以下、添付図面を参照しながら本発明の第1~第6実施形態について説明する。
[共通構成]
先ず、各実施形態に共通する構成について説明する。
図1は、各実施形態に共通する発電機制御装置(コントローラ60)を備えたハイブリッド車両10の概略構成を説明する図である。
図示のように、ハイブリッド車両10は、該ハイブリッド車両10を駆動する走行モータ20と、走行モータ20に電力を供給可能なバッテリ30と、バッテリ30に供給する電力を生成する発電機としてのSOFCシステム40と、外部電源からの電力を用いてバッテリ30を充電する充電器としての車載充電器50と、SOFCシステム40及び車載充電器50の動作を制御するコントローラ60と、を備える。
走行モータ20は、三相交流モータで構成されており、主としてバッテリ30からの電力供給を受け、ハイブリッド車両10の駆動力を生成する。なお、走行モータ20は、走行状態(例えば回生ブレーキの作動状態)に応じて発電機として機能し、バッテリ30に回生電力を供給する。
また、走行モータ20には、主としてバッテリ30から供給される直流電力を交流電力に変換する一方で、当該走行モータ20で発電した交流の回生電力を直流電力に変換するモータインバータ20aが設けられている。
バッテリ30は、リチウムイオン二次電池等の二次電池で構成される。以下、バッテリ30に蓄えられている電力量を「バッテリ電力量C」とも称する。
SOFCシステム40は、発電源としてのSOFC(固体酸化物形燃料電池:solid oxide fuel cell)と、SOFCに改質燃料ガス及び酸化ガスを供給するための改質器及びエアブロアと、SOFC及び改質器などを所望の動作温度に暖機するための燃焼器等の加熱装置と、SOFCの出力電力を制御するコンバータ等の電力変換器と、を含む。そして、これらSOFCシステム40のアクチュエータ類は、コントローラ60により操作される。
車載充電器50は、外部接続ポート52を介して図示しない外部電源から供給される充電電力をバッテリ30に供給する充電回路により構成される。
コントローラ60は、中央演算装置(CPU)などの演算・制御装置、読み出し専用メモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RΑM)などの記憶装置、及び入出力インターフェース(I/Oインターフェース)などの入出力装置を備えたコンピュータで構成され、後述する各実施形態における処理を実行可能となるようにプログラムされている。なお、コントローラ60は一つの装置として構成されていても良いし、複数の装置に分けられ、各処理を当該複数の装置で分散処理するように構成されていても良い。
特に、コントローラ60は、ハイブリッド車両10の乗員などから入力される走行計画に基づいて、SOFCシステム40の動作(起動、停止、及び出力など)を制御する。
図2は、走行計画の具体的な内容を説明する表である。
図示のように、走行計画には、ハイブリッド車両10に設定される走行予定、及び停車中に実行が予定される外部電源によるバッテリ30への充電(以下、単に「外部充電」とも称する)に関する外部充電予定を含む。
先ず、走行予定には、走行計画が進行する時刻に応じた車両の走行期間(トリップ)及び停車期間、及び消費電力量の情報が含まれる。これら情報は、ユーザ等により予め指定される1又は複数の走行ルート、当該走行ルートにおける出発地から目的地までの走行経路、走行距離、道路情報(勾配、渋滞状況、及びプローブ交通情報)、出発時刻、及び目的地への到着時刻などにより定まる。
なお、以下の説明では、走行計画に複数のトリップが含まれることを想定して、全てのトリップ(合計の数をIとする)を時刻順に、トリップ1、トリップ2・・・、トリップIと称する。また、これらの中の任意の一つについて説明する場合には、「トリップi」(1≦i≦I)と記載する。これに応じて、走行計画に含まれる複数の停車期間を時刻順に、停車予定0、停車期間1・・・停車予定I-1と称する。また、これらの中の任意の一つについて説明する場合には、「停車期間k」(0≦k≦I-1)と記載する。したがって、トリップiの直前における停車時間帯(外部充電が実行され得る時間帯)は「停車期間i-1」となる。
また、ユーザ等により走行ルートの指定は、例えばハイブリッド車両10に搭載されるカーナビゲーションシステム又はスマートフォン等の所定の端末機器への入力情報に基づいて、ハイブリッド車両10内の任意の記憶領域又は外部サーバから取得可能な地図情報を用いて適宜定めることができる。
さらに、外部充電予定には、外部充電が予定される停車期間k(0≦k≦I-1)における予定の充電電力量(以下、「予定外部充電電力量Wpo_k」とも称する)が含まれる。
なお、予定外部充電電力量Wpo_kは、ユーザ等が指定する充電スタンド等の外部電源を備える充電設備及び充電時間から求めることができる。すなわち、コントローラ60は、例えば、ユーザ等が指定する充電設備の充電能力(充電可能電力)と充電時間の積により予定外部充電電力量Wpo_kを求めることができる。
そして、本実施形態において、コントローラ60は、図2に示す走行計画を自身の記憶装置又は所定の方式で通信可能な外部サーバに構成される走行計画データベースに記憶させる。そして、コントローラ60は、ユーザ等による新たな目的地の入力などの走行計画の変更が指定された場合、或いは当該走行計画データベースに既に走行予定時刻を過ぎているなどの古いトリップが含まれる場合などの走行計画データベースの更新が必要な場合には、これを適宜実行する。
上記前提構成の下、各実施形態に係るSOFCシステム制御方法の詳細について説明する。
[第1実施形態]
図3は、本実施形態におけるSOFCシステム制御方法を説明するフローチャートである。なお、コントローラ60は、本フローチャートに係る処理を所定の演算周期で繰り返し実行する。
ステップS100において、コントローラ60は、走行計画データベースから走行計画を読み出す。
ステップS200において、コントローラ60は得られた走行計画に基づいて、ハイブリッド車両10のトリップiの走行により消費される電力である予定消費電力Pcp_iを演算する。具体的に、コントローラ60は、ハイブリッド車両10のトリップiの道路情報などに基づいてトリップiの走行におけるハイブリッド車両10の平均電費を定める。そして、この平均電費にトリップiにおける走行距離を乗じて得られる消費電力量を当該トリップiにおける走行時間で除することで予定消費電力Pcp_iを求める。なお、各トリップ1~iにおけるハイブリッド車両10の平均電費のバラつきが無視できる場合(全トリップ1~iにおいて平均電費が略一定である場合)には、平均電費に全てのトリップ1~iの合計走行距離を乗じて得られる全消費電力量をトリップ1~iの合計走行時間で除した平均消費電力を予定消費電力Pcp_iとしても良い。
次に、ステップS300において、コントローラ60は推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)を演算する。ここで、推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)とは、トリップiの走行以前に予定されている外部充電が実行されることを前提として、SOFCシステム40の発電による充電を考慮しない場合における時刻tのバッテリ30の充電電力量の推定値を表す関数である。
具体的に、コントローラ60は、以下の式(1)に基づいて、走行計画の進行中における時刻tの推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)を演算する。
なお、式(1)中の「tis」はトリップiの開始時刻、「tie」はトリップiの完了時刻を表す。また、i=1のときの推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)の値、すなわちCb_1(t1s)は、走行計画の実行開始時におけるバッテリ電力量C(初期電力量)である。また、式(1)中の「Σk=0
i-1Wpo_k」はトリップiの直前の停車期間i―1までにおける予定外部充電電力量Wpo_kの総和である。さらに、右辺第3項及び第4は、走行計画の実行開始時t1sから時刻t(t≧tis)までにおいて走行により消費される総電力量に相当する。
次に、ステップS400において、コントローラ60は、推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)が予め設定される所定の下限閾値C_th未満となり得るか否かを判定する。ここで、下限閾値C_thは、バッテリ電力量Cの不足を回避する観点から許容され得る下限値であり、例えば0[kWh]などに設定される。
コントローラ60は、推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)が下限閾値C_th未満にならないと判断すると本処理を終了する。すなわち、この場合、本走行計画においては、SOFCシステム40による発電を実行せずとも、バッテリ電力量Cが不足しないものと推定し、本走行計画中においてSOFCシステム40を起動させないようにする。
一方、コントローラ60は、推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)が下限閾値C_th未満となり得ると判断すると、ステップS500の処理に移行する。
ステップS500において、コントローラ60は、第1SOFC運転設定処理を実行する。
図4は、第1SOFC運転設定処理の内容を説明するフローチャートである。
ステップS510において、コントローラ60は、推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)の基本電力量最小値Cbmを演算する。ここで、基本電力量最小値Cbmとは、推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)を変数i及び変数tの関数とみた場合の最小値である。すなわち、基本電力量最小値Cbmは、走行計画における全てのトリップ1~Iにおける推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)の値の中で最も低い値である。
そして、上述のステップS400の判定において、走行計画中において推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)が下限閾値C_th未満となり得ると判断されていることから、この基本電力量最小値Cbmは下限閾値C_th未満となる。
なお、以下では、推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)がこの基本電力量最小値Cbmとなる時刻を「最小到達時刻Tcm」と称する。
特に、推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)は、ハイブリッド車両10が走行しているトリップ中において単調減少し停車期間中には実質的に減少しないことが想定される。このため、最小到達時刻Tcmはトリップ1~Iの何れかの終了時刻と実質的に一致する。以下では、最小到達時刻Tcmがトリップiにおける終了時刻tieと実質的に一致するものとする。
次に、ステップS520において、コントローラ60は、第1発電開始時刻TGs1を設定する。
ここで、第1発電開始時刻TGs1は、推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)を下限閾値C_th以上とするように増大させる観点から定まるSOFCシステム40の発電の開始時刻である。
具体的に、先ず、コントローラ60は、SOFCシステム40の発電開始時刻tGs、及び走行計画の進行中の時刻tにおけるSOFCシステム40の発電電力量WG(t)の関係を以下の式(2)のように設定する。
なお、式(2)中の「tGe」は、SOFCシステム40の発電を停止する時刻(以下、「発電停止時刻tGe」と称する)を意味する。また、「PG」はSOFCシステム40に設定される出力に応じた発電電力を意味する。特に、本実施形態では発電電力PGを、SOFCシステム40の運転点がエネルギー効率の観点から最適となるような値(以下、「基本値Pb」とも称する)に設定する。
また、コントローラ60は、以下の式(3)のように、推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)にSOFCシステム40の発電分を加算した補正値である第1推定バッテリ電力量C1_i(t)を演算する。
そして、コントローラ60は、さらに、式(2)及び式(3)を用いて、第1推定バッテリ電力量C1_i(t)が変数tに対して下限閾値C_th以上に維持されるような発電開始時刻tGsの値を決定する。
特に、コントローラ60は、最小到達時刻Tcmにおける第1推定バッテリ電力量C1_i(t)の値、すなわち「C1_i(Tcm)」が下限閾値C_th以上となるように、第1発電開始時刻TGs1を定める。言い換えると、基本電力量最小値Cbmが下限閾値C_thと略一致するように、第1発電開始時刻TGs1を定める。より詳細には、コントローラ60は、式(2)及び式(3)に対してC1_i(Tcm)=C_thという条件を適用したときの発電開始時刻tGsの値が第1発電開始時刻TGs1であるものとして、当該第1発電開始時刻TGs1を演算する。
具体的に、コントローラ60は、式(2)及び式(3)に対してC1_i(Tcm)=C_thを適用して以下の式(4)及び式(5)を得る。
そして、コントローラ60は、上記式(4)及び式(5)を変形した以下の式(6)に基づき第1発電開始時刻TGs1を演算する。
次に、ステップS530において、コントローラ60は、発電停止時刻tGeを最小到達時刻Tcmと一致する第1発電停止時刻TGe1に設定する。これにより、バッテリ電力量Cを下限閾値C_th以上に維持しつつ、SOFCシステム40の運転時間をできるだけ短くするように発電を停止することができる。
次に、ステップS540において、コントローラ60は、第1暖機開始時刻Tws1を演算する。ここで、第1暖機開始時刻Tws1とは、SOFCシステム40において発電が可能となるまでに要求される暖機時間を考慮して、上記第1発電停止時刻TGe1において暖機が完了してSOFCシステム40が開始されるように設定されるシステム起動指令タイミングである。
具体的に、コントローラ60は、ステップS530で定めた第1発電開始時刻TGs1から、SOFCシステム40の特性に応じて定まる要求暖機時間を減算して第1暖機開始時刻Tws1_iを定める。
図3に戻り、コントローラ60はステップS500の処理を終了すると、ステップS600の処理を実行する。
ステップS600において、コントローラ60は、外部充電判定処理を実行する。
図5は、外部充電判定処理の内容を説明するフローチャートである。
図示のように、先ずステップS610において、コントローラ60は、外部電源による充電を行うための外部充電操作の有無を判定する。
より詳細には、コントローラ60は、外部充電が予定されている停車期間i-1の開始時点から予め設定される充電検知時間が経過するまでに、ハイブリッド車両10の外部接続ポート52へ充電インターフェースのアクセス(充電ガンの挿入や非接触充電信号の受信など)を検知する処理を行う。
そして、コントローラ60は、充電検知時間の間に充電インターフェースのアクセスを検知すると、ステップS620の処理に移行する。ステップS620において、コントローラ60は外部充電実行フラグをONにした後に本処理を終了する。
一方、コントローラ60は、充電検知時間の間に充電インターフェースのアクセスを検知したかった場合は、ステップS630の処理に移行する。ステップS630において、コントローラ60は外部充電実行フラグをOFFにした後に本処理を終了する。
なお、上記ステップS610における充電インターフェースのアクセスの検知の有無の判定を、上述した停車期間i-1の開始時点から充電検知時間の経過までの間継続的に行う態様に代えて、又はこれとともに走行計画の外部充電予定に含まれる予定充電開始時刻を経過したタイミングで実行するようにしても良い。
図3に戻り、コントローラ60はステップS600の処理を終了すると、ステップS700の処理を実行する。
ステップS700において、コントローラ60は、外部充電実行フラグがONであるか否かを判定する。
そして、コントローラ60は、外部充電実行フラグがONである場合には本ルーチンを終了する。すなわち、この場合、予定されていた外部充電が実際に実行されたものとみなされ、外部充電が実行されることを前提として設定された上述の第1暖機開始時刻Tws1_i、第1発電開始時刻TGs1、及び第1発電停止時刻TGe1_iを維持する。したがって、この場合、コントローラ60は第1発電開始時刻TGs1及び第1発電停止時刻TGe1_iに基づいて、トリップi中におけるSOFCシステム40の運転制御(特に起動及び停止の制御)を行う。
一方、コントローラ60は、外部充電実行フラグがONではないと判断すると、ステップS800の処理に移行する。
ステップS800において、コントローラ60は、第2SOFC運転設定処理を実行する。
図6は、第2SOFC運転設定処理の内容を説明するフローチャートである。先ずステップS810において、コントローラ60は、上述した第1推定バッテリ電力量C1_i(t)に対して、予定されていた停車期間i-1における外部充電が実行されないことによる電力減少分(すなわち、予定外部充電電力量Wpo_i-1)を反映した第2推定バッテリ電力量C2_i(t)を演算する。
すなわち、コントローラ60は、以下の式(7)に基づいて第2推定バッテリ電力量C2_i(t)を演算する。
ステップS830において、コントローラ60は、第2発電開始時刻TGs2を演算する。具体的に、コントローラ60は、式(7)で定まる第2推定バッテリ電力量C2_i(t)が、トリップiに係るtis≦t≦tieの時間帯の間で下限閾値C_th以上となるようなSOFCシステム40の発電開始時刻tGsを第2発電開始時刻TGs2として演算する。
特に、コントローラ60は、予定されていた外部充電が実行されない停車期間i-1の次のトリップiにおいて、時刻t=tieの第2推定バッテリ電力量C2_i(t)の値(すなわち、トリップiにおける最小値)が下限閾値C_thと略一致するような発電開始時刻tGsを第2発電開始時刻TGs2として演算する。
具体的に、コントローラ60は、以下の式(8)から第2発電開始時刻TGs2を演算する。
式(8)において、未知数は「TGs2」のみである。したがって、コントローラ60は、式(8)に基づいて第2発電開始時刻TGs2を求めることができる。そして、コントローラ60は、第2発電開始時刻TGs2_iから、SOFCシステム40の要求暖機時間を減算して第2暖機開始時刻Tws2を求めることができる。
ステップS840において、コントローラ60は、新たな発電停止時刻tGeとしての第2発電停止時刻TGe2を演算する。具体的に、コントローラ60は、第2発電停止時刻TGe2をトリップiの終了時刻tieとする。
次に、ステップS850において、コントローラ60は、第2暖機開始時刻Tws2を演算する。ここで、第2暖機開始時刻Tws2とは、SOFCシステム40において発電が可能となるまでに要求される暖機時間を考慮して、上記第2発電停止時刻TGe2において暖機が完了してSOFCシステム40が開始されるように設定されるシステム起動指令タイミングである。
具体的に、コントローラ60は、ステップS830で定めた第2発電開始時刻TGs2_iから、SOFCシステム40の要求暖機時間を減算して第2暖機開始時刻Tws2を求める。
図3に戻り、コントローラ60は、ステップS800を終了すると本ルーチンを完了する。そして、コントローラ60は、設定した第2暖機開始時刻Tws2、第2発電開始時刻TGs2、及びに第2発電停止時刻TGe2に基づいて、トリップi中におけるSOFCシステム40の運転制御(特に起動及び停止の制御)を行う。
これにより、上述のようにある停車期間i-1で予定されていた外部充電が実行されない場合においても、次のトリップiにおいてバッテリ電力量Cが不足しないように、SOFCシステム40の運転を制御することができる。
以上説明した構成を有する本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、走行モータ20と、走行モータ20に電力を供給可能なバッテリ30と、バッテリ30に供給する発電電力を生成する発電機としてのSOFCシステム40と、外部電源からの電力を用いてバッテリ30を充電する充電器としての車載充電器50と、を備えるハイブリッド車両10で実行される発電機制御方法としてのSOFCシステム制御方法が提供される。
このSOFCシステム制御方法では、ハイブリッド車両10に設定される走行予定(トリップi)、及び停車中(停車期間i-1)に実行が予定される外部充電に関する外部充電予定を含む走行計画を取得し(図3のステップS100)、走行予定及び外部充電予定に基づいて、走行計画が進行している過程のハイブリッド車両10のバッテリ電力量の基本値である推定基本バッテリ電力量を演算する(図3のステップS300)。さらに、推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)に対してSOFCシステム40の発電電力量WG(t)を加算した第1推定バッテリ電力量C1_i(t)が所定の下限閾値C_th以上に維持されるようにSOFCシステム40の第1発電開始時刻TGs1を演算する(ステップS520)。
そして、第1推定バッテリ電力量C1_i(t)に対して、予定されていた外部充電が実行されない場合の減少分を反映した第2推定バッテリ電力量C2_i(t)を演算し(図6のステップS810)、第2推定バッテリ電力量C2_i(t)が下限閾値C_th以上に維持されるように、第1発電開始時刻TGs1よりも前の第2発電開始時刻TGs2を設定する(ステップS820)。そして、第2発電開始時刻TGs2において発電が開始されるように、SOFCシステム40を制御する。
これにより、走行計画に含まれる特定のトリップiの開始前に予定されていた外部充電が何らかの理由により実行されない場合であっても、これを補うようにSOFCシステム40を起動させてバッテリ30の充電量不足の発生を抑制することができる。すなわち、車載のSOFCシステム40及び外部電源の双方からバッテリ30への充電が可能なハイブリッド車両10において、予め定められる走行計画の進行中におけるバッテリ電力量Cをより好適に維持することができる。
また、本実施形態によれば、予定されている外部充電が実際に実行されたか否かを判定し(図5のステップS610)、外部充電が実行された場合には第1発電開始時刻TGs1においてSOFCシステム40の発電を開始し(図3のステップS700のYes)、外部充電が実行されない場合には第2発電開始時刻TGs2_iにおいてSOFCシステム40の発電を開始する(図3のステップS700のNo及びステップS800)。
これにより、上述した予定されていた外部充電が実行されない場合のバッテリ電力量Cの不足を抑制することができる一方、外部充電が予定通り実行される場合には、当該外部充電分が考慮された本来の第1発電開始時刻TGs1においてSOFCシステム40の発電を開始させることができる。すなわち、予定されていた外部充電の実際の実行の有無に応じた適切なタイミングでSOFCシステム40の発電を開始させて、走行計画の進行中におけるバッテリ電力量Cをより適切な範囲に維持することができる。
さらに、本実施形態では、バッテリ30に供給する発電電力を生成する発電機は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を発電源として作動させる燃料電池システムとしてのSOFCシステム40により構成される(図1参照)。そして、SOFCシステム40の暖機に要求される要求暖機時間に基づいて、SOFCシステム40の発電が第2発電開始時刻TGs2において開始されるように、上記暖機を開始する時刻(第2暖機開始時刻Tws2)を設定する(図6のステップS840)。
これにより、発電機として比較的動作温度の高いSOFCを発電源とすることで、SOFC及び改質器等の周辺構成の暖機に一定以上の時間を要するSOFCシステム40を用いる場合において、より確実にSOFCシステム40の発電を目標の第2発電開始時刻TGs2において開始することができる。
さらに、本実施形態では、SOFCシステム制御方法を実行するために好適な発電機制御装置(コントローラ60)が提供される。
この発電機制御装置としてのコントローラ60は、走行モータ20と、走行モータ20に電力を供給可能なバッテリ30と、バッテリ30に供給する発電電力を生成する発電機としてのSOFCシステム40と、外部電源からの電力を用いてバッテリ30を充電する充電器としての車載充電器50と、を備えるハイブリッド車両10においてSOFCシステム40を制御する。
特に、コントローラ60は、ハイブリッド車両10に設定される走行予定(トリップi)、及び停車中(停車期間i-1)に実行が予定される外部充電に関する外部充電予定を含む走行計画を取得する走行計画取得部(図3のステップS100)と、走行予定及び外部充電予定に基づいて、走行計画が進行している過程のハイブリッド車両10のバッテリ電力量の基本値である推定基本バッテリ電力量を演算する基本バッテリ電力量演算部と、を有する(図3のステップS300)。さらに、コントローラ60は、推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)に対してSOFCシステム40の発電電力量WG(t)を加算した第1推定バッテリ電力量C1_i(t)が所定の下限閾値C_th以上に維持されるようにSOFCシステム40の第1発電開始時刻TGs1を演算する第1発電開始時刻設定部を有する(ステップS520及び式(6))。
また、コントローラ60は、第1推定バッテリ電力量C1_i(t)に対して、予定されていた外部充電が実行されない場合の減少分を反映した第2推定バッテリ電力量C2_i(t)を演算する第2推定バッテリ電力量演算部(図6のステップS810)と、第2推定バッテリ電力量C2_i(t)が下限閾値C_th以上に維持されるように、第1発電開始時刻TGs1よりも前の第2発電開始時刻TGs2を設定する第2発電開始時刻設定部と、を有する(ステップS830及び式(8))。そして、コントローラ60は、第2発電開始時刻TGs2において発電が開始されるように、SOFCシステム40を制御する発電機制御部を備える。
これにより、本実施形態の発電機制御方法を実行するための好適な制御構成(プログラム構成)が実現される。
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図7は、本実施形態におけるSOFCシステム制御方法を説明するフローチャートである。
本実施形態においても、コントローラ60は、第1実施形態と同様に、ステップS100~ステップS500までの処理を実行する。一方、本実施形態では、コントローラ60は、ステップS500の第1SOFC運転設定処理の後に、上述の外部充電判定処理を経ることなく、ステップS800の第2SOFC運転処理を実行する。
すなわち、本実施形態では、予定されていた外部充電が実際に実行されるか否かにかかわらず、当該外部充電が実行されないことを想定して第2SOFC運転処理を実行することとなるため、走行計画中におけるバッテリ電力量Cの不足がより確実に防止される。
図8は、本実施形態の第2SOFC運転設定処理を説明するフローチャートである。
図示のように、先ずステップS810において、コントローラ60は、第1実施形態と同様に式(7)の第2推定バッテリ電力量C2_i(t)を演算する。
次に、ステップS820において、コントローラ60は、第1補正最小値C1cmを演算する。ここで、第1補正最小値C1cmは、第2推定バッテリ電力量C2_i(t)を変数i及び変数tの関数とみた場合の最小値である。すなわち、第1補正最小値C1cmは、走行計画における全てのトリップ1~Iにおける第2推定バッテリ電力量C2_i(t)の値の中で最も低い値である。
特に、第2推定バッテリ電力量C2_i(t)は、予定されていた停車期間i-1における外部充電が実行されない場合の電力減少分(すなわち、予定外部充電電力量Wpo_i-1)の違いを除いて、第1推定バッテリ電力量C1_i(t)とほぼ同一の関数形となる。このため、第2推定バッテリ電力量C2_i(t)も、推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)や第1推定バッテリ電力量C1_i(t)と同じ最小到達時刻Tcmにおいて最小値である第1補正最小値C1cmをとる。
次に、ステップS830において、コントローラ60は、第2発電開始時刻TGs2を設定する。
本実施形態の第2発電開始時刻TGs2は、予定されていた停車期間i-1における外部充電が実行されない場合であっても、実際のバッテリ電力量Cが下限閾値C_th以上に維持されるようにする観点から定められるSOFCシステム40の発電開始時刻tGsの値である。
特に、コントローラ60は、上記ステップS520で説明した第1発電開始時刻TGs1を設定するロジックと同様の考え方により、第1補正最小値C1cmが下限閾値C_thと略一致するという条件を適用したときの発電開始時刻tGsの値が第2発電開始時刻TGs2であるものとして、当該第2発電開始時刻TGs2を演算する。
具体的に、コントローラ60は、以下の式(9)のように第2発電開始時刻TGs2を演算する。
ステップS840において、コントローラ60は、新たな発電停止時刻tGeとしての第2発電停止時刻TGe2を演算する。具体的に、コントローラ60は、第2発電停止時刻TGe2を最小到達時刻Tcmとする。
そして、コントローラ60は、第1実施形態の場合と同様にステップS850の処理を実行した後、設定した第2暖機開始時刻Tws2、第2発電開始時刻TGs2、及びに第2発電停止時刻TGe2に基づいて、走行計画の進行中におけるSOFCシステム40の起動及び停止を行う。
これにより、予定されていた停車期間i-1における外部充電が実行されない場合においても、全てのトリップ1~Iにおいてバッテリ電力量Cが不足しないように、SOFCシステム40の運転を制御することができる。
次に、本実施形態のSOFCシステム制御方法を適用した結果の一例について説明する。
図9は、SOFCシステム制御方法を適用した場合におけるバッテリ電力量Cの経時変化を示すタイミングチャートである。
図9では、全てのトリップ数が3であり、停車期間1(t1e≦t≦t2s)において予定されていた外部充電が実行されないシーンを想定する。そして、図9においては、第1発電開始時刻TGs1でSOFCシステム40の発電を開始した場合のバッテリ電力量Cの推移を破線で示し、第2発電開始時刻TGs2でSOFCシステム40の発電を開始した場合のバッテリ電力量Cの推移を実線で示す。
また、図10A及び図10Bには、図9で想定されたシーンにおいて、各トリップの開始時及び終了時におけるバッテリ電力量Cの具体的な数値を適用した例を示す。特に図10Aは第1発電開始時刻TGs1でSOFCシステム40の発電を開始した場合の例を示し、図10Bは第2発電開始時刻TGs2でSOFCシステム40の発電を開始した場合の例を示す。また、これら図10A及び図10Bでは、バッテリ電力量Cをバッテリ30の満充電状態に対する百分率(%)で表している。
各図から理解されるように、第1発電開始時刻TGs1でSOFCシステム40の発電を開始した場合には、停車期間1中において予定されていた外部充電が実行されないことに起因して、トリップ2においてバッテリ電力量Cが下限閾値C_th(=0)を下回っている。
これに対して、第2発電開始時刻TGs2でSOFCシステム40の発電を開始した場合、バッテリ電力量Cが全てのトリップ1~3において下限閾値C_th以上に維持される。
以上説明した構成を有する本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態のSOFCシステム制御方法では、走行計画は複数のトリップi(i=1~I)を含み、全てのトリップ1~I中における推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)の最小値としての基本電力量最小値Cbm、及び該基本電力量最小値Cbmに到達する時刻としての最小到達時刻Tcmを演算する(図4のステップS510)。さらに、第1発電開始時刻TGs1を、基本電力量最小値Cbmが下限閾値C_thに略一致するように設定する(式(4)及び式(5))。そして、最小到達時刻Tcmにおける第2推定バッテリ電力量C2_i(t)の値としての第1補正最小値C1cmを演算し(図8のステップS820)、第2発電開始時刻TGs2を、第1補正最小値C1cmが下限閾値C_thに略一致するように設定する(ステップS830及び式(9))。
これにより、ハイブリッド車両10において設定された走行計画が複数のトリップ1~Iを含む場合において、予定されていた停車期間i-1における外部充電が実行されない場合においても、比較的簡易な演算でバッテリ電力量Cが下限閾値C_thを下回る恐れのある最小到達時刻Tcmを特定した上で、このときの第2推定バッテリ電力量C2_i(t)の値である第1補正最小値C1cmを下限閾値C_thまで増加させることのできる第2発電開始時刻TGs2を求めることができる。すなわち、簡易な演算態様によって、複数のトリップ1~Iに亘ってバッテリ電力量Cを下限閾値C_th以上に維持するようなSOFCシステム40の制御態様を実現することができる。
また、本実施形態のSOFCシステム制御方法では、第2発電開始時刻TGs2において発電が開始された場合のSOFCシステム40の発電停止時刻tGeである第2発電停止時刻TGe2を、最小到達時刻Tcmと略一致するように設定する(ステップS830)。
これにより、上述した全てのトリップiに亘ってバッテリ電力量Cを下限閾値C_th以上に維持する機能を実現した上で、SOFCシステム40の運転時間をできるだけ短くすることができる。結果として、SOFCシステム40における発電のための燃料消費をより低減することができる。
[第3実施形態]
以下、第3実施形態について説明する。なお、第1又は第2実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、第2実施形態のSOFCシステム制御方法を前提として、予定されていた停車期間i-1における外部充電が実行されないことを前提して第2推定バッテリ電力量C2_i(t)を演算した状況で、実際には外部充電が実行されるなどの要因でバッテリ電力量Cの推定精度が低下する可能性のあるシーンにおいて、これを回避して好適にSOFCシステム40を制御するための第2運転設定更新処理(図11のステップS900)が実行される。
図11は、第2運転設定更新処理の内容を説明するフローチャートである。なお、以下の処理は、例えば図3のステップS600及びステップS700と同様のロジックによる外部充電操作の検出判定を行い、当該外部充電操作が検出されたことをトリガとして開始される。
先ず、ステップS910において、コントローラ60は、実外部充電電力量Worを取得する。具体的に、コントローラ60は、図示しないSOCセンサにより走行中のバッテリ30の充電電力量の変化を検出し、当該充電電力量の変化から実外部充電電力量Worを推定する。
ステップS920において、コントローラ60は、ステップS900で取得した実外部充電電力量Worに基づいて、第2推定バッテリ電力量C2_i(t)を更新する。
特に、コントローラ60は、第2推定バッテリ電力量C2_i(t)に実外部充電電力量Worを加算して更新後の第2推定バッテリ電力量C´2_i(t)を求める。すなわち、実外部充電電力量Worが検出された場合には、予定されている外部充電が実行されないことを想定して設定された第2推定バッテリ電力量C2_i(t)に対して、当該実外部充電電力量Worを加算した値を新たな第2推定バッテリ電力量C´2_i(t)が設定される。
したがって、更新前の第2推定バッテリ電力量C2_i(t)の第1補正最小値C1cmと更新後の第2推定バッテリ電力量C´2_i(t)の第1補正最小値C´1cmの間には、以下の式(10)の関係が成り立つ。
ステップS930において、コントローラ60は、ステップS800の第2SOFC運転設定処理で設定されたSOFCシステム40の運転設定を更新する。特に、本実施形態では、コントローラ60は、第1補正最小値C´1cmに基づいて第2発電開始時刻TGs2を更新した第2発電開始時刻T´Gs2を演算する。
具体的に、コントローラ60は、上記式(9)に更新後の第2発電開始時刻T´Gs2及び第1補正最小値C´1cmを適用して得られる以下の式(11)に基づいて更新後の第2発電開始時刻T´Gs2を演算する。
ここで、上述の式(10)から理解されるように、更新後の第1補正最小値C´1cmは、検出された実外部充電電力量Worに相当する値分大きくなっている。したがって、式(11)により定まる更新後の第2発電開始時刻T´Gs2は更新前の第2発電開始時刻TGs2よりも大きくなる(遅くなる)。
以上説明した構成を有する本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態のSOFCシステム制御方法では、外部充電によりバッテリ30に供給される実電力量としての実外部充電電力量Worを取得し(図11のステップS910)、充電予定電力量Wopと実外部充電電力量Worの差に基づいて第2推定バッテリ電力量C2_i(t)を更新し(ステップS920)、更新後の第2推定バッテリ電力量C´2_i(t)に基づいてSOFCシステム40を制御する(ステップS930)。
これにより、充電予定電力量Wopに基づいて演算された第2推定バッテリ電力量C2_i(t)を、当該充電予定電力量Wopと実外部充電電力量Worのズレに応じてより実際のバッテリ30の状態が反映された値に更新することができる。
このため、バッテリ電力量Cの推定精度が低下し得るシーンにおいても、実外部充電電力量Worからより高精度の第2推定バッテリ電力量C´2_i(t)を設定し、走行計画の進行中におけるバッテリ電力量Cを好適に維持するようにSOFCシステム40の動作を制御することができる。
特に、本実施形態では、実外部充電電力量Worに基づいて、第2発電開始時刻TGs2を更新する。特に、実外部充電電力量Worに基づいて第2発電開始時刻TGs2を遅らせる(式(10)及び式(11))。
このように、予定されていた外部充電が実行されないことを想定して第2発電開始時刻TGs2を設定していたにもかかわらず実際には外部充電が実行されたシーンにおいて、バッテリ電力量Cが過剰にならないように、SOFCシステム40の運転を制御することができる。
[第4実施形態]
以下、第4実施形態について説明する。なお、第1~第3実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、第2実施形態又は第3実施形態のSOFCシステム制御方法を前提として、発電停止時刻tGeを更新後の第2発電停止時刻T´Ge2に設定する例について説明する。
本実施形態では、コントローラ60は、上記図11に示す第2運転設定更新処理におけるステップS910及びステップS920を同様に実行する。そして、ステップS930において、コントローラ60は、第2発電停止時刻TGe2を更新した第2発電停止時刻T´Ge2を演算する。
ここで、第2発電停止時刻T´Ge2は、発電開始時刻tGsが更新後の第2発電開始時刻T´Gs2に設定されている前提で、バッテリ電力量Cを不足させることなく、SOFCシステム40の発電継続時間をできるだけ短縮させる観点から定められる発電停止時刻tGeである。
具体的に、コントローラ60は、以下の式(12)に基づいて更新後の第2発電停止時刻T´Ge2を演算する。
式(12)から理解されるように、第2発電停止時刻T´Ge2は、第2発電停止時刻TGe2に対して、SOFCシステム40の発電量を実外部充電電力量Wor分減少させる観点から演算される。
図12は、第4実施形態のSOFCシステム制御方法を適用した場合におけるバッテリ電力量Cの経時変化を示すタイミングチャートである。
図12には、予定されていた外部充電の実行された場合において、SOFCシステム40の発電を更新無しの第2発電停止時刻TGe2で停止させる場合のバッテリ電力量Cの推移を点線で示す。一方、SOFCシステム40の発電を更新後の第2発電停止時刻T´Ge2で停止させる場合のバッテリ電力量Cの推移を実線で示す。
図示のように、SOFCシステム40の発電を、予定通り外部充電が実行されないことを想定して設定される第2発電停止時刻TGe2で停止させると、バッテリ電力量Cを下限閾値C_th以上に維持することができる。一方で、この場合、バッテリ電力量Cが最も低下する最小到達時刻Tcmにおいても、当該バッテリ電力量Cが下限閾値C_thを一定値以上の差をもって超えることとなる。
これに対して、本実施形態のようにSOFCシステム40の発電を第2発電停止時刻T´Ge2で停止させる場合には、最小到達時刻Tcmにおけるバッテリ電力量Cが下限閾値C_thと略一致するように、SOFCシステム40の運転が制御されることとなる。
以上説明した構成を有する本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態のSOFCシステム制御方法では、実外部充電電力量Worに基づいて第2発電停止時刻TGe2を更新する。特に、実外部充電電力量Worが大きいほど、第2発電停止時刻TGe2を小さくする(発電停止時刻tGeを早める)。
これにより、走行中のバッテリ電力量Cを好適に維持しつつも、SOFCシステム40の運転時間をできるだけ短くすることができる。結果として、SOFCシステム40の発電における燃料消費量を低減することができる。
[第5実施形態]
以下、第5実施形態について説明する。なお、第1~第4実施形態の何れかと同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、特に、第2~第4実施形態の何れかの構成を前提とし、SOFCシステム40の作動中に、SOFCシステム40の発電電力PGをハイブリッド車両10が実際に消費する電力(実消費電力Pcr)に基づいて調節する発電量調節処理(図13のステップS1000)をさらに実行する。
図13は、本実施形態における発電量調節処理の具体的内容を説明するフローチャートである。なお、本フローチャートにおける各処理は、コントローラ60がSOFCシステム40を起動(暖機開始)させる指令を発したタイミングをトリガとして開始され、SOFCシステム40の作動が停止するまで(少なくとも発電停止時刻tGeまで)の間、所定の演算周期で繰り返し実行される。
先ず、ステップS1010において、コントローラ60は、図3のステップS200で演算した予定消費電力Pcpをメモリなどから取得する。
ステップS1020において、コントローラ60は、ハイブリッド車両10の実消費電力Pcrを計測する。具体的に、コントローラ60は、図示しないSOCセンサを用いて検出されるバッテリ30の実充電電力量の変化量を走行モータ20が消費する電力と推定して、これを実消費電力Pcrとして計測する。
次に、ステップS1030において、コントローラ60は、実消費電力Pcrが予定消費電力Pcpより大きいか否かを判定する。
コントローラ60は、実消費電力Pcrが予定消費電力Pcpより大きいと判断すると、ステップS1040の処理に移行する。
ステップ1040において、コントローラ60は、SOFCシステム40の発電電力PGを増加させる。具体的に、コントローラ60は、既に説明したシステムのエネルギー効率の観点から定まる設定された発電電力PGの基本値Pbに対して、実消費電力Pcrと予定消費電力Pcpの差に相当する電力分を加算した補正発電電力PG_cを設定する。
すなわち、コントローラ60は、以下の式(13)で演算される補正発電電力PG_cを設定する。
一方、コントローラ60は、上記ステップS920において実消費電力Pcrが予定消費電力Pcp以下であると判断した場合には、発電電力PGの補正を行うことなく本処理を完了させる。すなわち、この場合、発電電力PGは基本値Pbに維持される。
以上説明した構成を有する本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態のSOFCシステム制御方法では、走行予定に基づくハイブリッド車両10の消費電力Pcである予定消費電力Pcpを推定し(図13のステップS1010)、発電機としてのSOFCシステム40の作動中にハイブリッド車両10の実消費電力Pcrを計測し(ステップS1020)、予定消費電力Pcpと実消費電力Pcrとの差に基づいて、SOFCシステム40の発電電力PGを調節する(ステップS1040)。
これにより、ハイブリッド車両10の実消費電力Pcrが、予め推定される走行計画の進行中における予定消費電力Pcpを超える場合であっても、これをSOFCシステム40の発電により賄うように発電電力PGを設定することができる。
すなわち、SOFCシステム40の発電電力PGを、基本的にはシステム効率が最適となる基本値PGbに設定しつつも、実消費電力Pcrが想定よりも大きくなるシーンにおいて適宜これを増加させてバッテリ電力量Cの不足をより確実に防止することができる。
なお、上記実施形態では、実消費電力Pcrが予定消費電力Pcpより大きい場合において、発電電力PGを基本値Pbから増加させる例について説明した。しかしながら、これに限られず、例えば、実消費電力Pcrが予定消費電力Pcpよりも小さい場合に、状況に応じて発電電力PGを基本値PGbから減少させる制御を行っても良い。
[第6実施形態]
以下、第6実施形態について説明する。なお、第1~第5実施形態の何れかと同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、図3のステップS800における第2SOFC運転設定処理で設定された第2発電開始時刻TGs2や第2発電停止時刻T´Ge2でSOFCシステム40の発電を開始した場合であっても、走行計画に基づくバッテリ電力量Cが下限閾値C_th未満となり得る場合に発電開始時刻更新処理(図14のステップS1100)を行う。
具体的に、既に説明したように、第2発電開始時刻TGs2は、走行計画に基づく走行中におけるバッテリ電力量Cの推定最小値(第1補正最小値C1cm)が下限閾値C_th以上に維持されるようなSOFCシステム40の発電開始時刻tGsとして演算されるものである。
したがって、SOFCシステム40の発電を第2発電開始時刻TGs2で開始すれば、バッテリ電力量Cが第1補正最小値C1cmに到達する最小到達時刻Tcm以降において、走行計画中のバッテリ電力量Cは下限閾値C_th以上に維持される。
しかしながら、SOFCシステム40の発電を第2発電開始時刻TGs2で開始することを想定した場合であっても、走行計画の進行中における最小到達時刻Tcmより前の時間帯においては、バッテリ電力量Cが下限閾値C_th未満となることが想定される。すなわち、第2発電開始時刻TGs2の演算ロジックでは、最小到達時刻Tcmより前の時間帯におけるバッテリ電力量Cを増大させる要素が含まれないため、当該時間帯においてバッテリ電力量Cが下限閾値C_th未満となる可能性がある。これに対して、本実施形態では、最小到達時刻Tcmより前の時間帯においても、バッテリ電力量Cが下限閾値C_th以上に維持されるように以下で説明する発電開始時刻更新処理が実行される。以下、より詳細に説明する。
図14は、発電開始時刻更新処理の内容を説明するフローチャートである。なお、本実施形態において、コントローラ60は、発電開始時刻更新処理を図3で説明したS800の第2SOFC運転処理の後に実行する。
先ず、ステップS1110において、コントローラ60は、第3補正バッテリ電力量C3_i(t)を演算する。具体的に、コントローラ60は、第2発電開始時刻TGs2でSOFCシステム40の運転を開始する場合におけるバッテリ電力量Cの推定値を第3補正バッテリ電力量C3_i(t)として演算する。
具体的に、コントローラ60は、以下の式(14)に基づいて第3補正バッテリ電力量C3_i(t)を演算する。
次に、ステップS1120において、コントローラ60は、第2補正最小値C2cmを演算する。ここで、第2補正最小値C2cmとは、第2発電開始時刻TGs2よりも前の時間帯における第3補正バッテリ電力量C3_i(t)の最小値である。
ステップS1130において、コントローラ60は、第2補正最小値C2cmが下限閾値C_th未満であるか否かを判定する。
当該判定の結果が否定的である場合、コントローラ60は、本処理を終了する。すなわち、この場合、SOFCシステム40の発電を第2発電開始時刻TGs2で開始させても、走行計画における全てのトリップ1~I中においてバッテリ電力量Cが下限閾値C_th以上に維持されるものと推定し、第2発電開始時刻TGs2をそのまま維持する。
一方、コントローラ60は第2補正最小値C2cmが下限閾値C_th未満であると判断すると、ステップS1140の処理に移行する。
ステップS1140において、コントローラ60は第3発電開始時刻TGs3を設定する。具体的に、コントローラ60は、第2発電開始時刻TGs2を定めた場合と同様の演算ロジックにより、第3補正バッテリ電力量C3_i(t)が第2補正最小値C2cmに到達する時刻(補正最小到達時刻T´cm)において、当該第2補正最小値C2cmが下限閾値C_thに略一致するように第3発電開始時刻TGs3を設定する。
そして、本処理が完了すると、コントローラ60は第3発電開始時刻TGs3において、SOFCシステム40の発電が開始されるように、該SOFCシステム40内の各アクチュエータ類を操作する。
なお、本実施形態のコントローラ60は、発電開始時刻tGsを第3発電開始時刻TGs3に設定した場合においても、発電停止時刻tGeを第2発電停止時刻TGe2に維持する。すなわち、SOFCシステム40の発電をt=TGs3~TGe2の期間で実行する。これにより、第1補正最小値C1cm及び第2補正最小値C2cmの双方が下限閾値C_th以上となるようにSOFCシステム40の動作が制御されることとなるので、より確実に全てのトリップ1~I中におけるバッテリ電力量Cの不足を抑制することができる。
一方で、演算された第3発電開始時刻TGs3が第2発電開始時刻TGs2及び第2発電停止時刻TGe2に対して比較的離れていることで、t=TGs3~TGe2の期間でSOFCシステム40の発電を実行することで当該SOFCシステム40の運転時間が長くなりすぎる場合も想定される。したがって、このような場合には、第3発電開始時刻TGs3で開始するSOFCシステム40の発電を一端停止させる第3発電停止時刻TGe3(例えば、補正最小到達時刻T´cmと一致する時刻)を設定し、更新前の第2発電開始時刻TGs2のSOFCシステム40の発電を再び開始して第2発電停止時刻TGe2において発電を停止させる制御を採用しても良い。
以上説明した構成を有する本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態のSOFCシステム制御方法では、第2発電開始時刻TGs2においてSOFCシステム40による発電を開始する場合のバッテリ30の充電電力量としての第3補正バッテリ電力量C3_i(t)を演算し(図14のステップS1110)、最小到達時刻Tcmよりも前の時間帯における第3補正バッテリ電力量C3_i(t)の最小値としての第2補正最小値C2cmを演算する(ステップS1120)。そして、第2補正最小値C2cmが下限閾値C_th未満であるか否かを判定し(ステップS1130)、判定が肯定的である場合には(ステップS1130のYes)、第2補正最小値C2cmが下限閾値C_thに略一致するように、第2発電開始時刻TGs2よりも前の第3発電開始時刻TGs3を設定する(ステップS1140)。
これにより、走行計画における全てのトリップ1~I中において、バッテリ電力量Cをより確実に下限閾値C_th以上に維持できるように、SOFCシステム40の動作を制御することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記各実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
上記各実施形態では、予定消費電力Pcp_iがトリップiごとには異なることがあるものの、同一のトリップi内においては同一であることを前提して推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)の演算を実行する態様(式(1))について説明した。しかしながら、これに限られず、同一のトリップi内において道路状況などによって走行による消費電力が変動する場合を考慮して、推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)を演算しても良い。すなわち、同一のトリップi内における予定消費電力Pcp_iの変動を考慮するために、これを時間に応じて変化する関数とみなして、以下の式(15)により推定基本バッテリ電力量Cb_i(t)を演算しても良い。
また、上記実施形態では、ハイブリッド車両10に搭載される発電機がSOFCを備えるSOFCシステム40である例について説明した。しかしながら、ハイブリッド車両10に搭載される発電機がSOFCシステム40以外の任意の装置である場合であっても、上記各実施形態の制御方法を同様に適用することができる。
また、上記各実施形態は矛盾しない範囲で任意に組み合わせることができる。
さらに、上記各実施形態で説明した発電機制御方法をコンピュータであるコントローラ60に実行させるための発電機制御プログラム、及び当該発電機制御プログラムを記憶した記憶媒体も、本出願における出願時の明細書等に記載された事項の範囲内に含まれる。