JP7366798B2 - 超音波診断装置および超音波プローブ - Google Patents

超音波診断装置および超音波プローブ Download PDF

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Description

本明細書及び図面に開示の実施形態は、超音波診断装置および超音波プローブに関する。
従来、超音波診断装置において、ドプラ効果を利用して生体内の血流の速度情報を表示する方法がある。この方法には、例えば、超音波パルスを用いるパルスドプラ法(PWドプラ)と、連続波超音波を照射する連続波ドプラ法(CWドプラ)とがある。
PWドプラは、距離分解能が有り、血流の存在する位置を弁別することができる。しかし、PWドプラは、超音波パルスの送信周期でサンプリングを行うため、高流速の血流ではドプラ変位が大きくなることによる折り返しのため血流方向が判別できなくなることがある。
CWドプラは、距離分解能が無いものの、上記折り返しが発生せず高流速の血流も判別することができる。しかし、CWドプラは、連続して超音波送信を行う必要があるため、PWドプラと比較して、必要な消費電力が大きい。特に、使用可能な電力が制限された超音波診断装置において、CWドプラを実行することは困難であった。
特開2014-3801号公報
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、限られた状況における超音波診断の利便性を向上することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブと、装置本体と、選択部とを備える。超音波プローブは、電池を有する。装置本体は、超音波プローブが接続される。選択部は、超音波プローブに内蔵され、第1診断モードでは装置本体からの電力を選択し、第1診断モードとは異なる第2診断モードでは電池からの電力を選択する。
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示す図である。 図2は、第1の実施形態における超音波プローブの具体的な構成例を示す図である。 図3は、第1の実施形態における送信電源回路の具体的な構成例を示す図である。 図4は、第1の実施形態におけるCWドプラを実行中の表示画面の一例を示す図である。 図5は、第1の実施形態におけるCWドプラの実行に関する状態表示アイコンの複数の表示例を示す図である。 図6は、第1の実施形態において、ドプラモードを実行する超音波診断装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。 図7は、第1の実施形態において、充電処理を実行する処理回路の動作の一例を説明するためのフローチャートである。 図8は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示す図である。 図9は、第2の実施形態における超音波プローブの具体的な構成例を示す図である。 図10は、第2の実施形態における送信電源回路の具体的な構成例を示す図である。 図11は、第2の実施形態において、ワイヤレス給電処理を実行する処理回路の動作の一例を説明するためのフローチャートである。 図12は、第2の実施形態の応用例における送信電源回路の具体的な構成例を示す図である。 図13は、第2の実施形態の応用例において、マルチ充電処理を実行する処理回路の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、超音波診断装置の実施形態について詳細に説明する。尚、本明細書では、プラス電圧およびマイナス電圧を扱う両電源の場合について説明するが、これに限らず、単電源であってもよい。例えば、プラス電圧を扱う単電源の場合は、マイナス電圧に関する回路および構成が省略されてもよい。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示す図である。例えば、図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体10と、超音波プローブ20とを有している。装置本体10は、入力装置2、出力装置3および外部電源装置4と接続されている。尚、装置本体10は、ネットワークNWを介して外部装置と接続されてもよい。
装置本体10は、例えば、タブレット端末、或いはラップトップコンピュータに相当する。そのため、装置本体10は、少なくともディスプレイとしての出力装置3を有していてもよい。また、装置本体10は、外部電源装置4から切り離されて使用されることが想定される。
装置本体10および超音波プローブ20は、例えば、インタフェースケーブル(IFC)を介して接続されている。IFCは、データ転送機能および給電機能を有する。IFCは、例えば、Universal Serial Bus(USB)の規格に準じたケーブルに相当する。IFCは、例えば、一端に超音波プローブ20が接続され、他端にUSB端子を有する。
なお、IFCは、給電能力に上限があるものとする。例えば、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、IFCによる給電では、消費電力の大きい動作モードを実行することができない。消費電力の大きい動作モードについては後述される。
図1には、一つの超音波プローブ20と装置本体10との接続関係を例示している。しかしながら、装置本体10は、複数の超音波プローブを接続してもよい。接続された複数の超音波プローブのうちいずれを超音波スキャンに使用するかは、切り替え操作によって任意に選択することができる。
装置本体10は、超音波プローブ20により受信された反射波信号(後述される)に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10は、内部記憶回路110と、画像メモリ120と、入力インタフェース130と、出力インタフェース140と、電源回路150と、通信インタフェース160と、処理回路170とを備える。電源回路150は、内蔵電池150aを備える。
内部記憶回路110は、例えば、磁気的記憶媒体、光学的記憶媒体、または半導体メモリ等、プロセッサにより読み取り可能な記憶媒体等を有する。内部記憶回路110は、超音波送受信を実現するためのプログラム、後述する充電処理などに関するプログラム、および各種データ等を記憶している。これらのプログラムおよび各種データは、例えば、内部記憶回路110に予め記憶されていてもよい。また、プログラムおよび各種データは、例えば、非一過性の記憶媒体に記憶されて配布され、非一過性の記憶媒体から読み出されて内部記憶回路110にインストールされてもよい。また、内部記憶回路110は、入力インタフェース130を介して入力される操作に従い、処理回路170で生成されるBモード画像データおよび造影画像データ等を記憶する。内部記憶回路110は、記憶している画像データを、通信インタフェース160を介して外部装置等に転送することも可能である。
なお、内部記憶回路110は、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、およびフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。内部記憶回路110は、記憶しているデータを可搬性記憶媒体へ書き込み、可搬性記憶媒体を介してデータを外部装置に記憶させることも可能である。
画像メモリ120は、例えば、磁気的記憶媒体、光学的記憶媒体、または半導体メモリ等、プロセッサにより読み取り可能な記憶媒体等を有する。画像メモリ120は、入力インタフェース130を介して入力されるフリーズ操作直前の複数フレームに対応する画像データを保存する。画像メモリ120に記憶されている画像データは、例えば、連続表示(シネ表示)される。
これら内部記憶回路110および画像メモリ120は、必ずしもそれぞれが独立した記憶装置により実現されなくてもよい。内部記憶回路110および画像メモリ120が単一の記憶装置により実現されてもよい。また、内部記憶回路110および画像メモリ120のそれぞれが複数の記憶装置により実現されてもよい。
入力インタフェース130は、入力装置2を介し、操作者からの各種指示を受け付ける。入力装置2は、例えば、マウス、キーボード、パネルスイッチ、スライダースイッチ、トラックボール、ロータリーエンコーダ、操作パネル、およびタッチコマンドスクリーン(TCS:Touch Command Screen)である。入力インタフェース130は、例えばバスを介して処理回路170に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を処理回路170へ出力する。なお、入力インタフェース130は、マウスおよびキーボード等の物理的な操作部品と接続するものだけに限られない。例えば、超音波診断装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路170へ出力する回路も入力インタフェースの例に含まれる。
出力インタフェース140は、例えば処理回路170からの電気信号を出力装置3へ出力するためのインタフェースである。出力装置3は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイ等の任意のディスプレイである。出力装置3は、入力装置2を兼ねたタッチパネル式のディスプレイでもよい。出力インタフェース140は、例えばバスを介して処理回路170に接続され、処理回路170からの電気信号を出力装置3に出力する。
電源回路150は、例えば、装置本体10の各部および各回路に必要な電力をそれぞれ生成する。電源回路150は、外部電源装置4から電力供給を受ける。外部電源装置4は、例えば、コンセントに接続されたACアダプタに相当する。また、特定の場合において、電源回路150は、内蔵電池150aから電力供給を受ける。特定の場合とは、限られた状況、例えば、超音波診断装置1が外部電源装置4から切り離されてポータブルとして使用される場合である。内蔵電池150aは、例えば、充電式のリチウムイオン電池、或いはニッケル水素電池である。内蔵電池150aは、例えば外部電源装置4からの電力により充電される。尚、内蔵電池150aは、装置本体10から取り外し可能でもよい。
通信インタフェース160は、IFCを介して超音波プローブ20と接続される。通信インタフェース160は、例えばUSBポートを有する。このUSBポートには、例えば、IFCの他端に設けられたUSB端子が接続される。通信インタフェース160は、超音波プローブ20との間でデータ通信を行う。また、通信インタフェース160は、超音波プローブ20へと電力を供給する。尚、通信インタフェース160は、例えばネットワークNWを介して外部装置と接続され、外部装置との間でデータ通信を行ってもよい。
処理回路170は、例えば、超音波診断装置1の動作を制御するプロセッサである。処理回路170は、内部記憶回路110に記憶されているプログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。処理回路170は、例えば、Bモード処理機能170aと、ドプラ処理機能170bと、画像生成機能170cと、表示制御機能170dと、システム制御機能170eとを有している。
本実施形態では、単一のプロセッサによってBモード処理機能170aと、ドプラ処理機能170bと、画像生成機能170cと、表示制御機能170dと、システム制御機能170eとが実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することによりBモード処理機能170aと、ドプラ処理機能170bと、画像生成機能170cと、表示制御機能170dと、システム制御機能170eとを実現しても構わない。また、各機能を実行可能な専用のハードウェア回路が組み込まれていてもよい。
Bモード処理機能170aは、超音波プローブ20から受け取った受信信号に基づき、Bモードデータを生成する機能である。処理回路170は、Bモード処理機能170aにより、例えば、超音波プローブ20から受け取った受信信号に対して包絡線検波処理、および対数圧縮処理等を施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。生成されたBモードデータは、2次元的な超音波走査線(ラスタ)上のBモードRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
また、処理回路170は、Bモード処理機能170aにより、造影エコー法、例えば、コントラストハーモニックイメージング(Contrast Harmonic Imaging:CHI)を実行することができる。即ち、処理回路170は、造影剤が注入された生体Pの反射波データ(高調波成分または分周波成分)と、生体P内の組織を反射源とする反射波データ(基本波成分)とを分離することができる。これにより、処理回路170は、生体Pの反射波データから高調波成分または分周波成分を抽出して、造影画像データを生成するためのBモードデータを生成することができる。
造影画像データを生成するためのBモードデータは、造影剤を反射源とする反射波の信号強度を輝度で表したデータとなる。また、処理回路170は、生体Pの反射波データから基本波成分を抽出して、組織画像データを生成するためのBモードデータを生成することができる。
なお、CHIを行う際、処理回路170は、上述したフィルタ処理を用いた方法とは異なる方法により、ハーモニック成分(高調波成分)を抽出することができる。ハーモニックイメージングでは、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)法や位相変調(PM:Phase Modulation)法、AM法及びPM法を組み合わせたAMPM法と呼ばれる映像法が行なわれる。
AM法、PM法及びAMPM法では、同一の走査線に対して振幅や位相が異なる超音波送信を複数回(複数レート)行う。これにより、超音波プローブ20は、各走査線で複数の反射波データを生成し出力する。そして、処理回路170は、各走査線の複数の反射波データを、変調法に応じた加減算処理することで、高調波成分を抽出する。そして、処理回路170は、高調波成分の反射波データに対して包絡線検波処理等を行なって、Bモードデータを生成する。
例えば、PM法が行われる場合、超音波プローブ20は、処理回路170が設定したスキャンシーケンスにより、例えば(-1,1)のように、位相極性を反転させた同一振幅の超音波を、各走査線で2回送信させる。そして、超音波プローブ20は、「-1」の送信による反射波データと、「1」の送信による反射波データとを生成し、処理回路170は、これら2つの反射波データを加算する。これにより、基本波成分が除去され、2次高調波成分が主に残存した信号が生成される。そして、処理回路170は、この信号に対して包絡線検波処理等を行って、CHIのBモードデータ(造影画像データを生成するためのBモードデータ)を生成する。
CHIのBモードデータは、造影剤を反射源とする反射波の信号強度を輝度で表わしたデータとなる。また、CHIでPM法が行われる場合、処理回路170は、例えば、「1」の送信による反射波データをフィルタ処理することで、組織画像データを生成するためのBモードデータを生成することができる。
ドプラ処理機能170bは、超音波プローブ20から受け取った受信信号を周波数解析することで、スキャン領域に設定されるROI(Region Of Interest:関心領域)内にある移動体のドプラ効果に基づく運動情報を抽出したデータ(ドプラ情報)を生成する機能である。生成されたドプラ情報は、2次元的な超音波走査線上のドプラRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
画像生成機能170cは、Bモード処理機能170a、及び/又はドプラ処理機能170bにより生成されたデータに基づき、各種超音波画像データを生成する機能である。具体的には、処理回路170は、画像生成機能170cにより、例えば、RAWデータメモリに記憶されているBモードRAWデータに対してRAW-ピクセル変換、例えば、超音波プローブ20による超音波の走査形態に応じた座標変換を実行することで、ピクセルから構成されるBモード画像データを生成する。
また、処理回路170は、例えば、RAWデータメモリに記憶されているドプラRAWデータに対してRAW-ピクセル変換を実行することで、血流情報が映像化されたドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、平均速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又はこれらを組み合わせた画像データである。
表示制御機能170dは、画像生成機能170cにより生成された各種超音波画像データに基づく画像を出力装置3に表示させる機能である。具体的には、例えば、処理回路170は、表示制御機能170dにより、画像生成機能170cにより生成されたBモード画像データ、ドプラ画像データ、又はこれらの両方を含む画像データに基づく画像の出力装置3における表示を制御する。
より具体的には、処理回路170は、表示制御機能170dにより、例えば、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用画像データを生成する。また、処理回路170は、表示用画像データに対し、ダイナミックレンジ、輝度(ブライトネス)、コントラスト、及びγカーブ補正、並びにRGB変換等の各種処理を実行してもよい。また、処理回路170は、表示用画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディマーク等の付帯情報を付加してもよい。また、処理回路170は、操作者が入力装置により各種指示を入力するためのユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)を生成し、GUIを出力装置3に表示させてもよい。
システム制御機能170eは、超音波診断装置1全体の動作を統括して制御する機能である。例えば、処理回路170は、システム制御機能170eによって、超音波の送受信に関するパラメータに基づいて超音波プローブ20を制御する。
超音波プローブ20は、例えば、装置本体10からの制御に従い、被検体である生体P内のスキャン領域について超音波スキャンを実行する。超音波プローブ20は、IFCを介して装置本体10と着脱自在に接続される。超音波プローブ20には、オフセット処理、及び超音波画像のフリーズ等の際に押下されるボタンが配置されてもよい。
超音波プローブ20は、例えば、複数の超音波振動子が所定の方向に沿って配列された1Dアレイリニアプローブ、複数の超音波振動子がマトリックス状に配列された2Dアレイプローブ、又は超音波振動子列をその配列方向と直交する方向に機械的に煽りながら超音波走査を実行可能なメカニカル4Dプローブ等である。
超音波プローブ20は、超音波送受信回路210と、探触部220と、処理回路230と、電源回路240と、通信インタフェース250とを備える。更に、電源回路240は、充電式電池240aを備える。
探触部220は、例えば、複数の超音波振動子、超音波振動子に設けられる整合層、及び超音波振動子から後方への超音波の伝搬を防止するバッキング材等を有する。超音波振動子は、駆動信号に基づいて超音波を発生し、超音波の反射波信号を受信して電気信号へ変換する。超音波振動子は、例えば、圧電振動子であり、一例として圧電セラミックにより作成される。
複数の超音波振動子は、超音波送受信回路210から供給される駆動信号に基づいて超音波を発生する。これにより、探触部220から生体Pへ超音波が送信される。探触部220から生体Pへ超音波が送信されると、送信された超音波は、生体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として複数の超音波振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流又は心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向の速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。超音波振動子は、生体Pからの反射波信号を受信して電気信号に変換する。
超音波送受信回路210は、探触部220に駆動信号を供給するプロセッサである。以下では、説明の便宜上、超音波送受信回路を超音波送信回路および超音波送受信回路に分けて説明する。
超音波送信回路は、例えば、トリガ発生回路、送信遅延回路、およびパルサ回路(パルサ群)等により実現される。トリガ発生回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返して発生する。送信遅延回路は、探触部220から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子毎の遅延時間を、トリガ発生回路が発生する各レートパルスに対し与える。パルサ回路は、レートパルスに基づくタイミングで、探触部220に設けられる複数の超音波振動子へ駆動信号(駆動パルス)を印加する。送信遅延回路により各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子の表面からの送信方向が任意に調整可能となる。
また、超音波送信回路は、駆動信号によって、超音波の出力強度を任意に変更することができる。超音波診断装置では、出力強度を大きくすることにより、生体P内での超音波の減衰の影響を小さくすることができる。超音波診断装置は、超音波の減衰の影響を小さくすることによって、受信時において、S/N比の大きい反射波信号を取得することができる。
一般的に、超音波が生体P内を伝播すると、出力強度に相当する超音波の振動の強さ(これは、音響パワーとも称する)が減衰する。音響パワーの減衰は、吸収、散乱および反射などによって起こる。また、音響パワーの減少の度合いは、超音波の周波数および超音波の放射方向の距離に依存する。例えば、超音波の周波数を大きくすることにより、減衰の度合いは大きくなる。また、超音波の放射方向の距離が長くなるほど、減衰の度合いは大きくなる。
超音波受信回路は、探触部220が受信した反射波信号に対して各種処理を施し、受信信号を生成するプロセッサである。超音波受信回路は、探触部220によって取得された超音波の反射波信号に対する受信信号を生成する。具体的には、超音波受信回路は、例えば、プリアンプ(プリアンプ群)、A/D変換器、復調器、およびビームフォーマ(受信遅延加算回路)等により実現される。プリアンプは、探触部220が受信した反射波信号をチャネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をディジタル信号に変換する。復調器は、ディジタル信号を復調する。ビームフォーマは、例えば、復調されたディジタル信号に受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与えて、遅延時間が与えられた複数のディジタル信号を加算する。ビームフォーマの加算処理により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調された受信信号が発生する。
処理回路230は、例えば、超音波プローブ20の動作を制御するプロセッサである。処理回路230は、図示しないメモリに記憶されているプログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を事項する。処理回路230は、例えば、モード切替機能230aと、プローブ制御機能230bとを有している。
本実施形態では、単一のプロセッサによってモード切替機能230aと、プローブ制御機能230bとが実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することによりモード切替機能230aと、プローブ制御機能230bとを実現しても構わない。また、各機能を実行可能な専用のハードウェア回路が組み込まれていてもよい。
モード切替機能230aは、超音波送受信の動作モードを切り替える機能である。処理回路230は、モード切替機能230aにより、装置本体10からの指示によって動作モードを切り替える。
動作モードには、例えば、2Dモード、Mモード、Color Doppler Imaging(CDI)モード、Powerモード、Superb Micro vascular Imaging(SMI)モード、Tissue Doppler Imaging(TDI)モード、およびドプラモードなどがある。
2Dモードは、エコーの明るさを強弱に変換して画像表示するモードである。Mモードは、動いているエコー源の経時的変化を画像表示するモードである。CDIモードは、血流の流速情報を表示するモードである。Powerモードは、血流のパワー情報を表示するモードである。SMIモードは、血流強調表示およびクラッタ抑制表示を行うことで、微細な血流情報を表示するモードである。TDIモードは、ドプラ効果を応用して生体内組織の運動情報をカラー表示するモードである。
ドプラモードは、ドプラ効果を利用して生体内の血流の速度情報を表示するモードである。ドプラモードには、さらにPulse Wave(PW)モードおよびContinuous Wave(CW)モードがある。PWモードは、パルスドプラ法を用いたモードである。CWモードは、連続波ドプラ法を用いたモードである。本実施形態では、モード切替機能230aとして、ドプラモードにおける、PWモードおよびCWモードの切り替えについて述べられる。尚、CWモードは、消費電力の大きい動作モードである。
本実施形態では、消費電力の大きい動作モードを「第2診断モード」と呼称し、その他の動作モード(例えば、消費電力の小さい動作モード)を「第1診断モード」と呼称することとする。よって、第2診断モードは、第1診断モードよりも消費電力が大きい。
プローブ制御機能230bは、超音波プローブ20による超音波送受信などの基本動作を制御する機能である。例えば、処理回路230は、プローブ制御機能230bによって、装置本体10からの指示に基づいて超音波プローブ20の各部および各回路を制御する。
電源回路240は、例えば、超音波プローブ20の各部および各回路に必要な電力をそれぞれ生成する。電源回路240は、IFCを介して装置本体10から電力供給を受ける。また、特定の場合において、電源回路240は、充電式電池240aから電力供給を受ける。充電式電池240aは、例えば、小型のリチウムイオン電池、或いはニッケル水素電池である。尚、充電式電池240aは、超音波プローブ20から取り外し可能でもよい。また、充電式電池240aに替えて充電式ではない電池を用いることとしても良い。
上述の特定の場合とは、例えば、CWモードの実行時である。第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、IFCを介した装置本体10からの電力供給では、消費電力の大きいCWモードを実行することができない。
通信インタフェース250は、IFCを介して装置本体10と接続される。通信インタフェース250は、装置本体10との間でデータ通信を行う。また、通信インタフェース250は、装置本体10から電力供給を受ける。
図2は、第1の実施形態における超音波プローブの具体的な構成例を示す図である。例えば、図2に示すように、超音波プローブ20は、送信遅延回路211と、パルサ群212(前述のパルサ回路に相当)と、プリアンプ群213と、受信遅延加算回路214と、探触部220と、処理回路230と、送信電源回路241と、プローブ側電源回路242と、通信インタフェース250とを備える。更に、送信電源回路241は、充電式電池240aを備える。
なお、送信遅延回路211と、パルサ群212と、プリアンプ群213と、受信遅延加算回路214とは、超音波送受信回路210に相当し、送信電源回路241と、プローブ側電源回路242とは、電源回路240に相当する。また、超音波送信回路および超音波受信回路の説明において述べた構成の一部(例えば、トリガ発生回路、A/D変換器など)は、図示を省略している。
図2において、送信遅延回路211と、プリアンプ群213と、受信遅延加算回路214と、処理回路230と、送信電源回路241と、プローブ側電源回路242とは、それぞれ制御信号線が接続される。尚、プリアンプ群213へ接続される制御信号線は、図示を省略している。
超音波プローブ20では、処理回路230のプローブ制御機能230bにより、各部および各回路が制御される。よって、処理回路230は、例えば、送信遅延回路211と、プリアンプ群213と、受信遅延加算回路214と、送信電源回路241と、プローブ側電源回路242とへ制御信号を出力する。
送信遅延回路211は、例えば振動子毎に異なる遅延時間の情報をパルサ群212に出力する。パルサ群212は、入力された遅延時間の情報に基づいて、所定のレベルの電気的パルスを発生させ、探触部220へと出力する。探触部220は、入力された電気的パルスに応じた超音波ビームを出力する。
探触部220は、出力した超音波ビームの反射波である超音波エコーを受信し、反射波信号としてプリアンプ群213へと出力する。プリアンプ群213は、入力された反射波信号を増幅させ、受信遅延加算回路214へと出力する。受信遅延加算回路214は、入力された反射波信号の振動子毎に異なるタイミングを調整し、受信信号として処理回路230へと出力する。処理回路230は、入力された受信信号を、装置本体10へ転送可能な信号情報に変換し、通信インタフェース250へと出力する。通信インタフェース250は、入力された信号情報を装置本体10へと出力する。
プローブ側電源回路242は、通信インタフェース250を介して、装置本体10から電力供給を受ける。例えば、プローブ側電源回路242は、内蔵電池150aを有する電源回路150から電力供給を受ける。プローブ側電源回路242は、送信遅延回路211と、プリアンプ群213と、受信遅延加算回路214と、処理回路230と、送信電源回路241とへそれぞれ所定の電力を供給する。
送信電源回路241は、プローブ側電源回路242から電力供給を受ける。送信電源回路241は、供給された電力に基づいて、パルサ群212を駆動するための第1の電力を生成する。換言すると、第1の電力は、電源回路150、或いは内蔵電池150aに基づいて生成される。また、送信電源回路241は、充電式電池240aから供給される電力に基づいて、パルサ群212を駆動するための第2の電力を生成する。例えば、第1の電力は第1診断モードに用いられ、第2の電力は第2診断モードに用いられる。すなわち、送信電源回路241は、診断モードに応じて用いる電力を切り替える。
図3は、第1の実施形態における送信電源回路の具体的な構成例を示す図である。例えば、図3に示すように、送信電源回路241は、PW送信用電源回路310と、CW送信用電源回路320と、電源切替スイッチ330とを備える。PW送信用電源回路310は、PW Vinレギュレータ311と、PW P_VTXレギュレータ312と、PW N_VTXレギュレータ313とを備える。CW送信用電源回路320は、充電式電池240aと、充電制御回路321と、CW Vinレギュレータ322と、CW P_VTXレギュレータ323と、CW N_VTXレギュレータ324とを備える。
PW送信用電源回路310は、プローブ側電源回路242から供給された電力に基づいて、PWドプラ用の第1の電力を生成する。具体的には、PW Vinレギュレータ311は、プローブ側電源回路242から供給される電圧を入力し、入力された電圧の絶対値よりも高いPWドプラ用の電圧+Vinおよび電圧-Vinを生成する。PW Vinレギュレータ311は、電圧+VinをPW P_VTXレギュレータ312へと出力し、電圧-VinをPW N_VTXレギュレータ313へと出力する。
PW P_VTXレギュレータ312は、電圧+Vinを入力し、リップルなどのノイズを除去することにより出力電圧+VTXを生成する。PW P_VTXレギュレータ312は、出力電圧+VTXを電源切替スイッチ330へと出力する。
PW N_VTXレギュレータ313は、電圧-Vinを入力し、リップルなどのノイズを除去することにより出力電圧-VTXを生成する。PW N_VTXレギュレータ313は、出力電圧-VTXを電源切替スイッチ330へと出力する。
CW送信用電源回路320は、充電式電池240aから供給された電力に基づいて、CWドプラ用の第2の電力を生成する。具体的には、CW Vinレギュレータ322は、充電式電池240aから供給される電圧を入力し、入力された電圧の絶対値よりも高いCWドプラ用の電圧+Vin_CWおよび電圧-Vin_CWを生成する。CW Vinレギュレータ322は、電圧+Vin_CWをCW P_VTXレギュレータ323へと出力し、電圧-Vin_CWをCW N_VTXレギュレータ324へと出力する。
CW P_VTXレギュレータ323は、電圧+Vin_CWを入力し、リップルを除去することにより出力電圧+VTX_CWを生成する。CW P_VTXレギュレータ323は、出力電圧+VTX_CWを電源切替スイッチ330へと出力する。
CW N_VTXレギュレータ324は、電圧-Vin_CWを入力し、リップルを除去することにより出力電圧-VTX_CWを生成する。CW N_VTXレギュレータ324は、出力電圧-VTX_CWを電源切替スイッチ330へと出力する。
電源切替スイッチ330は、処理回路230から制御信号を入力する。制御信号がPWモードの実行に関する場合、電源切替スイッチ330は、PW P_VTXレギュレータ312およびPW N_VTXレギュレータ313のそれぞれの入力を受け付け、パルサ群212の正側および負側へそれぞれ出力する。また、制御信号がCWモードの実行に関する場合、電源切替スイッチ330は、CW P_VTXレギュレータ323およびCW N_VTXレギュレータ324のそれぞれの入力を受け付け、パルサ群212の正側および負側へそれぞれ出力する。
換言すると、電源切替スイッチ330は、PWモードでは装置本体10からの電力に基づくPW P_VTXレギュレータ312およびPW N_VTXレギュレータ313のそれぞれの入力を選択し、CWモードでは充電式電池240aからの電力に基づくCW P_VTXレギュレータ323およびCW N_VTXレギュレータ324のそれぞれの入力を選択する。
充電制御回路321は、充電式電池240aへの充電を制御する。充電制御回路321は、処理回路230から充電制御信号を入力し、プローブ側電源回路242から電力供給を受ける。充電制御信号は、例えば充電可能か否かに関する情報を表す。充電制御信号が充電可能である情報を表す場合、充電制御回路321は、供給された電力を充電式電池240aへと出力する。また、充電制御信号が充電可能ではない状態を表す場合、充電制御回路321は、プローブ側電源回路242からの電力供給を停止する。
充電式電池240aは、処理回路230から制御信号を入力し、充電制御回路321から電力供給を受ける。制御信号がPWモードの実行に関する場合、充電式電池240aは、CW Vinレギュレータ322への電力供給を行わない。また、制御信号がCWモードの実行に関する場合、充電式電池240aは、CW Vinレギュレータ322への電力供給を行う。
図4は、第1の実施形態におけるCWドプラを実行中の表示画面の一例を示す図である。例えば、図4に示すように、表示画面400には、Bモード画像410と、CWドプラ画像420と、状態表示アイコン430とが含まれる。例えば、Bモード画像410は、表示画面400の上段右側に表示され、CWドプラ画像420は表示画面400の下段に表示される。また、状態表示アイコン430は、表示画面400の左上に表示される。
これにより、ユーザは、表示画面400に表示されている状態表示アイコン430を視認することで、CWドプラの実行に関する状態を把握することができる。
図5は、第1の実施形態におけるCWドプラの実行に関する状態表示アイコンの複数の表示例を示す図である。ここでは、アイコンの表示色、或いは点灯状態および点滅状態によって状態が異なることを説明する。
例えば、状態表示アイコン430aは、空色で点灯し、CWドプラが5分以上実行可能なことを示す。状態表示アイコン430bの色は、薄い黄色で点灯し、CWドプラが5分未満実行可能なことを示す。状態表示アイコン430cは、薄い黄色で点滅し、CWドプラが1分未満実行可能なことを示す。状態表示アイコン430dは、薄いグレーで点灯(グレーアウト)し、CWドプラが実行不可能であることを示す。
これにより、ユーザは、状態表示アイコンの表示色、或いは点灯状態および点滅状態を視認することで、CWドプラの実行に関する状態を直感的に把握することができる。
なお、状態表示アイコンの近傍、或いは状態表示アイコン自体に、CWドプラの実行可能時間を表示させてもよい。
また、状態表示アイコンは、上記の例に限らない。例えば、状態表示アイコンは、残時間に対応したプログレスバーを表示させてもよい。即ち、状態表示アイコンは、実行可能時間に対応して表示形態を変化させてよい。
図6は、第1の実施形態において、ドプラモードを実行する超音波診断装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。図6のフローチャートは、例えば、操作者によって、メニュー画面からドプラモードが選択されることによって開始される。
(ステップST110)
ドプラモードの選択後に、さらに操作者によってCWドプラが選択されると、処理回路170は、CWドプラの実行指示を受け付ける。
(ステップST120)
CWドプラの実行指示を受け付けた後、処理回路170は、CWモードに関する制御信号を超音波プローブ20の処理回路230へと出力する。処理回路230は、制御信号が入力されると、モード切替機能230aを実行する。モード切替機能230aを実行すると、処理回路230は、ドプラモードをCWドプラに切り替える。
(ステップST130)
ドプラモードをCWドプラに切り替えた後、処理回路230は、CWモードに関する制御信号を送信電源回路241へと出力する。送信電源回路241は、制御信号が入力されると、充電式電池240aの駆動によりCWドプラを実行するための第2の電力をパルサ群212へと出力する。これにより、超音波プローブ20は、CWドプラを実行することができる。
(ステップST140)
CWドプラを実行中において、処理回路170は、CWドプラを継続可能か否かを判定する。CWドプラを継続可能である場合、処理はステップST150へと進み、CWドプラを継続可能でない場合、CWドプラを終了する。
(ステップST150)
CWドプラを継続して実行中において、処理回路170は、終了指示を受け付けたか否かを判定する。終了指示を受け付けていない場合、処理はステップST140へと戻り、終了指示を受け付けた場合、CWドプラを終了する。
図7は、第1の実施形態において、充電処理を実行する処理回路の動作の一例を説明するためのフローチャートである。図7の充電処理は、例えば、操作者によって、CWドプラの終了指示が選択されることによって開始される。
(ステップST210)
操作者によってCWドプラの終了指示が選択されると、処理回路170は、CWドプラの終了指示を受け付ける。
(ステップST220)
CWドプラの終了指示を受け付けた後、処理回路170は、充電可能である情報を表す充電制御信号を超音波プローブ20の処理回路230へと出力する。処理回路230は、充電制御信号が入力されると、充電制御回路321を制御し、プローブ側電源回路242の余剰電力を用いて充電式電池240aを充電させる。
(ステップST230)
充電中において、処理回路170は、充電が完了したか否かを判定する。充電が完了していない場合、処理はステップST220へと戻り、充電が完了した場合、処理は終了する。
以上説明したように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、充電式電池を有する超音波プローブと、超音波プローブが接続される装置本体と、超音波プローブに内蔵され、第1診断モードでは装置本体からの電力を選択し、第1診断モードとは異なる第2診断モードでは充電式電池からの電力を選択する選択部とを備える。これにより、ユーザは、例えばポータブル式の超音波診断装置において、消費電力の大きな診断モード(例えば、CWモード)を利用することが可能となる。よって、ユーザは、外部電源装置のないような限られた状況であっても、多様な種類の超音波診断を行うことができる。
また、上記選択部は電力の供給元を切り替えるスイッチであってもよく、本超音波診断装置は、上記スイッチを有し、第1診断モードでは装置本体からの電力を供給し、第2診断モードでは充電式電池からの電力を供給する電源回路を更に備えてもよい。また、本超音波診断装置は、上記電源回路および超音波プローブに内蔵される超音波送信回路を更に備えてもよい。この場合、電源回路は、電力を超音波送信回路へと供給する。
また、本超音波診断装置において、装置本体からの電力は、装置本体が有する内蔵電池からの電力でもよい。第2診断モードは、第1診断モードよりも消費電力が大きくてもよい。第2診断モードはCWドプラを実行するモードまたはSWEを実行するモードでもよい。
また、本超音波診断装置は、第2診断モードの実行に関する状態を表示する表示制御部を更に備えてもよい。この表示制御部は、上記状態として第2診断モードの実行可能時間に対応して変化してもよく、或いは、上記状態として第2診断モードの実行可能時間を表示してもよい。
(第2の実施形態)
第1の実施形態に係る超音波診断装置は、装置本体から供給される電力によって、超音波プローブの有する充電式電池を充電していた。他方、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、ワイヤレス給電装置によって、超音波プローブの有する充電式電池を充電する。
図8は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示す図である。例えば、図8に示すように、第2の実施形態に係る超音波診断装置1Aは、装置本体10と、超音波プローブ20Aとを有している。超音波プローブ20Aは、ワイヤレス給電装置5を用いてワイヤレス充電を行うことができる。
ワイヤレス給電装置5は、例えば、送電用コイルを有し、送電用コイルに電流を流すことにより磁界を発生させる。ワイヤレス給電装置5に対して受電用コイルを有するデバイスを近づけることにより、受電用コイルに誘導電流が発生し、デバイスの有する充電式電池に電力が充電される。ワイヤレス給電装置5は、例えば、超音波プローブ20Aを保持するためのプローブホルダに内蔵されてもよい。また、ワイヤレス給電装置5は、装置本体10に内蔵されてもよい。
超音波プローブ20Aは、超音波送受信回路210と、探触部220と、処理回路230と、電源回路240Aと、通信インタフェース250とを備える。更に、電源回路240Aは、充電式電池240aと、ワイヤレス受電回路240bとを備える。
ワイヤレス受電回路240bは、受電用コイルを有し、ワイヤレス給電装置5によって発生した磁界により受電用コイルに誘導電流を発生させ、電力を得る。ワイヤレス受電回路240bは、ワイヤレス給電装置5によって得た電力によって充電式電池240aを充電する。
図9は、第2の実施形態における超音波プローブの具体的な構成例を示す図である。例えば、図9に示すように、超音波プローブ20Aは、送信遅延回路211と、パルサ群212と、プリアンプ群213と、受信遅延加算回路214と、探触部220と、処理回路230と、送信電源回路241Aと、プローブ側電源回路242と、通信インタフェース250とを備える。更に、送信電源回路241Aは、充電式電池240aと、ワイヤレス受電回路240bとを備える。尚、送信電源回路241Aと、プローブ側電源回路242とは、電源回路240Aに相当する。
送信電源回路241Aは、プローブ側電源回路242から電力供給を受ける。送信電源回路241Aは、供給された電力に基づいて、パルサ群212を駆動するための第1の電力を生成する。また、送信電源回路241Aは、充電式電池240aから供給される電力に基づいて、パルサ群212を駆動するための第2の電力を生成する。
図10は、第2の実施形態における送信電源回路の具体的な構成例を示す図である。例えば、図10に示すように、送信電源回路241Aは、PW送信用電源回路310と、CW送信用電源回路320Aと、電源切替スイッチ330とを備える。CW送信用電源回路320Aは、充電式電池240aと、ワイヤレス受電回路240bと、充電制御回路321と、CW Vinレギュレータ322と、CW P_VTXレギュレータ323と、CW N_VTXレギュレータ324とを備える。
CW送信用電源回路320Aは、充電式電池240aから供給された電力に基づいて、CWドプラ用の第2の電力を生成する。
充電制御回路321は、充電式電池240aへの充電を制御する。充電制御回路321は、処理回路230から充電制御信号を入力し、ワイヤレス受電回路240bから電力供給を受ける。充電制御信号が充電可能である情報を表す場合、充電制御回路321は、供給された電力を充電式電池240aへと出力する。また、充電制御信号が充電可能ではない状態を表す場合、充電制御回路321は、ワイヤレス受電回路240bからの電力供給を停止する。
ワイヤレス受電回路240bは、充電制御回路321へと電力を供給する。ワイヤレス受電回路240bは、例えば、処理回路230から認証信号を入力した場合、ワイヤレス給電装置5を用いて電力を発生させる。
図11は、第2の実施形態において、ワイヤレス給電処理を実行する処理回路の動作の一例を説明するためのフローチャートである。図11のワイヤレス給電処理は、例えば、操作者によって、超音波プローブ20Aがワイヤレス給電装置5を内蔵したプローブホルダに載置することによって開始される。
(ステップST310)
ワイヤレス給電処理が開始すると、処理回路170は、ワイヤレス給電に関する認証処理を実行する。この認証処理は、例えば、充電する装置の検出、装置からの応答、および装置の認証などを含む。
(ステップST320)
認証処理が実行された後、処理回路170は、認証が完了したか否かを判定する。認証が完了していない場合、処理はステップST310へと戻り、認証が完了した場合、処理はステップST330へと進む。
(ステップST330)
認証が完了した後、処理回路170は、充電可能である情報を表す充電制御信号を超音波プローブ20Aの処理回路230へと出力する。処理回路230は、充電制御信号が入力されると、充電制御回路321を制御し、ワイヤレス給電により充電式電池240aを充電する。
(ステップST340)
充電中において、処理回路170は、充電が完了したか否かを判定する。充電が完了していない場合、処理はステップST330へと戻り、充電が完了した場合、処理は終了する。
以上説明したように、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブの有する充電式電池を、ワイヤレス給電によって充電することができる。ワイヤレス給電を利用して充電式電池を充電することにより、充電時間を短縮することができる。
(第2の実施形態の応用例)
本応用例に係る超音波診断装置は、装置本体から供給される電力およびワイヤレス給電装置を併用することによって、超音波プローブの有する充電式電池を充電する。
図12は、第2の実施形態の応用例における送信電源回路の具体的な構成例を示す図である。例えば、図12に示すように、送信電源回路241Bは、PW送信用電源回路310と、CW送信用電源回路320Bと、電源切替スイッチ330とを備える。CW送信用電源回路320Bは、充電式電池240aと、ワイヤレス受電回路240bと、充電制御回路321と、CW Vinレギュレータ322と、CW P_VTXレギュレータ323と、CW N_VTXレギュレータ324とを備える。
CW送信用電源回路320Bは、充電式電池240aから供給された電力に基づいて、CWドプラ用の第2の電力を生成する。
充電制御回路321は、充電式電池240aへの充電を制御する。充電制御回路321は、処理回路230から充電制御信号を入力し、プローブ側電源回路242またはワイヤレス受電回路240bから電力供給を受ける。充電制御信号が充電可能である情報を表す場合、充電制御回路321は、供給された電力を充電式電池240aへと出力する。また、充電制御信号が充電可能ではない状態を表す場合、充電制御回路321は、プローブ側電源回路242またはワイヤレス受電回路240bからの電力供給を停止する。
図13は、第2の実施形態の応用例において、マルチ充電処理を実行する処理回路の動作の一例を説明するためのフローチャートである。図13のマルチ充電処理は、例えば、操作者によって、CWドプラの終了指示が選択されることによって開始される。
(ステップST410)
操作者によってCWドプラの終了指示が選択されると、処理回路170は、CWドプラの終了指示を受け付ける。
(ステップST420)
CWドプラの終了指示を受け付けた後、処理回路170は、充電可能である情報を表す充電制御信号を超音波プローブ20の処理回路230へと出力する。処理回路230は、充電制御信号が入力されると、充電制御回路321を制御し、プローブ側電源回路242の余剰電力を用いて充電式電池240aを充電させる。
(ステップST430)
プローブ側電源回路242の余剰電力を用いた充電中において、処理回路170は、ワイヤレス給電を検知したか否か判定する。ワイヤレス給電を検知した場合とは、例えば、操作者によって、超音波プローブがワイヤレス給電装置5を内蔵したプローブホルダに載置された場合である。ワイヤレス給電を検知した場合、処理はステップST310へと進み、ワイヤレス給電を検知していない場合、処理はステップST440へと進む。
(ステップST440)
充電中において、処理回路170は、充電が完了したか否かを判定する。充電が完了していない場合、処理はステップST420へと戻り、充電が完了した場合、処理は終了する。
以上説明したように、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブの有する充電式電池を、装置本体からの余剰電力およびワイヤレス給電の少なくとも一方によって充電することができる。これにより、例えば、装置本体からの余剰電力を用いた充電による、超音波プローブに内蔵されているプローブ側電源回路の負荷を抑えるために、ワイヤレス給電を用いた充電を優先させることができる。また、ワイヤレス給電を行うまでの間は、装置本体からの余剰電力を用いた充電を行うことにより、ワイヤレス給電だけを用いて充電するよりも充電時間を短縮することができる。
(その他の実施形態)
上記の各実施形態および応用例では、消費電力の大きい動作モード(第2診断モード)としてCWドプラを実行するモードについて述べたがこれに限らない。例えば、消費電力の大きい動作モードは、Shear Wave Elastography(SWE)を実行するモード(SWEモード)であってもよい。SWEモードとは、生体に剪断波(Shear Wave)を発生させ、発生した剪断波の伝搬速度を計測することによって、組織の硬さ情報を取得できるモードである。第2診断モードとしてSWEモードを用いた場合であっても、上記各実施形態に記載の効果と同様の効果が見込める。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、限られた状況における超音波診断装置の利便性を向上することができる。
実施形態の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、上記各実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、上記各実施形態における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 超音波診断装置
10 装置本体
20,20A 超音波プローブ
212 パルサ群
213 プリアンプ群
240a 充電式電池
240b ワイヤレス受電回路
241,241A,241B 送信電源回路
310 PW送信用電源回路
320,320A,320B CW送信用電源回路
330 電源切替スイッチ

Claims (13)

  1. 電池を有する超音波プローブと、
    前記超音波プローブが接続される装置本体と、
    前記超音波プローブに内蔵され、第1診断モードでは前記装置本体からの電力を選択し、前記第1診断モードとは異なる第2診断モードでは前記電池からの電力を選択する選択部と
    を具備
    前記第2診断モードは、消費電力の大きい動作モードであり、
    前記第1診断モードは、前記第2診断モードよりも消費電力の小さい動作モードである、超音波診断装置。
  2. 前記選択部は電力の供給元を切り替えるスイッチであり、
    前記スイッチを有し、前記第1診断モードでは前記装置本体からの電力を供給し、前記第2診断モードでは前記電池からの電力を供給する電源回路
    を更に具備する、請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記超音波プローブに内蔵される超音波送信回路
    を更に具備し、
    前記電源回路は、前記第1診断モードでは前記装置本体からの電力を前記超音波送信回路へと供給し、前記第2診断モードでは前記電池からの電力を前記超音波送信回路へと供給する、
    請求項2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記装置本体からの電力は、前記装置本体が有する内蔵電池からの電力である、
    請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  5. 前記第2診断モードは、前記第1診断モードよりも消費電力が大きい、
    請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  6. 前記第2診断モードは、Continuous Waveドプラを実行するモードまたはShear Wave Elastographyを実行するモードである、
    請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  7. 前記第2診断モードの実行に関する状態を表示する表示制御部
    を更に具備する、
    請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  8. 前記表示制御部は、前記状態として前記第2診断モードの実行可能時間に対応して変化する、
    請求項7に記載の超音波診断装置。
  9. 前記表示制御部は、前記状態として前記第2診断モードの実行可能時間を表示する、
    請求項7に記載の超音波診断装置。
  10. 前記電池は、充電式電池である、
    請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  11. 前記充電式電池は、前記装置本体からの余剰電力およびワイヤレス給電の少なくとも一方によって充電される、
    請求項10に記載の超音波診断装置。
  12. 前記装置本体はポータブルである、
    請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
  13. 電池と、
    第1診断モードでは装置本体からの電力を選択し、前記第1診断モードとは異なる第2診断モードでは前記電池からの電力を選択する選択部と
    を具備
    前記第2診断モードは、消費電力の大きい動作モードであり、
    前記第1診断モードは、前記第2診断モードよりも消費電力の小さい動作モードである、超音波プローブ。
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