JP7364868B2 - 屋根の応急養生シート及び応急養生方法 - Google Patents
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Description
屋根の破損箇所に被せて使用される応急養生シートにおいて、
使用時に傾斜低側となる所定幅の縁部が上に折り返されて折り返し部となり、該折り返し部とその下のシート下部とで、開口を有する断面U字状のポケット部が形成され、開口よりも上方から延びて折り返し部の上部に被さり、通常は開口を覆い、めくり上げると開口を露出させるフラップ部を備え、フラップ部をめくり上げ、開口からポケット部に重しを入れることができることを特徴とする屋根の応急養生シート。雨水がポケット部に入ることを、フラップ部が防止する。
シートの使用時に傾斜低側となる所定幅の縁部が上に折り返されて折り返し部となり、該折り返し部とその下のシート下部とで、開口を有する断面U字状のポケット部が形成され、開口からポケット部に重しを入れることができ、
折り返し部の横端部の少なくとも一部を、シート下部の横端部に対して、着脱不能又は着脱可能に止める横止め部を有し、折り返し部の横端部の下部とシート下部の横端部の下部との間に、支え棒をポケット部に入れるための挿入穴が形成されていることが好ましい。後述する作用効果を奏する支え棒を、挿入穴からポケット内に容易に挿入できるからである。
シート(1)の使用時に傾斜低側となる所定幅の縁部が上に折り返されて折り返し部となり、該折り返し部とその下のシート下部とで、開口を有する断面U字状のポケット部が形成され、開口よりも上方から延びて折り返し部の上部に被さり、通常は開口を覆い、めくり上げると開口を露出させるフラップ部を備えた応急養生シートを、屋根の破損箇所に被せ、
フラップ部をめくり上げ、開口からポケット部に重しを入れることを特徴とする屋根の応急養生方法。
・雨水がポケット部に入らないため、重しのバランスが崩れない。
・水入り袋に太陽光が当たらないため、袋の劣化や、水入り袋のレンズ効果による集光火災を防止できる。
シートの材料としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、塩化ビニル、ポリエステル等を例示できる。好ましくは、紫外線に強く耐候性が高いポリエチレンであり、補強糸(ポリエチレン糸、アラミド糸)を含むことで強度が高められたポリエチレンがより好ましい。
また、シートは、紫外線吸収剤などの添加剤を含むことにより、さらに耐候性が高められたものが好ましい。
瓦屋根の棟部及びその両側の傾斜面に被せて使用されるシートの場合、長さは1.5~10mが好ましく、2~6mがより好ましい。また、幅は0.8~2mが好ましく、1~1.5mがより好ましい。幅が小さすぎると高い棟部に被せられなくなる。幅が大きすぎると風の影響を受けやすい。
シートの密度は、特に限定されないが、♯1200~♯5000(数値は、3.6×5.4mの規格サイズにおけるおよその重量)が好ましく、♯2000~♯3000がより好ましい。番手(♯厚み)が小さすぎると、耐久期間が短く、交換頻度が上がり、養生部材として好ましくない。番手(♯厚み)が大きすぎると、製品のコスト上がり、耐久期間がそこまで必要ない場合オーバースペックとなる。
折り返し部の折り返し幅で決まるポケット部の深さは、特に限定されないが、150~450mmが好ましく、200~300mmがより好ましい。ポケット部の深さが小さすぎると十分な大きさ・量の重しを入れられなくなる。ポケット部の深さが大きすぎると、ポケット部内で重しが安定しにくくなり、大きな水入り袋が必要になり、シート材料が過剰に必要になる。
着脱不能に止める開口止め部としては、縫製、熱溶着等を例示できる。
着脱可能に止める開口止め部としては、面ファスナー、ボタン掛け(衣服のように)、ボタンに紐掛け(玉付封筒のように)、クリップ(上下のシートを挟み固定)、ピン・安全ピン、結束バンド等を例示できる。
着脱不能に止める横止め部としては、縫製、熱溶着等を例示できる。
着脱可能に止める横止め部としては、面ファスナー、ボタン掛け(衣服のように)、ボタンに紐掛け(玉付封筒のように)、クリップ(上下のシートを挟み固定)、ピン・安全ピン、結束バンド等を例示できる。
フラップ部と、折り返し部の上部との重なり幅は、特に限定されないが、10~200mmが好ましく、20~100mmがより好ましい。重なり幅が小さすぎるとポケット部の口が開いてしまい、雨水や太陽光が入る。重ね寸法が大きすぎても風でバタツキが起こる可能性がある。
重しとしては、特に限定されないが、前述した水入り袋、瓦片のほか、葺き土(棟土)、砂利、その他敷地内で容易に入手できるものを例示できる。
支え棒としては、特に限定されないが、木材、人工木材(樹脂製部材)、パイプ、アングル等を例示できる。
長手方向両端にもポケット部を設けることができる。シートの流れ方向の中央でも重しを設置でき、シート内への風雨の浸入を抑えられる。
短手方向に一定ピッチ(例えば1m毎等)で縫製することもできる。屋根長さに応じて必要分だけカットでき、端材側も別で使いまわせる。シートのカット面の隙間から風雨等が浸入しにくい。例として、縫製は1箇所当たり2列とし、縫製された列間をカットすることで、カット後も双方が通常品の両端と同様に使用できる。
瓦屋根の多くは、棟部A(大棟、隅棟)と、棟部Aから見て両側の平部B(傾斜した桟瓦)とを含み構成される。
図1及び図2に示す実施例1の応急養生シート1は、幅1000mm、長さ5000mmの長方形であり、幅方向の中央部を棟部Aに被せ、幅方向の両端部を平部B(棟際の桟瓦)に被せて使用されるものである。以下、応急養生シート1の幅方向の一端を「一縦端」、幅方向の他端を「他縦端」、長さ方向の一端を「一横端」、長さ方向の他端を「他横端」という。
この応急養生シート1は、ポリエチレン製の長方形の第1シート2と第2シート12から製造されたものである。
第1シート2は、次に述べるポケット部5を形成する前は、図2に2点鎖線で示すように、幅1550mm、長さ5000mmの長方形である。四辺縁は、切放しでもよいが、本実施例では縁強度を高めるために小幅分が二重に折り重ねられている(その結果として同寸法とされている)。
本実施例のポケット部5は、長さ方向に連続している。
第2シート12は幅560mm、長さ5000mmの長方形であり、四辺縁は、切放しでもよいが、本実施例では縁強度を高めるために小幅部が二重に折り重ねられている(その結果として同寸法とされている)。
第2シート12は第1シート2の幅方向中央部に重ねられ、幅方向両縁から内側へ75mmの箇所が、第1シート2に対して長さ方向に縫われたフラップ縫製部13で止められている。その結果、第2シート12の幅75mmの両縁部は、開口6の20mm上から延びて、折り返し部3の上に被さり幅55mmで被さるフラップ部14となっている。従って、フラップ部14は、通常は開口6を覆い、めくり上げると開口6を露出させる。
第1シート2の一縦端部と他縦端部(ポケット部5の外端付近)の横ピッチ900mmの複数箇所に、ハトメ金具16が取り付けられている。
また、第1シート2及び第2シート12の縦ピッチ250~270mmの複数箇所にも、ハトメ金具16が取り付けられている。
図3に示す実施例2の応急養生シート1は、次の点において実施例1と相違し、その他は実施例1と共通である。
・ポケット部5は、横ピッチ1000mmの複数箇所で折り返し部3がシート下部4に対してポケット途中縫製部17で止められたことにより、長さ方向に区分けされている。
・開口止め部7の横ピッチが500mmである。
・一縦端部と他縦端部のハトメ金具16の横ピッチが500mmである。
(ア)図4、図5(a)、図6(a)に示すように、瓦屋根の破損した棟部Aとその両側の平部Bに応急養生シート1を被せる。
・ポケット部5に袋21を入れる作業を、開口6から容易に行うことができる。
・作業者は、ホースを延ばして水を入れるという軽作業で済み、重しを屋根に上げるという重労働が不要又は削減できる。
・迅速に作業することができる。
・水入り袋20の重しは、瓦の形状にフィットし、シートに風が入り難いため、少量で重石効果がある。
・重しはポケット部5内にあって外部からは見えないので、視覚的にスッキリする。
・シートに直接水を貯めないので製造が容易であり、水入り袋をシートが保護するので水漏れが起きにくい。
・応急養生シート1を撤去する際、水は廃棄が簡単である。
・ポケット部5に瓦片24を入れる作業を、開口6から容易に行うことができる。
・屋根の上にある瓦片24を利用することができるので、重しを屋根に上げるという重労働が不要又は削減できる。
・重しはポケット部5内にあって外部からは見えないので、視覚的にスッキリする。
・瓦片24は、主たる重しとして使用できるほか、補助的な重しとしても使用できる。例えば、主たる重しとして土嚢をポケット部5の上に載せる際に、ポケット部5内に補助的な重しとして瓦片24があれば、土嚢を載せる作業がし易い。
・支え棒25をポケット部5に入れておくと、応急養生シート1を棟部Aに被せたり重しを入れたりする最中に、応急養生シート1が風でバタつくのを抑制できる。
・ポケット部5の下部の支え棒25が、上記の水入り袋20や瓦片24を下から支えて安定させる。
・上記の水入り袋20や瓦片24を入れない場合、土嚢をポケット部5の上に載せることになるが、ポケット部5の下部の支え棒25が、土嚢を下から支えて安定させる。
・雨水がポケット部5に入らないため、重しのバランスが崩れない。
・水入り袋20に太陽光が当たらないため、袋の劣化や、水入り袋20のレンズ効果による集光火災を防止できる。
2 第1シート
3 折り返し部
4 シート下部
5 ポケット部
6 開口
7 開口止め部
8 横止め部
9 挿入穴
12 第2シート
13 フラップ縫製部
14 フラップ部
16 ハトメ金具
17 ポケット途中縫製部
20 水入り袋
21 袋
22 水
24 瓦片
25 支え棒
Claims (12)
- 屋根の破損箇所に被せて使用される応急養生シート(1)において、
シート(1)の使用時に傾斜低側となる所定幅の縁部が上に折り返されて折り返し部(3)となり、該折り返し部(3)とその下のシート下部(4)とで、開口(6)を有する断面U字状のポケット部(5)が形成され、開口(6)よりも上方から延びて折り返し部(5)の上部に被さり、通常は開口(6)を覆い、めくり上げると開口(6)を露出させるフラップ部(14)を備え、フラップ部(14)をめくり上げ、開口(6)からポケット部(5)に重し(20,24)を入れることができることを特徴とする屋根の応急養生シート。 - ポケット部(5)は、所定横ピッチの複数箇所で折り返し部(3)がシート下部(4)に対してポケット途中縫製部(17)で止められたことにより、長さ方向に区分けされている請求項1記載の屋根の応急養生シート。
- 折り返し部(3)の先端部の所定横ピッチの複数箇所を、シート下部(4)に対して、着脱不能又は着脱可能に止める開口止め部(7)を有する請求項1又は2記載の屋根の応急養生シート。
- 折り返し部(3)の横端部の少なくとも一部を、シート下部(4)の横端部に対して、着脱不能又は着脱可能に止める横止め部(8)を有する請求項1、2又は3記載の屋根の応急養生シート。
- 屋根の破損箇所に被せて使用される応急養生シート(1)において、
シート(1)の使用時に傾斜低側となる所定幅の縁部が上に折り返されて折り返し部(3)となり、該折り返し部(3)とその下のシート下部(4)とで、開口(6)を有する断面U字状のポケット部(5)が形成され、開口(6)からポケット部(5)に重し(20,24)を入れることができ、
折り返し部(3)の横端部の少なくとも一部を、シート下部(4)の横端部に対して、着脱不能又は着脱可能に止める横止め部(8)を有し、
折り返し部(3)の横端部の下部とシート下部(4)の横端部の下部との間に、支え棒(25)をポケット部(5)に入れるための挿入穴(9)が形成されていることを特徴とする屋根の応急養生シート。 - 重しは、水入り袋(20)または瓦片(24)である請求項1~5のいずれか一項に記載の屋根の応急養生シート。
- シート(1)の端部に所定ピッチで複数のハトメ金具(16)が取り付けられている請求項1~6のいずれか一項に記載の屋根の応急養生シート。
- 応急養生シート(1)は、瓦屋根の棟部(A)及びその両側の平部(B)に被せて使用されるものであって、シート(1)の幅方向の両端部にポケット部(5)が形成されている請求項1~7のいずれか一項に記載の屋根の応急養生シート。
- シート(1)の使用時に傾斜低側となる所定幅の縁部が上に折り返されて折り返し部(3)となり、該折り返し部(3)とその下のシート下部(4)とで、開口(6)を有する断面U字状のポケット部(5)が形成され、開口(6)よりも上方から延びて折り返し部(5)の上部に被さり、通常は開口(6)を覆い、めくり上げると開口(6)を露出させるフラップ部(14)を備えた応急養生シート(1)を、屋根の破損箇所に被せ、
フラップ部(14)をめくり上げ、開口(6)からポケット部(5)に重し(20,24)を入れることを特徴とする屋根の応急養生方法。 - シート(1)の端部に所定ピッチで複数のハトメ金具(16)が取り付けられていて、ハトメ金具(16)に紐を通して、土嚢を連結し又は建物躯体に連結する請求項9記載の屋根の応急養生方法。
- 地上から屋根の上まで延ばしたホースから袋(21)に水(22)を入れ、該袋(21)を封止して水入り袋(20)とし、該水入り袋(20)を重しとして用いる請求項9又は10記載の屋根の応急養生方法。
- 屋根の上にある瓦片(24)を重しとして用いる請求項9又は10記載の屋根の応急養生方法。
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