以下、本発明に係る画像表示装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。なお、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、各部材の寸法を変えて示す場合がある。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置の断面を概略的に示す図である。図1に示すように、本実施形態の画像表示装置1は、ハウジング10と、ディスプレイ20と、ミラー30と、ハーフミラー40と、再帰反射部材50と、を主な構成として備える。
本実施形態のハウジング10は、底壁11と底壁11の外周を囲う枠壁12とによって、1つの開口を有する箱状に構成される。当該開口は、平板状のハーフミラー40によって塞がれる。すなわち、枠壁12によって形成される箱の一方の開口は板状のハーフミラー40によって塞がれ、他方の開口が底壁11で塞がれる。本実施形態では、ハーフミラー40と底壁11とは概ね平行とされてハーフミラー40と底壁11とが対向し、ハーフミラー40及び底壁11と枠壁12とは概ね垂直とされている。また、ハウジング10とハーフミラー40とによって囲われる空間には、ディスプレイ20、ミラー30、及び再帰反射部材50が収容される。
ディスプレイ20は、2つの画像のそれぞれを構成する光を互いに異なる方向に照射するように構成される。本実施形態のディスプレイ20は、表示部21と、導光部材25とを備え、第1画像F1を構成する光L1aと第2画像F2を構成する光L2aを互いに異なる方向に照射するように構成される。図1では、第1画像F1と第2画像F2とが仮想的に破線で示されている。表示部21は、第1画像F1と第2画像F2とを表示する表示領域21Sを有し、例えば、液晶ディスプレイから成る。この表示領域21Sは導光部材25によって覆われている。本実施形態では、ディスプレイ20は、導光部材25側と反対側がハウジング10の枠壁12に接するように枠壁12に固定されている。また、ディスプレイ20とハーフミラー40との間及びディスプレイ20と底壁11との間にはそれぞれ所定の隙間が形成されている。
図2は、図1に示すディスプレイ20の表示部21の正面図である。なお、図2は、第1画像F1と第2画像F2とが表示される表示領域21S側から見る表示部21の正面図であり、図2では、表示部21は概略的に示されている。本実施形態の表示部21は、正面視において長方形に形成され、正面視における全領域が表示領域21Sとされている。つまり、表示領域21Sは長方形に形成されている。この表示部21の長手方向はハーフミラー40と概ね平行とされている。なお、図2において、上側はハーフミラー40側であり、下側は底壁11側である。表示領域21Sは平面状とされ、表示部21はこの表示領域21S内に複数の画素を有している。これら複数の画素は、表示領域21Sの長手方向と短手方向とに並列するマトリックス状に配置されている。それぞれの画素は、赤色の光を出射する赤色表示用ドットと、緑色の光を出射する緑色表示用ドットと、青色の光を出射する青色表示用ドットとを含んでいる。従って、本実施形態の表示部21はRBGのカラー表示が可能とされる。表示領域21Sのうち短手方向におけるハーフミラー40側は、第1画像F1が表示される領域であり、当該第1画像F1を構成する光L1aを出射する第1出射領域22Aとされる。また、表示領域21Sのうち短手方向における底壁11側は、第2画像F2が表示される領域であり、当該第2画像F2を構成する光L2aを出射する第2出射領域22Bとされる。つまり、表示部21は、第1出射領域22Aと、第2出射領域22Bとを有し、第1出射領域22Aと第2出射領域22Bとが並列されている。図2では、第1出射領域22Aと第2出射領域22Bとの境界が破線で示されている。
なお、表示部21は、液晶ディスプレイに限定されるものではない。例えば、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ等を表示部21に用いることができる。また、表示部21は、単色の光によって画像を表示するように構成されてもよい。また、表示部21が表示する第1画像F1及び第2画像F2は、互いに異なっていてもよく、同じであってもよい。また、第1画像F1及び第2画像F2は、静止画像であってもよく、動画像でもよい。本実施形態では、第1画像F1及び第2画像F2は、互いに異なる静止画像とされる。
導光部材25は、表示部21から出射する第1画像F1を構成する光L1aを所定の方向に向けて出射し、表示部21から出射する第2画像F2を構成する光L2aを他の所定の方向に向けて出射するように構成される。本実施形態では、導光部材25は、透光性を有する材料から構成され、表示部21の表示領域21Sを覆う板状部材とされる。このため、表示部21から出射する光L1a及び光L2aは、導光部材25を透過してディスプレイ20から出射する。このような導光部材25は、図示していない構成によって表示部21に取り付けられている。
図3は、図1のディスプレイ20の断面の一部を概略的に示す図である。なお、図3において、上側はハーフミラー40側であり、下側は底壁11側である。また、図3では、ディスプレイ20の表示部21に、第1出射領域22Aと第2出射領域22Bとの境界が破線で示されている。本実施形態の導光部材25は、複数の第1柱状プリズム26Aと複数の第2柱状プリズム26Bとから構成されるリニアプリズムとされる。第1柱状プリズム26A及び第2柱状プリズム26Bは、表示領域21Sの長手方向に沿って延在する。複数の第1柱状プリズム26Aは、第1出射領域22Aを覆うように表示領域21Sの短手方向に並列されている。複数の第2柱状プリズム26Bは、第2出射領域22Bを覆うように表示領域21Sの短手方向に並列されている。このため、ディスプレイ20を導光部材25側から正面視した場合、それぞれの第1柱状プリズム26Aは、第1出射領域22Aと重なり、それぞれの第2柱状プリズム26Bは、第2出射領域22Bと重なる。これら複数の第1柱状プリズム26A及び複数の第2柱状プリズム26Bが一体に形成されて導光部材25が構成されている。
それぞれの第1柱状プリズム26Aにおける表示部21側と反対側の面である出射面26Aoは、表示領域21Sと概ね平行な同一平面上に位置している。また、それぞれの第2柱状プリズム26Bにおける表示部21側と反対側の面である出射面26Boは、出射面26Aoが位置する平面上に位置している。このため、導光部材25の表示部21側と反対側の面は、複数の第1柱状プリズム26Aの出射面26Ao及び複数の第2柱状プリズム26Bの出射面26Boによって構成される平坦な面とされている。また、第1柱状プリズム26Aにおける表示部21側の面である入射面26Aiは、ハーフミラー40側に向かって表示部21に近づくように傾斜している。複数の第1柱状プリズム26Aにおいて、これら入射面26Aiと表示領域21Sとのなす角度は概ね同じとされている。一方、第2柱状プリズム26Bにおける表示部21側の面である入射面26Biは、底壁11側に向かって表示部21に近づくように傾斜している。複数の第2柱状プリズム26Bにおいて、これら入射面26Biと表示領域21Sとのなす角度は概ね同じとされている。
このような導光部材25では、第1出射領域22Aから出射する光L1aは、導光部材25のうち第1柱状プリズム26Aの入射面26Aiから導光部材25に入射し、第1柱状プリズム26Aの出射面26Aoから出射する。上記のように、第1柱状プリズム26Aにおける入射面26Aiは、ハーフミラー40側に向かって第1出射領域22Aに近づくように傾斜している。このため、図3に示すように、光L1aは、導光部材25からハーフミラー40側に向けて出射する。一方、第2出射領域22Bから出射する光L2aは、導光部材25のうち第2柱状プリズム26Bの入射面26Biから導光部材25に入射し、第2柱状プリズム26Bの出射面26Boから出射する。上記のように、第2柱状プリズム26Bにおける入射面26Biは、底壁11側に向かって第2出射領域22Bに近づくように傾斜している。このため、光L2aは、導光部材25から底壁11側に向けて出射する。従って、ディスプレイ20は、導光部材25によって光L1aをハーフミラー40に照射できるとともに、光L2aをディスプレイ20を基準として底壁11側に配置される部材に照射できる。
なお、ディスプレイ20を導光部材25側から正面視する場合に、第1柱状プリズム26A及び第2柱状プリズム26Bのそれぞれは、表示領域21Sの長手方向に並列する1つの画素列と重なっていることが好ましい。しかし、第1柱状プリズム26A及び第2柱状プリズム26Bのそれぞれは、複数の画素列と重なっていてもよい。
ミラー30は、光を反射する反射面を有する部材である。本実施形態では、ミラー30は、ハーフミラー40のディスプレイ20側の面40Sと概ね平行な方向に延在する板状部材とされ、ハーフミラー40側の面が反射面30Sとされる。この反射面30Sは、ハーフミラー40の面40Sと概ね平行とされ、表示部21の表示領域21Sと概ね垂直である。ミラー30は、ディスプレイ20から出射する光L2aが反射面30Sに照射されるように、ディスプレイ20を基準としてハーフミラー40側と反対側に配置され、本実施形態では底壁11に固定されている。つまり、ディスプレイ20は、ハーフミラー40とミラー30とによって挟まれるように配置され、ハーフミラー40よりもミラー30側かつミラー30よりもハーフミラー40側に配置されていると理解できる。そして、ミラー30は、光L2aの少なくとも一部を反射面30Sによって反射してハーフミラー40に照射する。このようなミラー30として、例えば、樹脂等の基板の一方の面に金属層を蒸着等で形成した板状部材等が挙げられる。金属層を構成する金属として、例えば、アルミニウム、銀等が挙げられる。
ハーフミラー40は、一方の面に入射する光の一部を当該面または他方の面で反射するとともに当該光の他の一部を透過する板状部材である。本実施形態のハーフミラー40は、上記のようにハウジング10の開口を塞ぐように枠壁12に固定されている。そして、ハーフミラー40のディスプレイ20側の面40Sは表示部21の表示領域21Sと概ね垂直であり、ミラー30の反射面30Sと概ね平行である。この面40Sには、ディスプレイ20から出射する光L1a、及び、ディスプレイ20から出射してミラー30の反射面30Sで反射する光L2bが入射する。そして、ハーフミラー40は、光L1aの一部及び光L2bの一部を面40Sで反射するとともにこられ光L1a,L2bの他の一部を透過する。ハーフミラー40の光の透過率と反射率との比(透過率/反射率)は、例えば95/5~5/95することができ、80/20~20/80の範囲であることが好ましい。
このようなハーフミラー40として、例えば、一方の面に薄膜の金属層を蒸着等で形成したガラス板やフィルムなどが挙げられる。金属層を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、銀等が挙げられる。ハーフミラー40としてガラス板の一方の面にアルミニウムを50nm以上80nm以下程度の厚さとなるように蒸着したものを使用する場合、ハーフミラー40の鏡面反射率および光透過率を共に50%程度とすることができる。
再帰反射部材50は、一方の面に入射した光を入射方向に反射させる部材である。このように入射した光を入射方向に反射させることを再帰反射という。本実施形態の再帰反射部材50は、ハーフミラー40と概ね平行に延在する板状部材とされる。再帰反射部材50は、ミラー30を基準としてディスプレイ20側と反対側に位置しており、底壁11に固定されている。再帰反射部材50には、ディスプレイ20から出射されてハーフミラー40の面40Sで反射する光L1bが入射する。また、再帰反射部材50には、ディスプレイ20から出射されてミラー30の反射面30Sで反射しハーフミラー40の面40Sで反射する光L2cが入射する。そして、この再帰反射部材50は、これら光L1b及び光L2cをそれぞれ再帰反射する。
また、本実施形態の再帰反射部材50は、基材層51と、当該基材層51の一方の面に形成される複数の再帰反射素子52とで構成される。この再帰反射部材50では、基材層51におけるハーフミラー40側と反対側の面に再帰反射素子52が形成されている。なお、複数の再帰反射素子52は基材層51の両面に形成されてもよい。また、複数の再帰反射素子52は、基材層51の片面または両面に隙間なく形成されることが好ましい。
ここで、再帰反射素子52は、基材層51と一体に形成されることが好ましい。すなわち、基材層51と再帰反射素子52とは同一の組成から構成され、再帰反射部材50は単層構造であることが好ましい。再帰反射部材50が多層構造とされる場合、基材層51と再帰反射素子52との層間での反射に起因して、光の損失、像のずれ、ボケ、歪みが生じることがある。更に、再帰反射部材50が多層構造とされる場合、熱の影響等により、層間の剥離や層間で気泡が発生することがある。一方、再帰反射部材50が単層構造である場合、上記の問題が発生するおそれがないため、画像表示装置1は鮮明な像を表示し得る。
再帰反射素子52として、例えば、リニアプリズム素子、クロスプリズム素子、三角錐型再帰反射素子、フルキューブコーナー型再帰反射素子、テント型再帰反射素子および円錐型再帰反射素子などのプリズム型再帰反射素子が挙げられる。ただし、再帰反射素子52は、三角錐型再帰反射素子またはフルキューブコーナー型再帰反射素子であることが好ましい。三角錐型再帰反射素子は互いに概ね垂直の関係にある3つの三角形の反射面を有し、これらの反射面は一つの頂点を共有し、互いに隣り合う反射面同士は一つの辺を共有している。フルキューブコーナー型再帰反射素子は互いに概ね垂直の関係にある3つの四角形の反射面を有し、これらの反射面は一つの頂点を共有し、互いに隣り合う反射面同士は一つの辺を共有している。再帰反射素子52が三角錐型再帰反射素子またはフルキューブコーナー型再帰反射素子である場合、再帰反射素子52の製造時に用いる金型を精度よく製造することが容易である。
プリズム型再帰反射素子は、内部全反射型再帰反射素子と鏡面反射型再帰反射素子とが知られている。再帰反射素子52が内部全反射型再帰反射素子である場合、再帰反射素子52は、透明材料で構成され、反射面が空気と接するように配置されることが好ましい。透明材料と空気との屈折率差に起因し、臨界角を超えた角度で再帰反射素子52の反射面に入射する光は内部全反射する。より具体的には、所定の範囲の角度で再帰反射素子52に入射する光は、再帰反射素子52が有する3つの反射面のそれぞれで順次内部全反射することによって合計3回内部全反射し、再帰反射される。再帰反射素子52が内部全反射型再帰反射素子である場合、再帰反射素子52が有する3つの反射面での反射率をそれぞれ99%以上とすることができる。また、一般に、内部全反射型再帰反射素子は、鏡面反射型再帰反射素子よりも高い再帰反射性能を示す。従って、再帰反射素子52が内部全反射型再帰反射素子である場合、再帰反射素子52が鏡面反射型再帰反射素子である場合と比べて、画像表示装置1は明るい像を表示しやすくなる。
ところで、画像表示装置1が表示する画像は、様々な波長の光により構成される場合がある。再帰反射素子52が上記のように内部全反射型再帰反射素子である場合、再帰反射素子52の反射面における臨界角は、当該反射面に入射する光の波長に依存する。そのため、再帰反射素子52が内部全反射型再帰反射素子である場合、一部の波長の光は再帰反射素子52によって再帰反射されない場合がある。一方、再帰反射素子52が鏡面反射型再帰反射素子である場合、再帰反射素子52は反射面に入射する光の波長によらず光を再帰反射することができる。鏡面反射型再帰反射素子の反射面は、アルミニウム、銀等の金属による鏡面反射層によって形成される。このような鏡面反射層は、例えば、プリズム型再帰反射素子の表面に金属を蒸着することによって設けられる。鏡面反射層の厚みは、十分に光を反射できるのであれば特に制限はないが、例えば80nm以上200nm以下である。再帰反射素子52が鏡面反射型再帰反射素子である場合、再帰反射素子52に入射する光は、それぞれの鏡面反射層で順次鏡面反射することで合計3回鏡面反射し、再帰反射される。再帰反射素子52が鏡面反射型再帰反射素子である場合、再帰反射素子52が有する3つの反射面での反射率をそれぞれ90%程度とすることができる。再帰反射素子52が鏡面反射型再帰反射素子である場合、上記のように再帰反射素子52が反射面に入射する光の波長によらず光を再帰反射することによって、画像を構成する光が結像しやすくなると考えられる。
また、再帰反射部材50を平面視したときの再帰反射素子52の面積は、ディスプレイ20の表示部21における画素の面積より小さいことが好ましい。表示部21の画素よりも再帰反射素子52が小さいことによって、表示部21の1つの画素が発する光が複数の再帰反射素子52によって再帰反射され易くなる。そのため、画像表示装置1は高精細な画像を表示し得る。再帰反射部材50を平面視したときの再帰反射素子52の一辺の長さは、例えば10μm以上300μm以下、好ましくは10μm以上250μm以下とされる。
次に、画像表示装置1による空中像の結像について説明する。
図1に示すように、本実施形態の画像表示装置1では、ディスプレイ20は、ハーフミラー40とミラー30とに挟まれるように配置される。そして、ディスプレイ20は、表示部21に表示される第1画像F1を構成する光L1aをハーフミラー40に照射する。ハーフミラー40に照射される光L1aの少なくとも一部は、ハーフミラー40の面40Sで反射される。ハーフミラー40の面40Sで反射された光L1bの少なくとも一部は、再帰反射部材50に到達し、当該再帰反射部材50によって再帰反射される。再帰反射部材50によって再帰反射された光L1cは、ハーフミラー40に到達する。このように再びハーフミラー40に到達した光L1cの少なくとも一部は、ハーフミラー40を透過する。そして、ハーフミラー40を透過した光L1cによって、ハーフミラー40における面40Sを含む面を基準として、表示部21に表示される第1画像F1と概ね面対称の位置に第1空中像F1aが結像される。なお、図1では、この第1空中像F1aが仮想的に破線で示されている。このようにして結像される第1空中像F1aは、ハーフミラー40における面40Sを含む面を基準として、表示部21に表示される第1画像F1と概ね面対称の形状の像である。
また、ディスプレイ20は、表示部21に表示される第2画像F2を構成する光L2aをミラー30に照射する。ミラー30に照射される光L2aの少なくとも一部はミラー30で反射されてハーフミラー40に到達する。このため、第2画像F2を構成する光L2aの少なくとも一部は、ディスプレイ20がミラー30の反射面30Sを含む面を基準として当該ディスプレイ20と概ね面対称の位置に配置され、このディスプレイから直接ハーフミラー40へ光が照射される場合と同じように、ハーフミラー40に照射される。なお、図1では、このように配置される仮想のディスプレイ20aが破線で示されている。このようにハーフミラー40に到達した光L2bの少なくとも一部は、ハーフミラー40の面40Sで反射される。そして、ハーフミラー40の面40Sで反射された光L2cの少なくとも一部は、再帰反射部材50に到達し、当該再帰反射部材50によって再帰反射される。このように再びハーフミラー40に到達した光L2dの少なくとも一部は、ハーフミラー40を透過する。そして、ハーフミラー40を透過した光L2dによって、第2空中像F2aが結像される。なお、図1では、この第2空中像F2aが仮想的に破線で示されている。ここで、上記のように、第2画像F2を構成する光L2aの少なくとも一部は、ディスプレイ20がミラー30の反射面30Sを含む面を基準として当該ディスプレイ20と概ね面対称の位置に配置され、このディスプレイから直接ハーフミラー40へ光が照射される場合と同じように、ハーフミラー40に照射される。このため、結像される第2空中像F2aの位置は、ディスプレイ20がこのような面対称の位置に配置される場合に結像される空中像の位置と同じ位置である。つまり、この第2空中像F2aの位置は、ハーフミラー40の面40Sを含む面を基準として、仮想のディスプレイ20aに表示される第2画像F2と概ね面対称の位置である。また、この第2空中像F2aは、ハーフミラー40の面40Sを基準として、仮想のディスプレイ20aに表示される第2画像F2と概ね面対称の形状の像である。
以上説明したように、本実施形態の画像表示装置1は、ハーフミラー40と、ミラー30と、ディスプレイ20と、再帰反射部材50と、を備える。ディスプレイ20は、ハーフミラー40よりもミラー30側かつミラー30よりもハーフミラー40側に配置される。また、ディスプレイ20は、第1画像F1と第2画像F2とを表示する表示部21を有し、第1画像F1を構成する光L1aをハーフミラー40に照射し、第2画像F2を構成する光L2aをミラー30に照射する。ミラー30は、反射面30Sで光L2aの少なくとも一部を反射して光L2bをハーフミラー40に照射する。ハーフミラー40は、光L1aの少なくとも一部を面40Sで反射して光L1bを再帰反射部材50に照射する。また、ハーフミラー40は、光L2bの少なくとも一部を面40Sで反射して光L2cを再帰反射部材50に照射する。再帰反射部材50は、光L1b及び光L2cをそれぞれ再帰反射する。
そして、本実施形態の画像表示装置1では、上記のように、表示部21に表示される第1画像F1は第1空中像F1aとして表示され、表示部21に表示される第2画像F2は第2空中像F2aとして表示される。この第2空中像F2aは第1空中像F1aよりもハーフミラー40から離隔した位置に結像され、第1空中像F1aと第2空中像F2aとはハーフミラー40の面40Sと平行な方向において互いに重ならない。また、本実施形態の画像表示装置1では、1つのディスプレイ20の表示部21に第1画像F1と第2画像F2とが表示されるため、第1画像F1と第2画像F2をそれぞれ異なるディスプレイの表示部に表示させる場合と比べて、簡易な構成とし得る。従って、本実施形態の画像表示装置1は、簡易な構成で複数の画像F1,F2をそれぞれ空中像F1a,F2aとして表示し得る。
本実施形態の画像表示装置1では、第1画像F1と第2画像F2とが互いに異なる。このため、本実施形態の画像表示装置1は、異なる複数の画像F1,F2をそれぞれ空中像F1a,F2aとして表示し得る。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4から図6を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る画像表示装置1の断面を概略的に示す図である。図5は、図4に示すディスプレイ20の表示部21の正面図である。図6は、図4のディスプレイ20の断面の一部を概略的に示す図である。なお、図5及び図6において、上側はハーフミラー40側であり、下側はミラー30側である。図4から図6に示すように本実施形態の画像表示装置1は、ディスプレイ20が表示部21と導光部材125とを備える点において、第1実施形態の画像表示装置1と主に異なる。
図5に示すように、本実施形態の表示部21では、第1出射領域22Aは表示領域21Sの長手方向に沿って延在する帯状の複数の第1帯領域23Aから成る。また、第2出射領域22Bは第1帯領域23Aの延在方向と平行な方向に延在する帯状の複数の第2帯領域23Bから成る。これら第1帯領域23Aと第2帯領域23Bとは、表示領域21Sの短手方向に互いに隣り合って交互に配列されている。また、これら第1帯領域23A及び第2帯領域23Bには、表示領域21Sの長手方向に並列する複数の画素の列うち、少なくとも1つの列が配置されている。そして、複数の第1帯領域23Aから光を出射させて第1画像F1のみを表示する場合、表示領域21Sの概ね全体に第1画像F1が表示される。また、複数の第2帯領域23Bから光を出射させて第2画像F2のみを表示する場合、表示領域21Sの概ね全体に第2画像F2が表示される。そして、表示領域21Sに第1画像F1と第2画像F2とを表示させる場合、第1画像F1と第2画像F2が互いに縞状に隣り合って表示される。この場合、表示領域21Sを正面視すると、第1画像F1の少なくとも一部と第2画像F2の少なくとも一部が互いに重なっているように見える。
図4に示すように、本実施形態の導光部材125は、第1実施形態における導光部材25と同様に、透光性を有する材料から構成され、表示領域21Sを覆う板状部材とされる。図6に示すように、導光部材125は、複数の第1柱状プリズム126Aと複数の第2柱状プリズム126Bとから構成されるリニアプリズムとされる。第1柱状プリズム126A及び第2柱状プリズム126Bは、表示領域21Sの長手方向に沿って延在する。それぞれの第1柱状プリズム126Aは表示部21の1つの第1帯領域23Aを覆い、それぞれの第2柱状プリズム126Bは表示部21の1つの第2帯領域23Bを覆う。このため、ディスプレイ20を導光部材125側から正面視した場合、それぞれの第1柱状プリズム126Aは、1つの第1帯領域23Aと重なり、それぞれの第2柱状プリズム126Bは、1つの第2帯領域23Bと重なる。そして、第1柱状プリズム126Aと第2柱状プリズム126Bとは、表示領域21Sの短手方向に互いに隣り合って交互に配列されている。
それぞれの第1柱状プリズム126Aにおける表示部21側と反対側の面である出射面126Aoは、表示領域21Sと概ね平行な同一平面上に位置している。また、それぞれの第2柱状プリズム126Bにおける表示部21側と反対側の面である出射面126Boは、出射面126Aoが位置する平面上に位置している。このため、導光部材125の表示領域21S側と反対側の面は、複数の第1柱状プリズム126Aの出射面126Ao及び複数の第2柱状プリズム126Bの出射面126Boによって構成される平坦な面とされる。また、第1柱状プリズム126Aにおける表示部21側の面である入射面126Aiは、ハーフミラー40側に向かって表示部21に近づくように傾斜している。複数の第1柱状プリズム126Aにおいて、これら入射面126Aiと表示領域21Sとのなす角度は概ね同じとされている。このため、第1帯領域23Aから出射されて導光部材125に入射する光L1aは、導光部材125からハーフミラー40側に向けて出射する。一方、第2柱状プリズム126Bにおける表示部21側の面である入射面126Biは、ミラー30側に向かって表示部21に近づくように傾斜している。複数の第2柱状プリズム126Bにおいて、これら入射面126Biと表示領域21Sとのなす角度は概ね同じとされている。このため、第2帯領域23Bから出射されて導光部材125に入射する光L1bは、導光部材125からミラー30側に向けて出射する。このように、本実施形態のディスプレイ20は、導光部材125によって、光L1aをハーフミラー40に照射できるとともに、光L1bをミラー30に照射できる。従って、本実施形態の画像表示装置1では、第1実施形態と同様にして、表示部21に表示される第1画像F1は第1空中像F1aとして表示され、表示部21に表示される第2画像F2は第2空中像F2aとして表示される。
本実施形態では、上記のように、表示部21は、第1画像F1を構成する光L1aを出射する第1出射領域22Aと、第2画像F2を構成する光L1bを出射する第2出射領域22Bと、を有する。第1出射領域22Aは、表示領域21Sの長手方向に延在する複数の第1帯領域23Aから成る。第2出射領域22Bは、第1帯領域23Aの延在方向と平行な方向に延在する複数の第2帯領域23Bから成る。これら第1帯領域23Aと第2帯領域23Bとは、表示領域21Sの短手方向に互いに隣り合って交互に配列されている。このため、表示部21には、第1画像F1と第2画像F2が互いに縞状に隣り合って表示される。従って、第1画像F1と第2画像F2とが別々の表示部で表示される場合と比べて、表示部21を大きくしなくても表示部21に表示される第1画像F1及び第2画像F2を大きくできる。このため、本実施形態の画像表示装置1は、大型化を抑制しつつ、第1画像F1としての第1空中像F1a及び第2画像F2としての第2空中像F2aを大きくし得る。
なお、第1空中像F1a及び第2空中像F2aを鮮明に表示する観点では、表示領域21Sの短手方向における第1帯領域23Aの幅WA及び第2帯領域23Bの幅WBは、表示領域21Sの短手方向の長さの100分の1以下であることが好ましい。また、第1帯領域23Aの幅WAと第2帯領域23Bの幅WBを等しくすることが好ましい。
また、図4に示すように、表示部21のミラー30側の端21eとミラー30との距離Dは、第1帯領域23Aの幅WAまたは第2帯領域の幅WAの二分の一以下としてもよい。このような構成にすることで、第2空中像F2aを当該第2空中像F2aが第1空中像F1aに接続するように表示し得る。なお、第2空中像F2aを第1空中像F1aに接続するように表示する観点では、上記の距離Dは、ゼロであることが好ましい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図7を参照して詳細に説明する。なお、第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図7は、本発明の第3実施形態に係る画像表示装置の断面を概略的に示す図である。図7に示すように本実施形態の画像表示装置1は、ディスプレイ20及びミラー30と再帰反射部材50とが、ハーフミラー40を挟んで互いに反対側に配置される点において、第2実施形態の画像表示装置1と主に異なる。また、本実施形態では、ハーフミラー40はハウジング10の底壁11に対して傾斜している。また、再帰反射部材50はハーフミラー40に対して所定の角度をなしており、ハウジング10の枠壁12に固定されている。また、ハーフミラー40及びミラー30に対するディスプレイ20の相対的な位置、及びハーフミラー40に対するミラー30の相対的な位置は、第2実施形態と同様の位置とされている。このため、ディスプレイ20は、ハーフミラー40とミラー30とに挟まれるように位置し、ミラー30の反射面30Sとハーフミラー40のディスプレイ20側の面40Sとは概ね平行となっている。そして、ディスプレイ20から出射する第1画像F1を構成する光L1aはハーフミラー40の面40Sに照射される。また、ディスプレイ20から出射する第2画像F2を構成する光L2aの少なくとも一部はミラー30の反射面30Sによって反射してハーフミラー40の面40Sに照射される。
本実施形態の画像表示装置1による空中像F1a,F2aは以下のようにして結像する。
ディスプレイ20は、第1画像F1を構成する光L1aをハーフミラー40に照射する。ハーフミラー40に照射される光L1aの少なくとも一部は、ハーフミラー40を透過して再帰反射部材50に到達する。再帰反射部材50に到達した光L1aの少なくとも一部は、再帰反射部材50によって再帰反射される。再帰反射部材50によって再帰反射された光L1dは、ハーフミラー40に到達する。このように再びハーフミラー40に到達した光L1dの少なくとも一部は、ハーフミラー40のディスプレイ20と反対側の面40Sで反射する。そして、ハーフミラー40の面40Sで反射した光L1eによって、ハーフミラー40における面40Sを含む面を基準として、表示部21に表示される第1画像F1と概ね面対称の位置に第1空中像F1aが結像される。このようにして結像される第1空中像F1aは、第1実施形態と同様に、ハーフミラー40の面40Sを含む面を基準として、表示部21に表示される第1画像F1と概ね面対称の形状の像である。
一方、ディスプレイ20は、第2画像F2を構成する光L2aをミラー30に照射する。ミラー30に照射される光L2aの少なくとも一部は、ミラー30の反射面30Sで反射されてハーフミラー40に到達する。ハーフミラー40に到達した光L2bの少なくとも一部は、ハーフミラー40を透過して再帰反射部材50に到達する。再帰反射部材50に到達した光L2bは、再帰反射部材50によって再帰反射される。再帰反射部材50によって再帰反射された光L2eは、ハーフミラー40に到達する。このように再びハーフミラー40に到達した光L2eの少なくとも一部は、ハーフミラー40の面40Sで反射する。そして、ハーフミラー40の面40Sで反射した光L2fによって、第2空中像F2aが結像される。ここで、第2画像F2を構成する光L2aの少なくとも一部は、第1実施形態と同様に、ディスプレイ20がミラー30の反射面30Sを含む面を基準として当該ディスプレイ20と概ね面対称の位置に配置され、このディスプレイから直接ハーフミラー40へ光が照射される場合と同じように、ハーフミラー40に照射される。このため、結像される第2空中像F2aの位置は、ディスプレイ20がこのような面対称の位置に配置される場合に結像される空中像の位置と同じ位置である。つまり、この第2空中像F2aの位置は、ハーフミラー40の面40Sを含む面を基準として、仮想のディスプレイ20aに表示される第2画像F2と概ね面対称の位置である。また、この第2空中像F2aは、ハーフミラー40の面40Sを基準として、仮想のディスプレイ20aに表示される第2画像F2と概ね面対称の形状の像である。
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、ディスプレイ20が備える導光部材25,125は、複数の柱状プリズム26A,26B,126A,126Bから成るリニアプリズムとされていた。しかし、ディスプレイ20は、第1画像F1を構成する光L1aをハーフミラー40に照射し、第2画像F2を構成する光L2aをミラー30に照射可能であればよい。そして、導光部材25,125の構成は特に限定されるものではない。例えば、ディスプレイ20は、図8に示すような導光部材125を備える構成とされてもよい。
図8は、第1の変形例に係るディスプレイ20の断面の一部を示す図である。なお、第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
本変形例の表示部21は、第2実施形態の表示部21と同様の構成とされる。一方、本変形例の導光部材125では、複数の第1柱状プリズム126Aの入射面126Ai及び出射面126Aoが第2実施形態の入射面126Ai及び出射面126Aoと異なる。また、複数の第2柱状プリズム126Bの入射面126Bi及び出射面126Boが第2実施形態の入射面126Bi及び出射面126Boと異なる。具体的には、本変形例では、それぞれの第1柱状プリズム126Aの入射面126Aiは、表示領域21Sと概ね平行な同一平面上に位置している。また、それぞれの第2柱状プリズム126Bの入射面126Biは、第1柱状プリズム126Aの入射面126Aiが位置する平面上に位置している。このため、導光部材125の表示領域21S側の面は、複数の第1柱状プリズム126Aの入射面126Ai及び複数の第2柱状プリズム126Bの入射面126Biによって構成される平坦な面とされる。また、第1柱状プリズム126Aにおける出射面126Aoは、ハーフミラー40側に向かって表示部21から離れるように傾斜している。複数の第1柱状プリズム126Aにおいて、これら出射面126Aoと表示領域21Sとのなす角度は概ね同じとされている。このため、第1帯領域23Aから出射されて導光部材125に入射する光L1aは、導光部材125からハーフミラー40側に向けて出射する。一方、第2柱状プリズム126Bの出射面126Boは、ミラー30側に向かって表示部21から離れるように傾斜している。複数の第2柱状プリズム126Bにおいて、これら出射面126Boと表示領域21Sとのなす角度は概ね同じとされている。このため、第2帯領域23Bから出射されて導光部材125に入射する光L1bは、導光部材125からミラー30側に向けて出射する。このように、本変形例のディスプレイ20は、導光部材125によって、第1画像F1を構成する光L1aをハーフミラー40に照射できるとともに、第2画像F2を構成する光L1bをミラー30に照射できる。
また、ディスプレイ20は、図9に示すような導光部材225を備える構成とされてもよい。図9は、第2の変形例に係るディスプレイ20の断面の一部を示す図である。なお、第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
本変形例の表示部21は、第2実施形態の表示部21と同様の構成とされる。一方、本変形例の導光部材225は、複数の柱状レンズ226から構成されるレンチキュラーレンズとされる。それぞれの柱状レンズ226は、表示領域21Sの長手方向に沿って延在する。この複数の柱状レンズ226は、表示領域21Sの短手方向に並列され、これら複数の柱状レンズ226が一体に形成されて導光部材225が構成されている。それぞれの柱状レンズ226は、1つの第1帯領域23Aを覆い、当該第1帯領域23Aに隣接するとともにハーフミラー40側に位置する1つの第2帯領域23Bも覆う。このため、それぞれの柱状レンズ226は、ディスプレイ20を導光部材225側から正面視した場合、1つの第1帯領域23Aと、当該第1帯領域23Aに隣接する1つの第2帯領域23Bとに重なる。それぞれの柱状レンズ226の表示部21側の面である入射面226iは、表示領域21Sと概ね平行な同一平面上に位置している。このため、導光部材225の表示部21側の面は、複数の柱状レンズ226の入射面226iによって構成される平坦な面とされている。また、それぞれの柱状レンズ226の表示部21側と反対側の面である出射面226oは、柱状レンズ226の延在方向に沿って、表示部21側と反対側に凸状となる曲面とされる。また、表示領域21Sの短手方向における柱状レンズ226の中心を通り入射面226iと垂直な基準面226RSは、第1帯領域23Aと第2帯領域23Bとの境界に沿って延在する。それぞれの出射面226oは、出射面226oと基準面226RSとが交わる部位において、表示部21側と反対側に最も突出している。
このような導光部材225を介して表示領域21Sを見る場合、観察する位置によって表示領域21Sの見え方が異なる。具体的には、本変形例では、ディスプレイ20を基準としてハーフミラー40側の所定の位置から表示領域21Sを見る場合には、柱状レンズ226が覆っている第1帯領域23Aが視認できるとともに当該柱状レンズ226が覆っている第2帯領域23Bが視認し難くなる。一方、ディスプレイ20を基準としてミラー30側の所定の位置から表示領域21Sを見る場合には、当該柱状レンズ226が覆っている第2帯領域23Bが視認できるとともに当該柱状レンズ226が覆っている第1帯領域23Aが視認し難くなる。つまり、柱状レンズ226の出射面226oの形状は、表示領域21Sがこのように見えるような曲面とされている。従って、本変形例のディスプレイ20は、導光部材225によって、第1画像F1を構成する光L1aをハーフミラー40に照射できるとともに、第2画像F2を構成する光L1bをミラー30に照射できる。
なお、第1帯領域23Aと第2帯領域23Bとの境界は、基準面226RS上に位置してもよく、位置しなくてもよい。また、柱状レンズ226は、1つの第1帯領域23A及び当該第1帯領域23Aに隣接する1つの第2帯領域23Bを覆うとともに、他の第1帯領域23Aの少なくとも一部や他の第2帯領域23Bの少なくとも一部を覆ってもよい。また、柱状レンズ226の入射面226iは表示部21の表示領域21Sと接していてもよく、離隔していてもよい。
また、ディスプレイ20は、図10に示すように、導光部材を備えない構成とされてもよい。図10は、第3の変形例に係るディスプレイ20の断面の一部を示す図である。なお、第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
本変形例のディスプレイ20では、第1出射領域22Aを構成する第1帯領域23Aから外方へ延びる法線NV1は、ハーフミラー40側に向かって延在しており、ハーフミラー40と交わる。また、第2出射領域22Bを構成する第2帯領域23Bから外方へ延びる法線NV2は、ミラー30側に向かって延在しており、ミラー30と交わる。このようなディスプレイ20であっても、第1画像F1を構成する光L1aをハーフミラー40に照射でき、第2画像F2を構成する光L2aをミラー30に照射できる。なお、第1出射領域22Aと第2出射領域22Bとを構成する複数の領域は帯状の領域でなくてもよく、例えば、市松模様状に配置される複数の領域から構成されてもよい。
また、ディスプレイ20は、図11に示すように、表示部21とパララックスバリア325とを備える構成とされてもよい。図11は、第4の変形例に係るディスプレイ20の断面の一部を示す図である。なお、第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
本変形例の表示部21は、第2実施形態の表示部21と同様の構成とされる。一方、パララックスバリア325は、遮光性を有する板状部材であり、表示領域21Sと所定の間隔をあけて当該表示領域21Sを覆うように配置される。パララックスバリア325には、表示領域21Sの長手方向に沿って延在する複数のスリット326が形成されている。つまり、複数のスリット326は、第1帯領域23A及び第2帯領域23Bと概ね平行な方向に延在している。本変形例では、表示領域21Sの短手方向における第1帯領域23Aの幅WAと第2帯領域23Bの幅WBは概ね同じとされ、表示領域21Sの短手方向におけるスリット326の幅は、これら第1帯領域23A及び第2帯領域23Bの幅WA,WBと概ね同じとされる。また、スリット326と第1帯領域23Aと第2帯領域23Bの数は同じとされる。
このようなパララックスバリア325のスリット326を介して表示領域21Sを見る場合、観察する位置によって表示領域21Sの見え方が異なる。具体的には、本変形例では、ディスプレイ20を基準としてハーフミラー40側の所定の位置から表示領域21Sを見る場合には、スリット326を介して第1帯領域23Aが視認できるとともに第2帯領域23Bが視認し難くなる。一方、ディスプレイ20を基準としてミラー30側の所定の位置から表示領域21Sを見る場合には、スリット326を介して第2帯領域23Bが視認できるとともに第1帯領域23Aが視認し難くなる。つまり、パララックスバリア325の複数のスリット326は、表示領域21Sがこのように見えるように形成されている。従って、本変形例のディスプレイ20は、パララックスバリア325によって、第1画像F1を構成する光L1aをハーフミラー40に照射できるとともに、第2画像F2を構成する光L1bをミラー30に照射できる。
また、ディスプレイ20は、図12に示すように、表示部21とルーバー425とを備える構成とされてもよい。図12は、第5の変形例に係るディスプレイ20の断面の一部を示す図である。なお、第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
本変形例の表示部21は、第2実施形態の表示部21と同様の構成とされる。一方、ルーバー425は、複数の第1反射板426Aと複数の第2反射板426Bとから構成され、表示領域21Sと所定の間隔をあけて当該表示領域21Sを覆うように配置される。第1反射板426A及び第2反射板426Bは、表示領域21Sの長手方向に沿って延在する。ディスプレイ20をルーバー425側から正面視した場合、それぞれの第1反射板426Aは、1つの第1帯領域23Aと重なり、それぞれの第2反射板426Bは、1つの第2帯領域23Bと重なる。そして、第1反射板426Aと第2反射板426Bとは、表示領域21Sの短手方向に互いに隣り合って交互に配列されている。また、隣接する第1反射板426Aと第2反射板426Bとは、離隔している。
それぞれの第1反射板426Aにおける表示部21側の面が光を反射する反射面426Arとされ、この反射面426Arは、ハーフミラー40側に向かって表示部21から離れるように傾斜している。複数の第1反射板426Aにおいて、これら反射面426Arと表示領域21Sとのなす角度は概ね同じとされている。このため、第1帯領域23Aから出射されて第1反射板426Aの反射面426Arに入射する光は、ハーフミラー40側に向けて反射される。一方、第2反射板426Bにおける表示部21側の面が光を反射する反射面426Brとされ、この反射面426Arは、ミラー30側に向かって表示部21から離れるように傾斜している。複数の第2反射板426Bにおいて、これら反射面426Brと表示領域21Sとのなす角度は概ね同じとされている。このため、第2帯領域23Bから出射されて第2反射板426Bの反射面426Brに入射する光は、ミラー30側に向けて反射される。このように、本変形例のディスプレイ20は、ルーバー425によって、第1画像F1を構成する光L1aをハーフミラー40に照射できるとともに、第2画像F2を構成する光L1bをミラー30に照射できる。
また、ディスプレイ20は、図13に示すように、表示部21と複数の第1光学フィルム526Aと複数の第2光学フィルム526Bとを備える構成とされてもよい。図13は、第6の変形例に係るディスプレイ20の断面の一部を示す図である。なお、第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
本変形例の表示部21は、第2実施形態の表示部21と同様の構成とされる。複数の第1光学フィルム526A及び複数の第2光学フィルム526Bは、表示領域21Sと所定の間隔をあけて配置され、表示領域21Sはこれら光学フィルム526A,526Bによって覆われる。これら光学フィルム526A,526Bは、当該光学フィルム526A,526Bを透過する光の指向性を制御する視野角制御フィルムである。本変形例の光学フィルム526A,526Bは、光を透過する光透過層527と当該光透過層527よりも光の透過率が低く幅の狭い遮光層528とが、フィルムの厚さ方向と垂直な所定の方向に交互に配置されたマイクロルーバーフィルムとされる。
第1光学フィルム526A及び第2光学フィルム526Bは、表示領域21Sの長手方向に沿って延在し、第1光学フィルム526Aと第2光学フィルム526Bとは、表示領域21Sの短手方向に互いに隣り合って交互に配列されている。それぞれの第1光学フィルム526Aは、厚さ方向と平行な方向から見る場合に、1つの第1帯領域23Aと重なる。また、第1光学フィルム526Aでは、遮光層528は、ミラー30側に向かって表示部21に近づくように傾斜している。このため、第1帯領域23Aから出射されて第1光学フィルム526Aに入射する光L1aのうちハーフミラー40に向かう光は第1光学フィルム526Aを透過してハーフミラー40に照射され、その他の方向に向かう光は遮光層528によって遮られて第1光学フィルム526Aを透過しにくい。一方、それぞれの第2光学フィルム526Bは、厚さ方向と平行な方向から見る場合に、1つの第2帯領域23Bと重なる。また、第2光学フィルム526Bでは、遮光層528は、ハーフミラー40側に向かって表示部21に近づくように傾斜している。このため、第2帯領域23Bから出射されて第2光学フィルム526Bに入射する光L2aのうちミラー30に向かう光は第2光学フィルム526Bを透過してミラー30に照射され、その他の方向に向かう光は遮光層528によって遮られて第2光学フィルム526Bを透過しにくい。このように、本変形例のディスプレイ20は、複数の第1光学フィルム526A及び複数の第2光学フィルム526Bによって、第1画像F1を構成する光L1aをハーフミラー40に照射できるとともに、第2画像F2を構成する光L2aをミラー30に照射できる。なお、これら光学フィルム526A,526Bは表示領域21Sに張り付けられてもよい。
また、上記実施形態では、1つのディスプレイ20を備える画像表示装置1を例に説明した。しかし、画像表示装置1は2つ以上のディスプレイを備えていてもよく、より多くの画像を結像して表示し得る。
また、上記実施形態では、ミラー30の反射面30S及びハーフミラー40の面40Sは表示部21の表示領域21Sと概ね垂直であった。しかし、これら面30S,40Sは表示領域21Sと非垂直であってもよく、これら面30S,40Sは互いに非平行であってもよい。例えば、図14に示すようにディスプレイ20を配置してもよい。なお、図14は、第7の変形例に係る画像表示装置1の断面を概略的に示す図である。
本変形例の画像表示装置1は、ディスプレイ20がハウジング10の枠壁12に対して傾いている点で第2実施形態の画像表示装置1と異なる。本変形例では、ハーフミラー40の面40Sと表示領域21Sとのなす角が鋭角とされ、ミラー30と表示領域21Sとのなす角が鈍角とされている。前述のように、第1空中像F1aの位置及び向きは、ハーフミラー40と表示領域21Sとの位置関係によって決まる。また、第2空中像F2aの位置及び向きは、ハーフミラー40と表示領域21Sとミラー30の反射面30Sの位置関係によって決まる。本変形例では、第1空中像F1aは、第2実施形態における第1空中像F1aと概ね同じ位置に結像されるものの、第2実施形態における第1空中像F1aが傾けられた像となる。また、本変形例では、第2空中像F2aは、第2実施形態における第2空中像F2aと概ね同じ位置に結像されるものの、第2実施形態における第2空中像F2aが傾けられた像となる。
また、図15に示すようにハーフミラー40を配置してもよい。なお、図15は、第8の変形例に係る画像表示装置1の断面を概略的に示す図である。
本変形例の画像表示装置1は、ハーフミラー40がハウジング10の底壁11に対して傾いている点で第2実施形態の画像表示装置1と異なる。本変形例では、ハーフミラー40の面40Sと表示領域21Sとのなす角が鋭角とされている。そして、本変形例では、第1空中像F1aは、第2実施形態における第1空中像F1aと異なる位置に結像されるとともに、第2実施形態における第1空中像F1aが傾けられた像となる。また、本変形例では、第2空中像F2aは、第2実施形態における第2空中像F2aと異なる位置に結像されるとともに、第2実施形態における第2空中像F2aが傾けられた像となる。なお、第2実施形態の画像表示装置1において、例えばミラー30の反射面30Sと表示領域21Sとのなす角が鈍角となるようにミラー30を傾けてもよい。このような構成にする場合、第2空中像F2aは、第2実施形態における第2空中像F2aと異なる位置に結像されるとともに、第2実施形態における第2空中像F2aが傾けられた像となる。なお、第1空中像F1aの位置及び向きは、第2実施形態における第1空中像F1aの位置及び向きと概ね同じである。
また、再帰反射部材50の配置も特に限定されるものではない。例えば、図16に示すように再帰反射部材50を配置してもよい。なお、図16は、第9の変形例に係る画像表示装置1の断面を概略的に示す図である。
本変形例の画像表示装置1は、再帰反射部材50がハウジング10の底壁11に対して傾いている点で第2実施形態の画像表示装置1と異なる。本変形例では、再帰反射部材50は、ディスプレイ20から離れるにつれてハーフミラー40に近づくように傾いている。そして、ディスプレイ20を正面視する場合にディスプレイ20と再帰反射部材50とが互いに重なっている。ここで、再帰反射部材50の位置は、第1空中像F1aの位置及び向きと第2空中像F2aの位置及び向きに殆ど影響を与えない。このため、本変形例における第1空中像F1aの位置及び向きは、第2実施形態における第1空中像F1aの位置及び向きと概ね同じである。また、本変形例における第2空中像F2aの位置及び向きは、第2実施形態における第2空中像F2aの位置及び向きと概ね同じである。ここで、空中像F1a,F2aを視認するためには、空中像F1a,F2aを形成する光である再帰反射部材50によって再帰反射した光L1c,L2dが見える位置から観測する必要がある。そして、空中像F1a,F2aを視認し易い位置は、当該空中像F1a,F2aが結像される位置とハーフミラー40と再帰反射部材50とを同時に視認できる位置である。上記のように再帰反射部材50が傾くことで、画像表示装置1を大きくしなくても、当該空中像F1a,F2aが結像される位置とハーフミラー40と再帰反射部材50とを同時に視認できる範囲を広げることができる。このため、本変形例の画像表示装置1は、空中像F1a,F2aを視認し易い範囲を広げることができる。
また、画像表示装置1は、図17に示すように、複数の再帰反射部材50,50aを備えていてもよい。なお、図17は、第10の変形例に係る画像表示装置1の断面を概略的に示す図である。
本変形例の画像表示装置1は、再帰反射部材50aを更に備える点で第2実施形態の画像表示装置1と異なる。再帰反射部材50aは、再帰反射部材50と同様の構成とされる。この再帰反射部材50aは、ディスプレイ20と対向するようにハウジング10の枠壁12に固定される。そして、ディスプレイ20を正面視する場合にディスプレイ20と再帰反射部材50aとが互いに重なっている。本変形例における第1空中像F1aの位置及び形状は、第2実施形態における第1空中像F1aの位置及び形状と概ね同じである。また、本変形例における第2空中像F2aの位置及び形状は、第2実施形態における第2空中像F2aの位置及び形状と概ね同じである。また、上記の再帰反射部材50aを備えることで、第8の変形例と同様に、画像表示装置1を大きくしなくても、空中像F1a,F2aが結像される位置とハーフミラー40と再帰反射部材50,50aとを同時に視認できる範囲を広げることができる。このため、本変形例の画像表示装置1は、空中像F1a,F2aを視認し易い範囲を広げることができる。
また、ディスプレイ20は、ハーフミラー40よりもミラー30側かつミラー30よりもハーフミラー40側に配置されていればよい。例えば、ディスプレイ20は、ハーフミラー40とミラー30との間に配置され当該ハーフミラー40とミラー30とによって挟まれていてもよい。また、ディスプレイ20は、ハーフミラー40とミラー30との間からずれた位置に配置されていてもよい。
また、ディスプレイ20は、第1出射領域22Aから出射する光L1a及び第2出射領域22Bから出射する光L2aのそれぞれの光量を調節可能とされてもよい。このような構成にすることで、空中像F1a及び空中像F2aのそれぞれの明るさを調節できる。上記のように、第1出射領域22Aから出射する光L1aはミラー30を介さずにハーフミラー40に照射される。一方、第2出射領域22Bから出射する光L2aはミラー30を介してハーフミラー40に照射される。このため、空中像F2aは空中像F1aより暗くなる傾向にある。このため、ディスプレイ20が光L1a及び光L2aのそれぞれの光量を調節可能とされることで、空中像F1aと空中像F2aとを概ね同じ明るさにすることもできる。なお、空中像F1a及び空中像F2aのそれぞれの明るさを調節するために、例えば導光部材25,125,225における第1出射領域22Aから出射する光L1aが透過する部位及び第2出射領域22Bから出射する光L2aが透過する部位のそれぞれの透過率を調節してもよい。また、導光部材25,125,225と同様に、ハーフミラー40における透過率や反射率を部分的に調節してもよく、ミラー30における反射率を部分的に調節してもよい。