JP7359706B2 - 物標識別装置 - Google Patents
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Description
本発明は、物標識別装置に関し、特に、電波を用いて物標の種類を識別する物標識別装置に関する。
電波を用いて物標の種類を識別する技術として、例えば、対象エリアへ電波を送信する送信部と、対象エリアからの電波を受信する受信部と、受信部によって受信される電波に基づいて、対象エリアにおける移動物体の移動速度を取得する速度取得部と、速度取得部によって取得された移動速度の時間的変動に基づいて、移動物体の種類を判別する判別処理を行う判別部とを備える、電波センサが知られている(特許文献1)。
ところで、レーダで(言い換えると、電波の反射信号から)得られる情報は物標位置、ドップラ情報、および信号強度の3つに限られるが、物標の種類を高い精度で識別するためには識別に用いる指標が多い方が好ましい。また、特許文献1の電波センサでは、移動速度の時間的変動に基づいて移動物体の種類を判別するようにしているので、複数回のレーダスキャンを行うことが必要とされ、1回のレーダスキャンでは移動物体の種類を判別することができない、という問題がある。
そこで本発明は、1回のレーダスキャンによって得られる指標の数を増やして物標の種類の識別を高精度に行うことが可能な物標識別装置を提供することを目的とする。本発明は、また、レーダスキャンを複数回行う場合だけでなく、レーダスキャンを1回だけ行う場合においても、物標の種類の識別を高精度に行うことが可能な物標識別装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、検知対象エリアへと電波を送信する送信部および前記検知対象エリアからの電波を受信する受信部を備えるレーダ部と、前記レーダ部から出力されるレーダデータを周波数解析して周波数スペクトルを出力する周波数解析部と、前記周波数スペクトルに基づいて前記検知対象エリア内を移動する物標に関するレーダ信号点それぞれの相対速度を計算する速度計算部と、前記物標に関する前記レーダ信号点それぞれの前記相対速度の値の分布の歪度と尖度とのうちの少なくとも一方を用いて前記物標の種類を判別する識別部と、を有する、ことを特徴とする物標識別装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の物標識別装置において、前記周波数スペクトルのピークを検出して前記レーダ信号点を抽出する信号点抽出部と、抽出された前記レーダ信号点のクラスタを生成するクラスタ生成部と、をさらに有し、前記速度計算部は、前記クラスタ生成部が生成した前記クラスタごとに当該のクラスタに含まれる前記レーダ信号点それぞれの相対速度を計算する、ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の物標識別装置において、前記識別部が、前記物標に関する前記レーダ信号点それぞれの前記相対速度の値の分布の分散をさらに用いて前記物標の種類を判別する、ことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3に記載の物標識別装置において、前記識別部が、機械学習のアルゴリズムを用いて前記物標の種類を判別する、ことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の物標識別装置において、前記機械学習のアルゴリズムが、サポートベクターマシンである、ことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5に記載の物標識別装置において、前記レーダ部による1回のレーダスキャンによって取得される前記レーダデータを用いて前記物標の種類の判別を行う、ことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、レーダ(電波)の反射信号から得られるドップラ情報を高次モーメントによって数値化するようにしているので、レーダスキャンによって得られる指標(言い換えると、物標の識別に用いる材料)の数を増やすことができ、物標の種類に応じた特有の性質を的確に把握して物標の種類の識別を高精度に行うことが可能となる。請求項1に記載の発明によれば、また、1回のレーダスキャンによって得られる指標(言い換えると、物標の識別に用いる材料)の数が増えるため、レーダスキャンを1回だけ行う場合においても物標の種類の識別を高精度に行うことが可能となり、延いては物標の種類の識別のリアルタイム性を向上させることが可能となる。請求項1に記載の発明によれば、さらに、これまでは用いられていない新しい指標を用いて物標の種類の識別を行うようにしているので、物標の種類に応じた特有の性質を新しい視点で把握することができ、これまでは識別が困難であった物標の種類の識別を可能として物標の種類の識別の高度化を図ることが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、物標に関するレーダ信号点を抽出するとともにクラスタリングした上で物標の種類の識別を行うことが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、レーダ信号点それぞれの相対速度の値の分布の分散を用いるようにしているので、レーダスキャンによって得られる指標(言い換えると、物標の識別に用いる材料)の数を増やして、物標の種類に応じた特有の性質を的確に把握して物標の種類の識別を高精度に行うことが可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、機械学習のアルゴリズムを用いるようにしているので、ドップラ情報を高次モーメントによって数値化した情報に基づいて物標の種類の識別を適切に行うことが可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、機械学習のアルゴリズムとしてサポートベクターマシンを用いるようにしているので、ドップラ情報を高次モーメントによって数値化した情報に基づいて物標の種類の識別を適切に行うことが可能となる。
請求項6に記載の発明によれば、1回のレーダスキャンによって取得されるレーダデータを用いて物標の種類の判別を行うようにしているので、物標の種類の識別のリアルタイム性を向上させることが可能となる。
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1は、この発明の実施の形態に係る物標識別装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。この物標識別装置1は、検知対象エリア内の移動物体を物標として検知するセンサとして機能するとともに前記物標の種類を識別する識別器として機能するための機序である。物標識別装置1は、例えば、人(具体的には、動いている人)と車両(具体的には例えば、走行している自動車)とを識別する。
この実施の形態に係る物標識別装置1は、検知対象エリアへと電波を送信する送信部21および検知対象エリアからの電波を受信する受信部23を備えるレーダ部2と、レーダ部2から出力されるレーダデータを周波数解析して周波数スペクトルを出力する周波数解析部31と、周波数スペクトルに基づいて検知対象エリア内を移動する物標に関するレーダ信号点それぞれの相対速度を計算する速度計算部33と、物標に関するレーダ信号点それぞれの相対速度の値の分布の歪度と尖度とのうちの少なくとも一方を用いて物標の種類を判別する識別部7と、を有する、ようにしている。
この実施の形態に係る物標識別装置1は、また、周波数スペクトルのピークを検出してレーダ信号点を抽出する信号点抽出部4と、抽出されたレーダ信号点のクラスタを生成するクラスタ生成部5と、をさらに有し、速度計算部33は、クラスタ生成部5が生成したクラスタごとに当該のクラスタに含まれるレーダ信号点それぞれの相対速度を計算する、ようにしている。
レーダ部2は、送信部21、送信アンテナ22、受信部23、および受信アンテナ24を備え、電波の送信および受信を行ってレーダデータを出力する。レーダ部2は、具体的には例えば、レーダ方式としてFMCW(Frequency Modulated-Continuous Wave の略;周波数変調連続波)方式のレーダスキャンを行うレーダ装置によって構成されてよい。FMCW方式では、周波数変調した連続波を送信するとともに物標の表面で反射された反射波を受信し、送信信号と受信信号との間での周波数差に基づいて物標の位置や相対速度を検出する。
送信部21は、検知対象エリアへと電波を送信する。送信部21は、電圧発生器、電圧制御発振器、および方向性結合器などを含んで構成され、送信アンテナ22を介して電波を送信する。
電圧発生器は、所定電圧を生成し、生成した所定電圧を電圧制御発振器へと出力する。電圧制御発振器(「VCO(Voltage-Controlled Oscillator の略)」とも呼ばれる)は、電圧発生器から出力される前記所定電圧に応じた周波数を有する電波(送信信号)を生成し、生成した電波(送信信号)を方向性結合器へと出力する。なお、FMCW方式では、電圧発生器は、レベルが三角波状に変化する電圧を生成して出力し、そして、電圧制御発振器は、周波数が三角波状に変化する電波(送信信号)を生成する。
方向性結合器は、電圧制御発振器から出力される電波(送信信号)を送信アンテナ22へと出力するとともに、前記電波(送信信号)の一部を受信部23へと分配する。
送信アンテナ22は、方向性結合器から出力される電波(送信信号)を検知対象エリアへと送信波として送信(別言すると、出射、放射)する。
送信部21は、例えば79GHz帯の周波数を有する電波(「ミリ波」とも呼ばれる)を生成し、生成した電波を送信アンテナ22を介して検知対象エリアへと向けて送信する。送信部21は、例えば60GHz帯や76GHz帯の周波数を有する電波を生成して送信するようにしてもよい。なお、この発明では、高周波数帯の電波を利用することが好ましい。
受信部23は、検知対象エリアからの電波を受信する。受信部23は、ローノイズアンプ、ミキサ、およびA/D変換器などを含んで構成され、送信アンテナ22から送信された電波(即ち、送信波)が検知対象エリア内を移動する物標の表面で反射された電波(即ち、反射波;「ドップラ反射波」とも呼ばれる)を含む電波を受信アンテナ24を介して受信する。なお、FMCW方式では、複数のアンテナ(即ち、図1中の符号24が実際には複数のアンテナによって構成される)によって電波(反射波)を受信する。
受信アンテナ24は、検知対象エリアからの電波(物標の表面で反射された反射波を含む)を受信して受信信号として出力する。ローノイズアンプは、受信アンテナ24が受信した電波(受信信号)を増幅して出力する。
ミキサは、送信部21(具体的には、方向性結合器)から供給される電波(送信信号)とローノイズアンプから出力される電波(受信信号)とをミキシングして差分信号を生成して出力する。なお、差分信号は、送信部21から供給される電波(送信信号)の周波数成分とローノイズアンプから出力される電波(受信信号)の周波数成分との差の周波数成分を有する信号(つまり、ビート周波数を有する信号であり、「ビート信号」とも呼ばれる)である。
A/D変換器は、ミキサから出力される差分信号に対して所定のサンプリング周波数を用いてサンプリング処理(別言すると、アナログ-デジタル変換処理)を施し、前記差分信号をデジタルデータに変換してデジタル信号を出力する。
信号処理部3は、レーダ部2から出力されるレーダデータの周波数解析を行うとともに物標の位置および相対速度を計算する。信号処理部3は、周波数解析部31、位置計算部32、および速度計算部33を含んで構成され、レーダ部2から出力されるレーダデータとしてのデジタル信号に対して周波数解析を施して、検知対象エリア内を移動する物標を検知して前記物標の位置および相対速度を計算する。
周波数解析部31は、レーダ部2(具体的には、受信部23のA/D変換器)から出力されるレーダデータ(別言すると、波形データ)としてのデジタル信号の周波数解析を行う。周波数解析部31は、具体的には、1回のレーダスキャンあたりのサンプリング時間幅(例えば、100ミリ秒間)ぶんの波形データ、具体的には差分信号の振幅(即ち、受信レベル)に対して高速フーリエ変換処理を施して前記差分信号の振幅の周波数分布を示す周波数スペクトルを生成し、スペクトル強度および位相情報を出力する。周波数スペクトルは、差分信号に含まれる各周波数成分の振幅(受信レベル)を示す。
高速フーリエ変換処理に際しては、検知対象とする物標の例えば移動速度が考慮されるなどした上で、前記物標の移動によって発生し得る周波数の範囲が設定されるとともに周波数間隔がドップラ周波数として設定される。周波数解析部31は、つまり、レーダ部2から出力されるレーダデータ(波形データ)についてドップラ成分、すなわち差分信号のドップラ周波数ごとのスペクトル強度と位相とを周波数解析して求める。
位置計算部32は、周波数解析部31から出力される位相情報に基づいて、レーダ部2と検知対象の物標との間の距離に関する距離情報、および、レーダ部2に対する前記物標の方位角度に関する角度情報を生成する。距離情報および角度情報は、ドップラ周波数ごとに求められる。なお、差分信号の位相情報に基づく距離や方位角度の計算の仕法は、周知の手法が存在し、また、この発明では特定の手法には限定されないので、ここでは詳細の説明は省略する。
速度計算部33は、周波数解析部31における周波数解析で用いられたドップラ周波数のそれぞれを用いて、受信アンテナ24に対する物標の速度である相対速度を計算する。つまり、相対速度は、ドップラ周波数ごとに求められる。なお、相対速度の計算の仕法は、レーダに対して相対的に移動している物体の表面で反射して受信アンテナによって受信される電波の周波数は、送信アンテナから送信される電波の周波数に対して、ドップラ効果により、前記物体の相対速度に応じてシフトする、ことを利用する手法などの周知の手法が存在し、また、この発明では特定の手法には限定されないので、ここでは詳細の説明は省略する。
信号点抽出部4は、信号処理部3の周波数解析部31によって生成される周波数スペクトルを用いて、所定の大きさの振幅を有するピークに対応するドップラ周波数(別言すると、ピーク周波数)を検出して、検知対象エリア内を移動する物標に関するレーダ信号点の周波数として抽出する。具体的には、信号点抽出部4は、ピークの検出のための閾値を設定し、周波数スペクトルの振幅について、前記閾値以上の振幅をピークと判定して抽出する。ピークの検出・抽出の仕法は、特定の方法・方式に限定されるものではなく、クラッタと物標とを区別して物標からの反射成分と考えられる周波数を検出・抽出することができればどのような方法・方式であってもよく、具体的には例えばCFAR(Constant False Alarm Rate の略)アルゴリズムが用いられるようにしてもよい。
信号点抽出部4は、また、信号処理部3の位置計算部32によって生成されるドップラ周波数ごとの距離情報および角度情報を用いて、空間位置を座標軸とする座標系における、前記検出されたドップラ周波数(ピーク周波数)に対応するレーダ信号点の分布に関する分布情報を生成して出力する。座標系としては、例えば、レーダ部2の設置位置を基準とした、動径距離と動径方向とについての極座標系、または、左右方向における距離と奥行方向における距離とについての直交座標系が用いられる。
クラスタ生成部5は、信号点抽出部4から出力されるレーダ信号点の分布情報を用いてクラスタリング処理を行い、空間位置を座標軸とする座標系における、レーダ信号点のクラスタを生成する。クラスタの生成の仕法は、特定の方法・方式に限定されるものではなく、例えば、信号点抽出部4によって検出・抽出されたレーダ信号点の密度に基づくなどして物標についてのレーダ信号点の集まりをクラスタリングする、言い換えると、相互の位置関係が一定距離以内で近接しているレーダ信号点の集まりを括って抽出することができればどのような方法・方式であってもよく、クラスタリングアルゴリズムとして具体的には例えばDBSCAN(Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise の略)が用いられるようにしてもよい。
クラスタ生成部5によって生成される各クラスタを区別して一意に特定するための符号をNとする(Nは、例えばシリアル番号)。そして、クラスタNについての、当該のクラスタNに含まれるレーダ信号点それぞれの相対速度(即ち、信号処理部3の速度計算部33によって計算される各ドップラ周波数に対応するレーダ信号点の相対速度)の値の集まりのことを「クラスタNの相対速度の値の集合」と呼ぶ。
特徴量計算部6は、クラスタ生成部5によって生成されるクラスタNごとに、当該のクラスタNの相対速度の値の集合を用いて、相対速度の値の分布の分散、歪度、および尖度を計算して出力する。
分散σ2は、平均まわりの2次モーメントとも呼ばれ、下記の数式1で計算される。各数式におけるσは標準偏差を、Eは期待値を、Xは確率変数を、μは平均を、それぞれ表す。なお、確率変数Xがレーダ信号点それぞれの相対速度の値に該当する。
(数1) σ2 = E[(X-μ)2]
(数1) σ2 = E[(X-μ)2]
歪度は、平均まわりの3次モーメントを標準偏差で正規化したものであり、下記の数式2で計算される。
(数2) E[(X-μ)3]/σ3
(数2) E[(X-μ)3]/σ3
尖度は、平均まわりの4次モーメントを標準偏差で正規化したものであり、下記の数式3で計算される。
(数3) E[(X-μ)4]/σ4
(数3) E[(X-μ)4]/σ4
特徴量計算部6は、クラスタNごとの、相対速度の値の分布の分散、歪度、および尖度の値の組み合わせを出力する。
識別部7は、特徴量計算部6から出力されるクラスタNごとの分散、歪度、および尖度の値に基づいて、クラスタNごとに物標の種類を識別する。識別部7は、具体的には例えば、クラスタNが、動いている人に関するレーダ信号点群であるのか、或いは、走行している自動車に関するレーダ信号点群であるのかを判別する。
識別部7は、1回のレーダスキャンによって取得されるレーダデータを用いて物標の種類を識別するようにしてもよく、或いは、複数回のレーダスキャンによって取得されるレーダデータを用いて物標の種類を識別するようにしてもよい。
識別部7は、1回のレーダスキャンによって取得されるレーダデータを用いて物標の種類を識別する場合には、例えば、機械学習のアルゴリズムの1つであるサポートベクターマシンを用いて識別処理を行うようにしてもよい。
この場合は、識別部7は、クラスタNの相対速度の値の集合の、分散の値x1、歪度の値x2、および尖度の値x3を変数として含むとともに係数f1、f2、およびf3を含む式(下記の数式4参照)を用いて人と自動車との判別処理を行う。数式4について、ここでは、クラスタNが動いている人に関するレーダ信号点群である場合はy=0とされ、クラスタNが走行している自動車に関するレーダ信号点群である場合はy=1とされる。
(数4) y=f(x1,x2,x3,f1,f2,f3)
(数4) y=f(x1,x2,x3,f1,f2,f3)
数式4の係数f1、f2、およびf3は、サポートベクターマシンが用いられて予め決定される。係数f1、f2、およびf3の値は、動いている人に関するレーダ信号点群で構成されるクラスタNの相対速度の値の集合の、分散の値x1、歪度の値x2、および尖度の値x3、ならびにyの値(即ち、0)の組み合わせ(複数の組み合わせ)と走行している自動車に関するレーダ信号点群で構成されるクラスタNの相対速度の値の集合の、分散の値x1、歪度の値x2、および尖度の値x3、ならびにyの値(即ち、1)の組み合わせ(複数の組み合わせ)とを含む教師データが用意され、この教師データを人に関するクラスタと自動車に関するクラスタとに分離するための平面(「超平面」と呼ばれる)が最大のマージンを有するように決定される。
識別部7は、上記によって予め決定された係数f1、f2、およびf3を含む数式4に、特徴量計算部6から出力されるクラスタNの分散の値x1、歪度の値x2、および尖度の値x3を代入して求められるyの値に基づいて、前記クラスタNが、動いている人に関するレーダ信号点群であるのか、或いは、走行している自動車に関するレーダ信号点群であるのかを判別する。
ここで、識別部7は、クラスタNの相対速度の値の集合の、分散の値x1、歪度の値x2、および尖度の値x3のうちの歪度の値x2または尖度の値x3のみを用いて人と自動車との判別処理を行うようにしてもよく、或いは、クラスタNの相対速度の値の集合の、分散の値x1、歪度の値x2、および尖度の値x3のうちのいずれか2つのみを用いて人と自動車との判別処理を行うようにしてもよい。
一方、識別部7は、複数回のレーダスキャンによって取得されるレーダデータを用いて物標の種類を識別する場合には、例えば、高速フーリエ変換による解析を行って識別処理を行うようにしてもよい。
この場合には、クラスタNについてのレーダスキャンごとの歪度の値(また、分散の値、尖度の値)の大きさ(言い換えると、振幅)に対して高速フーリエ変換処理を施して歪度の振幅(また、分散の振幅、尖度の振幅)の分布を示すパワースペクトルを生成する。また、高速フーリエ変換処理の結果(具体的には、振幅の値)についての閾値が予め定められる。そして、識別部7は、パワースペクトルの値(即ち、振幅の値)が閾値以上か否かに基づいて人と自動車との判別処理を行う。
なお、発明者の知見によると、高速フーリエ変換処理後の分散、歪度、および尖度の振幅の組み合わせに応じて、例えば下記に挙げるようにして、クラスタNが、動いている人に関するレーダ信号点群であるのか、或いは、走行している自動車に関するレーダ信号点群であるのかを判別することが考えられる。下記において、「小」はパワースペクトルの値が所定の閾値未満であることを表し、「大」はパワースペクトルの値が所定の閾値以上であることを表す。
〈組み合わせ1〉分散:小、歪度:小、尖度:大 → 自動車(徐行/低速走行)
〈組み合わせ2〉分散:大、歪度:大、尖度:小 → 人(歩き)
〈組み合わせ3〉分散:大、歪度:小、尖度:大 → 人(走り)
〈組み合わせ1〉分散:小、歪度:小、尖度:大 → 自動車(徐行/低速走行)
〈組み合わせ2〉分散:大、歪度:大、尖度:小 → 人(歩き)
〈組み合わせ3〉分散:大、歪度:小、尖度:大 → 人(走り)
識別部7は、複数回のレーダスキャンによって取得されるレーダデータを用いて物標の種類を識別する場合には、あるいは、機械学習のアルゴリズムの1つであるニューラルネットワーク、具体的には例えばRNN(Reccurent Neural Network の略)であるLSTM(Long-Short Term Memory の略)アルゴリズムを用いて識別処理を行うようにしてもよい。
次に、このような構成の物標識別装置1の動作や作用などについて説明する。
まず、レーダ部2が、送信アンテナ22から検知対象エリアへと向けて電波(送信信号)を送信し、検知対象エリアで反射された電波(検知対象の物標の表面で反射された電波を含む;受信信号)を受信アンテナ24を介して受信する。レーダ部2が、さらに、送信信号と受信信号とをミキシングして差分信号を生成し、この差分信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングしてデジタルデータに変換する。そして、レーダ部2が、デジタル信号を信号処理部3へと出力する。
続いて、信号処理部3の周波数解析部31が、レーダ部2から出力されるレーダデータ(別言すると、波形データ;具体的には、差分信号の振幅)としてのデジタル信号に対して高速フーリエ変換を用いて周波数解析を行って周波数スペクトルを生成し、差分信号のドップラ周波数ごとのスペクトル強度および位相情報を出力する。
次に、位置計算部32が、周波数解析部31から出力される位相情報に基づいて、ドップラ周波数ごとに、レーダ部2と検知対象の物標との間の距離を計算するとともにレーダ部2に対する前記物標の方位角度を計算し、計算の結果得られる距離情報および角度情報を出力する。また、速度計算部33が、ドップラ周波数ごとに相対速度を計算して出力する。
次に、信号点抽出部4が、信号処理部3によって生成される周波数スペクトルにおけるピークに対応するドップラ周波数(別言すると、ピーク周波数)を検出するとともに、検出されたドップラ周波数(ピーク周波数)に対応するレーダ信号点の分布情報を生成して出力する。また、クラスタ生成部5が、前記分布情報を用いてクラスタリング処理を行い、レーダ信号点のクラスタを生成する。
次に、特徴量計算部6が、クラスタ生成部5によって生成されるクラスタNごとに、当該のクラスタNの相対速度の値の集合の、分散、歪度、および尖度を計算して出力する。そして、識別部7が、特徴量計算部6から出力されるクラスタNごとの分散、歪度、および尖度の値に基づいて、クラスタNごとに物標の種類を識別する。
ここで、人と自動車とのそれぞれの速度の特性の比較の例を説明する。
図2および図3は、1回のレーダスキャンによって取得されたレーダデータについて高速フーリエ変換処理を施してからレーダ信号点の周波数の抽出を行うとともに抽出されたレーダ信号点のクラスタを生成した上で、前記クラスタに含まれるレーダ信号点それぞれの相対速度を計算して、相対速度の値のランク別のレーダ信号点の個数を整理したグラフである。図2の(a)および(b)は歩行している人の相対速度の分布を整理したグラフの例であり、図3の(a)および(b)は走行している自動車の相対速度の分布を整理したグラフの例である。
図2と図3とを比較することにより、歩行している人は相対速度の値の分布の分散および歪度が大きく且つ尖度が小さくなる傾向があり、走行している自動車は相対速度の値の分布の分散および歪度が小さく且つ尖度が大きくなる傾向があることが確認される。なお、歩行している人については、歩行する際には腕や脚を振るので、胴体での反射に対応するレーダ信号点と腕や足での反射に対応するレーダ信号点とでは相対速度が異なるため、相対速度の値の分布の分散や歪度が大きく且つ尖度が小さくなると考えられる。一方、走行している自動車については、全体が一塊として移動するので、反射する箇所によらず相対速度は同程度であるため、相対速度の値の分布の分散および歪度が小さく且つ尖度が大きくなると考えられる。
次に、下記の内容で、人と自動車とのそれぞれについての相対速度に関するデータを取得した。
1)物標が人単一の状態と物標が自動車単一の状態とのそれぞれのレーダデータを取得する。
2)人も自動車も速度は5km/h程度とする。
3)図4に示すように、レーダ部から10m離れた地点Aから5m離れた地点Bへと移動する状況のレーダデータを取得する。
4)人のレーダデータと自動車のレーダデータとのどちらも40スキャンを解析の対象とする。
1)物標が人単一の状態と物標が自動車単一の状態とのそれぞれのレーダデータを取得する。
2)人も自動車も速度は5km/h程度とする。
3)図4に示すように、レーダ部から10m離れた地点Aから5m離れた地点Bへと移動する状況のレーダデータを取得する。
4)人のレーダデータと自動車のレーダデータとのどちらも40スキャンを解析の対象とする。
上記の内容で取得されたレーダデータを入力として、人に関するクラスタと自動車に関するクラスタとのそれぞれについて、相対速度の値の分布の歪度および尖度を計算した。図5は、人に関するクラスタおよび自動車に関するクラスタについての各クラスタの相対速度の値の分布の歪度および尖度の組み合わせをプロットし、前記歪度および尖度の組み合わせの分布に対してサポートベクターマシンを適用して超平面を計算した結果である(図5において、●は自動車に関する結果、○は人に関する結果、●や○が丸で囲まれたものはサポートベクトル、をそれぞれ示す)。図5に示す結果から、歩行している人に関するクラスタについてのプロットと走行している自動車に関するクラスタについてのプロットとの間にサポートベクターマシンの超平面が設定されることが確認できる。したがって、クラスタについて相対速度の値の分布の歪度と尖度との組み合わせから、前記クラスタが歩行している人に関するレーダ信号点群であるのか走行している自動車に関するレーダ信号点群であるのかを判別することが可能であることが確認できる。
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。具体的には、この発明の要旨はクラスタに含まれるレーダ信号点それぞれの相対速度の値の分布の歪度や尖度を用いて物標の種類を識別することであり、この要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、この発明が適用される装置の具体的な構成は上記の実施の形態における物標識別装置1に限定されるものではなく、具体的な装置構成は種々の態様があり得る。
例えば、上記の実施の形態では、信号点抽出部4が物標に関するレーダ信号点を抽出した上でクラスタ生成部5が抽出されたレーダ信号点のクラスタを生成するようにしているが、物標に関するレーダ信号点それぞれの相対速度を計算することができれば、物標に関するレーダ信号点の抽出処理やクラスタ生成処理はどのようなものであっても構わない。
また、上記の実施の形態ではクラスタが歩行している人に関するレーダ信号点群であるのか走行している自動車に関するレーダ信号点群であるのかを判別するようにしているが、この発明が適用され得る識別対象は、人や自動車に限定されるものではなく、他の種類であっても構わない。
1 物標識別装置
2 レーダ部
21 送信部
22 送信アンテナ
23 受信部
24 受信アンテナ
3 信号処理部
31 周波数解析部
32 位置計算部
33 速度計算部
4 信号点抽出部
5 クラスタ生成部
6 特徴量計算部
7 識別部
2 レーダ部
21 送信部
22 送信アンテナ
23 受信部
24 受信アンテナ
3 信号処理部
31 周波数解析部
32 位置計算部
33 速度計算部
4 信号点抽出部
5 クラスタ生成部
6 特徴量計算部
7 識別部
Claims (6)
- 検知対象エリアへと電波を送信する送信部および前記検知対象エリアからの電波を受信する受信部を備えるレーダ部と、
前記レーダ部から出力されるレーダデータを周波数解析して周波数スペクトルを出力する周波数解析部と、
前記周波数スペクトルに基づいて前記検知対象エリア内を移動する物標に関するレーダ信号点それぞれの相対速度を計算する速度計算部と、
前記物標に関する前記レーダ信号点それぞれの前記相対速度の値の分布の歪度と尖度とのうちの少なくとも一方を用いて前記物標の種類を判別する識別部と、を有する、
ことを特徴とする物標識別装置。 - 前記周波数スペクトルのピークを検出して前記レーダ信号点を抽出する信号点抽出部と、
抽出された前記レーダ信号点のクラスタを生成するクラスタ生成部と、をさらに有し、
前記速度計算部は、前記クラスタ生成部が生成した前記クラスタごとに当該のクラスタに含まれる前記レーダ信号点それぞれの相対速度を計算する、
ことを特徴とする請求項1に記載の物標識別装置。 - 前記識別部が、前記物標に関する前記レーダ信号点それぞれの前記相対速度の値の分布の分散をさらに用いて前記物標の種類を判別する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の物標識別装置。 - 前記識別部が、機械学習のアルゴリズムを用いて前記物標の種類を判別する、
ことを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の物標識別装置。 - 前記機械学習のアルゴリズムが、サポートベクターマシンである、
ことを特徴とする請求項4に記載の物標識別装置。 - 前記レーダ部による1回のレーダスキャンによって取得される前記レーダデータを用いて前記物標の種類の判別を行う、
ことを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の物標識別装置。
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