JP7354042B2 - 電気音響変換器 - Google Patents

電気音響変換器 Download PDF

Info

Publication number
JP7354042B2
JP7354042B2 JP2020057876A JP2020057876A JP7354042B2 JP 7354042 B2 JP7354042 B2 JP 7354042B2 JP 2020057876 A JP2020057876 A JP 2020057876A JP 2020057876 A JP2020057876 A JP 2020057876A JP 7354042 B2 JP7354042 B2 JP 7354042B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electroacoustic transducer
diaphragm
friction material
voice coil
coil body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020057876A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021158564A (ja
Inventor
英敏 平岡
敬亘 辻井
圭太 榊原
健 中野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyoto University
Panasonic Corp
Yokohama National University NUC
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Kyoto University
Panasonic Corp
Yokohama National University NUC
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyoto University, Panasonic Corp, Yokohama National University NUC, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Kyoto University
Priority to JP2020057876A priority Critical patent/JP7354042B2/ja
Publication of JP2021158564A publication Critical patent/JP2021158564A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7354042B2 publication Critical patent/JP7354042B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Audible-Bandwidth Dynamoelectric Transducers Other Than Pickups (AREA)

Description

本開示は、スピーカなどの電気を音響に変換する装置、および、マイクロフォンなどの音響を電気に変換する装置を含む電気音響変換器に関する。
従来、電気音響変換器の摺動部における狭ギャップ化を図るため、応力集中を緩和することのできるポリマーブラシを液体により膨潤させた低摩擦材料を摺動部に設ける技術が存在している(例えば、特許文献1参照)。
特開2019-68144号公報
ところが、発明者は、低摩擦材料を備えた電気音響変換器を長期間使用すると、初期の性能が維持できないことを見出すに至った。
本開示は、発明者の知見に基づいてなされたものであり、長期間の使用に耐える電気音響変換器の提供を目的とする。
本開示の一態様に係る電気音響変換器は、摺動部を有し、前記摺動部に低摩擦材料を備える電気音響変換器であって、前記低摩擦材料は、第一高分子鎖から側鎖としてシロキサン結合を有する第二高分子鎖が複数分岐する被膨潤体と、前記第二高分子鎖の間に浸潤するシリコーンを有する膨潤液と、を備える。
また、本開示の他の一態様に係る電気音響変換器の製造方法は、摺動部を有し、前記摺動部に低摩擦材料を備える電気音響変換器の製造方法であって、架橋性基を有する第一高分子鎖から側鎖としてシロキサン結合を有する第二高分子鎖が複数分岐する被膨潤体、および架橋剤を有する液体を前記摺動部に配置し、前記液体にエネルギーを付与することにより前記第一高分子鎖を架橋して前記摺動部に膜を形成し、シリコーンを有する膨潤液を浸潤させることにより形成された膜を膨潤させる。
本開示に係る電気音響変換器は、摺動部における低摩擦環境を長期間維持することが可能となる。
実施の形態1に係るスピーカを示す断面図である。 低摩擦材料を模式的に示す斜視図である。 低摩擦材料の取り付け箇所のバリエーション1を示す断面図である。 低摩擦材料の取り付け箇所のバリエーション2を示す断面図である。 低摩擦材料の取り付け箇所のバリエーション3を示す断面図である。 実施の形態2に係るスピーカを示す断面図である。 他の実施の形態に係るスピーカを示す断面図である。
(本開示の基礎となった知見)
ポリマーブラシに液体を膨潤させた低摩擦材料を備えた電気音響変換器は所望の耐久性を発揮できないことを発明者は見出した。発明者はさらに実験と研究の結果、電気音響変換器の1つであるスピーカを用い大音量を発生させる際に供給される電流により摺動部分が加熱され、ポリマーブラシを膨潤していた液体が飛散し、ポリマーブラシが空気と触れることで酸化劣化することを見出すに至った。
本開示は、上記知見に基づきなされたものである。つまり、本開示の一態様に係る電気音響変換器は、摺動部を有し、前記摺動部に低摩擦材料を備える電気音響変換器であって、前記低摩擦材料は、第一高分子鎖から側鎖としてシロキサン結合を有する第二高分子鎖が複数分岐する被膨潤体と、前記第二高分子鎖の間に浸潤するシリコーンを有する膨潤液と、を備える。前記第一高分子鎖は、アクリル鎖であってもよく、前記第二高分子鎖は、ジメチルシリコーン鎖であってもよい。また、前記膨潤液は、ポリジメチルシロキサンを含んでもよい。
また、電気音響変換器は、振動により音を発生させる、または、音により振動する振動板と、前記振動板の振動を1軸方向にガイドするガイド機構と、を備え、前記ガイド機構は、前記振動板に結合される第一部材と、前記第一部材との間で前記摺動部を形成し、前記1軸方向に前記第一部材をガイドする第二部材と、を備え、前記低摩擦材料は、前記第一部材、および前記第二部材の少なくとも一方に設けられる。また、電気音響変換器は、前記振動板に対向する磁気ギャップを有する磁気回路と、前記振動板と前記磁気回路と、を保持する基礎部材と、一端部が前記磁気ギャップ内に配置され、他端部が前記振動板に結合されるボイスコイル体と、を備え、前記ガイド機構は、前記ボイスコイル体を前記第一部材として用い、前記磁気回路を前記第二部材として用い、前記低摩擦材料は、前記ボイスコイル体の外周面、前記ボイスコイル体の内周面、前記磁気ギャップの外周面、および、前記磁気ギャップの内周面の少なくとも1つに設けられる。また、電気音響変換器の前記第一部材は、前記振動板またはセンターキャップに一端部が接続される棒状であり、前記第二部材は、前記振動板に対向する磁気ギャップを有する磁気回路であって、前記第一部材が挿入される案内部を備え、前記低摩擦材料は、前記第一部材、および、前記案内部の少なくとも一方に設けられる。
上記電気音響変換器によれば、大音量の音響と電気とを長時間変換した場合でも膨潤液を被膨潤体に維持し続けることができる。
また、電気音響変換器の製造方法は、摺動部を有し、前記摺動部に低摩擦材料を備える電気音響変換器の製造方法であって、架橋性基を有する第一高分子鎖から側鎖としてシロキサン結合を有する第二高分子鎖が複数分岐する被膨潤体、および架橋剤を有する液体を前記摺動部に配置し、前記液体にエネルギーを付与することにより前記第一高分子鎖を架橋して前記摺動部に膜を形成し、シリコーンを有する膨潤液を浸潤させることにより形成された膜を膨潤させる。
これによれば、大音量の音響と電気とを長時間変換した場合でも長時間膨潤液を被膨潤体に維持し続けることができる低摩擦材料を摺動部に設けることができる。
また、振動板の横揺れなどが抑制されると同様にボイスコイル体の横揺れも抑制されるため、ギャップ長の短い磁気ギャップを備える磁気回路を用いることが可能となる。従って磁束の漏れを抑制して磁気効率の良い磁気回路とすることができ、出力音圧を向上させることが可能となる。これに伴い、振動板を小さくすることができ電気音響変換器の小型化を図ることが可能となる。また、磁束の漏れが抑制されるため、磁気ギャップに必要な磁束密度を得るための磁石やヨークを小さくすることができ、この場合にも電気音響変換器の小型化や軽量化を図ることが可能となる。
また、前記ボイスコイル体を前記第一部材として用い、かつ、前記磁気回路を前記第二部材として用い、前記低摩擦材料は、前記ボイスコイル体の外周面、前記ボイスコイル体の内周面、前記磁気ギャップの外周面、および、前記磁気ギャップの内周面の少なくとも1つに取り付けられれば効果を奏する。
これにより、磁気ギャップを有する磁気回路とボイスコイル体とがガイド機構を構成し、磁気ギャップがボイスコイルの往復動を、低摩擦材料を介してガイドするため、磁気ギャップのギャップ長をボイスコイル体の厚さ程度に設定することが可能となる。従って、前述のギャップ長を短くする効果をより顕著に発揮できる。
前記第一部材は、前記振動板、または、振動板に接続されるセンターキャップから前記磁気回路に向かって延在する円柱などの棒状であり、前記第二部材としても機能する前記磁気回路は、前記第一部材を1軸方向にガイドする案内部を備え、前記低摩擦材料は、前記第一部材、および、前記案内部の少なくとも一方に取り付けられてもよい。
これによれば、振動板を一軸方向にガイドする第一部材をボイスコイル体とは別に独立して設けるため、第一部材の形状、材質などを任意に設定でき電気音響変換器の設計の自由度を向上させることが可能となる。また、使用する低摩擦材料の量を抑制することが可能となる。
また、前記磁気ギャップのギャップ長は、前記ボイスコイル体の厚さの3倍以下であってもよい。
また、本開示の一態様に係る電気音響変換器はイヤフォン等に用いられるマイクロスピーカであってもよく、この場合でも上記と同様の効果が得られる。
なお、「摺動」とは、異なる二つの部材がすりあわさって動くこと、を意味するが、本明細書、および、特許請求の範囲において「摺動」には、異なる二つの部材が直接的ばかりでなく間接的にすりあわさって動くことも含むものとしている。間接的にすりあわさるとは、例えば、二つの部材の間に、低摩擦材料などの別部材が介在した状態で一方の部材が他方の部材に沿って動くこと、を意味している。また、「摺動部」とは、異なる二つの部材がすりあわさって動く第一部材、および第二部材の部分を意味するが、本明細書、および、特許請求の範囲において「摺動部」には、異なる二つの部材が非接触状態であるが、二つの部材の相対的な動作によりすりあわさって動く場合がある部分も含むものとしている。
次に、本願発明に係る電気音響変換器の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本願発明に係る電気音響変換器の一例を示したものに過ぎない。従って本願発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本開示の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
また、図面は、本願発明を示すために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る電気音響変換器であるスピーカを示す断面図である。電気音響変換器100は、電気信号を音に変換するスピーカであって、振動板110と、磁気回路120と、基礎部材130と、ボイスコイル体140と、低摩擦材料150と、を備えている。また本実施の形態の場合、振動板110の中央部分にセンターキャップ160が備えられている。なお、電気音響変換器100において、電気音響変換器100から音が放出される方向を前方(図中Z+方向)とし、その反対方向を後方(図中Z-方向)とする。
振動板110は、ボイスコイル体140が結合される部材であり、ボイスコイル体140の振動に基づいて中立位置を基準に前後方向(図中Z軸方向)に変位することにより空気を振動させて音を発生させる部材である。本実施の形態の場合、振動板110の形状は、前側(図中Z軸正側)から後側に向かって徐々に径が小さくなるいわゆるコーン型である。振動板110の外周部は、振動板110の形状よりも柔軟性、および、復元性を有するエッジ111を介して基礎部材130の端縁部に結合されている。
なお、振動板110の形状などは、特に限定されるものでは無く、円錐形、楕円錐形、角錐形を例示することができ、また、円板、楕円板、平板など平らな形状でもかまわない。
振動板110を構成する材料は、特に限定されるものではないが、例えば、紙、樹脂などを挙示することができる。
また本実施の形態の場合、振動板110には、ダンパーが取り付けられていない。これは、後述の低摩擦材料150の効果により、ボイスコイル体140が前後方向(図中Z軸方向)に直動することによりダンパーが不要となるからである。また、ダンパーレスとすることにより、スピーカである電気音響変換器100の最低共振周波数を低下させることができ、音質の向上を図ることが可能となる。さらに、ダンパーレスとすることにより、部品点数の削減と組立工数の削減を図ることができ、低コスト化を実現させることができる。
また、当実施の形態はダンパーレスとしているが、必要に応じてダンパーを追加しても良い。ダンパーはボイスコイル体140と基礎部材130と、を支持することで、ボイスコイル体140の中心保持力をより強化させることができる。よって、高耐入力タイプの電気音響変換器100や振幅ストロークの大きい電気音響変換器100に適用した場合に、より信頼性の高い振動を実現させることができる。
磁気回路120は、ボイスコイル体140により電気信号に基づいて変化する磁束に作用する定常的な磁束を発生させる部品である。磁気回路120は、振動板110の後方に位置するように基礎部材130に固定され、振動板110に対向する環状の磁気ギャップ121を備えている。磁気ギャップ121は、ボイスコイル体140に発生する磁束と交差する方向に定常的な磁束を発生させる空隙である。本実施の形態の場合、磁気ギャップ121のギャップ長は、磁気ギャップ121に挿入されるボイスコイル体140の部分の厚さの1倍より長く、3倍以下である。また、磁気ギャップと磁気ギャップに挿入されるボイスコイル体の部分とのクリアランスは0.01μm以上、200μm未満である。
本実施の形態の場合、磁気回路120は、外磁型であり、前後方向に着磁された円筒状のマグネット122と、マグネット122の振動板110側の面に配置される円環状のトッププレート123と、マグネット122に対しトッププレート123と反対側に配置される円板状のベースプレート124と、ベースプレート124の中央部からトッププレート123の貫通孔に挿入され、トッププレート123との間で磁気ギャップ121を形成するセンターポール125を備えている。また、ベースプレート124とセンターポール125とは一体に形成されている。
トッププレート123、ベースプレート124、センターポール125とは、磁性体材料によって構成されている。マグネット122は、高い磁気エネルギーを有する例えばネオジム系マグネットなどを使用するのが好ましい。これにより、マグネット122の厚みを薄くでき、電気音響変換器100全体の厚みを薄くすることができる。さらに、軽量化も実現させることができる。
なお、電気音響変換器100が備える磁気回路120の形式は特に限定されるものでは無く、内磁型の磁気回路120を採用してもかまわない。
マグネット122は、円形板状で中央にセンターポール125が挿通される貫通孔が形成されている永久磁石である。マグネット122は、厚み方向(前後方向)の一端がN極であり、他端がS極である。マグネット122の一方の極側の面には、トッププレート123が固定されており、他方極側の面には、ベースプレート124が固定されている。トッププレート123、マグネット122、ベースプレート124の固定方法は特に限定されるものでは無いが、本実施の形態の場合、接着剤により固定されている。なお、ネジ、リベットなどの締結部材を用いて固定されていてもよい。
基礎部材130は、電気音響変換器100の構造的基礎となるいわゆるフレームであり、磁気回路120、および、振動板110を所定の位置に配置されるように保持している。基礎部材130は、例えば、金属、樹脂などにより構成される。
ボイスコイル体140は、後側端部(図中Z-側端部)が磁気回路120の磁気ギャップ121内に配置され、前側端部(図中Z+側端部)が振動板110に結合される部品であり、入力される電気信号に基づき磁束を発生させ、磁気回路120との相互作用により前後方向に振動する部品である。
ボイスコイル体140の巻き軸(中心軸)は、振動板110の振動(振幅)の方向(図中Z軸方向)に配置され、磁気ギャップ121内の磁束の方向と直交している。
本実施の形態の場合、ボイスコイル体140は、金属性の線材が複数回環状(円筒形状)に巻回されることにより構成されるコイルとコイルが巻き付けられるボビンと、を備えている。ボビンはアルミニウムや樹脂等の材料から構成される筒状の部材であり、前側端部が振動板110に結合され後側端部は磁気ギャップ121内に配置されている。なお、電気音響変換器100が備えるボイスコイル体140は、上記に限定されるものでは無く、例えば、マイクロスピーカに使用されるようなボビンを備えないボイスコイル体140を用いてもかまわない。
図2は、低摩擦材料を模式的に示す斜視図である。低摩擦材料150は、第一高分子鎖151、および第一高分子鎖151から側鎖として分岐する複数の第二高分子鎖152と、を備えた被膨潤体105と、第一高分子鎖151、および第二高分子鎖152の間に浸潤して被膨潤体105を膨潤させる膨潤液153とを備えている。
第一高分子鎖151は、特に限定されるものではないが、例えば加熱条件下において同種の基同士で反応して共有結合を形成することができる基である架橋性基154を有するアクリル鎖を例示することができる。架橋性基154は、特に限定されるものではないが、カルボン酸を例示できる。
低摩擦材料150が摺動部に設けられた状態において、第一高分子鎖151は、図2に示すように、架橋性基154を接続点として一次元的に接続され、第二高分子鎖152を挟んで層状に配置されている。なお、図2は、被膨潤体105の一部を簡略的に一次元的に示したものであり、第一高分子鎖151は、紙面に交差する方向にも接続された二次元的な網の目構造を呈してもよく、さらに紙面に沿う方向に接続された三次元的な網の目構造を呈しても構わない。
第二高分子鎖152は、シロキサン結合を有するシリコーン鎖である。具体的に第二高分子鎖152としては、ジメチルシリコーン鎖を例示することができる。
膨潤液153は、第二高分子鎖152の間に浸潤するシリコーンを有する液体である。シリコーンは、ポリジメチルシロキサンを例示することができる。
以上の様に、被膨潤体105をメタクリル主鎖のシリコーングラフトポリマーとすることにより、シリコーンを有する膨潤液153を被膨潤体105の体積が2倍以上に膨らむまで膨潤させることができ、摺動部における摩擦を低減し、摩擦などによって発生する異音を抑制することができる。また、電流の影響により摺動部が80℃程度に維持された場合でも、膨潤液153の飛散や揮発を抑制して第一高分子鎖151の酸化を抑制することができる。
低摩擦材料150を摺動部に形成する方法は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、被膨潤体モノマーを分散状態で含み、架橋剤が添加された分散液を摺動部に塗布し、前記分散液に熱などのエネルギーを付与することにより摺動部の少なくとも一方の表面に被膨潤体105の膜を形成する。揮発などにより分散液を除去した後に膨潤液を被膨潤体105に含浸させ、膨潤状態の低摩擦材料150を形成する。
被膨潤体モノマーとは、架橋性基を有する比較的短い(例えばナノオーダーの長さの)第一高分子鎖151と、第一高分子鎖151から複数分岐している第二高分子鎖152と、を備えた物質である。被膨潤体モノマーは、架橋により第一高分子鎖151が連結して巨大な(例えば膜厚がミクロンオーダーの)膜状の構造体に変化する。
架橋剤は、特に限定されるものではなく、第一高分子鎖151が備える架橋性基154の種類に応じて適宜選定される。例えば架橋性基154がカルボン酸の場合、多官能イソシアネートを架橋剤として例示できる。
被膨潤体モノマーが分散される液体としては、ジメチルエーテルを例示することができる。
本実施の形態の場合、低摩擦材料150は、センターポール125の振動板110側端部の外周表面に形成されている。また、ボイスコイル体140は、低摩擦材料150を介してセンターポール125と接触した状態となっている。つまり、振動板110に結合されるボイスコイル体140が第一部材として機能し、センターポール125が基礎部材130に保持される第二部材として機能し、ボイスコイル体140とセンターポール125との間の摺動部に配置される低摩擦材料150により、振動板110の振動を前後方向(図中Z軸方向)の1軸方向にガイドするガイド機構を形成している。
次に、上記実施の形態の電気音響変換器100についてその動作を説明する。ボイスコイル体140に電気信号が入力されると、ボイスコイル体140に電気信号に対応した磁束が発生し、磁気ギャップ121に定常的に存在している磁束との相互作用によりボイスコイル体140が、前後方向に振動する。
ここで、ボイスコイル体140は、低摩擦材料150を介してセンターポール125に接触しているため第一部材として機能し、センターポール125の延在方向である前後方向にのみ振動する。また、ボイスコイル体140に結合される振動板110もよれや横揺れが抑制された状態で前後方向に振動する。また、ボイスコイル体140と低摩擦材料150とが摺動するが、低摩擦材料150は低摩擦であり、摩擦力がボイスコイル体140の振動にほとんど影響を及ぼさない。従って、ボイスコイル体140のコイルに入力される電気信号に正確に対応した振動を振動板110に伝えることができ、原音に忠実な音を発生させることが可能となる。
また、センターポール125に従ってボイスコイル体140が1軸方向にのみ振動するため、磁気ギャップ121のギャップ長を、非常に短く(狭く)することができる。従って、磁気ギャップ121に発生する磁束の漏れを抑制して、磁束密度を高めることができるため、高い音圧の発生が可能な電気音響変換器100とすることができる。
また、振動板110の小型化、マグネット122の小型化などをした場合でも所望の音圧を発生させる電気音響変換器100を提供することができ、電気音響変換器100の小型化を図ることが可能となる。
なお、低摩擦材料150を設ける箇所は、ボイスコイル体140とセンターポール125とが摺動する箇所、および、ボイスコイル体140とトッププレート123とが摺動する箇所の少なくとも一方であればよい。即ち、ボイスコイル体140と磁気回路120とが摺動する箇所に低摩擦材料150を設ければ良い。具体的に例えば、図3に示すように、低摩擦材料150は、ボイスコイル体140の外周面に設けられても良く、図4に示すように、ボイスコイル体140の内周面、および、磁気ギャップ121の内周面であるセンターポール125の外周面にそれぞれ低摩擦材料150を設けてもかまわない。また図5に示すように、磁気ギャップ121の外周面である、トッププレート123の内周面、および、ボイスコイル体140の外周面のそれぞれに低摩擦材料150を設けてもかまわない。
また、センターポール125、ボイスコイル体140などの摺動部の被膨潤体105の膜を形成する面に、被膨潤体105と結合力を高めるための表面処理を施してもかまわない。これにより、低摩擦材料150を摺動部の表面により強固に固着させることができ、摺動部の寿命を向上させることが可能となる。表面処理としては、例えば二酸化ケイ素(シリカ)などのガラス粒子で表面をコーティングする処理を例示できる。
(実施の形態2)
続いて、電気音響変換器100の他の実施の形態について説明する。なお、前記実施の形態1と同様の作用や機能、同様の形状や機構や構造を有するもの(部分)には同じ符号を付して説明を省略する場合がある。また、以下では実施の形態1と異なる点を中心に説明し、同じ内容については説明を省略する場合がある。
実施の形態2の場合、電気音響変換器100は、センターキャップ160に一端部が結合され磁気回路120に向かって延在する丸棒状の第一部材161をボイスコイル体140とは別に備えている。第一部材161は、センターキャップ160を介して振動板110に接続されている。また、第二部材としても機能する磁気回路120のセンターポール125には、第一部材161を1軸方向にガイドする貫通孔状の案内部162を備えている。
また本実施の形態の場合、低摩擦材料150は、第一部材161、および、案内部162の両方に対向状態で設けられている。
実施の形態2の場合、ガイド機構の一つとして機能する第一部材161の材料や表面性状の選定の自由度が高いため、低摩擦材料150の固定や低摩擦材料150との摺動に適した材料や表面性状を任意に選択できる。
実施の形態2も実施の形態1と同様に、第一部材161は、低摩擦材料150を介して案内部162の内周面に接触しているため、案内部162の延在方向である前後方向にのみ案内される。従って、第一部材161に結合されている振動板110も前後方向の振動にのみ規制される。ボイスコイル体140の振動により振動する振動板110は、よれや横揺れが抑制された状態で前後方向に振動し、原音に忠実な音を発生させることが可能となる。
また、振動板110を介してボイスコイル体140も案内部162の延在方向である1軸方向にのみ振動が規制されるため、磁気回路120の磁気ギャップ121のギャップ長を、非常に短くすることができる。従って、磁気ギャップ121に発生する磁束密度を高めることができるため、高い音圧を発生させる電気音響変換器100とすることができる。
なお、低摩擦材料150を設ける箇所は、第一部材161、および、案内部162のいずれか一方でもかまわない。
本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本開示の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本開示の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
例えば、前記実施の形態では、電気信号を音に変換する電気音響変換器100を例示したが、電気音響変換器100は、音を電気信号に変換するマイクロフォンやセンサであってもかまわない。
また、1本の第一部材161をセンターキャップ160の中央に結合させる場合を例示したが、センターキャップ160のない場合などは振動板110に第一部材161を直接結合させてもかまわない。また、振動板110、まはは、センターキャップ160に複数の第一部材161を結合させてもかまわない。
また、振動板110や磁気回路120、ボイスコイル体140の形状を平面視円形のものとして説明したが、これに限らず、平面視が楕円形状や、矩形状のものであってもかまわない。
また、磁気回路120は、外磁型や内磁型の磁気回路120に限られず、内磁型と外磁型と、を組み合わせた構造でもよい。
また、磁気回路120に用いられるマグネットは、サマリウム鉄系マグネット、フェライト系マグネット、ネオジムマグネットなど任意のマグネットを採用することができる。
また、図7に示すように、第一部材161と案内部162の間、および磁気ギャップ121に低摩擦材料150が設けられてもかまわない。
さらに、電気音響変換器としては、自動車用途やAV用途等に広く使用されるコーン型のスピーカを中心に説明したが、スマートフォンや携帯電話、パーソナルコンピュータ、ヘッドフォン、イヤフォン等に使用される小型平板のマイクロスピーカやレシーバ等に適用することもでき、同様の効果を発揮させることができる。
本開示は、高音圧のスピーカ、小型スピーカ、軽量スピーカ、高性能マイク、高性能なセンサなどとして有用である。
100 電気音響変換器
105 被膨潤体
110 振動板
111 エッジ
120 磁気回路
121 磁気ギャップ
122 マグネット
123 トッププレート
124 ベースプレート
125 センターポール
130 基礎部材
140 ボイスコイル体
150 低摩擦材料
151 第一高分子鎖
152 第二高分子鎖
153 膨潤液
154 架橋性基
160 センターキャップ
161 第一部材
162 案内部

Claims (8)

  1. 摺動部を有し、前記摺動部に低摩擦材料を備える電気音響変換器であって、
    前記低摩擦材料は、
    第一高分子鎖から側鎖としてシロキサン結合を有する第二高分子鎖が複数分岐する被膨潤体と、
    前記第二高分子鎖の間に浸潤するシリコーンを有する膨潤液と、を備える
    電気音響変換器。
  2. 前記第一高分子鎖は、アクリル鎖である
    請求項1に記載の電気音響変換器。
  3. 前記第二高分子鎖は、ジメチルシリコーン鎖である
    請求項1または2に記載の電気音響変換器。
  4. 前記膨潤液は、ポリジメチルシロキサンを含む
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
  5. 振動により音を発生させる、または、音により振動する振動板と、
    前記振動板の振動を1軸方向にガイドするガイド機構と、を備え、
    前記ガイド機構は、
    前記振動板に結合される第一部材と、
    前記第一部材との間で前記摺動部を形成し、前記1軸方向に前記第一部材をガイドする第二部材と、を備え、
    前記低摩擦材料は、
    前記第一部材、および前記第二部材の少なくとも一方に設けられる
    請求項1から4のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
  6. 前記振動板に対向する磁気ギャップを有する磁気回路と、
    前記振動板と前記磁気回路と、を保持する基礎部材と、
    一端部が前記磁気ギャップ内に配置され、他端部が前記振動板に結合されるボイスコイル体と、を備え、
    前記ガイド機構は、
    前記ボイスコイル体を前記第一部材として用い、前記磁気回路を前記第二部材として用い、
    前記低摩擦材料は、
    前記ボイスコイル体の外周面、前記ボイスコイル体の内周面、前記磁気ギャップの外周面、および、前記磁気ギャップの内周面の少なくとも1つに設けられる
    請求項5に記載の電気音響変換器。
  7. 前記第一部材は、前記振動板またはセンターキャップに一端部が接続される棒状であり、
    前記第二部材は、前記振動板に対向する磁気ギャップを有する磁気回路であって、前記第一部材が挿入される案内部を備え、
    前記低摩擦材料は、前記第一部材、および、前記案内部の少なくとも一方に設けられる
    請求項5または6に記載の電気音響変換器。
  8. 摺動部を有し、前記摺動部に低摩擦材料を備える電気音響変換器の製造方法であって、
    架橋性基を有する第一高分子鎖から側鎖としてシロキサン結合を有する第二高分子鎖が複数分岐する被膨潤体、および架橋剤を有する液体を前記摺動部に配置し、
    前記液体にエネルギーを付与することにより前記第一高分子鎖を架橋して前記摺動部に膜を形成し、
    シリコーンを有する膨潤液を浸潤させることにより形成された膜を膨潤させる
    電気音響変換器の製造方法。
JP2020057876A 2020-03-27 2020-03-27 電気音響変換器 Active JP7354042B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020057876A JP7354042B2 (ja) 2020-03-27 2020-03-27 電気音響変換器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020057876A JP7354042B2 (ja) 2020-03-27 2020-03-27 電気音響変換器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021158564A JP2021158564A (ja) 2021-10-07
JP7354042B2 true JP7354042B2 (ja) 2023-10-02

Family

ID=77918528

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020057876A Active JP7354042B2 (ja) 2020-03-27 2020-03-27 電気音響変換器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7354042B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019068144A (ja) 2017-09-28 2019-04-25 パナソニック株式会社 電気音響変換器
JP2019065284A (ja) 2017-09-29 2019-04-25 独立行政法人国立高等専門学校機構 Srt材料、複合体およびその製造方法
JP2019178339A (ja) 2013-06-24 2019-10-17 ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシーRohm and Haas Electronic Materials LLC 中立層ポリマー、その製造の方法、およびそれを含む物品

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019178339A (ja) 2013-06-24 2019-10-17 ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシーRohm and Haas Electronic Materials LLC 中立層ポリマー、その製造の方法、およびそれを含む物品
JP2019068144A (ja) 2017-09-28 2019-04-25 パナソニック株式会社 電気音響変換器
JP2019065284A (ja) 2017-09-29 2019-04-25 独立行政法人国立高等専門学校機構 Srt材料、複合体およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021158564A (ja) 2021-10-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2019065344A1 (ja) 電気音響変換器
JP3773515B2 (ja) トランスデューサのモータ/ジェネレータアセンブリ
TW573438B (en) Flat panel sound radiator with supported exciter and compliant surround
US8942409B2 (en) Magnetic suspension transducer
JP6326649B1 (ja) スピーカ
KR101224242B1 (ko) 스피커 장치
US20110243364A1 (en) Structure of loudspeaker for reducing thickness and mounting depth
JP5700704B2 (ja) スピーカ装置
KR102069140B1 (ko) 전기 음향 변환 장치
KR101851702B1 (ko) 자기유변탄성체(mre)를 이용한 주파수 대역 이동이 자유로운 스피커
JP2019110440A (ja) 振動板、及びスピーカ
US20160066098A1 (en) Compact, Wide-Frequency Range, Loudspeaker Transducer
JP7354042B2 (ja) 電気音響変換器
KR20230098143A (ko) 단일 영구 자석 및 하나 이상의 음성 코일에 의해 구동되는 플랫 스피커
JP2010263363A (ja) スピーカー
JP4431623B2 (ja) スピーカー及びスピーカーシステム
KR101991630B1 (ko) 무지향성 풀레인지 스피커
JP2023019839A (ja) 電気音響変換器
JP2019161325A (ja) 電気音響変換器、移動体、および電子機器
JP2021158593A (ja) 電気音響変換器、移動体、および電子機器
CN212936189U (zh) 磁路系统及电子装置
JP2016140061A (ja) ボイスコイル、磁気回路、及びアクチュエータ
KR102152980B1 (ko) 패널 가진형 익사이터
CN212086467U (zh) 一种扬声器
KR101549956B1 (ko) 자성재료를 코팅한 음향부품용 진동판

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200420

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221216

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230831

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230905

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230920

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7354042

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150