JP7363055B2 - 接合材、熱電素子と金属電極との接合方法、及び熱電変換モジュール - Google Patents

接合材、熱電素子と金属電極との接合方法、及び熱電変換モジュール Download PDF

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Description

本発明は、熱電変換モジュールに用いられる熱電素子と金属電極とを接合するための接合材、熱電素子と金属電極との接合方法、及び熱電変換モジュールに関する。
異種導体を接続してそれらに電流を流したときに異種導体間の接合界面にて発熱又は吸熱が生じるペルチェ効果を利用して被温調体を温度調整或いは冷却する熱電変換モジュールが知られている。この熱電変換モジュールは一般的に、互いに対面する絶縁性の放熱基板及び吸熱基板と、これらの基板の対向面のそれぞれに所定のパターンで配列された複数の金属電極と、放熱基板と吸熱基板との間に配設された複数の熱電素子である複数のN型熱電半導体素子及び複数のP型熱電半導体素子を備える。そして、N型熱電半導体素子、吸熱側電極、P型熱電半導体素子、放熱側電極が、この順で繰り返し直列接続されるような直列回路が形成される。このとき熱電素子は、放熱基板に設けられた金属電極(放熱側電極)及び吸熱基板に設けられた金属電極(吸熱側電極)に接合材を介して接合される。このように構成した熱電変換モジュールに通電すると、放熱基板側にて温熱が発生し吸熱基板側にて冷熱が発生する。
この熱電変換モジュールは、パッケージと呼ばれる容器に収納される場合がある。この場合、熱電変換モジュールの放熱基板がパッケージの底壁の内面に接合材により接合される。また、パッケージに収納された熱電変換モジュールは、例えばレーザーダイオード等の被温調体の温度調整に用いられる場合がある。この場合、熱電変換モジュールの吸熱基板が被温調体に接合材により接合される。
放熱基板とパッケージとの接合及び吸熱基板と被温調体との接合には、典型的にはPb(鉛)とSn(錫)を主成分としたハンダが用いられていた。ところが、Pbは人体や環境に有害であることから、近年では、Pbを含まない接合材の開発が進められている。このような接合材として金(Au)の含有量が概ね80重量%のAuSn共晶ハンダを例示できる。
上記したAuSn共晶ハンダを放熱基板とパッケージとの接合及び吸熱基板と被温調体との接合に用いた場合、これらの実装部品(パッケージ及び被温調体)と熱電変換モジュールとの接合時に熱電変換モジュールがAuSn共晶ハンダの融点である約280℃程度に加熱されることになる。従って、熱電変換モジュールの作製時に用いられる接合材、具体的には熱電素子(N型熱電半導体素子及びP型熱電半導体素子)と金属電極(放熱側電極及び吸熱側電極)とを接合する接合材としては、上記の温度(約280℃)で溶融しないような高い耐熱性を有する接合材を用いなければならない。
この場合に用いることのできる接合材として、特許文献1は、AuSnにより表される金属間化合物を含む接合材を開示する。AuSn金属間化合物の融点はAuSn共晶ハンダの融点よりも高いので、斯かる接合材を熱電素子と金属電極との接合に用いることにより、熱電変換モジュールを実装部品に接合する際に熱電素子と金属電極との接合に用いられている接合材の溶融が防止される。
特許第6033316号明細書
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1に記載のAuSn金属間化合物を含む接合材は、Auの使用量が多いために高価である。そのため熱電変換モジュールのコストアップを招く。そこで、本発明は、熱電素子と金属電極とを接合するための接合材であって、熱電変換モジュールのコストの増加を抑えることができ且つ高い耐熱性を有する接合材、そのような接合材を用いた熱電素子と金属電極との接合方法、及び、そのような接合材を用いた熱電変換モジュールを提供することを、目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、熱電変換モジュール(10)に用いられる熱電素子(13N,13P)と金属電極(14a,14b)とを接合するための接合材(16)であって、Au(金)、Cu(銅)、Sn(錫)からなる金属間化合物を含む、接合材を提供する。
この場合、金属間化合物が、(Au,Cu)Snである。ここで、(Au,Cu)Snは、AuSn中のAuの一部がCuに置換された金属間化合物であり、(AuCu(1-x)Sn(xは1未満の正数)とも表記できる。また、(Au,Cu)Snを構成するCuの原子濃度が9.77at%以上である。さらに、(Au,Cu)Snを構成するAuとCuとの原子濃度の総和に対するCuの原子濃度の比が、0.1165以上であるとよい。また、上記接合材は、(Au,Cu)Snにより表される金属間化合物を含み、Cuの原子濃度が11.9at%以上28.9at%以下、Auの原子濃度が33.3at%以上55.3at%以下、Snの原子濃度が32.8at%以上37.9at%以下、であるとよい。
また、本発明は、複数のN型熱電半導体素子(13N)及び複数のP型熱電半導体素子(13P)と、複数の金属製の放熱側電極(14a)及び複数の金属製の吸熱側電極(14b)と、複数の放熱側電極が表面に形成された絶縁性の放熱基板(11)と、複数の吸熱側電極が表面に形成された絶縁性の吸熱基板(12)と、を備え、N型熱電半導体素子、吸熱側電極、P型熱電半導体素子、放熱側電極が、接合材(16)を介してこの順で繰り返し直列接続されるように構成される熱電変換モジュール(10)であって、接合材が、Au、Cu、Snからなる金属間化合物を含む、熱電変換モジュールを提供する。この場合、金属間化合物が、(Au,Cu)Snである。また、(Au,Cu)Snを構成するCuの原子濃度が9.77at%以上である。さらに、(Au,Cu)Snを構成するAuとCuとの原子濃度の総和に対するCuの原子濃度の比が、0.1165以上であるとよい。また、上記接合材は、(Au,Cu)Snにより表される金属間化合物を含み、Cuの原子濃度が11.9at%以上28.9at%以下、Auの原子濃度が33.3at%以上55.3at%以下、Snの原子濃度が32.8at%以上37.9at%以下、であるとよい。
本発明によれば、熱電素子と金属電極とを接合するための接合材にCuが含まれている。従って、Cuが含まれている分だけAuの含有量を低減することができる。このため接合材及びそれを用いた熱電変換モジュールのコストを低減することができる。また、本発明に係る接合材は、350℃以下の温度では溶融しない。よって、本発明によれば、熱電変換モジュールのコストの増加を抑えることができ且つ高い耐熱性を有する接合材、そのような接合材を用いた熱電素子と金属電極との接合方法、及び、そのような接合材を用いた熱電変換モジュールを提供することできる。
図1は、熱電デバイスの概略構成を示す平面図である。 図2は、図1のII-II線断面図である。 図3Aは、放熱基板に形成された複数の放熱側電極の配設パターンを示す図である。 図3Bは、吸熱基板に形成された複数の吸熱側電極の配設パターンを示す図である。 図4は、図2のA部拡大図である。 図5Aは、実施例2に係る熱電変換モジュールの熱電素子と金属電極との接合状態が示される断面のSEM画像である。 図5Bは、図5Aに示される断面中の領域BのSEM画像である。 図6Aは、図5Bに示される接合材の断面についてのEDXによるCuのマッピング分析結果を示す。 図6Bは、図5Bに示される接合材の断面についてのEDXによるSnのマッピング分析結果を示す。 図6Cは、図5Bに示される接合材の断面についてのEDXによるAuのマッピング分析結果を示す。 図7Aは、図5Bに示される接合材の断面のうちEDX-1で示される部分についてのEDXスペクトルである。 図7Bは、図5Bに示される接合材の断面のうちEDX-2で示される部分についてのEDXスペクトルである。 図7Cは、図5Bに示される接合材の断面のうちEDX-3で示される部分についてのEDXスペクトルである。 図8Aは、実施例4に係る熱電変換モジュールの熱電素子と金属電極との接合状態が示される断面のSEM画像である。 図8Bは、図8Aに示される断面中の領域CのSEM画像である。 図9Aは、図8Bに示される接合材の断面についてのEDXによるCuのマッピング分析結果を示す。 図9Bは、図8Bに示される接合材の断面についてのEDXによるSnのマッピング分析結果を示す。 図9Cは、図8Bに示される接合材の断面についてのEDXによるAuのマッピング分析結果を示す。 図10Aは、図8Bに示される接合材の断面のうちEDX-1で示される部分についてのEDXスペクトルである。 図10Bは、図8Bに示される接合材の断面のうちEDX-2で示される部分についてのEDXスペクトルである。 図10Cは、図8Bに示される接合材の断面のうちEDX-3で示される部分についてのEDXスペクトルである。
以下、本発明の実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る熱電変換モジュールを有する熱電デバイスの概略構成及び作動について説明する。図1は、本実施形態に係る熱電変換モジュールを有する熱電デバイスの概略構成を示す平面図である。図1に示すように、熱電デバイス1は、熱電変換モジュール10と、パッケージ20と、被温調体30とを備える。
図2は、図1のII-II線断面図である。図2には熱電変換モジュール10の断面が示される。図2に示すように、熱電変換モジュール10は、放熱基板11と、吸熱基板12と、複数のN型熱電半導体素子13Nと、複数のP型熱電半導体素子13Pと、複数の放熱側電極14aと、複数の吸熱側電極14bと、を備える。
放熱基板11及び吸熱基板12は、絶縁材料(例えばアルミナ、窒化アルミ等のセラミックス材料)により構成され、互いの表面11a,12aが所定の間隔を開けて対面するように配置している。
放熱基板11の表面11aには、複数の金属製の放熱側電極14aが所定のパターンで形成される。一方、吸熱基板12の表面12aには、複数の金属製の吸熱側電極14bが所定のパターンで形成される。放熱側電極14a及び複数の吸熱側電極14bが、本発明の金属電極に相当する。以下、放熱側電極14aと吸熱側電極14bを総称して金属電極(14a,14b)と言う場合もある。
また、図2からわかるように、複数のN型熱電半導体素子13Nと、複数のP型熱電半導体素子13Pが、放熱基板11と吸熱基板12との間に配設される。N型熱電半導体素子13N及び複数のP型熱電半導体素子13Pが、本発明の熱電素子に相当する。以下、N型熱電半導体素子13NとP型熱電半導体素子13Pを総称して熱電素子(13N,13P)と言いう場合もある。
N型熱電半導体素子13N及びP型熱電半導体素子13Pは、例えばビスマステルル(BiTe)系化合物に所定の添加物(例えばN型熱電半導体素子13NにはSe(セレン)等、P型熱電半導体素子13PにはSb(アンチモン)等)を添加することにより作製することができる。
複数のN型熱電半導体素子13N及び複数のP型熱電半導体素子13Pは、本実施形態では直方体状に形成される。直方体状に形成されたN型熱電半導体素子13N及びP型熱電半導体素子13Pの一表面(下面)に放熱基板11の表面11aに形成された放熱側電極14aが接合され、上記一表面とは反対側の他表面(上面)に吸熱基板12の表面12aに形成された吸熱側電極14bが接合される。このとき、一つの放熱側電極14aには一対のN型熱電半導体素子13N及びP型熱電半導体素子13Pのそれぞれの一表面(下面)が異なる位置にて接合され、一つの吸熱側電極14bには、一つの放熱側電極14aに接合されているN型熱電半導体素子13Nと他の一つの放熱側電極14aに接合されているP型熱電半導体素子13Pのそれぞれの他表面(上面)が接合される。そして、N型熱電半導体素子13N、吸熱側電極14b、P型熱電半導体素子13P、放熱側電極14a、N型熱電半導体素子13N、・・・、という順でこれらが順次接合材を介して接続される。すなわち、N型熱電半導体素子13N、吸熱側電極14b、P型熱電半導体素子13P、放熱側電極14aが、接合材を介してこの順で繰り返し接続されるように、複数の熱電素子(13N,13P)と複数の金属電極(14a,14b)が配列される。これにより、複数の熱電素子(13N,13P)が、金属電極(14a,14b)を介して交互に接続された直列回路が構成される。
図3Aは、放熱基板11に形成された複数の放熱側電極14aの配設パターンを示す図であり、図3Bは、吸熱基板12に形成された複数の吸熱側電極14bの配設パターンを示す図である。図3Aにおいて、放熱基板11内の太線で示された部分が複数の放熱側電極14aを示し、図3Bにおいて、吸熱基板12内の太線で示された部分が複数の吸熱側電極14bを示す。また、放熱側電極14a及び吸熱側電極14bの内部に数字で示された部分が、熱電素子(13N,13P)の配設位置を示す。ここで、奇数で示される部分がN型熱電半導体素子13Nの配設位置であり、偶数で示される部分がP型熱電半導体素子13Pの配設位置である。本実施形態では、36個の熱電素子(18個のN型熱電半導体素子13N及び18個のP型熱電半導体素子13P)が用いられており、これらが、図3A及び図3Bの数字で示す順序に直列接続されるように、複数の放熱側電極14a及び複数の吸熱側電極14bがそれぞれ放熱基板11及び吸熱基板12に形成される。
また、図3Aに示すように、複数の放熱側電極14aのうち上記の直列回路の一方の端部に位置する放熱側電極14Sに、正極側給電ポスト15aが設けられ、直列回路の他方の端部に位置する放熱側電極14Eに、負極側給電ポスト15bが設けられる。正極側給電ポスト15aは図略の電源のプラス端子に接続され、負極側給電ポスト15bは図略の電源のマイナス端子に接続される。正極側給電ポスト15a及び負極側給電ポスト15bに代えて、リード線を用いても良い。
図2によく示すように、吸熱基板12の表面12aとは反対側の裏面12bに、熱電変換モジュール10により冷却或いは温度調整される部品としての被温調体30が搭載される。被温調体30は、吸熱基板12の裏面12bに接合される。被温調体として、発振波長の温度依存性が高いレーザーダイオードを例示できるが、この限りでない。
また、図2に示すように、パッケージ20は、内部空間が設けられた箱状部材である。パッケージ20の内部空間は、矩形状の底壁21と、底壁21の4辺から立設した側壁22とにより囲まれた空間により形成される。このパッケージ20の内部空間に熱電変換モジュール10が収容される。このとき、熱電変換モジュール10の放熱基板11の表面11aとは反対側の裏面11bが、パッケージ20の底壁21の内面に接合される。なお、図2に示すパッケージ20の上部は開口しているが、この開口が塞がれて、パッケージ20の内部空間が密閉されていてもよい。パッケージ20は、例えばコバール(Fe-Ni-Co合金)により構成される。
このような構成の熱電デバイス1において、図示しない電源のプラス端子とマイナス端子との間に所定の電圧を印加すると、正極側給電ポスト15aから負極側給電ポスト15bに向かって電流が流れる。これにより、熱電変換モジュール10に通電される。熱電変換モジュール10に通電されると、ペルチェ効果によって、熱電素子(13N,13P)と放熱側電極14aとの接触界面にて温熱が発生するとともに、熱電素子(13N,13P)と吸熱側電極14bとの接触界面にて冷熱が発生する。熱電素子(13N,13P)と吸熱側電極14bとの接触界面にて発生した冷熱によって、被温調体30が冷却或いは温度調整される。また、熱電素子(13N,13P)と放熱側電極14aとの接触界面にて発生した温熱は、パッケージ20を介して外部に放熱される。
図4は、図2の破線で囲まれたA部拡大図である。図4に示すように、放熱基板11の表面11aに設けられた放熱側電極14aは、放熱基板11の表面11a上に形成されたCuメッキ層141と、Cuメッキ層141上に形成されたNiメッキ層142と、Niメッキ層142上に形成されたAuメッキ層143とにより構成される。同様に、吸熱基板12の表面12aに設けられた吸熱側電極14bは、吸熱基板12の表面12a上に形成されたCuメッキ層141と、Cuメッキ層141上に形成されたNiメッキ層142と、Niメッキ層142上に形成されたAuメッキ層143とにより構成される。また、N型熱電半導体素子13Nの一表面(下面)及び他表面(上面)並びにP型熱電半導体素子13Pの一表面(下面)及び他表面(上面)には、Niメッキ層131が、それぞれ形成される。そして、金属電極(14a,14b)に形成されたAuメッキ層143と熱電素子(13N,13P)に形成されたNiメッキ層131との間に、本実施形態に係る導電性の接合材16が介在される。この接合材16によって、金属電極(14a,14b)と熱電素子(13N,13P)が接合される。なお、正極側給電ポスト15a及び負極側給電ポスト15bも、接合材16によって、それぞれ放熱側電極14a(14S,14E)に接合される。
また、放熱基板11の裏面11b上にCuメッキ層111が形成され、Cuメッキ層111上にNiメッキ層112が形成され、Niメッキ層112上にAuメッキ層113が形成される。同様に、吸熱基板12の裏面12b上にCuメッキ層121が形成され、Cuメッキ層121上にNiメッキ層122が形成され、Niメッキ層122上にAuメッキ層123が形成される。そして、放熱基板11の裏面11bに形成されたAuメッキ層113とパッケージ20の底壁21の内面との間に第一外部接合材17が介在される。この第一外部接合材17によって、熱電変換モジュール10がパッケージ20に接合される。また、吸熱基板12の裏面12bに形成されたAuメッキ層123と被温調体30との間に第二外部接合材18が介在される。この第二外部接合材18によって、熱電変換モジュール10が被温調体30に接合される。
第一外部接合材17及び第二外部接合材18として、本実施形態では、AuSn共晶ハンダが用いられる。AuSn共晶ハンダの融点は、約280℃である。
一方、熱電素子(13N,13P)と金属電極(14a,14b)とを接合するための接合材16として、本実施形態では、Au(金)と、Cu(銅)と、Sn(錫)からなる金属間化合物を含むAu-Cu-Sn系接合材が用いられる。具体的には、この接合材16には、(Au,Cu)Snにより表される金属間化合物が含まれる。ここで、(Au,Cu)Snは、AuSn合金中のAuの一部がCuに置換されてなる金属間化合物である。この接合材16の耐熱温度は350℃以上である。つまり接合材16は350℃程度に加熱されても溶融しない。従って、熱電変換モジュール10とパッケージ20及び被温調体30との接合時にAuSn共晶ハンダを溶融させるために約300℃程度に熱電変換モジュール10を加熱した場合であっても、その加熱により接合材16が溶融しない。このため熱電変換モジュール10に用いられる接合材16を溶融させることなく熱電デバイス1を作製することが可能になる。
接合材16には、(Au,Cu)Sn以外の金属間化合物が含まれていても良い。(Au,Cu)Snが含まれていれば、それにより耐熱性が高まるからである。(Au,Cu)Sn以外の金属間化合物として、例えば、AuSn、CuSn、CuSn等を例示することができる。
次に、熱電変換モジュール10に用いられる熱電素子(13N,13P)と金属電極(14a,14b)との接合方法について説明する。
まず、放熱基板11の表面11aに形成された複数の放熱側電極14aの表面及び吸熱基板12の表面12aに形成された複数の吸熱側電極14bの表面の所定位置、具体的には熱電素子(13N,13P)が配設される位置に、AuSn成分と、Cu成分とが含まれるペーストを塗布する。この場合、典型的には、AuSn合金粒子が含有されたAuSn合金ペーストとCu粒子が含有されたCu含有ペーストとを金属電極(14a,14b)の表面に塗布する(塗布工程)。ここで、AuSn合金ペーストは、AuSn合金粒子とフラックスとが含有されたペースト状の複合材料である。また、Cu含有ペーストは、Cu粒子(Cuが含まれた粒子)とフラックスとが含有されたペースト状の複合材料である。本実施形態では、Cu含有ペーストとしてTLP接合材ペーストが用いられる。TLP接合材ペーストは、Cu及びSnから構成される粒子(TLP接合材)並びにフラックスが含有されたペースト状の複合材料である。TLP接合材ペースト中のCu及びSnから構成される粒子(TLP接合材)は、Cu粒子により構成されるコア部と、コア部表面を被覆したSnからなるシェル部(殻部)とにより構成されていてもよい。また、AuSn合金ペースト及びTLP接合材ペーストには、ロジン、活性剤、チクソ剤等が含まれていてもよい。
上記の塗布工程においては、AuSn合金ペーストとTLP接合材ペーストとを混合して混合ペーストを作製し、作製した混合ペーストを、例えばスクリーン印刷により金属電極(14a,14b)の表面の所定位置に塗布してもよい。この場合、混合ペーストに代えて、AuSn合金ペーストにCu粒子が含有されたペーストを金属電極(14a,14b)の表面の所定位置に塗布してもよい。また、AuSn合金ペーストとTLP接合材ペーストを別々に金属電極(14a,14b)に塗布してもよい。この場合、まず、AuSn合金ペーストとTLP接合材ペーストとのいずれか一方のペーストを、例えばスクリーン印刷により金属電極(14a,14b)の表面の所定位置に塗布し、塗布したペースト上に他方のペーストを、例えばディスペンサー或いはピン転写により塗布することができる。また、AuSn合金ペーストとTLP接合材ペーストをそれぞれ、ディスペンサー或いはピン転写によって金属電極(14a,14b)の表面上の別々の位置に塗布しても良い。ただしこの場合、後述する配置工程にて熱電素子(13N,13P)が配置される際における接触荷重によって両ペーストが混合するように、両ペーストが近接位置に塗布される。
次いで、金属電極(14a,14b)を介してN型熱電半導体素子13NとP型熱電半導体素子13Pが交互に直列接続されるように、金属電極(14a,14b)上に熱電素子(13N,13P)を配置する。この場合、放熱側電極14aの表面に塗布されたペースト(AuSn合金ペースト及びTLP接合材ペースト或いはこれらの混合ペースト)を介在して放熱側電極14aの表面に熱電素子(13N,13P)の一面が接触し、且つ、吸熱側電極14bの表面に塗布されたペーストを介在して吸熱側電極14bの表面に熱電素子(13N,13P)の他面が接触するように、熱電素子(13N,13P)を配置する(配置工程)。なお、塗布工程にてAuSn合金ペーストとTLP接合材ペーストがそれぞれ別の位置に塗布されている場合、この配置工程にて熱電素子の接触荷重により両ペーストが混ざり合う。この配置工程の実施により、熱電変換モジュール10の仮組付け体が作製される。
その後、上記の工程の実施により作製された仮組付け体を、例えば半田付装置内に投入して加熱する。これにより、金属電極(14a,14b)の表面と熱電素子(13N,13P)との間に介在するAuSn合金ペーストとTLP接合材ペーストが混合状態で加熱される(加熱工程)。この加熱工程における加熱温度は、280℃以上且つ320℃以下に設定される。こうしてAuSn合金ペーストとTLP接合材ペーストが混合状態で加熱されることにより、上記したような、(Au,Cu)Snを含む金属間化合物が生成する。(Au,Cu)Snの生成過程は必ずしも明らかではないが、以下のようであると推察することができる。
AuSn合金ペーストとTLP接合材ペーストを混合した状態で280℃以上且つ320℃以下の温度に加熱すると、AuSn合金ペースト内のAuSn合金が溶融する。また、TLP接合材ペースト中のSnとCu間で遷移的液相拡散(TLP:Transient Liquid Phase Diffusion)反応が進行して、CuSn合金を生成する。さらに、溶融したAuSnにCuSn合金が結合することにより、(Au,Cu)Sn合金を含む複数の金属間化合物が生成する。
上記した(Au,Cu)Snの生成過程からすれば、加熱工程にてAuSn合金を溶融させる必要があることから、加熱温度は280℃以上である。また、加熱温度を320℃よりも高く設定した場合、熱により熱電素子(13N,13P)の性能が低下する可能性が高まる。従って、加熱温度は320℃以下であるのがよい。以上のことから、加熱工程における加熱温度が280℃以上320℃以下に設定される。
所定時間加熱工程を実施した後に、加熱を停止する。これにより、金属電極(14a,14b)と熱電素子(13N,13P)との間に介在した(Au,Cu)Sn合金を含む金属間化合物が冷却固化して、金属電極(14a,14b)と熱電素子(13N,13P)とを接合する接合材16になる。このようにして、接合材16によって金属電極(14a,14b)と熱電素子(13N,13P)が接合される。接合材16には上記したように(Au,Cu)Snが含まれている。(Au,Cu)Snの耐熱温度は350℃以上である。従って、例えばその後に熱電変換モジュール10をパッケージ20或いは被温調体30に接合する際に熱電変換モジュール10が300℃程度に加熱されても、接合材16が溶融することはない。
(実施例1)
AuSn合金ペーストとTLP接合材ペーストを体積比で1:1の割合で混合して、混合ペーストを作製した。このときに用いたAuSn合金ペーストは組成がAu78wt%、Sn22wt%で粒径が32μm以下のAuSn合金を含有するペースト(三菱マテリアル株式会社製)であり、TLP接合材ペーストは組成がCu40wt%、Sn60wt%で粒径が10μm以下のTLP接合材を含有するペースト(三菱マテリアル株式会社製)である。
また、複数の放熱側電極14aが図3Aに示されるように配列されたセラミックス製の放熱基板11、及び、複数の吸熱側電極14bが図3Bに示されるように配列されたセラミックス製の吸熱基板12を用意した。放熱基板11の寸法は、2mm(縦)×3mm(横)、吸熱基板12の寸法は、2mm(縦)×2mm(横)である。そして、用意した放熱基板11に形成された複数の放熱側電極14a及び吸熱基板12に形成された吸熱側電極14bの所定位置、具体的には図3A及び図3Bにて1~36の数字で表される熱電素子(13N,13P)の配設位置に、混合ペーストをスクリーン印刷により塗布した。
次いで、放熱基板11の表面11aに形成されている放熱側電極14a上に、混合ペーストを介して熱電素子(13N,13P)の一面を接続し、吸熱基板12の表面12aに形成されている吸熱側電極14b上に、混合ペーストを介して熱電素子(13N,13P)の他面を接続した。これにより、熱電変換モジュール10の仮組み付け体を作製した。なお、熱電素子(13N,13P)は直方体状であり、接合面(一面及び他面)の寸法は、0.25mm(横)×0.25mm(縦)程度である。
その後、作製した仮組み付け体を、半田付装置に投入して加熱した。加熱温度(接合温度)は320℃に設定した。これにより、金属電極(14a,14b)と熱電素子(13N,13P)との間に介在する混合ペーストが、320℃に加熱される。所定時間加熱した後に、仮組付け体を半田付装置から取り出し、例えば自然冷却により冷却した。これにより、金属電極(14a,14b)と熱電素子(13N,13P)が、(Au,Cu)Sn合金を含む接合材16により接合される。以上の工程を経て、実施例1に係る熱電変換モジュールを作製した。
(実施例2)
AuSn合金ペーストとTLP接合材ペーストを体積比で、AuSn合金ペースト:TLP接合材ペースト=2:1の割合で混合して混合ペーストを作製したことを除き、実施例1と同様な方法で、実施例2に係る熱電変換モジュールを作製した。
(実施例3)
AuSn合金ペーストとTLP接合材ペーストを体積比で、AuSn合金ペースト:TLP接合材ペースト=3:1の割合で混合して混合ペーストを作製したことを除き、実施例1と同様な方法で、実施例3に係る熱電変換モジュールを作製した。
(実施例4)
AuSn合金ペーストとTLP接合材ペーストを体積比で、AuSn合金ペースト:TLP接合材ペースト=4:1の割合で混合して混合ペーストを作製したことを除き、実施例1と同様な方法で、実施例4に係る熱電変換モジュールを作製した。
(比較例)
AuSn共晶ハンダ(Au78wt%,Sn22wt%)を用いて熱電素子(13N,13P)を金属電極(14a,14b)に接合したことを除き、実施例1と同様な方法で、比較例に係る熱電変換モジュールを作製した。
(評価)
作製した実施例及び比較例に係る熱電変換モジュールを350℃に加熱した。加熱温度を350℃に維持したまま、放熱基板11を固定するとともに吸熱基板12にその表面に平行な方向に沿った押圧力を加えた。これにより、金属電極(14a,14b)と熱電素子(13N,13P)とを接合している接合材にせん断荷重が作用する。そして、接合材がせん断破壊した時点におけるせん断荷重をせん断強度として測定した。また、加熱温度を300℃に設定して上記と同様にせん断強度を測定した。
表1に、実施例及び比較例に係る熱電変換モジュールに用いた接合材の成分組成比率と、測定したせん断強度と、耐熱性の評価結果を示す。
Figure 0007363055000001
表1からわかるように、実施例1~4に係る熱電変換モジュールにおいては、300℃加熱時におけるせん断強度が1N以上である。一方、比較例に係る熱電変換モジュールにおいては、300℃加熱時におけるせん断強度がほぼ0である。また、実施例1~3に係る熱電変換モジュールにおいては、350℃加熱時におけるせん断強度も非常に高く、実施例4に係る熱電変換モジュールにおいても350℃加熱時におけるせん断強度は比較例に係るせん断強度よりも高い。つまり、本実施形態に係る接合材の耐熱温度は350℃以上である。このことから、実施例に係る接合材及び熱電変換モジュールの耐熱性は、比較例に係る接合材及び熱電変換モジュールよりも高いことがわかる。
また、実施例1~4に係る熱電変換モジュールに用いられる接合材中のAuの原子濃度は、比較例に係る熱電変換モジュールに用いられる接合材中のAuの原子濃度よりも小さい。つまり、実施例1~4に係る接合材の成分中にCuが含まれている分だけ高価なAuの含有量が少ない。このため接合材を安価に構成でき、ひいては熱電変換モジュールのコストの増加を抑えることができる。
図5Aは、実施例2に係る熱電変換モジュールの熱電素子(13N,13P)と金属電極(14a、14b)との接合状態が示される断面のSEM画像(倍率:180倍)であり、図5Bは、図5Aに示される断面中の領域BのSEM画像(倍率:3000倍)である。図5Bには、熱電素子(13N,13P)と金属電極(14a,14b)との間に介在する接合材16の断面が示される。また、図6A、図6B、図6Cは、図5Bに示される接合材16の断面についてのエネルギー分散型X線分析(EDX)による各成分のマッピング分析結果を示す。ここで、図6AはCuのマッピング分析結果であり、図6BはSnのマッピング分析結果であり、図6CはAuのマッピング分析結果である。図6A、図6B、図6Cを合わせて見てわかるように、接合材16中にCuとSnとAuが同時に存在している部分が認められる。
図7Aは、図5Bに示される接合材16の断面のうちEDX-1で示される部分についてのEDXスペクトルであり、図7Bは、図5Bに示される接合材16の断面のうちEDX-2で示される部分についてのEDXスペクトルであり、図7Cは、図5Bに示される接合材16の断面のうちEDX-3で示される部分についてのEDXスペクトルである。また、表2は、EDX-1,EDX-2.EDX-3で示される部分についての、EDXスペクトルから得られる元素分析結果である。
Figure 0007363055000002
表2のEDX-2の分析結果から、Snの原子濃度が16.06at%であり、CuとAuの原子濃度の総和が83.93at%であることがわかる。ここで、AuSn合金を構成するSnの原子濃度は16.7at%でありAuの原子濃度は83.8at%である。従って、実施例2に係る接合材16中には、Snの原子濃度がAuSn合金を構成するSnの原子濃度とほぼ等しく、AuとCuの原子濃度の総和がAuSn合金を構成するAuの原子濃度とほぼ等しい成分が含まれていることがわかる。この成分は、AuSnを構成するAuの一部がCuに置換されることにより得られる(Au,Cu)Snであると考えられる。従って、本例に係る接合材は、(Au,Cu)Snにより表される金属間化合物を含むことがわかる。また、表2の分析結果から、実施例2に係る接合材中には、(Au,Cu)Sn以外に、AuSn、Cu、Sn、Auの混合相が含まれていることがわかる。
また、図8Aは、実施例4に係る熱電変換モジュールの熱電素子(13N,13P)と金属電極(14a,14b)との接合状態が示される断面のSEM画像(倍率:180倍)であり、図8Bは、図8Aに示される断面中の領域CのSEM画像(倍率:3000倍)である。図8Bには、熱電素子(13N,13P)と金属電極(14a,14b)との間に介在する接合材16の断面が示される。また、図9A、図9B、図9Cは、図8Bに示される接合材16の断面についてのエネルギー分散型X線分析(EDX)による各成分のマッピング分析結果を示す。ここで、図9AはCuのマッピング分析であり、図9BはSnのマッピング分析であり、図9CはAuのマッピング分析である。図9A、図9B、図9Cを合わせて見てわかるように、接合材16中にCuとSnとAuが同時に存在している部分が認められる。
図10Aは、図8Bに示される接合材16の断面のうちEDX-1で示される部分についてのEDXスペクトルであり、図10Bは、図8Bに示される接合材16の断面のうちEDX-2で示される部分についてのEDXスペクトルであり、図10Cは、図8Bに示される接合材16の断面のうちEDX-3で示される部分についてのEDXスペクトルである。また、表2は、EDX-1,EDX-2.EDX-3で示される部分についての、EDXスペクトルから得られる元素分析結果である。
Figure 0007363055000003
表3のEDX-2の分析結果から、Snの原子濃度が16.15at%であり、CuとAuの原子濃度の総和が83.85at%であることがわかる。また、上記したようにAuSn合金を構成するSnの原子濃度は16.7at%でありAuの原子濃度は83.8at%である。従って、実施例4に係る接合材中には、Snの原子濃度がAuSn合金を構成するSnの原子濃度とほぼ等しく、AuとCuの原子濃度の総和がAuSn合金を構成するAuの原子濃度とほぼ等しい成分が含まれていることがわかる。この成分は、AuSnのAuの一部がCuに置換されることにより得られる(Au,Cu)Snであると考えられる。従って、本例に係る接合材も、(Au,Cu)Snを含むことがわかる。また、表3の分析結果から、実施例4に係る接合材中には、(Au,Cu)Sn以外に、AuSn、Cu、Sn、Auの混合相が含まれていることがわかる。
なお、実施例1及び実施例3については上記のようなEDXによる分析は行っていないが、これらの実施例に係る接合材に含まれる銅の原子濃度は表1からわかるように実施例4に係る接合材に含まれる銅の原子濃度よりも多いので、これらの実施例に係る接合材16においても(Au,Cu)Snが生成されていると考えられる。そして、このようにして生成された(Au,Cu)Snが接合材に含まれることによって、耐熱性が高められたと考えられる。
このように、本実施形態によれば、熱電変換モジュール10に用いられる熱電素子(13N,13P)と金属電極(14a,14b)とを接合するための接合材16が、Au、Cu、Snからなる金属間化合物を含むように構成される。このため接合材16中にCuが含まれる分だけ高価なAuの含有量を低減することができ、よって、接合材16及びそれを用いた熱電変換モジュール10のコストの増加を抑えることができる。
また、接合材16が、耐熱性の高い(Au,Cu)Snにより表される金属間化合物を含むため、接合材16の耐熱性を高めることができる。
また、表3のEDX-2の欄から、上記実施例4に係る接合材に含まれる(Au,Cu)Snを構成するCuの原子濃度は9.77at%である。一方、表2のEDX-2の欄から、上記実施例2に係る接合材に含まれる(Au,Cu)Snを構成するCuの原子濃度は13.31at%である。実施例4と実施例2とを比較すると、実施例2に係る接合材の耐熱性の方が実施例4に係る接合材の耐熱性よりも高い。従って、(Au,Cu)Sn中のCuの原子濃度が高いほど耐熱性が高い傾向にある。このことから、接合材に含まれる(Au,Cu)Snを構成するCuの原子濃度が実施例4におけるCuの原子濃度、すなわち9.77at%以上であれば、接合材の耐熱性を十分に高めることができると考えられる。
また、表3のEDX-2の欄から、上記実施例4に係る接合材16に含まれる(Au,Cu)Snを構成するAuとCuとの原子濃度の総和(83.85at%)に対するCuの原子濃度(9.77at%)の比は、0.1165であることがわかる。一方、表2のEDX-2の欄から、上記実施例2に係る接合材16に含まれる(Au,Cu)Snを構成するAuとCuの原子濃度の総和(83.93at%)に対するCuの原子濃度(13.31at%)の比は、0.1586であることがわかる。実施例4と実施例2とを比較すると、実施例2に係る接合材の耐熱性の方が実施例4に係る接合材の耐熱性よりも高い。従って、上記比が高いほど耐熱性が高い傾向にある。このことから、接合材に含まれる(Au,Cu)Snを構成するAuとCuの原子濃度の総和に対するCuの原子濃度の比が0.1165以上であれば、接合材の耐熱性を十分に高めることができると考えられる。
また、表1の接合材の組成比率からわかるように、実施例1乃至4に係る接合材を構成するCuの原子濃度の範囲は11.9at%~28.9at%であり、Auの原子濃度の範囲は33.3at%~55.3at%であり、Snの原子濃度の範囲は32.8at%~37.9at%である。従って、熱電変換モジュール10に用いられる熱電素子(13N,13P)と金属電極(14a,14b)とを接合するための接合材を、(Au,Cu)Snにより表される金属間化合物を含み、Cuの原子濃度が11.9at%以上28.9at%以下、Auの原子濃度が33.3at%以上55.3at%以下、Snの原子濃度が32.8at%以上37.9at%以下、であるように構成することにより、接合材及びそれを用いた熱電変換モジュールの耐熱性を高めることができるとともに安価に熱電変換モジュールを構成することができる。
また、本実施形態に係る熱電素子(13N,13P)と金属電極(14a,14b)の接合方法は、AuSn合金が含有されたAuSn合金ペーストとCu粒子が含有されたCu含有ペースト(例えばTLP接合材ペースト)とを、それぞれ、又は混合して、金属電極(14a,14b)の表面に塗布する塗布工程と、金属電極(14a,14b)の表面に塗布されたAuSn合金ペーストとCu含有ペースト(TLP接合材ペースト)を介在して金属電極(14a,14b)の表面に熱電素子(13N,13P)が接触するように、熱電素子(13N,13P)を配置する配置工程と、金属電極(14a,14b)の表面と熱電素子(13N,13P)との間に介在するAuSn合金ペーストとCu含有ペースト(TLP接合材ペースト)を、両者が混合した状態で、280℃以上320℃以下の温度に加熱する加熱工程を含む。上記工程を経て熱電素子(13N,13P)と金属電極(14a,14b)とを接合することにより、接合材16中に(Au、Cu)Snが生成されるので、接合材16及び熱電変換モジュール10の耐熱性を高めることができる。また、この方法によれば、(Au,Cu)Snの耐熱温度(350℃以上の温度)よりも低い温度である280℃~320℃の温度範囲内の加熱により、熱電素子(13N,13P)と金属電極(14a,14b)が接合される。つまり接合材16の耐熱温度未満の温度で接合することができる。従って、熱電素子(13N,13P)と金属電極(14a,14b)との接合時に350℃以上の高い温度で熱電変換モジュールを加熱する必要がなく、これにより、熱電素子(13N,13P)が高温で加熱されることによる品質低下を防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されて解釈されるべきものではない。例えば上記実施例においては、接合材16の原料としてAuSn合金ペーストとTLP接合材ペーストとを用いた例を示したが、AuSn合金ペーストにCu粒子が含有されたペーストを用いてもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
1…熱電デバイス、10…熱電変換モジュール、11…放熱基板、12…吸熱基板、13N…型熱電半導体素子(熱電素子)、13P…型熱電半導体素子(熱電素子)、14a…放熱側電極(金属電極)、14b…吸熱側電極(金属電極)、16…接合材、20…パッケージ、30…被温調体

Claims (3)

  1. 熱電変換モジュールに用いられる熱電素子と金属電極とを接合するための接合材であって、Au、Cu、Snからなる金属間化合物を含み、
    前記金属間化合物が、(Au,Cu) Snであり、
    (Au,Cu) Snを構成するCuの原子濃度が9.77at%以上である、接合材
  2. 請求項に記載の接合材において、
    (Au,Cu)Snを構成するAuとCuとの原子濃度の総和に対するCuの原子濃度の比が、0.1165以上である、接合材。
  3. 複数のN型熱電半導体素子及び複数のP型熱電半導体素子と、
    複数の金属製の放熱側電極及び複数の金属製の吸熱側電極と、
    複数の前記放熱側電極が表面に形成された絶縁性の放熱基板と、
    複数の前記吸熱側電極が表面に形成された絶縁性の吸熱基板と、を備え、
    前記N型熱電半導体素子、前記吸熱側電極、前記P型熱電半導体素子、前記放熱側電極が、接合材を介してこの順で繰り返し直列接続されるように構成される熱電変換モジュールであって、
    前記接合材が、請求項1又は2に記載の金属間化合物を含む、熱電変換モジュール。

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