(実施の形態)
まず、図1と図2とを参照して、本発明の実施の形態に係るインクジェット印刷装置100の構成について説明する。図1は、インクジェット印刷装置100の外観図である。図1において、Z軸は鉛直方向に延びる軸であり、X軸はZ軸と直交する軸であり、Y軸はX軸とZ軸とに直交する軸である。本実施の形態では、X軸方向が主走査方向であり、Y軸方向が副走査方向である。以下、適宜、X軸の正の方向のことを右、X軸の負の方向のことを左、Y軸の正の方向のことを奥、Y軸の負の方向のことを手前、Z軸の正の方向のことを上、Z軸の負の方向のことを下と呼ぶ。
図2は、インクジェット印刷装置100が備えるプリンタ本体101の構成を示すブロック図である。インクジェット印刷装置100は、インクジェット方式によりメディア200に画像を印刷する装置である。メディア200は、紙、布帛等のシート状の部材である。図1に示すように、インクジェット印刷装置100は、プリンタ本体101と、架台102とを備える。
プリンタ本体101は、メディア200に画像を印刷する機能を有する。プリンタ本体101は、架台102により支持される。プリンタ本体101は、メディア200を支持するプラテン103を備える。また、図2に示すように、プリンタ本体101は、コントローラ110と、インクジェットヘッド120と、圧力調整機構130と、加温機構140と、ヘッド移動機構150と、送り機構160と、メンテナンス機構170と、入出力部180とを備える。
コントローラ110は、プリンタ本体101の全体の動作を制御する。コントローラ110は、各種のプログラムを実行するプロセッサと、各種のプログラムを記憶する記憶装置とを備える。プロセッサは、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、RTC(Real Time Clock)等を内蔵したCPU(Central Processing Unit)である。記憶装置は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等である。
コントローラ110は、機能的には、印刷実行部111と、加温実行部112と、メンテナンス実行部113と、記憶部114とを備える。印刷実行部111、加温実行部112及びメンテナンス実行部113の機能は、例えば、プロセッサが記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。記憶部114の機能は、例えば、記憶装置の機能により実現される。記憶部114は、印刷実行部111、加温実行部112及びメンテナンス実行部113が実行するプログラム及びデータを記憶する。
印刷実行部111は、外部の装置から供給された画像データに基づく画像をメディア200に印刷する。具体的には、印刷実行部111は、ヘッド移動機構150を駆動してインクジェットヘッド120を主走査方向に移動させながら、画像データに基づくタイミングでインクジェットヘッド120からインクを吐出させることにより、1ライン分の印刷を実行する。その後、印刷実行部111は、送り機構160を駆動してメディア200を副走査方向に予め定められた距離分移動させる。印刷実行部111は、1ライン分の印刷とメディア200の移動とを繰り返すことにより、画像データに基づく画像をメディア200に印刷する。
加温実行部112は、加温機構140によるインクの加温を実行する。具体的には、加温実行部112は、加温機構140からインクジェットヘッド120に供給されるインクの温度が印刷に適した温度になるように、加温機構140が備えるヒータ70を用いて加温機構140が備える流路形成構造体10を加熱する。
メンテナンス実行部113は、インクジェットヘッド120の保管とインクジェットヘッド120のクリーニングとを含むメンテナンスを実行する。メンテナンス実行部113は、ヘッド移動機構150とメンテナンス機構170とを制御して、インクジェットヘッド120が備えるノズルを保管する。具体的には、メンテナンス実行部113は、インクジェットヘッド120の保管時には、ヘッド移動機構150を駆動して、インクジェットヘッド120をメンテナンス位置に移動させる。その後、メンテナンス実行部113は、ヘッドキャップ移動機構172を駆動してヘッドキャップ171をインクジェットヘッド120のノズル面に押しつける。そして、メンテナンス実行部113は、吸引装置173にヘッドキャップ171の内部の空気を吸引させ、ヘッドキャップ171の内部の気圧を外気圧よりも少し低くする。
また、メンテナンス実行部113は、インクジェットヘッド120のクリーニング時には、ヘッド移動機構150を駆動して、インクジェットヘッド120をメンテナンス位置に移動させる。その後、メンテナンス実行部113は、ヘッドキャップ移動機構172を駆動してヘッドキャップ171をインクジェットヘッド120のノズル面に押しつける。そして、メンテナンス実行部113は、吸引装置173にヘッドキャップ171の内部の空気を吸引させ、ヘッドキャップ171の内部の気圧を外気圧よりも大幅に低くする。そして、メンテナンス実行部113は、インクジェットヘッド120のノズル内のインクを吸い出す。
インクジェットヘッド120は、コントローラ110による制御に従って、加温機構140から供給された印刷用のインクをメディア200に吐出する。インクジェットヘッド120は、例えば、ピエゾ方式、サーマルヘッド方式等のインクジェット方式によりインクを吐出する。印刷用のインクは、例えば、紫外線硬化型のインクであり、CMYKのそれぞれのインクである。Cはシアン(Cyan)を表し、Mはマゼンダ(Magenta)を表し、Yはイエロー(Yellow)を表し、Kはキー・プレート(Key plate)を表す。
圧力調整機構130は、インクジェットヘッド120に供給されるインクの圧力を調整する。インクジェット印刷装置100が備えるインク供給系は、インクタンクと、圧力調整機構130と、加温機構140と、インクジェットヘッド120とを備える。つまり、インクは、インクタンク、圧力調整機構130、加温機構140、インクジェットヘッド120という経路を辿って流れる。圧力調整機構130は、インクタンクから供給され、加温機構140を介してインクジェットヘッド120に供給されるインクの圧力を調整する。
圧力調整機構130は、例えば、インク供給路に接するように配置される薄膜と薄膜を付勢するバネとを備え、インクジェットヘッド120に供給されるインクの圧力を機械的に調整する。例えば、圧力調整機構130は、インクジェットヘッド120の内部に形成されるインク室内に負圧が発生するように、インクの圧力を調整する。なお、インク室内に負圧を発生させることは、インク室内の気圧を大気圧よりも低くすることを意味する。圧力調整機構130は、負圧発生装置の一例である。
加温機構140は、インクジェットヘッド120に供給されるインクを加温し、このインクの粘度を低下させる。加温機構140は、流路形成構造体10と、ヒータ70とを備える。流路形成構造体10は、インクが流れるインク供給路が内部に形成された構造体である。流路形成構造体10の外部形状は、略直方体である。流路形成構造体10は、ヒータ70により加熱され、インク供給路に流れるインクを加温する。
ヒータ70は、流路形成構造体10を加熱する。ヒータ70は、例えば、導電パターンと、導電パターンを両面から挟む2枚の絶縁シートとを備え、シート状に形成される。ヒータ70は、例えば、2箇所で折り曲げられ、略直方体の流路形成構造体10が備える3つの側面に跨がって貼り付けられる。ヒータ70は、加温実行部112による制御に従って、流路形成構造体10を側面から加熱する。
ヘッド移動機構150は、コントローラ110による制御に従って、インクジェットヘッド120と圧力調整機構130と加温機構140とを主走査方向に沿って移動させる機構である。ヘッド移動機構150は、例えば、キャリッジと、ガイドレールと、駆動ベルトと、駆動プーリと、従動プーリと、駆動モータとを備える。キャリッジには、インクジェットヘッド120と圧力調整機構130と加温機構140とが搭載される。ガイドレールは、キャリッジの主走査方向への移動を案内する。駆動ベルトは、キャリッジに固定される。駆動プーリと従動プーリとには駆動ベルトが掛け回される。駆動モータは、駆動プーリを介して駆動ベルトを回転させ、キャリッジを主走査方向に移動させる。
送り機構160は、コントローラ110による制御に従って、メディア200を副走査方向に沿って移動させる機構である。送り機構160は、例えば、駆動モータと、駆動ローラと、複数のピンチローラとを備える。駆動ローラと複数のピンチローラとにより挟まれたメディア200は、駆動ローラの回転により、副走査方向に沿って移動する。
メンテナンス機構170は、コントローラ110による制御に従って、インクジェットヘッド120をメンテナンスする。このメンテナンスには、インクジェットヘッド120が備えるノズルの保管と、定期的に実行されるノズルのクリーニングとが含まれる。メンテナンス機構170は、ヘッドキャップ171と、ヘッドキャップ移動機構172と、吸引装置173とを備える。メンテナンス機構170は、プリンタ本体101内における主走査方向の一端に配置される。
ヘッドキャップ171は、インクジェットヘッド120が備えるノズルを機密的に覆う部材である。ヘッドキャップ171は、上部に開孔部を備え、下部に開孔部と連通する排出口を備える。ヘッドキャップ171の上部がノズル面に当接すると、ノズルがヘッドキャップ171により機密的に覆われる。この状態で、吸引装置173が排出口を介してヘッドキャップ171内の空気又はインクを吸引すると、ヘッドキャップ171内に負圧が発生する。なお、ヘッドキャップ171内に負圧が発生することは、ヘッドキャップ171内の気圧又はインク圧が大気圧よりも低い気圧になることを意味する。
ヘッドキャップ移動機構172は、コントローラ110による制御に従って、ヘッドキャップ171を移動させる。ヘッドキャップ移動機構172は、インクジェットヘッド120がメンテナンス位置にあるときに、ヘッドキャップ171をインクジェットヘッド120と接する位置とインクジェットヘッド120と接しない位置との間で移動させる。ヘッドキャップ移動機構172は、例えば、ヘッドキャップ171をインクジェットヘッド120と近づく方向及び離れる方向に移動させるアクチュエータを備える。
吸引装置173は、コントローラ110による制御に従って、ヘッドキャップ171内の空気又はインクを吸引する。つまり、吸引装置173は、ヘッドキャップ171が備える排出口を介してヘッドキャップ171内に負圧を発生させる。なお、吸引装置173は、ヘッドキャップ171の保管時には、インクジェットヘッド120が備えるノズル内のインクが抜き取られない程度の負圧をヘッドキャップ171内に発生させる。一方、吸引装置173は、ヘッドキャップ171のクリーニング時には、インクジェットヘッド120が備えるノズル内のインクが抜き取られる程度の負圧をヘッドキャップ171内に発生させる。つまり、吸引装置173は、ヘッドキャップ171のクリーニング時は、ヘッドキャップ171の保管時に比べて、ヘッドキャップ171内の気圧をより低くする。吸引装置173は、負圧発生装置の一例である。
入出力部180は、インクジェット印刷装置100のユーザインターフェースである。入出力部180は、コントローラ110から供給された画像データに従った画像を表示する。また、入出力部180は、ユーザから操作入力を受け付け、操作入力に応じた制御信号をコントローラ110に供給する。入出力部180は、例えば、タッチスクリーンである。
次に、図3と図4と図5と図6とを参照して、流路形成構造体10の構成について説明する。図3は、流路形成構造体10が備えるブロック部材20の斜視図である。なお、流路形成構造体10は、シート状部材30とカバー部材40とを備える封止部材60をブロック部材20に取り付けることにより形成される。図4は、ブロック部材20が備えるインク供給路27の説明図である。図5は、流路形成構造体10におけるカバー取り付け部分の分解斜視図である。図6において、破線10Aで囲まれた部分がカバー取り付け部分である。図6は、図4に示すA-A線における流路形成構造体の断面図である。
図3に示すように、ブロック部材20は、ブロック状に形成された略直方体の部材である。ブロック部材20は、例えば、金型を用いた樹脂成形とドリル加工とにより形成される。図4に示すように、ブロック部材20は、インク供給路27Aとインク供給路27Bとインク供給路27Cとインク供給路27Dとを備える。以下、適宜、インク供給路27Aとインク供給路27Bとインク供給路27Cとインク供給路27Dとを総称して、インク供給路27と呼ぶ。インク供給路27は、ブロック部材20内に形成される、インクが流れる流路である。4本のインク供給路27のうち1本のインク供給路27が、第1インク供給路の一例である。また、4本のインク供給路27のうち第1インク供給路以外のインク供給路27が、第2インク供給路の一例である。
インク供給路27Aは、直線流路部27AAと、直線流路部27ABと、直線流路部27ACと、直線流路部27ADとを備える。直線流路部27AAは、Z軸方向に直線状に延びる流路部分であり、流入口27AEを備える。直線流路部27ABは、Y軸方向に直線状に延びる流路部分であり、直線流路部27AAと直線流路部27ACとに接続される。直線流路部27ACは、X軸方向に直線状に延びる流路部分であり、直線流路部27ABと直線流路部27ADとに接続され、開口部21Aを備える。直線流路部27ADは、Z軸方向に直線状に延びる流路部分であり、直線流路部27ACに接続され、排出口27AFを備える。
インク供給路27Bは、直線流路部27BAと、直線流路部27BBと、直線流路部27BCとを備える。直線流路部27BAは、Z軸方向に直線状に延びる流路部分であり、流入口27BEを備える。直線流路部27BBは、Y軸方向に直線状に延びる流路部分であり、直線流路部27BAと直線流路部27BCとに接続され、開口部21Bを備える。直線流路部27BCは、Z軸方向に直線状に延びる流路部分であり、直線流路部27BCに接続され、排出口27BFを備える。
インク供給路27Cは、直線流路部27CAと、直線流路部27CBと、直線流路部27CCと、直線流路部27CDとを備える。直線流路部27CAは、Z軸方向に直線状に延びる流路部分であり、流入口27CEを備える。直線流路部27CBは、Y軸方向に直線状に延びる流路部分であり、直線流路部27CAと直線流路部27CCとに接続される。直線流路部27CCは、X軸方向に直線状に延びる流路部分であり、直線流路部27CBと直線流路部27CDとに接続され、開口部21Cを備える。直線流路部27CDは、Z軸方向に直線状に延びる流路部分であり、直線流路部27CCに接続され、排出口27CFを備える。
インク供給路27Dは、直線流路部27DAと、直線流路部27DBと、直線流路部27DCとを備える。直線流路部27DAは、Z軸方向に直線状に延びる流路部分であり、流入口27DEを備える。直線流路部27DBは、Y軸方向に直線状に延びる流路部分であり、直線流路部27DAと直線流路部27DCとに接続され、開口部21Dを備える。直線流路部27DCは、Z軸方向に直線状に延びる流路部分であり、直線流路部27DCに接続され、排出口27DFを備える。
直線流路部27AAのX軸方向の座標と、直線流路部27ABのX軸方向の座標と、直線流路部27BAのX軸方向の座標と、直線流路部27BBのX軸方向の座標と、直線流路部27BCのX軸方向の座標とは、ほぼ同じである。直線流路部27CAのX軸方向の座標と、直線流路部27CBのX軸方向の座標と、直線流路部27DAのX軸方向の座標と、直線流路部27DBのX軸方向の座標と、直線流路部27DCのX軸方向の座標とは、ほぼ同じである。
直線流路部27AAのY軸方向の座標と、直線流路部27CAのY軸方向の座標とは、ほぼ同じである。直線流路部27ACのY軸方向の座標と、直線流路部27ADのY軸方向の座標と、直線流路部27BCのY軸方向の座標と、直線流路部27CCのY軸方向の座標と、直線流路部27CDのY軸方向の座標と、直線流路部27DCのY軸方向の座標とは、ほぼ同じである。直線流路部27BAのY軸方向の座標と、直線流路部27DAのY軸方向の座標とは、ほぼ同じである。
直線流路部27ABのZ軸方向の座標と、直線流路部27ACのZ軸方向の座標と、直線流路部27CBのZ軸方向の座標と、直線流路部27CCのZ軸方向の座標とは、ほぼ同じである。直線流路部27BBのZ軸方向の座標と、直線流路部27DBのZ軸方向の座標とは、ほぼ同じである。
以下、適宜、開口部21Aと開口部21Bと開口部21Cと開口部21Dとを総称して、開口部21と呼ぶ。また、適宜、流入口27AEと流入口27BEと流入口27CEとを総称して、流入口27Eと呼ぶ。また、適宜、排出口27AFと排出口27BFと排出口27CFと排出口27DFとを総称して、排出口27Fと呼ぶ。圧力調整機構130を介してインクタンクから流入口27Eに供給されたインクは、インク供給路27を流れる間に加温され、排出口27Fからインクジェットヘッド120に排出される。
ここで、インク供給路27は、開口部21よりも上流側のインク流路である上流側流路と、開口部21よりも下流側のインク流路である下流側流路とを備える。上流側流路は、インクが流入する流入口27Eである一端と、ブロック部材20の外面においてブロック部材20の外部に露出する他端とを備える。なお、ブロック部材20の外面は、ブロック部材20の外側に配置された面であり、載置面22と載置面23とを含む概念である。下流側流路は、インクが排出される排出口27Fである一端と、ブロック部材20の外面においてブロック部材20の外部に露出する他端とを備える。上流側流路が備える他端を第1他端とし、下流側流路が備える他端を第2他端とする。第1他端と第2他端とは、ブロック部材20の外面にブロック部材20の外部に露出する開口部21として形成されている。
インク供給路27Aが備える上流側流路は、直線流路部27AAと直線流路部27ABとを含む流路である。インク供給路27Aが備える上流側流路の一端は、流入口27AEである。インク供給路27Aが備える上流側流路の他端は、開口部27AGである。インク供給路27Aが備える下流側流路は、直線流路部27ADを含む流路である。インク供給路27Aが備える下流側流路の一端は、排出口27AFである。インク供給路27Aが備える下流側流路の他端は、開口部27AHである。開口部27AGと開口部27AHとは、直線流路部27ACに対応する開口部21Aを介して、ブロック部材20の外部に露出する。つまり、開口部27AGと開口部27AHとは、ブロック部材20の外面にブロック部材20の外部に露出する開口部21Aとして形成されている。
インク供給路27Bが備える上流側流路は、直線流路部27BAと直線流路部27BBとを含む流路である。インク供給路27Bが備える上流側流路の一端は、流入口27BEである。インク供給路27Bが備える上流側流路の他端は、開口部27BGである。インク供給路27Bが備える下流側流路は、直線流路部27BCを含む流路である。インク供給路27Bが備える下流側流路の一端は、排出口27BFである。インク供給路27Bが備える下流側流路の他端は、開口部27BHである。開口部27BGは、開口部21Bを形成し、ブロック部材20の外部に露出する。開口部27BHは、開口部21Bを介して、ブロック部材20の外部に露出する。つまり、開口部27BGと開口部27BHとは、ブロック部材20の外面にブロック部材20の外部に露出する開口部21Bとして形成されている。以下、適宜、開口部27AG、開口部27BG等を総称して開口部27Gと呼び、開口部27AH、開口部27BH等を総称して開口部27Hと呼ぶ。
開口部21は、インク供給路27のうちブロック部材20から露出した開孔部分である。金型を用いた樹脂成形、ドリル加工等により、内部にインク供給路27を備えるブロック部材20を形成する手法を採用する場合、開口部21が生じないようにすることは容易ではない。例えば、ドリル加工により上流側流路を形成する場合、上流側流路が備える第1他端がブロック部材20の外部に露出する。また、例えば、ドリル加工により下流側流路を形成する場合、下流側流路が備える第2他端がブロック部材20の外部に露出する。第1他端と第2他端とは、ブロック部材20の外部に露出する開口部21を形成する。
本実施の形態では、ブロック部材20が有する開口部21を封止部材60で塞ぐ手法について説明する。封止部材60は、上流側流路と下流側流路とが連通してインクが流通するように、上流側流路が備える第1他端と下流側流路が備える第2他端とを、ブロック部材20の外部から封止する。本実施の形態では、4つの開口部21のいずれもが、ブロック部材20が備える4つの側面のうち手前側の側面に配置される。そして、これらの4つの開口部21を塞ぐために、1枚のシート状部材30と1枚のカバー部材40とを備える1つの封止部材60がブロック部材20の手前側の側面に取り付けられる。
図5に示すように、シート状部材30とカバー部材40との取り付けのため、ブロック部材20の手前側の側面には、載置面22と、載置面23と、突出部24Aと、突出部24Bと、突出部24Cと、突出部24Dとが設けられる。以下、適宜、突出部24Aと突出部24Bと突出部24Cと突出部24Dとを総称して、突出部24と呼ぶ。載置面22は、第1載置面の一例である。載置面23は、第2載置面の一例である。
載置面22は、開口部21Aと開口部21Bと開口部21Cと開口部21Dとを囲むようにブロック部材20に配置された、シート状部材30を載置するための面である。載置面23は、載置面22を囲み、載置面22よりも外側に突き出るようにブロック部材20に配置された、カバー部材40を載置するための面である。外側に突き出ることは、ブロック部材20の中心から離れる方向に配置されることを意味し、Y軸の負の方向に配置されることを意味する。載置面23には、ネジ穴26Aとネジ穴26Bとネジ穴26Cとネジ穴26Dとネジ穴26Eとネジ穴26Fとが設けられる。以下、適宜、ネジ穴26Aとネジ穴26Bとネジ穴26Cとネジ穴26Dとネジ穴26Eとネジ穴26Fとを総称して、ネジ穴26と呼ぶ。
突出部24は、開口部21の周囲を囲むように配置された、周囲よりも突出した部分である。つまり、突出部24は、開口部21を囲むように開口部21と載置面22との間に配置され、載置面22よりも外側に突き出た部分である。例えば、突出部24Aは、開口部21Aを囲むように開口部21Aと載置面22との間に配置され、載置面22よりも外側に突き出た部分である。このように、突出部24は、ブロック部材20におけるシート状部材30を挟持して対向する部分のうち開口部21の周縁に設けられ、カバー部材40に向かって突出した部分である。突出部24は、カバー部材40により押圧されて撓んだシート状部材30が、インク供給路27の内部に引き込まれることを抑制する。
ここで、Y軸方向から見たときに、突出部24の内縁の形状は、突出部24の外縁の形状と同様の形状であり、開口部21の外縁の形状と同様の形状である。また、Y軸方向から見たときに、突出部24の内縁の大きさは、突出部24の外縁の大きさよりも少し小さく、開口部21の外縁の大きさよりも少し大きい。例えば、Y軸方向から見たときに、突出部24Aの内縁の形状は、突出部24Aの外縁の形状と同様の形状であり、開口部21Aの外縁の形状と同様の形状である。また、Y軸方向から見たときに、突出部24Aの内縁の大きさは、突出部24Aの外縁の大きさよりも少し小さく、開口部21Aの外縁の大きさよりも少し大きい。
シート状部材30は、可撓性を有し、シート状に形成された部材である。シート状部材30は、例えば、ゴムにより構成される。シート状部材30は、厚み方向に伸縮可能であり、厚み方向と直交する方向にも伸縮可能である。シート状部材30は、貫通孔31Aと貫通孔31Bと貫通孔31Cと貫通孔31Dとを備える。以下、適宜、貫通孔31Aと貫通孔31Bと貫通孔31Cと貫通孔31Dとを総称して、貫通孔31と呼ぶ。なお、シート状部材30は、例えば、シート状のゴムに穿孔機を用いて孔をあけることにより形成される。貫通孔31Aと貫通孔31Bと貫通孔31Cと貫通孔31Dとの位置関係は、開口部21Aと開口部21Bと開口部21Cと開口部21Dとの位置関係と、突出部24Aと突出部24Bと突出部24Cと突出部24Dとの位置関係とに対応する。
ここで、Y軸方向から見たときに、貫通孔31の外縁の形状は、突出部24の外縁の形状と同様の形状であり、貫通孔31の外縁の大きさは、突出部24の外縁の大きさよりも少し大きい。例えば、Y軸方向から見たときに、貫通孔31Aの外縁の形状は、突出部24Aの外縁の形状と同様の形状であり、貫通孔31Aの外縁の大きさは、突出部24Aの外縁の大きさよりも少し大きい。
カバー部材40は、剛性を有し、シート状に形成された部材である。カバー部材40は、例えば、樹脂、金属等により形成される。カバー部材40は、貫通孔41Aと貫通孔41Bと貫通孔41Cと貫通孔41Dと貫通孔41Eと貫通孔41Fとを備える。カバー部材40は、カバー部材の一例である。以下、適宜、貫通孔41Aと貫通孔41Bと貫通孔41Cと貫通孔41Dと貫通孔41Eと貫通孔41Fとを総称して、貫通孔41と呼ぶ。貫通孔41Aと貫通孔41Bと貫通孔41Cと貫通孔41Dと貫通孔41Eと貫通孔41Fとの位置関係は、ネジ穴26Aとネジ穴26Bとネジ穴26Cとネジ穴26Dとネジ穴26Eとネジ穴26Fとの位置関係に対応する。
本実施の形態では、ブロック部材20へのシート状部材30とカバー部材40との取り付けに、ネジ51Aとネジ51Bとネジ51Cとネジ51Dとネジ51Eとネジ51Fとが用いられる。以下、適宜、ネジ51Aとネジ51Bとネジ51Cとネジ51Dとネジ51Eとネジ51Fとを総称して、ネジ51と呼ぶ。
まず、ブロック部材20における凹み部25にシート状部材30が嵌め込まれる。この時、突出部24Aが貫通孔31Aに嵌め込まれ、突出部24Bが貫通孔31Bに嵌め込まれ、突出部24Cが貫通孔31Cに嵌め込まれ、突出部24Dが貫通孔31Dに嵌め込まれる。凹み部25は、ブロック部材20における、載置面23よりも奥側に凹んだ部分である。つまり、凹み部25は、ブロック部材20における、Y軸方向から見て載置面22と重なる部分である。
次に、Y軸方向から見て、6つの貫通孔41がそれぞれ6つのネジ穴26と重なり、4つの開口部21がカバー部材40と重なる状態において、カバー部材40がシート状部材30を介してブロック部材20に押し当てられる。この状態で、6つのネジ51によりカバー部材40がブロック部材20に固定される。つまり、ネジ51Aは、貫通孔41Aを通りネジ穴26Aに嵌め込まれて締結される。ネジ51A以外のネジ51も、ネジ51Aと同様に、貫通孔41を通りネジ穴26に嵌め込まれて締結される。
図6に、シート状部材30とカバー部材40とがブロック部材20に取り付けられた様子を示す。なお、図6は、図4に示すA-A線における流路形成構造体10の断面図である。つまり、図6は、X軸と直交し、開口部21Aと開口部21Bとに重なる平面で流路形成構造体10を切断した時に、流路形成構造体10におけるX軸の座標がこの平面よりも小さい方の部分をX軸の正の方向から見た様子を示す図である。図6に示すように、シート状部材30とカバー部材40とにより開口部21が塞がれると、流路形成構造体10内に、流入口27Eから排出口27Fまでの流路上に流路形成構造体10の外部に露出した部分が存在しないインク供給路27が形成される。
次に、図7と図8とを参照して、流路形成構造体10におけるカバー取り付け部分の構造について詳細に説明する。図7は、ブロック部材20へのシート状部材30とカバー部材40との取り付け前における、カバー取り付け部分の断面図である。また、図7は、流路形成構造体10にシート状部材30とカバー部材40とを取り付ける方法の説明図でもある。図8は、カバー取り付け部分の断面図である。なお、図7と図8とにおいては、ネジ穴26、貫通孔41、ネジ51等の図示を省略している。
図7に示すように、シート状部材30は平坦面32と平坦面33とを備え、カバー部材40は平坦面42と平坦面43とを備える。また、シート状部材30の厚さは均一であり、カバー部材40の厚さも均一である。シート状部材30の厚さは、取り付け前の状態では、D1である。また、載置面23のY軸の座標の方が載置面22のY軸の座標よりもD2だけ小さく、載置面23は載置面22よりD2だけ突出している。また、突出部24Aの頂点のY軸の座標は載置面22のY軸の座標よりもD3だけ小さく、突出部24Aは載置面22よりD3だけ突出している。つまり、突出部24Aの高さはD3である。同様に、突出部24B、突出部24C、突出部24Dの高さもD3である。ここで、D2は、D1よりも短く、D3よりも長い。
ここで、シート状部材30を凹み部25に嵌め込むと、シート状部材30が備える平坦面32とブロック部材20が備える載置面22とが接触する。この時点では、シート状部材30が備える平坦面33のY軸の座標は、ブロック部材20が備える載置面23のY軸の座標よりも小さい。つまり、シート状部材30が備える平坦面33は、ブロック部材20が備える載置面23よりも外側にはみ出した状態である。
次に、カバー部材40が備える平坦面43を押圧してカバー部材40をブロック部材20に近づけていくと、カバー部材40が備える平坦面42とシート状部材30が備える平坦面33とが接触する。この時点では、カバー部材40が備える平坦面42とブロック部材20が備える載置面23とは接触しない。ここで、カバー部材40が備える平坦面43を更に押圧してカバー部材40をブロック部材20に更に近づけていくと、シート状部材30の厚さが徐々に薄くなる。そして、シート状部材30の厚さがD2になった時点で、カバー部材40が備える平坦面42とブロック部材20が備える載置面23とが接触する。この時点で、カバー部材40が6本のネジ51によりブロック部材20に固定される。
図8に、カバー部材40がブロック部材20に固定された様子を示す。カバー部材40がブロック部材20に固定された状態では、載置面22と平坦面32とが接触し、平坦面33と平坦面42とが接触し、載置面23と平坦面42とが接触する。この状態では、インク供給路27Aが備える開口部21Aがシート状部材30とカバー部材40とにより塞がれ、流路形成構造体10の内部では、インク供給路27Aの気密性及び液密性が確保される。同様に、インク供給路27A以外のインク供給路27が備える開口部21A以外の開口部21もシート状部材30とカバー部材40とにより塞がれ、流路形成構造体10の内部では、インク供給路27A以外のインク供給路27の気密性及び液密性が確保される。
このように、本実施の形態では、シート状部材30は、開口部21の位置が第1他端の位置および第2他端の位置に合うように配設され、載置面22に載置される。また、カバー部材40が、シート状部材30の外側に重ねられてブロック部材20の外面に固定され、載置面23に載置される。これにより、カバー部材40が、第1他端と第2他端とに対向した状態でシート状部材30を押圧して撓ませて、第1他端と第2他端とをブロック部材20の外部から封止してインクの外部漏れを抑制する。
次に、流路形成構造体10と比較例に係る流路形成構造体とを対比して、流路形成構造体10を採用することの利点を説明する。図9は、比較例に係る流路形成構造体におけるカバー取り付け部分の断面図である。比較例に係る流路形成構造体は、ブロック部材20Aにシート状部材30Bとカバー部材40とを取り付けることにより形成される。ブロック部材20Aの構成は、突出部24Aと突出部24Bと突出部24Cと突出部24Dとを備えない点を除き、ブロック部材20の構成と同様である。シート状部材30Bは、貫通孔31Aと貫通孔31Bと貫通孔31Cと貫通孔31Dとを備えない点を除き、シート状部材30の構成と同様である。
図9に示すように、比較例においても、カバー部材40がブロック部材20Aに固定された状態では、載置面22と平坦面32とが接触し、平坦面33と平坦面42とが接触し、載置面23と平坦面42とが接触する。比較例においては、インク供給路27Aが備える開口部21Aがシート状部材30Aにより塞がれ、流路形成構造体10の内部では、インク供給路27Aの気密性及び液密性が確保される。同様に、インク供給路27A以外のインク供給路27が備える開口部21A以外の開口部21もシート状部材30Aにより塞がれ、流路形成構造体10の内部では、インク供給路27A以外のインク供給路27の気密性及び液密性が確保される。
ところで、インクジェット印刷装置100では、印刷、メンテナンス等を実行する過程において、インク供給路27内に大きな負圧が発生することがある。例えば、印刷実行時に、圧力調整機構130によりインク供給路27内のインクの圧力が大気圧よりも低い圧力に調整されると、インク供給路27内に大きな負圧が発生する。また、例えば、メンテナンス実行時に、吸引装置173によりヘッドキャップ171内のインク又は空気が吸引されると、インク供給路27内に大きな負圧が発生する可能性がある。
この場合、比較例の構成では、長い期間に亘って流路形成構造体10を使用する間に、シート状部材30Aが変形したり、破損したりする可能性がある。また、加温機構140によりインク供給路27内のインクが加温されると、シート状部材30Aの温度が上がり、シート状部材30Aが破損しやすくなる可能性がある。以下、比較例の構成において、シート状部材30Aが変形または破損しやすい理由について、インク供給路27A内に大きな負圧が発生した場合を例にして説明する。
インク供給路27A内に大きな負圧が発生すると、シート状部材30Aが備える平坦面32のうち開口部21Aを塞ぐ部分に、インク供給路27Aの内部に向かう方向の力が働く。図9に、白抜きの矢印でこの部分この力が働いている様子を示す。この場合、平坦面32のうち開口部21Aを塞ぐ部分に作用する力は、平坦面32のうち、ブロック部材20Aのうち開口部21Aの外縁部分である外縁部28Aと接する部分である負荷集中部34Aに集中する。
つまり、負荷集中部34Aは、外縁部28Aに強い力で押し当てられ、また、開口部21Aの中心に向かう強い力で引き込まれる。その結果、平坦面32のうち負荷集中部34Aがこれらの力に耐えきれず、シート状部材30Aが変形したり、シート状部材30Aに亀裂が生じてシート状部材30Aが破損したりする可能性がある。また、シート状部材30Aの温度が高いと、シート状部材30Aが変形したり、シート状部材30Aに亀裂が生じたりする可能性が更に高まる。つまり、比較例の構成では、シート状部材30Aが変形または破損し易く、流路形成構造体10の耐久性が高いとは言い難い。
これに対して、本実施の形態では、シート状部材30は、開口部21Aに対向する部分に貫通孔31Aを備える。このため、シート状部材30が備える平坦面32は、開口部21Aと対向する部分を有しない。その結果、インク供給路27A内に発生した負圧により、平坦面32のいずれかの部分に力が集中することもなく、平坦面32のいずれの部分にも大きな力は働かない。つまり、本実施の形態では、シート状部材30が変形または破損しにくく、流路形成構造体10の耐久性が高い。
ここで、本実施の形態では、シート状部材30における貫通孔31Aの外縁部分には、カバー部材40による押圧とインク供給路27A内に発生した負圧とにより、開口部21Aの中心に向かう力が発生する可能性がある。しかしながら、このような力が発生しても、シート状部材30における貫通孔31Aの外縁部分の側面は、突出部24Aの外縁部分の側面により押しとどめられる。つまり、突出部24Aは、カバー部材40により押圧された撓んだシート状部材30がインク供給路27Aの内部に引き込まれることを抑制する。このため、本実施の形態によれば、シート状部材30がインク供給路27Aの内部に引き込まれることが抑制され、シート状部材30が過度に変形したり、破損したりすることが抑制される。
また、本実施の形態では、シート状部材30が載置面22に載置され、カバー部材40がシート状部材30の外側に重ねられてブロック部材20の外面に固定される。この際、シート状部材30がカバー部材40により押圧されて撓むことにより、カバー部材40が載置面23に載置されてインクの外部漏れが抑制される。このため、シート状部材30を撓ませてシールする際、カバー部材40がシート状部材30を押圧する押圧力が均一になる。従って、シール性のばらつきが抑制され、シール性能の安定化が期待できる。
また、本実施の形態では、剛性を有するブロック部材20が備える載置面23と、剛性を有するカバー部材40が備える平坦面42とが接触した状態で、カバー部材40がブロック部材20に固定される。このため、本実施の形態によれば、シート状部材30とカバー部材40とをブロック部材20に強固に固定することができ、開口部21を確実に塞ぐことが期待できる。
また、本実施の形態では、シート状部材30とカバー部材40とにより4つの開口部21が塞がれる。このため、本実施の形態によれば、シート状部材30とカバー部材40とを含む部品の点数の削減、部品の取り付けに要する工数の削減、部品の取り付け間違いの削減等が期待できる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。本発明において、上記実施の形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上記実施の形態において説明した構成、機能、動作は、自由に組み合わせることができる。
(変形例1)
実施の形態では、突出部24を備えるブロック部材20を採用する例について説明した。本変形例では、突出部24を備えないブロック部材20Aを採用する例について説明する。図10に示すように、本変形例に係るブロック部材20Aの構成は、突出部24を備えない点を除き、ブロック部材20の構成と同様である。
図10に示すように、本変形例においても、カバー部材40がブロック部材20Aに固定された状態では、載置面22と平坦面32とが接触し、平坦面33と平坦面42とが接触し、載置面23と平坦面42とが接触する。このため、本変形例においても、インク供給路27が備える開口部21がシート状部材30とカバー部材40とにより塞がれ、流路形成構造体10の内部では、インク供給路27の気密性及び液密性が確保される。
また、本変形例においても、シート状部材30は、開口部21に対向する部分に貫通孔31を備える。このため、シート状部材30が備える平坦面32は、開口部21と対向する部分を有しない。その結果、インク供給路27内に発生した負圧により、平坦面32のいずれかの部分に力が集中することもなく、平坦面32のいずれの部分にも大きな力は働かない。つまり、本変形例においても、シート状部材30が変形または破損しにくく、流路形成構造体10の耐久性が高い。
また、本変形例においても、載置面23と平坦面42とが接触した状態でカバー部材40がブロック部材20に固定されるため、開口部21を確実に塞ぐことが期待できる。また、本変形例においても、シート状部材30とカバー部材40とにより4つの開口部21が塞がれるため、部品の点数の削減、部品の取り付けに要する工数の削減、部品の取り付け間違いの削減等が期待できる。
(変形例2)
変形例1では、Y軸方向から見たときに、開口部21の外縁の大きさよりも大きい外縁を有する貫通孔31を備えるシート状部材30を採用する例について説明した。Y軸方向から見たときに、開口部21と貫通孔31とが少なくとも一部において重なる構成であれば、開口部21の大きさと貫通孔31の大きさとの大小関係はこの例に限定されない。
例えば、図11に示すように、Y軸方向から見たときに、開口部21の外縁の大きさよりも小さい外縁を有する貫通孔31を備えるシート状部材30Bを採用してもよい。図11に示すように、本変形例に係るシート状部材30Bの構成は、Y軸方向から見たときに、貫通孔31の外縁の大きさが開口部21の外縁の大きさよりも小さい点を除き、シート状部材30の構成と同様である。
本変形例においても、インク供給路27が備える開口部21がシート状部材30とカバー部材40とにより塞がれ、流路形成構造体10の内部では、インク供給路27の気密性及び液密性が確保される。また、本変形例においても、シート状部材30Bは、開口部21に対向する部分に貫通孔31を備える。このため、シート状部材30が備える平坦面32のうち、開口部21と対向する部分の面積はそれ程大きくない。その結果、インク供給路27内に発生した負圧により、平坦面32のうち、ブロック部材20のうち開口部21の外縁部分と接触する部分に力が集中したとしても、この部分にも働く力はそれ程大きくはない。このため、本変形例においても、シート状部材30が変形または破損しにくく、流路形成構造体10の耐久性が高い。
また、本変形例においても、載置面23と平坦面42とが接触した状態でカバー部材40がブロック部材20に固定されため、開口部21を確実に塞ぐことが期待できる。また、本変形例においても、シート状部材30とカバー部材40とにより4つの開口部21が塞がれるため、部品の点数の削減、部品の取り付けに要する工数の削減、部品の取り付け間違いの削減等が期待できる。
(変形例3)
実施の形態では、載置面23を備えるブロック部材20を採用する例について説明した。本変形例では、載置面23を備えないブロック部材20Bを採用する例について説明する。図12に示すように、本変形例に係るブロック部材20Bの構成は、載置面23を備えない点を除き、ブロック部材20の構成と同様である。
図12に示すように、本変形例では、例えば、載置面22と平坦面32とが接触し、平坦面33と平坦面42とが接触し、突出部24と平坦面42とが接触した状態で、シート状部材30とカバー部材40とがブロック部材20Bに固定される。本変形例では、シート状部材30がブロック部材20Bに固定された状態では、シート状部材30の厚さは突出部24の高さであるD3である。本変形例では、インク供給路27が備える開口部21が、カバー部材40により塞がれ、流路形成構造体10の内部では、インク供給路27の気密性及び液密性が確保される。
また、本変形例においても、シート状部材30は、開口部21に対向する部分に貫通孔31を備える。このため、インク供給路27内に発生した負圧により、平坦面32のいずれかの部分に力が集中することもなく、平坦面32のいずれの部分にも大きな力は働かない。つまり、本変形例においても、シート状部材30が破損しにくく、流路形成構造体10の耐久性が高い。
また、本変形例では、シート状部材30における貫通孔31の外縁部分には、カバー部材40による押圧により、開口部21の中心に向かう力が発生する可能性がある。しかしながら、このような力が発生しても、シート状部材30における貫通孔31の外縁部分の側面は、突出部24の外縁部分の側面により押しとどめられる。このため、本変形例によれば、シート状部材30がインク供給路27の内部に引き込まれることが抑制され、シート状部材30が過度に変形したり、破損したりすることが抑制される。
また、本変形例においても、シート状部材30とカバー部材40とにより4つの開口部21が塞がれるため、部品の点数の削減、部品の取り付けに要する工数の削減、部品の取り付け間違いの削減等が期待できる。
(変形例4)
実施の形態では、ブロック部材20が突出部24を備える例について説明した。本変形例では、カバー部材40Aが突出部44を備える例について説明する。図13に示すように、本変形例に係るブロック部材20Aの構成は、突出部24を備えない点を除き、ブロック部材20の構成と同様である。また、図13に示すように、本変形例に係るカバー部材40Aの構成は、4つの突出部44を備える点を除き、カバー部材40の構成と同様である。
突出部44は、カバー部材40Aにおけるシート状部材30を挟持して対向する部分のうち開口部21の周縁に設けられ、ブロック部材20に向かって突出した部分である。突出部44は、カバー部材40により押圧されて撓んだシート状部材30が、インク供給路27の内部に引き込まれることを抑制する。図13には、開口部21Aの周縁に設けられ突出部44Aと、開口部21Bの周縁に設けられ突出部44Bとの2つの突出部44が示されている。突出部44Aの高さであるD4は、載置面23の載置面22に対して突き出た長さであるD2よりも短いことが好適である。
本変形例においても、実施の形態と同様の効果が期待できる。つまり、本変形例においても、シート状部材30における貫通孔31の外縁部分には、カバー部材40Aによる押圧により、開口部21の中心に向かう力が発生する可能性がある。しかしながら、このような力が発生しても、シート状部材30における貫通孔31の外縁部分の側面は、突出部44の外縁部分の側面により押しとどめられる。このため、本変形例によれば、シート状部材30がインク供給路27の内部に引き込まれることが抑制され、シート状部材30が過度に変形したり、破損したりすることが抑制される。
(変形例5)
実施の形態では、シート状部材30における貫通孔31の外縁部分の側面が、ブロック部材20が備える突出部24の外縁部分の側面により押しとどめられることにより、シート状部材30がインク供給路27の内部に引き込まれることが抑制される例について説明した。本変形例では、ブロック部材20Cが備える突出部29の先端がシート状部材30に沈み込むことにより、シート状部材30がインク供給路27の内部に引き込まれることが抑制される例について説明する。図14に示すように、本変形例に係るブロック部材20Cの構成は、突出部24に代えて突出部29を備える点を除き、ブロック部材20の構成と同様である。また、本変形例では、Y軸方向から見たときに、開口部21の外縁の大きさよりも小さい外縁を有する貫通孔31を備えるシート状部材30Bを採用する。
突出部29は、ブロック部材20Cにおけるシート状部材30Bを挟持して対向する部分のうち開口部21の周縁に設けられ、カバー部材40に向かって突出した部分である。突出部29の先端は、尖っていることが好適である。図14には、開口部21Aの周縁に設けられ突出部29Aと、開口部21Bの周縁に設けられ突出部29Bとの2つの突出部29が示されている。
本変形例では、シート状部材30Bが、開口部21と開口部21とが重なるようにブロック部材20Cに重ねられた状態で、カバー部材40が、シート状部材30Bの外側に重ねられてブロック部材20Cの外面に固定される。カバー部材40がシート状部材30Bを押圧することにより、突出部29の先端がシート状部材30Bに沈み込む。そして、突出部29は、カバー部材40により押圧されて撓んだシート状部材30Bが、インク供給路27の内部に引き込まれることを抑制する。本変形例によれば、シート状部材30Bがインク供給路27の内部に引き込まれることが抑制され、シート状部材30Bが過度に変形したり、破損したりすることが抑制される。
(変形例6)
実施の形態では、上流側流路が、Y軸方向に延びる直線流路部を備え、Y軸方向における端部でブロック部材20の外部に露出した第1端部を備え、下流側流路が、Z軸方向に延びる直線流路部を備え、Z軸方向から見て露出した第1端部を備え、Z軸方向における端部でブロック部材20の外部に露出した第2端部を備える例について説明した。本変形例では、図15を参照して、上流側流路が、Y軸方向に延びる直線流路部を備え、Y軸方向における端部でブロック部材20Cの外部に露出した第1端部を備え、下流側流路が、Y軸方向に延びる直線流路部を備え、Y軸方向における端部でブロック部材20Cの外部に露出した第2端部を備える例について説明する。本変形例では、1本のインク供給路27Jに対応する1つの開口部21Jを、1つのシート状部材30Cと1つのカバー部材40とで封止する例について説明する。
インク供給路27Jは、流入口27JEと排出口27JFとを備え、流入口27JEから流入したインクを排出口27JFから排出する。インク供給路27Jは、直線流路部27JAと直線流路部27JBとを備える上流側流路と、直線流路部27JCと直線流路部27JDとを備える下流側流路とを備える。上流側流路の一端は、流入口27JEに対応する部分であり、上流側流路の他端である第1他端は、開口部27JGに対応する部分である。下流側流路の一端は、排出口27JFに対応する部分であり、下流側流路の他端である第2他端は、開口部27JHに対応する部分である。
以下、ブロック部材20Cの内部にインク供給路27Jを形成する手法について説明する。まず、ブロック部材20Cの手前の外面に開口部21Jを形成する。そして、ブロック部材20Cにおける開口部21Jが形成された部分の2箇所にドリルで穴を開けることにより、直線流路部27JBと直線流路部27JCとを形成する。そして、ブロック部材20Cの上方から直線流路部27JBの一端に向けてドリルで穴を開けることにより直線流路部27JAを形成する。また、ブロック部材20Cの下方から直線流路部27JCの一端に向けてドリルで穴を開けることにより直線流路部27JDを形成する。その結果、ブロック部材20Cの内部にインク供給路27Jが形成される。
この段階では、第1他端に対応する開口部27JGと第2他端に対応する開口部27JHとを含む開口部21Jがブロック部材20Cの外部に露出した状態である。そこで、この開口部21Jを、シート状部材30Cとカバー部材40とで封止する。なお、本変形例においても、ブロック部材20Cは、シート状部材30Cを挟持して対向する部分のうち開口部21Jの周縁に、カバー部材40に向かって突出した突出部24Jを備える。
また、本変形例においても、ブロック部材20Cは、載置面22と載置面23とを備える。載置面22は、開口部21Jを囲むようにブロック部材20Cに配置された、シート状部材30Cを載置するための面である。載置面23は、載置面22を囲み、載置面22よりも外側に突き出るようにブロック部材20Cに配置された、カバー部材40を載置するための面である。また、本変形例においては、シート状部材30Cは、突出部24Jの外縁よりも少し大きい外縁を有する貫通孔31Jを備える。
ここで、シート状部材30Cは、貫通孔31Jが開口部21Jと重なるように載置面22に載置される。そして、カバー部材は、シート状部材30Cの外側に重ねられて載置面23に載置され、ブロック部材20Cの外面に固定される。この際、カバー部材40は、開口部27JGと開口部27JHとに対向した状態でシート状部材30Cを押圧して撓ませる。そして、カバー部材40は、開口部27JGと開口部27JHとをブロック部材20Cの外部から封止して、インクの外部漏れを抑制する。
本変形例では、開口部27JGから開口部27JHに向けてインクを流すための流路である開口部21Jが設けられた状態で、開口部27JGと開口部27JHとがシート状部材30Cとカバー部材40とにより封止される。このため、開口部27JGと開口部27JHとがブロック部材20Cの外部から封止される際、開口部27JGと開口部27JHとが連通する。
本変形例においても、第1他端と第2他端とがブロック部材20Cの外部から適切に封止され、インクの外部漏れが抑制される。また、本変形例においても、シート状部材30Cにおける貫通孔31Jの外縁部分の側面は、突出部24Jの外縁部分の側面により押しとどめられる。このため、本変形例によれば、シート状部材30Cがインク供給路27Jの内部に引き込まれることが抑制され、シート状部材30Cが過度に変形したり、破損したりすることが抑制される。
(他の変形例)
実施の形態では、シート状部材30とカバー部材40とにより4つの開口部21が塞がれる例について説明した。シート状部材30とカバー部材40とにより塞がれる開口部21の個数は、3つ以下でもよく、5つ以上でもよい。また、貫通孔31を備えるシート状部材30に代えて、開口部21の個数分のオーリングとカバー部材40とを用いて、1つ以上の開口部21を塞いでもよい。この場合、ブロック部材20が備える載置面22に、オーリングが嵌め込まれる溝が設けられることが好適である。
実施の形態では、シート状部材30とカバー部材40とにより塞がれる複数の開口部21が、互いに異なるインク供給路27に設けられたものである例について説明した。シート状部材30とカバー部材40とにより塞がれる複数の開口部21は、同一のインク供給路27に設けられたものでもよい。
実施の形態では、ネジ51によりカバー部材40をブロック部材20に固定する手法について説明した。カバー部材40をブロック部材20に固定する手法は、この例に限定されない。例えば、ネジ51以外の締結部材によりカバー部材40をブロック部材20に固定してもよい。また、接着材によりカバー部材40をブロック部材20に固定してもよい。
実施の形態では、突出部24が、開口部21の全周に亘って連設される例について説明した。突出部24は、開口部21の全周に亘って連設されなくてもよい。突出部24は、開口部21の周縁の一部に設けられてもよい。かかる構成においても、突出部24が、シート状部材30がインク供給路27の内部に引き込まれることを抑制する効果が期待できる。
実施の形態では、突出部24がブロック部材20に設けられる例について説明し、変形例4では、突出部44がカバー部材40Aに設けられる例について説明した。ブロック部材20とカバー部材40Aとのいずれに、突出部24又は突出部44を設けるのかは、適宜、調整することができる。また、ブロック部材20とカバー部材40Aとの双方に、突出部24又は突出部44を設けてもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。