本発明の目的、特定の利点及び新規な特徴は、添付の図面と関連する以下の詳細な説明と好ましい実施例から更に明らかになるだろう。本明細書では、各図面の構成要素に参照番号を付するにおいて、同じ構成要素に限ってはたとえ他の図面上に表示されても可能な限り同じ番号を付したことに留意すべきである。また、本発明を説明するに当たり、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明確にすると判断される場合は、その詳細な説明は省略する。
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。ちなみに、本明細書における液化ガスはLPGであってもよいが、これに限定されず、沸点が常温より低くて貯蔵するために強制的に液化され、発熱量を有する全ての物質を包括することができる。
また、本明細書における液化ガス/蒸発ガスはタンク内での状態を基準として区分されるものであり、名称によって液相または気相に必ずしも限定されるものでなはい。
本発明は、以下で説明するガス処理システム1が備えられる船舶100を含む。このとき、船舶100は、ガス運搬船、ガスではない貨物や人を運搬する商船、FSRU、FPSO、Bunkering vessel、海上プラントなどを全て含む概念であり、但し、例示として液化石油ガス運搬船であることができる。
本発明の図面において、PTは圧力センサ、TTは温度センサを示し、各センサによる測定値は以下で説明する構成の運用に制限なく多様に使用することができる。
図1は、本発明の第1実施例によるガス処理システムの概念図である。
図1を参照すると、本発明の第1実施例によるガス処理システム1は、燃料貯蔵部10、燃料供給部20、燃料回収部30、再液化部40を含む。
燃料貯蔵部10は、重炭化水素を主成分とする液化ガスを貯蔵する。ここで、液化ガスは上述したLPGなどであってもよく、ブタン、プロパン、プロピレン、エチレンなどであってもよいが、これに限定するものではない。
燃料貯蔵部10は、船舶100がガス運搬船である場合、船舶100の船内に設けられる複数個のカーゴタンク11であってもよく、船舶100がガス運搬船以外の船種である場合には別途で設けられるタンクや容器などであってもよい。
カーゴタンク11は大気圧で液化ガスを低温液相で貯蔵するタンクであり、液化ガスの気化を防止するために壁体に様々な断熱構造が付加されてもよい。また、カーゴタンク11はメンブレン型タンクまたは独立型タンクなどであっもよいが、その形態や諸元などは限定されない。
燃料貯蔵部10は、液化ガスを排出して燃料供給部20に伝達する移送ポンプ111を有する。移送ポンプ111はカーゴタンク11の内部に設けられてもよく、液化ガスに浸っているsubmerged typeに設けられてもよい。
但し、移送ポンプ111は複数個のカーゴタンク11のうち一部のみに設けられてもよい。カーゴタンク11は基本的に貨物輸送を目的とするものであって、貨物のアンロード(unloading)のためのカーゴポンプ111a(荷役ポンプ、ストリッピングポンプなど、不図示)が各カーゴタンク11毎に約2個ずつ設けられるが、少なくとも何れか1つのカーゴタンク11は内部に貯蔵された液化ガスを推進エンジンE(ME-LGI)または発電エンジン(DFDE、不図示)などの燃料としても使用するため、カーゴポンプ111aに加えて移送ポンプ111が追加されてもよい。
例えば、カーゴタンク11が4個のとき、推進エンジンEが収容されたエンジンルームに近い4番カーゴタンク11に貯蔵された液化ガスが推進エンジンEの燃料として使用されることができ、このために4番カーゴタンク11のみに移送ポンプ111が設けられてもよい。
燃料貯蔵部10が含む複数個のカーゴタンク11には、気相液化ガスを伝達するための気相メインラインVM(vapour main)と液相液化ガスを伝達するための液相メインラインLM(liquid main)が設けられてもよい。このとき、気相メインラインVMと液相メインラインLMは、カーゴタンク11のうち少なくとも2以上を互いに連結するように設けられてもよい。
参考までに、メインラインVM、LMは、カーゴタンク11に設けられたドーム115を貫通するラインに連結されるものであり、ドーム115を貫通するラインは液化ガスや蒸発ガスを排出/回収するラインであってもよい。従って、メインラインVM、LMでの流動方向は図面に示されたものに限定されて解釈されず、カーゴタンク11の内部から外部に向かう方向であるか、またはカーゴタンク11の外部から内部に向かう方向の何れも可能である。
複数個のカーゴタンク11は少なくとも2つのグループに分かれてもよい。例えば、船内に4つのカーゴタンク11が設けられる場合、カーゴタンク11は2つのグループに分かれる。
グループはメインラインVM、LMの連結によって区分されることができ、例えば、第1メインラインVM、LMによって互いに連結される少なくとも2つのカーゴタンク11aが属する第1グループ、第2メインラインVM、LMによって互いに連結される少なくとも2つのカーゴタンク11bが属する第2グループに区分されてもよい。
第1グループのカーゴタンク11aを互いに連結する第1メインラインVM、LMは、複数個のカーゴタンク11a同士の気相液化ガスを統合する第1気相メインラインVM1、複数個のカーゴタンク11a同士の液相液化ガスを統合する第1液相メインラインLM1を含む。
勿論、第2メインラインVM、LMも、第1メインラインVM、LMと同様に第2グループに属するカーゴタンク11bの気相液化ガスまたは液相液化ガスを統合するために第2気相メインラインVM2と第2液相メインラインLM2を含んでもよい。
カーゴタンク11に貯蔵される液化ガスは、組成によって推進エンジンEに使用できないこともある。例えば、液化ガスがプロパンやブタンである場合、移送ポンプ111を介して燃料供給部20を経て推進エンジンEに供給されることによって推進力を得ることができるが、液化ガスがプロピレンである場合は、現在開発された推進エンジンEでは消費が不可能であるか、望ましくない。
上述したように、4個のカーゴタンク11は2個ずつ異なるグループに区分されてもよく、第1グループと第2グループが同種の液化ガスを貯蔵するか、または移送ポンプ111のない第1グループのカーゴタンク11aは推進エンジンEの燃料として不適合な液化ガスを貯蔵し、移送ポンプ111が設けられたカーゴタンク11bを含む第2グループのカーゴタンク11bは推進エンジンEの燃料として適した液化ガスを貯蔵する場合がある。
しかし、上述したように4番カーゴタンク11だけが燃料専用として使用されるが、この場合、4番カーゴタンク11が属するグループにおけるメインラインVM、LMや燃料供給部20との連結部分に問題が生じると、液化ガスによる推進が不可能になるという問題が発生する。
即ち、カーゴタンク11を互いに連通させるメインラインVM、LMが少なくとも2つのグループに分割されており、液化ガスを燃料として使用するためのカーゴタンク11は何れか1つのグループのみに属しているため、燃料専用カーゴタンク11に割り当てられたメインラインVM、LMを通じた流れを常に保障しなければならない負担が存在する。
本実施例は、これを改善するために、燃料専用である4番カーゴタンク11に移送ポンプ111を複数個設置し、移送ポンプ111が第1メインラインVM、LMと第2メインラインVM、LMにそれぞれ連結されるように設けられてもよい。
具体的には、何れか1つの移送ポンプ111は、燃料専用であるカーゴタンク11が属するグループに割り当てられるメインラインVM、LM(例えば、第2液相メインラインLM2)に連結されるが、他の1つの移送ポンプ111は、燃料専用であるカーゴタンク11を属さない他のグループに割り当てられたメインラインVM、LM(例えば、第1液相メインラインLM1)に連結されるようにすることができる。
従って、本実施例では、燃料専用として使用されるカーゴタンク11が何れか1つのグループに割り当てられたメインラインVM、LMのみに連結されるのではなく、全てのグループに連結されるようにすることで、1つのカーゴタンク11で複数個のグループを通じた燃料供給を可能にすることができる。即ち、互いに異なるグループが燃料供給を互いにバックアップする構造で設けられるようにすることができる。
また、燃料専用であるカーゴタンク11が2つ以上のグループに割り当てられたメインラインVM、LMに連結されるように設けられることにより、貨物積載の運営方式も以下のように拡張されることができる。
即ち、本実施例において、移送ポンプ111を有するカーゴタンク11は下記のように同じグループに属し、移送ポンプ111のないカーゴタンク11と異なるか、または同じ液化ガスの貯蔵が可能である。参考までに、以下において、Pはプロピレン、Bはブタンを意味する。
即ち、本実施例の燃料貯蔵部10は、2つのグループに分かれるカーゴタンク11及び何れか1つのグループに属する燃料専用カーゴタンク11を備えるだけでなく、さらに、燃料専用カーゴタンク11が他のグループに割り当てられたメインラインVM、LMにも連結される構造に有するようにすることで、何れか1つのグループによって液化ガスの伝達に問題が生じたとしても燃料供給には中断がないように保障することができる。
燃料供給部20は、燃料貯蔵部10の液化ガスを船舶100の推進エンジンEに液相で供給し、このために燃料供給部20はメインラインVM、LMから推進エンジンEに連結される燃料供給ラインL20を備える。一般的に、LNGの場合はエンジンに気相で供給しなければならないため、LNGは加熱によって気化されてからエンジンに供給されるが、本発明における燃料供給部20は推進エンジンEにLPGなどを液相で供給するようになる。
このとき、推進エンジンEは、MAN社で開発したME-LGI等のLPGエンジンであってもよいが、これに限定されず、LPGなどを消費することができる全てのエンジン製品を包括することができる。
但し、燃料供給部20が加圧して推進エンジンEに供給する液相液化ガスの状態は、具体的に臨界圧力(以下において、臨界圧力は液化ガス固有の臨界圧力ではない常温(20℃以上)で気化されない圧力を意味する表現であることもある。)以上及び臨界温度以下の過冷却状態であってもよい。即ち、本明細書における液相とは過冷却を包括する表現であってもよい。
燃料供給部20は、カーゴタンク11に設けられた移送ポンプ111を介して伝達された液化ガスを推進エンジンEで要求する温度(例えば、20~50℃)と圧力(例えば、20~60bar)に合わせて推進エンジンEなどに供給することができ、推進エンジンEの上流で液化ガスのうち少なくとも一部を分岐して発電エンジン、ボイラーBなどの他の需要先に供給することもできる。
この場合、発電エンジンなどが求める液化ガスの条件が推進エンジンEとは異なることもあるため、燃料供給部20は発電エンジンなどに分岐される液化ガスに対しても温度や圧力などをさらに調整できる手段が付加されてもよいことは言うまでもない。
燃料供給部20は、燃料供給ラインL20上に設けられる熱交換器22、高圧ポンプ21、フィルタ23を含む。
熱交換器22は液化ガスの温度を変化させる。熱交換器22は液化ガスの温度を上昇または下げることができるため、fuel conditionerと称されてもよい。
例えば、本実施例の初期稼動時には、後述する燃料回収部30によって回収される高温液化ガスの流量が多いため、熱交換器22は液化ガスの温度を下げることができ、安定稼動になると、熱交換器22は液化ガスの温度を高めることができる。
また、熱交換器22は、熱交換器22の下流に設けられた高圧ポンプ21に気相液化ガスが流入されないように、液化ガスの沸点以下に液化ガスの温度を調整することができる。
また、熱交換器22は、燃料回収部30によってリターンされる液化ガスには推進エンジンEで使用された潤滑油が混入される点を考慮し、高圧ポンプ21に流入される液化ガスで潤滑油が結氷しない温度以上に液化ガスの温度を調整することができる。
即ち、熱交換器22は、燃料貯蔵部10から高圧ポンプ21に伝達される液化ガスと燃料回収部30から高圧ポンプ21に伝達される液化ガスとが混合されたとき、液化ガスの沸点以下及び潤滑油の結氷点以上になるように液化ガスの温度を制御する。
熱交換器22は、媒体供給ラインL21を介して供給される様々な熱交換媒体を利用して液化ガスとの熱交換を具現することができ、例えば、熱交換媒体は海水、清水、グリコールウォーター、排気などであってもよいが、これに限定されるものではない。
熱交換器22が加熱する液化ガスの温度は、推進エンジンEの要求温度とは異なってもよいが、これは熱交換器22の下流に設けられた高圧ポンプ21による加圧時に液化ガスの温度が多少上昇する可能性があるためである。従って、熱交換器22は、高圧ポンプ21の加圧過程での液化ガスの温度上昇を考慮して、推進エンジンEに流入される液化ガスの温度が適正になるように液化ガスの加熱または冷却を制御することができる。
高圧ポンプ21は、燃料供給ラインL20において熱交換器22の下流に設けられ、熱交換器22によって温度が調整された液化ガスを推進エンジンEが求める圧力に加圧する。推進エンジンEが要求する圧力は20~50barであってもよいが、推進エンジンEの諸元によって変わることができる。
高圧ポンプ21のタイプは特に限定せず、また、高圧ポンプ21は、図面に示したように複数個が互いにバックアップできるように並列に設けられてもよい。
但し、高圧ポンプ21は、加圧過程でキャビテーション(cavitation)の発生を抑制するために、液化ガスが液相で流入されてもよい。このために熱交換器22が液化ガスの温度を制御することができることは上述した通りである。
高圧ポンプ21に吸入される液化ガスの圧力は、移送ポンプ111によって吐出される液化ガスの圧力に対応することができる。また、後述する燃料回収部30の減圧弁31によって減圧された液化ガスの圧力にも対応することができる。
高圧ポンプ21の吸入圧力を高めると(例えば、液化ガスの臨界圧力である約20bar以上)、高圧ポンプ21の負荷は減少するが、移送ポンプ111の負荷は大きくなる。但し、燃料回収部30で減圧弁31による減圧の程度が減少しながら(沸点が比較的に高い状態)回収される液相液化ガスが気化されることを防止することができる。
一方、高圧ポンプ21の吸入圧力を下げると(例えば、液化ガスの臨界圧力以下で約5~10bar)、高圧ポンプ21の負荷は大きくなるが、移送ポンプ111の負荷は減少する。この場合、高圧ポンプ21の吸入圧力を合わせるために減圧弁31による減圧の程度が大きくなり(沸点が低い状態)、回収される液相液化ガスが気化されて高圧ポンプ21に流入される恐れがある。
それにもかかわらず、本実施例は、高圧ポンプ21の吸入圧力を下げることができる。例えば、高圧ポンプ21の吸入圧力(移送ポンプ111の吐出圧力)は1~10barであることができる。これにより、本実施例は、燃料貯蔵部10から高圧ポンプ21の前端までの装置及びラインの構成に対して運転圧力を下げることができるようになり、設置費用だけでなく、メンテナンス費用の革新的な節減が可能である。
但し、上述したように、高圧ポンプ21に流入される液化ガスの気化問題が残存するが、本実施例はこれを解消するために燃料回収部30にクーラー32を付加することができる。これについては後述する。
フィルタ23は、燃料供給ラインL20において高圧ポンプ21の下流に設けられ、高圧ポンプ21で加圧された液化ガスをフィルタリングして推進エンジンEに伝達する。フィルタ23がフィルタリングする物質は、推進エンジンEの効率を落とす様々な異物を意味することができ、種類は制限されない。
燃料供給部20はフィルタ23と推進エンジンEの間に燃料供給弁(不図示)を設けてもよく、このとき、燃料供給弁と後述する燃料回収部30の減圧弁31は1つのトレインで構成されてFVT(fuel valve train)と称されることができる。
燃料回収部30は、推進エンジンEから排出され潤滑油が混ざった余剰分の液相液化ガスを回収する。LNGの供給を気相で受けて消費する商用エンジン(ME-GI、XDFなど)とは異なり、本発明における推進エンジンE(ME-LGI等)はLPGなどの供給を液相で受けて消費しながら余剰分の液相燃料を排出する構造を有する。
これは、気相の場合とは異なって液相の場合は、燃料供給量の微制御が容易ではないため、推進エンジンEが十分な量の液相燃料の供給を受けることによって余剰分の燃料が発生するからである。
但し、推進エンジンEから回収される液化ガスは、推進エンジンEに流入される前の液化ガスではなく、推進エンジンEの内部を経た液化ガスであり、推進エンジンEの要求圧力に対応する温度/圧力を有する状態でありながら(例えば、45bar前後、50℃以上)、液化ガスの内部には推進エンジンEで使用される潤滑油が混入されることができる。
従って、燃料回収部30が回収する余剰分の液化ガスには潤滑油が混ざっているため、燃料回収部30は貨物の汚染を防止するために液化ガスをカーゴタンク11に伝達しないことが望ましい。即ち、燃料回収部30は、液相液化ガスをカーゴタンク11ではない高圧ポンプ21に伝達して推進エンジンEに再流入されるようにすることができる。
燃料回収部30は推進エンジンEから延長される燃料回収ラインL30を備え、燃料回収ラインL30に設けられる減圧弁31、クーラー32を含む。
減圧弁31は液相液化ガスを減圧する。減圧弁31はジュール・トムソン弁であってもよく、上述したように燃料供給部20の燃料供給弁とともに燃料供給トレインFVTを構成するように設けられてもよい。
減圧弁31は、推進エンジンEから回収される高圧(約30~50bar前後)の液化ガスを減圧して高圧ポンプ21の吸入圧力に合わせることができる。このとき、減圧弁31が液化ガスを臨界圧力(例えば、20bar)以上に減圧すると、燃料貯蔵部10から供給される液化ガスと混合されてから高圧ポンプ21に流入される過程で気相液化ガスが生成されないことがある。しかし、この場合には、高圧ポンプ21の吸入圧力が臨界圧力以上であり、移送ポンプ111及び高圧ポンプ21の上流における構成が全て臨界圧力以上に合わせられた高価の諸元でセッティングされなければならない。
しかし、本実施例は、減圧弁31が臨界圧力以上の液化ガスを臨界圧力以下(例えば、1~10bar)に減圧することができ、これにより、高圧ポンプ21の吸入圧力を下げることで、移送ポンプ111の吐出圧力が減圧弁31の圧力降下に対応して臨界圧力以下に設定されるようにして、移送ポンプ111及び高圧ポンプ21の上流の燃料供給ラインL20などが比較的低い圧力に合わせられた低価の諸元で設置されるようにすることができる。
但し、この場合、液化ガスは圧力降下により沸点が下がるようになるが、推進エンジンEから回収される液化ガスは推進エンジンEの要求温度に合わせて加熱されて推進エンジンEを経由しながらさらに加熱された状態(約60℃前後)であることができるめ、減圧時に液化ガスは気化されることができる。
勿論、回収される液化ガスは燃料供給部20を介して供給される液化ガスと混合されて一部は再び液化されることもあるが、気相の液化ガスが高圧ポンプ21に流入されると、キャビテーションの問題が生じ得るのは明らかである。従って、燃料回収ラインL30における減圧弁31の下流にはクーラー32が設けられて液化ガスの気化を防止することができる。
クーラー32は、減圧された液化ガスを冷却して高圧ポンプ21に液相で流入されるようにする。クーラー32は制限なく様々な冷媒を活用することができ、減圧された液化ガスの沸点以下に液化ガスを冷却することができる。
クーラー32による冷却は、燃料貯蔵部10から高圧ポンプ21に伝達される液化ガスとの混合を考慮して行われることができるため、クーラー32は減圧された液化ガスの沸点より多少高い温度に液化ガスを冷却する制御も可能である。
クーラー32によって冷却された液相(または液相に近い状態)液化ガスは、燃料回収ラインL30を介して燃料供給ラインL20の高圧ポンプ21の上流に混入され、燃料回収ラインL30が燃料供給ラインL20に連結される地点にはミキサー(不図示)が設けられてもよい。
このように、本実施例は、回収される液化ガスが減圧弁31によって臨界圧力以下に減圧されるようにして、高圧ポンプ21の上流に設けられる構成の諸元を下げて設置費用だけでなく、運営、メンテナンス費用を全て節減する効果を得ることができる。
また、燃料回収部30は、燃料回収ラインL30が部分的に並列構造を有するように設けられてもよく、並列の燃料回収ラインL30の一側に捕集タンク34(collecting tank)が設けられ、捕集タンク34にはベントマスト36が連結される。
燃料回収ラインL30は、減圧弁31の下流で分岐されて部分的に並列に構成されてから再び合流して燃料供給ラインL20に連結されてもよく、捕集タンク34は減圧弁31の下流に配置される。
捕集タンク34は、燃料回収部30を介して回収される液化ガスの一部を貯蔵することができるが、このとき、捕集タンク34に伝達される液化ガスは燃料貯蔵部10から供給される液化ガスの流量と推進エンジンEの要求流量、回収される液化ガスの状態などを全般的に考慮して決まることができる。例えば、回収される液化ガスの流量が多い場合、少なくとも一部の液化ガスが捕集タンク34に一時的に貯蔵されてもよい。
また、捕集タンク34はパージのために設けられてもよい。パージの際、燃料供給部20などに外部からパージガスが注入され、推進エンジンEまで経由するパージガスは燃料回収ラインL30を介して回収されて捕集タンク34に伝達される。このとき、パージガスは捕集タンク34に連結されたベントマスト36を利用して外部に排出されてもよい。
ベントマスト36は捕集タンク34とベントラインL32を介して連結され、推進エンジンEの稼動中断などのようにベントが必要な異常運転の状況において液化ガスなどを外部にベントさせることができる。このために、捕集タンク34は異常運転下で液化ガスの伝達を受けてベントマスト36に排出することができることは言うまでもない。
また、ベントマスト36は、燃料供給部20などのパージの際に捕集タンク34に循環されるパージガスを外部に排出してパージを具現する構成として使用されてもよい。
再液化部40は、燃料貯蔵部10で発生する蒸発ガスを液化して燃料貯蔵部10にリターンさせる。再液化部40は、様々な冷媒を利用して蒸発ガスを沸点以下に冷却する液化機41を含んでもよい。
液化機41は、窒素、混合冷媒(MR:Mixed Refrigerant)などを利用して蒸発ガスを冷却して液化させる。このとき、燃料貯蔵部10であるカーゴタンク11から液化機41には再液化ラインL40が循環するように連結されてもよい。
カーゴタンク11から液化機41に連結された再液化ラインL40には、カーゴタンク11の気相メインラインVMを介して排出された気相蒸発ガスが流動することができ、液化機41からカーゴタンク11に連結された再液化ラインL40には、液化機41で冷却されて液化された液相蒸発ガスが流動することができる。
但し、液化の効率を上げるために、蒸発ガスの沸点を上昇させる圧縮機(不図示)がカーゴタンク11と液化機41の間の再液化ラインL40上に配置されてもよい。但し、圧縮機124を備える場合も、液化機41とカーゴタンク11との間の再液化ラインL40には減圧機が省略されてもよいが、これは再液化ラインL40を介してカーゴタンク11に蒸発ガスがリターンされる過程で体積の大きい空間であるカーゴタンク11に流入されながら自然に減圧が行われることができるためである。
液化機41からカーゴタンク11に連結される再液化ラインL40は、カーゴタンク11に設けられた液相メインラインLMを介してカーゴタンク11の内部に液相蒸発ガスを伝達することができ、液相蒸発ガスはカーゴタンク11内で液化ガス内に注入されるように下側に伝達されるか、カーゴタンク11で発生した蒸発ガスの上に投入されて蒸発ガスの排出量が低減できるように上側で噴霧されてもよい。無論、液相蒸発ガスがカーゴタンク11内にリターンされる方法は上記に限定されない。
このように、本実施例は、燃料貯蔵部10に貯蔵された液化ガスを燃料供給部20が液相で推進エンジンEに供給するが、推進エンジンEから液相液化ガスが回収されるときに液化ガスを臨界圧力以下に減圧して、高圧ポンプ21の上流部分の諸元をダウンさせることで、費用を大幅に節減できるだけでなく、液化ガスが気相で高圧ポンプ21に流入されるのを防いで安定的な稼動が可能である。
図2は、本発明の第2実施例によるガス処理システムの概念図である。
以下では、本実施例が上述した実施例に比べて変わる部分を中心として説明し、説明を省略した部分は上述した内容に代える。これは後述する第3実施例などの内容にも同様に適用される。
図2を参照すると、本発明の第2実施例によるガス処理システム1は、燃料回収部30が気液分離部35を備えることができる。
気液分離部35は、燃料回収ラインL30の減圧弁31の下流に設けられ、減圧された液化ガスを気液分離して液相だけが高圧ポンプ21に流入されるようにする。このために気液分離部35は、液化ガスが回収される燃料回収ラインL30の一部が部分的に拡管された形態であるか、または密度差を利用して気体と液体を分離する容器形態などで設けられてもよい。
上述したように、燃料回収部30の減圧弁31が液化ガスを臨界圧力以下に減圧すると、液化ガスは温度に応じて気化できる状態になる。ところが、推進エンジンEを経て回収される液化ガスの温度が高いため、減圧時に温度が一部低下しても液化ガスが気化される恐れがあり、これにより、液化ガスが流入される高圧ポンプ21bでのキャビテーションが問題となる。
勿論、これを解決するために減圧弁31の下流に液化ガスを冷却するクーラー32を追加することもできるが、本実施例では、より安定的な稼動のために、クーラー32を気液分離部35に置き換えるか、または気液分離部35をクーラー32と一緒に使用することができる。クーラー32と気液分離部35の両方を備える場合、クーラー32は減圧された液化ガスを冷却して気液分離部35に伝達することができる。
気液分離部35は回収される液化ガスに含まれた窒素成分を分離することができる。窒素成分は沸点が液化ガスよりかなり低い物質であって、簡単に気化するため、気液分離部35は窒素などを分離して外部に排出することができる。このとき、外部は窒素需要先または大気中であることができる。
気液分離部35内で気体が蓄積されると、気液分離部35内の圧力が上昇するようになる。この場合、液化ガスの沸点が上昇しながら気体が液体内に自然に凝縮されることができるため、気液分離部35は効果的に高圧ポンプ21への気体流入を防止することができる。
但し、窒素成分の場合、気液分離部35の内圧上昇にもかかわらず、気液分離部35内の液体によって凝縮できないため、上述したように、窒素成分は気液分離部35の上側を通じて外部に排出されることができる。窒素成分の排出は、気液分離部35の内圧、貯蔵レベルなどに応じて弁の開度調整をすることで制御することができる。
このように、本実施例は、燃料回収ラインL30上に拡張配管の形状などで設けられる気液分離部35が備え、液体だけを高圧ポンプ21にリターンさせることで、高圧ポンプ21のキャビテーションを抑制することができる。勿論、減圧弁31が液化ガスを臨界圧力以上に減圧する場合も、窒素成分を分離するために気液分離部35を活用してもよい。
参考までに、減圧弁31が液化ガスを減圧する程度は、本発明の全体において臨界圧力以上であるか、臨界圧力より低くてもよい。但し、臨界圧力より低く減圧する場合には気化を防止するための様々な手段が使用されることができる。
図3は、本発明の第3実施例によるガス処理システムの概念図である。
図3を参照すると、本発明の第3実施例によるガス処理システム1は、燃料供給部20の熱交換器22が上述した実施例とは異なるように構成されることができる。
熱交換器22は、燃料貯蔵部10から推進エンジンEに供給される液化ガスの温度を変化させるという点においては上述した実施例と同じである。但し、本実施例の熱交換器22は、燃料回収部30を介して回収される液化ガスを熱交換に活用することができる。
即ち、熱交換器22は、燃料貯蔵部10から推進エンジンEに供給される液化ガスと、燃料回収部30から回収される液化ガスを熱交換させることができる。この場合、熱交換器22は、燃料回収部30の液化ガスを推進エンジンEに供給される液化ガスで冷却して、高圧ポンプ21に液相で流入されるようにする。
本発明では、燃料回収部30を介して回収される液化ガスが高圧ポンプ21に流入されるとき、気体が発生しないようにすることが重要であるが、上述した実施例ではクーラー32、気液分離部35などを活用することができるのに対し、本実施例は熱交換器22を(追加で)利用することができる。
従って、熱交換器22は、燃料回収部30の減圧弁31によって減圧された液化ガスを冷却して高圧ポンプ21に液相で流入されるようにすることで、高圧ポンプ21でのキャビテーションを防止することができるようになる。
また、熱交換器22は、回収される液化ガスを燃料貯蔵部10から伝達される液化ガスと熱交換するだけでなく、さらに、熱交換媒体を活用することもできる。この場合、熱交換器22は、燃料貯蔵部10から推進エンジンEに供給される液化ガスが流れるストリーム(燃料供給ラインL20に連結)と、燃料回収部30から回収される液化ガスが流れるストリーム(燃料回収ラインL30に連結)と、熱交換媒体が流れるストリームと、を有する少なくとも3ストリーム構造であってもよい。
このとき、熱交換器22はフィンチューブタイプまたはPCHEタイプなどで設けられてもよく、空間活用性の増大のためにPCHEタイプで設けられることが望ましい。これは、本明細書内で熱交換を具現する全ての構成に適用される。
燃料回収ラインL30を基準として熱交換器22の下流には混合機33が設けられてもよい。混合機33は、燃料供給ラインL20を基準として熱交換器22と高圧ポンプ21との間に設けられ、熱交換器22を経由した液化ガスと燃料貯蔵部10から供給される液化ガスとを混合して高圧ポンプ21に伝達する。
混合機33だけを使用する場合、推進エンジンEから回収される高温の液化ガスが燃料貯蔵部10から伝達される低温の液化ガスと直接接して冷却されることができるが、この場合、急激な冷却によって回収される液化ガスに含まれた潤滑油が結氷する恐れがある。
従って、本実施例は、回収される液化ガスが低温液化ガスによって冷却されてから低温液化ガスに混合されるように温度降下を段階的に具現し、潤滑油の急激な冷却による結氷を防止することができる。
このように、本実施例は、推進エンジンEから回収される液化ガスが燃料貯蔵部10から伝達される液化ガスによって熱交換及び混合されながら冷却されるようにして、推進エンジンEから回収された後、高圧ポンプ21に再流入される液化ガスが液相からなるようにすることで、高圧ポンプ21を保護することができる。
図4は、本発明の第4実施例によるガス処理システムの概念図である。
図4を参照すると、本発明の第4実施例によるガス処理システム1は、燃料供給部20の熱交換器22が上述した第3実施例と異なるように配置される。
上述した実施例は高圧ポンプ21の上流で液化ガスの温度制御が行われるのに対し、本実施例の場合は、従来に広く知られているLNG燃料供給システムと同様に、高圧ポンプ21の下流で液化ガスの温度制御が行われることができる。
本実施例の熱交換器22は、第3実施例とは逆に、燃料供給ラインL20の高圧ポンプ21の下流に設けられてもよい。この場合、熱交換器22は、高圧ポンプ21で加圧された高圧液化ガスと、燃料回収部30から回収される液化ガスとを熱交換させることができる。
具体的に、熱交換器22は、高圧ポンプ21によって臨界圧力以上に加圧された高圧液化ガスを燃料回収部30の液化ガスで加熱する。従って、本実施例は、上述した実施例と同様に、推進エンジンEに供給される液化ガスを加熱しなければならない負荷を低減することができる。
また、熱交換器22は、上述した実施例と同様に、燃料貯蔵部10から推進エンジンEに供給される液化ガスが流れるストリームと、燃料回収部30から回収される液化ガスが流れるストリームと、熱交換媒体が流れるストリームと、を有する3ストリーム以上の構造で設けられてもよいことは言うまでもない。
本実施例の熱交換器22は、推進エンジンEから回収されて減圧弁31によって減圧された液化ガスを高圧ポンプ21によって加圧された高圧液化ガスで冷却するため、上述した実施例に比べて冷却の程度が低いことができ、潤滑油の結氷を十分に抑制することができる。
このとき、推進エンジンEから回収されて熱交換器22で冷却された液化ガスは、燃料回収ラインL30の高圧ポンプ21の上流に設けられる混合機33により燃料貯蔵部10から伝達される液化ガスと混合されることができ、混合されながら高圧ポンプ21への流入に問題のない状態(液相)になることができる。
即ち、混合機33は高圧ポンプ21の上流に設けられて、熱交換器22を経由した液化ガスと、燃料貯蔵部10から供給される液化ガスを混合し(殆ど)液相の状態で高圧ポンプ21に伝達することができる。
このように、本実施例は、回収される潤滑油の結氷を防止するために、高圧ポンプ21の下流の液化ガスを利用して回収される液化ガスを冷却することができ、また、高圧ポンプ21に流入される液化ガスのvapor生成を抑制することができる。
図5は、本発明の第5実施例によるガス処理システムの概念図である。
図5を参照すると、本発明の第5実施例によるガス処理システム1は、燃料回収部30に設けられる捕集タンク34の配置が上述した実施例と異なってもよい。
捕集タンク34は回収される液化ガスの伝達を受けて一時的に貯蔵する。捕集タンク34は燃料回収ラインL30に設けられるが、上述した実施例の場合、燃料回収ラインL30で捕集タンク34が設けられる部分は少なくとも部分的に並列に備えられるのに対し、本実施例の場合は、燃料回収ラインL30が燃料供給ラインL20に連結される地点に捕集タンク34が備えられてもよい。
即ち、捕集タンク34は燃料回収ラインL30と燃料供給ラインL20の合流地点に設けられて混合機33の機能を具現することができる。また、捕集タンク34は燃料供給ラインL20を基準として高圧ポンプ21の上流に設けられるが、捕集タンク34に流入された液化ガスのうち液相だけが高圧ポンプ21に伝達されることができる。即ち、捕集タンク34は気液分離部35の機能も具現することができる。
また、捕集タンク34は内部に貯蔵された液化ガスを加熱するヒーター341を備えてもよい。即ち、捕集タンク34は、上述した混合機33や気液分離部35の機能に加えて、熱交換器22の機能を具現するように設けられてもよい。
このとき、ヒーター341は、捕集タンク34の内部にコイル状に設けられるin-tank heaterであってもよく、電気を利用するか、別の媒体供給ラインL31を介して流入される熱交換媒体を利用することができる。
従って、捕集タンク34は一時的に貯蔵された液化ガスを加熱して高圧ポンプ21に伝達することができる。但し、繰り返して述べたように、高圧ポンプ21に気相が流入されると、キャビテーションが問題になることがあるため、捕集タンク34が加熱する液化ガスの温度は沸点以下の温度であることができる。
この場合、燃料供給部20は、高圧ポンプ21の下流に設けられ、液化ガスの温度を変化させる熱交換器22をさらに含んでもよく、熱交換器22は熱交換媒体を活用するか、燃料回収部30から回収される液化ガスを利用することができる。後者の場合、熱交換器22は、燃料貯蔵部10から推進エンジンEに供給される液化ガスと、燃料回収部30から回収される液化ガスとを熱交換させる少なくとも2ストリーム以上の構造で設けられてもよい。
上の場合、高圧ポンプ21に伝達される液化ガスの圧力が臨界圧力以下であることができるが、減圧弁31は液化ガスを臨界圧力以下に減圧することができ、高圧ポンプ21の上流での流動圧力は臨界圧力以下であることができるため、高圧ポンプ21の上流の構成に対する諸元を下げることができる。このとき、高圧ポンプ21への気体流入は捕集タンク34により防止される。
または、捕集タンク34から高圧ポンプ21に伝達される液化ガスの圧力は、常温で気化が行われない臨界圧力以上であることができる。この場合、高圧ポンプ21の上流での流動圧力が臨界圧力以上であるため、高圧ポンプ21の上流の構成の諸元が上向することがあるが、一方で、クーラー32などの構成が省略できるようになる。
捕集タンク34にはベントラインL32を介してベントマスト36が連結される。ベントマスト36は捕集タンク34に回収される液化ガスのうち少なくとも一部を外部にベントし、このとき、ベントはシステムが異常状態であるか、パージの場合などに行われることができる。
ベントラインL32は捕集タンク34からベントマスト36に連結されてもよいが、ベントラインL32は燃料供給部20などのパージ後に捕集タンク34に回収されるパージガスをベントマスト36に伝達することができる。即ち、パージの際、パージガスは燃料供給部20と推進エンジンEを経て燃料回収ラインL30に沿って捕集タンク34に捕集された後、ベントラインL32に沿ってベントマスト36に伝達されることで処理されることができる。
このように、本実施例は、高圧ポンプ21の上流における液化ガスの温度調整構成と、回収される液化ガスを燃料貯蔵部10から供給される液化ガスと混合する構成などを1つの捕集タンク34で構成することにより、システムを簡素化し、設置/メインテナンスなどの費用を大幅に節減することができる。
図6は、本発明の第6実施例によるガス処理システムの概念図である。
図6を参照すると、本発明の第6実施例によるガス処理システム1は、燃料供給部20の燃料供給ラインL20上に熱交換器22、高圧ポンプ21、ヒーター24が順に設けられる。以下、本実施例については図3に示された第3実施例と比較して説明する。
第3実施例と比べて、本実施例は、燃料供給部20が高圧ポンプ21の下流にヒーター24をさらに備えることができる。即ち、燃料供給部20は、高圧ポンプ21と、高圧ポンプ21の上流に設けられて液化ガスの温度を変化させる熱交換器22と、高圧ポンプ21の下流に設けられるヒーター24と、を含んでもよい。
このとき、熱交換器22は、燃料回収部30の減圧弁31によって減圧された液化ガスを冷却して高圧ポンプ21に液相で流入されるようにする構成であって、燃料貯蔵部10から推進エンジンEに供給される液化ガスと、燃料回収部30から回収される液化ガスを熱交換させることができる。
具体的に、熱交換器22は、燃料貯蔵部10から推進エンジンEに供給される液化ガスが流れるストリームと、 燃料回収部30から回収される液化ガスが流れるストリームと、を有する少なくとも2ストリーム以上の構造で設けられてもよい。
ヒーター24は、高圧ポンプ21の下流で液化ガスを加熱して推進エンジンEの要求温度に合わせて変化させる。即ち、本実施例では、高圧ポンプ21の上流で液化ガスの温度制御が行われ、また、高圧ポンプ21の下流でも液化ガスの温度制御が行われることができるが、推進エンジンEの要求温度による液化ガスの温度制御は、高圧ポンプ21の下流のヒーター24で主に行われることができる。
燃料回収部30によって回収される液化ガスは、熱交換器22に伝達されて熱交換器22で冷却された後、燃料供給ラインL20の熱交換器22と高圧ポンプ21との間に設けられる混合機33により燃料貯蔵部10から供給される液化ガスに混合されてもよい。
また、燃料回収部30は、減圧弁31を経て熱交換器22を経由して混合機33に連結される燃料回収ラインL30に加えて、バイパスラインL34をさらに備えてもよい。バイパスラインL34は、回収される液化ガスが熱交換器22を迂回して推進エンジンEに供給される液化ガスに伝達されるようにする。
バイパスラインL34は、混合機33と高圧ポンプ21の間の燃料供給ラインL20に連結されてもよく、または混合機33に直接連結されることも可能である。バイパスラインL34にはバイパス弁(符号不図示)が設けられ、推進エンジンEの稼動状態に応じてバイパスが制御されることができる。
具体的に、燃料回収部30は、推進エンジンEの正常稼動時に液化ガスを燃料回収ラインL30に沿って熱交換器22に伝達し、推進エンジンEの初期稼動時に液化ガスをバイパスラインL34に沿って熱交換器22を迂回して高圧ポンプ21に伝達することができる。
これは、初期稼動(start-up)時には燃料回収部30を介して回収される液化ガスが正常稼動時の液化ガス対比で流量、温度などにおいて差があるため(例えば、流量が多いか、温度が高い)、熱交換器22を経由しなくても潤滑油の結氷の恐れがないことができる。
従って、本実施例は、推進エンジンEの稼動状態を考慮して回収される液化ガスが燃料貯蔵部10から供給される液化ガスと熱交換するか、熱交換を迂回するようにすることで、効率的な液化ガスの温度制御が可能である。
このように、本実施例は、燃料回収ラインL30にバイパスラインL34を備えて、推進エンジンEの初期稼動時に推進エンジンEから排出される液化ガスの状態を考慮し、回収される液化ガスが熱交換器22を迂回して推進エンジンEに再流入されるようにすることで、運用上の効率を大幅に改善することができる。
図7は、本発明の第7実施例によるガス処理システムの概念図である。
図7を参照すると、本発明の第7実施例によるガス処理システム1は、上述した第6実施例と同様に、高圧ポンプ21の上流と下流の両方で液化ガスの温度変化が可能である。但し、上述した実施例は、高圧ポンプ21の上流または下流のうち少なくとも一側で液化ガス同士の熱交換が活用されるが、本実施例では高圧ポンプ21の上流と下流の両方で熱交換媒体による熱交換を利用することができる。
具体的に、燃料供給部20は、高圧ポンプ21と、高圧ポンプ21の上流に設けられて液化ガスの温度を変化させる熱交換器22と、高圧ポンプ21の下流に設けられるヒーター24と、を含む。
この場合、燃料回収部30の減圧弁31は、回収される液化ガスを臨界圧力以下に減圧して高圧ポンプ21に伝達することができる。但し、高圧ポンプ21に気相が流入されることを抑制するために、減圧弁31の下流には減圧された液化ガスを冷却して高圧ポンプ21に液相で流入されるようにするクーラー32が設けられてもよい。
このように減圧弁31による減圧を液化ガスの臨界圧力以下(例えば、6~10bar)にすると、燃料貯蔵部10の移送ポンプ111などは燃料供給部20の高圧ポンプ21に液化ガスを臨界圧力以下(例えば、6~10bar)に伝達することができる。
従って、本実施例は、移送ポンプ111やメインラインVM、LMなどにおける流動圧力が臨界圧力以下にセッティングされることができるため、本実施例は関連する構成のdesign pressureを下げて費用を大幅に節減することができる。
但し、高圧ポンプ21への気体流入を防止するために、熱交換器22は、熱交換媒体を利用して液化ガスを加熱するとき、液化ガスの温度を燃料貯蔵部10から伝達される液化ガスの圧力における沸点以下に制御することができる。
また、回収される液化ガスに潤滑油が混入されていることを考慮し、熱交換器22は燃料回収部30の液化ガスに混合される潤滑油の結氷点(約-18℃)以上の温度に液化ガスの温度を制御することができる。即ち、熱交換器22は、液化ガスの温度を沸点と潤滑油の結氷点の間の温度に制御する。
但し、燃料貯蔵部10から高圧ポンプ21に供給される液化ガスは、回収される液化ガスと混合されながら温度が上昇することができるため、熱交換器22は燃料回収部30によって高圧ポンプ21に伝達される液化ガスの温度に応じて燃料貯蔵部10から伝達される液化ガスの温度を制御し、高圧ポンプ21に流入される液化ガスの温度が沸点以下になるようにすることができる。即ち、燃料貯蔵部10から伝達される液化ガスは、熱交換器22で沸点より十分な温度間隔(回収される液化ガスの混合による加熱分を考慮)だけ低い温度まで加熱されることができる。
高圧ポンプ21の下流に設けられるヒーター24は、熱交換媒体を利用して液化ガスを推進エンジンEの要求温度に加熱することができる。このとき、ヒーター24は、スチームを利用して液化ガスを直接加熱する構造で設けられる。
即ち、本実施例は、燃料供給ラインL20に設けられる液化ガスの温度調整の構成がグリコールウォーターなどの熱交換媒体を使用する代わりに、スチームを直接使用するようにすることができ、これにより、燃料供給部20全体でグリコールウォーターを循環供給するサイクルの流量を約60%まで減少させることができ、関連する構成を全て減縮することができるようになる。
このように、本実施例は、高圧ポンプ21の上流と下流の両方で液化ガスの温度を調整しながら回収される液化ガスの圧力を下げて移送ポンプ111などの諸元を下げて費用節減が可能であり、ヒーター24がスチーム直接加熱方式を使用することにより、グリコールウォーターの供給構成をコンパクト化することができる。
図8は、本発明の第8実施例によるガス処理システムの概念図である。
図8を参照すると、本発明の第8実施例によるガス処理システム1は、上述した実施例と比べて、燃料貯蔵部10が燃料タンク12をさらに含むことができ、これに関連する構成が追加/変更されることができる。
燃料貯蔵部10は、液化ガスを貨物として貯蔵する複数個のカーゴタンク11と、液化ガスを推進エンジンEに供給する燃料として貯蔵する燃料タンク12と、を含む。このとき、カーゴタンク11に貯蔵された液化ガスは燃料供給部20に直接伝達されず、代わりに燃料タンク12に伝達されてから燃料タンク12を介して推進エンジンEに供給されることができる。
この場合、カーゴタンク11から燃料タンク12には液化ガス補充ラインL12が設けられてもよく、液化ガス補充ラインL12にはポンプ(符号不図示)が設けられて液化ガスをカーゴタンク11から燃料タンク12に伝達することができる。勿論、液化ガス補充ラインL12はカーゴタンク11内に設けられて液化ガスをアンロード(unloading)するのに使用されるカーゴポンプ111aを介して液化ガスを燃料タンク12に伝達することができるため、別のポンプはなくてもよい。
カーゴタンク11は複数のグループに区分できると上述したが、少なくとも2つのグループのカーゴタンク11のうち一部グループのカーゴタンク11には推進エンジンEの燃料として不適切な液化ガス(プロピレンなど)が積載されている可能性がある。
従って、燃料タンク12は、カーゴタンク11のうち推進エンジンEの燃料として適した液化ガス(プロパン、ブタンなど)が積載されたカーゴタンク11から液化ガスの伝達を受けて燃料供給部20に伝達することができる。
燃料タンク12は大気圧で液化ガスを大量貯蔵する独立型(SPBタイプ、MOSSタイプ)またはメンブレン型カーゴタンク11とは異なり、高圧で液化ガスを貯蔵する独立型(Type C、圧力容器タイプ)であってもよい。このとき、燃料タンク12の貯蔵圧力は液化ガスの臨界圧力以下である5bar前後であってもよく、液化ガスの気化を防ぐために壁体の内部または外部のうち少なくとも一側に断熱構造が設けられてもよい。
燃料タンク12は船舶100の上甲板101上に搭載されてもよく、サドル(saddle)により上甲板101に支持されるように設けられる。燃料タンク12は、上甲板101においてカーゴタンク11の液化ガスをロード/アンロードするための構成(メインラインVM、LM、マニホールドなど)と干渉されずに、船舶100の航行時に視野(visibility)を遮らない位置に配置されることができる。例えば、燃料タンク12は、上甲板101において船首側の左舷または右舷に設けられてもよい。
独立型圧力容器である燃料タンク12は液化ガスを臨界圧力未満に貯蔵することができるが、この場合、燃料タンク12に貯蔵された液化ガスは燃料タンク12内に設けられた移送ポンプ121によって燃料供給部20に伝達されてもよい。燃料タンク12の移送ポンプ121は、前の実施例で説明したカーゴタンク11の移送ポンプ111と同一類似する構成であってもよい。
但し、燃料タンク12の場合、カーゴタンク11とは異なって液化ガスの貯蔵量が少ないため、推進エンジンEで要求する流量を合わせるためには燃料タンク12に十分な液化ガスの貯蔵量が確保される必要がある。このために燃料タンク12のレベルに応じてカーゴタンク11から燃料タンク12に液化ガス補充ラインL12を介して液化ガスのロードが制御されることができる。
また、燃料タンク12における内圧が低いと、燃料タンク12内の移送ポンプ121のポンプ負荷が増加することがある。例えば、外気が低温(約-20℃)の冬の状態のときには燃料タンク12に貯蔵された液化ガスの内圧が低くなることができる。
従って、本実施例は、燃料タンク12から燃料供給部20への液化ガスの排出を円滑に具現するために、燃料タンク12に内圧上昇部122を設けてもよい。このとき、内圧上昇部122は、燃料タンク12内に貯蔵された液化ガスの伝達を受けて加熱した後、燃料タンク12の内部に再び注入させるPBU(Pressure Build-up Unit)であってもよい。
即ち、燃料タンク12は貯蔵された液化ガスを加熱する内圧上昇部122を利用して燃料供給部20の高圧ポンプ21の吸引流量を保障することができる。このとき、内圧上昇部122は、燃料タンク12の外気温度、燃料タンク12の液化ガスの貯蔵量、及び/または燃料タンク12の内圧などに応じて稼動されることができる。
燃料供給部20と燃料回収部30は、上述した実施例と同じ/類似するため、詳細な説明は省略する。但し、本実施例の再液化部40は、カーゴタンク11及び燃料タンク12の蒸発ガスを全て再液化するように設けられてもよい。
但し、カーゴタンク11には推進エンジンEの燃料として不適切なプロピレンなどが積載されることもあり、プロピレンに対しても再液化が必要である。ところが、カーゴタンク11と燃料タンク12が再液化部40の液化機41を共有すると、カーゴタンク11のプロピレンが再液化された後、再液化部40に残留してから燃料タンク12に回収されて燃料タンク12内の液化ガスの品質を変形させる問題が発生し得る。
従って、本実施例は、再液化部40の液化機41がカーゴタンク11の蒸発ガスと燃料タンク12の蒸発ガスの両方を液化してリターンさせることができるようにしながらも、燃料として不適切な液化ガスがカーゴタンク11に積載される場合を考慮して、燃料タンク12の蒸発ガスが液化機41から既設定の範囲内でカーゴタンク11から液化機41に流入される流れに合流されるようにすることができる。
及び/または、液化機41で液化された燃料タンク12の蒸発ガスは、液化機41から既設定の範囲内で液化機41からカーゴタンク11に伝達される流れから分岐されて燃料タンク12に伝達されるようにすることができる。
このとき、既設定の範囲は、液化機41を基準としてカーゴタンク11からの流れまたはカーゴタンク11に向かう流れの10%以内の位置であってもよい。
具体的に、再液化部40は、カーゴタンク11から排出された蒸発ガスを液化機41を経由してカーゴタンク11にリターンさせる再液化ラインL40が設けられ、燃料タンク12から排出された蒸発ガスを液化機41の上流の再液化ラインL40に伝達し、液化機41の下流の再液化ラインL40から分岐されて燃料タンク12に連結される燃料再液化ラインL41を含んでもよいが、燃料再液化ラインL41が再液化ラインL40に交流する地点はカーゴタンク11と液化機41との間で液化機41側に近接した位置(液化機41に10%以内に近接した位置)であってもよく、燃料再液化ラインL41が再液化ラインL40から分岐される地点も液化機41とカーゴタンク11との間で液化機41側に近接した位置(液化機41で10%の範囲内)であってもよい。
従って、本実施例は、カーゴタンク11と燃料タンク12の蒸発ガスが液化機41を共有するようにしながらも、推進エンジンEの燃料として不適切なカーゴタンク11の蒸発ガスが燃料タンク12の蒸発ガスの再液化時に燃料タンク12に伝達されることが防止されるようにして、推進エンジンEの稼動効率を保障することができる。
参考までに、燃料再液化ラインL41に沿って流れる燃料タンク12の蒸発ガスは液化機41に流入されてもよいが、一部はボイラーBに分岐されてボイラーBでのスチーム生成に一助することができる。
また、燃料タンク12の蒸発ガスは、カーゴタンク11から液化機41に流入される流れとは独立して液化機41に流入されるか、液化機41からカーゴタンク11に伝達される流れとは独立して液化機41から排出されるようにして、異なる組成の液化ガスが混合されないようにすることができる。即ち、カーゴタンク11の蒸発ガスの再液化と燃料タンク12の蒸発ガスの再液化は異なる時刻(異時)に処理されることができる。
このように、本実施例は、燃料タンク12を設置して燃料タンク12から液化ガスが推進エンジンEに伝達されるようにしながら、燃料タンク12の液化ガスの排出を円滑にするとともに、燃料タンク12の蒸発ガスを再液化してリターンさせるとき、燃料の品質が汚染されないようにすることができる。
図9は、本発明の第9実施例によるガス処理システムの概念図である。
図9を参照すると、本発明の第9実施例によるガス処理システム1は、少なくとも2つの燃料タンク12を備えることができ、以下で詳細に説明する。
燃料タンク12は独立型圧力容器で、液化ガスを臨界圧力以上に貯蔵する高圧燃料タンク12aと、独立型圧力容器で、液化ガスを臨界圧力未満に貯蔵する低圧燃料タンク12bと、を有することができる。
このとき、高圧燃料タンク12aは約18bar以上の圧力で液化ガスを貯蔵し、本システムの運営過程において高圧燃料タンク12aに適用される温度帯域で液化ガスの気化が行われないようにすることができる。従って、高圧燃料タンク12aには蒸発ガスが(殆ど)発生せず、高圧燃料タンク12aはfully-pressurized typeと称することができる。
一方、低圧燃料タンク12bは約5bar前後の圧力で液化ガスを貯蔵する。この場合、低圧燃料タンク12bは外気の温度などの状態条件に応じて内部で蒸発ガスが発生することがあり、semi-pressurized typeと称することができる。
上のような構成のために、高圧燃料タンク12aは、低圧燃料タンク12bに比べて高い圧力に耐えられる諸元で設けられる。このために、高圧燃料タンク12aは壁体に設けられた断熱構造の厚さが低圧燃料タンク12bに比べて大きくてもよい。
また、高圧燃料タンク12aは、18bar以上で液化ガスを貯蔵しながら船舶100の上甲板101上の空いた空間に配置されるために、既設定の大きさ以下のサイズに設計されてもよい。即ち、高圧燃料タンク12aは、船舶100を設計する際に一般的に考慮される航海距離(voyage range)である10,000NMをカバーすることができない容量(例えば、1,300m3)で設けられてもよい。
特に、高圧燃料タンク12aは貯蔵圧力が高くなり、カーゴタンク11の98%filling limitより低いfilling limit(例えば、80%前後)が設定されることをさらに考慮すると、船舶100運航のための液化ガスの貯蔵のために、低圧燃料タンク12bは高圧燃料タンク12aより大きい容積を有するように設けられることができる。
即ち、高圧燃料タンク12aだけでは船舶100の運航に備えることができないため、低圧燃料タンク12bは10,000NMをカバーすることができる容積(例えば、2,350m3前後)で設けられてもよい。また、低圧燃料タンク12bは、高圧燃料タンク12a対比で貯蔵圧力が低いため、filling limitがさらに確保されることができる。
上述したように、高圧燃料タンク12aは液化ガスを臨界圧力以上で貯蔵することによって常温で蒸発ガスの発生が抑制されるが、低圧燃料タンク12bは液化ガスを臨界圧力未満で貯蔵することによって外部の熱浸透により蒸発ガスが発生するため、本実施例の再液化部40は、カーゴタンク11の蒸発ガス及び低圧燃料タンク12bの蒸発ガスを再液化するように設けられ、高圧燃料タンク12aとは連結されなくてもよい。
このように、本実施例は、燃料タンク12を高圧燃料タンク12aと低圧燃料タンク12bに分け、高圧燃料タンク12aでは液化ガスを気化されない圧力で貯蔵し、低圧燃料タンク12bでは液化ガスを一定圧力以上で貯蔵して、高圧燃料タンク12aや低圧燃料タンク12bにおける移送ポンプ121を利用して燃料を供給することができる。
このとき、移送ポンプ121を介して高圧ポンプ21に伝達される液化ガスの圧力は、高圧燃料タンク12aの貯蔵圧力以上になるため、これと連携して燃料回収部30によって高圧ポンプ21に回収される液化ガスの圧力も臨界圧力以上であることができる。従って、燃料回収部30によって減圧及び回収される液化ガスは気化が行われないため、クーラー32などの構成が省略されてもよい。
また、本実施例は、異なる圧力で液化ガスを貯蔵する2つの燃料タンク12を備えることにより、燃料タンク12が互いにバックアップすることができ、また、燃料タンク12(特に高圧燃料タンク12a)がカーゴタンク11のメインテナンス時に液化ガスを貯蔵する容器として活用されることもできる。これについては以下の他の実施例で詳細に説明する。
図10は、本発明の第10実施例によるガス処理システムの概念図である。
図10を参照すると、本発明の第10実施例によるガス処理システム1は、高圧燃料タンク12aと低圧燃料タンク12bを備えながらも、燃料貯蔵部10が低圧燃料タンク12bと高圧燃料タンク12aを直接互いに連結する燃料伝達部123を備えてもよい。
燃料伝達部123は、低圧燃料タンク12bから高圧燃料タンク12aに連結された液化ガス伝達ラインL13を介して液化ガスを伝達する。上述したように、高圧燃料タンク12aは液化ガスを臨界圧力以上で貯蔵することによって常温で蒸発ガスの発生が抑制されるため、再液化部40はカーゴタンク11の蒸発ガスと低圧燃料タンク12bの蒸発ガスを再液化するように設けられる。
しかし、運航中の場合には、低圧燃料タンク12bで発生した蒸発ガスは液化機41で液化してリターンさせればいいが、停泊中の場合は、一般的に再液化部40を稼動するための電力を生産しないため(船舶100内のhotel loadのための最小電力だけを発電するか、陸上から最小電力の伝達を受ける)、カーゴタンク11や低圧燃料タンク12bで蒸発ガスが発生することに対する対処が必要である。
従って、本実施例は、燃料伝達部123を備えてカーゴタンク11のロードまたはアンロードするために船舶100が停泊するとき、低圧燃料タンク12bの液化ガスを高圧燃料タンク12aに伝達して高圧燃料タンク12が液化ガスを保管するようにして(または推進エンジンEに軸発電機が設けられ、プロペラとクラッチで脱着できる場合や推進エンジンEが電気推進方式である場合には推進エンジンEに供給することも可能)、停泊期間の間、再液化部40の稼動を省略または減らすことができる。
即ち、燃料伝達部123が高圧燃料タンク12aの液化ガスを低圧燃料タンク12bに伝達すると、高圧燃料タンク12aは液化ガスを気化なく貯蔵するようになるため、高圧燃料タンク12aにおける蒸発ガスの処理が省略されるようにすることができる。
また、ロードの前にカーゴタンク11に残っている液化ガス(heel)の場合は、液化ガス補充ラインL12を介して高圧燃料タンク12aに伝達されることにより、停泊しているとき、カーゴタンク11及び低圧燃料タンク12bの両方で蒸発ガスが発生しないようにして、再液化部40の稼動を省略または減らすことができる。
さらに、本実施例は、カーゴタンク11に貯蔵する液化ガスの組成を変更する場合に燃料伝達部123を活用することができる。例えば、カーゴタンク11と低圧燃料タンク12bにAという液化ガスが貯蔵されているが、カーゴタンク11の貨物をAからBに変更しようとする場合、燃料伝達部123は低圧燃料タンク12bにあるAを高圧燃料タンク12aに伝達し、また、カーゴタンク11に残留しているAも高圧燃料タンク12aに捕集することができる。
この場合、燃料伝達部123によって低圧燃料タンク12bが空いている状態になるため、その後、Bをロードするとき、Bはカーゴタンク11及び低圧燃料タンク12bの両方にロードできるようになる。ここで、A、Bは推進エンジンEに適した燃料であってもよい。
従って、本実施例は、ターミナルなどに停泊した状態で(液化ガスの貨物の種類を変更して)ロードする過程で、高圧燃料タンク12aを活用して蒸発ガスの処理が省略/最小化されるようにして運航費用を革新的に減縮することができる。
図10は、本発明の第10実施例によるガス処理システムの概念図である。
図10を参照すると、本発明の第10実施例によるガス処理システム1は、第9実施例における燃料伝達部123が液化ガスの代わりに(あるいは液化ガスに加えて)、蒸発ガスの伝達を具現する。
本実施例の燃料伝達部123は、低圧燃料タンク12bから高圧燃料タンク12aに蒸発ガスを伝達することができる。このとき、低圧燃料タンク12bと高圧燃料タンク12aの間に内圧の差があることを考慮して、燃料伝達部123は低圧燃料タンク12bで発生した蒸発ガスを高圧燃料タンク12aの内圧に対応するように圧縮機124で圧縮して高圧燃料タンク12aに伝達することができる。
即ち、燃料伝達部123の圧縮機124は低圧燃料タンク12bと高圧燃料タンク12aの間の内圧の差分だけ蒸発ガスを圧縮するが、低圧燃料タンク12bの蒸発ガスを臨界圧力以上に圧縮して高圧燃料タンク12aに伝達し、高圧燃料タンク12aは燃料伝達部123によって伝達された蒸発ガスを保管または推進エンジンEに供給することができる。
このように低圧燃料タンク12bの蒸発ガスが高圧燃料タンク12aに伝達される場合、低圧燃料タンク12bの蒸発ガスを再液化してリターンする必要が省略/最小化されることができる。従って、再液化部40は、燃料タンク12に対する再液化部40の稼動を省略することができる。
即ち、本実施例は、低圧燃料タンク12bの蒸発ガスを高圧燃料タンク12aに伝達する燃料伝達部123を備えることにより、再液化部40が燃料タンク12ではないカーゴタンク11の蒸発ガスの液化だけを処理することができる諸元で設けられるようにして、再液化部40のサイズをコンパクト化することができ、液化するときにかかる冷媒処理費用などを節減することができる。
図11は、本発明の第11実施例によるガス処理システムの概念図である。
図11を参照すると、本発明の第11実施例によるガス処理システム1は、燃料回収部30が液化ガスを回収して高圧ポンプ21に伝達するが、燃料回収部30によって回収される液化ガスが燃料供給部20に回収される代わりに、燃料貯蔵部10の燃料タンク12に回収されることができる。
即ち、燃料貯蔵部10の燃料タンク12(例えば、高圧燃料タンク12a)は燃料回収ラインL30が直接連結され、燃料回収ラインL30によって回収される液化ガスが内部に注入されることができる。このとき、燃料回収ラインL30は、燃料タンク12内で上部にスプレー方式で液化ガスを噴射することができるが、注入方式はこれに限定しない。
燃料回収部30は、推進エンジンEから排出される高圧/高温の液化ガスを減圧弁31によって減圧した後、燃料タンク12に回収するようになり、回収される高温の液化ガスを高圧燃料タンク12aに伝達して高圧燃料タンク12aの内圧及び温度を上昇させることができる。即ち、回収される液化ガスを活用して前の図8で説明した内圧上昇部122の機能を具現することができる。
従って、本実施例は、推進エンジンEが要求する液化ガスの量が、例えば、時間当たり3~4m3の場合、リターンされる高温液化ガスを高圧燃料タンク12a内にスプレーして燃料貯蔵部10から推進エンジンEに伝達される液化ガスの排出量を増加させて推進エンジンEの安定的な稼動を保障することができる。
燃料回収部30によって液化ガスが回収される高圧燃料タンク12aは、異常動作時に液化ガスのベント及びパージガスを排出するために、ベントマスト36に連結されることができる。即ち、高圧燃料タンク12aからベントマスト36にベントラインL32が連結され、高圧燃料タンク12aの液化ガスや燃料回収ラインL30を介して回収されるパージガスがベントラインL32に沿ってベントマスト36に伝達されて外部に放出されることができる。
但し、パージガスの場合、パージ過程で燃料供給部20などに残留していた爆発性物質が混入される可能性があるため、ベントマスト36を介して直ぐ排出するのは環境汚染を誘発することがある。
従って、本実施例は、高圧燃料タンク12aからベントラインL32を介して排出されたパージガスがベントマスト36に伝達される代わりに、低圧燃料タンク12bに伝達されるようにすることができる。このために、ベントラインL32には低圧燃料タンク12bに連結されるパージガス回収ラインL33が分岐されてもよい。
従って、燃料回収部30によって燃料供給部20のパージ後に回収されるパージガスは、燃料回収ラインL30に沿って高圧燃料タンク12aに流入された後、ベントラインL32に沿って流れてからパージガス回収ラインを介して低圧燃料タンク12bに貯蔵されることができる。
このとき、パージガス回収ラインL33を介して回収されるパージガスは、低圧燃料タンク12bの内圧以上の圧力を有することができる。従って、パージガスの流入時に低圧燃料タンク12bの圧力が上昇するようになる。
この場合、本実施例は、低圧燃料タンク12bが移送ポンプ121なしに内圧によって液化ガスを燃料供給部20に伝達するようにすることができる。即ち、低圧燃料タンク12bはパージガスの流入によって内圧が上昇することにより、移送ポンプ121を省略するか、移送ポンプ121の負荷を減らすことができる。
従って、特定のターミナルの条件に応じて推進エンジンEがトリップ(Trip)される停止などの異常状況において、本実施例は、パージガスを外気に放出せずに内圧の調整が可能(再液化部40を活用)な低圧燃料タンク12bに回収及び捕集して、外気へのパージガスの放出を制御することで、安全性の向上及び大気汚染の防止効果を得ることができる。
特に、低圧燃料タンク12bは蒸発ガスの液化リターンなどを通じて内圧の調整が可能であるため、高圧のパージガスによって低圧燃料タンク12bの内圧が上昇するように低圧燃料タンク12bの内圧が保持されることで、低圧燃料タンク12bでの液化ガスの排出負荷を減らすことができる。
無論、上のようにパージガスが低圧燃料タンク12bに伝達されてもよいが、パージガスの他に回収される液化ガスもパージガスの流れと同様に高圧燃料タンク12aを経て低圧燃料タンク12bに伝達されて低圧燃料タンク12bの内圧を上昇させることも可能である。
例えば、高圧燃料タンク12aは、常温で気化が行われない圧力で液化ガスを貯蔵するが、常温以上の液化ガスが燃料回収部30を介して高圧燃料タンク12aに流入されることによって、高圧燃料タンク12aで蒸発ガスが発生し、ベントラインL32とパージガス回収ラインL33を介して低圧燃料タンク12bに伝達されてもよい。
もちろん、上述した他の実施例と同様に、本実施例も高圧燃料タンク12aは液化ガスを臨界圧力以上で貯蔵することで、常温で蒸発ガスの発生が抑制され、低圧燃料タンク12bは独立型圧力容器でありながら液化ガスを臨界圧力未満で貯蔵するため、再液化部40はカーゴタンク11の蒸発ガス及び低圧燃料タンク12bの蒸発ガスを再液化するが、高圧燃料タンク12aとは連結されなくてもよい。
このように、本実施例は、回収される液化ガスが高圧燃料タンク12aに直接流入されるようにして高圧燃料タンク12aの内圧を上げて液化ガスの燃料供給を安定的に具現し、パージガスが低圧燃料タンク12bに捕集されるようにして環境汚染の懸念を解消することができる。
図12は本発明の第12実施例によるガス処理システムが適用された船舶の部分側面図であり、図13は本発明の第12実施例によるガス処理システムが適用された船舶の部分平面図である。
図12及び図13を参照すると、本発明の第12実施例によるガス処理システム1は、燃料貯蔵部10が複数個のカーゴタンク11を備えることができ、別の燃料タンク12を備えなくても推進エンジンEの燃料として供給される液化ガスを別に貯蔵する空間を備えることができる。
具体的に、燃料貯蔵部10は、複数個のカーゴタンク11のうち少なくとも何れか1つのカーゴタンク11に、貨物貯蔵空間113と燃料貯蔵空間114が同時にに設けられるようにすることができる。
このとき、カーゴタンク11は、前後方向または左右方向などの様々な方向に空間を2つ以上に分離する密閉型の隔壁112が設けられてもよく、隔壁112によって貨物貯蔵空間113と推進エンジンEに供給される液化ガスを貯蔵する燃料貯蔵空間114が区画される構造であってもよい。
上述したように、カーゴタンク11は常圧で液化ガスを貯蔵することができ、メンブレン型または独立型タンク(Type Cは除く)であってもよいため、カーゴタンク11内に形成される燃料貯蔵空間114も98%のfilling limitが適用され、特定容積に最大限の液化ガスを貯蔵することができる。
このとき、隔壁112はカーゴタンク11に設けられるドーム115の位置を考慮し、ドーム115の下側に設けられることで、貨物貯蔵空間113と燃料貯蔵空間114が1つのドーム115を共有するように設けられてもよい。
貨物貯蔵空間113の液化ガスはカーゴポンプ111aとメインラインVM、LMを介してロード/アンロードされ、燃料貯蔵空間114の液化ガスは移送ポンプ111と燃料供給ラインL20を介して推進エンジンEに供給される。このとき、貨物貯蔵空間113と燃料貯蔵空間114の両方とも外部に連通する構造(ライン及びドーム115)が必要なので、本実施例はカーゴタンク11に基本的に設けられるドーム115が燃料貯蔵空間114の液化ガスの排出にも活用されるようにすることができる。
カーゴタンク11のドーム115は、図13に示したようにカーゴタンク11を収容する船舶100の船首または船尾側に偏って設けられてもよいが、ドーム115の配置を考慮して隔壁112はカーゴタンク11の内部で前後方向に一側に偏って設けられることができる。
勿論、ドーム115は、左右方向には中央に配置されてもよいため、隔壁112が左右方向にカーゴタンク11の内部を分割する場合は、隔壁112は中央に配置されることができる。また、その他にも、隔壁112は1つ以上で設けられて、1つ以上の燃料貯蔵空間114を形成することができる。
隔壁112によって分割される貨物貯蔵空間113と燃料貯蔵空間114は、同じ容積または異なる容積で設けられてもよく、また、隔壁112によって分割される空間の容積は同じであるが、空間のうち少数の空間が燃料貯蔵空間114で、残り多数の空間が貨物貯蔵空間113として使用されてもよい。
例えば、2つの隔壁112によってカーゴタンク11の内部が4つの空間に区画される場合、1つの空間だけが燃料貯蔵空間114として使用されてもよく、この場合、4つの空間に区画された空間の全てが1つのドーム115を共有するように設けられてもよい。
ドーム115を共有するようにするために、隔壁112はカーゴタンク11の内部空間を完全に隔離させる代わりに、図12のようにドーム115内で2つの空間を連通させる高さを有することができる。即ち、隔壁112によって分離される空間は互いにドーム115を介して蒸発ガスが移動するように連通されることができる。
貨物貯蔵空間113や燃料貯蔵空間114で発生する蒸発ガスがドーム115に向かって流動する場合、蒸発ガスは液化ガスに比べて軽いため、燃料貯蔵空間114の蒸発ガスが貨物貯蔵空間113の液化ガスに伝達されるか、貨物貯蔵空間113の蒸発ガスが燃料貯蔵空間114の液化ガスに流入される恐れは少ない。
しかし、貨物貯蔵空間113の蒸発ガスが燃料貯蔵空間114の蒸発ガスと混合されてから再液化してリターンされるとき、燃料貯蔵空間114の液化ガスの品質が変質される恐れがある。特に、貨物貯蔵空間113には推進エンジンEの燃料として適切または不適切な液化ガス(ブタン/プロパン、プロピレンなど)が貯蔵されるのに対し、燃料貯蔵空間114には貨物貯蔵空間113とは異なり、推進エンジンEの燃料として適切な液化ガスだけを貯蔵するため、2つの貯蔵空間に貯蔵された液化ガスの組成が異なることがあるためである。
従って、隔壁112は蒸発ガスの隔離ができるように、少なくとも貨物貯蔵空間113と燃料貯蔵空間114を区分する隔壁112は図面とは異なって2つの空間を完全に隔離させる構造で設けられてもよい。
隔壁112によって分離された2つの空間は、液化ガスのポンピング及び再液化などが独立して行われることができるが、但し、貨物貯蔵空間113に推進エンジンEの燃料として適切な液化ガスを積載する場合には、貨物貯蔵空間113の液化ガスが燃料貯蔵空間114に補充されるようにすることもできる。
このために、隔壁112には部分的に貫通された開口が形成され、液化ガス伝達バルブ(不図示)が設けられることができるため、隔壁112を介した液化ガスの伝達が行われることができる。また、貨物貯蔵空間113に積載された液化ガスがカーゴタンク11から排出された後、メインラインVM、LMや燃料供給ラインL20から燃料貯蔵空間114に向かって延長される液化ガス補充ラインL12を介して液化ガスが伝達されることもできる。
このように、本実施例は、カーゴタンク11のうち何れか1つの内部に隔壁112を利用して分離された空間(segregated space)を形成し、分離された空間が燃料貯蔵空間114として使用されるようにして(プロピレンを除いた液化ガスの積載)、上甲板101上に燃料タンク12を備えなくてもよいため、visibilityの問題を解消することができるだけでなく、上甲板101内の他の装備との干渉問題も齎さない。
図14は、本発明の第13実施例によるガス処理システムが適用された船舶の中央断面図である。
図14を参照すると、本発明の第13実施例によるガス処理システム1は、メンブレン型または独立型タンク(Type Cは除く)であるカーゴタンク11に隔壁112を設けるという点では第12実施例と類似するが、隔壁112が密閉型で設けられて隔壁112によって空間が完全に分離されるという特徴がある。
即ち、燃料貯蔵部10に含まれる複数個のカーゴタンク11のうち少なくとも何れか1つには、貯蔵空間を完全に2つ以上に分割する密閉型の隔壁112が備えられる。この場合、隔壁112によって分割された2つ以上の貯蔵空間はカーゴタンク11内で互いに連通しない。従って、カーゴタンク11内に設けられて液化ガスを外部に排出する貨物ポンプや移送ポンプ111は、隔壁112によって分割される複数個の貯蔵空間毎に独立して設けられることができる。
隔壁112は貯蔵空間を左右に完全に分割する形状であってもよい。即ち、隔壁112は船舶100の前後方向に設けられる縦隔壁112であってもよい。
液化ガスを貨物として貯蔵するカーゴタンク11を有する液化ガス運搬船の場合、IGCコード(International code for construction & equipment of ships carrying liquefied gases in bulk、国際液化ガス輸送船の構造及び設備規則)に基づき、カーゴタンク11と船側外板102の間に一定間隔を置かなければならない。
例えば、LPG運搬船の場合、カーゴタンク11の外部を単一壁の船側外板102が取り囲むsingle hull構造で設けられるが、船側外板102とカーゴタンク11の壁体との間の間隔はカーゴタンク11の容積に応じて変わる。
即ち、カーゴタンク11は、貯蔵空間の容積を基準としてIGCコードによる上記カーゴタンク11と船側外板102との間の間隔に合わせて船側外板102から内側に配置され、間隔分だけは船内で液化ガスの積載量を確保できなくなる。このとき、カーゴタンク11の容積が大きいほど間隔が大きくなる。
本実施例は、IGCコードによる間隔は満たしながらも、船内における液化ガスの貯蔵容量を最大に確保することができるように、カーゴタンク11の貯蔵空間を完全に分割する隔壁112を備えて、全体の貯蔵容量の容積を基準としてIGCコードによるカーゴタンク11と船側外板102との間の間隔D0より小さい間隔D1分だけ船舶100の船側外板102と左右に離隔配置されることができる。
IGCコードによる間隔は隔離される貯蔵空間の容積に応じて決まるものであるため、本実施例は、密閉型隔壁112を通じてIGCコードの間隔を算定する際に基準となる容積を半分に減らすことができ、間隔をD0からD1に減らすことができる。即ち、本実施例は、カーゴタンク11内に貯蔵空間を左右に完全に分割する形状の隔壁112を備えることで、カーゴタンク11と船側外板102の間隔を縮小し、カーゴタンク11そのものが大きくなることができる。
但し、隔壁112を2つ以上設けると、密閉型隔壁112によって形成される複数個の貯蔵空間毎にポンプを備えなければならない問題があるため、隔壁112はカーゴタンク11の貯蔵空間を2つに分けるように1つだけが設けられてもよく、何れか1つの貯蔵空間は燃料貯蔵空間114になり、残り1つの貯蔵空間は貨物貯蔵空間113になることができる。
このように、本実施例は、カーゴタンク11と船側外板102の間の間隔によって船内の液化ガスの積載空間が減少する部分を補うために、密閉型隔壁112を活用してIGCコードの間隔を計算する際の容積を減らし、カーゴタンク11そのものの全体容積を拡張することができる。
図15は、本発明の第14実施例によるガス処理システムが適用された船舶の平面図である。
図15を参照すると、本発明の第14実施例によるガス処理システム1は、燃料貯蔵部10が前の第9~第11実施例で説明したように船内に搭載されるカーゴタンク11及び2つ以上の独立型圧力容器の燃料タンク12を備えることができる。
カーゴタンク11は大気圧で液化ガスを貯蔵し、八角形の断面を有して船内に設けられるが、カーゴタンク11のドーム115は船舶100の上甲板101に露出されることができ、ドーム115の左側または右側には船舶100の前後方向に長く移動通路120(piping area&access way)が設けられてもよい。図面に示した移動通路120は、移動通路120そのものではない移動通路120が設置される一定の区域を意味し、本明細書における移動通路120は船員が移動して各施設に接近できるようにする通路(access way)でありながら、主要ラインが通る区域(piping area)であり、他の構成との干渉があってはならない空間を意味する。
燃料貯蔵部10の燃料タンク12は船内ではなく上甲板101上に設けられてもよいが、このとき、移動通路120との干渉が問題になることがある。従って、燃料タンク12は、上甲板101において移動通路120が設けられた一側(図面における左舷側)の移動通路120と船側外板102の間に第1燃料タンク12を設けてもよく、上甲板101において移動通路120が設けられた一側の反対側(図面における右舷側)のドーム115と船側外板102の間に第2燃料タンク12を設けてもよい。
このとき、第1燃料タンク12は、第2燃料タンク12に比べてドーム115から離隔された距離がさらに大きく形成され、第1燃料タンク12が設置される面積は第2燃料タンク12が設置される面積より小さくてもよいため、移動通路120との干渉を解消するために第1燃料タンク12は第2燃料タンク12に比べて容積が小さく設けられることができる。
例えば、第1燃料タンク12は液化ガスを臨界圧力以上で貯蔵して常温で蒸発ガスの発生が抑制される高圧燃料タンク12aであり、第2燃料タンク12は液化ガスを臨界圧力未満で貯蔵する低圧燃料タンク12bであってもよい。この場合、第1燃料タンク12は第2燃料タンク12より体積が小さくて外壁の厚さが大きく、第2燃料タンク12に比べて密度が大きいことができる。
このように、燃料タンク12を複数個で設けて左右非対称にするのは、LNG(0.65kg/m3)より密度の大きいLPG(プロパン1.8kg/m3、2.4kg/m3)の場合、上甲板101に1つの燃料タンク12だけを備えると、左右のバランスがとれず、船体の安定性が問題になるからである。
即ち、本実施例は、船舶100の左右のバランスをとるために、上甲板101においてドーム115を基準として左右にそれぞれ燃料タンク12を配置するが、サイズが相対的に小さい高圧燃料タンク12a(第1燃料タンク12)は移動通路120の左右方向の外側に配置することができる。
このとき、第1燃料タンク12は上下方向にカーゴタンク11の上面に投影されない位置に配置されてもよく、第2燃料タンク12は上下方向にカーゴタンク11の上面に投影される位置に設けられてもよい。これは、第1燃料タンク12が移動通路120との干渉を避けるために、ドーム115よりは船側外板102に近い位置に配置されるからである。
このように、本実施例は、2つ以上の燃料タンク12を上甲板101に設けるとき、移動通路120などの干渉がないようにしながらも船舶100の左右のバランスを保障し、船舶100で致命的に起きるrollingを減少させることができる。
図16は本発明の第15実施例によるガス処理システムが適用された船舶の概念図であり、図17は本発明の第15実施例によるガス処理システムが適用された船舶の正断面図である。
図16及び図17を参照すると、本発明の第15実施例によるガス処理システム1は、燃料貯蔵部10がカーゴタンク11とは別に燃料タンク12を備えることができ、燃料タンク12は独立型圧力容器でありながら船内に搭載されることができる。
複数個のカーゴタンク11が船舶100の前後方向に3個または4個などが設けられることができるが、このとき、燃料タンク12は、図16に示したように複数個のカーゴタンク11の後方に配置されることができる。即ち、燃料タンク12は、最後方のカーゴタンク11の後方に配置される。
燃料タンク12は図16のようにエンジンルームの内部に配置されてもよく、図面とは異なってエンジンルームの外部においてエンジンルームの前方隔壁112と最後方のカーゴタンク11の間に配置されてもよい。
推進エンジンEは液化ガスの他にもオイルを燃料として使用する異種燃料エンジン(Duel-Fuel engine)であってもよいが、推進エンジンEに供給するオイルを貯蔵するオイルタンク13が必要である。
本実施例で説明した燃料タンク12がなければ、オイルタンク13はエンジンルーム内においてエンジンルームの前方隔壁112に設けられてもよいが、本実施例の場合は、図17のように燃料タンク12の左右にオイルタンク13を設けることができる。
即ち、エンジンルームの内部またはエンジンルームの前方隔壁112と最後方のカーゴタンク11の間の空間の船内において、船底板103の上側には縦方向隔壁112が2つ以上設けられ、中央の空間には燃料タンク12が収納され、左右の空間はオイルが貯蔵されるオイルタンク13として活用されることができ、燃料タンク12とオイルタンク13の周りにバラストタンク110が配置されてもよい。
このとき、燃料タンク12は独立型圧力容器であり、エンジンルームなどの様々な構造的形状に対応しながらも液化ガスの容積を最大限確保できる形状を有するためにラティス(lattice)型の圧力容器であってもよい。
このように、本実施例は、オイルタンク13が設けられていた場所を活用して燃料タンク12が配置されるようにすることで、上甲板101内の空間を確保しながら液化ガスを外部の衝撃などから十分に保護することができる。
本発明は、上述した実施例の他にも上記実施例のうち少なくとも2つ以上の組み合わせまたは少なくとも1つ以上の上記実施例と公知技術の組み合わせによって発生する実施例を全て包括する。
以上、本発明を具体的な実施例を通じて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されず、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者によってその変形や改良が可能であることは明らかである。
本発明の単純な変形ないし変更は全て本発明の範囲に属し、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲によって明確になるだろう。