JP7370946B2 - 測量装置 - Google Patents

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Description

本発明は、測量装置に関する。
リアルタイムキネマティック(RTK-GPS)測量システムは、GPS等の測位用の人工衛星を用いて、基準局と移動局との相対的な位置関係を高精度に求める干渉測位システムの1つである。位置座標が既知で固定的に観測点に設置される基準局は、人工衛星からの電波を受信し、補正用データを移動局に伝送する。移動局も同様に人工衛星からの電波を受信し、且つ基準局から受信した補正用データも用いて解析処理を行うことで、移動局の三次元位置を高精度に計測することができる。
特許文献1は、電波障害の少ない基準局を選択可能に構成されたRTK-GPS測量システムを開示している。特許文献1に記載のRTK-GPS測量システムは、RTK-GPS測量を実行するため、IP-VPN通信ネットワーク網において、基準局と移動局との通信を確立するサーバを備える。移動局は、基準局から障害物情報を受信して、複数の基準局の中から最適な補正用データの送信を行う基準局を選択することができる。RTK-GPS測量システムは、基準局から移動局が受信する補正信号を、移動局が無線通信を経由して受信しながら動作することを前提としている。このため、使用現場において基準局と移動局の間の無線通信の品質を良好に保つことが必要である。
しかし、基準局と移動局との間の無線通信が良好に行われない場合がある。このとき移動局は、GPS受信機を有していれば、人工衛星からの電波のみに基づいて測位結果を出力する。このため、測位精度が劣化したり、測位が不能な状態が生じていたりする場合に、劣化原因がどこにあるのか突き止めることが難しい。RTK-GPS測量システムの測位精度劣化の要因は、基準局及び/又は移動局におけるGPS衛星信号の劣化や、RTK-GPS補正信号の無線通信エラーなど複数の要因が相互に関係している。このため、測位精度が劣化した場合の原因特定が難しい。
また、RTK-GPS補正信号を無線伝送する送信局/受信局は一般に無線モジュールで構成されており、いわばブラックボックスであることから、無線の通信に関わる処理の途中経過に関する情報や、無線品質情報などを取得することができない。
特許文献1のシステムは、障害物情報を利用することによって最適な補正用データの送信を行う基準局を選択することが可能に構成されている。しかし、基準局を1局しか利用できないエリアにおいては、補正用データの送信エラーを回避することができない。また、特許文献1のシステムは、補正用データの送信エラー等を引き起こす装置及び環境に起因する要因を分析し、測量システムを正常な状態に回復し運用することができるようには構成されていない。
特開2007-309667号公報
本発明は上記実情を鑑みてなされたものであり、測位劣化、又は測位不能が生じた場合に、その要因を的確に判定し、これにより測量システムの不具合による不稼働時間を短縮し、施工効率を向上できる測量装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る測量装置は、基準局と無線通信を行う受信局と、前記無線通信の状態を解析する無線解析部と、前記受信局及び前記無線解析部の出力に基づきデータ解析を行うデータ解析部と、前記データ解析の判定結果を出力するユーザインタフェースとを備える。前記無線解析部は、前記無線通信により受信される信号のスペクトル分析を行い、該信号のスペクトルが前記受信局が受信すべき所望信号のスペクトルと類似しているか否かを判定し、前記信号のスペクトルが前記所望信号のスペクトルと類似していると判定される場合は、該信号の電力を所望信号の電力として出力し、前記信号のスペクトルが前記所望信号のスペクトルと類似していないと判定される場合は、該信号の電力を雑音信号の電力として出力する。前記データ解析部は、前記所望信号の電力が閾値以下の場合は、測位劣化の要因を前記所望信号の強度劣化と判定し、前記雑音信号の電力が閾値以上の場合は、測位劣化の要因を前記雑音信号が過大であることと判定し、前記雑音信号電力が閾値未満の場合は、測位劣化の要因を装置の故障であると判定する。
また、本発明の第2の態様に係る測量装置は、人工衛星から電波を受信するGPS受信機と、基準局と無線通信を行って補正信号を受信する受信局と、前記無線通信の状態を解析する無線解析部と、前記受信局及び前記無線解析部の出力に基づきデータ解析を行うデータ解析部と、前記データ解析の判定結果を出力するユーザインタフェースとを備える。前記無線解析部は、前記無線通信により受信される信号のスペクトル分析を行い、該信号のスペクトルが前記受信局が受信すべき補正信号のスペクトルと類似しているか否かを判定し、前記信号のスペクトルが前記補正信号のスペクトルと類似していると判定される場合は、該信号の電力を前記補正信号の電力として出力し、前記信号のスペクトルが前記補正信号のスペクトルと類似していないと判定される場合は、該信号の電力を雑音信号の電力として出力する。前記データ解析部は、(I)前記GPS受信機から得られた信号に基づいて得られる測位結果が劣化していない場合は、測位結果を出力し、(II)前記測位結果が劣化している場合において、(a)前記補正信号の電力が閾値以下の場合は、測位劣化の要因を前記補正信号の強度劣化と判定し、(b)前記雑音信号の電力が閾値以上の場合は、測位劣化の要因を前記雑音信号であることと判定し、(c)前記雑音信号電力が閾値未満の場合は、測位劣化の要因を装置の故障であると判定する。
本発明によれば、測位劣化、又は測位不能が生じた場合に、その要因を的確に判定し、これにより測量システムの不具合による不稼働時間を短縮し、施工効率を向上できる測量装置を提供することができる。
第1の実施の形態に係る測量システム及び移動局としての測量装置を説明する概略図である。 第1の実施の形態の測量システムの動作を説明するフローチャートである。 第1の実施の形態の測量システムの動作を説明するフローチャートである。 無線解析部102の動作の具体例を説明するグラフである。 無線解析部102の動作の具体例を説明するフローチャートである。 第2の実施の形態に係る測量システム及び移動局としての測量装置を説明する概略図である。 第2の実施の形態の測量システムの動作を説明するフローチャートである。 第2の実施の形態の測量システムの動作を説明するフローチャートである。 第3の実施の形態に係る測量システム及び測量装置を説明する概略図である。 第4の実施の形態に係る測量システム及び測量装置を説明する概略図である。 第4の実施の形態に係る測量システム及び測量装置を説明する概略図である。
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。なお、以下の実施の形態において、その構成要素(処理ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須ではない。
また、以下の実施の形態における各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路その他のハードウェアとして実現しても良い。また、後述する各構成、機能、処理部、処理手段等は、コンピュータ上で実行されるプログラムとして実現しても良い。すなわち、ソフトウェアとして実現しても良い。各構成、機能、処理部、処理手段等を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、ICカード、SDカード、DVD等の記憶媒体に格納することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、第1の実施の形態に係る測量システム及び移動局としての測量装置を説明する。この測量システムは、基準局10と、移動局100(測量装置)とから構成される。
基準局10は、位置座標が既知の観測局(固定局)であり、人工衛星Stからの電波を受信可能なGPS受信機11と、移動局100に向けて補正信号を送信可能に構成された送信局12とを備える。移動局(測量装置)100は、基準局10からの信号を無線通信により受信して、その位置情報を測定可能に構成される。
移動局100は一例として、送信局12から補正信号を無線通信により受信可能とされた受信局101と、無線解析部102と、データ解析部103と、ユーザインタフェース104とから構成される。無線解析部102は、送信局12と受信局101の間の無線通信空間で送受信される信号の状態を解析する機能を有する。一例として無線解析部102は、無線通信で送受信される信号のスペクトルを分析し、その結果に従って無線通信の状態を判定するよう構成され得る。
データ解析部103は、受信局101で受信された信号を解析して、移動局100の位置を計算すると共に、無線解析部102での解析結果に従い、無線通信の状態を判定し、測位劣化が生じている要因についての判定を行う。ユーザインタフェース104は、この解析の結果を、図示しないディスプレイ等を用いてユーザに向けて提示・出力する。なお、上述した構成要素11、12、101~104は、RTK-GPS測量システムの中の機能として実現してもよい。また、これらの構成要素を実現するため、周知のアンテナ等の高周波素子、高周波回路、FPGA、デジタル回路、CPU、メモリ等のハードウェア素子が用いられ得る。また、上述する制御を実現するためのソフトウェアが搭載され得る。
図2及び図3のフローチャートを参照して、無線解析部102及びデータ解析部103が実行する解析動作を説明する。
移動局100は、その動作中、受信局101において送信局12から受信される信号をデータ解析部103において解析し、その結果(測位データ)をユーザインタフェース104においてユーザに提示する。この受信局101での受信動作と並行して、無線解析部102は、受信局101と同じ周波数帯に設定され、送信局12と受信局101の間の無線通信空間で送受信される信号の受信・測定を開始する(ステップS201)。
次に、無線解析部102は、受信・測定した信号に対してスペクトル分析を行う(ステップS202)。このとき、受信局101が受信すべき、測量の補正用データが含まれている信号(以下、「所望信号」という)のスペクトルの特徴は、予め無線解析部102に設定されているものとする。
次に、無線解析部102において受信・測定された信号のスペクトルが、所望信号のスペクトルと類似しているか否かの判定が、無線解析部102において行われる(ステップS203)。測定された信号のスペクトルが、所望信号のスペクトルと類似していると判定された場合(ステップS203のYes)は、無線解析部102において受信・測定された信号を所望信号と判定し、その所望信号の電力値を計算し、計算された電力値をデータ解析部103に出力する(ステップS204)。
一方、測定された信号のスペクトルが、所望信号のスペクトルと類似していないと判定された場合(ステップS203のNo)は、無線解析部102において受信・測定された信号は所望信号ではなく雑音信号と判定し、その雑音信号の電力値を計算し、計算された電力値をデータ解析部103へ出力する(ステップS205)。以上に説明した処理が周期的に繰り返される。
次に図3を参照して、データ解析部103が行う解析動作について説明する。まず、データ解析部103は、受信局101が所望信号を受信できているか否かを判定する(ステップS301)。受信局101が所望信号を受信できている場合(Yes)は、測量は正常に行われているものと判断し、その所望信号に従った測位結果が出力され、その後ステップS301が繰り返される。
一方、受信局101が所望信号を受信できていない場合(No)は、無線解析部102が出力する無線解析情報がデータ解析部103において取得される(ステップS302)。次に、無線解析情報が所望信号の電力値であるか否かが、図2の手順の結果に従って判定される。Yesの場合にはステップS304に移動し、Noの場合(すなわち、無線解析情報は雑音の電力値である場合)にはステップS306に移動する。
無線解析情報が所望信号の電力値である場合には、その所望信号の電力値が閾値以下であるか否かが判定される(ステップS304)。所望信号の電力値が閾値以下の場合(ステップ304のYes)は、測量精度の劣化要因が所望信号の強度劣化であると判定し、その結果をユーザインタフェース104へ出力する(ステップS305)。所望信号の電力値が閾値より大きい場合には(ステップ304のNo)、測定は正常に行われていると判定して、ステップS301に戻る。
一方、無線解析情報が雑音信号の電力値であると判定された場合、その雑音信号の電力値が閾値以上か否かがステップS306において判定される。雑音信号の電力値が閾値以上である場合は(ステップS306のYes)、測量精度の劣化要因が雑音信号の電力値の強度が許容範囲を超えて大きい(過大である)ことであると判定し、その結果をユーザインタフェース104へ出力する(ステップS307)。
これに対し、無線解析情報が雑音信号の電力値であるが、その雑音信号の電力値も閾値未満である場合は、測量精度の劣化原因は、所望信号の電力値の低下でもなく、雑音信号が大きいことでもないと判断される。この場合は、移動局100自体に故障等の不具合が生じている可能性が高い。そこで、ステップS308では、測量精度の劣化要因を装置故障と判定し、その結果をユーザインタフェース104へ出力する。以上に説明した処理が、周期的に繰り返される。
次に、無線解析部102の動作のより詳細な例を、図4及び図5を参照して説明する。この例では、無線解析部102で受信された信号のスペクトル分析を行うスペクトル分析時間を予め設定するとともに、所望信号の周波数スペクトル幅を予め設定し、信号の受信をスペクトル分析時間の間実行してスペクトル分析を行う。信号受信を予め設定した時間の間行い、受信信号のスペクトル分析処理を実施する。このとき、分析したスペクトルの周波数幅が予め設定したスペクトル幅に一致又は近似している場合は、その受信された信号の電力値を、所望信号の電力値として出力する。一致又は近似していない場合は、その受信された信号の電力値を、雑音信号の電力値として計算して出力する。
図4及び図5を参照してより具体的に説明する。図4は、所望信号のスペクトル電力の形状パターンの例を示す図である。
図4の上側のグラフは、周波数ホッピング方式によるスペクトルの例(401)を示している。縦軸は周波数、横軸が時間を示しており、帯の部分が電力値が高いことを示している。このように狭帯域のスペクトル電力が広い周波数範囲を移動しながら通信を行う方式は一般的に周波数ホッピング方式と呼ばれる。また、図4の下側のグラフは、OFDM方式によるスペクトルの例(402)を示している。
本実施の形態においては、補正用データが含まれている所望信号の伝送において周波数ホッピング方式が用いられ、所望信号とは異なる干渉信号がOFDM方式を利用する場合を例として説明する。ただし、これに限定されるものではなく、逆に所望信号がOFDM方式を利用し、所望信号とは異なる干渉信号が周波数ホッピング方式を利用するのであってもよい。所望信号のスペクトル電力と、それ以外のスペクトル電力を区別できるよう、予め装置に特徴を入力しておくことにより、上述のデータ解析を実行することができる。
図5は、無線解析部102が行うスペクトル分析の処理動作について説明する図である。この処理動作においては、無線解析部102において、予めスペクトル分析の時間幅Tが設定される(ステップS501)。次に、所望信号の周波数スペクトル幅Fが設定される(ステップS502)。
時間幅T及び周波数スペクトル幅Fが設定された状態において、無線解析部102による信号受信が開始される(ステップS503)。時間Tが経過するまで無線解析部102による受信動作が継続され(ステップS504)、時間Tが経過したら、時間Tの間に受信した信号のスペクトル分析処理が実施される(ステップS505)。
次に、分析したスペクトルの周波数幅が、設定された周波数スペクトル幅Fに一致または近似しているか否かが判定される(ステップS506)。一致又は近似している場合は(Yes)、所望信号を受信したと判定し、所望信号の電力値が計算される(ステップS507)。一致又は近似していない場合は、雑音信号を受信したと判定し、雑音信号の電力値が計算される(ステップS508)。
以上説明したように、第1の実施の形態の測量システム及び測量装置によれば、測位劣化の原因を、判定の状況に応じて判別することができる(例えば、所望信号の強度劣化、雑音信号の強度、装置故障)。これにより測量システムの不具合による不稼働時間を短縮し、施工効率を向上させることができる。
[第2の実施の形態]
次に、図6~図8を参照して、第2の実施の形態に係る測量システム、及び移動局としての測量装置100を説明する。この測量システムは、第1の実施の形態と同様に、基準局10と、移動局100A(測量装置)とから構成される。ただし、この第2の実施の形態の移動局100Aは、更にGPS受信機105を備えている点で、第1の実施の形態の移動局100と異なっている。その他の構成は第1の実施の形態と同様であり、図6において同一の構成要素は同一の参照符号を付している。従って、以下では重複する説明は省略し、異なる点を主に説明する。
第2の実施の形態の移動局100Aは、GPS受信機105から人工衛星Stからの電波(GPS衛星信号)を受信すると共に、受信局101からは、基準局10の送信局12から送信された補正用データを受信可能に構成される。人工衛星StからのGPS衛星信号に加え、基準局10から得られた補正用データにより、移動局100Aは自身の位置のデータを高精度に計測することができる。
図8及び図9のフローチャートを参照して、無線解析部102及びデータ解析部103が実行する解析動作を説明する。
移動局100は、その動作中、GPS受信機105から受信されるGPS衛星信号を受信すると共に、受信局101において送信局12から受信される補正信号をデータ解析部103において解析し、その結果(測位データ)をユーザインタフェース104においてユーザに提示する。この受信局101及びGPS受信機105での受信動作と並行して、無線解析部102は、受信局101と同じ周波数帯に設定され、送信局12と受信局101の間の無線通信空間で送受信される信号の受信・測定を開始する(ステップS901)。
次に、無線解析部102は、受信・測定した信号に対してスペクトル分析を行う(ステップS902)。このとき、受信局101が受信すべき、測量の補正用データが含まれている補正信号のスペクトルの特徴は、予め無線解析部102に設定されているものとする。
次に、無線解析部102において受信・測定された信号のスペクトルが、補正信号のスペクトルと類似しているか否かの判定が、無線解析部102において行われる(ステップS903)。測定された信号のスペクトルが、補正信号のスペクトルと類似していると判定された場合(ステップS903のYes)は、無線解析部102において受信・測定された信号を補正信号と判定し、その補正信号の電力値を計算し、計算された電力値をデータ解析部103に出力する(ステップS904)。
一方、測定された信号のスペクトルが、補正信号のスペクトルと類似していないと判定された場合(ステップS903のNo)は、無線解析部102において受信・測定された信号は補正信号ではなく雑音信号と判定し、その雑音信号の電力値を計算し、計算された電力値をデータ解析部103へ出力する(ステップS905)。以上に説明した処理が周期的に繰り返される。
次に図8を参照して、データ解析部103が行う解析動作について説明する。まず、データ解析部103は、GPS受信機105が出力するGPS測位情報を取得する(ステップS1001)。次に、GPS測位情報に従い、測位精度が劣化したか否かが判定される(ステップS1002)。測位精度が劣化していない場合(No)は、測位結果をユーザインタフェース104へ出力する(ステップS1003)。
一方、測位精度が劣化した場合(Yes)は、受信局101が補正信号を受信できているか否かが判定される(ステップS1004)。受信局101が補正信号を受信できている場合(Yes)は、GPS衛星信号の品質が劣化したと判定し、その判定結果をユーザインタフェース104へ出力する(ステップS1005)。
一方、受信局101が補正信号を受信できていないと判定される場合(ステップS1004のNo)は、無線解析部102が出力する無線解析情報を取得する(ステップS1006)。そして、データ解析部103は、取得された無線解析情報が補正信号の電力値であるのか、それとも雑音信号の電力値であるのかを判定する(ステップS1007)。Yesの場合にはステップS1008に移動し、Noの場合(すなわち、無線解析情報は雑音の電力値である場合)にはステップS1010に移動する。
無線解析情報が所望信号の電力値である場合には、その補正信号の電力値が閾値以下であるか否かがステップS1008において判定される。補正信号の電力値が閾値以下の場合(ステップ1008のYes)は、測量精度の劣化要因が補正信号の強度劣化であると判定し、その結果をユーザインタフェース104へ出力する(ステップS1009)。補正信号の電力値が閾値より大きい場合には(ステップ1008のNo)、測定は正常に行われていると判定して、ステップS1001に戻る。
一方、無線解析情報が雑音信号の電力値であると判定された場合、その雑音信号の電力値が閾値以上か否かがステップS1010において判定される。雑音信号の電力値が閾値以上である場合は(ステップS1010のYes)、測量精度の劣化要因が雑音信号の電力値の強度が許容範囲を超えて大きいことであると判定し、その結果をユーザインタフェース104へ出力する(ステップS1011)。
これに対し、無線解析情報が雑音信号の電力値であるが、その雑音信号の電力値も閾値未満である場合は、測量精度の劣化原因は、所望信号の電力値の低下でもなく、雑音信号が大きいことでもないと判断される。この場合は、移動局100自体に故障等の不具合が生じている可能性が高い。そこで、ステップS1012では、測位の劣化要因を装置故障と判定し、その結果をユーザインタフェース104へ出力する。以上に説明した処理が、周期的に繰り返される。
以上説明したように、第2の実施の形態の測量システム及び測量装置によれば、測位劣化の原因を、判定の状況に応じて判別することができる。第2の実施の形態では、移動局100がGPS受信機105を備えることにより、第1実施の形態の判別事項に加え、測位劣化の原因が衛星信号の品質の低下であることも判定することができる。これにより測量システムの不具合による不稼働時間を短縮し、施工効率を向上させることができる。
[第3の実施の形態]
次に、図9を参照して、第3の実施の形態に係る測量システム、及び移動局としての測量装置100を説明する。この測量システムは、前述の実施の形態とは異なり、基準局10と移動局100Bとに加え、リモートコントローラ200を備えている。基準局10の構成は、前述の実施の形態と同様であってよい。
移動局100Bは、前述の実施の形態の構成要素に加え、リモートコントローラ200との間で信号を送受信するコントローラ用送受信局108を備えることができる。
リモートコントローラ200は、一例として前述のコントローラ用送受信局108と無線通信により信号の送受信を行うコントローラ用送受信局201と、ユーザインタフェース202と、制御部203とを備える。
ユーザインタフェース202は、前述の実施の形態のユーザインタフェース104に相当し、使用者が操作して設定値を入力し、移動局100Bから受信した情報を可視化して図示しないディスプレイに表示する機能を有する。制御部203は、リモートコントローラ200の全体の制御を司る。
この第3の実施の形態によれば、リモートコントローラ200を介して移動局100Bを制御し、前述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
[第4の実施の形態]
次に、図9を参照して、第3の実施の形態に係る測量システム、及び移動局としての測量装置を説明する。この第4の実施の形態では、移動局が建設機械1000として構成されている。基準局の構成は前述の実施の形態と同一で良いので、重複する説明は省略し、以下では建設機械1000の説明を行う。
図10の外観構造図に示すように、建設機械1000は、一例として、ICT施工ショベルである。ICT施工ショベルは、MG(マシンガイダンス)ショベル、MC(マシンコントロール)ショベルとも呼ばれ、予め入力された施工データを元に、高精度なGPS測位を元にバケットの刃先位置を管理し、施工データ通りに地面の掘削を行うショベルである。ICT施工ショベルである建設機械1000は一例として、上部旋回体1110と、下部走行体1120と、作業機1130と、旋回機構1140と、シリンダ1160とを備えている。
上部旋回体1110は、下部走行体1120の上部に旋回機構1140を介して旋回可能に取り付けられる車体の一部であり、オペレータが運転を行うための運転室1111が備えられている。運転室1111には運転室1111を外部と仕切り開閉可能とされたドア13が備え付けられている。ドア13は、物理鍵により施錠可能に構成されている。運転室1111には、建設機械1000を操作するための各種操作部173が備えられている。
上部旋回体1110は、建設機械1000の高さ方向に平行な回転軸を中心に、下部走行体1120に対して旋回する。上部旋回体1110は、例えば、エンジン等を含む油圧装置を収容している。下部走行体1120は、例えば、図示を省略する油圧モータによって駆動される履帯1121を備え、制御装置の制御の下で建設機械1000を走行させる。
作業機1130は、例えば、上部旋回体1110の前部に設けられ、シリンダ1160によって駆動されて掘削作業などの作業を行う。作業機1130は、例えば、ブーム1131と、アーム1132と、バケット1133とを有する。旋回機構1140は、図示を省略する油圧モータ又は電動モータを有し、制御装置の制御の下、建設機械1000の高さ方向に平行な回転軸を中心に、上部旋回体1110を下部走行体1120に対して旋回させる。
図11を参照して、第4の実施の形態に係る具体的なハードウェア構成について説明する。図11に示すように、ICT施工ショベルである建設機械1000は、GPS受信機105A、受信局101、ICT施工コントローラ1203、無線解析部102、データ解析部103、駆動用アクチュエータ1206、運転者用操作インタフェース1207、運転者用出力モニタ1208、警報装置1209で構成され得る。前述の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付しているので、以下では重複する説明は省略する。
駆動用アクチュエータ1206は、ICT施工コントローラ1203からの指示を受け、図10に示すアーム1132、バケット1133、旋回機構1140、その他の機械的な制御を実行する。運転者用操作インタフェース1207は、運転者からの設定入力を受け付ける。運転者用出力モニタ1208は、測量精度劣化要因を可視化して出力する。警報装置1209は、測量精度劣化要因を音情報に置換して出力する。
この構成において、ICT施工ショベルとして高精度な測量を行う事ができる。また測量の精度劣化が発生した場合には、前述した処理によってその原因を識別し、運転者に情報を提示することで、運転者は対策と復旧を速やかに行うことができる。それにより、施工作業の効率を向上することができる。
[その他]
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
St…人工衛星
10…基準局
100、100A、100B…移動局(測量装置)
101…受信局
102…無線解析部
103…データ解析部
104…ユーザインタフェース
105、105A…GPS受信機
200…リモートコントローラ
201…コントローラ用送受信局
202…ユーザインターフェース
203…制御部
1110…上部旋回体
1120…下部走行体
1130…作業機
1140…旋回機構
1160…シリンダ
1206…駆動用アクチュエータ
1207…運転者用操作I/F
1208…運転者用出力モニタ
1209…警報装置

Claims (6)

  1. 基準局と無線通信を行う受信局と、
    前記無線通信の状態を解析する無線解析部と、
    前記受信局及び前記無線解析部の出力に基づきデータ解析を行うデータ解析部と、
    前記データ解析の判定結果を出力するユーザインタフェースと
    を備え、
    前記無線解析部は、
    前記無線通信により受信される信号のスペクトル分析を行い、
    該信号のスペクトルが、前記受信局が受信すべき所望信号のスペクトルと類似しているか否かを判定し、
    前記信号のスペクトルが前記所望信号のスペクトルと類似していると判定される場合は、該信号の電力を前記所望信号の電力として出力し、
    前記信号のスペクトルが前記所望信号のスペクトルと類似していないと判定される場合は、該信号の電力を雑音信号の電力として出力し、
    前記データ解析部は、
    前記所望信号の電力が閾値以下の場合は、測位劣化の要因を前記所望信号の強度劣化と判定し、
    前記雑音信号の電力が閾値以上の場合は、測位劣化の要因を前記雑音信号が過大であることと判定し、
    前記雑音信号の電力が閾値未満の場合は、測位劣化の要因を装置の故障であると判定する
    ことを特徴とする測量装置。
  2. 前記無線解析部は、スペクトル分析を行うスペクトル分析時間を予め設定するとともに、前記所望信号の周波数スペクトル幅を予め設定し、信号の受信を前記スペクトル分析時間の間実行してスペクトル分析を行うよう構成され、
    信号受信を予め設定した時間の間行い、受信信号のスペクトル分析処理を実施し、分析したスペクトルの周波数幅が予め設定したスペクトル幅に一致又は近似している場合は、前記所望信号の電力値を計算して出力し、
    分析したスペクトルの周波数幅が予め設定したスペクトル幅に一致又は近似していない場合は、前記雑音信号の電力値を計算して出力する
    ことを特徴とする請求項1に記載の測量装置。
  3. 人工衛星から電波を受信するGPS受信機と、
    基準局と無線通信を行って補正信号を受信する受信局と、
    前記無線通信の状態を解析する無線解析部と、
    前記受信局及び前記無線解析部の出力に基づきデータ解析を行うデータ解析部と、
    前記データ解析の判定結果を出力するユーザインタフェースと
    を備え、
    前記無線解析部は、
    前記無線通信により受信される信号のスペクトル分析を行い、
    該信号のスペクトルが、前記受信局が受信すべき補正信号のスペクトルと類似しているか否かを判定し、
    前記信号のスペクトルが前記補正信号のスペクトルと類似していると判定される場合は、該信号の電力を前記補正信号の電力として出力し、
    前記信号のスペクトルが前記補正信号のスペクトルと類似していないと判定される場合は、該信号の電力を雑音信号の電力として出力し、
    前記データ解析部は、
    (I)前記GPS受信機から得られた信号に基づいて得られる測位結果が劣化していない場合は、測位結果を出力し、
    (II)前記測位結果が劣化している場合において、
    (a)前記補正信号の電力が閾値以下の場合は、測位劣化の要因を前記補正信号の強度劣化と判定し、
    (b)前記雑音信号の電力が閾値以上の場合は、測位劣化の要因を前記雑音信号であると判定し、
    (c)前記雑音信号の電力が閾値未満の場合は、測位劣化の要因を装置の故障であると判定する
    ことを特徴とする測量装置。
  4. 前記データ解析部は、前記測位結果が劣化しているが、前記受信局から補正信号を受信できる場合は、測位劣化要因を衛星品質と判定する、請求項3に記載の測量装置。
  5. 移動局としての測量装置を制御するリモートコントローラを更に備え、
    前記リモートコントローラは、前記データ解析部での解析結果を、前記測量装置及び前記リモートコントローラに設けられた送受信局を介して受信し、前記ユーザインタフェースにより提示することが可能に構成された、請求項3に記載の測量装置。
  6. 請求項1の測量装置を含むICT施工ショベルであって、
    運転者に対し前記データ解析部の解析結果を提示すると共に、運転者からの各種指示を受け付ける運転者用操作インタフェースと、
    運転者に対し警報を発する警報装置と
    を備えた、ICT施工ショベル。
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