JP7353947B2 - 密封装置 - Google Patents

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本発明は、2つのシール部材を有する密封装置に関する。
特許文献1は2つのシール部材を有する密封装置を開示する。この密封装置においては、一方のシール部材の円筒部に、他方のシール部材の円筒部が嵌め入れられている。外側の円筒部はハウジングに取り付けられており、両方のシール部材は、軸に接触するリップをそれぞれ有する。
特許第3911857号
上記の密封装置においては、リップの寿命を長くするために、リップに常に潤滑油が与えられていることが望ましい。
また、上記の密封装置は、例えば、鉄道の車両の車軸用の軸受を収納する軸箱に設けられ、軸受に使用される潤滑油を封止する。このような環境は、多量の異物(例えば、軸受の部品の摩耗によって生ずる鉄粉)を含む。したがって、異物に対する耐久性が高い密封装置が要求される。
そこで、本発明は、リップに常に潤滑油が与えられ、異物に対する耐久性が高い密封装置を提供する。
本発明のある態様に係る密封装置は、ハウジングと、前記ハウジングに設けられた軸孔内に配置された回転軸の間の隙間を封止する密封装置である。密封装置は、前記ハウジングに取り付けられる第1の円筒部と、前記第1の円筒部から径方向内側に向けて延びる第1の円環部と、前記第1の円環部の径方向内側に配置され、前記回転軸の外周面が摺動可能に接触する第1のリップを有する第1のシール部材と、前記第1のシール部材の前記第1の円筒部に嵌め込まれる第2の円筒部と、前記第2の円筒部から径方向内側に向けて延びる第2の円環部と、前記第2の円環部の径方向内側に配置され、前記回転軸の前記外周面が摺動可能に接触する第2のリップを有する第2のシール部材を有する。前記回転軸の前記外周面と、前記ハウジングと、前記第1の円筒部と、前記第2のシール部材は、潤滑油が密封される内部空間を画定する。前記回転軸の前記外周面と、前記第1の円環部と、前記第1のリップと、前記第2の円筒部と、前記第2の円環部と、前記第2のリップは、潤滑油が密封される追加空間を画定する。前記第2のシール部材には、前記内部空間を前記追加空間に連通させる少なくとも1つの通路が形成され、前記通路が延びる方向に直交する前記通路の断面の最大寸法は50μm以下である。
この態様においては、潤滑油が密封される内部空間を追加空間に連通させる少なくとも1つの通路が設けられている。したがって、追加空間を形成する第1のリップに常に潤滑油が与えられ、潤滑油によって第1のリップが冷却および潤滑される。このため、温度上昇に起因する第1のリップの劣化および回転軸の摺動に起因する第1のリップの摩耗が抑制される。また、通路の断面の最大寸法は50μm以下であるので、内部空間から大きな異物が通路を通過して追加空間に到達することが抑制される。したがって、追加空間を形成する第1のリップに異物が損傷を与えるおそれが少なく、第1のリップと回転軸との間に異物が入り込んで潤滑油がここから漏れるおそれも少ない。
使用状態にある本発明の実施形態に係る密封装置を示す断面図である。 密封装置の第2のシール部材の斜視図である。 第2のシール部材に形成されうる通路を形成するスリットのバリエーションを示す断面図である。 実施形態に係る密封装置における異物の直径と潤滑油の漏れの関係を示すグラフである。 使用状態にある本発明の実施形態の変形例に係る密封装置を示す断面図である。 図5の密封装置の第2のシール部材の斜視図である。 使用状態にある本発明の実施形態の他の変形例に係る密封装置を示す断面図である。
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る実施形態を説明する。図面の縮尺は必ずしも正確ではなく、一部の特徴は誇張または省略されることもある。
図1に示すように、実施形態に係る密封装置1は、ハウジング2に設けられた軸孔2A内に配置されている。軸孔2Aには回転軸4が挿入されており、密封装置1はハウジング2と回転軸4の間の隙間を封止する。ハウジング2は、鉄道の車両の車軸用の軸受(図示せず)を収納する軸箱であり、回転軸4は車軸である。
密封装置1は、互いにほぼ同軸に配置された第1のシール部材10と第2のシール部材30を有する。第1のシール部材10と第2のシール部材30は円環形状を有しており、図1は、第1のシール部材10と第2のシール部材30の左部分を示す。
第1のシール部材10は、弾性材料、例えばエラストマー製の弾性環11と、金属材料製の剛性環12を有する複合構造を有する。剛性環12は弾性環11を補強する。
第1のシール部材10は、第1の円筒部13、第1の円環部14、内側円筒部15、主リップ(第1のリップ)16およびダストリップ17を有する。
第1の円筒部13は、弾性環11の一部である弾性円筒13aと剛性環12の一部である剛性円筒13bを有する。弾性円筒13aは剛性円筒13bの外周面に密着する。第1の円筒部13は、例えばハウジング2の軸孔2Aに圧入されていることによって、ハウジング2に取り付けられている。
第1の円環部14は、第1の円筒部13の大気側の端部から径方向内側に向けて延びる。第1の円環部14は、弾性環11の一部である弾性円環と剛性環12の一部である剛性円環を有する。弾性円環は剛性円環の大気側の面に密着する。
内側円筒部15は、第1の円環部14の内端から軸受側に向けて、第1の円筒部13とほぼ同心に延びる。内側円筒部15の軸受側の端部には主リップ16が形成されており、内側円筒部15の大気側の端部にはダストリップ17が形成されている。内側円筒部15、主リップ16およびダストリップ17は、弾性環11の一部である。主リップ16とダストリップ17には、回転軸4の外周面が摺動可能に接触する。
主リップ16は、リップエッジ16Aを境界とする2つの円錐台形状の傾斜面を有する。図1において、回転軸4は仮想線で示されており、実際には主リップ16は回転軸4から接触圧を受けて変形する。主リップ16は、軸受側に貯留された軸受のための潤滑油を封止する。
不可欠ではないが、主リップ16の大気側の傾斜面には、複数の突起16Bが形成されている。突起16Bは、軸受側から大気側に漏れた潤滑油を軸受側に戻すポンピング作用を発揮する。
不可欠ではないが、内側円筒部15の周囲にはガータースプリング18が巻き付けられている。ガータースプリング18は、主リップ16を径方向内側に向けて押圧し、主リップ16と回転軸4の接触圧を高める。
ダストリップ17は、内側円筒部15の大気側端部から径方向内側かつ大気側に向けて延びる円錐台状の板である。ダストリップ17は大気側から軸受側への異物の侵入を抑制する。
不可欠ではないが、ダストリップ17の内周面には、互いに間隔をおいて複数の突起17Aが形成されている。突起17Aは、主リップ16とダストリップ17と回転軸4の外周面で画定された空間19内の圧力が過剰に低減してダストリップ17が過剰に変形した場合に、空間19と大気側の空間を連通させる。
第2のシール部材30は、第1のシール部材10の主リップ16が軸受側の潤滑油から過剰に大きい圧力を受けないように、第1のシール部材10よりも軸受側に配置されている。
第2のシール部材30は、弾性材料、例えばエラストマー製の弾性環31と、金属材料製の剛性環32を有する複合構造を有する。剛性環32は弾性環31を補強する。
第2のシール部材30は、第2の円筒部33、第2の円環部34、および補助リップ(第2のリップ)35を有する。
第2の円筒部33は、剛性環32の一部である剛性円筒から構成されている。第2の円筒部33は、第1のシール部材10の第1の円筒部13に圧入されている。具体的には、第2の円筒部33は、大気側に配置される大径部分33Aと軸受側に配置される小径部分33Bを有し、大径部分33Aの外径と内径は小径部分33Bのそれらよりそれぞれ大きい。大径部分33Aが第1の円筒部13に締まり嵌めされていることによって、第2のシール部材30は第1のシール部材10に固定されている。
したがって、第2の円筒部33のうち第1の円筒部13に接触する大径部分33Aは金属から形成されており、第1の円筒部13のうち第2の円筒部33に接触する剛性円筒13bも金属から形成されている。
第2の円環部34は、第2の円筒部33の軸受側の端部から径方向内側に向けて延びる。第2の円環部34は、弾性環31の一部である弾性円環と剛性環32の一部である剛性円環を有する。弾性円環は剛性円環の軸受側の面に密着する。
補助リップ35は、第2の円筒部33の内端から径方向内側かつ軸受側に向けて延びる円錐台状の板である。補助リップ35には、回転軸4の外周面が摺動可能に接触する。補助リップ35は、軸受側の潤滑油に含まれる多量の異物(例えば鉄粉)が第1のシール部材10の主リップ16に向けて流れないように阻止する。
この密封構造において、軸受側の内部空間40は、第1のシール部材10の第1の円筒部13と、第2のシール部材30で終端するとみなすことができる。つまり、回転軸4の外周面と、ハウジング2と、第1の円筒部13と、第2のシール部材30(第2の円筒部33、第2の円環部34、および補助リップ35を含む)第2のリップは、潤滑油が密封される内部空間40を画定する。
また、第1のシール部材10と第2のシール部材30が組み合わせられることによって、回転軸4の外周面と、第1の円環部14と、主リップ16と、第2の円筒部33と、第2の円環部34と、補助リップ35は、潤滑油が密封される追加空間42を画定する。
第2の円筒部33のうち第1の円筒部13に接触する大径部分33Aの外周面には、複数のスリット46が形成されている。各スリット46は、内部空間40を追加空間42に連通させる。したがって、スリット46を除いて、第1のシール部材10の第1の円筒部13に圧入される大径部分33Aの外周面は、第1の円筒部13の剛性円筒13bの内周面に面接触するが、スリット46と剛性円筒13bの内周面で形成された空洞は内部空間40と追加空間42の間の潤滑油の通路として機能し、主リップ16に潤滑油を常に与えることができる。
第2の円筒部33の小径部分33Bの外径は、第1の円筒部13の剛性円筒13bの内径より小さい。したがって、第2の円筒部33の小径部分33Bと第1の円筒部13の剛性円筒13bの間には、環状の間隙47が設けられている。潤滑油は、間隙47とスリット46を通じて、内部空間40から追加空間42へ(またはその逆へ)流動することができる。
このようにして、主リップ16に常に潤滑油が与えられるので、潤滑油によって主リップ16が冷却および潤滑される。このため、温度上昇に起因する主リップ16の劣化および回転軸4の摺動に起因する主リップ16の摩耗が抑制され、主リップ16ひいては密封装置1の寿命が長くなる。
ダストリップ17には、潤滑剤としてグリースがコートされてよい。主リップ16と補助リップ35には、軸受のための潤滑油が常に与えられるが、主リップ16と補助リップ35にも、潤滑油と異なる潤滑剤としてグリースがコートされてよい。
図2に示すように、複数のスリット46は、等角間隔をおいて配置されている。各スリット46は、密封装置1の軸線方向に沿って直線状に延びている。但し、各スリット46は、密封装置1の軸線方向に対して傾斜していてもよいし、湾曲または屈曲していてもよい。
この実施形態では、スリット46の数は4であるが、スリット46の数は、1以上の限定されない数である。第2の円筒部33に1つだけスリット46を形成する場合には、潤滑油が貯留される密封装置1の下方にスリット46を配置し、内部空間40から追加空間42へ潤滑油がスリット46を通じて供給可能であることが望ましい。
スリット46の数が多いほど、主リップ16の潤滑不足の懸念は減少する。なぜなら、いずれかのスリット46が異物で閉塞されても、他のスリット46が内部空間40から追加空間42への潤滑油を供給することができるからである。スリット46の数が多くても、後述するようにスリット46の寸法を制限することによって、異物が内部空間40から追加空間42に流入する懸念を低減することができる。
図3は、第2のシール部材30の第2の円筒部33の大径部分33Aに形成されうるスリットのバリエーションを示す断面図である。各断面図は、スリットが延びる方向に直交する断面を示す。
スリット46の断面は、2つの平行な壁面とこれらの壁面を接続する円弧状の湾曲面を有する半長円の形状を有する。スリット46のこの断面の最大寸法Mは、スリット46の深さである。
スリット46Aの断面は半楕円の形状を有する。スリット46Aのこの断面の最大寸法Mは、スリット46Aの深さである。
スリット46Bの断面は半円形である。スリット46Bのこの断面の最大寸法Mは、スリット46Bの幅である。
スリット46Cの断面は矩形である。スリット46Cのこの断面の最大寸法Mは、スリット46Cの幅である。
スリット46Dの断面は矩形である。スリット46Dのこの断面の最大寸法Mは、矩形の対角線である。
上記のように、主リップ16には常に軸受のための潤滑油が与えられるが、鉄道の車両の車軸用の軸受のための潤滑油には、多量の異物(例えば鉄粉)が含まれる。異物は主リップ16に損傷を与えるおそれがあり、主リップ16と回転軸4との間に入り込むと、潤滑油が追加空間42から空間19に漏れ、さらには空間19から大気側に漏れるおそれがある。
そこで、この実施形態では、内部空間40を追加空間42に連通させる各スリット46,46A,46B,46Cまたは46Dの断面の最大寸法Mは50μm以下であり、内部空間40から大きな異物がスリット46を通過して追加空間42に到達することが抑制される。したがって、追加空間42を形成する主リップ16に異物が損傷を与えるおそれが少なく、主リップ16と回転軸4との間に異物が入り込んで潤滑油がここから漏れるおそれも少ない。
図4は、実施形態に係る密封装置1における異物の直径と潤滑油の漏れの関係を調べた実験結果を示すグラフである。実験においては、異なる直径の多量の鉄粉(異物)を潤滑油に混ぜて、主リップ16が潤滑油を封止可能か否か(追加空間42から空間19へ所定量より多い潤滑油が漏れたか否か)を調査した。鉄粉は潤滑油に2.5重量%混入した。実験では、回転軸4を2000rpmで5時間、一方向に回転させ、その後2分間、停止を維持し、次に2000rpmで5時間、逆方向に回転させ、追加空間42から空間19へ漏れた潤滑油の量を調べた。使用したスリットのタイプは、図3のスリット46であった。
また、実験では、摩耗程度が異なる主リップ16を有する複数の密封装置1のサンプルを使用した。図4のグラフの横軸は、主リップ16の回転軸4への接触幅Wを示す。接触幅Wは、図4の円内に示すように、主リップ16の先端が回転軸4に接触する軸線方向の長さである。主リップ16の摩耗が大きくなるほど、接触幅Wは大きくなる。
図4の仮想線は、主リップ16が潤滑油を封止可能な場合の異物の直径の最大値であると想定される。図4から明らかなように、接触幅Wが小さい場合には、主リップ16の封止性能は比較的低いため、他の場合より小さい鉄粉によって潤滑油の漏れが生じた。しかし、直径が57μm以下の鉄粉が混在する潤滑油は確実に封止することができた。
上記のように、スリット46,46A,46B,46Cまたは46Dは、第2の円筒部33の大径部分33Aに形成されており、大径部分33Aは金属から形成されている。したがって、第2の円筒部33、特に大径部分33Aが第1の円筒部13に嵌め込まれて、第1の円筒部13から高い圧力を受けたとしても、スリット46,46A,46B,46Cまたは46Dの変形量が小さい。つまり、周囲の圧力のためにスリット46,46A,46B,46Cまたは46Dと第1の円筒部13の内周面で形成された通路が閉塞するおそれが少ない。各スリットの断面の最大寸法Mは50μm以下であり、非常に小さいが、スリットが変形しにくいので、通路での潤滑油の流通が確保される。
図5は、本発明の実施形態の変形例に係る密封装置50を示す。密封装置50においては、第1のシール部材10の第1の円筒部13が二重の弾性円筒13a,13cを有する。すなわち、第1の円筒部13は、弾性環11の一部である弾性円筒13aと、剛性環12の一部である剛性円筒13bと、弾性環11の一部である弾性円筒13cを有する。弾性円筒13aは剛性円筒13bの外周面に密着し、弾性円筒13cは剛性円筒13bの内周面に密着し剛性円筒13bの内周面全体を覆う。つまり、弾性円筒13cは第1の円環部14まで達する。
第2の円筒部33の大径部分33Aは、第1の円筒部13に締まり嵌めされていることによって、第2のシール部材30は第1のシール部材10に固定されている。したがって、密封装置50では、第2の円筒部33のうち第1の円筒部13に接触する大径部分33Aは金属から形成されているが、第1の円筒部13のうち第2の円筒部33に接触する弾性円筒13cは弾性材料から形成されている。
他の特徴は、図1の実施形態とほぼ同じであり、スリット56が第2の円筒部33の大径部分33Aの外周面に形成されている。スリット56と第1の円筒部13の弾性円筒13cの内周面で形成された空洞は内部空間40と追加空間42の間の潤滑油の通路として機能し、主リップ16に潤滑油を常に与えることができる。
スリット56は、図3に示すスリット46,46A,46B,46Cおよび46Dのいずれかと同じ断面を有し、密封装置1の軸線方向に沿って直線状に延びている。但し、各スリット56は、密封装置1の軸線方向に対して傾斜していてもよいし、湾曲または屈曲していてもよい。
但し、この変形例では、変形しやすい弾性円筒13cによって、スリット56の両端が閉塞されないように、スリット56の両端における断面積が、図1および図2のスリット46に比較して拡大されている。
この変形例に係る密封装置50においても、実施形態と同じ効果を達成することができる。
内部空間40と追加空間42を接続する通路を、第2のシール部材30の第2の円筒部33の大径部分33Aの外周面ではなく、第1のシール部材10の第1の円筒部13の弾性円筒13cの内周面に形成することも考えられる。しかし、この場合には、大径部分33Aから弾性円筒13cが高い圧力を受けて変形し、通路が閉塞するかもしれない。この変形例では、スリット56が、金属製の第2の円筒部33の大径部分33Aの外周面に形成されているため、スリット56と第1の円筒部13の内周面で形成された通路が閉塞するおそれが少なく、通路での潤滑油の流通が確保される。
潤滑油の流通を確保するため、第2の円筒部33の大径部分33Aが第1の円筒部13に締まり嵌めされた状態で、スリット56と第1の円筒部13の弾性円筒13cの内周面で形成される通路の断面の最大寸法Mは50μm以下である。
図7は、本発明の実施形態の他の変形例に係る密封装置60を示す。密封装置60は、図5に示す密封装置50と類似の構成を有するが、スリット56が形成されていない。その代わりに、第2のシール部材30の第2の円筒部33に貫通孔62が形成され、第2のシール部材30の第2の円環部34に貫通孔64が形成されている。貫通孔62は第2の円筒部33をその厚さ方向に貫通し、貫通孔64は第2の円環部34をその厚さ方向に貫通する。
貫通孔62,64の各々は、内部空間40と追加空間42の間の潤滑油の通路として機能し、主リップ16に潤滑油を常に与えることができる。このようにして、主リップ16に常に潤滑油が与えられるので、潤滑油によって主リップ16が冷却および潤滑される。このため、温度上昇に起因する主リップ16の劣化および回転軸4の摺動に起因する主リップ16の摩耗が抑制され、主リップ16ひいては密封装置1の寿命が長くなる。
貫通孔62,64の各々の断面の最大寸法は50μm以下であり、内部空間40から大きな異物がスリット46を通過して追加空間42に到達することが抑制される。したがって、追加空間42を形成する主リップ16に異物が損傷を与えるおそれが少なく、主リップ16と回転軸4との間に異物が入り込んで潤滑油がここから漏れるおそれも少ない。
貫通孔62,64の数が多いほど、主リップ16の潤滑不足の懸念は減少する。なぜなら、貫通孔62,64のいずれかが異物で閉塞されても、他の貫通孔が内部空間40から追加空間42への潤滑油を供給することができるからである。貫通孔の数が多くても、貫通孔の寸法を制限することによって、異物が内部空間40から追加空間42に流入する懸念を低減することができる。
この変形例では、貫通孔62,64が設けられているが、第2の円筒部33に貫通孔62が形成され、第2のシール部材30の第2の円環部34に貫通孔64が形成されなくてもよい。逆に、第2の円筒部33に貫通孔62が形成されず、第2のシール部材30の第2の円環部34に貫通孔64が形成されていてもよい。
貫通孔の数は、1以上の限定されない数である。第2のシール部材30に1つだけ貫通孔を形成する場合には、潤滑油が貯留される密封装置60の下方に貫通孔を配置し、内部空間40から追加空間42へ潤滑油が貫通孔を通じて供給可能であることが望ましい。
この変形例に係る密封装置60において、少なくとも1つのスリット56が形成されていてもよい。
この変形例に係る密封装置60は、密封装置50をベースとするが、弾性円筒13cがない密封装置1に貫通孔62および/または64を設けてもよい。この場合、密封装置1にスリットが形成されてもよいし形成されなくてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態を参照しながら本発明を図示して説明したが、当業者にとって特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく、形式および詳細の変更が可能であることが理解されるであろう。このような変更、改変および修正は本発明の範囲に包含されるはずである。
例えば、上記の実施形態においては、ハウジング2は、鉄道の車両の軸箱であり、回転軸4は車軸である。しかし、本発明の用途は実施形態に限定されず、自動車または他の機械の回転軸とハウジングの間の隙間を封止するために本発明に係る密封装置1を使用することができる。
上記の実施形態においては、主リップ16、ダストリップ17および補助リップ35は回転軸4に接触するが、回転軸4の周囲に固定された部材に接触してもよい。この場合、回転軸4の周囲に固定された部材も回転軸の一部とみなすことができる。
本発明の態様は、下記の番号付けされた条項にも記載される。
条項1. ハウジングと、前記ハウジングに設けられた軸孔内に配置された回転軸の間の隙間を封止する密封装置であって、
前記ハウジングに取り付けられる第1の円筒部と、前記第1の円筒部から径方向内側に向けて延びる第1の円環部と、前記第1の円環部の径方向内側に配置され、前記回転軸の外周面が摺動可能に接触する第1のリップを有する第1のシール部材と、
前記第1のシール部材の前記第1の円筒部に嵌め込まれる第2の円筒部と、前記第2の円筒部から径方向内側に向けて延びる第2の円環部と、前記第2の円環部の径方向内側に配置され、前記回転軸の前記外周面が摺動可能に接触する第2のリップを有する第2のシール部材を有し、
前記回転軸の前記外周面と、前記ハウジングと、前記第1の円筒部と、前記第2のシール部材は、潤滑油が密封される内部空間を画定し、
前記回転軸の前記外周面と、前記第1の円環部と、前記第1のリップと、前記第2の円筒部と、前記第2の円環部と、前記第2のリップは、潤滑油が密封される追加空間を画定し、
前記第2のシール部材には、前記内部空間を前記追加空間に連通させる少なくとも1つの通路が形成され、前記通路が延びる方向に直交する前記通路の断面の最大寸法は50μm以下である
ことを特徴とする密封装置。
条項2. 前記第2の円筒部のうち前記第1の円筒部に接触する部分は金属から形成されており、
前記通路は、この金属製の部分の外周面に形成されたスリットと前記第1の円筒部の内周面で形成されている
ことを特徴とする条項1に記載の密封装置1。
この条項によれば、スリットは、第2の円筒部のうち金属製の部分に形成されているので、第2の円筒部が第1の円筒部に嵌め込まれて、第1の円筒部から高い圧力を受けたとしても、スリットの変形量が小さい。つまり、周囲の圧力のためにスリットと第1の円筒部の内周面で形成された通路が閉塞するおそれが少ない。通路の断面の最大寸法は50μm以下であり、非常に小さいが、スリットが変形しにくいので、通路での潤滑油の流通が確保される。
条項3. 前記通路は、前記第2の円筒部または前記第2円環部を厚さ方向に貫通する貫通孔である
ことを特徴とする条項1に記載の密封装置1。
この条項によれば、通路は貫通孔であるので、第2の円筒部が第1の円筒部に嵌め込まれても、通路は影響を受けない。
1 密封装置
2 ハウジング
2A 軸孔
4 回転軸
10 第1のシール部材
13 第1の円筒部
14 第1の円環部
16 主リップ(第1のリップ)
30 第2のシール部材
31 弾性環
32 剛性環
33 第2の円筒部
34 第2の円環部
35 補助リップ(第2のリップ)
40 内部空間
42 追加空間
46,46A,46B,46C,46D スリット
M 最大寸法
50 密封装置
60 密封装置
62,64 貫通孔

Claims (2)

  1. ハウジングと、前記ハウジングに設けられた軸孔内に配置された回転軸の間の隙間を封止する密封装置であって、
    前記ハウジングに取り付けられる第1の円筒部と、前記第1の円筒部から径方向内側に向けて延びる第1の円環部と、前記第1の円環部の径方向内側に配置され、前記回転軸の外周面が摺動可能に接触する第1のリップを有する第1のシール部材と、
    前記第1のシール部材の前記第1の円筒部に嵌め込まれる第2の円筒部と、前記第2の円筒部から径方向内側に向けて延びる第2の円環部と、前記第2の円環部の径方向内側に配置され、前記回転軸の前記外周面が摺動可能に接触する第2のリップを有する第2のシール部材を有し、
    前記回転軸の前記外周面と、前記ハウジングと、前記第1の円筒部と、前記第2のシール部材は、潤滑油が密封される内部空間を画定し、
    前記回転軸の前記外周面と、前記第1の円環部と、前記第1のリップと、前記第2の円筒部と、前記第2の円環部と、前記第2のリップは、潤滑油が密封される追加空間を画定し、
    前記第2のシール部材には、前記内部空間を前記追加空間に連通させる少なくとも1つの通路が形成され、前記通路が延びる方向に直交する前記通路の断面の最大寸法は50μm以下であり、
    前記第2の円筒部のうち前記第1の円筒部に接触する部分は金属から形成されており、
    前記通路は、この金属製の部分の外周面に形成されたスリットと前記第1の円筒部の内周面で形成されている
    ことを特徴とする密封装置。
  2. ハウジングと、前記ハウジングに設けられた軸孔内に配置された回転軸の間の隙間を封止する密封装置であって、
    前記ハウジングに取り付けられる第1の円筒部と、前記第1の円筒部から径方向内側に向けて延びる第1の円環部と、前記第1の円環部の径方向内側に配置され、前記回転軸の外周面が摺動可能に接触する第1のリップを有する第1のシール部材と、
    前記第1のシール部材の前記第1の円筒部に嵌め込まれる第2の円筒部と、前記第2の円筒部から径方向内側に向けて延びる第2の円環部と、前記第2の円環部の径方向内側に配置され、前記回転軸の前記外周面が摺動可能に接触する第2のリップを有する第2のシール部材を有し、
    前記回転軸の前記外周面と、前記ハウジングと、前記第1の円筒部と、前記第2のシール部材は、潤滑油が密封される内部空間を画定し、
    前記回転軸の前記外周面と、前記第1の円環部と、前記第1のリップと、前記第2の円筒部と、前記第2の円環部と、前記第2のリップは、潤滑油が密封される追加空間を画定し、
    前記第2のシール部材には、前記内部空間を前記追加空間に連通させる少なくとも1つの通路が形成され、前記通路が延びる方向に直交する前記通路の断面の最大寸法は50μm以下であり、
    前記通路は、前記第2の円筒部または前記第2円環部を厚さ方向に貫通する貫通孔である
    ことを特徴とする封装置
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