JP7361325B2 - ジオポリマー組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、原材料を混練する工程においてより濃度が低いアルカリシリカ溶液を使用でき当該原材料が凝集することなく容易に混練されるとともに、硬化前の流動性が高いジオポリマー組成物の製造方法を提供することを目的とする。
ここで、ジオポリマー組成物は、例えばジオポリマーモルタルやジオポリマーコンクリートである。
改質フライアッシュは、未燃カーボンを多く含んだ従来のフライアッシュを処理することにより、未燃カーボンの含有率が2wt%以下に低減されたフライアッシュである。
未燃カーボンの含有率が2wt%以下の改質フライアッシュを生成する工程である。改質フライアッシュは、浮遊選鉱法により生成される。
より詳細には、改質フライアッシュは、未燃カーボンを含有する原料を水に分散させてスラリー化した被処理液を生成し、この被処理液を浮遊選鉱することにより生成される。
付言すると、本フライアッシュ生成工程P1における浮遊選鉱処理は、未燃カーボンの含有量を2wt%以下にできる浮遊選鉱処理であれば任意で良く、その方法の詳細は特に限定されないが、例えば特開2011-20070号公報や特開2016-49475号公報に開示されている技術を適用できる。
フライアッシュ生成工程P1にて生成された改質フライアッシュは湿分を含んでいるため、脱水処理し、湿分を低減したケーキ状のフライアッシュ(フライアッシュケーキ)を生成する。
生成されるフライアッシュケーキの湿分は、例えば15~30wt%である。
脱水工程P2にて生成されたフライアッシュケーキ、高炉スラグ微粉末、骨材及びアルカリシリカ溶液を含む原料を混練し、ジオポリマー混練物を生成する。
本混練工程P3にて混練されるフライアッシュは、前述の通り、湿分を適度に含んだフライアッシュケーキであるため、混練されるフライアッシュがスラリー状のフライアッシュである場合と比較して、より濃度が低いアルカリシリカ溶液を使用でき、所定の法律に基づくアルカリシリカ溶液の管理が容易となる。また、混練されるフライアッシュがパウダー状のフライアッシュである場合と比較して、凝集することなく容易に混練され、混練に要する時間が短縮される。
予め決められた温度にて予め決められた時間高温養生し、ジオポリマー混練物を硬化させる。予め決められた温度は、例えば60~80℃である。予め決められた時間は、少なくとも3時間である。
なお、高温養生に代えて、常温養生としてもよい。
活性フィラーは、産出元の異なる2種類のフライアッシュFA-A及びフライアッシュFA-Bを用いた。ジオポリマーは、全粉体をフライアッシュとした配合が望ましいが、強度が非常に低く、評価が困難であったため、評価可能な強度が得られるよう、高炉スラグ微粉末をフライアッシュの質量比で10%置換した。また、ペーストの物性を比較することから、本実施例では、ペーストと細骨材の割合を体積比で1:1とし、細骨材量が一定のモルタル配合とした。養生条件は最高温度80℃、同保持時間を24時間とした。使用材料の物性及び配合をそれぞれ表1及び表2に示す。
フライアッシュ種別A、Bは、それぞれフライアッシュFA-A及びフライアッシュFA-Bを示している。各フライアッシュ種別A、Bにおいて、1と2は同一フロー値、1と3は同一の体積比GPW/Pが得られた配合である。この体積比GPW/Pは、アルカリシリカ溶液(GPW)とフライアッシュ及び高炉スラグ微粉末からなる粉体(P)との体積比である。
以下、各試験の結果について説明する。
モルタルフロー試験(JIS R 5201)の結果を図1に示す。同図1より、フライアッシュ種別A、Bにより同一の体積比GPW/Pでのフロー値に相違があるものの、いずれも改質灰GPのフロー値は原灰GPのそれと比較して約125%~140%を示した。
圧縮強度試験(JIS A 1108)の結果を図3及び図4に示す。
図3は、体積比GPW/Pが一定の配合で試験した場合の圧縮強度試験結果である。
体積比GPW/Pが一定の配合で比較した場合、フライアッシュの種類に関わらず、フライアッシュ改質前後のジオポリマーでほぼ同じ強度を示した。これにより、同一の体積比GPW/Pの条件下では、圧縮強度は概ね同一である傾向が示された。
同図4より、同一流動性を有する場合、改質灰GPの圧縮強度は、原灰GPの約170%~200%を示した。その要因として、改質灰GPでは、原灰GPと同一フローを得るための単位GPW量(アルカリシリカ溶液量)が減少したことで、体積比GPW/Pが相対的に低下し、改質灰GPの圧縮強度が大きくなったものと考えられる。
発明者らは、次式(1)に基づいて、同一フロー値の原灰GPと改質灰GPを比較した場合のCO2排出量を計算し、図5に示す結果を得た。
活性フィラーは、フライアッシュとして、それぞれ原灰FA-13及び改質灰FA-1.1を用いた。また、粉体はフライアッシュの他に高炉スラグ微粉末を用いた。細骨材はモルタル中の含水量に影響を与えないように、絶乾状態の海砂を使用した。配合に関して、ペーストが流動性に寄与するため、本実施例においては、ペーストと細骨材の割合を体積比で1:1とし、細骨材量が一定のモルタル配合とした。
フロー速度試験の方法については、透明なアクリルテーブル上でフロー試験を行い、その様子を下からデジタルカメラで動画撮影を行った。フローコーンを上げた瞬間を0秒とし、その後2秒ごとのフロー値をフローの広がりが収束するまで計測した。フロー速度については次式(2)に従い算出した。
モルタルフロー試験ではフローコーンを引き上げ、フローの広がりが収束した時点でのフロー値を0打フロー値とし、その後フローテーブルによって15回の打撃を与えたものを15打フロー値とした。
可使時間の測定は0打フロー値が練り上り直後からのフロー値から100mmに達するまでの時間を10分おきに計測した。
GPW アルカリシリカ溶液
P 粉体
Claims (3)
- 未燃カーボンを含有する原料を水に分散させ、スラリー化した被処理液を浮遊選鉱し、未燃カーボンの含有率が2wt%以下のフライアッシュを生成するフライアッシュ生成工程と、
前記フライアッシュの湿分を低減し、当該湿分が15~30wt%のケーキ状のフライアッシュを生成する脱水工程と、
前記ケーキ状のフライアッシュ、高炉スラグ微粉末及びアルカリシリカ溶液を含む原料を混練したジオポリマー混練物を生成する混練工程と、
60~80℃にて少なくとも3時間高温養生することで前記ジオポリマー混練物を硬化させる硬化工程と、を含むジオポリマー組成物の製造方法。 - 未燃カーボンを含有する原料を水に分散させ、スラリー化した被処理液を浮遊選鉱し、未燃カーボンの含有率が2wt%以下のフライアッシュを生成するフライアッシュ生成工程と、
前記フライアッシュの湿分を低減し、当該湿分が15~30wt%のケーキ状のフライアッシュを生成する脱水工程と、
前記ケーキ状のフライアッシュ、高炉スラグ微粉末及びアルカリシリカ溶液を含む原料を混練したジオポリマー混練物を生成する混練工程と、
前記ジオポリマー混練物を硬化させる硬化工程と、を含むジオポリマー組成物の製造方法。 - 未燃カーボンを含有する原料を水に分散させ、スラリー化した被処理液を浮遊選鉱し、未燃カーボンの含有率が2wt%以下のフライアッシュを生成するフライアッシュ生成工程と、
前記フライアッシュの湿分を低減し、当該湿分が15~30wt%のケーキ状のフライアッシュを生成する脱水工程と、
前記ケーキ状のフライアッシュ、高炉スラグ微粉末及びアルカリシリカ溶液を含む原料を混練したジオポリマー混練物を生成する混練工程と、
常温養生により前記ジオポリマー混練物を硬化させる硬化工程と、を含むジオポリマー組成物の製造方法。
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坪内徹朗ら,フライアッシュJIS II種の化学的および物理的性質の違いがジオポリマ-の流動性および圧縮強度に及ぼす影響に関する基礎実験,コンクリート工学年次論文集,2017年,Vol.39 No.1,p.2071-2076 |
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