の構成部品(本実施形態では、シール対応部122aの下端面)に対する確認用部133の傾斜の程度などを確認することで、シール部材13が正しく配設されているか否かを確認することが可能である。特に本実施形態では、シール部材13が正しく配設されている場合、確認用部133及びこれに隣接する配管3の構成部品の外表面(シール対応部122aの下端面)が面一となるように構成されており、シール部材13が正しく配設されているか否かをより容易に確認可能となっている。
本実施形態において、管状部品11、一体型バンド部品12及びシール部材13を備えてなる配管3は、次のようにして組立てられる。まず、第一アーム部1221及び第二アーム部1222の先端部同士の間隔を広げた上で、これら先端部同士の間を通して管状部品11(直管部11a)を締結部122内に配置するとともに、内側端部121aを貫通孔11bに挿通した状態とする。尚、このときには、筒部121(内側端部121a)の外周に環状部131を位置させつつ、アーム基部1221a,1222bの内側面に対し形状維持部132(外側形状維持部132a)の幅方向両端縁部を接触又は近接させた状態となるように、シール部材13を予め配置しておく。
次いで、第一アーム部1221及び第二アーム部1222を管状部品11(直管部11a)の外周に巻き付けるとともに、被係止部1222cに対し係止部1221cを係止することで、締結部122を管状部品11(直管部11a)の外周に巻き付けた状態とする。その結果、管状部品11に対し一体型バンド部品12が取付けられるとともに、シール対応部122a及び管状部品11によってシール部材13(特に環状部131)が挟み込まれてなる配管3が得られることとなる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、流路部31及び分岐部32を有する配管3は、流路部31を構成する管状部品11に対し、分岐部32を構成する筒部121が取付けられることで構成されている。従って、一般的に使用される管状部品11(例えば直筒状のパイプなど)を利用することができ、配管3の製造に係るコストの増大抑制を図ることができる。
さらに、筒部121は、自身の端部が管状部品11の貫通孔11b内周に挿通された状態で、管状部品11に取付けられる。そのため、筒部121すなわち分岐部32を、貫通孔11bを基準とした、管状部品11における狙いの位置により確実にかつより容易に設けることができる。これにより、配管3の製造に係る容易性を向上させることができる。
また、シール部材13に設けられた形状維持部132(外側形状維持部132a)によって、シール部材13が単独の状態であっても、環状部131を、接触対象となる直管部11aの外周に対応する湾曲形状で維持することができる。従って、環状部131を湾曲形状でより確実に維持することができ、直管部11aの外周面に対し、環状部131をぴったりと合わせた状態で接触させる(フィットさせる)ことがより確実に可能となる。これにより、良好な止水性をより確実にかつより長期間に亘って確保することができる。
さらに、形状維持部132は、直管部11aの外周に対応する湾曲形状をなすところ、当該形状維持部132を利用することで、シール部材13の取付方向(配設向き)に誤りが生じることをより確実に防止できる。その結果、環状部131を湾曲形状としたことによる上述の作用効果をより確実に発揮させることができる。
加えて、シール部材13の内周部(環状部131)や外周部(形状維持部132)を、筒部121やアーム基部1221a,1222aと接触又は近接した状態とすることで、環状部131の配設位置及び配設向きを一義的に定めることができる。つまり、内周部(環状部131)が筒部121に接触又は近接し、外周部(形状維持部132)がアーム基部1221a,1222aに接触又は近接するようにしてシール部材13を設置することで、環状部131を自然と、狙いの配設位置に対し、直管部11aの湾曲外周面に沿うような正しい配設向きで設けることができる。従って、狙いの配設予定位置に対し、正しい配設向きで、環状部131を精度よく容易に配設することができる。これにより、良好な止水性を一層確実に確保することができる。
また、形状維持部132は、環状部131の外周から突出し、環状部131の周方向全周に亘って設けられた外側形状維持部132aを備えている。外側形状維持部132aによって、環状部131をより強固に湾曲形状で維持することができる。従って、直管部11aの外周面に対し、環状部131をより安定した状態で接触させることができ、より良好な止水性を得ることができる。
さらに、形状維持部132は環状部131よりも薄肉とされるため、シール対応部122a及び直管部11aによる挟み込み圧力を環状部131に対し集中的に加えることができる。これにより、止水性(シール性)をより向上させることができる。
加えて、確認用部133を見ることによって、環状部131がシール対応部122a及び直管部11aで挟み込まれた状態、つまりシール部材13が配設された状態において、当該シール部材13が正しく(正しい位置及び向きで)配設されたか否かを確認することができる。従って、環状部131を一層精度よく正しい位置及び向きで配設することが可能となり、良好な止水性(シール性)をより一層確実に確保することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態において、筒部121及び締結部122は一部材により形成された一体品とされているが、筒部121に対応する部品と、締結部122に対応する部品とを別々に用意し、両部品を組立てることで、筒部121及び締結部122を備えてなるバンド部品を構成してもよい。
(b)上記実施形態では、被係止部1222cに対し係止部1221cを係止して、締結部122を管状部品11(直管部11a)に巻き付けた状態とすることで、管状部品11に対し筒部121が取付けられるように構成されているが、管状部品11に対する筒部121の取付手法はこれに限定されるものではない。従って、例えば、係止部1221cや被係止部1222cに代えて、組合わされることで外周に雄ねじが形成されることとなる半割れ円柱部を両アーム部1221,1222の先端部にそれぞれ設け、両アーム部1221,1222を管状部品11に巻き付けつつ、前記両半割れ円柱部を組合わせた上で、内周に雌ねじを有するナット部品を前記両半割れ円柱部の外周に螺着することによって、管状部品11に対し筒部121が取付けられるように構成してもよい。また、ねじ止めやクイックファスナー、接着剤などを利用して、管状部品11に対し筒部121が取付けられるように構成してもよい。さらに、管状部品11が金属製(例えば鉄製など)である場合には、例えば磁石を用いることによって、管状部品11に筒部121が取付けられるように構成してもよい。
(c)上記実施形態において、確認用部133は、シール部材13の外縁に設けられた辺部によって構成されているが、確認用部は、外部から視認可能であって、環状部131がシール対応部122a及び直管部11aで挟み込まれた状態において、シール部材13が正しく配設されたか否かの確認を可能とするものであればよい。従って、シール部材13の外縁から突出する突部であって、例えばシール対応部122aに設けられた、当該突部の被配置部としての所定の切欠き(凹部など)との位置関係などに基づき、シール部材13が正しく配設されたか否かを確認可能な突部によって確認用部を構成してもよい。また、シール部材13の外縁に設けられた目印であって、例えばシール対応部122aに設けられた、当該目印に対応するマークとの位置関係などに基づき、シール部材13が正しく配設されたか否かを確認可能な目印によって確認用部を構成してもよい。
(d)上記実施形態では、形状維持部132として外側形状維持部132aを挙げているが、図12に示すように、形状維持部132は、環状部131の内周から突出し、直管部11aの外周に対応する湾曲形状をなす内側形状維持部132bを備えていてもよい。また、形状維持部132は、外側形状維持部132a及び内側形状維持部132bのうちの一方のみを備えていてもよいし、外側形状維持部132a及び内側形状維持部132bの双方を備えていてもよい。
さらに、上記実施形態において、形状維持部132(外側形状維持部132a)は正面視矩形状の外縁をなしているが、形状維持部132(外側形状維持部132a)の外縁形状はこれに限定されるものではない。従って、例えば、正面視したときに、形状維持部132(外側形状維持部132a)の外縁が円形状や楕円形状、多角形状、長円形状などをなすように構成してもよい。勿論、内側形状維持部132bの内縁形状についても適宜変更してもよい。
(e)上記実施形態では、管状部品11として、金属製の直管状パイプを挙げているが、管状部品は、少なくとも一部に直管部(ストレート部)を備えた管体であればよい。従って、管状部品は、金属以外の材料(例えば樹脂等)からなる管体であってもよいし、屈曲部分や湾曲部分を備えるものであってもよい。
(f)上記実施形態において、一体型バンド部品12は、栓蓋駆動機構4を取付けるための被取付鍔部32aや被係止用孔部32bを構成する環状突部123や透孔123aを備えているが、分岐部32に対する栓蓋駆動機構4の取付手法によっては、環状突部123や透孔123aを備えないものであってもよい。尚、上記実施形態で挙げた取付手法以外の、分岐部32に対する栓蓋駆動機構4の取付手法としては、例えばねじ止め固定などを挙げることができる。
(g)上記実施形態では、シール部材13をアーム基部1221a,1222a等に接触又は近接させることによって、環状部131を、配設位置や配設向きの調整を特段行うことなく、管状部品11(直管部11a)の外周面の湾曲方向と同じ方向に湾曲するような位置及び向きで設置可能となっているが、シール部材13の向き等を定めるためにシール部材13と接触等する部位を、必ずしも設ける必要はない。この場合であっても、シール部材13の湾曲方向を利用することで、管状部品11(直管部11a)の外周面に沿う状態でシール部材13(環状部131)を適切に設置することができる。
(h)上記実施形態において、支持突起42は、回動部41の先端面の外周寄りから突出する構成とされているが、支持突起を例えばL字状に屈曲する形状等とするとともに、当該支持突起を回動部の先端面における回動中心(回動軸と重なる位置)から突出する構成とすることで、回動部の回動に伴い、少なくとも当該支持突起のうち栓蓋52を直接又は間接的に支持する部分が上下動するように構成してもよい。また、回動部の外周面から支持突起が突出するように構成し、回動部の回動に伴い支持突起の先端側部位(回動部とは反対側の部位)が上下動するように構成してもよい。
(i)上記実施形態では、回動部41によって駆動部が構成されているが、駆動部は必ずしも回動するものである必要はない。従って、例えば、駆動部を、分岐部32の軸方向に沿って往復移動可能な往復移動部によって構成してもよい。この場合、例えば往復移動部の先端部に傾斜面を有してなる支持部を設けるとともに、当該傾斜面によって栓蓋52が直接又は間接的に支持されるように構成することで、往復移動部の往復移動に伴い栓蓋52が上下動するように構成してもよい。
(j)上記実施形態では、引抜防止部51cによって、排水口部材2や流路部31からの栓蓋ユニット5の引抜きが防止されるようになっているが、引抜防止部51cを設けないこととしてもよい。この場合には、洗面ボウル100の表側(貯水空間側)から上方に向けて栓蓋52を引上げることで、排水口部材2や流路部31から栓蓋ユニット5を引抜可能に構成してもよい。このように構成することで、メンテナンス性や清掃性の向上を図ることが可能となる。
(k)上記実施形態において、支持突起42は、栓蓋52を間接的に支持しているが、栓蓋52を直接的に支持するものであってもよい。また、上記実施形態において、支持突起42によって支持部が構成されているが、例えば上記(i)にあるように、必ずしも支持部を突起状とする必要はない。
(l)上記実施形態では、槽体として洗面ボウル100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は洗面ボウルに限定されるものではない。従って、例えば、浴槽やキッチンの流し台などの洗面ボウル以外の槽体に対し本発明の技術思想を適用してもよい。
また、上記実施形態において、槽体としての洗面ボウル100は排水空間103を備えているが、排水空間103を備えないものであってもよい。この場合、排水口部材2に通水孔23を設ける必要はない。
(m)上記実施形態では、栓蓋52(パッキン部52b)が排水口部材2に接触することで、排水口102が閉状態となるように構成されているが、栓蓋52(パッキン部52b)が底壁部101と接触することで、排水口102が閉状態となるように構成してもよい。