JP7357911B2 - 警報器 - Google Patents

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Description

本発明は警報器に関し、より詳細には電気式の警報器に関する。
周囲に対して注意喚起を促すために用いられる車両用保安部品の一つに電気式の警報器がある。従来、このような警報器においては、警報器から放出される警報音の音圧を高めるために警報器を装着した移動体の進行方向前方側に放音部を開口させた構成が採用されている。また、このように進行方向前方側に開口させている場合には、放音部から警報器本体の内部空間への水や塵埃等に代表される異物の侵入を防止するためにメッシュ状の遮蔽板が配設されている。このような警報器としては例えば、特許文献1;特開2009-134158号公報に開示されているような構成が知られている。
特開2009-134158号公報(図2,図7等)
特許文献1で開示されている警報器においては、放音部に設けた遮蔽板に加え、警報器本体の内部にも異物侵入防止用の構成部材が設けられている。このような異物侵入防止用の構成部材を複数採用することで警報器の製造コストが高くなると共に、振動板から生じた警報音が放音部から外部空間に放出されるまでの間に減衰し、放音部から放出される警報音の音圧が低下してしまうといった課題がある。
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは次のとおりである。すなわち本発明は、放音部から放出されるまでの警報音を可及的に減衰させないようにするための構成を簡易かつ低コストの構成で実現した警報器の提供を目的とするものである。
発明者が上記警報器の構成を実現すべく鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち本発明は、音源と、前記音源から発生された振動波の伝播路となる渦巻経路が形成された音道となる本体部と、前記本体部の前面側に設けられ、前記音道を伝播させた前記振動波を外部空間に放出する放音部と、を有する警報器であって、前記放音部の開口部分から所定距離をあけた位置において前記放音部の前記開口部分を覆って前記本体部と対向配置された放音部遮蔽板と、前記放音部の前記開口部分における開口端面を含む平面と平行となるように前記本体部に形成された反射板のうち、少なくともいずれか一方を有していることを特徴とする。
これにより、低コストかつ簡易な構成により、放音部から放出される警報音を減衰させることなく、むしろ増大させることが可能になる。
また、前記反射板の外周縁位置と前記放音部遮蔽板の外周縁位置は、本体部前方側への投影位置が一致していることが好ましい。
これにより、警報器の最大外周寸法を反射板の位置と放音部遮蔽板の位置とで揃えることができ、狭隘部への配設時における警報器のレイアウト設定が容易になる。
また、前記放音部の前記開口部分は、前記本体部前方側に起立する起立部により形成されていることが好ましい。
これにより、放音部から放出させる警報音を本体部前方側に集中させやすくなる。
また、前記本体部は、前記本体部の前面側を形成する第1部材と、前記音源を収容すると共に前記本体部の後面側を形成する第2部材とを有しており、前記放音部遮蔽板は、前記第1部材に保持部材を介して一体に取り付けられていて、前記反射板は、前記第2部材に一体に形成されていることが好ましい。
これにより、警報器の本体部の組み立てが容易になり、警報器の製造コストを低減させることができ、製品の仕上がり寸法が均一化され、設計通りの放音性能を発揮させることができる。
また、前記放音部遮蔽板は、前記本体部が装着される移動体に取り付けられていることが好ましい。
これにより、放音部遮蔽板の配設位置の自由度が高まり、放音部から放出される警報音の音圧を可及的に高めることができる。
本発明における警報器の構成によれば、従来は警報器の後方側に流出していた音圧の一部を反射板により警報器の前方側に反射させることで、放音部の前方位置における警報音の音圧を増大させることが可能になった。また、放音部の前面側の位置の所定距離離反させた位置に放音部遮蔽板を配設した場合には、放音部からの異物の侵入が確実に防止されるので、警報器本体の内部における異物侵入防止用の構成部材の一部またはすべてを省略することができ、警報音の減衰がさらに軽減されると共に警報器の製造コストの大幅な低減が可能になる。
第1実施形態における警報器の組み立て前の斜視図である。 第1実施形態における警報器の斜視図である。 第1実施形態における警報器の側面図である。 放音部遮蔽板および反射板の配設位置と計測音圧の関係と、異なるサイズの反射板を配設した位置と計測音圧の関係を示したグラフである。 第2実施形態における警報器の斜視図である。 第3実施形態における警報器の斜視図である。
以下、本発明における警報器の実施形態について図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1~図3には第1実施形態における警報器が示されている。本実施形態における警報器100は、自動車や船舶等に代表される移動体に装着して用いられ、移動体に搭載されたバッテリ等から供給される電力により作動するいわゆる電気式の警報器100である。本実施形態における警報器100は、図1に示されているように、音源を生成するための図示しない電磁コイルおよび振動板12を有する振動部10と、振動部10を収容すると共に渦巻経路をなす音道を形成する本体部20を有する。本体部20は、移動体の進行方向前方側である本体部20の前面側を構成する第1部材30と、本体部20の移動体の進行方向後方側である本体部20の後面側を構成する第2部材40とを有している。
振動部10は、後面側に移動体のバッテリからの電力を供給するためのコネクタ13と、警報器100を移動体に取り付けるためのブラケット14が取り付けられていて、後述する本体部20の内部空間に収容されている。バッテリからの電力はコネクタ13を介して図示しない電磁コイルに間欠的に供給され、電磁コイルに挿入されているシャフト11を振動させ、シャフト11に取り付けられた振動板12を振動させることにより警報音の音源となる振動波を発生させるものである。このような振動部10の構成は公知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
本実施形態における警報器100において振動部10の側面および前方を覆う本体部20は、第1部材30と第2部材40とにより形成されている。本実施形態における第1部材30は、第2部材40の前面側を覆うカバー32と警報器100の放音部50の一部となる起立部34が形成されている。また、カバー32または起立部34には図示しない保持部材を介して放音部遮蔽板36が取り付けられている。放音部遮蔽板36は、放音部50の前方側における所定距離をあけた位置で本体部20に対向配置され、放音部50の開口部分を覆っている。
放音部遮蔽板36は放音部50の開口部分における開口端面52を含む平面と平行に設けられていて、少なくとも放音部50の開口部分を本体部前方側の鉛直面に投影させた範囲を遮蔽することができる大きさを有している。従来技術において放音部50の前方側に配設されている異物侵入防止用の構成部材としての遮蔽部材は、いわゆるメッシュ構造やラティス構造が採用されているのに対し、本実施形態における放音部遮蔽板36は、単純な平板状に形成されている点で構成が明確に相違している。
本実施形態における第2部材40は図1に示すように、第1側壁41、隔壁42、渦巻板44、第2側壁45、起立部46、反射板47を有する。第1側壁41と隔壁42は振動部10の側面および前方を被覆するものである。隔壁42の中央部分には連通孔43が穿設されている。連通孔43は渦巻板44の起点かつ中心点に位置し、振動部10と渦巻板44により形成される渦巻き音道とを連通させるものである。渦巻板44は、連通孔43を起点(中心点)として、隔壁42の前面側において連通孔43から徐々に離反しながら隔壁42の外側に向けて周回する渦巻き状をなすように立設されている。
また、隔壁42の外周縁位置には第1側壁41とは反対側に起立する第2側壁45が設けられていて、隔壁42の下側部分には放音部50の一部を構成する起立部46が設けられている。また第2部材40には、第2部材40と第1部材30とを一体化させた際において、第1部材30のカバー32と同じ平面を形成するように起立部46の基部において起立部46の突出方向と直交する方向に鍔状に延出する反射板47が形成されている。すなわち、反射板47は放音部50の開口部分よりも広い範囲を覆うように形成されているのである。
以上に説明した振動部10と第1部材30と第2部材40とを一体に組み立てることにより警報器100が形成され、第1部材30と第2部材40とからなる本体部20の内部空間に位置する渦巻板44等により振動波を伝播させる渦巻経路(伝播路)からなる音道が形成され、第1部材30の起立部34と第2部材40の起立部46とにより放音部50が形成されることになる。また、図1~図3に示すように、反射板47の外周縁位置と放音部遮蔽板36の外周縁位置は、本体部前方側における鉛直面への投影位置が一致するようにしておくことが好ましい。これにより、警報器100の最大外周寸法を放音部遮蔽板36と反射板47の位置で揃えることができ、自動車のボンネット内等の狭隘部における警報器100の配設時におけるレイアウト設定が容易になる点で好都合である。
以上に説明したように、本実施形態における警報器100は、放音部50の開口部分の前方位置に放音部50の開口部分の全面を覆う放音部遮蔽板36を単に配設した場合においては、放音部50から外部空間に放出される警報音が警報器100の前方側(移動体の進行方向前方側)で遮蔽されてしまうことになる。しかしながら本願発明者が実験を行ったところ、放音部50の開口面の前方側であっても所定距離をあけた位置であれば、放音部遮蔽板36を配設したときの警報音の計測音圧が放音部遮蔽板36を配設しなかったときの警報音の計測音圧を上回る位置があることを見出した。
図4は、上側のグラフが放音部遮蔽板の放音部の開口面から前方側への離間距離と計測音圧の関係を示したグラフと、反射板の放音部の開口面から後方側への離間距離と計測音圧の関係を示したグラフである。また、下側のグラフは異なるサイズの反射板を用いた際移おける反射板の放音部の開口面から後方側への離間距離と計測音圧の関係を示したグラフである。本実験においては、放音部遮蔽板や異物侵入防止用の構成部材を配設していない渦巻き音道を有する警報器を用い、警報器を搭載した移動体の進行方向前方に放音部を向けた状態で行った。振動板により生成される警報音の周波数が500Hz、放音部の開口部分の寸法を50mm×63mmとした。本実験においては、反射板は警報器の本体部とは別体の平板を用い、放音部遮蔽板および反射板の寸法は100mm×100mmとした。なお、警報音の計測位置は警報器の警報音を計測する際における条件に従っている。
放音部遮蔽板36の実験結果について説明する。放音部50の開口部分における端面から放音部遮蔽板36の放音部50の側の面までの離間距離(所要距離)が45mmまでの位置では、放音部遮蔽板36を配設したときの警報音の計測音圧が放音部遮蔽板36を配設しなかったときの警報音の計測音圧を下回っていることがわかる。これに対し、放音部50の開口部分における端面から放音部遮蔽板36の放音部50の側の面までの離間距離が45mmを超えた位置では、放音部遮蔽板36を配設したときの警報音の計測音圧が放音部遮蔽板36を配設しなかったときの警報音の計測音圧を最大で2dBA程度上回っていることがわかる。
また、放音部50の開口部分の前方側を放音部遮蔽板36により完全に遮蔽した状態にすることで、本体部20の内部空間への水や塵埃に代表される異物の侵入を確実に防止することができる。これにより、本体部20の内部空間に異物の侵入を防止するための部材の配設を省略することができ、警報器100の構造が単純化され、警報器100の軽量化や製造コストの低減に加え、警報音の減衰を回避することができる点において好都合である。
次に、反射板の実験結果について説明する。図4の上側のグラフにおいては、放音部の開口部分における端面から後方側への距離xが0mm≦x<40mmの位置に反射板を配設した場合、反射板を配設していない場合と同等以上の音圧が計測された。この範囲においては、x=5mmのときの計測音圧が最高値となっている。このときの最高値は反射板を配設しなかったときの警報音の計測音圧を最大で2dBA程度上回っていることがわかる。放音部の開口部分における端面から後方側への距離xが40mm≦x<70mmの位置に反射板を配設した場合、反射板を配設していない場合よりも低い音圧が計測された。この範囲においては、x=50mmのときの計測音圧が最低値となっている。放音部の開口部分における端面から後方側への距離xが70mm≦x<115mmの位置に反射板を配設した場合、反射板を配設していない場合と同等以上の音圧が計測された。この範囲においては、x=90mmのときの計測音圧が最高値となっている。このときの最高値は反射板を配設しなかったときの警報音の計測音圧を最大で2dBA程度上回っていることがわかる。x≦115以降における音圧の計測値においても0≦X<115の範囲と同様の挙動を示し、計測音圧のピークはX=5mmの位置を第1ピークとして、85mm間隔で第2ピーク以降が現れていることが明らかである。
また、図4の下側のグラフにおいては、いずれの反射板のサイズにおいても反射板と放音部の開口部分における端面からの離間距離が所定間隔をあけて計測音圧が極大となる上側ピークが出現している。離間距離が290mmの辺りにおいては計測音圧が極小になる下側ピークの値が極端に低くなっている点が特徴的である。また、反射板のサイズが大きいほど計測音圧の極大値や極小値の絶対値が大きくなっていることも明らかになった。
本実験においては、警報器100の本体部20とは別体の平板を反射板47として用いた実験としているが、本体部20の放音部50の開口部分において開口部分の外方に延出させた鍔状の反射板47を取り付けた本実施形態においても同様の傾向があるものと予想される。以上の実験結果から、第1実施形態における警報器100においては、第1部材30のカバー32と第2部材40の反射板47とが面一となるように形成されている場合、放音部50の開口部分を形成する起立部46の反射板47の表面からの起立高さを5mmとすれば、警報器100の前方側における警報音の音圧を最大限高めることができ、好都合である。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態における警報器の斜視図である。本実施形態における警報器100は、第2部材40鍔状の反射板47が設けられていない点において第1実施形態における警報器100の構成と異なっている。その他の構成については、第1実施形態における警報器100の構成に等しいため、第1実施形態で用いた符号を付すことにより、ここでの個別の構成についての説明は省略する。本実施形態における警報器100の構成であっても、発明者の実験結果により、放音部遮蔽板36および反射板47を有さない従来型の警報器100における警報音の計測音圧値よりも高い音圧値を得ることができた。
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態における警報器の斜視図である。本実施形態における警報器100は、放音部遮蔽板36の構成が省略されている点において第1実施形態における警報器100の構成と異なっている。その他の構成については、第1実施形態における警報器100の構成に等しいため、第1実施形態で用いた符号を付すことにより、ここでの個別の構成についての説明は省略する。本実施形態における警報器100の構成であっても、発明者の実験結果により、放音部遮蔽板36および反射板47を有さない従来型の警報器100における警報音の計測音圧値よりも高い音圧値を得ることができた。
以上に本実施形態に基づいて本発明に係る警報器100について詳細に説明したが、本発明は以上に示した実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態における放音部遮蔽板36は、保持部材を介して第1部材30のカバー32または起立部34に保持された形態について説明しているが、放音部遮蔽板36は移動体に取り付けた形態を採用することもできる。これにより、放音部遮蔽板36の配設位置の自由度が向上し、放音部50から放出される警報音の音圧が一番高くなる位置に放音部遮蔽板36を配設することができるようになる。
射板47は、放音部50の開口部分と同一面に形成することもできる。
また、以上の実施形態から明らかなように、上記の放音部遮蔽板36および反射板47のうち少なくともいずれか一方を警報器100に適用することにより、放音部50から放出される警報音の音圧を高めることができる。そして以上の実施形態において説明した変形例等を適宜組み合わせた形態を採用することも可能である。
10 振動部,
11 シャフト,12 振動板,13 コネクタ,14 ブラケット,
20 本体部,
30 第1部材,
32 カバー,34 起立部,36 放音部遮蔽板,
40 第2部材,
41 第1側壁,42 隔壁,43 連通孔,44 渦巻板,45 第2側壁,
46 起立部,47 反射板,
50 放音部,
52 開口端面,
100 警報器

Claims (5)

  1. 音源と、
    前記音源から発生された振動波の伝播路となる渦巻経路が形成された音道となる本体部と、
    前記本体部の前面側に設けられ、前記音道を伝播させた前記振動波を外部空間に放出する放音部と、を有する警報器であって、
    前記放音部の開口部分から所定距離をあけた位置において前記放音部の前記開口部分を覆って前記本体部と対向配置された放音部遮蔽板と、前記放音部の前記開口部分における開口端面を含む平面と平行となるように前記本体部に形成された反射板のうち、少なくともいずれか一方を有していることを特徴とする警報器。
  2. 前記反射板の外周縁位置と前記放音部遮蔽板の外周縁位置は、本体部前方側への投影位置が一致していることを特徴とする請求項1記載の警報器。
  3. 前記放音部の前記開口部分は、本体部前方側に起立する起立部により形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の警報器。
  4. 前記本体部は、前記本体部の前面側を形成する第1部材と、前記音源を収容すると共に前記本体部の後面側を形成する第2部材とを有しており、
    前記放音部遮蔽板は、前記第1部材に保持部材を介して一体に取り付けられていて、
    前記反射板は、前記第2部材に一体に形成されていることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の警報器。
  5. 前記放音部遮蔽板は、前記本体部が装着される移動体に取り付けられていることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の警報器。
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