JP7369121B2 - 補体活性を誘発する方法 - Google Patents

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Description

本開示は概して、補体関連障害の治療学の分野に関する。
補体系は自然免疫系の一部である。補体系の主な役割は、抗体および食細胞の能力を「補完」して生物から有害な病原体を除去することである。
補体系は3つの別々の上流の活性化経路を含み、全ては共通の最終経路に収束する。これらの経路の内の下記の2つは、特異的で明確な機序により誘発される:古典経路(CP)は、抗体が抗原に結合する際に関与し、レクチン経路(LP)は、病原体の表面上の炭水化物残基により活性化される。代替経路(AP)は、「APティックオーバー(AP tick-over)」と称される基底レベルで継続的に活性であるという点で独特であり、この代替経路(AP)の活性は、ポジティブフィードバック増幅ループ(positive-feedback amplification loop)を介して、異物性表面および損傷した細胞に基づく様々なシグナルにより大幅に増加する。AP増幅ループの主な駆動源はAP転換酵素(C3bBb)である。この酵素は、チモーゲン因子Bが切断されて分裂生成物fBbが生成される際に形成され、fBbは、表面に結合したC3bと急速に結合して活性酵素C3bBbが形成される。次いで、C3bBbは、中心C3タンパク質の追加の分子を切断し続け、これにより、オプソニン(C3b、iC3b)、アナフィラトキシン(C3aおよびC5a)、ならびに終末溶解性複合体(terminal lytic complex)(MAC;C5b-9)が生成される。
本開示のある特定の態様は、細胞の表面上で補体活性を誘発する方法であって、この細胞と、因子Bbに特異的に結合する抗体(「抗因子B抗体」)の有効量とを接触させることを含み、この抗因子B抗体はC3bBb複合体の解離を阻害する、方法を対象とする。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、因子Bbに加えて因子Bに特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、(i)C3bBb複合体に特異的に結合する、(ii)C3bBb複合体の分解を減少させるか、阻害するか、または防止する、(iii)血清中でC3切断を誘発する、(iv)C3の血清濃度を低下させる、(v)細胞の表面上でC3bの蓄積を誘発する;(vi)血清補体活性の喪失を誘発する、(vii)細胞表面上で細胞膜傷害沈着(membrane attack deposition)を誘発する、および(viii)これらの任意の組合せからなる群から選択される1つまたはそれ以上の特性を有する。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、CD55により媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、因子Hにより媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする。
いくつかの実施形態では、補体活性は、補体により媒介される細胞死である。いくつかの実施形態では、補体活性は代替補体経路である。
いくつかの実施形態では、細胞はインビボ細胞である。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、C3bBb複合体への結合に関して、配列番号7を有する重鎖可変領域および配列番号8を有する軽鎖可変領域を含む参照抗体と競合する。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、因子Bb上の、配列番号7を有する重鎖可変領域および配列番号8を有する軽鎖可変領域を含む参照抗体と同一のエピトープに特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、重鎖可変領域(VH)の相補性決定領域-1(CDR1)、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VH CDR3は、配列番号3を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号3を含む。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VH CDR1は、配列番号1を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号1を含む。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VH CDR2は、配列番号2を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号2を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VL CDR1は、配列番号4を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号4を含む。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VL CDR2は、配列番号5を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号5を含む。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VL CDR3は、配列番号6を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号6を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体のVHは、配列番号7と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体のVLは、配列番号8と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体である。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は二重特異性抗体または多重特異性抗体である。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、細胞死を誘発することにより疾患または状態を処置する。いくつかの実施形態では、この疾患または状態は、がん、感染、または自己免疫疾患を含む。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体を、非経口投与するか、静脈内投与するか、皮下投与するか、皮内投与するか、経皮投与するか、筋肉内投与するか、経口投与するか、眼内投与するか、髄腔内投与するか、腹腔内投与するか、鼻腔内投与するか、口腔投与するか、舌下投与するか、直腸投与するか、経膣投与するか、または肺経路を介して投与する。
本開示のいくつかの態様は、(i)因子Bbに特異的に結合し、C3bBb複合体の解離を阻害する抗原結合ドメイン(「抗因子B結合ドメイン」)と、(ii)組織特異的であるかまたは細胞特異的である第2の抗原結合ドメインとを含む二重特異性抗体を対象とする。いくつかの実施形態では、抗因子B抗体は、因子Bbに加えて因子Bに特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインは、(i)C3bBb複合体に特異的に結合する、(ii)C3bBb複合体の分解を減少させるか、阻害するか、または防止する、(iii)補体活性を誘発する、(iv)血清中でC3切断を誘発する、(v)C3の血清濃度を低下させる、(vi)細胞の表面上でC3bの蓄積を誘発する;(vii)細胞表面上で細胞膜傷害複合体沈着を誘発する、および(viii)これらの任意の組合せからなる群から選択される1つまたはそれ以上の特性を有する。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインは、CD55により媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする。いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインは、因子Hにより媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインは、C3bBb複合体への結合に関して、配列番号7を有する重鎖可変領域および配列番号8を有する軽鎖可変領域を含む参照抗体と競合する。いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインは、因子Bb上の、配列番号7を有する重鎖可変領域および配列番号8を有する軽鎖可変領域を含む参照抗体と同一のエピトープに特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VH CDR3は、配列番号3を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号3を含む。いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VH CDR1は、配列番号1を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号1を含む。いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VH CDR2は、配列番号2を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号2を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VL CDR1は、配列番号4を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号4を含む。いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VL CDR2は、配列番号5を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号5を含む。いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VL CDR3は、配列番号6を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号6を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインのVHは、配列番号7と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインのVLは、配列番号8と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
本開示のいくつかの態様は、(i)本明細書で開示されている二重特異性抗体、および(ii)第3の抗原結合ドメインを含む多重特異性抗体を対象とする。
本開示のいくつかの態様は、本明細書で開示されている抗体、二重特異性抗体、または多重特異性抗体をコードするポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのセットを対象とする。本開示のいくつかの態様は、本明細書で開示されているポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのセットを含むベクターまたはベクターのセットを対象とする。
本開示のいくつかの態様は、細胞の表面上で補体活性を誘発する方法であって、この細胞と、本明細書で開示されている二重特異性抗体または多重特異性抗体の有効量とを接触させることを含む方法を対象とする。いくつかの実施形態では、この補体活性は、補体により媒介される細胞死である。
本開示のいくつかの態様は、それを必要とする対象において細胞死を誘発する方法であって、本明細書で開示されている二重特異性抗体または多重特異性抗体の有効量を投与することを含む方法を対象とする。
本開示のいくつかの態様は、それを必要とする対象において細胞死を誘発することにより疾患または状態を処置する方法であって、本明細書で開示されている二重特異性抗体または多重特異性抗体の有効量を投与することを含む方法を対象とする。
実施形態
E1.細胞の表面上で補体活性を誘発する方法であって、細胞と、因子Bbに特異的に結合する抗体(「抗因子B抗体」)の有効量とを接触させることを含み、抗因子B抗体は、C3bBb複合体の解離を阻害する、前記方法。
E2.抗因子B抗体は、因子Bbに加えて因子Bに特異的に結合する、E1に記載の方法。
E3.抗因子B抗体は、(i)C3bBb複合体に特異的に結合する、(ii)C3bBb複合体の分解を減少させるか、阻害するか、または防止する、(iii)血清中でC3切断を誘発する、(iv)C3の血清濃度を低下させる、(v)細胞の表面上でC3bの蓄積を誘発する;(vi)血清補体活性の喪失を誘発する、(vii)細胞表面上で細胞膜傷害沈着を誘発する、および(viii)これらの任意の組合せからなる群から選択される1つまたはそれ以上の特性を有する、E1またはE2に記載の方法。
E4.抗因子B抗体は、CD55により媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする、E1~E3のいずれか1つに記載の方法。
E5.抗因子B抗体は、因子Hにより媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする、E1~E4のいずれか1つに記載の方法。
E6.補体活性は、補体により媒介される細胞死である、E1~E5のいずれか1つに記載の方法。
E7.補体活性は代替補体経路である、E1~E6のいずれか1つに記載の方法。
E8.細胞はインビボ細胞である、E1~E7のいずれか1つに記載の方法。
E9.抗因子B抗体は、C3bBb複合体への結合に関して、配列番号7を有する重鎖可変領域および配列番号8を有する軽鎖可変領域を含む参照抗体と競合する、E1~E8のいずれか1つに記載の方法。
E10.抗因子B抗体は、因子Bb上の、配列番号7を有する重鎖可変領域および配列番号8を有する軽鎖可変領域を含む参照抗体と同一のエピトープに特異的に結合する、E1~E9のいずれか1つに記載の方法。
E11.抗因子B抗体は、重鎖可変領域(VH)の相補性決定領域-1(CDR1)、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VH CDR3は、配列番号3を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号3を含む、E1~E10のいずれか1つに記載の方法。
E12.抗因子B抗体は、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VH CDR1は、配列番号1を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号1を含む、E1~E11のいずれか1つに記載の方法。
E13.抗因子B抗体は、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VH CDR2は、配列番号2を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号2を含む、E1~E12のいずれか1つに記載の方法。
E14.抗因子B抗体は、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VL CDR1は、配列番号4を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号4を含む、E1~E13のいずれか1つに記載の方法。
E15.抗因子B抗体は、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VL CDR2は、配列番号5を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号5を含む、E1~E14のいずれか1つに記載の方法。
E16.抗因子B抗体は、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VL CDR3は、配列番号6を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号6を含む、E1~E15のいずれか1つに記載の方法。
E17.抗因子B抗体のVHは、配列番号7と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む、E11~E16のいずれか1つに記載の方法。
E18.抗因子B抗体のVLは、配列番号8と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む、E11~E17のいずれか1つに記載の方法。
E19.抗因子B抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体である、E1~E18のいずれか1つに記載の方法。
E20.抗因子B抗体は二重特異性抗体または多重特異性抗体である、E1~E19のいずれか1つに記載の方法。
E21.抗因子B抗体は、細胞死を誘発することにより疾患または状態を処置する、E1~E20のいずれか1つに記載の方法。
E22.疾患または状態は、がん、感染、または自己免疫疾患を含む、E21に記載の方法。
E23.がんは、黒色腫(MEL);腎細胞癌(RCC);肺がん;結腸直腸がん(CRC);前立腺がん;肝がん;頭頸部の扁平上皮癌;食道、卵巣、消化管、および乳房の癌腫;多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/原発性縦隔B細胞リンパ腫、および慢性骨髄性白血病のような血液悪性腫瘍;ならびにこれらの任意の組合せからなる群から選択される、E22に記載の方法。
E24.自己免疫疾患は、多発性硬化症、1型糖尿病(type 1 diabetes)、関節リウマチ、ループス、セリアック病、シェーグレン症候群、多発性筋痛、強直性脊椎炎、円形脱毛症、血管炎、側頭動脈炎、アジソン病、加齢黄斑変性、脱毛症、自己免疫性肝炎(例えば、B型肝炎ウイルス感染と関連する自己免疫性肝炎;C型肝炎ウイルス感染と関連する自己免疫性肝炎)、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性皮膚疾患、自己免疫性甲状腺疾患、水疱性類天疱瘡、セリアック病、寒冷凝集素症、皮膚筋炎、1型糖尿病、グレーブス病、グッドパスチャー症候群、橋本病、副甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症、甲状腺機能低下症、特発性血小板減少性紫斑病、炎症性腸疾患(例えば、クローン病;潰瘍性大腸炎)、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎、視神経脊髄炎、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、多発性筋炎、乾癬、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、ぶどう膜炎、ウェゲナー肉芽腫症および多発性/皮膚筋炎(poly/dermatomyositis)、加齢性自己免疫疾患、加齢黄斑変性、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、アナフィラキシー、嗜銀顆粒性認知症、関節炎(例えば関節リウマチ)、喘息、アテローム性動脈硬化症、非典型溶血性尿毒症症候群、自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、バラケル・サイモンズ症候群、ベーチェット病、英国型アミロイド血管症、水疱性類天疱瘡、バージャー病、Clq腎症、がん、劇症型抗リン脂質抗体症候群、脳アミロイド血管症、寒冷凝集素症、皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、クローン病、クリオグロブリン血症性血管炎、ボクサー認知症、レビー小体型認知症(DLB)、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、円板状エリテマトーデス、ダウン症候群、巣状分節性糸球体硬化症、形式的思考障害、前頭側頭型認知症(FTD)、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia with parkinsonism linked to chromosome 17)、前頭側頭葉変性症、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、ギラン・バレー症候群、ハラーホルデン・スパッツ症候群、溶血性尿毒症症候群、遺伝性血管性浮腫、低フォスファターゼ症(hypophosphastasis)、特発性肺炎症候群、免疫複合体病、封入体筋炎、炎症性疾患、虚血/再灌流傷害、軽度認知障害、免疫性血小板減少性紫斑病(immunothrombocytopenic purpura)(ITP)、A型モリブデン補酵素欠損症(MoCD)、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)I、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)II(デンスデポジット病)、膜性腎炎、多発脳梗塞性認知症、ループス(例えば全身性エリテマトーデス(SLE))、糸球体腎炎、川崎病、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症、多系統萎縮症、重症筋無力症、心筋梗塞、筋緊張性ジストロフィー、視神経脊髄炎、C型ニーマン・ピック病、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患(non-Guamanian motor neuron disease with neurofibrillary tangles)、パーキンソン病、痴呆を伴うパーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、尋常性天疱瘡、ピック病、脳炎後パーキンソニズム、多発性筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症(prion protein cerebral amyloid angiopath)、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、乾癬、敗血症、志賀毒素大腸菌(E coli)(STEC)-HuS、脊髄性筋萎縮症、脳卒中、亜急性硬化性全脳炎、もつれのみの痴呆(Tangle only dementia)、移植拒絶反応、血管炎(例えばANCA関連血管炎)、ウェーグナー肉芽腫症、鎌状赤血球症、クリオグロブリン血症、混合型クリオグロブリン血症、本態性混合型クリオグロブリン血症、II型混合型クリオグロブリン血症、III型混合型クリオグロブリン血症、腎炎、薬物誘発性血小板減少症、ループス腎炎、水疱性類天疱瘡、後天性表皮水疱症、遅発性溶血性輸血反応、低補体血症性蕁麻疹様血管炎症候群、偽水晶体性水疱性角膜症、血小板不応状態、ならびにこれらの任意の組合せからなる群から選択される、E22に記載の方法。
E25.感染は、細菌感染(例えばナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)もしくはストレプトコッカス(Streptococcus))、ウイルス感染(例えばHIV)、真菌感染、寄生生物感染、またはこれらの任意の組合せを含む、E22に記載の方法。
E26.抗因子B抗体を、非経口投与するか、静脈内投与するか、皮下投与するか、皮内投与するか、経皮投与するか、筋肉内投与するか、経口投与するか、眼内投与するか、髄腔内投与するか、腹腔内投与するか、鼻腔内投与するか、頬側投与するか、舌下投与するか、直腸投与するか、経膣投与するか、または肺経路を介して投与する、E1~E25のいずれか1つに記載の方法。
E27.細胞は腫瘍細胞または病原体である、E1~E26のいずれか1つに記載の方法。
E28.細胞は天然細胞である、E1~E27のいずれか1つ記載の方法。
E29.(i)因子Bbに特異的に結合し、C3bBb複合体の解離を阻害する抗原結合ドメイン(「抗因子B結合ドメイン」)と、(ii)組織特異的であるかまたは細胞特異的である第2の抗原結合ドメインとを含む二重特異性抗体。
E30.抗因子B抗体は、因子Bbに加えて因子Bに特異的に結合する、E29に記載の二重特異性抗体。
E31.抗因子B結合ドメインは、(i)C3bBb複合体に特異的に結合する、(ii)C3bBb複合体の分解を減少させるか、阻害するか、または防止する、(iii)補体活性を誘発する、(iv)血清中でC3切断を誘発する、(v)C3の血清濃度を低下させる、(vi)細胞の表面上でC3bの蓄積を誘発する;(vii)細胞表面上で細胞膜傷害複合体沈着を誘発する、および(viii)これらの任意の組合せからなる群から選択される1つまたはそれ以上の特性を有する、E29またはE30に記載の二重特異性抗体。
E32.抗因子B結合ドメインは、CD55により媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする、E29~E31のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E33.抗因子B結合ドメインは、因子Hにより媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする、E29~E32のいずれか1つ記載の二重特異性抗体。
E34.抗因子B結合ドメインは、C3bBb複合体への結合に関して、配列番号7を有する重鎖可変領域および配列番号8を有する軽鎖可変領域を含む参照抗体と競合する、E29~E33のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E35.抗因子B結合ドメインは、因子Bb上の、配列番号7を有する重鎖可変領域および配列番号8を有する軽鎖可変領域を含む参照抗体と同一のエピトープに特異的に結合する、E29~E34のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E36.抗因子B結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VH CDR3は、配列番号3を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号3を含む、E29~E35のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E37.抗因子B結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VH CDR1は、配列番号1を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号1を含む、E29~E36のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E38.抗因子B結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VH CDR2は、配列番号2を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号2を含む、E29~E37のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E39.抗因子B結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VL CDR1は、配列番号4を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号4を含む、E29~E38のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E40.抗因子B結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VL CDR2は、配列番号5を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号5を含む、E29~E39のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E41.抗因子B結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域(VL)のCDR1、CDR2、およびCDR3とを含み、VL CDR3は、配列番号6を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号6を含む、E29~E40のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E42.抗因子B結合ドメインのVHは、配列番号7と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む、E36~E41のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E43.抗因子B結合ドメインのVLは、配列番号8と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む、E36~E42のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E44.キメラであるかまたはヒト化されているE29~E42のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E45.(i)E29~E44のいずれか1つに記載の二重特異性抗体、および(ii)第3の抗原結合ドメインを含む多重特異性抗体。
E46.E29~E44のいずれか1つに記載の二重特異性抗体またはE44に記載の多重特異性抗体を含む組成物。
E47.E29~E44のいずれか1つに記載の二重特異性抗体またはE45に記載の多重特異性抗体をコードする核酸を含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのセット。
E48.E47のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのセットを含むベクターまたはベクターのセット。
E49.ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのセットはプロモーターに作動可能に連結されている、E48に記載のベクターまたはベクターのセット。
E50.E45に記載のポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドのセットまたはE48もしくはE49に記載のベクターもしくはベクターのセットを含む宿主細胞。
E51.二重特異性抗体または多重特異性抗体を産生する方法であって、適切な条件下でE50に記載の宿主細胞を培養することを含む前記方法。
E52.細胞の表面上で補体活性を誘発する方法であって、この細胞と、E29~E44のいずれか1つに記載の二重特異性抗体またはE45に記載の多重特異性抗体の有効量とを接触させることを含む前記方法。
E53.補体活性は、補体により媒介される細胞死である、E52に記載の方法。
E54.補体活性は代替補体経路である、E52またはE53に記載の方法。
E55.細胞はインビボ細胞である、E52~E54のいずれか1つに記載の方法。
E56.それを必要とする対象において細胞死を誘発する方法であって、E29~E44のいずれか1つに記載の二重特異性抗体またはE45に記載の多重特異性抗体の有効量を投与することを含む前記方法。
E57.それを必要とする対象において細胞死を誘発することにより疾患または状態を処置する方法であって、E29~E44のいずれか1つに記載の二重特異性抗体またはE45に記載の多重特異性抗体の有効量を投与することを含む前記方法。
E58.疾患または状態は、がん、および感染、または自己免疫疾患を含むE57に記載の方法。
E59.がんは、黒色腫(MEL);腎細胞癌(RCC);肺がん;結腸直腸がん(CRC);前立腺がん;肝がん;頭頸部の扁平上皮癌;食道、卵巣、消化管、および乳房の癌腫;多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/原発性縦隔B細胞リンパ腫、および慢性骨髄性白血病のような血液悪性腫瘍;ならびにこれらの任意の組合せからなる群から選択される、E58に記載の方法。
E60.感染は、細菌感染(例えばナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)もしくはストレプトコッカス(Streptococcus))、ウイルス感染(例えばHIV)、真菌感染、寄生生物感染、またはこれらの任意の組合せを含む、E59に記載の方法。
E61.自己免疫疾患は、多発性硬化症、1型糖尿病(type 1 diabetes)、関節リウマチ、ループス、セリアック病、シェーグレン症候群、多発性筋痛、強直性脊椎炎、円形脱毛症、血管炎、側頭動脈炎、アジソン病、加齢黄斑変性、脱毛症、自己免疫性肝炎(例えば、B型肝炎ウイルス感染と関連する自己免疫性肝炎;C型肝炎ウイルス感染と関連する自己免疫性肝炎)、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性皮膚疾患、自己免疫性甲状腺疾患、水疱性類天疱瘡、セリアック病、寒冷凝集素症、皮膚筋炎、1型糖尿病(type 1 diabetes mellitus)、グレーブス病、グッドパスチャー症候群、橋本病、副甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症、甲状腺機能低下症、特発性血小板減少性紫斑病、炎症性腸疾患(例えば、クローン病;潰瘍性大腸炎)、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎、視神経脊髄炎、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、多発性筋炎、乾癬、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、ぶどう膜炎、ウェゲナー肉芽腫症および多発性/皮膚筋炎、加齢性自己免疫疾患、加齢黄斑変性、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、アナフィラキシー、嗜銀顆粒性認知症、関節炎(例えば関節リウマチ)、喘息、アテローム性動脈硬化症、非典型溶血性尿毒症症候群、自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、バラケル・サイモンズ症候群、ベーチェット病、英国型アミロイド血管症、水疱性類天疱瘡、バージャー病、Clq腎症、がん、劇症型抗リン脂質抗体症候群、脳アミロイド血管症、寒冷凝集素症、皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、クローン病、クリオグロブリン血症性血管炎、ボクサー認知症、レビー小体型認知症(DLB)、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、円板状エリテマトーデス、ダウン症候群、巣状分節性糸球体硬化症、形式的思考障害、前頭側頭型認知症(FTD)、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症、前頭側頭葉変性症、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、ギラン・バレー症候群、ハラーホルデン・スパッツ症候群、溶血性尿毒症症候群、遺伝性血管性浮腫、低フォスファターゼ症、特発性肺炎症候群、免疫複合体病、封入体筋炎、炎症性疾患、虚血/再灌流傷害、軽度認知障害、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、A型モリブデン補酵素欠損症(MoCD)、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)I、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)II(デンスデポジット病)、膜性腎炎、多発脳梗塞性認知症、ループス(例えば全身性エリテマトーデス(SLE))、糸球体腎炎、川崎病、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症、多系統萎縮症、重症筋無力症、心筋梗塞、筋緊張性ジストロフィー、視神経脊髄炎、C型ニーマン・ピック病、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、パーキンソン病、痴呆を伴うパーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、尋常性天疱瘡、ピック病、脳炎後パーキンソニズム、多発性筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、乾癬、敗血症、志賀毒素大腸菌(E coli)(STEC)-HuS、脊髄性筋萎縮症、脳卒中、亜急性硬化性全脳炎、もつれのみの痴呆、移植拒絶反応、血管炎(例えばANCA関連血管炎)、ウェーグナー肉芽腫症、鎌状赤血球症、クリオグロブリン血症、混合型クリオグロブリン血症、本態性混合型クリオグロブリン血症、II型混合型クリオグロブリン血症、III型混合型クリオグロブリン血症、腎炎、薬物誘発性血小板減少症、ループス腎炎、水疱性類天疱瘡、後天性表皮水疱症、遅発性溶血性輸血反応、低補体血症性蕁麻疹様血管炎症候群、偽水晶体性水疱性角膜症、血小板不応状態、ならびにこれらの任意の組合せからなる群から選択される、E58に記載の方法。
配列番号7の重鎖可変領域および配列番号8の軽鎖可変領域を含む抗因子B抗体(抗因子B Ab、またはFBb Abとも称される)と共にインキュベートしたヒト血清中のC3bBbの因子H解離(図1A)およびDAF/CD55解離(図1B)を表すグラフである。ストレプトアビジンがコーティングされたOctetプローブに、抗体または抗体断片(抗因子B Ab;抗因子B F(ab’);Quidel α-fB;抗因子B Fab;C3bBb)と混合したC3bBb複合体負荷を添加した。C3b+fBおよびfBを陰性対照として使用した。600秒で、このプローブを、緩衝液のみを含む溶液に移した。780秒で、因子H(図1A)またはDAF/CD55(図1B)を添加した。抗因子B F(ab’)=抗因子B AbのF(ab’)2断片;Quidel α-fB=市販の因子B抗体;抗因子B Fab=抗因子B AbのFab断片;fB=因子B。 配列番号7の重鎖可変領域および配列番号8の軽鎖可変領域を含む抗因子B抗体(抗因子B Ab、またはFBb Abとも称される)と共にインキュベートしたヒト血清中のC3bBbの因子H解離(図1A)およびDAF/CD55解離(図1B)を表すグラフである。ストレプトアビジンがコーティングされたOctetプローブに、抗体または抗体断片(抗因子B Ab;抗因子B F(ab’);Quidel α-fB;抗因子B Fab;C3bBb)と混合したC3bBb複合体負荷を添加した。C3b+fBおよびfBを陰性対照として使用した。600秒で、このプローブを、緩衝液のみを含む溶液に移した。780秒で、因子H(図1A)またはDAF/CD55(図1B)を添加した。抗因子B F(ab’)=抗因子B AbのF(ab’)2断片;Quidel α-fB=市販の因子B抗体;抗因子B Fab=抗因子B AbのFab断片;fB=因子B。 因子B抗体で処理した血清試料中でのC3切断を検出するウエスタンブロットの画像である。ヒトC3を通常は約140kDaで検出する。アリコートを、因子B抗体(抗因子B Ab、抗因子B-Fab、またはQuidel α-fB)を含む緩衝液と一緒のインキュベーションの10分後、20分後、または30分後に分析した。緩衝液のみ(レーン2および3)、ならびにmIgG2aと共にインキュベートした試料(レーン4~6)を、陰性対照として使用した。緩衝液:補体代替経路(CAP)希釈緩衝液中の10%正常ヒト血清(NHS)。kD:キロダルトン;mIgG2a:IgG2aモノクローナル抗体;抗因子B Ab:Fab:抗因子B AbのFab断片;Quidel α-fB:市販の因子B抗体。 示したように、C3、因子B(FB)、抗因子B Ab、因子H、およびDAF/CD55の内の1つまたはそれ以上で処理し、続いて因子Dで処理した血清試料中でのC3切断を検出するCoomassieゲルの画像である。ヒトC3は通常、約140kDで検出される。kD:キロダルトン。 カニクイザルにおける、配列番号12の重鎖および配列番号13の軽鎖を含むキメラ抗因子B Abの薬物動態(PK)および薬力学(PD)を表すグラフである。x軸上で示すように、血清試料を様々な時点で採取した。血漿中のキメラ抗因子B Abの濃度(左Y軸;円形の時点)を30日間にわたり測定した。30日間にわたり測定したPD補体代替経路(CAP)活性のパーセント(右Y軸;四角形の時点)を、処理前のベースラインレベルに正規化した。
本開示は、不要な細胞の死を誘発するために補体経路を利用する方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、細胞の表面上で補体活性を誘発する方法であって、この細胞と、抗因子B抗体の有効量とを接触させることを含む方法を含む。ある特定の実施形態では、この抗因子B抗体は、C3bBb複合体の解離を阻害する。いくつかの態様では、この抗因子B抗体は、二重特異性抗体または多重特異性抗体である。
I.定義
用語「1つの(a)」または「1つの(an)」実体は、この実体の内の1つまたはそれ以上を指すことに留意すべきであり、例えば、「ヌクレオチド配列(a nucleotide sequence)」は、1つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を表すと理解される。したがって、用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つまたはそれ以上」、および「少なくとも1つ」は、本明細書では互換的に使用され得る。
さらに、「および/または」は、本明細書で使用される場合、他と一緒のまたは他を含まない2つの特定の特徴または構成要素のそれぞれの具体的な開示と見なすべきである。そのため、用語「および/または」は、本明細書において「Aおよび/またはB」等の表現で使用される場合、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(のみ)、ならびに「B」(のみ)を含むことが意図されている。同様に、用語「および/または」は、「A、B、および/またはC」等の表現で使用される場合、下記の態様のそれぞれを含むことが意図されている:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(のみ);B(のみ);ならびにC(のみ)。
本明細書において態様が言葉「含む」で説明されている場合は常に、「からなる」および/または「から本質的になる」の用語で説明されている他の類似の態様も提供されることが理解される。
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が関連する分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology、Juo、Pei-Show、第2版、2002年、CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology、第3版、1999年、Academic Press;およびthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology、Revised、2000年、Oxford University Pressは、当業者に、本開示で使用する用語の内の多くの一般的な辞書を提供する。
単位、接頭辞、および記号を、それらのSysteme International de Unites(SI)により承認された形式で示す。数値範囲は、この範囲を定義する数字を含む。別途示されない限り、アミノ酸配列を、アミノからカルボキシへの方向で左から右へと記載する。本明細書に記載されている表題は、本明細書全体を参照することにより得ることができる、本開示の様々な態様を限定するものではない。したがって、すぐ下で定義される用語は、本明細書全体を参照することにより、より完全に定義される。
用語「約」は、本明細書では、おおよそ、大体、およそ、または範囲内を意味するために使用される。用語「約」が数値範囲と共に使用される場合、この用語は、示された数値の上下に境界を広げることにより、この範囲を変更する。そのため「約10~20」は「約10~約20」を意味する。一般に、用語「約」は、例えば10パーセントの上または下(より高いまたはより低い)分散により、数値を、示された値の上下に変更し得る。
「抗体」には、抗原に特異的に結合し、ジスルフィド結合により相互に連結された少なくとも2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含む糖タンパク質免疫グロブリン、またはその抗原結合部分が含まれるが、これらに限定されない。各H鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略される)と重鎖定常領域とを含む。重鎖定常領域は、3つの定常ドメインCH1、CH2、およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略される)と軽鎖定常領域とを含む。軽鎖定常領域は、1つの定常ドメインCを含む。VH領域およびVL領域は、より保存されている領域(フレームワーク領域(FR)と呼ばれる)が散在する超可変性の領域(相補性決定領域(CDR)と呼ばれる)へとさらに分割される。各VHおよびVLは、下記の順序でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置された3つのCDRおよび4つのFRを含む:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、宿主の組織または因子(例えば、免疫系の様々な細胞(例えばエフェクター細胞)および古典的補体系の第1の成分(C1q))への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
用語「抗体」には、例として、天然に存在する抗体および天然には存在しない抗体の両方;モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体;キメラ抗体およびヒト化抗体;ヒト抗体または非ヒト抗体;完全に合成された抗体;ならびに単鎖抗体が含まれる。非ヒト抗体を組換え法によりヒト化して、この非ヒト抗体のヒトにおける免疫原性を低減させ得る。明確に述べられていない場合、および別途文脈が示さない限り、用語「抗体」には、上述の免疫グロブリンの内のいずれかの抗原結合断片または抗原結合部分も含まれ、一価および二価の断片または部分、ならびに単鎖抗体も含まれる。抗体の抗原結合断片として、この抗体の標的に結合する能力を保持する抗体のあらゆる部分が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗因子B抗体の抗原結合断片は、因子Bbに結合する能力を保持する。いくつかの実施形態では、抗体の抗原結合断片は、この抗体の1個、2個、3個、4個、5個、または6個のCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗体の抗原結合断片は、この抗体の1個、2個、3個、4個、5個、または6個のCDRと、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、または8個のフレームワーク領域とを含む。いくつかの実施形態では、抗体の抗原結合断片は、この抗体のVH領域および/またはVL領域を含む。特定の抗原に結合する抗体の能力を損なわない限り、アミノ酸のわずかな付加、欠失、挿入、置換、または改変が許容される。具体的には、抗体の1つまたはそれ以上のフレームワーク領域中の保存的なアミノ酸置換は、本開示の範囲内である。
用語「モノクローナル抗体」(「mAb」)は、単一分子組成の天然には存在しない抗体分子を指し、即ち、一次配列が本質的に同一であり、単一の結合特異性および特定のエピトープへの親和性を示す抗体分子を指す。mAbは、単離抗体の例である。用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術を使用して調製された抗体に限定されない。むしろ、モノクローナル抗体は、本明細書で使用される場合、ハイブリドーマ、組換え、トランスジェニック、または当業者に既知の他の技術により産生される。
「二重特異性」抗体は、本明細書で使用される場合、2種の抗原に結合し得る抗体を指す。「多重特異性」抗体は、本明細書で使用される場合、3種以上の抗原に結合し得る抗体を指す。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体または多重特異性抗体は、第1のVH領域、第1のVL領域、第2のVH領域、および第2のVL領域を含み、第1のVH領域および第1のVL領域は因子Bbに結合し、第2のVH領域および第2のVL領域は別の抗原に結合する。いくつかの実施形態では、この別の抗原は腫瘍抗原(例えば、腫瘍細胞の表面上に存在する抗原)である。いくつかの実施形態では、この腫瘍抗原は、アルファフェトプロテイン(AFP)、がん胎児性抗原(CEA)、CA-125、ムチン1(MUC-1)、上皮腫瘍抗原(ETA)、黒色腫関連抗原(MAGE)、p53、上皮増殖因子受容体(EGFR、例えばHER2および/またはEGFR12)、CD30、ならびにこれらの任意の組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、この別の抗原は、B細胞上に存在する抗原(例えば分化のクラスタ19(CD19)またはCD20)である。
用語「結合する」は、例えば、共有結合性相互作用、静電気的相互作用、疎水性相互作用、ならびにイオン性相互作用および/または水素結合相互作用(例えば、塩架橋および水架橋等の相互作用)に起因する、2つの分子の間の直接的会合を指す。本開示の抗因子B抗体は、因子Bbタンパク質内のエピトープに特異的に結合する。「特異的に結合する」は、少なくとも約10-7M超の親和性での結合を指し、例えば、5×10-7M、10-8M、5×10-8M、およびより高い親和性での結合を指す。「非特異的に結合する」は、約10-7M超の親和性での結合を指し、例えば、10-6M、10-5M、10-4M等の親和性での結合を指す。いくつかの実施形態では、抗因子B抗体は、少なくとも約10-7M、少なくとも約5×10-7M、10-8M、5×10-8M、またはより高い親和性で因子Bbに結合する。
用語「交差競合する」および「交差競合」は、本明細書で使用される場合、標的抗原への結合に関して参照抗体と競合する抗体の能力を指す。当分野で既知の任意の方法を使用して、抗体が参照抗体と交差競合するかどうかを決定し得る。例えば、BIAcore分析、ELISAアッセイ、またはフローサイトメトリーを使用して、本発明の抗体との交差競合を実証し得る。因子Bbへの抗体の結合を阻害する試験抗体の能力により、この試験抗体が因子Bbへの結合に関して参照抗体と競合し得ることが実証される。いくつかの実施形態では、抗原(例えば因子Bb)への結合に関して参照抗体と交差競合する抗体は、この参照抗体と同一のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗原(例えば因子Bb)への結合に関して参照抗体と交差競合する抗体は、この参照抗体により認識されるエピトープに近接するかまたは隣接するエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗原(例えば因子Bb)への結合に関して参照抗体と交差競合する抗体は、この参照抗体により認識されるエピトープに対して遠位のエピトープに結合するが、この遠位エピトープへのこの抗体の結合は、抗原に対するこの参照抗体の結合能力を妨害するのに十分である。抗体が、参照抗体と相互作用する抗原上のアミノ酸と同一であるかまたはこのアミノ酸と重複する抗原上のアミノ酸残基と相互作用する場合には、この抗体は、この参照抗体と同一のエピトープに結合する。
「投与する」は、本明細書で使用される場合、本明細書で開示されている抗因子B抗体の薬学的に許容される量を、薬学的に許容される経路を介して対象に与えることを意味する。投与経路は静脈内であり得、例えば、静脈内注射および静脈内注入であり得る。さらなる投与経路として、例えば、皮下投与、筋肉内投与、経口投与、経鼻投与、および肺内投与が挙げられる。抗因子B抗体を、少なくとも1種の賦形剤を含む医薬組成物の一部として投与し得る。いくつかの実施形態では、抗因子B抗体を静脈内投与する。いくつかの実施形態では、抗因子B抗体を皮下投与する。
「処置する」、「処置」、または「処置すること」は、本明細書で使用される場合、例えば、疾患または状態の重症度の低下;状態の経過の持続時間の短縮;疾患または状態と関連する1つまたはそれ以上の症状の寛解または除去;疾患または状態を有する対象への有益の効果の提供を指すが、疾患または状態の治癒を必ずしも伴わない。いくつかの実施形態では、用語「処置する」または「処置すること」は、それを必要とする対象中において補体活性を誘発することを意味する。
用語「補体活性を誘発する」は、本明細書で使用される場合、対象中において補体経路を活性化すること、増加すること、またはこの補体経路の終了を防止することを意味する。この補体系は3つの別々の上流の活性化経路を含み、全ては共通の最終経路に収束する。これらの経路の内の下記の2つは、特異的で明確な機序により誘発される:古典経路(CP)は、抗体が抗原に結合する際に関与し、レクチン経路(LP)は、病原体の表面上の炭水化物残基により活性化される。代替経路(AP)は、「APティックオーバー」と称される基底レベルで継続的に活性であるという点で独特であり、この代替経路(AP)の活性は、ポジティブフィードバック増幅ループを介して、異物性表面および損傷した細胞に基づく様々なシグナルにより大幅に増加される。APは、補体成分C3の自発的加水分解により始まる。次いで、C3(HO)は因子B(配列番号15;表1)に結合し、続いて因子Dにより切断されてC3(HO)BbおよびBa(副産物)が得られる。次いで、C3(HO)Bbは、C3をC3b(C3の活性型)およびC3a(副産物)へと切断する。次いで、C3bは因子Bと会合し、続いて因子Dにより切断されて、C3bBb(「C3転換酵素」)が得られる。次いで、C3転換酵素は、中心C3タンパク質の追加の分子を切断し続け、これにより、食作用を促進するオプソニン(C3b、iC3b);免疫細胞のターゲティングを促進するアナフィラトキシン(C3aおよびC5a);標的細胞の形質膜を損傷して細胞死を促進する終末溶解性複合体(MAC;C5b-9)が生成される。補体活性の誘発は、本明細書で開示される場合、CP、LP、および/またはAPの内のいずれかの工程の活性化または促進を指し得る。
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ある特定の実施形態では、補体活性の誘発は、補体成分の阻害因子を阻害することを含む。補体経路の過剰活性化を防止するために、様々なチェックおよびバランスが存在する。例えば、補体受容体1(CR1)および崩壊促進因子(「DAF」または「CD55」)を含む膜結合タンパク質は、細胞表面上のC3bへの結合に関して因子Bと競合し、CR1およびDAF/CD55の両方は、C3bBb複合体からBbを変位させ得る。因子HはC3bに同様に結合して因子Bの結合を防止するか、またはC3bBb複合体から因子Bbを変位させる。いくつかの実施形態では、抗因子B抗体は、CR1、DAF/CD55、および/または因子HによるC3bBb複合体からのBbの変位を防止する。
「対象」は、本明細書で使用される場合、ヒト個体を意味する。対象は、疾患または状態に現在罹患している患者であり得る。ある特定の実施形態では、この疾患または状態は、がんまたは自己免疫疾患を含む。いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫(MEL);腎細胞癌(RCC);肺がん;結腸直腸がん(CRC);前立腺がん;肝がん;頭頸部の扁平上皮癌;食道、卵巣、消化管、および乳房の癌腫;血液悪性腫瘍、例えば、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/原発性縦隔B細胞リンパ腫、および慢性骨髄性白血病;ならびにこれらの任意の組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、多発性硬化症、1型糖尿病、関節リウマチ、ループス、セリアック病、シェーグレン症候群、多発性筋痛、強直性脊椎炎、円形脱毛症、血管炎、側頭動脈炎、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、この疾患または状態は、病原体による感染を含む。いくつかの実施形態では、この病原体は、細菌、寄生生物、真菌、またはこれらの任意の組合せから選択される。
「治療量」、「用量」、「有効量」、または「投与量」は、本明細書で(互換的に)使用される場合、本明細書で説明されているような治療目的を達成する用量を意味する。いくつかの実施形態では、「治療量」は、対象中において補体活性を誘発する用量を意味する。ある特定の実施形態では、「治療量」は、対象中において、補体活性を誘発し、標的の細胞の死をもたらす用量を意味する。
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられているものである。下記のように、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリが当分野で定義されている:塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)。そのため、ポリペプチド中のアミノ酸が同一の側鎖ファミリからの別のアミノ酸に置き換えられている場合には、この置換は保存的であると見なされる。別の実施形態では、アミノ酸のストリングは、側鎖ファミリのメンバーの順序および/または組成が異なる構造的に類似するストリングに保存的に置き換えられる。
2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の間の用語「配列同一性のパーセント」は、2つの配列の最適なアラインメントのために導入しなければならない付加または欠失(即ちギャップ)を考慮して、比較ウィンドウ全体で配列が共有する同一の一致した位置の数を指す。一致する位置とは、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸が標的配列および参照配列の両方で示される位置のことである。標的配列中に示されるギャップはカウントされず、なぜならば、ギャップはヌクレオチドまたはアミノ酸ではないからである。同様に、参照配列中に示されるギャップはカウントされず、なぜならば、参照配列からのヌクレオチドまたはアミノ酸ではなく、標的配列のヌクレオチドまたはアミノ酸がカウントされるからである。
配列同一性のパーセントを、両方の配列において同一のアミノ酸残基または核酸塩基が存在する位置の数を決定して一致する位置の数を求め、この一致する位置の数を、比較のウィンドウ中の位置の総数で除算し、この結果に100を乗算して配列同一性の割合を求めることにより算出する。配列の比較および2つの配列の間の配列同一性のパーセントの決定を、オンラインでの使用およびダウンロードの両方のために容易に利用可能なソフトウェアを使用して達成し得る。適切なソフトウェアプログラムが様々なソースから入手可能であり、タンパク質配列およびヌクレオチド配列の両方のアラインメントに適している。配列同一性のパーセントを決定するのに適した1つのプログラムは、米国政府のアメリカ国立生物工学情報センター(U.S.government’s National Center for Biotechnology Information)BLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なプログラムのBLASTパッケージソフトの一部であるbl2seqである。Bl2seqは、BLASTNアルゴリズムまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して2つの配列の間の比較を実施する。BLASTNを使用して核酸配列を比較し、BLASTPを使用してアミノ酸配列を比較する。他の適切なプログラムは、例えば、バイオインフォマティクスプログラムのEMBOSSパッケージソフトの一部であるNeedle、Stretcher、Water、またはMatcherであり、www.ebi.ac.uk/Tools/psaで欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute)(EBI)からも入手可能である。
ポリヌクレオチド参照配列またはポリペプチド参照配列とアラインする単一のポリヌクレオチド標的配列内のまたはポリペプチド標的配列内の異なる領域はそれぞれ、それ自体の配列同一性のパーセントを有し得る。配列同一性のパーセント値は小数第1位に四捨五入されることに留意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13、および80.14は80.1に切り捨てられており、80.15、80.16、80.17、80.18、および80.19は80.2に切り上げられている。長さの値が常に整数であることにも留意されたい。
配列同一性のパーセントの算出のための配列アラインメントの生成は、一次配列データにより排他的に駆動されるバイナリ配列-配列比較に限定されないことを当業者は理解するだろう。配列アラインメントは多重配列アラインメントから導き出される。多重配列アラインメントを生成するのに適した1つのプログラムは、www.clustal.orgから入手可能なClustalW2である。別の適切なプログラムは、www.drive5.com/muscle/から入手可能なMUSCLEである。ClustalW2およびMUSCLEは、あるいは例えばEBIから入手可能である。
配列アラインメントを、配列データと、異種のソースからのデータ(例えば、構造データ(例えば結晶学的タンパク質構造)、機能データ(例えば変異の位置)、または系統発生学的データ)とを統合することにより生成し得ることも理解されるだろう。異種データを統合して多重配列アラインメントを生成するのに適したプログラムは、www.tcoffee.orgで入手可能なあるいは例えばEBIから入手可能なT-Coffeeである。配列同一性のパーセントを算出するために使用される最終的なアラインメントが自動的にまたは手動でキュレートされることも理解されるだろう。
ポリヌクレオチドバリアントは、コード領域、非コード領域、または両方で改変を含み得る。一実施形態では、ポリヌクレオチドバリアントは、サイレントな置換、付加、または欠失を生じるが、コードされたポリペプチドの特性または活性を変更しない改変を含む。別の実施形態では、ヌクレオチドバリアントは、遺伝子コードの縮重に起因するサイレントな置換により生じる。他の実施形態では、5~10個、1~5個、または1~2個のアミノ酸が任意の組合せで置換されているか、欠失しているか、または付加しているバリアント。ポリヌクレオチドバリアントは様々な理由により産生され、例えば、特定の宿主に対してコドン発現を最適化するために(ヒトmRNA中のコドンを他のもの、例えば大腸菌(E.coli)等の細菌宿主に変更するために)産生される。
II.本開示の方法
本開示は、細胞の表面上で補体活性を誘発する方法であって、この細胞と、抗因子B抗体の有効量とを接触させることを含む方法を対象とする。この抗因子B抗体は、単鎖ポリペプチドとして血液中を循環することが多い因子Bに結合し得、代替経路を活性化し得る。代替経路の活性化時に、因子Bは補体因子Dにより切断されて、非触媒鎖Baおよび触媒サブユニットBbが得られる。この活性なサブユニットBbは、C3bと会合して代替経路C3転換酵素(即ち、C3bBb複合体)を形成するセリンプロテアーゼである。いくつかの実施形態では、本開示の抗因子B抗体はまた、因子Bbにも結合する。因子Bbは、事前に活性化されているBリンパ球の増殖に関与し、Baはその増殖を阻害する。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は因子Bb部分に結合し、C3bBb複合体の解離を阻害する。ある特定の実施形態では、この抗因子B抗体は、C3bBb複合体の因子BbおよびC3bへの解離を阻害する。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は二重特異性抗体または多重特異性抗体である。
ある特定の実施形態では、この抗因子B抗体は因子Bbに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、因子Bbおよび因子Bの両方に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、C3bBb複合体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、C3bBb複合体の分解を減少させるか、阻害するか、または防止する。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、血清中でC3切断を誘発する。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、C3の血清濃度を低下させる。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、細胞の表面上でC3bの蓄積を誘発する。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、細胞の表面上で細胞膜傷害沈着を誘発する。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、C3bBb複合体の因子Bbに結合する。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、C3(HO)またはC3bへの因子Bの結合の前に因子Bに結合する。他の実施形態では、この抗因子B抗体は、C3(HO)またはC3bへの因子Bの結合の後に、かつ因子Dによる因子Bの切断の前に、因子Bに結合する。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は因子Bに結合し、因子Dによる因子Bの切断の後も因子Bbに結合したままである。
ある特定の実施形態では、この抗因子B抗体は、補体経路の活性を低下させる。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、血清補体活性の活性を低下させる。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、血清中における代替補体経路の活性を低下させる。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、古典的補体経路の活性を低下させる。ある特定の実施形態では、この抗因子B抗体は、C3の循環レベルがもはや補体経路の活性化を支持しなくなるまでC3の消費を促進することにより、補体経路の活性を低下させる。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、阻害因子により媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックすることにより、C3bBb複合体の例えば因子BbおよびC3bへの解離を阻害する。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、DAF/CD55により媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする。
CD55またはDAFとしても既知である補体崩壊促進因子は、ヒトではCD55遺伝子によりコードされるタンパク質である。DAFは、細胞表面上で補体系を調節する。DAFは、C4(古典的補体経路およびレクチン経路)ならびにC3(代替補体経路)の活性化の最中に作成されるC4b断片およびC3b断片を認識する。DAFと、古典的経路およびレクチン経路の細胞結合C4bとの相互作用により、C2のC2aへの転換が妨げられ、それによりC4b2a C3転換酵素の形成が妨げられ、DAFと、代替経路のC3bとの相互作用により、因子Dによる因子BのBbへの転換が妨げられ、それにより代替経路のC3bBb複合体の形成が妨げられる。DAF/CD55により媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックすることにより、抗因子B抗体を使用する本方法は補体経路(例えば代替経路)の負の調節を防止し、それにより補体活性を誘発する。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、因子Hにより媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、CR1により媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、C3bBb複合体への阻害因子の結合を減少させるか、またはブロックする。いくつかの実施形態では、この阻害因子は、DAF/CD55、因子H、CR1、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、補体活性は、補体により媒介される細胞死を含む。いくつかの実施形態では、補体活性は標的細胞の細胞死を誘発する。いくつかの実施形態では、標的細胞の死は、別の細胞(例えば免疫細胞)による標的細胞の食作用を含む。いくつかの実施形態では、細胞死は、標的細胞の形質膜中での終末溶解性複合体(MAC;C5b-9)の形成の後に起こる。いくつかの実施形態では、細胞死は標的細胞のアポトーシスを含む。
いくつかの実施形態では、補体活性はオプソニンの産生を含む。オプソニンは、本明細書で言及される場合、免疫細胞による終結(例えば食作用)のための細胞のターゲティングを促進する分子である。いくつかの実施形態では、オプソニンは、C3b、iC3b、またはC3bとiC3bとの両方を含む。いくつかの実施形態では、補体活性はアナフィラトキシンの産生を含む。いくつかの実施形態では、アナフィラトキシンは、C3a、C5a、またはC3aとC5aとの両方を含む。いくつかの実施形態では、アナフィラトキシンは走化性因子を含み、この走化性因子は免疫細胞を標的細胞に引き付ける。いくつかの実施形態では、補体活性は終末溶解性複合体(「細胞膜傷害複合体」または「MAC」;C5b-9)の形成を含む。いくつかの実施形態では、終末溶解性複合体は標的細胞の形質膜中に生じ、細孔を作成し、この細孔により標的細胞の死が促進される。
いくつかの実施形態では、標的細胞はインビボ細胞である。ある特定の実施形態では、インビボ細胞は自己細胞であり、例えば、ヒト細胞であって、このヒト細胞が位置するヒトにより産生された細胞(例えば生来の細胞)である。他の実施形態では、インビボ細胞は外来細胞であり、例えば病原体である。いくつかの実施形態では、インビボ細胞は異常な細胞であり、例えば、がん細胞または過活動の免疫細胞である。いくつかの実施形態では、インビボ細胞はがん細胞である。いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫(MEL);腎細胞癌(RCC);肺がん;結腸直腸がん(CRC);前立腺がん;肝がん;頭頸部の扁平上皮癌;食道、卵巣、消化管、および乳房の癌腫;血液悪性腫瘍、例えば、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/原発性縦隔B細胞リンパ腫、および慢性骨髄性白血病;ならびにこれらの任意の組合せからなる群から選択される。他の実施形態では、インビボ細胞は病原体である。いくつかの実施形態では、インビボ細胞は、細菌、真菌、寄生生物、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、インビボ細胞はウイルスに感染している。
補体活性の誘発を、当分野で既知の任意の方法を使用して測定し得る。いくつかの実施形態では、補体活性の誘発を、細胞表面上でのC3bのレベルを検出することにより測定する。いくつかの実施形態では、補体活性の誘発を、患者の血清中でのC3aレベルを検出することにより測定する。いくつかの実施形態では、補体活性の誘発を、患者の血清中でのC3のレベルを検出することにより測定する。いくつかの実施形態では、補体活性の誘発を、患者の血清中での因子Baのレベルを検出することにより測定する。いくつかの実施形態では、補体活性の誘発を、細胞表面上でのC3bBbのレベルを検出することにより測定する。いくつかの実施形態では、補体活性の誘発を、標的細胞の死のレベルを検出することにより測定する。いくつかの実施形態では、補体活性の誘発を、免疫反応のレベルを検出することにより測定する。ある特定の実施形態では、免疫反応を、標的細胞への1種またはそれ以上の免疫細胞の局在化により特徴付ける。
いくつかの実施形態では、細胞と、抗因子B抗体とを接触させることにより、この接触前のC3bのレベルと比較して、細胞の表面上でのC3bのレベルが上昇する。いくつかの実施形態では、細胞と、抗因子B抗体とを接触させることにより、この接触前のC3bのレベルと比較して、対象の血清中でのC3bのレベルが上昇する。いくつかの実施形態では、細胞と、抗因子B抗体とを接触させることにより、この接触前のC3aのレベルと比較して、対象の血清中でのC3aのレベルが上昇する。いくつかの実施形態では、細胞と、抗因子B抗体とを接触させることにより、この接触前のC3のレベルと比較して、対象の血清中でのC3のレベルが低下する。いくつかの実施形態では、細胞と、抗因子B抗体とを接触させることにより、この接触前のC3bBbのレベルと比較して、細胞の表面上でのC3bBbのレベルが上昇する。
いくつかの実施形態では、本開示の抗因子B抗体は、C3bBBの阻害因子(例えばDAF/CD55および/または因子H)の存在下でC3bBb複合体の解離を阻害する。機序に関与することなく、代替経路の細胞膜結合阻害因子を阻害することにより、抗因子B抗体は細胞の表面上でC3b産生を誘発し、代替補体経路を促進する。
本開示のある特定の態様は、それを必要とする対象の細胞の表面上で補体活性を誘発する方法であって、この細胞と、抗因子B抗体の有効量とを接触させることを含み、この抗因子B抗体はC3bBb複合体の解離を阻害する、方法を対象とする。ある特定の実施形態では、抗因子B抗体は、C3bBb複合体の因子BbおよびC3bへの解離を阻害する。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。ある特定の実施形態では、対象は疾患または状態に苦しめられている。
いくつかの他の実施形態では、本明細書で開示されている抗因子B抗体は、インビボで投与した場合に、感染(例えば細菌感染)のリスクを増加させない。ある特定の実施形態では、本明細書で開示されている抗因子B抗体は、インビボで投与した場合に、抗C5抗体と比較して感染のリスクを増加させない。いくつかの実施形態では、感染は、N.メニンギティディス(N.meningitidis)およびS.ニューモニエ(S.pneumoniae)により引き起こされる。他の実施形態では、感染は、髄膜炎を伴うか、または髄膜炎を引き起こす。
ある特定の実施形態では、対象は、がんを含む疾患または状態を有する。特定のがんを、当分野で既知のあらゆるがんから選択し得る。いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫(MEL);腎細胞癌(RCC);肺がん;結腸直腸がん(CRC);前立腺がん;肝がん;頭頸部の扁平上皮癌;食道、卵巣、消化管、および乳房の癌腫;血液悪性腫瘍、例えば、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/原発性縦隔B細胞リンパ腫、および慢性骨髄性白血病;ならびにこれらの任意の組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、対象は血液悪性腫瘍を有する。ある特定の実施形態では、対象はB細胞リンパ腫を有する。他の実施形態では、対象はT細胞リンパ腫を有する。他の実施形態は、対象は白血病を有し、例えば慢性骨髄性白血病を有する。
ある特定の実施形態では、対象は、自己免疫疾患を含む疾患または状態を有する。特定の自己免疫疾患を、当分野で既知のあらゆる自己免疫疾患から選択し得る。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、多発性硬化症、1型糖尿病、関節リウマチ、ループス、セリアック病、シェーグレン症候群、多発性筋痛、強直性脊椎炎、円形脱毛症、血管炎、側頭動脈炎、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、対象は多発性硬化症を有する。他の実施形態では、対象は糖尿病を有し、例えば1型糖尿病を有する。他の実施形態では、対象は関節リウマチを有する。他の実施形態では、対象はループスを有する。他の実施形態では、対象はセリアック病を有する。
本開示の方法を使用して処置される自己免疫疾患または自己免疫障害は下記であるがこれらに限定されない:アジソン病、加齢黄斑変性、脱毛症、自己免疫性肝炎(例えば、B型肝炎ウイルス感染と関連する自己免疫性肝炎;C型肝炎ウイルス感染と関連する自己免疫性肝炎)、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性皮膚疾患、自己免疫性甲状腺疾患、水疱性類天疱瘡、セリアック病、寒冷凝集素症、皮膚筋炎、1型糖尿病、グレーブス病、グッドパスチャー症候群、橋本病、副甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症、甲状腺機能低下症、特発性血小板減少性紫斑病、炎症性腸疾患(例えば、クローン病;潰瘍性大腸炎)、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎、視神経脊髄炎、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、多発性筋炎、乾癬、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、ぶどう膜炎、ならびにウェゲナー肉芽腫症および多発性/皮膚筋炎。
本開示の方法を使用して処置される疾患として、例えば下記が挙げられる:加齢性自己免疫疾患、加齢黄斑変性、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、アナフィラキシー、嗜銀顆粒性認知症、関節炎(例えば関節リウマチ)、喘息、アテローム性動脈硬化症、非典型溶血性尿毒症症候群、自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、バラケル・サイモンズ症候群、ベーチェット病、英国型アミロイド血管症、水疱性類天疱瘡、バージャー病、Clq腎症、がん、劇症型抗リン脂質抗体症候群、脳アミロイド血管症、寒冷凝集素症、皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、クローン病、クリオグロブリン血症性血管炎、ボクサー認知症、レビー小体型認知症(DLB)、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、円板状エリテマトーデス、ダウン症候群、巣状分節性糸球体硬化症、形式的思考障害、前頭側頭型認知症(FTD)、17番染色体に連鎖しパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症、前頭側頭葉変性症、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、ギラン・バレー症候群、ハラーホルデン・スパッツ症候群、溶血性尿毒症症候群、遺伝性血管性浮腫、低フォスファターゼ症、特発性肺炎症候群、免疫複合体病、封入体筋炎、感染性疾患(例えば、細菌(例えば、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)もしくはストレプトコッカス(Streptococcus))、ウイルス(例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV))、または他の感染病原体により引き起こされる疾患)、炎症性疾患、虚血/再灌流傷害、軽度認知障害、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、A型モリブデン補酵素欠損症(MoCD)、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)I、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)II(デンスデポジット病)、膜性腎炎、多発脳梗塞性認知症、ループス(例えば全身性エリテマトーデス(SLE))、糸球体腎炎、川崎病、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症、多系統萎縮症、重症筋無力症、心筋梗塞、筋緊張性ジストロフィー、視神経脊髄炎、C型ニーマン・ピック病、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、パーキンソン病、痴呆を伴うパーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、尋常性天疱瘡、ピック病、脳炎後パーキンソニズム、多発性筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、乾癬、敗血症、志賀毒素大腸菌(E coli)(STEC)-HuS、脊髄性筋萎縮症、脳卒中、亜急性硬化性全脳炎、もつれのみの痴呆、移植拒絶反応、血管炎(例えばANCA関連血管炎)、ウェーグナー肉芽腫症、鎌状赤血球症、クリオグロブリン血症、混合型クリオグロブリン血症、本態性混合型クリオグロブリン血症、II型混合型クリオグロブリン血症、III型混合型クリオグロブリン血症、腎炎、薬物誘発性血小板減少症、ループス腎炎、水疱性類天疱瘡、後天性表皮水疱症、遅発性溶血性輸血反応、低補体血症性蕁麻疹様血管炎症候群、偽水晶体性水疱性角膜症、および血小板不応状態。
ある特定の実施形態では、対象は感染を有する。いくつかの実施形態では、感染は、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、寄生生物感染、またはこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
ある特定の実施形態では、抗因子B抗体は、細胞死を誘発することにより疾患または状態を処置する。いくつかの実施形態では、抗因子B抗体は、疾患または状態の1つまたはそれ以上の細胞に対する標的の免疫反応を促進することにより(例えば、オプソニンまたはアナフィラトキシンのレベルを上昇させることにより)細胞死を誘発する。
本明細書で開示されている抗因子B抗体を、当分野で既知の任意の手段により投与し得る。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体を、非経口投与するか、静脈内投与するか、皮下投与するか、皮内投与するか、経皮投与するか、筋肉内投与するか、経口投与するか、眼内投与するか、髄腔内投与するか、腹腔内投与するか、鼻腔内投与するか、口腔投与するか、舌下投与するか、直腸投与するか、経膣投与するか、または肺経路を介して投与する。ある特定の実施形態では、抗因子B抗体を静脈内投与する。ある特定の実施形態では、この抗因子B抗体を皮下投与する。
II.A.抗因子B抗体
本開示のいくつかの態様では、この抗因子B抗体は因子Bbに特異的に結合し、例えばヒト因子Bb(表1;配列番号15)に特異的に結合する。いくつかの態様では、この抗因子B抗体は、因子Bbに加えて因子B(例えばヒト因子B)に特異的に結合する。いくつかの態様では、この抗因子B抗体は、因子Bbを介してC3bBb複合体に特異的に結合する。
特定の実施形態では、この抗因子B抗体は、(例えばC3bBb複合体の)因子Bbへの結合に関して参照抗体と競合し、この参照抗体は重鎖および軽鎖を含み;重鎖は重鎖可変(VH)領域を含み、軽鎖は軽鎖可変(VL)領域を含み;VH領域は、VH相補性決定領域1(CDR1)、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR1は配列番号1を含み、VH CDR2は配列番号2を含み、VH CDR3は配列番号3を含み;VL CDR1は配列番号4を含み、VL CDR2は配列番号5を含み、VL CDR3は配列番号6を含む(表2)。
Figure 0007369121000002
Figure 0007369121000003
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、(例えばC3bBb複合体の)因子Bbへの結合に関して参照抗体と競合し、この参照抗体は、配列番号7を含む重鎖可変領域と、配列番号8を含む軽鎖可変領域とを含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、(例えばC3bBb複合体の)因子Bb上の、参照抗体と同一のエピトープに結合し、この参照抗体は重鎖および軽鎖を含み;重鎖はVH領域を含み、軽鎖はVL領域を含み;VH領域は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR1は配列番号1を含み、VH CDR2は配列番号2を含み、VH CDR3は配列番号3を含み;VL CDR1は配列番号4を含み、VL CDR2は配列番号5を含み、VL CDR3は配列番号6を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、(例えばC3bBb複合体の)因子Bb上の、参照抗体と同一のエピトープに結合し、この参照抗体は、配列番号7を含む重鎖可変領域と、配列番号8を含む軽鎖可変領域とを含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は重鎖および軽鎖を含み;重鎖はVH領域を含み、軽鎖はVL領域を含み;VH領域は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR3は、配列番号3を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号3を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は重鎖および軽鎖を含み;重鎖はVH領域を含み、軽鎖はVL領域を含み;VH領域は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR1は、配列番号1を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号1を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は重鎖および軽鎖を含み;重鎖はVH領域を含み、軽鎖はVL領域を含み;VH領域は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR2は、配列番号2を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号2を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は重鎖および軽鎖を含み;重鎖はVH領域を含み、軽鎖はVL領域を含み;VH領域は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR1は、配列番号4を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号4を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は重鎖および軽鎖を含み;重鎖はVH領域を含み、軽鎖はVL領域を含み;VH領域は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR2は、配列番号5を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号5を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は重鎖および軽鎖を含み;重鎖はVH領域を含み、軽鎖はVL領域を含み;VH領域は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR3は、配列番号6を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号6を含む。
特定の実施形態では、この抗因子B抗体は重鎖および軽鎖を含み;重鎖はVH領域を含み、軽鎖はVL領域を含み;VH領域は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR1は配列番号1を含み、VH CDR2は配列番号2を含み、VH CDR3は配列番号3を含み;VL CDR1は配列番号4を含み、VL CDR2は配列番号5を含み、VL CDR3は配列番号6を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体のVHは、配列番号7と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、この抗因子B抗体のVHは配列番号7を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体のVLは、配列番号8と少なくとも70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、この抗因子B抗体のVLは配列番号8を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、配列番号9と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、配列番号9を含む重鎖を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、配列番号10と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、配列番号10を含む軽鎖を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体はキメラ抗体である。ある特定の実施形態では、この抗因子B抗体はヒト化抗体である。特定の実施形態では、この抗因子B抗体はヒト抗体である。ある特定の実施形態では、この抗因子B抗体は二重特異性抗体であり、この二重特異性抗体は、組織特異的であるかまたは細胞特異的である抗原結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は多重特異性抗体であり、この多重特異性抗体は、組織特異的であるかまたは細胞特異的である少なくとも1種の抗原結合ドメインをさらに含む。
III.二重特異性抗因子B抗体および多重特異性抗因子B抗体
本開示のある特定の態様は、(i)抗因子B結合ドメイン、および(ii)第2の抗原結合ドメインを含む二重特異性抗体を対象とする。いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインはC3bBb複合体の解離を阻害する。ある特定の実施形態では、この二重特異性抗体は、C3bBb複合体の因子BbおよびC3bへの解離を阻害する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合ドメインは、組織特異的であるか、または細胞特異的である。
本開示の他の態様は、(i)抗因子B結合ドメイン、(ii)第2の抗原結合ドメイン、および(iii)第3の抗原結合ドメインを含む多重特異性抗体を対象とする。いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインはC3bBb複合体の解離を阻害する。ある特定の実施形態では、この抗因子B結合ドメインは、C3bBb複合体の因子BbおよびC3bへの解離を阻害する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合ドメインは、組織特異的であるか、または細胞特異的である。いくつかの実施形態では、第3の抗原結合ドメインは、組織特異的であるか、または細胞特異的である。特定の実施形態では、この多重特異性抗体は、第4の抗原結合ドメイン、第5の抗原結合ドメイン、第6の抗原結合ドメイン、第7の抗原結合ドメイン、またはより多くをさらに含む。
いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、これらの因子Bb結合ドメイン)は、C3bBb複合体の分解を減少させるか、阻害するか、または防止する。いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、これらの因子Bb結合ドメイン)は、血清中でC3切断を誘発する。いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、これらの因子Bb結合ドメイン)は、C3の血清濃度を低下させる。いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特性抗体(例えば、これらの因子Bb結合ドメイン)は、細胞の表面上でC3bの蓄積を誘発する。いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、これらの因子Bb結合ドメイン)は、血清補体活性の喪失を誘発する。いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特性抗体(例えば、これらの因子Bb結合ドメイン)は、細胞の表面上で細胞膜傷害沈着を誘発する。
いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、これらの因子Bb結合ドメイン)は、(例えばC3bBb複合体の)因子Bbに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、これらの因子Bb結合ドメイン)は、C3(HO)またはC3bへの因子Bの結合の前に因子Bに結合する。他の実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、これらの因子Bb結合ドメイン)は、C3(HO)またはC3bへの因子Bの結合の後に、かつ因子Dによる因子Bの切断の前に、因子Bに結合する。いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、これらの因子Bb結合ドメイン)は、因子Bに結合し、因子Dによる因子Bの切断の後も因子Bbに結合したままである。
ある特定の実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体は、補体経路の活性を低下させる。いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体は、血清補体活性の活性を低下させる。いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体は、血清中における代替補体経路の活性を低下させる。いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体は、古典的補体経路の活性を低下させる。ある特定の実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体は、C3の循環レベルがもはや補体経路の活性化を支持しなくなるまでC3の消費を促進することにより、補体経路の活性を低下させる。
いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、これらの因子Bb結合ドメイン)は、阻害因子により媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックすることにより、C3bBb複合体の例えば因子BbおよびC3bへの解離を阻害する。いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、これらの因子Bb結合ドメイン)は、DAF/CD55により媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする。いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、これらの因子Bb結合ドメイン)は、因子Hにより媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする。いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、これらの因子Bb結合ドメイン)は、CR1により媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする。いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、これらの因子Bb結合ドメイン)は、C3bBb複合体への阻害因子の結合を減少させるか、またはブロックする。いくつかの実施形態では、この阻害因子は、DAF/CD55、因子H、CR1、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
III.A.抗原結合ドメイン
ある特定の実施形態では、この抗因子B結合ドメインは、(例えばC3bBb複合体の)因子Bおよび/または因子Bbへの結合に関して参照抗体と競合し、この参照抗体はVH領域およびVL領域を含み;VH領域は、配列番号1を含むVH CDR1、配列番号2を含むVH CDR2、および配列番号3を含むVH CDR3を含み;VL領域は、配列番号4を含むVL CDR1、配列番号5を含むVL CDR2、および配列番号6を含むVL CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインは、(例えばC3bBb複合体の)因子Bbへの結合に関して参照抗体と競合し、この参照抗体は、配列番号7を含む重鎖可変領域、および配列番号8を含む軽鎖可変領域を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインは、(例えばC3bBb複合体の)因子Bb上の、参照抗体と同一のエピトープに結合し、この参照抗体はVH領域およびVL領域を含み;VH領域は、配列番号1を含むVH CDR1、配列番号2を含むVH CDR2、および配列番号3を含むVH CDR3を含み;VL領域は、配列番号4を含むVL CDR1、配列番号5を含むVL CDR2、および配列番号6を含むVL CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B抗体は、(例えばC3bBb複合体の)因子Bb上の、参照抗体と同一のエピトープに結合し、この参照抗体は、配列番号7を含む重鎖可変領域、および配列番号8を含む軽鎖可変領域を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインは重鎖および軽鎖を含み;重鎖はVH領域を含み、軽鎖はVL領域を含み;VH領域は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR3は、配列番号3を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号3を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインはVH領域およびVL領域を含み;VH領域は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR1は、配列番号1を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号1を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインはVH領域およびVL領域を含み;VH領域は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR2は、配列番号2を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号2を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインはVH領域およびVL領域を含み;VH領域は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR1は、配列番号4を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号4を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインはVH領域およびVL領域を含み;VH領域は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR2は、配列番号5を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号5を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインはVH領域およびVL領域を含み;VH領域は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR3は、配列番号6を含むか、または1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列番号6を含む。
特定の実施形態では、この抗因子B結合ドメインはVH領域およびVL領域を含み;VH領域は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み;VL領域は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み;VH CDR1は配列番号1を含み、VH CDR2は配列番号2を含み、VH CDR3は配列番号3を含み;VL CDR1は配列番号4を含み、VL CDR2は配列番号5を含み、VL CDR3は配列番号6を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインのVHは、配列番号7と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、この抗因子B結合ドメインのVHは配列番号7を含む。
いくつかの実施形態では、この抗因子B結合ドメインのVLは、配列番号8と少なくとも70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、この抗因子B結合ドメインのVLは配列番号8を含む。
第2の抗原結合ドメインおよび/または第3の抗原結合ドメインを、標的細胞の表面上で発現される任意の抗原を標的とするように選択し得る。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合ドメインまたは第3の抗原結合ドメインは腫瘍抗原に結合する。いくつかの実施形態では、この腫瘍抗原は、アルファフェトプロテイン(AFP)、がん胎児性抗原(CEA)、CA-125、ムチン1(MUC-1)、上皮腫瘍抗原(ETA)、黒色腫関連抗原(MAGE)、p53、上皮増殖因子受容体(EGFR、例えば、HER1、ErbB-1、HER2、および/またはEGFR12)、CD30、ならびにこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
他の実施形態では、第2の抗原結合ドメインおよび/または第3の抗原結合ドメインは、内因性BBB受容体および/またはトランスフェリン受容体を除いて標的細胞の表面上で発現される任意の抗原を標的とする。
いくつかの実施形態では、第2の抗原結合ドメインまたは第3の抗原結合ドメインは、B細胞上に存在する抗原に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合ドメインまたは第3の抗原結合ドメインはCD19に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合ドメインまたは第3の抗原結合ドメインはCD20に結合する。他の実施形態では、第2の抗原結合ドメインまたは第3の抗原結合ドメインは、自己抗原特異的Tエフェクター細胞上の抗原に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合ドメインまたは第3の抗原結合ドメインは電位開口型カリウムチャネルKv1.3に結合する。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体または多重特異性抗体はキメラである。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体または多重特異性抗体はヒト化されている。
III.B.方法
本開示のある特定の態様は、細胞の表面上で補体活性を誘発する方法であって、この細胞と、本明細書で開示されている二重特異性抗体または多重特異性抗体の有効量とを接触させることを含む方法を対象とする。本開示の他の態様は、それを必要とする対象において細胞死を誘発する方法であって、本明細書で開示されている二重特異性抗体または多重特異性抗体の有効量を投与することを含む方法を対象とする。
いくつかの実施形態では、この補体活性は、補体により媒介される細胞死を含む。いくつかの実施形態では、この補体活性は、標的細胞の細胞死を誘発する。いくつかの実施形態では、標的細胞の死は、別の細胞(例えば免疫細胞)による標的細胞の食作用を含む。いくつかの実施形態では、細胞死は、標的細胞の形質膜中での終末溶解性複合体(MAC;C5b-9)の形成の後に起こる。いくつかの実施形態では、細胞死は標的細胞のアポトーシスを含む。
いくつかの実施形態では、補体活性はオプソニンの産生を含む。いくつかの実施形態では、オプソニンは、C3b、iC3b、またはC3bとiC3bとの両方を含む。いくつかの実施形態では、補体活性はアナフィラトキシンの産生を含む。いくつかの実施形態では、アナフィラトキシンは、C3a、C5a、またはC3aとC5aとの両方を含む。いくつかの実施形態では、補体活性は終末溶解性複合体(MAC;C5b-9)の形成を含む。いくつかの実施形態では、終末溶解性複合体は標的細胞の形質膜中に生じ、細孔を作成し、この細孔により標的細胞の死が促進される。
いくつかの実施形態では、標的細胞はインビボ細胞である。ある特定の実施形態では、インビボ細胞は自己細胞である。他の実施形態では、インビボ細胞は外来細胞であり、例えば病原体である。いくつかの実施形態では、インビボ細胞は異常な細胞である。いくつかの実施形態では、インビボ細胞はがん細胞である。いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫(MEL);腎細胞癌(RCC);肺がん;結腸直腸がん(CRC);前立腺がん;肝がん;頭頸部の扁平上皮癌;食道、卵巣、消化管、および乳房の癌腫;血液悪性腫瘍、例えば、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/原発性縦隔B細胞リンパ腫、および慢性骨髄性白血病;ならびにこれらの任意の組合せからなる群から選択される。他の実施形態では、インビボ細胞は病原体である。いくつかの実施形態では、インビボ細胞は、細菌、真菌、寄生生物、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、インビボ細胞はウイルスに感染している。
いくつかの実施形態では、細胞と、二重特異性抗体または多重特異性抗体とを接触させることにより、この接触前のC3bのレベルと比較して、細胞の表面上でのC3bのレベルが上昇する。いくつかの実施形態では、細胞と、二重特異性抗体または多重特異性抗体とを接触させることにより、この接触前のC3bのレベルと比較して、対象の血清中でのC3bのレベルが上昇する。いくつかの実施形態では、細胞と、二重特異性抗体または多重特異性抗体とを接触させることにより、この接触前のC3aのレベルと比較して、対象の血清中でのC3aのレベルが上昇する。いくつかの実施形態では、細胞と、二重特異性抗体または多重特異性抗体とを接触させることにより、この接触前のC3のレベルと比較して、対象の血清中でのC3のレベルが低下する。いくつかの実施形態では、細胞と、二重特異性抗体または多重特異性抗体とを接触させることにより、この接触前のC3bBbのレベルと比較して、細胞の表面上でのC3bBbのレベルが上昇する。
本開示のある特定の態様は、それを必要とする対象の細胞の表面上で補体活性を誘発する方法であって、この細胞と、本明細書で開示されている二重特異性抗体または多重特異性抗体の有効量とを接触させることを含み、この二重特異性抗体または多重特異性抗体はC3bBb複合体の解離を阻害する、方法を対象とする。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体または多重特異性抗体は、C3bBb複合体の因子BbおよびC3bへの解離を阻害する。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。ある特定の実施形態では、対象は疾患または状態に苦しめられている。
本開示の他の態様は、それを必要とする対象において細胞死を誘発することにより疾患または状態を処置する方法であって、本明細書で開示されている二重特性抗体または多重特異性抗体の有効量を投与することを含む方法を対象とする。
ある特定の実施形態では、対象は、がんを含む疾患または状態を有する。特定のがんを、当分野で既知のあらゆるがんから選択し得る。いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫(MEL);腎細胞癌(RCC);肺がん;結腸直腸がん(CRC);前立腺がん;肝がん;頭頸部の扁平上皮癌;食道、卵巣、消化管、および乳房の癌腫;血液悪性腫瘍、例えば、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/原発性縦隔B細胞リンパ腫、および慢性骨髄性白血病;ならびにこれらの任意の組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、対象は血液悪性腫瘍を有する。ある特定の実施形態では、対象はB細胞リンパ腫を有する。他の実施形態では、対象はT細胞リンパ腫を有する。他の実施形態は、対象は白血病を有し、例えば慢性骨髄性白血病を有する。
ある特定の実施形態では、対象は、自己免疫疾患を含む疾患または状態を有する。特定の自己免疫疾患を、当分野で既知のあらゆる自己免疫疾患から選択し得る。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、多発性硬化症、1型糖尿病、関節リウマチ、ループス、セリアック病、シェーグレン症候群、多発性筋痛、強直性脊椎炎、円形脱毛症、血管炎、側頭動脈炎、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、対象は多発性硬化症を有する。他の実施形態では、対象は糖尿病を有し、例えば1型糖尿病を有する。他の実施形態では、対象は関節リウマチを有する。他の実施形態では、対象はループスを有する。他の実施形態では、対象はセリアック病を有する。
ある特定の実施形態では、対象は感染を有する。いくつかの実施形態では、感染は、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、寄生生物感染、またはこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
ある特定の実施形態では、二重特異性抗体または多重特異性抗体は、細胞死を誘発することにより疾患または状態を処置する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体または多重特異性抗体は、疾患または状態の1つまたはそれ以上の細胞に対する標的の免疫反応を促進することにより(例えば、オプソニンまたはアナフィラトキシンのレベルを上昇させることにより)細胞死を誘発する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体または多重特異性抗体は、終末溶解性複合体(「細胞膜傷害複合体」または「MAC」;C5b-9)の形成により細胞死を誘発する。いくつかの実施形態では、終末溶解性複合体は標的細胞の形質膜中に形成し、細孔を作成し、この細孔により標的細胞の死が促進される。
本明細書で開示されている二重特異性抗体または多重特異性抗体を、当分野で既知の任意の手段により投与し得る。いくつかの実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体を、非経口投与するか、静脈内投与するか、皮下投与するか、皮内投与するか、経皮投与するか、筋肉内投与するか、経口投与するか、眼内投与するか、髄腔内投与するか、腹腔内投与するか、鼻腔内投与するか、口腔投与するか、舌下投与するか、直腸投与するか、経膣投与するか、または肺経路を介して投与する。ある特定の実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体を静脈内投与する。ある特定の実施形態では、この二重特異性抗体または多重特異性抗体を皮下投与する。
IV.ポリヌクレオチド
本開示のある特定の態様は、本明細書で開示されている抗体をコードする核酸を含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのセットを対象とする。いくつかの実施形態では、このポリヌクレオチドは、配列番号11と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である核酸配列を含む。ある特定の実施形態では、このポリヌクレオチドは配列番号11を含む。
いくつかの実施形態では、このポリヌクレオチドは、配列番号13と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である核酸配列を含む。ある特定の実施形態では、このポリヌクレオチドは配列番号13を含む。
いくつかの実施形態では、このポリヌクレオチドは、配列番号12と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である核酸配列を含む。ある特定の実施形態では、このポリヌクレオチドは配列番号12を含む。
いくつかの実施形態では、このポリヌクレオチドは、配列番号13と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である核酸配列を含む。ある特定の実施形態では、このポリヌクレオチドは配列番号13を含む。
本開示の抗体をコードするヌクレオチド配列を、意図される標的細胞(例えば、コードされる抗体を合成するために遺伝子が改変されている細胞)中でのこのヌクレオチド配列の発現を可能にする1種またはそれ以上の調節エレメント(例えばプロモーターおよびエンハンサー)に作動可能に連結し得る。そのため、いくつかの場合では、本開示は、本開示の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸であって、このヌクレオチド配列は、1種またはそれ以上の調節エレメント(例えばプロモーターおよび/またはエンハンサー)に作動可能に連結されている、核酸を提供する。
適切なプロモーターエレメントおよびエンハンサーエレメントは当分野で既知である。原核宿主細胞中での使用に適したプロモーターとして下記が挙げられるがこれらに限定されない:バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼプロモーター;T3プロモーター;T5プロモーター;ラムダPプロモーター;trpプロモーター;lacオペロンプロモーター;ハイブリッドプロモーター、例えば、lac/tacハイブリッドプロモーター、tac/trcハイブリッドプロモーター、trp/lacプロモーター、T7/lacプロモーター;trcプロモーター;およびtacプロモーター等;gptプロモーター;araBADプロモーター;インビボで調節されるプロモーター、例えば、ssaGプロモーターまたは関連するプロモーター(例えば、米国特許出願公開第20040131637号を参照されたい)、pagCプロモーター(PulkkinenおよびMiller、J.Bacteriol.、1991年:173(1):86~93頁;Alpuche-Aranda他、PNAS、1992年;89(21):10079~83頁)、およびnirBプロモーター(Harborne他(1992年)Mol.Micro.6:2805~2813頁)等(例えば、Dunstan他(1999年)Infect.Immun.67:5133~5141頁;McKelvie他(2004年)Vaccine 22:3243~3255頁;およびChatfield他(1992年)Biotechnol.10:888~892頁を参照されたい);シグマ70プロモーター、例えば、コンセンサスシグマ70プロモーター(例えば、GenBank Accession No.AX798980、AX798961、およびAX798183を参照されたい);定常期プロモーター、例えば、dpsプロモーター、およびspvプロモーター等;病原性アイランドSPI-2に由来するプロモーター(例えばWO96/17951を参照されたい);actAプロモーター(例えばShetron-Rama他(2002年)Infect.Immun.70:1087~1096頁を参照されたい);rpsMプロモーター(例えばValdiviaおよびFalkow(1996年).Mol.Microbiol.22:367頁を参照されたい);tetプロモーター(例えば、Hillen,W.およびWissmann,A.(1989年)In Saenger、W.and Heinemann,U.(編)、Topics in Molecular and Structural Biology、Protein-Nucleic Acid Interaction.Macmillan,London、UK、第10巻、143~162頁を参照されたい);ならびにSP6プロモーター(例えばMelton他(1984年)Nucl.Acids Res.12:7035頁を参照されたい)等。大腸菌(Escherichia coli)等の原核生物中での使用に適した強力なプロモーターとして、Trc、Tac、T5、T7、およびPラムダが挙げられるがこれらに限定されない。細菌宿主細胞中での使用のためのオペレーターの非限定的例として下記が挙げられる:ラクトースプロモーターオペレーター(LacIリプレッサータンパク質は、ラクトースと接触した場合にコンフォメーションを変化させ、それによりLacIリプレッサータンパク質がオペレーターと結合することが防止される)、トリプトファンプロモーターオペレーター(トリプトファンと複合体を形成した場合に、TrpRリプレッサータンパク質は、オペレーターに結合するコンフォメーションを有し、トリプトファンの非存在下では、TrpRリプレッサータンパク質は、オペレーターに結合しないコンフォメーションを有する)、およびtacプロモーターオペレーター(例えば、deBoer他(1983年)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21~25頁を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、例えば酵母細胞中での発現の場合、適切なプロモーターは、構成的プロモーター、例えば、ADH1プロモーター、PGK1プロモーター、ENOプロモーター、およびPYK1プロモーター等;または調節可能なプロモーター、例えば、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、ADH2プロモーター、PHO5プロモーター、CUP1プロモーター、GAL7プロモーター、MET25プロモーター、MET3プロモーター、CYC1プロモーター、HIS3プロモーター、ADH1プロモーター、PGKプロモーター、GAPDHプロモーター、ADC1プロモーター、TRP1プロモーター、URA3プロモーター、LEU2プロモーター、ENOプロモーター、TP1プロモーター、およびAOX1(例えばピキア(Pichia)での使用の場合)である。
真核細胞中での発現の場合、適切なプロモーターとして下記が挙げられるがこれらに限定されない:軽および/または重鎖免疫グロブリン遺伝子プロモーターおよびエンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス最初期プロモーター;単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーター;初期および後期SV40プロモーター;レトロウイルスからの末端反復配列中に存在するプロモーター;マウスメタロチオネイン-Iプロモーター;ならびに様々な当分野で既知の組織特異的プロモーター。構成的な哺乳動物プロモーターとして、下記の遺伝子のためのプロモーター:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ベータ-アクチンプロモーター、および他の構成的プロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。真核細胞中で構成的に機能する追加の例のウイルスプロモーターとして、例えば下記が挙げられる:サイトメガロウイルス(CMV)、サルウイルス(例えばSV40)、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、モロニーマウス白血病ウイルスの長末端反復配列(LTR)、および他のレトロウイルスからのプロモーター、ならびに単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーター。他の構成的プロモーターが当業者に既知である。本発明の遺伝子発現配列として有用なプロモーターとして、誘導性プロモーターも挙げられる。誘導性プロモーターは誘導剤の存在下で発現される。例えば、メタロチオネインプロモーターは、特定の金属イオンの存在下で転写および翻訳を促進するように誘導される。他の誘導性プロモーターが当業者に既知である。
適切なベクターおよびプロモーターの選択は、十分に当分野における通常の技術のレベルの範囲内である。
本開示の抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、当分野で既知の任意のベクター(例えば発現ベクターまたはクローニングベクター)中で存在し得る。本明細書で使用される場合、発現ベクターは、適切な宿主細胞に導入された場合に、挿入されているコード配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含むか、またはRNAウイルスベクターの場合には複製および翻訳に必要なエレメントを含むあらゆる核酸構築物を指す。発現ベクターとして、プラスミド、ファージミド、ウイルス、およびこれらの誘導体が挙げられる。
多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者に既知であり、多くが、対象組換えベクターを生成するために市販されている。例として、下記のベクターが提供される。細菌:pBs、phagescript、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene,La Jolla,Calif.,USA);pTrc99A、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、およびpRIT5(Pharmacia,Uppsala,Sweden)。真核生物:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXR1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVL(Pharmacia)。適切な発現ベクターとしてウイルスベクターが挙げられるがこれに限定されない。ウイルスベクターの例として下記が挙げられるがこれらに限定されない:下記をベースとするウイルスベクター:ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;アデノウイルス(例えば、Li他、Invest Opthalmol Vis Sci 35:2543 2549頁、1994年;Borras他、Gene Ther 6:515 524頁、1999年;LiおよびDavidson、PNAS 92:7700 7704頁、1995年;Sakamoto他、H Gene Ther 5:1088 1097頁、1999年;WO94/12649、WO93/03769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984、およびWO95/00655を参照されたい);アデノ随伴ウイルス(例えば、Ali他、Hum Gene Ther 9:81 86頁、1998年、Flannery他、PNAS 94:6916 6921頁、1997年;Bennett他、Invest Opthalmol Vis Sci 38:2857 2863頁、1997年;Jomary他、Gene Ther 4:683 690頁、1997年、Rolling他、Hum Gene Ther 10:641 648頁、1999年;Ali他、Hum Mol Genet 5:591 594頁、1996年;WO93/09239でのSrivastava、Samulski他、J.Vir.(1989年)63:3822~3828頁;Mendelson他、Virol.(1988年)166:154~165頁;およびFlotte他、PNAS(1993年)90:10613~10617頁を参照されたい);SV40;単純ヘルペスウイルス;レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾壊死ウイルス、ならびにレトロウイルス(例えば、ラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshi他、PNAS 94:10319 23頁、1997年;Takahashi他、J Virol 73:7812 7816頁、1999年を参照されたい)、ならびに骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳房腫瘍ウイルス))に由来するベクター等。
いくつかの実施形態では、ベクターは、レトロウイルス、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルス、およびラウス肉腫ウイルス;アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス;SV40型ウイルス;ポリオーマウイルス;エプスタイン・バーウイルス;パピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;ならびにレトロウイルス等のRNAウイルスからなる群から選択される核酸配列を含むウイルスベクターである。当分野で公知の他のベクターを容易に利用し得る。ある特定のウイルスベクターは、非必須遺伝子が目的の遺伝子に置き換えられている非細胞変性真核生物ウイルスをベースにする。非細胞変性ウイルスとしてレトロウイルスが挙げられ、このレトロウイルスのライフサイクルは、ゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写と、それに続く宿主細胞DNAへのプロウイルスの組込みを含む。レトロウイルスは、ヒトでの遺伝子治療試験用に承認されている。最も有用なのは、複製欠損性である(即ち、所望のタンパク質の合成を指示し得るが、感染性粒子を作り得ない)レトロウイルスである。そのように遺伝子が変更されているレトロウイルス発現ベクターは、インビボでの遺伝子の高効率の形質導入に一般的に有用である。複製欠損レトロウイルスを産生するための標準的なプロトコル(プラスミドへの外因性遺伝物質の組込み、プラスミドによるパッケージング細胞株のトランスフェクション、このパッケージング細胞株による組換えレトロウイルスの産生、組織培養培地からのウイルス粒子の回収、およびウイルス粒子による標的細胞の感染の工程を含む)が、Kriegler,M.、Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,W.H.Freeman Co.,New York(1990年)およびMurry,E.J.,Methods in Molecular Biology、第7巻、Humana Press,Inc.,Cliffton,N.J.(1991年)に記載されている。
一実施形態では、ウイルスは、二本鎖DNAウイルスであるアデノ随伴ウイルスである。アデノ随伴ウイルスは複製欠損性であるように操作されており、多種多様な細胞型および細胞種に感染し得る。さらに、アデノ随伴ウイルスは、熱および脂質溶媒の安定性;造血細胞等の多様な系統の細胞での高い形質導入頻度;ならびに重複感染の阻害の欠如により一連の複数の形質導入が可能であること等の利点を有する。報告によると、アデノ随伴ウイルスは部位特異的にヒト細胞DNAに組み込まれ、それにより、レトロウイルス感染に特徴的な挿入変異誘発の可能性および挿入遺伝子発現の変動性が最小限に抑えられる。加えて、野生型アデノ随伴ウイルス感染は、選択圧力の非存在下では100回超の継代にわたり組織培養で引き継がれており、アデノ随伴ウイルスのゲノム組込みは比較的安定した事象であることが暗示される。アデノ随伴ウイルスはまた、染色体外でも機能し得る。
別の実施形態では、ウイルスベクターは、本明細書で開示されているような抗C1s抗体をコードするポリヌクレオチドを担持するように操作されているアデノ随伴ウイルス(AAV)である。組換えAAV(rAAV)を得るための一般的な方法が開示されている。例えば、米国特許第8,734,809号、米国特許出願公開第2013/0195801号、ならびにこれらで引用されている参考文献を参照されたい。いくつかの実施形態では、rAAVベクターは、1つまたはそれ以上のAAV末端逆位配列(ITR)、および目的の導入遺伝子(例えば、最適化されたFIXポリヌクレオチド配列)を含む。ある特定の実施形態では、rAAVを作製する方法は、AAVキャプシドタンパク質またはその断片;機能的rep遺伝子;AAV末端逆位配列(ITR)および目的の導入遺伝子で構成されているrAAVベクター;ならびに組換えAAVベクターのAAVキャプシドタンパク質へのパッケージングを可能にする十分なヘルパー機能をコードする核酸配列を含む所望の宿主細胞を培養することを含む。これらの手順および関連する手順を実施するための物質および方法が、例えば、米国特許第8,734,809号、米国特許出願公開第2013/0195801号、PCT/US1997/015692、PCT/US2002/033692、PCT/US2002/033630、WO2007/148971、WO00/20561、WO03/042361、およびWO2007/04670で開示されている。
ほぼ全ての血清型に由来する様々なAAVベクター配列の内の1つまたはそれ以上を、本発明に従って使用し得る。特定のAAVベクター配列の選択は、既知のパラメータ(例えば、目的の指向性、必要とされるベクター収率等)により導かれるだろう。一般に、AAV血清型は、アミノ酸レベルおよび核酸レベルで有意な相同性のゲノム配列を有し、遺伝子機能の関連したセットを提供し、関連しているビリオンを生じ、同様に複製し集合する。様々なAAV血清型のゲノム配列、およびゲノム類似性の概要に関して、例えば、GenBank Accession番号U89790;GenBank Accession番号J01901;GenBank Accession番号AF043303;GenBank Accession番号AF085716;Chlorini他(1997年、J.Vir.71:6823~33頁);Srivastava他(1983年、J.Vir.45:555~64頁);Chlorini他(1999年、J.Vir.73:1309~1319頁);Rutledge他(1998年、J.Vir.72:309~319頁);およびWu他(2000年、J.Vir.74:8635~47)を参照されたい。AAV血清型1、2、3、4、および5は、本発明の文脈での使用のためのAAVヌクレオチド配列の例示的な供給源である。AAV6、AAV7、AAV8、もしくはAAV9、または例えばキャプシドシャッフリング技術およびAAVキャプシドライブライリにより得られるかまたは新規に設計され、開発されたもしくは進化したITRからの新規に開発されたAAV様粒子もまた、ある特定の発明の用途に適している。Dalkara,D他(2013年)、Sci Transl.Med.5(189):189ra76;Kotterman,MA Nat.Rev.Genet.(2014年)15(7):455頁を参照されたい。
他の実施形態では、ベクターはレンチウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、ベクターは、非分裂細胞に感染し得る組換えレンチウイルスのベクターである。
レンチウイルスゲノムおよびプロウイルスDNAは概して、レトロウイルスで見出される3種の遺伝子(gag、pol、およびenv)を有し、これらの遺伝子は、2つの長末端反復配列(LTR)の配列に隣接している。gag遺伝子は内部構造(マトリックス、キャプシド、およびヌクレオキャプシド)タンパク質をコードし;pol遺伝子はRNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)、プロテアーゼ、およびインテグラーゼをコードし;env遺伝子は、ウイルスエンベロープ糖タンパク質をコードする。5’LTRおよび3’LTRは、ビリオンRNAの転写およびポリアデニル化を促進するのに役立つ。LTRは、ウイルス複製に必要な他の全てのシス作用配列を含む。レンチウイルスは、(HIV-l、HIV-2、および/またはSIV中における)vif、vpr、tat、rev、vpu、nef、およびvpx等のさらなる遺伝子を有する。
5’LTRに隣接しているのは、ゲノムの逆転写(tRNAプライマー結合部位)およびウイルスRNAの粒子(Psi部位)への効率的なキャプシド形成に必要な配列である。キャプシド形成(またはレトロウイルスRNAの感染性ビリオンへのパッケージング)に必要な配列がウイルスゲノムから欠けている場合には、シス欠損はゲノムRNAのキャプシド形成を防止する。
しかしながら、得られた変異体は、全てのビリオンタンパク質の合成を指示し得るままである。本発明は、非分裂細胞に感染し得る組換えレンチウイルスを産生する方法であって、パッケージング機能(即ち、gag、pol、およびenv、ならびにrev、およびtat)を担持する2つ以上のベクターで適切な宿主細胞をトランスフェクトすることを含む、方法を提供する。本明細書の下記で開示されているように、機能的tat遺伝子を欠くベクターは、ある特定の用途に望ましい。そのため、例えば、第1のベクターは、ウイルスgagおよびウイルスpolをコードする核酸を提供し得、別のベクターは、パッケージング細胞を産生するためにウイルスenvをコードする核酸を提供し得る。本明細書においてトランスファーベクターとして同定される、異種遺伝子を提供するベクターをパッケージング細胞に導入することにより、目的の外来遺伝子を担持する感染性ウイルス粒子を放出する産生細胞が得られる。
ベクターおよび外来遺伝子の上述の配置に従って、第2のベクターは、ウイルスエンベロープ(env)遺伝子をコードする核酸を提供し得る。env遺伝子は、レトロウイルス等のほぼ全ての適切なウイルスに由来し得る。いくつかの実施形態では、envタンパク質は、ヒトおよび他の種の細胞の形質導入を可能にする広宿主性のエンベロープタンパク質である。
レトロウイルス由来のenv遺伝子の例として下記が挙げられるがこれらに限定されない:モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLVまたはMMLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSVまたはHSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTVまたはMMTV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLVまたはGALV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、およびラウス肉腫ウイルス(RSV)。肝炎ウイルスおよびインフルエンザの他のenv遺伝子(例えば水疱性口内炎ウイルス(VSV)タンパク質G(VSV G))も使用し得る。
ウイルスenv核酸配列を提供するベクターは、本明細書の他の箇所で説明されている調節配列と作動可能に結合している。
ある特定の実施形態では、ベクターとして、非分裂細胞を形質導入するベクターの能力を損なうことなくHIV病原性遺伝子env、vif、vpr、vpu、およびnefが欠失されたレンチウイルスベクターが挙げられる。
いくつかの実施形態では、ベクターとして、3’LTRのU3領域が欠失しているレンチウイルスベクターが挙げられる。U3領域の欠失は、完全な欠失または部分的な欠失であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されている抗体をコードするヌクレオチド配列を含む本発明のレンチウイルスベクターは、(a)gag遺伝子、pol遺伝子、またはgag遺伝子およびpol遺伝子を含む第1のヌクレオチド配列、ならびに(b)異種env遺伝子を含む第2のヌクレオチド配列で細胞内でトランスフェクトされ得、このレンチウイルスベクターは機能的tat遺伝子を欠く。他の実施形態では、細胞は、rev遺伝子を含む第4のヌクレオチド配列でさらにトランスフェクトされる。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、vif、vpr、vpu、vpx、およびnef、またはこれらの組合せから選択される機能的遺伝子を欠く。
ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、gagタンパク質、Rev反応因子、中央ポリプリン追跡(central polypurine track)(cPPT)、またはこれらの任意の組合せをコードする1種またはそれ以上のヌクレオチド配列を含む。
レンチウイルスベクターの例は、WO9931251、W09712622、W09817815、W09817816、およびWO9818934で開示されており、これらは、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。
他のベクターとしてプラスミドベクターが挙げられる。プラスミドベクターは当分野で広く説明されており、当業者に公知である。例えば、Sambrook他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989年を参照されたい。ここ数年、プラスミドベクターは、宿主ゲノム内で複製し得ず、宿主ゲノムに組み込まれないことから、インビボで細胞に遺伝子を送達するのに特に有利であることが見出されている。しかしながら、宿主細胞と適合するプロモーターを有するこれらのプラスミドは、このプラスミド内で作動可能にコードされている遺伝子からペプチドを発現し得る。商業的サプライヤから入手可能ないくつかの一般的に使用されるプラスミドとして、pBR322、pUC18、pUC19、様々なpcDNAプラスミド、pRC/CMV、様々なpCMVプラスミド、pSV40、およびpBlueScriptが挙げられる。具体的なプラスミドのさらなる例として、pcDNA3.1、カタログ番号V79020;pcDNA3.1/hygro、カタログ番号V87020;pcDNA4/myc-His、カタログ番号V86320;およびpBudCE4.1、カタログ番号V53220が挙げられ、全てはInvitrogen(Carlsbad、CA.)製である。他のプラスミドが当業者に公知である。さらに、プラスミドを、標準的な分子生物学的技術を使用してカスタムに設計し、DNAの特定の断片を除去し得、および/または付加し得る。
V.宿主細胞
本開示は、対象の核酸で遺伝子が改変されている単離された遺伝子改変宿主細胞(例えばインビトロ細胞)を提供する。いくつかの実施形態では、対象の単離された遺伝子改変宿主細胞は、対象の抗体を産生し得る。そのような細胞は、「組換え細胞」または「遺伝子改変宿主細胞」と称される。本開示の遺伝子改変宿主細胞は、本開示の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む。
適切な宿主細胞として、真核宿主細胞(例えば、哺乳動物細胞;昆虫宿主細胞;酵母細胞)、および原核細胞(例えば細菌細胞)が挙げられる。対象核酸の宿主細胞への導入を、例えば、リン酸カルシウム沈殿、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポソーム媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、または他の既知の方法によりもたらし得る。
適切な哺乳動物細胞として、初代細胞および不死化細胞株が挙げられる。適切な哺乳動物細胞株として、ヒト細胞株、非ヒト霊長類細胞株、および齧歯類(例えば、マウス、ラット)細胞株等が挙げられる。適切な哺乳動物細胞株として下記が挙げられるがこれらに限定されない:HeLa細胞(例えば、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC)番号CCL-2)、CHO細胞(例えば、ATCC番号CRL9618、CCL61、CRL9096)、293細胞(例えば、ATCC番号CRL-1573)、Vero細胞、NIH 3T3細胞(例えば、ATCC番号CRL-1658)、Huh-7細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号CCL10)、PC12細胞(ATCC番号CRL1721)、COS細胞、COS-7細胞(ATCC番号CRL1651)、CVI(サル腎臓株)、RAT1細胞、マウスL細胞(ATCC番号CCLI.3)、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞(ATCC番号CRL1573)、およびHLHepG2細胞等。いくつかの場合では、細胞はHEK細胞である。ある特定の実施形態では、細胞はHEK 293細胞である。いくつかの場合では、細胞は、CHO細胞、例えば、CHO-K1細胞(ATCC番号CCL-61)、CHO-M細胞、CHO-DG44細胞(ATCC番号PTA-3356)、DUXB11(チャイニーズハムスター卵巣株、DHFRマイナス)、R1610(チャイニーズハムスター線維芽細胞)、BALBC/3T3(マウス線維芽細胞)、HAK(ハムスター腎臓株)、SP2/O(マウス骨髄腫)、P3x63-Ag3.653(マウス骨髄腫)、BFA-1c1BPT(ウシ内皮細胞)、RAJI(ヒトリンパ球)、PER.C6(登録商標)、NS0、CAP、およびBHK21等である。いくつかの実施形態では、宿主細胞はCOS細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は293細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞はCHO細胞である。
適切な酵母細胞として下記が挙げられるがこれらに限定されない:ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・フィンランディカ(Pichia finlandica)、ピキア・トレハロフイラ(Pichia trehalophila)、ピキア・コクラマエ(Pichia koclamae)、ピキア・メンブラナエファキエンス(Pichia membranaefaciens)、ピキア・オプンティアエ(Pichia opuntiae)、ピキア・サーモトレランス(Pichia thermotolerans)、ピキア・サリクタリア(Pichia salictaria)、ピキア・グエルキューム(Pichia guercuum)、ピキア・ピジュペリ(Pichia pijperi)、ピキア・スティピティス(Pichia stiptis)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア属の種(Pichia sp.)、サッカロミケス・ケレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミケス属の種(Saccharomyces sp.)、メタノール資化酵母(Hansenula polymorpha)、クルイウェロマイセス属の種(Kluyveromyces sp.)、クルイウェロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、クロコウジカビ(Aspergillus niger)、ニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、クリソスポリウム・ラクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、フザリウム属の種(Fusarium sp.)、フザリウム・グラミネウム(Fusarium gramineum)、フザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)、アカパンカビ(Neurospora crassa)、およびコナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)等。いくつかの実施形態では、宿主細胞はサッカロミケス属(Saccharomyces)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞はピキア属(Pichia)である。
適切な原核細胞として、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス属(Bacillus)(例えば枯草菌(B.subtilis))、およびラクトバチルス属の種(Lactobacillus sp.)等の様々な実験室株の内のいずれかが挙げられるがこれらに限定されない。例えば、Carrier他(1992年)J.Immunol.148:1176~1181頁;米国特許第6,447,784号;およびSizemore他(1995年)Science 270:299~302頁を参照されたい。典型的には、この実験室株は非病原性のものである。いくつかの実施形態では、宿主細胞は大腸菌(Escherichia coli)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は枯草菌(Bacillus subtilis)である。
本発明の単離核酸分子の宿主細胞への導入を、当業者に公知の様々な技術により達成し得る。これとして、トランスフェクション(例えば電気泳動およびエレクトロポレーション)、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈殿、エンベロープDNAとの細胞融合、マイクロインジェクション、および無傷のウイルスによる感染が挙げられるがこれらに限定されない。Ridgway,A.A.G.”Mammalian Expression Vectors”第24.2章、470~472頁 Vectors、RodriguezおよびDenhardt編(Butterworths,Boston,Mass.1988年)を参照されたい。最も好ましくは、宿主へのプラスミド導入は、エレクトロポレーションによるものである。形質転換細胞を、軽鎖および重鎖の産生に適切な条件下で増殖させ、重鎖および/または軽鎖のタンパク質合成に関してアッセイする。例示的なアッセイ技術として、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または蛍光活性化セルソーター分析(FACS)、および免疫組織化学等が挙げられる。
本発明の単離核酸分子を含む宿主細胞を、適切な増殖培地中で増殖させる。本明細書で使用される場合、用語「適切な増殖培地」は、細胞の増殖に必要な栄養素を含む培地を意味する。細胞増殖に必要な栄養素として、炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、および増殖因子が挙げられる。場合により、培地は、1種またはそれ以上の選択因子を含み得る。場合により、培地は、子ウシ血清またはウシ胎仔血清(FCS)を含み得る。一実施形態では、培地はIgGを実質的に含まない。増殖培地は一般に、例えば、薬物選択によるか、またはDNA構築物上の選択マーカーにより補完されるかもしくはDNA構築物と共トランスフェクトされる必須栄養素の欠乏により、DNA構築物を含む細胞を選択する。培養される哺乳動物細胞を一般に、市販の血清含有培地または血清フリー培地(例えば、MEM、DMEM、DMEM/F12)で増殖させる。一実施形態では、培地はCDoptiCHO(Invitrogen,Carlsbad,CA.)である。別の実施形態では、培地はCD17(Invitrogen,Carlsbad,CA.)である。使用される特定の細胞株に適した培地の選択は、当業者の水準内である。
VI.医薬組成物
本発明の抗体を含む組成物は、適切な薬学的に許容される担体を含み得る。例えば、この組成物は、作用部位への送達のために設計された調製物への活性化合物の加工を容易にする賦形剤および/または補助剤を含み得る。
医薬組成物を、非経口投与(即ち、静脈内投与、皮下投与、または筋肉内投与)用に製剤化し得る。
本発明の組成物は様々な形態であり得、例えば、液体(例えば、注射可能な溶液および注入可能な溶液)、分散液、懸濁液、半固体、および固体の投与形態であり得る。好ましい形態は投与様式および治療用途によって決まる。
投与レジメンを、最適な望ましい反応を得るように調整し得る。例えば、単回ボーラスを投与してもよい、いくつかの分割した用量を経時的に投与してもよいし、治療状況の緊急事態により示されるように用量を相対的に減少してもいし増加させてもよい。投与の容易さおよび投与量の均一性のために、投与単位形態で非経口組成物を製剤化することが有利である。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.,Easton,Pa.1980年)を参照されたい。
適切な薬学的担体の非限定的な例はまた、E.W.MartinによりRemington’s Pharmaceutical Sciencesでも説明されている。賦形剤のいくつかの例として、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリコール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセリン、プロピレン、グリコール、水、およびエタノール等が挙げられる。組成物はまた、pH緩衝試薬と、湿潤剤または乳化剤とも含み得る。
経口投与のために、医薬組成物は、常法により製造された錠剤またはカプセルの形態を取り得る。この組成物を液体(例えばシロップまたは懸濁液)としても調製し得る。この液体は、懸濁剤、乳化剤、非水ビヒクル、および保存料を含み得る。この調製物はまた、香料、着色料、および甘味料も含み得る。あるいは、この組成物を、水または別の適切なビヒクルとの構成のための乾燥品として提示し得る。
口腔投与のために、組成物を、従来のプロトコルに従って錠剤またはロゼンジの形態を取り得る。
吸入による投与のために、本発明に従う使用のための化合物は、場合により噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素、または他の適切な気体)と共に、賦形剤と共にもしくは賦形剤なしの噴霧エアロゾルの形態で、または加圧パックもしくは噴霧器からのエアロゾルスプレーの形態で便利に送達される。加圧エアロゾルの場合には、計量された量を送達するためにバルブを設けることにより、投与量単位を決定し得る。この化合物および適切な粉末基剤(例えばラクトースまたはデンプン)の粉末ミックスを含む、吸入器(inhaler)または吸入器(insufflator)での使用のための(例えばゼラチンの)カプセルおよびカートリッジを製剤化し得る。
医薬組成物を、例えば従来の座薬基剤(例えば、ココアバターまたは他のグリセリド)を含む座薬または停留浣腸として、直腸投与用にも製剤化し得る。
一実施形態では、医薬組成物は、抗体(例えば、抗因子B抗体、二重特異性抗体、もしくは多重特異性抗体)、この抗体をコードするポリヌクレオチド、このポリヌクレオチドを含むベクター、またはこのベクターを含む宿主細胞と、薬学的に許容される担体とを含む。
ここで詳細に本発明を説明することにより、本発明は、説明の目的のみのために含まれ、本発明を限定することは意図されない下記の実施例への参照によって、より明確に理解されるであろう。
抗因子B抗体の産生
抗ヒト補体因子B(fBb)モノクローナル抗体を下記のように産生した:精製したfBbタンパク質によるNZBWマウスの免疫付与により、当業者に既知の技術を使用して、標的への結合に関してスクリーニングされるハイブリドーマライブラリを生成した。フローサイトメトリーを使用して単細胞クローンを生成し、この個々のクローンからの上清を、直接酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)により、fBbへの優先的な結合に関してスクリーニングした。fBbに特異的に結合するクローンを培養で展開し、ハイブリドーマ上清からモノクローナル抗体を精製した。精製したmAbを、Complement System Alternative Pathway WIESLABキット(Euro Diagnostica,Sweden)を使用して、代替経路(AP)活性の阻害に関してさらにスクリーニングした。これらの結果から、fBbに結合する新規の抗体を同定した。本明細書では、この抗体を抗因子B Abと命名した。
ヒト因子Bへの抗因子B Abの結合親和性結合
抗因子B Abの相対EC50値をELISAにより決定した。非標識の精製したヒト因子Bbを高結合ELISAプレート上にコーティングし、精製したmAbの量を増加させつつ(10μg/mLで始まる3倍連続希釈)共にインキュベートした。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートしたヤギ抗マウス二次抗体(Southern Biotech)を検出に使用し、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)1-Step Ultra TMB-ELISA Substrate Solution(Thermo Scientific)と反応させた。反応を等量の1N硫酸で停止させ、OD450nmでの吸光度を測定した。各モノクローナルのEC50を、PRISMソフトウェアを使用して算出した。抗因子B Abは、完全長のヒト補体因子Bとその活性酵素型である因子Bbとの両方に類似の親和性で結合することを見出した。
抗因子B Abは、C3bBb複合体の因子H解離をブロックする
ヒトまたはカニクイザルのいずれかの血清中の抗因子B Abのプレインキュベーションにより、補体の代替経路(AP)の濃度依存的な減衰が引き起こされ、AP ELISAキットを使用してインビトロで実証するか、またはAPを特異的に活性化するように設計されているウサギ赤血球溶血実験で実証する。
Octet System(Pall ForteBio)を使用して、因子H(FH)によるC3bBb複合体の解離速度への抗因子B抗体の効果を調べた。簡潔に説明すると、ビオチン化されたプロパージンを調製し、ストレプトアビジンがコーティングされたOctetプローブに結合させた。その後、この結合したプロパージンプローブを、10mMのHEPES、150mMのNaCl、2mMのMgCl、0.05%のTween-20を含むC3bBb複合体含有溶液中でインキュベートした。この溶液を、50μg/mlの濃度で抗体(抗因子B Ab、抗因子B F(ab’)2、Quidel α-fB、抗因子B Fab、C3bBb、C3b+fB、またはC3bのみ)を混合することにより調製した。C3転換酵素がプロパージンプローブに結合する場合には、この会合を測定した。図1を参照されたい。インキュベーションの600秒後、このプローブを、緩衝液のみを含む溶液に移して、このプロパージン結合プローブからのC3bBb複合体の解離を測定した。実験の開始から780秒後に、アッセイ緩衝液中に50μg/mLの因子Hを含む解離溶液を添加した。図1Aに示すように、抗因子B Abは、C3bBb複合体に最も強力に結合したままであった。このことは、抗因子B Abは、C3bBb複合体中のAP C3転換酵素の一次流体相阻害因子である因子HがC3bBb複合体に結合して混乱させることを防止することを実証する。
抗因子B Abは、C3bBb複合体のCD55解離をブロックする
上記の実施例3で説明したのと同一のOctet Systemを使用して、CD55によるC3bBb複合体の解離速度への抗因子B抗体の効果を調べた。簡潔に説明すると、ビオチン化されたプロパージンを調製し、ストレプトアビジンがコーティングされたOctetプローブに結合させた。その後、この結合したプロパージンプローブを、10mMのHEPES、150mMのNaCl、2mMのMgCl、0.05%のTween-20を含むC3bBb複合体含有溶液中でインキュベートした。この溶液を、50μg/mlの濃度で抗体(抗因子B Ab、抗因子B F(ab’)2、Quidel α-fB、抗因子B Fab、C3bBb、C3b+fB、またはC3bのみ)を混合することにより調製した。C3転換酵素がプロパージンプローブに結合する場合には、この会合を測定した。図2を参照されたい。インキュベーションの600秒後、このプローブを、緩衝液のみを含む溶液に移して、このプロパージン結合プローブからのC3bBb複合体の解離を測定した。実験の開始から780秒後に、アッセイ緩衝液中に50μg/mLのCD55を含む解離溶液を添加した。図1Bに示すように、抗因子B Abは、C3bBb複合体に最も強力に結合したままであり、CD55がC3bBb複合体に結合してこのC3bBb複合体の解離を混乱させることを防止した。これらのデータは、抗因子B Abは、補体カスケードの膜結合阻害性調節因子であるC3 AP転換酵素へのDAF/CD55の結合を防止することを実証する。
抗因子B Abは血清中でC3切断を誘発する
正常ヒト血清を試験して、M4が血清中でC3の切断を誘発するかどうかを決定した。CAP希釈緩衝液との最初のインキュベーションの後、M4、M4 Fab、またはQuidel α-fBを試料に添加した。陰性対照として、CAP希釈緩衝液中の10%のNHSのみ、またはmIgG2a抗体を含むCap希釈緩衝液を血清に添加した。血清試料への抗体の添加の10分後、20分後、または30分後に、血清のアリコートを採取して試料緩衝液(還元剤を含む)に添加した。この血清から抽出した溶解物をウエスタンブロットで分析した。溶解物を4~12%のNuPAGE Gel(MES Buffer)上で泳動させ、還元させた。細胞膜への転写の後、この細胞膜を、1:1000の希釈でポリクローナルウサギαヒトC3一次抗体と共にインキュベートし、1:5000の希釈でLicor抗ウサギIgG二次抗体を使用して検出した。
正常なC3は約140kDaで検出される。図2に示すように、抗因子B Abおよび抗因子B Fab(緩衝液のみ、mIgG2a、またはQuidel α-fBと共にインキュベートされた血清ではない)は、時間依存的にC3切断を誘発した。抗因子B Abおよび抗因子B Fabの処理による正常なC3発現の時間依存的な低下も存在した。20分および30分にわたり抗因子B Abとインキュベートされた試料では、切断されたC3が約65kDaで検出され、このことはC3の切断を実証する。
抗因子B Abは、溶液中で因子Hの活性およびCD55 DAFの活性の両方をブロックする
次に、正常ヒト血清を試験して、抗因子B Abが溶液中で因子Hの活性およびDAF/CD55の活性の両方をブロックするかどうかを決定した。C3、因子B、抗因子B Ab、因子H、および/またはDAF/CD55との最初のインキュベーションの後、因子Dを試料に添加し、45分にわたり37℃でインキュベートした。45分後、血清のアリコートを採取して試料緩衝液(還元剤を含む)に添加した。この血清から抽出した溶解物をゲル上で分離し、Coomassie染色を使用して分析した。図3に示すように、因子HまたはDAF/CD55の処理のみは正常なC3発現を維持するが、抗因子B Abと因子HまたはDAF/CD55との処理は、C3の切断を引き起こす。レーン6および8における単一バンドと比較したレーン7および9における約140kDaでの二重バンドを参照されたい。そのため、抗因子B Abは、溶液中で因子Hの活性およびDAF/CD55の活性の両方をブロックする。
キメラ抗因子B Ab
ハイブリドーマクローン抗因子B Ab用の可変ドメインを、クローニングに必要な追加のフランキング配列と一緒に合成した。この可変ドメインを、マウス可変領域とヒトIgG4定常/Fc領域とから構成されるキメラ抗体を生成する発現ベクターにクローニングした。この構築物をHEK293細胞にトランスフェクトし、Protein A Sepharoseを使用して培養上清から精製した。ヒトIgG4抗体の定常領域上に移植された抗因子B Abの可変領域を含むキメラ抗体を、キメラ抗因子B Abと称する。
キメラ抗因子B Abを使用するインビボアッセイ
インビボでの実験を実施して、カニクイザルにおけるキメラ抗因子B Abの薬物動態および薬力学を評価した。簡潔に説明すると、カニクイザルに、30mg/kgのキメラ抗因子B Abを静脈内投与した。最大30日の様々な時点で血漿および血清を採取した。図4に示すように、PK/PD研究の期間を通じて特定の時点で採取した血清試料および血漿試料の分析から、キメラ抗因子B Abの静脈内投与により、投与された動物において検出可能な血清AP活性が喪失されることが明らかになった。
血清古典経路活性も有意に減衰することも分かった。これらの試料のウエスタンブロット分析はC3の低下を示し、カニクイザル血漿C3濃度を測定するために構築されたインハウスのELISAを使用して知見を裏付けた。
インビボ研究からのデータと共に、この結果から、抗因子B Abおよびキメラ抗因子B Abが流体相AP C3転換酵素および固体相AP C3転換酵素の両方に結合して安定化させ、その分解を防止し、C3の消費および血清補体活性の喪失をもたらすという仮説が導かれた。
抗因子B Abのヒト化抗体の治療的使用
AP C3転換酵素に結合してこのAP C3転換酵素の阻害を防止する、抗因子B Abまたはキメラ抗因子B Abの完全ヒト化バージョンを使用して、自然免疫系が正常に機能しない患者の細胞の表面上での補体活性を治療的に標的として誘発する。
抗因子B Abの二重特異性抗体の治療的使用
二重特異性抗体を、ヒト化抗因子B Abと、目的の細胞上の膜結合タンパク質に結合する第2の抗体の可変領域(または例えばF(ab)領域もしくはF(ab’)2領域)とで構築し、この二重特異性の第2の抗体をホーミング機構として使用する。例えば、一方の端部上のヒト化抗因子B Abと他方の端部上のCD20に対する可変領域とからなる二重特異性抗体を使用して、(リンパ腫または自己免疫疾患のいずれかの場合で)B細胞を特異的に標的とし得た。同様に、ヒト化抗因子B Abまたはその断片と、電位開口型カリウムチャネルKv1.3(多発性硬化症および1型糖尿病等の自己免疫疾患を有する患者の自己抗原特異的Tエフェクター細胞の表面上で上方調節されている)を標的とする可変領域とを含む二重特異性抗体を使用して、非自己反応性リンパ球を保存しつつ自己免疫性リンパ球の表面上で特異的に補体カスケードを活性化し得た。そのため、ヒト化抗因子B Abの可変領域およびホーミング抗体を二重特異的に使用することにより、目的の任意の細胞型の表面上で補体活性を集中するプラットフォームが提供される。
代替補体経路の阻害は、抗体がコーティングされたN.メニンギティディス(N.meningitidis)またはS.ニューモニエ(S.pneumoniae)の全血死滅を防止しない
背景:病原体の検出およびクリアランスに関与する補体カスケードは、古典経路(CP)、レクチン経路(LP)、または代替経路(AP)により活性化され、これらのそれぞれは、経路特異的なパターン認識受容体により独立して活性化される。しかしながら、多数の疾患で異常な補体活性化が観察される。C5のレベルでの治療的補体阻害は、様々な疾患の処置に成功したアプローチであることが証明されているが、予防的にワクチン接種する場合であっても感染(特に、浸潤性の髄膜炎菌性疾患)のリスクの増加と関連する。経路特異的な成分を標的とすることにより、免疫監視のために他の経路をそのままの状態に保ちつつ、疾患の発症を引き起こす経路を選択的に阻害するという理論的な利点が得られる。
目的:この実験は、抗因子Bb抗体が潜在的な感染リスクの増加を示すかどうかを調べることである。本発明者らは、インビトロでの殺菌アッセイ(補体媒介)および全血死滅アッセイ(補体媒介および免疫細胞媒介)を実施して、N.メニンギティディス(N.meningitidis)およびS.ニューモニエ(S.pneumoniae)の死滅におけるAPの相対的な寄与を評価した。
方法:実験を、S.ニューモニエ(S.pneumoniae)株TIGR4および群C N.メニンギティディス(N.meningitidis)株4243を使用して実施した。フローサイトメトリーを使用してC3およびC4の沈着を測定し、経路特異的阻害剤を使用して、細菌上でのオプソニン化補体断片の沈着における様々な経路の相対的な寄与を決定した。無傷の補体および食細胞の両方を含む正常ヒト血漿および全血死滅アッセイにおける殺菌実験を、抗因子Bb抗体の存在下で実施した。ワクチン接種状態および非ワクチン接種状態それぞれを模倣するために莢膜抗体の存在下または非存在下で実験を実施した。
結果:飽和濃度の抗C1s抗体を使用するCPのみの阻害により、正常ヒト血漿および全血の両方においてC4沈着およびN.メニンギティディス(N.meningitidis)の死滅が防止された。しかしながら、特異的な抗髄膜炎菌性抗体を含む全血死滅アッセイでは、抗体がコーティングされたN.メニンギティディス(N.meningitidis)の死滅を防止するためにはCPおよびAPの両方の同時の阻害が必要であった。抗体がコーティングされたS.ニューモニエ(S.pneumoniae)の場合には、抗因子Bb抗体のみでC3沈着が完全にブロックされた。予想されるように、S.ニューモニエ(S.pneumoniae)の死滅は、食細胞の存在下では全血中でのみ観察され、APをブロックしても特異的抗体の存在下では肺炎球菌の死滅は損なわれなかった(3時間で>90%の死滅)。
結論:本明細書で提示されるデータは、抗体がコーティングされたN.メニンギティディス(N.meningitidis)は補体のAPを活性化し得、細胞膜傷害複合体により媒介される死滅が、ブロックされていない経路により依然として起こり得ることから、経路の阻害は、抗N.メニンギティディス(N.meningitidis)抗体の存在下でN.メニンギティディス(N.meningitidis)死滅に有意な影響を及ぼさないであろうことを示唆する。食細胞を必要とする、抗体により媒介されるS.ニューモニエ(S.pneumoniae)の死滅も、APがブロックされた場合にはスムーズに進行した。これらのデータは、N.メニンギティディス(N.meningitidis)およびS.ニューモニエ(S.pneumoniae)に対するワクチン接種が重要であり、治療用AP阻害剤を投与する際に有効である可能性があることを示唆する。
特定の実施形態の上記の説明は、他者が、当分野の技能内の知識を適用することにより、本発明の全体的な概念から逸脱することなく、過度な実験なしに、そのような特定の実施形態を容易に改変し得、および/または様々な用途に適応し得るように、本発明の全体的な性質を十分に明らかにする。したがって、そのような適応および改変は、本明細書で提示されている教示および指導に基づいて、開示されている実施形態の等価物の意味および範囲内であることが意図されている。本明細書の用語または専門用語は、説明を目的としており限定を目的としておらず、そのため、本明細書の専門用語または用語は、教示および指導を考慮して当業者により解釈されるべきものであることを理解すべきである。
本発明の他の実施形態は、本明細書の考察および本明細書で開示されている本発明の実行から当業者に明らかであるだろう。本明細書および実施例は、下記の特許請求の範囲により示されている本発明の真の範囲および趣旨により、例示的なものとしてのみ考慮されることが意図されている。
本明細書で開示されている全ての刊行物、特許、および特許出願を、個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照によって組み入れることが具体的にかつ個々に示されていたのと同程度に、参照によって組み入れる。

Claims (11)

  1. 対象における細胞の表面上での補体活性の誘発での使用のための、因子Bおよび因子Bbに特異的に結合する抗体(「抗因子B抗体」)を含む医薬組成物であって、該使用は、該細胞と該抗因子B抗体の有効量とを接触させることを含み、該抗因子B抗体は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み、該抗因子B抗体は、C3bBb複合体の解離を阻害する、前記医薬組成物。
  2. 抗因子B抗体は、(i)C3bBb複合体に特異的に結合する、(ii)C3bBb複合体の分解を減少させるか、阻害するか、または防止する、(iii)血清中でC3切断を誘発する、(iv)C3の血清濃度を低下させる、(v)細胞の表面上でC3bの蓄積を誘発する、(vi)血清補体活性の喪失を誘発する、(vii)細胞表面上で細胞膜傷害沈着を誘発する、および(viii)これらの任意の組合せからなる群から選択される1つまたはそれ以上の特性を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 対象は、処置すべき疾患または状態を有する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. 疾患または状態は、がん、感染、または自己免疫疾患を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
  5. (i)因子Bおよび因子Bbに特異的に結合する抗原結合ドメイン(「抗因子B結合ドメイン」)であって、C3bBb複合体の解離を阻害し、該抗因子B結合ドメインは、配列番号1、配列番号2、および配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗因子B結合ドメインと、(ii)組織特異的であるかまたは細胞特異的である第2の抗原結合ドメインとを含む、二重特異性抗体。
  6. 抗因子B結合ドメインは、(i)C3bBb複合体に特異的に結合する、(ii)C3bBb複合体の分解を減少させるか、阻害するか、または防止する、(iii)補体活性を誘発する、(iv)血清中でC3切断を誘発する、(v)C3の血清濃度を低下させる、(vi)細胞の表面上でC3bの蓄積を誘発する、(vii)細胞表面上で細胞膜傷害複合体沈着を誘発する、および(viii)これらの任意の組合せからなる群から選択される1つまたはそれ以上の特性を有する、請求項5に記載の二重特異性抗体。
  7. 抗因子B結合ドメインは、CD55により媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする、請求項5または6に記載の二重特異性抗体。
  8. 抗因子B結合ドメインは、因子Hにより媒介されるC3bBb複合体の解離を減少させるか、またはブロックする、請求項5~7のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
  9. (i)因子Bおよび因子Bbに特異的に結合する抗原結合ドメイン(「抗因子B結合ドメイン」)であって、C3bBb複合体の解離を阻害し、該抗因子B結合ドメインは、配列番号1、配列番号2、および配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗因子B結合ドメイン、(ii)組織特異的であるかまたは細胞特異的である第2の抗原結合ドメイン、および(iii)第3の抗原結合ドメインを含む、多重特異性抗体。
  10. 請求項5~8のいずれか1項に記載の二重特異性抗体または請求項9に記載の多重特異性抗体をコードする核酸を含むポリヌクレオチド。
  11. 対象における細胞の表面上での補体活性の誘発での使用のための、請求項5~8のいずれか1項に記載の二重特異性抗体または請求項9に記載の多重特異性抗体。
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