JP7367936B2 - 癌の治療のためのエングレリン誘導体 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年7月6日に出願された米国仮特許出願第62/529,063号の利益を主張し、その全体は本明細書に引用により組み込まれている。
連邦政府によって助成された調査および開発に関する陳述
本発明は、国立衛生研究所、国立がん研究所によって資金援助されたプロジェクト番号ZIA BC011470 05の政府支援でなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
発明の背景
癌は主要な死因であり; 例えば、腎臓癌は罹患率および死亡率に対する重要な貢献者である。現在の治療は、不完全な治療反応および潜在的な有害な副作用のため不足しており、従って、新たな治療が常に引っ張りだこである(Ratanyakeら、Organic Letters 2008, 11, 1, 57-60)。植物原料から癌治療のための医薬品を同定し単離する試みがなされている。例えば、多数のPhyllanthus種が世界の熱帯および亜熱帯地方で発見されており、いくつかは伝統的な医薬に使用されている。エングレリンAおよびエングレリンBは、植物Phyllanthus engleri Pax(トウダイグサ科)の根皮および幹皮から単離され精製されている。それ以降、エングレリン化合物およびその誘導体は、潜在的な治療薬として研究されてきた。例えば、国際特許出願WO 2013/106226、国際特許出願WO 2014/078350、国際特許出願WO 2012/084267、Radtkeら、Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 3998, 49, 3517-3519、Nicolaouら、J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 8219-8222、Akeeら、J. Nat. Prod. 2012, 75, 459-463、Xuら、Chem. Asian J. 2012, 7, 1052-1060およびChanら、Chem. Med. Chem. 2011, 6(3), 420-423を参照。
1つの可能な機構では、エングレリン化合物は、T細胞、筋肉および腎臓癌において見い出されるアイソフォームであるプロテインキナーゼCシータ(PKCθ)に結合し、これを活性化すると考えられる。エングレリン化合物によるPKCθを刺激する能力は、例えば、細胞毒性、インスリン阻害、およびT細胞におけるウイルス複製の選択的活性化を引き起こす。例えば、国際特許出願WO 2014/078350およびSourbierら、Cancer Cell, 2013, 23(2), 228-337を参照。
腎臓癌などのPKCθに関連する癌の治療を提供するためにさらなるエングレリン誘導体の満たされない要求があり続ける。
発明の簡単な要旨
本発明は、式(I)
式中、「a」、R1-R5、およびX1は本明細書中で記載した通りである
の化合物を提供する。
本発明はさらに、本発明の化合物および医薬上許容し得る担体を含有する医薬組成物を提供する。
1つの可能なメカニズムにおいて、エングレリンAは腎臓癌細胞表面上で一過性受容器電位カノニカル(TRPC)イオンチャネルを活性化し、それによってCa2+の流入を増加させそして癌細胞を殺す(Akbulutら、Angew. Chem. Int. Ed., 2015, 54, 3787-3791)。しかしながら、より最近、Beechはナトリウム流入(カルシウム流入ではない)が癌細胞を殺すことを示した(Murakiら、Scientific Reports, 2017, 7, 16988)。エングレリンAはTRPC4/C5のアゴニストであることが示されているが、エングレリンAはげっ歯類においてTRPC4チャンネルを活性化するのに必要な用量で致死である(Carsonら、PLoS One, 2015, 10(6), 1-21)。式(I)の化合物が癌細胞を殺すことにおいて治療上活性であることが驚いたことに発見され、これは、式(I)の化合物がTRPC4のアゴニストとして不活性であったので、特に予測されなかった。如何なる理論にも束縛されることを望まないが、TRPC4アゴニズムはエングレリンAの致死性を説明すると考えられる。式(I)の化合物はTRPC4のアゴニストではないので、式(I)のエングレリンアナログは癌の治療において被検体に対して毒性が低いと考えられる。従って、本発明はまた、有効量の化合物を被検体に投与することを含む、それを必要とする被検体における癌の治療方法を提供する。
図1は式(I)の化合物の合成の化学スキームである。試薬および条件: a) L-(+)-酒石酸ジエチル、Ti(OiPr)4、tert-ブチルヒドロペルオキシド、CH2Cl2、-40℃、4h、 9:1 e.r.; b) CCl4、PPh3、80℃、6h ; c) nBuLi(3.5当量)、THF、-40℃、2h; d) TESOTf、Et3N、CH2Cl2、23℃、3h; e) AD-mix-α、tBuOH/H2O (1:1)、23℃、10h. ; f) NaIO4/SiO2、CH2Cl2、23℃、10h; g) 4 (1.6当量)、ベンゼン、還流、2日. h) リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、R1COMe、THF、-78℃、15h; i) [IPrAuNCPh]SbF6 (3モル%)、CH2Cl2、23℃、5h; j) TBAF、THF、23℃、12h; k) 4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、イミダゾール、TBDMSCl、23℃; l) CrO3、ピリジン、CH2Cl2、23℃、1hおよびCeCl3(H2O)7、NaBH4、MeOH、23℃、5分; m) WCl6(2当量)、nBuLi (4当量)、THF、0~50℃、2h; n) R5COCl、DMAP、Et3N、CH2Cl2、45℃ 4-12 h およびTBAF、THF、23℃、12h; o) R2COOH、DMAP、NEt3、塩化2,4,6-トリクロロベンゾイル、トルエン、23℃、1hおよびTBAF、AcOH、THF、4h、23℃。 図2は工程a-gによる(S,E)-2,6-ジメチル-6-(トリエチルシリルオキシ)オクト-2-エン-7-イナール5aの合成の化学スキームである。 図3は工程h-oによる(S,E)-2,6-ジメチル-6-(トリエチルシリルオキシ)オクト-2-エン-7-イナールから開始した式(I)の化合物の合成の化学スキームである。 図4は式(I)の化合物の合成の化学スキームである。試薬および条件: a) THF中LDA、続いて(R)-5-メチルシクロペント-1-エン-1-カルバルデヒドの添加; b) THF中SmI2およびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA); c) DMAP中カルボン酸およびEt3N; d) CH3OH中NaBH4; e) リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LiHMDS)、(imid)2SO2; f) ジメチルホルムアミド(DMF)中セシウムヒドロキシアセテート、18-クラウン-6もしくはNaN3のいずれか; g) ZnおよびNH4ClもしくはH2およびリンドラー触媒もしくはH2およびPd(OH)2のいずれか; h) 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、DMAP、およびグリコール酸。 図5A-5Iは、NCI 60-細胞試験における種々の癌細胞株に対する式(I)(すなわち、(Ia))の化合物の用量応答曲線を示す。図5Aは白血病細胞株に対する用量応答曲線を示す。図5Bは非小細胞肺癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図5Cは結腸癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図5Dは中枢神経系(CNS)癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図5Eはメラノーマ細胞株に対する用量応答曲線を示す。図5Fは卵巣癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図5Gは腎臓癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図5Hは前立腺癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図5Iは乳癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。 図6A-6Iは、NCI 60-細胞試験における種々の癌細胞株に対する式(I)(すなわち、(Ib))の化合物の用量応答曲線を示す。図6Aは白血病細胞株に対する用量応答曲線を示す。図6Bは非小細胞肺癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図6Cは結腸癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図6Dは中枢神経系(CNS)癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図6Eはメラノーマ細胞株に対する用量応答曲線を示す。図6Fは卵巣癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図6Gは腎臓癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図6Hは前立腺癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図6Iは乳癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。 図7A-7Iは、NCI 60-細胞試験における種々の癌細胞株に対する式(I)(すなわち、(Ic))の化合物の用量応答曲線を示す。図7Aは白血病細胞株に対する用量応答曲線を示す。図7Bは非小細胞肺癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図7Cは結腸癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図7Dは中枢神経系(CNS)癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図7Eはメラノーマ細胞株に対する用量応答曲線を示す。図7Fは卵巣癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図7Gは腎臓癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図7Hは前立腺癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図7Iは乳癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。 図8A-8Iは、NCI 60-細胞試験における種々の癌細胞株に対する式(I)(すなわち、(Id))の化合物の用量応答曲線を示す。図8Aは白血病細胞株に対する用量応答曲線を示す。図8Bは非小細胞肺癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図8Cは結腸癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図8Dは中枢神経系(CNS)癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図8Eはメラノーマ細胞株に対する用量応答曲線を示す。図8Fは卵巣癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図8Gは腎臓癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図8Hは前立腺癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図8Iは乳癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。 図9A-9Iは、標準NCI 60-細胞試験における種々の癌細胞株に対する式(I)(すなわち、(Ie))の化合物の用量応答曲線を示す。図9Aは白血病細胞株に対する用量応答曲線を示す。図9Bは非小細胞肺癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図9Cは結腸癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図9Dは中枢神経系(CNS)癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図9Eはメラノーマ細胞株に対する用量応答曲線を示す。図9Fは卵巣癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図9Gは腎臓癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図9Hは前立腺癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図9Iは乳癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。 図10A-10Iは、NCI 60-細胞試験における種々の癌細胞株に対する式(I)(すなわち、(If))の化合物の用量応答曲線を示す。図10Aは白血病細胞株に対する用量応答曲線を示す。図10Bは非小細胞肺癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図10Cは結腸癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図10Dは中枢神経系(CNS)癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図10Eはメラノーマ細胞株に対する用量応答曲線を示す。図10Fは卵巣癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図10Gは腎臓癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図10Hは前立腺癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図10Iは乳癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。 図11A-11Iは、NCI 60-細胞試験における種々の癌細胞株に対する式(I)(すなわち、(Ig))の化合物の用量応答曲線を示す。図11Aは白血病細胞株に対する用量応答曲線を示す。図11Bは非小細胞肺癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図11Cは結腸癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図11Dは中枢神経系(CNS)癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図11Eはメラノーマ細胞株に対する用量応答曲線を示す。図11Fは卵巣癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図11Gは腎臓癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図11Hは前立腺癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。図11Iは乳癌細胞株に対する用量応答曲線を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、式(I)
式中、
「a」は単結合もしくは二重結合を表し;
R1はC3-C6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、これらはそれぞれ置換されていてもよく;
R2はヒドロキシ、アルコキシ、-X2-(CX3)-(CR6R7)m-X2-(CX3)-R8、-X2-(CX3)-(CR6R7)m-R8、および-X2-(CX3)-(CR6R7)m-X2-R18から選択され;
R6およびR7は独立して水素、ヒドロキシ、フッ素、塩素、およびC1-C6アルキルから選択され;
R8はC1-C6アルキル、フルオロC1-C6アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ(これらはそれぞれ置換されていてもよい)、ヒドロキシ、および-NR15R16から選択され;
R15およびR16は独立して水素およびC1-C6アルキルから選択され;もしくは
R16はCOOR17であり;
R17はC1-C6アルキルであり;
R18はC1-C6アルキル、フルオロC1-C6、アルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、これらはそれぞれ置換されていてもよく;
各X2は独立してO、SおよびNR15から選択され;
X3はOおよびSから選択され;
R3およびR4は独立してC1-C6アルキルであり;
R5は-(CR9R10)n-R11および-(CR12=CR13)n-R14から選択され;
R9およびR10は独立して水素およびC1-C6アルキルから選択され;あるいは
R9およびR10はそれらが結合する炭素と共にC3-C6シクロアルキルを形成し;
R11およびR14は独立してC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、これらはそれぞれ置換されていてもよく;
R12およびR13は独立して水素、ハロゲン、およびC1-C6アルキルから選択され;
X1はO、NR15、およびSから選択され;および
nおよびmは独立して0および1-3の整数から選択され、
但し、「a」が二重結合である場合、R1は置換されていてもよいヘテロシクロアルキルである;
の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩を提供する。
式(I)の化合物は、任意の適切な立体化学を有し得、および単一の立体異性体、2つ以上の立体異性体の混合物(例えば、エピマー、ジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーの混合物、ラセミ混合物)の形態であり得る。態様において、式(I)の化合物は式(I'):
の立体化学を有する。
本発明の態様のいずれかにおいて、X1は好ましくはOである。
本発明の態様のいずれかにおいて、R2はヒドロキシ、アルコキシ、式-X2-(CO)-(CR6R7)m-X2-(CO)-R8の基、式-X2-(CO)-R8の基、式-X2-CO-X2-R18の基、および式-X2-C(O)-(CR6R7)m-R8の基から選択され得る。ある態様において、R2はヒドロキシ、アルコキシ、および式-X2-C(O)-(CR6R7)m-R8の基から選択される。いくつかの局面において、R2はヒドロキシおよび式-X2-C(O)-(CR6R7)m-R8の基から選択され、ここでR6は水素であり、R7は水素およびC1-C6アルキルから選択され;R8はC1-C6アルキル、ヒドロキシ、-NH2、および-NHCOOC4H9から選択され、ここでX2はOもしくはNHであり;およびmは0もしくは1である。より特定すると、本発明のいくつかの態様において、R2は-OH、-OCOMe、-OCOCH2OH、-NHC(O)CH2OH、-OCOCH(CH3)OH、-NHCOCH(CH3)OH、-OCOCH2NH2、-NHCOCH2NH2、-OCOCH(CH3)NH2、-NHCOCH(CH3)NH2、-OCOCH(CH3)NHCOC4H9、および-NHCOCH(CH3)NHCOC4H9から選択される。
本発明の態様のいずれかにおいて、R5は-(CR9R10)n-R11および-(CR12=CR13)n-R14から選択され;ここでR9およびR10は独立して水素およびC1-C6アルキルから選択され、あるいは、R9およびR10は、それらが結合する炭素と共にC3-C6シクロアルキルを形成し;R11およびR14は独立してC1-C6アルキルおよびアリールから選択され、これらはそれぞれ置換されていてもよく;およびR12およびR13は独立して水素および置換されていてもよいC1-C6アルキルから選択される。
本発明の態様のいずれかにおいて、R5は-(CR9R10)n-R11であり、R9およびR10はそれぞれ水素であり、R11はフェニルであり、およびnは1-3である。好ましくは、nは、式-(CH2)3Phの基を形成するよう3である。
あるいは、本発明の態様のいずれかにおいて、R5は-(CR9R10)n-R11であり、nは0であり、およびR11はC1-C6アルキルもしくはアリール(例えば、フェニル、ナフチル)であり、これらは置換されていてもよい。より好ましくは、R5はメチル、フェニル、ナフチル、もしくはメチル置換されたナフチルである。
あるいは、本発明の態様のいずれかにおいて、R5は-(CR9R10)n-R11であり、R9およびR10は、それらが結合する炭素と共にC3-C6シクロアルキルを形成し、R11はフェニルであり、およびnは1もしくは2である。C3-C6シクロアルキルは置換されていてもよいシクロプロピル、置換されていてもよいシクロブチル、置換されていてもよいシクロペンチル、もしくは置換されていてもよいシクロヘキシルである。特に、R9およびR10は、それらが結合する炭素と共にシクロプロピルを形成する(例えば、1-および2-位で結合する)。より特定すると、R5は2-フェニルシクロプロピルである。
R9、R10、およびそれらが結合する炭素は、任意の適切な位置(例えば、1位、2位、3位、4位、5位、および6位の任意の組み合わせ)でカルボニル(C=O)およびR11に結合され得る。例えば、R9、R10、およびそれらが結合する炭素は、1および2位、1および3位、1および4位、1および5位、2および3位、2および4位、3および4位などでカルボニル(C=O)およびR11に結合され得る。
あるいは、本発明の態様のいずれかにおいて、R5は-(CR12=CR13)n-R14であり、R12およびR13はそれぞれ水素もしくはC1-C6アルキル(例えば、メチル、エチル)であり、R14はシクロアルキルもしくはフェニルであり、およびnは1-3である。好ましくは、nは、式-(CH=CH)シクロヘキシル、-(CH=C(アルキル))シクロヘキシル、-(CH=CH)Ph、もしくは-(CH=C(アルキル))Phの基を形成するよう1である。
前述の態様のいずれかにおいて、「a」は単結合もしくは二重結合である。
ある態様において、「a」は二重結合であり、およびR1は置換されていてもよいヘテロシクロアルキルである。このような態様において、ヘテロシクロアルキルは、例えば、アジリジニル、オキシラニル、チアゾリニル、イミダゾリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、もしくはチオモルホリニルであり得、これらはそれぞれ置換されていてもよい。好ましい態様において、ヘテロシクロアルキルは、式
式中、
R19は水素、C1-C6アルキルもしくはC1-C6アルキルカルボニルであり、水素以外のこれらはそれぞれ置換されていてもよく;および
R20は水素、ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルケニル、C1-C6アルキニル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、C1-C6アラルコキシ、カルボキシル、カルボキシ-C1-C6アルキル、カルボキシ-C1-C6アルキルオキシ、アミド、C1-C6アルキルアミド、ハロ-C1-C6アルキルアミド、アリール、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクロアルキルである、
のピペリジニルもしくはその医薬上許容し得る塩である。ピペリジニルは、任意の適切な位置(例えば、1、2、3、もしくは4位)で式(I)の核構造に結合し得るが、好ましくは、ピペリジニル基は4位で核構造に結合する。
ある態様において、「a」は単結合であり、およびR1はC3-C6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、これらはそれぞれ置換されていてもよい。これらの態様のいくつかにおいて、R1はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、アジリジニル、オキシラニル、チアゾリニル、イミダゾリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピリジニル、フラニル、ピロリル、キノリニル、チオフェニル、インドリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、もしくはトリアジニルであり、これらはそれぞれ置換されていてもよい。好ましい態様において、R1はC3-C6シクロアルキル(例えば、シクロプロピルもしくはシクロヘキシル)もしくはフェニルであり、これらのいずれかは置換されていてもよい。
式(I)の化合物の具体例は:
もしくはその医薬上許容し得る塩である。
式(I')の化合物の具体例は:
もしくはその医薬上許容し得る塩である。
上記態様のいずれかにおいて、用語「アルキル」は、例えば、約1~約6個の炭素原子、例えば、約1~約4個の炭素原子または約1~約3個の炭素を含む直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシルなどを含む。この定義はまた、基、例えば、フルオロC1-C6アルキルの一部として存在する「アルキル」のいずれにも適用される。アルキルは、本明細書中で記載されるように、置換または無置換であり得る。
上記態様のいずれかにおいて、本明細書中で使用される用語「アルケニル」は、例えば、約2~約6個の炭素原子(分枝鎖アルケニルは約3~約6個の炭素原子)、例えば、約3~約6個の炭素原子(分枝鎖アルケニルは約3~約6個の炭素原子)を含む直鎖アルケニル置換基を意味する。ある実施態様によれば、アルケニル基は、C2-C4アルケニルである。アルケニル基の例は、エテニル、アリル、2-プロぺニル、1-ブテニル、2-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、1-へキセニルなどを含む。アルケニルは、本明細書中で記載されるように、置換または無置換であり得る。
上記態様のいずれかにおいて、本明細書中で使用される用語「シクロアルキル」は、例えば、3~6個の炭素原子または5~6個の炭素原子を含む環状アルキル部分を意味する。このような部分の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む。シクロアルキルは、本明細書中で記載されるように、置換または無置換であり得る。
用語「ヘテロシクロアルキル」は、炭素原子および窒素、硫黄および/または酸素から選ばれる他の原子の3~7の環員を含む、安定な、飽和または部分不飽和の単環、二環およびスピロ環系を意味する。ある局面では、ヘテロシクロアルキルは、5、6または7員単環式環であり、窒素、酸素および硫黄から選ばれる1、2または3個のヘテロ原子を含む。ヘテロシクロアルキルは、ヘテロシクロアルキルの炭素原子を介して、または任意のヘテロ原子を介して親構造に結合し得、結果として安定な構造を生じる。このようなヘテロシクロアルキル環の例は、アジリジニル、オキシラニル、チアゾリニル、イミダゾリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、およびモルホリニルである。ヘテロシクロアルキルは、本明細書中で記載されるように、置換または無置換であり得る。
上記態様のいずれかにおいて、用語「ヒドロキシ」は基-OHを指す。
上記態様のいずれかにおいて、用語「アルコキシ」および「アリールオキシ」は、2価の酸素に結合した直鎖または分枝鎖アルキル基およびアリール基を含む。アルキル基およびアリール基は、本明細書中で記載したものと同じである。
上記態様のいずれかにおいて、用語「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ばれるハロゲンを指す。
上記態様のいずれかにおいて、用語「アリール」は、1、2または3個の芳香環を有する単環、二環または三環の炭素環式環系、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニルまたはビフェニルを指す。用語「アリール」は、当該分野で通常理解されるように、無置換または置換の芳香族炭素環式部分を指し、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、ピレニルなどの単環および多環の芳香族を含む。アリール部分は、一般的に、例えば、6~30個の炭素原子、6~18個の炭素原子、6~14個の炭素原子、または6~10個の炭素原子を含む。用語アリールは、平面であり、かつヒュッケル則に従って4n+2個のπ電子(ここで、n=1、2または3)を含む炭素環式部分を含むことが理解される。アリールは、本明細書中で記載されるように、置換または無置換であり得る。
上記態様のいずれかにおいて、用語「ヘテロアリール」は、芳香族炭素環式環の炭素原子の少なくとも1個、好ましくは1または2個がN、OまたはS原子で置き換えられた、上記で定義したアリールを指す。特に、「ヘテロアリール」は、環の少なくとも1個において、少なくとも1個のヘテロ原子(O、SもしくはN)を有する芳香族5もしくは6員単環式基、9もしくは10員二環式基、および11~14員三環式基を含む。ヘテロ原子を含むヘテロアリール基の各環は、各環中のヘテロ原子の合計数が4個以下であり、かつ各環が少なくとも1個の炭素原子を有するという条件で、1もしくは2個の酸素もしくは硫黄原子および/または1~4個の窒素原子を含み得る。二環式および三環式基を完成する縮合環は、炭素原子のみを含み得、および飽和、部分的に飽和、もしくは不飽和であり得る。言い換えると、二環式もしくは三環式であるヘテロアリール基は、少なくとも1個の完全に芳香環を含まなければならないが、他の縮合環は芳香族もしくは非芳香族であり得る。窒素および硫黄原子は、酸化されていてもよく、および窒素原子は四級化されていてもよい。ヘテロアリール基は、任意の環の任意の利用可能な窒素もしくは炭素原子で結合され得る。ヘテロアリールの例は、ピリジニル、フラニル、ピロリル、キノリニル、チオフェニル、インドリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、およびトリアジニルを含む。
他の局面において、水素ではない任意の置換基(例、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C3-C6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール)は、置換されていてもよい部分であり得る。置換された部分は、典型的には、任意の適切な位置(例、1-、2-、3-、4-、5-または6-位など)に少なくとも1個の置換基(例、1、2、3、4、5、6個など)を含む。例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールなどの基が置換基、例えば、ハロ、アミノ、アルキル、OH、アルコキシ、シアノ、ニトロなどで置換されている場合、基上の水素は置換基で置き換えられ、これは任意の利用可能な水素、例えば、2、3、4、5および/または6位(ここで、1位は、本発明の化合物における基の結合位置である。)において起こり得る。適切な置換基は、例えば、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、カルボキシル、カルボキシアルキル、カルボキシアルキルオキシ、アミド、アルキルアミド、ハロアルキルアミド、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルを含む。ある場合には、置換基は、アルキル、ハロおよび/またはハロアルキルから選ばれる1個以上(例、1または2個)の部分である。
上記の実施態様のいずれかでは、構造中の原子の数の範囲が示されている場合(例、C1-6またはC1-4アルキル、C3-C6シクロアルキルなど)はいつでも、示された範囲内の炭素原子の任意の部分的範囲または個々の数もまた用いられ得ることが特に考慮される。従って、例えば、本明細書中で参照される、任意の化学基(例、アルキル、シクロアルキルなど)に関して使用される1-6個の炭素原子(例、C1-C6)、1-4個の炭素原子(例、C1-C4)、1-3個の炭素原子(例、C1-C3)または2-6個の炭素原子(例、C2-C6)の範囲の記載は、必要に応じて1、2、3、4、5および/または6個の炭素原子およびその任意の部分的範囲(例、必要に応じて1-2個の炭素原子、1-3個の炭素原子、1-4個の炭素原子、1-5個の炭素原子、1-6個の炭素原子、2-3個の炭素原子、2-4個の炭素原子、2-5個の炭素原子、2-6個の炭素原子、3-4個の炭素原子、3-5個の炭素原子、3-6個の炭素原子、4-5個の炭素原子、4-6個の炭素原子など)を含み、具体的に記載する。
下付き「m」および「n」は、置換基(例、「(CR6R7)」、「(CR9R10)」または「(CR12=CR13)」)の数を表し、ここで、特定の置換基(例、「(CR6R7)」、「(CR9R10)」または「(CR12=CR13)」)のそれぞれの例は同じかまたは異なり得る。下付きmおよびnは、同じかまたは異なり得、それぞれ0または1-3の整数(すなわち、1、2または3)のいずれかである。mまたはnが0である場合、対応する置換基(例、「(CR6R7)」、「(CR9R10)」または「(CR12=CR13)」)は、式(I)の化合物に存在しない。
上記の実施態様のいずれかにおいて、表現「塩」または「医薬上許容し得る塩」は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から従来の化学的方法によって合成された非毒性塩を含むことを意図する。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離の酸または塩基の形態を、水中または有機溶媒中、あるいはこれらの2つの混合物中、適切な塩基または酸の化学量論量と反応させることによって調製することができる。例えば、無機酸(例、塩酸,、硫酸、リン酸、または臭化水素酸)、有機酸(例、シュウ酸、マロン酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、アスコルビン酸、メチルスルホン酸、またはベンジルスルホン酸)、無機塩基(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、または水酸化アルミニウム)、有機塩基(例、メチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、グアニジン、コリン、またはシンコニン)、またはアミノ酸(例、リジン、アルギニン、またはアラニン)を使用することができる。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が典型的である。適切な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1990, p. 1445およびJournal of Pharmaceutical Science, 66, 2-19 (1977)に見い出される。例えば、それらは、アルカリ金属(例、ナトリウムまたはカリウム)、アルカリ土類金属(例、カルシウム)の塩、またはアンモニウム塩であり得る。
式(I’)の化合物を含む式(I)の化合物は、任意の適切な合成方法によって調製することができる。適切な方法は、以下に記載の一般手順および図1-4に示される。
本明細書に記載の方法は、式(I’)の化合物を含む式(I)の化合物またはその医薬上許容し得る塩を、医薬組成物の形態で投与することを含む。特に、医薬組成物は、少なくとも1種の式(I)または(I’)の化合物あるいはその医薬上許容し得る塩および医薬上許容し得る担体を含む。本明細書に記載の医薬上許容し得る賦形剤、例えば、ビヒクル、アジュバント、担体または希釈剤は、当業者に周知であり、容易に一般に利用可能である。典型的には、医薬上許容し得る担体は、活性化合物に対して化学的に不活性であるものであり、また、使用条件下で有害な副作用または毒性を有しないものである。
医薬組成物は、経口、舌下、経皮、皮下、局所、上皮または皮膚粘膜内膜を介した吸収、静脈内、鼻腔内、動脈内、筋肉内、腫瘍内、腫瘍周辺、腹腔内、くも膜下、直腸、膣内、またはエアロゾル製剤として投与され得る。いくつかの局面では、医薬組成物は経口または静脈内投与される。
態様のいずれかによれば、式(I’)の化合物を含む式(I)の化合物またはその医薬上許容し得る塩は、それが必要な被験者に経口投与され得る。経口投与に適切な製剤は、(a)液体溶液、例えば、水、生理食塩水、またはオレンジジュースなどの希釈剤に溶解した有効量の化合物、およびシクロデキストリン(例、α-、β-またはγ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン)またはポリエチレングリコール(例、PEG400)などの添加剤を含む; (b)カプセル、小袋、錠剤、ドロップおよびトローチ、それぞれ、所定量の活性成分を固体または顆粒として含む; (c)粉末; (d)適切な液体中の懸濁液; および(e)適切な乳濁液およびゲルからなり得る。液体製剤は、希釈剤、例えば、水およびアルコール、例えば、エタノール、ベンジルアルコール、およびポリエチレンアルコールを含み得、医薬上許容し得る界面活性剤、懸濁化剤または乳化剤を添加するあるいは添加しない。カプセル形態は、例えば、界面活性剤、潤滑剤、および不活性充填剤、例えば、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、およびコーンスターチを含む通常のハードまたはソフトシェルゼラチンタイプであり得る。錠剤形態は、ラクトース、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモでんぷん、アルギン酸、微結晶性セルロース、アカシア、ゼラチン、グアーガム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸の1種以上、および他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、保存剤、香味剤、および薬理学的に適合可能な担体を含み得る。ドロップ形態は、香味料、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガガント中の活性成分を含み得、ならびにトローチは、活性成分に加えて、不活性基剤、例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア、乳濁液、ゲルなど中の活性成分を含み、このような担体は当該分野で公知である。
非経口投与に適切な製剤は、水性および非水性の等張性の滅菌注射溶液、これは、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、および製剤を意図する受容者の血液と等張にする溶質を含み得る、ならびに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、および保存剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液を含む。式(I)または(I’)の化合物またはその塩は、薬学的担体中の生理学的に許容可能な希釈剤中で投与され得、例えば、滅菌液体または液体混合物、水、生理食塩水、水性デキストロース、および関連する糖溶液、アルコール、例えば、エタノール、もしくはヘキサデシルアルコール、グリコール、例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール、グリセロールケタール、例えば、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール、エーテル、例えば、ポリ(エチレングリコール)400、オイル、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはグリセリド、またはアセチル化脂肪酸グリセリドを含み、薬学的に許容可能な界面活性剤、例えば、石鹸または洗浄剤、懸濁化剤、例えば、ペクチン、カーボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロース、または乳化剤および他の薬学的アジュバントを添加するまたは添加しない。
非経口製剤に使用され得るオイルは、石油、動物、植物、または合成オイルを含む。オイルの具体例は、ピーナッツ、大豆、ゴマ、綿実、コーン、オリーブ、ペトロラタム、および鉱油を含む。非経口製剤に使用される適切な脂肪酸は、オレイン酸、ステアリン酸、およびイソステアリン酸を含む。オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルは、適切な脂肪酸エステルの例である。非経口製剤に使用される適切な石鹸は、脂肪酸アルカリ金属、アンモニウム、およびトリエタノールアミン塩を含み、適切な洗浄剤は、(a)例えば、ジメチルジアルキルアンモニウムハライド、およびアルキルピリジニウムハライドなどのカチオン性洗浄剤、(b)例えば、アルキル、アリール、およびオレフィンスルホネート、アルキル、オレフィン、エーテル、およびモノグリセリドサルフェート、およびスルホスクシネートなどのアニオン性洗浄剤、(c)例えば、脂肪酸アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、およびポリオキシエチレン-ポリプロピレンコポリマーなどの非イオン性洗浄剤、(d)例えば、アルキル-ベータ-アミノプロピオネート、および2-アルキル-イミダゾリン4級アンモニウム塩などの両性洗浄剤、および(3)それらの混合物を含む。
非経口製剤は、典型的には、溶液中、約0.5~約25重量%の式(I)の化合物を含む。適切な保存剤および緩衝剤は、このような製剤に使用され得る。注射部位での刺激を最小限にするまたは除去するために、このような組成物は、約12~約17の親水性-親油性バランス(HLB)を有する1種以上の非イオン性界面活性剤を含み得る。このような製剤中の界面活性剤の量は、約5~約15重量%の範囲である。適切な界面活性剤は、ソルビタンモノオレエートなどのポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、およびプロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合により形成されるエチレンオキシドの疎水性基質との高分子量付加物を含む。非経口製剤は、単位用量または複数回投与の密封容器、例えば、アンプルおよびバイアル中に存在し得、凍結乾燥(凍結乾燥)条件で保存され得、使用直前に滅菌液体担体、例えば、注射用水の添加のみを必要とする。即席注射溶液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒、および前に記載した種類の錠剤から調製され得る。
式(I’)の化合物を含む式(I)の化合物は、注射可能製剤にされ得る。注射可能組成物のための有効な薬学的担体の要件は、当業者に周知である。Pharmaceutics and Pharmacy Practice, J. B. Lippincott Co., Philadelphia, Pa., Banker and Chalmers, eds., pages 238-250 (1982)およびASHP Handbook on Injectable Drugs, Toissel, 4th ed., pages 622-630 (1986)を参照。
局所適用される組成物は、一般に、液体(例、マウスウォッシュ)、クリーム、ペースト、ローションおよびゲルの形態である。局所投与は、口腔粘膜、これは、口腔、口腔上皮、口蓋、歯肉、および鼻粘膜を含む、への適用を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも1種の活性成分および適切なビヒクルまたは担体を含む。組成物はまた、他の成分、例えば、抗刺激剤を含んでもよい。担体は、液体、固体または半固体であり得る。態様において、組成物は、マウスウォッシュなどの水溶液である。あるいは、組成物は、種々の成分のための分散液、乳濁液、ゲル、ローションまたはクリームビヒクルであり得る。1つの態様において、第1のビヒクルは、水または実質的に中性であるかまたは実質的に中性にされる生体適合性溶媒である。液体ビヒクルは、所望のpH、濃度および粘度を得るために当該分野で公知の種々の乳化剤または分散剤と共に、他の物質、例えば、緩衝剤、アルコール、グリセリン、および鉱油を含み得る。組成物は、粉末または顆粒などの固体として製造され得ることが可能である。固体は、直接適用され得るか、または使用前に水または生体適合性溶媒に溶解され、実質的に中性であるかまたは実質的に中性にされ、次いで標的部位に適用され得る溶液を形成する。本発明の態様において、皮膚への局所適用のためのビヒクルは、水、緩衝化溶液、種々のアルコール、グリセリンなどのグリコール、脂肪酸などの脂質物質、鉱油、ホスホグリセリド、コラーゲン、ゼラチンおよびシリコーンベースの物質を含み得る。
式(I’)の化合物を含む式(I)の化合物またはその医薬上許容し得る塩は、単独でまたは、他の適切な成分と組み合わせて、吸入により投与されるエアロゾル製剤にされ得る。これらのエアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧した許容可能な推進剤中に入れられ得る。それらはまた、非加圧製剤のための医薬として、例えば吸入器または噴霧器中に処方され得る。
当業者は、前記の医薬組成物に加えて、本発明の化合物が、シクロデキストリン包接錯体などの包接錯体、またはリポソームとして処方され得ることを理解する。リポソームは、本発明の化合物を特定の組織、例えば、リンパ組織または癌性の肝細胞への標的とする働きをし得る。リポソームはまた、本発明の化合物の半減期を増加させるために使用し得る。リポソームを調製するための多くの方法、例えば、Szokaら、Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 1980, 9, 467ならびにU.S.特許第4,235,871号、第4,501,728号、第4,837,028号、および第5,019,369号に記載の方法が利用可能である。
本発明に従って被検体、特にヒトおよび他の哺乳動物に投与される用量は、所望の反応に影響を与えるに十分であるべきである。当業者は、投薬量が被検体の年齢、状態または病状、疾患に対する素因、遺伝子欠損および体重を含む種々の因子に依存することを認識する。用量の大きさはまた、投与の経路、時期および頻度、ならびに特定の阻害剤の投与および所望の効果に伴い得る任意の有害な副作用の存在、性質および程度により決定される。当業者は、種々の状態または病状が複数回投与を含む長期の治療を要求し得ることを理解する。
本発明の方法は、式(I’)の化合物を含む式(I)の化合物またはその医薬上許容し得る塩の有効量を投与することを含む。「有効量」とは、個体の意義ある利点、例えば、腫瘍細胞の細胞毒性の少なくとも1つの局面の促進(例、増殖の阻害、癌細胞の生存の阻害、増殖の低減、腫瘍(例、固体腫瘍)の大きさおよび/または質量の低減)、または他の関連する医学的状態および/または癌(例、腎臓癌、前立腺癌、乳癌、膀胱癌、またはユーイング肉腫)に関連する症状の治療、治癒、予防、発症の遅延、阻害、中断、または改善を示すのに十分である量を意味する。哺乳動物において観察される意義ある利点は、任意の適切な程度(例、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはそれ以上)であり得る。いくつかの局面において、1つ以上の癌の症状が、式(I’)の化合物を含む式(I)の化合物またはその医薬上許容し得る塩の投与後に予防、軽減、改善、阻害、中断、または除去され、それにより、少なくともある程度まで癌を効率的に治療する。
有効量は、個体における所望の生物学的効果、治療される状態、および/または式(I)または(I’)の化合物またはその医薬上許容し得る塩および個体(例、平均70 kgの患者)の特異的な特徴に依存して変化し得る。この点に関し、式(I)または(I’)の化合物またはその医薬上許容し得る塩の任意の適切な用量が、治療される癌のタイプに応じて被検体(例、ヒト)に投与され得る。「有効量」の決定において考慮される種々の一般的考慮は、当業者に公知であり、例えば、Gilman et al., eds., Goodman And Gilman’s: The Pharmacological Bases of Therapeutics, 8th ed., Pergamon Press, 1990;およびRemington’s Pharmaceutical Sciences, 17th Ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1990、これらはそれぞれ本明細書中に参考として援用される、に記載されている。式(I)または(I’)の化合物またはその医薬上許容し得る塩の用量は、望ましくは、被験者の体重1キログラム(kg)当たり約0.001 mg(mg/kg)~約400 mg/kgを含む。最少用量は、任意の適切な量、例えば、約0.001 mg/kg、約0.005 mg/kg、約0.0075 mg/kg、約0.01 mg/kg、約0.05 mg/kg、約0.075 mg/kg、約0.1 mg/kg、約0.15 mg/kg、約0.2 mg/kg、約0.4 mg/kg、約0.75 mg/kg、約1 mg/kg、約2 mg/kg、約3 mg/kg、約5 mg/kg、約10 mg/kg、約15 mg/kg、約20 mg/kg、約30 mg/kg、約50 mg/kg、約60 mg/kg、約75 mg/kg、約100 mg/kg、約150 mg/kg、約175 mg/kg、約200 mg/kg、約250 mg/kg、約275 mg/kg、または約300 mg/kgである。最大用量は、任意の適切な量、例えば、約350 mg/mg、約300 mg/kg、約275 mg/kg、約250 mg/kg、約200 mg/kg、約175 mg/kg、約150 mg/kg、約100 mg/kg、約75 mg/kg、約60 mg/kg、約50 mg/kg、約30 mg/kg、約20 mg/kg、約15 mg/kg、約10 mg/kg、約5 mg/kg、約3 mg/kg、約2 mg/kg、約1 mg/kg、約0.75 mg/kg、約0.4 mg/kg、または約0.2 mg/kgである。前述の最少および最大用量の任意の2つを用いて閉じた範囲を定義することができ、あるいは単独で用いて開いた範囲を定義することができる。
本発明はまた、式(I’)の化合物を含む式(I)の化合物またはその医薬上許容し得る塩の有効量を被検体に投与することを含む、被検体における癌の治療方法を提供する。癌は、任意の適切な癌、例えば、頭部および頸部、目、皮膚、口、喉、食道、胸、骨、肺、結腸、S状結腸、直腸、胃、前立腺、乳、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓、脳、腸、心臓、または副腎の癌を含む。より詳細には、癌は、固体腫瘍、肉腫、癌腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング肉腫(腫瘍)、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、カポジ肉腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、網膜芽腫、血液感染性腫瘍、急性リンパ性白血病、急性リンパ性B-細胞白血病、急性リンパ性T-細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄性白血病、急性単芽球性白血病、急性赤白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ性白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、毛様細胞白血病、または多発性骨髄腫を含む。例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine, Eugene Braunwald et al., eds., pp. 491 762 (15th ed. 2001)を参照。
いくつかの局面において、癌は、白血病、非小細胞肺癌、結腸癌、メラノーマ、前立腺癌、腎臓癌、乳癌、膀胱癌、CNS癌、卵巣癌、またはユーイング肉腫、特に腎臓癌、前立腺癌、乳癌、膀胱癌、またはユーイング肉腫である。好ましい態様において、癌は腎臓癌である。
本発明の態様によれば、式(I’)の化合物を含む式(I)の化合物は、例えば、腎臓癌細胞株、例えば、786-0、A-498、ACHN、CAKI-1、RXF 393、SN 12C、TK-10およびUO-31に関連する腎臓癌の増殖を低減することに対して活性である。例えば、これらの化合物は、1 μM以下、好ましくは0.1 μM以下のGI50またはIC50を有する。従って、式(I)の化合物は、被検体における腎臓癌、特に786-0、A-498、ACHN、CAKI-1、RXF 393、SN 12C、TK-10およびUO-31から選ばれる腎臓癌細胞株の特徴を示す腎臓癌の治療に有用であると考えられる。
本明細書中で使用される用語「治療」は、癌の完全な除去を必ずしも意味しない。むしろ、当業者が利益または治療効果を有すると認識する種々の程度の治療がある。この点に関し、癌は、本願発明の方法によって任意の程度まで治療され得る。例えば、癌の治療方法において、望ましくは癌性腫瘍の増殖の少なくとも10%(例、少なくとも20%、30%または40%)が、本明細書に記載の化合物の投与によって阻害される。好ましくは、癌性腫瘍の増殖の少なくとも50%(例、少なくとも60%、70%または80%)が、本明細書に記載の化合物の投与によって阻害される。より好ましくは、癌性腫瘍の増殖の少なくとも90%(例、少なくとも95%、99%または100%)が、本明細書に記載の化合物の投与によって阻害される。さらに、あるいは、本発明の方法は、癌の転移を阻害するために使用され得る。
局面において、式(I’)の化合物を含む式(I)の化合物は、エングレリンAの同量(例えば、用量)よりも低いレベルまでTRPC4を作動する。態様において、式(I)の化合物はTRPC4を活性化(例えば、作動)しない。従って、本明細書に記載の癌の治療方法は、当該方法が被検体におけるTRPC4受容体の活性化を含まないか実質的に含まないという特徴を含み得る。本明細書中で使用される用語「実質的に含まない」は、1 μmolの濃度の式(I)の化合物が15%以下(例えば、12%以下、10%以下、8%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、もしくは1%以下)のTRPC4活性化を有することを意味する。あるいは、もしくはさらに、1 μmolの濃度の式(I)の化合物は、15%以下(例えば、12%以下、10%以下、8%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、もしくは1%以下)のTRPC5活性化を有する。
本発明の目的のために、用語「被検体」は、典型的には哺乳動物に関する。哺乳動物は、マウスなどのネズミ目、およびウサギなどのウサギ目を含むが、これらに限定されない。いくつかの局面において、哺乳動物は、ネコ科(ネコ)およびイヌ科(イヌ)を含むネコ目、ウシ亜科(ウシ)およびイノシシ属(ブタ)を含む偶蹄目、またはウマ科(ウマ)を含むウマ目からのものである。いくつかの局面において、哺乳動物は、サル目、セボイド目、またはシモイド目(サル)または真猿亜目(ヒトおよび類人猿)である。本発明の態様において、被検体はヒトである。
本発明は下記態様によってさらに説明される。
(1)式(I)
式中、
「a」は単結合もしくは二重結合を表し;
R1はC3-C6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、これらはそれぞれ置換されていてもよく;
R2はヒドロキシ、アルコキシ、-X2-(CX3)-(CR6R7)m-X2-(CX3)-R8、-X2-(CX3)-(CR6R7)m-R8、および-X2-(CX3)-(CR6R7)m-X2-R18から選択され;
R6およびR7は独立して水素、ヒドロキシ、フッ素、塩素、およびC1-C6アルキルから選択され;
R8はC1-C6アルキル、フルオロC1-C6アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ(これらはそれぞれ置換されていてもよい)、ヒドロキシ、および-NR15R16から選択され;
R15およびR16は独立して水素およびC1-C6アルキルから選択され;もしくは
R16はCOOR17であり;
R17はC1-C6アルキルであり;
R18はC1-C6アルキル、フルオロC1-C6、アルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、これらはそれぞれ置換されていてもよく;
各X2は独立してO、SおよびNR15から選択され;
X3はOおよびSから選択され;
R3およびR4は独立してC1-C6アルキルであり;
R5は-(CR9R10)n-R11および-(CR12=CR13)n-R14から選択され;
R9およびR10は独立して水素およびC1-C6アルキルから選択され;あるいは
R9およびR10はそれらが結合する炭素と共にC3-C6シクロアルキルを形成し;
R11およびR14は独立してC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、これらはそれぞれ置換されていてもよく;
R12およびR13は独立して水素、ハロゲン、およびC1-C6アルキルから選択され;
X1はO、NR15、およびSから選択され;および
nおよびmは独立して0および1-3の整数から選択され、
但し、「a」が二重結合である場合、R1は置換されていてもよいヘテロシクロアルキルである;
の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
(2)X1がOである、態様(1)の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
(3)R2が-OC(O)CH2OHもしくは-NHC(O)CH2OHである、態様(1)または(2)の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
(4)R3がメチルである、態様(1)~(3)のいずれか1つの化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
(5)R4がメチルである、態様(1)~(4)のいずれか1つの化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
(6)R5が-(CR12=CR13)n-R14であり、R12およびR13がそれぞれ水素もしくはC1-C6アルキルであり、R14がC3-C6シクロアルキルもしくはフェニルであり、およびnが1-3である、態様(1)~(5)のいずれか1つの化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
(7)「a」が二重結合であり、およびR1が置換されていてもよいヘテロシクロアルキルである、態様(1)~(6)のいずれか1つの化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
(8)ヘテロシクロアルキルがアジリジニル、オキシラニル、チアゾリニル、イミダゾリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、もしくはチオモルホリニルであり、これらがそれぞれ置換されていてもよい、態様(7)の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
(9)ヘテロシクロアルキルが式
式中、
R19は水素、C1-C6アルキルもしくはC1-C6アルキルカルボニルであり、水素以外のこれらはそれぞれ置換されていてもよく;および
R20は水素、ハロ、C1-C6アルキル、C1-C6アルケニル、C1-C6アルキニル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、C1-C6アラルコキシ、カルボキシル、カルボキシ-C1-C6アルキル、カルボキシ-C1-C6アルキルオキシ、アミド、C1-C6アルキルアミド、ハロ-C1-C6アルキルアミド、アリール、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクロアルキルである、
のピペリジニルである、態様(8)の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
(10)
からなる群より選ばれる、態様(9)の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
(11)「a」が単結合である、態様(1)~(6)のいずれか1つの化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
(12)R1がC3-C6シクロアルキルもしくはフェニルである、態様(11)の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
(13)
からなる群より選ばれる、態様(12)の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
(14)医薬上許容し得る担体および態様(1)~(13)のいずれか1つの化合物もしくはその医薬上許容し得る塩を含有する医薬組成物。
(15)態様(1)~(13)のいずれか1つの化合物もしくはその医薬上許容し得る塩の有効量を被検体に投与することを含む、該被検体における癌の治療方法。
(16)癌が白血病、非小細胞肺癌、結腸癌、メラノーマ、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、乳癌、中枢神経系(CNS)癌、卵巣癌、もしくはユーイング肉腫である、態様(15)の方法。
(17)癌が腎臓癌である、態様(16)の方法。
(18)癌が前立腺癌である、態様(16)の方法。
(19)癌がユーイング肉腫である、態様(16)の方法。
(20)癌が膀胱癌である、態様(16)の方法。
(21)癌が乳癌である、態様(16)の方法。
(22)被検体における一過性受容器電位チャネル(TRPC4)受容体の活性化がないまたは実質的にない、態様(15)~(21)のいずれか1つの方法。
下記実施例は、本発明をさらに説明するが、もちろん、その範囲をいかようにも限定すると解釈されるべきではない。
実施例
全ての反応は、特に指定のない限り、アルゴン下で行った。溶媒は標準的な手順を用いて乾燥した。
実施例1
本発明の化合物は、図1に示す一般的合成スキームに従って調製することができる。図1の化学スキームについての試薬および条件は次の通りである:a) L-(+)-酒石酸塩ジエチル、Ti(OiPr)4、tert-ブチルヒドロペルオキシド、CH2Cl2、-40℃、4h、9:1 e.r.; b) CCl4、PPh3、80℃、6h; c) nBuLi (3.5当量)、THF、-40℃、2h; d) TESOTf、Et3N、CH2Cl2、23℃、3h; e) AD-mix-α、tBuOH/H2O (1:1)、23℃、10h.; f) NaIO4/SiO2、CH2Cl2、23℃、10h; g) 4 (1.6当量)、ベンゼン、還流、2日. h) LDA、R1COMe、THF、-78℃、15h; i) [IPrAuNCPh]SbF6 (3モル%)、CH2Cl2、23℃、5h; j) TBAF、THF、23℃、12h; k) DMAP、イミダゾール、TBDMSCl、23℃; l) CrO3、ピリジン、CH2Cl2、23℃、1hおよびCeCl3(H2O)7、NaBH4、MeOH、23℃、5分; m) WCl6(2当量)、nBuLi (4当量)、THF、0~50℃、2h; n) R5COCl、DMAP、Et3N、CH2Cl2、45℃ 4-12 hおよびTBAF、THF、23℃、12h; o) R2COOH、DMAP、NEt3、2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド、トルエン、23℃、1hおよびTBAF、AcOH、THF、4h、23℃。
実施例2
下記実施例は、「a」が二重結合であり、X1がOであり、R3がメチルであり、およびR4がメチルである式(I)の化合物の調製を記載する。当業者に明らかとなるように、出発原料の注意深い選択により、他の式(I)の化合物の調製が可能となる。図2および3を参照。
図2に示す工程a)~g)を、以下に詳細に説明する。
工程a)
乾燥CH2Cl2を、活性化4Åモレキュラーシーブ(紛末)を含むアルゴン注入口、滴下漏斗および温度計を備えた火炎乾燥3つ口1Lフラスコに加えた。-20℃まで冷却後、前もって蒸留したL-(+)-酒石酸ジエチルを滴下漏斗を通して滴下した。次いで、滴下漏斗を乾燥CH2Cl2ですすぎ、前もって蒸留したチタン(IV)イソプロポキシドで満たした。その滴下後、同じ操作をtert-ブチルヒドロペルオキシド(5.5 Mデカン溶液)を用いて繰り返した。混合物をこの温度で20分間攪拌し、-40℃まで冷却し、次いで、前もって蒸留したゲラニオールのCH2Cl2溶液を滴下漏斗によってゆっくりと加え、そして最終混合物を4hもしくはTLC分析が残っている出発原料がないことを示すまで反応させた。水をゆっくりと加え、そして反応物を室温に達するまで放置した。次いで、NaOH(30%)およびNaCl(5%)を含有する水溶液を加え、混合物を1 h攪拌し、過剰のCH2Cl2で溶出するシリカ+CELITETM+シリカの3層ベッドによってろ過した。ろ液を分離漏斗に移し、そして層を分離した。水層をCH2Cl2(x3)でさらに抽出し、そして合わせた有機層を水および食塩水で洗浄し、次いで無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、そして減圧下濃縮した。粗製物を真空蒸留(1.7 mbar、80-82℃)により精製して純粋な生成物を得た。
エナンチオマー比をトシル基でのアルコール部分の保護によって決定した(Nakatsujiら(Org. Lett. 2008, 10, 2131-2134)によって記載された手順に従って、生成物の分光学的データはRiouら(J. Org. Chem. 2008, 73, 7436-7439)において以前に報告されたものと一致し、キラルHPLCによるその分析は9:1のエナンチオマー比を示した(Agilent HPLC 1100、ChiralPack IA、室温 11.91分(大部分)、14.57分(小部分)(アジレントテクノロジー社、Santa Clara、CA))。
工程b)
CCl4を、((2S、3S)-3-メチル-3-(4-メチルペン-3-エン-1イル)オキシラン-2-イル)メタノールを含む冷媒、アルゴン注入口および温度計に接続した3つ口1Lフラスコに加えた。トリフェニルホスフィンおよび炭酸水素ナトリウムを一部分ずつ加え、そして混合物を還流(82℃内部温度)まで5 hかけてもしくはTLC分析が残っている出発原料がないことを示すまで加熱した。シクロヘキサンを加え、そして粗製物をCELITETMのパッドを通してろ過した。次いで、溶媒を減圧下エバポレートし、そして再度シクロヘキサンで洗浄し、そしてCELITETMを通してろ過した。溶媒をエバポレートした後、真空蒸留(0.9 mbar、74-76℃)によって純粋な生成物を得た。
工程c)
Figure 0007367936000021
(2S,3R)-3-(クロロメチル)-2-メチル-2-(4-メチルペント-3-エン-1イル)オキシランを乾燥THFに溶解し、そして溶液を滴下漏斗に接続した3つ口1Lフラスコに移した。フラスコを-40℃まで冷蔵し、次いでnBuLi(1.3 Mヘキサン溶液)を滴下漏斗を通して滴下した。添加後(約1 h)、混合物を30分間撹拌した。反応物を-40℃で飽和NH4Cl水溶液を注意深く添加することによってクエンチした。次いで、混合物を室温に到達させ、そして層を分離し、水層をEt2O(2回)でさらに抽出し、そして合わせた有機層を飽和NH4Cl溶液および食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、そして真空下濃縮した。得られた粗製物を減圧下(72℃、1.8 mbar)蒸留した。
工程d)
(S)-3,7-ジメチルオクト-6-エン-1-イン-3-オールを乾燥CH2Cl2に溶解し、Et3Nを加え、そして溶液を氷浴中で0℃まで冷却した。次いで、TESOTfを滴下漏斗を通して滴下した。添加後、反応物を室温(22℃)に到達させ、そして12 h撹拌した。飽和NH4Cl水溶液(100 mL)を加え、そして層を分離した。水層をCH2Cl2でさらに2回抽出し、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、そして真空濃縮した。粗生成物をシクロヘキサンで溶出するシリカカラムを通したろ過によって精製した。
工程e)
(S)-(3-7-ジメチルオクト-6-エン-1-イン-3-イルオキシ)トリエチルシランのtert-ブタノール溶液を、AD-mix-α およびメタンスルホンアミドのtert-ブタノールおよび水の混合液の攪拌溶液に0℃で加えた。添加後、反応物を室温(約23℃)で12 h撹拌した。Na2SO3を0℃で加え、混合物をさらに3時間撹拌し、次いで2層を分離した。水層をEtOAc(x3)でさらに抽出し、そして合わせた有機層をKOH(2M)溶液で2回洗浄し、そして無水Na2SO4で乾燥した。溶媒をエバポレートした後、粗生成物を得、これをさらなる精製なしで使用することができる。
工程f)およびg)
生成物3aおよび5aの合成のための工程f)およびg)は、Molawiら(Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 122, 3595-3597)に記載された。
工程h)
一般的手順A(アルドール反応):ジイソプロピルアミンのTHF溶液を水-氷浴中で0℃まで冷却した。次いで、nBuLiのヘキサン溶液を注射器ポンプを通して30分かけて加えた。混合物を水-氷浴中で追加の30分間撹拌し、次いで-78℃まで冷却した。この温度で、式R1COMeのメチルケトン(1.5当量)のTHF(0.25 M)溶液を30分かけて滴下した(注射器ポンプ、内部温度を常に-70℃より低く維持した)。溶液を-78℃で2 h撹拌し、(S,E)-2,6-ジメチル-6-(トリエチルシリルオキシ)オクト-2-エン-7-イナールのTHF(0.1 M)溶液を10分かけて滴下した。得られた混合物を-78℃で15 h撹拌し、次いで同温度で飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、30分かけてゆっくりと加え、温度を-30℃より低く維持した。添加完了後、混合物を室温に到達させた。EtOAcを加え、そして層を分離した。水層をEtOAcで2回抽出し、そして合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、そして真空下濃縮した。得られた粗オイルをシリカフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
工程i)
工程h)で調製した生成物は、Au(I)触媒などの触媒を用いて環化することができる。例えば、[IPrAuNCPh][SbF6](Amijsら、J. Org. Chem. 2008, 73, 7721-7730)を、アルゴン雰囲気下、3Åモレキュラーシーブを含むエンインオンの乾燥CH2Cl2溶液(0.1 M)(Molawiら、Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 122, 3595-3597)に室温で加えた。反応物を完了状態で撹拌し(3-8 h)、次いでEt3Nでクエンチした。溶媒を真空下エバポレートした後、粗製物をシリカクロマトグラフィー(混合物 シクロヘキサン:EtOAc、9:1~1:1)により精製して純粋な三環化合物を単一のジアステレオ異性体として得た。
工程j)
工程i)で調製した生成物を脱保護した。例えば、1-トリエチルシリルオキシ三環式化合物をアルゴン雰囲気下乾燥THF(0.1 M)に溶解し、そして溶液を氷浴中で0℃まで冷却し、次いでTBAF溶液を滴下した(THF中1 M)。添加後、反応物を室温(約23℃)で12 h撹拌し、飽和NH4Cl溶液でクエンチした。EtOAcを加え、そして層を分離し、次いで水層をEtOAcで2回さらに抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、そして真空下濃縮した。粗製物を溶出液としてシクロヘキサン:EtOAc 1:1混合液を用いてシリカフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
工程k)
次に、工程j)で調製した生成物を脱保護した。例えば、工程j)の生成物を乾燥CH2Cl2(0.05 M)に溶解し、N,N-ジメチルピリジン-4-アミン、および1H-イミダゾールを加え、続いてtert-ブチルクロロジメチルシランを加えた。混合物を、TLCによって完全な転化が観察されるまで、N2雰囲気下、23℃で6~10 h撹拌した。次いで、反応をHCl(1 M)溶液の添加によって停止させ、続いてCH2Cl2で抽出後処理した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、そして真空濃縮した。粗製物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して純粋な生成物を得た。
工程l)
次いで工程k)の生成物を触媒酸化した。例えば、酸化クロム(VI)をピリジンの乾燥CH2Cl2(0.05 M)溶液に0℃で加え、次いで室温まで加温した。次いで、工程k)で調製したアルコール化合物のCH2Cl2溶液を一度に加え、そして反応物を室温(約23℃)で1 h撹拌した。この時間の後、粗製物をEt2Oで希釈し、そしてシリカのパッドを通してろ過し、そして乾固までエバポレートした。粗製物をシクロヘキサン:EtOAc 98:2~95:5で溶出するシリカカラムを通して精製した。ケトンおよび所望のエポキシアルコールに相当する2つの画分を得た。ケトンをMeOH(0.1 M)に溶解し、CeCl3.(H2O)7、続いてNaBH4を加えた。反応物を5分間激しく攪拌し、水でクエンチした。EtOAcでの抽出後処理およびシリカ上フラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン:EtOAc、95:5)による精製後、所望のエポキシアルコールを得、そして前に得られた画分と合わせた。
工程m)
次に、工程l)で形成したエポキシドを脱酸素化した。特に、nBuLi(ヘキサン中1.2 M)をWCl6(2当量)の乾燥THF溶液に-78℃で滴下した。溶液を1 hで室温にゆっくりと到達させ、次いで室温で追加の10分間撹拌し、再度0℃に冷却した。次いで、エポキシアルコールのTHF(0.1 M最終濃度)溶液をゆっくりと加え、そして反応物を室温(約23℃)に到達させ、次いで完全な転化が達成されるまで50℃で2-4 h加熱した。反応物をロッシェル塩:NaOH溶液(1.5M:2M、200 mL x 基質のmmol)に注ぎ、そして10分間激しく攪拌した。次いで、Et2Oを加え、そして層を分離した。水層をEt2Oで2回さらに抽出し、合わせた有機層を食塩水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、そして真空下濃縮した。粗製物をシリカクロマトグラフィーにより精製して純粋な生成物を得た。
工程n)
工程m)の生成物は、次にエステル形成および脱保護を行う。特に、遊離アルコール、式R5COClの化合物、DMAP、およびNEt3の乾燥CH2Cl2溶液(0.2 M)を、蓋をした圧力管中、80℃での還流で4 h撹拌した。室温まで冷却後、粗生成物をシクロヘキサン:EtOAc 9:1で溶出するシリカのパッドを通してろ過した。濃縮後、得られた物質をtert-ブチルジメチルシリル基の脱保護に直接用いた。TBAF溶液(THF中1.0 M)をTBS-保護アナログのTHF溶液(0.1 M)に0℃で加えた。次いで、反応物を23℃で10 h攪拌し、水でクエンチした。EtOAcを混合物に加え、そして2層を分離し、水層をEtOAcで2回さらに抽出し、次いで合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、そして真空下濃縮した。粗製物をシリカクロマトグラフィーにより精製した。
工程o)
次に、工程n)の生成物は山口エステル化を行う。例えば、Et3Nおよび塩化2,4,6-トリクロロベンゾイルを、三環式アルコールを含有しない生成物、式R5CO2Hの酸およびDMAPを含む攪拌したトルエン溶液(0.03 M)に0℃で加えた。得られた白色懸濁物を室温(約23℃)で1 h撹拌し、飽和NH4Cl水溶液を加えることによってクエンチした。Et2Oを加え、そして層を分離した。水層をEt2Oで2回さらに抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、そして真空濃縮した。粗製物をシリカ上フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
酸が保護基(例えば、TBDPS-保護グリコール酸、TBDPS-保護乳酸)を含んでいた場合、粗製物の酸での脱保護により最終生成物を得た。例えば、酢酸およびTBAF溶液(THF中1M)をTBDPS-保護アナログの攪拌したTHF溶液(0.1 M)に0℃で加えた。室温(約23℃)で4h撹拌後、反応物を飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、続いてEtOAcで抽出後処理した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、そして真空下濃縮した。シリカ上クロマトグラフィー精製後に最終化合物を得た。
実施例3
この実施例は、本発明の化合物がヒト癌細胞増殖を阻害することを説明する。
式(Ia)~(Ig)の例示化合物を含むサンプルを標準の国立がん研究所60-細胞株プロトコルにおいて試験した。第一に、それらを10マイクロモルの単一の最終濃度において全ての60細胞株に対して試験した。次いで、それらを5つの10-倍希釈において別個に試験した。薬物曝露はSRB終点で2日であった。結果を表1に示す。
Figure 0007367936000026
実施例4
この実施例は、本発明の態様による式(I)の化合物のいくつかの特性を説明する。
図5-11は、60-細胞試験における種々の癌細胞株に対するいくつかの式(I)の化合物(すなわち、化合物(Ia)~(Ig))について用量反応曲線を描写し、式(I)の化合物が多数の白血病、非小細胞、結腸癌、CNS癌、メラノーマ、卵巣、腎臓、前立腺、および乳房、細胞株に対して活性であることを示す。
図5A-5Iは、(Ia)についての用量反応曲線である。
図6A-6Iは、(Ib)についての用量反応曲線である。
図7A-7Iは、(Ic)についての用量反応曲線である。
図8A-8Iは、(Id)についての用量反応曲線である。
図9A-9Iは、(Ie)についての用量反応曲線である。
図10A-10Iは、(If)についての用量反応曲線である。
図11A-11Iは、(Ig)についての用量反応曲線である。
本明細書で引用した公開、特許出願および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が個々におよび具体的に参考として援用されると示され、その全体が本明細書中に記載されているかのように、同程度で本明細書中で参考として援用される。
本発明を記載する文脈(特に、以下の請求の範囲の文脈)における用語「a」および「an」および「the」および「少なくとも1種」および類似の指示語は、本明細書中に特に指示しない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、単数および複数の両方を含むと解釈されるべきである。1種以上の項目(例えば、「AおよびBの少なくとも1種」)のリストに続く用語「少なくとも1種」の使用は、本明細書中に特に指示しない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、列挙した項目(AまたはB)から選ばれる1種の項目、または列挙した項目(AおよびB)の2種以上の任意の組み合わせを意味すると解釈されるべきである。用語「含有する」、「有する」、「含む」および「含む」は、特に指示しない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「含むが、限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の記載は、本明細書中に特に指示しない限り、その範囲内の各別個の値を個別に指す簡便法として働くことを単に意図し、別個の値は本明細書中に個別に記載されているかのように本明細書中に組み込まれる。本明細書中に記載の全ての方法は、本明細書中に特に指示しない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、任意の適切な順序で行われ得る。本明細書中で提供される任意のおよび全ての例または例示的言葉(例、「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図し、特にクレームしない限り本発明の範囲に限定を課さない。本明細書中の言葉は、任意のクレームしていない要素が本発明の実施に必須であることを示すと解釈されるべきではない。
本発明の好適な実施態様が本明細書に記載されており、本発明を実施するために本発明者らに公知のベストモードを含む。これらの好適な実施態様の変形例は、上記記載を読めば当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形例を適切に採用することを期待し、本発明者らは、本発明が本明細書中に具体的に記載した以外の方法で実施されることを意図する。従って、本発明は、適用法により許可されるように、本明細書に添付の請求の範囲に記載の主題の全ての改変体および等価体を含む。さらに、その全ての可能な変形例における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書中に特に指示しない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、本発明に含まれる。

Claims (22)

  1. 式(I)

    式中、
    「a」は単結合もしくは二重結合を表し;
    R1はC3-C6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、これらはそれぞれ置換されていてもよく;
    R2はヒドロキシ、アルコキシ、-X2-(C=X3)-(CR6R7)m-X2-(C=X3)-R8、-X2-(C=X3)-(CR6R7)m-R8、および-X2-(C=X3)-(CR6R7)m-X2-R18から選択され;
    R6およびR7は独立して水素、ヒドロキシ、フッ素、塩素、およびC1-C6アルキルから選択され;
    R8はC1-C6アルキル、フルオロC1-C6アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ(これらはそれぞれ置換されていてもよい)、ヒドロキシ、および-NR15R16から選択され;
    R15およびR16は独立して水素およびC1-C6アルキルから選択され;もしくは
    R16はCOOR17であり;
    R17はC1-C6アルキルであり;
    R18はC1-C6アルキル、フルオロC1-C6、アルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、これらはそれぞれ置換されていてもよく;
    各X2は独立してO、SおよびNR15から選択され;
    X3はOおよびSから選択され;
    R3およびR4は独立してC1-C6アルキルであり;
    R5は-(CR9R10)n-R11および-(CR12=CR13)n-R14から選択され;
    R9およびR10は独立して水素およびC1-C6アルキルから選択され;あるいは
    R9およびR10はそれらが結合する炭素と共にC3-C6シクロアルキルを形成し;
    R11およびR14は独立してC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、これらはそれぞれ置換されていてもよく;
    R12およびR13は独立して水素、ハロゲン、およびC1-C6アルキルから選択され;
    X1はO、NR15、およびSから選択され;および
    nおよびmは独立して0および1-3の整数から選択され、
    但し、「a」が二重結合である場合、R1は置換されていてもよいヘテロシクロアルキルである;
    の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
  2. X1がOである、請求項1記載の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
  3. R2が-OC(O)CH2OHもしくは-NHC(O)CH2OHである、請求項1または2記載の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
  4. R3がメチルである、請求項1~3のいずれか1項記載の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
  5. R4がメチルである、請求項1~4のいずれか1項記載の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
  6. R5が-(CR12=CR13)n-R14であり、R12およびR13がそれぞれ水素もしくはC1-C6アルキルであり、R14がC3-C6シクロアルキルもしくはフェニルであり、およびnが1-3である、請求項1~5のいずれか1項記載の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
  7. 「a」が二重結合であり、およびR1が置換されていてもよいヘテロシクロアルキルである、請求項1~6のいずれか1項記載の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
  8. ヘテロシクロアルキルがアジリジニル、オキシラニル、チアゾリニル、イミダゾリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、もしくはチオモルホリニルであり、これらがそれぞれ置換されていてもよい、請求項7記載の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
  9. ヘテロシクロアルキルが式

    式中、
    R19は水素、C1-C6アルキルもしくはC1-C6アルキルカルボニルであり、水素以外のこれらはそれぞれ置換されていてもよく;および
    R20は水素、ハロ、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、C1-C6アルコキシ、アリールオキシ、C1-C6アラルコキシ、カルボキシル、カルボキシ-C1-C6アルキル、カルボキシ-C1-C6アルキルオキシ、アミド、C1-C6アルキルアミド、ハロ-C1-C6アルキルアミド、アリール、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクロアルキルである、
    のピペリジニルである、請求項8記載の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
  10. からなる群より選ばれる、請求項9記載の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
  11. 「a」が単結合である、請求項1~6のいずれか1項記載の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
  12. R1がC3-C6シクロアルキルもしくはフェニルである、請求項11記載の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。



  13. からなる群より選ばれる、請求項12記載の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩。
  14. 医薬上許容し得る担体および請求項1~13のいずれか1項記載の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩を含有する医薬組成物。
  15. 請求項1~13のいずれか1項記載の化合物もしくはその医薬上許容し得る塩および医薬上許容し得る担体を含有する癌を治療するための医薬組成物。
  16. 癌が白血病、非小細胞肺癌、結腸癌、メラノーマ、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、乳癌、中枢神経系(CNS)癌、卵巣癌、もしくはユーイング肉腫である、請求項15記載の医薬組成物。
  17. 癌が腎臓癌である、請求項16記載の医薬組成物。
  18. 癌が前立腺癌である、請求項16記載の医薬組成物。
  19. 癌がユーイング肉腫である、請求項16記載の医薬組成物。
  20. 癌が膀胱癌である、請求項16記載の医薬組成物。
  21. 癌が乳癌である、請求項16記載の医薬組成物。
  22. 化合物が一過性受容器電位チャネル(TRPC4)受容体を活性化しない、請求項15~21のいずれか1項記載の医薬組成物。
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