以下、実施例に関し詳細に参照する。この例は添付の図面に示されており、ここで同様の参照番号は全体を通して同様の要素を指す。これに関し、本実施例は他の形態を有し得るものであり、本明細書に記載された説明に限定されると解釈されるべきではない。したがって、実施例は本説明の形態を説明するために図面を参照し、以下に説明するのみである。
PCT国際特許出願文書# PCT/KR2017/014540には、変圧器における位相の変化を制御することによって力率を調節する方法が記載されている。本発明はそれと類似しているが、変圧器回路ではなく、導波管回路及び伝送線回路を扱う。(参考文献1:Won Don Lee, Hijung Chai, and Aquila Hwan Lee, Power factor adjustment method and apparatus through the phase control, PCT International application #: PCT/KR2017/014540.)
電場および磁場に関し正確な解を求めるならば、マクスウェルの方程式を解く必要がある。導波管を分析するためにマクスウェルの方程式を解く代わりに、導波管のモデルとして伝送線を用いる。導波管及び伝送線は、いずれも波を伝えるものとして、いかなる場合にも混用されることがある。本発明においては、特に明記しない限り、導波管では電界及び磁界の電磁波が伝播するのに対し、伝送線では電圧及び電流の波が伝播するとみなし、それらを区別する。ただし、実際には、伝送線でも電磁波は伝播する。しかし、伝送線の解析では、電界及び磁界ではなく、電圧及び電流の波が使用される。電圧及び電流の扱いが容易なことから、導波管回路はその伝送線の等価回路に変換し解析される。導波管回路がその伝送線の等価回路に変換され、電圧及び電流波を使用して解析されるので、本発明でいう伝送線回路には、等価伝送線回路に変換される導波管回路も含む。
伝送線のモデルでは、パラメータとしてR、L、G、及びCが使用されるが、これらはそれぞれ単位長さあたりのレジスタンス、インダクタンス、コンダクタンス及びキャパシタンスである。伝送線回路によって導波管をモデル化するには、上記のパラメータの値を正確に算出する必要がある。
損失が無い場合、導波管の電磁界は伝送線の波に容易に変換することができ、伝送線のパラメータは導波管の寸法及び媒体のパラメータ等から算出される。損失が大きい場合、導波管からそれに対応する伝送線の等価回路のパラメータは容易に導き出されず、電圧及び電流はかなり抽象的になり、単純な方法で解釈することはできない。
したがって、導波管の等価の伝送線のパラメータを正しく定義する方法が重要となる。波が伝播する方向を横切る横向への断面の形と大きさが同じ一定の導波管を考えてみよう。波が進行する方向が導波管の軸方向で、それがz軸(z-axis)としよう。遺伝率(permittivity)と投資率(permeability)は等方性(isotropic)としよう。また、順方向(forward)と逆方向(backward)でただ一つのモード(single mode)が伝播するとしよう。
誘電率と投資率が鐘(longitudinal)方向と横(transverse)方向成分の間にカップリング(coupling)がなければ、ここで引き出す数式は異方性(anisotropic)の場合まで拡張されることができる。(参考文献2:Roger B. Marks and Dylan F. Williams, A general waveguide circuit theory, Journal of Research of NIST, Sept.-Oct. 1992, Vol. 97, No. 5: pp. 533-562.)一つ以上のモードが導波管で電波されれば、各モードについてはそれに該当する等価伝送線の媒介変数があるようになる。
導波管をそれの等価伝送線にするためには、導波管から伝送線と同じ二つの媒介変数を選択するためにそれらは伝わり定数(propagation constant)と電力(power)だ。(参考文献3:John R. Brews、Transmission line models for lossy waveguide interconnections in VLSI、IEEE Transactions on Electron Devices、Vol. ED-33、No.9、Sept.1986:pp. 1356-1365.)
ダウムでは導波管とそれの等価伝送線との関係について手短に説明しようとする。
与えられた導波管に該当する等価伝送線はいつもあるので、伝送線で発見した新たな結論はその導波路に直接適用される可能性がある。しかし、伝送線モデルで発見した前歴に関する新たな結果はただ、高い周波数を使用する導波管に限って適用することに終わるものではない。その結果はあらゆる可能な導波路と伝送線に適用される可能性がある。なぜなら、たとえ電圧と電流が周波数が高まったことによって、抽象的になるとしても、ある導波管と、それに相応する等価伝送線は同じ電力を持っているといったためだ。等価伝送線での電圧のzに対する依存(the dependence on z)は導波管で横方向の電場のzに対する依存のようだ。同様に、等価伝送線での電流は導波管で横方向の磁場のzに対する依存のようだ。
順方向のモード、場(forward mode field)はexp(-γz)という因子(factor)を持つが、ここでγは伝わり定数(propagation constant)であり、以下の通りである:
ここでαとβはそれぞれ減衰定数(attenuation constant)と位相定数(phase constant)である。
既に述べたとおり、上記の数式における導波管における電波定数γは等価伝送線においても同値を持ち、次のとおり:
ここでωは角速度である。
導波管のz軸に沿って一つのモードの横方向の電気場と磁場の成分(component)をそれぞれEtとHtとすると次のように表せる:(参考文献2:Roger B. Marks and Dylan F. Williams, A general waveguide circuit theory, Journal of Research of NIST, Sept.-Oct.1992, Vol.97, No.5:pp. 533-562.)
ここでcfとcbはそれぞれ順方向と逆方向の章を結合する係数であり、etとhtはそれぞれ正規化された(mormalized)横方向の電気場と磁場関数である。v(z)とi(z)はそれぞれ導波管電圧と導波管電流で、v0とi0は正規化定数(normalization constant)だ。
v
0とi
0は電力p
0と次のような関係を持つ:
すると、zにおける横断面を横切る複素電力(complex power)p(z)は次のとおり:
述べたように、導波管における電力は等価伝送線における電力と同様であると仮定する。電力は場の方向に流れると定義する:
ここでReは実数部分を意味する。
順方向特性インピーダンス(characteristic impedance)は次のように定義される:
(式5)と(式8)から、インピーダンスの位相は電力の位相と同じであり、電力の虚数部分と実数部分の比であるHは次のように定義される:
ここでImは虚数部分を意味する。
すると等価伝送線の媒介変数であるR,L,G,そしてCは導波管の媒介変数であるH,α,βから次のように決定される。
(参考文献3:John R. Brews, Transmission line models for lossy waveguide interconnections in VLSI, IEEE Transactions on Electron Devices, Vol. ED-33, No. 9, Sept. 1986: pp. 1356-1365.)
等価伝送線回路における媒介変数が決定したため、導波管回路はなじみの伝送線回路で解くことができるようになる。上記媒介変数は損失導波管(lossy waveguide)の場合でも求められ、また伝導率(conductivity)と遺伝率(permittivity)が媒体(medium)の位置によって変わっても求められる。(参考文献3:John R. Brews, Transmission line models for lossy waveguide interconnections in VLSI, IEEE Transactions on Electron Devices, Vol. ED-33, No. 9, Sept. 1986: pp. 1356-1365.)
次のようにそれぞれ順方向と逆方向に行くパドルvf(z)とvb(z)はモードを正規化することで定義できる:
すると電圧波(voltage wave)と電流波(current wave)は次のようになる:
すると、有効電力P(z)は次のとおり:
上の数式は言うまでもなく、ある平面を横切る電力は、上の最終行の右辺の3項がなくならない限り、順方向の波が運ぶ電力から逆方向の波が運ぶ電力を抜くようなものではないという。この数式について、ロジャー・ビー・マークス(Roger G. Marks)とディラン・エフ・ウィリアムズ(Dylan F. Williams)は、「たとえその数式がぎこちなく、やや半直観的だが、それは人工的に作った公式ではなく、根本的な物理の表現だ」と述べた。言い換えれば、もしインピーダンスがZ0が実数でなければ、電力はその二つの波が運ぶ電力の単なる違いではないことを示している。
彼らの言った意味をさらに知るためには、上の数式を反射係数を含む数式に変える必要がある。反射係数Γ(z)は次のとおり:
すると、有効電力P(z)は次のように表現される:
エン・マルクヴィッツ(N. Marcuvitz)も上記のような式を導き出した後、「損失が発生する電線から|Γ|2はもはや電力反射係数とはみなせない。それだけでなく、|Γ|は1より小さいか同値のみを持つとは限らない。反射係数としてのΓの意味は、もし損失が発生する電線における電圧と電流が特性アドミタンス(characteristic admittance)をミス値にするよう定義される時のみ維持される」とした。(参考文献4:Marcuvitz, Waveguide Handbook, New York: MaGraw-Hill, 1951: p.27.)
言い換えれば、もしインピーダンスZ0がミスでない場合、上記の数式がどのような結果を持つかについて知る必要がある。
1.電力差(Power difference)
次のような質問をする番だ:
(1)(等価)伝送線の二地点、特に負荷と電源での電力の違いはどのように表現されるか?
(2)その二つの地点の電力が同じか。
(3)それが同じでなければ、電力が同じになる条件は何か。
(4)それが同じでなければ、その電力の差が量の値になるようにできるのか。言い換えれば、負荷から消耗する電力が電源から供給するよりも大きくできるか。
(5)それが可能であれば、そのような電力の差が量の値となるようにする条件は何か。
(6)回路のインピーダンスをインピーダンス複素平面の2四分面や3四分面に行かせるか。言い換えれば、力率が負の値になるようにすることができるか?ここで電力とその他の物理量の単位は便宜上省略する。
まず、伝送線の2地点間の電力差について調べたい。反射係数は次のような性質を持つ:(参考文献5:Sophocles J. Orfanidis, Electromagnetic waves and antennas, Rutgers University, 1999: p. 155. [Online]. Available: http://eceweb1.rutgers.edu/~orfanidi/ewa/)
z=0での電力は:
z=-lでの電力は:
したがって、両地点、すなわちz=0とz=-lにおける電力の差は次のとおりである。
私たちが二つの地点の電力の差を比較すると、波が伝送線を通過する際に生じる損失は考えないことを望むので、次のような条件をつける:
それでは、
Γ(0)を次のように表現しよう:
ここでθ0はΓ(0)の位相である。
それでは、
すると、電力差は次の通りである:
したがって、伝送線の両地点における電力は、伝送線のインピーダンスであるZ0が誤りであるか、または次のような条件である場合に同様となる:
または
または
ここでkは定数である。
負荷のインピーダンスが伝送線のインピーダンスと整合しているときには、|Γ(0)|が0になって両電力は同じになる。
電力が同じになるもう一つの場合はβl=kπのときであるが、このときは次の関係が成立する:
ここでλは波長(wavelength)である。言い換えれば、伝送線の長さが半波長(half wavelength)の排水になると伝送線両地点の電力は同じになる。
もう一つの戦力が同じになる条件は
だ。
波が負荷側に伝播するときに減衰し、また位相の変化を(-φ)だけ経験するが、このときφを相対位相(relative phase)と称し、それは次のように距離lに関係する。
ここでυは伝送線における信号の位相速度(phase velocity)であり、fは周波数である。
相対位相は、φは波が伝送線を通過しながら経験する位相の変化の絶対量(absolute amount)であり、またそれは周波数に比例するので、周波数を変化させることで相対位相を調節することができ、したがって、我々は上記の二つの電力が同じになる条件を満たす周波数を見つけることができる。
電力差を0にして両電力が同じになることを満足する条件があるということは、電力差を量や負の値にする周波数が存在することを意味する。
もし電力差を0にする上の条件が満たされなければ、その電力差は0にならず、二つの地点間の電力は同じではないだろう。電力が同じではなく、伝送線に沿って伝播する波の位相の変化を制御することで電力の違いを量の値にすることが可能である。
今まで上で質問した質問の1番から4番までを答えた。その答えをもう少し補足するため、下では伝送線における電力を計算し、上で計算した(式34)が正しいことを示すことにする。伝送線の二地点における電力を比較すると、伝送線のインピーダンスZ0が誤りでないときは、波が伝播することによって生じる位相の変化によって、その電力の値が異なることを明らかにしていきたい。
また、残りの質問については、電力の違いは陽の値を持つことができることを示すが、その意味は負荷から消耗する電力の量が電源から供給することより大きいことを意味する。そしてここでは電力の差が陽になる条件を求めていきたい。
2.伝送線における過程に対する既存のモデリング(The traditional modeling of the processes in a transmission line)
図1は伝送線回路の一例を図示した図面である。
電圧vと電流iが角速度ωを持つ電源vSによって発生して、図1のように伝送線を通じて伝播する過程を考えてみよう。
ここで伝送線の長さはlである。電源はそのインピーダンスZSを有しているが、それは電源の内部インピーダンス(internal impedance)であり、電源側の負荷を含めることができる。
ZTとZLはそれぞれ伝送線の特性インピーダンスと後端(rear-end)にある負荷のインピーダンスだ。負荷は位置z=0にあり、電源は負荷からlほど離れたz=(-l)の位置にある。以下では特に言及がない限り、"負荷"は後段にある負荷を意味する。
電波定数、γTは次のとおりである。
ここでαTとβTはそれぞれ伝送線における減衰定数と位相定数である。
電源が伝送線を通じて負荷につながったとき、負荷側だけでなく電源側でも反射があった場合に起こる一連の過程を考えてみよう。細い波と来る波をより明確に区分するために、vi(-l)とii(-l)をそれぞれ電源側から行く電圧波と電流波としよう。ここで添字iは「入射(incident)波」をいう。するとii(-l)は次のようになる。
波が負荷側に行く電波による位相変化は(-φT)であり、ここでφTは相対位相であり距離lと次のような関係を持つ。
すると、負荷側の電圧vi(0)と反射した電圧vr(0)は次のようになる。
ここで添字rは「反射(reflected)波」を意味し、ΓLは負荷側での電圧の反射係数として次のようになる。
上におけるΓLの位相はθTである。
電源前端の図1の位置Aにおける電圧v(-l)と電流i(-l)は以下の通りである。
ここでvr(-l)は負荷から反射した電圧vr(0)が電源側に伝播したときの電圧である。したがって、vi(-l)は次のようになる。
ここでΓSは電源側での反射係数である。上記数式は電圧vi(-l)が二つの部分からなることを示している。最初の部分は電圧がインピーダンスによって分圧され(voltage divided)、2番目の部分は負荷側で反射してくる波が電源側で反射されたことに関連する。
それぞれの波が負荷側だけでなく、電源側でも反射するこの過程は無限に繰り返される。負荷から反射した波は電源側に来るが、このとき同量の減衰と位相変化、つまりexp(-γTl)を経験する。したがって、負荷側から反射した波が電源側に来たときの電圧vr(-l)は次のように表現される。
vr(-l)をvi(-l)に関する数式に代入してvi(-l)に関して整理すると:
したがって、電源側z=-lと負荷側z=0での電圧と電流は:
伝送線の特性インピーダンスZTがミスの値を持っていると仮定しよう。図1の位置Aで測定した電力Psは以下のとおりである:
負荷により消耗する電力Plは、
したがって、減衰を無視するならば、PsとPlは同じ表現なので点Aからと負荷の間の電力は同じである。
上で見せた結果は、伝送線の特性インピーダンスがミス値を持った時を仮定したものだ。伝送線の特性インピーダンスは以下のとおりである:
したがって周波数が非常に高い時、上の式でRとG値を無視すればインピーダンスはミス値を持つ。既存の伝送線理論では、周波数が十分に高くインピーダンスがミス値を持つと仮定する。以下では、我々は特性インピーダンスがミス値でない場合を計算し、その結果、電源が供給する電力が負荷から消耗するのと同じではないことを示している。
3.伝送線インピーダンスがミスでない場合の電力とインピーダンス(Powers and impedance when impedance of the transmission line is not real)
次に、伝送線の特性インピーダンスがミスではなく複素数である場合について考えよう。そのような場合が発生するときは、波の周波数が高く伝送線のモデルが適用されるが、しかし、その周波数が特性インピーダンスをミス値にするほどでは高くないときである。
伝送線の特性インピーダンスZTを次のように表現しよう:
ここでθTはZTの位相である。
3.1 電力(Power)
図1の点Aから電源により供給される電力PSは:
負荷により消耗する電力PLは:
電力PSは相対位相φTに依存するが、PLはそうではない。したがって、両電力PSとPLは互いに同じではない。減衰を無視して両電力PLとPSの間の差である電力差PDを見ると:
これからこの結果をパワー差の「(式34)」と比較しよう。まず、次のような関係があることを観察しよう:
(式14)の順方向波vf(0)と(式43)のvi(0)は(式16)によると次の関係がある:
すると、(式34)は次のとおり:
上記の表現は、当然(式65)と正確に同じであることが分かる。
それだけでなく、次の条件が満たされれば電力差PDは陽の値を持つ:
上記の条件は、例えば、もしφTとθTとが両方とも1四分面の角度であり、θTが4四分面にあれば満足する。したがって、負荷から消耗する電力は、電源が供給するよりも多くなる可能性がある。
電力差PDは、電力差が陽の数であることを条件に、(式74)の最後列にあるサインとコーサイン関数の大きさが一番大きい値を持つときに最大値を持つことが容易にわかる。φTとθTはいかなる位相値であっても有することができるが、下記(式103)に示すようにθTは一定の範囲内の値を有する。したがって、sinφT+cos(θT-φT)が持つことができる絶対値の最大値は1である反面、sinθTの持つことができる絶対値の最大値はsin(π/4)である。
負荷での電力PLは負荷のインピーダンスが伝送線の特性インピーダンスと整合する際の極大値を持つ。しかし負荷のインピーダンスが整合すると、電力差はゼロとなり、その場合はこの発明で望ましくないので扱わない。負荷のインピーダンスがほぼ整合した場合、(式74)で見るように電力差が|ΓL|に比例するため|ΓL|がほぼ0に近い値を持つと電力差は0に近くなり、それもやはり望ましい状況ではない。したがって、電力発電システムをデザインする際に電力差を最大にすることと負荷から消耗する電力を最大にすることの間で妥協が必要である。
相対位相φTは、周波数又は伝送線の長さによって制御されることができる。伝送線の特性インピーダンスの位相θTは、伝送線を適当なR,L,GとCの値でデザインして決定される。反射係数の位相であるθTは伝送線の特性インピーダンスと負荷のインピーダンスによって決定される。
電力PSは伝送線で発生する抵抗損失(ohmic loss)などの損失を含まない。伝送線の前端での電力PSは伝送線の負荷から消耗する電力PLに対応する量(counterpart)である。したがって、一般的に電源から供給される電力を伝送線の前端で測った実際の電力Pmは、PSより他の損失に伴う電力Plossほど大きく、次のように示すことができる。
したがって、実際の問題における負荷における電力と伝送線の前端で計った電力の違いは(PL-Pm)で示される。
3.2 インピーダンス
図1における点AにおけるインピーダンスであるZ(-l)は次のとおりである:
インピーダンスが相手位相φTに関係することに注目しよう。したがって、伝送線回路におけるインピーダンスは相対位相φTを制御することで調節できる。
電源側のインピーダンスであるZSを含む回路の全インピーダンスは、ZAは次のとおりである:
(式77)の分子の引数を次のように表現しよう:
ここでθBはBの位相である。
反射係数の大きさ|ΓL|は次の通り:
ZL/ZTを次のように表現しよう:
ここでaとbは実数である。
もし次の条件が満足する場合には:
そして
上記の数式が成立するときの例を挙げると、ZTが実数で負荷が抵抗、蓄電器(capacitor)、または誘導子(inductor)のような手動素子(passive elements)からなるときである。しかし、ZTが実数でなければ、|ΓL|は1より大きい値を持つことができる。
図2はインピーダンスZ(-l)の分子の引数を複素平面に示した図面である。
まず|ΓL|≦1の場合を考えてみよう。
すると、次は条件が成立する:
Bは図2に示すように、複素平面で半径rを持つ円で示される:
Bが持てる最大角θBMaxと最小値θBMinはそれぞれ1四分面と4四分に位置する。
同様に、インピーダンスZ(-l)の分母の引数である[1-exp(-2γTl)ΓL]は、次のように複素平面の一円で表示される。分母は次のように表されます:
ここでθFはFの位相である。Fの位相が持てる最大角θFMaxと最小角θFMinは、それぞれ1四分面と4四分に位置する。
一般性を失わず、Fは1四分面にあり、Bは4四分面にあるとしよう。そして次のような条件が満足するとしよう:
図3はインピーダンス Z(-l)の引数を複素平面に表した図面である。
すると、図3から、(θF-θB)は円の半径rが最大値、つまり1になるとき最大値を持つことがわかる。
図4はインピーダンスZ(-l)の引数を(r=1)のとき複素平面に示した図面である。
するとそのとき、図4から三角形MNPとMPWが二等辺三角形であることがわかる。したがって、次が成立する:
ここで表記∠は角度を意味する。半径rが1のとき、(θF-θB)は常にπ/2である。|F|>|B|のときも同様である。
したがって、(θF-θB)の最大値は:
Bが1四分面にあり、Fが4四分面にあるときは:
したがって、一般的に(θB-θF)この持つ値の範囲は次のとおりである:
回路のインピーダンスは以下のように表現される:
ここでθCはインピーダンスZ(-l)の位相である。
伝送線の媒介変数に関する複素数の値を次のように表現しよう:
ここでθRとθGはそれぞれ相応の位相である。
伝送線のインピーダンスは(式61)のように、上2両の比の平方根だ。導波管の物質 (waveguide material)が受動的(passive)である場合、RとGを負の数でないと仮定すると、(R+jωL)と(G+jωC)は複素平面の同じ四分面に、すなわち1四分面でなければ4四分面に位置する。(Roger B. M arks and Dylan F. Williams, A general waveguide circuit theory, Journal of Research of NIST, Sept.-Oct. 1992, Vol. 97, No. 5: pp. 553-562.) したがって位相の差(θR - θG)の持つ値の範囲は次のとおり:
ZTの位相は(θR-θG)/2であるため、ZTの位相は次の範囲を有する:
するとインピーダンスZ(-l)の位相θCは次の範囲を持つ:
言い換えれば、伝送線回路のインピーダンスZ(-l)は、3四分面と4四分面を含むどの四分面にも位置することができる。ところが、3四分面や4四分面に位置すると、力率は負の値を持ち、その時は電力が平均的に電源側に流れ込むことになる:
これは明らかにその回路が電力発電伝送線システムとして使えることを示している。その場合、電力が電源側に流れてきても電力は負荷から依然として消耗していることに注目しよう。力率が0より小さいときは電力差PDは常に量の値を持つ:
次に反射係数の大きさが次のような場合を考えよう:
このときは、図2に示すように(|ΓL|≦1)のときより円の半径が大きいときなので、相対位相φTと伝送線の特性インピーダンス、そして負荷のインピーダンスを調節することで、θCがどの四分面にも位置するようにすることができる。
上記の式に満足したとき、rの大きさが次のようになるとしよう:
ここでεは正の数である。
図5はインピーダンスZ(-l)の引数を(r>1)のとき複素平面に示した図面である。
それでは、図5に示すように、もし次のようであれば、
すると次のようになる:
上の数式はrが1より少し大きい場合でも起こる:
したがって、rが1より大きい場合には、伝送線のインピーダンスの位相θCは相対位相φTを制御して-πからπまでの任意の値を持つことができる。注目すべきは、位相(θB-θF)は回路のインピーダンスの位相を求めるために、伝送線の位相であるθTをまだ合わせていないのに、既にどのような四分面にでも位置できることである。回路のインピーダンスの位相がπであれば、抵抗値が負の値を持つ回路となる。
もう一つの例を挙げてみよう。次のような条件が満足するとしよう:
そして、
この場合、回路のインピーダンスの大きさは伝送線の特性インピーダンスの大きさと同じだ。θTの大きさはπ/4より大きくないので、回路のインピーダンスは3四分円に位置し、力率が負の値を持つ。
相対位相φTは周波数やまたは伝送線の長さにより制御される。周波数は伝送線の特性インピーダンスがミス値を持つほど高くなってはならない。伝送線の特性インピーダンスの位相θTは伝送線をデザインするとき、R、L、G、そしてCの値を選択することにより決定される。反射係数の位相θTは伝送線の特性インピーダンスと負荷のインピーダンスによって決定される。したがって、適当な周波数、伝送線とその道が、そして負荷を選択することで、負の力率を持つ導波管回路や伝送線の回路を作ることができる。
一応導波管や伝送線をなす媒体と構造、そして負荷が決定されると、回路のインピーダンスと位相を変えかねない変数は相対位相φTだが、なぜなら相対位相は周波数により制御されかねないからだ。
4.電力発電伝送線システム(The power generating transmission line system、PGTLS)
4.1 電力発電伝送線システム(The power generating transmission line system、PGTLS)
一般的に、普通の伝送線は、電気や電磁波を送信するために使われる。これから伝送線のシステムだとするのは伝送線、つまり同軸ケーブル(coaxial cable)、マイクロ・ストリープ(microstrip)、トリプル・レート(triplate)、またはストリップ線路(stripline)などで通信する回路を言うだけでなく、導波管回路がそれの等価伝送線回路に変換された場合には光ファイバ(optical fiber)やフォトニック結晶ファイバ(photonic-crystal fiber)などと一緒に導波管(waveguide)で通信することをすべて含まれる。本発明では実質的に電磁波を通過させる全ての考えられる導波管システムをこれから話している。なぜなら、そのような導波管回路はすでに述べたように等価伝送線モデルの回路で入れ替わった可能性があるためだ。
本発明での伝送線回路は等価伝送線回路で変わる導波管回路のみを含むものはない。本発明の原理は導波管回路から等価伝送線回路に変わったのではなく、一般的なすべての伝送線回路にも適用される。
しかし、本発明における伝送線回路の主な目的は、単に負荷から使う電力を供給するためのものではない。それとは逆に、電源が供給する電力と回路のインピーダンスが(式74)と(式77)で見るように、波の位相の変化とその他の変数に依存するという原理のもと、負荷側から電力をむしろ発電させるためである。
したがって、本発明の伝送線発電システムでは力率が0に近いか負の数になるようにすることができるため、平均的に電源が伝送線回路に供給する電力も非常に小さいか負の量となる。それを達成するために、相対位相を制御することにより回路の力率を調節する必要がある。
周波数の変更、そして/又は伝送線の長さの変更、そして/又は負荷に加えて無効分部品(reactive component)を添加することで、希望する回路の位相値を持つよう制御することができる。
また、伝送線そのものも必要な位相の変化を与えることができるものでなければならない。等価伝送線モデルに使われる4つの媒介変数であるR、L、G、Cは回路のインピーダンスの位相の変化を必要なだけ持つように選択しなければならず、またそれらは伝送線の特性インピーダンス(characteristic impedance)を決定し、結局負荷のインピーダンスと共に反射係数を決定することになるので、よく選択してデザインしなければならない。
今や我々は実質的な電力発電伝送線システムを作ることを扱うので、これからは電力差(PL-PS)の代わりに電力差(PL-Pm)を使ってそれをPDと示す。
本システムは回路が望む力率又は相対位相を持たせるための交流生成器を添加する必要がある。この交流生成システムが生成すべき相対位相に関する条件は(式75)にある。したがって、交流生成器と伝送線回路は2つになって電力を生成することになる。それはそのような点で普通の伝送線回路とは異なる。
本発明の"電力発電伝送線システム(power generating transmission line system,以下PGTLS)"において、交流生成器は伝送線の形態と非常に緊密に関係しなければならないが、なぜなら、その伝送線に合う正確な範囲内の周波数や適当な相対位相を提供し、電力差PDが量の値を持つようにしなければならないからである。
図6は電力発電伝送線システム(PGTLS)の一例を図示した図面である。
図6でPGTLSの"正しい周波数生成する交流生成器(AC generator with right frequency,以下AGRF)"は、例えば二つの部分で形成される:周波数合成発振器(または信号発生器)(frequency synthesizer)(Dean Banerjee, PLL Performance, Simulation and Design, 4thed. Dog Ear Publishing, LLC., Aug. 2006.)部分と増幅器(amplifier)部分だ。信号発生器は、「伝送線回路」において電力差PDを正にする周波数を形成し、増幅器は信号発生器が発生した波を増幅し、適当な大きさの電圧で伝送線回路に入れる。例えばAGRFはフルブリッジ(H-bridge)の形でパルス波を発生することもある。これについては追ってもう少し説明する。
4.2 伝送線回路(Transmission line circuit, TLC)
PGTLSにおいて通常の伝送線先端側の負荷のほか、伝送線回路の電源側にも負荷を持つことができる。負荷は交流によって作動する電気機器であることもあり、直流によって作動する電気機器であることもできる。それが直流により作動する負荷の場合には、出力を電気機器に入れる前に整流過程を経て交流を直流にしてあげればよい。したがって、ここでの"伝送線回路(transmission line circuit,以下TLC)"というのは、負荷が直流を書く機器(たち)の場合に整流過程までを含む回路をいう。負荷は一つ又はそれ以上のバッテリー又は(スーパー)蓄電器((super) capacitor)を含むことができる。その際、バッテリーや(スーパー)蓄電器を充電できるよう、適当な大きさの電圧を持つようTLC内で調節することができる。そうなると、そのバッテリーや蓄電器は他の回路の電源の役割を果たすことになる。
交流を使用する負荷機器がAGRFが与える周波数と異なる周波数を使用するなら、機器に合った周波数に変更しなければならず、そのような必要な周波数に変更する回路をTLCが含めることができる。
図7は電源側にも負荷がある場合のPGTLSの一例を図示した図面である。
伝送線回路は電源側に負荷を図1のZSのように持つことができる。前端に整流器とつながったバッテリーや(スーパー)蓄電器を負荷として持つPGTLSの例が図7にある。図7から点A1とA2をつなぐ平面の左部分の回路をテブナンの等価回路(Thevenin's equivalent circuit)で表現すれば、その回路は既に見てきたように正確に分析できる。そのようにして、電力は力率が負の値を持つとき電源側の負荷でも消耗することがある。
電源側に負荷がない場合、電力差関数PDが正の数かつ後段の負荷での電力となりうる限り大きくさせることができる。電源側に負荷があるときは、ユーザの必要に応じて、電源側そして/又は後端負荷で消耗する電力が大きくなるようにしたり、そして/又は電力差が大きくなるようにすることができる。いかなる場合であれ、電力差PDが正の数でなければならないという条件は満足されなければならない。電力差PDが譲受するこの条件は、他に言及がない限りPGTLSだけでなく、追って説明する「自給システム」も含むこの発明のすべての分野で守られなければならない。
4.3 正しい周波数生成する交流生成器(AGRF)
一般に、AGRFはある周波数を持つサイン波形態の波を生成する。実際には、ある一周波数だけが(式75)を満足するのではなく、電力差PDを量の値にする連続的な周波数の範囲がある。しかし、議論を簡単にするために私たちは下記の周波数だけを持って説明をする。
他の形態の波形がAGRFで生成しても、サイン波形を望むなら、それをフィルターを経て好きな周波数を持つようにすることができる。したがって、その場合には二つの部分がある:最初の部分はある形の電圧波形を生成するものであり、二つ目の部分は希望する周波数の波形のみを増幅する部分である。これに対する一例は、最初の部分が方形波電圧波形を生成し、それが二番目の部分である、例えば、直列LC回路に入って希望のサイン状の周波数を生成する場合である。もしサイン波を必要としなければ、フィルターを省くことができる。
AGRF部分は再び2種類に分かれる:静的なものと動的なものである。静的AGRFは、一度ある周波数範囲内の周波数を生成するよう固定されて以降は、その周波数以外の周波数を生成しない。これは負荷のインピーダンスが変わらないときに有用だ。例えば、もし後端の負荷が他の回路に接続されていないバッテリーである場合、TLCは電源側で平均的に電力を供給していないのに、そのバッテリーを充電することができる。
4.4 バッテリーや(スーパー)蓄電器を充電する(自動)スイッチングシステム
もしPGTLSが充電するバッテリーが電力を消耗する他の機器に接続されていれば、一般的に負荷のインピーダンスは変わることになる。その場合、以下で説明する動的AGRFを使用するか、または図8に示すように、1つまたはそれ以上のバッテリーはPGTLSで充電し、残りのバッテリーは電力を消耗する機器に電力を与えるようにすればよい。
図8はバッテリーや(スーパー)蓄電器を充電するスイッチングシステムの一例を図示した図面である。電気装置はPGTLSによって充電されない電池で動作する。
その際、充電するバッテリー(battery bank)が充電されれば、電気機器に連結されたバッテリーを充電するようにし、充電されたバッテリーが電気機器を作動させるようにすればよい。これらの作業はバッテリーがどれだけ充電されたかを測定し、自動的にスイッチングができる。もし電気機器が交流で作動する機器なら、バッテリーから出る直流をインバータを通じて交流に変えた後、電力を供給すればよい。また、ここでバッテリーは一つの充電対象の例として、他のものを電気機器の電源として使うこともできる。例えば(スーパー)蓄電器もここで言及したバッテリーの代わりに使用できる。その際、バッテリーや(スーパー)蓄電器を充電できるよう、適当な大きさの電圧を持つようTLC内で電圧を調節することができる。このようなバッテリーや(スーパー)蓄電器を充電する(自動)スイッチングシステムは、本発明のあらゆる分野、すなわちここのPGTLSだけでなく、今後言及される「自給システム」にも同様に適用できる。このスイッチングシステムは電源側に負荷がある場合にも適用できる。
4.5 動的AGRFと感知制御装置
負荷のインピーダンスが変わるなら、力率が同値を維持するよう、又は電力差PDが十分に大きくなるよう、又はインピーダンスが変わる前の与えられた条件を維持するようにするなど、希望する条件に合うように周波数を動的に変化させることが必要である。回路のインピーダンスを(式77)で見たように以下のようにしよう:
ここでθCは回路のインピーダンスZ(-l)の位相である。
例えば、負荷の変化は即ち回路のインピーダンスの位相の変化ΔθCをもたらし、それはシステム変数を測定することで感知されることができる。そのような「感知制御装置」が周波数を動的に変化させるために必要である。
図9は動的AGRFを持つPGTLSの一例を図示した図面である。
例えば、回路の位相θCはPS、v(-l)、そしてi(-l)を通じて知ることができる。
ここで、以下の添字rmsは実効値(root mean square value)を意味する。
等価伝送線モデルにおいて電圧と電流値は周波数が高くなるにつれ、さらに抽象的な意味を持つ。しかし電圧と電流が抽象的な意味を持つとしても、等価伝送線モデルでの電力は導波管での電力と同じである。したがって、上記数式から計算される回路の位相は正しい結果を持つ。
もしθCに変化があった場合、既に言及している電力やインピーダンスに関する他の条件を満たすためAGRFの周波数が変わらなければならない。AGRFは、例えば電力差PDにかかわる位相の条件を満たす、新しい周波数を生成すればよい。
4.6 周波数変化の方向と大きさ決定モジュール
位相θCやその他のどのような感知する変数(たち)に変化が感知されたとき、周波数を現在の値より大きくしなければならないのか、それとも小さくしなければならないのかは回路の変数、すなわちインピーダンスの大きさと位相などによって決定される。ところが、相対位相は周波数が増加するにつれて増加するので、周波数が少しだけ変化しなければならない状況であれば、相対位相の変化もそれに伴って周波数と同じ方向に一般的に動く。しかし、電力差が量の値を持たないようにする周波数が存在するため、周波数の変化の方向性は慎重に決定されなければならない。
周波数をどの方向とどのくらいの大きさで動かすべきかを決めさせる手軽な方法の一つは、周波数とシステムのインピーダンスの位相の関係を記録しておくことである。例えば、最初にシステムを設定する際、周波数の変化に伴う位相の変化の値を与えられた回路のインピーダンスの大きさ値(magnitude)と位相値またはその他の関係する変数に従ってテーブルに記録すればよい。
そして周波数の変化方向は、そのテーブルを見ることで分かる。
一つの方法は機械学習の方法を使うことだ。例えば、インピーダンスの位相と大きさ、またはその他の関係する変数が入力ノード(input nodes)に入り、出力ノード(output node)は周波数の変化方向や周波数の変化の大きさを表すことで作られた、中間の秘匿層(hidden layer)も持つニューラルネットワークが考えられる。それを複数の学習データで学習して作られたニューラルネットワークは、感知制御装置内でいつでも回路のインピーダンスや位相に変化がある場合に呼び出されて使用できる。
もう一つの簡単な方法は「試行錯誤による(trial-and-error)」方法だ。周波数に何らかの変化をしなければならない場合が発生すると、動的AGRFはある定められた、または任意の方向に周波数に変化を与える。しかし、もしその方向が望む結果をもたらすことができなければ、他の方向に周波数を変化させればいい。こうして、回路は最小又は負の値の電源側での電力で電力を発電するシステムとなる。
周波数方向、そして/またはその変化の大きさを決定するこのようなアルゴリズムを持つモジュールが感知制御装置内にソフトウェアやファームウェア(firmware)またはハードウェアの形で入っていることになる。
4.7 直流電源に接続された場合:寿命の長いバッテリーシステム
例えば、PGTLSが直流の電源につながった場合の一例を考えてみよう。スマートフォンの場合、その中にバッテリーがある。もしバッテリーがPGTLSにつながれば、バッテリーはただAGRFにだけ電力を供給すればよく、TLCやその他のスマートフォン回路には電力を供給しなくてもよい。なぜなら、PGTLSのTLCが残りのスマートフォン回路に電力を供給できるからだ。したがって、スマートフォンのバッテリーが長持ちする。したがって、寿命の長いバッテリーシステムが作られる。既に述べたように、ここでTLCの負荷がバッテリーやスーパー蓄電器である可能性がある。そうなると、そのバッテリーや蓄電器がスマートフォンの残り回路たちに電力を与える電源の役割を果たす。すでに図8で述べたように、片方のバッテリーやスーパー蓄電器が充電される間、他方のバッテリーやスーパー蓄電器が機器に電力を供給する(自動)スイッチシステムをここでも適用できる。
図10は寿命の長いバッテリーシステムの一例を図示した図面である。
4.8 交流電源に接続された場合:電力を少なく使用するシステム
もし交流電源がPGTLSにつながった場合を考えてみよう。その交流の周波数が電力差PDを正にする条件を満たさなければ、その周波数を希望する周波数に変更しなければならない。それは周波数変換装置を通じてできる。そのような場合の一例を挙げると、交流を直流にする整流装置を経た後に、再びTLCに必要な周波数の交流をAGRFから直流電源の電力を利用して作ればよい。または既に述べたように、フルブリッジ(H-bridge)を使用してパルス波を発生させることもできる。その際、必要な場合、パルス波をサイン波に変えるようフィルターを加えることができる。
図11は電力を少なく使用するシステムの一例を図示した図面であり、またここでは周波数を変換するために交流を整流する装置を使用した例である。
例えば、家庭に入る50や60Hzの電源を考えてみよう。その周波数は低く、力率を0や負にしないため、PGTLSに適合しない。しかし、電源の周波数をPGTLSに合った周波数に切り替えた後、それをPGTLSのTLCに入力で入れればその後の家庭の電気製品での電力の必要はPGTLSのTLCが担うことになる。この時、家庭に入ってきた発電所から来た電力は、ただ低い周波数を高い周波数に変更させるAGRFにだけ電力を供給すればよい。こうして最小限の電力のみを使用するシステムが実装可能であり、同時に家電製品の電力必要はPGTLSによって満たされることになる。
4.9 システムの組み合わせ
「静的AGRF」と「動的AGRF」は「寿命の長いバッテリーシステム」と「電力を少なく使うシステム」との組み合わせが可能である。したがって、次の4つの形態があり得る:
静的AGRFを持つPGTLSの寿命の長いバッテリーシステム、
動的AGRFを持つPGTLSでできた寿命の長いバッテリーシステム、
「電力を少なく使用する静的AGRFを持つPGTLS」
電力を少なく使う動的AGRFを持つPGTLS。
また、必要に応じて、このようなシステムは相互に連結され(cascaded)動作することができる。
また、「バッテリーや(スーパー)蓄電器を充電する(自動)スイッチングシステム」は、このすべてのシステムのTLCの後端、そして/又は前端に接続され、バッテリーや(スーパー)蓄電器を充電するように動作することができる。
4.10 多相PGTLS
多相PGTLSは複数の単相PGTLSからなるので、単相PGTLSに適用される上記のすべての原理と応用は多相PGTLSでも同様に適用される。
5.自給システム(Self-sustaining system)
5.1 自給システム:フィードバック(feedback)を有するシステム
前述のPGTLSは直流や交流を電源で供給してもらって作動する。それは動的AGRFを除いてシステムからフィードバックがない場合である。
TLCが供給された電力よりも多くの電力を創出すれば、その出力は負荷から消耗するだけでなく、再び入力に入って自ら自給するシステムを作ることができる。その場合、大きく分けて二つの形態の自給システムが考えられる:一つは電力貯蔵器(power reservoir)がない場合で、もう一つはそれがある場合である。ここで「出力」電力とは、TLC先端部の負荷における電力を意味するだけでなく、電源が供給する電力が負の値を持つときに電源側に負荷がある場合には、それの電力を加えたものを意味する。
5.2 電力貯蔵器がない場合
電力貯蔵機がない場合は、TLCの出力がそのまま入力に入って自給するシステムを作る場合である。TLCの出力電圧が入力に再び入るので、電圧波形の大きさと位相が出力と入力側で同じようにしなければならない。
まずAGRFの入力が直流の場合を考えてみよう。TLCの出力電圧とAGRFの入力電圧が同じになるための一つの方法を例に挙げると、TLCの出力が直流の場合はその出力側に、例えばスイッチモードパワーサプライのような直流から直流に変換する変換器(DC-to-DC converter)を付ければよい。
TLCの出力が交流の場合には、まず直流に変換した後、直流から直流に変換する変換器を付ければよい。その後、変換器の出力をAGRFの入力で入れればいい。
入力が交流であるAGRFの場合、対処できる方法の一つはTLCの出力が直流であれば直流から交流に変換する変換器(DC-to-AC inverter)をTLCの出力側に付けることである。その後、変換器の出力をAGRFの入力で入れればいい。AGRFの入力が、例えば、50Hzや60Hzを持つ交流の場合であり、TLCの出力が交流の場合は整流して直流にした後、再びそれを正しい周波数である50Hzや60Hzの交流にしてAGRFに送る。
フィードバックがある場合、 TLCの出力電圧の位相が調節され、電圧波形の歪みが起きてはならない。出力された電圧の位相はTLCの入力電圧の位相と比較され、適当に調節され、再びAGRFに入る。重要な点は、TLCに入る売る位相の歪曲があってはならないということだ。
図12は、電力貯蔵機のない自給システムの一例を図示した図面である。
したがって、図12に見られる"大きさと位相調節器"は、そのように出力電圧の大きさと位相を調節してAGRFに入れる機器である。
"電力貯蔵器のない自給システム"が"動的AGRFを持つPGTLS"と異なる点は、"動的AGRF"の"感知制御装置"はTLCの負荷のインピーダンスが異なるときの状況を感知して周波数を変更させるが、TLCの出力された電圧を再び入力で入れないのに対し、"電力貯蔵器のない自給システム"はTLCの出力電圧を、負荷に変動がない限り、再びAGRFの入力で使用することである。もちろん、このときに負荷のインピーダンスが変化して回路のインピーダンスの大きさそして/又はその位相が変わる場合、"感知制御装置"が行うものと似た機能を"電力貯蔵器のない自給システム"の"大きさと位相調節器"が含まれていなければならない。言い換えれば、「大きさと位相調節器」は、負荷の変動を感知し、その変化に合わせて適切な周波数と大きさ、並びに位相の電圧波形を生成することができなければならない。ここで「大きさと位相調節器」は便宜上AGRFを含むものでも図12で表現する。
負荷に必要な電力は自給システムから抜いて負荷(たち)に入れてくれればよい。既に述べたように、負荷は電力差PDが量の値を持つときにTLCの後段にあり得るし、また、力率が負の値を持つときにTLC前段にもあり得る。負荷に対するこれらの事項は、以下に掲げる「電力貯蔵器のある自給システム」にも同様に適用される。
「電力貯蔵器のない自給システム」を開始するためには、外からそれが始まるための電力を入れなければならない。いったんシステムが始まり、平衡状態に入ると、外部の電力供給は遮断しても自給システムは回り続けることになる。
5.3 電力貯蔵器がある場合
次に電力貯蔵器がある場合である。交流を発電する部分だけでなく、必要な場合には負荷に必要な電力を貯蔵機が備蓄している。TLCの出力電力がこの電力貯蔵器を充電する。
図13は、電力貯蔵器のある自給システムの一例を図示した図面である。
そのようなシステムについて、動作過程を見ていく。まず、電力貯蔵器はシステムに電力を供給する。電力貯蔵器の例としてバッテリー(battery)(バンク)や(スーパー)蓄電器((super) capacitor)(バンク)が挙げられる。そしてAGRFの中で電力差PDが量になるようにする適当な周波数の交流が生成され、TLCでその交流が入る。次に、TLCの出力電圧は整流器に入る前に調節される。そうすることにより、TLCの出力電圧が直流に変わったとき、電力貯蔵器を充電できる適当な電圧の大きさを有するようにすることができる。このような電圧の大きさを調節する過程は、ここで行ってもよいし、以下に示すように整流後に行ってもよい。明らかなことは、それがどの時点であろうと、次回TLCに入る電圧が一定の大きさのものでなければならないという点である。またはTLCの出力を整流した後、直流から直流に変換する変換器を使用して電圧を調節して電力貯蔵器を充電することもできる。
整流器からの直流は電力貯蔵器に行く。既に述べたように、整流後に電圧の大きさを調節することもできる。通常は整流器にリップルをなくすために蓄電器を使用する。もし蓄電器の容量が電力貯蔵器になるのに十分であれば、電力貯蔵器をもう一つ取り付ける必要はない。したがって、そのような場合には、図13から電力貯蔵機を無くすことができる。
力率が0に近いか、負数なので、電力はシステムから抜いて有用な仕事をするのに使えばいい。
図14は、電力貯蔵器のある自給システムのうち感知制御装置がある場合の一例を図示した図面である。
「電力貯蔵器のある自給システム」のうちAGRFは「感知制御装置」の持つ機能と似た機能を加えて持つことができる。その場合、AGRFは負荷の状況を感知し、負荷の状況に応じて波形が特定の大きさ、そして周波数を有するようにしなければならない。その場合、図14のようにAGRFが負荷状況についての情報を持つためにTLCからAGRFへのフィードバックが必要である。実際には、負荷はシステムのどの位置にも存在し得るため、フィードバックはシステムのどのモジュールからもAGRFに来ることができ、したがってその場合にはシステムの構造はそのようなフィードバックを示すものに変わるべきである。
5.4 (自動)スイッチングシステムと自給システム
図8のように、一方のバッテリーや(スーパー)蓄電器を充電しながら、他方のバッテリーや(スーパー)蓄電器は他の機器に電力を供給するようにする(自動)スイッチングシステムをここの自給システムにも適用できる。したがって、図8で「自給システム」がPGTLSに代わることができる。既に述べたように、TLCの先端にこのスイッチングシステムが接続できるだけでなく、電源側も図7のようにこのスイッチングシステムに接続できる。
5.5 多相システム
これまで言及した原理と応用は、多相のPGTLSにも適用できるが、なぜなら多相PGTLSはいくつかの単相PGTLSからなるからである。
5.6 組合システム
これまで言及されたすべてのシステム、すなわちPGTLSと「自給システム」は特定の仕事を果たすために互いに組み合わせたシステムを成すことができる。
5.7 過電力制御モジュール(Excessive power control module)
電力が生成しすぎた場合、それを少なくしたり回路を遮断する過電力制御モジュールがこれまで言及されたPGTLS、"自給システム"とその(組合せ)システムに添加されることがある。多くの電力がある場合、超過した電力は他の負荷、例えば(可変)抵抗に入るよう迂回させればよい。抵抗は超過した電力を吸収する負荷の役割をする。過電力制御モジュールは超過した電力を吸収するのに適当な抵抗値を計算して可変抵抗の大きさを調節できる。過電力制御モジュールはシステムのどこに挿入しても構わない。例えばAGRFまたはTLC内部に過電力制御モジュールがあり、その機能を遂行すればよい。もし、あまりにも多くの電力が出る場合、過電力制御モジュールは回路を遮断することができる。
過電流(over current)や温度過負荷(over temperature)や過電圧(over voltage)やショート(short circuit)やサージ(surge)などを防止する回路や不足電圧時の回路遮断(undervoltage-lockout)回路、そして電圧隔離(voltage isolation)回路などの保護回路をシステムに加えることができる。
6. PGTLSにおける力率の改善
AGRFはTLCに必要な交流信号を供給する。TLCのインピーダンスは、信号が伝送線を通じて伝播するときに変わる位相の大きさを調節することで適正な値に調整される。
TLCのインピーダンスの位相は、TLCの前端における電圧と電流の位相の違いであるが、その位相を調節することによりAGRFから負荷に送られる有効電力(real powerまたはactive power)をTLCの前端で測ったとき、0または0に近いか、さらには負の量を持つように調節することができる。
AGRFから送られる有効電力の大きさが小さい値を持つということは、電流の大きさが小さくなったことを意味するものではない。それは有効電力は電圧と電流の位相の違いによって決定されるからである。
たとえAGRFから送られる有効電力の大きさは小さいとしても、被相電力(apparent power)の大きさは依然として大きいため、AGRFは大きな振幅(amplitude)を持つ電流を生成しなければならない。したがって、AGRFは不必要に非効率になる。それがまさにPGTLSにおける力率改善(power factor correction)が必要な理由である。力率改善器(power factor corrector)が加わると、AGRFはこれ以上大きな振幅を持つ電流を生成する必要がなくなり効率的になる。
本発明の提案する力率改善器は、既存の力率改善器と以下の点で区別される。
a) 本発明の力率改善器は、TLCの前端での無効電力の大きさを最小化するためのものである。反面、既存の回路理論では後端負荷の無効電力の大きさを最小化するためのものだ。
b) TLCのインピーダンスが複素平面の2四分面又は3四分面にあるときは、本発明の力率改善器は無効電力の大きさを最小限に抑え、力率が-1に近づけるようにする。反面、既存の力率改善器は無効電力の大きさを最小限に抑え、力率が1に近づけることにある。
電力の計算において被相電力(apparent power、シンボルはS)、有効電力(active power、シンボルはP)、そして無効電力(reactive power、シンボルはQ)は次の関係を持つ。
有効電力Pと被相電力Sの間の位相角がθのとき、力率はcosθとなり、次のとおり:
なお、ここの角度θは、その回路における電圧の位相と電流の位相との違いとなる。
一般的に、既存の力率改善は負荷の無効電力の大きさを最小限に抑え、力率を大きくするためのものである。
図15にある既存の方法の力率改善の例を考えてみよう。S1とQ1をそれぞれ力率改善前の元の皮相電力と無効電力としよう。この場合、電源供給機(power supply)は皮相電力S1を供給する。このとき回路に無効電力Qcを加えて無効電力がQ2に変わることになると、それに伴い皮相電力はS2のように変化し、このとき電源供給機がより少ない量の皮相電力を供給することになるので、望ましい方向の変化となり力率改善となる。
力率改善の方法はいくつかある:受動的力率改善(passive power factor correction)があり、能動的力率改善(active power factor correction)があり、また躍動的力率改善(dynamic power factor correction)がある。たとえ、この発明で提示しているTLCの力率改善のために、そのようなあらゆる方法を用いることはできるが、この発明の概念を示すために非常に簡単な例を挙げて説明する。
例えば、最も簡単な力率改善の方法は、蓄電器や誘導子のような受動的な無効分部品を回路/システムに加え、全体的に反応抵抗の大きさを小さくすることである。そうなると、加えられた無効分部品は負荷側から必要な無効電力を供給することになる。このようにして、電源供給機は不要な無効電力を負荷に供給する必要がなくなり、被相電の大きさが小さくなることが可能となる。
図15は交流電力三角形を図示した図面である。Pは有効電力で、Q1は力率改善以前の無効電力、S1は力率改善以前の皮相電力である。力率改善のため無効電力Qcを加えると、無効電力はQ2に変わり、皮相電力はS2に変わることになる。
交流、有効電力は電圧と電流波形(wave)の積を一周期で積分したものの平均値で与えられる。もしインピーダンスがインピーダンス複素平面で1四分面か4四分面にあることになれば、その積分値は量の値を持つことになり電力は消耗することになる。しかし、もしインピーダンスを2四分面や3四分面に置けるようになれば、その積分値は負の値を持つようになり電力は生成されることになる。その場合には、力率は負の値を持つようになり、電力は電源の方に流れ込むことになる。
(式77)を含む伝送線回路の新しい数式は、TLCのインピーダンスがインピーダンス複素平面の2四分面や3四分面に位置することができるようにする。インピーダンスは相対位相を制御することで調節できる。
相対位相を制御できる一つの方法は、TLCに入る周波数を変化させることだ。するとTLCのインピーダンスは(式77)によって調節される。
上記の数式を利用してインピーダンスを調節するPGTLSを成す多くの構成(コンフィギュレーション)があり得る。一般的にPGTLSの基本的な構成はAGRFとTLCからなる。しかし、その他にも上記のように「感知制御装置(monitoring control unit)」、「大きさと位相調節器(amplitude and phase adjustment)」、「その他の構成要素が必要に応じて添加されることがある。
たとえ、上述のすべての構成において力率改善を遂げることができるが、ここではTLCのインピーダンス調節に関する力率改善の概念を表現するために最も簡単な構成を用いて説明するだろう。
一つのPGTLSを考えてみよう。TLCの負荷は電源側だけでなく後端にもあり得る。たとえPGTLSの負荷が電源側とTLCの後端にあり得るが、説明を簡単にするために、下から力率改善を説明する際に負荷とはTLCの後端にある負荷のことである。
電気工学における力率の改善はよく知られている理論だ。しかし伝統的な力率改善は力率が0と1の間にあるとき、すなわちインピーダンスがインピーダンス複素平面の1四分面や4四分面にあるときを扱う。
例えばTLCのインピーダンスの位相が89度なら、有効電力は0に近い量の値を持つ。その有効電力が非常に小さいサイズの量の値を持つ理由は、電流の振幅が小さくなったためではなく、電圧と電流の位相の違いのためである。たとえ有効電力が小さくなったとしても、AGRFは大きな振幅を持つ電流を生成しなければならない。したがって、AGRFは不必要に非効率になる。それがまさに我々がPGTLSで力率改善が必要な理由だ。
TLCのインピーダンスはインピーダンス複素平面の2四分面か3四分面に位置することができ、そうなると力率が負の値を持つ。その場合、TLCのインピーダンスの位相が90度と270度の間にあることから、TLCの前端での有効電力は負の値を持つことになる。
伝統的な環境でも暦率が負の値を持つようになり、0と-1の間にあり得る。例えば、太陽光発電システムが余剰の電力を電源供給先に戻すときの力率が陰の値と言える。しかしその場合は、太陽光発電システムを電源供給機で考えると力率は量の値となる。しかし、これと違ってPGTLSでは信号が伝送線を通過することによって生じる位相の変化とその他の引数によって真に負の値を持つ力率が生じる。
図16は、力率が負の値を持つときの交流電力三角形を図示した図面である。
図16で有効電力が負の値を持ち、無効電力が誘導性(inductive)であるため、インピーダンスはインピーダンス複素平面の2四分面に位置する。力率改善により無効電力はQ1からQ2となる。力率改善器(power factor corrector)の無効電力Qcの大きさを無効電力Q1と同じにすると、結果的に無効電力Q2は0となる。
図17は、力率改善器を含むPGTLSの一例を図示した図面である。
図17は、力率改善器を含むPGTLSの一つの構成図の例を示す。構成度を簡単にするためにTLCからAGRFへの選択的なフィードバックは既に説明しているので省略している。受動的力率改善器は、一つ(またはそれ以上)の反応抵抗(reactive)部品から成ることができる。その他能動的力率改善器、またはダイナミック力率改善器があり得るが、その場合TLCのインピーダンスや電力に関する情報を得るためにTLCからのフィードバックが必要な場合もある。図17はそのようなフィードバックが必要な場合を描いたものである。
フィードバックが必要な場合、TLCのインピーダンスに関する情報は、図17に示すようにTLCの前段から来ることができる。例えば、そのような情報はTLCの前端での実効(rms, root-mean-square)電圧v(-l)rmsと実効電流i(-l)rms、そして有効電力PSであることができる。TLCの位相θCは(式119)によって決定され、TLCのインピーダンスの大きさ|Z(-l)|は次のように決定される:
TLCのインピーダンスや位相に関する情報はTLCの他の部分からも得られる。例えばシグナルが伝送線を通過する際に起こる減衰と位相の変化の程度を知っているなら、TLCの後段から情報を得て(式77)に基づきTLCの前段でのインピーダンスを計算することができる。フィードバックが他のところから来る場合には、図17でのフィードバックループがそれに合わせて変わらなければならない。
TLCのインピーダンスに関する情報を得て、TLCの内部又はどこにでも力率改善器を位置づけることもできる。したがって、力率改善器はTLCの前端またはPGTLSの他の場所に配置することができます。
PGTLSで力率改善が起こるいくつかの場合の例を挙げてみよう:
1) PGTLSにおいてAGRFはTLCが動作するのに必要な電力を供給する。WをAGRFがTLCに波形を供給するために必要とする回路が消耗する有効電力であるとしよう。WはTLCに供給される電力を含まない。電力差はTLCの後端にある負荷での有効電力とTLCで供給される有効電力をTLCの前端で測ったものとの違いであるため、多くの場合それは負の値を持つが、(式75)が満足すればそれは量の値を持つことになる。電力差の値が量の値となり、また次の条件を満たすと、それはPGTLSが全体的に電力生産を行うことになることを意味する:
上記の条件が満足するとき、TLCの前端で測ったTLCの有効電力は量の値を持つときもあり、負の値を持つときもある。もしこの場合、力率改善が行われ、無効電力を0にすると、TLCの前端の有効電力が量の値を持った場合には力率は1となり、TLCの前端の有効電力が負の値を持った場合には力率は-1となる。
2) もしTLCのインピーダンスがインピーダンス複素平面の2四分面や3四分面にあることになれば、その際TLCの有効電力は負の値を持つ。この場合、力率改善が行われ、無効電力をゼロにすると、力率は-1となる。
3) もしTLCの有効電力が0の場合にはTLCの力率は0となる。TLCの有効電力がゼロになり得る説明の一つは、TLCの伝送線を通じて信号が伝播するとき、その位相が変わるからである。たとえTLCの後端では有効電力が消耗しても、TLCの前端でのインピーダンスは相対位相に依存するため抵抗値が0になるからである。この場合、力率改善でTLCの無効電力を無くせばAGRFが供給する電流の大きさを小さくし、効率を高めることができる。この場合の例は次にある。
次に特定の例を挙げて説明してみよう。たとえ、すべての可能なPGTLS構成において、力率改善のためにあらゆる可能な力率改善器を使用することができるが、本発明の概念を伝えるために最も簡単な構成の例を用いて説明するだろう。
TLCを等価回路で表した図18(a)のようなシステムを考えてみよう。すると、TLCのインピーダンスZ(-l)を次のように表現される:
ここでRCとXCは、それぞれTLCの前端から見たTLCの電気抵抗値(resistance)と反応抵抗値(reactance)である。
図18はTLCを等価回路(equivalent circuit)で示したPGTLSの一例を図示した図面である。図18(a):力率改善器を含まないシステム、図18(b):電気容量(capacitance)Cを持つ蓄電器を並列に連結した力率改善器を含むシステム。ここで、ωLは誘導性リアクタンス(inductive reactance)を示し、1/(ωC)は容量性リアクタンス(capacitive reactance)を示す。
相対位相を制御することにより、TLCのインピーダンスの位相を希望する値に調節することができる。一般性を失わず、TLCのインピーダンスがインピーダンス複素平面の2四分面にあると仮定しよう。(TLCのインピーダンスが3四分面にあるときにも同じ原則を適用すればよい。)すると、TLCは負の値を持つ抵抗負荷と誘導性負荷を持っていると考えられる。
蓄電器を図18(b)のように連結したとしよう。すると、力率改善の原則を適用し、TLCの無効電力の大きさを減らすことでAGRFは効率的になる。
興味深い場合は上述の3)の場合で、TLCのインピーダンスの抵抗値RCが0の場合に発生する。たとえTLCの後端の負荷が純粋に抵抗だけがあると(purelyresistive)であっても、TLCのインピーダンスの位相は相対位相を制御することで90度になることができる。上記のような場合、蓄電器の反応抵抗を次のように決定したとする:
すると、角速度
のとき、共鳴(resonance)が起こり、そのときにTLCと蓄電器が一緒になっている部分のインピーダンスの大きさが非常に大きくなる。するとAGRFから流れる電流であるibの振幅は蓄電器(力率改善器)がないときに流れていた電流iaの振幅より非常に小さい振幅を持つ。こうして、AGRFは大きな振幅の電流を形成する必要がなくなり、多くの電力を使う必要がなくなる。蓄電器(力率改善器)は、誘導性負荷(inductive load)が要求する際に必要な電力を供給することになる。
蓄電器を使って受動的力率改善をせず、他の方法、例えば能動的または躍動的力率改善を行うこともできる。例えば、TLCがダイオード(diode)を使用する整流器に接続されると、ダイオードは非線形機器であるため、その際能動的力率改善が有効である。蓄電器を手動型力率改善器として使用した上記の説明は、この発明の概念を説明するための例に過ぎない。
PGTLSが電力を生産する前に、力率改善器は作動するための電力が必要である。その場合、待機電力供給機が追加的に必要になることがある。
負荷での電力と電源が供給する電力の差が量の値を持つときでも、TLCのインピーダンスが1四分面や4四分面にある場合がある。この時の力率改善も同様の原理が適用される。その際の力率は0と1の間の値を有することとなり、力率改善は図15で説明されたようにすればよい。しかし、この場合においても既存の力率改善と誤りは、本発明の力率改善はTLCの後段にある負荷の方ではなく、前段での無効電力を無くそうとするところにある。
説明したように力率改善を行うとAGRFは大きな振幅の電流をTLCに送る必要がなくなり効率的になる。
本発明の力率改善は既存の力率改善とは異なる。既存の力率改善は、それを回路に適用する際、回路の後部にある負荷の無効電力の大きさを最小化するためのものである。
しかし、本発明における力率改善は、TLCの後端にある負荷の無効電力の大きさを最小化するためのものではなく、TLCの前端での測った無効電力の大きさを最小化するためのものである。
なお、本発明における力率改善は、既存の力率改善が力率を最大値、すなわち1に近く改善しようとするのに対し、力率の大きさが1に近いよう、 TLCのインピーダンスに応じて力率を1になるか-1になるようにするものである。また、TLCの有効電力が0の場合には共鳴を起こす回路を作りAGRFが供給する電流の大きさをほぼ0に近いようにすることができる。
7.負荷デザイン
一般的に抵抗や無効分部品(reactive component)を負荷に加えることで位相変化を与えることができる。しかし負荷は通常抵抗値を持つので、ここで抵抗値は既に与えられた負荷の必要な要求に応じて大きさが決定したと考えられる。又は抵抗値は、電力差が譲受したり、大きな値を持つこととする条件下で負荷での電力となるように大きくする値に決定することができる。したがって、適当な反応抵抗値(reactance)を加えることで周波数を変化したり、伝送線の長さの変化による位相変化に加えて位相変化に役立つことができる。言い換えれば、負荷の反応抵抗値は、TLCのインピーダンスが望む複素平面の四分面に位置するように定められなければならない。
負荷の反応抵抗値は周波数が変化するにつれて変わる。例えば、負荷が抵抗(resistor)であっても、周波数が上がるにつれて、いくらかの静電容量(capacitance)と誘導容量(inductance)を示す。したがって負荷をデザインする際には注意が必要である。
8.伝送線/導波管において波の速度が小さい物質を使用
一般的にPGTLSにおいてAGRFはTLCに適当な周波数の電圧波を生成して送り、伝送線で相対位相が調節されるようにする。
いったん伝送線の負荷と媒体が決まったら、TLCのインピーダンスの位相を調節できる方法は、大きく次の3つの方法を別々にしたり組み合わせたりしてできる:伝送線の長さの変化、周波数の変化、そしてリアクティブ部品の添加である。
ところが伝送線や導波管でシグナルが通る媒体をどのような物質を使うかも相対位相を調節するのに関与する。(式39)に示すように、相対位相は波の速度と反比例する。波の速度は物質の投資率(permeability)と遺伝率(permittivity)に関係する。(参考文献7:Nannapaneni N. Rao, Fundamentals of Electromagnetics for Electrical and Computer Engineering, Chapter 5, Illinois ECE Series, available on the web: https://ece.illinois.edu/webooks/nnrao2009/Rao%20Fundamentals%202009%20full%20text.pdf)に従って媒体として使う物質をよく選ぶことで、波が伝播する際に十分な位相の変化が起こるようにすることは重要である。
一般的に、波の速度が小さくなるほど相対的地位はそれほど大きくなる。伝送線で信号の低い速度を持つ物質を選択すれば、他の条件が同じなら相対的に相対位相の大きさが大きいだろう。したがって、そのような物質の場合、より低い周波数やより短い伝送線の長さで同一の相対位相を有することができる。
9.分散(dispersion)とPGTLSにおけるパルス波(pulse wave)の使用
伝送線理論におけるような分散した回路モデル(distributed circuit model)の導入は、媒体内で伝播する波の波長(wavelength)が伝送線の長さと比較できるときに必要である。伝送線の長さが波の波長よりはるかに短いと、集中回路(lumped circuit)モデルが使われる。
もし周波数が非常に高くて(式61)にあるRとG値が無視されれば伝送線の特性インピーダンスはミス値を持つ。するとTLCの力率は負の値を持たなくなる。したがって、本発明で使用する波の周波数は、伝送線の特性インピーダンスがミス値を持つほどの高い周波数を使ってはならず、また伝送線理論を導入できないほど低い周波数も使ってはならない。
周波数を0から高い値に上げていくと、与えられた伝送線の長さで(式36)や(式37)を満足する周波数があるようになる。(式36)を満たす最も短い量の値を持つ伝送線の長さをlAとすると、それは相対位相φAと次のように関係する:
なお、(式37)を満たす最も短い量の値を持つ伝送線の長さをlBとすると、それは相対位相φBと次のように関係する:
ここで最も短い量の値を持つ長さlBを作る定数kBを選択する。
伝送線の長さらlAとlBの中から、より短い量の値を持つ長さを選択してそれをl0としよう。例えば、もしl0が(式126)によって決まったら、そのときの長さl0は波の半波長となる。
電力差をl0から0にする周波数が存在するので、長さl0付近で電力差を量の値にする周波数の領域が存在する。したがって、伝送線の長さは長さl0のような桁の大きさ(order of magnitude)にすることができる。
(式39)における速度は位相速度(phase velocity)である。二つもそれ以上の周波数成分を持つ波が伝送線から伝播するときは、分散(dispersion)が起こる。例えば、パルスは多くの周波数成分を有しているのでパルス波が伝送線から伝播する際、そのパルスの形は分散することになる。ある波がある中心周波数の近くに多くの異なる周波数成分を持っているときは、その信号の頂点(peak)は群速度(group velocity)に動いていく。(参考文献8:Nannapaneni N. Rao, Fundamentals of Electromagnetics for Electrical and Computer Engineering, Chapter 8, Illinois ECE Series, available on the web: https://ece.illinois.edu/webooks/nnrao2009/Rao%20Fundamentals%202009%20full%20text.pdf)
その場合、たとえ多くの周波数成分を有するパルス波がその媒体から分散しても、我々が望むのは電圧波と電流波の形が保存されるのではなく、電圧波と電流波の掛け算にかかわる電力であるため、伝送線の長さが長くなければ、その波形が歪む程度は容認できるものである。たとえ波形が少し歪んでも、電圧と電流を掛けてそれを積分して平均したとき、依然としてその結果として負の値を得ることができる。したがって、パルス波を使用しても、伝送線回路は負の力率を持つことで電力を生産することができる。パルス波の高い周波数成分をなくすためにフィルターをつけることができる。
既に述べた力率改善の場合でも、波形がサイン波でなくても、その波形の基本周波数(fundamental frequency)の電圧と電流の位相の違い又は(式121)における被相電力(apparent power)と有効電力(real power)を制御力率を算出し、力率改善の原理を適用することができる。
10.電力が電源側に来る経路
図19はPGTLSのAGRFのスイッチ部分がフルブリッジの場合を図示した図面である。
電力がTLCから逆に流れ込んで電源側に来る場合、その電力を利用するには電力が来るよう経路を作らなければならない。(参考文献9:E. Acha, V.G. Agelidis, O. Anaya-Lara, and T.J.E. Miller, Power electronic control in electrical systems, Newnes, 2002. p. 201.) 例えば,図19のようにPGTLSのAGRFの一部分がフルブリッジの形で作られてTLCにつながった場合を考えてみよう。このときフルブリッジのスイッチはトランジスタQ1からQ4からなっている。ここでQ1は、図15と 図16の「力率改善以前の無効電力」を意味するQ1とは異なるものであることに注意しよう。
Q1とQ4が点灯し(on)Q2とQ3が消えたとき(off)の場合を考えてみよう。その際、電流iは電源側からTLC側に流れることもでき、その逆にTLCから電源側に流れることもある。電流がTLCから電源側に流れる場合、その電流が流れる経路を作ってくれるためにダイオードD1とD4が必要である。
逆に、Q2とQ3が点灯し、(on)Q1とQ4が消えた時、(off)の場合も電流iは電源側からTLC側に流れることもあり、その逆にTLCから電源側に流れることもできる。電流がTLCから電源側に流れる場合、その電流が流れる経路を作るためにダイオードD2とD3が加わった。TLCの力率が負の値を持つときは、平均的に電力が逆さまに入ることになるので、このような電流の経路を作って入ってくる電力を利用できるようになる。したがって、PGTLSを作る際、このような電力が逆に入ってくる場合の電流が流れる経路を作ってあげる必要がある。
11.PGTLSの効率的な電力供給機としての役割
(式123)が満足した場合、PGTLSが全体的に電力生産を行うことになる。しかし、(式123)が満足しなくても、相対位相を制御してTLCのインピーダンスを調節することでPGTLSが効率的な電力供給機としての役割を果たすことができる。
AGRFがTLCに電力を供給するために必要とする電力Pnは以下の通り:
ある周波数f0で電力生産となるときは、次の式が成立する:
ここでPL(f0)とPn(f0)は、それぞれ周波数f0のときの負荷における電力とその周波数におけるPnをいう。
他の周波数f1とf2のときは電力生産が行われないとすれば、次の式が成立する:
一般性を失わず、次のように仮定しよう:
そして、
ここでまた次のような場合が発生したとする:
すると、式(134)は周波数f1から他の周波数f2に向かいながらAGRFがTLCに電力をさらに供給するために必要な量ΔPnより周波数f1から他の周波数f2に向かいながら負荷からさらに消耗する電力の量ΔPLが大きいことを意味する。それは、相対位相の変化に伴うインピーダンスの変化によって十分に生じうる状況である。こうしてPGTLSは効率的な電力供給機となり得る。
12.PGTLSが効率的な電力供給機の時の力率改善
PGTLSの応用としてPGTLSを効率的な電力供給機として使用する場合にも、これまで述べた力率改善の原則をそのまま適用し、AGRFが供給する被相電力を削減でき効率的になることができる。
13.変圧器回路が負荷の場合は、
負荷はある電気回路かもしれないし、それは変圧器回路かもしれない。
図20は変圧器回路が負荷の場合の伝送線回路の一例を図示した図面である。
上の図20のように変圧器回路を負荷として持つ伝送線回路を考えよう。ここでv1とv2はそれぞれ変圧器の一次と二次コイルでの電圧、i1とi2はそれぞれ一次回路での電流、L1とL2はそれぞれ一次コイルの自己インダクタンス(self-inductance)、Mは相互インダクタンス(mutual inductance)、Z2は変圧器の二次回路にある負荷(load)のインピーダンスである。
すると変圧器回路のインピーダンスZMは次のように知られている: (参考文献1:Won Don Lee, Hijung Chai, and Aquila Hwan Lee, Power factor adjustment method and apparatus through the phase control, PCT International application #: PCT/KR2017/014540.)
ここでlMは変圧器の一次コイルから二次コイルまでの磁心の長さであり、γMは磁心におけるフラックス(magnetic flux)の電波定数であるが、次のとおりである:
ここでαMとβMはそれぞれ磁心を通るフラックスの減衰定数と位相定数であり、φMはβMと次の関係を持つ:
ここでυMは変圧器磁心におけるフラックスの速度である。変圧器がTLCの負荷であるため、周波数fはAGRFがTLCに供給する周波数と同じである。
すると、TLC全体回路のインピーダンスZ(-l)は次のとおり:
ここでΓLTは次の通り:
変圧器回路のインピーダンスZMは、ある条件を満たす場合、インピーダンス複素数平面の2四分面や3四分面に置かれることが知られている。(参考文献1:Won Don Lee, Hijung Chai, and Aquila Hwan Lee, Power factor adjustment method and apparatus through the phase control, PCT International application #: PCT/KR2017/014540.)
もし変圧器のインピーダンスが複素平面の2四分面や3四分面にあれば次のように書ける:
ここでgとhはそれぞれZM/ZTの実数と虚数部分であり、そうすると次のようになる:
既に述べたように、反射係数の大きさ|ΓL|がこの1より大きければ、減衰を無視したとき、TLCのインピーダンスは相対位相を制御することで-πtoπまでのどの値も持つことができる。したがって、変圧器回路をTLCの負荷として使えば、ある場合有益なときがある。
14.アンテナが負荷の場合(Antenna as the load)
アンテナがTLCの負荷になることがある。その場合、TLCの伝送線はAGRFから負荷アンテナまで電力を伝達し、伝送線の特性インピーダンスとアンテナのインピーダンスは反射係数ΓLを決定する。そうして、電力や信号がTLCの負荷であるアンテナから無線で他に位置する受信アンテナに伝達される。通常、負荷のアンテナのインピーダンスは伝送線のインピーダンスと整合するのが原則だった。しかし、本発明においては、負荷アンテナから電源側に波が伝送線を通じて戻ることができるように、それは整合してはならない。そのようにして、力率を負の値とし、又はアンテナから消耗する電力と電源が供給する電力の差を量の値とすることにより電力が生産されることができる。これは電力を無線で供給しながらも同時に電力を生産するシステムとなる。
15.マルチポート構成(Multiportコンフィギュレーション)
本発明の修飾誘導と原理は導波管回路や伝送線回路のマルチポートの場合に容易に拡張できる。すべての既存のその分野の理論をそのまま使うことができるが、ただし、電力を計算するにあたって等価伝送線回路の特性インピーダンスがミス値でない場合でなければならない。
16.フィードバックのない電力発電伝送線システムのブロック図(Block Diagrams)
以下では、電力発電伝送線システム(power generation transmission line system, PGTLS)に関するいくつかのブロック図を示し、また負荷のインピーダンスが変化するにつれて電力を調節する方法について説明する。
負荷のインピーダンスが変わるなら、負荷への電力はそれによって変わり負荷の必要を満たさなければならない。PGTLSが提供すべき電力を制御するためには、波の周波数又は使用率(duty cycle)を「感知制御装置」によって負荷のインピーダンスの変化に応じて動的に調節しなければならない。パルス波の使用率をパルス幅変調(pulse-width modulation、以下「PWM」という。)により、又はその周波数をパルス周波数変調(pulse-frequency modulation、以下「PFM」という。)によって変化させることについて、これからの段落で説明する。
PGTLSが提供する電力を制御するための波の周波数又は使用率(duty cycle)を調節する「感知制御装置」は伝送線の前後に置かれることができる。もしそのモジュールが伝送線の後にあることになれば、そのモジュールで周波数が変わっても相対位相は変わらないが、それは相対位相はAGRFによって生成され、伝送線で伝播される波の周波数によって変わるからである。AGRFによって生成された波の周波数は、"感知制御装置"の波の周波数と異なることに注目すべきである。しかし、もしそのモジュールが伝送線の前に置かれることになれば、伝送線に沿って伝播される波の位相は周波数が変わるにつれて変わることになるが、それはAGRFによって生成された波の周波数が"感知制御装置"の制御波(control wave)の周波数と同じであるからである。
段落「4.5動的AGRFと感知制御装置」において伝送線前に置かれた「感知制御装置」によりAGRFの周波数を変化させる方法を説明した。その場合には使用率が50%に固定された場合である。
これからの段落では、「感知制御装置」によって負荷で必要とする電力を満たすために周波数を変化させる方法だけでなく、使用率を変化させる方法について調べる。「感知制御装置」は伝送線の前方や後方に置かれることがある。
PGTLSは、図6に示すように「正しい周波数生成する交流生成器(AC generator with right frequency, AGRF)」と「伝送線回路(transmission line circuit, TLC)」からなる。AGRFは、"信号発生器(signal generator)"と"増幅器(amplifier)"からなるが、信号発生器が発生した信号を増幅器が増幅することによりAGRFは、"伝送線(TLC回路の伝送線として、以下"TRAN"という)"において必要な位相の変化を持つ正しい周波数を持つ波を生成する。TLCはTRANと"整流器及びフィルター(rectifier and filter)"モジュール(module)と負荷(load)からなる。ここで負荷は直流電力を要すると仮定する。もし負荷が交流電力を必要とするなら、直流を必要とする周波数の交流に切り替えるインバータが追加で必要である。AGRFによって生成された波(wave)はPGTLSのTRANを経て位相(phase)の変化を経験する。したがって、本発明においてTRANとは、位相の変化が必要なだけあるようにする十分な長さを有する伝送線を指す。
図21は、PGTLSブロック図の一例を図示した図面である。
PGTLSのブロック図は、図21のように「信号発生器」と「増幅器」と「TRAN」と「整流器及びフィルター」そして「負荷」からなる。
回路のインピーダンス(impedance)の望む位相値を得るために無効分(reactive)部品(たち)を図21のTRANの前後に加えることができる。しかし、本発明では回路のインピーダンス位相の変化のための無効分部品はブロック図を単純にするためブロック図から省略することとする。また、図21において入力電圧と信号接地(signal ground)はブロック図を単純にするため省略した。
図22はフィードバックのないPGTLSブロック図の一例を図示した図面である。
PGTLSのより詳しいブロック図が図22にある。ブロック図のモジュール間の進行方向が明確であるため、これからはモジュール間には矢印のない線分として描かれる。本発明では、信号発生器と増幅器と負荷は直流(DC)によって作動すると仮定し、図22でVINは入力直流電圧をいう。入力電圧VINは、例えば、バッテリーや手動発電機(hand crank generator)または電力網により整流過程を経て提供できる。増幅器のみ電源VINを必要とするのではなく、信号発生器も電源を必要とするが、その電源の電圧はVINと異なる場合がある。もし信号発生器が必要とする電圧がVINと異なる場合には、信号発生器の中で電圧を適当な大きさに変換させなければならない。
入力がただ交流電源さえあれば、整流過程を経て容易に交流を直流に変えることができる。単純にするため、そのような整流のためのモジュールはブロック図から省略した。同様に、もしあるモジュールが交流電源を必要とする場合、電力インバータを経て直流を交流に変えることができる。その場合、必要な電力インバータは単純化のためブロック図から省略した。
図22の各モジュールを左から始め、右に下から説明する。
16.1 信号発生器(Signal generator)
信号発生器は正しい周波数を持つ周期的な信号、例えばサイン波(sinusoidal wave)やパルス波(pulse wave)を発生する。ある波が複数の異なる周波数からなると、分散(dispersion)が起こる。ある波が媒体で分散する場合、もしPGTLSのTRANの長さが長くなければ、波の形のつぶれ程度は大きくないだろう。これはここで波の正確な形を保存することが重要なのではなく、電圧と電流の積による電力が関心事だからだ。
たとえ波形が少し歪んでも、電圧と電流を掛けてそれを積分して平均したとき、依然としてその結果として負の電力値を得ることができる。したがって、パルス波を使用しても、PGTLSは負の力率を持つことで電力を生産することができる。パルス波の高い周波数成分をなくすためにフィルターをつけることができる。
16.2 増幅器(Amplifier)
増幅器は信号発生器から入ってくる信号を増幅させる。信号を増幅させるいかなる増幅器も使用できるが、効率の高い増幅器を使用した方が良い。例えば、クラスD増幅器(class-D amplifier)は理論的に電力効率100%を持つ。(参考文献10:Jun Honda and Jonathan Adams, Class D audio amplifier basics, Application note AN-1071, International Rectifier, 2005.)
複数の形態のクラスD増幅器の一種としてハーフブリッジ(half-bridge)またはフルブリッジ(full-bridge)形態がある。本発明のブロック図では、ハーフブリッジやフルブリッジを増幅器の例として使用する。しかし、クラスとは関係なく、いかなる増幅器であれ、効率が良ければこれに使うことができる。
しかし効率の低い増幅器を使ってもPGTLSを作ることができる。例えば、既に図18(b)に関連して説明したように、力率改善器がある場合AGRFから供給される被相電力は非常に小さくなる可能性がある。したがって増幅器が低い効率を持っていても、そのような増幅器を使ってPGTLSを作ることができる。
16.3 フィルター(Filter)
もし増幅器の出力をサイン波の形に変えたり、または望まない周波数をろ過するためには、図22で見るように増幅器にフィルターを追加する必要がある。しかし増幅器の出力が必ずしもサイン波になる必要はないので、このフィルターは省略される可能性がある。
16.4 力率改善器(Power factor corrector)
PGTLSの力率改善器は既に上記で説明している。もし、例えば、能動的力率改善器が使われるなら、入力電源が力率改善器にも供給されなければならない。逆率改善器は必要なときに選択的に追加されることがある。
16.5 TRAN
既に述べたように、TRANは位相の変化を成し遂げるだけの十分な長さを持つものでなければならない。電源から供給されるパワーと負荷へのパワーは、式(63)と(64)で見るように、順方向に進む波の電圧の大きさの二乗に比例する。一旦TRANと負荷のインピーダンスが決まれば、順方向に行く波の電圧の大きさは(式52)で見るように周波数と電源側のインピーダンスZSを調節することで可能な限り大きくできる。
16.6 整流器及びフィルター(Rectifier and Filter)
TRANの出力は交流であり、それを交流から直流に変えるため、整流器とフィルターが必要である。整流器とフィルターの一例としてはそれぞれブリッジ整流器(bridge rectifier)と蓄電器(capacitor)がある。
16.7 直流-直流変換器(DC-to-DC converter)
整流器とフィルターを経た直流電圧を負荷が必要とする電圧に変えるため、直流-直流変換器が必要である。もし負荷のインピーダンスが時間に応じて一定して整流器とフィルターを経た直流電圧が、負荷が必要とする電圧なら、直流-直流変換器は省略されことができる。
直流-直流変換器の例としてはスイッチモード電力供給機(switched-mode power supply、以下'SMPS'という)がある。(Mohammad Kamil、AN1114、Switch Mode Power Supply(SMPS) Topologies (Part I)、Microchip Technology Inc.、2017.)ツェナーダイオード(Zener diode)や線形レギュレータ(linear regulator)のような他の電圧調整器を使うこともできる。または一つ以上の方法を使用して電圧を調節することもある。
ブルロクドの例ではSMPSを直流-直流変換器の例として使用する。SMPSにはいろいろな種類の形態(topologies)があるが、SMPSが負荷が希望の出力電圧を出せば、どんなことも使われることができる。商業的に販売される直流-直流変換器やSMPS商品にも使えられる。
図23は変圧器を利用したSMPSブルロクドの一例を図示した図面である。
図23は変圧器を利用したSMPSブルロクドの一例を図示した図面である。SMPSでは、回路内の電流または電圧を感知して(monitor)出力電力を制御する。図23でのSMPSの例では、制御装置が"整流器やフィルター"の出力電圧を感知して変造制御信号(modulated control signal)を発生する。
図24はポルスポクの変造(PWM)を使用したSMPSのPWM制御装置ブルロクドの一例を図示した図面である。
図24はPWMを使用したSMPSのPWM制御装置ブルロクドの一例を図示した図面である。制御装置を実装する様々な方法がある。
他の方法の変調、例えばPFMが制御装置に使用されることもある。PFMには二つの形態がある:一つはオンタイム(on-time)が固定され、オフ-タイム(off-time)が変わる場合であり、もう一つの形態はオフタイム(off-time)が固定され、オン-タイム(on-time)が変わる場合である。
PWMを用いた制御では、使用率が変化するにつれてパルス波オン時とオフ時の比率が変わる。
例えば、電圧を感知して(monitor)出力電力を制御する場合には、出力電圧は出力感知器(output sensor)によって感知され、基準電圧(reference voltage)と比較される。そして、その誤差(error)は誤差増幅器(error amplifier)によって増幅される。その後、隔離装置(isolation)を経て、入力直流はPWM信号発生器によってスイッチされる高周波スイッチ(high frequency switch)によって切断高周波信号(chopped high frequency signal)に変わる。例えば、オプトカプラー(optocoupler)が隔離装置として使われる。
PWM信号の使用率(duty cycle)は負荷のインピーダンスの変化に応じて変化し、適当な電力が出力されるようになる。SPMSは負荷のインピーダンスの変化に応じて負荷で伝える電力を制御するため、SPMSは短絡4.5に説明されている"感知制御装置"の機能を有している。したがって、PGTLSのTRANの後に置かれたSMPSのPWM(又はPFM)制御装置は、負荷に伝達される電力を制御するPGTLSの"感知制御装置"に該当する。
SMPSがTRANの次に位置しており、PWMの周波数はAGRFの周波数と異なるため、供給すべき電力が大きくなるほど/小さくなるほど使用率は増加する/減少する。
同様に、例えば、もし制御装置でオンタイムが固定されるPFMが使用されれば、周波数は負荷から消耗する電力の必要に合わせるために、次いでパルスが来るまでにかかる時間を調節するが、供給すべき電力が大きくなるほど/小さいほどオンタイムのときの回収が増加する/減少する。
商業的に販売されるSMPS商品によく入っている望ましい機能である過電流(over current)や温度過負荷(over temperature)や過電圧(over voltage)やショート(short circuit)やサージ(surge)などを防止する回路や不足電圧時の回路遮断(undervoltage-lockout)回路、そして電圧隔離(voltage isolation)回路などをPGTLSの直流-直流変換器の中に入れることができる。
16.8 負荷(Load)
負荷は直流-直流変換器の出力電力を消耗する。
図22に示したPGTLSはTLCの出力からシステムにつながるフィードバックループがない。上に示す「フィードバックのないPGTLS」はバッテリーが電源の場合、既に短絡「4.7 直流電源に接続した場合:寿命の長いバッテリーシステム」で説明された「寿命の長いバッテリーシステム」に該当する。
図25は増幅器としてハーフブリッジ又はフルブリッジを使用し、直流-直流変換器としてSPMSを使用したフィードバックのないPGTLSブロック図の一例を図示した図面である。
図25はハーフブリッジ又はフルブリッジ増幅器を持ち、直流直流変換器としてSPMSを使用した、フィードバックループのないPGTLSブロック図の一例を図示した図面である。
図26はTRANが接続したフルブリッジの一例を図示した図面である。
図26はTRANが接続したフルブリッジの一例を図示した図面である。図25において信号発生器は、二つのパルスp1とp2を発生する。図26でパルスp1が高い値を持つとトランジスタQ1とQ4が点灯し、Q2とQ3は消えることになる。パルスp2が高値を持つと、トランジスタQ2とQ3が点灯し、Q1とQ4は消えることになる。パルスp1とp2は、Q1とQ2が同時に点灯したり、Q3とQ4が同時に点灯したりする状況(shoot-through)が発生しないよう注意して発生しなければならない。
図25におけるAとB地点は、それぞれ図26におけるAとB地点に該当する。図26ではTRANの二つの入力端子のみ見え、出力端子は省略した。
直流-直流変換器として使われたハーフブリッジやフルブリッジを使ったSMPSは、隔離された形態(isolated topology)を使った方が良い。それはTRANの一次側での接地電圧がTRANの二次側の接地電圧と異なるためである。通常、SMPSから隔離(isolation)のために変圧器が使用される。隔離された形態のSMPSを使用することにより、負荷の接地は信号発生器や増幅器(この例の場合ハーフブリッジ又はフルブリッジ)の接地につながることがある。図25では明確にするため接地接続を示す。
17.フィードバックのあるPGTLSのブロック図
図27はフィードバックのあるPGTLSブロック図の一例を図示した図面である。
図27はフィードバックループのあるPGTLSブロック図の一例を図示した図面である。アースはブロック図を簡単にするため省略した。直流-直流変換器の出力は重爆器にフィードバックされる。直流-直流変換器の出力は電力を必要とするどのモジュールにも接続されなければならない。例えば、もし能動的力率改善器が使われるなら、力率改善器にも直流-直流変換器の出力が連結されなければならない。
電源から直流直流変換器で電力が逆に流れるのを防止するため、例えばダイオードをフィードバックループに挿入することができる。その場合、直流-直流変換器の電圧は入力電圧VINにダイオードの純電圧(diode forward voltage)を加えたものとなる。図27ではダイオードは省略する。
もし負荷のインピーダンスが時間に応じて一定し、そして「整流器及びフィルター」の電圧がダイオードがない場合VINと同じであり、また負荷が必要とする電圧であれば直流直流変換器は省略されることがあり、その場合フィードバックループは「整流器及びフィルター」の出力から増幅器につながって行われる。
段落「5.3 電力貯蔵器を備えた自給システム」で述べたように、「整流器及びフィルター」のコンデンサは電力貯蔵器として使用することができます。以下のPGTLSのブロック図において、電力貯蔵器は便宜上省略した。
電力発電伝送線システムを駆動するためには、スイッチをしばらく入れて電源を供給することによってシステムを始めなければならない。その後フィードバックループにより電力が回った後はスイッチを切り、システムが電力を発電するようにする。
図28は増幅器としてハーフブリッジ又はフルブリッジを使用し、直流-直流変換器としてSPMSを使用したフィードバックのある電力発電伝送線システムブロック図の一例を図示した図面である。
図28は増幅器としてハーフブリッジ又はフルブリッジを使用し、直流-直流変換器としてSPMSを使用したフィードバックのある電力発電伝送線システムブロック図の一例を図示した図面である。フィードバックループはSMPSの出力から増幅器(ハーフブリッジ又はフルブリッジ)に接続され行われる。
伝達すべき電力は、上記の段落16.7で説明したように、SMPSによって制御される。SMPSは段落4.5で説明した「感知制御装置」の機能を有している。したがって、PGTLSのTRANの後に置かれたSMPSの制御装置はPGTLSの"感知制御装置"に該当する。
PWMが制御装置で使用される場合、PWM信号の使用率(duty cyle)は供給すべき電力が大きくなるほど/小さくなるほど増加する/減少する。もし制御装置でオンタイム(on-time)が固定されるPFMが使用されれば、周波数は負荷から消耗する電力の必要に合わせるために、その次にパルスが来るまでにかかる時間を調節するが、供給すべき電力が大きくなるほど/小さいほどオンタイムのときの回収が増加する/減少する。
18.PGTLSの単純化されたブロック図
図24のSMPSのPWM(又はPFM)制御装置は、図22の信号発生器のように高い周波数の信号を発生する。また、図23の高周波スイッチは図22の増幅器のような機能を持つ。したがって、図22のブロック図は同じ機能を持つモジュールを統合するとより簡単なブロック図に変化することができる。
図29はフィードバックのないPGTLSの単純化されたブロック図の一例を図示した図面である。
図29はフィードバックのないPGTLSの単純化されたブロック図の一例を図示した図面である。ここでSMPSの制御装置は、変化する負荷のインピーダンスによって変化する使用率(duty cycle)を持つパルス列(pulse train)を発生させる信号発生器として使用される。したがって、この制御装置はPGTLSの信号発生器と"感知制御装置"を合わせたものと同じである。
図22にある選択的な「フィルター」と「力率改善器」は、単純化のために図29で省略する。図29は出力から制御装置へフィードバックがある図であるが、フィードバックがないシステムに分類されるが、その理由は図29から出力がフィードバックループを介してシステムに電力を供給していないためである。したがって、"フィルター"と"力率改善器"を除去したとき、図22のブロック図は図29のブロック図に単純化することができる。
図29にあるフィードバックのないPGTLSの単純化されたブロック図は、もし図29からTRANを変圧器に変えれば、変圧器のあるSMPSである図23のブロック図と同じである。したがって、商業的に販売されるSMPS商品によく入っている望ましい機能である過電流(over current)や温度過負荷(over temperature)や過電圧(over voltage)やショート(short circuit)やサージ(surge)などを防止する回路や不足電圧時の回路遮断(undervoltage-lockout)回路、そして電圧隔離(voltage isolation)回路などの保護回路などをPGTLSに入れることができる。
図30はハーフブリッジ又はフルブリッジ増幅器を用いたフィードバックのないPGTLSの単純化されたブロック図の一例を図示した図面である。
図30はハーフブリッジ又はフルブリッジ増幅器を用いたフィードバックのないPGTLSの単純化されたブロック図の一例を図示した図面である。図30でPWM制御装置はハーフブリッジ又はフルブリッジをスイッチするためのPWM信号を生成する。
図31はフィードバックのあるPGTLSの単純化されたブロック図の一例を図示した図面である。
図31はフィードバックのあるPGTLSの単純化されたブロック図の一例を図示した図面である。"フィルター"と"力率改善器"を除去したとき、図27のブロック図は図31のブロック図に単純化できる。出力電圧がVINまでにならない場合には電圧変換器(voltage converter)が必要である。このような場合、電圧変換器をTRANの前や真後ろに置くときは、交流交流変換器(AC-to-AC converter)を使わなければならない。もし電圧を「整流器及びフィルター」の後に調整しようとするならば、直流直流変換器を使わなければならない。
図32は電圧変換器を添加したフィードバックのある電力発電伝送線システムの単純化されたブロック図の一例を図示した図面である。
図32は電圧変換器を添加したフィードバックのある電力発電伝送線システムの単純化されたブロック図の一例を図示した図面である。この場合、変圧器を電圧変換器として使用することができる。その際に使用される変圧器は、通常の短い磁心を長さの変圧器であることもでき、長い磁心の長さの変圧器であることもできる。長さの自心を持つ変圧器が使用される場合、PCT国際特許出願文書#PCT/KR2017/014540に説明されているように、PGTLSのインピーダンスの大きさだけでなく位相までも変圧器で生じる減衰と位相の変化のため影響を受ける。
図33はハーフブリッジ又はフルブリッジ増幅器を有するフィードバックのある電力発電伝送線システムの単純化されたブロック図の一例を図示した図面である。
図33はハーフブリッジ又はフルブリッジ増幅器を有するフィードバックのある電力発電伝送線システムの単純化されたブロック図の一例を図示した図面である。"フィルター"と"力率改善器"を除去したとき、図28のブロック図は図33のブロック図に単純化できる。
PGTLSの単純化されたブロック図たちでは、制御装置の周波数によって波の位相がTRANを過ぎて変化する。ところが、相対位相は周波数が増加するにつれて増加するので、周波数が少しだけ変化する場合には、相対位相の変化もそれに伴って周波数と同じ方向に一般的に動く。しかし、電力差が量の値を持たないようにする周波数が存在するため、周波数の変化の方向性は慎重に決定されなければならない。
PWMが制御装置で使用される場合、PWM信号の使用率(duty cyle)は供給すべき電力が大きくなるほど/小さくなるほど増加する/減少する。もし制御装置でオンタイム(on-time)が固定されるPFMが使用されれば、周波数は負荷から消耗する電力の必要に合わせるために、その次にパルスが来るまでにかかる時間を調節するが、供給すべき電力が大きくなるほど/小さいほどオンタイムのときの回収が増加する/減少する。
図29から33までにある制御装置はPGTLSの"感知制御装置"の機能だけでなく、信号発生器としての機能も含む。したがって、PWM(又はPFM)制御装置がTRANの前にあり増幅器(高周波スイッチ)に接続されているときは、その制御装置はPGTLSの信号発生器と「感知制御装置」を合わせたものに該当する。
結論として、PGTLSの"感知制御装置"はTRANの前後に位置することができ、それはPFMを通じて波の周波数またはPWMを通じて波の使用率を変化することで負荷に伝える電力を制御する。ここで「感知制御装置」がTRANの後ろに位置する場合には、PWM(またはPFM)制御信号はAGRFの信号発生器の波とは異なるものであることに注意する。
これまで本発明について、その望ましい実施例を中心に考察した。本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で変形した形で実現できることが理解できるだろう。したがって、開始された実施例は限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されなければならない。本発明の範囲は前述の説明ではなく特許請求の範囲に示されており、それと同等の範囲内にある全ての相違点は本発明に含まれるものと解されるべきである。