JP7365953B2 - 線路構造物の桁の交換方法及び該交換に用いられる台車 - Google Patents
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Description
この軌条を含む線路構造物としては、軌条と交差する方向に延在し且つ軌条と平行方向に複数連設された枕木と、上記平行方向に延在し且つ上記平行方向に複数連なるように基礎に固定された桁とを備え、該桁に締結された枕木上に軌条が固定されたものがある。
横桁11及び縦桁12は共にH型鋼で構成することができる。
横桁11は、軌条10と交差する方向、例えば軌条10と直交する方向に延在するものであり、軌条10と平行方向に沿って等間隔に複数連設されている。横桁11は、例えば、高さが300mm、奥行きが300mm、幅が2700mmであり、550mmピッチで設けられる。
縦桁12は、軌条10と平行方向に延在するものであり、軌条10と平行方向に沿って複数連設されている。また、縦桁12は、架台2の中央の凸部2aを間に挟む形態で対になるように設けられている。縦桁12は、例えば、高さが900mm、奥行きが300mm、厚みが上下端部のフランジ部で28mm、それ以外の部分で16mm、幅が8700mmである。
図3の台車20は、新しい縦桁12を交換位置まで搬入したり取り外された縦桁12を交換位置から搬出したりするために、縦桁12を搭載して軌条10上を移動するものであり、その全長は縦桁12より長く形成されている。本例では、台車20は第1の台車21と第2の台車22とに分割されている。台車20の使用状態において第1及び第2の台車21、22が軌条10と平行な方向に連なるように連結部材23により連結されて、台車20は構成される。このような構成とすることで台車20のスケールを小さくすることができ、台車20の保管場所を小さくすることができる。なお、連結部材23は例えば古い軌条である。連結部材23の一端を第1の台車21と、他端を第2の台車22と、それぞれクランプ(図5の符号50参照)等により互いに固定することで、第1の台車21と第2の台車22とを連結部材23により連結することができる。
第1の台車21は、図4及び図5に示すように、荷台21a、車輪21bと、巻き取り機21cと、支持部材21dと、フレーム21eと、ステージ21fと、ステップ21gと、を備える。
荷台21aは、その上面が、縦桁12が搭載される搭載面21a1,21a2を構成する。例えば、荷台21aの上面は、正面視における両端部すなわちフレーム21eより外側の部分がそれぞれ、上記搭載面21a1,21a2を構成する。また、搭載面21a1,21a2それぞれに、縦桁12を2つ同時に搭載することができる。本例では、後述するように、一方の搭載面21a1に縦桁12が搭載されているとき、他方の搭載面21a2には、カウンターウェイト(図10の符号60参照)が搭載される。
巻き取り機21cは、本発明に係る「吊り機構」の一例であり、取り替え対象の縦桁12や新しい縦桁12を吊り上げまたは吊り下げるためのものであり、例えば縦桁12に取付けたチェーンを巻き取ることで縦桁12を持ち上げることができる。
フレーム21eは、支持部材21dを支持するものであり、例えばH型鋼等からなり、その一端が荷台21aに固定され、他端に支持部材21dが固定されている。
ステージ21fは、作業員が作業するために搭乗するものであり、金属製の平板部材から成る。
ステップ21gは、ステージ21fへの搭乗を容易にすること等を目的としたものであり、金属製の平板部材等から成る。
線路構造物1の取り替え対象の縦桁12と横桁11は、図2に示すようにボルト51とナット52により締結されているので、本実施に係る交換方法では、まず、例えばボルト51とナット52を取り除き、または、ナット52を緩めて、上記締結を解除する。
次いで、取り替え対象の縦桁12の付近において、図6及び図7に示すように、架台2の凸部2aの上面と軌条10の下面との間にジャッキ53を配置する。軌条10と横桁11は固定されているため、ジャッキ53により軌条10を持ち上げることにより、横桁11を持ち上げることができ、横桁11を縦桁12から離間させることができる。ジャッキ53による持ち上げ量は例えば300mm~600mmである。
また、縦桁12は、架台2の基礎部2bに埋め込まれたアンカーボルト54とナット55により基礎部2bに固定されている。したがって、架台2の凸部2aを挟んで対向する1対の縦桁12のうちの一方の縦桁12であって取り替え対象の縦桁12を除去することできるように、図8に示すように、アンカーボルト54及びナット55による縦桁12と基礎部2bとの固定を解消する。
図9及び図10に示すように、新たな縦桁12を搭載した台車20を軌条10上で走行させ、ジャッキ53により持ち上げた部分に、すなわち、取り替え対象の縦桁12の上部に位置する軌条10上に台車20を移動する。新たな縦桁12の上部には、巻き取り機21cで吊り下げるための吊ピース58が予め取付けられている。以下の説明や図面では新たな縦桁12を縦桁12´と記載することがある。
台車20の移動の完了後、台車20の前後の軌条10上などに、台車20がずれないようにするためのストッパ56を取り付ける。
次いで、図11に示すように古い縦桁12に吊ピース58を取り付ける。そして、巻き取り機21cのチェーン57を吊ピース58に取付け、古い縦桁12を吊り上げ可能な状態とする。このまま吊り上げても、古い縦桁12と横桁11が衝突してしまうので、図12に示すように、古い縦桁12を吊って外側にずらす。その後、巻き取り機21cでの巻き上げ等を行う。これにより、古い縦桁12を台車20の荷台21aの搭載面21a1に搭載する。具体的には、古い縦桁12を、台車20の荷台21aの搭載面21a1における新しい縦桁12´より外側の位置すなわち軌条10より外側の位置に搭載する。
なお、この古桁搭載工程等において台車20が傾いて転倒することがないよう、本例では、古い縦桁12が搭載される搭載面21a1とは反対側の搭載面21a2にカウンターウェイト60を搭載している。これに代えて、荷台21aの古い縦桁12とは反対側の端部と、取り替え対象の縦桁12に対向する縦桁12とを、レバーブロック(登録商標)等を用いて固定することで、台車20の転倒を防ぐようにしてもよい。
次に、図13に示すように、巻き取り機21cのチェーン57の取り付け先を、交換対象の縦桁12の吊ピース58から新しい縦桁12の吊ピース58に変えて、新しい縦桁12を吊り上げ及び吊り下げ可能な状態とする。
続いて、図14に示すように、巻き取り機21cを用いて新しい縦桁12´を吊り上げたり吊り下げたり等することで、架台2の基礎部2b上における、取り替え対象の縦桁12が配設されていた位置の側方に、新しい縦桁12´を移動させる。その後、新しい縦桁12´を内側に移動させ、横桁11の下方に配設する。このようにして、取り替え対象の縦桁12が設置されていた位置に新しい縦桁12´を載置する。
そして、図15に示すように、交換対象の縦桁12すなわち古い縦桁12を、上記古桁搭載工程において搭載された位置から内側の位置、具体的には、新しい縦桁12が搭載されていた位置へ移動させる。
また、ストッパ56やチェーン57、新しい縦桁12´の吊ピース58を取り外し、古い縦桁12を搭載した台車20を軌条10上で走行させ、所定位置まで移動させ、古い縦桁12を搬出する。なお、台車20を走行させている間に、古い縦桁12が台車20から落下することがないよう古い縦桁12と台車20の荷台21aとをクランプなどにより固定してもよい。
また、新しい縦桁12の搬入の際や古い縦桁12の搬出の際は、台車20を人力で動かしてもよいが、牽引機能を有しモータやエンジンを備える車両を用いて動かしてもよい。
本例では、この桁搬出工程において新しい縦桁12の吊ピース58を取り外すこととしたが、この取外しのタイミングは、前述の桁載置工程以後であって離間解消工程以前であればよい。
固定工程では 図16に示すように、ボルト61とナット62を用いて新しい縦桁12を架台2の基礎部2bに固定する。
新しい縦桁12の基礎部2bへの固定後、ジャッキ53による軌条10の持ち上げを解消させ、図17に示すように、横桁11の新しい縦桁12からの離間を解消させる。
上記離間の解消後、ボルト51とナット52を用いて、新しい縦桁12と横桁11とを締結することで、図2と同様の状態となる。
縦桁12は、図7に示すように、該縦桁12の平板部分12aより内側の部分と外側部分の両方において、架台2の基礎部2bに埋め込まれたアンカーボルト54とナット55により基礎部2bに固定されている。この固定を解除するためにはアンカーボルト54とナット55に対する作業が必要であるが、平板部分12aより内側の部分のものについては縦桁12の平板部分12aが障害となる。そこで、図18(A)及び図18(B)に示すように、取り替え対象の縦桁12の平板部分12aの端部に開口12bを形成する。開口12bの形成は例えばガス切断により行うことができる。
開口12bの形成後、図19(A)及び図19(B)に示すように、内側と外側のアンカーボルト54を、取り替え対象の縦桁12の下側フランジ12cの上面12dで切断する。
古い縦桁12の取り外しに際し、図20(A)及び図20(B)に示すように、該縦桁12と架台2との間に油圧ジャッキ63を設置する。そして、アンカーボルト54が古い縦桁12から抜けるまで、すなわち、縦桁12の下側フランジ12cの下面が、アンカーボルト54の切断面より上に位置するまで、縦桁12を持ち上げる。
また、上述の6.新桁載置工程前には以下の基礎部除去工程、高ナット取付工程、ベースプレート設置工程が行われる。
図21(A)及び図21(B)に示すように、切断されたアンカーボルト54の周辺の基礎部2bを所定深さまで除去する。より具体的には、切断されたアンカーボルト54の周辺の不図示のベースプレート及びグラウトを撤去する。
基礎部2bを除去することによりさらに基礎部2bの外に露出したアンカーボルト54を、所定長さが露出するよう切断し、その後、図22(A)及び図22(B)に示すように高ナット64を切断後のアンカーボルト54に取付ける。
高ナット64の取り付け後、図23(A)及び図23(B)に示すように、新しい縦桁12を固定するための不図示の孔が形成されたベースプレート65を、該ベースプレート65の上面が架台2の基礎部2bの上面と一致するように設置する。ベースプレート65の高さは該ベースプレート65と架台2の間に挟むライナープレート66の厚さや枚数で調節することができる。
また、7.古桁搬出工程により、古い縦桁12を搬出する。
図25(A)及び図25(B)に示すように、新しい縦桁12の下側フランジ12cに形成されている孔と、ベースプレート65に形成されている孔を通して、高ナット64にボルト67を接続する。そして、ボルト67に装着したナット68を締め付けることで、ベースプレート65を用いて新しい縦桁12を仮固定する。
ベースプレート65と新しい縦桁12とを不図示の番線で固定しておき、図26(A)及び図26(B)に示すように、新しい縦桁12と架台2との間に油圧ジャッキ69を設け、油圧ジャッキ69により縦桁12をわずかに持ち上げ、ライナープレート66を除去する。そして、グラウト打設箇所の型枠70を組み立てる。
型枠70の組み立て後、図27(A)及び図27(B)に示すように、速硬性のグラウト71をベースプレート65上面まで打設する。
グラウト71の養生後、油圧ジャッキ69を取り除き、型枠70を外し、図28(A)及び図28(B)に示すような状態とし、ボルト67すなわちナット68の増し締めを行う。そして、新しい縦桁12の開口12bの閉塞処理を行う。
このように仮固定工程を設けることにより、操業に影響を与えることなく縦桁12の交換を行うことができる。
図29の線路構造物1は、橋脚3に支持されるものであり、縦桁12が、別の構造体としての橋脚3に固定されている。この場合も、縦桁12の搬出/搬入の際は、軌条10と橋脚3との間に設けたジャッキ80等により、横桁11と固定された軌条10を支持しておくことで、取り替え対象の縦桁12の位置の上方まで図3と同様の台車20を走行させることができる。したがって、この例においても、線路構造物1の側方にスペースがなくとも縦桁12の交換を容易に行うことができる。
2…架台
2b…基礎部
3…橋脚
10…軌条
11…横桁
12…縦桁
12b…開口
20…台車
21a…荷台
21a1,21a2…搭載面
21b…車輪
21c…巻き取り機
53…ジャッキ
54…アンカーボルト
60…カウンターウェイト
Claims (5)
- 軌条と、該軌条と交差する方向に延在し且つ前記軌条と平行方向に複数連設された枕木と、前記平行方向に延在し且つ別の構造体に固定され前記平行方向に複数連設された桁とを備え、前記桁に締結された前記枕木上に前記軌条が固定された線路構造物における桁の交換方法であって、
交換対象の前記桁と前記枕木との締結を解除する解除工程と、
前記交換対象の桁の前記別の構造体に対する固定を解消する固定解消工程と、
新たな桁を搭載した台車を、前記交換対象の桁の上部に移動させる新桁搬入工程と、
前記台車に設けられた吊り機構を用いて、前記交換対象の桁を吊り上げ、前記新たな桁を搭載した当該台車上に搭載する古桁搭載工程と、
前記台車に設けられた吊り機構を用いて、前記新たな桁を吊り下げ、前記交換対象の桁が設置されていた位置に載置する新桁載置工程と、
前記交換対象の桁が搭載された前記台車を所定の場所まで移動させる古桁搬出工程と、
前記新たな桁を前記別の構造体に固定する固定工程と、
前記新たな桁と前記枕木とを締結する締結工程と、を含むことを特徴とする線路構造物における桁の交換方法。 - 前記古桁搭載工程では、前記台車における前記軌条より外側の部分に、前記交換対象の桁を搭載することを特徴とする請求項1に記載の線路構造物における桁の交換方法。
- 前記台車は、前記古桁搭載工程において前記交換対象の桁が前記台車に搭載されたときに当該台車が転倒することを防ぐカウンターウェイトが搭載されていることを特徴とする請求項2に記載の線路構造物における桁の交換方法。
- 前記新桁載置工程以後に、前記交換対象の桁を、前記古桁搭載工程において搭載された位置から内側の位置へ移動させる位置調整工程をさらに含むことを特徴とする請求項2または3に記載の線路構造物における桁の交換方法。
- 線路構造物の桁の交換に用いられる台車であって、
前記線路構造物は、軌条が、該軌条と交差する方向に延在し且つ前記軌条と平行方向に複数連接された枕木に固定され、該枕木が、前記平行方向に延在し且つ前記平行方向に複数連接されている桁上に締結され、
前記軌条上を走行するための車輪と、
前記桁を吊り上げ及び吊り下げるための吊り機構と、
交換対象の前記桁と新たな桁とを同時に搭載可能な搭載面を有する荷台と、を備えることを特徴とする台車。
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