以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本開示が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載および図面は、適宜、簡略化されている。
実施の形態1.
本実施の形態にかかるヘッドマウントディスプレイ、及びその表示方法について、図を参照して説明する。図1はヘッドマウントディスプレイ100の一部の構成を模式的に示す斜視図である。図2はヘッドマウントディスプレイ100の一部の機能ブロックを示す図である。図1、図2では、主として、ヘッドマウントディスプレイ100の画像表示に関する構成が示されている。図1では、ヘッドマウントディスプレイ100の内部構成が示されており、実際には、図1に示す各構成要素がカバーなどで覆われていてもよい。
ヘッドマウントディスプレイ100は、ゲーム用、エンターテインメント用、産業用、医療用、フライトシミュレータ用などの様々な用途に適用可能である。ヘッドマウントディスプレイ100は、例えばVR(Virtual Reality)ヘッドマウントディスプレイやAR(Augmented Reality)ヘッドマウントディスプレイやMR(Mixed Reality)ヘッドマウントディスプレイである。なお、本実施の形態では、ヘッドマウントディスプレイ100が、ARやMRに用いられるオプティカルシースルータイプのヘッドマウントディスプレイとなっているが、非透過型のヘッドマウントディスプレイであってもよい。
以下、説明の明確化のため、XYZ3次元直交座標系を用いて説明を行う。ユーザを基準として、前後方向(奥行方向)をZ方向、左右方向(水平方向)をX方向、上下方向(鉛直方向)をY方向とする。前方向を+Z方向、後ろ方向を-Z方向、右方向を+X方向、左方向を-X方向、上方向を+Y方向、下方向を-Y方向とする。
図示しないユーザが、ヘッドマウントディスプレイ100を装着している。ヘッドマウントディスプレイ100は、表示素子部101と、フレーム102と、左眼用光学系103Lと、右眼用光学系103Rと、制御部105を備えている。制御部105は、制御部105Lと制御部105Rとを備えている。
フレーム102はゴーグル形状や眼鏡形状を有しており、図示しないヘッドバンドなどによりユーザの頭部に装着される。フレーム102には、表示素子部101、左眼用光学系103L、右眼用光学系103R、制御部105L、制御部105Rが取り付けられている。なお、図1では、両眼式のヘッドマウントディスプレイ100が図示されているが、眼鏡形状を有するヘッドマウントディスプレイや、単眼式のヘッドマウントディスプレイであってもよい。
表示素子部101は、左眼用表示素子101Lと右眼用表示素子101Rを備えている。左眼用表示素子101Lは、左眼用の表示画像を生成する。右眼用表示素子101Rは、右眼用の表示画像を生成する。左眼用表示素子101L、及び右眼用表示素子101Rはそれぞれ液晶モニタや有機EL(Electro-Luminescence)モニタなどのフラットパネルディスプレイを備えている。左眼用表示素子101L、及び右眼用表示素子101Rは曲面形状を有するディスプレイでもよい。左眼用表示素子101Lと右眼用表示素子101Rは、それぞれアレイ状に配置された複数の画素を備えている。ここでアレイ状の配置とは、2次元行列の配置だけでなく、ペンタイル配列などでもよい。左眼用表示素子101Lは右眼用表示素子101Rの左側(-X側)に配置されている。
表示素子部101の上方(+Y側)には、制御部105が設けられている。制御部105には、外部からの映像信号、制御信号、電源が供給されている。例えば、HDMI(登録商標)などの有線接続、又はWiFi(登録商標)やBlueTooth(登録商標)等の無線接続によって、映像信号等が制御部105に入力される。ヘッドマウントディスプレイ100は、映像信号を生成する映像生成部(図示せず)を備えていてもよく、制御部105には、映像生成部が生成した映像信号等が入力されてもよい。
制御部105L、制御部105RはCPU(Central Processing Unit)、及びメモリなどのハードウェア資源を備えており、メモリに格納されたコンピュータプログラムにしたがって動作する。さらに、制御部105L、制御部105Rはそれぞれ、ディスプレイの駆動回路等を備えている。制御部105Lは、映像信号、制御信号等に基づいて、左眼用画像の表示信号を生成して、左眼用表示素子101Lに出力する。これにより、左眼用表示素子101Lは、左眼用画像を表示するための表示光を出力する。制御部105Rは、映像信号、制御信号等に基づいて、右眼用画像の表示信号を生成して、右眼用表示素子101Rに出力する。これにより、右眼用表示素子101Rは、右眼用の表示画像を表示するための表示光を出力する。つまり、制御部105は表示信号を表示素子部101に出力する。さらに、制御部105L,制御部105Rは後述する光源501L、501Rを制御する。
なお、表示素子部101は、左眼用表示素子101Lと右眼用表示素子101Rを別々の表示素子とする構成に限らず、単一の表示素子とする構成としてもよい。単一の表示素子が、左眼用の表示画像と右眼用の表示画像とを生成してもよい。この場合、表示素子部101は、ディスプレイの表示領域の片側の一部を用いて、左眼用画像を生成し、反対側の一部を用いて、右眼用画像を生成する。
表示素子部101、制御部105等の一部又は全部は、フレーム102に固定されている構成に限らず、フレーム102に対して脱着可能に設けられていてもよい。例えば、スマートフォン又はタブレットコンピュータ等をフレーム102に対して取り付けることで、表示素子部101、制御部105等を実現してもよい。この場合、スマートフォン等にヘッドマウントディスプレイ用の表示画像を生成するアプリケーションプログラム(アプリ)を予めインストールしておけばよい。
左眼用光学系103Lは、左眼用表示素子101Lが出力した表示光を、左眼用画像としてユーザの左眼ELに導く。右眼用光学系103Rは、右眼用表示素子101Rが出力した表示光を、右眼用画像としてユーザの右眼ERに導く。左眼用光学系103Lは右眼用光学系103Rの左側(-X側)に配置されている。左眼用光学系103Lは、ユーザの左眼ELの前方(+Z方向)に配置されている。右眼用光学系103Rは、ユーザの右眼ERの前方(+Z方向)に配置されている。ユーザは、表示素子部101が生成した表示画像の虚像を正面前方(+Z方向)に視認することができる。
本実施の形態にかかるヘッドマウントディスプレイ100は、半透過型のヘッドマウントディスプレイ100である。従って、左眼用光学系103L、及び右眼用光学系103Rは、後述するコンバイナを備えている。半透過型のヘッドマウントディスプレイ100では、表示素子部101からの表示光と、外光とが、左眼EL及び右眼ERに入射する。よって、ユーザは、前方(+Z方向)の景色に表示画像が重畳した重畳画像を視認することができる。
以下、左眼用光学系103Lと右眼用光学系103R(以下、まとめて単に光学系と称する)の例について説明する。図3は、光学系を模式的に示す側面図である。図4は、光学系を模式的に示す上面図である。なお、左眼用光学系103Lと右眼用光学系103Rとは同様の構成となっているため、右眼用光学系103Rの説明については適宜省略する。
左眼用光学系103Lは、コンバイナ121Lと、ビームスプリッタ122Lと、遮光部150Lと、を備えている。コンバイナ121L、ビームスプリッタ122L、及び遮光部150Lは、図1で示したフレーム102に固定されている。
コンバイナ121Lは凹面鏡となっており、ビームスプリッタ122Lは平面鏡となっている。コンバイナ121L、及びビームスプリッタ122Lはハーフミラー等のビームスプリッタであり、入射光の一部を反射して、一部を透過する。コンバイナ121Lの反射の比率と透過の比率とが等しいとすると、コンバイナ121Lは、入射光のほぼ半分の光量を透過し、残りの半分を反射する。同様に、ビームスプリッタ122Lの反射の比率と透過の比率とが等しいとすると、ビームスプリッタ122Lは、入射光のほぼ半分の光量を透過し、残りの半分を反射する。コンバイナ121L及びビームスプリッタ122Lは、反射の比率を増やし透過の比率を減らしてもよいし、反射の比率を減らし透過の比率を増やしてもよい。
コンバイナ121L、及びビームスプリッタ122Lはユーザの左眼ELの正面前方(+Z方向)に配置されている。また、コンバイナ121Lは、ビームスプリッタ122Lの前方(+Z方向)に配置されている。
ビームスプリッタ122Lの上方(+Y方向)には、左眼用表示素子101Lが配置されている。左眼用表示素子101Lは表示画像を形成するための表示光PL11を出射する。つまり、左眼用表示素子101Lは、左眼ELの前方斜め上に配置されている。
遮光部150Lは、ビームスプリッタ122Lの下方(-Y方向)に配置されている。つまり、遮光部150Lは、左眼ELの前方斜め下に配置されている。遮光部150Lは、後述するコンバイナ121Lから左眼ELまでの表示光PL13の光路PLL13の下側に配置されている。遮光部150Lは、前方斜め下の視界を遮るために設けられている。遮光部150Lは光を吸収する黒色材料などで形成されている。遮光部150Lの代わりに、前方斜め下を視認するための下部窓を設けてもよい。
左眼用表示素子101Lからの表示光PL11について説明する。左眼用表示素子101Lの表示面は、鉛直下方(-Y方向)に向いている。したがって、左眼用表示素子101Lからの表示光PL11は、-Y方向に出射される。
左眼用表示素子101Lの下方(-Y方向)には、ビームスプリッタ122Lが傾斜して配置されている。左眼用表示素子101Lからの表示光PL11は、ビームスプリッタ122Lに入射する。ビームスプリッタ122Lは、表示光PL11の一部を反射する。ビームスプリッタ122Lで反射された表示光PL11を表示光PL12とする。また、ビームスプリッタ122Lを透過した残りの表示光PL11は、遮光部150Lで吸収される。
ビームスプリッタ122Lで反射した表示光PL12は、前方(+Z方向)に反射される。そして、表示光PL12は、コンバイナ121Lに入射する。コンバイナ121Lは、後方(-Z方向)に表示光PL12の一部を反射する。コンバイナ121Lで反射された表示光PL12を表示光PL13とする。さらに、コンバイナ121Lは凹面鏡であり、表示光PL13を左眼ELに向けて集光するように、表示光PL13を反射する。ここで、左眼ELに集光する表示光PL13が取り得る光路すべてを表示光PL13の光路とする。例えば側面視において、表示光PL13の取り得る光路の上限は光路PLH13となり、表示光PL13の取り得る光路の下限は光路PLL13となる。コンバイナ121Lで反射された表示光PL13は、ビームスプリッタ122Lに入射する。ビームスプリッタ122Lは、表示光PL13の一部を透過する。
ビームスプリッタ122Lを透過した表示光PL13は、左眼ELに入射する。このように、左眼用光学系103Lが、左眼用表示素子101Lからの表示光PL11を、ユーザの左眼ELに導く。光学系により、ユーザの前方(+Z方向)に虚像を表示させることができる。また、コンバイナ121Lとして凹面鏡を用いているため、表示画像が拡大して表示される。
次に、ユーザの前方(+Z方向)からの外光PL21について説明する。外光PL21の一部は、コンバイナ121Lを透過する。コンバイナ121Lを透過した外光PL21は、ビームスプリッタ122Lに入射する。ビームスプリッタ122Lは、外光PL21の一部を透過する。ビームスプリッタ122Lを透過した外光PL21は、左眼ELに入射する。
ヘッドマウントディスプレイ100が半透過型であるため、コンバイナ121Lは、前方(+Z方向)からの外光PL21と左眼用表示素子101Lからの表示光PL11を合成する。ユーザの前方(+Z方向)にコンバイナ121Lを設けることで、ヘッドマウントディスプレイ100を光学シースルー方式とすることができる。ユーザの前方(+Z方向)の景色に、表示画像が重畳される。つまり、ユーザは、表示画像が重畳された景色を視認することができる。
さらに、遮光部150Lの上面には、テスト光PL51を発生する光源501Lが設けられている。光源501Lは、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。光源501Lは、ビームスプリッタ122Lの直下に配置されている。光源501Lの配置はビームスプリッタ122Lの直下に限らず、ビームスプリッタ122Lよりも下方(-Y方向)に配置されていればよい。光源501Lが発生したテスト光PL51は、下側(-Y側)からビームスプリッタ122Lに入射する。光源501Lから出射したテスト光PL51の光軸は、Y方向と平行になっている。
テスト光PL51の一部はビームスプリッタ122Lで後方(-Z方向)に反射される。ビームスプリッタ122Lを透過した残りのテスト光PL51は、左眼用表示素子101Lで吸収される。ビームスプリッタ122Lで反射したテスト光PL51をテスト光PL52とする。テスト光PL52の光軸は、Z方向と平行になっている。テスト光PL52は、左眼ELに入射する。よって、ユーザが、光源501Lの虚像を前方(+Z方向)に視認することができる。
テスト光PL51は、表示光PL11がビームスプリッタ122Lに入射する側と反対側からビームスプリッタ122Lに入射する。テスト光PL51は、ビームスプリッタ122Lでユーザの方向に反射される。このようにすることで、表示光PL13にテスト光PL52が重畳してユーザに視認される。テスト光PL51は、コンバイナ121Lで反射していない。このため、光源501Lの虚像は表示画像の虚像よりも手前側に形成される。
左眼用光学系103Lと右眼用光学系103Rの構成は左右対称になっている。従って、遮光部150Rには、テスト光PR51を発生する光源501Rが同様に設けられている。光源501Rからのテスト光PR51は下側(-Y側)からビームスプリッタ122Rに入射する。テスト光PR51はビームスプリッタ122Rで反射する。ビームスプリッタ122Rで反射したテスト光PR52は、右眼ERに入射する。
光源501Lと光源501Rは、瞳孔間距離の標準値に対応する距離だけ、左右(X方向)に離れて配置されている。光源501Lと光源501RのY方向及びZ方向の位置は同じになっている。テスト光PL51、PR51は可視光である。テスト光PL51、PR51を同じ色とすることで、ユーザが違和感なく調整を行うことができる。なお、テスト光PL51、PR51は異なる色であってもよい。
図5は、制御部105Lを示す制御ブロック図である。なお、制御部105Lと制御部105Rとは同様の制御を行っているため、以下の説明では制御部105Rについては、説明を省略する。制御部105Lは、表示画像生成部511と、テスト画像生成部512と、切替部513と、を備えている。切替部513には、外部からの切替信号が入力されている。切替信号は、ヘッドマウントディスプレイ100のモードを切替えるための制御信号である。ヘッドマウントディスプレイ100のモードには、テストモードと通常モードとがある。
表示画像生成部511は、通常の表示画像を生成し、表示画像に応じた表示信号を切替部513に出力する。テスト画像生成部512は、テスト画像を生成し、テスト画像に応じたテスト信号を切替部513に出力する。テスト画像は、ユーザがヘッドマウントディスプレイの装着状態を調整するための画像である。
切替部513には、モードを切り替えるために切替信号が入力されている。切替部513は、切替信号に応じて、左眼用表示素子101Lに出力される信号を切り替える。装着状態を調整するためのテストモードでは、左眼用表示素子101Lにテスト画像用のテスト信号が供給される。テストモード時には、左眼用表示素子101Lは、テスト信号に基づいて表示を行う。通常モードでは、左眼用表示素子101Lに通常の表示画像用の表示信号が供給される。通常モード時には、左眼用表示素子101Lは、表示信号に基づいて表示を行う。
例えば、ユーザ入力に応じて、切替信号が発生する。ユーザが図示しないスイッチやボタン等を操作すると、切替信号が発生する。切替信号により、制御部105Lがヘッドマウントディスプレイ100のモードを切り替えることができる。ユーザがボタンなどを押すことで、装着状態を調整するテストモードとすることができる。そして、ユーザは調整を終了したら、ボタンを押すことで、通常モードに切り替わる。このようにすることで、正しい装着位置で表示画像を表示することができる。切替信号はユーザ入力に応じて発生する構成に限らず、切替信号を発生させるモード制御部(図示せず)を、制御部105Lに備えていてもよい。モード制御部は例えば、各種センサ等の入力に基づいてテストモードと通常モードとを判別し、判別結果を切替信号として切替部513に入力する。
さらに、切替信号が、光源501Lに入力されている。テストモード時に光源501Lが点灯して、テスト光PL51を発生する。テストモード時には、テスト画像用の表示光PL13とテスト光PL52とが重畳されることになる。一方、通常モード時には、光源501Lが消灯して、テスト光PL51を発生しない。切替信号に応じて、光源501Lの点灯と消灯が切り替えられる。
図6を用いて、テスト画像について説明する。図6は、テスト画像の一例を示す図である。左眼用のテスト画像をテスト画像ILとし、右眼用のテスト画像をテスト画像IRとする。左眼用表示素子101Lは、制御部105Lのテスト画像生成部512で生成された表示信号に基づいて、テスト画像ILを生成している。右眼用表示素子101Rは、制御部105Rのテスト画像生成部512で生成された表示信号に基づいて、テスト画像IRを生成している。ユーザは、左眼用光学系103Lを介して、テスト画像ILを視認し、右眼用光学系103Rを介してテスト画像IRを視認する。
テスト画像ILとテスト画像IRはそれぞれ十字状のパターンを有している。テスト画像ILは縦方向のガイドライン601Lと横方向のガイドライン602Lを有している。テスト画像IRは縦方向のガイドライン601Rと横方向のガイドライン602Rを有している。ガイドライン601L、601Rは、上下方向(Y方向)に沿った直線であり、ガイドライン602L、602Rは、左右方向(X方向)に沿った直線である。
ガイドライン601Lとガイドライン602Lは交差している。ガイドライン601Lとガイドライン602Lの交点を交点603Lとする。ガイドライン601Rとガイドライン602Rは交差している。ガイドライン601Rとガイドライン602Rの交点を交点603Rとする。
図7は、正しい装着状態で視認されるテスト画像IL、IRとテスト光PL52、PR52とを模式的に示す図である。テスト光PL52、PR52がガイドラインの交点603L、603Rにそれぞれ一致した状態となる。つまり、正しい装着位置(以下、正常位置とする)にある状態で、光源501L、501Rの虚像が交点603L、603Rに一致するようにテスト画像IL、IRが形成されている。
図8~図11は、正常位置からずれた状態で視認されるテスト画像IL、IRとテスト光PL52、PR52とを模式的に示す図である。つまり、図8~図11は、ユーザの視野(視界)において、テスト画像IL、IRに重畳される光源501L、501Rの虚像の位置を示している。
図8では、ヘッドマウントディスプレイ100の装着位置が正常位置から上方向(+Y方向)にずれている状態を示している。視野において、ガイドライン602L、602Rの位置が下方向(-Y方向)にずれる。よって、テスト光PL52、PR52が交点603L、603Rから上方向(+Y方向)にずれて視認される。ユーザが正常位置ではないことを認識することができる。よって、ユーザが正しく装着するように促すことができる。
図9は、ヘッドマウントディスプレイ100の装着位置が正常位置から下方向(-Y方向)にずれている状態を示している。視野において、ガイドライン602L、602Rの位置が上方向(+Y方向)にずれる。よって、テスト光PL52、PR52が交点603L、603Rから下方向(-Y方向)にずれて視認される。ユーザが正常位置ではないことを認識することができる。よって、ユーザが正しく装着するように促すことができる。図8、又は図9のように視認された場合、ユーザがヘッドマウントディスプレイを上下方向(Y方向)にずらすことで、表示画像を正しい位置に表示させることができる。
図10は、ヘッドマウントディスプレイ100の装着位置が正常位置から右方向(+X方向)にずれている状態を示している。視野において、ガイドライン601L、601Rの位置が左方向(-X方向)にずれる。よって、テスト光PL52、PR52が交点603L、603Rから右方向(+X方向)にずれて視認される。ユーザが正常位置ではないことを認識することができる。よって、ユーザが正しく装着するように促すことができる。
図11は、ヘッドマウントディスプレイ100の装着位置が正常位置から左方向(-X方向)にずれている状態を示している。視野において、ガイドライン601L、601Rの位置が右方向(+X方向)にずれる。よって、テスト光PL52、PR52が交点603L、603Rから左方向(-X方向)にずれて視認される。ユーザが正常位置ではないことを認識することができる。よって、ユーザが正しく装着するように促すことができる。図10、又は図11のように視認された場合、ユーザがヘッドマウントディスプレイを左右方向(X方向)にずらすことで、表示画像を正しい位置に表示させることができる。
このように、テスト画像IL,IRにテスト光PL52,PR52を重畳させることにより、正しい装着位置に装着するようにユーザに促すことができる。テスト光PL52、PR52が交点603L、603Rに重畳するように、ユーザが装着状態を調整すればよい。ユーザは、装着位置の調整方向を直感的に把握することができる。よって、ユーザが、速やかに調整を行うことができる。本実施の形態によれば、簡便な構成で、表示画像を正しい位置に表示すること可能になる。
なお、左眼ELと右眼ERとの間の瞳孔間距離が標準値(以下、標準値SPD)と異なるユーザについては、テスト光PL52、PR52が交点603L、603Rと一致しなくなる。図12,図13を用いて、標準値SPDよりも瞳孔間距離が広いユーザと、標準値SPDよりも瞳孔間距離が狭いユーザにおける正しい装着位置の視界イメージを説明する。成人男性の場合、瞳孔間距離の標準値SPDは、64mmとなる。
図12は、標準値SPDよりも広い瞳孔間距離を有するユーザが装着した状態を示している。テスト光PL52が交点603Lよりも右方向(+X方向)にずれ、テスト光PR52が交点603Rよりも左方向(-X方向)にずれている。左右のずれ量を同じにする。つまり、瞳孔間距離が広いユーザは、テスト光PL52,PR52が交点603L、603Rから左右均等に内側にずれるように調整すればよい。
図13は、標準値SPDよりも狭い瞳孔間距離を有するユーザが装着した状態を示している。テスト光PL52が交点603Lよりも左方向(-X方向)にずれ、テスト光PR52が交点603Rよりも右方向(+X方向)にずれている。左右のずれ量を同じにする。つまり、瞳孔間距離が狭いユーザは、テスト光PL52,PR52が交点603L、603Rから左右均等に外側にずれるように調整すればよい。
このように瞳孔間距離が標準値SPDと異なるユーザでは、交点603L、603Rに対して、テスト光PL52,PR52が左右反対方向にずれる。よって、ユーザは、瞳孔間距離が標準値SPDからずれていることを認識することができる。瞳孔間距離が標準値SPDからずれているユーザに対しては、図示しない調整機構を設けて光学系の調整を促すようにしてもよい。
本実施の形態では、テスト光PL52、PR52をテスト画像IL、IRに重畳させることで、ユーザが正常位置に装着していないことを認識することができる。このため、ユーザに正常位置に装着するように促すことができる。前方の景色の適切な位置に、表示画像を重畳させることができる。さらに、光源501L、501Rの点灯と消灯のみにより部品の脱着などを伴わずに、通常モードとテストモードとを切替えることができる。よって、簡便な構成で正しい位置に表示画像を表示することができる。
なお、表示素子部101は、十字パターンを有するテスト画像IL、テスト画像IRを生成しているが、テスト画像IL、IRは図示した例に限定されるものではない。例えば、正常位置でのテスト光PL51、PR51の位置を中心とする円のパターンをテスト画像IL、IRとして、表示してもよい。テスト画像IL、テスト画像IRにずれ量を示す目盛りなどを追加してもよい。テスト画像ILとテスト画像IRは同時に表示させてもよく、別々のタイミングで表示させてもよい。
図3、及び図4は、光学系の一例を示すものであり、光学系は、図3、及び図4の構成に限られるものではない。光学系は、表示素子部101からの表示光PL11、PR11を、左眼EL及び右眼ERに導くことができるものであればよい。例えば、ビームスプリッタ122Lとして、偏光状態に応じて光を透過又は反射する偏光ビームスプリッタを用いることができる。さらに、コンバイナ121Lである凹面鏡は、半透過鏡(ハーフミラー)ではなく、全反射鏡であってもよい。つまりコンバイナ121Lは反射部材であればよい。凹面鏡として全反射鏡を用いる場合、外光PL21が視認されない。したがって、本実施の形態の構成は、没入型のヘッドマウントディスプレイ100にも適用可能である。
また、図3、図4は、左眼用光学系103Lと右眼用光学系103Rにおいて、ビームスプリッタ122Lとビームスプリッタ122Rが別々に設けられているが、左眼用光学系103Lと右眼用光学系103Rの間で、ビームスプリッタを共通化してもよい。つまり、コンバイナ121Lの後方(-Z方向)の空間からコンバイナ121Rの後方(-Z方向)の空間に渡る1枚のビームスプリッタを用いてもよい。
なお、上記の説明では、ユーザが装着状態を調整したが、装着状態ではなく、光学系を調整してもよい。例えば、コンバイナ121L、121R又はビームスプリッタ122L、122Rの傾きを調整してもよい。あるいは、左眼用表示素子101L、又は右眼用表示素子101Rの傾きを調整してもよい。光学系を調整する場合、傾きを変えるつまみなどをヘッドマウントディスプレイ100に設けてもよい。
本実施の形態にかかる調整方法は、テスト画像用の表示光PL11、PR11とテスト光PL51,PR51とを発生させるステップと、ユーザがテスト画像に重畳されたテスト光PL52,PR52を視認しながら、装着状態又は光学系を調整するステップと、を有している。これにより、簡便に表示位置を調整することができる。
実施の形態2.
図14、及び図15を用いて、実施の形態2にかかるヘッドマウントディスプレイ100について説明する。図14は、ヘッドマウントディスプレイ100の構成を示す側面図であり、図15は、上面図である。実施の形態2では、前方斜め下の視界を得るための下部窓130L、130Rが設けられている。ヘッドマウントディスプレイ100の基本的な構成、及び制御については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。また、本実施の形態においても、左眼用光学系103Lと右眼用光学系103Rの構成は同様であるため、右眼用光学系103Rの説明については適宜省略する。
下部窓130Lは、ビームスプリッタ122Lの下方(-Y方向)に配置されている。つまり、下部窓130Lは、左眼ELの前方斜め下に配置されている。下部窓130Lは、前方斜め下の視界を得るために設けられている。ユーザが下部窓130Lを介して前方斜め下を視認することができる。ユーザは下部窓130Lの面積の大きさに応じた下方視界を得ることができる。下部窓130Lは、XZ平面に平行に配置されている。もちろん、下部窓130Lを設置する角度は特に限定されるものではない。例えば下部窓130Lは、-Z側が高くなり、かつ、+Z側が低くなる傾斜をつけて配置されてもよい。下部窓130Lは、コンバイナ121Lから左眼ELまでの表示光PL13の光路PLL13の下側に配置されている。
下部窓130Lとしては、ルーバなどを用いることができる。例えば、ルーバは、ビームスプリッタ122Lの直下からの外光を遮光し、前方斜め下からの外光を透過するように設置されている。下部窓130Lとしてルーバを用いることで、斜め下方の視界を確保することができる。また、ルーバではなく、偏光板や半透明板を下部窓130Lとして用いてもよい。
本実施の形態では、斜め下方の視界を妨げないように、上面視において下部窓130Lの外側に光源501Lが配置されている。つまり、下部窓130Lからビームスプリッタ122Lまでの間の光路から外れた位置に光源501Lが配置されている。光源501Lは下部窓130Lよりも左側(-X側)に配置されている。そして、下部窓130Lの上面には、光学素子502Lが配置されている。光源501Rは下部窓130Rよりも右側(+X側)に配置されている。下部窓130Rには、光学素子502Rが配置されている。
光源501Lは、光学素子502Lに向けてテスト光PL51を出射する。光源501Rは、光学素子502Rに向けてテスト光PR51を出射する。光学素子502L、502Rとしては、ガラスビーズ、アルミ箔などの微小な反射材を用いることができる。光学素子502L、502Rが下部窓130L、130Rにそれぞれ設けられている。
光源501Lからのテスト光PL51が左方向から光学素子502Lに入射する。光学素子502Lは反射材であり、テスト光PL51を上方向(+Y方向)に反射する。光学素子502Lで反射したテスト光PL51は、ビームスプリッタ122Lで反射する。ビームスプリッタ122Lで反射したテスト光PL52は、左眼ELに入射する。なお、光学素子502Lは、テスト光PL51をビームスプリッタ122Lに向けて反射させることができるものであればよい。例えば、光学素子502Lは光ファイバなどの導光部材であってもよい。
光源501Rからのテスト光PR51が右方向から光学素子502Rに入射する。光学素子502Rは光学素子502Lと同様の反射材であり、テスト光PR51を上方向(+Y方向)に反射する。光学素子502Rで反射したテスト光PR51は、ビームスプリッタ122Rで反射する。ビームスプリッタ122Rで反射したテスト光PR52は、右眼ERに入射する。なお、光学素子502Rは、テスト光PR51をビームスプリッタ122Rに向けて反射させることができるものであればよい。例えば、光学素子502Rは光ファイバなどの導光部材であってもよい。
このようにすることで、下部窓130L、130Rを有するヘッドマウントディスプレイ100であっても、ユーザに対して装着位置の調整を促すことができる。さらに、光学素子502Lとして光源501Lよりも小さい部品を用いることができるため、下部窓130Lの視界を妨げる領域を小さくすることができる。さらに、光源501Lの配線が視界の妨げとなるのを防ぐことができる。よって、より広い視界を確保することができる。
なお、光源501L、501Rの配置は、図示した構成に限られるものではない。光源501Lは、下部窓130Lとビームスプリッタ122Lとの間であり、かつコンバイナ121Lから左眼ELまでの表示光PL13の光路から外れた位置に配置されればよい。光源501Rは、下部窓130Rとビームスプリッタ122Rとの間であり、かつコンバイナ121Rから右眼ERまでの表示光PR13の光路から外れた位置に配置されればよい。光源501L、501Rは、下部窓130Lの前後方向(Z方向)や斜め方向から光学素子502L、502Rにテスト光PL51、PR51を出射してもよい。なお、下部窓130L、130Rの代わりに、実施の形態1と同様に遮光部150L、150Rを設けてもよい。つまり、表示光PL13、PR13の光路PLL13、PRL13よりも下側に底部が設けられていればよい。
実施の形態3.
実施の形態1で説明したように、ユーザの瞳孔間距離に応じて、テスト画像IL、IRにおける光源501L、501Rの虚像の位置が変化する。したがって、ユーザは、自身の瞳孔間距離が標準値からずれているか否かを認識することができる。本実施の形態3では、ユーザの瞳孔間距離が標準値からずれている場合、瞳孔間距離の調整モードとしている。調整モードにおいて、瞳孔間距離を測定して、測定した瞳孔間距離を表示画像の生成に反映する。
具体的には、本実施の形態では、ユーザの瞳孔間距離に基づいて、制御部105が制御を行っている。図16、及び図17を用いて、本実施の形態3のヘッドマウントディスプレイ100について説明する。図16は、制御部105Lの構成を示すブロック図である。図17は、光学系と、テスト画像を説明するための模式図である。本実施の形態3のヘッドマウントディスプレイ100のモードには、調整モードがある。なお、基本的な構成、及び制御については、実施の形態1,2と同様であるため説明を省略する。
テスト画像生成部512には、外部からの調整信号が入力されている。調整信号に応じて、調整モードに切り替わる。例えば、ユーザの瞳孔間距離が標準値SPDと異なる場合、ユーザが図示しない調整ボタンを押す。これにより調整モードへ切り替えるための調整信号が発生し、ヘッドマウントディスプレイ100が調整モードに切り替わる。調整信号には、調整モードへ切り替えるための信号の他に、瞳孔間距離を測定するための指示をする信号を含んでいてもよい。調整信号はユーザ入力に応じて発生する構成に限らず、調整信号を発生させる調整制御部(図示せず)を、制御部105Lに備えていてもよい。調整制御部は例えば、各種センサ等の入力に基づいてユーザの瞳孔間距離が標準値SPDと異なることを検知した場合に、調整信号をテスト画像生成部512に入力する。
調整モードでは、テストモードと同様に、表示光PL13と、テスト光PL52が左眼ELに到達する。テスト画像生成部512は、調整信号に応じて、テスト画像を生成する。瞳孔間距離を測定するためにテスト画像生成部512は、調整信号に基づいてテスト画像を変更している。なお、調整モードに切り替わったときにヘッドマウントディスプレイ100のモードが通常モードであった場合には、制御部105は光源501L、501Rを点灯させる。
図17では、光源501L、501Rの虚像を虚像V501L、V501Rとして示している。図17に示すように、虚像V501Lと虚像V501Rとの間の光源間距離DSが、瞳孔間距離の標準値SPDと一致している。虚像V501L、V501Rは、ユーザの前方に形成されている。
テスト画像ILは、円形のマーカ611Lを有している。テスト画像IRは円形のマーカ611Rを有している。テスト画像生成部512は、ユーザにとってそれぞれ無限遠に円形のマーカ611L,611Rが定位するように認識させるように、テスト画像IL、IRを表示させる。具体的にはテスト画像生成部512は、テスト画像IL、IRの虚像において円形のマーカ611L,611Rの間の距離が標準値SPDと等しくなるようにテスト画像IL、IRを表示させる。マーカ611Lとマーカ611Rは同じ大きさ、かつ、同じ色となっている。テスト画像IL、IRの虚像はコンバイナ121L,121Rの前方(+Z方向)に視認される。
テスト画像IL、IRの虚像における円形のマーカ611L,611Rの間の距離と光源501L,501Rの虚像V501L,V501Rの間の光源間距離DSは、それぞれ標準値SPDと等しい。そのため、テスト画像IL、IRの虚像と光源501L,501Rの虚像V501L,V501Rは、ユーザにとってそれぞれ無限遠に定位するように認識される。このため、ユーザが両眼で見ると、テスト画像IL、IRが重なった両眼像ICとして視認される。両眼像ICでは、2つのマーカ611L,611Rが重なった円形パターン620が視認される。ユーザがテスト画像IL、テスト画像IRの虚像に視線を合わせようとすると、2つのマーカ611L、611Rが重複して、1つの円形パターン620として表示される。さらに、光源間距離DSが、標準値SPDと同じ場合、円形パターン620の中心に虚像V501L,V501Rが一致する。
図18、及び図19に、ユーザの瞳孔間距離UPDと、光源間距離DSが異なっている場合について説明する。図18は、ユーザの瞳孔間距離UPDが光源間距離DSよりも広い場合を示している。図19は、ユーザの瞳孔間距離UPDが光源間距離DSよりも狭い場合を示している。なお、光源間距離DSは、瞳孔間距離の標準値SPDと一致している。よって、図18は、ユーザの瞳孔間距離UPDが標準値SPDよりも大きい場合を示している。図19は、ユーザの瞳孔間距離UPDが標準値SPDよりも小さい場合を示している。
図18,図19に示すように、両眼像ICにおいて、円形パターン620の中心から虚像V501L、V501Rがずれる。例えば、ユーザの瞳孔間距離UPDが標準値SPDよりも広い場合、虚像V501Lが円形パターン620の中心の右側(+X側)にずれ、虚像V501Rが円形パターン620の中心の左側(-X側)にずれる。ユーザの瞳孔間距離UPDが標準値SPDよりも狭い場合、虚像V501Rが円形パターン620の中心の右側(+X側)にずれ、虚像V501Lが円形パターン620の中心の左側(-X側)にずれる。図18,図19に示す両眼像ICでは、虚像V501L、V501Rがそれぞれ円形パターン620の内側に収まっているが、これは一例である。両眼像ICにおいて虚像V501L、V501Rは、瞳孔間距離UPDと標準値SPDとの差が大きい場合など、円形パターン620の外側にはみ出すこともある。
ユーザの瞳孔間距離UPDが、標準値SPDが異なる場合、ユーザは、図18、図19のような両眼像ICを視認する。図18、図19では、両眼像ICにおいて、虚像V501L,V501Rが重なっていない。円形パターン620の中心に虚像V501L,V501Rが一致していない両眼像ICを視認した場合、ユーザが図示しない位置調整スタートボタンを押す。これにより、瞳孔間距離を測定するための位置調整のスタートを指示する調整信号が発生する。テスト画像生成部512は位置調整スタートボタンを押されると、マーカ611L、611Rの位置を徐々に変えていく。
具体的には、テスト画像生成部512は位置調整スタートボタンを押されると、テスト画像IL、IRにおけるマーカ611L、611Rの位置を左右にずらしていくようにテスト画像IL,IRを生成する。テスト画像生成部512は、マーカ611L、611Rの位置をそれぞれ同じ距離だけ、かつ、それぞれ反対方向にずらしていく。例えば、マーカ611Lを徐々に左方向(-X方向)にずらすとともに、マーカ611Lと同じずれ量だけマーカ611Rを右方向(+X方向)にずらしていく。この調整方向を第1の位置調整方向とする。あるいは、マーカ611Rを徐々に左方向(-X方向)にずらすとともに、マーカ611Rと同じずれ量だけマーカ611Lを右方向(+X方向)にずらしていく。この調整方向を第2の位置調整方向とする。
テスト画像生成部512は位置調整スタートボタンを押された場合にマーカ611L、611Rの位置を、第1の位置調整方向にずらしていくか、第2の位置調整方向にずらしていくかを任意で決めることができる。テスト画像生成部512は位置調整スタートボタンを押される度に、第1と第2の位置調整方向を切替えてもよい。
このようにすることで、図20の両眼像ICのように、円形パターン620の中心に虚像V501L,V501Rを一致させることができる。図20は、ユーザの瞳孔間距離UPDが光源間距離DSよりも広い場合において、位置をずらしたマーカ611L´、611R´を示している。つまり、図18の位置から、マーカ611Rを左方向(-X方向)にずらしてマーカ611R´とし、マーカ611Lを右方向(+X方向)にずらしてマーカ611L´としている。ユーザは、円形パターン620の中心に虚像V501L,V501Rを一致したタイミングで図示しない位置調整ストップボタンなどを押す。これにより、瞳孔間距離を測定するための位置調整のストップを指示する調整信号が発生する。テスト画像生成部512は位置調整ストップボタンを押されるとマーカ611L´、611R´の位置で変化を止める。これにより、マーカ611L、611Rからマーカ611L´、611R´までの間のずれ量DYに基づいてユーザの瞳孔間距離UPDを測定することが可能となる。
つまり、ユーザが位置調整スタートボタンを押したタイミングにおけるマーカ611L、611Rから位置調整ストップボタンを押したタイミングにおけるマーカ611L´、611R´の間のずれ量DYが、ユーザの瞳孔間距離UPDの標準値SPDからのずれ量に対応する。制御部105は、図18の状態のマーカ611L、611Rと図20の状態のマーカ611L´、611R´の間でのずれ量DYを求め、ずれ量DYを距離に換算する。
これにより、ユーザの瞳孔間距離UPDを測定することができる。制御部105は、測定したユーザの瞳孔間距離UPDをメモリなどに記憶する。制御部105に備えられた表示画像生成部511は、ユーザの瞳孔間距離UPDを、表示画像の生成に反映する。つまり、ユーザの瞳孔間距離UPDに基づいて、制御部105が左右の表示画像を生成する。これにより、より高い表示品質を得ることができる。
マーカ611L、611Rの形状は、円形に限られるものではない。十字、四角形、多角形などのマーカを用いても良い。マーカ611L、611Rは、ユーザが、重なりと中心を認識できる形状であればよい。なお、光源間距離DSは、瞳孔間距離の標準値SPDからずれていてもよい。
テスト光PL51とテスト光PR51とを同じ色とすることで、ユーザが虚像を違和感なく視認することができる。テスト光PL51とテスト光PR51とを異なる色としてもよい。例えばテスト光PL51を第1の色、テスト光PR51を第2の色とする。両眼像ICにおいて中心からずれた虚像V501L、V501Rのどちらが第1の色であるかを判別することで、瞳孔間距離が標準値SPDよりも狭いか広いかを認識することができる。これにより、マーカ611L、611Rをずらす方向を決定することができる。なお、実施の形態1~3は適宜組み合わせることができる。例えば、実施の形態3の制御において、実施の形態2の光学系を用いてもよい。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。上記の実施の形態の2つ以上を適宜組み合わせることも可能である。